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山本經勝君 関連……。ただいまの田畑議員の
質問に関連しましてちょっと御
質問を申し上げたいんですが、実は非常に具体的な話になって参ります。今の
大臣の御
答弁だと、合理化法による買い上げ
炭鉱を中心にした
労使間の
紛争、それが
争議状態になって戦術がいろいろ問題になる、しかもスト
規制法をその場合にも
適用して、そうして
適用する
必要性をつまり
公共の
福祉といったような立場からあるいは人命に対する危害を与えるという点からの保安放棄というものは違法であるという御解釈のように受けとれるんです。そこで、私は具体的な実例を
一つお話を申し上げてこの際御検討を願ってみたいと思うんです。それは先日この
委員会で申し上げた上添田
炭鉱の実例でございます。このような実例はあまりないと言われておりますが、実は非常に多い。すでに私
どもが直接手がけた問題でも七件ばかりに上っております。そしてその
一つの例は一番最近ですかうなまなましい問題なんです。今月の十三日に一応の
解決を見たという事件。これは今年の八月の八日に買い上げの申請がなされました、福岡の
石炭事業団に対して、鉱業主である三崎友一なる人から……。ところが実はその買い上げ申請したことが組合は知らなかった。ここら辺から
一つよく聞いとっていただきたい。八月の二十三日になって、私
どももどうもそういう傾向があるということで事業団についていろいろ調査をしたところが、事業団の方ですでに実は買い上げ申請やっておりますと、こういうことである。そこで直ちに会社と組合間の交渉が開始された。ここでは労働協約の定めによって事業場を譲渡したりあるいは売ったりあるいは縮小したりする場合には、あらかじめ組合と協議すると、協
議決定すると、こういう約款がございます。ところが、事業主たる三崎友一社長はこの協約を全然守ることがなくて、いきなり組合にこっそりと実は事業団に買い上げ申請をしている。これは
大臣も御承知だろうと思うが、
石炭合理化法による買い上げ申請の場合には、
法律の条文で明確ないわゆる
労使間の合意ということをうたっておりませんが、審議の際にいろいろ問題がありまして、いやしくも事業場を買い上げをしてもらうというのでありますから閉鎖が伴う。ですから夢前の相談はすべきであるという当時通産省並びに労働省も御承知の上で
取扱いが進められている。ところが、そういう形ですから全然組合は知らなかった。ところがたまたま九月の二日になって調査団が現地に参りました。その現地に参りました調査団の動きについて組合は何事かいうので追及をいたしましたところが、実はこの
炭鉱は今度新しく長壁採炭によるカッペを入れるんだ。従って資金が必要である。その資金を突は開銀に融資申し入れをしておったところが、銀行の方からそのために現地の調査に見えたのであると、こういううそを言っている。これは明らかにうそですよ。こういう形で実は問題がすべり出た。その後いろいろ追及して紆余曲折を経たのでありますが、
基本的な違いというのは、この
労使間では、会社側は採算上赤字でやれないから買い上げてもらうというのと、組合側は現在の鉱区をそのままの形においても運搬坑道の整備をすることによって採算はとれるのではないかという主張、さらにもう
一つは鉱区について鉱業法の
規定もありますので、その坑口の条件等を勘案して、その鉱区の整理分合を推進することになっている。これも御承知だろうと思う。そうしますと、そういう立場から隣接鉱区の譲渡を受けるという話し合いが一応行われたのでありますが、その鉱区なるものが再三にわたって盗掘をやるので、実は感情問題があった。その感情問題になりました鉱区というのは、これは古河鉱業です。その鉱区をいわゆる分譲してもらうことに上ってその
企業の存続は可能であるし、しかも坑内状況を改善することによって依然として
継続ができるのみならず、黒字に転換することができるという再建計画をもって、組合員が会社と交渉したのです。ところが、最終段階になりますというと、これがこの社長三崎友一なる人がアメリカに用事ができたというので、十月の八日にアメリカへ行っちゃった。ところがその間の事情に至っては、これは私労働省の方に先日頼んでありますから、詳細な御調査を願っておると思いますが、讃岐
石炭局長をだまし、あるいは
石炭鉱業事業団の田口理事長を偽わり、ほとんど言語に絶したやり方をやって、いわゆる買い上げ促進のために、
