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1956-03-22 第24回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十二日(木曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————   委員の異動 三月二十日委員石坂豊一君辞任につ き、その補欠として奇木一男君を予算 委員長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。   主査       三浦 義男君            青木 一男君            木内 四郎君            平林 太一君            藤野 繁雄君            山本 経勝君            廣瀬 久忠君            八木 幸吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君   政府委員    大蔵大臣官房会    計課長     竹村 忠一君    日本専売公社監    理官      大月  高君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    国税庁長官   阪田 泰二君    郵政政務次官  上林榮吉君    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    郵政省電気通信    監理官     平山  温君    郵政省貯金局長 成松  馨君    郵政省簡易保険    局長      小野 吉郎君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君    郵政省経理局長 八藤 東禧君   説明員    大蔵省主計局主    計官      岩尾  一君    大蔵省主税局調    査課長     庭山慶一郎君    大蔵省印刷局業    務部会課長  村上太一郎君    郵政大臣官房建    築部長     小坂 秀雄君    郵政省郵務局次    長       渡辺 秀一君    日本専売公社総    務部長     小川 潤一君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君    日本電信電話公    社経理局主計課    長       高橋 達男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 三浦義男

    主査三浦義男君) これより第一分科会を開きます。  まず、郵政省所管について御説明をお願いします。
  3. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) それでは私から郵政省所管の三十一年度予算案と、これに附随する若干の問題につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計予算総額は、一千二百六十二億四千万円でありまして、その歳出予算内訳を申し上げますと、郵政省において取り扱う郵便郵便貯金簡易保険及び電気通信等業務に要する業務費が九百八十三億八千万円、収入印紙失業保険印紙等収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外支出経費が二百二十九億二千万円、公債及び借入金償還金が一億三千万円、予測しがたい経費支出に充てるため予備費として五億円、郵便局舎等建設費といたしまして、四十三億円を計上いたしております。  次に、定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における三十一年度予算定員は二十五万六千百一人でありまして、前年度に比べ三千五百五十人の増員となりますが、この増員は、郵便業務並びに電気通信業務特定局における勤務時間に関する仲裁裁定実施に伴う人員千六百二十二人、郵便業務量増加及び特定局における電話施設増加に伴う人員千六百八十一人、保険業務量増加等に伴う人員二百四十七人となっている次第であります。  次に、歳入予算について申し上げますと、歳入予算総額歳出予算と同額の一千二百六十二億四千万円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入及び雑収入が四百五十六億四千万円、為替貯金保険年金電気通信の各業務運営経費に充てるため他の会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が五百四十九億五千万円、郵便局舎建設財源に充てるため郵便貯金特別会計簡易生命保険及び郵便年令特別会計の両会計から受け入れる設備負担金が九億一千万円、郵便局舎等建設財源に充てるための借入金が十八億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が二百二十九億二千万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに四百六億八千万円を計上いたしております。  次に簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算は、歳入が、一千八十三億五千万円で、歳出は三百八十五億九千万円を計上いたしており、歳入超過額六百九十七億六千万円は法律の定めるところによりまして積立金として処理することとなっております。  次に、当省所管一般会計予算について説明申し上げますと、歳出予算総額は十五億七百万円でありまして、これを前年度予算額十四億四千六百万円に比べますと六千百万円の増加となっております。  この増加のおもな事項といたしましては、無線局検査並びに電波監視業務において、機械器具の整備及びその他の経費として二千八百万円海外放送交付金において一千四百万円、その他一千九百万円であります。  次にこれ等業務運営に必要な定員について申し上げますと、本年度予算定員は、二千九百四十七人で前年度予算定員二千九百十一人に比べ三十六人の増加となっております。この増加は、電気通信監理並びに無線局検査業務拡充強化等に伴うものであります。  次に、日本電信電話公社予算について申し上げますと、同公社予算は、損益建設および資本の三勘定に分かれており、その総計におきまして、収入支出とも二千四百二十億二百万円でありますが、このうち勘定間の振替によって重複する金額九百十七億三千七百万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額は、いずれも一千五百二億六千五百万円でありまして、これを三十年度と比較しますと、百二十五億八千五百万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設勘定収入支出内訳について申し上げますと、損益勘定において、収入は、電信収入及び電話収入が、一千二百四十四億百万円、受託業務収入が、十九億七千四百万円、雑収入が、二十九億七千五百万円、計一千二百九十三億五千万円となっており、支出は、給与その他諸費が、四百四十九億七千三百万円、営業費が、二百一億九千三百万円、保守費が、百四十六億五千八百万円、共通費が、三十七億九千八百万円、利子および債務取扱い費が、七十二億四千五百万円、減価償却費が、二百二十九億円、受託業務費が、七億五千五百万円、予備費が、十五億円、計一千百六十億二千二百万円となり、収支差額百三十三億二千八百万円は建設改良および債務償還に充てるため、資本勘定へ繰り入れることになっております。  次に、建設勘定において、建設改良のための財源として、電信電話債券公募による分が八十五億円、加音入および受益者引き受けによるものが、五十五億三千万円、電話設備負担金等が、六十八億八千四百万円、損益勘定からの繰入金減価償却引当金二言二十九億円を含めて三百四十五億九千五百万円、合計五百五十五億九百万円を計上しております。同じく支出といたしましては、総経費が、五十五億三千七百万日、建設改良工事費が四百九十九億七千二百万円、計五百五十五億九百万円となっております。  この建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百五十五億九百万円をもちまして、加入者開通十八万五千名、六大都市と、その近郊都市との即時通話サービスを含めまして公衆線が四十三万九千キロメートル、電話局建設では、年度内にサービスを開始するもの二十一局、継続工事にして次年度以降にサービスを開始するもの十七局、新規着工のもの三十八局等の主要工程のほかに、来年度は特に、町村合併に伴う区域合併局六十九局、市外線増設八千八百九十キロメートル、及び無電話部落対策として二百十六件の公衆電話工事計画いたしております。  次に、建設財源調達について一言申し上げますと、政府財政投融資計画に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券の発行によって八十五億円を調達し、残りは全部電話設備費負担臨時措置法に基く加入者等引受債券および電話設備負担金による資金減価償却引当金損益勘定よりの繰入金等、いわゆる内部資金に頼ることになったのであります。  なお、建設勘定支出画におきましても工事能率の向上、新技術の導入等による設計面合理化経済化等により極力経費の効率を高め、拡充五カ年計画に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたが、サービス工程の面におきましては何等支障を及ぼさないように配慮されている次第であります。  以上公社予算について申し述べましたが、今後とも事業経営合理化に努めますとともに、建設資金調達に努力し、健全な財政的基礎の上に、電信電話事業拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえると共に、今後ますます国民経済活動の進展に寄与していきたいと存じます。  これをもちまして、わたくしの説明を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御審議のうえ、すみやかに御承認下さいますようお願い申し上げます。
  4. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御質疑はございませんか。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 町村合併に伴う郵便局舎及び電信電話局舎の問題でありますが、町村合併によって合理的に郵便局及び電信電話局統合あるいは改廃というものをやられるのは理の当然と思うでありますが、郵便局舎については、市町村統合の結果、従来の郵便局を廃止するというようなことで、非常に困難あるいは迷惑を感ずるようなことになるおそれが多々あろうと思うのであります。それで私の手元にもいろいろそういうようなことについては、電信電話局はある程度統合した方がいいが、郵便局舎については、従来の点を十分考慮して、市町村合併と同時に、直ちに合併するというようなことがないようにしてもらいたい。こういうふうな意見陳情者その他より受け取ったのでございますが、町村合併に伴う郵便局舎統合について御意見を承わりたいと思います。
  6. 渡辺秀一

    説明員渡辺秀一君) 町村合併が行われますにつきまして、郵便局の局の統合することについてでありますが、これは郵便事業といたしましては、行政区と郵便局を受け持ちます郵便区というものを一致させることが日取も郵便の送達上あるいは整理上、取扱い上必要なのであります。と申しますのは、郵便区と行政区と一致しておりませんと、往々にいたしまして郵便を差し出します人は、何々市何々町と響いて出しますが、何々市のうちに二つ以上郵便局がありますと、どちらの郵便局へ落したらいいか、つまりどちらの郵便局で配達したらいいかということについて、非常にたくさん同一市の中にも町名がありますので、区分に大へん手数がかかります。往々にして間違いを起すことがあります。これは間違いを起しては申しわけないのでありますが、多数の中にはどうしてもそういう事態が起って参りますので、私どもとしては市町村合併促進法実施されますと同時に、なるべく同一行政区内郵便局は、事情の許す限り一つ郵便局にしようという計画を立てまして実施に移して参っております。大よそ私どもが今考えておりますのは、全国で百局ぐらい、あるいはもう少し多くなるかもしれませんが、そういった調整をはからなければならぬ地域がございます。それで目下いろいろと具体的に検討いたしまして、それを実行に移しつつありますが、その間におきまして、先生の今おっしゃいましたように、いろいろと地方的な事情に基きまして御意見なり陳情を承わっております。それでそのような場合には、私ども陳情を承わりました多くの場合におきましては、大体一緒になって非常に不便になるあるいは郵便が遅れるといったような御懸念のもとに陳情なさっておる方が大部分でございます。それに対しましては、私ども具体的に、こういうふうになって、こういうふうにいたしませんと郵便がかえって遅れますから、そして一緒にしましても極力従来のサービスは落さないという方針でいたしておりますからということをよく御説明申し上げますと、大体納御していただいて参っておるような次第であります。従いまして今後におきましても、御異議があり、あるいは御陳情がありました場合には、極力事情を御説明申し上げまして、全体の郵便がうまく間違いのないように早く相手方に届くようにという方針で、今後も今の市町村合併に伴いまして現在の局を、集配局を無集配局に変えるということは続けていきたいとかように考えております。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 町村合併の場合の普通の町村であったならば大した問題はないと思っているのです。しかし付近の町村であったのが市に合併された場合においては、非常に大きいことになって、一つ郵便局というようなものに統合すると困るので、もちろんそういうことはされないと思いますが、例をとってみれば、たとえば平戸のようなものは、市というけれど数カ村が集っただけの形で市になっているし、あるいは佐世保市のような場合においても、近くの村が全部市に合併まれた。こういうような例があって、そういうような場合において行政区画と一致させるということは、これはとうてい不可能なことである、行政区画のうちの適当なところである程度統合しなければできない、こういうようなことになっていると思うのです。今私の手元には佐世保市から二つ陳情書が出てきているものだから、それをいろいろ考えてみるというと、あるいはそういうようなおそれが、陳情のようなおそれがないとも限らないことだから、そういうような問題が起ったならば、町村合併として理想的な庁舎を作って郵政事情の発達をはかるということは、これはもちろんそれには賛成だけれども、あまりにそういうようなことをやったために不便を感ずるようなことがあったならば困る、こういうふうなことが一つなんです。  それから私の県の一例からいえば、たとえば上波佐見というような町では、同じ町に電話を扱うところが二つある。これは一緒にしてもらいたいという陳情をしているけれども、一向それが実現は、今やっているかどうかわからないけれども、数年まではなかった、こういうふうなものは町村合併がなくても進んで同じ町に電話を取り扱うところの二つ郵便局があったならば、こういうのは一緒にすべきものであるということを考えているのですが、今具体的に、御承知がないかどうかわからないが、そういうような点が、一カ村に電信電話を取り扱うところのものが二カ所もあるというようなことがあれば、これはある程度考えなくちゃならないけれども、普通の郵便局はある程度現状維持で行って一般の利益をはかった方がよくはないか、こういうふうに考えますので、その点一つ御考慮の上に最善措置を講じていただきたいと思います。
  8. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 先ほど町村合併に伴う局の統廃合について事務当局から説明がございましたが、省の方針としては大体そういう方針でいきたいと思っておりまするが、誤解に基く陳情もございますし、あるいはその町村とかあるいは町村一般の人々は必ずしもそうでなくて、局だけの陳情というようなものなども非常にございますので、先ほどお答えいたしましたように、おっしゃるような御趣旨のところはできるだけ尊重していかなければならぬと思いますが、しかしできるだけ統廃合してサービス改善し、遅配がないように、あるいは早く郵便が届くようにという基本方針で進んでいきたい、こういうふうに考えております。  なお、電話の問題でお話が出たようでございますが、同じ町村内にあるいは合併町村内に電話を扱うところが二つも三つもあるような場合、それが小さいところでございますれば、できるだけ一本にしていきたいというのが町村合併を促進した今日におきましては必要ではないかということで、着々そういう方針でただいま進めておるところでございますので御了解願っておきますが、その場合でも、たとえば普通の特定局等にある電話の交換を合併するために、やはりこれもその当該局にしてみますれば、今まであったものが、町村合併に伴う一つ電話サービス改善とはいうものの、何となくさびしい気がするらしいのでありまして、そういう点からの反対陳情どもございますけれども、今申し上げたような趣旨最善を尽して参りたいと、こういうように考えております。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今政務次官からお話の点了承いたします。ただ問題はああいう町村の問題だから、町村当局もぜひ一つにしてもらいたい、しかし政府の方では金がないからどうしてもできない、こういうふうな問題がありますのですから、そういうふうな場合においては、できるだけ一つ地方希望を満たしていただくようにお願いしたいと思っております。
  10. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 御趣旨はごもっともだと思いますので、その方針で、できるだけ進んでいきたいというように考えております。大体町村合併に伴う場合ば電話等についてあるいは集配局を無集配局にして統合する場合においても、市町村当局とかあるいは市町村議会は割合に一本にしてくれ、こういう筋の通った陳情が相当あるわけです。それで予算の許す範囲内において、その点は今までよりも促進しておりますので、さらに一そう促進していきたいと考えております。
  11. 平林太一

    平林太一君 町村合併に対処しての郵政事業整理統合、こういうことは半面から何か町村合併に対して、それに即応して整理統合して行かなければならないというような郵政事業事業性質ではない。かように僕は思うのです。そういうようなことでむしろこれは郵政事業が飛躍伸展して行くということが、いわゆる地方に対しての郵政事業としての使命であると思うから、この点はあまり、何かそれになにしなくちゃいかぬというようなことは、そういうふうにお考えにならなくてもいいと思います。それでこういうものは施設ですから、それでまたこれは事業性質上他の事業とは違って、やはり潤利を対象としてやっておるのでない。たとえばだいぶ山間僻陬の地には独立採算としては非常に損失もみずから承知して、そうして不便な所に電報郵便あるいは電話施設が置かれている。そういうところに非常に大きな使命があると思いますので、既存の施設を何か整理統合するというようなことは、できるだけ一つ、僕としては現存のものを存置して、そうしてなおかつそれをふやして行く、増強して行くということが電話においても、郵便においても、電報施設においても非常に必要なことだと思いますが、そうしないというと、この町村整理統合ということに、何かそれに対して非常に申しわけ的にしなくちゃならぬということは、郵政事業の本質とは、これは違っていると思いますが、そういう点についてどういうようにお考えになっておりますか、こう思いますが、まあ根本の問題……。
  12. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 郵政事業電話、双方にかかっておりますので、ただいまの御質問に一言お答えしておきたいと思いますが、御指摘通り町村合併が主体であって、郵政専業電信電話事業がそれに追従した経営をしなければならないということは、これは私はそうであってはならないというように原則としては当然考えておるわけでございますが、ただ市町村合併したために郵政事業の本来の性質からいってサービスが悪くなる、あるいは郵便物が間違って配達される、こういうことがあってはいけないというので、その限度においてこの是正をはかろうといたしておるのでございますが、さらに電話等につきましては、局が違いますと市外電話というようなことにもなりまして、電話を利用する方々の方から言いますと、サービスが、市町村合併されたにもかかわらず、ちっとも改善されぬではないかというような意味で、市町村当局やあるいは市町村議会、あるいは加入者の方から熱心な陳情がございますと、これもまたサービス改善するという観点から見まして、予算の許す、経費の許す範囲内でやはりある程度サービス改善をして行かなければならぬ、あくまでも電信電話にしろ、一般郵政事業にいたしましても、原則としてはサービス改善ということを重点にいたしまして、御指摘通り推進して行きたいと、こういうように考えておるところでございます。
  13. 平林太一

    平林太一君 それでただいまのそういう技術的なことは、これは、おまかせいたしますから、ただいま御答弁の通りで私の方もよく真意が了解されるわけであります。ただ全体の問題として、そういうことでいやしくもこのために施設を減退させるとか、あるいは廃止するとか、そういうようなことはこの事業性質上これを避けるようにすることが、かえって郵政事業の実質上にも、サービスの上にも、それは根本の問題として必要なことだと思いますので、十分一つあれいたしまして、何か市町村合併したからある特定施設なり特定の局を必要としない、そのために廃止する、そういうことのないように十分御注意を願いたい。そうしてただいまのお話通り町村合併になったために市外電話になる、こういうようなことは断然これは技術的にそれぞれ御処置をなさるように、この際そういう希望を申し上げ、そういうふうに善処を一つ求めたいと思っております。  それからここに郵便局舎建設費として四十三億円を計上しておるのですが、これは具体的にはどういうようなものがあげられるか、一応伺っておきたいと思っています。
  14. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 平林先生の御質問は三十一年度建設費四十三億の内訳ということでございますので申し上げます。工事関係とそれからその工事実施するために職員その他の俸給等に分かれるわけでありますが、大体工事関係といたしますと、直接工事に支払いまするのは三十七億円ほどであります。そのうち郵便局関係のものが二十八億円、それから貯金局に一億九千万、それから郵政局、あるいは資材部倉庫でございますが、倉庫というようなものに大体三億四千万円、病院に一億二千万円というふうなものが大体の大まかな、大きいところでございまして、これらはもう少し具体的に申し上げますと、郵便局関係の二十八億が、土地買収約百十九カ所ほどの土地を三十一年度買収する予定でございます。二万四千坪ほどになります。それに大体五億八千万円、それから建物といたしまして新築または増築、改築いたします局舎を百九十局予定しておりまして、坪数にいたしますと約四万坪ほどになります。それがおもなものでございまして、四十三億中あと残りましたものが、職員宿舎関係に約三億円、そのほかは俸給給料等に払うということで、合計四十三億、こういうことになっております。
  15. 平林太一

    平林太一君 非常によくわかったのですが、それで三十一年度で新局舎ですね、新しく局舎をいわゆる増置する、増設するというような予定はどのくらいになっていますか、何カ所ぐらい三三。
  16. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 三十一年度だけで申し上げますると、ただいま申し上げましたように建物が百九十局、郵便局でございます。土地買収いたしますものが百十九カ所、その郵便局所要土地でございます。それが合せまして大体二十八億円になると思います。そのほか地方貯金局一カ所、地方簡易保険局等が一カ所、それから病院等が一カ所というのがおもな土地買収でありまして、建築の方で申しますと、郵便局が百九十局、新築増築、改築いたします。そのほかに地方貯金局で新造、改築合せて四カ所、保険関係で二カ所、病院診療所関係で三カ所、こういうものが大体入っております。そのほか職員国設宿舎といたしまして若干建造する予定でございます。
  17. 平林太一

    平林太一君 そうすると、それは三十一年度においての新局舎増設が百九十カ所を予定しておると、こう承知してよろしいですか。
  18. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) さようであります。
  19. 平林太一

    平林太一君 その種類ですね。たとえば都市の何というのですか、昔は一等……。
  20. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 特定、普通局……。
  21. 平林太一

    平林太一君 今は特定局、普通局といっておりますが、普通局、特定局内訳は大体わかるのですか。
  22. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 大体におきまして、特定局関係には支出負担行為を合せまして大体八億前後を予定しておりまして、それ以外は普通郵便局の方へ、昔の普通局の方へいく、そういう予定でございます。
  23. 平林太一

    平林太一君 そうすると、特定局の八億というのは現在既存しておる特定局に対する局舎増築とかあるいは修理、そういうものであるということですね。
  24. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) おっしゃる通りでございまして、新たに作る特定局ではございませんで、現在存在しておる特定局の中で、非常に古くなりましたものを増改築するというようなことを予定しております。
  25. 平林太一

    平林太一君 そうすると、特定局というのは昇格するということがあるんで、そういう性格のものと思うが、普通の無集配局というのが、昔のような集配しない局、それから集配をする局、大体集配局というのだが、そういうものはことしは予定いたしてありますか、新規に。
  26. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 大体におきまして、この郵便局舎等改善を八カ年間にわたって私ども一応めどを立てまして、三十年度から始めておるわけですが、その際におきましては、おおむね集配特定局でございますか、そこら以上のところに線を引きまして、そうしてその集配局の、集配特定局の中の極端に悪くなっている局舎というものをまあ作っていく、こういうふうに計画を立てておるわけでありまして、無集配局はほとんど計画の中に入ってない状態でございます。
  27. 平林太一

    平林太一君 そうすると、三十一年度において何かそれぞれその地方から申請してきた。そうして局舎の設置の要するに請願をしてきておる。そういうようなもの、それからそうでなくて郵政省自体がそれこそ地理的にみてこの地方には必要であるというようなことで、新たに新設を申告ですね、新局を予定しておるものがあるかどうか。
  28. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 予算上におきましては、大体五十局程度無集配特定局を新設するという心組みで運動しておるという次第であります。
  29. 平林太一

    平林太一君 無集配特定局の五十局、大へんけっこうです。それで何かこれはおもにそういう場合には、地方からの要望が、郵政省にはそういうことが提起されておることと思うが、そういうものはどのくらいあるか。
  30. 渡辺秀一

    説明員渡辺秀一君) 無集配特定郵便局を設置してくれという要望は非常に多いのでございますが、実はこれは地方から郵政局へ持って参りまして、郵政局の方で設置する基準がございますので、その基準に照しまして、われわれの方へ言って参ります関係上、われわれの方で全国的に何個所の希望があるという的確な数字をつかんでおりませんが、従来の郵政局の方へ参っておりますものはどう少く見積りましても二千、あるいはそれ以上の希望があるというふうに考えております。そういうふうな事情でございますが、そういう事情に対しまして、先ほどお答えいたしましたように、五十局という数字は、これは予算その他の事情上なかなかそうたくさんもいかぬものでございますから、そういうことになっておる次第でございます。
  31. 平林太一

    平林太一君 二千の中で五十局というのであるから、必ずしも要望にこたえたとは言いがたいわけだが、これはできるだけ一つ、むろんもう何千というようなことは要請できない。あるいは何百ということも不可能なことと常識上考えられるわけだが、できるだけこれは局舎をふやして、無集配特定局をふやしていくということは、郵政事業そのものにとどまらず、国民所得が年々増大していく、それに対して地方の金融機関等がきわめて少い。幸いにして無集配特定局は一応貯金専務を扱うし、また簡易保険を扱っておるので、ことにいわゆる国民の全体の零細な貯蓄というようなものについて大きなこれは使命をになうものだと思う。そういう角度から考えていきますと、無集配特定局をもっと幅を広く増強をして新設していくという方向に予算上の措置をいたすことがこれは大切だと思います。政務次官一つ今の答弁ができるかな。
  32. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) ただいまの無集配局集配局をできるだけ要望に従ってたくさん作ったらいいじゃないかというお説に対しましては、私どもさらに一段と努力をいたしまして、御協力を得まして、来年度の問題については言うまでもなく予算を獲得するように努力いたしたいと思いますし、三十一年度についても、場合によっては一カ所作るものを二カ所に作るような、予算の配分等もたとえば一カ所にたくさんの費用を入れるものを、少い費用で二カ所作り得るところがもしかりにあるとすれば、そういう工面もしていきたいというような努力をしていきたいと考えております。
  33. 平林太一

    平林太一君 それでは関係の当事者にお尋ねするが、今の次官の説明に補足してお伺いしたいと思う。僕の意図しているところは、貯蓄の増強、増大をはかるための全国的にまんべんなくこれが貯蓄のサービスが行われるということは、いわゆる特定集配局というものが、今日の他の市中金融機関等をみな総合して、特定集配局が一番使命を果しておる。果すということが従って堅実ないわゆる国民の貯蓄心というものをこれが裏づけしていくということで、政治的にも非常に大切な問題だと思うのです。そういう点で五十局というものが少いじゃないか。全体の予算の中からもっと差し繰りをして、もっとこれをふやしていくというふうに考えなければならぬ。それからついでながら当事者が来られておると思うが、現在の郵便貯金の総額、それから簡易保険の契約の総額、それから年間払込の総額、そういうものが三十年度の集計は出ていないと思うが、最も最近の統計というものを一つ示されたい、こう思います。
  34. 渡辺秀一

    説明員渡辺秀一君) ちょっと私から先生の御質問に対しまして政務次官のに補足的に御説明申し上げます。先ほどの私の言葉が若干足らなかった点もあると思いますが、二千カ所くらい希望があるだろうと申し上げましたが、これは実は希望でありまして、そのうちには今ある局と非常に近い所へ設置してくれとか、あるいはその局を設置した場合、その周辺の人口が非常に少いので、あまり利用価値のないようなところも、付近の方としてはやはりほしいものでございますから、いろいろ要望がございます。そういうようなものを合せまして、二千あるいはそれ以上あるだろうということを申し上げたわけでございまして、私どもといたしましては、今の標準を調べまして、そうしてあまり不便をおかけしない程度のところへ設置したい。つまり設置しないために御不便をおかけしないようにしたいという考えでやっておりまして、そういった面から見ますと、大体毎年私どもの方でここ数年三十ないし五十経度の局を設置しておりますが、それの倍程度あるいはもうちょっと上になるかもしれませんが、そういったものが各地方から要望されて参る、そういうような事情でありますとともに、いま一つ無集配特定局のほかに、御承知かと思いますが、簡易郵便局というものを設けまして、地方の方、の特に郵便局が設置していないところの方々の便宜をおはかりいたしております。そうしてこの簡易郵便局と申し上げますのは、これは何といいましょうか、その設置予定数につきましても、先ほどの無集配特定局が五十局と申し上げましたが、これはおよそその予定といたしましては百局くらい予定いたしておりまして、なお、それは無集配特定局ほど厳重には予定数を考えておりませんので、御要望がございますれば、この面は予定よりも事情によりましてはふやしていくといったような考え方にまあ無集配特定局と簡易郵便局と合せまして、極力利用者の方々の御便宜をはかっていきたいと、かように考えておる次第であります。
  35. 成松馨

