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1956-11-26 第25回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十六日(月曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 木村 俊夫君    理事 臼井 莊一君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    永山 忠則君       西村 直己君    堀内 一雄君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  原  純一君         運輸政務次官  伊能繁次郎君  委員外出席者         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十一月二十六日  委員生田宏一君及び岡崎英城君辞任につき、そ  の補欠として西村直己君及び永山忠則君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十四日  宮中ダム通路橋の一般諸車通行許可請願(田  中彰治紹介)(第一一五号)  国鉄公安職員一般国鉄職員に繰入れの請願(  楯兼次郎紹介)(第一九八号)  同(横山利秋紹介)(第一九九号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十二日  二又トンネル内の火薬爆発によるり災者補償に  関する陳情書(第  一四二号)  国有鉄道建設事業促進に関する法律制定に関す  る陳情書(第一八  六号)  四国循環鉄道早期完成に関する陳情書  (第一八八号)  青森外港湾修築工事促進等に関する陳情書  (第二一八号)  石巻港に港湾整備促進法適用等に関する陳情  書(第二一九号)  東北沿岸濃霧多発地区霧信号増設等に関する  陳情書(第二二〇号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件     ―――――――――――――
  2. 木村俊夫

    木村(俊)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  本日は委員長が御病気ため、私が御指名により委員長の職務を行います。  前回港湾荷役の問題に関しまして、運輸大臣に対しての質疑を保留しておりましたので、この際これを許します。春野武一君。
  3. 青野武一

    青野委員 先週の水曜日に運輸委員会が開かれまして、実は局長さんにはかなり具体的に御質問申し上げたのでありますが、どうしても運輸大臣に御出席を願って、運輸大臣の責任で御答弁をしてもらわなければならぬ個所がありましたので、実は金曜は祭日のことでもありましたので、かなり日にちも越しましたけれども、それに関連をして御質問を申し上げたいと思います。  実は横浜を中心にする米軍貨荷役取扱いに関して、運輸大臣御存じと思いますが、入札制度当局は撤廃したいという意向のあることははっきりわかったのでありますが、これについて非常に問題が紛糾して、しかも港湾運送業界が、これがために一方的な米軍貨物取扱いについてかなりそこに単価の開きのあること、それが業界混乱を来たし、またひいては港湾労働者生活権労働権の問題に非常な影響力を持っております。今のうちに具体的に米軍当局と打ち合せをして解決をつけないと、将来非常に大きな問題になるという憂慮を私どもはいたしましたので、御質問したのでありますが、これらの点について運輸大臣といたしましては、どのようにこの混乱防止労働権労働者生活権保障等についての構想を持っておられるか、一応承わっておきたいと思います。
  4. 吉野信次

    吉野国務大臣 この前のとき私出席いたしませんでしたが、局長からよく御質問趣旨は聞いたのでございます。要するに港湾荷役というものをやりますときには、運輸省で一応認可いたしました基準によってやることになっておりますが、米軍側向うの方の会計法たてにとって入札制度によっておる。それで入札でございますから、一番安いところに落ちるわけであって、非常に米軍の力が強いために、今青野さんの御心配になっておるように、不当に低く値切られるおそれがある、こういうことでございます。大体法律上の建前から申しますと、公示いたしました料金と申しますか、それでもってやらなければならぬのであって、入札は、やる方の荷主の方は入札をやっては悪いという法律上の規定がございませんから、米軍であるとあるいは日本人であるとを問わず、やることは勝手ですけれども、それに応ずることができない建前になっておるわけであります。それですから従来米軍という非常に力強い相手方に対して入札制度をとられておるということは、法律建前から言うても、厳格に申せば違法と言うて差しつかえないのだろうと思います。そこでこの問題につきましては、この前の国会のときにも御質問がございまして、御趣旨の点はごもっともであると思いますから、係の方には私の方の役人が参って事情をいろいろ説明いたしまして、やはり公示の料金というものでやってもらうようにいろいろお願いしておるわけでありますが、向う向うの方の法律上の取扱いというものをたてにとって、まだ満足な解決を見ておりません。そこでこの上は、正式にとる手段としては、一つ行政協定日米合同委員会の議題として、強く——そういう日本法律に反するような事態が起ることは非常に困るのでありますから、私としては外務省にお願いして、これを日米合同委員会の問題に提起いたしまして、日本法律の権威の上からいうても、あくまでそういう違ったことが現実に行われることのないようにいたしたいと思っております。ただこの前の国会から相当時がたっておるのでありまして、てきぱきとできませんことは、相手米軍だからというわけでもございませんけれども、何せ向う向う法律たてにとってやっておるというようなわけで、実際上の交渉というものがはかばかしくはいきませんので、どうしてもこの上はやはり正式のルートで談判をいたしたい、こう考えております。
  5. 青野武一

    青野委員 大臣意思のあるところは大体はっきりいたしましたが、二十四国会参議院委員会運輸大臣が御出席になって、たまたまこの問題が取り上げられたときに、御答弁の一節を承わりますと、この入札制度によって大体当局が判断されて不適格業者の場合は厳重に監督をすると同時に、もし違法がある場合はこれは厳重に処罰するといったような内容の御答弁をされたはずでありますが、そういうように二十四国会のときにすでに問題になったこの港湾運送法に基く問題が、これほど業界混乱し、労働者諸君生活を不安に追い込むようにまで大きくなってきましたが、今までに運輸大臣としては、当局をして、米軍当局に対して何らかの交渉、あるいは港湾運送事業法によって、米軍が一方的に不当ダンピングに類するような入札をやらしておるというような、すなわち独立国日本の国法に全然違反する、相反するやり方をされておるが、非常にこの点は遺憾であるし、業界混乱し、労働者労働権の確立の点からいってみても、最後労働者にしわ寄せされて、やはり業界諸君が行き詰まれば、当然港湾労働者諸君首切りが、幾ら反対しても現実には行われる結果になりますが、こういう点についてそういう御答弁をなさった建前から、米軍に対して具体的な交渉をお開きになったことがあるか、そういうことをなさったことがありますれば一つ報告をしていただきたいと思います。
  6. 吉野信次

    吉野国務大臣 その点は局長から申し上げる方がよいと思いますが、私もこの前の国会のときのいきさつから、直ちに米軍の方に交渉するように指図をいたしまして、確かに係の方は向う側に再々そういう交渉をいたしましたが、その詳細につきましては、局長の方から申しあげた方がよろしかろうと思います。
  7. 天埜良吉

    天埜説明員 米軍のJPAと申しますか、調達本部でございますが、これに対し、また司令部のGに対し、文書をもっても二回ほどこちらの主張をぜひいれるようにということを出しておりまして、なお横浜海運局長並びに本省の港政管理官を同道いたしまして司令部並び調達本部をたずねまして、しばしばこちらの要求をいたしたのでございます。
  8. 青野武一

    青野委員 大体非常に関係の深い港湾労働者諸君が組織しておりまする港湾労働組合連合会が、この問題について最終的な態度を決定しておるものが四項目あります。これはもう当局としては御存じと思いますが、大体三井住友宇徳鈴江、四社以外の社がやる場合は絶対に就労しない、労働組合として全国的に通牒を発し、十分の連絡をとって今申しましたように一項目三井住友宇徳鈴江の四社以外の社が入札業者として米軍と取引をした場合には——今問題は横浜が重点になっておりますが、労働者は全国的に就労させないという態度をとっておる。第二が、京浜港運は不適格業者であるので、軍がいかなる方法に出るとも、たとえば軍が武力背景にしてどんなに弾圧しようとも、港湾労働者は就労しない、またそれぞれ具体的な問題が非常に伏在しておるのですけれども、こういうような文書によって書き表わされておる。第三は、不当ダンピングによって落札した場合は、三井住友宇徳鈴江の四社といえども絶対に就労させない。業界混乱して、そして米軍が一方的にダンピング入札を強要するような場合に起ってくる混乱、波乱、そういうことによって港湾労働者の賃下げであるとか首切りであるとかいうことが行われても、断じてわれわれはそれと対立して、そういうことは実現せしめない、これが港湾労働組合連合会最終的に集団討議によって決定された四項目でありますが、こういう点についていまだ一方的に米軍の方がやはり従前通り方針で来ると、そこに当然起るものは火花の散るような摩擦であります。全国的に指令を発して、港湾労働者諸君がもし今申し上げましたような内容実力行使をする場合は、港湾荷役というものが停頓して非常に大混乱をするおそれがありますが、こういう点について運輸当局港湾局といたしましては、どのような手を打たれるつもりであるか、またどのような交渉をなさっておるか、これは今まで運輸大臣参議院において委員会で御答弁になりましたことを質問いたしましたが、これは非常に急迫している。これらの事態に直面して、どのような応急的対策をお講じになるつもりであるか、またそういうような手を打たれたかどうか。
  9. 天埜良吉

    天埜説明員 今の国内的に港湾運送事業法建前から、港湾運送事業を僻む者につきましては、これは登録をされておるものでなくてはならぬのでございます。登録をされていない者がそういう軍貨であろうとまた一般商貨であろうと、これに従事するということは、これは許されないことでございますので、そういう点は厳重に監督をするようにいたしております。なお、登録基準に満たない、つまり登録に欠陥のあるようなものがあってはなりませんので、その点については監査を励行するようにいたしておりまして、特に最近そういう問題あるいはうわさというようなものがございますので、ただいま厳重に登録監査をいたしておるところでございます。
  10. 青野武一

