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1956-03-23 第24回国会 参議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午前十時三十九分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十四号   昭和三十一年三月二十三日    午前十時開議  第一 電話設備費負担臨時措置法   の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)           (委員長報告)  第二 万国著作権条約実施に伴   う著作権法特例に関する法律   案(内閣提出) (委員長報告)  第三 空港整備法案内閣提出、   衆議院送付)  (委員長報告)  第四臨時船舶建造調整法の一部   を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)  (委員長報告)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  馬場建設大臣から、能代大火被害状況とこれに対する復興対策について発言を求められております。  この際、発言を許します。馬場建設大臣。   〔国務大臣馬場元治登壇拍手
  4. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 秋田能代大火状況及びこれに対する復興対策について申し上げたいと存じます。  三月二十日、能代市に発生をいたしました火災は、折柄強風にあおられまして多くの罹災者を出しましたが、現地から報告されました情報によりますと、ただいまのところ、焼失住宅千百五十二戸、焼失した非住宅三百十八棟、罹災世帯千二百四十八世帯罹災人員五千八百五十七人となっております。  まず応急対策について申し上げますと、秋田県におきましては、直ちに災害救助法を発動し、関係係官現地に急派いたしまして、罹災者の避難、被服、寝具及び生活必需物資給与等救助に万全を期しております。厚生省におきましては、二十一日、係官現地に急派いたしまして、救助事務に関し支障のないよう指導を行わせております。なお応急措置として毛布三千点を現地に急送いたしました。また、救助費に対する補助金交付等につきましては、現地からの報告を待ちまして処理するよう準備を進めております。一方、日本赤十字社におきましても、今次の火災におきまして、秋田県支部より救護班を現地に出動せしめて救援に当らせまするとともに、義援物資としてメリヤス・シャツ上下一組のもの二千組、中古衣料二千点、バター・オイル千八罐、ドライミルク同じく千八罐を発送いたしております。  次に、建設省関係復興対策について申し上げますと、建設省におきましては、直ちに関係係官現地に派遣いたしまして、復興対策について調査及び指導を行わせておりますが一まず住宅につきましては、滅失戸数の約三割に相当する災害公営住宅建設するため、三分の二の補助率国庫補助を行う計画であり、また、住宅金融公庫による融資につきましても、滅失戸数の約三割についてその建設資金融資する予定であります。  次に、都市防火上必要でありまする防火建築帯につきましては、焼失区域内の調査を待ちまして、早急に造成計画を立て、所要の国庫補助をいたしたいと思います。なお、被災地跡土地区画整理事業につきましては、焼失地域中心としてこれを実施することとし、これに要する費用につきまして、その二分の一の国庫補助をいたしたいと考えております。  最後に、運輸省関係といたしましては、日本国有鉄道におきまして、貨物輸送運賃について特別扱い措置を講じ、罹災者用救恤品につきましては、三月二十一日から四月二十日までその運賃を無料とし、罹災者用生活物資及び応急建築材料については、三月二十一日から六月二十日までその運賃を五割引きといたしております。  以上、今次の能代大火に対する復興対策の概要を申し上げましたが、政府といたしましては、これらの対策実施に万全を期しまして、能代市の復興の一日もすみやかならんことを念願しておる次第でございます。(拍手
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) ただいまの発言に対し、質疑通告がございます。発言を許します。鈴木一君。   〔鈴木一登壇拍手
  6. 鈴木一

    鈴木一君 私は日本社会党並びに無所属クラブを代表いたしまして、ただいま報告がありました能代市の大火に関しまして、政府当局に二、三の質問をいたします。  御承知の通り能代市は、昭和二十四年二月二十日、大火に見舞われ、約二千二百戸を消失し、約三十億円の膨大な損失を受けたのでありますが、その後復興努力をいたしました結果、外観よりすれば一応形は整ったのでございます。しかしながら、これがために能代市の財政は極度に行き詰まり、昭和二十五年以降赤字を累加いたしまして、昨年度末で約六千万円の実質赤字となっております。市当局は、諸経費を極力節減いたしまして、災害による赤字の解消に鋭意努めて参ったのでありますが、それにもかかわらず、本年度末において、さらに一千万円の赤字を出さざるを得ない状態であります。従って本年度末においては赤字は総額約七千万円となる見込みであります。かかる状態に対しまして、さらに今回の災害なのであります。しかもこのたびの罹災者の九割は、日雇い、零細商工業者等低額所得者でありまして、能代市の主たる産業である製材業の不振から、文字通り、細々とその日暮しをしておる人々でありまして、災害に対しましては、何のたくわえも何の準備もない人々であります。従ってこれらの人々自力では、とうてい立ち上ることができないのであります。また、赤字で動きのとれない能代市や、あるいはまた秋田県の対策にも、財政の面におきましておのずと限界があり、復興対策のほとんどすべてが国に依存せざるを得ないような状態であります。  まず、応急対策として災害救助法が発動されたことはまことにけっこうでありますが、現地は三月とは申せ、まだ寒冷でありまして、しばしば降雪を見るような気候でありますので、災害者救助は一刻の猶予も許されないのでありますから、同法二十三条による具体的な救助の手が効率的に、すみやかに全罹災者に及ぶよう、政府において格別の指揮督励が必要と思うのであります。この種の救助は、往々にしてお役所仕事の弊を遺憾なく発揮いたしまして、末節の事務にとらわれ過ぎ、応急措置の目的を達し得ない場合が多いのでありますので、特にこの際、政府の善処を強調するものであります。  次に、復興に関する具体的問題についてお尋ねいたします。第一に、借地及び借家権立法措置についてでありますが、この種災害には罹災者借地及び借家権に関する紛争はつきものであり、すでに問題が起りつつある実情にかんがみ、政府はこの際、すみやかに罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条に基く、災害及び同条の規定適用する地区として能代市を定める意思なきや、お伺いいたします。  