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1956-12-12 第25回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月十二日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       有田 喜一君    關谷 勝利君       原 健三郎君    眞鍋 儀十君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       正木  清君    山口丈太郎君       小山  亮君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備部         警備第一課長) 三輪 良雄君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         運輸事務官         (関東海運局         長)      下田 行夫君         労働事務官         (労働基準局監         督課長)    辻  英雄君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君         参  考  人         (住友倉庫株式         会社横浜支店営         業社長)    渋谷 力松君         参  考  人         (京浜運株式         会社社長)   菅井 雅一君         参  考  人         (全国港湾荷役         振興協会横浜副         支部長)    大久保秀雄君         参  考  人         (上栄運輸株式         会社常任監査         役)      瀬賀 秀蔵君         参  考  人         (横浜港湾労働         組合連合会中央         執行委員長)  中臣 政男君         参  考  人         (神戸港湾労働         組合連合会中央         執行委員長)  大利 幾造君         参  考  人         (全日本港湾労         働組合中合本部         中央執行委員         長)      兼田富太郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾運送事業に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  本日は公報にも掲載いたしております通り港湾運送事業に関して参考人各位より御意見を聴取いたしたいと存じます。なお参考人の選定に関しましては委員長に御一任いただいたのでありまして、その御氏名は公報記載通りでありますが、その方々の中に、余儀ない御用事や御病気のため御出席いたしかねるため代理の方が御出席になっている方がありますので、後刻お諮りいたしたいと存じます。  なお参考人各位お願いをいたしますが、横浜よりおいでの方々には、最近問題になっております米軍貨荷役の問題、神戸方々には過日新聞紙に報道されました労務者暴力事件等に関しましても、御意見があれば拝聴いたしたいと存じます。なお参考人各位には、御多用中当委員会のため御出席いただきましたことを、委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。なおお願いでございますが、参考人の数も多数でありますので、時間を制限いたすわけではありませんが、御一人大体十分程度でおまとめいただけますれば幸いでございます。  なお委員各位にお諮りいたしますが、木村成二君の代理といたしまして住友倉庫株式会社横浜支店営業課長渋谷力松君が、花島惣太郎君の代理といたしまして全国港湾荷役振興協会横浜支部長大久保秀雄君が、白石敏夫君の代理といたしまして上栄運輸株式会社常任監査役瀬賀秀蔵君が、診断書委任状を添えて御意見を述べたい旨申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松山義雄

    松山委員長 それではさよう決定いたしました。  それではこれより参考人各位より御意見を聴取いたすことにいたします。では最初に渋谷力松君からお願いいたしたいと思います。
  4. 渋谷力松

    渋谷参考人 御説明申し上げます。港湾運送事業法による港湾荷役料金は、御高承の通り品種別基本料金実績による付帯料金を加算した料金を申し受けることとなっております。ところが米軍調達部の発注する港湾荷役料見積り要求は、前述の大部分の要素を一緒にした品種別基本料金にひとしい料金要求されております。入札応札者の間から最低料金業者を選出いたしまして、個々に折衝して新しい料金を出した上で契約する方法がとられております。見方によりましては見積書入札の形で提出せしめ、低い見積書業者と交渉すると見て差しつかえないと思われます。従って港湾運送事業法と比較した場合、大きな矛盾があるのであります。終戦以来長年にわたり本様式を継続して今日に至って参りました。これがためにわれわれが入札制度を承認しつつ、あらかじめ公示料金の趣旨に沿って料金を協定しておくことが不合理であると御非難されるのは妥当でないと思われます。なぜならば応札の結果がそのまま契約締結とならない以上、一つの線を引くのは当然の措置であると信ずるからであります。かくのごとき方針によってJPA——米軍調達部でありますが、JPA業者の間でネゴシエーション、つまり合議といいますか、ネゴシエーション・ビッドが開催されるや、われわれとしてはあくまで応札単価妥当性を強く主張いたしまして、連日にわたり適正料率の確保に努力いたして参りましたが、米国政府臨時軍事費削減に基く利金値下げ方針は年々強化されているために、軍側はありとあらゆる手段方法をもって不当の圧迫を加えてきていることは、一昨年の実例に見られるごとく、われわれとしてこれ以上は絶対に負けられないという最低線から、さらに一割弱も下回って東海運輸が受注したため、われわれの死活問題として必死の攻防戦を展開いたしましたが、軍側東海を全面的に援助いたしまして歩も譲らず、当面の監督官庁である関東海運局におきましても、資格のない同社にライセンスを与えたという事実がこれを明白に物語っております。  かかる不当な軍の行為に対し、われわれは十年になんなんとする豊富な経験実績を有する実力ある業者立場から、頑強に抵抗を続けて参ったのでありますが、本作業のために当社一社にありましても多くの職員と三百名をこえる労務者、ただし米軍荷役に従事中の当横浜港湾全体からいえば、優に約三千名をこえる労務者並びにこれら仕業員家族生活に思いをいたしますときに、受け入れらるべきでない料金であっても、やむなく屈服せざるを得ない立場に追い込まれるのが実状なのであります。  しかして本年度の新契約に際しましても、われわれとしては本年七月十六日発効の船内荷役料改正並びに十一月一日付沿岸荷役料改正に伴い、これが値上げ率十分考慮に入れて入札に臨みましたところ、一昨年と同様米国政府は独自の指値を提示して業者要求は一切いれず、頑強に自己料金を固持し、加うるに東海運輸軍荷役担三者が分離して創立したところの京浜港運を当て馬として、非常なる圧迫を強引に押しつけて参ったのであります。京浜港運の適格性については、何らの施設、資材もなく、落札の上初めて人員を雇用しつつあるような、完全なるブローカー的な存在であり、不適格者とみなされることは言を待たないところであると確信いたすものであります。かかる実態に対し運輸省海運局としてのとった方法に対して、強い非難が寄せられることは当然のことと思われます。われわれ業者として今回の軍に要求した料率は全くぎりぎりの綿であり、決して無理な要求ではないのであります。なぜなれば一九五三年度、軍はこの期間われわれ業者に対して約三カ月余を費し、オーディットという米国式会計検査を行なった上、もうけ過ぎたという勝手な理屈をつけ、不当利益米国政府に返納するよう決定がなされたのでありました。しかしながらわれわれは本件を不当行為であると結論づけて、日米合同委員会に提訴し、再調査の結果、ようやくにして適正な料金であると日米双方の了解を得た結果、米政府決定を取り消させた事実は立証し得るところであります。  以上御説明申し上げました通り米国政府は一方的にわれわれに経済的圧迫を強制し、国内法を無視して長年にわたり属国的な取扱いを受けているのであります。よってわれわれとしてはあらゆる機会をとらえて、港湾運送事業法の確実なる履行をお願いし、過去幾多の業者が破産のうき目にあっていることを深く認識せられまして、委員各位の御奮起を切に切にお願いするものであります。
  5. 松山義雄

    松山委員長 次に大久保秀雄君にお願いいたします。
  6. 大久保秀雄

    大久保参考人 全港振横浜支部支部長大久保であります。ただいまから全港振横浜支部の御説明を申し上げたいと存じます。  米軍軍貨荷役入札については、毎年大きな紛争発生し、港湾産業秩序に著しい悪影響を与えてきました。これは基本的に港湾運送事業における秩序維持の基礎である港湾運送事業法矛盾する入札制度が、米軍軍貨荷役契約のみに行われている結果であります。従ってこの点については、日本政府として今後抜本的な対策を樹立すべきであると思います。特に本年十二月の契約更新に当っては、さきに港湾運送事業法に基く料金の改訂が実施され、港湾局長よりの要請により新公示料金の確守の通告を受ける一方、労賃の引き上げも行われて、ようやく労使とも安定せる基盤に立って、港湾産業の健全なる発展に一歩を踏み出した時期でもあったのであります。米軍軍貨荷役入札による例年の悪影響に対し、極度の自粛対策を樹立し、これに対処してきたのであります。  しかるに昭和三十年度の米軍軍貨荷役入札に当って、無資格業者でありながら入札に参加し、低い料金をもって落札した東海運輸の後身である京浜港運が再び入札に参加した結果、一昨年首切り労働条件の低下という苦い経験をなめた労働者が、これを排除するために立ち上ったことから、またまた紛争を引き起すに至りました。さらに京浜港運の入札参加に刺激され、横浜エージェント会内部よりも不明朗な態度の者が出現し、事態をますます混乱に陥れたのであります。ついに労働組合米軍軍貨荷役に対する全面的ストにまで発展してしまいました。幸いにして横浜エージェント会内部の問題は、関東海運局長東京湾地区料金安定協会等のあっせんにより一応円満解決を見るに至りましたが、京浜港運のみは頑迷に自己利益の追求に没頭している状態でありまして、今なお解決の目鼻もつかないのが現在の実情でございます。  思うに今日のかかる事態を招来した原因は、基本的には前述した入札制度を是認していること自体にあるのでありますが、米軍軍貨荷役においては、荷役道具その他の施設米軍が提供する結果、いわゆる適正規模業者でなくとも一応契約することができるという特殊性があるのでありまして、入札制度の欠陥を最大限に利用するブローカー的業者の暗躍する余地が多分に残されているため、東海運輸京浜港運のごときブローカー的業者入札を行い、米軍はこれを利用して、料金引き下げをはかるという悪循環を続けているのであります。  このような状況に対し、所轄官庁である関東海運局は、一昨年の東海運輸事件においても米軍に迎合し、契約締結登録を認める等、いささかも事態解決に努力することがなかったのであります。その後本年二月六日、日米行政協定第十二条第二項に基く覚書により、米軍も無資格業者入札に参加させないことを認めたのでありますから、本年の入札に際しては、入札業者実態について当然慎重な判断を下すべきであったにもかかわらず、京浜港運についてはこれを怠り、米軍当局に有資格者である旨を回答し、後に至って関係各方面よりの抗議により、ようやく実態調査を行い、無資格業者であることを認めるに至ったのであります。このことは、今日の事態を招来した第二の大きな原因であり、運輸省当局の重大なる失態といわざるを得ないのであります。従って当然の結果として運輸大臣は、直ちに運輸審議会を開催し、京浜港運の登録取り消し行政措置を断行し、事態の収拾をはかるべきものと思考せられるのであります。  次に京浜港運の実態について考察するに、昭和三十年十一月末日米軍との契約期間満了と同時に、所属労働者全員を解雇したまま今次の入札に参加しているほか、港湾運送事業法により当然保有すべき機材、施設等についても、実質的には完全に具備しているとは認めがたい状況であります。漏れ聞くところによれば、京浜港運は港湾民主化を標榜して入札に参加したと豪語しているそうでありますが、同社昭和三十年度において行なった悪らつな経営政策は、当時同社雇用されていた労働者は申すに及ばず、広く社会の認めるところであって、当時の退職金問題さえ今もって解決されていない一事をもってしても、前記の主張は、単に自己立場を擁護せんとする詭弁にすぎないことは明白であります。そして法制の盲点を悪用して、港湾産業秩序を破壊し、なおかつ多数の労働者を、労働条件引き下げ、あるいは首切りの危険に追い込み、無頼の徒を狩り集めて私利を追求するに至っては、単に法律上の問題のみではなく、社会的にも許すことのできない所業であると断ぜざるを得ないのであります。ここにおいて社団法人全国港湾荷役振興協会横浜支部は、国会の権威に信頼し、本日の衆議院運輸委員会において、事態解決の適切なる御決議が採択されんことを祈念してやまないものであります。
  7. 松山義雄

    松山委員長 御苦労様でした。次に瀬賀秀蔵君にお願いいたします。
  8. 瀬賀秀蔵

    瀬賀参考人 神戸上栄運輸常任監査役をいたしております瀬賀であります。私よりは最近新聞紙上その他で報道されました神戸暴力労働問題について、会社のおわびの言葉を申し上げたいと存じます。  暴力事件発生につきましては、その加害者被害者とも当社従業員でありまして、会社といたしましては皆様をお騒がせ申し上げたことについてまことに遺憾であり、申しわけがないと存じております。まことに申しわけございませんでした。  事件の内容に関しましては、すでに新聞紙上その他で詳細報道されておりますので、ただいま私より申し上げることは省略させていただきますが、その後の経過につきましても、ただいま神戸地方裁判所で審理中でございますので、私よりこれの結果について云々申し上げることもどうかと思いますので申し上げません。会社といたしましては、今後ともに従業員の業務上あるいは私生活両面援助協力、そして指導雇用主立場より強力に推進し、労使とも共存共栄の実を上げたいと存じておる次第であります。  なお事件被告人につきましては、会社といたしましても十分戒告いたし、休業一カ月の懲罰も行なっております。また死亡されました被害者につきましては、葬儀料あるいは慰謝料等を支給いたしまして、御冥福を祈っておるような次第でございます。  ただいま申し上げたような次第でございますが、最後に一言特に申し上げたいと思いますけれども、このような暴力あるいは腕力ざたは、ある程度人間感情衝突がございますので、こうした人間のいわゆる感情衝突につきましては、本人同士の性格あるいは精神力等が加味されますので、やむを得ない点も若干あるのではないかと思うことを申し上げて終りたいと存じます。
  9. 松山義雄

    松山委員長 御苦労さんでした。次に中臣政男君にお願いいたします。
  10. 中臣政男

    ○中臣参考人 われわれ横浜港湾労働組合連合会は、終戦後十一年間米軍貨荷役に協力してきたりでありますが、米軍貨荷役入札制度に対しわれわれが反対した理由について詳細に述べたいと思います。  反対理由の第一は、独立国家である日本国内における港湾荷役作業は、当然国内法によりて行われ、港湾運送事業法に基く公示料金を順守すべきであること。二は、入札制度によって港湾運送秩序が著しく乱される。三、中小企業並びに弱小資本業者を倒産に導くおそれがある。四、港湾労働者労働権生活権が奪われる。五、行政官庁指導監督に支障を来たす。六、港湾産業発展を阻害し、国家自立再建基盤がくつがえされる。七、不適格業者港湾産業侵害が行われる等であります。  しかるに米軍は一方的に米法をもって本年も入札を強行してきたので、われわれは直接雇用主たる業者団体並びに入札業者に対し、公示料金の厳守を要請し、また関係官庁にもそれぞれ要請をし、その他合法的方法によって運動を展開してきたにもかかわらず、その結果は著しくダンピングした入札と不適格業者落札し、労働者業者を混乱させるため、われわれは次の事項要求し、十一月二十九日午前六時より米軍貨荷役作業を拒否し、本日で十四日目のストライキ中であります。  またわれわれの要求いたしました事項につきまして既存四社に荷役作業を行わせられたい。その理由というのは、既存四社、三井、住友、宇徳運輸、鈴江組倉庫は、米軍貨荷役作業を現在まで行なってきたのであります。従って必要労働者雇用しておりますので、万一落札せざる場合は、当然首切りが行われる。  次に京浜運株式会社入札より除外してもらいたい。この京浜港運を除外してもらいたいという理由は、京浜港運は一昨年、東海運輸横浜支店が変名したものでありまして、一昨年米軍貨荷役落札実態を見れば、事実は明らかになると思います。一昨年の落札実態は、現在の京浜港運の取締役である白井千純が、入札に当り二〇%のリベートで名義を借用して落札したのであります。当時東海運輸横浜支店として作業を行い、しかも東海運輸横浜支店は無資格であったものを、米軍の圧力で当時の関東海運局資格を与えたのであります。ところが昨年の七月に京浜港運という会社を設立し、東海運輸労働者を無断で、しかも印鑑を盗用して私文書を偽造し、登録したのであります。印鑑を盗用してその資格をとりながら、昨年の入札に参加し、落札しなかったりで、東海運輸は当然労働者二百三十人を昭和三十年十一月三十日付で全員解雇したので、二重に登録してあった労働者全員解雇になり、一名の労働者もおらないのであります。この間横浜船舶作業株式会社あるいは京浜企業株式会社等労働者を二重三重に印鑑盗用、私文書偽造等により登録したのであります。まず一、社名及び社長京浜運株式会社社長菅井雅一。一、所在地、横浜市中区山下町二百五十四番地デスコゼル内。一、登録業種及び登録番号、第一種第二十五号、第二種第四十二号、昭和三十年七月十五日登録、第四種第百十八号。一、第二種(船内)の常用労働者名簿を提出しあるも、三十年十月三十日付で全員解雇予告を受け、十一月三十日全員解雇されたので、現在一名も在籍者もない。一、その後労働者名簿の提出はされていない。一、船内フォーマン在籍もない。一、十一月九日関東海運局はこの事実をわれわれから指摘されるまで全く知らなかった。一、同日関東海運局はその事態を知って京浜運株式会社監査を行なった。一、京浜運株式会社船内労働者及び沿岸労働者のうち技術者を人を介し集めつつある。一、法第十七条による変更があったときは、その事由が生じた日から三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならないとあるので、労働者名簿の作成を急いでいることが見受けられる。以上の点から見ても明らかに、港湾運送事業適格業者と認められない実態であるのであります。  次に入札単価の引上げ、これは一九五一年より据え置きの船内荷役公示料金が、本年六月十五日より平均四二%引き上げになっておりますので、この線まで引き上げてもらわないとその結果がわれわれの労働条件及び賃金引き下げになる。また米軍荷役作業はわれわれの職場なのです。その理由というのは、われわれは米軍進駐以来、動乱と平常を問わず、日夜風雨を問わず、米軍に協力してきたのであります。にもかかわらず、京浜港運のごときグレン隊風人間や、また港湾労働者でないような風太郎、俗に新聞紙上で取りざたされておりますところの風太郎という名称があります。そういったような人間を集めて作業をしている会社にとられているため、職場を失い、多くの失業者を出しているのがわれわれの現状であります。また現在までの争議に、組合側に対して警察側が非常に京浜港運に援助し、たびたびわれわれのピケを破っておるということもあり、またわれわれはたびたび横浜市会の社会党の市会議員を通じ、絶えず警察に交渉したのでありますが、いまだにその警察がこの問題に介入しているということが改まっておりませんので、この点を一つ了解していただきたいと思います。
  11. 松山義雄

