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1956-12-05 第25回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月五日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    川島正次郎君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    中山 榮一君       西村 直己君    古川 丈吉君       保利  茂君    坊  秀男君       前田房之助君    有馬 輝武君       井上 良二君    石山 權作君       木原津與志君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横路 節雄君    横山 利秋君       石野 久男君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  亀岡 康夫君         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (管財局長)  正示啓次郎君  委員外出席者         人事院事務官         (職員局職員課         長)      中村 一成君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    白石 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  東条 猛猪君         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      福田 久男君         日本専売公社職         員部長     三枝 正勝君         日本専売公社職         員部給与課長  白山 広治君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 十二月四日  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八号)  船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九号) 同日  揮発油税率引上げ反対に関する請願田中利勝  君紹介)(第五〇六号)  同(愛知揆一君紹介)(第六四五号)  同(山口丈太郎紹介)(第六四六号)  国立たばこ試験場設置に関する請願平田ヒデ  君紹介)(第五〇七号)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部改正に  関する請願内藤友明紹介)(第六二一号)  揮発油税率引上げ反対等に関する請願愛知揆  一君紹介)(第六四四号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査申出に関する件  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八号)  船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九号)  金融に関する件  国有財産に関する件  請願    一 農業所得税の減免に関する請願原茂      君紹介)(第四三号)    二 強制借換外貨債上の権利復活に関する      請願小西寅松紹介)(第一三一      号)    三 在外財産問題処理に関する請願小坂      善太郎紹介)(第一三二号)    四 国民金融公庫貸付資金増額に関する請      願(小坂善太郎紹介)(第一三三      号)    五 たばこ耕作面積減反反対請願(松澤      雄藏君紹介)(第一三九号)    六 ぶどう酒醸造に対する酒造税軽減に関      する請願松浦東介紹介)(第一四      〇号)    七 国民金融公庫資金増額に関する請願(      田中利勝紹介)(第一七六号)    八 揮発油税率引上げ反対に関する請願(      田中武夫紹介)(第一七七号)    九 同(山下榮二紹介)(第一七八号)   一〇 揮発油税率引上げ反対等に関する請願      (田中利勝紹介)(第一七九号)   一一 こと及び三弦に対する物品税軽減の請      願(石山權作君紹介)(第二三二号)   一二 揮発油税率引上げ反対に関する請願(      五島虎雄紹介)(第二三四号)   一三 同外一件(山口丈太郎紹介)(第二      八七号)   一四 熱海市観光事業振興計画に伴う国有財      産払い下げに関する請願畠山鶴吉君      紹介)(第二四九号)   一五 国民金融公庫財政投融資資金増額に      関する請願森三樹二君紹介)(第二      七三号)   一六 金融機関指導監督に関する請願(森      三樹二君紹介)(第二七四号)   一七 貸金業利子引下げに関する請願(森      三樹二君紹介)(第二七五号)   一八 囲碁、将棋具に対する物品税軽減に関      する請願黒金泰美紹介)(第三一      八号)   一九 積雪寒冷地帯課税適正化に関する請      願(渡邊良夫紹介)(第三一九号)   二〇 青色申告制度運営改善に関する請願      (森三樹二君紹介)(第三二〇号)   二一 零細企業者に対する融資の請願(森三      樹二君紹介)(第三二一号)   二二 質屋の利子引下げ等に関する請願(森      三樹二君紹介)(第三二二号)   二三 農業課税に関する請願田中武夫君紹      介)(第三二三号)   二四 機械漉和紙物品税課税反対請願(      勝間田清一紹介)(第三二四号)   二五 揮発油税の使途に関する請願森三樹      二君紹介)(第三二五号)   二六 機械漉和紙物品税課税反対請願(      小笠公韶君紹介)(第四一三号)   二七 揮発油税率引上げ反対に関する請願外      一件(五島虎雄紹介)(第四一四      号)   二八 国立たばこ試験場設置に関する請願(      松井政吉紹介)(第四三九号)   二九 国民金融公庫資金増額に関する請願(      井出一太郎紹介)(第四六七号)   三〇 揮発油税率引上げ反対に関する請願(      田中利勝紹介)(第五〇六号)   三一 国立たばこ試験場設置に関する請願(      平田ヒデ紹介)(第五〇七号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議開きます。  閉会審査の件についてお諮りいたします。御承知通り委員会は特に議院会議付託された案件についてのみ閉会中も審査ができることとなっておりますので、当委員会におきましては、次の案件について閉会中も審査ができ得るように、議長に対し申し出をいたしておきたいと存じます。すなわち物品税法を廃止する法律案酒税法の一部を改正する法律案、外資に関する法律の一部を改正する法律案銀行法の一部を改正する法律案昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案北海直における国有魚田開発施設等譲与等に関する法律案接収貴金属等処理に関する法律案財政法の一部を改正する法律案国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案会計法の一部を改正する法律案税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件、国有財産に関する件、専売事業に関する件、印刷事業に関する件、造幣事業に関する件、補助金等にかかる予算執行適正化に関する件、以上の通りであります。これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  4. 松原喜之次

    松原委員長 次に閉会中における小委員会の存続についてお諮りいたします。ただいま御決定を願いました閉会審査申し出の件が正式に当委員会付託になりました際には、今会期中において設置いたしました税制に関する小委員会金融に関する小委員会国有財産に関する小委員会専売事業に関する小委員会は、閉会中もなお存続せしめ、各小委員及び小委員長従前通りとして、それぞれ調査を進めることにいたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なおこの場合の小委員並びに小委員長補欠選任につきましては、会期中と同様に、適宜委員長よりご指名することに御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  7. 松原喜之次

    松原委員長 これより請願審査に入ります。  当委員会付託となりました請願は、本日の請願日程にあります通り三十一件であります。  この際本日の請願日程全部を議題といたします。
  8. 松原喜之次

    松原委員長 お諮りいたします。これら各請願の趣旨は、すでに配付せられております文書表により御承知のことと存じますので、紹介議員説明並びに政府意見聴取を省略し、直ちにその採否決定いたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採否決定をいたします。先ほどの理事会決定いたしました通り、本日の請願日程全部を議院会議に付し、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  この際お諮りいたしますが、ただいま議決いたしました各請願報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長にお一任願っておきたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  12. 松原喜之次

    松原委員長 昨四日党委員会審査付託されました内閣提出にかかる厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案及び船員保険特別会計法の一部を改正する法律案の両法律案一括議題として審査に入ります。  まず政府側より順次提案理由説明を聴取いたします。山手政務次官
  13. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  まず厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府管掌健康保険は、医療保険の中核をなすものでありますが、近年収支均衡を失し、その運営の基盤を脅かされている状況でありますので、その運営を正常化し、その健全な発達をはかるため、一部負担金範囲の拡張、標準報酬改訂等根本的対策を講ずるとともに、国庫におきましても、予算範囲内において、当該事業執行に要する費用の一部を補助することとし、別途健康保険法の一部を改正する法律案について御審議を願うことになっておりますが、右の措置に伴いまして、厚生保険特別会計健康勘定歳入一般会計からの受入金という事項を加えようとするものでございます。  次に、第二十二回国会における厚生保険特別会計法の一部改正により、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度一般会計から十億円を限度として、厚生保険特別会計健康勘定へ繰り入れることとなったのでありますが、その三十一年度以降分は、借入金償還財源として繰り入れられるものでありまして、その借入金の返済を昭和三十二年度以降に繰り延べることとしたことに伴い、一般会計からの繰入金も昭和三十二年度以降に繰り延べることにいたしたいと存じまして、その規定改正をはかっているのであります。  次に、健康保険事業日雇労働者健康保険事業及び厚生年金保険事業事務取扱いに関し必要な経費に充てるため、健康勘定日雇健康勘定及び年金勘定の各積立金のうち、業務勘定から組み入れた金額限度として予算の定める金額業務勘定へ繰り入れることができることとするため所要規定を設けようとするものでございます。  次に船員保険特別会計法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  船員保険事業のうち療養給付等部門におきましては、政府管掌健康保険と同様近年その収支均衡を失する状況にありますので、その運営を正常化し、その健全な発達をはかるため、医療費の一部負担制採用保険料率引き上げ等根本的対策を講ずるとともに、国庫においても、船員法規定による災害補償に相当する保険給付を除く療養給付等部門において補助する措置を講ずることとし、別途船員保険法の一部を改正する法律案について御審議を願うことになっておりまするが、右の措置に伴いまして船員保険特別会計法一般会計からの受入金精算規定等について所要改正を行おうとするものであります。  なお、第二十二回国会における船員保険特別会計法の一部改正により、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度一般会計から二千五百万円を限度として船員保険特別会計へ繰り入れることとなったのでありますが、健康保険の例に準じ、昭和三十一年度以降分は、昭和三十二年度以降に繰り延べることにいたしたいと存じまして、その規定改正をはかっているものであります。  以上がこの二法律案を提出した理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  14. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。両法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  15. 松原喜之次

    松原委員長 次に金融に関する件について質疑を許します。横錢君
  16. 横錢重吉

    横錢委員 銀行局長質問をいたします。前の国会で発足をしたところの金融制度調査会は、その後どういうふうな経過をたどっておりますか、この際伺っておきたいと思います。
  17. 東条猛猪

    東条説明員 金融制度調査会は、さきの国会法律案を御決定願いましたので、七月の二日に第一回の会合が行われましてから、ただいままでに九回開いております。明六日に第十回目を開く予定にいたしております。最初三回にわたりまして、現在の金融制度においてどういう問題があろうかという問題点検討いたしました。その結果、さしあたりまして、まず通貨調節手段といたしまして、いわゆる支払い準備制度採用可否の問題を取り上げる、それから引き続きまして預金者保護制度の問題を取り上げるということに、この三回にわたりまする審議の結果、そういう問題の取り上げ方の順序を決定に相なったわけであります。それから現在まで支払い準備制度につきまして四回、それから預金者保護の問題につきまして二回会議が開かれております。先ほどもちょっと申し上げましたが、明六日には、 この預金者保護の問題につきましてさらにもう一回審議を重ねてもらいたいと思っております。いわゆる支払い準備制度の問題につきましては、前回の会議で一応小委員会を作りまして、この支払い準備制度採用可否、あるいは採用するといたしました場合の制度内容等について、その小委員会で問題を取り上げようというような運びに相なっております。概観いたしてみますと、月二回あるいは三回、大体月二回程度会合が行われておる次第でございます。
  18. 横錢重吉

    横錢委員 預金者保護対策の重点は一体どういうふうなところに立てられているのですか。特にこの問題では、中小企業金融機関日銀との結びつきというようなことについては検討されておるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  19. 東条猛猪

    東条説明員 ただいままでのところ、預金者保護に関して主として審議いたされました内容は、大体三つに分れるかと思います。第一の問題は、相互銀行あるいは信用金庫経営上いろいろ困難な事態を生じました場合の再建資金の供給につきましては、たとえば相互銀行につきましては、相互保障協定発動による、あるいは信用金庫につきましては、振興預金制度あるいは振興資金制度によるということに相なっておりまするが、そういう現在の制度で十分かどうかということが問題の第一でございます。  それから第二の問題といたしまして、これははなはだ不祥な事態でありまして、申し上げるのもどうかと思いまするが、仮定の問題といたしまして、金融機関が破綻いたしましたような場合に、何か一定額までの小さい預金についてはその支払い保障できるような、金融機関相互間の保障基金のようなものを作ることはどうであろうかということが第二の問題であります。  第三の問題につきましては、申し上げるまでもなく金融機関経営はその経営者にかかるわけでありますので、現在の銀行法、あるいは相互銀行法、あるいは信用金庫法で、経営者経営態勢が望ましくない場合に、それの立て直しということに現在の規定で不十分な点がありはしないか。またさらにこの監督の問題に関連いたしまして、いわゆる導入預金の取締りについて何か立法的の措置が必要ではなかろうかというようなことが、実はただいままでの調査会審議中心題目でございまして、お話日本銀行とたとえば相互銀行との間の取引関係ということは、調査会におきましては、ただいままで大きな問題としては取り上げられていないという実情でございます。
  20. 横錢重吉

    横錢委員 今御説明のあった預金者保護に対する諸制度検討というものは、今度事件の起った問題にかんがみてもこれは当然やらなければならない問題である、こういうふうに見られるわけであります。しかしただこれでそれならば十分かというならば、これではまだ十分ではない。特に今日の一般銀行は、もうすでに内容、組織が充実して、政府日銀等てこ入れがなくとも十分に一本立ちのできる態勢ができ上ってきておる。しかしながら二十六年度発足したところの中小企業金融機関である相銀信金というものは、まだまだ独立をして伸びていくまでには幾多の落後者が出るということも覚悟しなければならない現状だと思う。これが現に一、二現われておるのであって、従ってこれに対する対策というものは、もっと積極的な観点からこれが行われなければならないと思う。特に預金者保護という面についても、預金者保護の前に預金者の優遇ということがある。銀行の場合には全額を貸し出しに回すことができるが、中小企業金融機関の場合には、準備金を三割程度は削減をしておいて、他の七割の金額をもって預金者に対するところの貸し出しを行わなければならない。こういうようなハンディキャップがあるのであって、従ってこの観点から、この前のときにも、ぜひこれは相互銀行に対しても、一部は開いておるが、さらにもっと全面的に開いていくべきである、全面的にできないならば、その優良の銀行の等差を見て漸次道をつけていけ、こういうふうなことで質問をしたわけですが、その後、これらはそのときの善処をするという答弁にもかかわらず何ら善処がされていない、こういうような現状なのであって、これは国会における答弁とその後における行動とが非常に食い違っておるというように私どもは受けるのであるが、これらの点についてどう考えておられるか、承わっておきたい。
  21. 東条猛猪

    東条説明員 相互銀行信用金庫について、いろいろな事態に対応して積極的な資金供与の道を開くべきではなかろうかという点が、お話の前提と申しますか、中心になるわけでありますが、今申し上げましたような、何か相互保障基金を作って再建資金発動という態勢が望ましいのではないかということも、今仰せになりましたことの一つのお答えになろうかと思いますが、中央銀行信用取引、あるいは契約を結びます場合におきましては、お話のように、もとより相手方金融機関の利便と申しますか、状況も考うべきことは当然でありますが、同時に中央銀行としての建前上、やはり相当信用力といいますか、力が強い、つまり中央銀行取引相手方として適格な要件を備えておるということが、中央銀行取引相手方になります場合においては要求せられて参ることであろうと思います。その意味におきまして、相互銀行にいたしましても、まだ一部の銀行しか日本銀行との間の契約が開かれておらないということは事実でありまして、日本銀行におきましても、もちろん相手の相互銀行信用力というものを十分審査の上で、この問題につきましてはかねていろいろと検討を進めておるということは申し上げられると思います。それから、的確な計数を記憶いたしませんで申し上げては恐縮でありますが、預金貸し出しの預貸率におきましては、一般銀行相互銀行との間に、今御指摘のございましたような非常な大幅の開きがあったかどうか、実際の計数ではそれほどの開きがなかったのではないかと思います。これは後刻また的確な数字をもちましてお答え申し上げます。
  22. 横錢重吉

    横錢委員 この点は前会も大臣に伺っておるので、今度もまた大臣に伺わなければならないと考えておるのであるが、当面のあなたとしての考え方が今のような点では、私としては非常に不十分である、こういうふうに考えておるわけです。今おっしゃられた、信金相銀等資金制度を作って同業関係が力を合せて銀行の破綻を防ぐ、このことは当然なされるべきことであって、何も政府が指導しなくてもやるべき問題であり、また政府との関係がなくてもできるところの問題である。しかし政府がほんとうに銀行に対しててこ入れをし、これを健全に育てていくというからには、何らかのもっと強力な手が打たれなければいけない、こういうふうに思う。この点では単なる資金制度をあっせんして、これを育てるというような同業共済制度のような考え方ではなくて、もっと中央銀行を活用し、中央銀行てこ入れにおいて政府がこれを育てていく、こういうふうな態勢をとるべきだと思う。このためには日銀との取引国庫歳入代理店、こういうようなものを開いていくべきである。こういうふうなことをしてこそ、初めて中小企業関係金融機関というものを健全に育てていくことができるし、また要望されるところの利子の引き下げ、あるいはまた資金量の充実というようなこともできるのである。従ってこの面からさらに一つ検討を加えていただきたい。このことを要望いたしておきます。  それから次に具体的な問題で伺いますが、千葉銀行については、従来からいろいろの批判あるいはうわさが流布されておったのでありまするが、今度具体的に株主総会における告発、告訴の問題等をめぐって、刑事事件等が起っておるわけです。これに対して、当局はどの程度お聞きになっておられますか、承わりたいと思います。
  23. 東条猛猪

    東条説明員 千葉銀行につきまして、何か具体的にうまくいってない事態があるように聞いておるが、どういうように調査しておるか、こういうお言葉であります。私ども承知いたしておりますところでは、一つの問題は、目下公正取引委員会調査が行われておりますところの北海道にありまする鉱山株券の問題が一つございます。つまり具体的な、一つ鉱山経営を全部の経営者と話し合いの上で引き受けた人が千葉銀行と特別な関係にありはしないか、またその会社の株券の移転の事実がいわゆる不公正取引に該当するのではないかという問題でございます。この問題につきましては、私どもも一応銀行その他関係の方から、その間の事情は聴取いたしまして、事実は承知いたしておるつもりであります。この問題につきましては、今公正取引委員会でいろいろ調査をいたしておりますので、その結果を待ちたいと考えております。  それからいま一つ具体的な案件といたしましては、特定株主との間に紛争が起りまして、その特定の人と銀行責任者との間に刑事あるいは民事にわたるいろいろの紛争が生じておる。たとえば名誉棄損であるとか、あるいは銀行経営者として適当でないというような主張であるとか、そういう紛争が起っておる。こちらの方は一般の裁判所の方の問題に移っておる、かように承知いたしております。
  24. 横錢重吉

    横錢委員 最近において千葉銀行検査を行なっておりますか。
  25. 東条猛猪

    東条説明員 三十年の一、二月ごろに行なっております。正確な日取りは、もし誤まっておりましたならば後刻御訂正申し上げます。
  26. 横錢重吉

    横錢委員 その行なった結果と、それから銀行株主総会に端を発して、一株主が一億円以上の不良貸付先について、約六十六億円余りの内容を暴露してこれを配っておるが、その問題との関連性、あるいは真実性、これについてほどういうふうにお考えになっておりますか。
  27. 東条猛猪

    東条説明員 特定千葉銀行という銀行経営内容の問題でございますので、あまり具体的に申し上げますことは、この席では御容赦をいただきたいと思いますが、千葉銀行は、御承知のように銀行としての経歴の相当深い銀行です。そうして相当長く事業を行なっておりますので、もとより貸し出しの中に全然不良貸し出しがないということは申し上げかねまするけれども、あの銀行経営のやり方といたしまして、貸付に当っては、見合いの担保を相当厳格に要求をする、そういう経営の方式をとっておるのでございます。従いまして、ある程度特定貸し出しが固定したといたしましても、その担保物の処分ができるならば、欠損を生ずるに至らないというやり方をとっておりますので、今横錢委員の仰せになりました、いわゆる投書と申しますか、一株主の書類の内容を実は十分承知をいたしませんが、銀行の資産自体の内容につきましては、御心配をいただく必要はないように思っております。
  28. 横錢重吉