第二にお尋ねいたしたいのは、耐火建築促進法適用に関してであります。能代市は、日本海岸に臨んだ木材の町であります。その地理的条件からしても大火の起りやすい町であります。強風のもと、一たん燃え出すと、なかなか消火はむずかしいのでありますから、このたびの復興機会に、耐火建築促進法に基き、同市防火建築帯を設定し、今後かかる無意義なる災害を恒久的に防止する積極的意思なきやいなや、お伺いいたします。  第三にお伺いしたいことは、住宅対策であります。先に述べました通り、今回の罹災者の大部分人々は、自力をもってしては住宅建設のできない人々であります。また能代市並びに秋田県も当面の赤字に追われまして、財政事情は一銭の余裕もない現状であります。この種災害による住宅建設国庫補助としては、公営住宅法第八条に補助特例が設けられておりますが、これが補助率並び適用範囲を引き上げるとともに、事業実施が二年間にわたらず、三十一年度内に完了するよう特別立法措置が望ましく、これなくしてはすみやかな住宅建設は、少くとも能代市においては不可能と思われますが、これに対する政府考えをお伺いしたい。  なお罹災者大半は、よるべき縁故者もなく、目下学校に収容されておりますが、新学期も真近に迫っておりますので、至急仮収容住宅建設するほか方法がないのであります。この際、政府災害救助法に基く収容施設の供与のため、罹災世帯の三割程度の仮住宅建設資金といたしまして、前渡金の支出を当然考慮すべきかと思いますが、政府考えを承わりたいと思います。  第四は、商工業復興資金についてであります。罹災した約三百の商工業者復興資金でありますが、これらの人々は、災害により担保物件大かたを失い、市中銀行はもちろんのこと、政府資金貸し出しをする国民金融公庫商工中金等も極端にその貸し出しを渋るのが従来の例でございます。しかしてこれらの人々が、その立ち上り資金として求めているものは、一人一人にしてみればまことに零細な額であります。この際、県または市の保証、あるいは県の信用保証協会保証業務の裏づけによりまして、これら困窮者に対しまして、生業資金がすみやかに貸し付けられるよう、地元政府資金貸し出し金融機関資金ワクの増加、政府資金市中銀行預託等特別措置をする考えはないか、この点をお伺いいたします。  なお、罹災者に対しては、当然国税等減免措置が考慮されてしかるべきものと思うが、政府の所信を承わりたいと思います。  第五は、起債についての特別な配慮についてであります。能代市は前回大火の痛手いまだいえず、本年度において約七千万円の赤字のやむなきに至っており、今回の災害復旧費については、すべて起債に依存するよりほかないのでありますが、能代市の特殊事情にかんがみ、これが起債は最優先的にすみやかにそのワクを決定するとともに、災害による起債については、特別交付税等により間接的に利子の一部を補給するよう措置されたいと思うが、政府考えはどうであるか、お伺いしたい。  以上、現地からの報告に基きましてお伺いした次第でありますが、この際、特に繰り返して強調した、ことは、能代市の場合は、前後二回にわたる大火のため、市当局には復旧に要する財源は全然ないこと、また罹災者大半が、いわゆる低額所得者であり、とうてい自力では立ち上れない人々なのであります。従って、これまでと同じような手ぬるい政府対策では、何の罪もないこれら気の毒な良民を救済することは不可能なのでありますから、すみやかに被害状況を把握され、行政立法並びに金融措置等において特段の配慮をせられんことを特に強く希望するものであります。  最後に、このたびの大火に関しまして、見のがすことのできないのは政府責任であります。能代市は前回大火にこり、防火中心都市計画実施し、消防ポンプもかなりに増置し、防火体制を整えつつあったのでありますが、上水道施設がないため、遺憾ながら水利の便悪く、このことは消防本部からも、同市防火体制最大弱点としてすでに指摘されておったのであります。市当局も、公衆衛生防火のため上水道の設置を熱望いたしまして、政府に対してたびたび陳情したのでありますが、ついにその実現を見ないうち、今回の大事となったのであります。もしも上水道が設置され、水利の便がよろしきを得ておったならば、かかる大事に至らなかったであろうとは、現地人々の異口同音に申しているところであります。政府能代市の当面の財政のバランスにのみこだわり、上水道工事起債を渋ったがゆえに、かかる大事を引き起したと断じても決して過言ではないと思うのであります。かかる意味から、今回の大火責任の一半は政府も負わなければならないと思うのであります。国土防衛は、何も軍備を強化することばかりではありません。(拍手)常に繰り返す天災、人災等に対する万全の対策こそ、第一義的な国土防衛であり、これらの対策をおろそかにして、いたずらに軍備のみを強化することは全く本末転倒と申すよりほかありません。(拍手)われわれは、あらためて政治の貧困、また政府の非常識を痛感するものであります。(拍手)  以上をもちまして、私の質問を終るものであります。(拍手)   〔国務大臣馬場元治登壇拍手
  7. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) お答えをいたします。  今度の能代市の大火に対しましては、まことにお気の毒千万であり、罹災者各位に対して心から御同情申し上げざるを得ないのであります。ただいま御質問の中にありましたように、お役所仕事に流れないように十分に注意をいたしまして、万全を期したい、かように考えておる次第でございます。  なお、借地借家権紛争がこうした機会にしばしば起りますことは、従来もその例がありまするので、ここにかんがみまして、法務省とも十分打ち合せをいたしまして、善処いたしたいと考えております。  なお、将来の火災発生を予防いたしまするためには、あらゆる手段を尽さなければならぬのでありますが、御質問の趣旨にありましたいわゆる防火建築帯、これは先ほど報告の中にも申し上げましたように、ぜひこれを実行いたすつもりであります。先般新潟大火の際におきましてもこれを実行いたし、防火建築帯を設定をいたしまして、その建築帯内における建物につきましては、特に国家が補助をいたしまして、いわゆる耐火建築でなければならない、こういうことにいたすことによりまして、将来の火災発生を防止いたしたい、かように考えておるのであります。土地区画整理事業と相待ちまして、防火の実を上げたいと考えております。  住宅問題でありますが、これはお話の通りにきわめて重大なる問題でありまするので、災害公営住宅につきましては、補助率を引き上げる、金融公庫の運営につきましても、十分その点を考慮いたしまして、万全を期して参りたいと、かように考えておる次第であります。  何分にもこれだけの大火でありまするので、政府はあらゆる努力を傾けまして、能代市の復興罹災者各位生活の再建に全力を上げたい、かように考えておる次第でございます。   〔国務大臣小林英二登壇拍手