    松山委員長 どうも御苦労さんでした。次に大利幾造君にお願いいたします。
  12. 大利幾造

    大利参考人 神港労連委員長を勤めます大利幾造でございます。ただいまより神戸労働事情と私どもがお願いすることを述べます。  われわれ港湾に働く労働者組織の有無にかかわらず、港湾民主化のため、声の大小、運動の相違はあっても、これが実現のため最大の努力をしてきたのであるが、港は特殊なものであるとして一般社会から見放されたように考えられてきたとしか思われぬ。しかし港湾産業国家自立再建の根源として大きな役割を持つことは、今さら説明をするまでもなく、国民のすべてが知り尽していることであるが、港に働く労働者実情については全く知られていないと言うほかはない。戦後われわれは開国以来大資本搾取のもとに人入れ稼業として生まれてきた港湾荷役作業が、さらに労働者搾取の犠牲として、下請企業経営のあり方の矛盾の中に生ずる労働人権無視生活不安の解消のため団結して組織の力によって、港湾民主化のため立ち上ったものであります。今次神戸に起った暴力手配師事件一般世論港湾に集中せしめ、暴力天国人肉事場の様相が法治国家にあるまじきことだとして、その裁定が下されんとして、われわれの民主化運動国会の俎上に取り上げられましたことに対して感謝にたえません。  一、事件の概要について。一、本年五月二十日、上栄運輸株式会社作業監督花本は、日雇い労務者吉村が本船の作業現場から、荷役物資の砂糖を盗んで持ち帰るところをパトロールに発見された。二、警官は、微罪のために厳重に戒告して会社に同行し、身柄を会社に引き渡した。三、花木は当作業現場責任者であり、日ごろから吉村なる者の素行、性質などを知り尽しているので、訓戒をいたしました。四、吉村はポン中で、発作的に花本に食い下る暴言を吐いた。五、花本はたまりかねて暴力を振った。これは本人が自供しております。六、花本並び吉村は当組合員でありません。七、組合は、本事件がどのように処理されたか、九月神戸新聞を見るまではっきり知らなかったが、暴力行為については厳重に抗議いたしました。  二、事件発生後の神港労連運動。一、日港労連機関決定に従い、港湾民主化運動展開中に発生した事件のため、全港振に抗議を行なった。二、九月二十四日、港湾民主化に対する声明書を発表し、業者関係官庁、県、市等に交渉を行なった。三、声明要点。イ、港湾民主化労働人権の確立のために戦う。口、労働基準法完全実施。ハ、賃金値上げ完全雇用実施。四、業者団体である全港振神戸支部からは、文書回答による書面を受領し、声明に対する確約をとった。  三、不明朗点改革状況。一、神戸労働対策連絡協議会を設置させた。二、手配師と称される者ははっきりと会社求人連絡員名称をつけ、職安制定の腕章をつけさせている。三、求人連絡負賃金支払いはさせない。四、賃金支払い会社会計二名以上立ち会いの上で支払う。五、賃金支払いの際は、明細書賃金に添えて支払うこと。六、賃金現場において支払うことはできない。会社内会計課において直接本人に支払うこと。七、月末集中配船に対し、調整協議会ができました。  四、現在要求中のもの。一、休憩時間の厳守。二、現場交代の廃止、ただし万やむを得ざる場合は除く。三、現場交代の場合は、割増し賃金の厳守と終業時間の繰り上げ打ち切りを行う。四、弁天浜職安の拡充と船内専門の職安設置。五、寄場休憩所等の施設の完備。六、宿泊所の設置。七、三十円宿の撲滅。八、労基法、職安法の完全実施。  そこでわれわれは、このような事件が起った原因を深く掘り下げてみる必要があります。われわれの使用者である荷役業者は、人入れ稼業として発足した延長が今日の業者であり、労働力を主体として経営している。中小資本以下の業者が多い。従って大資本あるいは独占資本の下請であって、お得意さんのごきげんをそこなえば明日にでも作業を失うような力のない業者ばかりである。独占資本あるいは大資本は、戦後急激に乱立した下請業者の中から、自由勝手に使える優秀なものを選択し、運送事業法に基く公示料率をも無視して一方的に荷役作業を押しつけ、その上リベート等を強要する無謀をしている。しかも荷役機械器具あるいは施設の近代化等に名をかりて、労働力を主体とする下請企業のあり方を混乱させ、このしわ寄せがわれわれ労働者に大きく、強化労働、低賃金、労働関係諸法規の無視となり、労働人権は確立されず、生活不安は増大される結果となっている。しかも港湾の特殊事情である作業の波動性、天候、潮流、船舶の状態、荷物の集荷及び手続その他——その特殊事情の中にはそういうものも含んでおります。国際的関連が深いとはいえ、国家経済力の底の浅さから、月末集中配船が行われることによって、さらに波動性を大きくしている。波動性が企業規模の弱小による労働者雇用計画に支障を来たさしめ、われわれには超過労働、強制労働による心身の消耗と危険なる災害によって、仲間を失う大きな因をなしております。神戸横浜等に見られるやみ手配師と呼ばれる労働供給的存在を作ることとなっている。  そこで私どもは次のように要望いたします。一、生活の保障。荷役業者は人夫供給的企業のあり方から脱却し、独占資本の攻勢に対処し得る近代的経営管理と、労働力を主体とする企業として、次代の労働力育成のためにも、家族を含む生活の保障の上に立った近代的労務管理を打ち立てるべきである。二、港湾運送事業法改正。独占資本あるいはこれにつながる船会社、荷主等の利用者も法の中に規正し、ダンピング、リベート等、港湾運送秩序を乱すものを防止し、弱小企業の乱立を排し、既存業者の育成、指導と、監査を強化し、違法業者の罰則を強化すべきである。なお登録制度の検討を専門的に推し進めねばならない。三、月末集中配船解決。四、荷役業者の乱立防止。五、米軍貨荷役入札制度の撤廃。国内法を乱す大きな原因となっている米軍貨荷役入札制度を撤廃すべきである。六、港湾行政の推進。各県市等においても、港湾行政の中に港湾労働者のことは忘却しているとしか思われない。従って積極的に推進、指導してもらいたい。七、労働基準法、職安法の完全実施。八、港湾労働者の福利施設の完備。以上要望いたしまして、よろしくお願いいたします。
  13. 松山義雄

    松山委員長 次に兼田富太郎君にお願いいたします。
  14. 兼田富太郎

    ○兼田参考人 私は全日本港湾労組合を代表して証言をさせていただきたいと思います。従いまして横浜または神戸のみに限りませず、港湾産業を広く全国的に組織しておる労働組合といたしまして、この産業そのものについての意見にわたるかと思いますが、御了承願っておきたいと思います。  横浜京浜港運が軍の入札に参加し、今それを受けておるということにつきましては、今から二年ほど前に、この同じ国会の同じ運輸委員会で、当時社会党の正木清先生から当時の港湾局長に対して、港湾では労働者を一人も持たず、機材器具一つも持たず、机と電話があったら商売ができる、こういうふうにいわれておるが、それは事実なのかどうなのかということを御質問になりました。そのときに時の港湾局長は、そういうことは絶対にございません、もしあったら、徹底的に取り締りますし、そういうことはいたさせませんということを、繰り返し繰り返し両者の間に繰り返されたことを、私は今もってなまなましく記憶しております。従いましてそのときにこの尊厳な国会で話されたことが実行されておったならば、今日のこういう事件は起きなかったということを私はまず申し上げたいのであります。  その次に、アメリカ軍がいろいろ片方の業者を非常にかわいがるとかなんとかいう行為をやっているそうですが、これにつきましても、私どもは朝鮮事変が起りますほんの五日ばかり前に、港湾労働者の賃上げと労働協約を要求して全国的ストライキを計画したことがございます。その際にGHQに呼び出されまして、ストライキを中止せよという、米軍の参謀であるトムソンという中佐の勧告を受けました。その際にこのトムソン中佐並びにGHQ労働課の私どもに言いました意見は、港湾業者はそれぞれ常用の労働者をちゃんと持って、労働組合と全国的統一労働協約を結び、このことによって諸君の要求が満たされるのであるから、ストライキはやめよ、また港湾事業というもののあり方はそうでなければならぬということを私どもにはっきり言っておりますし、記録も残っております。にもかかわらず、今日米軍が各港において港湾業者に対する態度というものは、全くその当時の私どもに言った言葉と逆でございまして、労働者が一人もなくても入札かできるのでございます。従いまして私ども労働者は、入札に入るか入らないかで首切りが起るのです。だから労働組合入札の問題に首を突っ込むということは、ちょっと見ればおかしいけれども、入札に入らなかったら首切りなんです。そういう仕組みになっている港湾産業でございます。この点につきましても、私どもはアメリカ軍の——日本のほかのことはいざ知らず、港湾産業に対する対し方というものは非常に得手勝手な、うらはらなものがあるということを言わざるを得ないのでございます。  次に神戸事件でございますが、これも述べられましたので、私は詳しくは申し上げませんが、この事件は、私どもに言わすならば、単に個人が個人に対して暴力を加えたという刑事上の事件ではございません。これは労務管理のやり方としてこういう暴力が行われているということ、ここが私どもは強調したいところでございます。事実その後も、またその当時も私どもはラジオ東京等の協力を得て録音をとっておりますが、殺されるまでにはならなかったけれども、死ぬる一歩手前までの暴力的なせっかんを受けたという労働者の声は山ほどあります。  以上のように申し上げまして、私はこの横浜事件神戸事件は決して二つのものでないということを申し上げたいのです。と申しますのは、横浜事件は、米軍をも含めて、荷主独占資本中小企業に圧力を加えている姿でございます。神戸事件は、その圧力を加えられた業者が、苦しまぎれに、上の方に正当なことを述べることをせずに、労働者の方へ労働強化を押しつけてきているという現象でございます。この二つのことは具体的な因果関係を持っておるのでございまして、そういう形が港湾では日常茶飯事として起っており、運輸省当局も労働省当局も、この問題については深く手を染めようともしないし、見て見ぬふりをしておるというふうにしか私どもには思えないのでございます。この委員会でいろいろ証言されたことすらが実行されない、こういうことに対して、私どもは深い疑惑と不満を持っておるのでございます。なお港湾産業につきましては、こういう諸問題で日本の貿易の入口であるという港に、こういう事件がひんぴんとして起きておるということを国家の問題として心配しなければならぬ、こういうことについては、私の知る限りでは、むしろ外国の人たちの方が日本の港のことをよく心配しておるということです。たとえば軍の荷物につきましても、私どもの同志であるフィリピンのマニラの港湾委員長であるロベルト・オーカー君は、私に対して、日本では軍の作業についての料金国内法通り当りまえにもらっておるか、こういうふうに私に言いました。私は残念ながらもらっていない、政府が保護してくれないからもらえないのだ。こう申しましたら、オーカー君は、君の方でもらってくれなければ、われわれのフィリピンでも、日本でもこうじゃないか、こういうふうに言ってなかなかもらえない状態なんだ。しかし最近やっともらえることになったので、日本でもがんばってくれということを言うております。  神戸のような問題につきましては、日本の労働者が十二時間二交代制、一カ月延べ四百八十五時間も労働をするというありさまについては、ILO内陸運輸委員会はつぶさにこの状態を知っており、日本政府に対してもITFなどから抗議文が来ておるような次第でございます。このように私どもは港の問題というのは、単に港湾労使の問題だけではなく、国家の経済の問題だ。運輸省当局の発表によりますと、最近の港湾の取扱い高は年間一億トンといわれておりますが、この中の二割をかりに外国の船舶で荷物を運ぶといたしますならば、その二割の中の何割かの料金を値引きをされているわけですが、それだけの外貨収入を損をすることになるわけでありまして、港湾問題というのは、ひとり労使の問題だけではなくて、国家経済の問題でもあるし、国の独立の尊厳の問題でもある。こういうふうに私どもは思って、港湾に対する政治行政の貧困について大いに憤っておるのでございます。以上でございます。
  15. 松山義雄

    松山委員長 次に菅井雅一君にお願いします。
  16. 菅井雅一

    菅井参考人 京浜運株式会社社長をしております菅井雅一でございます。御承知の通り港というところは非常に保守勢力の強いところでございまして、私なんかの新しい業者が新しい感覚で新しい経営をしようといたしますと、今皆さんが聞かれた通り、かくのごとき圧迫が入るわけでございます。なぜ今年の横浜の港においてこういう紛争が起きたかということにつきましては、ただこの持ち時間が十分間では説明できないと思います。このことをもし私に説明しろと言われるならば、秘密会なりを開いていただいて、横浜の私から見た実情をお知らせしたいと思います。(「公けにやれ」と呼ぶ者あり)差しつかえますから…。これが本問題の本質だと思いますが、米軍貨の料率の問題が、今年の料率でもってもめておりますゆえんは、一昨年の料率を一〇〇%といたしますと、去年二四%も下げて、とうてい業界でできないといわれるような低率でもって、——四社の業者があるわけですが、その二四%引き下げたというそのこと自体が、今日の混乱を招いておるゆえんです。先ほど東海の名前を皆さん出しておられますが、そのときは、私は三%しか下げておらぬ。それで私のことをダンピング、ダンピングとどれだけたたいたか。二四%を去年下げて、どの新聞も、この運輸委員会においても、ダンピングということを一言でも使ったことはありません。そこに問題があるのです。今次私のところは、二四%下げました。その率からいきますと、約二〇%の料率を上げております。これは私は日本人です。日本の法律を、どうして無視しようというふうな態度に私が出られますか。私は米国人でありたいと思わないのです。日本の国に生まれておる。日本人として私は生きていきたいのです。誤解のないように一つお願いしたいと思います。  それから料率云々の件につきましては、これは実際のことを言いまして、一業者がアメリカの軍と戦いをいどんだところでどうにもならない話であります。私の希望いたしましたところは、どうか相手が国でありますから、陸軍でありますから、それに対抗するように日本の政府部内で米軍と話し合いをしていただいて、その料率をきめたものを提示していただきたい。提示をしていただかないで、われわれにダンピングとかなんとかいっておるが、われわれにはわからないのです。基準のとりようがないのであります。どうか監督官庁におかれましても米軍と話し合いをされて、大体軍貨においてはこれくらいが妥当であるという線をはっきり出していただけば、われわれはそれを守ろうとすることに努力を惜しまないでしょう。私はこのことに対しては一業者を云々として責むべきではないと思います。  私は非常に訥弁で、私の思うことの十分の一も申し尽せませんが、どうか私の意のあるところをくみ取っていただいて、来年度においてはこういう混乱のないように一つお願いしたいと思います。また横浜の港においては、先ほども申しました通り、われわれ新しい業者が新しい感覚で新しい経営をしようといたしますと、おれのなわ張りに入るなということで泣かされておる業者が幾会社あるかということを、皆様が横浜の港に来ましたら、どうか片一方だけの言葉を聞かずに、少くとも相手方もあるので、要するにわれわれの気持も一応聞いていただきたい、私はかように考える次第であります。
  17. 松山義雄

    松山委員長 御苦労さまでした。  小泉秀吉君は出席いたしませんので、以上をもちまして参考人各位意見の陳述を終ります。これより質疑をお許しいたします。なお理事との協議により一人十分程度にお願いいたしたいと思います。山口丈太郎君。
  18. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ただいまの陳述について二、三質問したいと思います。  まず第一に菅井参考人から申された点について、私は国会として非常に遺憾に思います。少くとも国会国会を通してすべての批判が国民の前に明示されるのであります。われわれはその使命を帯びて国会に参っておるのであります。従っていかなることもこの限りにおいては秘密はないはずであります。しかるにその求められておる説明に対して、秘密会でなければ明言できない。一般的な原則としてそういうことが言われてたことはかつてないと思います。こういう点については今後非常に御注意願いたいと思いまして、まず警告を発しておきます。  その次に申し上げておきたい点は、あなたは日本人であるから、日本の法律を守るのは当然である、こうおっしゃる。これは法治国家の国民として当然であります。もし法律を守らぬとすればとんだことであります。そう大きく言われるのであれば、なぜ今まで他の参考人が陳述をいたしました資格の要件について、あるいはまたその要件の措置について一言の反駁もいたしませんか。これはどうしたことであるか、一つその点を御説明願いたい。
  19. 菅井雅一

