運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-18 第24回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十八日(土曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員異動 二月十七日委員高橋進太郎辞任につ き、その補欠として小野義夫君を議長 において指名した。 本日委員伊能芳雄君、木村篤太郎君、 武藤常介君、三浦義男君、森崎隆君、 松澤兼人君、相馬助治君、高橋道男 君、高木正夫君、小林政夫君及び片柳 眞吉辞任につき、その補欠として藤 野繁雄君、井村徳二君、宮澤喜一君、 酒井利雄君、岡田宗司君、赤松常子 君、永岡光治君、北勝太郎君、杉山昌 作君、竹下豐次君及び後藤文夫君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事           池田宇右衞門君            堀  末治君            安井  謙君            秋山 長造君            豊田 雅孝君    委員            青木 一男君            秋山俊一郎君            石坂 豊一君            井村 徳二君            井上 清一君            小野 義夫君            川村 松助君            小滝  彬君            酒井 利雄君            木内 四郎君            佐野  廣君            田中 啓一君            西岡 ハル君            野村吉三郎君            藤野 繁雄君            宮澤 喜一君            吉田 萬次君            岡田 宗司君            亀田 得治君            永岡 光治君            羽生 三七君            矢嶋 三義君            北 勝太郎君            後藤 文夫君            杉山 昌作君            竹下 豐次君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 牧野 良三君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    農林省農林経済    局長      安田善一郎君    食糧庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算補正(第  1号)(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算補正(特  第4号)(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算補正  (機第1号)(内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  本日は、前日に引き続きまして、昭和三十年度予算補正に対しまして質疑を続行いたします。
  3. 羽生三七

    羽生三七君 最初に大蔵大臣にお尋ねいたしますが、本来ならば、ちょうど、今度の一般会計の六十七億の赤字補填に見合う実質的な受け入れ食管特別会計において行われていなければならなかったと思うのです。その補正特別会計においては行われておらない。あれは一種の了解事項であって、実質上の補正というものが行われておらないと思うのです。これは非常にルーズだと思われますが、どういうことで、こういう処置がなされておるのか、この点を承ります。
  4. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 技術的な問題でございますので私からお答え申し上げます。今回、一般会計から六十七億食管会計に繰り入れるわけでございますが、これは、食管会計といたしましては歳入でございます。歳入項目の「他会計より受入」というところでこれを受け入れるわけでございます。歳出権補正につきましては、先般必要な補正をお願いいたしておるわけでございまして、この六十七億の受け入れは、単に歳入受け入れにとどまるわけでございます。これに伴って歳出権補正追加を必要といたしませんので、最少限度補正という意味で、今回は食糧管理特別会計補正をいたさないでおるわけでございます。会計法上から考えましても、さような従来からの取扱いになっておりますので、御了承いただきたいと思います。
  5. 羽生三七

    羽生三七君 気持としてはわかりますが、今お話のように、この他会計から受け入れということになると、昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)の十三ページの「他会計より受入」の項に六十七億というものが入らなければうそだと思うのです。全然入っていない。こういうことで、実際上、わずかなものならとにかく、六十七億という相当膨大な予算が、単なる慣例了解事項だけで、全然補正が行われておらない。こういうことでいいのでありますか、どうでありますか。しかも、これに見合うものは、昭和三十年度特別会計予算、これを見ていきますと、百九十七ページの項に、「一般会計より受入」、その区分の中に、食生活改善経費財源受入被害農家主要食糧特別売渡価格損失補填財源受入、この二つしか一般会計より受け入れ区分はないわけです。そういうものが、全然それに見合うものが他会計からの受け入れ補正をなされなくて、単に、従来の慣例とか、歳入の方だから一向差しつかえないというようなことで、こういうことが行われていいのでありますか、もう一度重ねて伺います。
  6. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほどお答を申し上げましたように、「他会計より受入」の項の歳入金額が六十七億増加いたしまして、反面食糧証券及借入金収入の項の収入がそれだけ減少するわけでございますが、こういう歳入科目異動予算編成後にもしばしば起るわけでございまして、これに関しましては、歳入の面に関する限りにおきましては、特に補正を必要としないというのが従来からの慣行に相なっておるわけでございます。特に今回は、六十七億につきまして一般会計の御審議に際して御審議をいただいておるわけでございますので、従来からの取扱いに照らしましても、別に問題は存しないというように考えておるわけでございます。