  8. 小林英三

    国務大臣小林英三君) まず、能代市の再度の大火に対しまして、能代市の市民各位に心から御同情申し上げたいと思うのでございまして、厚生省といたしましては、とりあえず係官を派遣いたしまして、災害救助法によりまして、万般の応急処置につきまして、万遺憾なきようにいたしたいと存じます。  なお、上水道の問題につきましても、ことしは能代市につきましては二億七千万円の起債も決定いたしておりまするので、今後これらの問題に対しましても、十分に御協力申し上げたいと存じております。(拍手)   〔国務大臣萬田尚登登壇拍手
  9. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 能代市の大火は、まことに御同情にたえません。御質問罹災者に対します租税上の措置につきましては、罹災者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律規定によりまして、できるだけ善処いたしたい、かように考えております。  なお、この罹災者の大部分が零細なる中小企業者でありまして、担保等が焼失したりして、金融を受ける上で大へんお困りと思いますので、これは新潟災害の場合に例もありますので、その例によりまして、中小企業金融公庫等から、担保なくしても融資を受け得るような措置を講じたいと思います。なお、国民金融公庫におきましても、三千万円を災害融資として別ワクに予定しております。  なお、この災害のための起債につきましては、能代市の申し出を待ちまして善処することといたしたい、かように考えております。いずれにいたしましても、できるだけこの緊急な事態に対処いたしまして遺憾なきを期したいと、かように考えております。   〔国務大臣太田正孝登壇拍手
  10. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 能代市のこのたびの災害御不幸に対しまして心から御同情申し上げます。自治庁といたしましては、ただいま大蔵大臣の申された通り起債につきましては、ことに公営住宅などについて問題があろうと思いまするけれども、御趣意の点をよくくみまして善処し、また、おこたえいたしたいと思っております。  交付税につきましては、今年度分はすでに普通、特別ともに払い出してしまいましたので、四月分についてなるべく早く概算渡しをいたしたい、かように心得ております。(拍手
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて、質疑  の通告者発言は終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。    ————————
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 重光外務大臣から、日ソ交渉経過について発言を求められております。  この際、発言を許します。重光外務大臣。    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  13. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 日ソ交渉について、その後の情勢を御報告申し上げます。  ロンドンにおける日ソ交渉は、昨年六月以来正式に会談を重ねること二十三回に及び、その間二回にわたりソ連全権が不在となったため、交渉は中断せられましたけれども、国交を回復するということについては、互いに熱意を示し、また、その方法として平和条約を締結して、日ソ関係正常化をはかるということに対しても、双方意見は完全に一致し、自来そのため右平和条約内容について交渉が進められて来たことは、すでにしばしば申し述べた通りであります。  交渉の結果、平和条約内容は、本月二十日までに約九カ項目について、大体意見の一致をみたのであります。その九項目と申しますのは、交渉の順序から説明いたしますれば、一、条約の前文についてであります。二、戦争終結条項、三、国連憲章の尊重に関する条項、四、戦前条約の処理問題に関するもの、五、賠償請求権相互放棄条項、六、批准条項、七、漁業一般問題、八、紛争処理条項、九、内政不干渉に関するものでありました。  なお、最も重要な領土問題に関しては、双方主張が完全に対立して、遺憾ながら今日まで妥結をみるに至らないのでございます。わが方の主張は、さきに申しました通りに、わが本土たる北海道に近接する島々、すなわち色丹島及び歯舞諸島はもちろん、わが本土に近接し、日本民族のみの居住する南千島、すなわち国後、択捉の両島等、歴史上いまだかつて日本領土たらざりしことのない島々返還主張して、その他のサンフランシスコ条約において日本の放棄した地域、すなわち南樺太及び千島列島の帰属は、同条約関係もあって、国際的交渉の決するところにゆだねんとするものでありました。  しかるにソ連全権は、領土問題はすでに過去において決定ずみの問題であって、ソ連はそれによって今日これらの地域を占領しておる次第であるが、そのうち歯舞、色丹だけは、これを日本に譲渡する用意がある、その他の領土返還には応ずることはできない。また、日本海に通ずる各海峡は、ソ連を初め日本海に面する各国の軍艦のためにのみ開放せられるべきものであると言って、将来のわが領土主権に関する要求をもなしておる次第であります。ために日本側領土問題に関する主張とは相容れず、ここに双方主張は対立するに至った次第でございます。よってわが全権は、帰朝の上みずから親しく交渉経過報告し、政府と打ち合せを行いたいというのでありますから、これを許可いたしました次第でございます。交渉自体は、ロンドンにおいて発表せられました通りに、双方の合意する時期に、将来再び開かれることに相なっておる次第でございます。政府といたしましては、もとよりすみやかに交渉再開情勢とならんことを希望するものでございます。  なお、抑留同胞の問題につきましては、交渉の初めから、繰り返しわが方は人道上の問題として、これを早期送還主張して参ったのでございます。すなわち、わが方の立場は、この問題は国交回復の問題とは別個に解決すべき問題であるという主張であったのでございます。わが方は、一方早期送還主張しつつ、他方現実の問題といたしまして、抑留同胞待遇改善を要請し続けて参りました。特に戦争終結後十年も労役に従事した同胞の体力の消耗をも指摘して、病人、老人等は特別に先に送還されるよう要請を続けて参っておるのであります。しかしながらソ連は、戦争終結の際の約束にもかかわらず、平和条約の締結を抑留者送還人道問題処理の前提として参っておるのは、まことに遺憾のことでございます。わが全権ロンドンにおける最後会談におきましても、抑留者送還及びその待遇改善について政府の意向を体し、強く先方に要請した次第でございます。  以上でございます。(拍手