    政府委員(成松馨君) ただいまお尋ねのございました郵便貯金の総額でございますが、三月十九日において本省で集計いたしました金額は五千二百八十七億でございます。それから本年度におきましての貯金の出し入れの問題でありますが、純増加といたしまして、私の方で手もとに集まりました数字は、やはり三月十九日現在でございますが、八百三十億になっております。
  36. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 簡易保険の最近の状況を申し上げますと、件数におきまして約四千三百万件でございます。契約いたしました保険金額の総額が一兆三百億ばかりございます。三十年度中に収入となって入りますものは、まだ集計できておりませんが、大体の予想で申し上げますと、九百億見当になるかと思います。保険上の収入でございます。
  37. 平林太一

    平林太一君 そうすると五千二百八十七億の郵便貯金の現在の預金総額、これは今日国民の所得が累年増大していく、六兆から六兆五千億、あるいは七兆と将来ではなっていくと思います。それからやはり簡易保険のことも、これはよほど御努力になっておると思うが、なお一そう努力なされますことによって、それを受け入れる国民の蓄積の資力と申しますか、こういうものが非常にあるので、十分な一つこれは力を尽されたい、こういうことをこの際申し上げておきます。従って郵便貯金の方の五千二百八十七億というようなものは、市中金融機関の預金の持っておりますものは、これはもちろん性質は違うが、いずれにしても三兆から四兆というような莫大なものを市中銀行は扱っている。ですからそれに比較して決してこの五千数百億というものは、非常な成功であると考えられないように僕は感じますが、なお、貯蓄の預金吸収のために力を尽されるように十分な一つ工夫をせられたい。しかしこれに対しては何か国の行政上、こういうようなことが、貯金を受け入れるために支障がある、隘路がある、こういうようなことがあれば率直に一つその点は承わっておきたい。むろん自力によってその増大をはかっていくというようなことをなさっておることは当然だが、しかしこれは少な過ぎると思う、僕の考えでは。五千何億というようなものはですね。もっとこれは吸収されて然るべきである、かように思います。この点一つ御答弁を承わっておきたいと思う。
  38. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 今先生お話がございましたように、郵便貯金と民間金融機関の資金蓄積の割合におきましては、確かに戦争前の状態と比べてみますると、郵便貯金の伸び方の方が非常に少いように感じております。ただ郵便貯金としましては毎年目標を立てまして、従来の実績はその目標以上を上回っておるという実績を立てたのでありますが、本年度におきましては、御承知のように、千百億の目標を立てたのでございますが、先ほど申し上げましたように、実績としては八百三十億というように、非常に結果としてはおもしろくない数字が出ておるわけでございます。こういうような原因につきましては、私どももいろいろ分析をしてみたのでありますが、従来になく本年度は悪かったということにつきましては、一応三十年の上半期におきましては、郵便貯金の利用階層でありまする勤労者階級の収入等も横ばいもしくは低下の状態であった、それからまた商工業方面もデフレの浸透の影響を非常に受けておったというようなこと、それから農村方面におきましては、農家収入が芳ばしくない、あるいは農業外収入が少かったといったようなことが原因であったと思うのであります。ただ下半期におきましては、そういう勤労者階級の所得も明るくなってきたし、今までにない非常な豊作であったというような点から、もう少し郵便貯金は伸びるべきものであろう、また伸びるであろうと、われわれ期待しておったのでありますが、これが期待に反しまして、割合に伸びなかったのでございます。と申しますのは、一つは、民間の金融機関の預貯金利子に対する課税免除という措置が講ぜられまして、これを契機としまして、非常に民間金融機関が宣伝を活発に行われた点、あるいはまた農村方面が豊作でありましたが、系統金融機関としての農協の活動が非常に活発であったという点が、郵便貯金に対して相当影響したのではなかろうか、このように考えております。もっとも私どもといたしましても、周知、宣伝といったような面について、なお反省すべき余地があろうかということも考えておるのでありまして、来年度といたしましては、ただいま先生お話にございましたように、財政投融資の面から見ましても、また郵便貯金事業経営の基礎をもっと確実にしていくといったような点からも、十分周知、宣伝あるいは施策の充実といったような方面に注意をいたしまして、御期待に沿うように努力していきたいと考えております。
  39. 平林太一

    平林太一君 非常に御熱心にやっておられることがよく承知せられるわけだが、一千億内外を予定いたしたと言っておるが、これは何か従来の事務的な、一つの系統的な観念的からできた一つの目標であって、非常に少い。三十一年度は、これはまあその倍の二千億あるいは三千億とかいうような一つの雄大な構想を立てられて、そうしてその目標が大きければ、やはりその目標に向っての、達成せられなくても、それだけの比率に必ず上っていくものだ、郵便貯金の場合は。それから今その説明中には、農村の事情があまり芳ばしくなかったと、こう言うが、昭和三十年の事態というものは、農村は空前の豊作だ、八千万石に近い米穀収入、増収があったということは、未曽有の増収であって、今日農村はみなかってない金を持っておる、それをこの金というものは、どうしても二つの何かそこに行為が出てこないと、預け入れるというような気持が出てこない。それに対しては市中金融機関というのは、実にあらゆる角度から宣伝あるいはその誘導というようなことに非常な力を尽しておる。だから郵便貯金の場合は、むしろ宣伝と同時に、国民のいわゆる蓄積資金の増大ということであるから、みなこれは納得のできることであるから、できるだけ一つ啓蒙宣伝というようなことにさらに力をいたされて、三十一年度はいやしくも、一千億が八百億でとどまることのないように、二千億ぐらいの目標を、僕は政治的にきょうそういうことを特に申し上げるのですが、一千億なんということは気宇狭小だ。もっと広い気持で二千億ぐらいを目標にして、そうしてそういうものを到達するように御処置をとることが必要だ。国民はそれだけの力は、日本の全体の力として持っておるというようなことを特に申し上げておきます。  それからそういうことにつけても、簡易郵便局というのは、この点はよく承知しなかったわけだが、これは当然貯金を扱っておるわけですか。簡易郵便局というのは、ちょっとその点を答弁を。
  40. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 私どもの周知の方法について、なお工夫の余地があることにつきましては、私ども自身も考えておりまするし、ただいま先生からもお話があった通りであります。農村は非常に今までにない豊作でございましたが、農業協同組合等がやはり系統金融機関といたしまして、相当貯蓄をさせましたので、従来に比べれば、郵便貯金をしておった人たちが、かなり相当その方面に流れたのじゃなかろうかという点が考えられるということを先ほど申し上げたわけでございます。  なお、気宇広大にやったらどうかというお話でございますが、私どももその気持でやりたいのではございますが、実はやはり目標を立てる場合には、ある程度過去の実績等も勘案しなければなりませんし、それから予算措置もいたさなければなりませんので、これは本年度は千百億に対しまして必ずしもいい成績でなかったという点を勘案し、またこの郵便貯金として集められた金は、資金運用部に預託をいたしまして、財政投融資の対象になるといったような面から、財政投融資としての必要な額ということも勘案しまして、それは三十一年度は九百九十億というものを一応の目標にしたわけであります。  それから簡易郵便局におきましても、郵便の普通の預入、払い戻し等は取り扱っております。
  41. 平林太一

    平林太一君 そうすると、簡易郵便局の貯金及びそれの払い戻しに対しては、他の特定郵便局と同様な、預金者に対する利便というものが同様に行われておるかどうか、その点ですね、それを二つ
  42. 渡辺秀一

    説明員渡辺秀一君) 簡易郵便局におきましても、貯金の受け払い、あるいは郵便の書留、あるいは小包等の受付、そういった大体無集配特定郵便局の取り扱うものと似たような事務を行なっております。
  43. 平林太一

    平林太一君 それは今の無集配特定局と似たようなことをやっておるというが、似たようなということでははっきりしないが、いやしくも預金者に対して、預金した者に対して預金上の何か最高の制限とか、あるいは払い戻しに対する制限というような、そういうもの、それから時間的に、何か資金の払い戻しの際に、資金に対する即時、要求された払い戻し金がその通りスムースにいっておるかどうか、そういうような処置になっているかどうか、その点伺ってみたいと思います。
  44. 成松馨

    政府委員(成松馨君) ただいま先生がおあげになりました点につきましては、普通の郵便局の場合と全く異なっておりません。
  45. 平林太一

    平林太一君 大へんけっこうです。ですからやはりそうなると、やはり簡易郵便局ですね、これは一局を新設するのに対してどのくらいの所要経費がかかるか。それから簡易郵便局の年間の所要経費というものはどのぐらいになるものですか。それから人員は簡易郵便局というものは、一定の人事のあれがあるわけですが、何人ぐらいをもって充当しているか。
  46. 渡辺秀一

    説明員渡辺秀一君) お答え申し上げます。簡易郵便局の制度と申しますのは、これは今の無集配特定局とは制度的には若干異なっております。特別な法律ができております。経営方法といたしましては、大体自治団体あるいは農業協同組合あるいは漁業組合といったような公法人、公共的な法人に経営を委託をすることを建前といたしております。そうしまして、これはどれくらいの人数が従事しているかと大体申しますと、先ほど申し上げましたように、いろいろと郵便局を設置してくれという御陳情がたくさんございますが、いろいろな事情を勘案いたしますと、その中には先ほど申し上げましたようにわれわれが見てさほど必要でもないというようなところもございますので、そのかわりといたしまして簡易郵便局のようなものを設置いたしたのでありまして、これは経営方法といたしましては、簡単に申し上げますと、請負といったようなつまり公共団体に一定の手数料を差し上げて郵便局の事務をやっていただくというのが簡易郵便局の構成でございます。従いましてわれわれのこれを設置いたしました目的といたしましては、結局たとえば市町村でありますと、市町村の役場の窓口の一部へそういった簡易郵便局を設置していただきまして、その役場の吏員のお方の手すきに扱っていく、われわれがそういう場合に想像いたしますのは大体そういう程度の事務量しかないだろうという考えで設置いたして参っております。従いまして現在干余り二、三百ございますが、多くは事務量というものは非常に少いのでございまして、従いまして最初私ども考えましたように、おおむねほかの事務の手すきでやっていける糧度の局ばかりである。経費につきましては今はっまりした数字を持っておりませんが、経理局長等の方からお答えいたさせます。
  47. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) お尋ねの簡易郵便局に対しまして支払いいたします手数料、これは大体その簡易郵便局取扱いまする貯金なり為替なりの一件あたり単価で大体積算してやっているのでございますが、本年度におきましては一千三百五局、これはすでにできている簡易郵便局でございますが、その外百局ぐらい三十一年度にふえるだろうという想定のもとに総額四千二百四十万円ほど、手数料として差し上げてございます。
  48. 平林太一

    平林太一君 そうすると一局平均はどのくらいになりますか。
  49. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 大体におきまして一局に郵便関係で手数料としては六千円ぐらい、貯金で二万四千円、それから保険で一万三千円ぐらいの一局当りいくのじゃないかという積算単価でやっております。
  50. 平林太一

    平林太一君 それは年間ですか。
  51. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) さようでございます。
  52. 平林太一

    平林太一君 そうすると、これは非常に大へんな零細なことになるようだが、それを今こうすると幾らぐらいに一局当り……。
  53. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 四千二百四十万円ほどであります。
  54. 平林太一

    平林太一君 いやいや一局平均年間……。
  55. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 大体四万三千円ほどということになります。
  56. 平林太一

    平林太一君 それでこれは、何か地方の公共団体であるとか、そういうような片手間にやられておるということの事情は非常によくわかったわけですが、それから郵便貯金と同時にこの電話事情はどうなっておりますか、その簡易郵便局は。
  57. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 簡易郵便局といたしましては、電話は受け付けておりません。
  58. 平林太一

    平林太一君 そうすると、これはさらに簡易郵便局をふやしていくということを僕の方は非常に希望するわけですが、電話は何か交換ということはむろんできないが、この簡易郵便局の中にはさらに電話を一本入れて、そうしてその地方の人がそれで通話ができるような施設をしていくような処置を特別にこれは処置したらよかろうと、こう思うのでありますが、なおこれは地方公共団体のみにとどまらず、個人の申請したものに対しては、やはりそういうことを許容するというような広い簡易郵便局の開放を今後していって差しつかえないと思う。そうしてそれに対する経費というものは今の四万円くらいではその個人の何としては非常にできがたいことと思うが、しかしその件数、あるいは保険というようなものが皆それぞれ活動することによって、それらの収入があり得るような方法ができるのであるから、そういうような処置を今後おとりになるような何か制度上にそういうことを工夫せられておるかどうか。またそういうような処置が一つの構想としてお考えになっておるかどうか、それを伺っておきます。
  59. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 簡易郵便局の設置されるようなところは、先ほどからお話がありました通り相当僻遠の地であったりいたしまして、その土地の公衆のために簡易郵便局を極力設けるように努力する、かつまた設けたからには、一つその扱いなどについてもいろいろと積極的に考え電話などについても一つ特別に処置したらよかろう、こういうお話でございまして、私たちといたしましても御趣旨に対しましては全く同感するところでございますが、現在扱っている簡易郵便局をどう拡張していくかということにつきましては、成案は持っておらない次第でありまして、お話を承わりまして今後その方向に研究を鋭意進めていきたいと、かように思っておる次第でございます。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先ほど郵便貯金の三十年度調達と申しますか、千百億の予定が八百何十億に減ったと、こういうお話でしたが、そういたしますと、かりに二百数十億の収入減であれば運用・の面に相当大きな影響を及ぼすと思うのですが、翌年度の繰り越しはわずかに百億でありますから、どこかに欠陥を生ずると思うのですが、その辺いかがでしょうか、どういうことになりましょうか。八百数十億と言われたが、ちょっと声が小さくよてくわからなかったのですが。
  61. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 千百億を目標としてやったわけでございますが、今年度の情勢から見まして、とてもそこまでいかないということがわかりましたので、大体八百八十億くらいまでいくのではないかということによりまして、資金厘用の方から経費の不足を補正によって補てんをしてもらったわけ一でございます。
  62. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私の伺うのはこれは大蔵当局に伺わなきゃならぬのかもしれませんが、かりに九百億とすれば二百億の収入減ですね、この資金運用の計画では翌年度の繰り越しが百二億ですから、二百億減れば百億そこに穴があいてくる。それは一体どこを補正するのか、こういう聞き方なんですが、あなたの方でおわかりにならぬかな。
  63. 成松馨

    政府委員(成松馨君) ただいまの御質問は財政投融資の方でどういう計画変更をしなければならぬかと、こういうお尋ねのようでございますが、これは大蔵当局に開いていただく方がもっと正確かと思いますが、私どもの聞きました範囲におきましては、一部開銀債に充てておったものを市中金融機関の方に肩がわりをしたということと、あとなお資金の必要部門について相当ズレがあるので、そのズレ等を勘案して考慮していきたい、こういうような話を聞いておるわけでございます。
  64. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、郵便局舎経費四十三億という点について伺うのですが、どうも私ども地方へ参りまして、その地方に似つかわしからぬ立派なものがある。何だろうと思えば郵便局だというようなことがよくあるので、この敗戦の日本の現状から考えまして、むろんぜいたくでもないでしょうけれども、やはり官庁の建物は、建てるとなるとどうもわれわれ民間人の目から見れば、ぜいたくなものが建つ傾向がある。こう思いますので、その辺一つ十分御注惹いただきたいということも一つ希望してお願い申し上げておきますのと、もう一点は暖房装置がある局舎、これは経常費の関係から、天井の高さというものは経常費に非常に関係があるわけ、ところが私が古いものでみましても、郵便局舎の天井の高さというものは必要以上に私は高いと思うのです。そこで石炭費の節約のために、むろん衛生上のことを第一に考えなきゃなりませんが、郵便局の天井の高さというものについて、もう少しやはり科学的に再検討する余地が十分あると、かように考えますが、その辺御研究になったことがあるでしょうか。
  65. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) おっしゃいました局舎の設計等につきまして、ぜ  いたくまたは過分なものがあってはいけないということでありましたが、十分戒心いたしましてその土地の地形に合いましたものでやって参りたいと、かように考えておる次第でございます。  なお、暖房につきまして中央暖等も、今までは大体においてある一定の規模以上の郵便局には中央暖房を持っていこうかというような方針もあったのでございますが、御指摘のように経常費、これがまた相当ふくらむことでもございまするし、暖かい地方におきましては必ずしも画一的に中央暖房でなくてもすむということは明白でございますので、最近私どもの中におきましても、各部局集まりまして、そういう中央暖房の設置の基準であるとかいうことを再検討するということで研究しておる次第でございます。なお、郵便局の作業室の高さという点につきまして私からちょっとあれでございますので、建築部長から技術的な見解を……。
  66. 小坂秀雄

    説明員(小坂秀雄君) 郵便局舎の天井の高さのことにつきまして、最近暖房のために天井が高いと非常にヒートロスが悪くて損だという御指摘、全くその通りでございまして、戦前の、昔の郵便局茶目には相当天井一の高いのがございまして、それは当時の建築は外国から直輸入でございましたので、とにかく立派にしようということに第一眼目をおかれまして、暖房とか衛生とか、そういうふうの経済面におきましてはあまり深く考慮されておりません。しかし戦後はあのアメリカの能率主翼の建築の傾向が非常に取り入れられまして、できるだけ暖房効果を上げたいということで民間の建物もそうでございますが、私どもの方の郵便局の建築におきましても、できるだけ天井を下げまして、それで暖房の効率を高めるように最近の局舎では計画してやっております。
  67. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私暖房を削って寒いところで仕事をしろという意味じゃないので、つまり一曹でいえば能率的にやってもらいたい、もっと極端にいえば、私の工場の経験でいえば、非常に経費が高くて天井の途中に布を張って石炭を節約した経験も私持っております。今の建築部長お話の古い郵便局にはずいぶん高い、まるでステーションの待合室みたいに高いのがありますが、これは経費との睨み合せですけれども、極端にいえば天井を一つ張った方が結局においていいんじゃないかということも私は多々あると思う、その辺は、時間もありませんが、一再研究課題としてお願いしておきます。  それからもう一つ局舎の方に非常に金がかかっているが、従業員の住宅の方には、一体どれくらいの予算で何戸くらいお建てになるか、現在どのくらいあるか。
  68. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 三十一年度だけの数字で申し上げますれば、先ほど申し上げますように、四十三億円のうち三億円を職員猪舎に入れます。こういうような計画になっておる次第でございます。このほかに実は各官庁にもあるのでありますが、組合法によります共済組合というものがあります。その方面でも若干程度建てまして、それを国が借り上げて職員宿舎に充てるという分が、そのほかに若干ございます。
  69. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 現在数と、三億円で何ぼ建てますか。
  70. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) この職員宿舎三億円は大体におきまして二百八十カ所土地買収する予定でございます、一万二千坪ほどを。建物といたしましては約四千坪の宿舎を建てる、つまり二百八十カ所に延べ四千坪の宿舎を建てる、こういう計画になっております。
  71. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 収容人員は。
  72. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) これはただいま数字を取調べますが……。
  73. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 現在数ともう一つ四十三億円の三億円ですか、局舎の方で計画ができれば家の方にもっと回してもらいたい。建設省関係の家の建て方というものはずいずん鈍いものですから、現業関係でみると、従業員の住宅関係を真剣にお考えになって、事務所の方はほとんどしんぼうできれば、できるだけ安くて済ませるという大体の方針を貫いていただきたいということを、この機会にお願いしておきたいと思います。
  74. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 住宅関係の数字は今取調べておりますので、現在数は後ほど申し上げることといたしまして、局舎関係でございますが、実は昭和三十年度、初年度といたしまして私たち郵政省関係としましては、八カ年局舎緊急改善計画というものを盛っておるのでございます。この三十一年度の四十三億円がその第二年度ということになっております。この大体計画を立てました理由は、御承知のように、戦争中及び戦後におきまして局舎の改修または新築というものが非常にストップされております。それからまた戦災を受けた郵便局舎は応急に建てたところが多うございます。このような関係から、専務能率とか職員の衛生上等から考え、あるいは公衆の利用状況から考えまして、どうにもしようがないというふうなものを大体拾い上げたものでございます。大よそのめどといたしまして建ててから四十年以上たった局舎、あるいは戦災の応急バラックだとか、都市計画その他によって立ちのきを行わなくちゃならないものを拾い上げて、この八カ年間に応急的に直そうという計画が立っておるのでありまして、おっしゃいますように、私ども郵政事業というのは人によってやる所でございますので、従事員の保健衛生、厚生ということに極力意を注がなければならない所でございまして、この点につきまして大いに努力いたしますが、今お話になりました局舎建設費の方から宿舎の方にもっとこれを増すということがどうも、四十年以上の非常に老朽化したものが多いというふうのことから、三億円以上ふやすということは非常にむずかしい現在の段階でごいざます。しかしおっしゃる通りでございまして、職員の宿舎等については鋭意努力して参りたいと考えております。
  75. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用は、資金運用部資金運用審議会のほかに、審議会にも諮問しなければならない、二重に諮問する必要があるのですか、ちょっときのう規則を見て、そういうふうに感じたのですが。
  76. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 郵政審議会に対しましての、それは一応郵政事業に対しまして重要問題を審議諮問するということに相なっております。正式にはやはり資金運用計画といたしまして、資金運用審議会に付議いたしまして、そこで御決定を願うということに相なっておるわけであります。
  77. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちょっと私規則をここに持っておりませんけれども積立金の運用もやはり郵政審議会に諮問するように何か規則にあるように昨日ちょっと読んだのですが、タブって一体審議するのですか、これはあとで伺ってみたいと思います。それから積立金運用規則第三条による有価証券投資というものがあれば、その内訳を承わりたいと思います。
  78. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 有価証券投資は現在認められておりません。
  79. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのは、電電公社の関係ですが、電電公社の中に出資金十四億円というのがあるのですが、これは一体どういうところへ出資しておるのですか。
  80. 高橋達男

    説明員(高橋達男君) この貸借対照表に上っております十四億円は、例の国際電電会社の株の売却金の未収金をあげております。正確な意味における出資金勘定ではないかと思います。三十二億の株式を渡しましてその中でまだ予算を編成いたしましたときは、ちょうだいいたしましたのが十八億しかございません。その残の十四億円を出資金勘定にあげた、そういうわけであります。
  81. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちょっと出資金という言葉はおかしいのじゃないですか、準備金ですね。
  82. 高橋達男

    説明員(高橋達男君) 仰せの通りでございます。
  83. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうしますと、この間株を売って約九億円入りましたね、そうするとこれが今勘定の上では、五億円ということになりますか。
  84. 高橋達男

    説明員(高橋達男君) さようでございます。
  85. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのですが、これはあとで資料としてお作りを願いたいと思います。財政投融資を電電公社建設資金としてもらったことがかつてあると思うのですが、最近たとえば十年なら十年間の財政投融資と建設資金の関係との一覧表みたいなものを作っていただきたい。全然もらったことがなければ作るに及ばないのですが、この辺もらったことがありますか。
  86. 靱勉