  7. 羽生三七

    羽生三七君 まあお答は従来の慣例ということでありますが、歳入の方は見積もりでございますから、ある程度確定です。そうでありますから、そう歳出のようにきちんとしたものに行かないということはわかりますが、それにしても、六十七億という膨大なものが単なる従来の慣例予算の書類上何らの補正がなされないというようなことは私は適当でないと思う。だから大蔵省が従来歳出についてはきわめて厳格でありますが、歳入についてはあまりにルーズであられるので、私はあえて警告的な意味で申し上げたわけで、本来ならば今日ここでちゃんと特別会計補正を六十七億行なって、同時にここで採決を行うのが適当と思いますけれども、今後の善処方を要望するにとどめて、この問題はこれで打ち切っておきます。  次にもう一点大蔵大臣にお伺いしたいことは、やはり今度の補正予算説明中、財源の点で、御承知のように、地方財政負担軽減をはかるために、三十年度暫定予算影響あるいは地方財政の窮状の関係等から生ずる事業の遅延、繰り延べの実情等を考慮して、公共事業費系統について六十四億三千七百万円の節約を行って、これが財源の一部になるわけであります。これを繰り延べするということはわかりますが、これは次年度においては、何か優先的に取り扱われるのかどうなんでありますか、その辺の見通しといいますか、方針をここで一応承わっておきたいと思います。
  8. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。おおむね優先的に取り扱っておるわけであります。
  9. 羽生三七

    羽生三七君 他に実際予算の実体に即したことでいろいろお伺いしたいことがありますが、時間がないのでもう一つ大蔵大臣にごく簡単なことですが、承わりたいと思いますけれども、それはフィリピンとの賠償問題、フィリピンとの賠償問題が今交渉過程にあることは了承しておりますが、かりにこれが成立した場合、どういう内容で、たとえば現物賠償なり役務賠償が幾らで、現金賠償があるかないか、あるいは民間借款は幾らか、そういうことは全部別にして、かりにそれが成立した場合には、実際上予算上どういう影響が起ってくるのか、つまり現物賠償にしてもどういう扱いをされて、予算影響があるのかないのか。事務当局のお方からこの間ちょっと承わると、これは何か予備金からでことしは間に合うだろうというようなお話もありましたが、内容的なことは今交渉過程ですから、これは無理だと思いますが、近くおそらく成立するのじゃないかと思う。その場合の予算に及す影響、全然予算影響がなければよろしい。そういう問題を一つ承わっておきたいと思います。
  10. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) フィリピン賠償が成立いたしますれば、賠償特別会計のうちに計上いたしてありまする予備金からこれは払うつもりでいたしております。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 次に農林大臣にお伺いいたしますが、御承知のように、今度の三十年度予算補正の一番主要な点はやはり食管赤字補てんであったと思うのであります。ところがこの赤字補てん六十七億のほかに、インベントリーの百億を取りくづし、さらに酒造米なんかの増石やあるいは業務用の払い下げあるいは希望配給による利益、こういうものを全部見込んで、さらにそのほかに相当多額輸入食糧売買差益金というものがある、そういうものを差し引いた残りが今出ておる六十七億の赤字補てんであります。でありますから、全体から見るというと、食管会計赤字というものは相当なものになると思う。しかし私は今の日本の脆弱な農業あるいは消費者生活水準から考えて、ある程度の二重価格制といいますか、財政負担はやむを得ないという立場を私はとっております。そこできょうこれから私がお尋ねしたいのは、これはまあ質問というよりもむしろ懇談的な意味農林大臣見解をお尋ねしたいと思うのでありますが、こういうような非常な大きなときには赤字を生む食管特別会計が今度の補正予算説明を見まするとこう書いてある。「この特別会計における損失は、三十年度において処理し、三十一年度においては厳に収支均衡を確保する方針のもとに、今回、この損失のうち、前述のインベントリイ・ファイナンス相当額百億をこえる六十七億円について、これを補てん」云々と、こうあるわけです。だから三十一年度からはまあ大体赤字を出さない、食管特別会計においては収支均衡を厳に確保するというのが、ただいまわれわれが審議しておる予算説明であります。そこで赤字が本年何で生まれたかということになりますと、これはいうまでもなく、政府の買入価格消費者に対する売渡価格の幅、あるいは早場米奨励金必要経費とか、いろいろあったと思いますが、この額が二百何十億になったと思いますが、かりにこういうものが来年においては赤字が出たいのだ、収支均衡が厳に保たれるのだという場合の、その財源はどこにあるかということをお尋ねしてみると、これは結局外国食糧値下りに基くいわゆる売買差益金でおる、あるいは食管会計の運用によって、若干の合理化によって何らか生み出す、そういうことで赤字は出ないという御説明のようでありますが、実際問題として、こういうことに端を発して食管特別会計赤字がなくなるということはけっこうでありますけれども、しかし外国食糧値下りという要因だけにすべてをかけておる、赤字解消の主たる条件としておるということは非常にこれは不確定だと思う。そこで農林大別としては、将来消費者価格を引上げない、それから生産者価格を引き下げない、そういうことでなおかつずっとこの収支均衡を確保し得るという保証をここで与えていただくことができるかどうか。つまり外国食糧が下っておればそれができるのだ、しかし外国食糧が今より買入価格が上ってくれば、当然そこからくる差益金は減少するのでありますから、これは赤字になって出てくるか、そうでなければ消費者価格を上げるか、生産者価格を下げるか以外にないと思うのですが、その辺遠い将来の先は別として、現在しばらくの見通しについてお伺いいたしたい。