    菅井参考人 ただいまの御質問の件でありますが、当社資格の問題につきましては、これは現在関東海運局において調べておりますし、これは私が云々すべき性質のものではないと思いますから、御当局より何らかの答えが出るものと私は思います。ただその過程におきまして、どうして私のところだけ、一社だけこういうふうにするのだろう、何の圧力でそうするのだろう、私はそういう反問を起すわけであります。全国約二千の港湾業者も、私のところと同じように厳密に検査された場合、どういうふうなことが起るだろうかということも考える次第でございます。
  20. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 自分の事業は自分が一番よく知っているので、少くとも自分の行為はいつの場合においても公明正大に説明のできるものでなければならない。またその要件を自分自身で具備していなければ、法律を守ったということにはならないわけであります。私は何もあなただけを責めようとは思っておりません。全国にそういうような事例がありますから、従って今後そういう事例をなくするために、法律の改正等適当なる措置を講じなければなりません。そのためにお呼びしておるのでありますから、そこは誤解のないようにしていただかなければならぬ。  現在の港湾運送事業法改正をいたしまして、その業者資格要件は厳密に規定されております。これは単に日本の法律だけではなく、国際諸規約に基いてこの法律は制定せられておるのであります。ですからこれは万国共通のものとしてその要件を備えなければならぬ。私はあなたの会社も不正ありと断言して申すのではありません。今までの説明を聞いておりますと、東海運輸から京浜港運に名前を変えた、そしてそれはまだ十分なる資格をおとりになっていない、登録も済んでおらないというような他の業者説明であります。これは説明であります。そうなりますとこれは違法な業者ということになりますので、それをあなたが今ここで明確にされるということが、あなたの立場上本筋じゃないか、私はこういうふうに考えます。  第二の点は、資格登録するときには、その資格要件をちゃんと備えて、労働者もちゃんと常用労働者があるというように報告をいたしますけれども、資格をとりますとすぐ労働者を解雇してしまう、あるいは架空の労働者を使って、登録さえすればそれで業務を遂行する、こういうようなことが往々にして行われております。そういうことが港の混乱を起す原因であると思いますが、あなたの方ではどういうふうにしておられますか。
  21. 菅井雅一

    菅井参考人 私のところの従業員は、今のところ三百四、五十人おりますが、その中には昔第四種をもって営業しておりました横浜機業と申すところの、これら経験ある従業員と、それに専門の経験者を入れて現在軍の中で仕事をしておるわけであります。そういう人員の件においては遺憾のないようにしております。
  22. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はさらに神戸の上栄の方にお伺いをいたします。あなたの説明では、この花本吉村はともに社員であると言われました。そうしてその社員である吉村がバットでなぐられて死亡いたしました、遺族補償も十分に行なっておる、こういうお話であります。ところがさっきの組合の方の代表からの報告によりますと、これは社員ではない、花本は社員であるかもわかりませんが、吉村の方は日雇い労務者である、こういうふうに証言をいたしたのでありますが、そこに大きな食い違いがあるので、この点について一つ明確にしてもらいたいと思っております。さらにこの吉村は、私どもの調査したところによりますと朝鮮人である。生まれは朝鮮であります。現在内地におきましてはその補償を受くべき遺族は存在しない。こういうふうに私どもの調査ではなっているわけでありますが、しかるに遺族の補償を行われたとすれば、一体だれに行われたのか、あったとすればどういう遺族があったのであるか、この点について伺いたい。
  23. 瀬賀秀蔵

    瀬賀参考人 ただいまの山口先生の御質問にお答えいたします。私は花本もまた被害者吉村も、社員とは申し上げておりません。従業員と申し上げておりますから御了承願います。花本は社員であります。また日雇い労働者であっても従業員に変りはありません。  次に遺族補償の問題でございますが、これも山口先生はただいま遺族の補償という言葉をお使いになられましたが、私はそう申し上げておらないはずであります。葬祭料その他と申し上げております。葬祭料と申し上げたのは、本人の葬式費用あるいは霊枢車の費用その他でありますので御了承願います。また朝鮮に籍があって遺族がないということ、これは先生のおっしゃる通りでございます。
  24. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは速記録を調べればわかりますけれども、今おっしゃった点はどうも私は納得がいかないのですが、港湾の兼田君と、それから労働組合の代表から、その点について調査した事実があればお聞かせ願いたい。
  25. 大利幾造

    大利参考人 吉村は日雇い人夫でありまして、花本会社従業員であります。
  26. 兼田富太郎

    ○兼田参考人 私も加害者の方の花本会社作業監督、現業の監督であり、吉村は臨時労働者であるというふうに現地から報告を受けております。  それで今おっしゃったところの、自由労働者といえども、いうところの従業員であるという御説については、これはいささか解明が必要だと思います。と申しますのは、港湾運送事業法では常用の労働者ということと日雇いの労働者ということを分けて、常用の労働者を何人持っているかということを事業を始めるときに登録に書くことになっております。従いまして吉村君が、上栄運輸が営業開始に当って届け出た書類の中にもし名前が載っておれば、従業員であると思いますが、載っていなければこれは日雇い労働者である、こういうふうに考えるのが当りまえだと思います。私の考えでは、おそらくこれは後者であろう、つまり常用として雇い入れておるのではなくて、日々雇い入れるところの日雇い労働者であるというふうに思っております。
  27. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 さらに上栄にお尋ねいたしますが、今の答弁に間違いありませんか。
  28. 瀬賀秀蔵

    瀬賀参考人 間違いありません。
  29. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは私はさらに港湾荷役実態について一つ伺いたいと思いますが、港湾運送事業法によりますと、その第三条に荷役作業の種類をあげまして、そのうちの一つに該当する項目をあげて申請すればそれで通るわけですが、この法を制定した目的は、先ほど兼田参考人から申されたように、ただ単に一つの電話、事務所を持って、一人だけでいて、そうしてその事務員が実際には電話で荷役を聞いて、そうして下請者に請け負わせる、こういうようないわゆるトンネル請負を防止するというところにこの法律の制定の目的があります。また改正せられましたときにもそれが強く主張せられて、終始その法の精神は貫かれておるのであります。しかし私が神戸でこれを調べてみますと、実際には元請、中請、下請とありまして、その下請の最後がいわゆる人足回し、手配師、こういうことになっていて、実際はその手配師が請け負っているのと同じ状態において港湾荷役をされておる。私も実際には港湾仲仕をしたことがございます。タコ部屋と称する部屋に居住したこともございます。でありますから私はその実態は十分承知をいたしております。そういうようなものをなくするためにこの法律が制定せられたのでありますし、またILO、いわゆる国際労働機関等あらゆる国際機関も、日本だけではなく世界各国ともに、この港湾労務の特異性から考えて、往々にして人権の非尊重といいますか、人権の軽視あるいは労働条件の無視、軽視等が行われておる。従ってそれをやはり他の労務者並みに取り扱うようにし、なおかつ港湾の健全なる発展を阻害しないように助成していくというところに、この法律を制定した目的があるのでありますけれども、実際にはそれが行われていない傾向があるように考えるわけであります。これについて一つ実際に当っておられまする皆さんはどういうふうにお考えになるか。またタコ部屋と称するような、その中のいわゆるグレン隊とでも申しますか、それの親分が三十円宿というようなタコ部屋を作って、そうしてそこに労働者をカン詰にしておいて、港に船が入れば、実はその荷役をその親分が引き受けて労務者に労働を強要する、こういうことが行われておると思うのでありますが、これらについてどういうふうに観察しておられるか。皆さん方こういう事業に携わっておられる関係からいえば事重大であると思いますから、その実態についてお聞かせ願いたいと思います。
  30. 瀬賀秀蔵

    瀬賀参考人 ただいまのお話の前段でございますが、いわゆる元請がありまして次に中請あるいはまた下請がある。手配師が実際の仕事をやっているのではないか、こういうお尋ねでございますが、当社また当社以外の神戸の下請業者におきましても、ただいま資本力の充実あるいは荷役機具、機材類の整備等を行なっておりまして、私の店におきましてもつい先般若干の資本を増資いたしまして、荷役機具、機材類を購入いたしておりますし、また他社におきましても荷役機具類を購入、あるいは通船その他の道具類を求めまして、実際に気持よくみんなが、いわゆる末端の手配師が全然道具なしで、いいかげんに仕事をやっておるということでなく、ほんとうに人間と設備とを持った近代的な産業の発展に資するよう努力しております。これは名前を申し上げてもよろしゅうございますけれども、私の会社でもやっておりますし、他の会社でもやっております。  それから先生のおっしゃった昔の、いわゆるタコ部屋式の実態でございますが、私どもの店にはこういったタコ部屋はございません。うちの店には寮がありまして電話もついておりますし、そういった非衛生的な不健康的なことは、想像される御心配はないと思います。ただし私の店あるいは他の店に関係する関係しないは別といたしまして、神戸の港のいわゆる日雇い労働者の宿舎あるいは日雇い労働者でなくても、普通の一般的な労働者、むしろ労働者以下の人間の宿泊するような設備につきましては、単に港湾関係のみで解決する問題じゃないと思いますので、この点につきましては、せっかく先生方の御努力をむしろ私どもから切にお願いしたいと思います。決して港湾だけでございませんので、たとえば土木関係もこういったのがあるかどうか存じませんけれども、鉄工業関係あるいは造船関係いろいろな面で、いわゆる労働者の宿泊設備というような問題は、当然出ると思いますので、繰り返すようでございますが、むしろ先生方の御努力をお願いいたします。私どもは決してございません。うちには寮がございます。
  31. 兼田富太郎

    ○兼田参考人 今の山口先生のお尋ねの労働者、機具、機材を持っておるかという点につきましては、私どもが知っておる範囲では神戸では、これはよその港は少し形式が違うのですが、神戸では住友、三井、三菱、上組、日本運輸等、大手五社といわれておりますが、ここが船会社の代行資本であり、倉庫業を窓口として、港を利用しておる。ここが元請でございまして、他の今の事件のあったような会社、その他たくさん船内のいわゆる下請会社というものがございますが、この人方は今申し上げた大手五社の主として下請をやっておるのであって、自分自身が荷主をつかまえるということはなかなか少い。そういう関係でその元請と下請の間には、機材、機具を持って自分でやるような能力を持ってきますと、元請をやり始めるかもしれぬ。そこで大手五社は元請をささないようにするために、お前を常時専属店にしてやるという恩典でもって、機材、機具などはおれの店から貸してやるから、お前らは持ってはならぬというふうに言われておるということも聞いておりますし、それから事業法の面から言いましても港湾作業料の中の第二種の作業料は、港湾業者の荷主に対する料金であって、港湾業者間の元請、下請の料金ではない、こういうふうに運輸省から説明を聞いております。ですからそこには上栄運輸の方が説明されたような、私どももりっぱな会社になるための努力をしておるとおっしゃいましたけれども、それは単にそういう経営者の良心的な意味からくる努力だけでどうにもなるものでないということは、今の事情から考えますとよくわかると思うのです。つまり元請の五社が掌握をしていて、下請にこれ以上成長するなという格好があるし、下請は従って労働者に十分な待遇ができないので、いろいろ労働者に無理をしかけてくる。そういう上からの圧力がだんだん下に向いて、漬物のようにぐっと下の方へ圧力がきておるという実態なんです。  それからタコ部屋、三十円宿というものにつきましては、県立兵庫県労働問題研究所の発表したものの中にあることですから間違いないと思いますけれども、神戸にも大阪にも三十円宿、タコ部屋、監獄部屋というものがたくさん今日でもございます。ここの中に寄宿しておる労働者が、必ず全部が全部港湾労働に来るかどうかはつまびらかでありませんけれども、とにかくそういうものがあって、そこでふとん代、飯代というような金を貸して、借金で足抜きができないようにして足どめをしておいて、いざという場合に使うという仕組みができておる。つまり私設職業安定所ができておるということは事実でございます。従って私どもの組合では、こういうことをやる人もいけないけれども、やはりこういう三十円宿、タコ部屋や監獄部屋というものは生まれるべくして生まれたのだ。もしも職業安定所が十分に機能を果してくれたならば、そういうことにならないであろうという判断をして、確かに今一万トンの船が今晩入ってくるからすぐ五百人の労働者が必要なんだ。こういう場合に、だれが五百人の労働者を直ちに供給し得ることができるか。つまり一般の職業安定機関のようなやり方では、港湾の労働力需要には応ぜられない事情になっておる。そこでそういうたむろする場所を作っておいて、そうしてたやすく労働力が引き出せるという状態のものを作っておくという必要から、欲の深い人が着目してそういうことができ上っておる。だからこれは客観的に見るならば、でき上るべき要素があってでき上っておるのだが、実態としてはそういうものが細まっていく傾向はございませんで、ますます大きくなる傾向にある。先ほどGHQの話を私が申し上げた中にも、GHQは当時神戸につきましてだけ特別なケースとして、港湾労働者に一定のワクをかけて、そうしてそのワクの者は優先就労ができるという建前をとって、そうして神戸のこういう労働の暗黒面を掃除しようという努力をやったことがございます。けれども法律の強制力を持っていないがために、おれはそんなものに参加しないという横紙破りがおれば、これはつぶれていくのでありまして、そういう形でせっかくの努力もつぶれた、こういう経過を持っておりましてそれ以来朝鮮事変の際に、職業安定法が門前雇用もよろしいというふうにゆるめられてからというものは、この私設職業紹介所はしょうけつをきわめておると言っても過言でないと思うのでございます。
  32. 松山義雄

    松山委員長 山口君、持ち時間が過ぎましたので簡潔にお願いいたします。
  33. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 時間が過ぎましたから、私たくさん質問をしたいがあとに譲ります。労働者雇用条件については、特に港湾運送事業法の第七条に、職業安定法に違反するような行為をやって罰せられた者はその資格を取り消す、こういうふうに強く規定せられております。およそ法を実施に移しまする上にも、あるいはそれを受けて守りまするにも、誠意をもってこれに当らない限りにおいては守れないのです。私の見る目では、まだそういうことが実際には守られていないと思います。ですからこういう点については十分に守っていただくように努力をしていただきたいし、必要とならば法を改正して、この点についてはもっと厳重な処罰規定を設けたいとさえ考えております。私は奇異な言葉を今聞いておるのですが、それを最後に申し上げますが、大体この港湾運送事業法というものを作りましたのは、元請、中請、下請というようなことを廃止するために設けられたのであります。あなた方はどういうふうにお考えになっておるか知りませんけれども、いまだかつて元請、中請、下請というようなことはないはずなんです。そういうようなことがなくて、受け取った者が直接その荷役をしなければならぬということが原則なのです。ところが、たとえば五百トン積みのはしけしか持っていないのに長大物があって、そしてそのもののみを陸揚げするに必要な機具がない。それでこれを他のその機具を持っている人に請け負ってもらって、その部分のみをおかへ揚げてもらう、あるいは陸上の沿岸荷役に当りましても、そういうような荷物に対して適応な機械器具を持っていない。だからその部分のみ他の人に依頼をして揚げてもらう、こういうことはあり得るわけであります。けれども頭から元請、中請、下請というようなことが存在するとすれば、私は容易ならざることだと思う。間違いないようにしていただきたいのは、弱小企業者も大企業者も平等に扱って、そして明朗な港湾行政をやろうというのが目的なのです。ですから料金の公示も行われておるのです。ですからその点をあなた方がはき違えておられては大へんなことになります。ですから、それをまず頭に入れておいてもらいたいこと。  それから今京浜港運さんも申されたが、軍とわれわれとでは太刀打ちができないから、従ってその点は政府において一つ基準を示してもらいたいと言われておる。すでに荷役に対する基準はこの法律によってちゃんと示されておるのでありまして、なぜそれをあなたはお守りにならないか。たとい軍たりとも何であろうとも、国内法に違反するような請負はできませんとあなたが言ってしまえば、それで横浜の港でも神戸の港でもそういう荷役運賃についての混乱は起らない。あなた方がアメリカの手先になっておるからと言われてもしようがない。その点は何ぼ大きなことを言ってもだめです。アメリカ軍がどれだけ強くても、われわれは日本人である。あなたはりっぱに言い切れるはずです。日本人であればなぜあなたは日本の法律をたてにとって、請負についてはっきりとした態度を示さぬのですか。日本人であるがゆえに、アメリカの手先になってアメリカの言うままにダンピング請負をやることはけしからぬと言われてもしようがないでしょう。あなたは国会で私は日本人であると大きなことを言われたけれども、その日本人たる者がそういうばかげた業務をやって、そして日本人たりとは私には受け取れない。どこの人間かわからぬと言われてもしようがない。こういうことは十分にあなたは反省してもらいたい、こういうふうに思いますが、将来あなたはどういう態度をとられるか。  それから第二に、あなたは他の業者登録はしておらぬのである、こういうふうに言っておるのです。東海運輸については登録しておるけれども、京浜については無登録であり、無資格者である、こういうような発言をされておるのです。これは法律に違反しておるのじゃないですか。どういうように、いつ登録せられたのですか、こういう点についてはっきりとした答弁をお願いしたい。
  34. 菅井雅一

    菅井参考人 ただいまの御質問に御答弁いたしますと、確かに商貨に対しましては料率がきまっております。その料率をくずさないためにわれわれも努力しているわけなんですが、先ほど、これは私の口の足りなかったところもあるかもしれませんが、たくさんの会社がそこに出ますと、自然とそれがくずれるおそれがあるわけです。ですからその基準を軍貨に対しまして——軍の方でギアその他いろいろのものを貸してくれますので、その率を提示していただいたら、こういうふうな混乱は起らないのじゃないだろうか、それを一業者々々々がやったのではその率において非常に開きがあるわけなので、そこを私は申し述べておるつもりであります。  それから第二段の京浜港運自体無資格者であるというようなことはいまだ申し述べておりません。
  35. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは渋谷さんにお伺いしますが、京浜東海運輸の変身であって登録をしておらぬ、こういうような御発言がありましたが、どうですか。
  36. 菅井雅一

    菅井参考人 ちょっとその前に、その点私から説明した方がいいじゃないかと思いますので……
  37. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 いや別に……。
  38. 渋谷力松