    説明員(靱勉君) 電気通信省当時におきましては預金部資金でございますか、あるいは例のグラントと称せられる見返り資金であるとか、そういうものを総額におきまして大体四百億か、それ以上になっておると思いますが、表はすぐできまずからお届けいたします。
  87. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それじゃ表を一つお作りいただきたいと思います。  これからもう一つ伺いたいのは、簡易保険及び郵便年金の原資とそれの利子、それからその利子の割合、それから運用収入の金額と割合、剰余金の金額とその割合、これを簡単な表にしてあとでいただきたいと思います。
  88. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 承知いたしました。  ただいまの簡易保険関係の資料は後刻お届けいたします。  それからなお先ほどお尋ねの宿舎の状況でございますが、現在国設、共済組合、それから民間の人のを借り上げたものを総合計いたしまして、一万一千百六十七一尺そういうことになっておりまして、国有の宿舎が五千三百九十四尺共済組合から借り上げておりますのが四千六十一戸、それから民間の人のを国が直接借り上げておりますのが千七百十二戸でございまして、合計一万一千百六十七戸でありまして、それに世帯といたしましては一万二千六百四十五世帯入っているわけでございます。たとえば私たちの方で三号宿舎と申しますのは、一戸の中へ独身者をたくさん入れるというようになっておりますので、この世帯の中には家族数は入っておりません。
  89. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 なお、三カ年計画といいますか、五カ年計画といいますか、従業員の住宅に関する年次計画というものはおありになりますか。
  90. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) きわめて大づかみのものは、大体の見通しは立っておりまするが、八カ年計画局舎に対するほど確定といいますか、めどをつけた数字は持っておりませんのでございますが、今後そういうことにつきましても、お話もございましたので、八カ年計画に即応いたしまして確立するように努力いたします。
  91. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 局舎には非常に御熱心だが、実は私はどうも住宅の方に熱心なんで、せめて五カ年計画でもいいですから、至急一つお立てを願って、そうして金をどうするか、事務所の方はどの程度しんぼうできるか、もう一ぺん再検討されて計画をお立て下さらんことをこの機会に郵政御当局に希望いたしておきまして、私のこれに関する質問を終ります。
  92. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 八木先生の先ほどの積立金運用計画の諮問の先でございますが、郵政審議会にかけなければならないという具体的な規定はどこにもないわけでございます。ただ儀礼的に重要な問題でございますので、一応お諮りをするということに相なつております。
  93. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 四百五ページに載っているのを見るというと、昭和二十九年度郵政事業特別会計の欠損金は四十五億余であります。それから三十年度のによって見るというと欠損金が四十億余円であります。それから三十一年度によって見れば三十四億、こういうふうにだんだんと欠損金が減じておるということは喜びにたえないのでありますが、一体いつごろになったらばこの欠損金がなくなる見込みであるか。
  94. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) お答え申し上げます。この欠損金が減りましたのが二十七年度から減り始めたのでありまして、と申しますのは、二十七年度からどうにか郵政特別会計というものが黒字の状態になりまして、それ以前は全く毎年赤字でございまして、その赤字が結局この貸方の方におきます他会計からの繰入金百二十三億、これがすべて、郵便料金が当時の物価政策によりまして引き上げられた。しかし一方職員のベース等は全体と歩調を合せて引き上げるというために、政府の方から、一般会計から特に繰り入れてくれということで、累積された金額でございます。これも当時の法律によりますと、無期限無利息でございますが、将来郵政事業会計が余剰を生じた場合においては、これを返せという無期限無利息のあれになっておるのであります。この二十七年度、あれは約七億前後でございましたか、それから二十八年度十四億前後でございましたか、それから二十九年が六億前後でございますか、それだけ剰余金が出ましたので逐次欠損金をあれしたのでございますが、さて将来いかように返せるかという問題は、きわめて私たちといたしますと、現在では悲観的な見通しを持っているわけでございます。と申しますのは、結局郵便利用状況というものが、今後八千万の国民にどの程度まで利用されていくだろうか。また部数がふえまして、料金が今まで通りとすれば、一方物がふえますれば、それを扱う職員もふやしていかなければならないというようなことから、大体大ざっぱに私どもが十年後を予想してみますと、もしも郵便料金が値上げなしで、そして国民の通信事業の利用状況は現在ぐらいの程度で伸びるものといたしますと、実は逆にまたまた郵所事業特別会計は赤字になるのではなかろうか、という大ざっぱな見通しを持っておる次第でございまして、私ども事務当局の者は、何とかして将来赤字経理になるような状況を生じさせないように、先ほど平林先生から貯金の増強とおっしゃられましたが、各方面の収入増加をはかりつつ、経費——人件費が大半でございますが、経費をおさえていかなければならないと思います。逆に赤字になるのではないかというような見通しを持っておりますので、非常に私どもとしては悲観的な見通しを持っておる次第でございます。
  95. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから、三十一年度郵政事業特別会計によってみまするというと、自己資本金は二百三十五億余であります。それに対して減価償却引当金が百十四億、固定資産評価積立金が百七十八億、こういうふうにやってみますと、自己資本よりも減価償却引当金と固定資産評価積立金の方が多くなっておるが、一体、これはどこまで評価積立金を積み立てるのか。
  96. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) お尋ねの点でございますが、そのうちの評価積立金の方は、実はおととしであったと思いますが、資産の再評価をいたしたのであります。もともと私たちの国有財産は取得価格で上っておるのでありまして、中には戦前のものがあるのであります。それが法律の定めるところによりまして資産再評価をいたしました結果、再評価益が出まして、それを資本としてそこに計上したわけであります。これは将来取りくずしがないことと思うのであります。一方、減価償却の方でございますが、これは大体において郵政省は現在年率三%、大体三十年、平均すれば三十年で現在の資産が償却できるということで年々償却積立をしておるのであります。従いまして、この資産の方、財産の方の建物は再評価した帳簿価格でございますが、これから減価償却積立金を引いたものが結局資産の現在額ということになるのでありまして、この郵政省でとっております減価償却率は、大体民間、官庁共通のそれぞれの資産ごとの償却率をとっている次第でございます。
  97. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、固定資産の再評価の積立金は、これはいつか自己資本か何かに繰り入れられる考えでありますか、あるいは積立金の処分方法はどう考えておられるのか。
  98. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) これは何と申しますか、結局資産の方が国有財産台帳上の評価になっておるわけでありますので、結局、これだけこちらの方へ再評価益というのを計上してあるにとどまるのでございまして、実際の固定資生の価格はその再評価額を加えた額には現在十分もちろん見合っておる次第だと考えておる次第でございます。
  99. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に、物品価格調整引当金というのですが、今度新たに国会に物品管理法案というのが出て、これによって皆さんは経理をやっていかなければいけないというふうなことになってくるというと、物品管理法と物品価格調整引当金との関係はどういうふうになっていきますか。
  100. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) この物品価格調整引当金と申しますのは、ご存じのように、私の方の物品というのは貯蔵品勘定というのを持っておりまして、現実に事業で使います場合には、その貯蔵品勘定というのから事業用品として払い出す。また事業の方で使っておりまして不要になった場合におきまして、それが廃棄すべき物品でない場合におきましては、これはまた貯蔵品勘定へ戻すわけであります。その際におきまして、若干の修理をした、あるいは品物それ自体の価格が上ったという場合におきますと、この貯蔵品勘定に繰り戻した場合において、そこに若干最初払っただけ以上の価格になっているときがございます。そういうものが大体ここに計上されておるわけでございます。
  101. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういうようなことになれば、今度の物品管理法が実施されるということになったらば、郵政事業の各方面の特別会計に対しては人件費その他によって増加せなくちゃできないのですか。あるいは減少して差しつかえないのであるか。この物品管理法と人件費の関係を承わりたい。
  102. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 物品管理法制定につきましては、大蔵省の財政制度審議会に私の方から委員を出して、いろいろ御相談を受けたのでありますが、御承知のように、あの内容でございますと、物品管理の機関、現在そういう名称のないものが置かれることになるのでございまするが、実体におきましては、これは物品管理法の物品管理官というものは必ずしも増員にならないで済むのではないか、また大体においてあの物品管理法は一般会計をおもに考えておられる一とまでは申せられませんけれども、私ども企業だけの在来のそういう物品管理につきましては、いろいろと制度的に考えておりましたので、あの法律事項によりまして増員をするということは必ずしも起らないのではないか、あるいは事務上において簿冊その他が若干ふえて、さような経費がふえるかもしれませんが、必ずしも大きいものではないではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  103. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今度は郵便貯金の特別会計、同じ問題になるかわかりませんが、二十九年度の欠損金が百四十三億余円、三十年度は百八十七億、三十一年度は二百三十七億、こういうふうに年々特別会計の赤字は増加しつつあるのでありますが、一体、これもさっき申し上げたように、将来はどういうふうになる見込みであるか。その見込みをお伺いすると同時に、年々赤字が増加したところの原因をお尋ねしたいと思います。
  104. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 事業経営の詳細につきましては、貯金局長からお話しするといたしまして、私から会計上のことで申し上げますが、現在郵政省郵便貯金をとりますと、それを預金部に預託しておりまして、三十一年度予算で申しますと、六分一厘の利息をちょうだいする、こういうことになっております。それからまた一方、に対しましては、平均いたしますると、三分何里になりますか、もちろん法定の利息を払うわけであります。そうしますと、郵便貯金事業といたしますと、集まった金を預金部に入れた利息と国民に払う金利の利ざやでもって事業経営できるならば、これはもう黒字と申しますか、順調な経理でございますが、現在におきましては、何といたしましても、その利ざやが、逆ではございませんが、非常に僅少でございまして、たしか昭和三十年の数字で申しますと、預金部から利息でもらうのが二百四十四億円ぐらいでございますか、そのうち国民に利子として支払いますのが百四十九億円ぐらいございまするから、そのマージンがわずか九千五億円ぐらいしかない。一方事業は百四十一億円ぐらいかかる。どうしても利息をもらうだけではやっていけないから預金部から四十九億ぐらいもらうというのが予算になっておると思います。これはおっしゃる通り赤字でございますし、この簿記上で欠損になっておるのでありますが、どちらかと申しますと、これは大蔵省の岩尾主計官とあるいは意見がなにかもしれませんが、銀行でありますと、信用を受けるのと授けるのと一緒になってなければ銀行でないと思う。ところが預金部の方は貸し付けて利息をとる仕事をやっておる。私どもは預けて利息を払う仕事をやっておる。従って会計は別にやっておりますから、私の方は赤字になっておりますが、もしそれが一体の銀行であったならば、これは預金部からもらっておる四十何億というものは銀行の中では一本でありますから、従いましてこれは欠損金としては考えたくないのであります。会計御記上からいいますと欠損ということで整理しなければならん、こういうことになっておりますので、毎年心々足らない分の預金部からの繰り入れ金が欠損金として累増してくるわけでして、これは将来私どもといたしましては、こういう名前で整理するのがいいかどうか、とくと大蔵省方面と御相談申し上げまして、いずれ国会の審議をいただく段階が将来くるのじゃないかと思うのであります。将来どうなるかと申しますと、大体貯金局長も申し上げましたように、戦前においての郵便貯金の現在高と、今日の現在高は名目的に違います。昭和十年の数字をとりますと、戦前は郵便貯金でもって三十二億円あったのであります。現在におきましては名目上で約五千億ということになったのでありますが、これは戦前の価値にいたしますと非常に小さくなる。そうしますと、戦前大体預金部に金を預けて利息をもらって事業が成り立っていた、それと同じような程度にもしも私たちが預金残高をとったならば赤字にならなくなるわけであります。それを今の数字で申しますと、一兆円くらい郵便貯金の預金残高が伸びることになりますと、おそらく版金部の普通の利息をちょうだいするだけで事業がペイするというふうに考えておるのでありまして、しかし一般の民間銀行が戦前に比較して現在約七〇%くらい程度までは回復いたしております。郵便貯金はまだわずか四〇%くらいしか回復しておりませんので、今後、先ほど平林先生がおっしゃいましたが、そういうふうに努めていかなければ欠損金という数字はなかなか直らないであろう、また直らなくてもこれを欠損金として扱うことがいいかどうかということが一つの問題であります。
  105. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 また同じことを……、簡易生命保険郵便年金も同じような数字が出ておりますが、保険勘定についてみてみれば、二十九年度年度だけの利益からすれば十四億、三十年度は十七億、それから三十一年度は四十三億、こういうふうに保険勘定は年々利益は上っているのですね。
  106. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) はあ。
  107. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これは保険の関係が契約高が自然皆さんの御努力によって増加したからこういうふうな利益が上った、こういうふうになりますのですね。
  108. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) はあ。の方は保険局長の方から申しますが、一応こと会計でございますから……、大体におきまして、保険事業は相当募集成績等も上っております上に、一方経費の方が最近の医薬その他の国民保健の進歩発達のため非常に死亡率が減ってきたというところで非常にいわゆる死差益と申しますか、予定死亡率以下に下回っておるというところによりまして利益が計上されてくる、これが非常に大きいところでございます。一方におきましては、終戦画後ほとんど壊滅に近かった保険というものが、この十年間におきまして、非常に従事員が努力してくれました結果、大体所期の新規契約を維持獲得してくれるというとところで、保険勘定の経理が順調に進んでおる、かような状況であります。
  109. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 三十年度の保険勘定によって見れば、予定損益計算表では二十一億の赤字になっておりますね。この関係はどういうふうになっております。
  110. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 二十九年度から年々黒字になりまして、剰余金が出ておるわけであります。三十年度予定損益計御書に二十一億何がしの欠損金と上っております。これはもちろん三十年度自体としてみますと、当然他の事情が変りなければ二十九年以上の黒字になるべきはずでございますけれども、ちょうど三十年九月一日から保険料率を大幅に引き下げをいたしました。これはサービス改善に極力努めろとこういう国会の御指示がございましたし、昨年九月一日から従来の剰余金等を充て、さらに当年度入ります剰余金も入れまして、そういったサービス改善をいたしたわけであります。そういう面から出ました赤字でございまして、実際の集計におきましては、従来の蓄積もございますし、必ずしも事業上これは欠損になっておらないというような実情でございます。
  111. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、昭和三十年度保険勘定ではいろいろの契約者に対するサービスのために、二十一億の欠損金が出たけれども、前年度からの繰越益その他を勘案すると十七億の黒字になる、こういうわけですか。
  112. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) さようでございます。
  113. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから郵便年金の問題でありますね。これも二十九年度は七千万円の利益、三十年度は五千万円の利益、三十一年度は六千万月余の利益、こういう格好になってくると、三十年度の利益が非常に少いのはどういうふうな理由ですか。年金も年々増加していると思っているが、三十年度は年金が増加せなかったとかなんとかいういろいろの理由があるのですか。
  114. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 別段にそういった年金の伸びにおきましては、三十年度が二十九年度より特に悪い、こういうことはなかったのでありますが、他面におきまして、いろいろ経費の面におきましては、二十九年度とはかなり違いましたいろいろ年金加入者に対するサービスの面で経費を出しております。そういうような関係もございまして、剰余金が二十九年度より減ったというようなことに相なっておるわけでございます。たとえて申しますと、今熱海に年金加入者のための加入者ホームを作っております。そういったものの経費増加が三十九年よりもふえました面が剰余金の減少と、こういう面で現われておるわけでございます。年金の新規獲得の面では年々好調を続けております。
  115. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういうようなことで、サービス的に施設をやったために減ったというのは、加入者全体に対しては毒ばしいことだが、そうするというと、三十一年度にはそういうふうな施設は全然やられない予定であるか、やる予定であるか、やってもさらに契約高が大きくなるからこれだけの利益が上るという見込みがあるか、その点お伺いしたい。
  116. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 三十一年度におきましてはもう熱海はすでに完成したわけでございますが、さらにもう一カ所作る予定でございます。しかし三十一年度所要の額はほんの一部でございまして、総額からいきましても約五千万円の予算が成立しておるのでございます。しかもこれは年金だけの負担でもございませんので、保険勘定からも出ますので、ほとんど剰余金の関係に影響するほどの支出が計上されておらないということでふえております。もちろん三十一年度の年金のそれは、三十年度を上回る成績を予想いたしておるのでございますが、大体そういう状態で剰余金がふえて参るということに相なっております。
  117. 平林太一

    平林太一君 電信電話のことに入る前に、郵便局舎の豪華なものを作ることは、できるだけそういうことの方針でないと、こういうようなお考えのようでありますが、そのお考えは、要するに局舎というものは、ある程度預金を吸収するためには、預金者に対する疑心感というものを心理的に与えておかなくちゃいかん。たとえば近来において市中金融機関が非常に堅牢な、また街頭に目を引くような建物を作っておる。こういうことは、一面何か非常にぜいたくというような考えもあるのであります。しかしそれよりもはるかに重大なことは、やはりこの預金をする人の心理的なものが、建物が悪いというとどうも不安心で、地方郵便局へ参りますと、特定郵便局というか、そういうような各町村にある、それぞれの地域に行ってペンキのはげたものは大ていこの郵便局なんです。そういうことが預金者の心理状態に何か非常な不安感を与えておる。であるから、やはりある種皮、庶民が自分のうちに置く金を金融機関にまかせるわけでありますから、やはりそれに対する安心感を与えて、また一面においては魅力を持たせるということは、きわめて預金吸収の方に必要なことであると考えられるわけです。ですから、あまり建物をきれいにするということに対して遠慮する必要はないと思うのであるが、(笑声)それは、市中金融機関の実情でよくわかるのですが、だから地方へ行きますと、郵便局へ預けようと思った人が、相当まとまった金であると、窓口まで行くとどうも何とはなしに不安心だというので銀行の方に回ってしまうと、こういう実例は、これは理屈ではなく、そういうことをしばしば聞いておるし、そうだなあということを、われわれは心理的に考えるわけです。ですからそういうことは一つ、大した額ではないのですから、木造の建物なんですから、現在全国にある郵便局舎のあまり腐朽したものとか、あるいはペンキのはげているようなものは、またはげてなくても、とりあえずこの際新しく塗っていただきたい。これは一カ月か二月で相当預金は増大するという見通しですから、(笑声)だからこの点一つ御注意申し上げておく。これは貯金吸収の秘訣だから、必ずそれは実現しますから……。どうも何か個人の経営であった建物ですから、その点市中金融のいわゆる大企業の建物には、むろんそのものに比較すべきものではないが、その点欠けているということを一つこの点御努力願いたい。  それから電電公社ですが、現在電話の市中で認められました売買価格が、施設費よりも非常に数倍して、一つの権利金というものが当然認められておるのであります。これもしかし電話の重要性にかんがみて、当然そういうことは避けられないことですが、この点は現在どの程度に全国的になっておるかということを、ちょっと一つ伺っておきたいと思います。
  118. 靱勉

    説明員(靱勉君) 非常に悪い言葉ですが、電話のいわゆるやみ値と申しますか、これは結局現在、本年度におきましても全国で百四十局ばかりは一個も電話はつかない。従いまして新たに局を建てまして設備を増強しなければ、加入できないというような状況になっておるところが直轄局で百四十局ばかりあるのでありますが、そういうようなところでありますと、あるいは二年、三年、場合によっては五年も電話がつかないということになりますと、どうしてもそこにやみ値というものが生じてくる。東京あたりにおきましては、中心地におきましては現在非常にいい状態になりましたので、私どもが負担金、公債等をちょうだいしているのと大体とんとんになっておりますが、軍票におきましても荻窪あるいは荏原方面に参りますと十万円か十五万円する、こういうふうな形になるのであります。それから売買譲渡というものは、これはよその国にはまず例のないところでございますが、またわが国のように社債やなんか持っていただくということもまれな例でございます。これは長年明治以来、わが国の電話が非常に加入者の負担によってつけるということで、国の資金があまり投ぜられなかったという結果、こういうような形になってきておりますが、何と申しましても現在非常に需要が多くて、毎年十九万程度つけて参りますが、需要に対して三〇%弱というものしか加入できない、これはまあ平均でございます。今申したような電話局が一ぱいのところは二年、三年、あるいは四年、五年と待っていただかなければならぬ、こういう状況になっておりますので、そういうようなところにおいては非常に高い値段が出てきている。こういうことで、全国的に一応調べたものはございますが、お手元に……、各所の場合を一々御説明できませんが……。
  119. 平林太一

    平林太一君 これは一応何か簡単な資料としてお出しを願いたいと思う。それで今も副総裁からのお話で私も大体了承いたしましたが、百四十局、これは公社の性格上、いわゆる一般会計としての措置ではこれが完備できないということで、これは公社にいたした本質がそこにあることは申すまでもないことであります。どうか一つ、これは公社根本的な使命として、できるだけ一つ百四十局に対しては加入者の要望を充実せしめて、そうしていやしくも今お話のやみ値というようなものがないようにいたすことが、いわゆる電話に対する最大の使命だと思いますので、それについての予算上の措置が、十分察せられますが、あらゆる角度からこれをせられたい。最近の一両年の状況から見ると、国有鉄道が五百億くらい赤字を出しておる。これは一割くらいの値上げか一割五分くらいの値下げをすると、直ちにこれが処理できるということであるが、国有鉄道の事情は何か平常何となしに政府あたりから風当りが強い、そうして当然しなければならない老朽腐敗した施設がそのままになっておって危険な状況にさらされておるのであるにもかかわらず、そういう一割ないし一割五分という値上げができないというような事態は、これはやはり平素の平常における国有鉄道の運営の中にそういうものがあるのでこれはできない。その点に比すると電電公社の場合はまことに評判がいい、であるから値上げをしてもあまり世間がきびしく当らないというようなことは、まことにその経営を非常に練達たんのうな副総裁がやっておると僕は信ずるわけであります。ですからなおさらそういうことを進めることについてはこういうやみ値というようなものがないように、施設の充実を鋭意一つはかるように進められたいと思います。それから電話の必要は、むしろ国力が充実してくるに従って国民めいめいが電話というものを使用するということは、単にそれが生活の中に入った必需的な要素であるということのみにとどまらない。それによっていかに国の産業それから生産というものが非常に、一つ電話増設するごとにそれだけに上っていくということをはっきり言われるわけですから、従って所得の増大というものがその施設によって期せられるわけでありますので、どうか副総裁はこの点は大きな一つ考えを持って、そうしてすみやかにやみ値というものがないように施設をやっていかれるように願いたい。  それから具体的には百四十局に対しての加入者希望にこたえるための所要の経費ですね、こういうものも今およそどのくらいあればよろしいのか、こういうことを一応大づかみのことだけでも伺っておきたいと思います。
  120. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答え申し上げます。非常に日本におきましては、先ほど申し上げましたように、電話のほんとうの需要に対しまして、政府機関として供給を十分していなかった、そういうような状況で、昭和二十八年度から公社になりまして五カ年計画を立てまして、年々五、六百億粗度の拡張整備をやるというような計画を立てまして、本年度は第三年度としてこれが終りまして、御審議願っておりますのは三十一年度の第四年目の予算でありますが、これは在来に比べまして五百五十億余りという非常に大きな建設資金を御承認願えることになるわけでありますが、従いまして、来年度としましては、局数にいたしましても五十局以上の局を新設していくというような状況になっております。私ども三十二年度の第五カ年の終末におきまして相当加入数も二百五十万くらいになると……これは戦前で最高が百万余りでございましたので、二倍半近くになるわけでございます。ことに終戦直後におきましては五十万足らずということでございましたから、ここ十年間に大体四倍ぐらい加入数がふえてきたということになっております。五年計画を完了すれば、終戦当時から比べれば五倍ぐらいな加入ができる、こういうような状況になっております。  そこで将来の見通しとしましては、三十二年度の五カ年計画が終りましても、なおやはり横滑と申しますか、現実に申し込まれて、その年度内につかない電話が四、五十万残るということで、これではまだ完全にと申しますか、充足率というものが半分にも達しないというような状況になっておりますので、公社としましては現在第二次五カ年計画を目下懸命に計画をしておるような次第であります。それにつきましては、やはり年々十九万から二十万程度の電話増設してゆくということにいたしまして、第二次五カ年計画が完成した上におきましては三百四十五万くらいの電話になる。しかしながらこれでも人口百人当りの普及率は大体百人につき五・五でございまして、現在のフランス、西ドイツ等に比べましても、現在のに比べて七年後におきましても低いのでございまして、世界の順位でいきますと、現在は二十二番目でございますが、第一次五カ年計画が終りますと十九番目ぐらいになる、現在に比べまして。さらに第二次五カ年計画が終りましても十七番目ぐらいでございまして、大体私ども人口百人当り八個程度の電話が普及するということが当面当然必要なところじゃないかと思っております。そこでただいま申し上げました第一次五カ年計画におきまして約二千七百億くらいの資金が投ぜられることになりますが、さらに第二次五カ年計画におきましても年々五百五、六十億程度のところを見当といたしまして計画しなければならぬという見込みを持っておるわけであります。大体五百六十億か六百億程度の資金というものを最も経済的にかつ今後におきます相当技術の進歩も期待いたしまして、建設資金をかなり安く考えてゆくというようなことによりまして、計画した工程はできるだけ実行上伸ばしてゆくというようなことによりまして、早く自然増の状態にまで持ってゆく。すなわち毎年たくさんの申し込んでもっかない電話を残すことのないようにいたしたいと思います。大都市の中心部は現在ある程度外国並みになって参ったのでございますが、今後におきましては第二次五カ年計画の方向、あるいは第三十二年度以降におきましては地方中都市、農村等の加入電話あるいは市外電設の設備を増強いたしまして、国民全体が電話の利用を大体公平に受けられるようにいたしたい。ただいまの状況におきましては、どうしても大都市重点主義にならざるを得なかったのでありまして、またその方面におきましては非常に収益性があったのでございます。予算としましては十五、六万という予算も、弾力条項が公社予算には認められておりますので、それにより加入者が増すことによって、あるいは負担金、社債等もちょうだいいたすというようなことで、実行上十九万程度架設してきてようやく現在までになったのであります。こういう状況でございますので、第一次五カ年計画に投ずる二千五、六百億の資金というものを第二次五カ年計画においても投じてゆきたい、こういう考えでおる次第でございます’、
  121. 平林太一

    平林太一君 大へんよくわかったわけですが、本年度で二百五十万になるわけで、現在では二百十万と、こういうふうに予承いたしておりますが、これがもし間違ったらあとで訂正していただきたいと思いますが、そのうち東京はどのくらいですか、それから名古屋がどのくらい、大阪が、これは一応大づかみでおわかりになれば、その三カ所だけを承知しておきたい、そして残余は、つまりこれが全国の加入者である、こういうことになりますので、都市と地方の、できるだけ地方にもこれが普及されるということを希望してそういうことをお尋ねしているわけですが、その点ちょっとわかりますか。
  122. 靱勉

    説明員(靱勉君) ただいま二百五十万と申し上げましたのは昭和三十二年度、第一次五カ年計画の終末期を申し上げておりますので、現在は二百十万くらい、本年度末で二百十万ちょっとのところかと思います。そこで東京におきましては、現在三十五万程度かと思いますが、大阪が大体その三分の一ということで、十一、二万くらいになります。名古屋は七万になっておりますか、そういう状況でございます。  それで大体私ども、先ほど申したように、大都市重点ということで、第一次五カ年計画の上半期は推進して参りましたが、需要に対する充足率から申しますと、必ずしも地方を非常に圧迫したということにはなっておりません。しかしながら、業態によりましては、地方におきましても非常に遠隔の地にある学校とか病院につかないというようなことがあったり、あるいは部落に一個も電話がないというようなことがあって、非常にこの点は私どもは早く改善いたしたいと思っておりますので、来年度予算からはそういう電話がまだ普及していない地域にかなり重点を置いていきたい。先ほどの御質問もございました簡易郵便局等にもまつ先に電話をつけていきたいという考えで、しかもこれは個人のあれというよりも、むしろ公衆電話式に部落中で皆さんで御利用できるようなことで、地方の需要に対しても対処いたしたい、こういう考えであります。
  123. 平林太一