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) ただいまの発言に対し、質疑通告がございます。順次発言を許します。曾祢益君。   〔曾祢益登壇拍手
  15. 曾禰益

    曾祢益君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいまの外務大臣の御説明に対しまして質問をいたしたいと存じます。  ただいま外務大臣から、ロンドンにおける日ソ交渉の最近の情勢について御報告がなされました。それは交渉の技術上の点を中心とした通り一ぺんの説明であり、かつ巧みにソ連だけに交渉決裂責任を帰しようとするものであるとともに、日ソ国交調整問題が今や重大な段階に達したという事実を、しいておおい隠そうとする、全く誠意を欠いたものであることを深く遺憾といたします。(拍手)  よって以下若干の点について、総理並びに外務大臣の所見をただしたいと存じます。  最初に、重光外相にお伺いいたしたいことは、三月二十日両国全権共同コミュニケに示されたところの交渉の無期限休会についてでございます。これについて外務大臣は、双方の合意する時期に将来再び開かれることになった、と言っておられまするが、これは無期限休会という事態説明する表現としては、はなはだ不適当でございまして、もっと率直に、双方が同意するまでは交渉再開されない、という否定的表現を用いらるべきと信じます。外務大臣は、政府としては、もとよりすみやかに交渉再開情勢とならんことを希望する、こう述べておられまするが、外務大臣みずから、すでに交渉領土問題において双方主張が完全に対立したことを認められておるのであります。してみれば、いずれか、あるいは双方がその主張を譲ってこない限り、再開情勢はでき上らないことは、理の当然でございます。従いましてこの際外務大臣から交渉再開情勢についていかなる見通しを持っておられるか、また、それは大体においていかなる時期と予想されておられるか、明らかにされたいのでございます。  私の憂うるところは、政府は民主党の選挙における公約の手前もございますし、かつは抑留者の帰国がおくれる。これに対する世論の反撃もおそれておるあまり、無期限休会、すなわち交渉の完全な中絶であり、日ソ国交調整問題は、今や重大な岐路に立っておるという正しい認識を、国民に与えることを故意に避けようとしておられるのではないかと存ずるのであります。  さらに、この点に関して重要ないま一つの点は、松本全権帰朝でございます。外務大臣はただいまの御説明によりますると、松本全権から請訓があった、それに対して政府は許可を与えたと言っておられます。また新聞報道によれば、日本全権団筋では、この自然休会は、マリク全権からの提案だと発表されております。しかも、これより先、三月十五日本院外務委員会におきまして、羽生委員に対する答弁の中で、交渉の一時休止もあり得るということを、当時から外務大臣は言っておられたのであります。これでは果してこの自然休会なるものが、日本側のイニシアチブであるのか、ソ連の方が主であるのか、あるいは双方の話し合い、なれ合いであって、この「決裂にかわる決裂方式」をとったのであるか、この点も明らかにしていただきたいのであります。  さらにこの点に関して、ほんとうに松本全権報告並びに打ち合せのために帰朝するというのでございますれば、そのために交渉が一時休止になったというのでございまするならば、当然に全権がまた再びロンドンに赴任すべきであろうと思いまするが、果して赴任させる用意がおありであるかどうか。またもし、再赴任の用意がないというのであるならば、政府はよろしく他の全権、たとえばロンドン西大使をして、いつでも同僚のマリク大使交渉せしめ得るように全権の入れかえを行うべきと思いまするが、果していかなる対策をお持ちであるか、この点も明らかにされたいのであります。  次に、私は、このように日ソ国交調整に関する交渉が、事実上決裂も同様な状態になったことに関する日本側責任について、総理に伺いたいのであります。まず総理は、日ソ国交調整の早期実現を選挙の最大の公約の一つとしてこられたことは、よもやお忘れではないと存じます。このような安易にして無責任な見通しと準備の不足、たとえばソ連に対する領土権の主張を通すためにも不可欠と申すべきものは、アメリカに対する領土権の主張でございまするが、これらについて何らの手も打っておられなかったこと、これらにつきまして、交渉行き詰まりの今日、総理は深く責任を感じておられると思いまするが、総理の御答弁を願います。鳩山総理の認識の甘さ、しばしばの失言、これは責めらるべきでありまするが、その鳩山さんの日ソ国交調整に対する熱意は、われわれも同感を惜しまないところであったのであります。しかも総理は、しばしば保守合同の便宜のために、日ソ国交調整を犠牲にしない旨を断言されましたにかかわらず、自由民主党の結成に当っては、この言明を裏切って、自由党の主張に屈し、その実現の見込みのない領土問題を中心とする日ソ交渉妥結の条件をうのみにし、もって交渉行き詰まりを必然たらしめたのであります。われわれは当時から、この鳩山総理の行動は、言動は、保守合同のために、いな鳩山内閣の存命のために日ソ国交の根本を誤まり、かつは政治家鳩山一郎の節操を汚すものであることを指摘して参ったのでありますが、ついに今日の事態を見るに至ったのであります。鳩山総理はこの局面に当って、果して責任を感じ善処される御意向がおありであるかどうか、この点を全国民の前に明らかにされたいのであります。  次に総理並びに外務大臣に、それぞれお伺いいたしたいのであります。われわれはつとに今日あることを憂え、再三再四警告を発して参ったのであります。それにもかかわらず、首相も外相も交渉決裂はおろか、停頓などは予想したくもなければ、また想像もできないという楽観的なほほかぶり主義で押し通し、われわれの忠告に耳をかされなかった次第であります。重光外相は特に鳩山総理の妥協的態度を押えながら、対ソ強硬方針を貫いて、今日のデッド・ロックを来たした当面の責任者であります。交渉の事実上の決裂について責任をおとりになるお考えはないか、外務大臣から明確に御所信を伺いたいのであります。(拍手)  さらに、もし鳩山首相並びに重光外相が今日の段階においても、なお日ソ国交回復実現の熱意を持っておられるというのであるならば、果して局面の打開についていかなる自信と成算とをお持ちであるかをお尋ねいたしたいのであります。  最後に今後の対策についてお伺いいたします。今後の交渉の成り行きについては、私見によれば、大まかなところ四つの方向が考えられると存じます。  第一は、政府がお考えであるかと思われる方向でございまするが、それは、このまま交渉の停頓状態を続けることであります。