○三輪
説明員 ただいま
警察に関して御発言のありましたことは、まとめてみますと三つほどあろうかと思います。第一は十二月一日の朝ピケ隊に対して
京浜港運の
労務者が無理やりに入ったときにけが人が出たが、それに対して
警察は何ら
措置をしなかった、当時ハンマーを手に持っておったというようなお話であります。この点につきましては現地からの報告によりますと、十二月一日の朝その
現場に百名余りの
労務者のピケ隊がおり、そこから
京浜港運の
労務者が船に乗るということでありまして、そこで不測の
事態が起りますことをおそれ、
現場付近に私服の
警察官五名を派遣いたしまして視察に当っておったのであります。午前七時十五分にトラック四台に分乗いたしました
京浜港運の
労務者約百四十名が到着いたしましたが、その際に
責任者であるというのかどうかわかりませんが、数名の方同士で入れろ入れないというような話が数分間ありまして、
京浜港運の
労務者は五列縦隊になって、ピケの正面から実力ででも入るという態勢を示し、二、三分間もみ合った後、後尾の三十名ほどがどうしてもそこを通れないということで、残った者は
引き上げたということであります。その際にハンマーをおのおのが持ってなぐり込みをかけたというような先ほどの
参考人の御発言もありましたが、
警察の見たところでは、ハンマーを当日の
作業に——あとで聞いたことでありますが、自動車の積みおろしにハンマーが要る
作業があったそうであります。四角い一尺四方ほどの箱に紙に包んだハンマーを持ち込んだ。それがそういう混乱の際に落ちた。それを大ぜいで踏んだりけったりするものですから箱がこわれまして、ハンマーが出た。それからそのハンマーをピケ隊は証拠だからといって持っておった。これは後に返したそうですけれども、証拠にするというようなことを言っておられたという情報はいろいろ聞いております。しかしおのおのが腰にさし、手にハンマーを持って、それがピケ隊を破って通るのに威力を示したということではなかったように聞いております。
それからけがの問題でありますけれども、わずか数分でありましたが、もみ合ったわけであります。あるいは傷を受けた人があるかと思いますが、
警察も数が少かったので、目につかなかった点があるかと思います。そのことについては後にだれだれがこういう被害を受けたという届出もありませんし、当時の
責任者について、どなたがけがをしたということも聞いてない。そういうことがあったということで、別に被害を受けたという話も聞いておりません。また付近の医者等で手当を受けた事実もありません。ただ数人の者が一人の人を押し上げて落すというような格好をしておるところの
現場を見た者が一人おって、けがをしないようにしろということを注意してやめてもらったことがある以外には、けが人が出るような
事態ではなかったと思います。しかしいずれにいたしましても、大ぜいの人たちがぶつかり合ったことでありますから、すぐに制服
警察官を呼んだわけでありますけれども、約三十数名の
警察官が
現場に到着いたしましたときには、前半は中に入り、後半はそういうことであきらめるという状態でありますから、それ以上、
警察官が実力行使をしてどうするというようなことをしたわけでは決してございません。
それからその次の、船の上で
京浜港運の
労務者のうち、中に入りました者が、午前八時、三十五トン機帆船第七十三
昭和丸に乗船いたしまして、LSTビーチ埠頭からノース・ピアに向つたのであります。その海上で赤いはち巻をした
労働組合員十数名を乗せました三隻のモーター・ボートが、先ほどのその機帆船に近づいております。そのうちに接舷をしてその船に飛び乗ったという人もあるそうであります。しかしこのあたりは鶴見川の河口でありますし、海難のおそれもあります。一方船が動いておることでありまして、接舷するためには危険な状態でありますので、出動しておりましたかもめ、ふじという
警備艇から警告いたしまして、その接舷を離す警告をいたしたわけであります。その後三隻は一応離れたわけでありますけれども、なおその船にそういう
事態がまた行き先で起るということも考えられるので、しばらくの間一方の
警備艇が約七、八メートル離れてついていったということであります。けれども、これは護衛したという趣旨でついていったわけではありません。
それからもう一つの点は、船がそもそも人を乗せるべき船でないのに乗せておったじゃないかという御発言がありましたが、なるほどこれは後の
調査によりますと、貨物輸送用の機帆船が旅客を輸送するという届出がありませんので、法規違反の疑いもありますから、この点は
横浜海上保安部に連絡しておりますので、この方面でこの点については処置されるものと期待いたしております。
その次の点は少し事情を私聞き取りにくかったのでありますが、
警察のジープが特に何か
京浜港運の
労務者の車を護衛をしていたというお話がありましたが、これは現地の報告によりますと、十二月七日のことだと思いますが、この日の夕刻に
京浜港運の
労務者が
横浜山の内桟橋から乗船いたしましたが、その際にパトロール・カー、
警察の車が三台来て護衛したということであります。それについてはただいまお話がありましたように、
抗議を受けております。これはこういう事情であります。その当日その埠頭から乗船してノース・ピアにおもむくということでありますけれども、私どもはそこで再びもみ合いが起るというおそれもありますから、そういう事情視察のために、
警察としては午後三時三十分ごろに緑色のジープ一台に私服警官五名を乗せて
現場に急行しました。
警察官は中央市場付近で下車をいたしまして
状況視察に当りましたが、ジープは直ちに神奈川署に返しておるのであります。ところが中央市場内は非常に広いし、桟橋から市場内にあります巡査派出所、いざというときに本部に連絡いたします派出所までの間が五百メートルくらいの距離がありますので、連絡に不便であるというので、午後三時四十五分ごろに神奈川署のパトロール・カーに私服
警察官を一名乗せて現地の連絡に当らせたわけであります。これも別に、
労務者のすぐそばに行って一方を援護するとか、一方に警告をするというような
措置をしたのではありませんので、一番接近したときでも三、四十メートル離れておったということであります。従って
警察の車は、緑色のジープ並びにパトロール・カーおのおの一台でありますが、調べによりますと、そのときに税関の緑色のジープ一台が午後四時一分ごろに現地を視察しておりますので、これを誤認したものと思われますが、その点は
組合側でもお調べいただけばすぐ事実がわかることと思います。
以上のようなことでございまして、
警察側が、これは特に
米軍に
関係があるからとか、あるいは他の何らかの事情によって、一つの
会社を特に援護するというような
措置をしたわけでもございませんので、このストライキ自体につきましても、いずれの側に立つというわけに参りません。ただその争いの過程において、おのずと激するの余り不測の
事態が起りますことは、われわれとして非常に困りますので、そういう
事態のために必要に応じ視察員を出し、またその
現場の状態に応じて制服
警察官の派遣をいたすというようなことを考慮しておるわけであります。
なお、青野先生から二千円云々のことにつきまして私にも御質問があったかと思いますが、その点は現地では聞いておりませんのでお答えをいたしかねます。