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1956-05-18 第24回国会 参議院 本会議 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十八日(金曜日)    午前十一時十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第五十号   昭和三十一年五月十八日    午前十時開議  第一 日本国フィリピン共和国と   の間の賠償協定批准について承   認を求めるの件(趣旨説明)  第二 国務大臣私企業等への関与   の制限に関する法律案八木幸吉   君外三名発議)           (委員長報告)  第三 国家公務員に対する寒冷地手   当及び石炭手当支給に関する法   律の一部を改正する法律案   (衆議院提出) (委員長報告)  第四 倉庫業法案内閣提出、衆議    院送付)   (委員長報告)  第五 接収不動産に関する借地借家   臨時処理法案(第二十二回国会衆   議院提出)   (委員長報告)  第六 国立国会図書館運営に関す   る議院運営委員長報告  第七 新潟県にP・Bリポート閲覧   室設置に関する請願(二件)           (委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について承認を求めるの件(趣旨説明)  本件について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。重光外務大臣。   〔国務大臣重光葵登壇拍手
  4. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 去る五月九日、マニラにおいて、わが国フィリピン共和国全権委員の間で署名を了しました日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について御承認を求めるの件に関し、趣旨説明をいたします。  フィリピン共和国は、昭和二十六年九月、サンフランシスコにおける平和条約署名いたしたのでありますが、同国は、わが国との間の賠償問題が解決せられない限り、同平和条約批准を行わず、従ってわが国との間に正常な国交関係を樹立しないとの方針をとって参りましたことは御承知の通りであります。よって、わが国といたしましては、賠償問題の解決をはかり、もって戦後のアジアにおける平和外交を推進するために、すでに昭和二十七年以来フィリピン国政府交渉を重ねて参ったのでありますが、本年四月末に至り、双方意見は一致し、賠償協定草案を完成するに至りました。よって政府は、直ちに署名調印のために、高碕国務大臣松本官房長官水田衆議院議員藤山愛一郎氏及び永野護氏の五名を全権委員に任命し、五月九日正式調印を終了するに至った次第であります。  交渉経過につきましては、すでに国会において、そのつど説明いたして参りました通りでありますが、本日は、主としてこの協定内容について御説明をいたします。  わが国は、この協定によって五億五千万ドルにひとしい円に相当する役務及び生産物を、二十年の期間内にフィリピンに提供することによって賠償義務を履行することを約束したのであります。賠償実施方式は、直接方式すなわちフィリピン日本に設置する使節団日本人業者との間で直接に結ばれる賠償契約によることを原則とし、わが国は、その履行に要する経費負担することによって賠償義務を果すものと相なっております。その他、右使節団に一部の外交特権を認めること、賠償契約に関する紛争の解決について、最終的に日本裁判所に提訴し得ること、協定実施についての協議機関として合同委員会を設置するごと等につきましては、いずれもビルマの場合と同様に定められておるのであります。さらに、賠償実施に当り、わが国が過重な外貨負担を受けないようにすることとなっておじまして、もって賠償の円滑な実施をはかることといたしたのであります。  また、経済開発借款につきましては、二億五千万ドルを目標額とする民間商業借款によることとなり、政府はこれに対して便宜をはかるという趣旨に相なっておりますが、これは賠償協定のごとく国家間の法律上の権利義務を定めるものではなく、その内容の実現は、もっぱら民間商社間の商業上の話し合いによることとなるわけでありますので、当初予定せられました協定の形式にはよらず、交換公文の形として取りきめた次第であります。  さらに、両国全権委員は、日比間の正常なる国交関係の回復に伴い、均衡のとれた貿易の発展に努力する旨の両国政府の意図を表明した共同声明を発表したのであります。政府といたしましては、今後対フィリピン貿易の伸張に一そうの力を注ぐ方針であります。  本協定による賠償義務は、わが国相当大なる負担を課するものであることはいうまでもないところでありますが、過去の戦争においてフィリピンに与えた莫大な損害に対し、わが国が今回約束した賠償義務を完全に履行することによって、日比間の平和友好関係を樹立し、さらに、将来同国との間に政治経済の各般にわたる協力提携の実をあげる端緒を開くことは、東亜及び世界の平和に貢献するところ少からざるゆえんであることを信じて疑いません。  よって、ここに本協定批准について御承認を求める次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。以上。(拍手)      ─────・─────
