○
説明員(吉浦浄真君) 振
興課長でございます。実は
資料をお配りするように準備すればよかったのでございますが、ちょっと間に合いませんでしたので、後ほどあらためて
資料を御提出することにいたします。御了承願います。
去る
昭和二十八年の十月一日に、
町村合併促進法が施行されたのでありますが、それからこの九月三十日をもちまして、まる三年を経過いたしました。同法の附則に定めるところによりまして、みずから失効いたしたわけであります。この三ヵ年間に、町村
合併という大
事業が全国津々浦々にわたって行われまして、住民各位の理解と、関係帝町村の献身的な
努力並びに都道府県あるいは各
団体等の積極的な支援と協力によりまして、いわば全国民的な運動として展開されたわけであります。おおむね所期の目標を達成いたしまして、同法は失効いたしたわけであります。今回行われました町村
合併の運動は、国政の基本理念であります民主政治の
基礎を強化いたしまして、真に住民の福祉を増進するということをねらいとして行われたことは申すまでもないのでございますが、いわば明治二十二年に市制、町村制が施行せられますに先き立ちまして行われました、あの町村
合併以来の大
事業であったかと思われるのであります。われわれの口から言うのも口はばったいことでありますが、わが国の
地方行政にとっては、まさしく画期的な一紀元を画するものであったと思うわけであります。当時、
昭和二十八年の十月でございますが、人口八千に満たない小規模町村というものが八千二百四十五町村あったわけであります。これを再編成いたしまして、六千二百五十町村を減少するという国の
計画が樹立されまして、そうして各都道府県で、実際の地図を拡げまして図面を作成いたしました。それぞれ個々の
合併計画を樹立いたしたのでございます。都道府県の
合併計画によりますと、その集計が六千九百町村を減少するというふうな
計画に相なっておったのでございますが、これらの
計画に基きまして、町村
合併が促進されたわけでございます。この九月三十日現在までに実際に減少いたしました町村の数は六千百五十二町村の多きに達したわけでございまして、ただいま申し上げました国の
合併計画に対しましては九八%、また都道府県の
合併計画は、それよりもややシビアでございましたので、それに対しましては八九%という
進捗率になっておるわけでございます。
その結果、
市町村数はどのようになったかと申しますと、
町村合併促進法の施行の前日の二十八年の九月三十日現在では、二百八十五市千九百六十七町七千六百四十村、合計いたしまして、
市町村数が九千八百九十五、いわば一万になんなんとする
市町村があったのでございますが、現在におきましては、市の数が四百九十八市、町が千九百四、村が千五百七十
市町村合計三千九百七十三というふうな
数字になったのでございます。当初の目標でございます
市町村の数を三分の一に再編成するというねらいに対しましては、ほぼその目標を達したということができるのではなかろうかと思っております。
その結果、
合併の効果として
考えられますことは、まず第一に、町村の規模が拡大したということでございます。
合併前におきましては、一町村の平均人口が五千三百九十六人でございましたものが、町村
合併の完遂後におきましては、一万五千八百七十一人と相なるわけでございます。平均面積におきましても、一町村あたり三四・八九平方キロメートルでございましたものが、
合併後におきましては、一〇四平方キロメートルというふうに、人口及び面積とも従前の約三倍というふうに、その規模を拡大することに相なるわけでございます。まあこれによりまして、新らしい
地方自治の担い手とし、この
市町村の
行政の規模という点から
考えますと、たしかに一応その
基礎はでき上ったと言ってもよいのではないかと
考えておるわけでございます。
それから、これはまあ
合併の効果の第二点でございますが、議員及び三役が減少いたしております。町村
合併の
促進法実施当時におきまして、町村長、助役及び収入役と申しますいわゆる三役は、二万七千九百人を数えたわけでございますが、これまた、あとしばらく町村
合併を進めて参りますと、その
計画完了時におきましては、九千七百九十九人というふうな
数字が想定されておりまして、約一万八千人の三役が減少することに相なるわけでございます。また、町村会議員の数におきましても、二十八年十月におきましては十七万七千人でありましたものが、九万人に減少する予定に相なっております。これらの一万八千の町村長等の三役及び九万人の議員がいわば進んで身を退けたといっても過言ではないのでございまして、これによって浮んで参りまする
経費が、あげて新
市町村の育成の
経費に充当せられておる
状況でございます。なお、町村にございます教育
委員、選挙管理
委員、公平
委員会の
委員、あるいは監査
委員、固定資産評価
委員、または農業
委員会の
委員等の各種
委員の減少は、およそ二十一万人と推定されるわけでございます。すなわち、
昭和二十八年十月一日におきましては、三十二万人と推定されるわけでございますが、これが
計画完了時におきましては十一万人になるというふうな見込みでございまして、この点におきましても、大きな
行政整理が断行されつつあるというふうに
考えられるわけでございます。
次に、行
財政運営の合理化の点でございますが、町村
合併によりまして、新たにできました新
市町村におきましては、すでに
行政機構の
改革でございますとか、あるいは職員組織等の合理化が行われておるわけでございます。このようにいたしまして、節減されます