自分はアメリカへ逃げて、そうして一方むすこの二十三になる青年、学校をようやく出たばかりの青年をあとがまの社長に据えておいて、そうして重役をくっつけて、万事は社長並びに重役に一任してある、こういうことなんです。こういうような
状態で、そもそも
企業を
継続する経営の努力が払われるならば、当然存続できる
炭鉱、またそういう努力は当然
企業家の責任においてなすべきである。ところがそれに対して、そばから私
どもは、いろいろ
関係方面を動かして鉱区の分譲を中心にした
企業の
継続についての計画をそばからお膳立てをして盛り上げていったところが、社長なる人はアメリカへ飛んでいった、こういうことなんです。そこでこういうような
状態で買い上げの促進がなされる。ところがこういう
状態ですから、申し上げるように
労働者自身ふんまんやるかたもないのです。もうこういうような
状態であるなれば、坑内の
保安要員の提供はお断わりするという話まで一時は出たのでありますが、炭労としては、まあまあそういうことをやったのでは、根も葉もなくなるかもわからないというので、きわめて慎重な
態度をとりました。ところが向うはそうではない。組合が同意をしなければ事業団が買い上げをしないという大きな壁にぶつかったものですから、勢い今度はそれならばやむを得ぬから、わが方は全員八百数十名の鉱員を含めて約九百名に近い人々を全員解雇をして、そうして必要な
保安要員を別個に雇い入れて、そうして
自分の
炭鉱の買い上げの促進をはかるという
態度に出てきました。これは私はいいかげんなことを申し上げているのではない。これはよく労働省自身みずから御調査を願いたい。そういう
状態できたものですから、やむを得ず最後の手段として残ったものは何かということを検討しましたら、もろこうなった場合に、
保安要員の提供をする必要がないじゃないかということが
一つと、さもなくば
労働組合自身の手で
炭鉱を経営するかという重大な段階に追いつめられた。この間ずっと
紛争が続いていることは申すまでもない。そこで、問題は今申し上げたような状況で、たとえば今田畑議員から御
質問があったように、
保安要員をこの際提供しないという
態度をとったなれば、
大臣の
答弁だと、これに対しても当然いわゆる処罰がある。処分がある。あるいはこの法に違反したというかどにおいての問題が取り上げられる。そうしますと、一体これは何を守る
法律であるのかということはおのずから明らかなのではないかと思う。何を守るのですか、これは。そもそも今申し上げるような諸般の
情勢は、
経営者が経営の
企業努力というものを払わずして、そうしてまた、一方的に最終的な
労使の合意を得ないということになれば、基準法の
規定に基くと称して一方的な全員解雇をやる、そうして新たな必要な要員を保安法等に充当するために新たに採用をして、そうして買い上げの期間中をしのいでいく。そうして守られるものは何かといえば、今
大臣の言われた天然資源である
石炭、まず埋蔵量は若干あるわけです。その残った何がしかの埋蔵量を買上
対象としてそろばんをはじき出して金によるのですから、あるいは施設その他を計算の中に入れるのです。ところが、その資源なるものは、一体その場合に何になるのですか、これは私は法的に見ましても重大な問題だと思う。しかもこれは
一つの例じゃない、直方地区におきましてもすでに二
炭鉱出ている、嘉穂に出ている、現在さらに粕屋に出ようとしている、こういう状況を詳細に私は見て参った。ところで今
大臣の言われたような
答弁は全く無責任というよりも金をもうけるためにかあるいは損をせぬようにするために資本家がこういう
法律を悪用して、今のうちに売った方が安全だという
考え方、しかも手続的に誠意を尽さず協約を踏みにじってやる一方的な押しつけ、全員解雇、それに対抗する手段として残ったものは今の
保安要員をも提供せぬ、そして水浸しにしてしまうということか、もしくは
労働者自身の手で生産を管理するかという二つの道しか残されていなかったその他にどういう
方法もない、しかもそれを今言われるように、
大臣の見解によれば、当然これにもスト
規制法が
適用されるのだということになれば、その
法律はいわゆる残炭を買い上げる、施設を買い上げるための単なる個人の利益を擁護する、
炭鉱資本家を擁護する
法律でしかないと断ぜられると思うのですが、私はこの点について
大臣のきわめて明確な懇切な御
説明をいただきたい。