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辻原委員 一部分でも増額すれば
ベース・
アップだという観念、これは淺井総裁が出される新説でありまするが、この公務員法に規定しておることは、少くとも物価の上昇、諸般の経済的な変動ということが基礎になっております。そうして主として従来おとりになった方法は、民間給与平均とのにらみ合せによる五%というのは私は少くとも全体——給与というのは全般に総括して渡されるものではなく、個人々々の所得になるものであります。従って個人個人の所得がそれに対応する民間賃金と比較して五%内外の変動がある、当然それに平均化しなければならぬというふうなことが具体的な前提になって
ベース・
アップというものが行われると思う。そういう観点で私は申し上げておる。ところが今回の人事院勧告の内容は決してそうではない。ある等級のグレードに属する人々にはかなりの給与の引き上げが調整によって行われるかわかりませんけれ
ども、しかしそれに比して非常に上り方の少い者がある。場合によっては体系上不利を招く
人たちがある。これは私は妥当なる
ベース・
アップということは言い得ないと思う。しかしこれは議論になりますので、そこでいま
一つ次の問題について伺いますが、あなたのお出しになった勧告書によりますると、少くとも民間給与賃金との間に一一%の差がある、公務員が一一%低い。さらにこの七月の勧告の特徴は、申し上げるまでもなく従来の勧告とは非常に性格が違っておる。従来のは公務員を総体にして民間賃金と比較された。ところが今度は公務員相互間における比較ということを
中心に置いて、そうして財源の関係か何かは知りませんけれ
ども、ともかく国家公務員だけを
中心にしてこの調整を行おうというところに私は非常に問題があると思う。そうして国家公務員と
地方公務員と対比するに国家公務員が低い。民間賃金と比較するのに一一%の差がある。従って国家公務員はこれだけの調整を行う必要があるという、そういう結論を出されておる。ところがこの七月の勧告によると一一%であるが、本年の八月の総理府統計等によりますれば、全産業の平均賃金はすでにまた変動しております。これは別に統計を見るまでもなく、最近の経済界の状況を見れば私は一目瞭然だと思う。年末
手当の支給状況が、
相当ブームに乗っておる産業では六カ月、七カ月ということがいわれておる、課長、係長クラスになると手取り十万ないし二十万ということがきのうあたりの新聞に出ておった。そういうところから推断してみても、非常に大きな差が現われておるということは言うまでもないところであります。統計の一資料によりましても、平均賃金は一万六千八百三円、現行
ベースの当時採用されました平均賃金は一万四千三百七十円であったように私は記録によって知りましたが、これに比較いたしますると、その差が約二千四百三十円、上昇率は一七%であります。だからあの当時政府において直ちに勧告が実施されておるならば、一応人事院勧告の妥当性ということも、その性格は別といたしましてあったであろう。ところがこれからこれをかりに実施していくということになれば、私は前提にすでに大きな開きが出てきている、前提に一一%と一七%の開きが出ていると思います。すでに前提が誤まっておるということが言えると思うのであります。これが
一つ。
いま
一つは、あなたが対比された、特に勧告書の中で強調されておるのでありますが、それは
地方公務員が高い、こう言っている。これは人事院の
考え方もそうでありますし、きょう大蔵省もお見えになっておると思いますが、大蔵省もこの点を従来非常に強調されておる。私は二年ほど前にこの問題について
相当論争を重ねたことがありますが、非常に高い、当時四百円から五百円高いということを主張された。そういうような高いと主張される側の意見を採用されて、人事院勧告というものが作られておる。ところが現在一体それはどうかということを再検討してみなければならない。これはあとで自治庁にも伺いますが、御
承知のように、ここ数年来の
地方財政の赤字、同時に昨年から施行されております再建法、これに基いて
相当人件費が
地方においては締められております。昨
日本会議でわが党受田議員の
質問に、太田自治庁長官は再建法、赤字のしわ寄せは決して給与、いわゆる人件費にきていないということを断言されておりますが、それは私は大きな誤まりであると思う。その証拠にここに資料を持っておりますが、各再建
団体の計画を見てみますると、その主たる再建計画というものはすべて人件費にあります。なかんずく数の多い
教職員に対する定数のストップ、あるいは自然減、不採用、極端な場合には首切り、こういうものが計画書に全部載っかって、それを着々実行しておるのであります。同時に一面現われていることは、昇給昇格のストップないし延長であります。こういう形で、たとえば一号俸というものが昇給が行われなかった場合、大体平均五百円
程度でありましょう。そういたしますと、直ちに一号俸飛ばされたということにおいては、五百円差が縮まるのであります。ですから大蔵省が主張した国公と地公と間に五百円という給与差があるということでありましたならば、すでにその五百円の差は縮まっておると
考えなければならない。それが詳細を申し上げることはできませんが、一回や二回ではない。かなり
相当回数にわたって昇給がストップされておるところもあります。こういう実情を詳しく精査されたならば、これは国家公務員と
地方公務員との間に大きな給与差があろうとは、今日の段階で
考えられない。この点について、一体人事院はその後の状況を今日把握されておるかどうか、把握されておるとするならば、そこに何か勧告そのものに対する再検討が考慮されていいと私は思いまするが、総裁はどういうふうに
考えておられるか。この点
一つ大蔵省、それから人事院、それから
文部大臣にも伺っておきたいと思う。
文部大臣も政府を
代表される閣僚の一員とされまして、ともかく人事院勧告を尊重する、それを
中心に検討しておるのだということを言われるのでありますが、尊重される限り、そういうようなあなたが所管される
教職員と、それから国家公務員との間に大きな差等があるということを認めておられなければならぬ。それをお認めになっておるのか、それとも最近の状態からの、こういうふうな
地方における給与の非常な低下ということから、その差について何がしかの検討が加えられておるのか、そういう点について
一つお
考えを承わっておきたいと思う。