しかしこれでは日ソ国交回復という大局を見失うばかりでなく、焦眉の急である抑留者の帰国が解決できません。北洋漁業やわが国の国連加盟も解決のめどがつきません。ことに自然休会と時期を合せた北洋におけるサケ、マスの漁獲制限についてのソ連措置のごときは、あまりにも底の見えすいた政略でありまして、その不当なことは言うまでもございませんが、しかしながらこれらの問題について、ただソ連の出方が悪いからだと攻撃してみても、問題の処理になるわけではございません。さらに国際情勢の変化を待つというのも、これも実際上は解決策ではないのであります。従って、この私が今申し上げた第一の方向はとるべきでないと信じます。  第二の方向は、ソ連主張をそのまま受け入れて平和条約を結ぶことでございますが、それは日本海に通ずる海峡の航行権の問題についても、また領土問題についても、われわれが賛同し得ないところでございます。  第三には、平和条約交渉は停頓のままにしておいて、抑留者問題、漁業問題などの懸案の中で解決できるものから解決をはかるという方向でございます。しかしこれは第一の全部を停頓させる方向と同様に、国交調整の大局を失うばかりでなく、実際上このような個々の懸案解決方式は、その実現が乏しいことは、これは政府当局がよく御存じのところと信じます。  従いまして第四に、最後に残る方式としては、いわゆる暫定協定の方式があるのみでございます。われわれはかねてから、平和条約の方式が最も望ましい、しかして領土問題についてのわが方の正当な権利は、アメリカに対してもソ連に対しても同様に主張すべしという態度を明らかにして参ったのであります。しかしこれがために日ソ国交回復の大局を誤まってはならないと信じます。領土問題の全面的な解決か、あるいは国交回復かという重大段階に立ったならば、平和条約方式にのみとらわれることなく、将来領土に関するわが方の主張を生かす余地を残しつつ、とりあえず戦争状態の終結を確認し、国交を回復する趣旨の暫定的協定を結ぶとともに、抑留者の帰国の実現並びに歯舞、色丹の占領解除、返還を実現すべきことを主張して参りました。これすなわち、俗にいう暫定協定方式であります。われわれは政府交渉が継続している限り、これに水をさすやに受け取られるような言動は慎んで参ったつもりであります。しかし今や日ソ国交調整の交渉が重大な転機に立ち至ったので、ここに改めてわれわれの所信を明らかにし、政府が近く松本全権を交えて今後の対策を考究されるに当って、真剣なる再考を促したいと存じます。  鳩山総理並びに重光外務大臣は、従来、アデナウアー方式はとらないとか、目下交渉中であるから行き詰まりに際しての転換策等については目下何とも言えないとか、こういう返答をされて参ったのでありますが、今日の段階においては、もはやそのようなその場のがれの口上では済まされないと存じます。どうか慎重な考慮の上に、それぞれ首相並びに外相からの的確なる態度の表明を要求いたしまして、再質問の権利を留保して、一応これをもって私の質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  16. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 曽祢君の御質問にお答えをいたします。  お話の中には、私が交渉の前途を楽観し過ぎましてデッド・ロックに乗り上げたというようなお話もありましたが、それには同意をしかねます。日ソ交渉においてわが方は、当然の主張を行なっているものであります。交渉はなお継続中なのであります。国交正常化には今後も努力をいたすつもりであります。決裂したとはまだ考えておりません。国論の統一に努め分裂を避けることに努力をいたしまして、その後援を得て国交正常化、未帰還者の帰還に努力をいたしたいと思っております。(「見通しが甘過ぎる」と呼ぶ者あり)交渉双方の合意する時期に再開されることになっておりまするが、わが方としてはあくまでも既定の方針に従って、交渉の早期妥結をはかるべく努力するつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣重光葵登壇拍手
  17. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私の報告は、努めて客観的に説明を申し上げて、そうしてこの事態の重要性を十分に申し上げたつもりであります。この際は、冷静に重要性を認識して、国民的判断を見るべき時期だと考えております。なお将来どうすべきかという問題のお話がございました。将来は申し上げました通り、なるべくすみやかに情勢が熟して、再び交渉ができるようにしたい、こう言っておるのであります。その努力は、この交渉については双方ともやらなければならぬと私は思います。(「どういう努力だ」と呼ぶ者あり)日本だけではそれはできません。世界の情勢の変化はありましょうが、双方努力の結果、双方とも、一つまた始めようじゃないかといって合意があったときに、これを取り上げて、再び始めます。そのときには、十分に新たなる検討をする必要のあることも、論ずるを待たないことでございます。  それから今日あるを警告したと、その通りであります。いつもこの警告は、きわめて容易なことでございます。その警告をして、さらにまたこうしたらばよかろうといって、理論的にいろんなことを言うことも、これもきわめて容易なことでございます。そのことは、また十分に検討をいたさなければならぬことは当然であります。私はさらに、交渉中に交渉ができない将来のことまでも公然議論して、交渉が進むというようにお考えになることは非常に誤りであると、こういうことをたびたび申し上げております。(拍手)私は、社会党のお考えとして、こうであるという、これは十分に考慮しなければならぬと思う。しかしながら、それは将来の情勢を判断して、国家的にすべて考慮しなければならぬところであります。そうでありますから、今日、こういうことを警告したということは、これはそのときにいろいろ将来のことを予見されて話されたことは、決して私は、交渉のわが方の主張を固めるゆえんでなかったと、こう申し上げたのでございます。(拍手
  18. 曾禰益

    曾祢益君 再質問、お許し願います。
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 曾祢益君、登壇を求めます。   〔曾祢益登壇拍手
  20. 曾禰益

