運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-20 第24回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十日(火曜日)    午前十時四十一分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    主査      吉田 法晴君    副主査     豊田 雅孝君    委員            川村 松助君            西郷吉之助君            佐野  廣君            田中 啓一君            野村吉三郎君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            曾祢  益君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君    国 務 大 臣 船田  中君   政府委員    防衛政務次官  永山 忠則君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    防衛庁装備局長 久保 龜夫君    外務政務次官  森下 國雄君    外務参事官   法眼 晋作君    外務事務官    (公使)    木村四郎七君    外務大臣官房長 島津 久大君    外務大臣官房会    計課長     中川  進君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省経済局長 湯川 盛夫君    外務省条約局長 下田 武三君    外務省国際協力    局長      川崎 一郎君    外務省情報文化    局長      田中 三男君    外務省移住局長 矢口 麓藏君   説明員    大蔵省主計局主    計官      鳩山威一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) ただいまより第二分科会を開きます。  本日は午前中、外務省所管について審査をいたします。まず説明を願います。
  3. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) 外務省所管昭和三十一年度の予算について大要を御説明いたします。  予算総額は六十五億三千十六万七千円で、これを大別いたしますと、外務本省二十五億四千二百五十万三千円在外公館三十九億八千七百六十六万四千円であります。ただいまその内容について御説明いたします。  第一、外務本省一般行政に必要な経費五億五千百七十九万三千円は、外務省設置法に定める本省内部部局及び附属機関一般事務処理するための職員一千二百四十一名の人件費及び物件費等であります。  第二、外務行政連絡調整に必要な経費一億五千八百八十九万八千円は、本省在外公館との事務連絡のための電信料郵便料および旅費等でありまして、前年度に比し四百三十四万円の増加は、在外公館増加連絡専務増加したためであります。  第三、外交文書編さん公刊に必要な経費四百三十一万三千円は、明治以来の日本外交史実編集し、公刊するための経費であります。  第四、外交電信に必要な経費二千九百二万九千円は、在外公館に対する電信事務適確なる処理及び通信施設改良整備等に必要な経費であります。  第五、外交運営充実に必要な経費三億七千八百万円は、各国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また各種条約協定締結する必要がありますが、これらの交渉わが国に有利に展開させるため必要な工作費でありまして、前年度に比し一億五千万円の増加となります。  第六、アジア諸国に関する外交政策及び賠償実施政策樹立に必要な経費千二百二十五万九千円は、アジア諸国に関する外交政策企画立案、その実施及び賠償実施政策樹立のため必要な経費であります。  第七、アジア諸国との経済協力に関する事務に必要な経費一億千八百七万六千円は、アジア諸国との経済協力をはかるために企画立案し、及びその実施のための事務を総合調整するに必要な経費と、財団法人国際学友会補助金二千二百七十二万七千円、アジア協会補助金三千八百四十六万二千円、財団法人日華学会補助金三百万円及び技術協力実施委託費五千二百九十七万七千円であります。前年度に比し四千六百八十万五千円の増加は、アジア協会財団法人日華学会等補助金及び技術協力実施委託費増加によるものであります。  第八、賠償実施連絡業務処理等に必要な経費二百五十六万二千円は、賠償の円滑かつ統一的な実施をはかるための事務費等であります。  第九、欧米諸国等に関する外交政策樹立に必要な経費千五百四十四万三千円は、北米中南米西欧及び英連邦諸国に関する外交政策企画立案及びその実施に必要な経費であります。  第十、日米合同委員会日本側事務局事務及び国連軍協定実施に関する事務処理に必要な経費五百六十八万二千円は、日米安全保障条約第三条に基く行政協定実施機関である合同委員会日本側事務局事務及び国際連合軍との協定実施に関する事務に必要な経費であります。  第十一、国際経済情勢調査並びに資料収集等に必要な経費六百十四万円は、世界経済の正確な把握を期するため、内外資料文献を広く収集整理するための経費であります。  第十二、通商貿易振興に必要な経費三百三十四万七千円は、通商利益保護増進をはかるため、通商貿易に関する調査等のための経費であります。  第十三、条約締結及び条約集編集等に必要な経費五千八百三十七万九千円は、国際条約締結条約集等編集条約典型作成条約及び国際法並びに内外法規調査研究のため必要な事務費等であります。  第十四、戸籍法及び国籍法関係事務処理に必要な経費二百七十七万八千円は、在外邦人身分関係事務及び二重国籍者日本国籍離脱に関する戸籍法上の専務に必要な事務費であります。  第十五、国際連合への協力に必要な経費八千九百九十一万六千円は、国際連合機関に参画し、あるいはその調査研究等に必要な事務費と、後進国経済開発技術援助拡大計画醵出金三千二百四十九万二千円、国連児童基金醵出金三千五百二十八万円、パレスタイン難民救済計画醵出金三百六十万八千円、財団法人日本国際連合協会補助金九百九十五万一千円及び日本エカフエ協会補助金五百万円でありまして、前年度に比し九百九十一万七千円の増加財団法人国際連合協会補助金日本エカフェ協会補助金等増加によるものであります。  第十六、情報啓発事業実施に必要な経費一千六百五十九万八千円は、国際情勢に関する資料の入手、海外に対する本邦事情啓発及び国内啓発のため必要な経費であります。  第十七、国際文化事業実施に必要な経費七百九十九万三千円は、文化交流を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝資料作成、購入の経費日本文化海外紹介事業を主として行う財団法人国際文化振興会に対する補助金二百十八万九千円及び在パリー日本会館補助金百二十三万六千円であります。  第十八、海外渡航関係事務処理に必要な経費一千二百五十四万三千円は、旅券の発給等海外渡航事務経費とその事務の一部を都道府県に委託するための委託費五百七十七万八千円であります。前年度に比し百八十九万円の増加は、渡航事務庁費等増加によるものであります。  第十九、国際会議参加および国際分担金支払等に必要な経費二億八千三百三十八万四千円は、海外で開催される各種国際会議わが国代表を派遣し、また本邦国際会議を開催するに必要な経費わが国が加盟している国際機関分担金であります。  第二十、在外公館等借入金整理事務に必要な経費百七十八万二千円は、在外公知等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法難(昭和三十年法律第七九号)により在外公館等借入金確認請求の権利を失っている者等に対し、昭和三十年十二月三十一日までに当該借入金確認か請求することができることとなったので、その審査確認事務処理するための必要な経費であります。  第二十一、ヴェニス日本館建設費補助に必要な経費三百万円は、ヴェニスビエンナーレ国際美術展において、日本美術を紹介するため設置される日本館建設費の一部を補助するため必要な経費であります。  第二十二、日墨文化会館建設費補助に必要な経費二千二百五十七万四千円は、日本国と、メキシコ国相互文化交流増進をはかるため設置される、日墨文化会館建設費の一部を補助するため必要な経費であります。  第二十三、旧外地関係事務処理に必要な経費七百二十五万円は、朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官署職員給与、恩給の支払その他残務整理に必要な経費であります。  第二十四、旧外地官署引揚職員等給与支給に必要な経費四千万円は、三十一年度中の旧外地官署引揚見込職員八十名と、未引揚職員四百五十七名の留守家族支払う俸給その他諸給与であります。   第二十五、移住振興に必要な経費六億七千九百七十六万九千円は、中南米及びカンボジア等に移住する者七千五百人を送出するための渡航費貸付金五億四千六百九十九万一千円と、日本海外協会連合会補助金四千六百二十二万二千円、移住者受入機関補助金六千五百万円、実習生移住補助金百五十万円等であります。前年度に比し九千八百万九千円の増加は、送出移住者増加に伴う渡航費貸付金および日本海外協会連合会補助金移住者受入機関補助金実習岳移住補助金等増加によるものであります。   第二十六、移住あっせん所事務処理に必要な経費三千九十九万五千円は、移住者本邦出発前における健康診断、教養、渡航あっせん等事務を行うため必要な経費であります。  第二十七、在外公館事務運営に必要な経費三十八億七千八百六十七万一千円は、既設公館七十七館一代表部五百二十二名と、三十一年度新設予定の在パラグァイ、在ギリシァ、在デンマークの三公使館、在ウィニペッグ、在メルボルンの二領事館及び総領事館に昇格する予定の在シアトル、在ベレーンの二領事館のために新たに必要となった職員十二名および既設公館職員増加二十一名五百五十五名の給与旅費事務費交際費等であります。  第二十八、対外宣伝及び国際文化事業等実施に必要な経費四千九百八十六万二千円は、わが国と諸外国との親善に寄与するため、わが国政治経済文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するための資料作成費講演謝礼及び事務費並びに日仏日伊文化協定実施混合委員会運営等に必要な経費であります。  第二十九、在外公館営繕に必要な経費四千七百九十四万七千円は、在ジャカルタ公館公邸の新営工事並びに在外公館事務所及び館長公邸建物修理費等であります。  第三十、国際会議事務処理に必要な経費一千百十八万四千円は、在外公館所在地で開催される国際会議事務処理に必要な事務費であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和三十一年度予算大要であります。詳細御審議のほどお願いいたします。
  4. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) 御質疑があります方は順次お願いをします。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 大蔵省から配布されている予算説明外務省分六十四億九千万円と出ているのですが、今の御説明によりますと六十五億三千万円ですが、この相違はどういうところから出ているのですか。これはむしろ大蔵省説明願った方がいいと思うのですが。
  6. 島津久大

    政府委員島津久大君) どういう書類でございましょうか。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 昭和三十一年度予算説明、例のあの予算説明書であります。それの雑件の各省別が出ているのですが。
  8. 中川進

    政府委員中川進君) ただいまの御質問でございますが、六十五億三千万円というのに比べまして四千万円減っておるのでございますが、これは旧外地職員給与費というのが四千万円、旧外地職員給与費、百余名分四千万円というお金が、私どもの方では外務省所管というふうについておるのでありますが、それがおそらく厚生省所管になって四千万円減っておりまして、そこにただいま御指摘の四千万円の差が出ておるのではないかと、こう考えます。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 項目の第六ですね。ここのアジア諸国というのはどういう範囲なんでしょう。中国などは入っておるのですか、入っていないのですか。
  10. 中川融

    政府委員中川融君) ただいまこの六の、アジア諸国に関する外交政策及び賠償実施政策樹立に必要な経費ということでございますが、これは地域的に申しますと、アジア全域でございまして、必ずしも中国を除外するという意味ではございません。御承知のように、中国本土の問題につきましても、外務省では調査研究等は熱心にいたしておりますので、そういう関係費用もこういうところに入っておりますというふうに御了解いただきたいと思います。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 項目の第九ですね、これは北米中南米西欧英連邦諸国となっておる。この西欧というのは東ヨーロッパが入っておりますか。
  12. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) これはヨーロッパ西ヨーローパ全体に関する調査その他は熱心に行なっておりますから、そういった経費は含んでおります。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 東ヨーロッパが入っておるというのですか。
  14. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) 入っております。そういう地域に対してもわれわれといたしましてはいろいろ調査をしておりますから、その経費を含んでおる次第でございます。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、結局抜けるのはソ連だけが抜けることになりますね。私はこういう外交政策のいろんな基本になるような調査研究等は、国交が回復しておるおらぬにかかわらず、もっと熱心に予算も取ってやるべきだと思う。むしろ国交を回復しておらぬ国に対してこそ、いろんなこちらの一つ材料というものが必要になるのですから、そこだけが抜けておるのがちょっと不思議なんですが。
  16. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) ただいま説明が不十分でございました。これは東欧諸国というだけの御質問でございましたので、そう申し上げたのですが、むろんソ連に対しても常にわれわれのところでは研究をいたしておりますので、そういう区域を含んでおる次第でございます。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 実際含んでいるのですか。つまりですね、西欧の中に、西欧アジア諸国と、こう言えば、ソ連を中心にした大きな部分というのが何か抜けておるというふうに、これは普通の言葉の解釈ではなるのですが、しかし実際、それは含んでやっておるということなら差しつかえないのですが、ちょっと言葉の普通の意味から言うと、抜けておるように思うのですが、どうでしょうか。
  18. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) 具体的に申しますと、われわれのところでは、たとえばソ連、その他から出ている刊行物も取りまして、いろいろ研究いたしておりますので、これは西欧という中には、当然その地区も含むものと、こういう趣旨で書いておる次第であります。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 しかし西欧の中には、ソ連の東、東部ですね、これは含まないでしょう。それはアジアに含むのですか、どういう意味なんでしょう。
  20. 中川進

    政府委員中川進君) ただいまの第九の、北米中南米西欧の西は、これは誤まりでありまして、欧州であります。従いまして、ソ連の東方、シベリアも欧州と呼ぶか、これは多少無理かもしれませんが、しかし当然これも含んでおるものと、こう御了解願います。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 それで若干言葉の方が訂正されましたが、私はやはりこういう調査研究については、ソ連圏ならソ連圏というものをむしろ一つの大きな項目にあげて調査研究等は十分にやるべき問題ではないかと思うのですが、そのような予算の計上等は問題になったわけでしょうか。その点ちょっとお聞きしたい。もっと積極的に計上してもらいたい。
  22. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) 先ほど説明が足りませんでございましたが、われわれの方の文化研究といたしましては、欧米局第六課というのがございます。第六課はソ連並び東欧諸国を所管いたしておりまして、そこでは御承知のように、常に研究をいたしておるわけでございまして、われわれのところの部内限りの予算に関する書類の中にも、実は西欧諸国並びにソ連等を分けて経費を盛っておるわけでございます。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 やはりそういうことなら説明書き等においても、それは無視しておらぬのだというふうにやはり出してほしいと思うのです。やはり腹の中では若干軽視しておるからこういう文章になってくるのじゃないかと思うのですが、一つ気をつけて下さい。  それからもう一つ、これは私、外交のことはあまりわからぬから、妙な質問をするなと思われるかもしれませんが、第五ですね、外交運営充実に必要な経費、これが前年度に比して五割増しくらいになっておるわけですが、このふえた理由ですね、この内容工作費ということになっているのですが、工作費というのは一体どのようなものか、そうしてそれをふやさなきゃならない理由ですね、大幅に。こういう点を若干御説明を願いたい。
  24. 島津久大

    政府委員島津久大君) 現在報償費という呼び方をしておりますが、これは大体戦前機密費に似通った経費でございます。大体経常的な予算に組めない臨時的な項目でございまして、これにはあらゆる外交工作費用が含まれるわけでございます。金額から申しますと、戦前には非常に多額な予算が計上されておりまして、今回のこの四億近い規模が、年度のとりようにもよりますが、大体十分の一に満たないくらいの規模のものでございます。外務省といたしましては戦後ゼロから出発いたしましたので、なかなか一ぺんには飛躍ができないわけでございますが、希望といたしましては、まだまだとうていこれでは足りない程度のものでございます。それでようやく前年度に比べまして、一億五千万ほど増額になった次第でございます。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 それは国内政治でもそうですが、筋の通ったことはそんなに工作しなくたっていけるはずですし、それは若干は工作が要るだろうが、そういうものはだんだん少くなっていくのが、私は明るい政治だと思うのです。国際間の政治でもどこでも、工作費だけをよけい使ったって主張そのものが筋が通っていなかったら結局これはむだづかいになるわけですね。工作費は全然要らないというふうには私は考えないのですが、やはり外交政策なんというものは、もっと調査研究ですね、こういうことに十分もっと金を計上してもらってもいいのじゃないか。条約整理とかこんな費用なんか非常に少いようですが、そういうことにうんと命を使って、そうしてコーヒー一ぱいもくれぬけれども、あいつらなかなか非常に正しい主張をする、日本は。やはりそういうことで押していかなきゃどうせこっちは貧乏なんですから、この程度工作費を使ったって、なかなか金のある国との太刀打ちは私はできないだろうと思うのです。しろうとですから、それはどの程度のものが要るのかはわかりませんが、一方のそういう調査費等が非常に少いように思うので、それに比較すると、どうもその辺の考え方が少し間違っているのじゃないかと思うのですが、それはどうですか、私の考えは間違いでしょうか。
  26. 島津久大

    政府委員島津久大君) ただいま御意見の点はまことにごもっともでございまして、できることなら経常的な経費の面でできるだけ見ていくのがほんとうだろうと思うのでありますが、この報償費内容から申しましても、いわゆる機密工作というような範囲はそう多くないのでありまして、ただ調査費その他でも経常費のうちになかなか実は入らないのであります。報償費の中に臨時的なもので、しかしでき得るならばこの経常的な費用として計上したいものが相当たくさん入っております。御意見のように調査的な面にもっと費用をかけたらとおっしゃいます点はまことにごもっともでございまして、その点はこの上とも努力いたしたいと思っております。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 経常費でなかなかとれないから、若干こういう名目で幾らかここに含めておるものもある、そんなようなこともあるのですか。
  28. 島津久大

    政府委員島津久大君) 一例を申しますと、調査的な費用もございますけれども、文化情報関係費用などは、あらかじめ相当以前から予測できないような事態が起って参りますので、そういう際にこの報償費から支弁をいたしております。ちょっと私の御説明が足りなかったと思いますが、大体が外務省予算は、人あるいは施設――在外公館、そういうものに付随した経費が大部分なんでございまして、そのほかに外交を運営していく上に必要な、何と申しますか、流動的な経費と申しますか、そういうような経費が非常に少いわけでございます。そのうちでも経常的に予測できるものはできるだけ経常費のうちに入れるようにしております。そうじゃない臨時的なもの、流動的なもの、そういうものを報償費でまかなっております。しかし方針といたしまして、できるだけ経常的な費用のうちに入れたいのでございますけれども、しかし事柄の性質上とうていそういう予測のできない事柄が随時起って参りますし、まあそういう意味から、報償費は本来ならもっともっと多かるべきところなんですが、先ほど申しますように、戦前の十分の一程度になっております。従いまして最初に御質問がございましたような、機密工作的な費用はほとんどないと言っても――戦前に比へましてないと言ってもいいと思います。
  29. 亀田得治