消費的経費を積極的に
投資的経費に充当することによりまして、実は顕著な効果をあげておるわけでございます。もとより、すべての新
市町村におきまして、そのような実績が上っておるわけではないのでございますけれども、実は優良町村と申される町村について
調査をいたしてみますと、それらの
投資的経費が非常な割合でふえて参っております。もとより、住民の福祉の増進と申しますものは、これは
投資的経費の増加の割合といっていいと思うのでありますが、かくのごとくいたしまして、
道路なり橋梁なり、あるいは小学校、中学校の改築なり、そういった
投資的経費に充当せられる割合が、どの町村におきましても明らかにふえて参っておるのが、町村
合併の真の効果ではないかというふうに
考えられるわけでございます。
しかしながら、そのように数も減りまして、ほぼその目的を達したかのように
考えられるのでございますが、実は町村
合併の
問題点として三つの大きな問題が今後に残されておるのでございます。
その第一点は、まだ
合併に踏みきれなかった未
合併町村といわれるものの数が、実は全国で千三十に上っておるわけでございます。各都道府県を平均いたしますと、やはり二十前後は必ず未
合併町村を抱えておるのでございます。これらの未
合併町村は、もとより
合併に踏みきれなかった特殊な事情を内蔵いたしておりますために、従来
合併いたしました町村に比較いたしまして、
合併困難の事情があることは事実でございますけれども、いわば九五%までが
合併したというふうな現在におきましては、これらの残った未
合併町村をそのままで置いておくこともいかがかということから、新
市町村建設促進法におきましても、これらの未
合併町村をすみやかに解消するように
要求されておるわけでございますので、ただいまのところ、各都道府県におきまして、新たな
合併計画の策定にとりかかっておるわけでございます。今後の未
合併町村の解消に当りましては、この従来の
計画にあまりこだわらない、住民の意思、あるいは地勢、
交通その他の客観的情勢等を判断いたしました新たな
合併計画の策定によりまして、相当に
進捗するものと
考えておるわけでございます。この
計画策定に当りましては、県におかれます新
市町村建設促進審議会と申します
委員会がございますが、この
委員会で
実情を
調査いたしまして、そうしてある程度の
計画を作ったところで、現在
自治庁と協議をいたしております。われわれの方に、各町村で県の
計画に不満であります町村が、相当陳情に参っておりますので、それらを聞いておりまして、県の
計画が出て参りました際に、それらを
調節をとりまして、真に住民の福祉の点から、また関係町村と一体性の点から、
計画の合理化というものを企てているわけでございます。いずれこの
合併計画が策定をされますと、それに基きまして、来年の三月三十一日までに、すべての未
合併町村について
合併の勧告が発せられることに相成っているわけでございます。しかしながら、すでに
合併の気運が相当出ておりますものにつきましては、それまでに
合併の勧告が発せられる段取りに相成っておりまして、すでにそういったような府県を一、二見受けるのでございます。このようにいたしまして、未
合併町村の解消をはかるわけでございますが、それでもなお踏みきれないものにつきましては、いずれ内閣総理大臣と協議いたしまして、内閣総理大臣から勧告するように都道府県知事の請求がある場合が予想されるのでございますが、内閣総理大臣の勧告という部面も現われてくるかと思います。また一面、どうしてもその町村長あるいは議会等におきまして、町村
合併をがえんじない場合におきましては、直接住民投票によりまして、住民の過半数の同意を得れば、町村
合併ができるように相成っているのでございますが、こういった手段に訴える場合も中には出てくるのではないかと
考えているわけでございます。このような未
合併町村の
合併の推進をはかりますことが、今後に残された第一の問題でございます。
第二の問題は、この関係町村の間におきまして、種々紛議を生じている場合があるわけでございます。中でも分村問題といわれるのは、町村
合併のいわば
一つの跡始末とでも申しますか、非常に深刻な問題となっております。特に議会におきまして、あるいは強引に一方的に議決いたしまして、
合併したような所におきましては、その少数の区域住民が団結いたしまして、別の町村に
合併をしたいということで、非常な紛争問題を起しておるところも見受けられるわけでございます。これが、現在のところ、
数字ははっきりいたしませんけれども、すべての府県におきまして、少いところで二、三、多いところで十数件かかえておるわけでございます。この問題につきましては、来年の三月三十一日までに、同じく都道府県におかれますところの促進審議会の
委員の中から調整
委員を選任いたしまして、その調整
委員の調停ないしあっせんにかけることに相成っております。そのようにいたしまして、すみやかにこれらの深刻な分村問題の解決をはかっていきたいというふうに
考えておるわけでございます。
第三の
問題点は、これは都道府県の境界を越えての町村
合併、すなわち境界の変更の問題でございます。これらの件数も、非常に潜在しているのもございます。またすでに議決をいたしておるのもございますが、大体全国で二十数件に上るものと
考えております。従来の府県の境界と、その後の経済的な発展とが、必ずしも軌を一にしてないために、この際
合併をするならば、県の境界を踏みこえて、隣の町と
合併したいというふうな意向も見受けられるわけでございますが、これらにつきましては、実は都道府県の一体性というふうな大きい立場の問題も
