○高橋衛君 ただいま三十二年度の
予算に関連いたしまして、税制の改正の問題が非常に大きく取り上げられておるのであります。その税制の改正に関連いたしまして、結局租税特別
措置法によるところの各種の減免税がやはり整理の対象として一応取り上げられておる。これに関連して実は
中小企業の面から大臣の考えをお伺いいたしたいのでありますが、ただいまの租税特別
措置法によりますと、たとえば産業合理化のための設備機械等の五割増し特別償却、または初年度の半額特別償却とか、その他技術の進歩、
経済の近代化等のために要するところの償却であるとかいうものが相当行われておるのであります。ところが、こういうふうな事柄は、設備投資の非常に盛んな時代には果して必要かどうかという点でありますが、御承知の
通りこの制度ができましたのは、設備投資が非常に緩慢でございまして、むしろ何とか
政府がこれを刺激してでも、ある
程度のイニシアチブを与えて、何とかして設備投資を
促進させなければ日本の
経済の拡大が行われない、というような
趣旨からこういうふうな制度が生まれてきたのであります。幸いにして、昨年度以来日本の設備投資というものは非常に旺盛になって参りました。むしろ、行き過ぎじゃないかという意見が反面に行われるような状態にまで好転して参ったのであります。一方、税負担の公平という見地から見ますると、これらの償却が行われていますのは、ほとんど全部といっていいぐらい大企業でございます。
中小企業にはこれがほとんど均霑されてないというのが
実情でございます。しかも、逆に、
中小企業におけるところの使用されておるところの機械設備の償却の状況はどうであるかと申しますると、大臣等の非常な御努力によりまして、戦前の賠償機械を
中小企業の持っておる古い機械と交換するという
措置をお講じになりました。また、大企業で設備が近代化されますと、今まで大企業で使っておった、まだ
中小企業ならば使えるという機械を
中小企業にどんどん払い下げていくという方法が相当行われておるようでありますが、それらの機械の償却年限はどうなっておるかと申しますと、これがかなり長いのであります。現在の制度によりますと、大体残っておる、つまり、買い受けたときに残った耐用年数の二割増しというのが一応の標準になり、また、そういうふうなものがはっきりしない場合においては、あらためてこれから何年使えるかという年限をきめて耐用年数をきめるという建前になっておるのであります。従って、たとえば大企業において新しい機械を、きわめて性能の高い機械を外国等から輸入いたしまして、そうして今までの機械を出しますると、新しく輸入した機械よりも、
中小企業に払い下げた機械の方が耐用無数がずっと長い。いわば、陳腐化した機械、もうゼロになったはずの機械よりも、新しい機械の方がずっと耐用年数が短いというのが
実績でございます。そういうふうに、
中小企業に対しては非常に辛くなっておる。大企業に対しては非常に甘くなっておる。その点が、産業全体として非常にアンバランスになっておると私は考えざるを得ないのでありますが、ところが、先般通産省かうお出しになった
資料によりますと、依然としてこういうふうな面において相当強いところの御要請をなすっておる。つまり、設備投資その他についての償却年限の割増し等について、非常に強い要請をしておられる。一方、
中小企業の面については負担の軽減をはかるということは期待されておりますけれ
ども、必ずしもその点はそう強い要請のようにも思われない。私は通産行政の全体の方向として、そういうふうな点は、
中小企業、
零細企業、そういうふうな
ほんとうに設備の近代化を要する面にもっと
重点を置いて、今後の税制自体についてもお考えになることが根本的に必要じゃないかと、かように考えるのであります。この点に対するところの大臣の御所見をお伺いいたしたい。