    亀田得治君 昨年こういう工作費が不足したために、そのために外交交渉、その点がもっと有利にやれたのに、結局やれなかった、そういう具体的な事例等はあるのでしょうか。
  30. 島津久大

    政府委員島津久大君) これは工作費が多いにこしたことはないのでございまして、しかしどのくらい費用を使ったらどうであったというような、はっきりした具体的な例はあまりないかとも思うのでございます。まあ国連加盟が成功しなかった、これにもう少しいろいろな費用をかけて努力したならば成功したかもしれないというようなことは言えるかもしれません。しかしそれにどのくらいな費用しかかけられなかったから、こういう結果になったというふうに、正確には言えないわけでございます。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 一例として国連加盟が出たのですが、そういう点でも、これはいろいろ関係者に会って了解を得る、こういう工作は必要であろうと思います。   〔主査退席、副主査着席〕 思うのですが、しかし国連加盟というような問題になれば、やはりもっと基本的な日本外交政策全般の問題だと私はやはり思うのです。そういう点、工作費が少かったから少し障害があったんじゃないかというような御趣旨のようでしたが、どうもそれだけでは、ちょっと工作費をふやさなければならぬというような御説明にならぬように思うのですが、どうでしょうか。
  32. 島津久大

    政府委員島津久大君) それはまあ御意見通りでございまして、工作費と申しましても、実は何と申しますか、謀略と申しますか、そういうような費用を申しておるのではないのでございます。一般啓発宣伝あるいは連絡、そういうことに必要な費用を申しておるわけでございまして、そういう意味費用が多ければ、それだけ宣伝啓発あるいは連絡、そういう点が円滑にいくというわけでございます。まあ正確にどうこうという数字は出て参らないわけであります。その程度でございます。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 こういう費用は、何か意地の悪いことを私が聞いているようなふうにとらないで、やはり内容等をあまり明確にできない費用であっても、五割もふやすという以上は、やはりもう少し積極的な御説明が私どもほしいと思うのです。戦前外務省予算における工作費に比して非常に少い、まだその線にいかない、こう言ったって、じゃ戦前のその費用がそれで正当であったかどうかということ自身が、これはやはり問題だと思いますし、ことに私は戦前の場合であれば、まあいろいろな意味での現在のような立場に立てば必要でない費用が相当あったと思うのです。あのころの日本外交政策自身が特殊な形を持っておったのですからね。だから決してそういうものは戦前のその額が一つのめどではないのであって、この新しい角度でどの程度必要かということを明確にしていく必要があると思う、ほんとうにこれが必要であるということなら。そうして何か非常にこれでも不足だ、こうおっしゃるわけでしょう。そうしてその不足額があるために、たとえば日本の国連加入がおくれるとか、あるいはもっと重大な国に対する損害が起るということが明確なら、これはあなた、国会自信としてだって、これは簡単にこれでよろしいとは言えないわけでしょう。ほかのもっと要らない費用を減してでも、こっちの方を倍にする、あるいは三倍にする、ほんとうに要るものなら考えなければならぬわけでしょう。そういう意味で、どうもあまり五割もふやしたことについての説明がぴんと来ないのですが、あなたのさっきの説明ですと、まだ足りないというのですが、理想的に言うたら、じゃ、工作費はどれくらいが理想的なんですか。
  34. 島津久大

    政府委員島津久大君) 内情を申しますと、最初外務省で組みました報償費予算が二十億、それが現実にただいま提案になっておりますのが、三億七千八百万という程度でございます。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 まあこの程度にしておきます。
  36. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと今のそれに関連して。そうしたら、ただ一本で出されているので非常に疑問になるのですが、実績として前年度二億幾らですかのものが、大体大まかにどういうふうに区分けして使われたのか、それからさらに、それを二十億にふやす、要求として二十億にふやされる場合には、どういう内容としてふやす必要があるということをお考えになったのか。従ってその結果、三億七千万円に削られた場合に、ことしはそれをどういうふうな区分けで使われる予定にしておられるのか、その内容をもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  37. 島津久大

    政府委員島津久大君) 先ほど来申しましたように、臨時的な性質がございますので、区分けが非常にむずかしい、ごく大まかに申しまして、報償費の中の三分の二程度が、外貨の裏づけがある形になっております。それくらいを在外公館の活動費に充てております。その三分の一は東京で使うものであります。しかし、これには昨年度におきましては、国賓あるいは政府の賓客、その他外国からのミッションがたくさん来られまして、これに対する費用が相当の部分を占めております。また在外公館外国に――ちょっとただいまのところを取り消します。その報償費内容の区分けは先ほど申しますように、御満足のいくように詳しくは御説明いたしかねると思うのでございますが、繰り返して申しますと、臨時的な費用がおもでございまして、国賓、政府の賓客、その他の人の関係費用、それから先ほど申しましたような宣伝啓発関係費用、こういうものが主体をなしておるわけでございます。
  38. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この宣伝啓発関係というと、たとえば第二十八、対外宣伝及び国際文化事業等実施に必要なものだとか、その他、いろいろな項目があるので、それは予期しなかったとすれば、予期しなかった若干の分が、予備費的なものとして各費目に計上されてしかるべきだ、そういう費目の使途がはっきりしておるのならば、それでいいのじゃないかと思うのですが、さらに外国の賓客、あるいは日本から出す場合の金としては、これはたとえば何ですか、そういうのは特別にどこか、外国の賓客は、これは年々相当来ることがきまっておるし、予定をできるのでしょうから、そういうものとして予定した費目は別にないのかどうか、こっちから出す場合にも、同じようなことが甘えると思うのですが、たとえば最近よく大統領の就任式とか何とかに特派使節を出すとか何とかいうようなことをやっておられますが、そういうふうな経費あたりはどこから出るのですか。それらの事情も一つ伺いたい。
  39. 島津久大

    政府委員島津久大君) 情報関係費用経常費に組まれるものは、極力経常費の方に入れてございます。経常的に見当がつかぬものだけを報償費の方でまかなうわけでありますが、量的に申しますと、予測のつかぬ面あるいはその額が、相当多くなるだろうと思います。一例をとりますと、たとえばアメリカで日本の綿製品の輸入を制限するとか、関税を引き上げるというような問題がときどき起るわけであります。そういう場合にこの阻止をはからなければなりません。その際にPR運動を相当広範に展開したいわけであります、本来ならば業界の方から、右から左にそういうような工作費がすぐ出ればいいわけでありますが、なかなかそういうわけに参らない、その点は政府として遅滞なく手を打つ必要がございます。そういう際にかなりの額をすぐ動かさなければならぬというような事情もあるわけであります。  それから国賓、政府の賓客等の費用、これはもう少し実績をみますと、あるいは経常費のうちに含まれるかもしらぬと思いますが、今日までのところ、何組ぐらいどういう国からお客さんがあるということは、なかなか予測がつかないのでございます。やむを得ずやはり報償費のうちに入っているわけであります。  それからこちらから外に出ます場合は、これは大体政府関係の人でございますと、外国旅費に計上した中からまかなうわけでございます。そうでない場合には、やはり報償費の方から臨時的にみなければならなぬ。また外に出られました際の現地での、出先での活動費、そういうようなものもまた報償費から出さなくちゃならぬ関係になっております。
  40. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そのアメリカの関税引き上げその他に対する交渉なり、対策の費用ですが、そういうものはもう大体において予測もできる問題だろうし、そう急にどうだという問題もないし、そういうものこそ、この第十二にあげておられる通商貿易振興に必要な経費として明瞭に相当額をとられたらいいのじゃないか、それが非常にその通商貿易に重点をおいていると言われながら、たった三百三十四万円というような金があげておって、そういうものにほとんど経費がとっていないから、今のようなところからお回しになるという必要が出てくると思うんですけれども、やはり予算の使途は、財政法その他で明瞭にしてあるように、非常に簡潔で、直截で、明確でなければならないので、そういうふうに使途がはっきりしているものあたりは、もう少し経常的なものとして予算の体裁を整えられることが非常に必要なんじゃないか、こういうことをやられると、やはり予算の民主化――内容があいまいになる、そうして使う人の個人的な一存によってどうにでも使えるという最も予算の悪い形が出て参るので、そういう費目としてわかるようなもの、それからただ単に予測ができないというならば、それは適当な予備費という形でもとられる必要があるだろうし、そこらのことをもう少し直すお考えはないかどうか。
  41. 湯川盛夫

    政府委員(湯川盛夫君) ただいまの通商貿易振興に必要な経費、第十二に載っております三百万円でございますが、これはまあこの区分けの問題は別としまして、実際はこの通商使節団の派遣の費用、それから通商交渉をやります場合に、内地で使います事務費というものだけが載っております。まあほかに経済問題あちこちに入っておりますが、ここに載っております内容はただいま申し上げたようなもので、綿製品の輸入制限の場合に必要な工作費といったようなものはここに入っておりません。
  42. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、そういうふうに通商貿易振興あるいはこの伸長を阻止する、伸長阻害となるものをもっと切り開くというような面こそ通商貿易振興の問題じゃないのですかね、そういう問題の経費であるならば、ややこしくこういうところに工作費というような、実にこの忌まわしい観念が伴うようなものの中に入れておられるから、ここで問題になる。それからまたそういうことが過去においては非常に多かったと言われるが、そういうことの多かったことが非常に問題になるし、ことに軍あたりは非常にそれをたくさん取っていたということが非常に問題になっておるので、新しい財政制度としてはそういうものが一応原則的にはなくするという建前で新しい財政の仕組みができておる、またそれに逆行するような方向を作ってこられる。今の貿易振興費にしても一たった三百万円だとか、あるいは在外宣伝その他には四千九百万円とか五千万円、五、六千万円の経費しかとらないでいて、そういう工作費には三億五千万円というような、それらとの対比から見ると、非常にこの経費が比重的に言って大きくなるので問題になるのだと思うのです。そこいらを予算の体裁としては、さらには今後たとえば予算をお組みになる場合、たとえば今の関連の経費が二十億も外務省の力では必要だとおっしゃる、すぐ二十億になろうと五十億になろうと必要なものなら出さなければならないんだが、こういう形のあいまいな工作費なんという形では、これはまあ絶対に認められない、二十億というような経費は認められないということがむしろ常識で、二十億をも要求されるということ自体が非常識だと言っても過言でないと思うのですが、そこいらの今後の扱いの仕方なり何なりはどういうふうにお考えですか。
  43. 島津久大

    政府委員島津久大君) 報償費と申しましても決してこの使用の仕方はずさんなものではないのでございまして、一々この証拠の書類をとって経理をしておる、いわゆる私一番初めに機密的なものという御説明したのが誤まりだったと思うのでございます。臨時的なもので、あらかじめ正確な金額が見当のつかぬものがすべてこの報償費の中に入っておるわけです。二十億と申しましても、これは在外公館はすでに八十前後になっております。その在外公館で活動します場合に、あらかじめ経常的な費用に計上できないものが多々あるわけでございます。それから申しますと、二十億といえども決して多過ぎるという額ではないわけでございます。ただいまお話のございましたできるだけこの経常的な費用に盛り込むべしという御意見は、これはごもっともでございまして、この上とも報償費の中で、経常費の中に入り得るものは今後ともその経常的な費用の方に回していきたいと考えますが、同時にまた在外公館、あるいは本省、あわせて外交活動の上から申しまして、この金額が少いということも言えると思います。
  44. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先ほどの六十五億三千万円と六十四億との問題ですが、これは非常にあいまいな答弁しか得られないのですが、正確にはどういうことなんですか。そうしてそういう在外の職員ですか、戦前のそれの給与の問題ですか、そういうことは所管があいまいになっておる、外務省の所管に計上してみたり、あるいは厚生省の所管に計上してみたり、その問題だったらそれは外務省だけの問題でなくて、その他の諸官庁との関連にも問題はあると思うのだが。
  45. 中川進

    政府委員中川進君) 先生の御指摘の六十四億九千万、それは何に出ておりますのでございましょうか。
  46. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 予算説明書、主計局から出している。さっき改訂版では違ってるんじゃないかというお話でしたけれども、前の版でも改訂版でもこの数字は違っておりません。
  47. 中川進

    政府委員中川進君) それではさっそく取り調べますが、私どもの考えは、先ほど申し上げましたように、旧外地職員百四名分の給与が、これは引き揚げという非常に重大な事項で厚生省所管に計上されたものと思いますが、大蔵省に確かめ決して、後刻御返事いたします。
  48. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃあとで確かめてお答え願いますが、全部に関係することですから大蔵省に言っておきますが、今われわれがこういう各省所管の説明を聞く場合のその説明数字と、それから主計局から出された説明の雑件の各省分属の経費と相違があるのならば、なぜどういう意味で相違しているのか、そこをはっきり一覧表でも何でもいいですから、わかるように出しておいていただきたいと思います。今のものは大蔵省の方からもっと正確な御説明を願いたいと思います。他の機会でいいですから。  それからもう一点賠償の問題でありますが、賠償経費予算説明で百億、それからさらに特別会計を設置して二百二十億ですか、ということになっていると思いますが、この内訳その他をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  49. 中川融

    政府委員中川融君) 賠償関係経費は、政府の所管におきましては大蔵省の所管になって予算に計上されておるのでございます。この経費内容につきまして、外務省としては来年度分大体このくらい要りそうに思うという外務省意見は、予算編成の際に大蔵省に申し入れましていろいろ参考に供しておるのでありますが、最終の予算額の決定その他は全部大蔵省所管として処理されておりますので、外務省としてはその内容につきまして正確なことは承知していないのであります。その点につきましては大蔵省所管の予算審査の際にお確かめを願いたいと思います。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ二百二十億の特別会計の内輪の問題はそれとして、別途大蔵省との話合いで聞きますが、今局長の御答弁の、外務省としては一体賠償等、特殊債務の支払いを今年度中どういうところにどの程度必要だというふうにお考えになっているのか、その数字、その模様を御説明願います。
  51. 中川融

    政府委員中川融君) 外務省としては大蔵省に大体の数字、これくらいあればいいじゃないかという数字は出したことがあるのでありますが、その計算はもとよりこれは推測の域を出ない分が非常に多くあるのでありまして、きまったものは御承知のように、ビルマ賠償あるいはタイの特別円の勘定というもの、あるいはオランダとの補償の問題数件でございまして、あとのインドネシア賠償あるいはヴェトナム関係賠償というようなもの、そのほか欧州関係の多くの国の請求権問題というものは今後の交渉にかかっておるのであります。従いまして、その大体の外務省が見通しました数字をここで申し上げますことは、これからの交渉の内訳と申しますか、われわれの腹を結局公表することになりますので、これは差し控えさしていただきたいと存じます。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃまずその確定の分を一応知らしていただきたい。
  53. 中川融

    政府委員中川融君) きまっております分としては、対ビルマ賠償に七十二億円、これは年平均額でございます。七十二億円が最小限度要るであろうということであります。しかしながら、この七十二億円という額も、実は今年度に大体五十五億円ほど支払うことに見込んでいたのでありますが、この分が先方との現実の賠償契約というもりの進み方がおくれておりますので、この分が相当繰り越されると予定されております。その繰り越される分がどの程度来年度になりますということは、今的確には判断し切れないわけでございます。一応七十二億円ということを見込んでおります。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 七十二億円というのは三十一年度新規のやつですね、繰り越しの分は別にして。
  55. 中川融

    政府委員中川融君) はい。  それからそのほかタイ関係で十億円を見込んでおります。きまったものとしては大体この程度でございます。それ以外のものは今後の折衝に待つことになっております。
  56. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それ以外に出てくると予測されるものはどことどこですか。
  57. 中川融

    政府委員中川融君) フィリピン賠償がおそらく今年度中には相当早目に出てくるというふうに考えております。インドネシアもございますが、これは話がつくのが相当おくれる、おくれると申しますか、もう少し時間がかかると思いますので、これは出ましてもそう大きな金額ではないと考えております。そのほかヨーロッパのいろいろの国との請求権問題がございます。これらはある程度片づくものも出てくるかと考えております。なおヴェトナムとの賠償がございます。ヴェトナムとの賠償も政府の方針としましては、できるだけ早く片づけたいと考えておりますので、これが片づいた場合にはヴェトナムとの賠償も今年の予算に載ってくることになりはしないかと思っております。この金額は今までの予測では、そう大きな金額ではないと考えております。
  58. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 このヨーロッパなりの特別な支払いはこれは大蔵省の所管ですか、外務省になりますか。
  59. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) ヨーロッパ関係のうちオランダにつきましては、先般協定ができまして、約三十六億一千万ドルというものを五カ年間で払うという約束ができております。これは目下議会にかけることをお願いしておるわけでございます。この金額支出につきましては、これは大蔵省の所管ということになっておる次第でございます。
  60. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 フィリピンの方のは、もうすでにあなた方は例の五億五千万ドルなりあるいは八億ドルの問題で予測しておられるんですか。これは今年度中大体どれくらいと考えておられるか。
  61. 中川融

    政府委員中川融君) 現在の予測で参りますと、来月には協定が調印されはしないかと思っております。その後国会の御承認を得るわけでございますが、御承認があれば、これは実施の運びになるわけでございまして、今の案で参りますと、年九十億円の支出ということになるわけでございます。しかし会計年度に入りましてからこれが実施になりますので、九十億円全部支出することになりますかどうか、それは今後の問題として、私どもとしては必ずしも九十億全部は使い切れないのではないかというふうに考えております。
  62. 法眼晋作

    政府委員法眼晋作君) ちょっと先ほど円とドルと間違えたと思いますので、金額は三十六億円、ドルにいたしまして一千万ドル、これが五年間の年賦でございます。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 このフィリピンの九十億というのは、そうすると純賠償だけですか。
  64. 中川融

