○森(三)
委員 それは非常に高橋さんは錯覚を起しているんですよ。お互いにこの
政治の府というものは
国会でしょう。しかも、ことしの例の乱闘
事件というものは、
選挙法を改悪するという、自民党の諸君でも反対する人が三分の一くらいあったところの、あのゲリマンダーを阻止するために起きたのです。いわゆる暴力法案に対してその対抗上起きた。あの
選挙法をもし作ったとするならば、買収、供応というものはどれほど激しくなるかわからないのですよ。そういう悪質な身勝手な
選挙法を粉砕するためにああした問題が起きたのです。私利私欲のためにわれわれの
同僚がああいうような事犯を起したわけではないのです。しかりとするならば、当然これを
政治犯の第一号にして、それこそ
恩赦の恩典に浴させなければ筋が通らぬと思うのです。それは、自分たちの政党の人々の
選挙違反を、自分たちの議員の議席を救済することですよ。結局、最後までいけば、これはみなばたばたと将棋倒しに失格する連中を救済するために、しかも、長い間その事犯が継続してもう四年も五年もやっている。一審、二審、三審をやると、もう十年ぐらい引っぱれる。かつては、静岡県の
選挙違反で、ある当選者が五十人も弁護士を頼んで十年間引っぱったことがあるのです。そうすると、その間
恩赦が二、三回くらいある。現に、この終戦後、
恩赦がやはり四、五回行われているのです。そのたびごとに
選挙違反が救われている。そういうような
選挙違反だけを救済するというような
恩赦をやるから、先ほど島上君が
新聞に書いてある論調をあなた方に読んで聞かした。あなた方でも理論的にそこに矛盾撞着があることを自覚されたと思うのです。しかし、あなたに今ここで言ったところでしょうがないから、私はこのことをぜひとも
牧野法務
大臣にあなたから伝えてもらいたいと思う。今後、私は、あなたにお会いしたときに、
牧野法相に言ったかどうか聞きますからね。また新しい法務
大臣にもこの点を私は追及します。
それと関連して私は福原さんにも
お尋ねしたいのだが、今度のこの
恩赦によって
選挙法違反を救済するということでもって、今後
選挙法違反というものがまた激増するのではないかということを、われわれは非常に懸念するのです。
法務省としては非常に反対の空気があったのですが、これは私は当然だと思う。これは法務総裁ではないから的確な御
答弁はできないかもしらぬけれ
ども、しかし法務総裁というのは国務
大臣であります。いわゆる
政治家です。あなた方はほんとうの立法と司法から分離された仕事をするのですが、純粋的な理論的な立場に立って物事を処理できると思うのです。あなた方の内部にもちろん
異論があったと思うのです。これは当然だと思いますが、一応御
所見を承わって記録にとどめておきたいと思います。