    平林太一君 大へんよくおやりになっておられるようでけっこうですが、大体三大都市で五十万を若干こしておるわけです。残るのが現在百五十万余が全国に架設されてあるので、従ってこれは特に東京等において四十万近いものがあるのですから、ここは当然黒字になっておるのでありますが、そういうものを通じて地方へ、それぞれ赤字を承知で、地方に架設せられておるという意味も、今副総裁の御説明でよく了承したわけですが、どうかそういうことを積極的にやっていきたい。郵政事業、たとえば郵便局の、一本のはがきなり封書が、三軒か四海しかないいわゆる離れておる部落まで配達されていくという事態が、郵政事業にとって最も高く評価されるべき問題でありますので、先ほど簡易郵便局というような話がありまして大へんけっこうですが、それと同様に、それぞれの村にあるいは部落に一つあることによってその地方の者がどんなにこの電話の利便というものの恩恵を受けるかわからぬかということが、ない場合とある場合とを考えて、非常なこれは大きな問題だと思うのですが、できるだけ一つそういうような利潤を地方に還元をして、そして電話施設の完備をできるだけ一つはかっていこう、極力一つ願いたい、そういうことを強く要望いたしておきます。  それから大へん別な質問ですが、電話の番号簿です。こまかい問題ですがこれはちょっとしたサービスの注意でできると思いますが、今日の電話番号簿を見ますと、番地が入っていない、名前と、会本社なら会社の名前ということで番地がない。ことに地方の局などに参りましてもそういう狭いところはそれでよいが、これは電話番号簿というものは単に電話加入者の名前を知るということだけでなくて、非常ないろいろな方面にこれは便益を与えておるということは、今日、日本の国の各地に電話がある、こういうような性質のものからいきますと、もっと詳細にこれを記載されていいと思うのでありますが、番地が入っていないと思いますが、これは副総裁に問うような問題ではないか知れない。しかし実際はとにかく大切な問題でございますので、その点どうなっておりますか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  124. 靱勉

    説明員(靱勉君) 今後電話地方全体に普及させるという点につきまして、私どもまことにその通りと思いますので、今後最善の努力をいたしたいと思います。次に電話番号簿でございますが、これは今御説の通り加入者あるいは非加入者に対しましても非常に重要な、また利用の面も広いわけでございますから、、これにつきましてはもっと私ども改善していかなければならぬと現在思っております。そこで東京におきましては、最近におきましてかなり改善したような格好になったわけでありますが、まだ私ども決して十分だとは思っておりませんが、番地は東京では入れてあるのでございます。ただ地方におきまして御指摘のようにあるいは村等におきましては入っていない、あるいは町で入っていないところがあるか知れませんが、これらは番地まではっきり入れるのが当然なことと思いますので、そういう点につきましては至急次の番号簿から、番号簿を作るにつきましてはこれを入れるようにしたいと思っております。
  125. 平林太一

    平林太一君 今伺って東京のことは安心いたしましたが、地方の都市で番地がない、僕の地方を回った範囲で、入っていないのが数カ所ある。たとえば僕の回った甲府の電話簿は番地がない、全市で五千か六千でありますが、番地がない。大へんな手数のことではないと思われるが、番地が入りますと一般の人から便利がはかられると思いますから、特に一つ御注意願いたいと思います。  それで時間もありませんから何でありますが、それから最後に先刻の郵便局に対する建物を少しきれいにしたらということを申し上げたに対して、具体的なことをお答えされたのでちょっと申し上げておきますが、四十三億円というものが計上されますので、どうかこれは、施設建設費に対する四十三億円ですから、とりあえず全国の郵便局の数というものは一応きまっておりますから、これに対して一つ四十三億円のうちの一部分を、外郭をきれいにするということにお回しになるような予算上の処置を経理局長は御苦心願いたい。これはほかの方では建物を建て増すとか、そういうことは全体的にいってないが、たとえばあまり見苦しい外観を持っておるものに対してはペンキ塗りかえ程度でよろしいですから、全国的にお調べになられて、そうしてこの中の若干をお回しになられて、それに充当せられるようなことをこの際要望いたしておきますが、それに対して一応経理局長のお考えを明白にしていただきたい。
  126. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 平林先生の御趣旨よくわかりましてございますので、極力その方針に向って、実行上におきましても一つ努力いたしたいと思います。ただ中に、御承知の通り特定局郵便局舎の大部分は特定局長個人の所有物でありまして、それを政府が借り上げることで現在やっておりますが、その場合におきまして家主と私たちとの間の話し合いが相当いろいろこまかい点もございますが、しかし何といたしましても御趣旨通りにいたしたいと考えております。
  127. 平林太一

    平林太一君 それは個人の局長であればあるほど、これは自発的に一つ何か要請して、地方郵便局長というのは一応地方における財力といいますか、そういうことに対しては事欠かなくやっておるのですから、何か文書等をもってそうせよということは、ある程度のことはできると思いますから、一つそれぞれそういうような所有しておる郵便局長にそういうことを指示する、これは指示して差しつかえないと思いますから、そういうことは、向うがあまり何か感情的なことを考えられると、それは郵便局長として非常に誠意を欠いた態度でありますから、それを一つおやり下さるように、この際われわれ国会の方からこれに強い指示があったということで、一つお取り計らい願いたいと思います。
  128. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) おっしゃる通りでございますから、さようなことに措置いたしたいと思います。
  129. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 放送事業についてちょっとお尋ねしておきます。放送事業の普及徹底ということは、各方面において最も重要なことであるからこれを充実させていかなければならないのでありますが、実際の例から言えばNHKが地方で、たとえば地方の県庁の所在地で放送したものが末端までわからない。ためにときどきは暴風雨の大被害も受けなければならない、こういうふうなことが往々にしてあるのであります。ことに長崎県のようなところは非常に広範なところであるから、土地は非常に狭いけれども広いところにまたがっておるのであるから、なかなか通じないのです。こういうふうなところには何とか電波の力を強くして全体に通ずるような方法を講じていただかなければならない。また政府はそうするのが当然だというふうなことを、考えて、たびたび機会あるごとに話をしているけれども、一向にその実現ができない。一体こういうふうなところはどうされるおつもりなんです。
  130. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 電波管理局長からお答え申し上げますが、放送を日本全体があまねく受信できるようにすることはまことに重要な問題でありまして、そのことの実現のために私どもいろいろ骨折っているつもりなんでありますけれども、なかなかこれが御満足のいくようにまだこれが完全に行われておらないことを遺憾に思っております。今お話のごとく、ある地域においてその中心のようなところからの放送が聞えない。たとえば県庁の所在地からその県のはじつこにあるところの村落、都市等で聞えないという問題も地方にございます。これにつきまして、なるべくそれが御満足のするようにしていかなければならないということは私ども同感であります。また何とかしてこれが実現するように骨を折っておる次第であります。それで再免許がこの六月に行われるわけでありますが、その際に間に合うようになるべく研究を進めまして御要望に沿いたい考えであります。何分にも電波は数が少くて、たくさんな放送局ができましたために、この対策はそう簡単ではありませんで、混信問題、その他につきまして——国内の混信のみならず、海外からの混信もありますので、いろいろ当局としては骨を折っておりますから、もうしばらく御猶予を願いたいと思います。
  131. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 十分に御検討をお願いいたします。  それからもう一つ、最近では農業団体その他がラジオを使って、それによっていろいろの伝達をする傾向が多くなってきているのでありますが、そういうふうな場合にある一定の制限を与えられる方針がありますか、あるいはそれは希望があったらば無制限に認められる方針であるか、この点をお尋ねいたします。
  132. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 無制限に許可できるという性質のものではございませんで、やはり公共のためになるかどうかということを十分考えて、その順位に従って免許するという方針でいるわけでございます。
  133. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それは市町村役場あるいは農業団体、こういうふうなものが連絡をとって、一々手紙を出すよりも何時々々は何の放送だというようなことを定めてやるならば、経費の節約にもなるし、また一方においては伝達が徹底して、すべての政治方面その他に非常にためになるというようなことを考えて、そういうふうな希望を申し出たならば、ある程度許可される見込みであるかどうかというふうなことをお尋ねいたします。
  134. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 電波は今仰せのごとくきわめて便利なものでありまして、なるべく多くの人の御要望に応じて広く使えるようにしなければいけないと考えますので、しかしながら同時に公平な分配をするのが電波法の精神でございますので、そういうふうな御要望を十分にお聞きしまして、そうして皆さんの御満足のいくように合理的な配分をしようと考えております。
  135. 三浦義男

    主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか——なければ郵政省所管に関する質疑は終了いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      —————・—————    午後二時四十三分開会
  136. 三浦義男

    主査三浦義男君) 休憩前に引き続き、分科会を開会いたします。  大蔵省所管について御説明願います。
  137. 竹村忠一

    政府委員(竹村忠一君) ただいまから、昭和三十一年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び政府関係機関収入支出予算について御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は一兆三百四十九億二千二百五十二万円でありまして、これを前年度予算額九千九百十四億五千七百五十二万三千円に比較いたしますと、四百三十四億六千四百九十九万七千円の増加となっております。  以下、各部について簡単に御説明いたします。  第一に、租税及び印紙収入の総額は八千二百六十七億一千七百万円でありまして、これを前年度予算額七千七百四十八億一千八百万に比較いたしますと、五百十八億九千九百万円の増加となっております。これは、現行の税法によって算出いたしました収入見込総額八千二百六十七億四千四百万円から、今国会に提出の税制改正案による所得税の減税額百五十一億一千二百万円を差し引き、これに法人税、関税の増税額百五十億八千五百万円を加えたものであって、現行の税法によって見積った場合の収入見込総額に対して、二千七百万円の減収となっております。  次に、各税目別内訳を申し上げます。  まず、所得税につきましては、現行の税法による収入の見込額は二千七百七十四億四千三百万円となりますところ、租税負担の均衡化をはかるため、給与所得者の所得税負担を軽減することとし、給与所得の控除額を引き上げることによる減収額百五十一億一千二百万円を見込み、収入見積額として二千六百二十三億三千万円を計上いたしました。その内訳は、源泉所得税千九百九十六億二千九百万円申告所得税六百二十七億二百万円となっております。  法人税につきましては、現行の税法による収入見込額は二千百二億三千六百万円となりますところ、交除費課税の範囲の拡大及び退職給与引当金制度の改正による増収額八十八億四千八百万円を見込み、その収入見積額として二千百九十億八千四百万円を計上いたしました。  関税につきましては、現行の税法による収入見込額は二百五十五億一千四百万円となりますところ、砂糖に対する税率を引き上げることによる増収額六十二億三千七百万円を見込み、その収入見積額として三百十七億五千百万円を計上いたしました。  以上述べました税目以外におきまして、三十一年度に計上いたしました収入見積額は、相続税五十六億五千七百万円、再評価税三十五億五千八百万円、酒税千六百四十九億五千万円、砂糖消費税五百三十一億四千百万円、揮発油税三百七億二千万円、物品税二百八十七億七百万円、取引所税二億一千八百万円、有価証券取引税七億一千六百万円、通行税二十三億一千五百万円、トン税二億六千八百万円、印紙収入二百三十三億百万円であります。  以上租税及び印紙収入合計額は八千二百六十七億一千七百万円となっております。  第二に、専売納付金は千百二十七億一千三百十七万八千円でありまして、これを前年度予算額千百七十四億八千九百八十三万四千円に比較いたしますと、四十七億七千六百六十五万六千円の減少となっております。その内訳を申しますと、日本専売公社納付金千百二十四億六千百五十三万七千円、アルコール専売事業特別会計納付金二億五千百六十四万一千円となっております。  このうち、日本専売公社納付金においては、上級たばこの売り上げ不振が影響して、収益状況は伸び悩みの現状でありますので、今後新製品の発売、価格体系の整備、経費の節減等、増収対策に格段の措置を講じて、三十年度予算計画を下回らない業績を確保することを計画いたしていますが、それでもなお、たばこ消費税の税率が百十五分の十五から百分の十七に引き上げられること等の理由によりまして、新年度に比べ四十六億六千九百六十八万七千円の減少となります。  第三に、官業益金及び官業収入は百三十六億一千九百五十一万円でありまして、これを前年度予算額百二十二億五百六十万八千円に比較いたしますと、十四億一千三百九十万二千円の増加となっております。内訳を申しますと、印刷局特別会計受入金五億五千三百十三万七千円、病院収入百三十億六千六百三十七万三千円となっております。  第四に、政府資産整理収入は、七十七億二千二百六十七万四千円でありまして、これを前年度予算額七十一億四千六百六十二万三千円に比較いたしますと、五億七千六百五万一千円の増加となっております。そのおもなる内訳について申し上げますと国有財産売払収入四十八億一千七百七十四万一千円、特別会計整理収入一億一千八百九十八万五千円、公団引継債権整理収入一億八千万円、貸付金等回収金収入三億八千二百五十三万七千円、地方債証券償還収入二十一億一千三百四十六万一千円等となっております。  第五に、雑収入は三百六十億八千六百三万一千円でありまして、これを前年度予算額三百八十九億九千七十万四千円に比較いたしますと、二十九億四百六十七万三千円の減少となっております。そのおもなる内訳について申し上げますと、国有財産貸付収入十八億三千三百五十一万九千円、共有船舶利用収入七億八千七百七十四万九千円、利子収入六億四千三百六十万二千円、日本銀行納付金五十五億二千二百万円、日本中央競馬会納付金九億九千七百十万円、恩給法納金及び特別会計等恩給負担金七十六億八千五百六十六万二千円、授業料及び入学検定料十七億一千六百九十二万六千円、免許及び手数料五億七千百七十七万五千円、懲罰及び没収金十一億二千四百八万九千円、弁償及び返納金九億五千五百五十五万七千円、刑務作業収入二十億六千九百三十八万二千円、物品売払収入二十一億二千三百五十二万六千円、特別調達金受け入れ十八億五千三百七十七万八千円、雑人七十三億五千七百五十七万五千円等となっております。  最後に、別年度剰余金受け入れにおきましては、昭和二十九年度の決算によって生じました剰余金から昭和三十年度への繰越歳出予算額の財源に充当した金額を控除した歳計上の純剰余金三百八十億六千四百十二万七千円を計上いたした次第であります。  次に、大蔵省所管の一般会計歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十一年度大蔵省所管一般会計歳出予算額は千二百四十二億九千九百十七万円でありまして、これを前年度予算額千四百三十九億五千六百四万一千円に比較いたしますと、百九十六億五千六百八十七万一千円の減少となっております。この歳出予算額を、まず組織に大別いたしますと、大蔵本省千十六億八千百四十万七千円、財務局十九億五千七百六十二万七千円、税関十七億六千四百九万三千円、国税庁百八十八億九千六百四万三千円となっておりますが、これを、さらに組織別に、おもなる事項に分けて御説明いたしますと、次の通りであります。  大蔵本省におきましては、大蔵省設置法に定める本省内部部局の一般事務を処理する等のため必要な経費として、大蔵本省の項に十億九千七百九十七万二千円、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法に基き、旧陸海軍共済組合及び外地関係共済組合等からの年金受給者に対する年金の支払いと、これに伴う事務費を非現業共済組合連合会並びに日本製鉄八幡共済組合に交付するための必要な経費として、非現業共済組合連合会等補助交付金の項に十五億一千二百三十二万五千円、日本国有鉄道、日本電信電話公社及び資金運用部特別会計へ、その国庫預託金についての利子を支払うため必要な経費として、国庫受入預託金利子の項に二億五千六百十万円、国債償還の支払いに充てる財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため必要な経費として、国債償還の項に百五十七億一千四十五万八千円、国債利子、借入金利子及び大蔵省証券発行割引差額の支払いに充てる財源を国債整理基金会計へ繰り入れるため必要な経費として、国債利子の項に二百二十六億五千九百四十九万一千円、国債等の事務処理に必要な手数料及び事務費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるための必要な経費として、国債事務取扱費の項に一億六千三十一が三千円、国家公務員のための国設宿舎に関する法律が施行され、宿舎制度の一元的な規制のもとに宿舎の設置が行われてきたが、なお引き続き実施するため必要な経費として、公務員宿舎施設費の項に十億二千万円、別に、今国会に提出いたしております国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に基き、一般会計所属の固定資産のうち、住宅の用に供する土地及び家屋にあっては貸付料収入見込額の一九・六%、その他のものにあっては貸付料収入見込額の一七・四%に相当する額を、当該固定資産の所在する市町村に交付するため必要な経費として、国有資産所在市町村交付金の項に二億五千百四十万四千円、政府資金に必要な経費として、日本海外移住振興株式会社に一億二千五百万円、奄美群島復興信用保証協会に二千五百万円、株式会社科学研究所に一億円、計二億五千万円を、政府資金の項に計上いたしております。  なお、安全保障条約に基く合衆国軍の駐留及び日米相互防衛援助協定の実施に関連し、わが方で支出を必要とする経費として、防衛支出金の項に四百五億六千五百万円、旧連合国に対する賠償の支払い、旧連合国もしくは旧連合国人の本邦内財産の戦争損害の補償、その他戦争の遂行もしくは連合国の軍隊による占領の結果、またはこれらに関連して負担する対外債務の処理の財源に充てるため、昭和三十一年度において新設される賠償等特殊債務処理特別会計へ繰り入れるに必要な経費として、賠償等特殊債務処理特別会計へ繰り入れの項に百億円、予見しがたい予算の不足に充てるための経費として、予備費の項に八十億円等を計上いたしております。  次に、財務局におきましては、大蔵省設置法に定める財務局所掌の一般事務を処理する等の経費として、財務局の項に十九億五千七百六十二万七千円を計上いたしております。  次に、税関におきましては、大蔵省設置法に定める税関所掌の一般事務を処理する等のため必要な経費として、税関の項に十三億八千四十六万三千円、保税地域その他関税法規上特殊の取扱いをなす場所等において、税関事務の一部を処理するために派出する税関官吏に必要な経費とし、て税関派出諸費の項に三億三千百五十八万一千円等を計上いたしております。  次に国税庁におきましては、税務官署の項に、大蔵省設置法に定める国税庁の一般事務を処理するため必要な経費として百四十九億二千二百九十三万六千円、直接税及び間接税調査事務等に必要な経費として十五億五千六百二十五万四千円、酒類の密造取締りに必要な経費として一億一千四百二万七千円、調査査察事務に必要な経費として一億八千百二万七千円、徴収管理事務に必要な経費として三億六百五十万一千円等を計上いたしております。  なお、税務職員を養成するとともに、職員を再教育して徴税技術の向上をはかり、あわせて税務職員の教養を高めるため必要な経費として、税務職員養成訓練費の項に一億八千五百五十二万三千円、租税収入を確保するため、滞納の整理及び差押物件の処分等の措置実施するに必要な経費として、滞納整理費の項に四億八千九百九十三万二千円、内国税の過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基く還付金に対する加算金に必要な経費として、組税還付加算金の項に十億円を計上いたしております。  次に、昭和三十一年度大蔵省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも十七億七百七万五千円でありまして、これを前年度予算に比較いたしますと、歳入歳出とも八千五百二十四万円の増加となっております。  増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、製造経費増加に伴う資金より受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、原材料地金購入に必要な経費増加によるものであります。  印刷局特別会計におきましては歳入五十二億六千七十一万八千円、歳出四十六億四千九百三十万一千円、差引六億一千百四十一万七千円の歳入超過となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において二億六千九十九万七千円、歳出において一億九千八十六万七千円を増加いたしております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、日本銀行券の製造数量の増加によるものであり、歳出におきましては、これに伴う製造経費増加によるものであります。  資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも六百十九億八千八百六十八万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも七十六億四千七十一万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもな理由は、歳入におきましては、資金運用部資金の運用による利子収入増加によるものであり、歳出におきましては、郵便貯金その他の預託金に対する利子の支払い及び郵便貯金特別会計歳入不足を埋るため同会計へ繰り入れるため必要な経費増加によるものであります。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも四千五百二十七億二千九百十二万五千円でありまして、これを前年度予算に比較いたしますと、歳入歳出とも千八百六十五億三千三百三十二万七千円の増加となっておりますが、その内訳は、債務償還費において千八百八億四千十一万一千円、国債利子、借入金利子及び短期証券割引差額において五十六億六千五百二万六千円、国債事務取扱諸費において二千八百十九万円の増加となっております。  貴金属特別会計におきましては、歳入歳出とも一億七千四百五十五万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも二億七千八百三十五万九千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、前年度剰余金受け入れの減少によるものであり、歳出におきましては、金地金買い入れに必要な経費の減少によるものであります。  外国為替資金特別会計におきましては、歳入歳出とも一八十八億一千六百七十七万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも二十六億八千二百六十五万七千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、外国為替等の運用による収入増加によるものであり、歳出におきましては、一時借入金等利子支払いに必要な経費増加によるものであります。  産業投資特別会計におきましては、歳入歳出とも百八十六億四千九百五万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも五十二億四千八百七十五万二千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、特殊物資納付金処理特別会計よりの受け入れがなくなったこと並びに前年度剰余金受け入れ収入の減少によるものであり、歳出におきましては、産業投資に必要な経費の減少によるものであります。  経済援助資金特別会計におきましては、歳入歳出とも三億六千八言六十六が三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも二十三億七千七百七万四千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、援助資金受け入れ収入のなくなったことによるものであり、歳出におきましては、援助資金支出に必要な経費の減少によるものであります。  余剰農産物資金融通特別会計におきましては、歳入歳出とも二百十五億三千六百六十三万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも六千六百三十七万円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、借入資金の運用による利殖金収入の減少によるものであり、歳出におきましては、予備費計上額の減少によるものであります。  賠償等特殊債務処理特別会計におきましては、歳入歳出とも二百二十億十万円を計上いたしておりますが、この会計は本年度新たに設置いたしたものでありまして、歳入におきましては、賠償等特殊債務の処理に必要な経費財源に充てるため一般会計より受け入れ、及び今国会に提出いたしております賠償等特殊債務処理特別会計法案の定めるところに従い、一般会計における昭和三十年度決算上の剰余金より受け入れる収入を計上いたし、歳出におきましては、旧連合国に対する賠償の支払い、旧連合国もしくは旧連合国人の本邦内財産の戦争損害の補償、その他、戦争の遂行もしやは連合国の軍隊による占領の結果またはこれに関連して負担する対外債務の処理に必要な経費等を計上したものであります。  最後に、昭和三十一年度大蔵省関係の行政府関係機関収入支出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  日本専売公社におきましては、収入二千四百三十四億五千五十六万六千円、支出千四百十億四千七百八十四万九千円、差引収入超過額千二十四億二百七十一万七千円となり、これに昭和三十一年度における資産増加額百十二億六千三百三十六万七千円を加算した千百三十六億六千六百八万四千円が事業益金となるのでありまするが、これより固定資産増加額十二億四百五十四万七千円を控除いたしまして、専売納付金は千百二十四億六千百五十三万七千円となるのであります。これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において三十三億四千五百四万六千円、支出において百六十五億四千六百二十一万四千円をそれぞれ増加し、差引収入超過額において百三十二億百十六万八千円、専売納付金として四十六億六千九百六十八万七千円をそれぞれ減少しております。  以下、たばこ、塩及びショウノウの各事業につき、おもな事項の概略を御説明いたしますと、たばこ事業におきましては、三十一年度における製造数量は千百七億本、販売数量は千百億本でありまして、前年度における製造数量千百十七億本、販売数量千九十七億本に比べますと、製造において十億本を減少し、販売において三億本を増加しております。たばこ事業予算額は、収入二千百八十三億三千四百三十九万二千円、支出千百二十四億七百九十三万九千円、差引収入超過額千五十九億二千六百四十六万三千円となっており、これを前年度予算額収入二千百九十七億七千八百十七万九千円、支出九百八十八億五千七百四十九万七千円に比べますと、収入において十四億四千三百七十八万七千円を減少し、支出において百三十五億五千四十三万二千円を増加しております。  塩事業におきましては、三十一年度における収納及び購入数量は、内地塩五十六万五千トン、輸入塩二百三十万トン、計二百八十六万五千トン、塩の売払数量は、一般用境面十七万六千トン、工業用塩百五十五万トン、計二百七十二万六千トンでありまして、前年度予算におきましては、収納及び購入数量は、内地塩四十八万トン、輸入塩百九十五万トン、計二百四十三万トン、売払い数量は、一般用塩百二万七千トン、工業用塩百三十五万トン、計三百三十七万七千トンとなっております。ただいま申しました一般用塩数量のうちには、純食料用及びその他の用途のもの若干を含んでおります。塩事業の予額額は、収入二百四十一億四百三十一万九千円、支出二百四十六億六千八百九十一万七千円となっており、これを前年度予算額収入百九十三億一千九百五十四万三千円、支出百九十四億三千六百六万九千円に比べますと、収入において四十七億八千四百七十七万六千円、支出において五十二億三千二百八十四万八千円をそれぞれ増加しております。  次に、ショウノウ事業予算額におきましては、収入十億一千百八十五万五千円、支出十億三千五百十万一千円となっており、これを前年度予算額収入十億七百七十九万八千円、支出十億三千四百一万円に比べますと、収入において四百五万七千円、支出において百九万一千円たそれぞれ増加しております。  二、国民金融公庫におきましては、収入四十億八千四百二万七千円、支出三十四億七百六十五万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において七億九百九十三万八千円、支出において六億百七十万四千円を増加いたしております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量による事務費の増加によるものであります。  三、住宅金融公庫におきましては、収入五十七億六百三十九万七千円、支出五十五億四千六百六万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十二億三千二百八十七万二千円、支出において十五億八千九百七十一万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入増加によるものであり、支出におきましては、業務増量に伴う事務費及び借入金利息の増加によるものであります。  四、農林漁業金融公庫におきましては、収入五十六億五千六百五万五千円、支出五十五億二千七百十八万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十億九千五十四万円、支出において十二億一千七百十七万四千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入増加によるものであり、支出におきましては、業務増量に伴う職務費及び借入金利息の増加によるものであります。  五、中小企業金融公庫におきましては、収入四十六億二千二百六十九万八千円、支出四十一億五千七百五十八万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において八億九千四十五万三千円、支出において十億五百七十九万九千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う事務費の増加によるものであります。  六、北海道開発公庫におきましては、収入二億六千二百五万四千円、支出二億三千九百六十二万九千円を計上いたしておりますが、この公庫は本年度新たに設置いたしたものでありまして、収入におきましては配当及び受取利息等による収入を計上し、支出におましきては事務費及び支払い利息並びに債券取扱費に必要な経費等を計上したものであります。  七、日本開発銀行におきましては、収入二百三十七億七千百四十四万六千円、支出九十六億八千七百四十万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二千六百三十八万四千円を減少し、支出において五億六千五十五万四千円の増加となっております。収入において減少いたしましたおもなる理由は、有価証券益の減少によるものであり、支出において増加いたしましたおもなる理由は、借入金利息の増加によるものであります。  八、日本輸出入銀行におきましては、収入二十五億四千万九千円、支出十九億二千九百二万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において八億六百六十四が六千円、支出において五億五千七百四十四万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におき、ましては、貸付金利息収入増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息の増加によるものであります。  以上、昭和三十一年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び政府関係機関収入支出予算について、その概要を御説明いたしました。
  138. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御質疑はありませんか。
  139. 青木一男