    曾祢益君 ただいま総理並びに外務大臣から、それぞれ御答弁があったのでありまするが、私の質問の各点に対する具体的な御答弁は伺っておらないのを遺憾と存じます。  まず総理に対しましては、総理は、楽観し過ぎてデッド・ロックになったとは自分では思わない、交渉継続中であるから今後も努力する、決裂したとはまだ考えてない、国論の統一に努力して国交正常化及び抑留者の帰還に努力したいと、かような、きわめて抽象的な、現実の事態に対応する何らの政策と気魄のない御答弁でございました。われわれは、そのような段階で今やなくなっておるということを、国民とともに、総理にさらに警告を申し上げたいのであります。総理は、保守合同のために日ソ国交調整を犠牲にしない、この言明に対して、総理はいかに責任をおとりになるお考えであるか。また総理のしばしば言われた、この日ソ国交調整の早期解決、これが、今や完全なデッド・ロックになったことは、今外務大臣もみずから認められた通りであって、両方からもう一ぺん話し合いをしようということでなければ、それは実際上は完全な停頓であるということを、外務大臣みずから認めておられる。この状況に対して、総理は、政治的責任をいかにおとりになるか。さらには第三の問題として、しばしば私が申し上げるこの暫定協定方式を今や考える時期が来たと思うが、それをどうお考えであるか。この以上三点について、総理にいま一ぺんはっきりした御意見を伺いたいと存じます。  外務大臣は、非常に興奮をしておられまして、私たちがほんとうに国を憂い平和を愛し、かような観点から、しばしば原則的な今後の見通しについて、特に自由民主党のあの緊急政策では、必ず行き詰まりになりはせぬかというこの憂慮感から、いろいろ申し上げたことを、いかにも社会党が交渉の半ばで水をさすと申しますか、妨害をすると、かような態度をもってとられておったことは、はなはだ遺憾のことであります。私たちは、かような気持ではない。私みずからも申し上げましたように、むしろそういうことにならないように、きわめて慎重な態度で、言うべきことも、まあ交渉のさなかであるから、これは交渉に累を及ぼさないようにしようという細心の配慮をして、今日まで参ったのであります。それを今日、事実上の決裂という言葉はどうか存じませんが、だれが考えても、外交上の常識と国民の常識からいうならば、完全な停頓状態である。この情勢になって、なおかつ、われわれのこの憂慮にたえないこの気持に対して、何らのお答えがない。ほんとうにこれからどうやっていかれるつもりであるか、何一つ今後の見通しについての私の質問に対してお答えがない。  で、特に外務大臣にさらにもう一ぺん伺いまするが、自然休会については、どういう経緯であったか、やはり私の質問に対して何らのお答えがない。さらに松本全権を帰して、その後の交渉についてはどういう全権団をお考えであるか、この点についても何らのお答えがないのであります。さらに外務大臣が、この日ソ国交交渉の停頓に際していかなる政治的責任をおとりになるか、この点についても何らのお答えを得ておりません。最後に、私が総理に要求したと同様に、私の質問最後の重要点であるいわゆる暫定協定方式、私が今十分に御説明いたしたのでおわかりであろうと思いますが、これに対する明確なる態度と今後の交渉に対する対策について、具体的なる方向を、私の質問に即応して、はっきりとお答えを願いたいと存じます。(拍手
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総理大臣は、自席において答弁せられてよろしゅうございます。
  22. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 議長のお許しを得まして、この席から答弁させていただきます。  第一点は、保守合同のために日ソ国交調整を犠牲にしてソ連との交渉をしたというようなお話でございますが、これはかつてお話を申し上げました通りに、絶対にそういうことはいたしません。  第二には、決裂したとはほんとうに思っていないのであります。  第三には、暫定協定を結ぶかという御質問でございますが、暫定協定をする意思はただいまのところ持っておりません。   〔国務大臣重光葵登壇拍手
  23. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えいたします。  一時休会になったようであるが、松本全権は帰すのであるかどうであるか、またその他の方法考えておるか具体的に答弁しろと、こういうことであります。将来双方の合意によって再開される場合には、松本全権を今のところではむろん帰したい、こう考えております。その間も、これはいろいろ連絡をしなければなりません。それは在英大使館でこれをやります。そういうふうになっております。その他のことは総理の御答弁の通りであります。なお、私の責任の問題は、これは外交の問題、今日までの外交運営については、私が責任をとることは当然でございます。ただしそれは、私は十分国民的判定によって動きたいと思います。(拍手
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 千田正君。   〔千田正君登壇拍手
  25. 千田正

    ○千田正君 私は、ただいま外務大臣のこのたびの日ソ交渉に対しまするところの中間報告を伺いまして、国民の一人として、かつまた政党政派を問わず、このたびの報告に対しまして、もっと突っ込んで聞かなければならない問題がありますので、首相並びに外務大臣、農林大臣に二、三の点を伺いたいのであります。  まず第一に、総理大臣に対しましては、ロンドンにおける日ソ交渉は、ただいまの御報告通り、昨年六月以来、二十三回に及びましたが、その結果、約九カ項目にわたって大体の意見の一致を見たとの御報告であります。昨年松本全権日本を出発するに際しまして、日比谷のあの街頭において、全国の引揚者並びに留守家族の大会において、どういうことを国民に声明していったか。このたびの自分の責任は、日ソ交渉とは別に、世界の人道的な立場から、いまだ帰らないところの戦犯の釈放を第一義に優先的に取り上げてこの問題を解決するのである。こういうことを声明されて立たれたのであります。その後、本会議におきましても、予算委員会におきましても、鳩山総理大臣からも、しばしばこの抑留者の問題は重大な人道的な問題であるから、国交問題とは別個に取り上げて、最優先的に解決しなければならないと言明されておったのであります。にもかかわらず、ただいまの九項目の中には見出すこともできず、さらに外務大臣は、まことにこの問題は遺憾であったという程度にすぎないのであります。国内における留守家族が一日千秋の思いでこの結果をよかれと待っておったのが、今やまさに悲痛きわまりないところの結果になったことは、まことに遺憾きわまりないのであります。ことに十一年の歳月というものを抑留されておるところの抑留者は、ただのなま身のからだであります。むしろ生けるしかばねとして今後何年間このソ連に抑留されておらなければならないか、この問題は、私は単なる日本国民の人道問題のみならず、世界人類に向って堂々とこの問題の解決に邁進しなかったならば、鳩山内閣責任いずこにありゃと言わざるを得ないのであります。