    政府委員中川融君) 御承知のように、純賠償と申しますか、五億五千万ドルの賠償があるわけでございますが、二千五百万ドル、すなわち九十億円づつ最初の十年は払うというのがただまい日比間に交渉されておる内容でございますので、その分を九十億円と推定いたしておるわけでございます。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからその賠償実施に対する必要な経費ですが、これはたとえば第六の方に、アジア諸国に関する外交政策及び賠償実施政策樹立に必要な経費というやつと、第八の賠償実施連絡事務処理等に必要な経費というのとに分けて出してあるのですが、これはどういう区分けになるのですか。
  66. 中川融

    政府委員中川融君) 賠償の企画をする必要もございますし、また賠償交渉をその国とする必要もあるわけでございまして、そういう賠償交渉が成立するに至るまでの経費は第六の方に入るのでございます。賠償協定ができまして、現実に実施の段階になりました際に必要な庁費、旅費その他の費用は第八の方に入るわけでございます。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからこのアジア協会に対する補助金というやつですが、これは一体これまでにどれくらいやっておられたのか、そしてこれは一体どういうふうにアジア協会の運営はなされておるのか、その辺の御説明を願います。
  68. 中川融

    政府委員中川融君) アジア協会の点でございますが、アジア協会に対します従来政府の補助金は千三百万円程度でございまして、これは政府の補助のほかに、自分が民間から寄付金を募りまして、大体これに民間寄付命を合せまして三千万円程度経常費を支弁していくというのがアジア協会の大体の財政計画でございます。しかしながら、アジア協会の仕事は非常にふえてきておるのでありまして、このアジア協会の大体の仕事の内容を申しますと、外国からいろいろ研修生が日本の技術を習いに来る、こういう研修生の人の世話をいたしまして、これをいろいろの工場その他の研修施設に送り込みます仕事をしております。また研修生に対しましていろいろ講習、研修を自分でもする、日本語を教えるというようなこともやっておるのであります。そのほかいろいろ日本から技師の人を東南アジアの各国に派遣いたしますが、向うから招聘等があります場合、またこちらから派遣する場合等がございますが、東南アジア諸国に対する技師の派遣につきましては、これはアジア協会がやはりこれを世話しております。そのほかアジア協会自体の事業といたしましては、日本国内に対するアジア問題の啓発というようなこと、それからアジア各国に対するいろいろ日本事情の紹介ということもしておるのでございますが、この事業が毎年ふえてきておるのでありまして、これは単に日本日本予算で招聘する技術研修生のみならず、アメリカあるいは国際連合等の経費でもって日本で研修する研修生の数が非常に多いのでございます。こういう研修生の世話もアジア協会がやっております。この研修生の数がことしは大体五、六百名にはなるのではないかと思われておりますが、かようにアジア協会事業が大きくなりますにつれまして、経費をどうしてもふやす必要がございます。それでことしは、これを三千八百万円程度の補助をする、これに対しましてやはり民間の寄付が加わりまして、大体五千万円程度事業をやしていくというのが、ただいまのアジア協会の計画でございます。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっとそれに関連して、アジア協会のこの団体の性格ですね、これは法人等にはなっていないのでしょうか。
  70. 中川融

    政府委員中川融君) アジア協会は法人格を持っております。政府が補助をいたしております法人でございます。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 財団法人じゃなしに、特殊な法人になっているわけですか。
  72. 中川融

    政府委員中川融君) 普通の財団法人でございます。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 いや、ほかのものは財団法人何々、財団法人何々と書いてあるのだが、これだけその肩書きがないものですから、どうかと思ったのです。
  74. 中川融

    政府委員中川融君) あるいは書く際に落したのかと思いますが、別にほかの団体と差別があるわけではないのでございます。
  75. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その学生なんかが来る場合に今の、その前の財団法人国際学友会の経費というものと、今のアジア協会から出している研修生に対する経費とはどういうふうな関係になっているのですか。
  76. 中川融

    政府委員中川融君) 外国から留学生が参りまして日本の学校で勉強するという場合には、国際学友会というところで世話することになっておるのであります、外国から研修生が参りまして、日本の工場その他で研修をする、学校でなくて工場等で実地に研修をするという場合にはアジア協会が世話をすると、こういう仕事の区分けをいたしておるのであります。
  77. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからこの日華学会というのは何ですか、これの三百万円の補助……。
  78. 中川融

    政府委員中川融君) 国際学友会及びアジア協会で世話しております学生、研修生はいずれもこれは東南アジア各国の人たちでありまして、いわゆる中国人は入っていないのであります。これは従来からの行きがかりと申しますか、経緯がありまして、中国人の留学生がたとえばインドネシアから中国人の学生が来る、あるいはシンガポールから来る、あるいは香港から来るというようなものも相当あるのでありますが、これにつきましては、従来政府の補助と申しますか、これについて世話をする機関がなかったのであります。世話をする機関といたしましては、前から民間の団体といたしまして日華学会というものはあったのでありますが、これは戦前及び戦争中に積極的な事業をいたしておりましたが、戦後は国の補助というものがなくなった関係から、中国人の世話をするという機関が実は非常に弱体であったわけであります。日本の大体の方針も東南アジアの国々の人たち、これを大いに世話しようということでありましたが、中国人の世話が非常に不十分でございますので、これはやはり今後日本はあたたかい気持でこの海外にあります中国人の子弟、これが日本で勉学するという場合に、もっとあたたかくこれを包容していく必要があるいうふうに考えまして、ことしから日華学会というものに政府が補助をしたい、この日華学会がやはり海外から参ります中国人の学生の世話をする機関でございます。これに政府も補助をいたしまして、この事業を盛り立てていこうという考えで、ことしはほんのわずかでございますが、三百万日の補助金を出すことになったわけでございます。
  79. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これは華僑の子弟ということになりますか、それとも台湾だけの人たちになりますか。
  80. 中川融

    政府委員中川融君) 大部分は華僑の子弟でありますが、たとえば香港におる中国人の学生という者もこれに入るわけであります。なお台湾からの学生というものは相当たくさん実はおるのでありまして、ただいま日華学会でその台湾の学生の世話を果してやり切れるかどうかという点については疑問もあるのであります。大体主眼は海外、香港も含めまして、海外にいる華僑の子弟の世話をするというふうに進んで参りたいと考えておるわけであります。
  81. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その次の技術協力実施委託費というのは、これは何ですか。
  82. 中川融

    政府委員中川融君) この費用は、主としてコロンボ・プランに基きまして、日本が東南アジアの各国からの研修生に対してその費用を支弁する、また日本から技師の人が行くという場合のその費用自体をここに計上しておるのでありまして、これが日本のコロンボ・プランに対するいわばコントリビューションということになるわけであります。この経費を現実に使う場合に、その事務をするのがアジア協会ということであります。
  83. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、この経費は実際はアジア協会を通じて出しておるとか、アジア協会のあれで使うとかいうことになるわけですか。
  84. 中川融

    政府委員中川融君) 東南アジアの国々との間に、コロンボ計画を通じまして、具体的に、こういう人を何カ月日本で研修させる、あるいはこういう技師を何カ月その国に派遣するということがきまりますと、それに必要な経費外務省からアジア協会に交付いたしまして、仕事をアジア協会にしてもらうという結果になるわけでございます。
  85. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それは今年度から初めて出てきた経費ですか。
  86. 中川融

    政府委員中川融君) 一昨年度、昨年度、いずれもこの関係経費があったわけでございます。
  87. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その前はどのくらいでしたか。
  88. 中川融

    政府委員中川融君) 昨年度の経費でございますが、昨年度の経費は二千六百五十万円でございます。一昨年度は私ちょっと忘れましたが、大体同じくらいの経費じゃないかと思います。
  89. 亀田得治

    亀田得治君 外務大臣お見えですから、ちょっと概括的にお伺いしたいと思うのですが、これは先ほど政府委員の方にお尋ねした点ですが、一つは、いろいろな外交政策を検討するための費用が地域別にここに載っておるわけですが、その中で、ソ連を中心にした共産圏に対する研究費ですね、こういうものが明確には出ておらないわけなんです。先ほど政府委員の御説明によりますと、一部はアジア関係、一部はヨーロッパ関係、こういう所に含まれておるのだ、そういう御説明でありましたが、私は現在のこの世界情勢から見て、国交回復がしておる、しておらぬにかかわらず、ソ連圏の検討というものは非常に必要であろうと思うのです、外交政策を進める上において。だから予算を組む場合においても、やはり独立の項目を設けるぐらいに大きく取り扱っていくべきじゃないか、どうしても、ほかと一緒でありますとほかの経費にあるいは消えてしまうかもしれない、そういうふうに感ずるのですが、この点についての外務大臣の気持ね。来年度からそうしてもらってもいいのですが。
  90. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 御趣旨は私も実はそういうふうに考えます。そういうことがいいと思います。ただ、今聞きますと、予算は各局別にずっとなっておるものですから、便宜上そういうことになっておるわけで、ソ連関係調査を全然度外視しておるという意味では決してなくして、それは関連してやっておる、こういうことなんでございます。実は私もその詳細のことは十分心得ておりませんけれども、ソ連のことは非常にこれは重要視して研究しなければならぬと思うので、十分予算措置はとらなければならぬ、こういう点については全く御趣旨通りでございます。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 そういう考え方を、やはり来年度予算ではぜひ実現するようにしてほしいと思います。  それからもう一つは、外交政策樹立のための調査研究、そういう費用が全般的に見て私非常に少いと思うのです。これからの外交は、やはり正しい主張、その裏づけになる調査検討、これだと思うのですね。ですから、そういう意味では、何といってももっとそういう点が予算の上にも重視されてくるというふうにすべきだと思うのです。反対に外交運営の対策に必要な経費、これが三億七千八百万円、御説明によりますと、これが工作費ですね。機密費のようなものを含めた工作費ということなんです。この面の経費が昨年よりも五割ふえているわけですね。先ほどからの政府委員の御説明によると、これでもまだ足らないのだ、こういう御説明でありましたが、こういう経費は、これはどれだけ組んでも、足らないといえば足らないし、余るというようなことは私なかろうと思うのです。そこで、やはり明るい外交の進め方ということに関連してくると思いますが、お互いにコーヒー一ぱい飲まなくても、ともかくこちらの主張は筋が通っているじゃないかということ、それがやはり主にならなければなりません。そっちの方が抜けておって、どれだけごちそうしたり、機密費を使ってみたって、これはだめだと思う。戦前におけるいろいろな機密費を非常に使った外交とか、そんなことは私今じゃ標準にならないと思いますね。今後は、そういう角度から考えると、正確にはどれだけの金額が正しいかということは、これは私どもしろうとですからわかりませんがね。機密費をふやして、そうして一方では調査費というものはきわめて貧弱だと、このバランスがはなはだとれないと思うのですが、大まかな考え方を一つお聞きしたいと思います。
  92. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) その点は、御趣旨はその通りだと考えております。私も実は今、お言葉の中に飲んだり食ったりというようなこともございましたが、それは絶対にすべきじゃない。そういうようなことは外交の本筋じゃない。世間でややともいうと、飲んだり食ったりしたうちで外交は進んでいく、折衝はできるものだというふうに言われておりますけれども実際はそうじゃありません、これは真剣なもんです。そこで私はもうその点については極端に今外務省は指導しておるつもりでございます。そこで調査する費用なんぞの方は、これは必要なものがあれば十分に持たなければ実際仕事はできません。ただ問題は、今回報償費が非常に増したというのは、実は飲んだり、食ったりする費用を増すという考え方は少しもございません。これは厳重に……、そういう方面は、たとえば省内の取扱いは領収書を厳重に何するというようなことまでも実はやっておるわけでございます。外務省の従来のやり、万も機密費をどう使ったかということは、もうそれは実にこまかく割り当てて、機密費は支出を厳重にしておるのが従来のやり方でございます、外務省に関する限り。そうしてあまりその点は問題になってきたことはないように考えます。それはたとえば新聞に対する何はどれだけの金を使うとかなんとかということは、ずいぶんこまかくきめております。さようなわけでございますので、まあいろいろさらにそういう方面に努力をしなければならないと思いますけれども、あくまで今御趣旨のような方向に進んでいきたいと、こう考えておるのでございます。調査費と申しましても、この必要な調査費、どうしてもやむを得ない調査費はあるいはその他の支出し得る項目からこれを流用し得るということも、流用と申しますか、そっちの方によけい使うということをやっておるのでございますが、さらに明るく調査費として十分な金を要求する、こういうことも必要だと思います。さようなふうに考えてやっていきたいと思います。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 先ほどの御説明によりますと、ことしの工作費ですね、これは二十億大蔵省に対して要求された。結局それが六分の一程度に削られたわけですね。ほんとうに二十億なければ日本国際上の地位、いろいろな面で非常に有害だ、それが欠けると……、という要求だと思うのです。ほんとうにそういうことならこれが六分の一にもなってしまった、これで外務大臣、一体責任が負えるのかどうか。
  94. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) それは私はもう実は、これだけなければ責任を負えぬと言った方が簡単によくわかることだと思います。二十億出しておるのは、計算してみるとそうなるのでございますから、それを要求したわけでございます。しかしなかなか計算というのは、予算を要求するときにはこれだけの仕事をやりたいと思うというまあいわば理想的の考え方からきております。それが通らないからといって、その仕事が全然できないというふうにはいきませんから、その通る範囲内においてできるだけのことをやるよりほかにこれはしようがございません。まあこれは国家の財政でございますから、これはがまんにがまんを重ねるよりやむを得ないと思います。そういうようなわけでこれが成立したわけで、今回は昨年度よりも相当増しておるのでありますから、これで一つあらゆる方面に努力をして成績を上げ、責任を果したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  95. 亀田得治

    亀田得治君 まあこれでもやっていくようにしたいということですが、結局一定のはっきりしためどというものがどうもないようですね、先ほどから政府委員の方の御説明を聞いておっても……。だから、そういうものだから大蔵省からも削られるし、そうなるんだろうと思うのです。だから私はやはり各項目ですね、第一から第三十までこう分けてあるのですが、そのはっきりした調査費なりあるいは通商関係費用なり、そういうところで具体的にやはり要求していく、こういうふうにしてこういう工作費というようなものはなるべく減していく、これがほんとうじゃないかと思うのですがね、で、外務大臣は今一応計算をして二十億要求されたというのですが、その要求されたときの大まかな計算ですね。さっき政府委員の御説明もあまりはっきりしないのですが、大まかな数字で、どのような内訳でそれは請求されたのでしょうか。
  96. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 報償費内容は大まかに申し上げて最近とみに重要になり、また工作を進めてきております情報及び文化関係がありまして、それからそれは特に臨時に要るものが多うございますし、最近御承知通り国交がだんだん進んで参りますと、たとえば外国からの国賓が来るということも、ほとんど今ではひっきりなしにそういうことがございます。そういうようなわけで、急にそういうものが臨時的に必要となってくる経費がこの中に盛り込まれておるわけであります。そうでありますから、こういうふうに予想があるからこれはこれだけ支出するといって総計がきちっと前もって出ておるわけではございませんので、その点は御了承を願いたいと、こう思います。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 まあ大体の何は了解できそうでできないが、妙なことですが、ともかく来年度の予算等の要求の場合には、先ほど官房長のお話しですと、もっとこれをふやす、ふやしてほしいというふうな御意向があったようですが、こういうものはやはり最少限度にしてもらって、はっきりと各項目費用を正確にとっておく、こういうふうなやはり方向で一つ大臣の方で考えてほしいと思います。参考のためにまあいつでもけっこうですが、昨年度の、昨年度といいますか、今年度のやつはまだわかりませんが、工作費の使用状況ですね、大まかな項目別でいいですから、それを一つ一覧表にして参考に出してほしいと思うのです。今年度、三十一年度の分もある程度わかっておれば三十一年度の分も出してほしいと思うのです。主査に要求しておきます。
  98. 豊田雅孝

    ○副主査(豊田雅孝君) よろしい。
  99. 亀田得治

    亀田得治君 それはいいですね、お出し願って。
  100. 豊田雅孝

    ○副主査(豊田雅孝君) 主査において取り計らいます。  他に御質問はありませんか。
  101. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと移民の問題ですが、第二十五、六億七千九百万円要求しておられるのですが、これは七千五百人を送出する計画になっております。これは各地別にどういう計画になっているのか。それから三十年度の実績、予算の使い方との対比においてこれがどういうふうに変化してくるのか、その辺の御説明を願いたい。
  102. 矢口麓藏

    政府委員(矢口麓藏君) お答え申し上げます。最初の御質問は三十年度の予算の使い方のように了解しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  103. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ええ。
  104. 矢口麓藏