考えられますし、なお、その住民の真の福祉がどこにあるかという問題も
考えられますので、それらの両面から
考えまして、にわかに決断を下しがたいのでございまするけれども、一まず県内の
合併が完了いたしました時期におきまして、それらの問題を取り上げて参りたいというふうに
考えておるわけでございますが、
手続といたしましては、
自治庁の附属機関になっております新
市町村建設中央審議会という
委員会がございますが、この
委員会に諮問をいたしまして、その意見を聞いた上で、内閣総理大臣が処分し得ることに相なっておるわけでございます。いずれにいたしましても、来年の三月までは県内の
合併を推進いたしまして、いわゆる未
合併町村の解消をはかるということに全力を注いで参りたいと思っておりますので、その後の問題になるかと存じておるわけでございます。
次に、新
市町村建設促進法が、この十月一日から全面的に実施されることに相なったわけでございます。いわば
町村合併促進法からバトンを引き継ぎまして、新
市町村建設促進法がそのあとを受けて、新
市町村の
建設育成という点におきまして、全面的な実施になったということができるかと思うわけでございますが、この新
市町村の
建設は、町村
合併の真の効果をそれによってもたらす
一つのゆえんでもございます。町村
合併をしただけに、規模も大きくなりましたし、まあ人口、面積等も、規模の面では整ったわけでございまするけれども、それだけでは町村
合併の効果というものは期待せられないわけでございまして、今後は、まず第一点といたしましては、新
市町村の住民の生活
水準なり、所得
水準なりの向上が真に具体的に実現されるように、
一つの
計画を定めて参らなければならないと思うのであります。いわば自治
運営の
計画化とでも申しますか、そういった点を強調しなければならないと
考えておりまして、従来この町村
合併に際しまして、関係町村の議決によって定められました新
市町村建設計画というものを持っておるのでございまするけれども、これがいわばその従来の各町村の立場から
考えて策定された
計画でございまして、この
合併をいたしましたあとで振り返って、いわゆる新
市町村の一体的な立場からこれを見ますと、どうも完璧なものではないということがしばしば言われておるわけでございますが、そういった面から
考えまして、新
市町村の真の一体化、あるいは合理化というものをはかるという
一つの目標のために、従来の
計画というものをやり変えるということを
考えております。
法律の用語で申しますと、「調整」という言葉を使っておりますけれども、新
市町村建設計画の調整をやっていただきまして、真に新
市町村の一体的な
運営というものをはかっていく必要があるわけでございます。
第二点は、自治
運営の合理化という点を強調いたしたいと
考えておりますが、これは新
市町村が、地域社会の発展と向上を期するために、総合的な
建設経営を進めていくのでございまするけれども、その
運営を合理的、能率的なものにするためには、要するに最小の
経費で最大の経営効果をあげるということでなければならないと
考えるのでございまするけれども、そのためには、必要な機構の合理化あるいは統合というふうなものをやっていって、先ほど申し上げましたような、住民の福祉向上のための
投資的経費を増加するということをはからなければならないわけでございます。すなわち、新
市町村がいつまでも国の援助を受けてやっていくということでなく、いつかは国の援助なり、都道府県の援助を脱しまして、
ほんとうに
地方自治団体として、みずから
建設を進めていくためには、まずその合理化によって
経費を浮かさなければならないということを
考えておるのでございます。そのためには、たとえば小中学校の統合でございますとか、あるいは支所、出張所等の統廃合、その他各
施設の統廃合をやりまして、それによって浮んで参ります
消費的経費を
投資的経費に振り向けるということがまず第一の段取りではなかろうかというふうに
考えておるわけでございます。これがすなわち自治
運営の合理化の点でございます。
第三の問題としては、
合併をいたしましたけれども、やはり住民が、いわゆる旧町村単位の意識を強く持っておりますことによりまして、いわば一体性の確保がおくれておるという部面が非常に多いわけでございますので、このような面から
考えまして、すみやかに住民の総力をあげて
建設経営にその意欲を振り向けるということが必要になってくるわけでございますので、この住民の
一つの一体化運動、一体性の確保というものにつきまして、住民の啓発運動を徹底するということをはからなければならないと
考えておるわけでございます。で、新
市町村建設に当りまして、実は最も重要なことは、ただいま申し上げましたように、
計画をまず合理化いたしまして、その
計画に従って
建設経営を進めていく。次に第二点は、自治
運営の合理化をいたしまして、積極的にその
経費をそのように振り向けて、みずから自主的に自治
運営を進めていく。最後は、ただいま申し上げましたような、住民自身の一体性の確保の問題であろうかと思うわけであります。従いまして、
自治庁といたしましては、
大蔵省に対しまして、三十一
年度の新
市町村建設にかかわる予算といたしまして、これらの目的を達成するために、六十八億というふうな予算を現在
要求いたしておるわけでございます。
非常になれませんものですから、
説明が固苦しくなりましたが、以上をもちまして、一応の御
説明を終りたいと存じます。