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話通り、現在の日本農業事情から参りまして、生産者価格は、大体これを国内農業生産を維持できるように、農家経済を協定できるような角度からきめていかなければなりません。別の要因といたしまして、物価を横ばいにする、安定せしめるという意味合から、消費者価格現状でこれを保っていかなければいけない。この二つの問題の間に、今お話のような点が起って参りますことは御意見の通りであります。そこで私といたしましては、この差額、大づかみに申しまして、大体石千円みるのが妥当と思っております。石千円みまして、まず二百億から二言二、三十億というものが出て参ります。これをどういうふうにさばいていくかというところに問題があると思うのでありますが、御承知通り、今日の国際食糧価格例年下落の一路をたどっております。前年よりも昨年、昨年よりも本年というふうに下って、現に私が明年度の分を交渉いたしましてすでに確定いたしております分でも、ビルマは大体一割二分下げに話をきめたわけであります。タイはまだ申し上げる段階に至っておりませんが、これは大体それ以上に安く入手できるように、先般タイ大臣との間に大づかみの話合いはいたしたわけであります。これらが大体標準になりまして、国際的にまず来年の米はその程度で買える。麦についても相当値下りを私は期待することは決して不可能ではないと思います。これは今国内生産者価格は、まず今の一万円米価というところで、これより上るということは考えなくてもよろしい、まずそれを下げない程度で維持していけば、農家経済はまずその辺でいけるのじゃなかろうか、消費者価格にしましても、これを今の配給価格を上げないということは、これは絶対堅持いたしますけれども、下る方については、そう急激にこれを下げなければならぬということは、もっとも外米外麦につきましては、今の消費者価格と見合って適当な価格になるように外米外麦は下げていきたいという希望は持っております。現に明年の予定でも下げることにいたしております。そういたしまして、明年の今現に期待できる米価をもっていたしましても、今そこに申し上げておりますように、大体明年度予算特別会計の方で計算いたしておりますように、大体予算米価例年とは変えまして、九千九百六十円というものを標準にして予算を組みまして、大体今期待できる値下りで、赤字も出ないということに計数をはじいているわけでございます。で、これよりも国際食糧価格が上るという見通しは私はなかろうと思っております。特別の事情が起れば別でございますけれども、まずまず予想できる程度ではここらで、これ以下に下るということは期待できますけれども、上るということはまず考えなくてもいいんじゃないかというように思いますので、今御朗読になりましたように、当分の間は今お話のございますように、遠い将来のことは別でございますが、さしあたりわれわれに想像できる程度事情を勘案いたしますれば、食管会計は、まず赤字が出るということなしに、今の国内配給を続けていけるというふうに考えておるわけでございます。
  13. 羽生三七

    羽生三七君 はなはだくどいようですけれども、今の点をもう一度確めておきたいと思うのですが、そうすると、ある程度大体今の現状でいけば年間二百二、三十億は出ると思うのです。それを外国食糧差益金で埋めていく、それはわかりました。そこで日本農業現状なり消費者生活現状からみて、ある程度財政負担はやむを得ないということをお考えになって、もし外国食糧差益金がなければ、当然一般会計分から補てんなり何なりする、そういう財政措置をやる、いわゆる財政負担はやむを得ないものと、いい悪いは別として、財政負担はやむを得ないと考えておるが、しかし当面外国食糧差益金でその一般会計からの繰り入れを明年度からやらなくてもやっていけるということで、財政負担食糧特別会計において早急になくするという考え方で、明年度から赤字をなくするという考え方に出発しておるわけではない、こう了解してよろしゅうございますか。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今申し上げましたのは、食糧関係の点のみについて申し上げたのでございまして、別途私といたしましては、生産費引下げ農家負担軽減という問題を、すなわち問題を、すなわち米の年産費を引き下げるということには全力をあげて努力をいたします。そして消費者米価につきましては、むろん高くするということは絶対にいかんことでありますが、これは、一般経済はなるべく自由化されることを目途といたしておりますので、食糧につきましては、各般の条件を整えた上で、今のような制度はなるべくやめることがいいんじゃないかということを考えておるわけでございます。もし誤解があるといけませんからもう少し話させていただきますと、私はここで自由販売という言葉を使いまして、すぐにそれじゃ自由販売考えていろという誤解があっちゃいけませんが、これは重ねてたびたび申し上げますように、一切の準備を整えて、そして自由販売に移行しても差しつかえないという情勢ができますれば、自由販売にいくことがいい、そうするにはどうするかというと、先般来いろいろ申し上げました知り、条件を整えることが必要であります。すなわち一方には生産者の方におきましても、米の価格が安定する、そしてそれは今言う通りに再生産もしくは農家経営に支障のない程度に安定せしめる、それは生産費引下げを一途として十分努力するというような複雑な要素がありまするから、決して予防線を張るわけじゃございません。直ちに、二重価格をそれならばお前想定しているのじゃないかということに結論を出していただくことは少々迷惑でございまして、そういうふうにあらゆる方面から努力をして、別の方向に私は考えております。ということに御承知をいただきたい。なお、これには少し時間がよけいかかると思いますが、今のお話のような、直ちに結論を、財政負担外米差益金にしろ、別の方から持っていってこれを補うということによって、二重価格ということを考えているのかというと、私はそうじゃありませんで、私の目途とするところは別の方向でございます。ということに一つ、御承知願いたいと思います。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 ちょうど今私がお尋ねしようと思う問題に、たまたま農林大臣が触れられてきたわけであります。この前の特別会計補正のときもそうでありましたが、どなたかの御質問大臣が、まあ食糧統制撤廃は坪来の目標である、その目標に到達するためには準備が要る、今もその準備ということに触れられたわけであります。