    渋谷参考人 私は登録をしていないとは申し上げませんでした。登録に違反があるというように申し上げました。というのは、これは御当局から御説明願った方がいいと思いますけれども、先ほどるるほかの参考人からもおっしゃっておりましたけれども、東海運輸の名において昭和二十九年に入札して受けましたときに——一年狂いましたが、とにかく東海運輸契約完了と同時に、労務者何名か数はわかりませんけれども、全部を解雇したということを聞いておりますので、その後ずっと営業しておりません。それで今回この軍貨の入札する何カ月前ですか、設立をされてスタートしました。その間荷役人というか、労務者のないままに今日に至りまして、入札を受けてからいろいろな手を使いまして労務者を集めているという現状は、ほかの参考人からもお聞き願いたいと思います。
  39. 菅井雅一

    菅井参考人 今の件についてちょっと私からも説明をしておきます。東海運輸横浜支店というものと京浜港運というものとは、おのずから違うわけなんです。東海運輸は仕事をなくしたときに、東海運輸のこの部門に対する従業員は全部馘首いたしましたが、京浜港運にはその当時まだ四百名近くの従業員がいるはずなんです。間違いのないようにお願いしたいと思います。
  40. 青野武一

    ○青野委員 今の山口君の質問にまだはっきりした御答弁がないようでありますが、ちょうど幸い政府関係から天埜局長と関東海運局長の下田さんがおいでになっておりますが、先日現地に視察に参りましたときの関東海運局長のお話では、今調べております、こういうことでした。労働組合委員長の陳述によれば、労働者名簿は一カ月以内に運輸大臣にその書類を提出しなければならない、こうなっておりますが、お話の中では大体一人も労働者をかかえていないような印象を受けた。今菅井さんの御答弁を聞いておると、四百名は常時労働者をかかえておる、こういう点について政府側からの今お調べになっておる点がどの程度に進行しておるか。それから天埜港湾局長は、政府を代表してどういう見解を持っておるかということをお尋ねしたい。それと同時にこの間私が横浜に参りましたときにお尋ねをいたしましたときに、下請業者の方、それから労働組合方々意見を総合してみると、大体運輸会社といったようなものは、常識的に常時百人以上の港湾労働者をかかえておること、荷役に必要なる機械器具というものは、現在の価格に直して一千万円以上のものを持っておるものを、大体常識的には有資格者としております。こういう話を聞いておるのですが、この二点について政府の見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  41. 下田行夫

    ○下田説明員 東海運輸の人夫が充足しておるかいなかということにつきましては、当局で調べましたところ、現在はともかくといたしまして、従来におきましてはただいま仰せのような四百人という人夫を雇用しておったという事実はございません。
  42. 青野武一

    ○青野委員 今の下田局長の御答弁は、ちょっとはき違いがあったかと思います。菅井さんのお話では東海の場合は二百三十名全員解雇したということが、労働組合委員長からお話がありましたのでわかっておりますが、東海のときは別として、今の京浜港運というものになってからは、常時四百名程度の港湾労働者をかかえておるというが、それはあなたのお調べでは事実でございますか、こういう質問なんです。
  43. 下田行夫

    ○下田説明員 事実でございません。事実とは思っておりません。
  44. 天埜良吉

    天埜説明員 ただいまのいろいろ監査をした結果、港湾運送事業法に照らしまして違反があれば、港湾運送事業法に基いてそれぞれの処置をとりたいというふうに考えております。常識的に百人以上でしたか、あるいは一千万円以上の機械でしたか、こういうお話がございましたが、港湾運送事業法から参りますと、今のところ登録基準というようなものはそういうことになっておりませんので、登録基準につきましては種々なお考究をしなければならぬというふうに考えております。現在の登録基準がそのように大きな機械器具並びに人員の整備にはなっておらぬのでございます。
  45. 菅井雅一

    菅井参考人 ただいまの御質問に対して御説明いたしますと、今私が言いました四百人というのは、京浜港運の従業員の数を申したのでありまして、海運局に届け出ておる人間はそう大ぜいの人間ではないわけでございます。
  46. 青野武一

    ○青野委員 私は菅井さんに質問したのではなしに、御質問を申し上げる前提として政府の見解をお尋ねしておったのですが、それは後ほど御質問いたすとして、もう一ぺん天埜局長にお尋ねいたしたいのは、きょうは大臣が出ておりませんが、私の要請で大臣が出ましたときに、私に対する答弁では、大体無資格者とみなすものは厳重に処断をしていく、整理をしていくということを明言されたのです。二十四国会のときにも、その前の参議院の会議のときにも、私どもの同僚が質問したときに、電話一本、いす、机が一脚ずつあれば、運輸会社が事実上できるじゃないか、これを私どもは今度の通常国会に入りましたら、根本的に港湾運送事業法を再検討したい、これは自民党の諸君の協力も求めて、内容についてはかなり再検討したいと思っておりますが、ガンになるのは届出制で、政府当局の見解ではこれは保護立法だ、業者の保護であるという意見だが、業者の保護だけではだめなのだ。やはりこの事業法というものは、港湾荷役に従事する労働者労働権生活権をいかにして守るかということが加味されていなければ、これは何の役にも立たない法律なのだ、電話一本にいす一つ、テーブル一つを持っていて業者資格をとる、そうしてそれがこういうような横浜のごとき、あるいは神戸のごとき問題が起ってくる因をなしておるのでありますが、このわれわれの同僚の、かような者を登録し、免許するということは不都合ではないかという質問に対して、運輸大臣は明らかにそういうものは厳重に調査をいたしまして、適当な処置をとると言っている。私はもし横浜でやっている京浜港運が明らかに不適格者であるならば、おれの目の前で処断してみろ、そういうことが横浜港の業者間の混乱を招き、一万人余りの港湾労働者労働権を無視して、しかもきようで十四日間もストライキが起っておる、これをどう考えておるか、こういうお話を申し上げて、まだ即答は得ておりませんが、私の私見を申し上げて、今月の一日の日に私は東京に帰ってきたのでありますが、依然として争議は続いている、これをどう解決するかということを、業者なり、政府の当局者はまじめにお考えになっておるかどうか。目的は米軍の反省を求めるにある、港湾運送事業法という日本には法律がある、それを軍事力と経済力を背景にして、右顧左眄しておる業者を抱き込んで、そうしてダンピング契約を余儀なくさせておる、こういうことが業界の混乱になり、横浜港のいわゆる荷役というものがスムーズに運んでおらないのだ、こういう点について運輸大臣はすでに適当な調査と処断をいたしますということを言明しているが、いまだに全国二千の業者のうちには、いかがわしいものがたくさんおる。そこで横浜に関する限りはどの程度に調査が進んでおるか、遺憾な港運会社があるならば処断をしなさいということは、自民党でもわれわれ社会党でも、あるいは衆議院、参議院、党と党、政府、みな意見が一致しておる。ここに書いてありますように、私が現地に行って調べてみましたところ、三井倉庫が三十三セント五、住友が同じく三十三セント五、宇徳はどういう腰抜けか知りませんが、とにかくきょうは来ておらぬ、小泉君が来たら私はこっぴどくやってやろうと思っている、これは三十一セント五です。京浜が三十二セント、どうしてこういうばかな、とにかく圧力に押されて、こういう荷役契約をして、金額をきめたか、それが混乱になっているのです。何が日本人だ、日本人はこういうことをやらないのですよ。そういう点について、監督官庁はあまりに腰が抜けている。もっと公平に厳正に、免許とか登録をするときには、第三者の国民が見ても聞いてもこれはりっぱだというやり方をしないから、こそこそとアメリカ大使館の通用門から御用商人の化けものみたいな格好をしていく者が、いわゆる港運会社をしておるじゃありませんか。いけなかったらなぜこれを処断しないのか、そういうことが原因になっている。少くともこの委員会国会の縮図であります。そこへもってきて、東海のごときは一人もおりませんでしたけれども、明らかに四百人の労働者を現在の京浜では持っておりますと言ったその言葉を、すぐにあなたは御訂正になっている。  まず政府側から私は質問いたします。この運輸大臣の考え方がはっきりしておるときに、どうしてあなたたちは右顧左眄をしてちゅうちょ逡巡しておるか、何か因縁があるのか、そういうことでは届出制というものを根本的に再検討せなければ、いつもこの業界に混乱を招く一つの原因になると私は考えておる。この点についてあなたたちはどうお考えになりますか。
  47. 天埜良吉

    天埜説明員 ただいまのお話でございますが、これは右顧左眄をしておるわけではございませんでして、ただいま監査をしておりまして、これは運輸大臣が前にも申しました通り、事業法に基いて、それぞれの処分はこの監査の結果に基いていたします。
  48. 青野武一

    ○青野委員 横浜労働組合委員長にちょっとお尋ねしますが、大体あなたたちが今度先月の二十九日からストライキに入りました目標というものは、私の考えておる点では入札単価が安いから引き上げろ、それから労働者生活権を脅かすような風太郎とか、あるいはグレン隊みたいなものが争議の裏切りなんかをやっておることは困る。そこで港湾労働者として常時港湾荷役に従事しておる者が完全雇用をされないということは、生活上大きな不安であるから、そういった方針を政府の手によって確保してもらいたいということも、私はこのうちに含んでおると思う。それからこういう混乱が長引くことによって、アメリカの無理解が影響するところ、結局われわれ港湾労働者賃金の切り下げなり首切りなりが行われるということを考えられて争議をなさっておると思うが、二十九日からきようで十四日になります。果して争議の目的を達成して早く切り上げるように努力してくれた政府当局者、業者はどことどこがありますか、その点を一つお聞きしておきます。
  49. 中臣政男

    ○中臣参考人 ただいまの青野先生の御質問は、われわれの軍貨入札制度の反対という理由そのものです。本年の十一月三十日まで行なっておりましたところの既存の四社、この四社は現在われわれの組合に参加しておりますところの従業員が加わっておりまして、その四社が入札をやってもらわないことによってわれわれの仲間が首を切られる、また京浜港運に入ることによってわれわれの仲間が首を切られるというので、この既存の四社にぜひ応札をしてもらいたいということをわれわれは最初に言ったのであります。それから現在われわれのストを解決に導いてくれるところの業者と言われましたが、現在われわれが数回にわたり団体交渉を開いておりますところの全国港湾荷役振興協会横浜支部、この支部とわれわれとの団体交渉において極力われわれは支援をお願いし、この事態解決にはあなたたちが十分にわれわれの苦境を知っておる点でやってくれということを、まず最初の団体交渉の席上で私は述べました。その後ストに入ってから、三井、住友、宇徳と、この三社が依然としてわれわれの要求する態度に出なかったという点で、まずわれわれは三井、住友、宇徳というもの自体を港湾民主化を阻害する点から、こういうような三社は横浜の港から出ていってもらわなければ困るのだということに組合が一致しまして、まず三社の商貨に対するストという面に至ったのでありますが、そのときにまず東京港京浜料金安定協会並びに関東海運局長が中に入りまして、われわれに対して、できるだけあなたたちの言っていることをわれわれは善処し、また取り上げてこの問題を解決に導くという点で一つおまかせ願いたいということがあったので、われわれは組合員全員信用いたしまして、それに賛成して、その商貨の面を一応待った次第であります。
  50. 青野武一

    ○青野委員 それで私の質問している点があらましわかりましたが、もう一つ重ねて中臣君にお尋ねいたします。大体これは全国平均してそう大した変りはないと思いますが、今兼田君の陳述の中にもありましたように、現在横浜港の荷役労働者諸君は十二時間二交代制である。こうなりますと、いずれの産業に従事する労働者でも、居残りをするとか深夜業をするという形には給料に対して歩増しのついてくることは当然でありますが、私が先日下平議員と一緒に視察に参りましたときにたまたま質問をいたしましたことを、ここに記録をとっておりますが、横浜の場合、港湾労働者の諸君が沿岸荷役をしても船内荷役をしても、いわゆる夜の午後七時から十一時までの四時間は大体五割増しと聞いておる。そうすると十二時間二交代制ということが一日の作業時間とすれば、夜の十一時から翌朝の六時までの七時間が十割増し、これは全国通用でありますが、特に炭鉱あたりの労働者はもっととっておりますが、こういう点が軍貨の荷役について採用されておるか。それからアメリカの軍貨以外のいわゆる商貨、これらに適用されておるかどうか。何らかの形でピンはねが行われていはしないか。これは横浜とは申しませんよ。アメリカの軍隊などのかなり上の地位を占めている人に、家を建てて提供したり、向うの要求によって女を取り持ったり、あるいは土地のあっせんをしたりする者が、往々労働者の給料の頭をはねて、そうして巧妙にこういうものが提供せられておるということを私たちは聞くのです。おそらくそういうことはないだろうと思うのです。けれども、大体アメリカの人間というやつは上になればなるほど立身出世主義で、その点は京浜の裏切りはあまり責められませんけれども、大体どんなむずかしい問題に出くわしても、そういうことはわれわれはアメリカの名誉にかけても聞かないといって、正式の交渉では絶対に聞かない態度をとっておっても、その晩水もしたたるような女を抱かしたら、あくる日にはくるりと変るのですよ。大体そういうやつなのですよ。僕は大体終戦後十一年間、何十回となくそういう経験を持っておる。だから、大体こういう上野の動物園のサルみたいな根性のやつを相手にしての港湾問題ですから、それは大へんな問題でしょう。そういうものが多分に要求するものは女と土地と家なんです。それを業者が提供しようとすると、巧妙に労働者の頭をはねてしまう、そういうことはないかどうか。  それから米軍貨にはいわゆる居残り、徹夜作業、今の五割増し、十割増しというやつが適用されておらない、適用されておらなければこれはもってのほかである。日本の港湾運送事業法を無視するばかりでない、公示料金を頭からてんで受け付けない、そういうアメリカのやり方を、国会を通じて広く国民の世論に訴える。何もアメリカは世界を動かす軍事力を持っておったって、われわれはこわいことはないのです。われわれの立場から、七百三十六カ所の軍事基地を立ちのけ、日本の領土に何だ。それを、日本人にあるまじき裏切り行為をして、港湾荷役事業の大混乱を招いておいて、そうして答弁をすることはとんちんかんだ。今下田局長の答弁によれば、四百人は常時労働者をかかえておりませんと、目と鼻の先で明言されておるじゃありませんか。そういう人に私は質問をするための予備質問をしているのです。今日本人ならこの委員会にはすわっておられないところまで僕はやるつもりなんです。だから労働組合としてだれにも遠慮することはありません、率直に一つ御答弁願いたい。
  51. 中臣政男

    ○中臣参考人 ただいま青野さんの質問された点について、ちょっと私どもの書記長が参っておりますから、その点幾らか詳しい点がありますので、書記長の方から一応……。
  52. 松山義雄

    松山委員長 参考人になっておらないですから、あなたから……。
  53. 中臣政男

    ○中臣参考人 ただいま最初質問されました点についてですが、一応商貨の面については基準法通りわれわれはもらっていた。また軍貨の方については、会社自体として軍貨の方はやっておらない点で私ちょっとわかりかねます。またそのリベートの点については、数年前にあったというような点でだいぶ聞いております。これは私たちもそれを直接関係者から聞いたのですが、どこそこに家をもらったという点をまだはっきり詳しく調べておらないので、その点またあらためて調べてみたい、こういうふうに思います。
  54. 青野武一

    ○青野委員 もう一つあったのですよ。ストライキが御承知の通り先月の二十九日から敢行せられておる。あなたたちは食うや食わずの中で必死の戦いをやっている。これはもう業者も政府も労働組合も議会も一緒になって、米軍の反省を求めるための目標に向って一致協力して進んでおる、その一翼にやはり含まっておる。そのために争議というものが起っておる。あるいは米軍から業者に莫大な損害を要求するかもわかりませんが、この争議の解決という目的達成のために、どういう団体あるいは運輸会社が応援をしておる、精神的にも物質的にも今日まで十四日間に応援をしてくれたものがあるかどうかということを聞いておきたい。
  55. 中臣政男

    ○中臣参考人 先ほど私が申し上げました通りに、全港振横浜支部に対しては、われわれも相当援助を要請したのでございます。またそのたびにわれわれは絶えずその要請について、われわれが要請を行なって現在やろうというところまでくると、警察方面から阻害されるという点で失敗してきたというのが実態でございます。
  56. 青野武一