    青野委員 これは運輸大臣お尋ねをいたしますが、きのう二十五日に、大体入札業者に対して最後通告、いわゆる軍貨物荷役拒否を最悪の場合にはするといったような態度組合はとっておりまするが、けさ関係司令官代理要請書を提出した、それが大体きょうの午前九時に入札業者、すなわち宇徳鈴江、日通、これが大体軍に契約を白紙に返しておったのです。それをきょうあらため契約をするかせぬかといったような事態に直面しておる。しかも今も私が申しましたような京浜港運といったようなものは、これは正式契約を今のところしておりませんといった回答であったそうです。事態が非常に急迫しているのです。こう表から見ると何でもないようだが、やはり底の方には非常な不安な空気が醸成されつつあるときですから、こういう際は、私はこの前の水曜の日に、きょうは御病気で御欠席になっておりまする松山委員長に個人的でありますが御相談申し上げたのです。これはもう衆議院の運輸委員会としても、自民党、社会党それぞれ代表者運輸委員会視察ということで、正式に現地横浜一つ実地調査に行こうじゃないか、それは賛成です、それは一つ話し合って、至急にきめましょうという了承を先週の水曜日に私は求めましたから、おそらくこれは実現するでしょうが、こういうことになって、係の人が米軍代表者と行ったり来たりするよりも、それも大事ですけれども、むしろ現地横浜に行って、入札業者なりあるいはその他の運送業者あるいは関係労組代表者とひざを突き合せて一つ集まりを願って、運輸当局からも代表者が出向いていってどうすれば一番解決が早いか——日米合同委員会に提訴して話し合いの結果、こういう一方的な米軍によっての入札制度なんというものは、日本法律に違反するものであるからやめてもらいたいというようなことも必要ですけれども、差し迫って現地横浜に行って関係者にお集まりを願って、その席上で誠意を披瀝し、また関係者からの微細なる報告を求めて、どうすればこの問題が解決するかということについて、もう少し一つ誠意をもって乗り出していただきたい。運輸委員会としてはおそらく今週中には行けると私は思います。いろいろな法律案が本会議に提案されるのでありますから、きょうだあすだといって、そのままきめるわけにも参りませんけれども、今週中には運輸委員会として正式に委員を選定して、現地調査視察業者との会談等が行われると思いますから、運輸当局としてもその点について誠意を示して、至急にそういうふうな運びをなさる御意思があるかどうか。  それからもう一つ運輸大臣——この前も局長さんにお尋ねを申し上げましたけれども、そこの点が運輸大臣とは立場が違いますから確実な御回答を得ることはできませんでしたが、この混乱をしている今の段階において、米軍によって入札制度が強行されている、それがために、その間に港湾運送業者との契約金額開きがかなりついている、それがためにひいては非常な打撃を受けて、そして自分たち運送業者が非常に関係の深い労働者を五十人、百人あるいは二百人と、大量にやめてもらわなければならないような事態が目の前にあるいは迫ってくるかもしれない。こういう点について、臨時的ではあるが、国費をもってその差額を補償してやって、そしておもむろに恒久的対策米軍と話し合って立てる、そういう点については、局長さんにはっきりした答弁をせよということは無理ですから、ぜひきょうの委員会には運輸大臣じきじき出席を願って御答弁を願いたいということで、これは二重になるかもわかりませんけれども、その立場によって御答弁ができる人とできない人がありますので、この点お尋ねをあわせて申し上げておきたい。
  11. 吉野信次

    吉野国務大臣 大へん複雑なことですけれども、そういうふうに差し迫っている問題があるということでございますれば、お話通り日米合同委員会云々のことはこれは大筋の話でございますからそれは別として、さっそく私どもの方の局長その他をして横浜にやりまして、今お話のような話し合いの余地がございますならば、そういうことの話を進めるようにいたしたいと思います。  それから後段の方のお話の点は、これは予算上の問題もございまして、なかなかむずかしい問題だと思います。また技術的にもその金額の方だけでは、その差がはっきりしないことは青野さんも御承知通りでございまして、つまり今まで向うも安いけれども向う側言い分は、とにかく向う側では普通の荷主と違って、若干の物的の施設を供与しているのだ、本来いえぱその荷役をする業者の方が提供しなければならぬものを自分の方で提供している、その分があるから安いのだというような意味の主張向うはやっております。その点については私は若干真理もあると思います。だから、どういうふうに数字上はじき出すかというようなことは、技術的にも相当困難な問題だろうと思います。かたがた、この前も局長が申しました通りに、今お話のその差額を国の方で補償するということは、ちょっと私はむずかしいだろうと考えております。
  12. 青野武一

    青野委員 運輸大臣立場からはよろしゅうございますという即答を得ようとは思っておりません。かなり困難ではあるけれども、これが大量に関係労働者が首を切られる、あるいは賃金の切り下げが行われる、依然として米軍が一方的に武力背景にしていろいろ横暴なやり方を強行してくる。相手は一筋なわではいきません。私はこの運輸委員会でも申しましたが、一たん契約書を入れて約束を取りきめても、アメリカ人というのはなかなか実行しないのです。背景敗戦国日本政府が何ができるか、武力はないじゃないか、シナの土匪みたいなような、ちょっと毛のはえたような自衛隊がいるからといって大きなことを言うな、新式の近代的な武器などは何も持っておらぬじゃないか、米軍はお前たちを保護してやっているのだという頭がいつもあるから、することなすことが、一方的な約束をする、契約をする、両方の政府が判を押しても、その日にちが参りましてもなかなかその契約通りに実行しない。大体十のうち九つぐらいまではそれをやってくる。そういう例があるなら提出せよと言われるなら、私は提出いたしますが、そういう態度をとるのが大体アメリカ人なんです。戦争に勝ったのだ、今でも世界を相手にしてでも絶対に負けないのだというような、原子爆弾あるいは水素爆弾背景にしてものを考えている。だから、これは一筋なわではいかない。そういうものを相手にしての交渉ですから、一方的に強行せられてくると万事休す、もう日本の国力をもって抵抗してみたところがどうしても勝つ見込みがないなどというような考え方に運輸大臣がなられますると、日本政府大臣日本人である港湾労働者を見殺しにするような結果になる。業界は極度に秩序が破壊されて、そして働いておる人たち生活ができない。それがために無用の摩擦を引き起す。全国的には荷役拒否指令組合から出れば、これは横浜だけの問題じゃありませんから、全国各港湾労働者一斉に立ち上って荷役拒否をすれば、どんな契約をしておったところがこれは一片のほごにひとしいものになる。そういうことにならないように政府が善処しなければならぬ段階に今きているのです。運輸委員会としてもまた努力をいたします。私どもの所属する社会党としてもまた努力を惜しむものではありません。けれども何を申しましても運輸当局として、第一線に立ってこういう問題を未然に大きな問題にならないように努力するには、どうしても一応働く労働者生活を保護してやるという立場から、かなり困難ではあっても、やはりその差額くらいは国費でもって臨時的にこれを補償してやるというあたたかい心がなければ——かなり日にちを食うのです。これは相当の時間を食う問題であるから、その間労働者はとにかく飯を食われない。まあパンかうどんでしんぼうするといえば露命をつなぐこともできますが、いよいよというどたん場になれば、そういうみじめな状態に働く人たちが追い込まれる。それをどうして救済するか、どうして保護するか。話を日本が有利になるように妥結していく、港湾運送法建前からいったらこれは明らかに違法です。アメリカの領土の中でやるのじゃない、日本に来ておるアメリカの軍隊が一方的にこういうことをするのを、指をくわえて見ておるわけではないでしょうけれども、早急にこれを解決しなければ、日本人のうちの港湾労働者諸君は非常な打撃を受けるということを念頭に置いて、私は善処していただきたい。一つ現地至急港湾当局を差し向けて、関係者を集めて言い分も聞き、いろいろな具体的な問題もありましょうからそれも聞き、運輸当局方針も皆さんに一つお知らせを願って、早急に国会運輸省とが力をあわせてこれが解決ため努力をしていく——漫然と日米合同委員会に提訴するなどといったって、半年や一年で解決のつく問題ではありません。この点を一つ運輸大臣はよく認識をしていただいて、早急に解決のできるように御努力をしていただきたいことを私からも希望いたします。  またそのほか具体的な問題にかなり質問がございますが、きょうは御承知通り揮発油税の引き上げの問題によって委員会が開かれたのが大体の骨子でございますので、劈頭に質問を私の方から無理を言ってさせてもらって、そして非常にお忙しい中を御出席してお答えを願ったわけであります。この点についてはあとで青筋を立ててこの委員会を通じてあなたと私とがつかみ合わんばかりのような激論をしないで済むように、一つ極力御努力願いたいということを希望しておきます。     —————————————
  13. 木村俊夫