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案八木幸吉君外三名発議)  日程第三、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員会理事野本品吉君。   〔野本品吉登壇拍手
  7. 野本品吉

    野本品吉君 ただいま議題となりました国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案ほか一件につきまして、内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案について申し上げます。本法律案について、発議者がその提案理由として述べるところを申し上げますと、内閣総理大臣その他の国務大臣は、わが国の行政府において最高の重責にあり、その政治的活動が、わが国商業、工業、金融業等私企業には申すに及ばず、私企業以外の事業にも有形、無形の影響を及ぼすことは言を待たない。もしこれらの人々が、これらの事業関与いたしておった場合には、その公正なる職務を遂行する上に、世上疑惑を招くおそれが多分に予想される。いわんや官紀がややもすれば乱れんとしておる今日においては、国務大臣のごとき要職にある人は、いやしくも世上疑惑を招くがごとき私企業等関係を一切断ち切って、その行動の公正を期することはもちろん、その本務に専念することの妨げとなることは、一切これを排除すべきであるというのであります。  なお、この際御参考までに申し述べておきますが、本法律案同一内容法律案が、昨年、第二十二回国会におきまして参議院議員八木幸吉君ほか三名より提出せられ、この法律案内閣委員会及び当院の本会議におきまして、いずれも全会一致をもって可決せられ、次いで衆議院に送付せられましたところ、衆議院におきましては審議未了に終ったのであります。  内閣委員会は前後三回この法律案審議いたしましたが、その審議において、この法律案適用を受けるものが国務大臣に限局せられておって、内閣官房長官、政務次官に及ばない理由、この法律案罰則規定の設けられていない点、この法律案官吏服務紀律との関係の点、この法律案実施された場合、国務大臣私企業への関与制限される結果減収を来たす場合もあるから、国務大臣給与につき適当な措置を講ずることの是非の点、私企業の範囲の点等にりきまして、発議者との間に質疑応答が重ねられましたが、その詳細は委員会会議録に譲りたいと存じます。  一昨日の委員会におきまして、質疑及び討論終局動議提出せられ、この動議全会一致をもって可決せられましたので、直ちに本法律案にっき採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。  次に、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案は、衆議院議員黒金泰美君ほか一名より提出せられたものでありまして、去る四月十日、衆議院におきまして修正議決せられて本院に送付されたものであります。  まず、この法律案発議者が、その提案理由として説明するところによりますと、現在、国家公務員は、基本給のほかに、寒冷地に勤務する者には寒冷地手当が、また北海道に勤務する者にはさらに石炭手当支給されておるのでありますが、石炭手当支給額北海道全道一律であり、また、寒冷地手当支給区分にも適当でない点があるなどのために、寒冷度の激しい東北その他の地方に勤務する者の給与が比較的に恵まれぬ状況に置かれており、ことに近年は、公社現業関係官署において、薪炭手当の名称をもちまして、寒冷地手当増額等をいたしておりますので、それとの均衡をはかるため、これらの寒冷地方に在勤する公務員に対して、新たに薪炭手当を設けるがために、この法律案提出するに至った次第であるというのであります。  次に、本法律案内容を申し上げますと、北海道以外の地域で、内閣総理大臣人事院の勧告に基いて定める区域に在勤する国家公務員に対して、一冬に世帯主には五千円以内、その他の者には千七百円以内の薪炭手当支給することとし、また、この法律案は、本年度内において政令で定める日から施行することといたしております。  