    ○青木一男君 主税局長に、もし衆議院の方が済んだら出席を要求したいと思います。
  140. 三浦義男

    主査三浦義男君) はい。
  141. 青木一男

    ○青木一男君 私は予算の正しい執行の根本について若干大蔵大臣にお伺いしたいと思います。結局大蔵事務当局のなしておる行為についての批判になりますが、私は元来貴族院時代からそうでございますが、自分の出身の役所の諸君を意地の悪い質問をしたり、困らせたりするようなことを好まない人間であることは、諸君よく御承知の通りと思います。しかし、それにもかかわらず、私がこの際あえて意見を述べて反省を促がしたいと思う点があるのは、よくよくのことだと承知をしていただきたいのであります。  会計法令及び税法の解釈等に関する問題が多うございますから、大蔵大臣には大綱の点について、特に大蔵大臣にはこの点だけお答えいただけばけっこうでございます。その他はそれぞれの政府委員よりの答弁でよろしゅうございます。しかし重要でございますからして、大蔵大臣に聞いておっていただきたいと思うのでございます。  毎年、会計法違反なり予算の不正不当の支出というようなことが非常な件数に上って、会計検査院の指摘を受けた件数も莫大であり、金額も莫大でございます。国会の決算委員会において常に問題になっていることは、まことに遺憾しごくでございます。そこで私はこの違反の跡始末の問題、会計検査院の仕事は、事件ができてからあとで摘発するのでございます。決算委員会もあとで非難をするのでございます。私はそういう事後の摘発や警告よりか事前にそれを防止することがさらに一そう大切な手段であると思いますが、大蔵大臣のこの点の御所見を伺いたいと思います。
  142. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) いや全くごもっともで、従いまして、その点につきましても、特に経理担当の職員等の訓練と申しますか、それは特に研修をさせるということにいたしまして、予算も計上した。まあ一年、今すぐにきまるようものが、三百人くらいなものを訓練しております。できるだけ、単に事後の起ったことの処理、それも必要でありますが、またそれによって、さらに新しくこういう不正不当等が発生することのないように、何といいますか、根本において事前にこういうことが起らないようにしていくにはどうしたらいいかということを、事務当局にも命令を出して、研究調査をしているわけであります。
  143. 青木一男

    ○青木一男君 予算の正しき施行については、ただいま大蔵大臣から御所見がございましたが、大蔵大臣は法令上特に重い責任を負っているのでございます。それは会計法第四十六条、大蔵大臣の各省各庁に対する予算執行の監督権、あの一条を見ただけでもおわかりだと思います。その他財政法第三十三条、第三十四条、第三十五条、第三十六条、第三十七条、第四十三条、会計法十三条の三、十三条の四、十八条、三十九条こういうような規定はすべて、法令上大蔵大臣が予算の施行の正確についての重き責任と権限を与えておる法規でございます。こういう点について、私は大蔵大臣としては、この法令の精神から見ても、一段と下僚を督励して、この任務を遂げなくちゃいけないと思うのでございますが、この点の大蔵大臣の御決心のほどをお伺いしたいと思います。
  144. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 全く同じ考えであります。
  145. 青木一男

    ○青木一男君 予算執行適正の第一歩は、憲法付属法令であるところの財政法令、会計法令の尊重及び順守にあると思うのでございますが、その点についてはいかがお考えでございますか。
  146. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) さように存じます。
  147. 青木一男

    ○青木一男君 過日私が予算委員会において牧野法務大臣に質問をしたとき、たしか大蔵大臣はおられたと思いますので、お聞きになったと思います。その中に、私はこういう質問を法務大臣にしておるのです。この会計法令、税法に関する訴訟において、国の指定代理人、すなわち法務大臣の指定した代理人、これは多く各省の官吏がなっておるが、こういう問題については法務省と大蔵省の職員が指定代理人になっておりますが、これらの諸君が法廷において会計法なり税法なりの解釈を主張するのを見ておりますと、実にわれわれ立法府につながる者として、あるいはわれわれ在野の法曹界の一人としてみて、実に驚くべき詭弁を弄し、法の正当なる解釈をゆがめて主張しております。これは訴訟に勝たんがためであるのでございます。私は国の訴訟というものは、国民の間の訴訟と違って、ただどんなことをしても勝てばいいというのではなくて、法令の正しき解釈を裁判所と協力して確立することが第一前提である。法の解釈をゆがめてしまってそれで訴訟に勝って、何が残るかということを確信しておるものでございますが、その弊害が実に、私として職務上体験したものばかりでも、実に数が多うございます。それでは一体国の訴訟、法務大臣が一手に引き受けて、そういう訴訟をやる任務と背馳するのではないか。まず第一に法令の正しき解釈を確立する、運用を確立するということが、そういう訴訟の場合の第一任務でなくちゃならないと思うがどうか、こういう私は質問をしたのでありますが、それに対して牧野法務大臣は、こう答えております。「これも全く残念ながら同感でございます。恥じ入ります、いろいろの事例のあることを。そしてすでにこのことは御指摘ある前に省議におきまして私がこのことを申しまして、国というものは是が非でも訴訟において勝たなきゃならぬことはない。法の正しい解釈を同法廷で明らかにするということを精神にして、勝つことを目的としなくて、法の精神を明らかにすることを目的としてくれと言いましたところが、幸いに訟務局長を初め皆が同意を表してくれました。従って過去に恥かしい事例があればそれは忘れて下さい。今後はさようなことのないように努めたいと存じます。」、こういうふうに法務大臣が答弁されて、私は非常に満足して、ぜひそのように一つ下僚に徹底するようにしてくれという希望を述べて、私の質問を終っております。この政府の訴訟、ことに大蔵省としては、会計法令、ことに税法の関係の訴訟の場合の態度として、一体大蔵大臣はどういうふうにお考えになるか、その点伺っておきたい。
  148. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 大蔵省としては、申すまでもありません、正しい解釈、正しい主張、特にこれらの解釈を故意に曲げて、何でもかんでも勝てばいいと、そういうような態度はとっていることはこれはないと思います。またそういう態度をとりましても、結局これは裁判ですから、裁判によりまして、とうていそういう主張が通るわけでもありません。ただ、しかし国であっても、主張すべきことは私は堂々と主張していい、かように考えております。
  149. 青木一男

    ○青木一男君 今大蔵大臣は、間違った主張をしても、裁判所があるから、通るはずはないという御見解を述べられた。それは大局的にそういうふうにお考えになるのももっともなんです。ところが、実例を申しますと、税法とか会計法令のような行政法令の解釈、及び財務並びに会計の実務については 裁判所は何といっても慣熟しておりません。ややもすれば、国の指定代理人たる行政府の役人の主張を重く見る傾向があります。これは一応それらの人々は専門的知識があると思うのだという、政府の役人のことであるからして嘘は言わないだろうと、こういうように一応信ずることが、私は大きな原因だろうと思います。現にこれから私具体的にお尋ねしようという問題につきましても、そういう意味で、第一審の裁判所は、国の代表者の言うところを信じて、判決している。その内容は後に申し上げますが、そういう点において、私は国の指定代理人の責任は大きいのです。そういうところが、大蔵大臣なりあるいは上司の考えていることと違ったことを言って、それでもしそれが判例にでもなったらば、その責任は一体だれが負うのか。ことに国会が法律を審議する場合、そんなことを夢にも思わない結論がもし判例として出たならば、しかもその判例のもとは、もし国の指定代理人が主張したために通ったとすれば、実に責任は重大である。こういうことを私は憂えて、特にその点を申し上げているのであります。  それで、どうして私が特にこういうお尋ねをするかというと、法務大臣があのりっぱな言明をされて、私も非常に富んだのでありますが、その二日後に私は実に驚くべき書類を手にしたのでございます。職務上手にしたのでございます、それは大蔵省の事務当局はよく御承知の、富士産業株式会社の戦補税に関する事件の国の指定代理人の書いた準備書面でございます。私はこれを見て、実に失望し、非常に憤慨をしたのでございます。法務大臣にあらためて責任を追及するつもりでございますが、この指定代理人の半数は、四人のうち二人は、大蔵大臣の部下の職員でございます。この国の指定代理人として法廷で訴訟に当るということも、やはり行政の一部でございますから、従って、内容的にもやはり大蔵大臣は部下の行政監督の任にある仕事にこれはなるわけでございまして、その点について、事実についてそのお尋ねしておるわけであります。しかし、この点は事務当局でなければあるいはお答えができないかもしれませんが、私は、ただ国の指定代理人の雷いたものを抜き読みにして、都合のいいことばかりを指摘するように思われちゃいけませんから、私のところで複写した余部がございますから、これは国税庁にもあるはずでございますけれども、便宜、私これを大蔵大臣と主計局へ一部ずつお配りしますから、見ていただきたい。赤い筋をひっぱってある所を質問いたします。だれが答弁しますか。
  150. 三浦義男

    主査三浦義男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  151. 三浦義男

    主査三浦義男君) 速記を始めて。
  152. 青木一男

    ○青木一男君 今差し上げた書類の一番初めに赤い筋が引いてある、それを一つごらんになっていただきたい。国の指定代理人がこう説明しておる。「会計法規はその大部分が訓令的性質のもので、決して強行法規ないし効力規定でないし、さらにまた担当職員によってしかく厳格に順守されてきたとは承知しないのである。」、こういう説明がしてあるのであります。大蔵大臣は、これを読んでどういうふうにお考えでございましょうか。国会で財政法令や会計法令を審議するに当っては、憲法付属の法令として最も重要視して制定しておる。これを単に訓令的なものであるとして、軽く片づけたり、あるいは強制法規でないと主張しておる。強制法規でなければ、任意法規になります。任意法規というものは、守っても守らなくてもよい法規を任意法規というのでございます。また、担当職員が厳格に順守しないことは当りまえのごとく述べておるのでございまして、国の代理人が神聖な裁判所において、公文書で会計法令をかように軽く考えて、どうして会計法違反事件を防止することができますか。これは大臣の印象として、大蔵大臣はどういう印象をお持ちになったか、まず伺いたい。
  153. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私はごく常識的な御答弁を申し上げますが、ここに東京控訴院等の判決例をあげて、会計法規が訓令的なものであるというようなことに引用してあるようでありますので、私は法律的についてはしかと研究をいたしておりませんが、しかし会計法規はやはりこれは守らなくてはならぬ法律であると思っております。それから職員に厳格に順守されてきたとは承知しない、−これは私は事実の問題としてはともかくとして、職員としては、担当職員会計法規を厳格に順守すべきだと私は考えております。
  154. 青木一男

    ○青木一男君 主計局長にお尋ねします。先ほど申した通り、強行法規でないとすれば任意法規になるわけですが、任意法規というものは守っても守らなくてもいいわけでありますが、会計法規はそういう意味における任意法規でありますか、その点をお伺いします。
  155. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法令が守っても守らなくてもいいという意味の任意法規であるというふうには、私ども考えておりません。この対象は、これは政府部内の各官庁でございますが、各官庁としてはむろんその法規の命ずるところに従って行動しなくてはならぬわけでございまして、その意味でいわゆる任意法規であるというふうには考えないのでございますが、ただ、ここで問題になっておりまする表現は、戦時中並びに戦後の混乱の時期のことでもございましたし、必ずしもこの会計法規の要求している条項がすみからすみまで履行され得るという秩序のある状態でもなかった。ややもすれば必ずしもその実効を期し得られないという点もないではなかった、そういう社会的な混乱の事実を示しているのではないかというふうに考える次第でございます。その場合に、すみからすみまでこの条章の命ずる通りにやらなかった場合に、それが効力に影響があるかどうかという意味の問題になって参りますと、これは必ずしもその効力には影響がない、単なる手続的の規定にすぎないというような性質のものも少くないかと存ずるわけでございまして、そういった意味のことが、そういうニュアンスのことが表現されているというように、実はただいま拝見いたしたばかりでございまして、的確な最後的な決断もなかなか出ないのでございますが、直感いたしましたことを申し上げると、さような感想でございます。
  156. 青木一男

    ○青木一男君 今、強行法規というのは任意法規と対象した意味じゃないと、こういうふうに考えられるわけですね。
  157. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 守っても守らなくてもいいという意味での任意法規ということは、私どもといたしましては少し言い過ぎであるというふうに存じております。
  158. 青木一男

    ○青木一男君 次に移ります。次の赤いしるしの付してある所をごらん下さい。「この訓令的性質の関係法規が、従来担当職員によって常に厳格に順守されて来てその違背がないかというと、甚だ遺憾ながら必ずしもそうでないことは、顕著な事実である。その原因の一端として次の如き事情を挙げ得ると思う。すなわち、会計法規は公務員に対する訓令であるその性質上甚だ精緻かつ厳格にできている。従って多岐にわたる万般の会計上の行為につき常にその違背なきを期し難いことも、これは現実の事実である。」こういうことである。つまり会計法規というのはこまかくでき過ぎておる。つまり厳格にできているからして、万般のことについて守れないのは、むしろ当り前だというようなこれは表現なんです。会計法規は、ほかの法令に比べて、そんなに精緻かつ厳格でございますか。私はそうは思わない。当然のことが書いてある。一体どういうふうに大蔵当局は見ておるか、この点をお伺いしたい。
  159. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) これは程度の問題に帰着するかと存じますが、法令のあり方といたしましては、いたずらに精緻ないしは厳格に過ぎてその順守が困難であるということも、立法論としてはいかがかと存ぜられるわけでございまして、私どもといたしましては、程度の問題ではございますが、十分に順守され得る内容を盛るべきが会計法規としてもやはり当然の要請であろうかと存じます。いたずらに精緻に過ぎまして守られないというような行き過ぎは、極力廃すべきでございまして、さような意味で、程度の問題ではございますが、やはり守られ得る内容のものでなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。
  160. 青木一男

    ○青木一男君 抽象論じゃないのです。現在の会計法令が守れないほど精緻かつ厳格であるかどうか。それならば、なぜ改正案を出さないのか、その点を伺っておるのです。
  161. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 精緻でないとは申し上げられないのでございますが、守られ縛る程度のものでございまして、その点から、今、会計法規の改正をする必要があるという状態ではないと存じます。
  162. 青木一男

    ○青木一男君 それからその続きですが、こう書いてある。「さらにまたこの会計法規はことが平常の事態で、しかも国の予算に一応の均衡が保たれていることを前提として規定されていると称しても敢て過言でないのであって、事態が非常の時に際会し、また予算が均衡を失しているような場合には会計法規に文字通り格遵してみては、苛に急激な財政上の必要に応じ御ない憾みがあるのである。」、一体こういうことがあり得るのですか。会計法規というものは平常の場合の規定で、非常時になったらそんなことをしていては間に合わないものでございますか。また国の予算が均衡を得ている場合に会計法規は守られるもので、均衡を失った場合には準則として資格はなくなるのでございますか。この説に対する主計局長のお考えはどうですか。
  163. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法規のあり方といたしましては、単に平時だけのものではございません。平時、戦時——今後戦時という事態が考えられるかどうかは別といたしまして、平時、戦時を通じたいかなる事態にも普遍妥当する法規であると考えられます。しかし実際問題といたしまして、たとえば事務の簡素化といったような観点からさらにその内容を簡素化する必要があるというような事態も十分考えられるわけでございまして、その意味では、常にその内容のより一そう適正なる運用ないしは改正につきまして検討をしていかなければならぬものだと存じます。また予算が均衡を失しておらない場合にのみ会計法規の適用があるという言い方に対しては、私どもといたしましては同意いたしかねます。
  164. 青木一男

    ○青木一男君 主計局長は簡素化の必要のある場合があり得るということであるが、そういう場合は法規を直して、これに応じてやっていくのであって、法規をそのままにしておいて、簡素化のために違反するということはあり得ますか。
  165. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 簡素化の必要がありまする場合には、もちろん会計法規そのものを改正をしてかかるのが本則であると存じます。
  166. 青木一男

    ○青木一男君 第一、これは大蔵省関係の人も入って響いたものであると思うのだが、日本の過去の戦時財政においても、予算が均衡を失しているということはどういう意味なのか。財源の一部を公債または借入金に待ったことをいうのだろうと思うけれども、その場合にも予算の均衡はやはり保っておる、財源が違うだけで。会計法上非常に異例な措置をやらなければならぬという事態があり得るでしょうか。どういう場合がこれに該当するか。かりに今までそんなことがあったでしょうか。歳入不足のままの予算というのは、今まで、戦時中でもあったですか。
  167. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算そのものの内容が会計法規に違反して編成せられた、さような事態はかってなかったと私は信じます。
  168. 青木一男

    ○青木一男君 その次の赤いしるしを見て下さい。「本件資材等買収契約の場合の如く契約の日から三カ月を経過して始めて契約書を作成するが如きは、一見法規違反であるかに見える。しかし当時このようなことは頻繁に行なはれたのであって、規定の解釈上も必ずしも法規違反とはいえないのである。」とこう書いてある。三カ月を経て作成してもよければ、六カ月後、一年後でもいいわけです、理屈としては。私は、会計法令が契約のとき契約書を作成せよという規定は、これは前からの会計法にはみなそう書いてある。これは私は当然のことだと思う、政府の責任を明らかにする意味で。それから見るというと、三カ月を経過して作成しても違法でないというようなことは、一体どういう根拠からそう言えるのでございましょうか。それならば、ああいう厳格な、契約の場合は書面を作成せよ、関係宮の判を押せというような規定などは、死んでしまうじゃございませんか。それはどういう根拠でそういう違法でないということが言えると思いますか。その点を主計局長に……。
  169. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 契約は要式行為とする趣旨のこの会計法の規定、これはもちろん国の各官庁はこれを守らなければならぬという意味の強行規定でございまして、それを守らない場合には、これは会計法に違反をするという問題になるわけでございますが、他面民間との間の契約そのものが有効か無効か、この問題はまた実は別な問題ではないかと存ずるわけでございます。契約書そのものの作成があるいは三カ月おくれましたという場合に、あるいはその三カ月前に口頭による契約があって、その契約を様式化する行為がおくれたという場合には、なるほど会計法の規定に違反した状態が三カ月続いておるというふうに見ざるを得ないと存じますが、契約の効力そのものは、これはまた別途の民海法の解釈の問題として考えなければならぬ、さようなことに相なるのではないかと存じます。会計法の違反が全然ないかどうかという点になりますれば、これは多分に問題があろうかと存じますが、契約の効力の問題としては、ただいま申し上げたようなことになるのではないかと存じます。
  170. 青木一男

    ○青木一男君 ただいま問題は、その効力問題が決して問題になっておるのではないのです。そうじゃないのです。そういうつもりで言っておるのではございません。ただ、それが違法かどうか、また違法とするのが当然であるかどうかということが問題になっておるから、その点を質問したのです。効力問題が問題になっておるのではございません。大体主計局長のお考えは、国の規定としては違法であるということを認めれば、それでよろしい。  その次の赤いしるしを見て下さい。国の代理人は「国の契約といえども一般私法の適用を受けるものであることば前記の通りで、何等黙示の契約の成立を妨げるものではない。」これはお認めになりますか。少し説明を加えます。国の契約にどうしてああいう厳格な形式を命じておるかということは、政府の責任を明らかにするため、証拠を明らかにするためです。黙示といえば、形に表われておらない、契約書もなければ、その旨の明示の意思表示もないのですから、何かほかのことからそれらしいとして法律の効果を与えるのが、黙示の契約なのです。そういうことで国の経済秩序は保てるでございましょうか。私は今のような一事を見たら、大蔵省主計当局はびっくりしてしまうのじゃないかということを想像しておったのですが、そういうことはあり得るのですか。
  171. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計手続といたしましては、様式行為が必要であるというその点から申しまして、やはり黙示でなくて明示の意思表示が望ましいわけでございまして、会計法としてはそういう要請をいたしておると存じまするが、契約の効力の問題といたしましては、これはまた別な問題でございまして、黙示で契約が成立しないとも言い切れない。具体的な事例につきまして判断しませんと、一律のお答えもできないのではないかと存じますが……。
  172. 青木一男

    ○青木一男君 さっき私が言った通り、効力を問題にしておるのじゃない。そういう契約が適法なりやということを伺っておるのですから、会計法上の、しかもそれは具体的の問題は、当時の契約金額にして戦争中で十六億円の金額、今日の物価に直せば五千億円、一年間の国の予算の半額に当る大きな契約、それが黙示で契約されたということが一体想像されますか。今言われた通り、形式に違反するかどうかということは第二にして、少くとも国の契約は明示でなければならぬということは、会計法上当然ではございませんか。「黙示の契約の成立を妨げるものではない」ということを、会計法の解釈として言い切れますか、その点はっきり伺いたい。
  173. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ここは契約の成立の問題としてこの文書は入れておるかと存ずるわけでございますが、会計法の要請といたしましては、むろん様式行為として契約書の作成を要請いたしておるわけでございますが、それを待つまでは契約が成立しないかどうかと申しますと、これはやはり契約書の成立を待たないでも契約の成立が考えられる場合があるわけでございまして、その成立そのものを否定するという、いかなる場合にも否定するというわけにも参らないのではないか、さような意味でお答えして、申し上げておるわけでございます。具体的な場合につきましてどうなるか、これはちょっと、私その契約の実態を詳しく承知いたしておりませんので、この文書を起案されました法務当局とも十分協破いたしまして、検討の上お答えを申し上げることをお許しいただきたいと存じます。ただいまこの赤線の個所を拝見いたしましただけでのお答えということになりますと、どうしてもただいまお答え申し上げましたような抽象的なことにならざるを得ないかと存ずるわけでございます。
  174. 青木一男

    ○青木一男君 主計局長は黙示の契約で契約が成立すると断言されますか。その前に、それは第一に一体合法ですか、違法ですか、その点を伺う。それが今問題になっている。
  175. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法規が要請しておる要件を満たしておるとはいえないと存じます。
  176. 青木一男

    ○青木一男君 違法ですか。
  177. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法規には少くとも違反しておると申しますか、従っていないということになるだろうと存じます。ただし、その場合に契約の成立そのものが否定されるかどうか、それは理論的にそこまでは言えないのではないか、そういう意味でお答え申し上げておるわけでございまして、これも結局は抽象論に終るわけでございまして、具体的な問題についてどういう判断をすべきか、これはやはり具体的な事態をもう少し検討いたしませんと、お答えできないのではないかと思います。
  178. 青木一男

    ○青木一男君 違法の点はわかりましたが、主計局長が国の契約に黙示の契約の成立を認めるということは、重大なる発言だと思うのです。しかし、きょうは急ぐから、私は懸案としてまた別の機会に質問しますから、よく研究しておいて下さい。国の契約が黙示の契約を認めたら、会計秩序は一日といえども維持することはできない。様式行為のあの通りの形式が踏まれているかどうかは別として、少くとも明示の契約でなければならないことは、私は言うを待たないと思うのです。さっき申し上げた通り、各省に対して予算の執行を要望する大蔵省として、黙示の契約でいいということが言い切れるかどうか。
  179. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ちょっと私申し上げたことが誤解を招いてもいかぬと存じますので、もう一再申し上げますが、会計法の要請はあくまでも満たさなければならぬのでございまして、私どもといたしましては、この会計法の要請が必ず守られることを希望いたしておるわけでございます。それが黙示でもよろしいということを私が認めたという趣旨では決してないのでございます。ただ黙示の場合に、契約そのものが成立しないかどうかという効力の問題になって参りますと、これは契約の成立そのものを否定できない場合もあり得るのではあるまいか。もちろんかかる場合がそうしばしばあっていいわけではございません。また役人といたしましては、会計法はあくまでも守っていかなければならぬわけでございまして、そういう場合がないことを私どもといたしましてはひたすらこいねがうわけでありまして、その点は全く私ども青木委員と同じ趣旨でございます。ただ万一にもそういうことがあった場合に、その効力がどうなるかという問題として考えました場合に契約の成立そのものが否定できるかどうかということについて抽象論として疑問がございますので、先ほど来お答え申し上げておるわけでございます。
  180. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 補足をいたしますが、今の主計局長の答弁について、会計法の違反とかそういうものを、黙示なんかで認めておれば大体維持できるのじゃないかというようなお考えですが、会計法に違反した場合は、これはその事項については処断をしまして、そしてそういうことが再び行われないように、こういうような処断で秩序を保っていくことができるということだけ申し添えておきます。
  181. 青木一男