    木村(俊)委員長代理 次に前会に引き続きまして、ガソリン税の増徴問題について質疑を許します。通告順によりこれを許します。中居英太郎君。
  14. 中居英太郎

    中居委員 大蔵省から主税局長がお見えのようでございますから、私は主として大蔵省主税局長に対しまして、伝えられておるガソリン税の増税の問題につきまして二、三質問を行いたいと思います。  去る二十二日の当委員会におきまして、塩崎税制第一課長に対して私は質問を行なったのでございますが、その際現在大蔵省ガソリン税値上げの問題についての意見は、目下税制調査会において検討中であるから、これが答申を待って大蔵省態度を決定したい、こういう御答弁でありました。しかし御承知のように税制調査会結論というのは、ほぼ総会を終りまして今や答申の起草の段階にあると私ども聞いております。そうしてその総会の決定というのが、大体一トン当りガソリン税が一万円、地方道路税が二千円、こういう値上げ昭和三十二年度の予算から実行したい、こういうことが決定的なお実として伝えられておるわけでございますが、この間の経緯につきまして局長意見を承わりたいと思っております。
  15. 原純一

    原政府委員 ガソリン税をどうするということについて政府態度ないし私ども意見を聞きたいということは、最終段階法案をお願いした後にお願いしたいのであります。と申しますのは、まあ各税そうでありますが、特に間接税におきましては最終政府態度がきまります前に、私どもはこういう意見だというようなことを申し上げるのは、業界にとっても擾乱的なことであるし、またそれがその通りになるかならぬか、ならぬ場合にまた逆な混乱と申しますか、反動もあるというようなことで、間接税系統税制改正についてはよほど慎重な態度をとるべきものだと考えます。従いましてお尋ね意見をと言われることに対しては、意見政府として法案を出してお願いする際に申し上げる。その前の段階においてはやはり当該税に関する諸般のデータをいろいろ分析されて、そこに問題があれば問題として研究を願う。私どももただいまやっておりますことは研究でございます。もちろん税制調査会はその研究を通してどういう結論に持っていくかということを出す努力をしておられますけれども、それについてただいまの段階でどういうふうな方向に行きそうだとか、あるいはわれわれどういうふうにしたいというようなことを申し上げるのは当を得ていないと思われますので、問題点について、いろいろ研究の中身についてお尋ねがあり、またお考えがございますれば、十分伺わしていただきたいと思いまするが、また私ども問題点についての事実なり数字というものは十分申し上げなければいかぬ思いますけれども意見なり結論なりという点はただいまの段階では申し上げない方がよろしいと思いますので、一つごかんべん願いたいと思います。
  16. 中居英太郎

    中居委員 先般の大蔵省の課長の答弁も、大体最初はそういう答弁でございましたが、論議を重ねているうちに値上げをやるのだ、こういうしっぽを出してしまったのであります。しかし局長お話でございますから、値上げするのだという前提に立たないでいろいろな問題をきょうは研究し合いたい、こういう筋合いで私も二、三お伺いしたいと思います。今の局長答弁によりますと、これは先般も私申し上げたのでございますが、現在は税制調査会の審議の段階であって、大蔵省としてはまだ意見はないのだ、こういう答弁ですか。意見はあるのだが、それを発表することはまだ差し控えたい、こういう後者の意見ですか、どっちです。
  17. 原純一

    原政府委員 研究いたしておりますれば、考えは常に出て参ります。ただその考えは研究の過程で発展があるべきものであるし、またいろいろ新しい勉強を積んで結論を得る、つまりただいま持つ意見がいつ法案提出の段階になりますか知れませんが、そのときまでにまた新しい勉強で練れて参ると申しますか、という筋合いのものでありますから、もちろんその段階段階でこうならこうしたらよかろうという考えはもちろんないじゃございません。ないじゃございませんが、いわばセットされたといいますか、今こういう意見であるというようにまとまった形のものはない、またそういうような角度でどうする、どうするというふうなお尋ねでなしに、また一つ先ほどに返りますが、問題点に突っ込んでいただきたいと思います。
  18. 中居英太郎

    中居委員 わかりました。それで第一課長は私の質問に対しましてわが国の今日の道路は非常に悪い、従ってこれを早急に整備しなければならぬ。整備に当っての財源は、受益者である自動者業者の使用するガソリン税値上げをもってこれをまかなうことが当然の理屈である、これが第一点と、さらにもう一つは、わが国の現行ガソリン税は諸外国の税率に比して著しく低率である。従ってこれを現在一万三千のものにさらに一万二千を加えて二万五千にしても、業界においては担税力は十分にある、こういう観点が第一点と、さらにもう一つは地方財政の確立という問題から、地方財政においても相当道路の整備というものに重点を置いておるから、そういう地方道路の整備という財源を調達する意味からも、このガソリン税の一部を地方道路税として交付することが適当である、こういう三つの観点から大蔵省としては値上げの問題を検討しておるのだ、税制調査会においてもそういう観点においてこの問題を討議しておる、こういう答弁がございましたが、これに聞違いはございませんか。
  19. 原純一

    原政府委員 まあ、何と申しますか、いろいろな面からガソリン税に関する考慮の要素があるわけでありますから、いろいろな表現方法というようなものができると思いますが、ただいまお話の筋合い、いずれもそういうようなことがあろうかと思います。
  20. 中居英太郎

    中居委員 大体今の三つの理由によってガソリン税値上げを考慮の対象にしたい、基本観念にしたい、こういうお話でございましたが、その大蔵省の考え方の一つの現われとして、ただいま配付されました揮発油税引上げによる自動車の負担増加と道路改良による走行経費減少との関係、こういう資料が出ております。この大蔵省の資料によりますと、政府が現在考えておる道路整備計画によって道路が完成した暁に、自動車利用業者の受けるところの利益は一・九八倍になるのだ。現在ガソリン税値上げされた金額を見て、そしてさらに道路が整備された暁における業界の利益というものを見ると、一・九八倍になるのだ。十五カ年の複利の計算をしましても一・二八倍の利益を受けるのだ。従って現在伝えられておる一万三千円の増税をもって道路を修復することによっても、なおかつ自動車業界は利益を受けるのだ、こういうあなた方から出ておる資料でございます。しかし一方関係官庁であるところの運輸省から出されておるところのこれに対する数字というものは、全然逆な数字が出ております。運輸省では道路の整備が完成するのは十年先、二十年先である、従って明年からガソリン税値上げになったとすると、十年先、二十年先の自動車業者が受ける利益を待たないで、自動車業界は大きな混乱をするであろう、こういう資料をわれわれに出しておるのです。大蔵省の考えているこの資料の一・九八倍の利益ないしは一・二八倍の利益を受けるということは、明年ガソリン税値上げすれば直ちに自動車業界がこれだけの利益を受ける、こういう考えによって出しているのですか。
  21. 原純一

    原政府委員 私どもが計算しました筋合いはこういうことであります。一万円という数字は仮の数字ですが、かりに一キロリットル一万円を余分に税をとって、それで約三百億なら三百億というものを道路につぎ込んで改良舗装をやったとすると、その三百億でできた道路から受益するその直接受益の金額、自動車を動かす人たちが受益する金額、それまた別な言葉で言えば経費が安くなるという金額を計算して、それはまあ三百億円分の道路ができたわけで、その道路はかた目に見ても十五年は持つということであります。ので、その十五年間の受益というものは、その三百億のガソリン税に対比されるわけですね。対照されるわけです。それを総合計しますと、ただいまの約倍近いものになる、金利計算を入れますと別になりますが、そういうことをいたしておりますので、その関係は最初の年にガソリン税の増徴分で入る分、それによってできた道路、それからの受益、それを比べてみると受益の方が倍になる。ただしその受益は、道路がある間に回収されるものですから、一年間で回収されるものではございませんが、その計算では、十五年と見てその間には受益がありますということでありまして、二年目にまた同じ額をやるとすれば、それはまた別に受益が出てくるという関係に相なるわけでございます。
  22. 中居英太郎

    中居委員 私の意見を百歩譲歩したと仮定しまして、道路整備によって受ける受益者が自動車利用者である、こういう論に立ってあなたの意見を聞いておりますと、現在わが国の一般国道九千キロあるいは二級国道一万二千一四百キロでございますが、このうちの幾部分が明年完成し、明後年完成するのだ。そうしてこの幾部分のでき上った道路を利用する業者だけが受ける利益をあなた方は言っているのです。従いましてそういった一部分の道路ができ上って、一部分の利用者だけが受益するのだということならば、それを全体の自動車のガソリン税をもってまかなうのは、応益者負担という原則に相反しませんか。ほんとうにあなた方の意見通り応益者が負担すべきものだという、こういう理論に私どもが譲歩して考えてみました場合に、その道路ができ上って利益を受ける業者の使用するガソリンからだけとって、それを利用なさることが当然だと思うのです。それを全国の業者から、全国の業者の利用するガソリンの税を全部吸い上げて、そうして一部の利用者の利益に供するということは、応益者負担という原則に私は相反すると思いますが、どうですか。
  23. 原純一

