○
山下政府委員 ただいま
委員長より
お話のありました一時
帰国者問題につきましては、当
委員会におかれましては、二回にわたりまして、これに対して
政府当局として責任を持って善処するようにという御
決議がございました。この御
決議を尊重いたしますことはもちろんのこと、私
ども当局といたしましても、この問題は、皆様御
承知のように、そもそもの起りは、
日本の
引き揚げ三
団体と
中国紅十字会との
北京会談によってなされたものでありまして、その
協定の一時
帰国を
希望する人の資格というものは、来る
旅費、
滞在費、帰る
旅費等を持っておる者に限るということになっておりました。しかしながら、私ちょうどこの一時
帰国者が最初に
日本へ着きました八月一日に舞鶴へ迎えに参りました。そのときすでに一銭も持っていない世帯がおることを確認いたしておりました。従いまして、それから今日まで
日本国内に滞在している間の
生活につきましても、帰って
肉親を尋ねてみたところが、やはり
戦争の
あとのことでございますから、必ずしも
生活が豊かでないというような
家庭が多うございましたために、非常に
苦労をいたしたようでございます。しかしながら、各県におきましても、あるいは
婦人団体等におきましても、いろいろこの問題に御
協力を願いまして、今日までとにもかくにも参ったのでありますが、さてあの夏の暑いとき、着の身着のままで
帰りました者が、この寒い年末を控えまして、同時にまた彼女らの子供の
教育の問題もあり、いろいろ
家庭生活上の問題もありまして、どうしてもすみやかに帰したいと
考えて、いろいろ
努力をして参りました。従来のような
興安丸が
集団帰国の方を
お迎えに行くという船便があれば、非常に幸いと思いまして、再三
中国にお
問い合せをいたしましたけれ
ども、十月
一ぱいは
集団帰国はないという
回答に接しましたので、それでは別な方途を講じなければならないということで、
事務当局がいろいろ
努力をいたしました結果、ごく近い将来に全員まとめてお帰しをするという運びに大体完了いたしそうな段階でございます。本
委員会の御
決議を尊重して、その御
決議を実際に現わすということが辛うじてできましたことを、
事務当局としては非常に幸いに思っておるのでございますが、なお一そうの御
協力、御支持を賜わりまして、これを完成いたしたいと思っております。要しまするのに、近い将来、全員まとめて、
帰りの
旅費がなくて船に乗れないというようなことがないように、国の方で
旅費等も調達いたしまして帰すことになりましたので、その点御
報告を申し上げて、御安心を賜わりたいと存ずる次第でございます。