    ○青木一男君 ちょっと……。今の点、よくわかりました、御決心のほどは。ところが、事実はそういう問題ではないのですよ。われわれから見れば、過去において、軍需省にしても商工省にしても、会計検査院にしても、適法なりとして、問題にしておらない。それをしいて当時の人が違法、こういうことをやったんだというふうに、国の代理人が主張しておるのですよ。そこに問題があるのですよ。つまり罪なき過去の行政官庁に違法の責任を負わせようとしているから、問題になっているのです。決して事実はそうでなく、違法をやったことをみな認めているわけじゃないのです。違法したことにしいてしょうとしている、国の代理人が。そこに問題の本質があるのだから、あらためて申し上げます。  今の黙示の点は、一つ主計局長よく研究して下さい。黙示の契約をほんとうに成立を認めることができるかどうか、その点は又別の機会に伺いますから、よく研究して下さい。  それからその次の赤いところ、これも契約の成立に関することですが、第一軍需工廠設立準備委員会というのを作った。これは設立準備委員会を作ることは、今でも盛んに行われておる。それでこの委員会に第一軍需工廠設立に関する経理事務処理要領を討議したわけです。ところが、委員は会社の関係の人も同意をした、賛成した、そして経理事務処理要領の中には資材を買収するという一項目があった、それだから、その会議に会社の人が賛成したから、暗黙の間に売買が成立した。これがこの訴訟における国の代理人の主張なんです。ところが、設立準備委員会というのは国の一つの組織ですから、会社の人もその委員になった以上、公的立場で意見を言っているのです。個人として別に取引の談判に行ったわけじゃない。国の仕事で行ったわけです。今日でも、たとえば先般の石油資源開発会社を作る設立準備委員会があったが、あのとき政府の持株の帝石の株を現物出資をすることを、たしかきめたはずです。そうすると、この政府の代理人の主張によると、もうあの帝石の設立委員会でもって政府の持株を現物出資するということを委員会がきめれば、当然移ってしまう、暗黙のうちに株が移ってしまう、こういうふうな結論になるわけです。一体会計事務として、政府委員会で何らか方針をきめれば、そういう自動的に私法上の契約が成立するということは、一体あり得るのですか。私は、石油資源開発会社の場合でも、設立準備委員会の決議に基いて大蔵当局からこの現物出資の行政処分をして、それによって権利は移っていくというふうに思うのです。これはどこの委員会でもそうであります。その委員会というのは役所の一部で、公務を処理するだけだ。そこに出て行った人があれば、自然に契約をしたことになるということは、ばからしい。想像もできない。一体そういう会計組織があるでしょうか。この間なぞは、私は実はずっとこれを唱えておるわけです。今度も唱えておるわけです。そういう一体会計組織がございましょうか。そういう政府委員会に出て、もし賛成をすれば、自動的に私契約が成立するということは、あるでしょうか。
  182. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ここに審査されております具体的な事件についての判断の問題は、私にはちょっとできませんのでございますが、お示しがございましたような石油資源開発会社の場合を例にとって考えますと、設立委員会できまりましたこと自身にやはり若干の法律効果があることはもちろんだと存じますが、それによって直ちに旧帝石の財産が新会社に自動的に移る、そこまでの効果は私はもちろんないものと存じます。やはり現物出資をすることにつきましては、一定の要式行為がございまして、これは商法の問題でございましょう。商法の規定を法律によってある程度除外し、例外的な規定を設けるということはもちろん可能だと存じますが、通例の場合には、やはりそれは普通の商法上の要式行為としての要件が満たされて後、財産権が移転する、こういうふうに存じます。  お示しの場合にどうなるか、これはしばらく時間をおかし願いたいと存じます。
  183. 青木一男

    ○青木一男君 その点は、具体的なことはお尋ねしません。抽象的のことでけっこうです。ことに会計上の実態を無視した……。  その次お尋ねいたします。その次のところを読んで下さい、それで政府の契約というものは、どこの省でも契約麺当官が、大蔵省でたとえば会計課長とちゃんときめられた人が、契約当事者として契約しなければ効力はないと思いますが、いかがですか。
  184. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法の規定によりまして、契約をし得る権能のある人が契約をするというのが通例でございます。
  185. 青木一男

    ○青木一男君 わかりました。  次をごらん下さると、当時の軍需省の契約担当官が太田経理局長であることは明瞭なんです。疑いない。ところが、太田局長は設立準備委員会の委員でもないし、出席したこともない。そういう場合に、何らの明示でも黙示でも関与しないのに、一体暗黙の間に契約が成立するということがあるかどうか。
  186. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまお示しの事実に対して、契約が成立するかしないか、これはちょっと私もこの具体的な事実はよく存じませんし、また法律専門家でもございませんので、お答えがなかなかむずかしいのでございますが、通例はやはり契約担当官が契約の衝に当るべきでございますが、それ以外の者が契約担当者として契約が結ばれた場合に、これまたその契約が行われたかどうかという問題は、別な問題として法律的な検討を遂げなくちゃならぬ問題だと存ずるわけでございます。契約担当者が契約の当事者でなければ、すなわち国は責任を負わぬかということになりますと、その点は必ずしもそうじゃないので、国が責任を負わなくちゃならぬ場合もあり得るのではないか。もちろんその場合に会計法の要件を満たしておるかどうかという会計法違反の有無の問題がございますが、法律効果としては、担当官以外の者がやった場合はそれが全然国に及ばぬかということになって参りますと、やはりその場合事態を検討しないと、画一的な解決はつけにくいのじゃないか、さように考えます。
  187. 青木一男

    ○青木一男君 会計法その他においてそういう責任者をきめておくのは、それによって政府の責任の限界を示すものであって、大臣の任命その他によって責任でない人が契約することは、実例としてありますか。今でもそれが行われておりますか。そういうことが行われておりますか。
  188. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 契約担当者が契約の衝に当る、これが大部分の場合でございまして、それ以外の者が契約を結びます場合には、やはりそれ相当の授権をする、そういう手続を経た後にこれはやるのが常例でございまして、大体守られておるかと存じますが、たまたまその手続が守られないで、内部的な関係における担当者である者以外のものが契約担当者として契約の当事者になりました場合に、その効力いかんということになって参りますと、やはりいわゆる授権代理であるとか無権代理であるとかいったような、法律論の問題がそこに関連してくるわけでございまして、その意味で、その契約の効力そのものはまた別個の観点から検討しなければならぬ、さように考える次第であります。
  189. 青木一男

    ○青木一男君 委任とかそういうような一般の法理において認められた権限者がやれば、それはやはり私は担当官だと思うのです。全然そういう政府の命令なり権限がない人がやって、一体それは政府は責任を負いますか。
  190. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 一律に必ず責任を負うか負わぬかという割り切ったお答えも出ないのでございますが、というのは、その契約が行われました当時の事態をつぶさに検討しないと、はっきり最終的な結論は出ないかと存ずるのでございますが、負わなくちゃならぬ場合もあり得るのではないか。第三者に対しまして、この者が権限がなかったからというので、国が責任を負わぬといって逃げ切れない——まあ逃げるという言葉が適当かどうか存じませんが、その法律効果が国に及ぶことを全然否定し得ない場合もあり得るのではないか。これはやはりその契約が行われました当時の事態のいかんにもよることでございまして、一がいには断じ切れないと思いますが、かかる場合もあり得るのではないかというふうに考えます。
  191. 青木一男

    ○青木一男君 また効力問題は別なんです。それは合法ですか違法ですか、その点だけ伺います。
  192. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法の要請を満たしていないわけでございます。
  193. 青木一男

    ○青木一男君 違法ですか。
  194. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計法の要請を満たしていないことが違法ということでございますれば、もちろん違法と言わざるを得ないと存じます。少くとも適当でないと存じます。
  195. 平林太一

    平林太一君 ちょっと、議事進行……。今青木君から質疑応答がされておる事柄ですが、これはわれわれの手元に今書類がないので、赤筋があるというが、どこにあるか、内容がわからないわけですが、その点在野法曹人としての青木君が、たまたま法廷において取り扱われたる事件について大蔵省に対して一つの証言を求めておるというような感じが僕はいたしますのですがね。ですから、このことは最終になっておればお進め願っていいと思うが、あまり長引くということでありますれば、大蔵当局とそれから瀞木君との間で、委員会外の場所において十分協議検討をせられて、ここにただいま日程になっております一般会計歳入歳出並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び政府関係機関収入支出予算に関する件に対する日程に対して、議事の進行をはかられるように、委員長から適当な運営の処置をいたされたいということを、希望として申し上げます。
  196. 三浦義男

    主査三浦義男君) 青木さんに申し上げますが、あまり長くかかるのでしたら……。
  197. 青木一男

    ○青木一男君 もう終りです。私、申し上げたのは、先ほど申し上げた通り、非常に会計法をルーズに考えて、そういうことが何でもできると考えたら、会計法を制定していても意義がないのじゃないか。それなら、検査院あたりが会計法違反だといってあとから何しても、会計法令の尊重が、あるいは価値がそんなに軽いものであれば、もう仕方がないのじゃないかという印象を深く持ったために、この間の法務大臣の言明とも違うので、それで私は今の点を、要するに、国の代表者が、大蔵省の職員がそういう会計法令の価値を非常に低く見るような主張を於けにするということは、結局会計びん乱のもとじゃないかということを憂うるから、当一初大蔵大臣に申し上げた通り、そういう事犯のないために、法規の解釈その他について念を押して確かめているわけです。
  198. 三浦義男

    主査三浦義男君) なるべく簡単に、どうぞ。
  199. 青木一男

    ○青木一男君 それから、しまいにこういうことがあるのでず。「歳入歳出混同禁止の法の律前が現実問題として厳格に貫かれ、相殺の場合に常に相殺額についての歳入歳出両面の処理が適確に行われ絶対にその違背がないかというと、実は必ずしもそうではなく、相殺残額についてのみ歳出予算支出(残額が国の債務である場合)又は歳入の納付(残額が国の債権である場合)の手続をとり、相殺額については歳入歳出両面の手続を全く放置してしまう処理が行われている。」こう育っているのですが、一体相殺があった場合に、そういうふうに相殺額について歳入納付その他の法規の要求する手続を放置してしまう措置というのは、一体行われているのですか。これは前から主張しているのですが、事実そういうことはあるのか。これは予算執行上の大へんな要件なんです。
  200. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 歳入歳出につきましては、その混同をあくまでも禁止している。その法律の趣旨は、私どもはあくまでこれは守りたいというふうに考えておりまして、常々そういう気持であらゆる問題の処理に当っておりますわけでございますが、具体的にただいまお話がございましたようなことがあるかどうか、その辺は私どもといたしまして明確にいたしかねるわけでございますが……。
  201. 青木一男

    ○青木一男君 御存じなければ、事実を伺いません。一体そういうことが適法なんですか。もし歳入歳出を処理をしなければ、政府の債務はいつまでたっても形式は私は残ると思うのです。やはりこれは歳入歳出両面の手続を相殺の場合にやることは、会計上どうしても整理がつかないから、会計法上ああいう規定ができたのではございませんか。
  202. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 財政法以前の原則といたしまして、歳入歳出というものを必ず立てまして、相殺の場合にも歳入歳出を通すというのが、理想的な姿だと思います。ただ本件、これにいただきましたこの書類に関する件につきまして、そういう事実が行われておったかどうかということは、別でございます。ただ財政学的に見て適当なことでないということは言えるのでありますが、実際に相殺が行われたかどうかという問題は、当時の事情なり法律の御解釈によって御決定を願いたいと思います。  なお、当時におきまして、相当このような取扱い昭和二十年ごろに行われていたというようなうわさは聞いております。その程度でございまして、それ以上は……。
  203. 青木一男

    ○青木一男君 財政学じゃなくて、会計法上それが許されるかどうかということを伺っている。適法であるかどうかということを伺っておる。
  204. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) こまかい例外は若干事実上行われておるかと思いますけれども、まず目につきまする限りにおいては、普通会計法の規定に基きましてそういうことはやらぬという建前になっております。従ってこういうことは正面切って言えば適当なことではない、ただし歳入歳出が両建になりましたような場合はいろいろ考えられまするので、あるいは目残しになって行われておるものが現在でもあるかもしれません。気がつきました限りにおきましては、そういうことのないように努めるべきで、その意味におきまして、これは適法ではないということは考えられます。
  205. 青木一男

    ○青木一男君 一点だけ最後に、債権債務の相殺があった場合に、会計法上要求された相殺手続を略してそれをやらずに定額戻入でやった、こういうことが実は今日まで国の代理が主張して、それに対しても裁判所はそれを信用してしまって公知の事実として認めてしまったわけですね。今度のことで非を悟って変更しております。公知の事実という以上はだれも告知っていなくちゃいけないわけです。ところがそういう相殺の場合に、定額戻入というのは過誤払いの場合ですから、全然場合が違うのでそんなことはあり得ない、公知の事実どころじゃないけれども、大蔵省の諸君といえどもそんなことは御存じないと思うのです。そういう相殺の場合を定額戻入でやるというようなことは今でも一体あるのかどうか、その点だけを最後に伺っておきたい。
  206. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) もともと定額戻入ということ、制度のようであって制度でないものでございますので、それについては基準というものは明確にいたしませんが、まさに今のお話のようなことで、大体間違いがあった場合にやるのが本則になっております。ただし相殺に当る場合に、そういう制度と申しますか、やり方が、あるいは利用されましたかどうでございますか、その点は現在ではこれは分明でございません。それがこういうやり方が、当時といたしまして公知の事実であったかどうかということは、今私どものところでは資料がございませんので。この点もお答えはできません。
  207. 青木一男

    ○青木一男君 とにかく私が、当初から大蔵大臣に申し上げました通り会計法違反の事件を防ごうと思ったら、会計法というものは大事な憲法付属の法規であるから、大事な法律であるということを全部の役人、ことに大蔵省当局がほんとうに真からそう信じて励行する気がまえがなければ、ああいう違反事件というものはあとを断たないことは当然だと思う。その点について、各省に監督権ありまたそれが責任ある大蔵省当局としては、特に大臣以下事務当局に至るまでそういう深い信念がなければ会計法は守れない。その点を私は特に一番責任ある主計局長にその信念を要請する、それがために違反を弁護したりあるいは違反をするのは当りまえだ、ほかでも違反はたくさんあるから当りまえだという思想を植えつけたら、それこそ大へんだ、そういうことを憂えるからして、具体的な一つの問題をつかまえて、法務大臣の言明と違うように思うから質問したわけです。その点を最後に主計局長はどういうつもりで会計法の執行というか、各省に対して励行に当られるか、その点を伺って、私の質問を終ります。
  208. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 会計法規の励行尊守につきましては、これはあくまでも守られるように私どもとしては念願をいたしておるわけでございまして、今後も会計法違反がなくなるように、その方面で極力尊前の指導等も怠らないように努力をいたして参りたい。この点はかたくそういう努力をここでお誓いをいたすものであります。
  209. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいま説明していただいた第二の専売納付金のことについてお尋ねしたいと思います。これによって見まするというと、昭和三十一年度は前年度よりも相当金額減じておりますが、これは、理由は響いてあるが、もう少し詳しく説明をしていただきたいと思います。
  210. 大月高

    政府委員(大月高君) 専売納付金におきまして減小が立っております最大の原因は、たばこ消費税の率が本年度に比べまして上っております。こういうことでございます。本年度は臨時措置といたしまして、市町村税、府県税を合せまして、たばこの売上総額の百十五分の十五というたばこ消費税をとったのでありますが、それは本年限りの措置でございまして、昭和三十一年度におきましては、この率が府県税、市町村税を合せまして百分の十七に上るわけでございます。その金額が大体四十数億円になるわけでございまして、それが最大の原因でございます。第二点といたしましては、たばこの販売の構成費と申しますか、上級たばこと下級たばこの売れ行きの割合が、次第に下級たばこの方に重点が移って参りまして、安いたばこがよく売れる。全体で大体千億本ばかり年間に売れるのですが、そのうち五百億本ばかりしんせいになっておる、これは単価が低うございますので、全体の単価を下げる、こういう点から納付金が減る、もちろん来年度を比べますと若干の増になっておりますが、その増の数字はきわめて微々たるものでございますので、たばこ消費税の関係で減、こういうことが原因だと思います。
  211. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、たばこというものは国の収入の大きいものでありますが、昭和三十一年度ではこれであるが、将来はたばこというようなものは、現在三十一年度に計上されているところの金額よりも増加する見込みでありますか、あるいは増加しない見込みでありますか。
  212. 大月高

    政府委員(大月高君) 大体たばこの消費量と申しますものは、やはり人口の増加に比例いたしまして逐年増加するものでございます。これは景気の変動とかあるいは嗜好の変化等によりまして、若干その間に起伏はございますけれども、大体において人口がふえればこの喫煙人口一がふえる、それに伴ってたばこの販売数量がふえる、こういうことになっております。ただ従来昭和二十八年ごろまでは異常な景気もございまして、増加率が大体年間六、七%に、前年比六、七%になっておったのでございますが、最近はそれが三、四%、こういうことにならております。そういう意味で増加率は最近滅っておりますけれども、絶対数で申しますと逐年上る。従いましてかりにたばこ消費税というような問題がない、率の増加というものがないといたしますれば、これは次第に絶対額がふえる建前のものでございまして、現に昨年度、一昨年度いろいろ計算いたしましても、地方税と国税と合しますれば次第にふえていく、こういうことでございます。
  213. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 アルコール専売事業の特別会計の減の理由をお聞きしたいと思います。
  214. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) こまかい関係の資料は持ってきておりませんが、項目的に申し上げますと、アルコールの販売価格が、実績によりますというと、三十年度予算予定いたしておりましたような販資価格でなかなか売れません。それで売れる値段に予算を組みかえました結果、三十一年度予算においてはこういうふうに減少をみております。ただし、これはことしよりも売れないとか、ことしより下ったというのじゃございませんで、ちょっと申し上げにくいのでありますが、三十年度予算が実情に合わなかったということでありまして、三十一年度は三十年度の実績をベースにいたしまして組みました結果、この意味におきましてこれだけ三角がふえました。そのほかに若干固定資産の取得をいたしますためにふえておるかと存じます。これは従来、アルコール専売の固定資産の取得を差し控えておりました。というのは、だんだん縮小する傾向にあります事業でありますので、そういうふうでございましたが、しかしながらやっぱり事業をやって参りますからには、その合理化をはからなければなりませんし、縮小したらしたでもって、それに応じました効率的経営をしていくためには、多少合理化の必要があるというふうな関係から、固定資産を若干取得することにいたしましたので、その関係も若干ございまして、合せましてこういう減少をみております。しかし大きな理由は、先ほど申し上げました販売の実績価格、それに合せたというふうなことが主たる原因になっております。
  215. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私の計算によれば、昭和二十九年度の原料の値段と、昭和三十年度の原料の値段から比較すれば、原料の値段が安いのだ。原料の値段が安いところのもので作ったならば値段は下らなくちゃいけないと思っておるのでありますが、値段は下げずしていくのであるか、製品の値段を下げずして原料の値段が下ったということであれば、利益は上らなければならないと思う。この予算書と反対な傾向をもつのが当然だと思っておりますが、そういうふうな点はどう考えておられますか。
  216. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) そういう事情がございますれば、当然これは益金がふえなければいけませんが、実は三十年度予算の問題になりますが、それを相殺いたしまして、なお余りあるほどに実際の販売価格と見積っておりました収入予算とが適合をいたしておりませんので、これを大幅に修正をいたしました。こまかい数字を本日は持ち合せておりませんので、なんでございますが、場合によったらあとから数字で補足いたしますが、歳入面の見積りの是正によったものであります。
  217. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 たばこのことで一点だけ伺いますが、収入が十四億四千万円減っておるのに支出が百三十五億五千万円かえってふえておる。この関係を一つ簡単に……。
  218. 大月高

    政府委員(大月高君) この支出いたします項目の中に、製品の収納の代金が含まれるわけでございしまして、たとえば葉タバコでございますが、葉タバコは専売公社がこれを買い上げております。あるいはできました塩は専売公社が買い上げるわけでございまして、そういたしますと、かりに葉タバコの増産になり、あるいは塩の増産になるということになりますと、支出の金額は当然増ということになるわけでございます。ただ納付金の関係におきましては、収納いたしました葉タバコなり塩は資産として別に残りますので、納付金には影響ございません。ただ収入支出という観点からいきますと、実に大きく支出が増になる、こういうことでございます。  それから先ほど申し上げましたたばこ消費税が増加するということは、これは絶対的に経費が増になるわけでございまして、間接的に納付金を減らす原因になる、この二つが大きい原因でございます。
  219. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちょっとたばこの収納の増加がどれくらいあって、単価がどのぐらいになっておりますか。
  220. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) 消費税の増加が、三十年度予算と三十一年度予算で九十一億五千九百万円ございます。それからいわゆる原料葉タバコの購入費の増加が三十六億ございます。それで消費税の増加は、先ほど監理官から申されましたように、消費税率の変換によるものでございます。それから葉タバコ調達費の増加は、いわゆる私らが百姓から買います。収納価格と言っていますが、それを増高する意図ではございませんで、若干の増反による葉っぱの増収、それからできます葉っぱの種類の品質の構成差、たとえば黄色種がよけいになるとかあるいは松川葉が少くなる、そういう関係の出入りで結局三十六億の増加、そういうふうになっております。
  221. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 数量の多いのと、価格の上ったのと、こういうことですね。
  222. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) ええ。
  223. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 十ページの公団引継債権整理収入、これですが、大蔵委員として地方に出て視察した結果によって見ると、公団の財産で引き継いだもののうちで非常に少額のものがあるから、そういうふうなものはそれを徴収しようとしたならば、徴収の費用がかえってかさんでいくようなものがあって非常に困っている、こういうふうな実情があるのでありますが、徴収の費用をかけて徴収してでも収支計算が立たないような公団引き継ぎの財産があるとしたならば、こういうふうなものはすみやかに切り捨ててしまって、そうして何とか収支計算が立つようにすべきだと考えるのですが、そういうふうな金額がどのくらいあって、どのくらいの件数であるか、それはどういうふうに処置されるお考えであるか、答弁願いたい。
  224. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) ただいまの少額債権で焦げついておるもので、徴収の費用にも満たないといったようなものは相当あるように伝えられております。その金額は実はまだ、数字の問題につきまして両三年来いろいろ研究はいたしておりますが、その点調べましても、実は債権に関する管理の機構が現在非常に不十分でございまして、全体として集計いたしたものはございません。三、四億の債権がございますが、そのうち少額で焦げついておるものはどれくらいかということにつきましては、今必ずしもつまびらかでないのでございます。そして旧公団引継債権と、それから調達庁の関係の駐留軍労務者あたりの給料の過不足払いといったようなふうに、そういうものに相当ありまして、処理に実は弱っておるという実情はございます。これにつきましては、現在の財政法上の建前からいきまして、これを切り捨てるということにいたしまするといたしますれば、これは法律を要することになると思います。またやたら切り捨てるというわけにも参りませんので、場合を分けまして、慎重なる手続によりまして、これを切り捨てるということを必要といたすと思います。要するに、いいものと悪いものとを選別いたしまして、一定の手続を経まして、これをある時期に切り捨てるということを必要とするわけであります。その点につきましては目下債権管理法という形におきまして、債権の管理に関する手続というものを規定いたしますると同町に、その管理の手続の一態様といたしまして、そういう債権を、本来の国の大事な債権を管理いたします場合の手続とこれを切り離しまして、いわばたな上げというような形にいたしまして、いわゆる管理事務の外に一応おきまして、なおそれをしばらく様子をみましてから、一定の時期がたちましたらこれを免除してしまうという方向で考えております。で、その法案は近くこちらの御審議をお願いいたしたいと思うております。二、三日前に閣議の決定を経たのでございます。それによりまして今のような少額な、管理に骨を折り、しかも実質的な取り分のないような債権というようなものは一掃できると、こういうふうなことに考えております。
  225. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいまの説明では、大体整理しようという計画だそうでありますからそれでいいが、各地方の状況を見てみまするというと、あまりにも少額であって、これの調査のために相当の費用あるいは人を使わなくちゃできないというようなことになるかと思っておりますが、そういうようなことで、現在進行中であれば、すみやかに一つこれを実行していただきたいと思っております。  次は、二十六ページの説明によれば、「歳入におきましては日本銀行券の製造数量の増加によるものであり、」こう書いてありますが、日本銀行券を従来よりもどういうふうな日本銀行券の種類で製造を増加しようとお考えですか。
  226. 村上太一郎

    説明員村上太一郎君) 御説明いたします。三十年度の日本銀行券の製造計画、三十一年度におきまする製造計画とを両方対比しながら申し上げます。三十年度予定しておりません日本銀行券で、三十一年度に新しく予定しておりますのが、一万円券を一千万枚、これは三十年度ではございません。それから五千円券、これを五百万枚、これは三十年度には予定いたしておりません。それから千円券ですが、千円券は三十年度では一億五千万枚、三十一年度では七千万枚、それから五百円券、これは三十年度では二千万枚、三十一年度では三千六百万枚、それから百円券は、三十年度では四億八千八百万枚、これに対しまして三十一年度は五億八千万枚、それから一円券、これは三十年度が五億三千万枚、これに対しまして三十一年度は四億九千万枚、こういうことに相なっております。
  227. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は塩ですが、塩は一般用あるいは工業用として非常に重大であるし、また内地塩も最近いろいろと政府の奨励によって増加しつつあるようでありますが、ことに最近では石炭との関係で、悪い石炭を使用して製塩事業を営もう、こういうふうな傾向がぼつぼつと各地方に出てきょうとしているのでありますが、政府の方において内地製塩の増加のために、かつまた悪質石炭の活用のために、内地製塩事業に、石炭による製塩事業をどの程度増加しようというお考えであるか、この点お伺いしたいと思います。
  228. 大月高