(拍手)それでこの問題につきましては、一体このような状況で停頓するならば、今後において、最初の声明の問題を翻して、新たなる方針のもとに解決をはかるかどうかという問題と、残されているところの、いつ帰るという当てもないこうした抑留者に対して、その処遇の改善を、改めてもらいたいということを特にソ連との間の交渉をしているかどうかということと、いまだ所在不明とされているところの多数の邦人の行方に対する調査をいかにするかという、この三つの点についてお伺いしたいのであります。  さらに、わが国の敗戦直後における被占領時代はともかくといたしまして、独立後の日本の、このわが国の周辺を見ましたときに、いわゆる李承晩ラインの不法なるところの、暴挙におけるところのあのライン、最近においてはマーシャル群島を中心とするところのアメリカの原水爆の実験のための公海の自由の原則のじゅうりん、さらにこのたびソ連の北洋漁業の漁獲及び地域に対するところの制限等、次々に他国の一方的声明によって、わが国の生業が抑制される。さらに国際上の信義が無視されているということを考えましたときに、独立自主権の尊厳いずこにありゃと私は疑わざるを得ないのであります。鳩山内閣は、この周辺に押し攻められるところのこの日本の立場を、いかに切り開いていかれるのか、鳩山内閣の今までとられているところの方針というものは、だんだんだんだん圧縮されていくのではなかろうか、こういうことを考えましたときに、鳩山内閣の今後の問題の解決はどうなるか、領土のみならず、領土の問題もともかくとしまして、周辺におけるところの海域は、世界いずれの国の人といえども自由に航海し得る公海である。操業し得るところの公海であるにかかわらず、これが制限され、これが圧迫されるということは、自主独立を標榜するところの鳩山内閣の外交政策いずこにありゃということを私は追及したいのであります。この点のお答えをいただきたい。  第三番目としましては、これは漁業問題でありますが、外務大臣と農林大臣にお伺いいたします。協定もせず、条約もせず、一方的に制限を設けて、公海自由の原則に反し、しかも漁獲制限までも強行しようということは、国際法から見ても、屈伏することのできない重大問題と思うのでありますが、ただいまの九項目の御報告のいずれに該当しているか、お教え願いたいのであります。御報告中の戦争終結条項及び漁業問題、紛争処理条項から見れば、とうてい承服できない問題でありまするが、この点はいかなる点においてソ連との間に一致点を見出されたのか、この点をお伺いしたいのであります。  次に、ソ連側の言い分は、東経百七十度二十五分以西及び北緯四十八度以北、すなわち千島列島近海、オホーツク海、ベーリング海西部一帯を制限区域といたしまして、五月十五日から九月十五日までの四カ月間漁獲制限をするというのでありますが、これは操業区域の制限のみならず、漁獲に対する重大なる制限であります。戦前、一九三六年から四十年までの平均漁獲高は一億五千万尾でありましたが、昨年はやはり一億万尾、それを二千五百万尾に制限しようということになりますと、日本の北洋漁業はまさに壊滅といわざるを得ません。この問題に対しまして、いかに考えておられるか。ことに船団、独航船等はここ一カ月して出漁しようとして準備しているのであります。この見通しが明らかにならない限りにおいてこれを強行するならば、必ず日ソ間の紛争が惹起するでありましょう。これに対する責任はだれが持つのか、あるいはこの紛争を未然に防ぐ方法があるかどうか、あるいはあくまで農林大臣がかつて強調したごとく、北洋漁業は予定の通り進出するかどうか、この点を伺いたいのであります。  最後に、サケ、マス十九船団、カニ四船団、独航船が五百隻、合せて約百億円に上るところの費用をもって今や出漁の準備をしておりますが、これが不幸にして北洋に進出することができなかった、あるいは操業中抑留される、捕獲される、こういうような問題が起きた場合において、だれが責任をとり、その責任がいかなる方法によって国内のこうした漁業者に補償しあるいはこれを救済するか、この問題が的確になされておらない限りにおいては、この問題は重大なる国内産業の影響と同時に、最も憂慮すべきところの日ソ交渉に暗影を投ずるものと私は思いまするが、その責任はだれが負うのか、それを明確にしていただきたい。時間もありませんから、以上の点につきまして明確なるお答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  26. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 千田君にお答えをいたします。  抑留者の未帰還の人たちを日本に帰すということにつきましては、これは切り離しましても、できるだけ早く解決したいと思って努力をしたのであります。もとよりポツダム宣言によりまして、ソビエトは、日本に未帰還の抑留者を帰す義務を持っておるのでありまするから、それに基いても切り離して早く帰さなくちゃならぬのであります。のみならず、私はほとんど毎日手紙を受け取っております。抑留者の母から手紙をずいぶんたくさん受け取っております。この点を努力をしないはずはないのであります。ところがソビエトの方で言を左右にしてこれにまだ応じないので、いかんとも仕方なく遅延をしておるわけであります。どうぞ御了承を願います。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  27. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 公海の自由の点について御質問がございました。公海の自由は、あくまで日本といたしましては主張しなければならぬ立場にあります。今日までいろいろ制限を受けたために、国際的に交渉をしておる例が数件もございます。これもその方針で進めておるわけでございます。  北洋方面に対する関係は、特に関係者の利害が重要でございますから、この問題は、当然これは国際的に取り上げなければならぬ問題と考えております。またその準備をいたしております。しかしながら問題は、ソ連との関係でございます。そこで、ソ連の漁業制限等のことに対する言動その他情報は、すべてロンドンにおける松本全権提出して、全権からソ連側にこのことについて抗議もし、かつまた協議を今進めておるわけでございます。これはでき得るならば、そういう方式によってソ連との間に十分話し合いを続けていきたい、こういう考え方を持っておるのでございます。この私が先ほど報告しました漁業問題一般、これは平和条約に入れる漁業問題一般でございまして、その趣旨は、漁業問題、公海の漁業は自由であるという原則で、さらにいろいろ技術的な方面について将来取りきめをしようという基礎的の条項を作る意味でございました。さようなわけで、北洋漁業の問題につきましては、十分に一つわが利益を擁護するために努力をいたしたいと、こう考えております。  以上でございます。(拍手)   〔国務大臣河野一郎君登壇拍手