    政府委員(矢口麓藏君) これはこまかい数字を今日持って来ておりませんし、またそういうことを御要望なさるものでないと思いますので、大方の数字を申し上げますが、主として去年の一番大きな費目は渡航費でございます。去年は五千五百人送出するという予定でございましたけれども、これは主として受け入れ国の事情によりまして、すなわちアマゾン、ドミニカ、ボリヴィアの先方の事情によりまして約千七、八百人何がし来年度に繰り越すことに相なったのであります。そういたしまして、その費用は地方によりまして種々食い違いがございますけれども、概算して一人につき十万円と踏んでいただけば計算がはっきりいたします。これが大きな費目でございます。そしてその余りました分、すなわち千五、六百人分の費用は来年度に繰り越すことになっております。でありますから、その分は来年度に回って参ります。  それから次の大きな費目は海外における、特にアマゾン、パラグァイ、アルゼンチン、ボリヴィア等の諸国におきまして受け入れあっせん機関がございます。具体的に申しますると、入りました移民の世話をする機関がございます。表面上は通訳というふうな形になっておりますけれども、といいまするのは、先方の事由によりましてあっせんということを表面に出せないものですから、通訳のような形になっておりますが、事実上そういうふうなもののあっせん機関がございます。それに対する補助金といいますかが全部を合計いたしまして約五千万円ぐらいであったように記憶いたしますが、正確な数字が御入用でございましたらのちほど詳細書いてお届けいたします。  それからその次の費目は、東京に海外協会連合会というものがございます。地方に現在三十九の地方海外協会がございまして、これを統合する一つ機関海外協会連合会と称しておりまするが、これの補助金、前年度は事務委託費と称しておりますが、今年度から事務委託費補助金と両建になっております。それが約三千万円ぐらいだったと記憶いたしております。この数字ものちほど正確に書いて差し上げます。こういったものが大きな数字でございます。  それから第二の御質問は、来年度の予算の大きな項目のことの御質問であったことのように存じますが、それでよろしゅうございますか。それは、大体その数字でございますが、新しくふえましたのは、まず先ほど申し上げました中南米にあります受け入れ関係のあっせんをなす機関、これが非常な貧弱なものでございますから、これをふやしました、これは主として最初の定着に要する金でございます。これは昨年御審議を願いました海外移住会社の資金ではまかなえませんので、これは初期の定着に要する命は、これは政府で直接補助金の形で、去年事務委託費と称しておりましたけれども、まかなうことにいたしまして、これを相当ふやしまして、約六千万円ぐらい、ですから合計去年より二千万円ぐらいふえておるはずでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げました地方の海外協会に対する補助金でございます。去年は各一件につきましてわずか一万五千程度の少量の、少しの金でございましたけれども、今年は約それの七、八倍方増加できるような形になっております。  それからもう一つは、カンボジア移民、移住問題というものが登場して参りまして、具体的にどれだけの金を要するかははっきりいたしませんけれども、とりあえず渡航貸といたしまして、一人について約三万五千ぐらいの金を二千人分組んでございます。自余の施設その他に要する金は、今後の大蔵省との話し合いに待つことになっておりますが、これは補正予算か予備費になるかということになっておりますが、これはここには載っておりません。そういう関係で、今年度は相当の増加額が出ております。  それからもう一つは、海外移住会社の資本金でございますが、これは二億近く正確に申し上げますと一億七千万円ふえてございますが、これは大蔵省予算についてございますので、外務省予算にはついてございません。しかし実質上は、外務省所管予算でございます。以上であります。
  105. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その海外送出七千五百人のうち、二千人がカンボジアで、あとは中南米になるわけですが、そうすると、それは中南米にどれくらいの割合で各国に行くのか、三十年度と三十一年度とその辺がどういうふうに変るのか、そこらの事情を……。
  106. 矢口麓藏

    政府委員(矢口麓藏君) 遺憾ながら今日数字を持って参りませんので、正確な数字は申し上げかねますけれども、順位から申し上げさせていただきますと、今申し上げました通り七千五百人組んでございますが、そのうちの二千人はカンボジアでございまして、差引五千五百人でございます。それに前年度の繰越分約千七百人でございまするから、約七千三百ぐらいの人間がその内訳でございます。一番大きいのはアマゾンでございます。問題なくアマゾンでございます。去年は先ほどちょっと触れました通り、向うのアマゾン内部における政争の具に供されまして、非常なわれわれは迷惑をこうむって送れなかったのでありますけれども、幸いにしてその問題もすっかり解決いたしましたから、本年度は相当出せる見込みであります。現地の大使からもその事情をるる聞いておりますから、まず間違いないと思っております。  その次の数字に関しましては、ちょっと私自信がございませんが、順序だけ申し上げて、後にまたいたしたいと思います。  その次に出ますところは、パラグァイでございます。パラグァイに相当数の人間が出るはずでございます。  その次に新しく登場して参りましたドミニカでありますが、これは非常に有望でございまして、今年初めて出るのでありますが、もうすでに募集を開始しておりまするから、六月の初めごろには第一回が出るはずでございます。次にはボリビアでございます。このボリビアにつきましても、移住協定ができないために昨年度は出ないのでありますが、いよいよ草案もできて今折衝中でありますが、それができ次第出ることになっております。  その次には、順位から申し上げますると、言い落しまして、アマゾンを一の区域と数えましたが、アマゾンの次には南伯と中伯の順序でございます。  その次にはアルゼンチンでございます。アルゼンチンは集団的な移住者は参りませんけれども、個々の呼び寄せによる移住者は毎年二、三百人出ております。ことしもそのくらい出るはずでございます。個々の呼び寄せの形式による労務者として出るはずでありますが、非常に優秀なる成績を上げております。  その次にはコロンビアでございます。コロンビアに、数は少うございますけれども、今三、四百入っておりますけれども、今年度も二、三百は入る見込みでございます。  それから若干の、きわめて数は少うございまするけれども、ウルグァイとかキューバとかありますが、大きな点を落しましたが、北米がございます。これは中南米はのけました北米でございます。北米には難民救済法による移住者が今まで約三百、あれが始まりましてから四百足らず出ましたのですが、今年の十二月までには一応それで効力を失うことになっておりますので、ここにはさらに千人くらい出るという非常に明るい見通しがついておるのであります。  それからマッカラン法による渡航者が百八十五名ございます。これは法規による数でございまして、これ以上は出られませんけれども、これが北米関係でございます。  まず北、南、中米の状況は大体そのようでございます。
  107. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その七千五百人の中には、北米に行く今の難民救済の一千人も含めて、そういうことでございますか。
  108. 矢口麓藏

    政府委員(矢口麓藏君) さようでございます。
  109. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、今までに四百人が行って、ことしだけ一千人が行くとするならば、そうしてカンボジアも二千人ふえているのだから、それ以外のところは相当減っているということですか。
  110. 矢口麓藏

    政府委員(矢口麓藏君) それは渡航費の関係でおのずから制約されて参ります。もし渡航費その他のことを一切考えないで送れるだけ送り出せるということになりますならば、船のことも考えないで一切送り出せるということであれば、相当数の移住者を送り出すことができると思います。ただ、これは財政面から、また船の面から、渡航手段の面から相当制約を受ける次第でございます。しかしまた一気に送り出すことについてのいろいろな弊害もございますので、まずこの辺が一番いいところじゃないかとわれわれは考えております。
  111. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、北米の難民の一千人というのは、もう一ぺん正確に聞きますが、この予算に考えられておる七千五百人の内なんですか、外なんですか。
  112. 矢口麓藏

    政府委員(矢口麓藏君) この点補足いたします。十分な説明を申し上げなかったのでありますが、北米の難民救済法による移住者につきましては二つございまして、政府から貸し出しの旅費を希望しない者がございます。希望する者もございます。これは一に本人の意思にまかせまして、今取り扱っております。そういう関係でございまして、予算の面とは関係のないものも相当ございます。その比率は今のところわかりません。
  113. 豊田雅孝

    ○副主査(豊田雅孝君) 佐多君に申し上げますが、先ほど、外務省予算総額の数字について御質疑がありました点につきまして、鳩山主計官が出席いたしました。御質疑を願いたいと思います。
  114. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 佐多委員の御質問は、外務省予算総額予算説明に掲げてございます雑件中、外務省の額との四千万円の差額のある点の御質疑かと存じますが、これは外務省の所管の予算は、予算書に掲げてございますように、六十五億三千万円でございます。重要事項といたしましてそのうちの四千万円が、社会保障関係費のうちの三番目に書いてございます。遺族及び留守家族等援護費というのがございます、そのうちに分類してございます金が四千万円ございまして、これは旧外地職員給与費でございます。これは朝鮮、台湾、樺太、関東州等の旧外地所属職員のうち、未引揚者がございまして、この未引揚者が引き揚げて参りますと、その職員に対して退職金等の援護費用を出すわけでございます。それと今までの未払い給与を出します。それからなお残留しておる者につきましては、留守家族に対しまして留守家族給与費を出しております。そういう金が四千万円ございまして、これは重要事項に従来から整理いたしております。それを合せまして、六十五億三千万円が所管の合計でございます。
  115. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると外務省所管となっておるにかかわらず、その経費大蔵省主計局の報告では、外務省のうちに入らないでこっちへ費目別に計上してあるわけですね。そういうふうな扱いをしておるのがほかの省にもありますか。ということは、あなたの方からお出しになっておる雑件の各省別経費というやっと、各省所管の経費として説明を受ける場合との食い違いが、ほかの省にもこういうのが間々出てくるのかどうか……。
  116. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 雑件に掲げてございますのは、各省所管のうちいわゆる重要事項として整理されたもの以外のものをここに掲げてございますので、各省がみなそういうふうになっておるわけでございまして、いわゆる雑件と申しております。
  117. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 わかりました。それから今の四千万円の中には留守家族手当も含んでいるんですか、それとも留守家族手当はそれ以外に八億一千八百万円という経費が別にとってあるようですが、これはどうなっておるんですか。
  118. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) ここに、外務省所管に掲げてございますのは、旧外地官署職員関係経費のみでございます。一般のそうでない職員の未引揚者につきましては厚生省に計上してございます。
  119. 豊田雅孝