    ○青野委員 それで菅井さんにお尋ねしますが、あなたのところの前の人事係が、今名前が変って東海から京浜になって、何か専務取締役とかなさっておるということを聞いておりますが、私がちょうど十二月の一日に下平議員と二人で委員会の決議によって現地に調査に参りましたその日のことであろうと思いますが、あなたの方の会社のもと東海のときの人事係、今は専務取締役とかを勤めておる人が——大体あなたの方の会社の軍貨の荷役をやっておる者は、労働組合に加入しておる者がおらないという話です。その関係かどうか知りませんが、四台のトラックに、組合員の諸君の意見によりますと、私はそれがどういうような性質の労働者か知りませんが、俗にいいますと一部風太郎さんがおって、そしてグレン隊の諸君約百五十名から二百名くらいが四台のトラックに便乗して、そして労働者の諸君がピケを張っておるところにやってきた。その指揮をしておるのがあなたの方の重役の一人であった。これは労働者諸君が現地視察のときに私に言われたことです。真偽のほどはわかりませんが、そういうお話がありました。しかも労働組合の諸君がそのトラックに乗ってきたいわゆる臨時雇の諸君に尋ねてみると、どこに行けという命令はない。出たとこ勝負らしい。日当二千円給料をやるからとにかくトラックに乗れ、そうしてどういうあたたかい警察の保護があるかわかりませんが、その指揮者は一尺五寸くらいの柄のついたハンマーを、各自百五十名から二百名集めた臨時雇の労働者の腰にささして、命令一下そのハンマーを握ってトラックからどんどん飛びおりてきた。それは事実ですか。大体そのときおったとすれば、うそを言うはずがないのです。あるいは全員でなかったかもしれませんが、そのハンマーはだれをなぐるつもりで持っておるのです。港湾労働者が全部ハンマーを腰にさしていかなければならぬはずはないわけです。そうしてその人がトラックの上から指揮をして、そうして労働組合の諸君がピケを張っておるところを挑戦的な行動に出た。人のよさそうなその乗っておるところの労働者の一部の諸君の意見を聞いてみると、日給二千円、米軍には非常に安く荷役賃金の額を押えつけられて、そしてルンペンのような生活をしている人にどうして二千円の給料を出さなければならぬのか。そういうことがあなたたちの陳述の内容がとんちんかんにわれわれには聞えてならない。そういうことをなぜしなければならなかったのか。労働者諸君がストライキをやり始めたのは、最高の目標というものは米軍の一方的な、日本の国内法を無視して、雑貨の場合に例をとってみると、雑貨一トンについて百四十円程度の公示料金というものを無視されておる。これでは業者もたまるまいが、われわれ労働者も困る。いつ首切られるかわからぬ。労働不安におびえておる。そういう状態では安心して港内労働に従事することができないというのが大体の眼目であって、目標はアメリカの軍隊なんです。大きくいうと政府でしょう。それを相手に血の出るような食うや食わずの争議を、妻子をかかえて生活の苦しい中から奥歯をかんでやっておるものを、同じ日本人であって、そして二百名近くの臨時の労働者にハンマーを腰にささして、命令をあなた方の会社の重役の一人がして、そうしてピケを破って押し切って米軍貨荷役に従事しておる。私は一時間ばかり港内をずっと回ってみたのです。そういうことを私は聞きますが、それはほんとうですか。中臣さんと両者、あなたの方から先にやって下さい。そうして警察の方が具体的にどういうような取締り方をやられたかということを一つつけ加えておいていただきたい。ちょうど幸いに警察庁の三輪課長さんも心配しておいでになっております。それで大体の話は個人的には釈明を聞きましたけれども、そういうことは二度と私どもが国会として許しません。そういうものは今直ちに登録を取り消していいのですよ。大臣が取り消さなかったら、運輸委員会の決議でやらせます。だから、ほんとうのことを言うて下さい。そういう事実があったとすれば、それは片一方だけ聞いたのでありますが、われわれは、それは港湾労働者の生命の安全のためにぜひこの公開の席上で明らかにしておいていただきたい。
  57. 中臣政男

    ○中臣参考人 ただいま青野先生の言われました通り、われわれは不適格業者を追放するということ、それから職場を守るために、本月の一日に鶴見の大黒町の米軍の通称LSTビーチといわれておりますところに、われわれは一日の朝五時に六十人をもってピケを張った。一応説得隊を動員した。それでわれわれは、現地の報告によりますと、七時ごろまでに数回ある自動車がそこのピケの様子を見にきたということ、それからその後七時十分ごろ四台の日新運輸のトラックに乗ってわれわれのピケットの前にとまって、しばらくわれわれのピケットを見詰めていった。それと同時に、われわれはすぐ手を組んであくまでも説得をするという点で、話し合おうということを向うの責任者をたずねて申し入れました結果、責任者すら一人も出てこなかった。そうしてわれわれはあくまでも説得である点について、みんな呼応してともかくあなたたちのやっている業者自体が、こういう不法な業者であるということを個々に叫んだ結果、あなたたちもわれわれに協力をしてくれということを言った結果、現在の京浜港運の総務部長とか私承わっておりますが、その今西氏が陣頭指揮をいたしまして、まず先ほど青野先生の言われた通りに、ハンマーをトラックの上から各自一丁ずつ手に持って全員トラックを下車し、また暴力団的な人間が先頭を切ってまっすぐにわれわれのピケットを打ち破った。そこでわれわれはあくまでもそれを阻止せんがために、われわれの中から二人ばかりけが人が出たのであります。そのことについて警察はそのときに何もわれわれの味方をしてくれなかった。また警察はその後、終ったときに、われわれの方へ来ていろいろの苦しい釈明をしていたという点で、私ども横浜市会議員の荻野氏を通じ、警察並びに諸官庁にわれわれは御同道願いまして、こういったような違法行為があるのだということを絶えず訴えました。またその後起った問題については、神奈川県下の横浜の神奈川署の前の山の内桟橋——この山の内桟橋というところは、関税法にもあります通り乗船指定地ではないのであります。そこに数日前京浜運株式会社労務者横浜の市電三台を買い切って乗せて、そこに突入してきた。またその市電のあと先には横浜警察のパトロール・カーが誘導し、またそのパトロール・カーに京浜港運の会社人間を乗せて、その市電の誘導並びにピケを破るための指揮をとっていたということがわれわれの耳に入ったので、即時現地におもむいて調査いたしまして、所轄の神奈川署に交渉した結果、ともかくそういうことは事実はない、証拠を持ってきてくれということを言われたのであります。ところがわれわれはこういったような事実はあなたたちも見ているのだ。またまわりの人も見ていたので、私ども写真機は持ってはおりませんが、その証拠をとってない。証拠をとってないが、まずこれは警察の車に間違いがない。うしろのタイヤに一一〇番——警察の名前は書いておらなかったが、こういうことがあったという点で警察側に食い下ったのでありますが、証拠はない。ただ証拠がないだけではわれわれは不審でならない。ともかく警察は、われわれが証拠がないときには、警察の方でその証拠をつかんで調べるのが当然だというふうにして、一応その場を引き下がったわけです。
  58. 菅井雅一

    菅井参考人 ただいまのことは、私が聞いておる範囲と非常に異なるのでございまして、私の聞いていることは、十二月一日から新規の契約に私の方が入ったわけでございます。そこで、LSTビーチと申しますのは鶴見にありまして、今のノース・ピヤより少し離れております。ここに私の方の仕事がアサインされたわけです。そこでその仕事をするために、三台のトラックで労務者を運搬したわけです。しかしそれは軍との契約の義務を果さんがためにでありますが、トラックに乗せるということは、なるべくその間において紛争ということを避けんがためにやった行為でありまして今組合の方もピケを張って云々と言われましたが、別に私の会社と今の組合の方たちとは労使関係にありませんので、ピケを張れる理由はさらにないのであります。それをピケを張ってわれわれの従業員の通行を阻止した、そこに問題が起きたのじゃないかと思います。それから各自にハンマーを持たしたなんという、そういうことは一切ありません。それだけであります。
  59. 中臣政男

    ○中臣参考人 私が先ほど説明したのは陸上関係で、これがまた海上関係にもありますので、先ほどお話しましたように、山の内桟橋という点と、それから鶴見の大黒町LSTビーチにおきます海上の方も説明したい、こう思っておりますので、一応お聞き願いたいと思います。  まず山の内のピケを破った直後、米軍のボートに護衛をされて、しかも無登録船であるところのはしけを使って、その中にピケを破った人間の全員を乗せて、米軍荷役桟橋であるところのノース・ピヤへ連れていったということがまず一つ。その間にわれわれは、あくまでも説得という意味で、ボートをもって米軍の護衛付並びに水上警察の護衛付であるところのその船に近寄ろうとしたところ、警察が阻止したという点で、われわれはその間におけるところの説得は失敗に終ったわけです。それからまた山の内桟橋におけるところのピケを破った人間が、米軍のターク・ボート——われわれがよく言うターク・ボートというのは引き舟であります。そのターク・ボートのエンジンの上に乗せて連れて行った。しかもわれわれがどうしてそれがわかったかというと、ターク・ボートの機関部の乗組員からわれわれが聞いたので、はっきりしております。
  60. 青野武一

    ○青野委員 これについて第一警備課長の三輪さんに、現地からどのような報告が来ておるか。菅井さんは社を代表して、ハンマーなんか持たしたことはありません、こういう御答弁である。労働組合の諸君は、それは持っておりましたと言う。こういうことでピケは、アメリカ軍隊の一方的な強圧政策によって港湾荷役というものがスムーズにいかない、業界は混乱する、労働者は非常に窮地に立たされておるから、この内容を一つ納得してわれわれと協力してくれという意味の、労働者がストライキをやっておりますと、最後は——私は、失礼な言い分ですが、十六から五十七まで四十一年間、社会運動、労働運動をやってきたところの経験者、争議とは、力と力の対決なんです。佐々木小次郎と宮本武蔵との厳流島で、どっちが食うか食われるか、切られるか、あるいは自分の命が助かるかという、生活をかけた戦いなんです。だから菅井さんの京浜港運に従事している臨時雇の人たちに、こういう目的だ、公示料金を守らせたい、日本の国内法を守らせたい、業界の混乱を防いで、お互い横浜の港港労働者生活をおれたちの結束で守りたい、そのためにわれわれはやっているのだから、一つ納得してくれないかという話し合いをやろうとしたので、労働争議ではこれは当然なんです。私どもは長いこと、それをやったからというてとやかく言われたこともありません。その点についてあなたの方が、聞くところによると、警察力を背景にしてかなり行き過ぎた行為があったように聞いておりますが、片一方聞いたのではわかりませんから、私はお尋ねした。一つ抜けている。言いにくいだろうと思いますけれども、抜けておりますから、私は重ねて質問しますが、約二百人ばかりの臨時雇の諸君に日給二千円ずつおやりになった。二千円もらう人たちが労働組合の諸君の質問に答えられて、もらえないものを言うはずはないと常識的には判断いたしますが、この点について三輪警備課長は、現地の警察署からどういう報告を受けたか。問題は相手が米国の軍隊です。これは先ほども申しましたように、衆議院の運輸委員会も参議院の運輸委員会も、政党も一緒になり、政府も一つになって、業者も一つになっているときに、京浜港運だけがアメリカの手先になったようなやり方は困る。そこで働いている労働者に、日本人のようなあたたかい血の流れた気持になってわれわれと協力してくれというのが、ピケの精神なんです。ひとりアフリカの土人のようなやり方をしているから、日本人の気持に帰れというのが、ピケを張って説得をしようという大体の根本精神であると私は想像している。この点について警察が、かりに労働組合の諸君の言われるように、一方的にたとえば米軍とか、米軍関係の深い港運会社に好意を持って、一方的な取締り方針をやったとすれば、そういうことは将来やめてもらわなければなりません。日本人同士が血を流したり、なぐり合うたり、対立したりして、何のためにアメリカに義理を尽さなければなりませんか。私どもは砂川問題で苦い経験を持っている。千数百人が血を流して、何のためにアメリカの基地を拡張しなければならぬのですか。日本人はことごとく平和と独立を望んでおります。そういうときに目と鼻の間の横浜港湾でこういうばかげたようなことが起ることは日本人の恥なんです。何ぼ食うていかなければならぬといっても、十四日間の争議を続けておる諸君は非常に苦しみをなめておる。あなたの会社で働いておる人たちだけが港湾労働者じゃない。そういう人に二千円の給料のえさでつって、そうしてとうとういわゆるスト破りのような行動をとることは、アメリカが増長することなんだ。アメリカがいつまでもこういう制度を強行してくるのである。日本の国内法を守らして、内示料金を必ず守らして、そうしてあなた方の業界も円満に、都合よくいくように、労働者も大きな将来に希望を持って、自発的に港湾労働に従事できるようにするには、アメリカを押えなければいかぬのです。アメリカに反省を求める。悪かったと断わりを言わせて、日本の国内法を守らせることが、争議の大体大きな目標なんだ。日本人であれば、これに協力するのが当然です。それを柄のついた、ハンマーを握ってストを破ったり、ピケを破ったりするようなやり方は、これは言語道断と思う。この一点だけでも私は業者としての免許あるいは登録を取り消すべきである。あなたは自発的に港運会社をやめなさい。こういうことは日本人の恥です。日給二千円やったかやらぬか。やめるかやめぬか。おそらく私は政府はこう大きな問題になったら、引っ込みはっかぬだろうと思う。日米合同委員会に向って提訴するでしょう。関東海運局の諸君も、もう因縁情実ではじんぜん日を送ることはできぬでしょう。断固とした処分をするであろうということを私は確信します。だから、三輪警備第一課長とそれから菅井さんに最後の御質問を申し上げます。私はまだ質問の内容を二時間くらい持っている。けれども委員長が妙な顔をして十分でやめてくれと言っているから、他の同僚に譲りますけれども、晩でも朝でもかまわない、それだけの材料を握っておる。どうぞあとで訂正することのないよう、しっかり答弁を願いたい。
  61. 三輪良雄

    ○三輪説明員 ただいま警察に関して御発言のありましたことは、まとめてみますと三つほどあろうかと思います。第一は十二月一日の朝ピケ隊に対して京浜港運の労務者が無理やりに入ったときにけが人が出たが、それに対して警察は何ら措置をしなかった、当時ハンマーを手に持っておったというようなお話であります。この点につきましては現地からの報告によりますと、十二月一日の朝その現場に百名余りの労務者のピケ隊がおり、そこから京浜港運の労務者が船に乗るということでありまして、そこで不測の事態が起りますことをおそれ、現場付近に私服の警察官五名を派遣いたしまして視察に当っておったのであります。午前七時十五分にトラック四台に分乗いたしました京浜港運の労務者約百四十名が到着いたしましたが、その際に責任者であるというのかどうかわかりませんが、数名の方同士で入れろ入れないというような話が数分間ありまして、京浜港運の労務者は五列縦隊になって、ピケの正面から実力ででも入るという態勢を示し、二、三分間もみ合った後、後尾の三十名ほどがどうしてもそこを通れないということで、残った者は引き上げたということであります。その際にハンマーをおのおのが持ってなぐり込みをかけたというような先ほどの参考人の御発言もありましたが、警察の見たところでは、ハンマーを当日の作業に——あとで聞いたことでありますが、自動車の積みおろしにハンマーが要る作業があったそうであります。四角い一尺四方ほどの箱に紙に包んだハンマーを持ち込んだ。それがそういう混乱の際に落ちた。それを大ぜいで踏んだりけったりするものですから箱がこわれまして、ハンマーが出た。それからそのハンマーをピケ隊は証拠だからといって持っておった。これは後に返したそうですけれども、証拠にするというようなことを言っておられたという情報はいろいろ聞いております。しかしおのおのが腰にさし、手にハンマーを持って、それがピケ隊を破って通るのに威力を示したということではなかったように聞いております。  それからけがの問題でありますけれども、わずか数分でありましたが、もみ合ったわけであります。あるいは傷を受けた人があるかと思いますが、警察も数が少かったので、目につかなかった点があるかと思います。そのことについては後にだれだれがこういう被害を受けたという届出もありませんし、当時の責任者について、どなたがけがをしたということも聞いてない。そういうことがあったということで、別に被害を受けたという話も聞いておりません。また付近の医者等で手当を受けた事実もありません。ただ数人の者が一人の人を押し上げて落すというような格好をしておるところの現場を見た者が一人おって、けがをしないようにしろということを注意してやめてもらったことがある以外には、けが人が出るような事態ではなかったと思います。しかしいずれにいたしましても、大ぜいの人たちがぶつかり合ったことでありますから、すぐに制服警察官を呼んだわけでありますけれども、約三十数名の警察官が現場に到着いたしましたときには、前半は中に入り、後半はそういうことであきらめるという状態でありますから、それ以上、警察官が実力行使をしてどうするというようなことをしたわけでは決してございません。  それからその次の、船の上で京浜港運の労務者のうち、中に入りました者が、午前八時、三十五トン機帆船第七十三昭和丸に乗船いたしまして、LSTビーチ埠頭からノース・ピアに向つたのであります。その海上で赤いはち巻をした労働組合員十数名を乗せました三隻のモーター・ボートが、先ほどのその機帆船に近づいております。そのうちに接舷をしてその船に飛び乗ったという人もあるそうであります。しかしこのあたりは鶴見川の河口でありますし、海難のおそれもあります。一方船が動いておることでありまして、接舷するためには危険な状態でありますので、出動しておりましたかもめ、ふじという警備艇から警告いたしまして、その接舷を離す警告をいたしたわけであります。その後三隻は一応離れたわけでありますけれども、なおその船にそういう事態がまた行き先で起るということも考えられるので、しばらくの間一方の警備艇が約七、八メートル離れてついていったということであります。けれども、これは護衛したという趣旨でついていったわけではありません。  それからもう一つの点は、船がそもそも人を乗せるべき船でないのに乗せておったじゃないかという御発言がありましたが、なるほどこれは後の調査によりますと、貨物輸送用の機帆船が旅客を輸送するという届出がありませんので、法規違反の疑いもありますから、この点は横浜海上保安部に連絡しておりますので、この方面でこの点については処置されるものと期待いたしております。  その次の点は少し事情を私聞き取りにくかったのでありますが、警察のジープが特に何か京浜港運の労務者の車を護衛をしていたというお話がありましたが、これは現地の報告によりますと、十二月七日のことだと思いますが、この日の夕刻に京浜港運の労務者横浜山の内桟橋から乗船いたしましたが、その際にパトロール・カー、警察の車が三台来て護衛したということであります。それについてはただいまお話がありましたように、抗議を受けております。これはこういう事情であります。その当日その埠頭から乗船してノース・ピアにおもむくということでありますけれども、私どもはそこで再びもみ合いが起るというおそれもありますから、そういう事情視察のために、警察としては午後三時三十分ごろに緑色のジープ一台に私服警官五名を乗せて現場に急行しました。警察官は中央市場付近で下車をいたしまして状況視察に当りましたが、ジープは直ちに神奈川署に返しておるのであります。ところが中央市場内は非常に広いし、桟橋から市場内にあります巡査派出所、いざというときに本部に連絡いたします派出所までの間が五百メートルくらいの距離がありますので、連絡に不便であるというので、午後三時四十五分ごろに神奈川署のパトロール・カーに私服警察官を一名乗せて現地の連絡に当らせたわけであります。これも別に、労務者のすぐそばに行って一方を援護するとか、一方に警告をするというような措置をしたのではありませんので、一番接近したときでも三、四十メートル離れておったということであります。従って警察の車は、緑色のジープ並びにパトロール・カーおのおの一台でありますが、調べによりますと、そのときに税関の緑色のジープ一台が午後四時一分ごろに現地を視察しておりますので、これを誤認したものと思われますが、その点は組合側でもお調べいただけばすぐ事実がわかることと思います。  以上のようなことでございまして、警察側が、これは特に米軍関係があるからとか、あるいは他の何らかの事情によって、一つの会社を特に援護するというような措置をしたわけでもございませんので、このストライキ自体につきましても、いずれの側に立つというわけに参りません。ただその争いの過程において、おのずと激するの余り不測の事態が起りますことは、われわれとして非常に困りますので、そういう事態のために必要に応じ視察員を出し、またその現場の状態に応じて制服警察官の派遣をいたすというようなことを考慮しておるわけであります。  なお、青野先生から二千円云々のことにつきまして私にも御質問があったかと思いますが、その点は現地では聞いておりませんのでお答えをいたしかねます。
  62. 菅井雅一