そうしてその準備の構想の一端が出てきたわけであります。そこで私は、質問というより、さっき申し上げたように、農相がどういうことをお考えになっているか確かめて、われわれの方の考えの参考にもしたいと思うのですが、準備というと、具体的にたとえばどういう準備ができたら統制撤廃ができるか、たとえば今度の米穀需給計画なんか見ましても、政府手持ち米を非常に増加させる、非常にたくさんなものになるわけですね、そうすると、昔の戦前の手持ち米にほぼ私は相当してくると思うのであります。それなら、本来の配給をふやせばいいわけですね、普通の常識論から言えば。それだけ手持ち米がふえれば、配給増に向ければいい。それもない。むしろ生産地消費地とをならすと減配とみられるような処置をなさることをして、手持ち米はふやし、翌年度に持ち越す。外米自由販売にする。そういうようにして順次——政府としてはそうではないと言っておられるけれども、自由販売の手を着々打っておられると思うのですが、実際今農相考えておられる、これとこれとこれだけの条件が整ったら、自由販売をするという場合の条件というのは、どれだけのことを言っておるのか、それからそれがどの程度になればいいのか、それを一つ、これは懇談的でありますから、一つざっくばらんに農相見解を承わりたいと思います。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 機会をお与えいただきましたので、私も懇談的に一つ申し上げてみたいと思います。先般も、お前の言うのは一体その場その場でわけがわからぬというおしかりを受けますので、あまり長く答えることが適当でありませんので、それが連絡しないような場合があると思いますから、少し申し上げたいと思います。  私は食糧政策、今の食管制度考えますときに、現行の制度がよろしいとは考えておりません。これを何らかの方法に改善していかなければいかぬ、改善する場合には、その方向が必要であります。その方向は今申しますように二通りある。極端に申せば専売方向自由販売方向だ、もっとも専売にいく前提でとどまる場合もございましょう。しかし、その二つだと思うのであります。その場合には専売方向はとるべきではない、自由販売方向をとるべきだと私は考えているわけであります。その自由販売方向にいくには、どういう条件が要るか、どうすれば自由販売ができるか、これにはいろいろ条件がございますが、それは順次申し上げていきます。  第一に、政府手持ちを多くしているのは、これは一つ準備だろう、その通りであります。決して準備でないとは申しません。ないとは申しませんが、ただ単に手持ち米がふえさへすればよろしいとは考えておりません。しかしこの手持ち米も、準備ができやしないのに、無理に手持ち米をふやす必要があるとも考えておりません。と申しますのは、すべての準備は、一時にでき上る方がよろしい、そうしてならしていく方がよろしい、むだな金を使って準備をする必要はないし、手持ち米をふやして、むだな金利、倉敷をかけて準備をする必要はないのでありますが、さればといって、一定量の物を持っておりませんならば、第一に自由販売をいたしますには、あくまでも国民諸君食糧に対する安定感が必要だと思うのであります。信頼感が必要だと思うのであります。というのは、戦争以来十数年間食糧は足りないものだ、足りないものだということが頭の中にこびりついております。一般の主婦の諸君は必ずお米といえば足りない、食う物は足りないということがありますから、どなたかが、これは食糧が足りなくなるぞという声がどこかで少し出て参りますと、すぐに買い、だめということになりますから、そういうことのないようにするためには、政府国民諸君安心感を与えることが必要である。おてんとさんと米のめしはついて回っているのだと昔からよく言いますが、そういうふうにしさえすれば、米の買いだめをすることはなくなるだろう。そういう点から言いましても、どうしても、ある程度政府早場米を奨励して米を早くとり入れて、そうして早植えをするというような現状はいけない。端境期にある程度一定量持ち越しがあって、米はいつでも心配はないのだという国民安心感を与えるのが第一だ、第一条件だと思うのであります。  もっとも、これはついででありますから申し上げますが、こんなにたくさんあって配給をふやさないじゃないか——これは希望配給として売り出すつもりであります。今もっと供出を増加するように努力いたしておりますから、もっとふえれば一定標準持ち越し量以上のものは希望配給として送り出せるつもりであります。希望配給ならば消費者価格は上るじゃないかと仰せになるかもしれませんが、これは私の考えでは、消費者価格は、一般配給量は動かしません。ただしそのほかにやみ米をたべていらっしゃるはずでありますから、やみ米を抑えるためには希望配給を増していって、そうしてやみ米をなくするようにする、そうして希望配給にいたしまして、この希望配給と、一般外米と、粉食の価格差の均り合いをとっていきたいということが私の考えであります。今までは外米もしくはパン、うどん、これらの食糧がやみ価格と見合って消費が起っておったと思うのであります。ですから、ことしのようにやみ価格が下ってきましたらば、パンとうどんの消費が急に減ってきました。相当やみの方にパンとうどんの消費が変ってきました。従って昨年末以来やみ米の消費状態が、米の消費がふえて、パン、うどんの消費が減ってきていることは事実だと思います。こういう状態はよろしくないのでございますから、なるべくやみ米を下げて、希望配給価格も下げる。これを下げるのと並行して外米もしくはパン、うどんの値段を下げていく。そうしてこれを並行して下げて持って参りまして、一定の今の配給価格程度まで希望配給値段が下げられるというようなことになれば、一番理想であります。少くとも一升百十円前後のところまでは下げていきたい。そうして生産費も下げて参りまして、そうして農家は百十円前後でもって消費者の手に渡っても農業生産費を割らないというところに生産費の引き下げを行う。そうして米価一般の普通売買の自由販売価格が下っていく。そうしてこの値段を中心にしまして、外米外麦、すなわち粉食の価格差一定価格差に保って、そうして内地米が少ければ外米が安いから外米をたべます。もしくは粉食にいたしますというようなことに、戦前の自由販売時代と同様に、米、麦もしくは内地米、外米価格差一定の、つまりあらゆる条件から考えました価格差、この価格差ならばいずれを選択するかは消費者のそのときの事情によって選択されるというように妥当な価格差まで引き下げる必要がある、これが第二であります。  