    原政府委員 おっしゃる通り、この税金でできます道路をすべての自動車がちょうど同じように走るということにはおそらくならないでありましょうから、出っぱり引っ込みがあると思います。ただ相当額を年々つぎ込んで参りますならば、車というものも相当動いてこそ値打が出るというようなことにも相なりますので、少し長く考えていただきますれば、大体全体が受益するということになるのじゃなかろうか。かつその間道路の建設の当局においても、実際問題として受益の多いところに最初に資金を投下する、これは常識だろうと思います。受益の多いところがやはりよけい通る。よけい通るところにこそまず改良補修の重点がいく。そうなりますと先ほど申しました計算よりも、さらに受益の割合が全体としては多いということに初めになるのです。かっただいま申しましたような受益は、直接の経費の減でありますが、道がよくなれば運輸、運送の量も従来よりはるかにふえてくるだろう、ずっと将来の道路交通、自動車輸送というものは飛躍的に増加するだろうというふうなことを考えて、それまで入れますと非常に受益が大きい。私ども得だからということよりも、道路の建設改良が、いわば国の政策で第一級の優先性を与えられることは、もうみんなが見ているところではなかろうか。そうするとちょうど今税制の中で揮発油税というものは目的税になっております。これ自体非常に特殊なことなんです。だれしもその目的税と受益との関係を聞きたいだろう。だから私ども調査会で御検討願う場合にも、その関係ははっきり申し上げた方がよかろうということで資料を出しているのですが、大へん釈迦に説法式なことで恐縮でありますが、目的税というものはそれ自体が当該目的に使う、その目的から受益する人には非常に利益があるわけなんです。国にはやはり防衛だとかあるいは賠償だとかあるいはまた地方財政あるいは一般の行政のための経費がたくさん要るわけでございますね。ですからすべてガソリンから入った税は道路に使ってしまう、それからまたほかのものでも、機械の輸入関税の部分は機械に使ってしまうというようなことをやってしまいますと、そういう一般政務と申しますか、一般行政と申しますか、これにいく金がなくなってしまう。それを、ともかく道路は大事だということで、全部ガソリンの道路に使うということになっております意味で、税の戻し方としては非常に特殊な形態であり、そういう意味でそもそも有利な制度になっているわけです。その上にただいま申しました具体的な受益の数字が、直接の経費の減だけとってみてもそうなるし、間接的なものを加えるとやはり国民経済全般としても、相当そこから伸びていく原動力が出るのじゃないかというふうなことに考えて、そういうような気持がバックにあって、ただいまの受益の数字調査会にも提出し、こちらにも提出しているようなわけでございますから、一つよろしくお願いいたします。
  24. 中居英太郎

    中居委員 私は今あなたの申された意見に賛成の部分もありますが、道路を整備することによって利益を受くるものは私は国家だと思うのですよ。国の産業だと思うのです。従って応益者は国家であり、国民経済だと思うのです。そういう原則的な、根本的なものを閑却しまして、道路が整備されたことによって受ける受益者は自動車業界であるのだ。そうしてこの整備された道路を自動車が走る、一・九倍の利益になるとか一・二倍の利益になるという計算をすること自体に私は問題があると思う、そういう計算はすべきじゃないのです。またそういう計算をしようとしても、それは主観の相違でいろいろな数字が私は出てくると思うのです。道路を整備することは、あなたがさっき言われましたような事案の問題であるとか、国民の経済であるとか、防衛の問題であるとか、これと同じように、あるいはそれの基礎をなすところの国家の使命であると私は考えておるわけなんです。従って現在の政府のとっておられるところの道路整備に対する財源というものは間違っておる。道路整備のための財源は、あくまでも利用者の消費するところのガソリン税でまかなう、こういう考え方が私は間違っておると思うのです。そういう間違った考え方に立ってあなた方が出しておるこの資料というものは、私はただ単なる弁解であると思うのです。へ理屈であると思うのです。道路を整備する費用は、これは一般財源でまかなうべきである、こういう考え方についてあなたはどうお考えになっておりますか。あくまでも利用者が負担すべきものである、その利用者はあくまでも自動車業者である、こういう考えですか。
  25. 原純一

    原政府委員 一般財源でまかなうべきものであるというのが、財政論としては正しい議論かと思います。ただしその場合はガソリン税目的税はやめてガソリン税は一般財源にするということになさらなければいかぬと思います。そうして一般財源一兆なら一兆の中で、道路に充てるのは幾らかということを詮議するというのが、これが財政論だと思います。ところが、実はそれを私どもが申し上げておったわけですが、それではいかぬとか、ガソリン税は目的税にしてやれ、特定財源を中心としてやれというお話があって、もちろん一般財源を加えろというお話がありましたけれども、目的税化されておる。実情も、自動車のふえ方というものが非常にこのところ急なことは御存じ通り、道路はいろいろな人間も通るし、自転車も通りますけれども、実際問題としては道路の費用との関連において、自動車の専用の道路だということにもなってきておるので、確かに財政の常道としてはおっしゃる通り一般財源論だと思いますけれども、ただいまも、それではいかぬということでガソリン税を目的税になさり、そうしてまたその勢いと申しますか、そのバック・グラウンドになった事情はますます加速度的に発展しているということでありますので、その面でガソリン税の収入と利益とを対比して考えるというようなことも、やはり収本問題としては当然必要だと思って研究したわけでございます。
  26. 中居英太郎

    中居委員 私も道路財源は一般財源でまかなうべきだ、従ってある程度のガソリン税も一般財源とみなすべきである、こういう原則的な考えに異議がないのです。しかし私どもが、昭和二十八年、二十九年両年度におきましてガソリン税の改正案が出た場合に目的税を強く主張した原因は、従来まで一般財源で政府が支出しておった百五十億ないし二百億という道路財源に、さらに新たに増徴するところのガソリン税は全部道路費としてプラスしてくれ、こういう趣旨で私どもは目的税目的税ということを強く主張したのです。ところが政府はどうですか、ガソリン税が三百億になり三百五十億になったとたんに、従来まで一般租税から支出しておりました道路財源というものを削減したじゃないですか。そういうことをわれわれは予想したからこそ、従来までの一般財源はそのまま支出して、さらにこのガソリン税というものを百パーセント道路に注入してくれ、そういう趣旨でわれわれは目的税というものを主張したのです。これは平衡交付金の算定に当っても、大蔵省の考えははっきりわかっております。昭和二十八年度まで平衡交付金千三百五十億だったと私記憶しておりますが、その平衡交付金の算定に当って、大蔵省では百億というものを地方道路の財源として算定の基礎に見ておったのです。ところが道路譲与税というものができて、七十九億ガソリン税から地方に分譲するという法案が通ったとたんに、今まで一般財源から百億算定しておった地方道路財源というものを、政府は二十一億に減額したのです。われわれの考え方は、従来まで一般財源から地方道路財源として百億算定しておったから、さらに七十九億を加えて、そうして地方道路の財源というものを百七十九億にしよう、こういう考えであったのです。それを大蔵省は、ガソリン税が七十九億地方に入ってきたから、在来の百億のうちの七十九億円を減額して、二十一億円だけを一般財源から支出しておる。これは地方財政の算定に限らず、国家財政の算定においてもそういうことが現われているのです。われわれがガソリン税を目的税だと主張したのは、在来の一般財源にプラス・ガソリン税ということだったのです。この点いかがですか。
  27. 原純一

    原政府委員 問題は財政全般との関連が常にあるわけであります。おっしゃる通りそういう御意向が強かったということはもちろん私ども承知しております。ところが一般財政におきましては非常に窮屈な収支の状況にあるということも御存じ通りであります。そういたしますれば、ただいま申しましたように全般の財政需要、道路以外の財政需要とその財源というものと、どうしても実際問題として相関的な関係が出て参る。実は一般財源をもとのままにしてつけ加えるという考えに対して、初めからそれは議論があったわけです。それはガソリン税で道路をやれば、道路の費用はガソリン税でまかなうということにしなければおかしいじゃないか。道路の費用は国の費用だけでなく、地方の費用もある。それから新しい公共事業としての道路費のほか、災害復旧の費用もある。ガソリン税でというならば、それらも含めてやるということが目的税としては当然ではなかろうか。それでも相当有利な扱いではなかろうかという意見もあったわけです。従いましてその辺はやはり皆様方も一般財政との関連ということを考えて、そういう強い御要望もあると私ども承わってはおりますが、やはり随時国の財政全般から見て処置がきめられるということになると思いますので、そういう視野で一つお考え願いたい。ただいまでは中央、地方を通じて、ただいま申しました災害まで入れた一切がっさいの道路の費用と対照して考えますと、ガソリン税収あるいは自動車からのその他の税収、それらを加えたものから見ましても、はるかに多い額を使っている状況にあることは、差し上げました資料にも入っておりますので、くれぐれも一般財政全般とのかね合いがどうしても出て参るという点をお考えいただきたいと思います。
  28. 中居英太郎

    中居委員 大蔵省の税制第一課長は、道路の整備によって受ける利益の産業別の分類の私の質問に対しまして、大蔵省は別個の考えを持っておる、大蔵省大蔵省として別の調査資料を持っておるのだという答弁でございましたが、それを御答弁願いたいと思います。私ども調査した結果によるところの応益率と申しますか、これはこういうことが書いてあります。道路整備が推進せられて十カ年後におけるところの経済効果の分析、こういう資料がございます。これによりますと、直接自動車が節約できる経費は三四・二%、それから一般国民の利益が三二・三%、自動車運行の経済には全然関係のないものが二五・六%、判別に困難なものが七・九%、こういうパーセンテージが私どもの手元に資料として入っております。もしも今あなたが主張なさっておるように、道路整備によって自動車が唯一の受益者である、従ってこの賞用はこれら受益者によってまかなうべきであるという理論を百パーセント正しいものとしたとしましても、自動車の業者が負担すべきところの金額というのは三四・二%、大体三五%程度でとどめるべきではないか、あとの三分の二の費用は他の産業あるいは他の受益者あるいは一般財源でまかなうべきである、こういう理論が成り立つと私は思うのです。ところが今日の国家予算に現われておるところの道路予算とこれの財源というものを検討してごらんなさい。七〇%がガソリン税です。三分の二を自動車業者が負担しておるのです。ですから応益者が負担すべきであるというあなた方の理論自体が、すでに予算面において矛盾しておるではありませんか。あなた方はどういう資料を持っておりますか、発表してもらいたいと思います。
  29. 原純一