    菅井参考人 ただいまの質問にお答えいたします。私のところでは浜港労連と一水会との協定料金を支払うように命じておるので、二千円を支払ったというような事実はありません。
  63. 松山義雄

    松山委員長 井岡君。
  64. 井岡大治

    ○井岡委員 まず関東海運局長の下田さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、東海運輸登録を取り消されたのはいつですか。
  65. 下田行夫

    ○下田説明員 東海運輸は現在も営業いたしておりまして、登録を取り消されたということはございません。現に横浜で営業いたしております。
  66. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと、それは港湾運送法による運送事業でないということですか。
  67. 下田行夫

    ○下田説明員 港湾運送事業法によりまして営業いたしております。
  68. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほどの青野委員の御質問に、下田局長は、東海運輸従業員が一人もおらないというように御答弁になったと思うのですが、その通りですか。
  69. 下田行夫

    ○下田説明員 そのようには御説明いたさなかったつもりでおります。東海運輸には従業員が一人もいないということは私の口から申し上げませんでした。
  70. 井岡大治

    ○井岡委員 従業員というのは、東海運輸の陸上における従業員でなくて、いわゆる港湾運送法に基く従業員であるが、これは二百名首を切った、一人もおらなかった、こういう御答弁だったと思うのですが、この点はどうですか。
  71. 下田行夫

    ○下田説明員 先ほどのお話は、私から東海運輸従業員を全部解雇したということを申し上げたのではございませんので、ほかの方々からそういうお話があったのでありますが、解雇をいたしまして、そうしてすぐまたそれを東海運輸べ戻したように聞いております。
  72. 井岡大治

    ○井岡委員 これは大へんなことです。港湾運送事業法の第二章の登録の四条、五条、六条、七条の中でこれは明確にしてあるわけなんです。この適格の条項の一条でも欠けておったならば、登録業者として認めないわけなんです。首を切ったときになぜ登録を取り消さないのですか。また首を切った者を、あとでこれをひっつけるという、そんなばかなことがありますか。この点はどうなんですか。
  73. 下田行夫

    ○下田説明員 非常に口実のようになりますが、私最近現職につきまして、二年前の事情はあまりよく知らないのでございますが、そのときのいきさつにつきまして調べたものがございますので読み上げましょう。  当時東海運輸で全員を首切ったというようなことで、東海運輸労働組合の闘争委員長方々が海運局べ見えまして、当時の私どもの方の係官に対して、東海運輸で首を切ってそれを京浜港運の方へ移したのはおかしいじゃないかというようなことを中心に、御質問があったようであります。それで当局としましては、登録申請書の実態調書を申請会社、つまり京浜港運でございますが、それについていたしましたところ、一応の形式が新しい会社については備わっているという返事をしましたら、組合員の方から、あれは東海運輸労働者を便宜借りておるのだ、同じ人間が両方に籍を置いているような格好だ、われわれはその証拠を握っておるというようなことでありました。問題の人間は二十八人でございますが、小さい業者でございますから、大体この程度の労務者しか持っておりません。そこで問題の二十八人でございますが、その二十八人が適当にやりくりされているのだということで、その証拠も持っているということでございました。当局の当時の答えは、それについては京浜港運から九月三十日付で、さらに三十名の労働者を動員したという労働者変更の届が提出されているので、東海運輸が問題の二十八名を再雇用したとしても、動員された労働者のみでも登録基準は足りるので問題にならない、従って両方とも二十八人のほかにまた別の労働者が三十人あって、それが京浜港運の方に入っているというような返事をしたようでございます。そこで登録申請したときの二十八人の労働者が、もし全部架空のものであれば問題になるが、一応当局は適正なものと見て受理したものである。しかしながら労働組合の言が真実だとすれば、一方的であっても困るから、事業者を呼んで調査するということを申し述べたのでありますが、その際に労働組合の方から、しばらく待ってもらいたい、その事実の確認は自分の方でやってみようというような返事があったそうであります。その結果、昨年の十一月十二日になりまして、東海運輸労働組合の斎藤副闘争委員長外一名が参りまして、私どもの方の職員その他全港湾に入っております関東海運局の職員組合の書記長、正副委員長が立ち会いまして、さきに申し出た不正雇用について、東海運輸労働組合闘争委員長田丸清一さんから同局長にあてまして、篠崎次市外二十七名は本人納得の上、登録申請書添付書類に登載をなされたことが判明したという証明書を田丸清一さんより出されましたので、一応実はこれで事態解決したという記録になっております。
  74. 井岡大治

    ○井岡委員 局長は当時の事情をよく知らない。単なる書類によってそういうようになっているように思っている。だからそれは一応登録条件を具備しているものとわれわれは考えた、こういうお話なんですね。
  75. 下田行夫

    ○下田説明員 大体登録の申請をいたしますときには、書類によりまして念のために実態調査をいたします。京浜の場合には、問題がいろいろございましたので、約二カ月間いろいろ調査をいたしました。何分にも登録をとろうといたしますと、いろいろな手を講ずるということになりますので、それも今回はその後わかったことでございますけれども、いろいろ人にも頼み、また監査が行われるということになりますと、その先に行きまして、こういう監査があるだろうから、こういう点はこういう返事をしておいてくれというようなことをやっていることも判明した次第でございます。登録の際にも必死でございますから、われわれの方は攻める方でございますが、その間にいろいろあの手この手ということになりますと、まことに申しわけないことになりますが、いろいろの手抜かりがあるのではないかと思います。
  76. 井岡大治

    ○井岡委員 これは大へん奇怪なことを聞いた。登録の際にはあの手この手がある、監査のときにもあの手この手がある、こういうことですが、これはこの法律によって行政する者の言葉としては私は聞かれない。実はかりにそうであるとしても、そういう無責任なことが国会のまん中で国民大衆に言えた義理でないと思うのです。この点どうなんですか。
  77. 下田行夫

    ○下田説明員 ただいまあの手この手があると申し上げましたのは、よくあります金銭的な関係とか、そういうような意味ではございませんで、こちらでは法規に従ってやっておりましても、それをもぐるために、——特に港湾運送事業法の基準と申しますのは、非常に解釈がいろいろとできますので、この間いろいろ法をくぐるために荷主に頼むというようなことで、事実にかなっておらないような証明書を備えるというようなことはございます。そういう意味で申し上げたのであります。
  78. 井岡大治

    ○井岡委員 語るに落ちるという言葉がありますが、私はあの手この手に金銭的な意味があるということは一言も言ったことはありません。法律の条文でいろいろに解釈ができると言っておりますけれども、この法文を読んでみなさい、どう解釈するのですか。私は不幸にして申請の解釈にあの手この手が使える解釈があると思えないのです。職業安定法に違反しておる者は登録はできないことになっている。あの手この手とは、たとえばかりに雇ってきた従業員であるならば、これは明らかに職業安定法に違反をしていると思うのです。この点安定局長の見解を求めます。
  79. 辻英雄

    ○辻説明員 私、所管外でございますので、安定局長が見えてから御答弁いたします。
  80. 井岡大治

    ○井岡委員 これはどうも大へんなことになってきたと思うのです。少くとも本日、われわれが皆さんに忙しい中を委員会においで願い、しかも港湾荷役の問題について参考人を呼んでいるのであるから、当然ここへ来るべきであると思っております。これは所管外だと言われたから仕方がない、これ以上あなたに追及しようとは思いません。天埜局長にお尋ねいたしますが、これは職業安定法違反だと思いますが、どうですか。もし違反であったならば登録基準には入らないのですか。
  81. 天埜良吉

    天埜説明員 職業安定法に違反の者は、この条文の通り入りません。
  82. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、もう一ぺん天埜局長にお尋ねいたしますが、あの手この手というのを一ぺん聞かせて下さい。
  83. 天埜良吉

    天埜説明員 あの手この手というのはよくわかりませんが、今の職業安定法で罰せられた者は、登録基準から欠けることになっております。
  84. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると第九条の運賃及び料金のところの第四項の一に、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、」と書いてある、この原価とは何をさすのですか。
  85. 天埜良吉

    天埜説明員 適正な原価といえば、労務費その他機材費等いろいろな原価を見たものが料金であるというように考えております。
  86. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると今の公示料金は大体幾らで計算されておるのですか。
  87. 天埜良吉

    天埜説明員 今ちょっと数字を覚えておりませんが、これは労働省、日銀の調査その他の資料から見た原価でございます。
  88. 井岡大治

    ○井岡委員 公示料金は労働省が設定するのではなくて、海運局、すなわち運輸省がするのだと思うのですが、この点はどうですか。
  89. 天埜良吉

    天埜説明員 これは港湾運送事業法の建前では、公示料金というものは運輸省が設定するのではなしに、業者が設定をいたしましてそれを公示し、それを運輸省に届け、それを運輸省が見た場合において、適正な原価を償い、適正な利潤を含むものであるというふうに認めた場合には黙っておるし、そうでないときには問題になるというような仕組になっております。
  90. 井岡大治

    ○井岡委員 そうするとこれは労働省の関係あるいは日銀の物価指数の関係でなくて、明らかに運輸省の関係、海運局の関係だ。まあ海運局が公示するということは間違いでありましたから、この点は何いたします。けれどもこれを監督しておるのは海運局なんでしょう。どうなんですか。この公示料金はいわゆる業者がきめて、そうしてこれを海運局つまり運輸省が、これは果して適正料金であるかどうかということを見るわけですね。これが不当なものであるならば、法に照らして改正を命ずることができるようになっておる。そうでしょう。そうであるとするならば、直接あなたがきめるのではなくても、海運局はこれに十分なる関心を持たなければならないということなんです。その通りですね。
  91. 天埜良吉

    天埜説明員 お話の通りでございまして、その公示が出た場合に海運局としては重大な関心を持っていろいろ検討しておるわけでございます。
  92. 井岡大治

    ○井岡委員 ここで言ったらいけないという立場から、海運局長も非常に政治性を持たれて答弁をされないのかと思いますが、私の知る範囲では、現在一万七千円から八千円が公示料金の原価計算の中に割り出されるということを知っておるのですが、この点どうなんです。
  93. 天埜良吉

    天埜説明員 今の労賃につきましては運輸省としては一万七千二百円、これのべースで考えております。
  94. 井岡大治

    ○井岡委員 やはり知っておられるわけです。そこで中臣さん並びに兼田さんに聞きます。現在の港湾労務者はどれだけの賃金をいただいておられるか、お聞きしたいのです。
  95. 中臣政男

    ○中臣参考人 ただいま詳しい資料というものも持参しておりませんので、概略だけを御説明したいと思います。大体平均いたしまして一万七千円は取っておりません。
  96. 兼田富太郎

    ○兼田参考人 私の方の組織しております組合員は、大体今一万六千円くらいがべースでございます。ところが実際に船内作業のような場合に、一日十二時間労働で四百五十円という日給の臨時の労働者と半々くらいになって作業しておるというのが港湾実態です。つまり今中臣さんの言われた一万七千円に達していなくても、まあ一万五千円から一万六千円くらいな常用と、一日十二時間労働で四百二十円ないしは四百五十円くらい、幾らか格付に差がございますが、そういう労働者が半々ないしは四分六分、つまり六分の方が臨時というようなことで働いておりますので、その平均ベースを求めるならば合計したものを二で割るとか、四分六なら四分六分、七分三分くらいのところもあると思いますが、そういう状態であるからこれはぐっと下回ることになる、こういう計算でございます。
  97. 井岡大治

    ○井岡委員 一万六千円、一万七千円と申しましても、これは実収の場合と労働時間とを関係して分けなければいけないと思います。少くとも労働省が考えておる基準賃金というものは、八時間労働でもって一万七千円というようにお考えにならなければならぬ。皆さん方の今一万六千円とか幾らとか言っておいでになりますけれども、それは八時間労働で割り出してそういうことになっておるのですか、この点をはっきりお聞かせをいただきたい。
  98. 中臣政男

    ○中臣参考人 私どもが先ほど申しましたのは、十二時間から割り出したものでございます。
  99. 井岡大治

    ○井岡委員 十二時間から割り出して一万六千円であるとするならば、これは一万六千円ベースではありません。法で示しております職業安定法というものは、少くとも日雇い労務者、いろいろありますけれども、基準法、こういうものを含めていわゆる基準法に適した、日本の法律に適したものから割り出して公示料金というものが設定されるのだ、こう思うのです。この点間違いありませんね。
  100. 天埜良吉

    天埜説明員 今の点お話の通りでございます。
  101. 井岡大治

    ○井岡委員 私はひとり京浜港運だけを責めておるのでなくて、先ほどから公述の方々が口をそろえて申されたことは、登録適格性を欠いておる方々入札を許すというようなことはけしからぬということであったことは、皆様もお聞きの通りなのです。そこでもう一度私はもとに戻ります。第七条の職業安定法に違反をした者、これだけで十分に登録の取消しはできるわけです。好きこのんでなぜ監査報告を待ってなどと言っておられるのですか。あれやこれやの口じゃないですか、この点明らかにして下さい。
  102. 天埜良吉

    天埜説明員 ただいまのあれやこれやというようなことで、じんぜんいろいろなことをやっておるというようなことではないのでございまして、第七条の規定で事実監査の結果あれば、これに基いて処置がなされるわけでございます。
  103. 井岡大治

    ○井岡委員 いろいろ詰めていきますと、私はこの港湾運送事業というものに大きな疑問を持つわけです。たとえば神戸の問題で、先ほどの神戸大利さんの陳述の中で、三十円宿の撲滅、労働基準法、職安法の完全実施、これが私たちの願いです、どうか委員会でこの点を取り上げていただきたい、こういうお話でございました。そうすると私は非常にわからなくなってくるのです。現在の港湾業者にはこういうことが行われておらないのですか、現にあるのですか。この点海運局長どうなんですか。
  104. 下田行夫

    ○下田説明員 私関東海運局長でございまして、問題の神戸実情は知らないのでございますが、関東では、横浜におきましてはそういう事実を聞いておりません。
  105. 井岡大治

    ○井岡委員 関東海運局長、あなたは今どうお聞きになっているのです。公示料金は一万七千二百円で割り出して行われておると言っておるのですよ。一方は一万六千円十二時間勤務だ、こう言っておるのですよ。それをそういう事実は聞いておりません、そんなことじゃどうするのです。そういうことを言っておるから、現在横浜で十四日間ストライキが起っておる。しかもこの内容はどうあれ、われわれは多くの批判を持っております。持っておりますけれども、現われてきた問題と日本の国際的な立場から考えて、今日アメリカとの関係がどうなるかと国民は非常に憂えておるのですよ。そういうことを、ありません、聞いておりませんということで勤まりますか。どうなんです。これはもっと正直にお答えなさい。
  106. 下田行夫

    ○下田説明員 私先ほどお答えいたしましたのは、三十円宿の問題かと思いまして、三十円宿ということについては聞いておりませんと申し上げました。
  107. 井岡大治

    ○井岡委員 私は三十円宿撲滅、労働基準法、職業安定法の完全実施と二つに言ったのですよ。何も三十円宿だけ言ったのと違いますよ。どうなんですか、これは。
  108. 下田行夫

    ○下田説明員 職業安定法及び一万七千二百円べースの励行ということにつきましては、安定法の実施の問題は私どもの主管ではございませんで、これは労働省関係の主管になっておりますので、責任を持ってお答え申し上げかねますけれども、海運局長といたしましては十分に関心を持ちまして、今後実施せられるように努力いたしたいと思います。
  109. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから私は公示料金の設定に当って聞いたのですよ。あなた方はそれを言うだろうと思っていた。これは私たちの関係でありません、こう言った。言うだろうと思っていた。だから公示料金というものはこの法律によって作るのと違うのか、こう言って尋ねたらその通りだ、こう言っておられる。これは所管外として見のがせますか、あなたどうなんです。
  110. 下田行夫