    政府委員(大月高君) わが国の塩の生産費は、国際価格に比べますと現在非常に高いわけでございますので、できるだけこの合理化によりまして、塩価を下げたいというのがただいまの方針になっております。それからただいま日本の内地で大体消費いたします塩の数量は、年間三百万トン近くと来年度大体ふんでおるわけでございますが、そのうち輸入いたしますものが大体二百五十万トンぐらい、それから国内で生産いたしますものが約五、六十万トン、こういうような大体数字になっております。従いまして塩の売渡し価格の面におきましては、今度は安い輸入塩と、比較的価格の高い内地塩とを込みにいたしまして、できるだけ安く売り渡す、こういう方針をとっております。従いましてこの国内塩の価格をどれだけ下げるかということは、相当塩の行政として重要な問題と考えておりまして、方向としては二点ございます。一つはただいまお話のございました製塩事業の工業化と申しますか、石炭を便ったりあるいは電気を使ったりということで直接塩を作るという方法、これを推進いたしております。それから他面、現在ございます塩田の方式が、御存じのような入浜式という方式でございまして、能率があまりよくございませんが、これを流下式の塩田に現在組みかえる、これによって能率を上げることによって、コストを下げる、この二つを重点にして考えておるわけであります。その結果数年後におきましては、大体国内で使います食糧の関係の塩は自給するに近い何パーセントくらいになりますか、あるいは八割ちょっとくらいになるかと思いますが、できるだけ増産したい、こういうことでございます。そのうちのただいまお話のございました石炭を使う方式につきましては、現在のところすでに許可いたしまして建設中の会社が三社ございます。いずれも年間の生産量が二万五千トン程度のものでございます。いずれも近く稼働すると思います。その他現在検討中のものが一、二社ございますが、ただ石炭を使いましても、将来の見通します塩の生産費というものは、国際価格に比べてまだ相当割高だ、そういう意味で国内塩をできるだけと申しましても、かりに作り過ぎるというようなことになりますと、塩の売り払い価格をまた上げなければならない、こういう立場にございますので、大体のところ、今考えております程度で塩の機械化と申しますか、機械ないし石炭による製塩というものは打ちどめにして参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  229. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 先ほども申し上げましたように、工業上あるいは食糧上非常に必要なものであって、少くとも内地で食糧用に供するものは自給すべきである、こういうふうに考えておるのでありますから、今食糧用は大部分自給するように進みつつあるということで、まことに喜ばしいことであるが、ぜひそういうふうなことで一つ進んでいただくように希望を申し上げておきます。  それから次はシヨウノウでありますが、シヨウノウに対する方針はいかがですか。
  230. 大月高

    政府委員(大月高君) ショウノウは御存じのように、わが国における一つの特産品でございまして、かつては台湾を領有いたしております際には、台湾を合せて特にわが国の特産であったのです。台湾が分離いたしました後におきましても、なお四国とかあるいは九州方面にはクスノキが相当多量にあります。これはやはり日本の特産であるということは現在でも変りございません、ところがショウノウの事業は国際価格が非常に変動する性質をもっておりまして、このまま放置いたしておきますと、値段が急に下がりましたときにショウノウの製造業者が潰れてしまうような問題がございます。それからクスノキを栽培いたしますのにはなかなか困難がある、長年かからなければ成育しない、あるいは肥培管理が要ると、こういうようなことから、とかくめんどうなので伐ってしまって、ほかの用途に使っちゃうというので、最近わが国の特産のショウノウはできるだけ有能な方向に使いたい。これはショウノウから出ます製品は御存じのように、セルロイドがおもなものでございまして、その他薬品防腐剤というようなものがございまして、非常に玩具の材料として外へ出ておるわけでございます。そういう意味から、せっかくございます日本のショウノウの事業を崩れないように持っていきたい、ある意味じゃ積極的の発展をするというより、消極的なやり方とは存じまするけれども、少くともこの特産品をうまく国際市場にさばいていく、こういうことが方針になっておりますから、その点専売公社方針といたしましても、この事業でもうけるということでなしに、いかにして価格の変動からショウノウ事業を保持して、これを有利にその他用途に向けていくか、こういうのを主眼にして考えております。
  231. 平林太一

    平林太一君 これはですね、本年度は昨年度に比較して四百三十四億六千四百九十九万七千円増加になっておる。一兆三百四十九億二千二百五十二万円、こういうことになっております。そこで例年この通りに国の歳入が増大していくということの反面には、いわゆる租税及び印紙収入の総額が八千二百六十七億一千七百万円を本年も計上いたしておりますが、この政府の税収入に対する基本的なこの考え方としては漸次この減税をしていくということがきわめて望ましいことであると思います。また国を運営する上に一番大切なことと思いますが、所得税に対しまして今年は百五十一億千二百六十万円の減税をいたしておるということになっておりますが、この税収入に対して、大蔵省の窓口、全国のこの税務署でいたしておりまする徴税行為、そういうものを通じて今日の国民の持っております担税力というものがこれに妥当であるかどうか、この程度なら妥当と考えられるのか、相当にこれは重税、重い税金であると、こういうふうにお考えになられるか、こういうことは主税局長なり、当事者なりから、一応承わっておきたいと思います。
  232. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 主税局長がちょっとやむを得ない用事で今失礼しておりまして、私かわりましてお答え申し上げますが、毎年減税をいたしておりますので、国民所得に対する税収の割合はだんだん減っております。お手元に配付いたしました資料でも明らかでございますように、昭和三十一年度におきましては、国税だけではその割合は一三・八%になっておりまして、一番重うございましたとき、すなわち昭和二十四年の二三・二%に比較いたしますと相当下っております。しかしもちろん戦前に比べますとまだ相当高率なのでございますが、現在の国の財政の事情その他を考えまして、むしろわれわれといたしましてはできるだけ税負担を軽くいたしたいと思っておりますけれども、この程度でやむを得ないものと考えております。
  233. 平林太一

    平林太一君 この所得税の減税ですね、これは百五十一億、これは私非常に少な過ぎるのじゃないか、もっともこれは免税点というのを引き上げて、これは最も響く税である。おおむねこれは個人所得である。それから法人税についても必ずしも中小企業等のまあいわゆる小企業経営のために、やむを得ず法人の式によって企業の経営をしておるというものが多数あるので、そういうものもこれはわれわれから言えば、きわめて何か、世論に対する申しわけ的な措置をしたという程度にしか考えられないが、この点は技術的に所得税及びこの小企業の法人税に対する引き下げをもう少し考える余地はないかどうか。ことに今お話通り、国民所得が累年増大していくので、おのずから現状において自然増収というものは求めずして、これは年々増大していくのであるから、そういうものを見込んで、もっと大幅に減税することが妥当ではないか、こういうわれわれの見解だが、これに対して一つ答弁されたい。
  234. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 税制をどういうふうな方向にもっていくかにつきましては、内閣に臨時税制調査会というものを作りまして今検討中でございます。それでことしの秋ごろまでに結論を得まして、この次の予算には具体化しようと思っておるのでございますが、とりあえず、ことし行いましたのは、将来の税制改正の方向に反しない範囲で、緊急やむを得ない減税だけをやろうということでございますので、百五十一億というのは、給与所得控除の率と限度を上げただけで非常に少額でございますが、さらに全体の負担の調整をやる、負担の不均衡を是正するという問題は、来年度のわれわれの課題として考えておるわけでございます。小法人の税率を下げたらどうかという問題もございますが、なるほど大法人と小法人と比較いたしますと、いろいろ問題はありましょうけれども、小法人の税負担と個人の税負担というものの間にもなお検討すべき問題もたくさんございますので、今度の税制改正までに簡単に結論を出すことができませんでしたので、これらをあわせて、この次の税制改正に盛りたいと考えておる次第でございます。
  235. 平林太一

    平林太一君 大体そういうことで筋は通っておることで、その点それ以上追及をいたさないわけですが、税制調査会のその答申というものにのみ大蔵省が何か依存し、あるいはまたこれを一つの何か世俗でいうところの、言いわけにするというようなことではいけない、税制調査会というものは、もちろんそれぞれ各方直の専門家を入れてあるが、何といってもやはり大蔵省というものが、あなた方が平生常住坐臥これに当っておるのであるから、熱意をもって、大衆のいわゆる税負担というものをいかにすれば軽減せられるかということをお考えになっていけば、税制調査会などの考えておること以上の発見が必ずあり得ると僕は思うのです。だが大蔵省の当事者であるあなた方の、いわゆる大蔵省伝統の一つの流れというか、そういうものの中には、税の徴収ということを第一義にして、それでどうすれば税収入ができるかということの方に非常に苦心がされておるというかおりが高い。であるから、そういうことを強く一つ、これはそういうことから言えば、心の中では必ず思い当ることがあると思う、この方法でいけばという。もっと直接税というものを減税して、そうしてちまたにおいて、税務署から差し押えをされて家財道具を店頭に持ち出されるというような事態はこれはあり得ないことですから、そういうことのない税の仕組み、あるいは立て方ということを一つ考えになられたい。いわゆる滞納によって強制競売をされるというような事態は、どこかに税の無理があるのだということを一つ心から考えてやってもらわなければならないと思うのです。そういう点で一つ重大な施策をお考えになっていただきたいということを、この際申し上げておきます。それに対する意見をまず第一に求める。  それから本年度において、間接税ですね、間接税として新たに設定したもの、あるいは手数料というようなものですね。そういうようなものを新しく新設して、たとえば検査手数料であるとか、いろいろなものがありましょう、手数料というものは。こういうものが相当数あることを予想されますが、こういうものに対して、特に今日資料としてお持ち合せがなければいいが、僕は相当数に達すると思う。これはいずれにしても手数料であるとかそれから間接税というものは、これはみんな庶民に影響してくる、税の間接負担になるので、その点よく何していただきたい。御承知の通り、理想からいいますならば、所得税というようなものはわれわれとしては実は全廃いたしたい、個人所得税というものは。そうして国民は地方税だけで今日は負担にたえられない状態になってきている、それはそういうわけです。国の全体の予算よりも地方税の方がはるかに多いという実態でありますから、ですから、ぜひ個人の所得税というものは、理想としてはできるだけ全廃する。それが証拠に、以前にはそういうことであったわけです。それだから、わずかに当時八十円か百円の給料を取る人でも家が建てられた。それは地方税だけで事が済んだ。ところが、今日は二重の課税になって、個人の経済というものは非常な脅威を感じている。しかも零細な庶民層においては。こういうことですから、そういう点慎重に一つ考えになられて、そうしてそういう税に対しての批判、再反省を求めたいということであります。
  236. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 税制調査会にあまりたより過ぎてはいかぬという仰せでございますが、税制調査会は各方面の権威の方に集まっていただきまして、いろいろ検討しておりますが、われわれといたしましては、全面的に税制調査、会の案そのものにたよるというわけじゃありません。まずわれわれが独自で案を作りますよりも、やはり各方面の人に集まっていただいて、いろいろ御意見を聞いた方がより一そういい案ができると思いまして今やっている筋であります。もちろんこれは政府の案として国会に出す場合には、政府独自の立場で、税制調査会の答申は尊重いたしますが、政府の責任で策を作りますときは、仰せの点は、十分頃に置きましていい案を得たいと考えております。  それから間接税で、このたび新たに作ったものがあるかというお話でございましたけれども、先ほどの給与所得税の減税をいたしますための財源を得ますために、砂糖に関する関税を若干引き上げました以外は、税金としては上げたものはございません。なお手数料その他については、若干現在の経済状態に即応するように改正を加えたものがございます。  それから所御税は全廃してはどうかという御意見でございまするが、何分所得税は国の八千億の収入の中で二千六、七百億の収入を得ておりますので、簡単にこれをなくすることはまずできないと思いますが、なお減税いたしましても最近の租税負担は相当重うございますから、一つ今後の改正の際に、いろいろ検討して、国民負担の公平をはかるように努力いたしたいと思っております。
  237. 平林太一

    平林太一君 二千七百億円の所得税、これが非常に予算全体の動脈をなしておることは、これはよく承知はできます。しかし私の述べようとしておることは、その二千七百億の所得税のうちの、大体七割程度は今日は最低所得者の税負担になっておる。いわゆる高額所得者という者の負担というものは、おそらく三〇%以下じゃないかと僕はこう思っておるわけです。そこで、ものの筋道からいうと、二千七百億の七〇%に達するところの庶民層の低額所得者に対する税の、二千七百億というものの七割というと、千七、八百億というものがいわゆる大衆課税である。しかもこれらは、先刻お話しのあったたばこにしても一、酒にしても、間接税を平等に皆負担しておるわけです。一方では高額所得者であるからといって、たばこを一日に八つも十も吸うわけにはいかない。酒も二升も三升も飲むわけにはいかない。かえって低額所得者の勤労大衆というものが、あるいは公務員その他の俸給生活者、そういうようなものも、皆平等にこういうものをすでに間接税で払っておる。だから国の政治の性格、方向としては、大衆に対して二重の所得税というもので、依然として反省のない処置をしていくということは、非常に考えなくちゃならぬと思う。そういう意味でこれを申し上げる。それからそういう工夫をしていけば、これはおそらくそういう財源を求めるところは必ずあり得るのじゃないか、適正妥当な税の対象となるものがあり縛るのじゃないかということを、この際、あなたは調査課長で、政治的なことはお答えできないかもしれないが、しかし調査課であることに、これはむしろ私としては非常に大きな魅力を持っておるので、一つ厳固とした調査の上に立って、そうして調査の自主性というものを十分に権威をもって、一つ国家行政の上に働かれたい。そうすれば必ず出てくるんじゃないかということを、一つ、この際申し上げておくわけです。間接税は砂糖だけで何した。しかし間接税でいわゆる増税したものが今年はあるかないかということですね。それから手数料、この点は両方資料として一つ出してもらいたい。手数料と砂糖に対してどれだけの増税をして、そうして今年は砂糖はここに表としては出ておるが、五百三十一億四千百万円砂糖の消費税というものは出ておる。これはおそらく増税したものに違いないが、前年との比較と、詳細な調査を一つ出していただきたいということを一応申し上げておきます。これに対する答弁を求めます。
  238. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 現在の所得税は、最低生活者に課しているのじゃないかという御意見でございましたが、お手元に配付いたしました資料にありますように、今度の改正によりますと、扶養家族四人の場合でございますが、大体月額二万五百五十六円までは税金がかからぬ。ですから、一応最低生活者には課税しないという原則は確立できているのじゃないかと思います。それから現在のわが国の所得の階級というものは、比較的何といいますか、あまりうんと同額の所御者というものも少のうございまして、大体ドングリの背比べのように、同じくらいの所得者がたくさん集中しておりまして、一番税金をたくさん負担をしているというふうな格好になっておりますのが、大体総所得で四十万円から百万円くらいのところございます。これらの者が全体の所御税の七割くらいを納めておりますので、それらは何と申しますか、現在のような国民の所得の階級構成ではまあこれらの方々に比較的たくさん税金を負担していただかないと税収入があがらないというふうな格好になっております。ただ最低生活者に税金をかけないという、何といいますか、方針は、大体今度の改正で一風の目標は達成されたんじゃないかと思います。もろとも税金はなるべく安いにこしたことはございませんが、間接税その他に財源を求めまして、できる減税はできるだけやりたいと思っておりますが、ただ間接のどんなものをさらにふやし得るかという御質問に対しましては、なかなか間接税も、結局中小企業の圧迫という経済的結果になることが多うございまして、なかなか簡単には財源が見つからないような現状だけは御承知いただけると思います。  それから、間接税で増税したものの表を出せということでございますが、お手元に配りました租税及び印紙収入予算説明で、砂糖の引き上げで六十二億増収があるというものを配付してございますので、一つこれによって御了承を願いたいと思います。
  239. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 行政手数料について補足して申し上げます。行政手数料の増税と申しますか、増収と申しますか、その関係の資料というお話でありますが、実は手数料は非常に間接税に似ておるのでございますが、ものによりますと、間接税的な登録税あたりも含めますれば、そういうものもございまするが、これはだいぶ違いまして、もちろん営業上のいろいろな行為等に対しまして、両方これを考えて手数料を取るというような場合には、それが転稼されるというような点では間接税に似た面もございまするが、一般の消費税的な間接税について見られるような、いわゆる人頭税的な色彩は、まず皆無とお考え願ってよろしいのでございまして、大体国から特定のごく少数の人に対しまして、特別に何か役務を与えるという場合に、これに対しましてその特別の行為の対価として取る場合が多いのでございまして、これらのものにつきましては、ものによって違いますが、大体そのコストを見積りまして、これに相応いたしました手数料を取ることになっておるわけであります。まあもちろんそのほかに、国が発注して民間と同じような仕事をいたしております場合、たとえば国が経営しております学校の請負をいたしましたり、そういうような場合に、民間に応じまして同じような授業料の報酬なり、あるいは月謝なんというようなものを取る場合もございます。大体そういうようなものでございまして、財政負担とか、財政加重といったような面は、まずこれについてはございません。今回手数料につきまして措置いたしましたところは、そういう意味で特に手数料収入を増徴するとか、それから手数料をふやすとかいう考え方は全然とっておらないのであります。もちろんいろいろな法律等が新しく施行になりますれば、それによって新しい手数料が二、三設けられるものはあるかもしれませんが、しかし決して新しい手数料として設けたり、そういうことはいたしておりません。むしろこれは毎年のことでありますが、手数料につきましては、本来創設いたしました時期によりまして、固定してきめまするので、それが一年たち二年たちいたしますと、一般の物価の情勢でございますとかあるいは公務員の給与のベースでございますから、そういうようなものと比較いたしまして、当初取ろうと思っていた金額の根拠になりました事情が変化したことに伴いまする調整を必要とする状態が出てくるわけでございます。その調整が、従来ともすればおくれおくれになっておったのでございます。いわゆる均衡予算ということによりまして、全体の財政の費用を健全なものにして参るという見地からすれば、国がこういう点を当初の意図に反しまして、低いものにしておくということは、物価対策上からも意味のないことになりますので、この際これに調整を加えまして、そういうようなものにつきまして若干の手直しをしてございます。しかしこれは従来以上に取るという意味ではないのでありまして、当初調整しました趣旨に沿いまして、必要といたします限度まで調整いたしたものでございます。  なお手数料の数につきましては、その数が非常に多うございまして、おそらく数干件に上ると思いますが、たくさんございます。金額にいたしますれば、印紙収入の手数料としては二十四、五億のものでございます。その数が多いものでございますから、実際問題といたしましては、現在までのところ、そういう調整の方針はとれておりますが、個々にどれを幾ら上げるかという作業は、これは予算の作業と離れまして、ものによりましては政令以下省令あるいは告示といったようなもので定めて参ります。今回の措置によりますと、大体のめどといたしましては、今申し上げたような数字で調整はいたします。しかしながらこまかい資料として差し上げるようなものはございません。
  240. 平林太一

    平林太一君 今手数料の問題についてもお話があったが、僕の知っている範囲でも、法律によって増額したものが幾らかあげられるわけだが、これはこれでそういうことを一応入れておくことによって十分御考慮願いたい。まあ今お話のような内容ではないということを僕は承知いたしております。  それから今調査課長お話で、二万ないし二万五千円で措置した、そういうような考え方は非常にこれは間違っておる。二万五千円というのは一家経営の世帯主、そのかせぎのものが五人なり六人なり、多いところは、いなかなどでは十人あるいは八人という家族をかかえておるわけです。それに対しては控除額があるわけだが、それでは、控除という種皮では、これはきわめて零細な、それによって救われるというような事柄ではない、実際は。だから免税点の引き上げというものは、二万とか二万五千とかいうようなものは数字的な調査の机上における一つの対象であって、今日この通り、順次国民の生活水準というものを引き上げていかなければならない、また引き上げることが国力を、りっぱな国にする最大のそれが基本になるわけだから、できるだけ生活水準というものを引き上げていくという方向に日本の経済というものを持っていかなくちゃならぬ。本来としてはインフレを抑制する範囲において取ったのですから、そうするとまたこれはここで議論をすることは慎重を要することだが、少くとも五方とか一こういうような二万とか二万五千とかいうような言いわけ的なものではなくて、一駅の経済を、実際においては今日なかなかそれはどこの経済を見てもわかることだが、二万とか二万五千をもって生活するというようなことは、実際は人生のいわゆる生きがいのある生活は今日できないわけです。そこに大きな基本をおいて、そうしていけば、免税点の程度をどこに狩っていくかということも、その水準というものも、おのずからこれは常識的に判断されるわけです。そういうことを一つあらためてこの際ここにいろいろ大蔵省の諸君がおられるんだが、お考えになられたかどうか、二万とか二万五千円ということで手柄をしたようにお考えになっては非常に錯覚である。一カ月の経済ですから、一人の経済ではない、一家の経済ですから……ということをこの際一つ申し上げて、そういうことに対する御答弁はよろしい、がもし必要があれば御答弁を承わりたいと思います。そういうことです。  それから最後に、これは時間もありませんが、申し上げたいが、賠償問題ですね。これは非常な日本の負担になってくるが、いわゆる講和条約による第十四条では、日本の経済をいやしくも阻害しない範囲において賠償のいわゆる種類、形式、支払いの方法というものをしなければならないということをサンフランシスコ条約では米英両国共同提案でされている。非常なそこに日本経済というものに対して深い考慮を払っておる条約ができておるわけです。実際から申しますと、あれは支払わなくてもいいように出ておるのです、条約第十四条というものは。それで何か日本の外交、日本のいわゆるそれに対する財政当事者の甘い考えがついそれに引きずられてしまったと、こういうわけです。米英両国から見れば賠償問題をいろいろ出す、現金賠償を出すということは、実に先方は笑っておると僕は思っておる。だから今度八億ドルとか、六億ドルとか、それからビルマはすでにああいう事態が出ておる。それからインドネシアが出ると……大臣は今おられないが、政府の方は大勢おられるが、だれでもいいと思うが、日本の経済は果してこの賠償問題に対して払える自信があるのかどうか、そういうことを一つ承わりたいと思います。
  241. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまの御質問に対しましては大臣からお答えをしなくちゃならぬ大きな問題でございますが、ただいま衆議院の本会議の力に出ておりますので、かわりましてお答え申し上げます。  賠償問題の処理に臨む根本的な考え方は、ただいまお示しがございましたように、あくまでも日本経済の正常な運営に支障がないように、つまり負担力の範囲内のものにこれをとどめるように努力をしていかなくちゃならぬことは当然でございまして、今まで解決いたしましたのはビルマ一国でございますが、それに引き続きまして目下フィリッピンが問題になっておりますが、それぞれの問題の処理につきまして、財政当局といたしましては常にただいま申し上げましたような考え方から配慮をいたしまして、臨んで参ったつもりでございます。ただし、まあ相手もあることでございまするし、また賠償問題を解決いたしまして、南方諸国との経済関係を二日も早く正常化して参るというような、善隣友好の外交の精神もあることでありまするので、一方的な日本だけの考え方だけでもこれは参らぬわけであります。結局まあ話し合いということになっていかなければならぬわけでございますが、今後も残された問題の処理に当りましては、私ども財務当局といたしましてはあくまでも日本経済の範囲内、力の範囲内ということで、条約に盛られた精神を極力生かして参るようにむろん努力をして参らなければならぬ、さように考えておるわけでございまして、御質問まことにごもっとと存じ上げる次第でございます。
  242. 平林太一

    平林太一君 ただいま生計局長おられないでお帰りになったと思っていたのですが、大へんけっこうな御答弁です。これは今お話のように相手方もあることですから、できるだけこれは友好善隣を基礎にしてやると、そういうことを打ち出すわけだ。しかしこの賠償問題に対しては日本の経済というものを全然忘れておるのではないかというふうに——この国会に現われるところの財界関係の話を聞いておると、外国貿易を一日も早く開始して、そうしてそうされることを望むのだ、そうするには、とにかく賠償問題を早く解決しなければならぬ、こういうことなんです。しかし賠償の負担というものは、すでに役務賠償が現金賠償に性格を変えたということは、これは動かすべからざる事態であることは、今お話通り相手のあることですから、これはやむを得ないのだ。日本外交の何といいますか、こういった時代になって外交のしにくいという点も認められるが、そういうことになった。だから、その賠償の負担というものは、ことごとくこれは全体の国民に今後十年なり十五年なり、これはひもがついて続けられるわけです。こういうふうに、まあ昨年あたりよりも今年のように若干景気がいいときはこれでよろしいが、これで十年、十五年というときには、必ず経済界の不況というものがくる。そのときに賠償的な経済というものが続けられていくと、これは過重な経済の負担になる。これは一面において輸出貿易によって利益を直接に上げるところの財界というものは、きわめてこれは少数です。ですから賠償問題を解決すれば、もう一挙にして特別な、つまり基幹産業というものが、これはりっぱな国の再建をするために必要な産業であることは申し上げるまでもないが、基幹産業の経営者というものは、またそれに関連する関係者というものは、つまりそれによって非常な恩恵、利益を受ける、こういうことなんです。それでそれが個人のそういう一方の繁栄に資して、そして一方は賠償の負担にこれは苦しむということになると、今後ますます貧富の懸隔というものが非常に激しくなることになるということは、日本の将来のために重大な政治問題になる。そういうことを一つ考えになられて、一つ主計局としてはこの点はよく、現金賠償に対する事柄に対し、それからまた賠償に対する事柄に対しては、外務省と真剣な一つ取りきめをやって、そして条約に示された日本経済を破壊しないということを十分根本において、重大な発言権を持ってもらいたい。こまかなことについては、われわれの熟知しない範囲がほとんどを占めていると言っていいのでありますから、そういう点も一つ十分責任を持ってやってもらいたい。  それからそれにつけても、そういうことで考えられるのは、高額法人税のいわゆる税率というものを引き上げる処置を、三十一年度において考えたらどうかと思っている。輸出入によって、国内の景気というものがことさらにまげられておったのが、ようやく戦前に復してきた。しかもその重要な貿易、そういう大きな大資本の何も、せんじ詰めると、戦後今日をなしたゆえんのものは、これは国の資金によってなしてきたわけです。戦争前は、資本金のうちのいわゆる三〇%ないし二〇%が国のつまり資金によって基幹産業は動いておった。ところが戦後においてはそれが逆転して、自己資金というものは二〇%ないし三〇%、あとはみなそれは国の政府関係機関の資金であるとか、そういうようなものはあるしは市中金融の機関、市中金融からの借入金である。市中金融の借入金というものは、せんじ詰めれば、市中金融というものは国が保証して、これは大蔵省の銀行局長がおられぬが、国が保証しておるから、午前中も郵便貯金のことを話したが、郵便貯金はわずか五千億だということですがね。市中銀行預金は三兆ないし三兆五千億と承知している。それは国がみな保証しておるから、安心して何しておる。その金が流れて基幹産業にいく。そういうことであるから、これは法人税を、高額所得者に対する法人所得に対してかけるということは、戦前よりも税額が非常に濃厚になっているという時代である。そういうふうにお考えになれば、これは歳入財源を本年度においては——決して基幹産業の経営を阻害しない範囲内において、相当程度の歳入というものが見積りができるのじゃないかと思う。ところが今示されたこの予算にはそういうものが出ていないのです。こういう点はどういうふうにお考えになりますか。これは最後で、これ以上いろいろなことを申し上げるのもあれですから、承わっておきたいと思います。
  243. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 前段の賠償問題、それについての御趣旨につきましては、私ども全く同感でございまして、今後もできるだけ努力をいたしたいと存じます。  後段の法人税の課税の問題でございますが、庭山調査課長からお答えいただく方がいいのだと存じますが、この法人税をどう考えるか。今の税制の建前から申しますと、なかなか累進税率というような考え方もできにくいような感じもいたしますが、私はしろうとでございますので、調査課長から一つ
  244. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 法人税は、もうかっている法人に対しては超適所得税のようなものをとったらどうかという御意見でございますが、以前に、昔そういうことをやっておった時代もございまして、いろいろ事務的には研究はいたすべきではございましょうが、現在の法人税率がもうすでに四〇%で、相当高うございますので、これよりさらに高い税率を作るということは、なかなか簡単には結論は出ないものだと——非常に大幅な税収を縛るような超過所得税的なものを作りますためには、税率をうんと高くしなきゃいけませんし、そういうことはなかなか実際問題としてできませんで、軽度のものにいたしますと、もうほんとうの爪のあか程度の税収しかございませんので、非常に超過所得税を作ることになりますと、所得の計算その他で、困難な、非常にむずかしい問題が出て参りますが、なかなか簡単に結論は出ないのではないか。それから国民の金を使って——以前は自分の金でもうけていたのだけれども、現在は国民の金、あるいは政府のあれでやっているのだから、そういうことでもうけた場合には税金をかけていいじゃないかというお話もございますが、むしろ非常にもうけている会社は、自分の責任で、自分の資本でやっているような会社が案外もうけている場合が多くて、政府の金を借り入れ、その他でやっております法人には、案外所得というものは少うございます。でたまたま臨時的な突発の事件、あるいはこのたびのように、海外の鉄とか銅の市場が非常に多くて、とてももうかったような場合がございますけれども、それに対してどういうふうに直ちに超過所得税のようなものを作って取り上げるのがいいかどうか。現在の税負担は非常に重い時代でございますから、なかなか簡単には結論が出ないと思いますが、十分研究はしたいと思います。
  245. 平林太一