内閣委員会におきましては、三回にわたり委員会を開き、本法律案審議に当りましたが、発議者黒金泰美君及び関係政府委員とか質疑応答のおもなる点は、本法律案に対する政府及び人事院の所見、本法律案実施に伴う予算の点、薪炭手当寒冷地手当との関係薪炭手当寒冷地手当石炭手当等手当簡素化の点、本法律案が成立した場合、薪炭手当支給時期の見通しの点、石炭手当及び薪炭手当の免税の問題、薪炭手当に関する公社職員既得権との関係等の諸点でありまして、その詳細は委員会会議録に譲ることといたします。  昨日の委員会におきまして、本法律案につき、質疑を終り、次いで討論に入りましたところ、島村委員より、「公務員給与体系簡素化すべきものであるとの点については、発議者及び政府ともこれを認めているところであり、また、この法律案は、小額とはいえ、予算措置を伴っていないことは遺憾であるので、薪炭手当の問題については、政府及び発議者は、今後、地方公務員との関係をも考慮するとともに、この制度が早急に筋の通ったものとせられるよう希望を付して本法律案賛成する」旨の発言がありました。  かくて討論を終り、直ちに本法律案につき採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、倉庫業法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長左藤義詮君。     —————————————   〔左藤義詮登壇拍手
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 ただいま議題となりました倉庫業法案について、運輸委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  この法案は、倉庫業届出制倉庫証券発行許可制とを骨子とする昭和十年公布の現行倉庫業法を全面的に改正し、これを廃止しようとするものでありまして、そのおもなる内容は次の通りであります。  すなわち、第一は、倉庫業許可制とし、許可基準としては、いわゆる欠格条項のほか、倉庫位置構造等が省令で定める基準に適合しないとき、その他倉庫業適確な遂行に支障がある場合を除き、許可を義務づけていることであります。第二は、倉庫構造設備基準に適合するよう維持義務を課し、基準に適合していない場合においては運輸大臣改善命令をなし得ることとし、また位置構造設備等の変更を認可制としていることであります。第三は、料金及び寄託約款事前届出制どするとともに、特定の場合における運輸大臣命令権規定していることであります。第四は、集荷協定等について独禁法適用を排除していることであります。第五は、倉庫証券発行許可制とし、許可基準として経験能力及び資力信用を要することを定めております。第六は、倉庫証券発行許可を受けた倉庫業者に対しては、原則として受寄物を火災保険に付することを義務づけ、また営業の譲渡、合併及び相続を認可制としておることであります。なお、附則におきまして、現行法による届出倉庫業者は、三年間は新法による倉庫業者と見なす等の経過規定を設けるとともに、政令で定める特殊な保管方法による倉庫業につきましては、当分の間営業許可制規定独禁法除外規定等適用しない特例を設けております。  委員会におきましては、各委員より熱心な質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願うこととし、そのおもなるものにつきまして申し上げますと、第一は、「現行法においては届出制である倉庫業許可制に改めることにより、既存業者はいかなる影響を受けるか」という趣旨質疑でありまして、これに対し政府委員は、「許可基準欠格条項に該当する場合には、救済の道がないが、倉庫構造設備について、現在不備のものも防火構造に改めることにより、おおむね適法となり、その改造も大した経費を要しない見込みである。従って、現在の倉庫業者で失格するものはほとんどない見込みである」旨の答弁をいたしました。第二に、倉庫業許可制について、「倉庫需給状況を考慮しない場合、将来倉庫が過剰になり、業者が共倒れになるおそれはないか」との質疑に対し、政府委員は、「倉庫業安定化のためには、事業許可について需給状況を考慮する必要があるが、現在そのような措置を講ずることは、統制色彩が濃いうらみがあるので、本法案においては、一応その救済方法として、独禁法適用除外規定を設けて不況カルテルの結成を認め、自主的に過当な競争を防止して事業の安定を確保し得るようにした」との旨の答弁をいたしました。第三は、倉庫保管料に関する質疑でありまして、政府委員は、「倉庫保管料については本法案においても届出制としているが、一方それが不当競争を引き起し、あるいは不当な利潤をもたらすものである場合には、是正を命じ得る規定を設け、また料金割り戻しの禁止を明定している。