    ○下田説明員 お答えいたします。一万七千二百円と申しますのは料金の算定基準になっておるのでありまして、現実の労務者の受け取りは、その月におきまする仕事の多寡、あるいは取扱い貨物の量などによっていろいろ違うと思いますので、単純な比較はできないと考えます。
  111. 井岡大治

    ○井岡委員 私も不幸にして勉強しませんから今のような御答弁がいただけるのだろうと思うのですが、しかし私はそのくらいのことはわかっております。ですからそういう答弁は委員の前に明らかにするものじゃない。もっとまじめに答弁しなさい。  職業安定局長がお見えになったようですから、職業安定局長にお尋ねをいたしますが、現在のいわゆる港湾荷役業者というものは果して適格な業者であるかどうか、この点をまずお聞きします。
  112. 江下孝

    ○江下説明員 海運荷役業者につきましては、港湾運送事業法によって登録制営業が行われておるわけでございますが、これにつきまして私の方としましては、最近この登録関係につきまして非常に業者がふえたということが一つ、それから荷役が非常にふえました関係上、そういう弱小な業者において法律違反の者が多いということを承わりました。実は実態を究明しなければならぬということで各関係の方には指示をいたしておりますが、正直に申しまして実態把握が非常にむずかしいものですから、中には私は違法な者もあるとは思いますけれども、今ここでそれではどれだけあるかと聞かれましても、実は明白なお答えができないわけでございます。
  113. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、ストライキが起りましてから十四日になっているわけです。従って京浜港運というものについては、かなり職業安定局長は御関心を持っておいでになると思うのですが、どうなんですか。
  114. 江下孝

    ○江下説明員 関心を持っております。
  115. 松山義雄

    松山委員長 井岡君、ずいぶん時間が過ぎましたから簡単にお願いします。
  116. 井岡大治

    ○井岡委員 あとに下平君もおりますから私は多くを避けます。  そうしますと、職業安定局長にお尋ねしますが、先ほどからの参考人の陳述、菅井社長の御答弁等から割り出してみますと、現在の京浜港運においてかなり多くの欠陥があるやに私たちは承わるのですが、こういう点について海運局に対して注意を喚起したことがありますかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  117. 江下孝

    ○江下説明員 争議の直接解決の問題につきましては、労働省におきましても労政局が担当いたしておるわけでございますので、その方で十分措置をいたしておると私は考えております。ただ雇用面の問題としては、直接争議に関連いたしまして問題になりますのは、ストライキ中の違法な人員募集の問題があると思います。その点については十分現地の機関において措置をさしておりますので、その点は私としてはここで問題はないと思います。ただお話のような問題が起るということの裏に、港湾荷役全体として考えなくてはならぬ問題が多々実はあることを承知いたしております。せんだってから私の方といたしましては港湾荷役の問題について、単に荷役を扱うという労務の面だけからはなかなか解決できない面もあるということで、運輸省の御協力を願いまして港湾労働対策協議会を作りまして、いろいろそういう根本的な問題につきましてはここで慎重に審議をお願いして、できるだけ早く結論を出したいと考えております。
  118. 井岡大治

    ○井岡委員 私の御質問を申し上げているのは、もちろん今の一点もございますが、問題はこの争議の起っている第一の理由は、入札制度について、現在登録適格性を欠いている人が登録しているのだ、こういうことが先ほどからずっと言われてきたわけです。そこでこの登録基準の中には、職業安定法の違反があった場合は、これは登録を取り消すことになっている。そこで職安局長に尋ねているのは、この京浜港運というものは違反がある、こういうことについて勧告をしたかどうか、こういうことです。
  119. 江下孝

    ○江下説明員 違反があるということならば、当然私の方としては登録取り消し要求するわけです。
  120. 井岡大治

    ○井岡委員 局長は先ほどからちょっと席をはずしておいでになったから、その「ならば」という言葉が出るだろうと思うのですが、これは後ほど議事録を読んで十分に研究して下さい。どの参考人も全部、適格性を欠いた人方が入札している、しかもこれによって業界は混乱している、こういう陳述をされている。違反があったならばというようななまぬるいことを考えているから、ストライキはいつまでたったって解決しない。そのために必要以上にアメリカとけんかしなければならない。われわれはアメリカとけんかするのが能じゃない、港湾事業というものを守りたい、この立場で言っている。役人の方々はその立場で行政を担当し指導されていると思う。ですから、あったならばというようなことは、これはこの際取り消してもらいたいと思う。厳重に至急調査して、適当な措置を講ずる、こういうように理解してよろしいかどうか、お尋ねします。
  121. 江下孝

    ○江下説明員 もちろんそういう違反事実を至急調査いたしまして、事実があれば善処いたしたいと思います。
  122. 井岡大治

    ○井岡委員 委員長は非常にお急ぎのようだし、約束もあったことですから、あまり長い時間をかけますと委員長にしかられますから、きょうはあまり深く追及することを避けまして後日に譲ります。ただ一点先ほどからのいろいろの質疑応答の中から考えて、私は特に日本の港湾事業というものが、単に労働者を守るとか、あるいは業界を守るというだけでなくて、日本経済に大きな影響を持ってきたということを痛感いたします。そのためには国民の一人々々が港湾事業の最も公平にして円滑な運営を期するために努力しなければならぬと思います。  そこで最後に港湾局長にお尋ねをします。港湾運送事業法改正をする気持があるかどうか、この点をお尋ねします。
  123. 天埜良吉

    天埜説明員 港湾運送事業法につきましてはいろいろな点でいろいろな批判もございます。われわれも実施しておる間にいろいろな点を考えております。従ってこれにつきましては絶えず研究をしておりますが、さらに研究して、登録の基準だとかあるいはいろいろな点で改正をしていかなければならぬものというふうに考えております。
  124. 井岡大治

    ○井岡委員 いろいろやっておるうちに矛盾を感じながらまた研究をしておる。それはもちろん研究しなければならぬでしょう。それはわれわれがここで鉛筆で字を書くようなわけにいきません。いきませんけれども、少くともこれだけ矛盾があり、これだけ業界に混乱が起るような現在の港湾運送事業法というものであるならば、その責任の地位にある港湾局長はすみやかにこれを改正する、こういう決意がなくて、今までわれわれは汗かいて何のために論議したのです。局長は何のためにしかられたのです。この点明らかにしてもらいたい。
  125. 天埜良吉

    天埜説明員 十分に研究していきたいというふうに考えております。
  126. 松山義雄

    松山委員長 下平君。
  127. 下平正一

    ○下平委員 私は同僚が非常に長い時間をかけていろいろな角度から御質問をいたしましたので、重複することを避けまして二、三の点で御質問をいたしたいと思います。私も港湾関係はしろうとでありまして、先日横浜の港へ行ってみて初めていろいろなことを考えてみたわけでありますが、今回の問題は、やはり米軍暴力、それからもう一つは国内の統制力の欠如、業者間にも多少の問題があったというように考えております。これらの三つの要件というものが、しわ寄せとして労働者生活権を脅かしている問題になっておるのじゃないかと考えておりますが、そこでそれらの観点から二、三御質問をいたしたいのですが、まず京浜さんにお伺いをいたしたいのであります。  先ほど京浜さんが、私も日本人であるという大みえを切られたようでありますが、その中で米軍貨に対する公示料金の指示というものが関係当局からなされてはいない、こういうお話がありました。その点はあとで当局にお伺いをするとして、私は少くとも港湾行政の中で、法律やいろいろな立法行為だけでそういったもの全部が解決されるとは考えない。やはりそれに携わっている労働者、あるいはそれに携わっている業者というものが、おのおのの良識に基いて活動しなければ、とうてい立法行為だけでこの万全を期するということはできないと思うのです。そこでお宅さんは、はっきりしたことを聞いておりませんが、米軍貨三十二セントなにがしで契約されたということを聞いておりますし、私が先日行って少し調べてみますと、一昨年は確か雑貨で三十四・五セントこういう契約であったようであります。その後の状況を調べてみると、御承知のように労働者賃金は約三割上昇しております。今海運局の御答弁を聞いていると一万七千数百円ということに労働者賃金を構成の中に考えている、こう言っておりますが、大体海運の荷役料金の中で労働者賃金の占める割合というものは約六〇%と聞いております。そういたしまするとその料金にはね返る、あるいは労働者賃金がアップしただけでも、約一八%の上昇をしなければならぬはずである。一九五四年の料金が妥当であったかどうかということについては、先ほど三井さんが日米行政協定の合同委員会その他でおっしゃられた通り、アメリカ当局としても妥当だと認めざるを得ない。日本の労働者賃金が上ったという条件があるにもかかわらず、どう考えてみても一昨年より安い料金で仕事ができる、あるいは一昨年よりも安い料金労働者賃金のアップの分を支払っていけるということは、常識的に考えてできないことなんです。たとい関係官庁の指示がないといたしましても、横浜の港で荷役に従事している業者としては、業者の良識の点からも三十二セント内外で契約をするということは、いささか良識にはずれてはいないかと思うのであります。この点についてあなたは今労働者賃金を十分支払って三十二セントでやっていける、業者としての良識に反しないということで米軍と協約ができたと、こう言い切れますか。
  128. 菅井雅一

    菅井参考人 三十二セントで労務者に、今の一水会並びに浜港労連との協定料金を守って、りっぱにやっていける確信を持ったから契約したのであります。
  129. 下平正一

    ○下平委員 あなたの答弁を聞いていますと、非常に国会を侮辱されたような気がしてならないのであります。なおその他の点でも申し上げたいと思いまするが、ここで少し関係当局にお伺いをしたいと思います。港湾運送事業法によって公示料金なるものがきめられております。私は第二の問題点というものは、関係当局があまり港湾行政の複雑とかいろいろなことに籍口して、手をつけていないというところに問題があると思うのです。そこで公示料金について先ほど井岡君が質問をいたしておりましたが、私がお伺いしたところによりますると、港湾公示料金についてははっきりしたデータを持っておられる。船内荷役で、十八人構成で十二トン扱い、一万八千円べース、これで百四十円、これはあなた方は的確に持っておられると思いますが、違いますか。
  130. 天埜良吉

    天埜説明員 料金の原価計算の内容については、はっきりしたデータを持っております。
  131. 下平正一

    ○下平委員 私が言ったのと違いますか。大体国会へ来て国民の代表者を相手にして、お役人さんが片一方の質問者には的確なことを答えない、こういう態度はよくない。さっき井岡君が公示料金の問題を根掘り葉掘り聞いても、そういうことを答えなかった。やっと聞いたところが、一万七千円べースだけは組んでありますというようなことを言ったわけですが、これは別といたしまして、米軍貨に対してはあなた方は一体どういう考えを持っておられるのですか。米軍貨荷役料金あるいは米軍貨荷役については、国内法を適用しなくてもよろしいという考え方に立っているのですか、その点をお伺いいたします。
  132. 天埜良吉

    天埜説明員 決して国内法を無視していいというような性質のものではないと思います。御承知のように公示料金というものは作業をする一カ月前に公示をしまして、そうしてやっていくのでございますが、ただここに米軍の軍貨に対して、百四十円でコレスポンドするものであるかどうかという点について非常に検討を要しますので、これは早く届けて、そうしてその検討によって、これをコレスポンドするものにしなければならないというふうに考えております。
  133. 下平正一

    ○下平委員 ことしの六月十五日に公示料金が四二%のアップをした。これは国内一般商貨に対する公示料金だと思います。海運局長にお伺いをいたしますけれども、おととしは三十四・五セントでやっていたのを、国内の公示料金は、国内の諸条件によって四二%アップした。これに対して当然米軍貨に対しても、日本政府が考え、あるいは港湾運送事業法の精神——第九条の第三項か四項に料金の適合の項がありますが、それに基いて適正な利潤あるいは原価を償う、こういうふうに考え詰めれば、米軍貨の、機械を貸与されるとか、あるいは沿岸と船内荷役が一本であるとか、そういう条件を加味して、あなた方は業者に対してこのくらいの料金が適正だ、港湾運送事業法秩序を乱さない料金はかくかくの料金である、従ってこれ以下の料金では米軍契約してはならないとか、いろいろ行政指導をされたと思うのですが、三十二年度の米軍貨契約をされるについて海運局当局は、これらの料金の問題について一体どういう措置をやっておりますか。
  134. 下田行夫

    ○下田説明員 契約が始まりますのは十月下旬になりますので、九月の下旬から業者を集めまして、今回の入札の適正な料金を検討させました。もちろん当局からも係官が参加いたしました。もともと公示料金は、先ほど来お話の通り業者が届け出ることになっておりますので、業者それぞれの各店の公示の関係もありますから、両方協議いたしました。しかしながら非常に多数の品目にわたっておりまして、おのおの米軍との交渉にたえられるかどうかということにつきましては、若干の疑問もございました。そこで大体おもな雑貨についてどの程度の金額が出るかということを検討してみましたところ、一般の商貨との比較はかねて御承知の通り、非常にむずかしいのでございますけれども、今回の契約においては、センター・ピヤという場所におきます仕事は、大体商貨の場合と条件が同じでございます。それでありますから、業者を集めまして、それを基準に、他のピヤにおきます作業料金を定めろということを数回にわたって申しました。なお米軍にも当方の商貨の公示料金の制度を十分に説明いたしました。業者には数回にわたって大体の基準を申しまして、その適合方を強く要望しておきました。
  135. 下平正一

    ○下平委員 これは抽象論ではないと思うのです。一セント違う違わないが大きな問題を起すのですから、海運局当局としては、一体今回の三十二年度の米軍との軍貨の入札に際して適正な値段——海運当局が考える適正な値段というのはいろいろありましょうが、雑貨にして幾らくらいという指示をなさったのですか。
  136. 下田行夫

    ○下田説明員 私は三十六セントくらいが適当だと考えております。しかしながら米軍との関係においてどの業者もがここまで上げろということは、種々の情勢から考えまして非常にむずかしいのではないか。と申しますのは、良心的な業者にいたしましては、ここまで飛躍的に上げることはとうてい無理だろう。従ってそれより第二段、第三段に下る場合も考えておかなければならないということで、おそらくは業者の間で三十三セント半というところが、適正な料金ではないけれども、これが譲り得る最低の線だということになっておったと思います。三十三セント半という数字も、私が認めたものではございません。
  137. 下平正一

    ○下平委員 だれが認めたのですか。
  138. 下田行夫

    ○下田説明員 これは業者間でそこまでいっても仕方がないということになったのだろうと思います。
  139. 下平正一

    ○下平委員 私が聞いているのは業者のことでなくて、あなた方は料金についても監督権を持っておられるでしょう。だからあなた方が米軍貨に対してはどのくらいの単価が適正だと考えているか、そういう点を聞いているのです。  それからもう一つ、先ほど下田さんのお答えの中では、港湾運送事業法によって米軍貨等も当然扱われるのだ、こういうことでありましたが、料金の方を見ますと、第九条の第四項の二号ですか、特定の利用者に対して差別的取扱いをしてはならぬと書いてありますが、今あなたが言われております三十三セントに下げるとか、あるいは三十三・五セントに下げるということは、国内、国外を問わず、横浜港における港湾運送利益を享受する人に対して、差別待遇と考えませんか。
  140. 下田行夫

    ○下田説明員 差別的待遇と申しますのは、非常な差別待遇であるかどうかということは法律上問題になりますが、四囲の情勢から見て、今三十六セント程度のものでございますならば、不当な差別的待遇を与えるものではないと判断いたします。
  141. 下平正一

    ○下平委員 不当であるか不当でないかというような抽象論でありますと、これはおそらく水かけ論になりましょう。しかし一般の国内の商貨は船内荷役だけ、アメリカの場合には沿岸を含むことになっていますね。たとい機械の貸与がありましても、それは業者間の大体の意向を聞いてみても大体二〇%程度のものだ。そういう条件を加味しまして、およそ常識で考えられる料金というものは三十九セント以下では出てこないのです。現にあなた方お役人様に計算してもらっても、米軍荷役料金は三十九・五セント以下ではならないという数字が出てくるのです。それを三十六セントにしてやって、それが差別待遇でないという論拠が一体どこにあるか。アメリカの圧力がこわいからそう言うのでしょう。国内業者も国外業者も運送事業法からいったらそれは平等でしょう。差別待遇をしてはならぬということは明らかなんです。機械貸与とかあるいは割増金の問題、あるいは沿岸船舶の共通料金の問題、そういう点を参酌すれば、あなた方お役人でさえも三十九セント何がしというものが大体の適正料金だということを言っているのですよ。現にそれを三十六セントにして、なぜ差別待遇じゃないのですか。どういう論拠があるのですか。
  142. 下田行夫

    ○下田説明員 私どもも三十九セントないし四十セントが一応の適正な料金であるという点につきましては、同じ考えを持っております。ただ三十六セントまでは四囲の情勢からいたし方がないのではないか、そういうふうに考えているわけであります。
  143. 下平正一

    ○下平委員 四囲の情勢でいたし方がないと言いますが、一般の国内の商貨その他については、そういう四囲の情勢を考慮してやっていないのですよ。やはり百四十円なら百四十円というものは一律でありましょう。あなたの言われる四囲の情勢というのは、一体どういう情勢なんですか。あなた方が三十九セントないし四十セントが適正だと思って行うについて、四囲の情勢が許さぬという、その情勢を明確にしなければ、ここでは意味がないのです。その情勢というものを明確にしてもらうことが一つであります。  それからもう一つ、三十九セントないし四十セントという適正料金というものを考えられたならば、米軍貨入札制度の根本的な問題は別問題でありますが、入札の単価の問題についてあなたは一体どういうふうに業者の間を指導あるいは監督されたか、その二点についてお聞かせ願いたい。
  144. 下田行夫