    横錢委員 株主総会でもってこういうような内容が暴露されたということ自体に、相当問題があると思うのです。銀行局の方がこれを御存じないとするならば、これは別といたしまして、現実には県下広く印刷物をもって配られておる。そうして、それには具体的に幾ら幾らを貸し付けて、幾らだけは担保があるが、幾らは無担保である、その内容は非常に悪いとかよいとかと批判が加えられておる。こういうような事態は、大体銀行の内部から資料が出なければできる問題ではないのです。外部からはうかがい知ることのできない詳細なるデータに基いて、資料が配られておる。こういうような問題に対して、銀行局は一体どういうようにお考えになっておるのか、一つ御意見を伺っておきたいと思います。
  29. 東条猛猪

    東条説明員 この書類の内容承知いたしませんが、千葉銀行貸し出し内容、あるいは資産の状況は、ただいま申し上げました通りでございます。今お話しのように、もし相当銀行の内部に精通したものでなければ発表できないような内容がありといたしますれば、またそれが経営者の、何と申しますか、部内不統制、あるいは不手ぎわのしからしめるところでありまするならば、私といたしましても遺憾に存じます。
  30. 横錢重吉

    横錢委員 先ほどの銀行局長答弁の中で、民事、刑事の問題が株主との間に起っておるということは、現在その通りであって、従ってこれらの問題に対して、パンフレットを配った者は恐喝という名目のもとに今日逮捕されておる。その反面に、銀行の方はほとんど何らの捜査、あるいは調査、そういうふうなものは行われておらない。これが一般の場合ならば、銀行の信用にかかわる問題だから、そのまま過ぎるのだけれども千葉銀行の場合は、ややもすると世上非常なうわさが流れておるのであって、従ってこの事件に関しては、非常に片手落ちの捜査が行われておるという非難が高いわけです。また同時に、この問題が起っておるのに、大蔵省としても、検査を三十年の一月ごろやったままで、今日行なっていないということも、これまた検査当局としたならば少しく怠慢のそしりもあるのではないか、こういうふうに見るわけです。この問題をめぐっては、現実に検察庁の発表だけでも、事件のもみ消しのために八百万円の金が動いておる。この八百万円の金が動いたのに対しても、何ら不正だとか、あるいはまたそういうような事実だとか、こういうふうな点がなければ、八百万円の金がもみ消しに動くということ自体も信じられないのであって、従ってこの辺のところに対しては、外部から見るものとしては、何のためにこういう金が動いたのか不思議に思っておるわけだが、これらの点に関しては、どういうふうにお聞きになっておりますか。
  31. 東条猛猪

    東条説明員 最初にお触れになりました、片方の当事者が警察当局と申しますか、検察当局の方で逮捕されておる。ところが銀行の方については、比較的寛大な取扱いを受けているのではなかろうかという御趣旨でありましたが、私ども承知しているところによりますと、片方の当事者が検察当局の方で逮捕されましたのは、この千葉銀行事件関係でそういうことになったのではなくて、別個の事件のために逮捕を受けたというふうに承知をいたしております。  それから八百万円の授受の問題についてでありますが、私ども銀行から聞いておるところによりますと、今御指摘のように、八百万円が銀行から出ておるというふうには実は聞いておりません。今のお話を伺いますと、何か銀行が、内容に不祥事件がありそうなので、特定の人に対して八百万円の金を贈与したというような御趣旨に受け取れたのでありますが、私ども銀行の当事者から聞いたところによりますと、銀行は何ら贈与しておらぬというふうに聞いております。
  32. 横錢重吉

    横錢委員 銀行の場合には、全国的な銀行と地方的な銀行と、いろいろ性格の上には差があると思うのです。千葉銀行の場合には千葉県と東京都、この方面のローカル性をやはり持っておると思うのですが、こういうような銀行に対する当局の指導、そのあり方というものが、先ほどお話のあった北海道の阿寒の硫黄鉱山に対して相当巨額の金を融資をして、これが焦げついておる。しかもそれが、全株式を銀行が持っておるというようなことから公正取引にもかかっておる。こういうような銀行運営のあり方に対しては、どういうふうな考え方を持っておるのか、また適当なものと考えておるかどうか、この点を承わりたい。
  33. 東条猛猪

    東条説明員 地方銀行は、やはり地方産業の金融のために業務をし努力をいたすのが、本来の務めであると思います。しかし事情によりましては、支店網も相当持っておることでもありますので、千葉県の銀行が、ほかの地域にありますところの事業に融資をいたすことも責むべきではないと思います。従いまして、原則的には、あくまでも当該地方の産業の育成発展のために努力をするのが、私は地方銀行の本来の使命であろうと思います。問題の、阿寒に鉱山のございます日本特殊鉱業株式会社、最近名前が変っておるようでありますが、これについての融資の問題でありますけれども、これはやはり千葉銀行として多額の融資をした、その融資の回収を順便ならしめるために、従来の経営者ではどうも安心してまかせていけない。そこで、前の経営者の依頼に応じまして新しい経営者が乗り出して、幸い業績もやや好転を見るに至ったというのがこの件の実情でありまして、問題は、そういう前の経営者と新しい経営者との関係、それから千葉銀行が再建をいたしますためにそういう経営者の交代、ひいては株券の名義書換ということにももちろん関心を持っておった。そこに千葉銀行としての行き過ぎがあったかどうかということが、判断の分れ目であろうと思います。相当具体的な事実の確認を必要とする案件であるというふうに私は考えますので、公正取引委員会調査の進行と十分にらみ合せて、本件につきましては、大蔵省といたしましても考えていきたい、こう考えております。
  34. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、なお大蔵大臣に対して私はさらにこの問題を伺いたい、こういうふうに考えておりますので、この程度でこの問題は打ち切りますが、最後に一つだけ伺っておくのは、そうしますと、今当局としては、聞いておる限りにおいては、千葉銀行経営内容については大体健全である、それから起っておる問題については違法、あるいは違反しておる点はない、こういうふうに局長としては考えておられるかどうか、この点をさらに承わっておきたい。
  35. 東条猛猪

    東条説明員 先ほども申し上げましたように、相当事業経歴の長い銀行でありますので、多くの貸付の中には、いわゆる固定的な貸付のありますことは、これは事実でありまするけれども銀行のやり方といたしましては、十分担保をとるという経営のいたし方をいたしておりますので、資産に欠陥が生じておるとか、預金者に迷惑をかけるというような事態はないということを申し上げているわけであります。それから北海道の阿寒湖で山を経営いたしております日本特殊鉱業株式会社の株式の問題につきましては、相当事実関係を具体的に調査をいたしませんと、銀行として債権の保全、あるいは債権管理のための担保の徴求ということに行き過ぎがあったかどうか、ちょっと私どもといたしまして判定をいたしかねる事情がございますので、公正取引委員会の事実の調査ともう少しにらみ合せまして、われわれも判断をいたしたい。直ちに違反があるとかないとか、申し上げることは控えたいと思います。
  36. 松原喜之次

    松原委員長 次に春日一幸君。
  37. 春日一幸

    ○春日委員 銀行局長にお伺いいたします。本院は、過ぐる本会議におきまして、中小企業の年末金融について所要措置政府に講ぜしめるための決議を行なっておることは、御承知通りであります。その後その決議に基きまして、政府はそれぞれ必要なる措置を講じつつあると私は考えますが、一部新聞によってその措置についての発表がありましたけれども、これは新聞発表でありまして、必ずしもその通りであるかどうか、われわれはまだ承知いたしてはいないわけであります。従いまして、この機会に、私はその議決されたる事柄の各項目について、政府がどのような措置を講じつつあるかについてお伺いをいたしたいと存ずるのであります。  まず第一番に、その決議の第一項目、中小企業への融資を積極化するために、市中金融機関に対して政府が適切な措置を講ぜしめるようにせよといっておりますが、これについてはどのような措置を講ぜられましたか、一つこの際とられた措置について明らかに願いたいと思います。
  38. 東条猛猪

    東条説明員 先般の四項目にわたります国会の議決につきましては、私ども十分御趣旨を拝承いたしておるわけであります。  第一項の融資の積極化の問題でございますが、これにつきましては、全国銀行協会及び地方銀行協会あてに、この年末融資につきましては、中小企業への融資の積極化、円滑化ということを一そう促進いたしますように通牒を発しました次第であります。私どもの通牒を待つまでもなく、かねて来この中小企業金融の問題につきましては、たとえば金融機関資金審議会でも、市中金融機関中小企業への融資を積極化しなければならないという趣旨は、十分各銀行とも承知をいたしておりまして、特に地方銀行協会あたりでは、中小企業への融資の積極化ということに格段の努力をするという態勢を自発的にとっております。以上が大体第一項目につきましての現在の状況でございます。
  39. 春日一幸

    ○春日委員 それではまるで国会が議決をいたしましたような、抽象的といいましょうか、その綱領的な措置である、その具体的な措置ということについて私はお伺いをいたしておるのでありますが、ただ積極的にせよというだけでは、必ずしも本会議の決議に沿うら措置とは考えません。大体資金量をこれこれ、特に年末について特別の考慮を加えるとか、そういう何らかの具体的措置があろうかと思うわけであります。新聞で拝見いたしますると、この市中金融機関が自主的にきめておるようでありまするが、年末の中小企業向け融資額の増額というような事柄を発表されておりましたが、そういう自主的に金融機関決定したものと、それから大蔵省がこの本会議の議決に基いて、それぞれ行政的にこれらの金融機関に対して、指令といいましょうか慫慂といいましょうか、効果ある措置を講じられたと思うが、それらの事柄について、この際一つ具体的にお述べを願いたいと思うのであります。
  40. 東条猛猪

    東条説明員 私から申し上げるまでもなく、春日委員も御承知通りに、金融機関に対して、中小企業向けに幾ら幾らの金額まで融資をしろと言うことは、必ずしも実情に即さないのでございますが、最近の中小企業向けの貸し出し状況計数的に見てみますると、これは全体の金融機関にわたります関係で、やや数字が古くて恐縮でございまするが、九月末の算定数字によりますると、銀行相互銀行信用金庫、信用組合、商工や金、中小公庫、国民公庫というものを通じまして、二兆二千三百十一億というのが、中小企業向けの貸し出しの総額に相なっております。そのうち銀行は同様九月末におきまして、一兆三千六百三十八億、かようなことに相なっておるわけでございます。これを三十年——前年の九月の計数と比べてみますると、昨年の九月末におきましては一兆七千六百八十五億というのが総体の数字でございまして、同様銀行だけの数字は一兆四百六十五億ということでございまして、比較的、今申し上げましたような長期間的に見ましても、あるいは九月に至りまする各月の月別の足取り等を見ましても、中小企業向けの貸し出しは相当順調に伸びておるということが申せようかと思います。私どもといたしましては、要はこの中小企業金融ということの重大性というものを、この上とも関係金融機関に認識を深め、そして従来のこういう貸し出しの方針と申しますか、貸し出し態度というものをより強く助長するということが大切なことであろうと、こう考えておるわけでありまして、具体的に計数をここまでやらねばならぬというような指導はいたしておらぬというのが、実は率直なお答えでございます。
  41. 春日一幸

    ○春日委員 局長の御答弁によりますと、中小企業金融は、おおむね順調に進展しつつあるから格別その必要はない、こういうような御答弁のようでありますが、国会の議決は、経済情勢が好転を示しておる、にもかかわらず、中小企業金融はなお困難な事情にあるので、この問題を阻止するために以降の事柄を処置せよと、こういう議決を行なっておるのであります。従いまして、国会は国権の最高の府でありまするから、あなたの方のデータによるとそういう結果が現われておるかもしれませんが、国会はまた別個の資料によって慎重に検討いたしました結果、わが国経済が全般的に好転をし、なお金融全般から見ますると、大規模産業その他については比較的順調に金融が行われておりますが、中小企業金融というものはなお困難な実情にあるという、こういう規定をいたしておるのであります。従いまして、あなたの手持ちの資料では、中小企業金融はあるいは順調に進んでおる、そうだといたしますれば、これは国会のその規定、すなわちこの決議の前段、冒頭に述べられておりまする事柄を否定されるのでありますが、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  42. 東条猛猪

    東条説明員 先ほど申し上げました計数で、私どもは、比較的中小企業金融については、全般の趨勢といたしましては順調に伸びておる。しかしながらなお中小企業というものの特質上、性質上金融につきましてもなお困難な実情にある面があるということは、国会の決議の通りでありまして、先ほど申し上げましたことは、私の言葉が足りなかったことをおわび申し上げます。
  43. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますれば、やはり全般的に中小企業に対する金融が、長期的な視野において好転はしつつある傾向の中にはあるけれども、折しもこの年末に当面しておって、わけて零細企業については格段の措置を必要としておる、こういう工合の認識を国会はいたしたわけなんです。従いまして、第一項についても、この地方銀行の自主的なるそういう決定というもので満足すべき状態であるか、あるいはさらにそれに対して何割かのプラス・アルファの努力を彼らになさしめるところの行政指導が行わるべきであるか、この点については論議のあるところでありましょうが、これはやはり第一項の議決の趣旨にのっとりまして、当然銀行行政を通じて、国会の指向しております方向に向って金融機関を御指導願わなければならぬと考えますので、この点一段の御努力をお願い申し上げたいと存ずるのであります。  それから次は第二項でありまするが、これこれの金融機関に対する貸付の増強、これについてはどうされておるか。それからもう一つは、資金運用部資金の預託でありますが、調査したところによりますと、現在指定預金が商工中金二十七億、公庫二十一億、信用金庫十三億、トータルで六十二億になっておるようでありまして、なおかつその期限が本十二月で到来する、こういうような工合に聞いておるわけであります。これは、期限の到来をした分については引き上げられる考えであるか、あるいはまたこれをさらに延期される考えであるか、さらにはまた、この預金現在高をこの議決のごとく大幅に預託をはかられる考えであるか、この議決に基いていかなる措置をとられたか、この点の一つ答弁を願いたいと思います。
  44. 東条猛猪

    東条説明員 国会の議決の第二項に関する問題でありますが、前段は資金運用部資金の貸付の増強ということに相なっております。この点につきましては、問題の中心はこの国民金融公庫、それから中小企業金融公庫に対する資金運用部資金の貸付増強の問題に相なって参るわけであります。国民公庫につきましては、当初の計画では、第三・四半期におきます貸付の計画は百七十九億ということであったのでありまするが、この議決の御趣旨にもかんがみまして、当初の計画をさらに変更いたしまして、第四・四半期から、国民公庫につきましては第四・四半期に十億円の繰り上げを行うということを行なったわけであります。この十億円の措置と回収が増加いたしましたことと相待ちまして、第三・四半期は、当初計画の百七十九億が百九十九億にふえる、かようなことに相なっております。  それから中小公庫でありまするが、中小公庫の第三・四半期におきましては、当初の計画では百二億であったわけでありまするが、これは第四・四半期から八億円の運用部資金からの借り入れを繰り上げる。それから同様回収金の増額等がありまして、現在の計画で参りますと、百二十五億ということでございまして、大体当初に比べまして二十三億円の増額に相なります。つまり国民公庫にいたしましても中小公庫にいたしましても、当初の計画のほかに、さらに資金運用部資金の貸付の増強という御趣旨に基きまして、第四・四半期の資金繰り等を勘案いたしながら十億、八億というぎりぎりの貸付の増強を行うということでございます。  後段は、いわゆる指定預金の問題であるわけでありますが、この点につきましては、現在預託中でございますところの六十二億円の指定預金を少くとも年内には引き揚げないという措置を講じまして、年末金融の緩和に資する、そういう措置を講じたわけでございます。
  45. 春日一幸

    ○春日委員 まず前段の資金運用部資金の貸付の問題でありますが、これは貸付対象になっておりまするもの全体をながめてみますと、中小企業金融機関に対する貸付の額というものの比率から考えて、必ずしも当を得たものであるとは考えられないのであります。これが郵便貯金その他考えますと、ほとんど零細な大衆預金の蓄積であるという点から考えまして、当然還元流通ということ等も第一義的にとられていい措置であろうと考えます。長期信用金庫に四百二十八億、興銀六百七十五億、輸銀百九十億、開銀五百四十億という大企業向けのグランド・トータルと中小企業関係のグランド・トータル、これをいろいろ考えてみますと、その資金源が大衆の預金であり、零細な国民の蓄積であり、中小企業関係に最も関係の深い階層からの資金源であることを考えますと、その比率は当然逆転されてよろしいだろうと考えるのであります。しかしながら、今この年末に当面いたしまして急速に操作することは困難ではありましょうけれども、この貸付歩合につきましても十分検討がされたいと存ずるのであります。  しかしながら後段の、期限到来分の預託分の引き揚げをしないという決定をされましたことについては、一応了とするのでありますが、しかしながらこの本会議の決議は、とにかく政府資金の大幅預託をはかれと書いてあるわけであります。すなわちこり際、中小企業金融は依然として困難な状況にあるので、新規にこれを預託せよと言っておるわけであります。国会はこの処置を政府に命令をいたしておるわけであります。新しくなぜ預託されないのですか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 東条猛猪

    東条説明員 これは春日委員承知通りに、指定預金によりまする国庫余裕金の運用については、特に慎重を期する要があるという考え方もございまして、また指定預金金額をさらに増額するということは——国庫余裕金の運用といたしまして、現状以上に増額をすることは、ただいままで大蔵省といたしましていろいろ検討いたしました結果、困難である。そこで御趣旨を極力尊重するという意味合いにおきまして、期限の到来いたしました指定預金につきまして、少くとも年内は引き揚げは行わないということをもちまして国会の議決の御趣旨に添い得よう、かようなことで、ただいまのところでは、指定預金につきましては少くとも年内には引き揚げないという措置を講じました次第であります。
  47. 春日一幸

    ○春日委員 今の局長の御答弁によりますと、慎重に行わなけれなならない。もとよりこのような政府資金でありまするから、慎重の上にも慎重を期していただかなければなりませんが、しかしながら、われわれはずさんにこれをやれということを国会で決議はしておりません。昭和二十八年当時は六百八十億の預託がありました。だんだんこれは回収されて参っておるのであります。われわれは、前例のないことを言っておるわけでなないのでありまして、特にまた慎重を期さねばならぬということは、政府政府資金を預託するということについて、何らかの疑義があるかのごとき御答弁でありますが、その回収に触れて局長の見解を明らかにされたいと思うのであります。私は、もし疑義があるならば、六十二億といえどもこれをゆるがせにすべきものではないと思います。政府がその余裕資金を預託するということが、法律上、あるいは予算決算会計令その他あらゆる点から考えましても、法理上ごうまつも疑義はない、こういう確信の上に立ってこのような議決が行われておるのでございまするし、なおかつそういった疑義のありまする問題に触れましては、本委員会においてそれぞれ関係者を呼びまして、この委員会において一切の疑義は氷解しておるわけでございます。なおかつ疑義があるといたしますれば、その疑義は一体何であるか、この機会に局長からその疑義というものの実態について一つ答弁願いたいと思います。
  48. 東条猛猪