    原政府委員 ただいまのパーセンテージの数字は、鮎川参議院議員が中心になっておまとめになった道路整備関係のいわば達観的な検討の数字だと思います。私どももそれを勉強いたしておりますが、私の感じでは、ちょうど鮎川先生のこの構想は私どもの考えと一致するのではなかろうかというふうに思っておるのです。ただいま仰せられました三四%というのは、受益の総体の中で三四%であるのでありますが、実はその絶対額におきましては工事費をはるかにこえる受益が三四%に当るのでございます。その場合の工事費は全体で六千六百億円、それによるもろもろの百パーセントに当る受益というのは、私ども承知しておりますところでは二兆五千億をこえる数字になります。そのうち直接自動車業者が受益するものが十年間で九千五百億円余りになる。これは十年でありまして、このプランはたしか五年間で建設するはずでありますから、最後の五年間の分は利益を計算しておらない。まだあとにも利益が残る。そういうのを計算しますれば一兆四、五千億にはなるだろう。そうすれば六千六百億円の工事費に対してはむしろ私どもよりも利益を多く見ておられる、非常に大きな利益になるというふうに読んでおるのであります。そういう意味でパーセンテージはもっと大きなものの三四%ですから、受益そのもののとった位置からいいますと、私どもの計算はそう間違っていなかった、むしろ控え目であったというふうに実は私は見ておるのでございます。
  30. 中居英太郎

    中居委員 そうすると他の三二・三%、あるいは二五・六%という率の受益者は、政府に対してどういう負担をするのか。自動車業者だけがこういう負担をして、なおかつ利益があるとあなたは言われる。他の三二・三%、二五・六%の受益著はどうするのです。政府の施策は跛行的じゃないですか。
  31. 原純一

    原政府委員 これは何といいますか、御存じ通りガソリン税をどういう形で転嫁していくかという問題があるわけです。運賃を上げるか下げるか、私どもの考えによりますと、全体として利益が多いのだから、運賃はむしろ下げられるということになるわけです。ですから下げないとすると利益がふえるのですから、どこでその利益を分け合うかという問題——私はそういう意味で道路は非常に大事なことだ、これは相当大きくごらんになっていただきたいと思うのですが、何か自動車業者だけが負担するというよりも、全体が伸びていって、どこに利益が落ちつくかというような問題ではなかろうかと実は思っておるのです。またおそらくこれは初めのころは先ほどおっしゃったように受益が均霑にいかないというようなことから若干問題がありましょうが、大きく見ていただけばどこかにその転嫁も、利潤率平均の原則でありますか、しかるべく転嫁されて、しかも全体としてはやはり受けた利益の方が多いというふうなことになるのではなかろうか。転嫁の問題が入って参りますから、一がいに自動車業者だけが負担して、ほかの人が負担しないのだというようなことではないのではないかと思います。
  32. 中居英太郎

    中居委員 だから私は先ほどから道路の整備の受益者はだれであるとか、道路整備の財源をだれがまかなうべきであるという論をすること自体がおかしいと言っているのです。これは国全体の問題だと思う。道路が整備されまして、あなたの言われるように自動車運行の経費が安くなる、そうすることによって運賃が下るのですよ。そのことがわれわれの言うところのいわゆるコストの引き下げの一つの原因になるのですよ。政治というものはそれをねらうべきだと私は思うのです。従って現在の運賃とか、現在の生産コストというものを前提にして、こういうコストで満足なんだ、こういう建前であなたは理論をなさっておると思うのですが、それは間違いだと思うのです。経済は進歩しなければならぬ、社会は進運しなければならぬ、そのためには道路を整備して運賃のコストを安くする、生産コストを安くするのだ、このことが政治の目的じゃないのですか、行政の目的じゃないのですか。そういう意味で私は道路の財源というものは、受益がだれであるとかいうことを言わずに、一般財源で国家の使命としてまかなうべきが当然である。しかしガソリンというものはこの特質から考えて、国家の費用の一部として業界もある程度の税の負担には応ずる、こういうことが最も適正な行政であると私は思うのです。税制であると思うのです。従いましてガソリン税に限らず、何の税金でもそうだと思うのですが、担税力というものを無視しまして、道路を直すためにはたえてもらわなければいかぬ、利益がこれこれ出るのだからたえてもらわなければいかぬ、こういう理論は私は通らぬと思うのです。何の税金でも業界の担税力というものを無視しまして、国民の担税力というものを無視した課税はないと思うのですよ。先般ここで答弁しました塩崎第一課長も、こういう税金がもしも実施されるとしたら、おそらく運賃の値上げという事態を招来するであろうということを言っているのですよ。あなたも御承知だと思うのですが、今日の交通事業というものはこれは統制事業なんで、公益性を持っているがために運賃というものは、運輸大臣が非常に厳密な原価計算によって確定しておる運賃なんです。そういう運賃をもって統制されて公益性というものを打ち出されて運行している現在の業界にとりまして、さらに一万二千円というような増税がたえられ得ると思いますか、その担税力があるとあなたは考えておられますか、御答弁を願います。
  33. 原純一

    原政府委員 運賃はどうなりますか、なかなかむずかしい問題であります。これは人気もあることで、もう今すでにガソリン税が上るからガソリンの値段が上るというような市中の話もありまするが、人気もありまするが、そのために運行経費が安くなるという面とあわせて考えますと、長い目で見れば運賃は上げる必要はない、むしろ下げてよろしいというふうに先ほど来申し上げたわけです。最初のときからそれで行けるかどうか、これはもう少し検討してみなければいかぬでしょうが、まずまず大局的に見て、それによって支払う費用よりも、それから受ける利益が先ほど来申すように利子を計算しなければ、私どもでも二倍になる、鮎川先生でいくと二倍半か三倍になるというようなことであれば、長い目で見れば値上げの必要はない。むしろ合理化して値下げの余地が、値下げというと言葉は悪いですが、それこそ道路交通を合理化して経済の合理化、コスト・ダウンの大きなファクターになってくるのではないかと思うのです。これだけ大きな問題であるという点を考えますれば、その点は少し長い時間についてお考えになるというような、この辺は立場々々でいろいろあると思いますが、私どもは一年だけの受益を計算してもしょうがありません。全体の受益を計算する、そうすれば総体としてはそういう結論になると申し上げておるわけであります。
  34. 中居英太郎

    中居委員 十年先、十五年先の見通しについては私は同感ですよ。しかし十年間、十五年間に運賃を値上げすることによって、わが国経済に与える影響というものはどんなものですかね。道路を整備して運賃を安くして、そして生産のコスト・ダウンをはかるというのが、大きな経済界の問題になっているのです。そういう問題がある今日、十年間、十五年間、さらにコストを引き上げても、わが国の産業経済は順調な発展をするとあなたは思っておりますか。ましてや自動車業界は十年、十五年間という長い期間、こういうような重税のもとでは営業はできないのですよ。十年先、十五年先を待たないで業界は壊滅するのですよ。この点あなたはどうお考えになっておりますか。
  35. 原純一

    原政府委員 私は運賃は下るだろうと申しておるのです。あれを見れば私はそう確信をしております。
  36. 中居英太郎

    中居委員 それは十年先、十五年先でしょう。明年から下りますか。
  37. 原純一

    原政府委員 まあ十年、十五年先にならなくても下ると思います。最初もそう上げなくてもやれるのではなかろうか。もう一両年でどんどん受益が出てくる。しかもその受益は非常に控え目に計算して絶対額で倍くらいある。それによって起る自動車運送の増ですが、どんどん伸びていくと思います。それだけ考えて、かつ荷主側における利益も考えていきますれば、もう値上げということはあまり大きな問題にされないでいいのではないか。じきもうどんどん下げられるということになってくると思います。とても十年も十五年も先の問題ではないと思うのでございます。
  38. 中居英太郎

    中居委員 それはあなたの感じだけでしょう。それはあなたの希望的観測でしょう。私のところに参っております資料によって一つ説明を申し上げたいと思いますが、大体東京都内は一応道路の整備は終っておりますよ。従ってもしもガソリン税値上げになって、政府で考えておられる道路十カ年計画が推進されたとしましても、都内における業者にさほどの大きな影響を与えないと思うのですよ。受益がさほど大きなものははね返っては来ないと思う。そこで今回のガソリン税の問題を経営上について検討してみますと、こういう結果が出ております。車両台数百十八両について計算したのですが、一年間に五百三十二万円の利益が出る計算です。ところがガソリン税が一キロ一万二千円増税されるとすると、経費が一千三十四万七千二百二十八円増加するのですよ。はっきりと五百二十七万円赤字になる、こういうことが数字に現われております。あなたの言われるようにどうしてガソリンが値上げになったとたんにコストが下るのですか。そういう算術は私はどこでも開いたことがないのです。これを説明してみて下さい。
  39. 原純一

