○猪俣委員 その
法律関係が明らかになればよろしい。われわれ必要があるときは御出席願うことにいたします。
それから、今訴訟遅延その他のことにつきましていろいろ問題があります。これは確かに制度からもきております。制度からきておることに対しましては、これは国会なりあるいは内閣なりに
責任があるので、ただ
裁判所を責めても始まらぬと思う。確かに事件数に比較して判事も
検事も私は少いと思います。そうして法務省とか
裁判所というものは予算をとるのがはなはだ下手で予算が少い、これは確かだと思う。そこからくるいろいろな支障のあることもわれわれは認めざるを得ません。われわれは実際
裁判所に出入りいたしましてそれは痛感いたします。さようなことは
裁判所当局を責めるよりもわれわれ自身が反省しなければならぬ問題だと思います。いま
一つは、そういう
法律制度、予算、そういうこと以外に、どうも裁判官それ自体が弛緩しているような傾向があるのではなかろうか、
法律とか予算ということからくることは
裁判所の威信に直接
関係しないことでありますが、裁判官の精神の弛緩からいろいろなことが起るといたしますと、これは
裁判所それ自身の威信に
関係してくる。どうも近ごろ「真昼の暗黒」というような映画が出たが、あれも私
どもあまり感心しないと思っております。ああいう
相当の誤解を与えるような映画が大いに民衆に歓迎せられる。それからどうも何となしに裁判に関しまするいろいろの記事が新聞に出てくるように相なりました。私
ども司法行政の一端に参画いたしておる者といたしましてはなはだ遺憾にたえない点がありますが、これは申し上げるまでもなく
裁判所当局においても御存じのことだと思うのです。今
法律時報の十二月号に掲げてありますのを見ましても、東京
地方裁判所の判事の慰安旅行中二人の容疑者が全く
法律上の根拠なしに十二時間以上も不当の拘置を受けた、こういう事件、あるいは無効の
法律で罰金刑を課したという事件、あるいは二重罰金にして非常上告が行われた、あるいは判決確定前に刑を執行してしまった、このほかなお、この
法律時報にございませんが、読売新聞の報ずるところによると、これは和歌山
裁判所でありますが、
裁判所に裁判官が酒に酔っぱらって出てそうして刑法に規定のない重刑を言い渡した。これな
どもとほうもないことだと思う。こういうことが新聞にだんだん発表せられる。実に近ごろおびただしい事例があると思う。私はそれらの新聞の切り抜きを全部持っております。読んでみると、どうも予算の
関係だけじゃない。
法律制度の
関係だけじゃないですよ。予算や
法律制度の
関係で、酒に酔っぱらってよいということは書いてないはずです。一体そういう裁判官自身が執務において弛緩している傾向がある。そこで、一体、こういうことに対して、私
どもひざを交えて話をするその相手はやはり最高
裁判所長官でなければならぬので、私
どもはその意味において出席を要求したのでありますが、おいでなかった。
そこでこの
一つ一つについて私はお尋ねしたいと思ったのですが、こういう
原因に関しまして、これは一体、最高の
責任にある者も、下の前線にある人
たちも、ともに多少精神が弛緩しているか、あるいは何かどうも奇妙なことが官庁全体にあるんじゃなかろうか。いろいろほかの経済
関係の官庁にスキャンダルがたくさんできてくる。そこで、私はこの点につきまして
法務大臣にちょっとお尋ねしたいのです。これはちょっとお尋ねしにくいことでありますけれ
ども、これもジャーナリズムに載った問題でありますので、ちょっとお尋ねしたいのであります。それは本年の十月八日の週刊新潮に出ております「女の園と
牧野法相」という問題であります。これは、当
法務委員会におきまして、精神衛生法に関しまして
日本女子大学の教授でありました東佐誉子という女史が精神病なりとして精神病院に不当監禁させられた、そこで不当監禁事件として取り上げ、当
法務委員会では結論を出しました。そこで、この事件について熱心に
調査をいたしました。あなたの管轄下の
人権擁護局では、この国会における結論に従いまして
日本女子大学に対しまして警告を発したのであります。それは、東京法務
局長斎藤二郎氏の名前で、どうも女子大学のやった行為は
人権、自由に対する侵犯がある、注意すべきであるという勧告をした。そうすると、
日本女子大学ではあなたのところへ訴えてきた。そして、ここに報じていることが真実であるとすると、あなたはこういうことを言うた。「勧告はまだ
手続きがすんでいなかった。これを伝達し、また発表したのはイカンだ。残念ながら、あれを取り消すことはできないが、国会
法務委員会でも
人権擁護局長も、あんなにまでする必要はなかったといっている。以上のようなわけで、
善後策としては、今、当事者(勧告を出した係)を解職させることは、かえって世間を騒がせるのでせぬ方がよいと決定したが、内部としてやりすぎに対する戒告をする。
大臣として学校に対してイカンの意を表し、後日、何かの償いをする」とあなたはわびを入れている。これは真実であるかどうか、その真相を御発表願いたい。