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戸叶武君 私は簡単に三点ほどお伺いします。
その第一点は、この
議長と副
議長の
辞任の
理由、
辞表に書かれている
理由は同一の
理由であります。これは
選挙によって
半数改選が行われた
機会に
辞任するというのでありまして、この
選挙があったという事実に、それを
機会にして
辞任しなければならぬという
理由に基いての私は
行動だと思います。これを起点として
考えまするならば、その
辞表を出す、出さないにかかわらず、少くとも出す動機を作ったときにおいて、すでに道義的に、
自分たちはこの新たに作り上げられた、院全体を
代表する
議長、副
議長としての道義的な資格を欠いているというのに基いての私は
行動だと思う。従って
議長、副
議長は同時にやはり
辞表を
出して、出所進退すべきでありまして、そのことは
国会法の第六条にも、第七条にも、また第二十三条にも、第二十四条にも、
議長、副
議長が同時に
辞任しても一向差し支えないだけのものは備えられていると思うのです。それにもかかわらず、
議長代行という形で
選挙を行うというようなやり方は、それ自体に非常に矛盾があるのではないかという点が一点です。
議長職権によるお手盛り
選挙とも言われるようなやり方をしたということは、
議長を選ぶ上において非常に汚点を残したのじゃないか。
それから第二点は、やはり議会主義の理想は、二大
政党による
責任政治であります。二大
政党になっていない場合、今日の
参議院のような状態におきましても、やはり
与党と野党、おのおの
政策上の争いを堂々とする場合においても、少くとも
議長なり副
議長は、野球におけるアンパイアのような
立場で、どっちにも属していないで、公平な
立場からその
国会運営というものに当らなければならない
立場にあると思うのです。それでこの点に対して
松野さんの
態度というものは、党人として
党籍を離脱しないのは当然じゃないかというのは、これは非常に
松野さんの面目、ここいらが野人
松野鶴平氏の面目躍如としておもしろいですが、非常に古風な党人としての骨がそこに示されていると思う。しかし現在の
参議院のおかれている
立場というものは、議会主義が非常に軌道に乗って、ノーマルな状態で進んでいる状態とは違うと思う。非常に私は
参議院の今日の激突の原因というものは、
議長、副
議長に
責任があるのじゃないか。法案にあるのだというようなことを
寺本さんは言いましたが、
寺本さんは表現が非常に上手ですが、これは絶対事実を正しく観察していない詭弁です。これはやはり
議長、副
議長を一党で独占したという、この
事態というものが、多数横暴の圧力となって無理押しに押しまくろうという力の政治が現われた。これはよその国の場合にもありますが、西ドイツでも、朝の四時まで微兵制度のときに
議論したというけれ
ども、乱闘がなかった。それは反対党をどこまでもアデナウアーが、
立場が違うが納得させようということを最後まで努力し続けたという結果現われているのです。こういう努力がなされないで、いざとなれば、おれの方は
議長、副
議長を持っているのだ、多数の威力でまかり通ろうという一党独裁の
政党に
議長と副
議長が立たされているということが、
松野さんの秘訣で、私はああいう
事態のこないように実に戦ったと、それは事実です。私は世間では
松野さんをずいぶん誤解されて、悪党扱いにしている人があるが、私はそうじゃないと思う。非常に私は
国会における
松野さんを誤解している点もあったが、ほんとうに誠心誠意努力していると思う。私は最後に裏切られた瞬間においても
松野さんは努力した。
松野氏の努力にもかかわらず、党の圧力によってあの悲劇的な
事態を作り上げたというこの事実を、
松野さんは冷静に今見つめなければならないと思うのであります。そういう点において、一党から
議長、副
議長を
出して、そして
参議院を衆
議院以上に、自民党の強引な力の政治を行う場にしようという形においては、私はこの
参議院におけるところの良識というものは観念的に空転するだけであって、事実上において私は踏みにじられていると思う。
それから第三点です。これは
党籍離脱の問題、これは
党籍離脱の問題は、良識をもって誇る
緑風会が主張し、また純無所属の人
たちがこれに応じ、われわれも同調してきた。この二大
政党が理想的に行われたときにおいては、第一党から
議長、第二党から副
議長というような形において、そして
政策上の戦いがありながらも、
お互いに
国会運営は堂々とやろうというときにおいては、
党籍があっても公平無私にやられる。それは完全のものではなくても、現に衆
議院においてなされている実例がある。しかし今の場合においてそれはほとんど不可能である。その
事態を認識した上に、
緑風会が
議長、副
議長はとりあえずこの現段階においては
党籍を離脱して、そして公平な
運営に当ってもらいたい。比較的自我を出すことを慎んでいる
緑風会の遠慮深い良識において、これだけのものを打ち出す勇気を持った。そういう点において、私
たちは自民党を除く
参議院における世論、世間もまたそういうことを望んでいると思う。そういう形から、われわれも党人であり、
社会党から
候補者を出す場合においても
党籍離脱ということはつらいことです。しかしながら、現段階においてはこれはやむを得ないという形において、われわれはこれをとろうとしているのでありますが、私はこの際、
松野さんに最終的に一括して私はこの質問をいたしますが、やはり第一党から
議長、第二党から副
議長ということを出すこともできない、応じない、それで
議長も副
議長も自民党で独占する、しかもなおかつ独占したばかりでなく、
党籍も離脱しない、こういうあり方が
参議院における、今後における
国会運営を公平無私だとか、至公至平だなんと言うけれ
ども、言葉の漢語まじりの表現であって、だれが保証することができるか。過去における間違いは過去における間違いだといって、われわれは今日
反省しなければならない段階に来ているが、二回目にこの波乱が起きたときに
議長、副
議長は腹切ってもその
責任を示してもらいたい。私は死を決して強引な力の政治の上に立つならば別だが、わが国だけではない。今スエズにおける英仏の力でも、あるいはハンガリアにおけるソ連の力でも同じ、それと同じ形において議会に、
参議院に現われているということは、ほんとうの
参議院の組織をなすなら別だ。私は今日のこの世界的な不気味な空気の中に包まれておって、少くとも
参議院がまともに過去にやったあやまちを、この
責任を反対党も謙虚な形で
反省しなければならないときに、その先頭に私は
議長が踏み切ってもらうこと以外に私は
参議院の真の
反省はない。副
議長もまたしかり。
議長、副
議長がほんとうに総ざんげの先頭に立つ決意がなくして、この力の政治を行なっていく、党人
松野鶴平の土性骨には私は感心するけれ
ども、土性骨を持つのみでなく見識を示してもらいたい。これは歴史の上に残るのです。質問をこれで終ります。