第三といたしましては販売の方面でございます。現在の協同組合を整備拡充いたして、そうして農家が平均売りをするようにしなければならない。農家が一時に売り出しますならば、そこで米の値段が下る。下ってお米屋さんが投機の対象にされるというようなことは非常に悪いことでございますから、現在の農業協同組合にはそれだけの力がありません。ありませんから、農民諸君に協同組合に対する信頼感を増しまして、そうして協同組合を通じて米の平均売りをするというように、協同組合の整備強化をいたしまして、この整備強化に対して農民諸君が信頼をもって、そうして米の販売は協同組合を通じて売ることが原則であるということにして、政府は協同組合の諸君と話し合い、この相談相手になり、資金をこれに融通いたしまして、そうして米は月別平均売りを協同組合がするようにして参りたい。そこまで参れば、農家諸君とすれば協同組合を通じて月別平均売りをやって、そうして米の値をみずからの手においてくずさぬということになれば、そこにおいて年産者価格も安定して参るということになると思うのであります。  これらの問題が一切自信を農林大臣として持てるということになったときには、私は統制を撤廃してよろしいときじゃないかというふうに考えておるのでありまして、そういう方向にいくために、たとえば農業小豆の上におきましては、生産費の切り下げに、米麦の生産費の切り下げに全力をあげて、そうして今の石一万一千円、これはつまり消費者の値段でございます。その間に中間口銭その他がありますから、大体これを七、八百円からまず千円ぐらいにみることが妥当であります。そういたしますと、石二万円という程度——今よりも多少幾らか下りますが、まず石一万円を中心にして、農家の売り渡し値段が。それで農業生産が確保できるというまでに生産費の切り下げ、負担の軽減というようなものは努力をいたしまして、そうして生産方面に支障のないように、消費者の側におきましてはそれまで下げて、そうして外米外麦等との見合いを安定せしめる、それをしかも消費者が安心して、食糧に対しては不安な考えを持たずに、買いだめをするというようなことのないようにすべての面において妥当な処置を講ぜられるというようになったときにいけるのじゃないか。たとえば蛇足でございますが、凶作のときに、内地は凶作であっても、内地米にほぼ匹敵できるいわゆる準内地米等も十分これを輸入して、そうして一般国民は心配はないということの訓練をし、これらのすべての信頼を得た上でやっていきたいと、こう考えておるわけであります。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 大体のお考えを承わりましたが、きょうは時間がないので、いずれ詳しくは本予算のときにまたお伺いしたいと思っておりますけれども、ただ私は承わっておって感じたことですが、まあこの食生活に対する一応の安心感というものも大事でありましょう。しかし私どもが小学校のころに、これは農相も御存じたと思いますけれども、大規模の米騒動があったわけであります。あれは大正七、八年ごろだと思います。これは十数府県に起きて軍隊が出動するほどの大規模な米騒動だった。しかもそのころは豊作でありました。たしかあの年は八百万石ぐらいの翌年度持越米を持っておったはずです。一千万石に近かった。そうして台湾も朝鮮も日本の植民地であって、幾らでも米は持ってきた。政府の手持ちは一ぱいであって、そうしてなおかつ米騒動が起った。これはなぜかというと、深川正米市場のわずかの価格の変動で大規模な米騒動が起ったわけであります。だから私はそのときの条件と今度と比べてみると、非常なまだ悪い条件にある。やみ米は横行して、かつぎ屋が列車の中を、それこそ列車の中に充満しておりますが、いかにも米があり余っているように見えるけれども、かつての大正年代の米騒動の時代に比べるならば非常に条件はまだ悪い。だから私どもとしてはまだそういう統制撤廃をしていいような段階にきておらんと確信しておる。しかし私どもは何でもかんでもコントロールが正しいというマニアでもない。しかし今の農相の言われた条件だけでまだそういう統制撤廃はやる段階ではないと思いますが、そこで今農相の言われたこの条件の中に、まず第一番の生産者生産費の切り下げ、それから消費者の方の自由選択という条件をあげられましたが、そこで私のお伺いしたいことは、外国の食糧差益金二百何十億を、これを赤字補てんにしないで、農相の言われる農業生産力増強のためにお回しになったらどうかと思いますが、そうでないと農業食糧生産費の切り下げと言われても、実際上の財政処置からみると、三十一年度一般会計予算においては必ずしも。前年度より多いとはいえないと思う、私はいろいろな意味で。だから、むしろその差益金があるならば、何年計画でこれを毎年投融資をして、そうして日本食糧自給計画の自給度の向上をはかっていく。それから今度消費者の方の自由選択になると、前の池田さんがよく言われた、貧乏人は麦を食えにも通じがちになるのです、実際問題としては。ですから今の消費者生活の現在の水準、農民の現在の状況から見て、私はある程度財政負担はやはり国としてやるべきである。そうして若干の輸入食糧差益金が出てきたものは、財政投融資で日本食糧増産計画に計画的に毎年使うことの方が、今農相の言われた将来の計画を実視するためにも、私は順調なコースではないかと思う。立場は違いますけれども、そう考える。  ですから、私の最後にお伺いしたいことは、消費者価格は当分上げない。それから生産者価格も当分は引き下げないということで大体の了解はつきましたが、さてその後のことについては、今の食糧生産費の切り下げについては、ただ農民に国際競争にたえ得る力を自分で持てといっても困難であります。日本のような現状ではある程度の保護が要る。それには差益金をそういう方面に充てたらいいと思いますが、これいかがですか。