また料金是正を命ずるには、総合原価計算方式により検討したものに基いて行うこととする」旨の答弁をいたしました。その他、本法案提出に至るまでの経緯、倉庫における火災盗難等による損害発生の場合における責任の帰属、寄託者請求により倉庫証券発行を義務づけている商法の規定との関係、非発券倉庫業者及び中小倉庫業者に対する今後の指導方針等について質疑が行われました。  質疑を終り、討論採決の結果、本法案全会一致をもって、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、接収不動産に関する借地借家臨時処理法案(第二十二回国会衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。     —————————————   〔高田なほ子登壇拍手
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま上程されました接収不動産に関する借地借家臨時処理法案につきまして、法務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、第二十二回国会以降、審査を継続して参りました衆議院提出案でございますが、その提案理由によりますと、終戦直後、旧連合国占領軍不動産接収に対処するため、政府土地工作物使用令を制定し、また講和発効後の駐留軍に対する不動産の提供につきましては、日米行政協定に伴う特別措置法が定められておりますが、これらの法令や、民法の賃貸借の規定借地法借家法などだけでは、軍の接収を解除された後の不動産借地借家関係は処理できないので、その解決のため臨時特別立法を必要と考え、原則として、終戦直後できました罹災都市借地借家臨時処理法を踏襲することとし、そのおもな規定と同趣旨規定を設け、あるいは準用いたしたものでございます。  すなわち本案内容を要約いたしますと、第一に、旧連合国占領軍による接収のため、借地法借家法による権利の行使を妨げられた結果、借地権借家権を失い、あるいはこれらの権利第三者に対抗できなくなった借地人借家人に対し、優先的に借地権借家権を取得する機会を与え、またはこれらの者のために借地権存続期間を延長し、また登記引き渡しを要しないでこれらの者の有する借地権借家権第三者対抗力を与えるものであります。第二に、戦時中、防空法による強制疎開が行われた土地で、終戦接収の対象になったものについて、疎開当時の借地人に対し、優先的に借地権を取得する機会を与えようとするもので、その他の規定の多くは、互いに利害の相反する賃借人所有者との権利関係調整をはかったものでございます。  ところが、当初政府側にも本案類似立法構想があったようでございますが、結局成案をみるに至らず、第十三回国会以来、衆議院法務委員会立法の議が進められ、本案と題名を同じくする法案として第十六回国会提出、その後若干の修正を経て、衆議院を通過いたし、第二十一回国会まで継続審査の上、審査未了となり、第二十二回国会に再提出されて、衆議院を通過の上、本院において今国会まで審査を継続して参りました。  法務委員会における実質的な審議は、主として十九国会で行われ、衆議院側説明賃借人側賛成意見法務省日本弁護士連合会などの反対意見を聴取し、詳細な質疑応答がなされましたが、今国会におきましても、本案内容が慎重な取り扱いと、すみやかな実施を要しますので、特に公聴会を開き、借地人借家人代表土地建物所有者代表並びに学識経験者の御意見を伺いました。反対意見のおもな点を申し上げますと、消滅した借地権借家権の復活は、土地建物の現所有者、その他正当な第三権利者不測損害を与え、また、登記引き渡しがないのに、第三者対抗力を認めれば、権利関係を混乱させ、取引の安全を害する、さらに罹災都市借地借家臨時処理法は、終戦直後の特殊事情下の異例な恩恵的措置で、当時の不動産権利関係の変動は少かったが、戦後相当の年月がたち、事情が一変した現在、同様の立法を行うのは不当である。強制疎開地借地人は、当時としては相当補償を受け、その借地権は消滅しており、その跡地が道路や緑地になったものもあって、接収された場合にのみ復帰を認めるのは公平を欠くというのでございますが、本案賛成意見によりますと、接収により借地権の消滅したものの損害は、はかり知れないのに反し、地主接収解除により更地を返されるのは不公平であり、また、接収中の土地は一目瞭然で、それを更地の値で買うものはなく、万一あったとしても、投機的または危険負担を覚悟の上であり、保護の余地がない、登記なくして第三者対抗力を認めることも、本案に限ったことではなく、火災、水害その他の災害に、罹災都市借地借家臨時処理法適用する場合に生じていることである。