    ○副主査(豊田雅孝君) ほかに御質問ありませんか。質疑はないようでありまするから、外務省所管関係の質疑はこれをもって終了いたします。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ―――――・―――――    午後二時八分開会
  120. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) それではただいまから第二分科会を開会いたします。  防衛庁関係について政府委員説明を求めます。
  121. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 昭和三十一年度の防衛庁予算案につきまして、その大体を御説明申し上げます。  昭和三十一年度防衛庁の歳出予算案の総額は千二百億でありまして、これを昭和三十一年度歳出予算額八百六十八億百万円に比べますと、百三十三億九千九百万円の増加となっております。このほか国庫債務負担行為として、航空機の購入について九十九億四千七百万円、装備品の購入について四億九千百万円、施設の整備について十四億百万円、艦船の建造について二十四億四千三百万円、計百四十二億八千二百万円、さらに継続費として艦船の建造について総額二十七億千八百万円を計上いたしております。  まず、予算案編成の前提といたしました職員の定数及び各自衛隊の勢力の概略について申し上げます。防衛庁の昭和三十一年度の予算上の職員定数は自衛官十九万七千百八十二人、自衛官以外の職員一万七千八百二十二人、計二十一万五千四人でありまして、これを昭和三十年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官において一万七千四百十三人、自衛官以外の職員において千七百八十人、計一万九千百九十三人の増加となっております。以下これを組織別に申し上げますと、  まず、長官官房及び各局、統合幕僚会議、防衛研修所、防衛大学校、技術研究所、建設本部並びに調達実施本部の職員定数は自衛官三十二人、自衛官以外の職員二千五百九十一人、計二千六百二十三人でありまして、昭和三十年度に比べて自衛官以外の職員で三百六十三人の増加となっております。この増加は主として防衛大学校における学年進行並びに技術研究所及び調達実施本部における機構拡充に基くものであります。  陸上自衛隊につきましては、自衛官一万人、自衛官以外の職員三百六十二人、計一万三百六十二人を増員いたしまして、一混成団、三独立特科大隊及びその他の部隊等を編成しまたは整備することといたしております。この結果、昭和三十一年度末における陸上自衛隊の勢力は自衛官十六万人、自衛官以外の職員二万二千二十人をもって二方面隊、六管区隊、三混成団並びにその他の部隊及び機関を編成することとなります。  海上自衛隊につきましては、昭和三十一年度に増勢を計画している艦船といたしまして、新たに建造する警備艦等七隻、四千五百九十四トン、米国より供与または貸与を受ける中型掃海艇一隻及び小型舟艇二十九隻、千九十二トン、防衛庁に所管がえを受ける雑船七隻、九百トンを予定いたしておりますが、昭和三十一年度に廃船または解傭を予定している舟艇八隻、四百三十九トンが減少となりますので、差引三十六隻、六千百四十七トンの増加となります。このほか昭和三十一年度中に増加する航空機として、米国から供与を予定している対潜哨戒機三十機、購入を予定しているヘリコプター四機があります。従って昭和三十一年度末の保有艦艇は建造中または米国よりの引取予定のものを含めまして四百十九隻、九万九千三百八トンで、保有航空機百二十七機となるわけであります。以上の艦艇及び航空機の増加並びにこれに関連する陸上施設の拡充に伴いまして、自衛官三千三百二十五人、自衛官以外の職員三百四十八人を増員することといたしておりますので、従来の正数と合せまして、海上自衛隊の職員定数は自衛官二万二千七百十六人、自衛官以外の職員千三百四十五人、計二万四千六十一人となります。  航空自衛隊につきましては、昭和三十一年度において米国より実用機八十六機、練習機二十五機の供与を受けるほか、実用機三十一機、練習機八十九機を購入いたしますので、従来の保有機数と合せ、昭和三十一年度末の航空機定数は五百八十二機を保有することとなりますしなお、昭和三十一年度においては航空団、航空補給処、訓練航空警戒隊、操縦学校分校等の増設を予定いたしておりますので、以上の拡充に伴い自衛官四千八十八人、自衛官以外の職員七百七人、計四千七百九十五人を増員することといたしております。従いまして、航空自衛隊の職員定数は従来の定数と合せまして、自衛官一万四千四百三十四人、自衛官以外の職員千八百六十六人、計二万六千三百人となります。  次に、予算案見積りの概要について申し上げます。  まず、長官官房及び各局並びに統合幕僚会議の運営に必要な経費は(項)防衛庁三億九千三百万円でありまして、昭和三十年度に比べますと九千百万円の増加となっております。  附属機関すなわち防衛研修所、防衛大学校、技術研究所、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は(項)防衛庁において二十五億六千八百万円、施設の整備に必要な経費は(項)防衛庁施設費において三億九千四百万円、計二十九億六千三百万円でありまして、昭和三十年度に比較して(項)防衛庁において三億三千四百万円、(項)防衛庁施設費において二億七百万円、計五億四千百万円の増加となっております。(項)防衛庁の増加は、主として防衛大学校の学年進行等による増加五千二百万円、技術研究所の試作研究の拡充に伴う増加二億七百万円、その他附属機関関係職員増加に伴う人件費等の増加によるものであります。(項)防衛庁施設費の増加は主として技術研究所の研究施設拡充に伴うものであります。  なお以上の経費のほか、技術研究所の調査研究に資するため誘導飛翔体の購入及び装備品の試作の経費として国庫債務負担行為三億三千四百万円を計上いたしております。  次に、陸上自衛隊の運営に必要な経費は(項)防衛庁五百九億八千万円、施設の整備に必要な経費は(項)防衛費二十九億八千七百万円、計五百三十九億六千八百万円でありまして、これは昭和三十年度に比較して(順)防衛庁において四億八千万円、(項)防衛庁施設において二億四千百万円、計七億二千百万円の増加となっております。  以上の経費を現態勢の維持に要する経費と増勢に必要な経費とに区分いたしますと、現態勢維持分すなわち昭和三十年度末の定数自衛官十五万人、自衛官以外の職員一万千六百五十八人、計十六万千六百五十八人の通年維持経費は(項)防衛庁四百七十四億三千四百万円、(項)防衛庁施設費九億九千万円、計四百八十四億二千四百万円でありまして、他方昭和三十一年度に増員する自衛官一万人、自衛官以外の職員三百六十二人、計一万三百六十二人に要する経費は(項)防衛庁三十五億四千六百万円、(項)防衛庁施設費十九億九千七百万円、計五十五億四千三百万円であります。以上のほか、陸上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に施設整備費五億八千万円を計上いたしております。  この経費の内訳を現態勢維持分から申し上げますと、通年維持費として人件費約二百四十九億八千三百万円、庁費約二十億七千五百万日、器材費約百十二億二百万円、被服費約十二億八千二百万円、糧食費約四十九億八千二百万円、運般費約五億五千七百万円、医療費約四億千七百万円、任用満期の到来する隊員に対する特別退官退職手当約十六億五千四百万円、予備自衛官八千人に対する予備自衛官手当約七千三百万円、その他約二億九百万円、計四百七十四億三千四百万円を計上いたしております。また現態勢維持分の施設費といたしましては、前年度国庫債務負担行為の歳出予算化分七億円のほか、既存施設の改修等に約二億八千二百万円、付帯経費約八百万円、合せて九億九千万円を計上いたしております。  次に、増勢分の経費といたしまして五十五億四千三百万円を計上いたしておりますが、このうち初度費は約五十一億千五百万円、維持費は約四億二千九百万円であります。初度費約五十一億千五百万円のうち、(項)防衛庁三十一億千七百万円についてその内訳を申し上げますと、庁用備品費等約二億三千二百万円、初度編成装備品費約二十一億二千九百万円、通信機器等購入費約二億千四百万円、被服費約三億四百万円、米国より供与を受ける装備資材等の運搬費約二億三千九百万円であります。また(項)防衛庁施設費といたしまして十九億九千七百万円を計上いたしておりますが、その内訳は、米駐留軍返還施設の改修約三億三百万円、補給処整備約一億七千六百万円、演習場の整備約五億五千二百万円、弾薬庫の整備約四億七千八百万円、通信施設の整備約八千七百万円、飛行場施設の改修等約二億六千五百万円、官舎約一億千七百万円、付帯経費約二千万円となっております。施設整備費につきましては、このほか、国庫債務負担行為として、右に述べました弾薬庫の整備に関連して五億八千万円を計上いたしております。次に増勢分の初年度維持費といたしましては、増員される自衛官一万人及び自衛官以外の職員三百六十二人の平均三カ月分の維持費といたしまして、(項)防衛庁四億二千九百万円を計上いたしております。  次に、海上自衛隊の運営に必要な経費は(項)防衛庁百三十七億千七百万円、施設の整備に必要な経費は(項)防衛庁施設費十三億三千二百万円、艦船の整備に必要な経費は(項)防衛庁施設費七十八億四百万円、計二百二十八億五千四百万円でありまして、これを昭和三十年度に比較いたしますと、三十八億四千二百万円の増加でありまして、うち(項)防衛庁費において二十六億五千万円、(項)防衛庁施設費において十一億九千百万円の増加となっております。このほか、海上自衛隊に属する分といたしまして、国庫債務負担行為に器材費一億五千七百万円、施設整備費一億四千七百万円、艦船建造費二十四億四千三百万円、計二十七億四千七百万円、また継続費といたしまして総額二十七億千八百万円の艦船建造費を計上いたしております。   以上の経費を現態勢維持に要する分と増勢に要する分とに区分いたしますと、現態勢維持分は(項)防衛庁百十二億三千七百万円、(項)防衛庁施設費六十七億八千五百万円、計百八十億二千三百万円であり、増勢分は(項)防衛庁二十四億八千万円、(項)防衛庁施設費二十三億五千百万円、計四十八億三千百万日となるわけであります。  この内訳を現態勢維持分の経費から申し上げますと、現態勢維持分すなわち昭和三十年度末までに計画した建造または取引予定の艦船を含め三百八十三隻、九万三千百六十一トン、航空機九十三機、自衛官二万九千三百九十一人、宿衛官以外の職員九百九十七人の維持に要する経費は百八十億一千二百万円であります。そのうち、(項)防衛庁百十二億三千七百万円の内訳は、通年維持費といたしまして人件費約四十六億千七百万円、庁費約二億八千二百万円、艦船、航空機の燃料、修理費及び通信機等の器機費約五十二億五千四百万円、被服費約一億八千五百万円、糧食費約七億三千二百万円、医療費約七千万円、運搬費等約九千八百万円であります。また(項)防衛庁施設費六十七億八千五百万円のうち施設整備費は、約十億千二百万円、艦船建造費は約五十七億七千三百万円でありますが、そのうち、通信器材等の据付費約六百万円のほかは、いずれも昭和三十年度国庫債務負担行為を昭和三十一年度において歳出予算化いたしたものであります。なお、昭和三十年度計画の警備艦四隻の艤装費につきましては、現実の建造工程にかんがみまして、昭和三十二年度に支払いとなる金額を国庫債務負担行為に一億三千九百万円計上いたしております。  次に増勢の内容を申し上げますと、昭和三十一年度において増加予定いたしておりますのは、艦船三十六隻、六千百四十七トン、航空機三十四機、自衛官三千三百二十五人、自衛官以外の職員三百四十八人でありまして、これに要する経費は四十八億三千百万円でありますが、そのうち初度費は約四十一億三千万円、初年度維持費は約七億百万円となっております。初度費のうち、(項)防衛庁十七億七千九百万円の内訳は、初度庁用備品費約八千六百万円、ヘリコプター四機、航空需品、着陸誘導装置及び通信機等の購入費約十四億九百万円、被服費約九千七百万円、米国からの供与装備品等の運搬費約八千九百万円、その他約九千七百万円であります。このほか、右に述べました航空需品及び着陸誘導装置の歳出予算と関連いたしまして、昭和三十二年度に支払いとなる金額を国庫債務負担行為に一億五千七百万円計上いたしております。また施設の整備に必要な経費として計上いたしました(項)防衛庁施設費三億千九百万円の内訳を申し上げますと、航空基地の整備約八千八百万円、増員に伴う庁舎の増築約一億二千万円、通信施設約三千七百万円、官舎等約六千六百万円、付帯経費約七再万円でありまして、このほか右に述べました航空基地整備歳出の予算と関連して、国庫債務負担行為に一億四千七百万円を計上いたしております。次に艦船の建造に必要な経費として(項)防衛庁施設費二十億三千百万円を計上いたしておりますが、その内訳は千六百トン警備艇二隻分十一億四千四百万円、潜水艦一隻分四億五千六百万円、小型掃海艇二隻分一億二千四百万円、警備艇「梨」の改装費一億八千万円、雑船二隻七千二百万円、付帯経費約五千六百万円であります。以上は歳出予算でありまして、右に述べましたもののうち、その建造工程が三十二年度に及ぶ警備艦二隻については国庫債務負担行為に二十三億四百万円、また潜水艦一隻についてはその完成までに三カ年を要する予定でありますので、昭和三十一年度歳出予算に計上した四億五千六百万円のほかに昭和三十二年度十三億六千五百万円、昭和三十三年度八億九千七百万円、合せて二十七億千八百万円の継続費を計上いたしております。次に増勢分の初年度維持費といたしまして(項)防衛庁七億百万円を計上いたしておりますが、その内訳は増員される自衛官三千三百二十五人の平均七カ月分、自衛官以外の職員三百四十八人の平均六カ月分の人件費約三億四千八百万、増加予定の艦船及び航空機の運行に要する燃料、修理費等の器機費約二億二千七百万円、その他約一億二千四百万円であります。  航空自衛隊の運営に必要な経費は(項)防衛庁百五十九億二千百万円、施設の整備に必要な経費は(項)防衛庁施設費四十億九千八百万円、計二百億二千万円でありまして、これを昭和三十年度に比較しますと、総額において八十二億二百万円の増、(項)防衛庁において五十七億千二百万円の増、(項)防衛庁施設費において二十四億九千万円の増となっております。このほか航空自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に器機費九十九億四千七百万円、施設整備費六億七千四百万円、十三六億二千百万円を計上いたしております。以上の経費を現態勢維持分と増勢分に大別して申し上げますと、現態勢維持分は(項)防衛庁七十四億二千三百万円、(項)防衛庁施設費九億八百万円、計八十三億三千二百方円でありまして、増勢分は(項)防衛庁八十四億九千七百万円、(項)防衛庁施設費三十一億九、千万円、計百十六億八千七百万円となっております。  経費の内訳を現態勢維持分から申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十年度末における航空機四百十一機、自衛官一万三百四十六人、自衛官以外の職員千五十九人の維持に要する経費は八十三億三千二百万円でありまして、このうち(項)防衛庁七十四億二千三百万円は右に述べた職員人件費約二十三億三千六百万円、庁費約一億九千二百万円、航空機の燃料、修理費等の器材費約四十二億五千三百万円、被服費約一億二千三百万円、糧食費約三億四千八百万円、その他約一億七千二百万円であります。また(項)防衛庁施設費九億八百万円は昭和三十年度国庫債務負担行為を歳出予算化いたしたものであります。  次に増勢の内容を申し上げますと、昭和三十一年度において増加いたしますのは、航空機定数百七十一機、自衛官四千八十八人、自衛官以外の職員七百七人でありますが、これに要する経費は百十六億八千七百万円でありまして、さらにこれを初度費と初年度維持費に分けますと、初度費は約百一億九百万円、初年度維持費は約十五億七千九百万円となっております。初度費のうち、(項)防衛庁六十九億千八百万円の内訳は、航空機購入費としてT34練習機二十二機約四億九千六百万円、昭和三十一年度において完成予定のT33ジェット練習機六十七機、F86ジェット戦闘機二十七機及びこれらに付随する経費約四十二億五千八百万円、大型ヘリコプター四機約三億千九百万円、計約五十億七千三百万円、通信機購入費約三億九千百万円、訓練用備品費約二億九千六百万円、その他器材費約四億九千四百万円、被服費約一億三千六百万円、米国から供与装備品を受領するため必要な運搬費約三億六千百万円、庁用備品費約九千三百万円、その他約七千四百万円となっております。このほかT33練習機八十三機及びF86戦闘機百十機の継続国産計画のために、昭和三十二年度及び昭和三十三年度において国庫の負担となる契約を昭和三十一年度において結ぶため国庫債務負担行為九十九億四千七百万円を計上いたしております。また施設の整備につきましては、(項)防衛庁施設費三十一億百万円を計上しておりますが、その内訳は整備学校及び通信学校施設約二億千八百万円、幹部学校施設約九百万円、幹部候補生学校施設約千万円、繰縦学校七カ所分約十五億三千四百万円、航空団基地二カ所分約六億八千四百万円、輸送航空隊基地約三億七千九百万円、補給処施設約千二百万円、訓練航空警戒隊施設約七千二百万円、通信施設約八千六百万円、官舎約四千八百万円、付帯経費約五千万円でありまして、右に述べたところと関連して操縦学校施設に一億五千万円、航空団基地施設に二億円、輸送航空隊基地に三億二千四百万円、計六億七千四百万円の国庫債務負担行為を計上いたしております。さらに航空機搭乗員の救難用といたしまして高速救命艇二隻を建造するため艦船建造費に(項)防衛庁施設費八千八百万円を計上しております。以上は初度費について申し上げたのでありますが、初年度維持費といたしましては(項)防衛庁十五億七千九百万円を計上しております。その内訳は増員される自衛官四千八十八人、自衛官以外の職員七百七人の平均六カ月分の人件費約四億七百万円、増勢の航空機の燃料、修理費等の器材費約十億二千五百万円、その他約一億四千七百万円であります。  最後に、以上申し上げましたことを要約いたしますと、歳出予算に計上いたしました千二億円は、これを現態勢維持分と増勢分とに区分すれば、現態勢維持分は七百七十三億九千九百万円、増勢分は二百二十八億円となりますが、このほか国庫債務負担行為に器材費百四億三千八百万円、施設整備費十四億百万円、艦船建造費二十四億四千三百万円、計百四十二億八千二百万円、また継続費に二十七億千八百万円を計上している次第であります。  以上をもちまして防衛庁予算案の概略の説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。
  122. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) 質問に入る前にちょっと伺いますが、その説明書の二十一ページのまん中ごろ、昭和二十九年度国庫債務負担行為と書いてありますが、先ほどは三十年度と……。
  123. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 二十九年度はミスプリントで、三十年度の間違いでございます。
  124. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 三十一年度現態勢維持分、増勢分、区別して七百七十四億と二百二十八億と報告があったんですが、これは過去の年度において、三十年以前においてはこの区分がどういうふうになっておったか。
  125. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 手元にまず昭和三十年度がございますから、昭和三十年度につきまして御説明申し上げますと、昭和三十年度の防衛庁関係予算は八百六十八億百万円でございますが、その内訳は、現態勢維持分が六百一億八千四百万円、増税分が二百六十六億千六百万円ということに相なっております。
  126. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それ以前のを、後ほどでいいのですが、書類にしてただ一本でいいのですが、ずっと現態勢と増勢分がどういう傾向で変化してきているかわかるようなものを、一つお願いいたします。あとでいいです。
  127. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) かしこまりました。
  128. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから陸上自衛隊の管区隊、混成団、方面隊、こういうのは隊数その他配置は今どういうふうになっておりますか。
  129. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まず二方面隊でございますが、北部方面隊と西部方面隊、北部は北海道それから西部は九州地方でございます。管区といたしましては六管区でございまして、第一管区隊の本部が東京でございます。第二管区が旭川でございます。それから第三管区が伊丹、第四管区が福岡、第五管区が帯広、第六管区が宮城県の現在多賀城という所でございます。
  130. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 混成団は。
  131. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 混成団は現在二つでございまして、北海道に一混成団、それから九州に一混成団ございます。
  132. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その一管区隊の定員というのはどうなっておるのですか。
  133. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 一管区隊は昔の大体師団に相当いたしまして、定員一万二千七百人でございます。
  134. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それを、普通兵科、特殊兵科別にはどうなりますか。
  135. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ごく大体のところでございますが、一管区隊には普通科連隊が三個、それから特科連隊が一、特車大隊が一、施設大隊一、衛生大隊一、そのほか偵察中隊、武器隊、通信隊、補給隊、航空隊、それに管区総監部付中隊というものを含めまして、一万二千七百人でございます。
  136. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その前おのおのの兵員数はわかりますか。
  137. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 大体普通科連隊は二千四百人程度と御了承願います。特科連隊は約二千七、八百人。八百人の方が近いかと……。二千八百人程度。特車大隊は約五百五十名程度施設大隊が約八百二、三十名ということになっております。
  138. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 混成団の方の定員はどうなっておりますか。
  139. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 混成団は独立としての戦闘隊になり得る内容を持っておりまして、普通科連隊一つ、特科連隊一つ施設大隊一つ、そのほか偵察中隊、武器中隊、通信中隊、補給中隊、衛生中隊、航空隊のほか、混成団本部付中隊というものを包含いたしております。
  140. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 各単位は同じような、兵員は同じようですね。
  141. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 若干これは管区隊の編成と違っておりまして、普通科連隊、特科連隊とも管区隊におけるより多少勢力が強い、大きいと思います。
  142. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その混成団というやつは、そうすると、将来は増加されて、管区隊になるようなふうのものとして混成団をお作りになっているのか、そうではなくて、これはこれとして全然別個なものとして同定する形になるのですか、それを伺います。
  143. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 理想といたしましては、すべて管区隊をもちまして編成するのが筋かと存じますけれども、財政上に及ぼす負担等を考えまして、ただいまのところ、混成団は混成団のままの態勢でいく、こういう計画ではないかと思います。
  144. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 六カ年計画の完成年度では、その点はどうなりますか。
  145. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 先成年度におきましても、混成団は若干内容が違いますが、管区隊に改編するようには考えておりません。混成団のままこれを若干機甲化するという考え方でございます。
  146. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 管区隊の方は増加しますか。
  147. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 管区隊は増加いたさない予定でございます。
  148. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、兵員の増加というのは、管区隊六、混成団二、このままで、その内容として兵員は増加していくというふうに考えていいですか。
  149. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 内容につきましてはまだ具体的に確定いたしておりませんが、混成団につきましてはあるいは将来若干また数はふえるかもしれない。ただいまのところ確定いたしておりません。
  150. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから方面隊の問題ですが、これに付置してある特殊兵科の数あるいは種類、そういうものはどういうふうになっておりますか。
  151. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 現在、先ほど御説明いたしましたように、北部方面隊と西部方面隊とございますが、勢力に若干差異がございまして、北部方面隊はその管下に管区隊二つと混成団一つ、特科群一つ、特車群一つ施設一つ等を包含しております。これに反しまして、西部方面隊の方は管区隊は一つ、混成団同じく一つ、特科群一つ施設一つ等でございます。
  152. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、北部の方と西部の方と若干違うのですが、北部の方はどういうのですか、作戦なり何なりとしてそういうふうに違っているのか。北部の方は一つの完成した姿として考えていて、西部の方は未完成だから、今後完成すれば北部と同じような態様になるというようなお考えなのか、その辺はどうなんですか。
  153. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは防衛局長から御答弁するのが筋かと存じますが、私の知っている範囲で申し上げます。あるいは間違っているかもしれませんが、現在のところ北部方面隊、これは大体この程度で増勢が一応終るだろう、こう考えております。それから西部の方も、さしあたりこれを増勢するというような考えはただいまのところないようでございます。今後考えられますのは、どの地区ということになるわけでございますが、ただいま配置で御説明申しましたように、中部地区が若干手薄でございます。中部地区の方に将来は増強されるのではなかろうかと考えております。
  154. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、両方面隊にそういう、何というのかなあ、編成上の相違なり種類の相違が相当あると思うのですが、それはどういうことになるのですか。
  155. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これも私門外漢で、私から御説明するのが適当かどうかわかりませんが、結局戦略戦術の方面から出た防衛上の見地からだろうと考えております。
  156. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だから、それはどういうことかというのです。戦略戦術上にどういう意味でそういう違った編成をやったのか。
  157. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 北海道の方に相当重点をおいておるというので、これは国際環境、それからわが国の防衛態勢整備の大体の考え方からいたしまして、北海道に相当重点をおいておるということが言えると思います。そういうことから北海道に相当大きな自衛隊を持つということになると思います。
  158. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ただ重点をおいているという意味で、数量的に多いというのでなく、編成その他からして違った編成なり何なりしているわけですね。だから、相当重点をおいているということは、戦略戦術的にどういうことを意味するのか。これはもっと、長官が御説明になるのなら、もっと大きな問題として、一体日本の今の現勢なり、あるいは今後六カ年計画で防衛をされようとする、その防衛態勢なるものが、一体どういう防衛方針なりどういう防衛態勢として基本的にはお考えになっているのか。そこいらとの関連において今の問題を御答弁願いたいと思います。
  159. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 先ほども申し上げましたように、北部におきまして、特に北海道というものに国際環境から見まして相当重点をおかなければならぬし、それからまた中央でありまするというと、相当機動力をもって防衛することができます。しかし北海道及び九州というものは、それが防衛の見地からいたしまして、そこで独立してある程度の防衛ができるということを考えますというと、どうしてもやはり北海道には、それだけ大きな部隊を置いておく必要があり、また九州には、北海道に比較いたしまして多少小さくとも、相当独立して防衛のできる部隊を置くということが、これは全体的に見まして、わが国の防衛の態勢を整備するという上から申しまして、そういうように考え、従って、北海道には相当大きな部隊を置いておくということになっておるわけであります。
  160. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ、戦略戦術論になっていないと思うのだが、それはそれじゃ、もっと全般的な問題として、もう少しこまかに聞いてから、あとで、返って参ります。  大体今お考えになっている陸上自衛隊は、そうすると、大体目標は十個師団整備をするというふうによく言われておりますが、大体そういうことでおやりになっているのかどうか。その場合に、たとえば管区隊、あるいは方面隊、混成団あたりの編成でそういうものが出てくるのか、よく言われている重師団、軽師団というようなふうな区別を考え、そういう編成をやろうとしてそういう増強をやっておられるのかどうか。その辺どうなんですか。
  161. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) この問題につきましては、予算委員会においても申し上げましたように、昭和三十五年度に至るまでのいわゆる長期防衛計画の最終目標は、一応防衛庁試案として持っておりますけれども、その年次計画及びその最終目標における陸上、海上及び航空の自衛隊の組織編成をどういうふうにするかということについては、まだ防衛庁の試案としてもできておりません。これから十分に研究して、国際情勢ともよくにらみ合せまして、最小限度の防衛態勢を整備するために努力して参りたいという考えを持っているわけであります。
  162. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そのこまかい内容、編成がどうなるかという問題は、それはまあしばしばそういう返事をしておられますから、今ここでそう追及しませんが、ただ大きな目標として、いわゆる十個師団整備という考え方なり、あるいは重師団なり軽師団なりというような編成区別をお考えになっているのかどうか、その辺の大きな方針はどうですか。
  163. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) まだその点についても最終決定を持っておりません。具体的にここで御説明するまでに至っておりません。
  164. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それなしに、十八万だとか、何トンだとか、何千機とかというような数字だけをお示しになっても、意味ないのじゃないかと思うが、その辺はもっと方針的な、そういう問題だけは一応、十八万なり何なりという数字がきまっているのならば、その前提条件としてきまっているはずなんです。そこいら、なぜお示しできないのか。
  165. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 最終年度におきまして陸上十八万というのは、これはアメリカの現在日本に駐留しておるものもございますが、それの陸上戦闘部隊が漸次撤退をして参りますので、その撤退の状況ともにらみ合せまして、三十五年度においては、少くとも十八万の陸上自衛隊を整備することが必要であるというように考えまして、大体十八万という数字を持っております。これはまあ、御承知通り、陸上自衛隊におきましては、マンズ・パワーの方に重点をおいております。それから海上自衛隊におきましては、これは艦船が主たるものになりますが、この艦船の、どれだけの船を持つかということにつきましても、その種類、装備、編成等につきましては、まだ具体的にきまっておりませんが、大体の目安を十二万四千トンというところにおき、なお哨戒の飛行機百数十機という試案を持っているわけであります。この方は海岸の哨戒あるいは護衛というようなことを考慮いたしまして、過去の増勢から割り出しまして、大体十二万四千トン、哨戒機百数十機という目標を立てたわけであります。航空につきましては、たびたび申し上げますように、練習機等を含めて約千三百機ということで、これは飛行機が主体になりますので、大体そういう目安をおいたということでございますが、この詳細な年次計画等につきましては、これまた度々申し上げておるところでありますが、まだそこまで案を打っておるわけではないのであります。
  166. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 六カ年計画の概要なり何なりは、今御説明があったようなことで一応了承しているのですが、十五師団整備なり、あるいはさらに重師団、軽師団というような編成区別、そういうものを完成年度においては目標にしながら、それを考えながら大体作っておられるのかどうか。その辺の関連は全然なしに、ただ、今見せたような数字を出しておられるのか。その点はどうなんですか。
  167. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 具体的にはまだその編成、装備、艦船の種類等についての決定を持っておりませんが、三十一年度の予算につきましては、やはり最終目標と全然無関係に計上したわけではございません。三十一年度の大体達成したいという考え方と、それから米軍側から供与を受けます艦船、飛行機、兵器等を考慮に入れ、そうしてしかも財政上の均衡を保つというようなことも考えまして、三十一年度においては先ほど御説明したような予算を計上するということになったわけであります。
  168. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点あまりよくわかりませんが、次に移りますが、そうすると、十八万増強という考え方は、これは制服職員だけですか、一般職員も入れてですか。
  169. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 三十五年度の最終年度における自衛官が十八万名ございまして、そのほかに平服がございますし、なお予備自衛官が約二万を予定いたしております。
  170. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それらは全部、それ以外ですね。
  171. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 十八万というのは、現役の陸上自衛官が十八万名ということでございます。
  172. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、三十年度までで十五万ですね、現在の制服職員。それが三十一年度で一万ふえて、それからあとはどういうふうに、三十二年度も一万、そういう形でずっと大体年度を追っていくのか。それはいつごろ十八万に達するとお考えになっていますか。
  173. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) その点につきましては、三十二年度において必ず一万増員するかどうかということにつきましては、まだ決定をいたしておりません。しかしこの点につきましては、米駐留軍の陸上戦闘部隊の撤退ということも考慮しなければなりませんので、なるべく早い機会に三十二年度の予算編成の前提をはっきりつかみたいと考えておりますが、今のところはまだ三十二年度あるいは三十三年度においてどういう増員をするかということについては、決定いたしておりません。
  174. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これまでの二、三年間のこの陸上自衛隊の、地上部隊の職員の増強と、それからアメリカ駐留軍、地上軍の撤退の員数との関係は、過去においてはどうなっておるのですか。それから三十一年度にはどういう予定でこの一万人というやつが出てきたのですか。
  175. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 今お尋ねのありました従来の向うの兵力の撤退関係を、今ちょっと手元に資料がございませんので御説明いたしかねるのでございますが、ただいま現在の市日米軍の兵力及びごく最近における撤退計画につきまして御説明申し上げておきたいと思います。現在、これは昨年の十二月一日現在でございますが、地上軍として四万二千名、第一騎兵師団一、海兵師団一、その他独立工兵大隊、砲兵大隊、これらを合せまして地上軍が四万二千名、十二月一日現在ございます。そのうち騎兵師団の三分の一、約四千名が本年の初頭から漸次縮小されて参っております。現在騎兵師団として約一万ばかり残っておるはずでございます。それから先ほどお話し申し上げました海兵師団は現在約三千名でございます。それから空挺団が約四千名ございますが、これは大体今年の六月上旬ごろから撤退を始めていく。従いまして、先ほど申し上げました四万二千名のうち約一万一千名が年内に撤退いたしまして、大体三万名前後に本年度中になろうかと存じております。
  176. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、残留三万名が全部引き揚げるということと見合いにとって、この十八万というのが考えられておるのかどうか。それから、そうだとすると、それが年度的に見て、そういうふうに向うの撤退と日本の増強とがどう今後の年度においてかみ合っていくか、そこらを伺いたい。
  177. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) その点につきましては、米軍の撤退と当方の増強と必ず見合っていくということは申し上げかねると思います。まだ先方の計画もはっきり私の方で通告を受けておるわけでございませんし、また米軍側といたしましても、陸上の戦闘部隊はなるべく早い機会に撤退したいという意向を持っておるようでありますけれども、その他基地関係の部隊等につきましては、必ずしも直ちに撤退するというふうには考えられませんので、従いまして、わが方といたしましては、なるべく早い機会に米軍の陸上戦闘部隊が撤退をいたしましても、あとに真空状態にならないように、心配のないように、できるだけ陸上部隊を整備するということにまず重点をおいて防衛態勢を整備するということに進んでいくつもりで、努力しておるわけであります。
  178. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、六カ年完成年度においてでも、地上部隊に関する限りでも、完全撤退ということは今のところ考えられないということなのか。方針としては、そこはどうなんです。
  179. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 防衛庁試案として持っておりまする六カ年計画が完成したら、必ずそれに見合って米駐留軍が撤退するということには、申し上げかねると思います。しかしわが方といたしましては、駐留軍が早期撤退する、ことに陸上戦闘部隊が撤退するということになりましても心配のないような態勢を整備する、なるべく早い機会に整備するということに努力をしておる次第でございます。
  180. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、そこのところはあなた方の方じゃ自力でもって防衛をしなければならないのだと、従ってそういう意味でこっちを増勢することは、同時に駐留軍の撤退を意味するのだという、大体打ち出しでいろいろな方針なり、あるいは六カ年計画あたりをお示しになったと思う。だんだんあれしていくと、いや、海上自衛隊とか航空自衛隊の関係は必ずしもそうでないんだというようなことで、その問題がぼやけてくるし、今度はまた地上部隊なり陸上自衛隊に関してすらその辺があいまいになってくるというような印象しか持たないのですが、そこいらは方針としてもっとはっきりどういうふうにお考えになっているのか。
  181. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) これは私、この席上からも、予算委員会でも申し上げておりますように、わが方といたしましては、米駐留軍の特に地上戦闘部隊は早期に撤退するというのが先方の方針と聞いておりますし、またそういうような、先ほど官房長も説明いたしましたような通告を受けておりますので、それが撤退してもあとが真空状態にならないようにということを目標といたしまして試案を立て、そうしてその実現をはかっておるわけであります。しかしこの米軍の撤退、米駐留軍の撤退ということは、これは国際情勢とも非常に関係のあることでございまして、わが方の防衛六カ年計画が、防衛庁の持っておりますような試案が実現したといたしましても、それに見合って必ず撤退するかということを申されますというと、それは必ずしもそうではないということをお答え申し上げざるを得ないのでございます。これは主として国際情勢にも関連してくることでございまして、そのかわり逆に申しますれば、現在でも日米間において協定が成立すれば米軍は撤退すると思います。しかしながら、それは国際情勢上到底わが方としてはそういうことを希望するわけには参らぬような情勢になっております。  従いまして、わが方といたしましては、米軍が撤退しても心配のないような態勢を早く整備しておくという必要がある、かように考えまして、防衛庁としても長期防衛計画の試案を作り、そうしてこれをただいま御審議願っておりまする国防会議法が通りまして、国防会議が設立になりましたならば、その国防会議に諮問をいたしまして、防衛長期計画を政府案として確立するようにいたしたい。そしてその実現をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  182. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その国際情勢がわからぬとか、向うがどうするかわからぬからなかなか言えないんだとかというようなことでは、全く日本の国防なり何なりはアメリカに依存してしまっている。あなた方はそうじゃなくて、独自のこの態勢が作りたいからこういう長期計画なり何なりを作るのだと言って打ち出しておられるのだが、具体的な実際の実施の問題になると全くそうじゃなくて、向うの補助部隊的な考え方で計画自体も組んで、実施をしておられるという態度なり、あれとしか受けとれないのですが、まあそこいらは意見になりますから、それ以上あれしませんが、じゃ……。
  183. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと私もその点、たびたびこれは長官から説明は受けておる点ですが、しかし、なかなか納得できない点があるのですが、少くともあなたの方自身としては独自なものを作る、こういう建前で諸般の計画を立てておるわけですね。そうすると、情勢の変化等は抜きにして、それからある程度の情勢の変化ということをよく言いますけれども、そういう情勢も含めて六カ年計画ということをお考えになっておるはずです。たとえそれが試案であろうと何であろうと、大まかな意味での情勢というものも含めて、それは厳密に情勢というふうなことを言えば、これは毎年々々変るので、そんな毎年々々変るそういうことまで前提にする必要が私はなかろうと思うのです、独自の一つの軍隊を作ろうというのに。だからそういう意味で言えば、六カ年計画の中にはあなた自身がやっぱり大まかな意味での情勢というものは含めて、そうして大体この程度だ、こう考えられておるわけですから、立場としては少くとも米軍の地上軍の撤退は求めるのだということがあってしかるべきだと思うのですがね。そのときになって、実際に昭和三十五年度になってなお残っておる、それに対して実際に撤退を要求するという要求を出すかどうかはまあわかりませんけれどもね、そういう方針であるということぐらいははっきりと断言して私はいいと思うのですが、あなたの立場からすればその点はどうでしょう。
  184. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 米国側としても陸上戦闘部隊を早期に撤退さしたいという考え方は持っておると思います。従いまして、先ほど申し上げたように陸上自衛官の整備ということに重点を置いており、ある批評家から言えば、陸に少し偏重し過ぎるではないかという御批評も受けておるわけですが、それは要するに陸上戦闘部隊、米駐留軍の陸上戦闘部隊が早期に撤退するという考え方を持っておるということを前提として、わが方としてそれに備えるために、その撤退の基礎を作るように陸上に相当重きを置いて、まずこれを整備するというところに重点を置いてその実行をやっておるわけなんであります。
  185. 亀田得治