    東条説明員 この問題は、国庫金の運用の問題でございますので、私よりはむしろ理財局長から御答弁を申し上げるべきだと存じます。また私から理財局長に、当委員会において御質問がございましたことはもちろん伝えておきますが、私の承知いたしておりますところによりますると、やはり国庫余裕金の運用としての金融機関への預金ということは、やはり中央金庫というものが本則であって、それ以外の金融機関への国庫余裕金の預入ということは、特に慎重を期する必要があるという趣旨で、自来国庫当局といたしましてな、できるだけ中央金庫以外の金融機関への余裕金の預入は消極的に抑制をして考えておる、かようなことであると考えております。
  49. 春日一幸

    ○春日委員 具体的にこの際問題を明らかにしておきたいと存ずるのでありまするが、先般こういう問題がいろいろと論議をされました。その当時一番大きな問題のきっかけとなりましたことは、会計検査院が大蔵省にこういう行為について警告を発した。そういうことで、政府としてはこういう国庫余裕金の預託についてこれを引き揚げていくのだ、こういうような新聞発表がありまして、私どもは事の重大化に驚き、緊急にその直後会計検査院から責任者をここへ御出席を願い、その問題に触れて具体的な質疑応答を行なったのであります。そのときの会計検査院の答弁を私は今もなお明確に記憶いたしておるのでありますが、その答弁されたところによりますと、そういうような警告を発したことは一度もない。われわれは疑義はない。ただ望むらくは、予算総則の中で預託の最高額をきめてもらえるならば一そう望ましいことである、こういうことを言ったにとどまって、これが予算決算会計令その他あらゆる法律に照らして違反になるとほ考えられないと本委員会で明確に答弁されておるのであります。そういうわけでありますから、会計検査院が本委員会において、そういう責任ある答弁をいたしておるのでありますから、ただ一方的にあなたの方が、そういうような問題を固執されておるということについては、私どもはまことに了承をいたしかねるのであります。もしも疑義がありますならば、六十二億といえどもこれな許さるべきものでなありません。かつては中小企業金融難解決のために、同様の趣旨で六百数十億の大きな金額が預託されておりました実績等も考えまして、これは、当然とにかく国会が議決いたしましたことをあなた方は措置する義務があると思うのであります。しかしながら、この問題は重大なる懸案事項でもありますので、特にあなたの方に御要望申し上げておきたいことは、疑義があるならば、その疑義をただすということ、そうしてそういう疑義があるからできないということを、本会議における大臣答弁の中において明確にされなければならぬと存ずるのであります。本会議においてこういう議決が行われて、政府にこの実施を要求しているのでございまして、大臣はその答弁において、趣旨に沿うように措置をすると明確に答えているのであります。従いまして、銀行局長がとかく今ここで論議する余地は残されておりません。従って、この第二項において要求されております通り、すなわち政府資金の大幅預託は、年末を目前に控えて中小企業、特に零細企業を緩和する基金として新規にせなければならぬものであるということを強く申し上げまして、その処置をするかしないか、明日の委員会までに省議をまとめて御答弁されんことを強く要望しておきます、その二項にあります生保、損保、この資金量は今膨大なものがあろうと存ずるのでありますが、なおこれらの資金源も、資金運用部資金のそれと同じように、大衆的基盤によって蓄積されたものにほかなりません。従って、これを中小企業向けの資金源として融通の道をはかることは、これはまた当を得た決議事項であろうと思うのであります。これをいかに措置されましたか、具体的に御答弁願います。
  50. 東条猛猪

    東条説明員 申すまでもなく保険会社は、業務の性質上、金融機関の中でも資金の運用につきまして法律上一定のワクでしぼられております。それからまた保険会社は、比較的貸付業務というものが仕事の上におきましては重点ではございませんので、自然支店も、あるいは信用の調査審査の機構という技術的な実情から考えましても、直接貸し出しに乗り出しまして資金の供給を講ずるということは、なかなか実際問題といたしまして、多額の融資を期待することは困難でございます。しかしながら、議決の御趣旨もありますので、そういう制約はありながらも、中小企業への貸付ということにつきましては、十分関与さしていただきたいと存じます。  なお直接の多額の融資につきましては、今申し上げましたように限界がございますが、たとえば商中債というような金融債を保険会社が持つということは、もとより可能でもありますし、資産の運用といたしましても望ましい面がございますので、そういう金融債の消化という方途を講じますれば、それが間接的にはこの中小企業への資金供給の道を講ずることになるというふうにも考えますので、そういう方面につきましても一つ進める、こういう考え方であります。
  51. 春日一幸

    ○春日委員 それは決議の趣旨に沿うた措置とは考えられません。金融債は、ご承知通り中小企業関係金融機関は商工中金ただ一庫あるのみであります。もとよりそれも必要な措置ではありますけれども、やはり資金供給のルートを開くということをうたっているのでありますから、その必要なる措置を講じていただかなければならぬと存ずるのであります。私は、通産委員会において本決議案が上程されるまでの経緯において、いろいろ論議された事柄についていささか仄聞しているのでありますが、聞くところによりますと、何か五十億円程度金額をこの両機関から中小企業向け金融機関に流すことが、東条さんのお力によってされるような措置が要望されておったかと思いますが、そういう問題はどういう工合に取り計らわれておりますか、この際本委員会にも明らかにお示しを願っておきたいと存じます。
  52. 東条猛猪

    東条説明員 この生命保険会社あるいは損害保険会社の代表の者と、もっぱら中小企業金融関係、特に信用組合の関係の方といろいろ御懇談をする機会があったわけであります またそういう機会を持つことにつきましては、私どもいささかごあっせんをいたしたのでありまするけれども、いろいろ御懇談の結果、まだただいままでのところ、具体的に金額をきめて生命保険会社なりあるいは損害保険会社から、たとえば信用組合にこの程度金を流そうという具体的な取り運びまでには立ち至っておらないと存じます。先ほども申し上げましたように、やはり保険会社の中小企業への資金供給ということは、いろいろの制約もございますので、そういう条件のもとにおいて、どうやって議決の趣旨に沿って中小企業への資金の供給の道を講ずるか、今後の研究問題である、こういうふうに存じております。
  53. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、金融債の道のみが可能であるとのことでありますが、それならば、この決議は年末金融という、こういうタイミングな問題になっておると存じます。従いまして可能の道、すなわち金融債を両機関によってどの程度引き受けさすことのための努力が払われておるか、この可能の見通しについて御答弁を願いたいと思います。
  54. 東条猛猪

    東条説明員 私の申し上げ方が、あるいは悪かったと存じますが、金融債引き受けというだけではありませんで、保険会社はいろいろ法律上の制約がありまするし、また支店網、あるいは信用の調査、あるいは審査の機構等で、実際の貸し出しを直接にやることにはいろいろの制約がございますけれども、そういう制約の中でも、やはり直接貸し出しということは可能でありますので、そういう貸し出しに当っては、中小企業への資金貸し出しということもできるだけ配慮をせしめるということは、申し上げておるわけであります。  それから具体的に、たとえば商中債をどの程度生保、損保で引き受けさすか、これは商工組合中央金庫等の今後の発行計画等の事情をもよく聴取いたしまして、できるだけの協力をせしめたい、こう考えております。
  55. 春日一幸

    ○春日委員 年末金融でございます。年末は余すところ二十数カ日しかありませんので、やはりそういう資金源が流される大体のめどが立たなければ、融資計画も立ちません。従いまして、これまた明日の委員会までに、この両機関とお話し合いを願いまして、少くとも商工中金だけでも、すなわち疑義のない資金ルート、融資ルート、こういうような可能なパイプを通して、どの程度金が流し得るものであるか、この決議にどの程度沿い得るものであるか、これも一つ明確なる御答弁を御準備願いたいと思います。  次は第三項目でありまするが、これは国民金融公庫が小口金融について格段の考慮を払えということでありまするから、何がしかの措置が講ぜられておると思うのでありまするが、それについて御答弁を願いたいのであります。特にこの際あわせて要望いたしたいことは、本委員会は、さきに公庫の責任者並びに前任河野銀行局長に対しまして、公庫の貸し出し適格の中に、税金を滞納していないことという一項目がありました。このことは、なるほど義務を果す観念のある人ということを、やはり見分けるための一つの有効な条件ではあろうと思いますけれども、しかしこの零細金融たるの特質にかんがみまして、税金も納められないような苦しい状態にある者ということは、特にこの政策融資を必要とするという条件とまた合致するとも考えまして、必ずしも税金を滞納しているということだけをもって、その適格条件からはずさないように、これを強く要望いたしまして、そのよう今後措置を改めるという答弁を得ているのであります。しかるところ、最近各地におきまして、またもや申し込みが多くして資金が少いというところから、いわゆる審査条件の中に、やはり税金が完納されているかどうかということが、強く要望される傾向にあるかに聞いているわけであります。私たちは、もとより税金をちっとも納めないというむちゃくちゃな連中をも、融資の対象にせよと言うのではありませんけれども、やむにやまれずして一回、二回あるいは三回と、そういう工合に滞納があっても、これはほんとうに苦しい状態であるということの一つの証明にもなるでありましょうから、その点は機械的な結論づけをされないように、強く要望したいと思うのでありますが、従来のいきさつ等にかんがみまして、これらの問題をどう考えているか、なおその税金の滞納以外の特別措置、これはどういうことを措置されたか、この際御答弁を願います。
  56. 東条猛猪

    東条説明員 国民金融公庫の貸付は、申すまでもなく、いわゆる小口零細金融ということが本来の使命でもありますし、また実際の運用におきましても、さように行われているわけであります。しかし最近の状況を見ますと、中小企業の中でも比較的大口の融資につきましては、他の金融機関で、従来と比べればだんだんとまかなわれていくという趨勢にあろうかと思います。そういう場合におきましては、この国民金融公庫の重点が、従来よりより一そう零細金融、あるいは小口金融ということに向けられて参らねばならぬということは、当然のことでございまして、第三項の御趣旨もその辺にあろうかと拝察するわけであります。今申し上げましたようなことで、国民金融公庫の貸付の実際におきまして、従来ともこの小口金融に考慮が払われているわけでありますが、今回の議決の御趣旨もありまして、より一そうこういう基本的な方針にのっとって業務の運営が行われるようにということを、念のため申し渡した次第であります。  それから税金の滞納の場合の融資の問題でありますが、はなはだ恐縮でありますけれども、従来のそういう経緯等につきまして、十分承知いたしておりませんので、よく事情を取り調べて善処いたしたいと思います。
  57. 春日一幸

    ○春日委員 この問題は、かつて本委員会の要望によりまして了承された事柄が、いつしかまたやはり融資適格条件の中の重大な条件化しようといたしているわけであります。ただいま申し上げました趣旨にのっとりまして、税金の滞納も、了とすべきおのずからの限界があろうと思いますから、機械的なお取り扱いのないことを強く要望いたしておくわけであります。  最後に、この第四項目にあります政府機関支払い促進の敏速化、これは当然の事柄であります。そこで下請代金支払いの促進、これについては指導によって十分効果のあがることと考えますが、金融機関に対してどのような通牒を発せられましたか。その通牒が発せられておるならば、通牒そのものをお示し願いたいし、発せられておりませんでしたならば、その構想を一つお示し願いたいと思います。
  58. 東条猛猪

    東条説明員 この下請企業に対する支払いの促進の必要なことは、もう議決せられた通りでございます。政府といたしましては、先般の次官会議で、各省庁及び公社は、この支払いの迅速化に努めるということをきめますとともに、その支払いに関連いたしまして、下請代金の支払い促進のために、各省庁及び公社の契約相手方に対して、さらに下請代金の支払いを迅速化ずるように努めるということも、あわせてきめた次第であります。当時そういう決定に相なりましたので、政府においてもこういう措置をとるので、金融機関におきましても、取引相手方に対して、融資その他を取り扱う場合において、相手が親企業であるならば、その融資に関連して、下請企業に対して支払いを促進するということを、強く勧奨するようにという趣旨の通牒を発した次第であります。
  59. 春日一幸

    ○春日委員 いつですか。
  60. 東条猛猪

    東条説明員 通牒の日付は、あとで調べて御連絡いたします。
  61. 春日一幸

    ○春日委員 議決後ですか。
  62. 東条猛猪

    東条説明員 議決の前であります。従いまして、私どもといたしましては、当然この第四項の御趣旨は、国会の御議決があっても政府といたしまして措置しなければならないということで措置いたした次第であります。なお次官会議決定は十一月の二十一日であります。それで私どもからの通牒は、その後あまり日を経ておりませんので、十一月の下旬であることは間違いないと思います。
  63. 春日一幸

    ○春日委員 特に局長に申し上げておきたいことは、この国会の議決というものは、これは国の最高の機関としての意思表示でありまして、あなた方の個人裁量を許されません。あなたのプライベートな独断というようなものの介在の余地はないのであります。従いまして、これは文字通りあなたは執行する義務があるのであって、それが実行できないというならば、あなたには辞表を出されるだけの事柄が残されておるわけであります。でありまするから、ただいまお伺いをいたします下請代金支払い促進に関する融資措置ということについても、すでにさきに通牒が出されてあるから格段の通牒は出していないとのことでありますけれども、その出されておりまする通牒と特に議決をいたしましたその重要性等をよくにらみ合せていただいて、なおその通牒にして足らざるところがあるならば適切なる措置を講じられることを強く要望しておきます。なお、各項目の中で、ただいま質疑応答を通じまして明確になっておりません事柄は、明日の本委員会までにそれぞれ御決定を願って御答弁を願うことを要望してございますので、どうか事の緊急性にかんがみまして、会期ももう明日しかありませんので、どうか一つ時間的にずれのございませんように、明確なる措置を講ぜられることを強く要望いたします。  それから第一相互銀行の救済融資に関しまする大蔵省の監督事項に触れまして、これから質問戦を展開したいと思うのでありますが、その前に、ついででありますから、委員長を通じてお願いをいたしておきます。国家公務員法によりますると、百三条に、国家の職員はこれこれのものについてはならないという規定があるわけであります。しかるところ、先日の奧村委員の資料要求によって提出をされておりまするその資料によりますると、相互銀行監督する直接の責任にあったところの人々が、過去二カ年間にわたって十数名がそれら相互銀行の枢要なる地位、すなわちこの公務員法によって就職制限をいたしておりまする重要なる地位に就職をいたしておるのであります。従いまして、この際午後の委員会に人事院の担当官の御相席を願いまして、これらの就職が法律に定められたところの人事院の承認を得ておるかどうか。さらにまた人事院は、法律の基準がこれらの事柄を禁止しておるにかかわらず、一切の申請にことごとく許可を与えておるとするならば、これまた法律を無視したものであると思うのであります。一つ銀行局長の責任、一つは人事院の責任に触れて、この問題は明らかにしておかなければならぬと考えますので、午後の委員会には一萬田尚登君、人事院の淺井清君、この両君の御出席を求めまして、この問題に触れて疑義をただしておきたいと存じまするから、委員長において善処されんことを強く要望しておきます。
  64. 松原喜之次

    松原委員長 なお奧村君から、資料の要求についての発言を求められておりますので、これを許します。
  65. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、明日大蔵大臣に第一相互銀行事件について質問をいたしたいと思いますが、なおそれに関連して午後、銀行局長に数点の御質問をいたしたいと思いますが、その質問について、あらかじめ資料の御準備をお願いしておきたいと思うのであります。  ただいま春日委員から御質問がありました最後の御質問の、国家公務員は、離職後二年間はいわゆる離職前の仕事に関連のある仕事についてはならぬというはっきりした条文がある。ところが先ほどのお話のように、最近大蔵省の役人であられた人が大量に全国の各相互銀行の重要な地位についておられる。これは法律違反だと思うのでありますが、ただ例外の規定として、所轄の長の申し出によって人事院の承認を得た場合はこの限りでない、これは例外である。ところが例外規定がほとんど全部適用されるということであれば、この法律は空文にひとしい。そこで人事院がどういう理由でこういう例外規定一般的に適用したのであるかということを確かめてみたいと思います。所轄の長は銀行局長であると思うのであります。あるいは大蔵大臣でありますか、ともかく人事院に対して承認を求めたその理由、また人事院がこれを許可した理由を明らかにしたいと思いますから、その双方を確かめ得る資料を提出願いたい。かたがた春日委員お話のように、人事院の総裁にも来ていただいて、許可した理由などをお尋ねいたしたいと思います。  次に、法律解釈が先般来問題になっておりまして、特に私は、今回の第一相互事件の払い戻し停止は法律違反であるという考えを持っておるので、内閣法制局の第一部長を午後招致して、一つ純粋な法的な立場で解釈いたしたい、この点を委員長にお願い申し上げます。  次に、第一相互銀行は、数々の犯罪があり、法律違反、政令違反、あるいは通達違反、いろいろあるが、これが警視庁で捜査されるまで銀行局でわからなかった、銀行検査監督は一体何をやっておったかということ、これも今までの御質問には明確になっておりません。そこでことしの二月に銀行検査をなさったのでありますから、その検査報告があるはずである。その検査報告にどういう報告が出ているか、特に銀行検査規定の中に、一般検査規定の第一条に、法律、法令その他命令に違反しておるかどうかということを銀行検査官が検査をしているはずである。その検査の報告を見せてもらいたい。その報告にそういう違反を確認しているかどうか。先般の銀行局長答弁では不満足でありますから、はっきりした検査報告に基いての御返答を賜わりたい。  それから第一相互銀行事件を起して、この八月役員がかわっておる。その際に株式が非常に移動している。うわさに聞きますと、二億円の資本金のうち一億四千万円は株主がかわっている。この一億四千万円は一体だれがこの株を買うたのか。その資金の移動、株主の移動を午後お尋ね申し上げたい。それから第一相互銀行事件を起した前役員の社長初め取締役の中には、数名の大蔵省出身と申しますか、大蔵省の役人をした人がある。そこで、それらの人の経歴を全部調べて御提出を願いたい。それから現在の島崎社長初め現在の役員の経歴を調べて、これも御提出を願いたい。それから先ほどの春日委員のお尋ねにもありましたが、最近において全国の相互銀行に、大蔵省の役人であった人が入っておられるが、これは全部国家公務員法に基いて、人事院の許可をとっておる、過去三年間に人事院の許可をとって相互銀行に就職した人、これを全部一つ調べて当委員会にお出しを願いたい。その就職の許可の理由一つお出しを願いたい。  それから導入預金に対して三分の一の支払いをしてあとはたな上げした。これは任意の協定に基くというが、この協定は、預金の総額幾らまでの協定ができたのか。いまだにその協定に応じない、全額の支払いの要求をしておるものがある。それは今どのくらいあるか。つまり協定のできていない導入預金が現在どのくらいあるか。それからその協定の方針にもかかわらず、事情によって、うわさによると全額払ったのが相当ある。これは私も名前まで全部控えてありますが、全額払ったものがある。そういうものはどういうものか。  それから昭和三十一年十一月二十日、現在の貸借対照表はいただいたが、ことしの二月の検査当時の第一相互銀行の貸借対照表を御提出願いたい。  それからいわゆる導入預金に対して三分の一払って、あとはたな上げということになっているが、この導入預金に対して、第一相互銀行は過去どの程度の裏利を払っておったか、これも審議上重要な問題でありますからお尋ねをいたします。  それから貸借対照表を見ると、銀行局の指導にもかかわらず、動産、不動産に非常な金がかけられておる。これは銀行局の指導に違反したのではないかと思うが、その点もあの本店が幾らで取得されたものか、これに対して銀行局ほどういう注意を与えられたか、この点もお尋ねをいたしたい。  以上のことを午後お尋ねをいたしたいと思いますから、あらかじめ用意をしてお越しを願いたい。ただいまお願いしましたことで、もしできないというものがあれば、ここでお話しを願いたいと思います。
  66. 東条猛猪