    原政府委員 道がよくなりますと、スピードが速くなることはお聞きですね。ガタガタが減るということのほかにスピードが上る。おっしゃる通り東京のような都会の場合ですと、問題は路面がスムーズであるかということよりも、収容力が十分かどうかということだと思います。そういうような意味で、私道路の建設のことはよく知りませんが、やはり大都市では道路のキャパシティーを大きくするということが大きな問題ではないか、円タクにしましても、キャパシティーが大きくなってずっとすっ飛ばせば、お客さんを今まで十回乗せていたのが二十回乗せられるということになって、利益が出てくると思う。東京でもちょっと郊外へ出ますれば、やはりそういうことがあると思うのです。(「道路交通取締法違反だ」「失言だ」と呼ぶ者あり)すっ飛ばすというのは、決して悪い意味ではなく、今つかえて動かないというようなことがありますが、そういう何で利益が上る。必ず一様に受益が上るということは申しませんけれども、全体に控え目に計算しても倍やそこらの利益があるということでありますから、道路は非常に大事だ、自動車交通を発展させることが大事だということをお考えになるなら、まあその辺は一つ大きくごらんになって、大局をとっていただくということが必要ではないかと思って実は申し上げているので、言い過ぎがあれば取り消しますが、決してそういうわけではございません。
  40. 中居英太郎

    中居委員 今の局長答弁は私は失言だと思います。あとでこの問題についてはさらに質問します。  最後に私は一つお伺いしておきます。昭和二十八年だったと思いますが、十六国会におきまして道路整備臨時措置法という法律ができましたね。そしてこの法律に基いて昭和二十九年度の予算の編成が行われました。その際国会におきましては、この議員立法による法律予算措置が相反している、こういう論議が非常にやかましく行われたのです。あなたも当時主計局の次長だったと私は記憶しておりますが、そのとき大蔵省の主計局長は渡辺さんでしたが、速記録によると次のような発言を行なっております。衆議院の全部の発議でこういう決定がなされた——これは税法のことです。なされたのであるからやむを得ないとは思います。しかしガソリン税というのは将来軽減すべきだ、ガソリンキロリットル当り一万一千円というのは実に高い。だから大きく自由党の政調会などでも論議してもらいたい、将来こういった高額の税率は取れないと思います。こういう答弁をしているのです。ところが今日になってあなた方は一万三千円の税金が安いと言うのです。なおかつ担税力がある、こう言っております。どういう心境の変化ですか。どういうふうに経済情勢が変りましたか。三年前は一万一千円の税率が高いと言っておる。将来はこれを軽減しなければならぬ、将来ともこんな財源というものを無理に取るということはできない、こういう答弁をしておるのです。あなたも当時次長としてその席におりました。これは昭和二十九年二月一日です。現在の大蔵省はどういう心境の変化を来たしたのですか。
  41. 原純一

    原政府委員 ただいまのは主計局長ではなくて、前主税局長の渡辺さんの御答弁だと思います。確かに各品目、各物資の税の負担から、いいますと、ガソリン税は現在小売価格に対して五割くらいになっていると思います。酒やタバコと比べてまさるとも劣らぬ——タバコよりは低いですが、酒よりも若干高いということで、決して軽い負担ではないというふうに思います。ところでそれは、いわば一般財源に供出させる場合は、そういうことが一応それだけの問題として対照される。ところが目的税ということになりますと、その目的に使われる、その目的のための費用になるわけでありますから、そっちの受益との関係が比較されなければならぬ。当時はおそらくそういう利益が、あまり草創の際で十分な検討ができてなかったのだと思います。だんだんやっていくうちに、これはなかなかいいぞということがわかったわけですね。だから一般財源として普通の行政費なり防衛費なりに使うということになるなら、それはやはり税の負担というものは公平にしなければならぬという基本の線が非常に強く出る。しかしほかの行政費にはこれは回さぬのだ、全部道路の方に使うのだという受益者目的税になりますれば、やはりそこで一応この受益との関係を計算してみる。計算してみると先ほど申した通りなものでございますから、おっしゃる通りだんだん研究の結果、感じは変っておるということは確かだろうと思います。その辺はまた新しいデータに基いていろいろ検討したいと思います。
  42. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連して。これは珍答弁ばかりでおそれいるのですけれども局長答弁によると受益者々々々と言われる。そうするとこの資料のように、増徴してもなおかつ受益率の方が高い、だからして一万二千円税金を増額しても、決して自動車は負担過重にはならぬ、こういう説明をされました。さらに聞いておると——私は先日もここで言ったのですけれども、あなたの説明を聞いておると、だから増徴しなければならぬ、今日道路整備臨時措置法によって整備する、その目的税としてガソリン税を創設した。ガソリン税を創設したその当時の説明によりますと、今局長答弁せられているのとは全く逆なんです。道路は五カ年計画によって整備をするが、このガソリン税はその全部を負担せしめるのではない、その道路整備の一部分を負担させるものであって、その負担せしめる一部分のためガソリン税は、すなわち何といっても道路の整備に協力をしてもらうという建前に立つものである。実際を言うとこういうふうに議会の方面をなだめすかして、そして議員立法という形にすりかえて、うまく責任をのがれて、そして出されたのです。そうしておいて今日になると、全く大手を振って当りまえだ、こういう態度で、なるほど三年先には今大蔵省が提出しているような受益率があるとしても、今日即座に取られる税金に対応し得る状態に業界があるかといえば、これは全然考え得られない。従って業界でも大きく反対を唱えているのです。こういうふうに理解をしなければならぬと思う。言いかえますと今日の業界は、俗に言えば、あさっての百円をもらうよりも今の五十円がほしい、こういうのがあからさまに言って全体的な業界の経済事情だと思うのです。それを一体どういうふうに大蔵省は見ておられるかということがまず第一点。  第二点は、私がさらに言いたいのは、創設当時の精神を今も堅持していこうとされるのかどうかということが根本問題です。この根本的な視野が、あなた方の今の答弁で考えてみますると変っているような気がします。これはまことに無責任きわまることだと私は考えるのです。いえばこのガソリン税を目的税に置きかえたときの提案の趣旨というものを全く没却して、いつか責任のがれの道具に供したと悪評されてもしかるべきものだと思う。こういう点について大蔵省は根本的にどういう考えを持っておるか。  それから第三には、単に多く道路が整備されれば、直接それを使用している自動車業界にとっては、多少の消耗品の損耗減あるいは車両その他の維持費の節約等、利益するところはあろうと思いまするけれども、しかしながら道路がよくなるということは、直接その自動車のみが受けるのではなくて、今日の日本の道路の実態をあやつって全体的に論議せられておるのは、これは運輸委員会において今までいろいろと論議せられておるところを見ますと、たとえばこれは最も手近な外貨獲得の一つである外客の誘致、観光事業の伸張等という面から見ますると、日本の道路というのは、港までは外客がやってきたが、陸上に上ってみると景色はいいが、全くもって塵埃の中にぶち込まれるような形である。従ってこれを整備することによって外客の誘致を促進することができ、きわめて安易な形において外貨を多く獲得することができるのだと主張をしておるわけであります。そうするとこの一つを考えてみても、これは単に道路を整備することが、何も自動車業者の利益だけを意味するものではない。従ってこれは国家全体の利益の上に立っての道路の整備であり、その受益というものはひいては自動車業界だけが負うべきものではないというふうに私は考える。むしろ間接的に受ける利益の膨大さというものの方が大きい。しかもこれを国家産業的に見まするならば、外貨の獲得などは日本の貿易の伸展、あるいはその外貨が国家経済伸展の非常に基礎的な役割を果すものであることもまた当然な話でありまするし、それはひいては観光事業などというものはきわめて簡単な手段によって得られるものである。こう考えますると、もっと受益者というものが——今までの論議から見てみますと、大蔵省はきわめて狭い視野の上に立っての、そうして責任を転嫁してその利益率というものを大きく得ようというような、いえば非常にずるいやり方を考えておるのではないか。ずるいやり方を考えていない、正直に考えておるのですとするならば、大蔵省のめがねというものは、全く針の穴から天井をのぞいているようなものだ。他を知らない。そんなことで私は国家の税というものを考るわけには参らぬと思うのですが、以上三点について根本的な問題ですから、われわれが今後基礎的に考えるのに重要な問題だと思いますから、一つ見解をいただきたいと思います。
  43. 原純一