さらに、強制疎開補償は実質的には受けないにひとしく、疎開跡地接収解除されても、第一次的には旧借地人に返すべきであるということでございます。なお、民選学者から、接収の結果地主が思わぬ利益を受け、借地人が非常な損害を受けるならば調整の必要がある、借地権を取得できればまるもうけ、できなければまる損ということでなく、接収から生ずる損失を、両当事者で公平に負担する構想が望ましい旨の御意見も述べられました。  かくて、過去数回の国会にわたる継続審査の成果を検討し、結論を出すため、昨日委員会を開きましたところ、井上清一委員より、次の四点を要旨とする修正案提出されました。、  第一に、土地接収中に借地権が、存続期間の満了によって消滅したもの等が優先賃借するには、原則として、いわゆる権利金支払いを要することとする。第二に、疎開建物借地権が、疎開の際、政府補償によって消滅した者が優先賃借するには、常に権利金支払いを要することとする。第三に、接収地借地権対抗力並び接収地借地権存続期間及び契約更新請求の二年の期間を一年に、接収建物賃借権対抗力の一年の期間を六ヵ月に、それぞれ短縮して、第三者不測損害を与え、取引の安全を害するおそれを少くする。第四に、第一点、第二点の修正に伴い条文の整理をする。  以上四点でございますが、これに対し、亀田、一松、高田の各委員から質疑が行われ、まず、「いわゆる権利金世間一般と同じ程度になっては借地人に酷ではないか」との質疑に対しましては、井上委員より、「世間一般のものとは若干程度が違うと思うが、何割と予測することは困難で、具体的な事例が積み重なって、おのずからきまる」との答弁があり、法務省側からは、「具体的な事例によることで、結局は裁判所鑑定委員会意見を聞いて、一切の事情を参酌して定めるので、一般的に必ず普通より安くなるとは限らない」との答弁があり、次に、「修正案の作成に当っては、利害相反する双方意見を聞いたか、またそれを参酌したか」との質疑に対しましては、「先般の公聴会の際、十分両者意見を聞いているし、また、自由民主党の政策審議会でこの修正案を検討した際にも、借地人地主双方代表を招いたので、この程度のものならば、この間の調整ができ、十分納得の行くものと思っている一との答弁があり、さらに、日本社会党は、「戦争による接収または疎開によって被害を受けた者の保護立法として、十九、二十二の二回の国会において強く原案を支持したが、いわゆる権利金の算定に当って、裁判所が参酌する一切の事情の中に、この立法趣旨が十分に生かされるべきものと思われるがどうか」との意見並びに質疑に対しましては、法務省側より、「裁判所が公正に法の精神を尊重して運営するものと信ずる」旨の答弁がございました。  次いで討論に入りましたが、別に発言もなく、採決いたしましたところ、修正案も、また修正部分を除く原案も、いずれも多数をもって可決され、結局本案は、修正議決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告を終ります。(拍手
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第六、国立国会図書館運営に関する議院運営委員長報告  委員長報告を求めます。議院運営委員長石原幹市郎君。     —————————————審査報告書は都合により追録に掲載〕     —————————————   〔石原幹市郎君登壇拍手
  19. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 国立国会図書館法第十一条の規定により、図書館の経過に関する館長の報告、図書館の予算並びに館長の定める諸規程につきまして、議院運営委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  詳細は会議録によって御承知願うことといたしまして、第一に、館長の報告につき、その内容のおもなものを申し上げますと、昭和三十年度の業務実績等のうち、まず、図書その他による直接の奉仕でありますが、このうち国会議員に対する奉仕といたしまして、調査立法考査局が処理いたしました考査件数は、前年度に比較して一千件以上を増加し、また、国民に対する奉仕としての閲覧者数は、前年度に比較して中央館は約一万人、支部図書館は約十万人の増加となっております。  このほか、国会議員に対する調査並びに立法考査の万全を期するため、両院の専門員の減員に見合って、昨年八月一日から従来九名であった専門調査員を二十三名に増加したこと、現下の憲法問題の重要性にかんがみ、各国憲法の和訳を刊行したこと、アメリカ原子力委員会寄贈の原子力関係資料の閲覧業務を開始したこと、P・Bリポートの地方センターを新たに札幌及び仙台に設置したこと等があけられます。  