    東条説明員 御要求がございました資料はできるだけ取り急いで調製をいたしますが、ものによりましては、午後の委員会には時間的に間に合わないものがあるかと思います。できるだけ誠意をもってやりますが、その点は、あらかじめ資料につきましては御了承を願いたいと思います。
  67. 松原喜之次

    松原委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は一時より再開することとして、暫時休憩をいたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時五十分開議
  68. 松原喜之次

    松原委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  金融に関する件及び国有財産に関する件について質疑を続行いたします。横山利秋君。
  69. 横山利秋

    ○横山委員 管財局長に主として三つの点についてお伺いをいたしたいと思います。  第一の点は、国有財産の今後の方向の問題であります。先般行政管理庁が国有財産のあり方に対して非常な非難をいたしました。自来審議会が設置をされて、その後審議をせられておるようには聞いておるのでありますが、杳としてその消息がないのであります。膨大な国有財産を持っておって、しかもあれだけ国民の世論の問題ともなって、その後政府として、それに対してどういうふうに答うべきかについて的確なる方向を指示してないということについては、これは一つの問題だと思うのです。一昨日でしたか、税制調査会委員を招いて、われわれはその所見をただしたことがありますが、それにもまして、とかくの問題のある国有財産についてあれだけの問題があったあと、時宜的確に審議会のあり方なり、その結論について報告をすべきではないか、何らかの方法をもって国民にその結果並びに方向について明示すべきではないか、こういう点が考えられるのであります。第一番は、その国有財産について今審議会でどういうことが行われておるか、その経過と、それからその問題点についてまず御説明を願いたいと思います。
  70. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 国有財産の管理処分につきまして、前国会の前後を通じまして行政管理庁の指摘を受け、また国会におきましても、当委員会その他決算委員会等におきましてもいろいろ御検討になりまして、政府といたしましては、これに対しただいまお述べのような趣旨で根本的に改善を加える態勢をとるということを、はっきり申し上げたのであります。その後、今もお話がございましたように、国有財産審議会を中央及び各地方の財務局に設置していただきまして、さっそく具体的な処分の問題のうちから、重要な案件につきましてはこの審議会にお諮りをして処分の適正化に努めております。  さらに、それと相並びまして、あるいはそれ以上に重要な問題といたしまして、管理処分のあり方、これの根本的な検討をわずらわしておるわけであります。  ただいまのお話は、本年の四月からそういう審議会を開いておることでもあり、その経過が大体どういうふうに進んでおるかという御趣旨でございますが、大体今申し上げた地方審議会——これは全国十の財務局にあるわけでございますが、この地方審議会は、具体的な案件審議いたしております。これに対しまして中央審議会、これはむしろ本来の制度なり、あるいは管理処分の基本的な方針なりというふうな問題に対しまして、非常に熱心に御審議を願っておるのであります。  今日まで大体のところを申し上げますと、中央審議会に企画部会及び審査部会という両部会が設けられまして、この審査部会におきましては、管理処分の基本方針の面につきまして一応の案ができまして、これを先般総会に報告をされておるのであります。その大要は、今もお話しのように、非常に膨大な国有財産を管理して参った今日までのやり方が、まず実態をよく把握していないではないか、こういう点を非常に強く指摘されまして、この実態把握の面につきましては、さっそく着手をして、少くともここ一両年、おそくとも三年くらいの間に全国の国有財産の実態をよく明らかにしなければならない、こういうことを第一にはっきりと指摘されております。これに対しては、大蔵省におきましても省をあげまして、まことにもっともでございますので、ただいま着々とその実態調査の面につきまして具体的に施策をいたしております。  第二点といたしましては、管理処分の今までのやり方がとかく処分に追われて参りまして、管理の基本が立っていなかったのではないか、すなわち今もお話のありましたように、これは国民全体の財産でございまするので、ただ単にその年々の財政収入を上げるというだけの目的で処分を急ぐということであってはならない。従って管理のもとをただしていく。今申し上げたような実態調査等にも関連いたしまして、管理のもとをただすという面に大きな重点を置かなければならないという点を指摘されまして、この点から私どもといたしましても、今まで非常に、たとえば台帳と実態の不一致というような点もございましたので、すみやかにその方向に大いに力を注がなければならないということで進んでおるわけであります。  第三といたしましては、今までは経済界も、御承知のように健全財政を年々維持して参りましたし、また金融の面からも非常に窮屈な点があり、大へん租税負担が重いということから、財産を処分いたしましょうといたしましても、なかなかスムーズに参らなかったような状態であったことは御承知通りでございます。そういう情勢は今や相当大きく変っており、あるいは変りつつありますので、こういういわば膨大なる普通財産のストックを処理していくに最もいい時期に際会いたしておるわけでございますので、この処分の面を積極的に促進する必要がある。しかし、それはもとより適正なる方法でやっていかなければなりませんので、今申し上げましたような実態を把握し、内部の管理体制を整えていくとともに、積極的な処分を促進していくという面につきましても大いにこの際努むべきである、こういうことが指摘されております。これまたまことにもっともでございますので、私どもといたしましては、従来各地で相当大きな財産が貸付の形で管理され、運用されているのであります。これをこの際に思い切って払い下げるチャンスと心得まして、地方にできました審議会等をも大いに活用しつつ、積極的な売り払いをやっていく、こういう態勢をもって進みたいと考えております。  その他、たとえば徴収未済債権の整理でございますとか、あるいはもう少し国有財産の実態を国民一般に明らかにするようなPR活動を積極的にやるべきであるとか、いろいろの点につきまして、審査部会といたしましては相当広範に、また各方面を網羅いたしました一つ考え方をすでに出しておられるのであります。ただ遺憾なことには、御承知のように予算の編成等の事務が、今政局の関係等も関連いたしまして、まだあまり進展を見ておらないのであります。この審査部会と相並びました企画部会、これは、御承知のように機構とか制度とかいうものをおもに御研究を願っておるのでありますが、来年度予算との関係等もございまして、今のところまだ審査部会におけるいろいろの提案、あるいは改善の具体的な施策、これを実際に移しますために必要なる予算でございますとか、あるいは機構をどうするかとか、人員をどうするかというようなことと非常に関連が深いものでございますから、実はこの方面の御答申はまだいただいていないのであります。これは、いわばその方面の御答申をいただく前提といたしまして、実態面についての施策の大きな方向ずけと申しますか、提案がされておって、いずれはこれを基礎にいたしまして予算面、あるいは機構面、その他に関する企画部会からの御答申もあることと期待いたしておるような次第であります。  大体のところは、今そういうことになっておりますが、さらに御質問によりまして詳しく申し上げたいと思います。
  71. 横山利秋

    ○横山委員 大体の点についてはわかりましたが、私が指摘いたしますゆえんのものは、そういう審議会の委員を集めて知恵をかりるということは必要なことであろうけれども、国民の疑惑を一掃するためには、この方向において問題を解決しなければならぬのではないか、こういうことを私は強く言いたいのです。この膨大な国有財産を適正に評価し、適正に管理し、適正に処分し、またそれに必要な会計制度を組み立てる、そしてそれに必要な予算と人員を確保するということは、単に一片の審議会の答申をもって現実としてはできない問題であろうと私は推測をしております。このためには、あの通りほうはいとして上っている国民の非難にこたえて、国有財産の白書なりあるいは今後の方向を適時適切に発表し、そうして国会審議にゆだねるというふうな方向をとらなければ、どんなに管財局長が苦心をいたしたところで、現実問題としては政治のベースに乗ってこない、こういうことを私はおそれているわけです。  もう一つ申し上げたい点は、先般のお話の中に特別会計を設定したいという一部の意見があったという話でありますが、特別会計の制度を設定するということについては、ネコもしゃくしも特別会計を設定するという点がありまして、われわれとしても必ずしも好まないところであります。しかしながら国有財産の適正な処分、管理、評価ということをいたしますためには、一応の筋は通るのではないかとも思っています。しかもそれには、先般も指摘いたしたように、多少の副作用が伴う。たとえば当時ありましたように、これを特別会計にして少しもうけて、そのもうけた金で官庁の修繕をやるというがごとき狭い考え方では、これはかえって窮屈なワクに入って、両方とも立ち行かぬことになるであろう。その点は、一体企画部会ではどういうふうに審議が行われているかということが、お伺いしたい第一点であります。  それから第二点は、概算して、国有財産は時価に評価してどのくらいのものがあるか。また審議会はその国有財産を、大まかな話でありますが、どの程度に圧縮しようとしているのか。そういう意見があるのか。  また第三番目には、その方向をきめたら国会審議にゆだねることにもなろうけれども、大綱的なものの考え方、方向を、国会審議にゆだねて一ぺん十分に国会で議論することが必要なのではないか。一つ一つきまって法律に基いたものをやっていくということだけではなくて、そういう財産全般についての十分な議論を国会でするように、あなたの方としても準備をする必要があるのではないか等のことについて、一つ御意見を承わりたいと思います。
  72. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 重ねての御質問につきましてお答え申し上げます。特別会計の問題は、確かに前会におきまして当委員会でも横山委員からお話がありました。また企画部会におきまして、この問題は非常に重要な問題として検討されております。今までの大体の考え方でございますが、ただいまのお話にもございましたように、日本の財政は、やはり総予算主義という一つの大きな主義をとっております。その点は、かねて財政法その他で国会でもお認め願っておるわけであります。従いまして、やむを得ざる必要のある場合、あるいはどうしてもそういう積極的な必要のある場合を除きましては、特別会計というものをみだりに作るべきではないという御趣旨は、私もさように心得ております。ただ、ただいまお話国有財産の非常に重要な管理、処分につきまして、それが会計制度としてどうしても一般会計では処理できない、あるいは処理することが不適当であるということがいろいろの点において具体的に指摘され、ただいま申し上げたような総予算主義の例外としての十分な理由が成り立つときに初めてお認めをいただけることになると思うのであります。これは一つの歴史的な事実で、古い話になりますが、大正年代、そういう財政の見地から、特別会計というものをきわめて厳正に整備をしておった時代があるわけでございますが、その当時におきましても、実は国有財産の整理資金については、一つの特別会計をもってやっておった時代がございます。それの功罪はいろいろあろうかと存じますが、この国会議事堂でございますとか、あるいは中央官衙の建物等がその整理資金の特別会計の財源によって建設を見ておったのであります。ただいまも御指摘のように、ただ単に一つのセクショナリズムから、特別会計を作ってやった方が予算も少しとれるというようなけちなことで設けることは、絶対に許されないと存じておりますが、今日までの企画部会の議論は、やはり特別会計にしていった方が管理、処分の基本的なあり方として果して適当であるかどうかという点について、主として議論がなされております。そういう場合に、今まで出た議論の一つといたしましては、財産を一つの会計の財産と考えまして、そこでいわゆる価値の動態的な変動と申しますか、常に財産の全体について価値計算的な考え方を入れる。わかりやすく申しますと、ある意味の企業的な財産の意識といいますか、そういう考え方を持つ場合におきましては、やはり特別会計がこの財産を管理していくのだ、また処分した収入はその会計に帰属するのだという考え方、これは一つプラスの面としてあるのではないかというふうな議論が出ておることは事実でございます。さらにまた今申し上げたように、単に官庁営繕でございますとか、公務員宿舎でございますとかいうふうなものだけをこの特別会計の支出でまかなっていくということは、世間もなかなかお認めにならないかもしれないけれども、たとえばこの特別会計の支出面に、一般庶民住宅を建設することを一つの大きな支出項目として考えていくというふうなことはどうであろうかというような議論も出ておることは事実であります。しかし第二の議論に対しましては、今日必要なのは単に住宅問題だけではないので、いろいろと必要な重要施策があるのであるから、これは一利あって一害またなきにしもあらずというような批判も出ておりますが、そういうふうな状況でございまして、実はこの特別会計をこの際設けるかどうかということは、非常にデリケートな段階にあります。そこへもって参りまして、今横山委員も御指摘のように、一般的に公庫、公団、あるいは特別会計を作りたいというふうな要求があちこちにございまするので、これは私ども大蔵省の内部の者といたしましては、よほど積極的なプラス面がない限りは、なかなか簡単に実現ができないのじゃないか。いつも大蔵省はそういう場合に犠牲になりがちなのでございまして、従って、この点につきましては、なお慎重に一つ企画部会におきまして検討していただきたいと考えておる次第であります。  それから第二の、一体国有財産は全体としてどのくらいになっておるのかという点についてでございますが、これは、実はかねて申し上げておりましたように、本年の三月三十一日現在で価格の改定をいたしました。大体の概数で申し上げますと、国有財産全部が約二兆億と御了解願えればけっこうでございます。そのうち私ども大蔵省が普通財産として管理処分をしていきます、直接私どもの対象になっておりますもの、すなわち各省各庁が行政財産として所轄しておりますものを除きましたものが、これの約一割一分くらいに当りますところの二千二百億見当になっております。これがいわゆる普通財産として大蔵省で管理し、直接処分の対象になるものでございます。  今まで管財行政の一つのあり方として、審議会等でもいろいろ御議論を願い、さらにまた常に国会等でもいろいろ批判されておりますが、この普通財産二千二百億くらいのものは、できれば早急に処分をいたしまして、国民経済の必要な方面に活用されることが一番望ましいと考えます。もとよりこの中にも、たとえば防衛庁におきまして必要なもの、あるいは社会福祉の関係とか、さらにまた今も申し上げた住宅の関係でございますとか、いろいろ国家的あるいは公共的な用途に充てるべきものもなお相当あると存じますが、大体今日貸付をいたしておる、少くとも有償で企業へ貸付をいたしておるようなものは、先ほども申しました、一般の条件がわれわれに有利に展開いたしております際に、できる限り払い下げをいたしまして、ほんとうに経済の発展のために寄与さすべきが当然かと心得ております。この点は、審議会等におきましても、大体そういう考え方は是認されておると思うのであります。ただ、これには大きなリザーヴがあるのでありまして、二千二百億と申しましても、相当のものがなお駐留軍のために、いわゆる提供財産になっております。提供財産はだんだんと解除されておりますが、解除されました場合に、さてこれをどう使うかという点につきましては、先ほど申し上げた国家的、あるいは公共的な用途というものを相当考えて参らなければならないのじゃないか。従ってそういう面につきましては、なお相当検討の余地があるのでありますが、少くとも会社、個人等に貸付をいたしておるようなものは、できる限りすみやかに適正な条件で処分ができますれば、処分をして参りたい、かように考えます。この考え方は、審議会等においても御了承いただいておるのではないかと考えます。  今申し上げたようなことを概算といたしまして、もっと積極的に大蔵委員会等において御議論を願う必要があることは、私は全くその通りだと思っております。きょうは、幸いにしてそういう点について委員会で発言の機会を与えていただいたわけでありますが、やはり今申し上げたように二兆億の全体の財産、そのうちから二千二百億というものがわれわれの処分の対象になっておるのでありますから、これらにつきましては、われわれとしても、今のお話の中にもありましたが、たとえば国有財産白書というふうなものをぜひ近いうちに出したいと考えております。価格の改定も終りましたので、これは一つぜひとも第一回を近いうちに出したい。それから審議会等にはいろんな方においでいただいておりますので、機会あるごとに、それぞれ実情について御説明をいたしておりますが、もう少し一般からとにかく関心を持たれまして、一体国有財産は今どうなっておるか、あるいは手近なところでどういう財産が今処分されようとしておるかというようなことが、絶えず一般の方々にわかっていただくような方法をぜひとも講じて参りたい。それには、国会の当委員会におきまして大いに御議論を願うことが非常に有意義であると私は考えておるのであります。先ほど申し上げましたように、企画部会におきましては、普通財産の処理の基本的な方向を達成するために必要ないろいろの制度改正、あるいは機構の改正等を今後検討されるわけでありますが、私といたしましては、ぜひともこの大蔵委員会におきましていろいろ有益な御議論をしていただきたい。むろん制度機構が本格的に固まります場合は、当委員会において御審議をいただくことはもとよりでございますが、その事前におきましてもいろいろ御議論をいただくことは、まことにありがたいことだと思います。
  73. 横山利秋

    ○横山委員 第一の問題については大体わかりました。ただ希望しておくことは、今日までの国有財産の処分につきましては、第二番目に私がお伺いする国有財産のうち、機械器具の問題を除いて、ほとんどが特定の少数者、あるいは大企業を中心にして処分をされる。それなるがゆえにとかくの疑惑が持たれやすいところでありますから、今お話しのように、国会を通じ、国民を通じ、広く一般に、中小企業者がこれを利用し得る機会を十分に与えていただきたいと存じております。  それからあわせてお伺いしたいことは、私の意見の中にもあるわけですが、審議会なり何なりで結論がついてからということでなくして、きまったことをどんどんやっていくことが望ましいと思うのですが、新聞の伝うるところによりますと、行政管理庁長官である河野さんが、国有財産のうちの土地を思い切って住宅地に開放したらどうか、こういうことを閣議で発言したように聞き及んでおるわけです。この点については、一つ考え方でもあろうとは思うが、大蔵省としては一体どういうふうに考え、どういうふうに処置しようとしておるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  74. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 国有財産のうち住宅用地等に適当なものは、従来もこれを住宅用地として活用していくという方針をもって臨んで参りました。特に先ほど申し上げた実態調査を一斉にやっていくべきであるという考え方、これは当初からそうでなければならなかったのでありますが、この考え方に立脚いたしまして、私どもは、実は行政管理庁長官からそういう御発言があるまでもなく、あらゆる財産についてまず実態をつかみ、それの最も有効な活用方法はどうであるかという点に着目をいたしまして、たとえば本年度におきましても、住宅公団に対する出資の予定地といたしまして、関東並びに近畿両財務局の管内に相当の土地を予定いたしております。最近の機会に大阪の市外にございます枚方に——これは三十数万坪でございますが、これを住宅公団に出資することになっております。そこへもってきまして、この間のお話の趣旨は、むしろそういう私どもの直接管理しておる普通財産の方は、ある程度そういう調査もいたし、また活用もしておるのであるが、どうも行政財産として各省各庁が管理しておる土地の中に相当遊休——いわゆる遊んでおる土地がある。これをもう少し積極的に、たとえば住宅用地として活用するような方法はないか、こういうことでありまして、実は私どもも、いわば今申し上げた二兆億のうちの二千二百億、自分の直接の責任であるものの整理に追われまして、あまり各省各庁の方の財産にまで手が及んでいなかったのが実情でございます。もとより私どもの方には監査官というのがおりまして、相当各省各庁にも目を光らせておるのでありますが、どうもまだ十分でなかったという傾向があったかと思います。そこで、ちょうどいい機会でございますので、ただいま行政管理庁とも十分打ち合せをいたしまして、大体本月の末までに、全国にはちょっと手が及びませんので、福岡を入れました七大都市を対象にいたしまして、各省各庁の所轄いたしております土地のうちで、一般には一千坪以上、特に繁華街では五百坪以上というような土地を対象にいたしまして、それが果して各省各庁で具体的な使用計画があるか、もしありとずればその計画は妥当なものであるかどうかという点に重点をおきまして、管理庁と私の方で共同に——管理庁は行政管理といいますか、行政の監査という面からやりたい、私の方はいわば国有財産の総括という見地から、これまたぜひ両方で協力してやっていく好個の課題でございまするので、それをやりたいということで今打ち合せを進めておるような次第でございます。これによりまして、今申し上げたような普通財産以外に、各省各庁の管理しております行政財産の中からも、適当なものは住宅用地の方へ積極的に振り向けていきたい、かように考えておる次第でございます。
  75. 横山利秋