    平林太一君 どうもその今の、それは四〇%が最高だと、こういうことは、やはりこれは大蔵省伝統の考え方の、からだの中にしみついた、やはり一つの先入観です。そういうことは、これは非常にやはりそういうことで、これはあり得ることなんです。そういうことは決してわれわれ、僕自身としては、そういうことは責めないわけですが、これは世の中には意外なことがあるのです。自分の旧来の陋習、惰性と申しますか、だからかつて明治維新の際に、旧来の陋習を破り、天地の公道に基くべしと言った。あなた方の税制に対する考え方も、旧来の陋習を破らなければいかぬです、今年度はそういうことを根本的にお考えになられ、四〇%を最高額にとどめるべきでないということが、一瞬にして夜が明けたように今までの措置に反省をいたすことになりましょう。それはさらにいわゆる勤労所御その他の利潤、利益というものを持っておる対象に対し、それに対して五〇%、六〇%、あるいは七〇%——このパーセンテージは、これはなかなかそういうことは今断定して申し上げませんが、それをやりますれば、所得税の今の二万——いわゆる個人所得税の二万とか、二万五千円の免税点を五万円に引き上げる、その財源を埋めるなんてことは立ちどころにできるのだ。しかしそれによっていかに、何といいますか、国のいわゆる税制としての、明るい国の税制の処置というものが立てられるのじゃないか、そういうことを考えるわけですが、どうか一つこれらのことを、僕も専門家でないからいささか暴論のようなことに相なるかもしれませんが、これは一つそういうことを根本的にお考え願いたいということをこの際申し上げておきます。せっかく一つ国家税制の上に工夫をするということは、税制の問題ということが最大の根底をなすものであるから、主計局長さんがりっぱな人がおられるので大いに期待しておるので、せっかくどうか勉強していただきたい、こういうことを申し上げて、私は質問を終ります。
  246. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 だいぶ時間もおそくなっておりますので、簡単に伺いますから、どうか簡単に要点をお答え願いたいと思います。  第一は資金運用部の問題でありますが、郵便貯金の三十年度収入予定が一千百億円であったのが八百九十億に減った。従いまして計画において約二百十億減ってくるのですが、これをどういうふうにして調整なされたか、要点だけ一つ……。
  247. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 理財局の資金課長がこちらに参る途中でございますので、間違っておりましたら資金課長から訂正をいたしますが、当初きめました資金計画につきまして、いろいろその後実行上異同を生ぜざるを得なくなりました。その一番大きな点がただいまお示しの郵便貯金の問題でございます。この郵便貯金の穴を埋めますために実行上いろいろ実は苦労をいたしましたが、その一番大きな手段として実行いたしましたことは、開発銀行から予定いたしておりました貸付金、これをできるだけ民間の方に肩がわりをする。多分電気の関係で七十億でありましたか、それから一般産業資金の関係で六十億、百三十億くらいのものを開発銀行からの融資を予定しておりましたものを民間の融資に肩がわりしまして、それによりまして百三十億くらいの穴を埋めまして、これが一番大きな補てんの手段でございます。そのほかいろいろと対策を考えまして実行いたしておると思いますが、一番大きな補てん策はただいまの点でございます。
  248. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 いろいろな調整がありましょうから、その最終決定のものを資料にしてお出しを願いたいと思います。  それから引き続きまして、資金運用部の運用状況が理財局から資料として提出されておりますが、その中で第一表の負債の部というのに、その他預託金というのと、その他というのがあります。それから資産の部で一般会計及び特別会計に対する貸付、政府関係機関に対する貸付、地方公共団体に対する貸付、金融機関に対する貸付、今私が申し上げたもののもっとこまかい内容をこれも資料としてお出しを願いたいと思います。  次に伺いたいのは、継続費の組み方の問題でありますが、今度の予算に、衆議院で庁舎の建築費一億二千六百万円、参議院で八千二百七十万円、図書館で二億三千八百万円、こういうものが出ております。これは毎年同じようなものが出ておりますが、全体の額は相当に上っておりまして、結局それはやらなければならない、ところが少しずつ出ておりますと、はなはだ不勉強で相済まぬのですが、見のがすおそれがある。そこでやはりたとえば参議院の庁舎にしましても、長い鉄骨が上まで立っておるのだから、予算上否決してしまってやめるというようなことは事実においてなかなかむずかしいし、またやったら不経済である。そこでこういったようなものは最初いずれ計画があるはずでありますから、やはり一つ継続費の形でおやりになるのが一番正しい、こう私は思います。もしそれがむずかしければ、たとえば備考欄に庁舎であれば三億円の仕事なんだが、今年は一億何千万円出す。しかしこれは計画は三億円だぞということをわれわれの頭に入るように、ちょびっと少しだけ出して、実は氷山の一角みたいにあとからうんと出るというようなことは、実は一種のごまかしのようでよくない、そういうふうに予算の組み方を変えるという点についてお考えを簡単に伺いたいと思います。
  249. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 継続費という制度がございますので、計画が決定いたしておりまするものにつきましては、一年度限りずつを出さないで、継続費として国会の御決議を仰ぐべきじゃないかという御趣旨はごもっともでございますが、他面におきまして、財政事業がどうかという点も考えなくちゃならぬかと存ずるのでございます。つまり継続費として今後数カ年にわたる債務を負担するほど今の財政がゆとりのあるものであるかどうか、一応計画はあるがそのときになってもう一ぺん財政事情考えて、もしできればやれる、できなければまた希望を圧縮する、そういうゆとりも残しておく必要がある。そういう程度の財政状態である場合には、これはこのまま継続費として計上することができないわけでございまして、つまり継続費として計上いたしまするのには、計画が十分確定しておること、さらにそれを継続費として認めるに足りる財政上のゆとりがあること、この二つの要件が満たされなければ、ちょっと中止をせざるを得ないというようなことになるわけでございます。今日までお示しがございましたような計画につきまして継続費を組んでおりませんのも、もっぱら財政上の理由によるものでございまして、しからば一体どのくらいのものかという点について御認識をいただく、これが予算を御審議願う上において必須の条件である、これはまことにごもっともでございます。私どもといたしましても、そのような点については、できるだけ資料を提出するなり、あるいは御説明を申し上げるなりいたしまして、この単年度予算がどれだけあとを引くか、残事業はどれくらいあるかということをできるだけ明らかにいたしました上で予算の御審議を願うようにする、その点につきましては、今後一そう努力をいたしたいと存じます。
  250. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 一昨日の予算分科会で大蔵省御当局の御説明を伺ったときに、継続費でかりに一応議決しても、極端をいえばゼロにしたってかまわないのだ、こういうような御答弁がありまして、そんな財政事情とおっしゃるが、年次割で割っても別に差しつかえない、これが一点と、それからそれがもし今お話のように困るということであれば、少くとも備考欄に全体の計画は幾らになるのだ、今まで幾らにして次は幾らだということくらいは誓いておいていただけませんと、質疑応答と申しましても限られた時間でやるのですから、やはりそういうふうにお書きいただくということの方が便宜だという希望だけ申し上げておきます。  それから次に、大蔵省の所管の常勤労働者が本省とほかとを寄せて千二百四十八人で一億六千三百万円出ておりますが、これはやはり定員に入れるというわけにゆかないのですか、どういう仕事をしておりますか、簡単に。
  251. 竹村忠一

    政府委員(竹村忠一君) 現在非常勤労務者の大部分のものは管財関係におきまする監視でございます。それから税関におきましてもやはり監視的なものでございます。その他は統計のような比較的機械的な事務に従事しておる者が大部分でございます。従いましてどっちかと申しますと、臨時的な事務量をやっておるものでございまするから、定員に入れるのにつきましてはむしろ差し控えたいというふうに考えておる次第でございます。
  252. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 前年度何人くらいありますか、同じくらいですか。
  253. 竹村忠一

    政府委員(竹村忠一君) 前年度は千百九十二名でございまして、今年度は五十八名の増でございます。増加いたしましたおもなものについて申し上げますと……。
  254. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 いやそれでいいです。去年とだから六十人ぐらいふえているのですね。大体大ざっぱにいって千人ぐらいは常に使っていると、こう思うので、ぜひ要るのなら、定員をふやすか、あるいはこのほかにまだ非常勤が四百三十人、金高にして千五百万円ほどあるのですね、だからいわゆるごまかした定員のような形はなるべく何というか、是正されるがいいということだけを申し上げておきます。答弁を求めません。  それからこまかくなりますけれども、国税庁に試験所長というのがあるのですが、国税庁に一体試験所というものはありますか、何をやっていますか。
  255. 竹村忠一

    政府委員(竹村忠一君) 醸造試験所長でございます。
  256. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから次は、庁費と旅費と交際費のお調べを前にしていただいたことがありますが、ことしは大体去年と同じぐらいですか、幾らか減っておりますか。三十年度では旅費が八十九億六千万円、それから庁費が四面十八億一千一百万円、交際費が三億二千二百万円、これは各省寄せてなんですが、ことしはこれに幾らか節約されていますか、同じぐらいなものですか。
  257. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまの数字は各省を通じた数字のように伺いましたが、大体前年度と同額程度とお考えいただければけっこうじゃないかと思います。
  258. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 別に何かチェックされたというようなことはありません、ですか。
  259. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) たとえば旅費について申し上げますと、三十年度の旅費の総額が百四億でございましたが、三十一年度は百九億でございます。
  260. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大蔵省だけですか。
  261. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) これは全体でございます。旅費は八十九億六千百万円でございまして、本年度は九十三億九千百万円、これは公共事業関係並びに防衛庁関係を除いた数字でございます。公共事業と防衛庁を含めた数字で申し上げますと、前年度百四億でございまして、本年は百九億ということに相なっております。
  262. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 庁費はどうですか。
  263. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) それから庁費でございますが、一般公共中業と防衛庁費を除いた一般の分について申し上げますと、前年が四百十二徳でございます。それが本年度は四百四十三砥でございます。防衛庁並びに公共中業関係を含めた数字で申し上げますと、前年が八百四十五億で、本年は九百十六億、若干増加いたしておりますが、これは学年進行月割増その他当然増加的な要因によるものが多いと御了承いただきたいと思います。庁費なり、旅費なりを認める基準は前年度と同じ基準を使用いたしておりますことを御了承いただきたいと思います。
  264. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 あとで資料でいただきますしそれから専売、たばこの方で固定資産が十二億四百五十万円ふえていますね、これはおもに何でございますか、十二億四百五十万……。
  265. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) 半分は機械の補修でございます、入れかえ。それから半分は水戸、名古屋、岡山の戦災後に非常に急いで建てました工場の補修をやるつもりでございます。そういうことでございます。
  266. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから次に伺いたいのは、電電公社の財産目録の問題なんですが、電電公社の二十九年度の財産目録のうちに出資勘定十四億二百万円あるのです。ところがけさの質疑でわかったんですけれども、これは国際電電株式会社の株がまだ売れてない。大蔵省がお持ちになっておるのを評価してここに入れておるので、いわば未収入勘定だ、こういう御説明があったんですが、一体渡さない、自分のところの資産でないものを財産目録に書くということは、私は規則はよく存じませんが、会計法上許されていますか、こういうことが。
  267. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 午前中に電電公社のことで説明がありました十四億の出資勘定は、電電公社として本来予算に計上しておるものがもらえなかったというような経緯があったものですから特に出資勘定という項目を起したわけですが、本来は未収金というふうに確定すべきものであるかどうかということは非常に疑問だと思います。
  268. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 けさの話は、おもに三十二年度予定計画の話をしておったんですが、それも私ちょっと見ましたら二十九年度の決算の方に出ているんですね。ところがこれは済んだ話で確定しておると思うのですが、一体自分のところの財産でないものを財産目録に上げておるというのは、私は非常におかしいと思うのですがね。これは一体会計法でこういうことは第何条に……、先ほども古木さんからいろいろお話がありましたが、会計法の第何条かに違反しておるというふうなことがあるんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  269. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 御承知のように、国際電電ができましたときに、公社の方では三十二億の現物出資をしたわけでございます。その現物出資をした株券は全部政府に渡すというふうな付則になっておりまして、渡したものについてはすみやかに売却をして電電公社に交付する、こういう建前になつております。従いまして電電公社としては、その三十二億は本来電電が現物出資をしたものなんだというような気分が非常に強いわけでございます。現実その分について最初に約八億でございましたか、これは売れましたけれども、あとは株式市場の状況がよくないので売れなかったものでございますから、その分で予算計上したものだけを特に出資勘定というものを起して、将来は必ず返ってくるのだからという含みで勘定を起しておるわけでございます。
  270. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今のは十八億の間違いですけれどもね。ところがここの国際電電株式会社法の付則の第二十二に「政府は、第二十項の規定により譲り受けた株式の対価を、当該株式の処分に応じて公社に支払うことができる。」と書いてある。だからむろん実態的には、これは売れたもの全部渡さなければなりませんが、法律の建前からいえば、必ずしも全部渡さなくてもいいわけなんですね。へ理屈を私は並べるようですけれども……どうもこれは会計法には違反していると思いますがね。どの条項にどう違反しておるか私は存じませんけれども、全部渡すとは書いてないのですからね。それで現に渡っていないんですからね。だからこれを決算報告に出して財産目録の一部に入れるということは極端に言えばめちゃじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  271. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) ただいまの附則の解釈でございますが、おっしゃるように「政府は、第二十項の規定により譲り受けた株式の対価を、当該株主の処分に応じて公社に支払うことができる。」という規定になっておりますが、この点の解釈につきましては、法制局その他とも打ち合せをいたしたわけでございますが、その際の大体の了解といたしましては、もし政府が保管しております株式を売りました場合には、すみやかにその売った分を公社に払う、こういうふうに解釈をするというふうに了解いたしております。
  272. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それはよくわかります。よくわかりますが、渡していない金をこの財産目録に出すということは会計法に何ら関係ありませんか、差しつかえありませんか。
  273. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) これは渡していない金の分ではないのでございまして、政府に保管しているもの……。
  274. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 保管していません。
  275. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 保管していない金は先ほど申しましたように、考え方といたしましては、そもそも電電公社が最初に現物出資をした、こういう経緯から政府が持っておるわけでございますが、その現物出資分とかいう感じで出資勘定を起しておるわけでございます。
  276. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 所有権が移ってないのに財産目録にあげるというようなことが許されますか。第一、大蔵省はもし所有権を移しておるならは配当金は当然渡してなければなりません。しかるに配当金は渡してない、所有権だけは君に渡すのだと、そんな理不尽なことがありますか。
  277. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 出資勘定という表現が好ましくないということは先生おっしゃる通りだと思います。
  278. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 出資勘定であっても何であっても、名前は未収入でも何でもいいんですが、財産に入れるということは間通いじゃありませんか、入ってから入れなければ。のみならずこの国際電電の株式は五百円のものが六百余円に売れたのですから、上っておりますね。今なお百三十二万株大蔵省が持っておりますが、これが約八億に売れるわけです。上っている場合はいいですが、極端に言えば、ゼロになった場合にはこれは取り高にならぬわけなんですね。評価して財産目録という特価で表さなければならぬのに、所有権がない。その配当も入らないようなものをあげるということに、一体むずかしい会計法の精神に私は当然違反しておると思うのですが、ここで議論してもしようがないけれども、もうちょっとはっきりしませんかね。
  279. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 財産という意味は、十四億の金がまだ電電の方には渡してない、法律の規定といたしましては、十四億をすみやかに電電の方に売れた場合には交付すると、こうなっております。従いまして、考え方はそういった債権を持っておるのだと、そういう意味合いで出資勘定というような翼を立てたわけでございます。
  280. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 配当はどう説明されますか、配当金の帰属ですね。もとはこっちの日本電電公社に元金の所有権はあるのだ、配当は大蔵省が取るのだ、これで一体筋道が立ちますか。
  281. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 株の所有権は大蔵省にございます。従いまして当然所有権のある大蔵省に配当があった場合にはやってくる、こういうことになりますが、現在の財産目録の考え方は債権債務というものを全部並べまして、その際に電電公社として債権といえども、たとえば法律の規定によって現在もし売れましたならば、その売却代金は少くとも額面で電電公社に入ってくるというものを一応債権という解釈で載っけている、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  282. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その財産目録といったようなものにそんなあやふやな一体解釈で載せることが、監督の立場にあられる大蔵省として正しいか。それが大蔵省の解釈ですか。私はあまりにも……このことに時間を取りたくないのですけれども、もうちょっとすらっとしたですね、だれがお聞きになってもわかるような、青木さんが聞かれてもごもっともと思われるような一つ一ぺん御研究を——おそらく青木先生だったら納得なさらないと思いますがね。もうこの点は私これ以上追及しませんが、一ぺんよく御研究になって、そうして正式の回答をお願いしたいと思います。もうここでやってみたってしょうがないから次に移りたいと思います。  大蔵省に伺いたいのですが、旧軍用財産で国有財産の台帳にまだ載っていないものが相当あると思うのですが、これは見込みでわかりますか。
  283. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。  軍用財産で台帳に載っていないものという御指摘でございますが、これは八木委員よく御承知の通り、年々増減計算書というものを国会にお出しいたしております。ただいまもお出しいたしまして決算委員会で御審議を願っておるわけでございますが、私どもはだんだんこの状況は改憲をされ寂して、旧軍用財産のみならず旧大蔵省所管雑種財産その他につきましても現実の数量と、いわゆる実在数量と台帳数量というものはだんだんと適合してきておると確信をいたしております。ただまだ多少その点につきまして食い違いがあるということも事実でございますが、これが今どのくらいあるかという御質問でございますが、実はこれは見当がつきますれば直ちに訂正をいたすわけでございまして、私どもはもうほとんど大したことではないというふうに実は考えております。しかし、確信を持って全然間違っておりませんということを申し上げる段階でございませんことも事実でございまするので、先般もときどきこの実態調査ということをやらしておるわけでございまして、私の考えでございますが、やはり五年計画くらいでほんとうに地道に片っぱしからやってみたいと実は思っております。御承知のように、国有財産の処分が戦後非常に処分に追われた時期がございまして、跡始末にあまり力が出せなかったのでございますが、最近はややそれらも正常化いたして参りまして、処分の方にあまり精力を坂られないような状況になって参りましたので、この際ぜひ五年計画くらいで片っぱしからいわゆる地押しをやりまして、脱落地あるいは台帳未登載というものを片っぱしから攻め上げていきたいと考えております。従って、今どのくらいあるかという御質問に対しましては直ちにお答えできませんが、だんだんとそれらの食い違いは少くなっておる。並びに残りましたものにつきましてはただいま申し上げましたような計画をもちまして、一つ的確に把握をする努力をいたしておるということだけは申し上げておきたいと思います。
  284. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ちょっと先ほどの問題、八木先生のおっしゃることごもっともでございまして、おそらくまあこの電電公社予算は実はほかの省の予算と建前が違いまして、電電公社の、郵政大臣の方から私どもの方が供与を受けるという受け身の立場にございますが、といって別に責任を逃れるつもりはございません。おそらく郵政省ないしは電電公社のつもりといたしましては、二十九年度予算でこれを売却して交付するという、予算に一旦計上してございました。それが実現できなかったわけでございます。そういう経過にもかんがみまして、これは当然法律の規定もございますし、またそういう経過もございますので、当然公社の力に入ってくるものだということからいたしまして、公社の資産内容を示す内容としてこれを計上しておるのだと存じますが、しかしまあおっしゃるように渡したときに初めて資産になるという、そういう計上をすることが健全な経理の仕方でもございます。その辺につきましてはいろいろ問題もあるようでございますから、先ほど申し上げましたような予算の経理の調整の建前が違いますが、なおこの点につきましては郵政省当局ないしは電電公社当局とよく相談をいたしまして再検討をいたしたいと存じますので、御了承いただきたいと思います。
  285. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この点はやはり大蔵省としても、相当これはあやふやなものだという感じでは工合が悪いから、十分一つ法制局なんかともお打ち合せ、御研究願いたいと思います。これは予算は出ていますけれども、電電公社はこの株を売りたくなって、逆に私は大蔵省に売れ売れとやかましく言っておるのです。法律の明分は売れということになっていますが、一つよく御研究願いたいと思います。
  286. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) かしこまりました。
  287. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 またはかのことですけれども、大蔵省関係で製本印刷に三億三百万円ほど毎年金を使っているのです。これは非常に金額としては多いのでずが、たとえば印刷局である程度やらせるとか、これは節約するようなことは十分お考えになっていると思いますが、このうち印刷局でやるのはどのくらいでございますか。
  288. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) くわしい内訳のことはあとで申し上げますが、実はこのうちの相当部分は毎年作っております予算書でございます。最近は一回では済みませんで、補正とか、あるいは修正とか何とかというようなことで、こういう種類のものを何回も印刷するものでございますから印刷費もかさむわけでございますが、この予算関係はすべて印刷局でやっていただいております。むろん私どもといたしましては、原価計算その他を考えましてできるだけ廉価にということで、さりとてまあ印刷局の方の損になっても困りますので、合理的な価格でということで実行いたしておりますが、この計数の内訳につきましてはただいますぐ申し上げます。
  289. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 計数は要りませんけれども、国税庁なんかの徴税のものなんかずいぶんストックが多くて決算委員会で問題になったこともあります。私相当項目があるものですから合計してみたら、三億円以上あるのですね。これ以上答弁求めませんけれども、できるだけ一つ経済的にやるように御注意いただきたい。  それから印刷局のことを伺いたいのですが、印刷局発刊の図書が八百万、そのうちで大体定価をつけていらっしゃるのが五百万余りあると、こういうのですが、定価をつけてない書類というのは、大かた方々に何というか、配布されるものだと思いますが、できるだけこれは定価をつけて、ごく秘密でないものは民間でたやすく手に入るように一つしていただきたいと、こう思うのですが、私が今申し上げた数字は、あまり違いはございませんか。
  290. 村上太一郎

    説明員村上太一郎君) 今の定価をつけない発刊図書というのは……。
  291. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 八百万冊ほど発刊図書があるでしょう。私きょうちょっと調べて書いてきたのですが、どこから調べたか忘れちゃった。
  292. 村上太一郎

    説明員村上太一郎君) 発刊図書に定価をつけてないのはないと思います。
  293. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうですか。全部でどのくらいですか、部数は。
  294. 村上太一郎

    説明員村上太一郎君) 部数は、予算予定いたしておりますのは、発刊図書は一億五千八百万円予定しております。
  295. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 部数です。じゃこれは今でなくてもようございますから、一ぺん調べて、どれくらい出している、定価をつけているものはそのうち何%あって、非売品が何%あるということを、簡単なものでけっこうですから、お調べになったときに私の方に……。
  296. 村上太一郎

    説明員村上太一郎君) 定価をつけてないものはないと思いますが、内訳を……。
  297. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 一ぺんお調べを願いたい。
  298. 三浦義男

    主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。——なければ、大蔵省所管に関する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、当第一分科会担当全部について質疑を終了したわけでございます。別に御発言もなければ、これにて本分科会の審査は終了することとし、審査報告書の作製及び本委員会における報告の内容等については、主査に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御異議がないと認め、さように決定いたしました。  それではこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会