  18. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御意見ごもっともと考えますが、現に外米差益金は、今言う通り内地農民の保護という言葉はどういうことになるか、農民を保護するのか、消費者を助けているのか知りませんが、その差益金を入れておるのであります。これは一般会計から入れて、その金を農村振興の方に入れろという御意見も確かに一つの方法だと思いますが、将来統制を撤廃するようなことになりますれば、当然私はそうなると思います。外米についてはこれを管理する必要がございますから、外米を無制限に下げて、自由に商人が入れて、そうして内地の米をたたかれるということは、これはできぬことでありますから、外米外麦についてはこれは管理していく、そうしてそれを内地米の価格を維持する程度以下には下げない。これでその差益は出て参ります。現在同様であります。これは当然農村振興費に使うべきであると私は考えます。現在でも、ただいま申しますように、貧乏人は麦を食えということについてはちょっと一言弁明いたしますが、その点は希望配給米と外米、もしくは外麦を加工したパン、うどんの値段が見合いますように、つまり希望配給米は一升百二十円でやっておりますが、百二十円の米を食うがいいか、つまり外米の方を食うがいいか、パン、うどんの方の加工品を食うがいいか、大体この値段は見合うような値段で、どちらでも好きな方ということで、大体戦前の見合いの値段というところに見当をつけておるわけであります。それを今まではやみ価格とこれは見合っておった。そこでやみの力の米を食うか、こっちの力の米を食うかということになっておったと私は思うのであります。そういうことにして、どっちの方を食うのが経済的に得か損かというところで、どっちをとられるかというところで値段をきめておこうと、こういうふうに考えておって、そのほかに一般配給米を中間に入れておくと、こういうことでやって参ろうと、こう考えておるわけであります。いずれにいたしましても、今申しましたようなことで、大体昨年の豊作で、ことし米をたくさん集めて、これで一気にやると、そういうことはとうてい準備ができるとは私は考えておりませんでした。よほど慎重に扱わなければならぬという私は立場をとるつもりであります。  その他の点につきましては、いろいろお話ございましたが、大体同様に考えてやって参るつもりでございますが、お話の米駆動当時のことも、私はまだ事情はよく勉強しておりませんが、正米市場の一部の思惑がああいうふうにした、確かにそれはその通り考えます。今日でもアズキであるとか大豆であるとかいうような特殊の農産物にままそういうことがあることを非常に遺憾に考えておるので、これについては一つ抜本的な何か処置をとらぬといかぬであろうと、今せっかく研究しておるのでございますが、こういうものも参考にして、十分検討していきたいと考えておる次第でございます。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 持ち時間がないので、最後に一点簡単に一口承わりたいと思いますが、時期的に農林大臣は、農林大臣のお考えは、いつごろにたったら準備完了とごらんになるのか、その時期的な問題を一つ。  これは非常に予算の実体に即さないで、変なことを承わりますが、昨年末二、三回新聞に、三月になったら自分は農林大臣をやめるのだという記事があったのですが、何かそれはどういうことを意味するか、ちょっと農相農業政策との関連で——私その政治的な意味じゃないのですよ、聞いておきたいと思うのですが、これをお答え願いたいと思います。
  20. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) どのくらいたったらば統制撤廃ができるかということでございますが、これは大蔵大臣から十分に予算をちょうだいできて、そうして協同組合等の整備強化がすみやかにできるということが絶対に必要でございます。その他は今後の米の生産事情等も十分勘案して参らなければなりませんから、まあ私がそういうことは思いもつかんことでございますが、もし農林大臣を続けてやってよろしいということになれば、まず三年ぐらいかかると思っております。ほかの人がおやりになればもっと早くなるか知りませんが、私がやらされれば、ことしはむろんだめでございます。ことしもう一ぺん大豊作が続けば来年ということもあるかもしれませんが、なかなかそういうことはむずかしいのでございますから、私はなかなかそう簡単にできるものと考えておりません。  それから今、農林大臣を三月やめる、やめるという話は、これは考えておりません。これは一に総理の命令によってやることでございますから、これは考えておりません。
  21. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今羽生さんから、食管会計赤字六十七億のお話がございましたが、百億円をインベントリーファイナンスでてん補するということになれば、昭和二十六年の法律第二百九十四号の第二項の削除が必然必要だと思いますが、これはいつ法案をお出しになりますか。
  22. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今回六十七億の繰り入れをいたすことにつきまして、その繰り入れにつきましての法律が要るわけでございますが、その法律と同時に、ただいまお話がございましたこの第二項の規定を削除する旨の改正法律案を今国会に提出をいたしまして、御審議をいただくつもりでおります。
  23. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 いつごろですか。
  24. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 仮決定がもう済んでおりますので、間もなく提出の段取りでございます。
  25. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは以上をもちまして質疑を終局いたしました。  従いまして引き続いて討論に入ります。順次御発言をお願いいたします。(「委員二長、大臣諸君がいたらなるべく出席を」と呼ぶ者あり)
  26. 秋山長造