    ○横山委員 第二点は、本委員会でしばしば取り上げました国有機械の交換業務であります。少し具体的にわたるかもしれませんが、何はともあれあなたに一つ強く指摘をし、率直な意見を伺いたいと思いますのは、すでに本年の八月の当委員会におきまして、特にこの問題に触れて、国有機械の交換価格を値上げするようなことはないかということを確かめたことがございます。ところがあなたはまことに率直明快に、交換価格を引き上げるという考えは毛頭持っておりません、このことは明確に申し上げますと、こうおっしゃったのです。ところが聞くところによりますと、いろいろな理由もそれはないではない。ないではないけれども、伝うるところによりますと、交換価格を引き上げていこうという話が伝わっておるわけであります。私は、あなたとの率直な本委員会においての質問なり討議でありますから、政治家としての責任を持ってこのようなことはないのだということを、今日まで打ち消して参ったわけです。しかしうわさはうわさを呼んで、しかも現実に財務局なりあるいは出張所などでいたしております業務の中で、やっぱりほのかにその点が見えるのでありまして、全国の中小企業からごうごうたる非難がわき上っておることは、おそらくあなたもご存じではないかと思う。これは正示さんが気がついておられるのかおられないのか知りませんけれども、この際一つ明確に、その点は委員会の権威にもかけ、あなたの責任にもかけて、一つ当時を思い出して明快な御答弁をいただきたいと思います。  申すまでもなく、この中小企業に対する機械の交換というものは、当委員会が取り上げた一つの善政であります。ただいままで承わった国有財産審議会の問題につきましても、私が指摘いたしましたように、一部の特定なる者、大企業に対して特権供与がされやすい中で、この問題だけは非常に歓迎をして迎えられ、そのために今日まで何回も委員会においてその適正、迅速なことをお願いし、了として答弁をされたわけであります。重ねて申し上げますけれども、率直にその疑惑を一掃してもらいたい、こういうふうに質問をいたしたい。
  76. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 国有財産の処分価格のことにつきましては、今さら申し上げるまでもございませんが、これは財政法等の建前から申しましても、適正なる時価で処分するということは、これはもう明らかにさように定められております。なおただいま御指摘の、中小企業の合理化促進のための機械の交換に関しましては、国有財産特別措置法を改正していただきましてお定めを願った際に、いろいろ御議論もあり、また施行令というものがはっきり定められまして、その中にも、交換の価格は、交換をするときの時価によるというふうにお定めを願っておるわけでございます。ただ八月でございましたが、前回の当委員会におきまして、お前の方で何か調査をしておるようだが、それは交換価格を引き上げるための調査をやっておるのかという御質問がございまして、私どもは当時におきまして、さようなつもりはございません、ただいちずに、交換の事務が遅延いたしておりまして、まことに皆様に御迷惑をおかけしておりまするので、早く交換事務を促進をいたしたい、こういうことを主にしてお答え申したことは事実であります。私は今日でもその気持は全く変っておりませんので、ぜひとも一つ、交換事務が今日までいろいろの事情——ことに先ほどもお話し申し上げましたように、私の方の手不足でございますとか、いろいろふなれなため、また予算その他も窮屈なために、事務が意外に遅延をいたしております。この事務を進捗させるべくあらゆる努力をいたしたい。ここで中央からの通達で改訂するというふうな考えは、今のところ持っておりません。それをやることは、さらに事務を遅延させることになりますので、これは法律をお定めいただきました趣旨から申しましても、とにかく今日は、現在中央から指令をいたしておりますところの、このいわゆる一つの指示価格というふうなものがございまするので、これをもとにいたしまして、できる限り一つ交換事務を促進するようにということを中心にいたしまして、各局を督励いたしておるような次第であります。当時と今日も、その気持においては何ら変りのないことを申し上げておきます。
  77. 横山利秋

    ○横山委員 まことに率直な、ごりっぱな答弁だと思います。今までのいろいろな経緯をもあなたは御存じの上で、本委員会において率直にそういうことをおっしゃったのですから、私も深くはこの点については触れまいとは思いますが、念のために申し上げておきますが、御存じのように、中古品価格のあるものとないものと両方ございます。中古品価格のあるものについてはおっしゃる通りであって、きわめて明快でございますが、中古品価格のないものについても、中古品価格との均衡をとって、変えないという精神をもっておやりになるおつもりであるかどうか、中古品価格に準じて措置をされるつもりであるかどうか、もう一回一つ明快な答弁を願いたい。
  78. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは専門の非常にお詳しい横山委員でいらっしゃいますので、今やや具体的に御指摘になったのでありますが、品物によりまして中央からの通達、これは中古品価格のあるものが定められております。これに対しまして、そういうもののないものは時価によるということになっておりまして、その時価の要するに調査のやり方いかん、その点についての御疑念かと思います。これは、私実は先ほど申し上げたように、今日は事務を促進するということにあらゆる主力をおいて考えておるわけでございますので、今日そういうある程度調査に時間がかかるようなものは、むしろあと回しにいたしまして、はっきりしたものからやっていくという考え方をとっておるので、従って今後今私が申し上げたような中央からの指示のない価格というものについて、地方でそれぞれ調査をいたすわけでありますが、その際におきましても、ただいま御質問のように、この法律の制定せられました、改正をされましたところの根本趣旨に沿うべく私どもとしては努力するということは、私もさように考えます。ただ、これは法律や政令もあることでございますので、あまり明白にそれに違反するという結果になっては困るわけであります。従って、その点につきましては、政府部内においても十分打ち合せをいたしまして、法律の根本趣旨を生かすようなふうに努力をしていくことは、私も十分心得てやっていきたいと思っております。その結果が、大体今お述べのような趣旨に沿えるものと考えておりますが、この点につきましては、なお今後部内におきまして十分努力をしてやっていきたい。今日しからばどういうふうに結論を出すかという具体的なことを申し上げる段階ではございませんが、大体におきまして、今までやってきました基本的な方向をくずさないように努力をしていきたい、こう考えております。
  79. 横山利秋

    ○横山委員 本委員会は総合的な審議をする点もございますから、これ以上私は深くは追及しません。今あなたのおっしゃったことをそのままなまで受け取って、具体的なやり方について注目をいたしておきたい。言うまでもなく、昨年でありましたか、本委員会で決議をいたしましたときの附帯決議がございまして、いやしくも中小企業の不利とならないように通達その他は出すべきである、こういう附帯決議もございますことは、すでに御存じの通りでありましょう。従って今のお気持ちを、今日までの経緯をあらためて検討して下さって、十分その趣旨に沿うように善処していただきたいと思います。なお念のために申し上げておきますけれども、中古品価格のあるもの以外のものは、区別をしておくらせるという点について、少し遺憾な点がございます。これは全然区別をしなくても、実現可能なものは、あわせて併合的にやっていけるのではないかと思いますから、その点も一つ御記憶にとどめていただきたい。それから交換業務は一体いつごろ終るというつもりでやっていらっしゃるかということが一つです。それからもう一つは、舞鶴にまだ二号物件が二千台くらいございますが、このようなものをいつまで放擲なさっておくつもりか。この点についてはもう一括解除して、中小企業の交換に回したらどうか。聞くところによりますと、飯野重工に対する貸与といいますか、保管依頼といいますか、その点がどうも解せない節がある。この際これを整理してもらいたいということです。それから第三番目は、先ほども国有財産を貸し付けているという点については、どうもおもしろくないとおっしゃったが、全くその通りであります。機械についても、全国で数千台貸し付けてございますが、これをこの際整理なさってはどうか。これは私がかねがね言っているところでありますが、その整理をするに際して、しやすいような方法を考えませんと、どうしてもこれは結論がつかないところだと思います。従って、貸与を受けている機械について、この際交換に充てる、交換に充てるについては、交換に充てられやすいように特別の措置をなさったらどうかということを、私はかねがね言っておるところでありますが、この三点についてお伺いをいたしたい。
  80. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 まず第一点の、いつまでに事務が終る見込みかという点でありますが、これは先ほども申し上げましたように、今私どもも全力をあげまして事務を進捗させたい。できれば、ぜひとも来年度までこれを残したくない、年度内には終らせたい、私はこう考えております。ただ、横山委員承知通り、一部の財務局におきましては相当事務が輻湊いたし、また遅延をいたしておりますので、場合によりますと多少残るかもしれませんが、大体のところは、年度内にはぜひこの機械の交換は終らせたい、こういう見当を立てまして、今努力をいたしておるわけであります。  それから第二点でございますが、舞鶴の機械につきまして、いわゆる二号、一括転用とか、あるいは優秀機械として相当のものが残置されておることは御指摘の通りであります。これまた私どもといたしましては、いろいろそういう御希望もございますので、この一括転用の機械の中から、どうしても転用しなければならないものをさらに厳選をいたすことにいたしております。その結果ある程度のものは、さらに研究をいたしますが、交換機械の方に回し得るのではないか。具体的にどの程度ということは今申し上げかねるのでありますが、そういう考えをもって検討しておりますことを申し上げたいと思います。  それから第三点といたしまして、貸付ということが国有財産の管理、あるいは運用の面からあまり適当でない。さいぜん私も申し上げた通りでありまして、ただ今までは、いろいろな事情で貸付もやむを得ずやっておったのでありますが、これは一つできる限り整理をいたしまして処分したい、こう考えております。ただ、ただいまお話しのように、これを交換に回すための特別の措置と申しますのは、結局、たとえば貸付を受けたものの既得権と申しますか、そういうものに関する一つの特別の法律措置というようなお考えかとも存じますけれども、これはなかなかむずかしいいろいろの問題がございますので、私といたしましては、とりあえずはやはり一般的に貸付を整理していく。それには現在貸し付けておる相手方に対して交渉いたしまして、これが十分活用できるような立場にあり、条件を具備しておる場合には、その方に処分をしていくことも一つの方法かと思います。しかし、どうしてもそういうことが不適当であるということでありますならば、十分話し合いをいたしまして、さらに合理的な、たとえば交換の方に回すというような努力をしてみたい。今のところ、まだそういう一種の権利関係を整理するような特別の立法ということまでは実は考えておりませんが、しかし、これは先ほども申し上げた審議会におきまして、土地、建物、あるいは機械等の貸付関係を整理していくということが相当強く議論の対象になっております。そういう場合、今横山委員も御指摘のように、何か権利関係について特別の立法をということになりますと、法務省その他ともなお十分研究する余地があるかと思うのでありますが、今のところは考えておりません。
  81. 横山利秋

    ○横山委員 簡単な問題ですから、簡単にお答え下さればいいのですが、私の言っておるのは、貸付を受けておる業者へ交換で売ってしまいなさい、こういうことなんです。ただ数千台あるのですけれども、それをやるためには、今ですら貸付料がなかなかとれないと、こうおっしゃっておる。機械はその業界に行っておるのですから、なかなか貸付料はとれぬ。とっても、このままいっそれが済むのかわからぬのだから売ってしまいなさい。売るためには、買付しやすいようにしないと解決がつきませんぞということを言っておるのです。特別な措置というのは、今日まで長らく使っておったのだから、それに対する手入れもしておるだろうし、部品も取りかえておるだろうし、そういうことも考えて、その既得権を尊重して、また政府も合理的な解決になるのだから、そういう意味で、特別措置を行政的にとって売ってしまったらいいじゃないか、こう言っておるのです。
  82. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまのお話でございますが、これはいわば行政の運用面だけの問題でありますから、私はある程度できると思います。現在までも一部やっておると思いますけれども、なお十分行き渡っていないような場合には、さっそく研究いたしまして、適正な条件を備えたものには交換の道、あるいは今まで投じていた有益費を考慮して交換するというふうな点について工夫をいたしたいと思います。
  83. 横山利秋

    ○横山委員 第三点、簡単に一つ質問いたしたいのですが、機械類が来年の三月までに済むといたしますと、次に全国に千数百万個あるという工具類の問題があるのであります。要点を申しますから、総合的に、個条的に御答弁願いたいのですが、この工具をどうなさるつもりですか。これら膨大な工具類を全国中小企業の発展のために払い下げる意思はないかどうか。現在の通達でも可能ではありますが、これを軌道に乗せておやりになる気持はないか。伝えるところによりますと、機械メーカー、工具メーカー、工具商が通産省に対して反対しておるそうでありますが、これは機械の交換と同じようなことでありますから、その反対論というものは、今日の中小企業の設備改善のためには、かえって呼び水になるのではないかと私は思っておるわけです。少くともこの膨大な工具類を、これは個々といってもめんどうでありますから、直接中小企業の需要者団体に、何らかの方法をもって払い下げなり、あるいはまたくず鉄と交換するとかなんとかする方法がこの際総合的に考えられるべきではないか。そのためには、機械で行われたような特別措置法の改正をも待って、具体的にこれを大がかりにやるというような気持はないものかどうか、この点をお伺いいたします。
  84. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま御指摘のように、工具と一般に私ども呼んでおりますものは、非常な大量に上りまして、御承知のように、ただいま選別の段階にあるわけでありますが、いずれこれは処分をいたさなければなりません。そこでただいまの御質問は、これを特別措置法の中小企業の設備近代化、合理化というものに寄与させるべく処分する意思はないか、こういう御趣旨と拝承いたしたのであります。私はぜひともさような面にも活用いたしたいと考えます。申し上げるまでもなく、措置法は機械及び器具という規定になっておりまして、この工具も含むわけでございますので、交換をいたす条件が具備しておる場合、すなわち中小企業がその設備を近代化する、あるいは合理化するために、それを促進することに寄与するということが条件になっておるわけであります。この条件を具備したものにつきましては、いわゆる三割五分引きでもって交換をいたしてよろしいと考えております。しかしそれだけで果してこの膨大な数量が処分できるかどうか、これは、今のところ一種の推測にすぎないのでありますから、あまりはっきり申し上げかれるのでありますが、これらの点につきましては、さらに今後調査を進めまして、今申し上げたようなことをも重要な一つの目標にいたし、さらにメーカーの方からのいろいろの要望もあるのでありますが、総合的に、ぜひとも経済全般の健全化に資するような方向にこれを活用したいというのが、大体の考え方であります。  この際特に申し上げておきたいのは、工具の場合、非常に小さな件数が多いわけでございますから、これを一人々々の業者の方といろいろ折衝するということは、なかなかむずかしいかと思います。機械ですらも、先ほど申し上げたように、手不足その他の関係でなかなか事務が思うように進んでおりません。つきましては、いよいよ今申し上げたような処分の段階に至りますれば、業者の方の適当な団体を相手にいたしまして、たとえば組合等で、組合の一切を取りまとめていただいて、これだけの古い工具を交換に出すから、これに対して新しい工具を出してほしい、こういうことで、ぜひ業界の御協力を得たいと、とうていこれは事務が円滑にいかないと考えておりますので、それらの点につきましては、なお実行の段階に至りまするまでによく一つそういう打ち合せもいたしまして、実行可能な方法でやっていきたいというふうに考えているのであります。
  85. 横山利秋

    ○横山委員 聞き漏らしたかもしれませんが、こういうことですか。工具についても交換は三割五分引きを適用するという意味ですか、何と交換をされるつもりですか。
  86. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは古い工具を提供されまして、それが中小企業の設備の合理化になるということが法律の条件になっておりますから、そういうふうな場合におきましては、業者との交換に応じていいのではないか、これがいわゆる特別措置法の改正された御趣旨でもあるのではないか、さように考えているわけであります。
  87. 横山利秋

    ○横山委員 大体わかりました。今のお話の具体的な措置として、その内容中小企業に十分にわかり得るような措置をしてもらうことを要望いたしたいと思います。私の質問は以上で終りますけれども、最も中心を置いた問題は、先ほどのあなたとの一問一答における機械の交換価格の問題であります。これは抽象的な言葉でありますが、あなたがここで御答弁なさった真意を了といたしまして、その具体的な運用実施の面を注目いたしたいと思います。
  88. 松原喜之次

    松原委員長 春日委員より関連質問申し出がありますので、これを許します。春日君。
  89. 春日一幸

    ○春日委員 大体横山委員質問並びにこれに対する正示さんの御答弁で了解ができたかと思うのでありますが、ただ一つだけ舞鶴の旧工廠、現在飯野重工が保管して使用いたしておりますが、それは法律関係において、どういう形でこれを管理使用しているのか、その点を一つ答弁願いたい。
  90. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは国有財産法に定められました、いわゆる貸付の形でやっているわけでございます。
  91. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、これは第二条の無償貸付になっているのですか。
  92. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは有償貸付でございます。従いまして、管理の規定の中に入っているのでございます。国有財産法第二十条に、「普通財産は、第二十一条から第三十一条までの規定によりこれを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、又はこれに私権を設定することができる。」という規定がございます。この規定による貸付の一つでございます。
  93. 春日一幸

    ○春日委員 そこで、この貸付の管理保管の条件ですが、何千台をどういう条件で貸し付けているか、概略でよろしゅうございますが、もし事務当局でおわかりになっておりましたならば、この機会に御説明を願いたいと思います。
  94. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 飯野重工に対する貸付を具体的に御説明するものでございますれば、ただいま資料を持ち合せておりませんが、場合によりましたならば、資料を取りそろえまして御説明いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  95. 春日一幸

    ○春日委員 いずれにいたしましても、この際伺っておきたいことは、とにかく二千数百台の国有機械でありまするし、なおこれに関連いたしまして、工場、土地、その他いろいろな付属財産があろうと思います。概要だけでけっこうでありますから、どの法律の第何条に基いて貸付が行われ、その賃貸条件といいましょうか、そういうものはどういうものであるか、この際判断の資料になります程度でようございますから、御答弁願いたい。できませんでしたら、またでよろしゅうございます。
  96. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 具体的な契約でございますなら、ちょっとわかりません。ただ台数は、先ほども横山委員から御指摘がありましたように、一括転用の分が約一千九百九十五台、これが今春日委員の約二千台と言われたそれに当るかと思います。これは先ほど横山委員からお話がございましたように、再検討いたしまして、ある程度交換の方に振り向けたい。その具体的な台数は、ただいま近畿財務局におきまして検討しておりますが、最終的には私の方で決定いたします。ただその貸付料はどのくらいかという契約の条項は、今手元に持っておりませんが、場合によりましたら、資料として提出いたしたいと思います。
  97. 春日一幸