    原政府委員 お尋ねの第一点、第二点は、一般財源からも加えて出すようにということであった、現在それについてどうかという点でございますが、ガソリン税を目的税にしました当時の事情は、実は政府側の私どもとしましては、これは財政の苦しい際だから、目的税にされてはとてもやっていけないというて反対申しました。それに対して、いや目的税にするどころか、一般財源からどんどん加えてやれという御意見も確かにあったです。しかしながらそれで一致したというのではないと思っています。もちろん財政がゆとりができて、こういう建設的なものも加えるということは非常にけっこうでありますから、私どもも一般財源を加えて出して悪いということは毛頭考えません。財政に余裕ができてこういう発展的な面に使えれば、非常にけっこうと思いますが、なかなかそれだけの余裕がない、当時は余りにもそれがはっきりしておったものですから強く御反対申し上げたが、国会においてこれを通されたということであります。従いまして現在これをどうするという問題につきましても、一般財源を出すということは余裕さえあればけっこうなことだと——私主計局の何を持っておりませんから何ですが、筋合いはそういうことだろうと思います。ただ問題は財政全般の詰まり工合、他の経費との軽重というようなことを考えてきめなければいけないのじゃないかというふうに思います。  それから第三点の他の受益者があるので、自動車業者だけが負担するのはよろしくないというお話でありますが、このガソリンのようにおよそ漏れなく取れる税にありましては、それを取りますれば、それは結局どこかに転嫁されていくというふうに思います。それで他の受益者にも利益がいくという意味でならば、やはり転嫁でその問題は片づいていく。ところがその話は、転嫁されて運賃が上っていくという格好になるわけですね。なるわけなのだけれども、どうも計算してみると上げる必要はないのだ、少くとも数年先を考えてやっていただけば上げる必要ない、むしろ上げていいのだ。そうなるともちろん他の受益者にも及ぶが、それらはむしろ運賃値上げによる調整じゃなくて、運賃の値下げの程度をどうするかという調整で、調整がはかられるというようなことになるのじゃないか。実は大へん失礼なようなことになって申しわけないのですが、私どもこの計算はずいぶん一生懸命念には念を入れてやったものですが、全体として見ればプラスが出るということになりますので、負担がふえるというか、運賃が上るというお話と逆になります。私どもそういうふうな結論になって、そう思っているものですから、そういうことならただいまのは運賃が上るという形で他の人が負担するというのでなくて、むしろ全体が安い運賃に均霑するということで、そごは伸びていくのじゃないかというように今考えているわけです。
  44. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は今の答弁では一つしか答弁になっていないと思う。三点の答弁を要求しているのです。今言うように一点は、自動車道路を整備するのは何も自動車業界だけに責任があるのじゃない、もっと全体的にあるのだ、こう考えているのですよ。それについての見解を尋ねているのです。それから今日の業界では、今の揮発油取引税が創設された。それでこの二つの税金で業界は今担税能力としてはほとんど限界に来ている。だから二十四国会においても、三千円のガソリン税値上げを現に提案されたが、否決されてしまった。これは何かというと、それを物語っておるのです。わずか二千円、三千円の値上げですら、あれだけ強い抵抗があった。しかるに今日一万二、三千円という、それの三倍も四倍もする値上げをするというということは、むしろあれに反対したために、去年それで失敗をしたから、今度は大蔵省はつら当てにそれをやってやれというような考えではないかと私は思っているのです。ですからこの業界の担税能力の限界についてどう思っているか。この二つはもう一応具体的に答弁をしてもらわぬと、うっかりしているとごまかされてしまう。そういうことでは困る。  それからあなたは今の答弁では、ガソリン税を創設するのには大蔵省は当初反対だったとおっしゃるが、それは何もあなたの答弁した理由によって反対したのではないのです。大蔵省ガソリン税はどんどん取っていきたいのだから取っていくのだけれども、これを目的税としてワクをはめられてしまうと、一般会計が苦しくなるから反対だ。ガソリン税を取るということに反対ではないのであって、ガソリン税そのものを目的税にすることが反対なんだ。ガソリン税はこれから将来もどんどん取ります。こういう腹だったでしょう。その腹が今日出ているのです。ですから大蔵省としては、目的税としてこれを道路に使うのだというワクをはめられることは困る。だから税収を一般会計に入れて、目的税の創設には反対なんだ、こういう御意図だったのです。今日ガソリン税や何かいろいろ取っておりますけれども、一般会計的性格を帯びた支出がたくさんありますよ。たとえば労働省の失対事業費まで五十何億という金が出ておる。これはその現われなんです。一般会計として徴税して一般会計として支出する。それを目的税にとられると、それだけ一般会計が苦しくなって自由がきかなくなるから、だから大蔵省は反対だ、こう言ったでしょう。そういう意味なのでしょう。あなたは正直に言わなくてはだめです。
  45. 原純一

    原政府委員 第一段のただいまお話の点、それはおっしゃる通りです。ガソリンから取れる税は自動車なり、道路なりに戻せという論法でやられますと、紡績会社から入ってくる税金が七十億、おそらく百億程度のものがあると思いますが、紡績も伸びるのに大へんで、先ほど来織機の整理とかなんとかいうことまでやっているわけです。紡績は一番強いからそれほど言わぬにしても、鉄鋼なんか景気の波動でもって、悪いときはしゅんとなってしまうのです。そうすると、そういうものをカバーするために何してくれというようないろいろな要求が出てくるわけです。全部税金を出した向き向きによって、おれの方に戻せとやられますと、政府は役人一人もかかえられない、空なものでいかなければならぬ。一般の行政というものはできないことになるわけです。ですからガソリン税を目的税にするという場合にも、そういう意味で私ども反対した。あなたのおっしゃる通りです。目的税がうんとできてしまえば、一般財政というものは非常に運営が苦しくなる。そのときそのときの情勢に応じた財政の切り盛りができなくなるから、私はそういう意味で反対いたしました。そこでそういう意味でいえば、他の財源から出せという弟一点のお話も、まず論理としてはやはりガソリン税の現在なり、一万円なり一万円の中で、一般の何といいますか社会保障なり、あるいは賠償なり、防衛なり、一般行政なり、それに出す分をまず出してしかるべきだ。残りを特定の目的に充てるというような考え方ができるわけで、そういう意味では生部使って、その上に出せという主張ももちろんできます。しかしその辺は伏して一義的なものではない。やはり財政全般、ほかの事業が多いか少いか、それに充てる財源かどうかという問題になってくるのだと思います。そういうことを先ほどから申し上げたわけであります。  第二点の担税力の理論について言いますれば、なるほどこれでよけい取られてそれだけ費用がかさむ。かさむだけであれば、まさにそれはどこかの負担になってしまうわけですが、一方でここにりっぱな道路の改良とか補修とかいう、新しい生産というか、新しいものができるわけです。そこから出ててる値打というか、利益がある。差引してみると利益の方が大きい。幾ら内輪に見ても倍くらいになってしまうのですから、全体の利益を見れば三、四倍になるのです。そうなると担税力というよりも、お考えをそういうふうにめぐらしていただけば、結局国民経済主体としては非常に伸びることになるりではないか。運賃は上るのではない、むしろ下っていって、だんだん日本の経済としてコスト・ダウンになるのだということを申し上げるので、ちょっとピントが合わないような気もするのだけれども、私どもの勉強の結果ではそうなるので、申し上げたわけです。
  46. 中居英太郎

    中居委員 まず大臣にお伺いしますが、今の局長答弁によりますと、直ちに運賃のアップというよりも、むしろダウンということの調整の方が問題になってくると思う、こう言っております。しかし私ども意見は、大臣さっきからお聞きになっている通りでございまして、十年間、十五年間の道路が整備するまでの間に、業界というものは非常な混乱を来たし、壊滅状態になって、むしろこれがわが国経済に与える影響の方が大きい、こういうことを私ども申しておるのですが、監督官庁にある運輸大臣としてはどういうお考えですか。
  47. 吉野信次

    吉野国務大臣 この問題は当初主税局長も言われました通りに、まだ政府で原案はきまってないものですから、政府がほんとうに原案がきまっておれば、主税局長と私の答弁は食い違うことがない。ところがきょうはきめるまでの道程だということでございますから、私もその意味で私なりにお話を申し上げていいと思いますが、さっきお話通りに、ロング・ランには、この数字が正しいか正しくないか知りませんが、道路が改良されますれば経費も少くなるでしょう。それですから、ロング・ランにはあるいは主税局長の言うようなことがあり得るだろうと思います。けれどもかりに三十二年度だけとってみますれば、かりに税を取ったからといって、全国一律に道路を改良するわけではない、あるいは奈良と大阪をやるか、東京と千葉をやるか、道路公団が幾らしゃっちょこ立ちしましても、やるところは三つか四つでありますから、そうすると福岡なり北海道でガソリン税を取られたが、ちっとも自分の方には利益が来ない、こういう問題が生ずるわけです。そうすれば、引き合わなければ運輸省に、引き合わないがどうしてくれるか、こういう問題が出て参りますから、十年、二十年長い目で理論的に税は引き下げるべきものだ、こういう原則的の論が出ましても、行政をやるものは個々の場合についての行政をやるものですから、概論がそうであるからといって、行政を具体的にやるものは、それだからやめろというわけにも参らぬだろうと思います。ただ具体的にどの数字だかということは、これは実際やってみないとわかりませんので、多分私はすべて経済のことがそうだと思いますが、近ごろの傾向でものを数額的に経済のことを論ずるというような学説もあるし、実際もございますけれども、私はこれは具体的に当ってみないと、学説でこういう計算になったからというて、数字上でものが動くものとは考えておりません。従って大体私の気持を申せば、中居委員が先ほど来お話しになったようなことになるのではないか、こう考えております。
  48. 中居英太郎