    秋山長造君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十年度一般会計予算補正(第1号)、同じく特別会計予算補正(特第4号)及び政府関係機関予算補正(機第1号)の三案に反対するものであります。  第一に、三十年度予算補正は、これで三回目でありますが、今回の予算補正による一般会計歳出の追加額は三百五十五億円、歳入の増加額は二百十九億円で、その差額百三十六億円を既定予算の節約、繰り延べ等で相殺してつじつまを合わせたものでありますが、その結果、三十年度予算規模は一兆百三十三億となり、一兆予算厳守という鳩山内閣最大の公約は大幅にくずれ去ったわけであります。  鳩山総理や一萬田蔵相は、本委員会の追及に対しまして、一兆予算とはいわば健全財政の形容詞であり、普通歳入をもってまかなわれる範囲内の予算ならば、一兆をこえても健全財政であるというような強弁をされておりますけれども、第一、三百五十五億円からの歳出予算があと一カ月で放出されるということに問題はないのかどうか。総理や大蔵大臣は、昨年の第二十二特別国会当時、一兆円のワクは断じて守る、補正予算は絶対に組まないと、繰り返し言明されたことを思い起していただきたいのであります。簡単に断言し、簡単に公約しておいては、また気軽にこれを裏切って、てんとして恥じざる態度は、断じて国民に信をつなぐゆえんではありません。厳に政府の反省を求めるものであります。  第二は、地方財政の問題であります。政府はさきに地方団体に交付された臨時地方財政特別交付金の財源として今回百六十億円を計上されておりますが、政府は何ゆえ地方交付税率引き上げという簡明率直な方法を避けて、特別会計に借り入れを行い、その穴をまた一般会計で埋め合せるようなこそくな手段を弄せられるのでありましょうか。今さら繰り返すまでもなく、地方財政赤字は二十七年度三百億円、二十八年度四言六十二億円、二十九年度六百四十八億円、本三十年度はさらにこれを上回るとさえ予想されているのでありますが、このように逐年激増してきた地方財政赤字は、何よりも毎年政府の策定する地方財政計画があまりにも不合理かつ非現実的であって、勢い地方団体に無理な負担と犠牲をしいてきた結果であることは、政府に設けられている地方制度調査会や地方制度審議会はもちろん、直接地方財政計画の立案に当る自治庁自身が常に認めてきたところであります。従ってこの誤れる地方財政計画に基いて決定された現行二二%の交付税率は当然大幅に引き上げられなければならないのに、あえてこれを避けて臨時地方財政特別交付金などという天下り的、恩恵的かつ場当り的な方法で百六十億円という根拠不明瞭な数字をはじき出して、これで能事終れりとする政府の態度には、今日の窮乏にあえぐ地方財政、ひいては危機に直面する地方自治に対する何らの誠意も熱意も認められないのであります。  第三に、政府は義務教育職員に対する期末手当〇・二五カ月分の増額財源として十二億円を追加計上されておりますが、他の一般地方公務員の期末手当増額分に対する財源措置はどうなっているのでありましょうか。第二十三臨時国会においてはこの点が特に論議され、衆参両院の担当委員会においてはこの点につき政府に対して適切なる善処方を要望する決議がそれぞれ全会一致でなされ、本会議でも確認されているにもかかわらず、今回の補正予算には何らの考慮も払われておらず、国会の決議はまるで黙殺された形であるのみならず、本委員会の当初に当り、地方公務員の期末手当の〇・二五カ月分の財源所要額並びにその財源措置に関する資料を要求してあるにもかかわらず、今対論の段階に及んでもいまだ提出されない無誠意さであります。  第四は、食糧管理特別会計の問題であります。政府はさきに本年産米の買い入れ数量の増加に対処するため食糧証券の発行限度拡張を内容とする予算補正を提案されたのでありますが、今また食管会計言六十七億円の赤字のうち、百億円はインベントリーで食いつぶして、残りの六十七億円をやむなく一般会計からの繰り入れで穴埋めしようとされているのであります。そもそも食管会計赤字はすでに今年度当初において予見された点であり、第二十二特別国会においてもわれわれはこの点を執拗に追及したのでありますが、大蔵大臣農林大臣は、食管赤字はあくまで食管のワク内で処理して、一般会計からの繰り入れは行わない旨を再三にわたり言明されたのであります。しかるに年度末に至ってにわかに一般会計から繰り入れようとされるについては、よほどの理由がない限り、われわれは納得ができないのでありまして、新聞紙上にしきりに伝えられる食糧庁関係の不正事件とも関連して、食管会計の経理内容に疑問と疑惑を抱かざるを得ないのであります。しかも六十七億の財源として輸入砂糖の差益金三十億円を充てているのでありますが、政府は何ゆえ当初の方針通り、法律で明確に規定せずして、寄付金などという不明朗な手段をとられるのでありましょうか、了解に苦しむところであります。  第五は、公共事業費の問題であります。政府補正財源に充てるため、節約、繰り延べの名のもとに既定の公共事業費から六十四億円を削減しょうとされているのでありますが、実は国会の議決を待たずしてすでに行政措置を終っておられるやに聞くのでありまして、国会の審議権を軽視するもはなはだしいと言わなければたりません。しかも、一たんは削減額を八十八億円と決定しながら、与党の復活要求に屈して六十四億円に減らし、このため罰金、科料の収入見込みを八億六千万円も水増しするような無理をしておられますし、なかんずく、当初公営住宅建設費十億円、五千戸分の削減を予定しながら、公約を台なしにするものとの与党の非難を浴びるや、たちまち四億円、二千戸分の削減にとどめるといった体たらくであります。一体公共事業費というものはかくも伸縮自在のでたらめなものかどうかをわれわれは疑わざるを得ないのであります。  以上のような理由をもちまして、私は本補正予算三案に反対をいたすものであります。
  27. 安井謙

    ○安井謙君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております補正三案に対して賛成をいたすものであります。  今回の予算補正の眼目をなすものは、さきの臨時国会において決定せられました昭和三十年度地方財政赤字処理に関連する予算措置であります。  さきの臨時国会において地方財政赤字処理が問題とされました際、私どもは地方財政を将来にわたって堅実な華盤の上に置くためには、地方制度全般にわたる再検討をなし、抜本的な対策を講じなければならない点を指摘いたしましたが、短時日の間にこれらの対策を樹立することはできないから、その解決を将来に譲って、さしあたり昭和三十年度赤字について応急の措置を講ずることに賛意を表したのでありました。その際交付税及び譲与税配付金特別会計に百六十億円の借り入れを行い、臨時地方財政特別交付金として地方に交付することといたしましたが、その借り入れはあくまで一時的なものであって、年度内には一般会計補正を行なってこの借入金に相当する額を繰り入れ、年度内に処理を完了することを予想しておりました。今回の予算補正によって、さきの臨時国会において決定された昭和三十年度地方財政赤字処理の締めくくりがなされるわけであります。  臨時国会における地方財政赤字処理に伴う財源措置について、われわれが最も関心を持ったのは、公共事業費の節約でありました。