○正示
政府委員 重ねての御
質問につきましてお答え申し上げます。特別会計の問題は、確かに前会におきまして当
委員会でも横山
委員から
お話がありました。また企画部会におきまして、この問題は非常に重要な問題として
検討されております。今までの大体の
考え方でございますが、ただいまの
お話にもございましたように、日本の財政は、やはり総
予算主義という
一つの大きな主義をとっております。その点は、かねて
財政法その他で
国会でもお認め願っておるわけであります。従いまして、やむを得ざる必要のある場合、あるいはどうしてもそういう積極的な必要のある場合を除きましては、特別会計というものをみだりに作るべきではないという御趣旨は、私もさように心得ております。ただ、ただいま
お話の
国有財産の非常に重要な管理、処分につきまして、それが会計
制度としてどうしても
一般会計では
処理できない、あるいは
処理することが不適当であるということがいろいろの点において具体的に指摘され、ただいま申し上げたような総
予算主義の例外としての十分な
理由が成り立つときに初めてお認めをいただけることになると思うのであります。これは
一つの歴史的な事実で、古い話になりますが、大正年代、そういう財政の見地から、特別会計というものをきわめて厳正に整備をしておった時代があるわけでございますが、その当時におきましても、実は
国有財産の整理資金については、
一つの特別会計をもってやっておった時代がございます。それの功罪はいろいろあろうかと存じますが、この国
会議事堂でございますとか、あるいは中央官衙の建物等がその整理資金の特別会計の財源によって建設を見ておったのであります。ただいまも御指摘のように、ただ単に
一つのセクショナリズムから、特別会計を作ってやった方が
予算も少しとれるというようなけちなことで設けることは、絶対に許されないと存じておりますが、今日までの企画部会の議論は、やはり特別会計にしていった方が管理、処分の基本的なあり方として果して適当であるかどうかという点について、主として議論がなされております。そういう場合に、今まで出た議論の
一つといたしましては、財産を
一つの会計の財産と考えまして、そこでいわゆる価値の動態的な変動と申しますか、常に財産の全体について価値計算的な
考え方を入れる。わかりやすく申しますと、ある意味の企業的な財産の意識といいますか、そういう
考え方を持つ場合におきましては、やはり特別会計がこの財産を管理していくのだ、また処分した収入はその会計に帰属するのだという
考え方、これは
一つプラスの面としてあるのではないかというふうな議論が出ておることは事実でございます。さらにまた今申し上げたように、単に官庁営繕でございますとか、公務員宿舎でございますとかいうふうなものだけをこの特別会計の支出でまかなっていくということは、世間もなかなかお認めにならないかもしれないけれ
ども、たとえばこの特別会計の支出面に、
一般庶民住宅を建設することを
一つの大きな支出項目として考えていくというふうなことはどうであろうかというような議論も出ておることは事実であります。しかし第二の議論に対しましては、今日必要なのは単に住宅問題だけではないので、いろいろと必要な重要施策があるのであるから、これは一利あって一害またなきにしもあらずというような批判も出ておりますが、そういうふうな
状況でございまして、実はこの特別会計をこの際設けるかどうかということは、非常にデリケートな段階にあります。そこへもって参りまして、今横山
委員も御指摘のように、
一般的に公庫、公団、あるいは特別会計を作りたいというふうな要求があちこちにございまするので、これは私
ども大蔵省の内部の者といたしましては、よほど積極的なプラス面がない限りは、なかなか簡単に実現ができないのじゃないか。いつも大蔵省はそういう場合に犠牲になりがちなのでございまして、従って、この点につきましては、なお慎重に
一つ企画部会におきまして
検討していただきたいと考えておる次第であります。
それから第二の、一体
国有財産は全体としてどのくらいになっておるのかという点についてでございますが、これは、実はかねて申し上げておりましたように、本年の三月三十一日現在で価格の改定をいたしました。大体の概数で申し上げますと、
国有財産全部が約二兆億と御了解願えればけっこうでございます。そのうち私
ども大蔵省が普通財産として管理処分をしていきます、直接私
どもの対象になっておりますもの、すなわち各省各庁が行政財産として所轄しておりますものを除きましたものが、これの約一割一分くらいに当りますところの二千二百億見当になっております。これがいわゆる普通財産として大蔵省で管理し、直接処分の対象になるものでございます。
今まで管財行政の
一つのあり方として、
審議会等でもいろいろ御議論を願い、さらにまた常に
国会等でもいろいろ批判されておりますが、この普通財産二千二百億くらいのものは、できれば早急に処分をいたしまして、国民経済の必要な方面に活用されることが一番望ましいと考えます。もとよりこの中にも、たとえば防衛庁におきまして必要なもの、あるいは社会福祉の
関係とか、さらにまた今も申し上げた住宅の
関係でございますとか、いろいろ国家的あるいは公共的な用途に充てるべきものもなお相当あると存じますが、大体今日貸付をいたしておる、少くとも有償で企業へ貸付をいたしておるようなものは、先ほ
ども申しました、
一般の条件がわれわれに有利に展開いたしております際に、できる限り払い下げをいたしまして、ほんとうに経済の発展のために寄与さすべきが当然かと心得ております。この点は、
審議会等におきましても、大体そういう
考え方は是認されておると思うのであります。ただ、これには大きなリザーヴがあるのでありまして、二千二百億と申しましても、相当のものがなお駐留軍のために、いわゆる提供財産になっております。提供財産はだんだんと解除されておりますが、解除されました場合に、さてこれをどう使うかという点につきましては、先ほど申し上げた国家的、あるいは公共的な用途というものを相当考えて参らなければならないのじゃないか。従ってそういう面につきましては、なお相当
検討の余地があるのでありますが、少くとも会社、個人等に貸付をいたしておるようなものは、できる限りすみやかに適正な条件で処分ができますれば、処分をして参りたい、かように考えます。この
考え方は、
審議会等においても御了承いただいておるのではないかと考えます。
今申し上げたようなことを概算といたしまして、もっと積極的に大蔵
委員会等において御議論を願う必要があることは、私は全くその
通りだと思っております。きょうは、幸いにしてそういう点について
委員会で発言の機会を与えていただいたわけでありますが、やはり今申し上げたように二兆億の全体の財産、そのうちから二千二百億というものがわれわれの処分の対象になっておるのでありますから、これらにつきましては、われわれとしても、今の
お話の中にもありましたが、たとえば
国有財産白書というふうなものをぜひ近いうちに出したいと考えております。価格の改定も終りましたので、これは
一つぜひとも第一回を近いうちに出したい。それから
審議会等にはいろんな方においでいただいておりますので、機会あるごとに、それぞれ実情について御
説明をいたしておりますが、もう少し
一般からとにかく関心を持たれまして、一体
国有財産は今どうなっておるか、あるいは手近なところでどういう財産が今処分されようとしておるかというようなことが、絶えず
一般の方々にわかっていただくような方法をぜひとも講じて参りたい。それには、
国会の当
委員会におきまして大いに御議論を願うことが非常に有意義であると私は考えておるのであります。先ほど申し上げましたように、企画部会におきましては、普通財産の
処理の基本的な方向を達成するために必要ないろいろの
制度の
改正、あるいは機構の
改正等を今後
検討されるわけでありますが、私といたしましては、ぜひともこの大蔵
委員会におきましていろいろ有益な御議論をしていただきたい。むろん
制度機構が本格的に固まります場合は、当
委員会において御
審議をいただくことはもとよりでございますが、その事前におきましてもいろいろ御議論をいただくことは、まことにありがたいことだと思います。