    ○春日委員 実は先般来巷間の消息によりますと、この二千台近いところの工作機械は、必ずしも飯野重工の当面の生産の目的に使用されてはいない。第九条の交換の規定というものは、当然九条の二に優先するの措置でなければならぬと存ずるわけであります。従いまして、第九条本文の規定の、中小企業の合理化を推進するため必要があると認められる場合にはできるだけ早く交換をする、その他の場合について、第九条の二にいろいろ四段階にわたって区分けをいたしております。従って、この設備更新のための交換機械に充当するのは、やはり国有機械の処理の本筋であろうと考えるわけであります。現実に飯野重工が使用してもいないものを借りておるということはいけないことだろうと思うし、それから将来どうという問題については、第九条の規定がやはり優先的に効力を持たなければならぬと考えます。従いまして、これは大蔵省において当然良心的な処理がなされるとは思いますけれども、われわれもよく現実の事態を把握いたしたい。なお国会といたしましても、適宜な方策を講ずるの必要があろうかと考えられますので、私は、この際同僚委員の御賛同を得て動議を提出いたしたいと思うのであります。それは、委員長において適当な機会に、しかるべく委員を編成されたい。この舞鶴工廠の飯野重工に貸与もしくは保管されております実情を、一ぺん休会中でもけっこうでありますから、現地について視察をいたしまして実情に対する認識を深めたいと考えますから、そのような措置を講じられんことを望みたいと思います。  なおただいまお願いいたしました飯野重工と政府との間の賃貸契約に関する諸条件、これを一つ資料で御提出を願いたいと思います。  それから今触れられております機械器具の問題、これは、私はこの際申し上げておきたいのでありますが、国会においてもこれは最近の論議でありまして、一ぺんに事を運ぶことも困難ではありましょうが、法律では、その機械器具ということを立法の当初から明示をいたしております。しかるに政府は、この器具について今日まで一体法て参ったのか。現実にその交換が行われておりません。これは、同時かつ並行的に行なって何ら支障のないもので、法律の基準はすでに定められておる。何ゆえ政府はこのことを手がけて参りませんでしたか。すでに法律ができてから一カ年間、一個たりともその交換がなされていないということについては、何か特別な理由がありますか、この点伺っておきます。
  98. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど横山委員にもお答え申し上げましたが、機械の交換が、実はもちろん私どものふなれなためでもありますが、まず先ほどのお話のように、この九条の二の一号、二号、三号、四号とそれぞれ規定しておらるるところに従って選別をいたした、そこから交換に適したものを今交換を実施中でありまして、これが非常におくれておるような実情であります。本来ならば、これは並行的に進めていいのじゃないか、あるいは進めるべきではないかという御意見はごもっともでございますが、実際問題といたしまして、全国の職員を動員いたしましてもなかなか手が回らない。そこで機械の方が一段落つきまして、さっそく器具の方につきまして今選別をいたしておるのであります。この選別が終りますと、先ほども申し上げましたように、法律の定める条件を備えられた場合には交換をいたす、いわば内部の事務の手順から申しまして、まことにやむを得なかったということに実は尽きておるのであります。ただ、これはへ理屈と言われるとそうかもわかりませんが、やはり機械を一応お持ちになって——器具というものは、大体機械の部分品、あるいは補助的な作業をいたすということになりますので、どういう機械を交換でお受け取りになって、そこからどういう器具が必要かという順序に相なろうかと存じます。私どもの方では、機械の交換が終り次第、ぜひとも早く器具を選別いたしまして、それぞれ必要な方面に出したい、こう考えております。
  99. 松原喜之次

    松原委員長 なお春日委員提案委員を舞鶴に派遣の件につきましては、後刻理事会等で相談をいたすことにいたします。
  100. 春日一幸

    ○春日委員 これは重大な事柄を一つ二つ含むと思いますから、重ねて局長の御見解をお示し願っておきたいと思うのであります。この法律の条文は、いずれの場所においても「機械及び器具」とあるわけであります。それから今局長の御答弁の中に、まず機械の交換を終って、それからその機械に付属していかなる器具が必要であるか、新しい実情に即してというような御答弁でありますが、これは違っておると思うのであります。機械と器具とはおのずから別個の性能、性格を持つものでありまして、広くその器具を持っておる人は、器具と器具との関係において交換がなし得るものと考えておるのであります。機械及び器具ではない、機械並びに器具であって、それは全然別個の性格のものでありまして、何ら交換される機械との関係はないわけであります。従って、私はこの際特に申し上げておきたいことは、大蔵省は予算省といたしまして、法律に基いて、財源の裏づけを必要とするものは、当然必要なる財源措置を講ずればいいわけであります。今あなたは、こういう法律が通っても財源がなかったから、人手がなくてその措置がおくれたと言われるかもしれませんが、法律政府提案で出す限りにおいては、これだけの法律を施行するのにどれだけの人手が要るか、どの程度の行政費を要するか、こんなことはあらかじめ想定できることでありまして、それが必要であるならば、なぜその財源措置を講じられなかったか、それは重大なる手落ちでありまして、当然の義務を果されていなかったと思うのであります。それはそれでかりに宥恕するといたしましても、宥恕されがたきことは、この一カ年間に、今横山君指摘のごとく、この中古品についての価格のあるものはいい、ないものについては、時価との間に変動が生じておると思うのであります。あなた方のそういう予算の裏づけをする、こういう手続を怠ったことによって、当然この法律によって中小企業の諸君が得べかりし利益といいましょうか、ここに不当な負担をしなければならないような事態が発生して参るかもしれぬ。このことは最も重大なことであるわけであります。こういう法律ができたならば、同時かつ並行的にこの交換が行われてしかるべきであり、人手がなかったからできなかったということは許されない。今ここであなたを論難糾弾しても仕方がないことだから、今後の執行の面において、当然これは、あなたの方で来年度は必要なる財源措置を講ずること、この法律執行するに必要なる人が必要だったならば、人を雇い入れるための予算措置を講じなくてはならない。法律だけ出しても仕方がない。あらゆる法律については必要なる財源措置が全部講じられているのに、この法律だけ講じられないというはずはない。これは明らかに正示君の手落ちであろうと思う。そこで今度機械をやるについては、当然あなたの方がやるべきことを怠ったのだから、この一年の間においてもしも時間的にそういう値段が暴騰したり何かしたならば、すなわち中古品としての価格のないもので時価によらなければならぬという事態が発生して、そうしてそれが中小企業者が不利を生ずるような場合があったら、これは政府の責任においてそういう面をカットする、こういうことが私は当然の措置だろうと思うが、そういう意思があるかないか、この際御答弁を願いたいと思います。
  101. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの一般的に、法律執行のために必要な予算の裏づけという点についての御指摘は、まことにごもっともでありまして、これは、私ども法律を忠実に施行していく責任を負っておるものといたしまして、ぜひさようにいたさなければならぬと思うのであります。ただ見込み違いと申しますか、機械、器具等については、全く予想以上な事務量になっておりまして、遅延をいたしたことはまことに申しわけないと思っております。その点は今後も十分注意して参りたいと存じます。  ただいまの重ねて器具の点についての御質問は、やはり器具は器具同士で交換する、それはその通りてありまして、施行令の中にもはっきりと、一年以上使っておった器具、しかもこの交換する機械というものは、同種のものであることというふうな規定がございまして、その点は、そういう条件を備えたものに対しまして交換をするということにはっきりなっております。私も、実は実情をあまり存じませんが、工具の中には機械と完全に独立した、たとえばといしというふうなものも入っておりますから、そういう場合は、むろんこれは別個にできるわけでございますが、中には、また部品のようなかっこうになっておるものもございます。そういう部品的なものは機械がきまって、その次に工具——ことに交換される場合は、一つの工具がついておって、今度はさらにそれの取りかえの工具を交換するということも考えられるわけであります。  それからもう一つは、機械はお話通り、鉄材その他の関係で非常に値上り等が起っておるのでありますが、交換の場合は、差額を金銭で決済するものをできる限り少くいたしまして、できる限りいわゆる交換の本来の形にいたすべく努力をいたしておるのであります。しかし、機械はなかなかうまくミートいたしません。どうもやはりある程度お金を出していただくということになりますので、今春日委員もおっしゃられましたように、この場合に、鉄材が高くなったからといっていきなり両方の価格を上げるわけでございますが、やはり差額はある程度出てくる、これをできるだけ上げないようにすることは、先ほども申し上げた通り、私どももさように心得まして、法令の許す限りそういう努力をしたい。工具の場合は、相当うまく数量的にミートするのではないか、従って差額を決済する場合が比較的少くて済むのではないか、ことに三割五分引けるわけでございますから、相当程度にその点はうまくいくのではないかと考えます。これは言いわけがましくなるかもしれませんが、工具はあとに回しましたが、実際の交換の際には、あまり交換がおくれるようなこともないのではないかと考えております。
  102. 春日一幸

    ○春日委員 自来大蔵行政は傲慢かつ間抜けであります。これから質問を行なおうとしまする金融行政にいたしましても、第一相互の例があり、あるいは徴税行政においても大口脱税があり、われわれの見るところでは、いろいろ非難事項ばかりであります。しかしこの問題については、正示君はなかなか誠実にやられました。  そこで問題は、今後の多くの工具の処理とか、あるいは貸与してあるものや、管理を命じてなお残存いたしております機械の処理は、今横山君の指摘のごとく、実際大蔵行政の中にはまれに見る善政であったわけであります。そういう意味で、幸いに委員長のただいまのお話の中にもありました通り、近く現地を視察するのでありますが、どうかそういうようなものは、実情に即して、かつ立法の精神に照らして、迅速に経済活動の現場にこれらの機械を活用できるようにしたい。これは政策的な問題で、あって、あくまで中小企業振興対策にあるわけでありますから、今後とも一そう精力的な処置をされんことを強く要望いたしまして、私の質問は終ります。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問は簡潔に申し上げますけれども、今焦点となっております専売公社職員の年末手当の問題であります。これはもうあなた方も十分御承知のことでありますから、問題点だけ一つ明確にいたします。  本年の三月三日に提示されました調停案は、国家公務員と同一割合を支給し得るよう予算措置を講ずることになっており、公社当局はこれを受諾をしておるわけであります。この受諾という意味は、どういう意味で受諾をなさったのか、それをまず伺いましょう。
  104. 三枝正勝

    ○三枝説明員 調停案に対しまして公社側が受諾の回答をいたした条項にも明らかでありますように、業績賞与というものは公共企業体にありますが、この業績賞与を含めて、国家公務員の期末手当と同一の割合になるように公社側としてはいたしたいという意味で受諾いたしたわけであります。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、無条件という意味において受諾をなさったと理解してよろしゅうございますか。
  106. 三枝正勝

    ○三枝説明員 無条件と申しますか、今申し上げたように、結局総合的に見まして期末手当、業績賞与等を合せまして公務員と同様になるように努力しよう、こういうことで受諾いたしたわけであります。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 そのあなた方の方で負われた義務を今果すべき段階にあるのですが、義務を果す決意ですか。
  108. 三枝正勝

    ○三枝説明員 年末手当につきましては、先般来組合と団体交渉をやっておるわけでございますが、公社側といたしましては、先ほど来横山委員の御指摘の通り、公社側が調停案を受諾いたしましたので、公社側といたしましては、調停案の趣旨に沿って努力いたす決意で、目下団体交渉を進めております。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 年末手当とあわせて、賃金の引き上げの調停案が出ておりますが、これも適当な時期に改善をするということになって受諾されているはずですが、この点についても同様ですか。
  110. 三枝正勝

    ○三枝説明員 調停案の第一項につきましては、いろいろな内容を含んでおるわけでございますが、公社側といたしましても、調停案の趣旨に沿うよう努力いたしたい考えではありますけれども、何分にも第一項の問題につきましては、予算的に特に大きな関係があります。単に今年度内だけの問題ではなくて、将来にも予算的な関係で見通しをつげなければならぬというようないろいろな問題が含まれておりますので、公社側としては、できるだけ調停案の趣旨には沿いたいと思っておりますけれども、特に予算の裏付に果して見通しがつくかということがはっきりいたさなければ、最後的に、内容いかんによっては直ちに実施するということはできないと考えております。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、受諾にならないじゃありませんか。あなたの方が第一項についても受諾をしたということは、適当な時期ということにはなっているのだけれども、三月に受諾をしてから十二月の声を聞き、来年ももう間近に控えているのに、適当な時期というのがいつのことやらわからぬ、こういうことで真摯な気持の受諾ということが言えましょうか。
  112. 三枝正勝

    ○三枝説明員 適当な時期につきましては、調停案が出た後、先般来から組合とも交渉を続けておるわけでございますけれども、適当な時期に関する公社側としての考えにつきましては、現在においては、いまだその適当の時期にあらず、こういう工合に考えておるわけであります。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 一年たって、適当な時期にあらずというような、そんなものの言い方ができましょうか。それでは受諾ということは、専売公社は組合側に一ぱい食わしたことになるじゃありませんか。調停案受諾という意味じゃないですよ。それだったら拒否をして、あらためてやるということになるじゃありませんか。そういう受諾ということは、職員部長だと思うのですが、一体あなたは労働関係をどう思っていらっしゃるのですか、そんな受諾の仕方がありますか。
  114. 三枝正勝

    ○三枝説明員 調停案の回答書にもありますように、その趣旨に沿って十分検討いたしたい、こういう回答をいたしておるわけでございまして、第一項の問題についての内容的な一番中心は、ベース・アップの問題だろうと思いますけれども、公共企業体、特に専売の関係のベース・アップの問題については、現在検討はしておりますけれども、公社側としては、とにかくいまだその適当な時期ではない、こういう工合に考えているわけでございます。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃ全くインチキといいますか、その趣旨に沿ってもおらぬということになるじゃありませんか。あなたも労働関係を長らくやっていらっしゃると思うのですけれども、そういう気持が労使の関係に対して非常に悪影響を及ぼすであろうということは、予測がつきませんですか。もうこれで年末を前にして、第一項にしろ、第二項にしろ、解決をしなければならぬ時期です。  あらためてお伺いしますが、専売公社としては、自主的な団体交渉を労働組合とやる決意ですか、やっておるのですか。どうもあなたの話を聞けば、横にすわっておる人の気がねをしていらっしゃるような顔をしておるのですが、あなた方自身が、ほんとうに労働組合とここ二、三日の間に話をつけるという決意を持ってやっていらっしゃるのですか。
  116. 三枝正勝

    ○三枝説明員 先ほど来申し上げておるように、第一項の問題については、公社側としてはそういう考えでおりますので、ここ二、三日に結末をつけるとかいうような考えには至っておりません。
  117. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、約束をしておいてやれません、そうしてタイム・リミットにも合せない、こういうことですね。  あなたにちょっと別な角度でお伺いしたいのですけれども、専売公社の労働組合は、経営について意見を言うことはできるのですか。
  118. 三枝正勝

    ○三枝説明員 団体交渉においてどういう事項について交渉するかということについては、法律その他で明らかになっておりますが、公社側としては、組合の意見等も十分取り入れてやるという用意はありまして、それぞれ団体交渉以外においても話し合いの場というような適当な機会を持って、十分話し合いを行なっておるわけであります。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 聞くところによりますと、あなたの方は、専売の労働組合がたばこの今後のあり方について意見を言うたら、要らぬことを言うてけしからぬ、書面で言ったか、怒ったか知りませんけれども、労働組合はそんなことを言うてはいかぬと言った覚えがあるのですか。
  120. 三枝正勝

    ○三枝説明員 その点につきましては、最近販売規制反対運動を行うという、特に無差別にきめられた益金確保には反対しろというような内容、しかも特にバット、新生の規制販売に反対し、そしてもっぱら専売公社はピースのような高級たばこを強硬に押し売りを続けておるというような内容のビラでありました。御承知のように専売公社は、現在原料事情等の関係で、バットなり新生の製造が思うようにできておりません。そして大衆の要望に必ずしも沿えないような面があるかもしれませんけれども、それは、今申しましたように、原料事情等から見てやむを得ずそういう事態になっておるわけでございますが、現段階においては、公社としては、現在におけるたばこ販売政策を最も適切なものとして行なっておるわけでございます。にもかかわらず、今申し上げましたような内容のビラを頒布せられるということは、公社の運営自体にも大きな影響があり、さらにまた公社の目的である専売益金の確保ということにも大きな支障を来たす原因にもなると考えられますので、公社といたしましては、そういうことを行うことは職員の職責にももとる、好ましくないと思われましたので、できるだけビラの頒布は中止するように組合側に言ったわけでございます。
  121. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは、一ぺんあとで速記録を見て、ゆっくり考えてほしいと思うのです。新生は一カ月のうち十二日、バット、みのりは二十四日の品切れ、そんなことをやっておいて、今の専売公社の経営がきわめて適切であるから、お前ら余分なことを言うてはいかぬ、そんなことはおかしいじゃありませんか。かりにあなたが、この品切れの現在の実情については申しわけないというならいざ知らず、どこへ乗っけるか知らぬけれども、品切れはきわめて適切な経営のやり方であるという結果になっておるのです。私の言わんとするところは、今の経営が、材料が品切れであるならばあるで、なぜ材料を品切れさしたのかという経営責任は、あなた方感じなければだめですよ。自分たちの経営の失敗をたなに上げておいて、その経営の失敗を労働組合からつかれたからといって、お前そんなことを言うのはけしからぬというのは、まさに天につばするも同様じゃありませんか。それではいかぬ。あなたは、公共企業体労働関係法も御存じだと思う。なるほど団体交渉はしておる。しかし経営について意見を聞くのは、これは労働大臣もはっきり言っておるところなんでありますから、自分の痛いところをつかれたからといって、それで処分するとは何事ですか。こういうばかなことはないでしょう。おもむろに自分たちの経営のまずいこと、原料不足を来たした遠因等も考えて、これは労働組合の言うのも、まあ言い方は少し強過ぎるかもしれないけれども、自分らも責任はあるかもしれないくらいのことは言わなきゃだめですよ。それを言わずにおいて、自分のことはたなに上げて、労働組合に、経営についてものを言うてはいかぬとかなんとかいうことは、これはもう全く専売公社としてはいかぬと私は思うのです。そういう調停案の受諾をしながら、今十二月の五日にもなって、調停案第一項はいつのことかわかりませんなどと、こんなことは私は義理にも言えたことではないと思う。それに一方労働者のことに対しては、お前そんなことをやれば処分するぞ、——しかも全然労働組合運動と関係がないんですよ。それに、専売公社の労働組合が今日まで経営に尽した功績ということを考えなければいかぬ。あなたはきょうどういう立場でここへ出られたか知らぬけれども、いささか軽率に過ぎる。もう少し真摯に、労働組合との団体交渉の実情なり、経営の苦衷なりを話して、御了解を願いたいと言うならいざ知らず、第一項はいつのことかわかりませんということでは、あなたが全く専売公社を代表しているとは聞き取れないと思うんですが、その点いかがです。
  122. 三枝正勝

