○渡辺(惣)
委員 労働大臣には、十一月一日に労働省で相当の時間をかけて
山本君や私
どもとあなたと懇談してもらったと思う。そのときあなたは、この
提案の仕方については、
スト規制法を
延長するという場合と、廃棄する場合と、それからいずれかを
国会の
審議にかけるというのと、三つの
出し方があるが、しかし今のところ
政府当局としては、
労働大臣としては、
国会の
審議にゆだねるというような
態度は
——政府側としてはどうもはっきりしないが、
自分の方としては、やはりこれを
延長するという
提案の仕方をすることになるだろう。しかしやはり
国会においては、十分お互い慎重に
審議をし合って、
一つ慎重に処理していこう、こういうことをあなたが言われ、事実一時間近い会談でありますから、
山本君も、その他幹部も立ち合ってお宅の次官も立ち合って、話をされておるのでありますが、そういうあなたは非常に物わかりのいい、堂々たる大臣としての会見の模様であったわけです。従って私
どもは、一応この法律案については、
延長してもらいたくないという申し入れ、
延長反対を申し入れにいったんだが、あなたは、この
延長を停止するわけにはいかぬ、出すには出すけれ
ども、十分党とも、また
委員会においても十分
慎重審議するという
態度を表明された。ところが、そこへ
国会法五十六条の第二項の
ただし書きで、突然提出されてきた。別にこの
手続以外にも出す方法がある。しかるに、この条件によってのみ、あなたは特定の条件をもって
出してきた。しかもその
出し方についてふに落ちないのは、さっき
自分の方は、一応
国会が開かれたので、早期にそれぞれ事前に心づもりをしてもらうために早く
出したんだと、こうおつしゃいますが、これはもう天下公然の法律であるので、これは十一月二十一日まで
提案の猶予期間があるわけです。
国会を召集してから十日以内ですから、十二日から数えて十一月二十一日までの間に、あなたの方で
提案されれば、一応
延長の趣旨は通るわけです。あとは可決するか、否決するかは別問題として……。そこで、なぜ一体二十一日までに所要の
手続を済ませばいいものを、十二日に突然出されたか。しかもそれが持ち回り閣議であって、閣議において、
鳩山首相以下、
日ソ交渉が第一という重要な
国会に臨むに当って、閣僚総員が集まって、
諸般の
情勢を検討して、熟盧の上これを
出したというならまだしもですが、持ち回り閣議でこれを
決定した。もちろん最初の署名人は
提案者であるあなたである。しかも、そういうような
出し方をしたという判断の中には、今の秋季年末闘争を控えた労働
関係があるので、早期に、できるだけすみやかに労働状態の安定を期するためだ、そういう政治的配慮がその中に含まれたとおっしゃる。ところが、はからずもあなたの
提案の仕方の誤まりから、さっき
鳩山首相がおっしゃった
通り、意外な波乱が起っておると言っておられる。すでに、所管大臣として労働
関係を安定しようと思って早期にこういう
提案の仕方をしたというあなたの
発言と
——内閣の最高
責任者である
鳩山首相は、意外に、このことがこんなになろうとは思わなかったのに、
出してみたら意外な混乱が起っておると、本人は明らかに驚いておる形です。そうしますと あなたが労働
関係の安定を期そうとして
出したという
労働大臣としての親心は、一応聞いておいて、その結果は、政局のこいいう重大なとき、いわゆる
鳩山さんの退陣の花道を傷つけることにもなってくるし、国際問題としても、
日ソ条約批准について少くとも若干の相違が出てくる。しかも、あなたの、労働
関係の安定を期そうと
考えたというものの判断の
考え方は、あべこべに労働
関係に油を注いでしまって、かえって広範な労働基本権の問題と、当面の給与の問題、いわゆる官公労その他の給与問題は、あくまで給与問題として発展して
——それはあなたが給与
関係の担当大臣として折衝されておるわけですが、そういう時局的な、例年繰り返されて積み上げられていく問題と、労働基本権に関する問題とを、ここであなたが無理に結合させてしまったということになるわけです。
〔
委員長退席、園田
委員長代理着席〕
あなたは労働
関係の早期解決を期待したと言うが、あべこべに油を注いで闘争の激化を生じたということは、あなたの
情勢判断の誤まりからこうなったのだ、この点を
一つはっきりしてもらいたい。あとでこの
国会闘争を
中心にして、
国会の中でいろいろな不測な
事態が
鳩山さんにもかぶるでしょうし、あなたにも大きな迷惑がかかっていくと思いますが、それはあげてあなたのその
情勢判断の誤まりから現われてくるものである。このことを今日はっきりしておかなければならぬ。自今起ってくる問題に対して、閣内において、
日本の現状においても、この問題によって生ずる
諸般の問題をあなたにしょってもらわなければならない。このことの判断から、あなたと
鳩山さんとの間において十分な思想統一なしに、
労働大臣が勝手に持ち回り閣議で文書を持ち回って、ばたばた署名さしてしまった。しかも最後に、あなたは、十二日の午前十時何分かに提
出したと言われておるが、その書類に、大臣は署名した、持ち回り閣議では判は押したが、そのことが
国会に
提案される時期については指示しておらぬ。それは
言葉ではそういうことを言っておるが、裏返して言えば、二十一日までに
提案してもよかったということになるかもしれぬ。しかしあなたが、それを
国会に
提案した
責任は私にはない、それは
内閣の総務課長がやったのだ、私は知らぬというのは、無
責任きわまると思う。少くとも所管大臣として、そんな
手続を
国会に十二日にして、
国会混乱の最初の火をつけるに至ったこの文書の
手続については、
自分のあずかり知らざるところだ、それは
内閣の総務課長、がやったので、私は知らぬ、そんな無
責任な話がありますか。そういうものの
考え方がどこからきておるかというと、この法律が三年間の時限立法として存在しておるうちに、ストライキも何も一ペんも起っておらぬ。この事犯にひっかかる問題は
一つも起っておらぬ。だから、この
法案を
延長するということになって、社会労働
委員会にかかった場合には、あなたは非常に困難な立場に置かれる。その困難な立場を防止するために、それをさらけ出すのはいやだから、この法律を突然五十六条の二項で、緊急の
事態ありと認め、
委員会の
審査を省略して無理に出そう。内容を討議されるとあなたは困るので、論議の材料はないから、突然あなたはこういうような措置で、一切口を封じ、目を封じて、
法案を一挙に
出して押し切ろうとはかったのではないか、こういう点を
一つ明らかにしてもらいます。