    亀田得治君 そこであなたの方の主観的な意図というものをお聞きしておるわけですが、米軍の方も今おっしゃったような意思があり、あなたの方も大体そのことを考慮に入れてやっておるのであれば、これは計画の完成年度においてはともかくこちらだけで地上軍はやっていく。従って米軍は、少くとも地上軍は帰ってほしいというふうにこれは当然言うべきですね。そのときになって実際言えないということはきわめてまれな現象ですよ、特殊な。今そんな特殊なことを予想しておるわけじゃないので、だから見通の程度にいけばという前提ですね、だから先方もそういう気持ならこっちも大体そうだというなら、これはやはりあなたの方としては、ともかく今の主観的な意図としては昭和三十五年にはアメリカの陸上軍はおらぬようにする、そういう気持でやっておるということはこれは断言していいのじゃないですかな。そこに若干いつもただし書きがついてくるので、どうもああは言うけれども、そのうちまた情勢が変化したといって結局はずるずるになっていくのじゃないか、こういう印象を私どもに与える。もうちょっとその辺をはっきり断言していいと思いますが、どうでしょう。
  186. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 先ほど佐多委員からもお話がありましたが、わが方の防衛態勢を整備するのに日本の独力で、日本だけの力で防衛ということは、これは事実問題としては相当困難があると思います。現在の防衛態勢の整備ということは、まず日米安全保障条約という建前でやっておるわけでありまして、ただわが方といたしましては、できるだけ早い機会にわが国力及び国情に沿う防衛態勢を整備いたしまして、そして米駐留軍の撤退に備えよう、そして米側といたしましても、陸上戦闘部隊はなるべく早く引き揚げたいという意向を持っておりますから、そこでその方面にわが方としては陸上自衛隊をまず増強するということで、先ほど来御説明申し上げているような態勢を整備しつつあるわけでございます。しかし、だからといって昭和三十五年度になって必ず陸上の米軍側が一兵もいなくなってしまうかということを、まだ米軍側と十分話し合っておらない今日、この席上において私が断言するということはできかねるのです。もちろんわが方といたしましては、米駐留軍の、ことに陸上戦闘部隊が撤退いたしましても、わが防衛のために心配のないような態勢をなるべく早い機会に作り上げるということを目標として努力をいたしております。ただいま御質問のような点につきましては、いずれ国防会議が設置されましたときには、十分米側とも折衝をいたしまして、米側の意向も確かめて、そしてわが方の態勢も整えるようにして参りたい、かように考えますが、今この席上において、三十五年度の最終目標を達成したら、米側は全部撤退するかと、こう言われれば、それはどうも私としては今日そうなりますということを断言するわけには参らぬのでございます。
  187. 亀田得治

    亀田得治君 ではもう一度。断言してもらいたいのは、一兵もアメリカ軍が三十五年度以降おらなくなる、そういうことを断言してもらいたいということを言っておるのじゃないのです。あなた自身としてはそういう意図であるということだけは、これははっきりしているわけでしょうから、それを聞いている。
  188. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 先ほど来申し上げておりますように、米側の陸上戦闘部隊が引いても、わが方の防衛態勢に心配のないようにして参りたいということを目標としておることはもちろんでございます。
  189. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、それならば、だから主張として、われわれはこれだけの増強をしたのだからいる必要もないと思うから、引き揚げるべきだということが強く主張もされ、要求もされると思うのだが、そこいらの決意をどうもやっておられないように思うので、いろいろ問題になるのだと思う。しかしその問題は意見になりますから一応他日に譲りますが、もう少しこまかい……。
  190. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと関連して。どうもはっきりしないわけですが、情勢の変化ということが一つの要素としてある。それを長官は大いに活用されているのだと思うのですが、逆に言って、情勢が現在よりももっと非常に悪くなる。そういう場合には、そうすると現在以上に駐留軍がふえてくる。それもやむを得ないという論理がまた出てきそうなんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  191. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 今日予想されるところにおいて、国際情勢が非常に悪くなるということはまずなかろうかと思います。従いまして、わが方といたしましては、非常な大きな情勢の変化があれば格別でございますが、現在のところにおきましては、この長期防衛計画としてもっておりまする試案を政府案として確定をいたしまして、そうしてそれに基いて年次計画も立て、米側からいかなるものを供与を受けるかというようなことも詳細に検討をいたしまして、三十二年度以降の予算の編成もやり、またそれの前提となる長期防衛計画も立てるようにいたして参りたい、かように考えております。
  192. 亀田得治

    亀田得治君 多少の情勢の変化はあっても同じことだ、非常な大きな情勢の変化があれば別だがとおっしゃったのだが、そこらの点ですね、非常に大きな情勢の変化があったならば、陸上部隊がどんどんふえてくる、こういうことは受け入れる立場になるわけですか。
  193. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 今ただちに私はそういうことを予想して先ほど答弁申し上げたわけじゃありません。
  194. 亀田得治