現に進行中の公共事業を工事の途中で打ち切るようなことは厳に避くべきことでありますし、この点については各委員より真剣な質問が行われ、昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案の採択に当って、参議院地方行政委員会は、「公共事業費の繰り延べについては、事業の実施に支障をきたさざるよう万全の措置を講ずること」という付帯決議を付して可決いたしました。政府側においても、公共事業費の節約は、あくまでも明らかに繰り延べを予想せられる年度内の不用額について節約を行う旨を確約いたしました。当時予想せられておりました公共事業費の節約額は八十八億円でありましたが、提出されました一般会計予算補正案によりますと、その額は六十四億三千七百万円となっておりまして、当初の予想よりも約二十四億円を減じております。これは公共事業政府が多大の関心を持って、その事業遂行に支障を生ぜしめないように配意した結果であると考えます。ここに最後的に決定せられます公共事業費の六十四億円の節約は、三十年度暫定予算影響地方財政の窮状等より生ずる事業の遅延、繰り延べからきたものでありまして、ほんとうの意味での本年度の不用瀬であるという政府の言明を私は信頼いたすものであります。公共事業費の節約については、臨時国会において表明せられました要望は十分に満たされたものと認めます。  申すまでもなく、地方行財政の根本的な立て直しのためには、地方自治法の改正、地方公務員制度の改革、教育委員会の改廃、税制の改革、その他重要な改革が必要でありまして、われわれはこれら重要問題の解決をこの国会に期待をいたしております。ただ残念ながら、二月も半ばを過ぎた今日に至るまで、これらの重要問題に関連する法案はまだほとんど提出されておりません。政府が関連法案の提出準備を促進して、一日も早く国会の審議にかけるよう取り計らうことをこの機会を借りて要望いたします。  ここに提出されております予算補正案は、このほか食糧管理特別会計への繰り入れ、生活保護費、義務教育費国庫負担金、旧軍人遺族等恩給費、国債費等の追加、国際金融公社への出資金、電電公社への交付金及び一般会計補正に関連する特別会計専売公社予算補正を内容としておりますが、これらはいずれも実情に沿った適切な予算措置であり、政府の財政方針に何ら根本的な変革をきたすものではないと考えます。  以上、予算補正の三案に対し賛成の意を表して、私の討論を終ります。
  28. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする昭和三十年度一般会計予算補正(第1号)外二案に対しまして賛成の意を表するものであります。  一般会計予算補正は、先に実施済みの地方財政についての臨時措置に伴う財源補てん及び食糧管理特別会計赤字補てん、その他必要やむを得ない歳出増加に対しまして補正を行わんとするものでありまして、これが財源は、租税等の増収のほかは、極力歳出の節約、繰り延べ等によってまかなわんとするものであります。また特別会計及び政府関係機関の予算補正につきましても、一般会計予算補正に伴うもののほかは、最小限度の補正を行わんとするものでありまするから、現在の実情より見まするならば、必要やむを得ない措置として認めざるを得ないと考えるものであります。しかし、この際、政府に対しまして二点について注意を喚起しておきたいと考えるのであります。  第一点は、政府は簡単に、災害以外につきましては補正予算を提出しないと言いながら、続々補正予算を出してきておるこの事実であります。われわれは、補正のやむなき事情を了とするにやぶさかなものではないのでありますが、さりとて政府の言行が一致しない点を黙過するわけにはゆかないのであります。政府は今後軽々に発言せられることなく、一たび発言せられましたる以上は、その発言に対して十分に責任を持つようにせられたいということを強く要望するものであります。  第二点は、砂糖差益寄付金の問題であります。政府の配付資料によりますると、今回の予算補正に際して、業界から総額三十億円の寄付をするという申し出があったので、政府はこれを適当と認めて受けることとしたと明記しておるのでありまするが、公明なる国家財政の見地より見まして、これは国民にはなはだしく、不安定かつ不明朗なる感を与えるものと考えるのであります。ことに三十億について、どの業界、業者が幾らずつ寄付するかについては、関係業者間において目下協議中だというに至りましては、なおさらその感を深くするものであります。将来政府はかくのごとき措置を必要といたしまするならば、適切明確なる立法措置をとられるように要望してやまないものであります。  以上の二点の希望を付しまして、ただいま議題となっておりまする三案に対して賛成の意を表するものであります。
  29. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして討論は終局いたしました。  これより昭和三十年度一般会計予算補正(第1号)、昭和一三十年度特別会計予算補正(特第4号)及び昭和三十年度政府関係機関予算補正(機第一号)を、一括いたしまして採決を行います。右三案に賛成の諸君の起立をお願いいたします。   〔賛成者起立〕
  30. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 多数と認めます。よって右三案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容及び審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。  次に、ただいま賛成の諸君は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    池田宇右衞門  堀  末治     酒井 利雄  豊田 雅孝     青木 一男  秋山俊一郎     石坂 豊一  井上 清一     藤野 繁雄  川村 松助     小滝  彬  木内 四郎     井村 徳二  佐野  廣     小野 義夫  田中 啓一     西岡 ハル  野村吉三郎     宮澤 両三  吉田 萬次     後藤 文夫  竹下 豊次     杉山 昌作  北 勝太郎
  31. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時四十七分散会