次に、中央館の建築でありますが、図書館としては、これを何よりもまず緊急を要する問題として取り上げ、強力にこれを推進いたしました結果、予算の増額によって、三十一年度中には地階の鉄骨工事を施行することになったのでありますが、一他方、基本設計も完成して、すでに実施設計を行う建設省に回付しておる状況であります。  以上が昭和三十年度の図書館の経過に関する館長の報告のおもなるものでありますが、本委員会においては、若干の質疑並びに意見の開陳が行われた後、この報告承認したのであります。  第二に、図書館の昭和三十一年度予算であります。図書館の予算が、従来、ともすれば事務的に調製せられ、従って図書館の拡充強化も思うにまかせないうらみなしとしなかったので、本委員会は、ここにあらためて図書館の重要性を再確認するとともに、その運営の全きを期するため、まず、予算に重点をおいて強力に関係当局を鞭撻することになったのであります。そのため、本委員会は昨年九月以降、閉会中をも含めてしばしば委員会を開き、概算見積りの段階から図書館当局の原案について詳細に検討を加えました結果、三十一年度の予定経費の要求は、中央館の建築並びにさきに申し上げました専門調査員の増員等、人員関係経費を含めて、総額は五億七千八百六十二万円に達し、前年度に比し、二億七千四百五十三万円の増加となった次第であります。  第三に、館長の定める諸規程であります。まず、国立国会図書館組織規程の一部改正の件でありますが、これは警察庁等に支部図書館を設置し、また、上野図書館の有機的運営をはかるため、その組織規程を統合するための措置であります。  次に、国立国会図書館職員定員規程の一部改正の件でありますが、これは図書館の奉仕強化並びに支部上野図書館の定員統合に関連する定員増加の措置であります。−その他図書及び図書館資料の複写手続を合理応ずるための国立国会図書館図書複写規程の一部改正の件がありますが、これらの諸規程は、いずれも原案通りこれを承認いたしました。  これを要するに、国会法改正に伴い、国会図書館の運営に関する事項が議院運営委員会の所管となりましてより一年余を経たのでありますが、中央館の建築促進を初め、図書館運営の全般につきまして見るべきものがありましたことは、まことに同慶にたえない次第であります。  簡単でありまするが、これをもって御報告を終ります。(拍手)      ——————————
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第七、新潟県にP・Bリポート閲覧室設置に関する請願(二件)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。議院運営委員長石原幹市郎君。     —————————————   〔審査報告書は都合により追録に   掲載〕     —————————————   〔石原幹市郎君登壇拍手
  21. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 ただいま議題となりました新潟県にP・Bリポート閲覧室設置に関する請願二件につきまして、議院運営委員会における審査経過並びにその結果について御報告申し上げます。  これらの請願の趣旨はいずれも、P・Bリポート閲覧室は、すでに大阪、名古屋、福岡、札幌及び仙台に設置されているが、地方産業、学術の進展向上に大なる寄与をしているので、新潟県にもこれを設置することを要望しているものであります。  本件について図書館当局の見解をただしましたところ、「予算等について予定通り措置されるならば、数年後に新潟県下に設置することは可能である」旨の答弁があったのでありまするが、本委員会としては慎重に検討いたしました結果、全会一致をもって、いずれも議院の会議に付し、ただし、内閣には送付するを要しないものと決定いたしました次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本請願は、委員長報告通り採択することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本請願は、全会一致をもって採択することに決定いたしました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 日本国フィリピン   共和国との間の賠償協定批准に   ついて承認を求めるの件(趣旨説   明)  一、日程第二 国務大臣私企業等   への関与制限に関する法律案  一、日程第三 国家公務員に対する   寒冷地手当及び石炭手当支給に   関する法律の一部を改正する法律   案  一、日程第四 倉庫業法案  一、日程第五 接収不動産に関する   借地借家臨時処理法案  一、日程第六 国立国会図書館の運   営に関する議院運営委員長報告  一、日程第七の請願      ——————————