    ○下田説明員 四囲の情勢と申しますと、第一は、昨年度の入札価格、決定価格の最低は二十七セントでございます。これを四十セントに上げますことは、これは値上げ率から申しますと非常に困難性があるのではないか、そういう判断をいたしました。それからもう一つは絶対にあってはならないことでございますけれども、毎年業者の間の協定が乱れまして、かけ込みが出てくる。その場合に、三十九セントないし四十セントでありましては結局、きわめて簡単な業態を持っておりますものがかけ込んで、それをさらってしまうことになるのではないか、これは私も考え、また心ある業者もそう心配いたしておったようでございます。これには理由があると認めまして、三十九セントないし四十セントでぜひやってもらいたいのだけれども、まじめな業者の手に渡るためには、三十六セントぐらいになることはやむを得ない、こう考えました。
  145. 下平正一

    ○下平委員 あなたが今言った中で、去年はたしか平均二十八・八セントであったはずであります。しかし一昨年の日米合同委員会の厳密な調査、六カ月間にわたるアメリカの合計監査の結果、三十四・五セントという数字が認められたのですよ。去年の二十八・八セントという数字は、これから見て明らかに不当な数字なんです。その不当な数字を根拠にして本年度を考えるというあなた方の指導方針というものは間違っていませんか。当然三十四・五なら、それを基礎数字にすべきなんです。もう一つの点は、今業者の中に心得の悪いのがあって、かけ込みをやったとか、いろいろ業界を乱す行為があったといいますが、一体それは何という業者ですか。
  146. 下田行夫

    ○下田説明員 平均いたしますと二十八セント何がしになります。従って最も多くの雑貨を扱いましたある会社のレートは、二十七セントでございました。なお三十四・五セントという数字を全然考えなかったのではございません。また二十七セントを基準に考えたのでもございませんで、これは一応軍貨に関する原価を出しまして、三十九セントないし四十セントというところが妥当ではないかと考えた次第でございます。  その次に毎年かけ込みのようなことが行われる、その具体的会社名を申せということでございますが、はなはだ申しにくいのでございますけれども、一昨年で申しますと東海運輸、昨年は全くの自由競争になりまして、先刻お話のありましたように、おのおのが自由にかけ込んだということになると思います。これは全部がかけ込みと申してもさしつかえないと思います。本年度はまだ……。
  147. 下平正一

    ○下平委員 料金入札制度はある程度業者の良識に待たなければできないということは現実だと思います。これは入札制度が根本的に改正されれば別でありますが、入札制度が根本的に改められない限り、業者の良識ということについては、これはやはり一番大きなウエートがかかることは事実だと思います。しかしそのことによって港湾秩序が乱されるということになれば、当然監督権の発動ということはあり得ると思うのです。従って抜けがけをしたり、あるいは勝手に値を下げたり、こういうことをした業者に対して、海運局当局は一体どういう措置をとられてきたのですか、またどういう措置をとろうとしておるのですか。
  148. 下田行夫

    ○下田説明員 まず前提といたしまして、今度の入札の前後を通じまして業者を集めまして、もちろんその中には京浜等も入っております。先ほど申しましたように、軍貨については目下のところ公示料金がきまっていないけれども、センター・ピヤにおける作業は商貨の作業と大体同じような条件で行われるものでありますから、商貨の公示料金を基準としまして、不当な値引きをしないようにということは、数回にわたって強く申し入れております。その際もしこれに違反するようであれば、われわれとしては場合によっては登録の取り消しということも考えなければならないということも申し渡してあります。しかしながら今回の問題について申しますと、下は三十一・五セントから三十二セント、三十三・五セントということになっておりまして、そのうちどれが適正でなくて、どの辺から適正になるかということの判断が非常にむずかしいのでございまして、料金の面につきまして法に基く処断をいたすことは困難ではないかと考えます。
  149. 下平正一

    ○下平委員 あなたは国会に来てもまだ非常にきぬをかぶせた言い方をしております。それでは問題の解決にはなりません。従来の米軍貨入札の問題についても、業者間の協定というものがある程度守られてきた。しかし今回破られたのは、全員が勝手に破ったわけじゃないのです。だれかが破る先がけをするから、勢い業者は自衛上やはりやるという形になったわけです。だれが導火線で、先ばしってダンピングした人が必ずあるわけです。さもなくて——三十一セントや三十二セントでは業者自身が困るわけです。その困る問題を勝手にやるはずはないのです。もっと正直に言って下さい。正直に、だれが一体最初に破ったのか、そういうことを明確にしなければ、この問題は何ら前進しないではないですか。何のために時間をかけて——高い給料を払ってあなた方を雇っておくのですか。その問題を明確にすることがきょうの委員会の大きな問題です。困る点は隠しておく、言いにくい点はごまかしておく、それでは問題解決の糸口になりません。だからもっと明確に、何も言いにくいことはないでしょう、言って下さい。
  150. 下田行夫

    ○下田参考人 業者の信用に関することで非常に申し上げかねるのでございますが、私の知りました範囲では、十一月の五日に日通、鈴江、宇徳、京浜、この四社がまず値を引いたのだと推定されます。
  151. 下平正一

    ○下平委員 港湾行政の点についてはまた別の機会があると思いますので、時間も差し迫っておりますから、次に進みたいと思います。  大久保さんと渋谷さんにお伺いしたいわけでありますが、先ほど京浜港運の菅井さんは、三十二セントでりっぱに十分適正な価格として米軍貨荷役ができる、こういうことを言われましたが、私どもがいろいろの情勢から、あらゆる角度から判断をいたしますと、どうやってみても三十二セントでは、適正な利潤を上げ、適正な労賃を払い、あるいは原価を償うとは考えられないのです。同じく入札を受けて米軍貨の荷揚げをやっておられる住友の渋谷さん、それから全港振の大久保さんに、この点についての御意見をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  152. 渋谷力松

    渋谷参考人 京浜港運から三十二セントで十分労務賃が払い得るということを聞いて、実は意外に感じておるものであります。三十三・五セント、これについては長い時間さえいただければ——先般私は浜港連の執行部の方にも御説明申し上げましたが、いろいろな事情といいますか、要するにそこが問題なのであります。三十二セントでも払い得る、私どもでは三十六セント——ここまで参りまして、先ほどの先生方からのいろいろはっきり言わなければだめだというお言葉に甘えましてはっきり申し上げると、入札前にもう入札にかかる日にちというものは大体決定しております。十一月三十日をもって前年度分が終りまして、十二月一日から新年度に入る。十月十日あるいは十七日ころまでに説明会がありまして、約一週間置いて入札にかかるという予定は、大体において大した狂いはないのであります。それですから、私ども軍貨に実績を持っておるところの、ただいままでは九社でありましたけれども、そういうところの最も精鋭な職員、専門員と申しますが、そういう人たちが寄りましていろいろ数字を検討するのであります。そうしてことしどのくらいまで獲得しようじゃないかということで、何とか確保できる適正なもの、それもただ絵にかいた何とかというものではだめなので、JPAから戦い取り得ると、要するに数年間の経験によりましてネゴシエーションの結果どの程度まで何とかできるだろうという、ここまではやらなければいけないというような線が研究されるのであります。そうして入札に臨んで今年度——数字的に若干間違いがありましたら御容赦願いたいと思いますが、入札価格は三十八セントでありましたか、三十六セント、入札技術上平均三十六セントではなかったかと思いますが、ちょっとはっきりしません。要するにそれを確保しようというのが私どもに課せられたところの義務なのであります。そうして入札に臨みまして、私どもの実例を申し上げますならば、十月二十四日に全部入札いたしまして、二十九日にネゴシエーションに入った、要するにJPAと合議に入った。しかるにいろいろな点から私どももいろいろ説明しまして、大体三十四・五セントというもので、はっきりと業者の皆さんにもお話しましたけれども、まず獲得できるだろう、その線が三十四・五セントでありました。これにも六時間以上かかりまして説明した結果、大体そこまでいった。ところが二日か三日後になりまして、お前のところは高いのだからだめだというほどに、やはり先ほど海運局長さんもおっしゃっておりましたけれども、周囲の情勢と申し上げた方がきれいだと思いますが、(「はっきり言え」と呼ぶ者あり)
  153. 松山義雄

    松山委員長 御静粛に願います。
  154. 渋谷力松

    渋谷参考人 下回ったところのレートが出ますと、それをつかまえて、お前のところは高いのだから安くしろというのが、JPAの手段なのでございます。これは数年間——しかしながら私どもも今年の七月十六日以来商貨の荷役料率も上った、沿岸料率も上った、先ほど私も御説明申し上げましたけれども、これはどうしても加味しなければいけないのだということで折衝しました結果、軍としては、そのときはそのときで応ずるというようなことを言っておりましたけれども、大体三十四・五セントというようなものがやや了解がつきましても、下から入るものがあれば、それを標準にしてたたかれるというのが現状なので、それ以上の困難性については御想像お願いできると思いまして、時間を節約したいと思います。
  155. 下平正一

    ○下平委員 要点がちょっと抜けている。三十二セントで十分かどうか。
  156. 渋谷力松

    渋谷参考人 三十二セントでは私どもといたしましてはできません。
  157. 大久保秀雄

    大久保参考人 お答え申し上げます。先ほど京浜港運の菅井さんが三十二セントで絶対できるというお話でありましたけれども、作業部門を担当しております全港振横浜支部といたしましては、断じて作業はできない。労務者諸君に十分なものを与えられないということをお話し申し上げたいと思います。同時になぜ港湾運送事業料金の改訂を行なったか。これは仲間の諸君とわれわれとが今まで圧迫圧迫を重ねられ、港湾産業は疲弊のどん底に陥ってしまった。そこでわれわれは上に突き上げなければわれわれの仕合せはかち得られないということで、公示料金というものを改訂していただいたという段階であります。さきに石炭の荷役拒否という問題、それからあらゆる貨物についても公示料金改訂をめぐって、いろいろの交渉を重ねて参りました。そして幸いにして公示料金の順守という面が着々日本の商社と船会社ととは交渉がされて、現在受領しております。単に米軍だけが変則的な入札制度を行なって、日本の港湾運送事業法というものがありながら、これを無視した行き方をするということは、われわれとして過去数年間戦って参りましたけれども、不幸にして今年に至ってもまだまだ了解されないというような段階で、今次紛争が起きたのでございます。そこでそれでは絶対の数字は幾らかというお話も先ほど出ましたけれども、下平先生の御意見、私たちとしても非常にごもっともなお話だと考えております。またわれわれもその線が公示料金と比較した場合に適正であるかどうかということが、非常にむずかしいと考えております。作業実態がコマーシャルと何ら変りないというのにもかかわらず、そういう変則的なやり方をしておる。そこで公示料金作業の形態から料金をとってみていただいても、はっきりおわかりになることだと思います。当初、今渋谷さんがお話しになりましたけれども、横浜エイジェント会の性格は船内荷役の管理業務をやっておられる。またわれわれの分野は船内荷役作業業務をやっておるというふうに、両者が合体して初めて船内荷役業務をスムーズに完全に仕上げるというのが性質でございます。そこでわれわれの業界としましては、港湾運送事業法に基いた料金の改訂の原価計算の線によるベースというものを考慮に入れまして、今度の米軍入札に際してはわれわれとしては今までの料金に五割アップしたものでなければ、とうてい理想的な線ではないということを当初打ち出したのでございますけれども、諸般の情勢を考慮いたしまして自分たちもものには段階がある、ここまでわれわれは圧迫されてきたけれども、仲間の諸君の安寧というものを考えた場合、いたずらに事態の混乱を招くということは本意でない。一段々々進んでいこう。われわれが良心的に静かに進んで仕合せを祈ろうとするならば、二五%は最低のぎりぎりの線である。これを考慮に入れて入札に突入していただきたいということをエイジェント会に申し入れて今度の入札に入って、このような事態に立ち至ったようなわけでございます。その間よろしく御了察願いたいと思います。
  158. 下平正一

    ○下平委員 京浜さんは三十二セントで絶対自信があると言う。これは自信がおありならおありで水かけ論になると思いますが、少くとも京浜さんは日本人である。アメリカに云々と言われたその態度からして、私はある程度の期待を持っていたわけでありますが、きょうのあなたの公述の中からはみなそれがはずれていっております。客観性がないのです。労務者の点にしてしかり、あるいは料金の点にしてしかり、まるっきり私は何か璽光尊と対決しているような気がする。自分だけがえらがつたり、自分だけがいいと思ったり、それだけで客観的なことを少しも考えていない、まるっきり璽光尊と対決をしているような気がいたします。この点をやはり率直に反省していただかなければならぬと思うのです。やはり港湾の問題は、法律と同時に業者の良識という点に訴え、そうして京浜さんに相当な反省をしてもらわなければならぬと思いますが、この点については、もう時間がありませんので、最後に一点あなたの答弁の中の食い違いをお聞きしたいのであります。先ほど三輪警備第一課長ですか、私どもの青野委員の質問に答えて、ハンマーを持っていたかどうかという点についての答弁を聞いていると、そういうものは一切持たしてありませんという答弁でありましたが、当日現地に立ち会った警察の報告書を三輪警備第一課長に聞いてみると、明らかにハンマーを持っていた。それが腰にさしていたかどうかは別として、ハンマーはあったということを確実に証言されておる。しかもそのハンマーは自動車の荷揚げに必要か何かで持たしたと言っておりますが、あなたの供述を聞いておりますと、非常にからくりといいますか、真実を述べていないような気がするのですが、ハンマーは一体ほんとうに持たせなかったのですか。
  159. 菅井雅一

    菅井参考人 私は非常に調弁だもので非常に感じを悪くするのですが、先ほどのハンマーの件でございますが、腰にさされて、これはいかにもちょっと受けます感じが、なぐり込みをかけるのだ、腰にさしてこれで行くのだというような、要するにささしたということでないのです。そういう行為とか、またはそういうことをさしたことはないというのです。私はハンマーをトラックに積んで行ったということも聞かなかったものですから、まさかそういうことでもってなぐり合いをやったとかいうことを聞かなかったもので、そういうふうにお答えしたわけです。
  160. 下平正一

    ○下平委員 先ほど三輪第一課長の話だと、自動車の荷役が当日あって、自動車の荷役に必要だからこのハンマーを箱に入れて持たしてやったのだ、こういうふうに警察の調べはなっていると言いましたが、そうなんですか。
  161. 菅井雅一

    菅井参考人 確かにその日はLSTビーチの荷役をやっておりますから、LSTの荷役は、私の経験でいきますと、車両が多いわけであります。だからおそらくそうだろうということが推察されるわけであります。
  162. 下平正一

    ○下平委員 あなたの答弁は、あなたは港湾事業をやっておられるのでしょう。アメリカの荷役は道具は全部向うで出しておるのですよ。こちらから道具を持っていくことがありますか。どうしてあなたはそういうことを言うのですか。あなたの言うことはみんな何かごまかしだ。この場限りでごまかそうと思っても、それはちょっと国会通りませんよ。自動車の荷役をするのにハンマーが要るなんて常識はずれですよ。大体アメリカの仕事をするのに道具を持ち込むことがありますか、冗談じゃないですよ。
  163. 菅井雅一

    菅井参考人 皆さんに聞いてもらえばわかるのですが、ハンマーとか、それからのこぎり、それからてこ、こういうふうなこまかいものは業者がみんな持って入っております。お調べになっていただけばわかると思います。
  164. 下平正一

    ○下平委員 時間がございませんので、これでおしまいにしたいと思います。私どもの聞いている範囲ではそういうことはないはずでありますが、実際の労務をやっておられる組合方々のこの点に対する見解をちょっと聞いておきたいと思います。
  165. 中臣政男

    ○中臣参考人 私たち現在アメリカの荷役をやって参りましたが、今までわれわれは軍の荷役に関しては道具を持っていきません。またその後道具を借りる場合には会社の道具番がアメリカに、きょうはトラックの仕事をするから、何と何の道具を貸してくれということを一々出して、そうしてそれを借りてきて私たちが仕事をするのであります。まして当日の京浜港運の持っていったハンマーは、自動車の荷役をやるのだということを言っておりますが、自動車の荷役については、ハンマーを使うということは、歯どめをかうわけです。その歯どめをかうには当然のこぎりも要れば、くぎも要ります。それを持っていかないで、結局ハンマーだけ持っていって、自動車をおりるときにハンマーの箱をおろして、箱をこわしてみなに持っていかしたということなんです。これは仕事に持っていくのだったら、その箱ごと持っていけばいいのです。
  166. 松山義雄

    松山委員長 参考人各位にごあいさつ申し上げます。本日は御多用中にもかかわりませず、本委員会のため御出席いただき、長時間にわたって貴重な御意見を拝聴いたすことができましたことは、委員会の審査のため多大の参考になりましたことを、委員会を代表して委員長より厚く御礼を申し上げます。御苦労さまでございました。  この際一言ごあいさつ申し上げます。第二十五回国会はいよいよ明日をもって終了いたします。本委員会といたしましては、法案こそ審議いたしませんでしたが、揮発油税増徴問題及び港湾荷役問題等、七回にわたって開会し、港湾荷役の問題に関しましては、本日参考人より意見を聴取するほか、港湾運送事業秩序確立に関する決議、揮発油税に関する決議を行うほか、請願三十九件を審議いたした次第であります。本日をもちまして委員会を終了いたしますに当り、微力なる委員長に対し絶大なる御援助、御協力を賜わりましたことを感謝いたしまして、私のあいさつといたしたいと存じます。(拍手)  本日はこれをもって散会いたします。     午後二時二十五分散会