    中居委員 最後局長にもう一つ申し上げます。あなたはさっき山口君の質問に対しまして、大蔵省が当初ガソリン税について反対したのは、目的税というワクをはめられることに反対したのだ、こういう御答弁だったのです。しかし先ほど私が読み上げましたように、目的税というそういった特殊の形態に反対すると同時に、現在のガソリン税の税率が高いということに反対しているのです。そこを間違ってもらっては困るのです。もう一ぺん読みましょうか。二月一日のほかに、三月二十九日にこういうことを言っております。実は一万一千円では高いから、九千円くらいに下げなければならないという状況になっております、こういう答弁をしております。目的税というワクの問題ではないのです。この辺をもう一ぺんあなた方はよく反省してもらいたいと思うのです。君子は豹変するといいますが、数年聞こういった重要な問題についての見解が食い違うということはあり得ないと私は思うのです。欺瞞であり、詭弁だと私は思うのです。私どもがこう申しておるのは、何も道路の整備の速度を落せということを言っているのではないのです。道路整備の急務はだれしも認めておるところなんです。だから政府は道路整備というものにもっと力を注いでもらいたいということを私どもは言っているのです。そして今私ども現実の問題としてこのガソリン税を論じておるのは、決してガソリン税を取ってもいいとか悪いとかということを論じているのではないのです。税というものは、経済全体を考えて、そしてそれの及ぼす影響を考えて、そうして担税力があるかないかということを終局的には勘案して決定すべきものだと私は思うのです。ですから私どもの今日まで述べて参りましたものも、もしも企図されて、伝えられておるような一万二千円というような増税が業界にたえ得るかどうか。私どもはいろいろな見解から、これはたえ得ないということを申しておるのです。決して道路の整備の速度をゆるめろということを言っていないのです。あなたも御承知でしょうが、今日まで自動車に対するところの税というものは実に非道です。九つの税金を取られております。自動車を一台動かすのに一カ月間三万円の税金を負担しているのです。そしてさらに取りいいからということで、またまた一万二千円の増税をするというようなことは、とうてい考えられないことなんです。ですからもっと真剣に担税力というようなことを考えてもらいたいのです。十年先、二十年先は、今運輸大臣が言われた通り、だれも文句を言うものはいないのです。私どもはそういう将来が早く来ることを望んでおるのです。そして運賃が引き下って、わが国の生産コストが低下するということを願っておるのです。しかしそれに至るまでに、わが国経済の根幹をなしておるところの運輸事業というものを壊滅さしてはならぬ、こういうことが私ども質問のほんとうの気持なのですから、どうかそういうことを誤解しないで、もっとこの問題について真剣な検討をしてもらいたいと思うのです。ですから明年から明後年から運賃が安くなるのだというような、子供に言うような理論はやめまして、どうしたならば道路の整備がよくなるか、どうしたならば業界が喜んで協力できるか、むしろ私からあなたに、大局的に立ってこの問題を検討してもらいたい、こういうことを申し上げまして、きょういただいた参考資料を調べましてまた後刻日をあらため質問申し上げたいと思います。
  49. 原純一

    原政府委員 十分御趣旨を体して、私どももそういう点を研究してじっくり検討いたします。
  50. 木村俊夫

    木村(俊)委員長代理 關谷君。
  51. 關谷勝利

    ○關谷委員 きょうは先般要求をいたしました資料をいただいただけでありますので、その資料をよく検討いたしまして、内容にわたる点、問題点等につきましては、次会に質問を譲りたいと思いますが、この問題を取り扱う上におきましての大臣、あるいは主税局長、あるいは道路局長等のお心がまえということにつきまして、私は一言申し上げておきたいと思います。  今のガソリン税は高いということは、これは間違いはないのでありまして、これ以上負担をせよといいましても、業界で負担ができないということは、私たち絶えずその業界と接触をいたしておりまする者といたしましては、よくわかっておるのでありまして、私は端的に申しますと、この増税には絶対に反対をいたします。どうしてもこれを阻止しなければならぬ。今大臣主税局長はまだ決定しておらないのだから、それに決定した段階においての意見は申し上げられない、こういうふうに言っておられるのでありますが、私は上げてしまわれたのではそのときにはもう手おくれになってくる、こういうふうに考えますので、お考え方を変えていただきたい。今社会党諸君からだいぶ反対のいろいろな質問がありましたが、社会党諸君だけが反対をしておるのではないのでありまして、よく頭に置いていただきたいことは、自由民主党の中においても非常に多くの者がこれに反対をしておるということを、よく頭に置いていただきたいのであります。先般の交通部会におきましても、すでにこのガソリン税の増税については反対であるという決議ができておるのであります。与党、野党がこぞって反対する中を押し切ろうとするようなことは、まずやめてもらいたい、このことを一番大きく頭に置いていただきたいのであります。  なお大臣によく申し上げておかなければなりませんが、閣議等でいろいろきめられる場合にも、与党内の反撃が非常に激しいのだということをよく認識せられまして、軽々に閣議で御賛成にならないように、あなたがよくこういうふうなことは軽々にやっては大へんだということを言っていただきたい。必ずそういうことを言うていただきたいのが、私の大臣に対する希望であります。  それから道路局長に申し上げておきたいのでありますが、こういうふうな不確定な財源をもってこれで道路計画等を立てられましては、それは絵にかいたもちになってしまうのであります。せっかくあなたが苦心惨たんして計画せられた事柄は、すべて水泡に帰する、実現ができないのだ、あの通り計画をしようと思ったけれども、あの目的税の増税ができなかったからというようなことで、大蔵省からけ飛ばされるようなことになりますので、あなた方も予算折衝について財源はあのガソリン税が通ったらという前提ではないのだということで、よくこの点だけははっきりとした財源をつかまえて、そうして計画とマッチさせていただきたい。この点はよくあなた方も将来の見通しということをつけて、お考えをいただきたいのであります。計画を立てていただきたいのであります。  主税局長に申し上げておきますが、これはあなた方は通ると考えておいでになるかもしれませんが、この増税案は、案はまだ出ておりませんが、憶測せられておりますところの案というものは、必ず通りません。私が今から断言をしておきます。私たちは通さぬように努力をする一人であります。必ず通さないのでありまして、これは決して通らない。あなたは実際良心的な人でありますが、あなたはこの間まで主計局におられて、今度主税局に来た。取ることを今度考えなければならぬ。あなたはまだ主税局の当時の気分が半分残っておる。道路を作らなければならぬ、その金を出すことばかりがあなたの頭にあるものだから、何でもかんでもガソリン税を取ってしまおう、こういう気持になっておるのであって、あなたはほんとうの主税局長におなりなさい。あなたはまだ主計局当時のくさみが半分残っておる。出すことにとらわれて、これを出さなければならぬ、目的税でこれを取るのだから、どうでもこれを取らなかったら大へんだと、主計局の方にまだ比重が多いようであります。そういうふうな考え方からあなたはやっておられるので、しきりにあなたはまだ決定しておらないというふうに言われておりますが、あなたの服の下からはよろいの片りんといいますか、ひたたれくらいのところが、ぼつぼつ見えておるようであります。どうしても取らなければならぬというふうな気持があるようでありまするが、決してこれはあなたが期待しておられるように取れるものではない。またあなたがいかに主計局を助けてやろう、自分の古巣であるというふうに考えられても、それは不可能なことである。主税局長として、ほんとうにこれを業界が負担できるか、またこれを取れるかということをあなたはお考えおき願いたいのであります。今社会党はもちろん反対いたしております。与党にもそれぞれ調印をとっておるのが相当数寄っておるのであります。交通部会ではすでに反対の決議をいたしております。政調あたりにおきましても、反対の方が多いというふうな状態でありまするので、その議会と何ら関係のないような税制審議会と、あなた方が事務局を手伝ってやられたその案がそのまま通る、こういうふうなお考えを持ちましたならば、それこそ大へんであります。この道路計画その他については、通らないのだという前提であなた方はよくお考えにならぬと、大きな誤まりが出てくるのだということを私は申し上げておきたいのでありまして、私たちこれからきょういただいた資料につきまして内容を検討いたしまして、あなた方がこの案を出すまでに、私たちはそれを阻止するような方法を講じます。そうして案を出させない。出して後ではあなた方も面子があるでしょうから、そういうふうにならないように、私たちが先にとめてあげましょう。その方があなた方が楽でありましょうから、そういうふうにいたしたいと思いますので、その点よくあなた方はそのお心がまえで、野党だけの反対ではない、与党にも反対があるのだということをよくあなたは心にとめておいて、これは取れないのだ、こういうふうにお考えおきを願いたいと思うのであります。  最後に私は道路局長に資料を要求いたしておきたいと思います。第一番が道路法の道路について、昭和三十年の三月末日までに整備せられておる道路の状況、第二番が道路整備五カ年計画の実施状況、第三番が大蔵省に三十二年度予算を要求しようといたしておりまする、まだ要求はしておられぬと思いまするが、要求せられようといたしておりまする道路整備十カ年計画、第四番が昭和三十一年度末及び道路整備十カ年計画実施後のわが国の道路の状況、これは全般的なものになりますが、概略のものでけっこうでありまするので、御提出を願いたいと思います。  私、きょうは質問はいたしません。資料の要求と、皆さん方にこの問題を取り扱う上についての心がまえ、見通しがどうなるかということで、御参考までに申し上げて、お心がまえだけをしていただきたいと思いまして、それだけ申し上げておきます。
  52. 木村俊夫

    木村(俊)委員長代理 本日はこれをもって散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後一時十三分散会