    ○三枝説明員 先ほどのたばこの問題については、これは、今後とも原料等の政策につきましては、善処するように公社全体として考えていきたいと思います。  それから労働組合との関係におきましても、もちろん先ほどおっしゃったような、処罰するとかなんとかというような言辞を弄したことはないのでございまして、あくまで組合とはほんとうに解け合い話し合って、納得のいくような労使の関係を保っていきたい、こういう工合に今後とも考えているわけでございます。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 お隣にすわってらっしゃる方にお伺いしたいのですけれども、専売公社と専売の労働組合は、法律上許された団体交渉権を持って、それで今交渉をしているわけです。今職員部長の三枝さんは、どうも何もないと言うているんですけれども、これについては、やはりあなた方大蔵省筋としての多少の牽制があるからだと私は思うわけです。これはいろいろと問題がありましょう。しかし専売公社は、今のお話によるならば、まあ多少の含みはあるように聞えますが、公社と労働組合との団体交渉を一日も早く成熟さして、そして円満なる妥結に向わしめるというゆとりを、大蔵省としてはお持ちになるかどうか。もうこれは端的に、率直にお尋ねするのでありますから、歯にきせを着せないでお答えを願いたい。専売公社の代表者としても、多少のゆとりを持っての話だと思いますし、その交渉に対して自主性を与えて、多少でこぼこはあっても、すみやかなる解決を望むというのが国民の偽わらぬところだと思います。この点について大蔵省の御意見はどうですか。
  124. 白石正雄

    ○白石説明員 調停案の実施につきましては、公社側におきまして目下検討中でありまして、給与総額の範囲内におきまして自主的に解決せられることを期待しております。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 それはうまいことをおっしゃるんだけれども、私はこの問題も政務次官に質問したんです。給与総額のワク内ということは例年言われることなんです。けれども年末にどういうふうに予算を動かされておるかということは、あなたも御存じの通りなんです。例年の例にならってやって差しつかえないという意味ですか。それとも、ことしは特にきつく締めますよと、こういう意味ですか、どっちです。
  126. 白石正雄

    ○白石説明員 私もまだ昨年のことの詳細を実はよく承知いたしていないわけでございますが、給与総額の範囲内におきまして、自主的に解決していきたいと存じております。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃ白石さん、あなたにお伺いしますが、あなたが監理官になったからというて、去年よりきつく締めるということはしないんでしょう。
  128. 白石正雄

    ○白石説明員 給与総額の範囲内におきましては、締めるとか、締めないというような問題は、大蔵省としてはいたしていないわけでございます。
  129. 横山利秋

    ○横山委員 職員部長に最後に申し上げておきたいと思います。あなたはえらい切り口上な話をなさったんだけれども、必ずしもそういうことではないと私は思いたいのであります。何となれば、調停案を受諾したという公社の気持というものは、あなたが第一項についておっしゃるようなことでは、これは非常に刺激するところも大きいし、一般の職員に対しても、これは専売公社の誠意が疑われるところだと思うのです。すでに人事院勧告については、政府部内においても検討を始めておる。そして総理大臣も尊重すると言っておる。労働大臣も、今のところ明言ができないけれども、必ずこれは百パーセントか何十パーセントか知らぬけれども、やりますと言っているんですよ。あなたの方は、三月に調停案が出て、三月にもうすでに受諾している。言葉の言い方はいろいろある。けれども受諾している。また一方に出た人事院勧告について、総理大臣も労働大臣も言っているときに、専売公社を代表したあなたが、いつのことかわかりませんと言うことは、理屈に合うことか合わぬことか。専売公社を代表して職員の気持をくんでおるなら、まずそういう言葉は出てこない、客観情勢にあると私は思う。あなたとしては、むずかしいけれども、できるだけ近いうちに努力したいぐらいのことはなぜ言えませんか。何というお言葉か、私は憤慨にたえぬけれども、しかし隣にすわっており、前には皆さんがおいでになるから、まず一応そうおっしゃったんだと思う。私の気持はわかったと思うから、——これじゃあんた、この速記録を組合に見せてごらんなさい。ばかにするのもほどがあるということになる。そういうことじゃなしに、もう一ぺん調停案に対する今日の態度というものを、専売公社を代表して説明をしてもらいたい。
  130. 三枝正勝

    ○三枝説明員 先ほどの言葉がやや誤解があったように思いますが、私の申し上げることは、今先生のおっしゃった気持と全然変りがないわけなんでして、公社といたしましても、調停案をのんだ以上は、調停案の趣旨に沿えるよう努力したい、こういう気持が一ぱいでございます。ただし最初にも申しましたように、完全に受諾するためには、いろいろ予算の伴う問題等が非常に多いので、そういう点もよく検討の上で、できるだけその調停案の趣旨に沿うようにいきたい、こういう考えでありますので、重ねて考えを申し上げます。
  131. 春日一幸

    ○春日委員 それでは、人事院の職員課長にお伺いをいたします。今回第一相互銀行経営が放漫に流れまして、その経営者の中に背任、不徳、かつ無能と思われるような事柄がもりまして、本委員会といたしましていろいろと調査を進めて参りましたところ、この第一相互の再建のための大蔵省の指導監督とでも申しましょうか、それが各条件において、法律に違反をいたしておる面が少くはないわけであります。なおこの相互銀行全体といたしまして、大同小異と言っては語弊がありまするが、これに類似をいたしておりまするような事柄も、また随所に見受けられるわけであります。不思議に思いまして、大蔵省と相互銀行との関係について、また別の角度から視野を転じて調査をしてみましたところ、最近二カ年間に大蔵省を退職して相互銀行の役員になった者が、われわれが調査した範囲内でも十数名をこえるわけであります。いずれも相互銀行の直接監督の任にありました者が、それぞれ相互銀行の常務取締役、あるいは監査役と、その経営の責任的な立場に就任をされておるのであります。このことは国家公務員法の第百三条でありますか、その規定並びにその第二項、それは「人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」とあるのでありますが、これは人事院の承認を得た場合は、またその限りでないとあるわけであります。従いまして、私はこの際人事院にお伺いをいたしておきたいことは、過去二カ年間におきまして、大蔵省からこういう相互銀行の重役に就任する事柄について、この国家公務員法に基いて承認を求めて参っておるかどうか。そうしてまた、どういうわけで承認を与えられておるのであるか。この点を一つ答弁を願いたいと思います。
  132. 中村一成

    ○中村説明員 昭和二十九年度と三十年度におきまして、お尋ねのように、大蔵省の関係から相互銀行の方に就職をされましたことについて、人事院の方に承認の手続をとられ、許可申し上げましたものは、二十九年度におきまして六件ございます。三十年度におきまして……。
  133. 春日一幸

    ○春日委員 こういう工合に御答弁願いたい、申請された数と許可を与えた数、二十九年度に申請は何件……。
  134. 中村一成

    ○中村説明員 申請は六件ございまして、六件承認をいたしております。それから二十年度におきましては七件ございまして、七件御承認をいたしております。それで人事院といたしましては、十二級職以上の方々が離職後営利企業の地位におつきになる場合におきましては、人事院の方の承認を得ていただく建前になっておりまして、その方の審査をいたしまして、法の精神によって差しつかえないものは御承認を申し上げる、こういうふうになっておるわけでございまして、ただいま申し上げましたものは一々御審査いたしまして、差しつかえないとして承認いたしたのでございます。
  135. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの御答弁によりますと、これはまるで法律というものは、もう死文にもひとしいものであります。法律の精神というものは、こういうところへこういうように天下り的に就任していけば、いろいろ弊害を伴ってくるから厳にこれを禁止する、こういうことが法の建前なんですよ。そして特殊の場合においては、その人事院規則の定めるところによって、あなたの方が承認を与えることもできることになっておるわけなんです。今回いますると、これはまるで申請の一〇〇%じゃないか。二十九年度において六件の申請に対して六件の承認、三十年度において七件について七件の承認、これでは百三条の精神も、それから百三条の第二項の精神も、これは全然滅却されてしまうと思うのだが、一体これはどういうことなんです。これを禁止しているのが本来の建前なんであって、許可をするのは特殊の例外なんですよ。ところが例外どころじゃない。申請をすれば全部許可になるのでは、こういう法律は要らぬじゃありませんか。現にこういうような事態によって、これから銀行局長に御質問をいたしまする多くの弊害を生じて参りまして、ために預金者に対して大へんな被害を与えており、今や重大問題化しようとしておるこれらの事柄は、もっぱら人事院がこの法律の精神というものを全然重視していない、その結果こういうような驚くべき事態を招来したことと断ぜざるを得ない。これは、一体どういうわけでこんなことになっておるのか。中村さんにこの際伺いたい。
  136. 中村一成

    ○中村説明員 御指摘をいただきましたように、公務員法の百三条はその二項におきまして、「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」とありますが、第三項に、「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。」とございます。従って御指摘のように、全面的に禁止しておるのではないのでございまして、人事院といたしましては、かねて各省に対しまして、いろいろ各省とお話し合いをいたしまして、人事院の方にお出しを願います場合に、十分あらかじめ事務的な打ち合せをいたしまして書類を出していただくわけでございます。従いまして、なるほど申請のものと、許可件数とが同一になっておるのでございますけれども、事務的に承認になる可能性があるものにつきまして申請をしてもらうことになっておりますので、そのようなことになるわけでございます。法の精神といたしましては、要は公務員が公務員をやめたあと、営利企業につくことを全然禁止するということではございませんで、問題は、その職員としての在職中に、そのような営利企業につくという前提のもとに、在職中の勤務が乱れるということを禁止しておるわけでございますので、その一々の例につきまして、その方のおやめになります前、過去五年間の経歴であるとか、おつきになるところの営利企業における地位その他につきまして、乱れる心配がないといったものにつきまして御承認を申し上げる、こういうことになっておるわけでございます。   〔奧村委員「ちょっとその点に関連して……」と呼ぶ〕
  137. 春日一幸

    ○春日委員 この人事院の出席を求めたのも、僕が求めたのであり、なお僕は、委員としてこの調査を進める必要があったので、それで所要質問を始めておるわけなんです。しかるところ、何か奥村君が先に要求したのだから、ああだこうだというような苦情があるようで、本員としては、はなはだ質問を続行することをいさぎよしとしないのであります。従いまして、私は奥村君がやったあとでやりますから、また十分にやらして下さい。
  138. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの御答弁について、私ちょっと納得がいかぬのですが、国家公務員法の百三条の二項に基くというのですが、それに基いて人事院規則が出ておるわけです。一体人事院規則の中のどの条項に基いて役員就職を許可されたのですか。この人事院の規則を見ると、役員の就職というものは非常に厳格に押えてあるのですが、どの条項によるのですか。
  139. 中村一成

    ○中村説明員 人事院規則は一四−四でございまして、それの第四項の規定に基いて承認をいたしておるわけでございます。
  140. 奧村又十郎

    ○奧村委員 人事院規則の四項は、「前二項各号の一に該当する者」ということになっておるのですが、前二項というのはどの部分ですか。役員就職というものは、この中に入っておらぬと思うのですが……。
  141. 中村一成

    ○中村説明員 前二項と申しますのは、この一四−四の二項と三項でございます。従いまして、これは役員もこの中に当然含まれておると解釈いたしております。
  142. 奧村又十郎

    ○奧村委員 人事院規則一四−四の二項を読むと、ただし、役員たる営利企業の地位につくことはこの限りでない。従って、役員に就職した者は、この二項に該当しないわけですね。そこで五項において、「前三項に規定する場合の外、営利企業への就職を承認されない。」というのは、どの条項によるのですか。
  143. 中村一成

    ○中村説明員 ここにございます通り、一四−四の第二項によりますと、行政機関職員定員法によりますところのいわゆる行政整理であるとか、その他の場合におきましては、第二項に掲げる場合は、もう人事院の承認があったものとみなすというふうに書いてございます。従って、この場合には手続が要らないのでございます。しかしながら、ただし役員たる営利企業の地位につくには、当然承認があったということにならないで、やはり手続をとっていただきたい、こういうふうになっておるわけであります。
  144. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは、役員としての許可をとる手続は、どの条項によるのですか。
  145. 中村一成

    ○中村説明員 先ほど申し上げました通り、この規則の四項によって承認の手続をとるものと解釈いたしております。
  146. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その四項をお持ちですか。
  147. 中村一成

    ○中村説明員 はい。
  148. 奧村又十郎

    ○奧村委員 四項は、前二項各号の一に該当する者が役員たる営利企業の地位につくことを承諾けるときは——そこでこれについて、先ほど春日委員質問のように、ただ申請したら全部承認しておる。そうすると、特別の事情なんというのは考えられぬのですが、この四項に「特殊な事情が存し、」というのがあるでしょう。その特殊な事情というのはどういう事情があるのですか。
  149. 中村一成

    ○中村説明員 たとえて申しますならば、行政機関職員定員法に基きますところの、いわゆる定員法に基く行政整理ではないけれども、しかしながら老齢であるとか、あるいは官側の方から、この際退職していただいたらどうだろうかといったような、いわゆる行政整理といったような事情等がこの特殊な事情というふうに運用いたしております。
  150. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほどお尋ねしたのは九人の者ですが、九人ともお年寄りというわけでもあるまいし、そういうことで通るとすれば、申請を出せば全部通すのですか。たとえば断わる場合はどういうことで断わるのですか。
  151. 中村一成

    ○中村説明員 もちろんそのような老齢者であるとかいうことは、一つの例でございまして、先ほども申し上げました通り、その方の現在ついていらっしゃる地位と、それから営利企業との関係につきまして密接の関係がないという場合が大部分の場合でございます。例を申し上げますならば、たとえば、運輸省の職員が運輸省と全然関係のない営利企業の地位につくといったような場合等でございます。
  152. 奧村又十郎

    ○奧村委員 今問題になっているのは、大蔵省の財務局の金融課長、銀行局の課長補佐、銀行局の金融検査官、財務部長、そういうのは、相互銀行を取り締る直接の責任者あるいは担当官でしょう。それが取り締られる相互銀行の常務取締役あるいは専務取締役に入るんでしょう。それが特殊な事情で許されるんですか。これは特殊な事情で認められないはずです。そんなことを認めたら、検査をやっている間に、今度は君のところの常務に入るとか、入ってくれとかいうことで検査に手心をしたり、検査ができぬことになる。それが特殊な事情で認めるということになるのですか。
  153. 中村一成

    ○中村説明員 一々の例につきまして具体的に研究いたしました結果、さしつかえないと認められる場合があるわけでございまして、そういう場合に御承認をいたしているわけであります。従いまして、ただいま御指摘になりましたように、たとえば大蔵省の金融関係の方が相互銀行にお入りになるというそのことだけから見ますと、いかにも法の精神に反しているようでございますが、具体的な一つ一つの問題に当っていろいろ研究しまして、さしつかえないという判定をいたしたわけであります。
  154. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、ただいまお尋ねしているこの九人は(「十三人だ」と呼ぶ者あり)例外なしに特殊な事情として認められた。そうすると、特殊な事情というのは、むしろ逆に利用されている、かように思うので、これ以上の議論は、一人々々のケースをお尋ねしなければならぬということになるのですが、一人々々の許可された事情についての何か資料をお持ちですか。
  155. 中村一成

    ○中村説明員 人事院といたしましては、ただいま申し上げました二十九年、三十年の大蔵省関係金融機関に就職されました方々につきましては、ただいま手元に資料を持って参っております。従いまして、御指摘いただきますれば、こちらの方で何ゆえに許可したか、どういう事情があったかということにつきましては、お答えできます。
  156. 奧村又十郎

    ○奧村委員 いかがでしょうか、どうも非常にあいまいですので、二、三具体的にその事情を聞きたいと思いますが、時間の関係もありますが、さしつかえありませんか。委員長にお尋ねいたします。
  157. 松原喜之次

    松原委員長 いいでしょう。ちょっと奥村さん、個人の問題ですから、速記をとめてやりますか。
  158. 奧村又十郎

    ○奧村委員 けっこうです。
  159. 松原喜之次

    松原委員長 では速記をとめて。  〔速記中止〕
  160. 松原喜之次

    松原委員長 速記を始めて下さい。
  161. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それぞれの当人の事情を承わりますと、まことに形式的なやり方で、法の真の精神を貫いておるとは思えないのです。今の御答弁のようなことですと、それじゃ、申請があった場合に断わるのは、具体的にいうとどんな場合に断わるのですか。具体的に断わる理由一つ聞かしていただきたい。
  162. 中村一成

    ○中村説明員 先ほども申し上げました通り、営利企業への就職につきましては、あらかじめ各省から御連絡もいただきまして、事務的な御相談を受けるわけでございます。それで、もしこちらで御承認できないようなケースにつきましては、それはおやめを願いたいというふうにいたしまして、書類を出していただかないことになっております。従って、現在のところ書類が出るものにつきましては、あらかじめ十分な審査が終ってからお出しを願うということになっておりますので、申請件数と承認件数がぴったり合っておりますが、そういうような事情でございます。もちろん、いろいろどうであろうかというお話がありました中で、それは困るといって翻意されるように申し上げた例もございます。
  163. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの答弁には、私は不満足でありますが、これはなおもう少し具体的な事例を調べた上で、重ねて別の機会に一つお尋ねをいたしたいと思います。しかし問題は、今まことに不祥な事件を起した第一相互銀行においても、前役員の三人は大蔵省出身である。残念ながら、その間にいろいろな検査の手心というか、銀行検査監督がまことに不十分であった。その不十分であった事情の裏に、そういう人事の面にも間違いがあったのではなかろうか、こういうことであります。  そこで銀行局長にお尋ねいたしますが、第一相互銀行の不始末を来たした責任者である前役員、堀口社長初め大蔵省出身者が数人おられるはずであります。私の方にも記録はありますが、先ほど午前中に資料要求としてお願いしてありますように、これらの第一相互銀行の前役員及び現役員の中で、大蔵省の役人であった人々、それらの方々の経歴を一つお尋ねいたします。
  164. 福田久男

    ○福田説明員 以前の第一相互銀行の役員の中で、大蔵省の出身者と申しますと、常務取締役に根橋武男という人がおりました。この方は、昭和五年に東京商科大学を卒業されまして、昭和十三年に大蔵省銀行局の方へ入っております。その後昭和二十八年に神奈川相互銀行に就職、常務として就任し、二十九年六月に第一相互銀行に入りております。その年の十月に常務に就任しておりますが、その後、今年に入りましてから、ちょっと期日ははっきりしませんが、五、六月ごろじゃなかったかと思いますが、退職をいたしております。  それからいま一人は、平取締役として梅北末初という方が入っておりましたが、この方は、大正十一年に東京商科大学を卒業されて、直ちに大蔵省に勤務され、昭和二十四年ごろに大蔵省を退職しまして、二十四年三月に富士製紙株式会社の取締役に就任されております。その後、昭和二十七年に富士自動車株式会社の常務取締役に就任されております。昭和二十八年の十月に非常勤の平取締役として就任いたしております。  あとは、大蔵省出身というべきであるかどうか、若干私どもどうかと思う点がありますが、事実だけ申し上げますと、監査役の春日敏という方は、大正二年に大蔵大臣官房銀行課に勤務されておりまして、大正十年にはこの会社に入っておりますので、その間ずっと官房銀行課にいたのじゃないかと想像されますが、大正二年から十年までの問題でございますので、はっきりわかりません。  それからもう一人、取締役の安藤秀雄という人は、大正六年に大蔵省銀行局に勤務しておったことになっております。昭和四年に第一相互に入社しておるということでございます。なお社長の堀口貫道氏も、これもはっきり記憶をいたしませんが、たしか大正五年に官房銀行課に勤務しておったことがあるという程度に聞いております。
  165. 奧村又十郎