    亀田得治君 それは一種の仮定の質問になりますから、あまりなにするのもおかしいですが、非常な大きな情勢の変化があれば格別と、従って多少の程度の情勢の変化であればそんなことはあり得ない、駐留軍がさらにふえてくることは。そういうふうに聞えるわけです。そうすると、多少の程度の情勢の変化なんかによってはこの方針が動かないというのであれば、昭和三十五年度の取扱いについて、そんなに慎重にお答えになる必要はないと思うのです。私はまた多少の変化でも絶えず考慮しなければならぬというふうにお考えになっているのだと思ったのだが、そうでもなさそうですから、そうすれば米軍も引き揚げたいといっている、こちらもそれを目標にしてやっているというなら、とにかく実際に引かせるかどうかは、そのときになってみなければほんとうのことはわからんが、しかし、その意図で少くとも長官としては進んでいるのだ、これくらいのことは断言できると私は思う。多少の変化があっても。どうなんでしょう。
  195. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) これは御質問の御趣旨が実は私よくつかめないかもしれませんが、先ほどお答え申し上げたことでおわかり下さるのじゃないかと思うのですが、わが方といたしましては、米駐留軍の、ことに陸上戦闘部隊が早期に撤退してゆくであろうし、またそういうことが従来も通告を受けておりますから、そこで米駐留軍が撤退しても心配のないようにわが方の防衛態勢を整備するということを根本の考え方といたしまして、先ほど来御説明申し上げているような防衛態勢を整備しつつあるわけであります。
  196. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これは漸増の方式によっているわけですが、そうでなくて、大体三十年度末の十五万でストップする。そうして、その後は入隊してくる――何年ずつですか、期限があるでしょうが、その期限に従って逐次帰してゆくということになって、増員はやらないということにすれば、大体毎年度どのくらいずつ減っていき、どのくらいで完全に解消してしまうということになるのか、そこのところの見当を一つ示していただきたい。
  197. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 御承知だと思いますが、自衛官につきましては一般隊員と申しております、昔で言えば兵隊に相当する階級であります。この階級についてだけ任期があるのであります。この任用期間は陸上自衛隊につきましては二年または三年となっております。二年が普通でございますが、そのうちで特に技術を必要とするもの、整備でございますとか、通信でございますとか、いうふうなものは三年といたしております。三年の隊員になりまするものは、その隊員数の約二割でございます。海上及び航空の方は全部三年の任期であります。こういうことになっております。  そこで現在の数でございますが、陸上自衛隊の万は十五万編成におきまして、その任期のあります隊員が、九万七千九百五十四名ということになっております、九万七千九百五十四名でありますから、これを全部二年の任期といたしますれば、一年に約五万足らず、三年のものがそのうち約二割でありますから、九万七千九百五十四人の中で一万八千くらいが三年単位、これは毎年六千くらいずつ変ると思います、その残りの八万くらいが二年でございます。毎年四万八千名くらいずつ陸上の方では変っていくという計算になります。  海上の方は現在一万九千三百九十一名の中で任期のある隊員に該当いたしますものが八千五百三十九名ございます。この三年の任期というのは海上、航空は今年の四月から入りますものにつくのでありまして、今まで採用しておりましたものは任期がないのでございます。この三年の任期をこれに適用いたしますと、毎年二千六百名くらい変っていくということになります。航空の方は現在一万三百四十六名の定員の中で任期のありまする隊員に該当いたしますものが四千三百九十六名でございます。これも現在入っておりまするものは任期がないのでありますが、かりに三年の任期がこのものについてあると仮定いたしますと、毎年千四百名あまり減っていくということになります。
  198. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 このさっき御説明で現態勢維持分というのがありましたが、陸上自衛隊四百八十四億ということになっておりますが、これは大体装備品あたりは更新していかなければならないと思いますが、その更新のための経費は現態勢維持の中に入っているかどうか。
  199. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 入っております。
  200. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 器材費百十二億というこの中に入っておるのですか。
  201. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) そうです。
  202. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それで大体現態勢維持費というものは、一人当りあるいは一部隊当り将来は現在よりも増額するのか、あるいはだんだん減ってくるのか、単価と言いますか、そういうものはどういうふうに見ておられますか。
  203. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 御参考までに昭和三十一年度の予算上みております陸上自衛官一人当りの年間維持費を御紹介いたしますと、陸上自衛官におきまして、二十八万九千七百円ということになっております。この金額はたしか昭和三十年度は二十九万をちょっとオーバーしておったかと思います。昭和三十年度は二十九万一千四百円でありました。従って昭和三十一年度は前年度に比し、若干減少いたしておりますが、将来の傾向といたしまして、必ずしもそういう傾向もございません。さればといってこれが大幅に増加するという傾向もございません。大体三十万円見当のところで続くのではなかろうか、こう思っております。
  204. 亀田得治

    亀田得治君 関連して。その内訳はどういうふうになるのですか、ただいまの数字。
  205. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま御説明いたしました昭和三十一年度の陸上自衛官一人当りの維持費、二十八万九千七百円の内訳を申し上げますと、人件費が十四万八千九百円、旅費が五千六百円、庁費が一万三千六百円、器材費が七万三千五百円、医療費が二千六百円、被服費が八千五百円、運搬費が二千四百円、糧食費が三万三千二百円、その他千四百円、合計二十八万九千七百円ということになります。
  206. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) 経理局長、ついでにおそれ入りますが、陸上はわかりましたから、総括して一人当りでいいですから、海上と航空をお願いいたします。
  207. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 海上自衛官一人当りの年間維持費を申し上げます。ただ海上自衛官につきましては、器材費を入れて割ります方法もございますが、器材費を入れますことは実は必ずしも適当でありません。従いまして器材費を除きました数字と、入れたらどうなるかというので両方御紹介いたします。  海上自衛官一人当り昭和三十一年度の年間維持費は、器材費を除き、止すと約二十九万五千円、これに器材費すなわち艦船燃料費とか、艦船修理費、油の購入費、航空機の修理費、通信維持費といったようなものを一人当りで割って、そうして器材費として加算いたしますれば、五十四万三千九百円ということに相なります。  それから航空自衛官でございますが、これもまず器材費を除きまして、一人当りで割って出しますと、二十八万五千九百円でございます。これに油購入費、航空機修理費、通信維持費等の器材費を含めまして、一人当りで割ってみますと、六十九万七千六百円、こういう数字でございます。
  208. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 初度装備費ですが、これは初度費が日本の分担分と、それからアメリカから供与される分とあると思うのですが、それが三十一年度は、三十年度に比べるとずっと減ってきているのじゃないかと思いますが、その辺の事情はどうなっているのですか。
  209. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まず昭和三十一年度の初度費を御紹介申し上げますと、昭和三十一年度におきましては、一人当りの初度費が五十万五千円でございまして、これに対しまして昭和三十年度の一人当り初度費五十万八千円でございます。ともに陸上自衛隊につきまして申し上げました。  内訳におきましては、昭和三十年度に比較いたしまして、三十一年度において装備費関係で相当減少いたしております。その反面施設費としまして、これは実は一人当りで割るのは必ずしも適当でないのですが、昭和三十一年度に演習場、弾薬庫等の整備を予定いたしました。これを一人当りで割ってみますると、この施設費が相当ふえております。差引いたしますと、三十年度に比べて若干の減少になる、こういうことでございます。
  210. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは初度費、日本側の経費ですが、アメリカからの供与分との関係は……。
  211. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま申し上げましたのは、日本側の維持費でございます。すなわち昭和三十一年度及び昭和三十年度に計上せられました予算につきまして考察いたしたものでございます。
  212. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の点、アメリカからの供与分はどうなりますか、初度費に関して……。
  213. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は三十年度の資料をちょっとただいま手元に持ち合せておりませんが、昭和三十一年度の陸上自衛官の増勢分の、主として編成装備費関係につきまして申し上げますと、増勢分といたしまして装備を要する金額は三十七億円見当でございますが、このうち、三十一年度でアメリカから供与期待いたしておりますのが八億五千八百万円ございます。それからなおそのほか、従来米国から供与せられましたもので、余剰品がございますので、この余剰のうち七億三千六百万円程一度充当するということにいたしまして、予算上、陸上自衛官増勢のために初度編成装備費として計上いたしておりますのは、二十一億二千九百万円ということになっております。
  214. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それはさっき経費日本側五十五億と言われましたね。それにさらにアメリカ側の供与分、今の金額ということになるのですか。
  215. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 先ほどは一人当りの初度費を割って参りまして、一人当り五十万五千円と申しました。その中で編成装備費が二十一万三千円見当になっております。これは日本側の予算に計上されておる装備品費の一人当りでございます。
  216. 亀田得治

    亀田得治君 その供与備品を含めて金額に見積ると、一人当り幾らになるのですか。
  217. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ちょっと計算いたしまして御報告申し上げます。
  218. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 MSAの関係はもっとあとでお聞きしますが、まあそれの一つになるのですけれども、アメリカ軍から供与されているいろいろな実績を見ると、何か弾薬だけが非常に大きく入ってきて、装備品その他は、そう当初予想したほど入ってきていない。そういうことはどういうことを意味するのですか。弾薬なんというのはべらぼうにたくさん入ってきて、例の予算の問題その他まで引き起したようですが、その辺の事情はどういうことなんですか。
  219. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) お答えいたします。弾薬以外の問題は、陸海空によって多少違いますが、陸上の関係につきましては、弾薬以外につきまして、御承知のように警察予備隊以来、極東軍予備品勘定ということで、かなり早期に貸与を受けておりましたのを供与に切りかえたものがございます。それが二十九年、一昨年のMSA協定の成立以来急速に入って参りまして、二十九年、三十年、ことに昨年の六月の米会計年度末にはかなり大量に入りました。その後三十年度分が昨年の秋から今日再び入っておりまして、大体陸上の装備品、特に最近は火器、大体等以外はMSA援助はほとんど受けておりません、これについては今回の二混成団増勢については大体まかなう程度に入っております。海の関係は、艦船は大きなものは最近はございませんが、海上自衛隊関係の航空機がP2V等若干おくれておると、これが金額にいたしますと、表にいたしますと、かなりおくれておるような数字に相なっております。それから航空自衛隊の航空機の関係でございますが、たとえば練習機等はかなり入っておりますが、F86Fの戦闘機は実はようやく八機先月受領いたしたようなことでありまして、お手元に差し上げてある表には十二月末でございますから、あるいは入っていないかと思います。そういうことで若干ずつずれておりまして、昨年末で表を作りましたので、金額としてはある程度、ことに海空についてはずれておる数字になっておるかと思います。
  220. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 先ほど亀田委員から御質問ございました米国の供与品充当を一人当り加算いたしますと、約十六万円さらに増加することになります。先ほど申しました昭和三十一年度の陸上自衛官の一人当りの初度費が五十万五千円と申しました。これにMDAPの供与品がないといたしますれば、約十六万円をこれに加算すると大体の数字が出るわけであります。
  221. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 じゃそのMSAの供与ですが、これが二十九年度、三十年度で合計各種類別にどういうふうになっておるのか、それは予算説明の期待の場合に幾らとして見られ、それから受領の実績がどういうふうに出てきておるのか、その点を一つ説明を願いたい。
  222. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) この予算委員会の御要求の資料として差し上げておるものはございますが、三十年度の供与期待は陸上自衛隊で弾薬を含めまして三百九十七億、そのうち百八十二億が弾薬でございます。それから海上自衛隊が百八十億、それから航空自衛隊が百五億、合計六百八十二億という数字になっておりますが、これに対しまして三十年度と申しますか、三十年の十二月までに実際に入手いたしましたのは八百四十七億でありまして、これは御承知のように、昭和二十九年度分が実はずれておりました。それを差引いたさないと数字は出ないのでございますが、二十九年度分を申し上げますと、同様に陸海空合せまして二十九年度までの期待額は合計が千七百六十七億、これに対して二十九年度中に入りましたのが九百九十八億と、それから二十八年度以前、これはMSA協定以前でございますので、供与期待という形ではございませんで、当時便宜貸与を受けましたものの実績は七百五十八億となっておりまして、これを総計いたしますと、期待額が三十年度まで合せまして、陸海空を通じまして三千二百億、大体三千二百億強、それからこれに対しまして三十年の十二月までに受け取りましたのは二千六百億と、こういう数字になっておりまして、三千二百億に対して二千六百億というのは、三十年――ただしこれは十二月末でございますから、最近にかなり入っておりますから、若干ふえると思いますが、確かな数字はそこまで正確に一応入って来ております。
  223. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、予算に期待をされた額と受領の実績とをみると、相当な食い違いが出てきているよに思うのですが、その場合にそういう受領の実績が違った関係上、それに関連をして、たとえば三十年度予算においてはどういうふうに予算が変ってきたのか、そこいらはどうなりますか、その事情は。向うの供与が予算予定したのとは違った、そのために従って国内予算の使い方も違ってこなければならない。
  224. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) 先ほど申し上げましたように、陸上部隊につきましては、大体装備品乙類と申しますか、車両、通信機等は装備には支障は全然ございません。その他の装備品甲類、火器あるいは特車等につきましては、実はこれは先ほど申し上げましたように、大体十五万編成に必要なものは若干でこぼこはありまして、一部代用するといったものもございますが、去年からことしにかけての編成は大体支障なく、若干きずのものができておりますが、支障なく進んでおります。問題は海上自衛隊、航空自衛隊、特に海上自衛隊の航空機の一部につきまして、ある程度ずれておる、これは若干影響はあるものと、こう考えております。
  225. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、三十年度あたりは、実際の予算運営上はほとんど支障はなかったというふうに見ておられるのですか。あるいはもっと前の二十九年度……。
  226. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 若干時期的にはMDAPで当初期待しておりましたものの受領がずれておりますが、予算編成上につきましては、多少その辺の安全度をみておりますので、大体マッチしたことになっているかと存じております。
  227. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、その大きな日本国内予算の傾向として、向うが供与をすることを予定していろいろな内地側の予算を編成しておられたわけだから、その供与がこっちが予算予定したほどにならないとすれば、それをカバーするために日本の方が増額になるのか。それはしかし追加予算、その他の問題として不可能だから、そうすると予定通りに入らなければ、それに関連をして、国内予算の使用をそれとの関連においてみんな減していかなければならないのか、そういう数字になっているのか、実際上の使用の面でそういう操作はやられたのかどうか。
  228. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいまも御説明を申し上げましたように、大体安全度をみておりまして、たとえば航空機でありますと、実際の予算上みまする運航月数を相当減らして組んでおります。ただ実際上具体的に今度の予算におきまして措置いたしましたのは、三十年度の警備艦甲二隻建造計画がございまして、それに基きまして、国庫債務負担行為を三十年度予算におきましてお願いをいたしたのでありますが、それを今回見直します場合におきまして、搭載兵器の受領がおくれることは確実となりましたので、その分につきましては、三十一年度予算におきましてこれを予算に計上せずに、三十二年度において国庫の負担となるものとして新しく国庫債務負担行為でお願いいたしております。そのように予算の編成の時期におきまして、大体MDAPの状況を見まして、工合の悪いものは予算的にあらかじめ措置をするということを従来いたしております。
  229. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからMSAのこの供与の期待額ですが、何かお出しになった資料によると、何か二十九年度は陸上、海上、航空合計期待額でいえば千七百六十七億ですか、それから三十年度は六百八十三億、三十一年度は四百四十四億というふうに、まあ二十九年度と三十年度は非常な減り方だし、さらに三十一年度も減少をしているというような状況と数学的には見受けるのですが、MSA供与のそういう方針なり何なり、二十九年度と三十年度のこの激減あるいは最近漸減をしていく方向、これは一体アメリカの軍事援助という問題がどういう意味なり、どういう変遷をもってきたとお考えになるのか、一つ長官に御説明を願いたい。
  230. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) ただいま申し上げた表につきまして一応申し上げますと、二十九年度で供与期待額を千七百六十七億という数字を出しましたのは、二十九年度分は二十八年度から計画をいたしておるわけですが、この当時は明確に供与期待という、供与要請という形をとっておりませんで、私どもの増強計画に応じて、米側の内部で要求をして貸与してくれるというような格好であったものですから、二十九年度までは実は供与期待と、二十八年度までを実績といたして整理しまして、この残りを供与期待ということで出したわけでありまして、当時予算の、二十九年度自体に予算に照応するまあ期待と申しますか、それは当時国会へも、便宜期待と申しますよりも予想ということで御提出いたしました数字によりますと、約五百五十億ということでございますし、実はMSA協定後数字を整理いたしまして、昨年度こういうふうに数字を整理いたしましたので、このまま出したのであります。二十九年度に照応するものは実は五百五十億でございます。その点この表の作り方が昨年度から変りましたので、申しわけございませんが、千七百六十億ということでなくて、五百五十億程度のまあこれに見合う数字を拾いますれば五百五十億だ、こういうことに相なるわけであります。  それからアメリカ側の供与の考え方でございますが、陸上自衛隊について申し上げますと、先ほども申し上げましたように、装備品乙類、車両、通信機、ブルトーザー等の建設機材等を警察予備隊以来相当大量に供与をしてくれておったわけでありますが、MSA協定の締結後大体三十年度、本年度と申し上げればいいかと思いますが、二十九年度のころから若干その傾向がございましたが、三十年度以来は装備品乙類については原則として通信機の特殊なもの以外は、あるいはその他の特殊なもの以外は供与しないという原則を申しておりました。これにつきましては、その方針で私ども三十年度以降予算措置をいたしております。火器、特車等につきましては一応従来の通り米側の、ことに初度品については米側の供与を受けるという考え方で、若干将来のためも考えまして、一部の火器等については将来のリップレースに備えるべく国産化の準備はいたしております。しかしながら初度装備については従来通り供与を受けるという考え方で、これは米軍の意向も検討の上で、そういう考え方で進んでおります。  海空につきましては、艦船の、あるいは大きなものについては供与の積極的意向はないように見受けられるのは御承知通りかと思います。  航空機につきましては、漸次共同のプランで、すでにジェット機について二機種について行われておりますように、そういうような考え方も漸次全般にもってくるのではなかろうかと、かように考えております。
  231. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、大体供与の予想なり実績から見て毎年二十九年度、三十年度、三十一年度あたりはそう金額的に大きな変化は総額としてはないというふうに見ておられるのですか。
  232. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) さようでございます。
  233. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 さっきの千七百億は間違いで五百五十億だと言われる、ところがそれの実績は九百九十八億とか言われたのじゃないのですか。それはどういう関係になるのですか。
  234. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) これも先ほどちょっと申し上げましたが、受領実績が二十九年度、すなわち二十九年の四月から三十年の三月までに入った実績はまさしく九百九十八億でございますが、これも二十八年度分がかなりズレて参りまして、当時MSA協定の関係もございまして供与が若干と申しますよりも、かなりズレたということでありまして、五百五十億に正確に見合う数字ではございませんで、二十九年度の実績をそのままここへ数字としてあげたわけでございます。
  235. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、二十九年度以前の七百五十八億があって、なおそこからズレたものが二十九年度に入って九百九十八億になったということなんですか。
  236. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) さようでございます。
  237. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 関連して一つ私伺いたいのですが、そうすると、艦艇の予算というのは船体、機関だけの予算であって、たとえば駆逐艦にしろあるいは潜水艦にしろ、兵器だとかエレクトロニックの機械なんかは向うの予算にあるわけなんですね。船の灘価というのは、MSAの予算とここに出してあるやつを合せないというと、一つの駆逐艦の値段あるいは潜水艦の値段が出ないわけですか。
  238. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) 日本側で建造いたしまする艦艇の予算の立て方でございますが、もちろん船体、エンジン等は予算の中に計上いたしておりますが、武器及び艤装品の中には二種類ございまして、早く申し上げますると、主要な武器については米側に仰ぐ、ただ全部米側に仰ぐということでなくして、比較的簡単に、あるいは瞬間的に見て比較的早く国産のできるものはこちらの艦艇建造費で調達するということにいたしておりまして、おととし契約いたしまして最近就航しつつありまする警備艦甲、乙につきましても、一例を申し上げますと、五インチ砲は向うからもらうと、しかし三インチ砲の一部はこちらで生産する。たとえば爆雷あるいは爆雷投射機といったような兵器に対して調達の容易なものにつきましては国産にする。それからレーダー、ソーナー等につきましても相当高度のものはすぐにこなすわけに参りませんで向うからもらう、しかし比較的簡単なものにつきましてはこちらで生産する。これは項目別に製作の時期あるいは技術上の難易等に分けまして予算とにらみ合いながら計画をいたしましたわけで、今仰せのようにこちらの建造費と、それから向うからもらうことを予定いたしております武器等を合せたものが正確な意味の建造費になるわけでございます。
  239. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ、総額についてはそうですが、この内訳を見ると、二十九年度、三十年度、特に三十一年度のこの経過を考えると、陸上分が非常に減ってきて海上分もうんと減ってきて、航空の方がうんとふえてきているというような形に、非常に比率に大きな違いが出てきているのですが、この向うの供与の方針なり何なりというのは、何か大きく方針的にずうっと前から変遷があるのかどうか。これも一つ長官に御説明願いたい。
  240. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) 先ほど久保装備局長から御説明がありましたように、二十九、三十、三十一年度と実績が多少は変化を来たしておりますが、これは陸上自衛隊の整備が一番早く着手され、それから海上がそれに次ぎ、航空につきましては一昨年初めて航空自衛隊ができるということになりましたので、そういう関係から先ほど申し上げたようなでこぼこができておるわけでございまして、今後におきましても、MSAの援助の方針がそう大きな変化を来たすというふうには考えていません。
  241. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、日本の自衛隊の編成方針がまず陸上からそして海上からそして最後に航空というふうに移ってきた、それを忠実にアメリカ側が反映をしてこういうことになっておるということなのか、そうでなくて、当初のそういう軍編成の方針がどうも間違っていたからもっと変えるのだとか、あるいは最近の兵器の変遷に基いて、特に航空機中心というような形に日本の自衛隊編成の方針も変ってきて、それに照応して今のような供与の仕方がそれに対応しているのか。そこいらの事情、現在までの変化、あるいは将来への見通し、そういうものはどうですか。
  242. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) これは先ほど申し上げたように、今までの自衛隊のだんだん成長してくる過程が、最初陸上それから海上、航空とこうなっておりますので、それに呼応してアメリカ側のMSA援助が行われてきておるということでございまして、海上航空につきましては今後におきましても相当これは増強して参らなければなりません、ところが陸上につきましては、先ほど装備局長説明いたしましたように、一応この増勢分をまかない得る初度装備品も供与を受けておる、こういう状況でございまするから、従ってその方は今後におきましてもそうたくさんはなかろうと思います。海上におきましてはこれまた先ほど御説明申し上げたように、艦船の方、艦艇の方はそうたくさんな供与は期待いたしておりませんが、哨戒飛行機につきましては、たとえばP2Vのようなものも相当たくさんの供与を期待しておったのですが、それが相当時期がおくれておるというのが今日の実情でございます。航空につきましても、練習機については大体供与期待通りに入っておりますが、しかし実旭機についてはこれはなかなか時期的にこちらの思う時期に十分入っておらないということでございます。しかし全体的のMSAの方針が今にわかに大きな変化を来たしたというふうには見られないと存じます。また今後におきましてもそう大きな変化があるとは思っておりません。
  243. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、大きな変化がないと言われるけれども、その費目の比率からいうと、今言ったように、航空の方が非常に飛び上って陸上がうんと減っておる、海上も比率からいうと、それよりももっと減っておるというような形になってきておるのですが、これは何なんですか、日本の防衛の方針自体としては変らないのだけれども、それの装備なり設備、そういうものを国内生産で間に合わすから、供与の方はむしろ国内生産の間に合わない航空の方に重点を向けていくというような方針でこれをやっておられるのか、そうでなくって自衛隊の編成方針あるいは防衛方針そのものについての重点移行の問題があるのか、そこいらの事情はどうなのですか。
  244. 船田中