    ○奧村委員 渡部常務は。
  166. 福田久男

    ○福田説明員 渡部常務は関係ございません。渡部常務は、昭和四年に専修大学を中途退学をいたしたのでありますが、昭和二年に当社に入社いたしておりますので、おそらく学校は、入社しながら行ったんじゃないかというふうに思われます。従って大蔵省には全く関係がございません。いわば第一相互銀行のはえ抜きということでございます。そのほかの取締役、たとえば樫村功という取締役がおりますが、この方も大蔵省には全く関係がございません。監査役に吉能角太郎というのがおりますが、この方も関係ございません。
  167. 奧村又十郎

    ○奧村委員 新役員。
  168. 福田久男

    ○福田説明員 新役員について御説明いたしますが、新役員の取締役社長島崎政勇社長は、昭和十八年に大蔵省の大蔵省監督官というのに就任されまして、昭和十九年の十一月に無尽統制会に入られたのであります。その後無尽統制会から全国相互銀行協会の常務理事に就任されて、今回相互銀行界を代表するという意味であろうと思いますが、第一相互銀行の社長に就任されたわけであります。昭和十九年に大蔵省は離れておるわけであります。それから常務の館内四郎常務は、大蔵省に関係ございませんで、日本相互銀行をおやめになって常務にお入りになった。同じく常務の佐藤寛一氏は、大蔵省に関係ございません。東京相互銀行から第一相互にお入りになった。
  169. 奧村又十郎

    ○奧村委員 関係のない者はけっこうです。もうほかにはないのですか。
  170. 福田久男

    ○福田説明員 それから井上貞二、これは常務でございますが、昭和十三年に大蔵省に入りまして、三十年でございますが、平和相互銀行に就職いたしまして、そちらから第一相互に入っております。それからあとは監査役に富樫久吉、この監査役は非常勤でございますが、昭和五年に大蔵省に就職されて、昭和十七年におやめになっております。その後弁護士を開業されておるのであります。今回非常勤の監査役として第一相互銀行に就任されたのであります。あとの方は関係ございません。
  171. 奧村又十郎

    ○奧村委員 前役員の根橋武男という人は、最近まで第一相互の役員をしておって、たしかこれは昭和二十六年ころまで銀行検査官をしておったのじゃなかったかと思ったんですがね。これは事件が起って、ことしの六月にやめたと思いますが、何かこの根橋君も、また悪いこと、事件か何か起したのですか。六月にやめた、この重大な時期に役員がやめた。やめたのか、やめさせたのか、これはやはり今度の非常な不始末に何か関係があるのじゃないですか。そのやめた事情をお尋ねいたします。
  172. 福田久男

    ○福田説明員 詳しいことはよく存じませんが、社長その他の重役から退職を勧告されたのではないかというふうに思います。
  173. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その社長から退職を勧告された理由を、実はうわさは聞いておりますが、そういうことは当てにならぬので、銀行局の方でよく検査なさったことと思う。こういう不始末を起せば、六月にやめたとはいえ、これはさかのぼって役員としての責任を追及しなければならぬはずです。従ってやめた、あるいはやめさせた理由というものは、あなたの方でおわかりであるはずであります。そのやめた、やめさせた理由をお尋ねしておるわけです。
  174. 福田久男

    ○福田説明員 内部関係のことでございまして、はっきり申し上げるほどの自信もございませんので、お許しを願いたいと思います。
  175. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、人事院の方はまた日をあらためてお伺いいたします。  どうも肝心の点になると答弁を逃げられますが、こういう不始末を起した以上は、まだやめて半年そこそこですから、不始末に関係があるとすれば責任を追及せにゃならぬ。うわさに聞くと、四億円ほどの不正貸付をやったとかいう理由を聞いておるのですが、やめた、やめさせた理由、そんなことがわからぬはずはないでしょう。お尋ねします。
  176. 東条猛猪

    東条説明員 私の承知いたしておりますところでは、何か再建の方策について社内に意見の一致を見なかったということが原因であると聞いております。別に根橋前常務の責任で不正貸付があったという事実は、私は承知いたしておりません。
  177. 奧村又十郎

    ○奧村委員 しかし根橋という男は、警視庁の捜査を受けたのじゃないですか。
  178. 東条猛猪

    東条説明員 特別背任の容疑でもって取調べと申しますか、捜査と申しますか、受けた者の中には、根橋前常務は入っておらぬと承知しております。
  179. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは、第一相互が不祥な問題が起って、これは損害が数十億といわれておる。その損害を埋めるには、まず株式なり積立金なりでありますから、当然この第一相互の株式というものは、ただになるはずですがね。ところがこれが相当の価格で買い占められた。一億四千万円で買い占められた。それによって役員の更迭が行われた、こういうことでありますが、検査監督のお立場の銀行局にその事情をお尋ねいたしたい。私の承知しておるところでは、一億四千万円で株式が買われた、その資金が富士銀行から出されたということをちょっと聞いておるのでありますが、その事実についてお尋ねいたしたい。
  180. 東条猛猪

    東条説明員 私どもは、この第一相互銀行につきましては、非常に遺憾な事態を招来いたしましたが、御承知通りの再建方策を講じまして、相当の日子は必要といたしまするけれども、新しい経営者のもとに再建の方途を講じなければならぬ、また再建ができるようなことを絶対やっていかなければならぬ、かような建前ですべての方策を講じておる次第であります。それから株の問題でありますが、ちょっと私今その正確な数字につきましては、実は取り調べ中で御即答いたしかねますが、新しい役員ができ、また再建資金の供給を行うにつきましては、ある程度やはり関係銀行の方で株式を所有いたしまして、事実上経営権を取得しておくということが、再建に乗り出す以上必要でございますので、再建資金の供給に当りました相互銀行等におきまして、法規の許す範囲内におきまして株の取得をしたという事実はあると承知しております。
  181. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこで、これは株式会社である以上は、今までの株主が払い込んだ株金の範囲内で責任を負うわけです。従って、そういう不始末をやったのだから、株式を手放すということは考えられます。しかしそういう不始末を起した相互銀行の株式を、他人さんがそう好き好んで買うはずはない。そこで今のお話しのように、再建工作に非常に熱意のある人が買うということになるのですが、そうしますと、その株式を買うたのは、どういう資金でどういう方面が買うたのですか。
  182. 東条猛猪

    東条説明員 再建資金を供給いたしまして第一相互の再建に乗り出しましたのは、先般も申し上げましたように、富士銀行もございますが、もちろん相互連帯という思想でもって、相互銀行協会を中心にして相互銀行が乗り出したわけであります。従って乗り出した以上は、固く再建をせしめるという確信のもとに、しかもその目的を達成するがために、経営の実際を把握するという必要があるわけであります。そういう観点から、再建ということを信じて、それらの関係銀行が必要な程度において株券を取得した、こういう事情であると承知しております。
  183. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、他の相互銀行が、その相互銀行の資産の中で第一相互銀行株券を取得したのですか。
  184. 東条猛猪

    東条説明員 お話しの通りに、援助に乗り出しました相互銀行が第一相互銀行の株を取得しておる、かように承知しております。
  185. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではその株主のおもな——今回の再建に際して、第一相互銀行の株式を取得したそれらの相互銀行名と、株数を明日資料としてお出しを願います。
  186. 東条猛猪

    東条説明員 これは個々の相互銀行内容でございますので、むしろ奧村委員にお願いいたしたいことは、御承知通りの協調融資の金額、大体ああいう割合に応じまして必要な株数を取得しているということで、御容赦をいただきたいと思います。
  187. 奧村又十郎

    ○奧村委員 相互銀行が他の相互銀行の株式を買うということは、私は法律の精神に違反しておると思う。一体どの金でそういうものを買うたのですか。
  188. 東条猛猪

    東条説明員 私どもは、法規に照らしまして違反の生じないということを確認いたしております。
  189. 奧村又十郎

    ○奧村委員 違反の生じないということはあなたの主観的な考え方で、各相互銀行から出した金そのものはどこから出したかということをお尋ねしておる。
  190. 東条猛猪

    東条説明員 各相互銀行の自己資金で買っておるわけであります。
  191. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうすると、その株は各相互銀行が別々に取得しておるのですか。
  192. 東条猛猪

    東条説明員 仰せの通りであります。
  193. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは、その再建に際して、第一相互銀行の株式を取得した各相互銀行ごとの株式の数と、その相互銀行の名前を明日資料として出してもらいたい。
  194. 東条猛猪

    東条説明員 先ほども申し上げておりますように、各相互銀行の具体的な株式取得の問題でありますので、できますれば、具体的な計数は提出しないように御容赦を願いたい、こういうことを申し上げております。
  195. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それほどういうわけですか。あなたの答弁は途中でするっと逃げるのだが、どういうわけでそれは発表することができないのですか。
  196. 東条猛猪

    東条説明員 何も私、絶対に発表できないということを申し上げておるわけではございません。各相互銀行が取得いたしました具体的な個々の株式の数の問題でありますので、個々の取引の問題でありますから、できますれば御容赦を願いたいということを申し上げております。
  197. 奧村又十郎

    ○奧村委員 こういう特に不始末を起した銀行の株というものは、いわばゼロでしょう。資本金二億円、積立金何千万円、そこへ持ってきて数十億の赤字欠損でしょう。そういうものを各相互銀行が相当の値段で株式を買う、こういうことは常識ではあり得ない。しかも相互銀行法の業務の中にはない。大切な預金者の金ですよ。それを使ってその株を買うたということでありますから、各相互銀行の勘定からその金を払ったのか、一体その金はどこから出したのかと言うのです。
  198. 東条猛猪

    東条説明員 先ほども申し上げておりますように、再建に乗り出しました各相互銀行といたしましては、相当の日数は要しまするが、必ずまた再建できるという確信のもとに必要な再建資金の供給を行なっておるわけでございます。従いまして、各相互銀行は、そういう意味の再建資金の供給をやったと同じような考え方から、再建に乗り出した以上は、途中でそれらの経営にいろいろの点から障害が起ってはかえって因るということで、経営態勢を固める必要から、いわば第一相互銀行の再建というこの目標のために、各相互銀行が自分の金で株式を取得した、かような事情でございます。
  199. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこまでは差しつかえない。そうしますと、要するに一億四千万円もの株式を各相互銀行が取得したというのですが、その株式の代金は、各相互銀行が別々に払ったのですか。
  200. 東条猛猪

    東条説明員 仰せの通りであります。
  201. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それは、銀行局長も、この国会における答弁には十分責任をお持ちでありましょうから、そのお言葉には間違いないと思います。従って、私のお尋ねするのは、明日、第一相互銀行の株式を取得した各相互銀行ごとの株式数、代金、相互銀行名、それをお出し願いたい、こういう要求をしておるので、もしお出しすることができないとすれば、どういう事情でお出しができないかということなのです。
  202. 東条猛猪

    東条説明員 今まで申し上げました事実には違いないわけであります。ただ私が申し上げておりますことは、各相互銀行が具体的に何株を取得したかという資料の提出は、できますれば御容赦をいただきたい、こう申し上げておるわけであります。
  203. 奧村又十郎

    ○奧村委員 株式の取得が差しつかえないというならば、どの相互銀行が幾ら取得したということを発表したって、別に何ら差しつかえないと思いますが、なぜそれを発表しにくいのか、その理由をお尋ねいたします。
  204. 東条猛猪

    東条説明員 もし私の申し上げておりまする事実関係の御確認が必要であるということでありますれば、私の申し上げておることを御信用いただきたい。それからおよそどういうようなことで持っておるかということであるならば、各相互銀行がどういう金額をいわゆる再建資金のために供給しておるか、これは奧村委員承知通りでありまして、大体そういう割合で持っておるということで御容赦をいただきたい、こう申し上げておるわけであります。
  205. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、どうもその相互銀行が資金を出しておらないと承知しておる。もし各相互銀行が資金を出しておるというなら、その株数と資金と相互銀行名とを発表しても差しつかえないでしょう。発表して差しつかえあるならば、その差しつかえる理由を言ってくれというのです。どういうわけで差しつかえるのですか。
  206. 東条猛猪

    東条説明員 各相互銀行から代金を出しておるということは、これは私が先ほど来申し上げておりますように、出しております。これは事実であります。しかし私が申し上げておりますることは、各相互銀行ごとに株式を何株持ったということは、具体的ないわば取引内容の問題になりますので、提出することは御容赦願って、私が申し上げておりますることを御信用いただきたい、こうお願いしておるわけであります。
  207. 奧村又十郎

    ○奧村委員 実は信用しにくいからお尋ねしておるのです。これはどうも少し話が食い違いますが、そういたしますと、重ねてお尋ねしますが、各相互銀行は、相互保障協定に基いて資金なりあるいは有価証券なりを出しておる。それから今度の第一相互に対する救済融資を十数億出しておる。そのほかに株式の買い取り資金を出したのですか。その株式の買い取り資金はどういうようになっておるのですか。これは相互銀行協会でまとめてやるのですか。各相互銀行が別々に株式を持っておるのですか。
  208. 東条猛猪

    東条説明員 再建資金といたしまして、相互保障協定によって集まっておりまする有価証券を担保にいたしまして、資金の調達等を行い、これが三億円、それから全国の相互銀行から供給いたしました金が、この三億円とは別に十二億円、合せて十五億円がいわゆる相互銀行協会から出ておるわけであります。そのほかに今御質問株券、つまり有価証券の支払い代金が各相互銀行ごとにあると御承知いただきたいと思います。
  209. 奧村又十郎

    ○奧村委員 よくわかりました。そういたしますと、再建計画については、導入預金の三分の一は支払う、あとはたな上げ、これを任意で協定したということでございますが、ただいまの貸借対照表を見ると、導入預金が相変らず二十三億ある。これは全部導入預金とは言えぬのでしょうが、この二十三億の内訳をお尋ねいたします。
  210. 福田久男

    ○福田説明員 ただいまの御質問は、預金が二十三億八千八百万あるが、その内訳はどうかという御質問だと思いますが、内容的に申しますと、その二十三億の預金のうちで、すでに導入預金処理方式に従って、預金者の同意を得て処理済みで預かっておりますものが、十一億六千五百万ございます。なお未処理のものが残りの五億何がしでございまして、差引が一般預金ということになるわけでございます。
  211. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、残りの一般預金は約六億五千万ほどあるんですが、それは一体どういう預金ですか。導入預金でないというと、小口の預金というわけですか。つまり大体百万円以下とか、そういうことで分類なさったのですか。
  212. 福田久男

    ○福田説明員 導入預金というのは、はっきりこの口が導入預金だということがわかるものでございます。従って、導入預金は概して大口が多いわけでございますが、中にはそれほど大口でないものも含まれております。ただいま一般預金は、概して小口が多いと思いますが、最高が幾らであるかというところまでは、ちょっとここで申し上げる用意がございません。しかし、たとえば定期預金だとか、あるいは通知預金、普通預金、当座預金等にそれぞれ受け入れがございまして、今申し上げたようなことになっておるのでございます。
  213. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、今の御答弁によって、結論的には、概括して導入預金の中の約十五億あまりがすでに任意によってたな上げの話が解決された、こういうことになりますか。
  214. 福田久男

    ○福田説明員 今のバランスとちょっと日にちが食い違いまして恐縮でございますが、二十四億のうちで、十二月四日現在で処理のついたものが十七億一千万ございます。これは二十三億に対して七四%に当っております。残りの金額は、まだ未整理になっているということでございます。
  215. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、五億円というものは相変らず未処理ということになっておるのですか。
  216. 福田久男

    ○福田説明員 先ほどの答弁をちょっと訂正させていただきたいと思います。先ほど未処理の分が五億何がしと申し上げたのでありますが、定期預金の中で未処理のものが五億五千三百万ございまして、実は通知預金の中にも導入預金が含まれて、それが九千二百万円ございますので、それを足しますと六億四、五千万円になるわけでございます。
  217. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その六億四千万円というのは、現在の未処理の分でございますか。
  218. 福田久男

    ○福田説明員 今の説明は、お配りいたしました十一月二十日現在のバランスについて申し上げたのであります。最後に申し上げました十七億というのは、十二月四日現在、多少日にちが食い違っておりますけれども、その辺の事情は御容赦願いたいと思います。
  219. 奧村又十郎

    ○奧村委員 二月の貸借対照表をお願いしておきましたが……。
  220. 福田久男

    ○福田説明員 午前の資料の御要求ですが、午後までに印刷その他聞に合いませんで、お許しを得られれば、ここで数字を申し上げますが……。
  221. 奧村又十郎

    ○奧村委員 明朝でもいいです。
  222. 福田久男

    ○福田説明員 あとでよかったら印刷いたします。
  223. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それから二月の銀行検査報告の際に、法令違反について具体的に検査報告はなかったんですか。あったとすれば、それをお尋ねしたい。非常に長文なものだとすれば、資料に出していただきたいと思います。
  224. 東条猛猪

    東条説明員 ごく簡単でございますから、口頭で申し上げます。相互銀行法第十条違反でございますが、これは、この前もちょっと申し上げましたが、十七件ございます。それから法令違反ではございませんが、いわゆる大口貸し出しを規制するようにという通牒違反、金額は御承知通り一千万円でございますが、この大口規制の通牒違反が二十二件。それからもう一つは、相互銀行については、営業区域の指定があるわけでありますが、この営業区域を越えたいわゆる区域外の貸し出しが五件ございます。これが二月に検査した場合の法令ないし通牒違反の事実でございます。
  225. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その当時の監査書というものは、監査役から出ているはずですが、その監査書と事実との相違は認められなかったか、あるいは監査書は出ておらなかったのか。
  226. 東条猛猪

    東条説明員 もちろん検査官は、当時の備付の監査書は十分見ております。ただ、私が先ほど御説明いたしました、三項目にわたる法令ないし通牒違反の事実が監査役の監査書の上にあったかどうかは、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
  227. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それは二月の銀行検査で、これほどの事件を起しながら、いまだにもってその当時の監査書が事実に相違しておるかどうか、いましばらく検討の時間を与えてもらいたいというのは、これはまた銀行局長として少し無責任な答弁じゃないですか。そんなことを言われるから、適切な取締り対策ができぬと思うのだ。これだけでも銀行局長は責任をとってもらわなければならぬと思いますがね。しかしこれ以上は、これは大蔵大臣質問したいと思いますから、これで質問を終ります。
  228. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明六日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時四十一分散会