    ○国務大臣(船田中君) これは、航空につきましては先ほども申し上げましたように、一昨年の七月、自衛隊法ができたときに初めて航空自衛隊が発足したのでございまして、従って時期的に非常におくれておるわけです。従ってこれを増強するためにたくさんのMSA援助を期待しなけりゃならぬ、こういうことになってきておるのでありまして、特に航空に重点を置いたからその方だけが非常に供与が多くなって、陸上の方が減ってしまったということではございません。陸上は先ほど申し上げるように、五年半前からだんだんできつつあるのでありますが、それにおくれて海上ができ、そして航空関係が一番最後に出発をしたものですから、従って航空に関する限り非常にMDAPの期待が大きいということになるわけです。
  245. 亀田得治

    亀田得治君 いろいろあるのですが、せんだって洋服生地の問題で、アメリカ軍のあの文書の写しをいただくということになっていたのですが、きょう持ってきておるでしょうか。
  246. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま印刷いたしておりまして、きょうの夕方ごろできることになっておりますので、できたらすぐ届けるようにと申しておりますが、場合によると明後日の朝早々にお渡しすることになるのではないか、こう考えております。
  247. 亀田得治

    亀田得治君 じゃその点は後ほどにいたします。  この予算総則で、自衛隊の施設整備費――これを、駐留軍の方の施設提供諸費の方に若干回せる、回していい、こういうふうになっておりますが、自衛隊の方の施設整備費八十六億、このおもなるものはどういうようなものでしょうか。
  248. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) おもなものを申し上げますと、陸上自衛隊におきまして約三十億ございますが、その内容のおもなものは、前年度におきます国庫債務負担行為として御承認をお願いいたしておりましたものの予算化が七億円、それから弾薬庫で四億七千八百万円、それから演習場で五億五千二百万円、米軍から返還になります施設の改修費――現在米軍が使用しておりますわが方の提供施設、これが返還になりますと、わが自衛隊に合うように改修しなきゃならぬわけです。たとえば厨房とか浴場等相当生活様式が違いますので直ちに改修いたさなければなりません。その他またわが自衛隊に適当するような改修を施さなきゃならないので、その改修費約三億三百が円ほどございます。  それから海上自衛隊におきましては約十三億円ございますが、そのおもなものは、前年度におきまして国庫債務負担行為として承認せられたものの予算化が九億九千五百万円であります。そのおもなものは航空基地が五億五千七百万円、なおその他たとえば庁舎の増設、通信機の据付費、航空隊の施設費等でございます。  それから航空自衛隊におきましては約四十億円ございまして、そのおもなものは、前年度におきまして国庫債務負担行為として承認せられたものの予算化が九億円ございます。これは大体におきまして飛行場関係経費でございます。それから新しくなお操縦学校関係経費が十五億、これも大体におきまして飛行場の整備関係、通信学校及び整備学校で約二億一千八百万円、それからあるいは航空団の二カ所の施設で六億八千三百万円、輸送航空隊で三億七千九百万円というのが大体おもな内容でございます。
  249. 亀田得治

    亀田得治君 大体数字はわかりましたが、その中で陸上関係で約五億幾らというものが演習場関係となっておりますが、これは場所はどことどこでしょうか。
  250. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 演習場につきましては、現在米軍が使用しておりますものを臨時的に使用いたしておるのが相当あるのでありますが、三十一年度におきましては、できるだけこの民有地につきまして、自衛隊が使用しておるものにつきましては国で買収いたしたい、こういう計画で、とりあえず八カ所分予定いたしておりますが、場所を申し上げますと、青野原、日本原、太田、枝川、紅葉山、東富士、相馬原、黒石原、こういったところでございます。
  251. 亀田得治

    亀田得治君 それから航空自衛隊関係で約十五億、これは主として飛行場関係のようですが、それは場所はどういうところでしょう。
  252. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 大体七カ所操縦学校関係におきましては、飛行場の拡張を予定いたしておりますが、場所を申し上げますと、大月、防府、曽根、松島、矢の目、築城それからなお一カ所末定でございますが、九州地区に一カ所、こういう考えでございます。
  253. 亀田得治

    亀田得治君 それらのものは、これは大体場所はわかりましたが、その土地の買収費なんでしょうか、あるいはそれを含めたもっとほかの費用も含まっておるのでしょうか。
  254. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 大体におきまして土地の買収費あるいは滑走路の延長、補修に要する経費でございますが、一部中には隊舎も入っておったかと思います。
  255. 亀田得治

    亀田得治君 防衛支出金の方の施設提供諸費ですね、この九十九億の内訳をちょっと御説明願いたい。
  256. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは大蔵省所管の予算でございまして、私今手元に詳細のは持っておりません。明後日にでも内容を聞きましてお答え申し上げます。
  257. 亀田得治

    亀田得治君 詳しくわからなくてもいいのですが、今先ほどお伺いしたのと関連が出てくる程度でお伺いすればいいのですが、この中でたとえば飛行場の関係の整備とか、そういったようなものですね、主としてそれがどれくらいであって、そして場所がどこを予定されておるか。
  258. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 手元にあります資料だけにつきましてお答え申し上げますと、大蔵省所管に計上されております防衛支出金の中の施設提供等諸費九十九億円の内容を申し上げますと、借料で四十二億円、不動産購入費八億円、返還財産補償費十二億円、漁業等補償費十七億円、代替施設等工事費十二億円、飛行場拡張に必要な経費八億円でございます。
  259. 亀田得治

    亀田得治君 その飛行場拡張の場所はどこでしょうか。
  260. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ちょっと私あいまいな答えを申し上げると申しわけないので、本日はちょっとお答え、私いたしかねますが……。
  261. 亀田得治

    亀田得治君 これはじゃあ後ほどまた聞くことにいたしまして、そこで先ほどいろいろ御説明になった施設整備費ですね。そうして演習場等の場所もいろいろ御説明があったのですが、これはどうしてもみな三十一年度にやらなければならない場所でしょうか。
  262. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) それぞれ三十一年度におきまして予定通りいたしたいと存じております。またいたさないと自衛隊の業務に支障を生ずるものでございます。
  263. 亀田得治

    亀田得治君 それならばこの予算総則で自衛隊の整備費を駐留軍の施設提供費に回すということをきめてあるのは、これは私ははなはだ不可解だと思うのですね。
  264. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) その点につきまして御説明申し上げます。先ほど来御説明申し上げましたように、防衛庁におきましては、前年度に引き続きまして、三十一年度においても営舎、飛行場等の拡充整備の計画をいたしております。ただ御承知のように、目下の情勢におきましては、非常に土地の取得等に困難を生ずる場合がございます。現にまた従来からも土地の取得につきましては、相当困難をいたしておるのでありますが、こういった場合に、たとえば現在米軍に提供いたしております施設、それに追加的な施設を施すことによりまして、他の米軍に提供いたしております施設が解除されることも考えられるわけであります。それからあるいはまた同じように、現在米軍に提供いたしております施設の中に、追加的な施設を施すことによりまして、米軍と自衛隊と共同使用が可能になるということも考えられます。こういう場合におきまして、予算の経理を明確にするとともに、経費の効率化をはかるという意味におきましても、その場合には防衛庁施設整備費から施設提供諸費の方に移用いたしまして、そこで米軍の提供施設として一応整備し、それによりまして反射的に自衛隊が、従来米軍が使っておった他の施設の返還を受けて、自衛隊の目的に資することができることも予想されます。それからまた先ほど申しましたように、共同使用の可能なことも考えられる、こういったような事情が生じました場合に移用するわけであります。
  265. 亀田得治

    亀田得治君 なるほどそういうふうに説明されれば、移用の理由もわかるように思うのですが、しかしたとえば今あなたが事例を挙げられたように、米軍の施設を自衛隊の費用で改造する、そうすると、どこか米軍の施設があいてくる、自衛隊のために。そういうことはこれは事前にわかるわけですかね。米軍が使っているものに、こっちが勝手に了解なしに、お前のところはこれでやったらこうなるからということで、大工さんを連れていってばたばたやるわけにいかないのですから、これは事前に両者が協議して、こことここはこうしようというわけですから、そういうふうな式のやり方で米軍の施設を自衛隊の方に回してくるのであれば、初めからそういうふうに予算を計上していいのじゃないでしょうか。これは突然私はやれるものではないと思うのですが。
  266. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) その点は従来の米軍施設の提供、解除の状況を御説明しないとなかなかわかりかねるのでございますが、従来からもあらかじめ、大体来年度はどこのキャンプあたりが解除になるかもしれないという情報は流れて参ります。私の方でも、ぜひここのところは解除してもらいたいということを申し入れますが、実際に当りますと、なかなかその予定通りにはいかないのでありまして、非常に時期的にズレる場合がございますし、またその場所の変更も相当頻繁にあるわけでありまして、あらかじめ、どこそこと予定することは非常に困難でございます。先ほど申しましたように、自衛隊といたしましては、御説明いたしました施設整備費によりまして一応場所を予定いたしまして、そうして計画を立て、なおほかに米軍より返還せらるべき施設を改修して入るという計画は立てております。この計画が、この当初の計画と実行と非常にそごする場合が多いわけであります。従いまして当初からどの程度の金額を要するとか、どこの場所を利用して先ほど申しましたようなことを期待するというようなことは、実際においては非常に困難でございます。たとえば現に昭和三十年度におきましても、予算総則十六条におきまして同じような移用規定をおきましたが、これは万一の場合にそういうことがあり得るかもしれないというのでおいたのでございますが、三十年度におきまして、ただいままで移用いたしたこともございませんし、またこの残り少い年度内におきまして移用することは全く生じないだろう、こう考えております。
  267. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、こういうふうに理解しておいてよろしいでしょうか。この自衛隊の整備費を駐留軍の方に移用するのは、結果においてそれだけの金額を自衛隊のために使用したのだ、効果の上から言って。そういう場合に限るというふうに解釈していいですか。
  268. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは予算総則にもはっきり「防衛庁の施設整備および在日アメリカ合衆国軍に対する施設提供に関する歳出予算の執行上必要あるときは」と書いてありまして、相関性がなければならぬと考えるのであります。みだりに単に施設提供費に移すということは、予算総則では考えておりません。
  269. 亀田得治

    亀田得治君 だから私が今質問したような場合に限って移用する、そういうふうに理解していいわけですね。
  270. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 移用することによりまして、防衛庁におきましてもその目的を達する、こういう場合でございます。
  271. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと時間がおそいですから次の問題、もう一つだけお聞きしてやめますが、この顧問団ですね、これが昨年よりもふえているようですがその理由ですね、これをちょっと御説明願いたい。
  272. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは実は防衛庁担当ではございませんが、私の知っている範囲で申し上げますと、前年に比べまして二千万円ふえております。そのふえました原因は、移動訓練隊員の任務が一部終了いたしまして帰国いたしますと、その帰国旅費増加いたしますのと、それからMDAPの援助が進み、また訓練が進むに従いまして軍事援助顧問団員の旅行が増加する、これに伴う旅費増加、この二つが大きな原因でございます。
  273. 亀田得治

    亀田得治君 これはまあ予算関係はあなたの方の直接の関係でないかもしれぬが、仕事の関係はあなたの方が直接関与するわけですからお聞きするのですが、この顧問団の仕事というのは結局どういうことになるのでしょうか。実際におやりになっておる任務、仕事は。
  274. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは相互防衛援助協定の……。
  275. 亀田得治

    亀田得治君 いや、その協定の方はわかっているのだが、実際にどういうことを自衛隊に対しておやりになっておるか。
  276. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実際には、わが防衛庁に対する米国のMDAPの関係の総元締めといたしまして、供与についての日本側との折衝、あるいはまた供与いたしましたあとのその武器等の指導、その他相互防衛援助協定に基きまして、わが国に対して与えるところの援助の進捗状況等を見るための任務を持っておるということでございます。
  277. 亀田得治

    亀田得治君 それは訓練の指導といったようなものも若干含まれるわけでしょうか。
  278. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、一部移動訓練隊員というのがおりまして、これが実際にわが自衛隊の航空機の操縦訓練をいたしております。本部の人員のほか、ただいま申しましたように、移動訓練隊員が約四百人程度おるわけでございます。
  279. 亀田得治

    亀田得治君 この程度で一応きょうは打ち切っておきます。
  280. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 私ちょっと佐多委員のさっきの質問と関連して質問したいのですが、さっきのいろいろ部隊のお話があったうちに、パラトループはどこにあるのですか、落下傘部隊というのはどこにあるのですか。
  281. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 習志野にございます。
  282. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 習志野に。そうでございますか。  いま一つここにすべて何ですね、陸上自衛隊は自衛力を発揮する弾薬はみな来ておるのですか。海軍……海上だとか飛行機はあとから来たのだから、そういうものはととのわぬものがあるでしょうが、大体みな三つの自衛隊は自衛力を発揮するだけの弾薬等はみな持っておるのでありましょうか。
  283. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) お説のように、陸上自衛隊につきましては相当大量のものを昨年十数万トン供与を受けておりますが、海上自衛隊につきましても、トン数はちょっと今覚えておりませんが、相当長い間の訓練に事欠かない程度供与を受けております。それから航空自衛隊につきましては、今まで練習訓練の段階でございまして、直接戦闘機は持たないということもありまして、まだ受け取っていなかったのであります。最近相当、たとえば十三ミリ機銃弾四百万発といったように、最近になって相当数弾薬を受け入れておりまして、訓練には支障のない程度に各自衛隊とも受け入れ、現在持っておると申し上げていいと思います。
  284. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 そうすると、練習用の弾薬はあるけれども、実弾はないというわけですな。
  285. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) 全部実弾でございます。
  286. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 いや、それは実弾には相違ないですけれども、演習用と実際実力を発揮するのとはむろん違うのですが、そういうのはみな持っておるのでしょうかね。
  287. 久保龜夫

    政府委員(久保龜夫君) 持っております。たとえば陸上自衛隊のごときも全部実弾でありまして、むしろ空砲はこちらで国産いたしておる状況でございまして、海空同様でございます。
  288. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) それでは、本日の分科会はこの程度でもって散会をいたします。    午後四時三十五分散会