  28. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。  最近各海上におきまして、わが国の自由に漁業すべき地域が狭められておることは、はなはだ遺憾なことでございますが、私は考えますのに、千田さんも御承知と思いますが、アメリカとチリーかどっか南米の国の間に、これと同じような問題が起って、アメリカが非常に困っておるという問題があるわけでございます。こういうふうに、公海の漁業に対する一つのおかしな問題が各地に起きつつありますことは、国際的に取り上げて解決をしていただかなければならない問題ではないかと思うのでございます。今回の北洋の問題につきましては、松本全権が帰られて十分事情を承わった上でなければ、何とも申し上げかねますけれども、しかしソ連が一方的にこのことを申しましたことによって、すぐにどうこうと態度をいろいろ申しますことは、むしろソ連は、かねてこのときにその問題をというふうに考えておったやに想像されますことに対して、われわれが何かその中に引き込まれるような気がいたしますので、十分事情を調査いたしまして、その上で善処する必要があるだろうと考えておるわけでございます。今申し上げますように、この時期には必ずこういうふうな処置に出るだろう、先ほど千田さんのお話にもありました通りソ連の昨年度の漁獲高は一億以上をみずからはこえておるわけであります。わが国の漁獲高に比べて倍以上のものを河口でみずからとっておって、わが方が公海でとったものを、これだけが乱獲であるというような筋合いの通らぬことは、断じて承服するわけには参らぬのでございますけれども、それらにつきましては、十分調査した上で、堂々と主張すべき点を主張していきたいと考えております。(拍手
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて、質疑通告者発言は全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。    ————————
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。逓信委員会理事宮田重文君。   〔宮田重文君登壇拍手
  31. 宮田重文

    ○宮田重文君 ただいま議題となりました電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず本案の内容について申し上げますと、現行法は、昭和三十一年三月三十一日を限り、電話設備費の一部として、加入申込者等に臨時に負担金三万円以内、電信電話債券六万円以内を負担させていたのでありますが、その期限をさらに五カ年延長して、昭和三十六年三月三十一日までとすること、及び加入電話の種類変更の際、本法律に基く負担によって設置された加入電話に対し、変更前後の負担金と債券との差額を追徴し、または負担金の差額を返還いたすことといたそうとするものであります。しかして提案理由といたしましては、日本電信電話公社は、現行負担法により設置費用の一部を加入者等に負担させることによりまして、獲得いたしました年間約百億円を建設資金の一部に充当して、電話設備の拡充をはかっておるのでありますが、現在わが国の電話の普及率は、欧米諸国に比しますと相当低位にありまして、わが国の経済その他各般の活動に即応しない状態にあります。電話の需要は年を追うて増加し、毎年新規増設数と同程度もしくはそれ以上の新規需要がありますので、毎年度末積滞数は数十万に上り、三十年度末におきましては、約四十二万の積滞が予測されております。また局舎に余裕がありませんために、増設不能となっております局は、三十年度末で都市のみでも百四十局余に達し、今後電話を増設することによりまして、その数は増加する状況にあります。さらにこれら電話の増設及び局舎の改善等に対する対策のほか、町村合併に伴う電話局の統合、及び農山村における無電話部落解消等を実施することが必要であります。これらのために要します建設資金は、毎年六百億円に近い額に達しておりますが、公募債券の発行等財政融資による外部よりの資金につきましては、過去の実績から見まして、大幅な増額を期待することはきわめて困難でありますので、今後少くとも数年間は負担法に基く約百億円の資金を確保できない場合は、電話設備に関する整備拡充の計画に大きなそごを来たし、従いまして、電話に対する社会の熾烈な要望にこたえ得られないと思われますので、今後五年間、すなわち昭和三十六年三月三十一日まで、この法律を存続せしむる必要があるというのであります。また現行法には加入電話の種類変更の場合の規定がなく、種類の変更に際して負拝金並びに債券の二重負担となるなどの不合理がありますので、それを調整するための規定を設ける必要があるというのであります。  逓信委員会におきましては、本案について回を重ねて郵政省、日本電信電話公社並びに自治庁、大蔵省等関係各当局との間に詳細にわたり熱心なる質疑応答が行われ、慎重審議をいたしたのであります。その詳細は速記録によって御承知を願いたいと存じますが、今、委員会における質疑応答によって明らかになりましたおもなる点を申し上げますと、この法律は臨時的措置規定した時限法であって、すみやかに廃止せらるべきものであるにかかわらず、さらに五カ年延長して前後十カ年に近い期間存続せしめて、今後の電話加入申込者等に対しても、なお多額の特別負担を強いることは不当であるという点につきましては、日本電信電話公社が現在実施中である電話拡充五カ年計画は、今日第三年を終ったのみで、なお二カ年を残しており、続いて昭和三十三年四月一日より始める第二次五ヵ年計画の策定においては、各年約六百億円の建設資金を必要とするのでありて、この資金は自己資金、財政資金、ないしは公社債によってまかなうべきものであるが、自己資金の不十分である上に、資金運用部資金等の財政資金の融通は、政府の政策によって変動する場合があり、また公社債の発行には限度がある等、資金の調達に安定性がないので、計画建設の遂行に支障を来たすおそれがある、これがため少くとも当分の間は安定度の高い資金を調達する必要のあること、またこのような加入者に対する設備に要する費用の一部を負担せしめることは、政府事業であった当時から、すでに長い歴史があること、電電公社の公共性からして採算を度外視した中小都市並びに農山村の需要も満たす必要があること等の理由によって、差し向き五カ年間はこの程度の負担を求めることは真にやむを得ないこと。負担額の最高限は法律で定めているが、電話の種類、級地別による負担額は制限額の範囲内で政令で定めることになっており、将来事情が許せば延長期間内においても減額の措置を講じたいこと。またこのようにさしむき五カ年間不本意にも受益者に設備費の一部を負担せしめる等、建設資金の獲得に困難を来たしている電電公社に対し、別途永久的に市町村納付金を課そうとすることは、まことに不合理であるという点については、国家財政の見地よりやむを得ずこの措置をとらざるを符なかったこと等であります。  かくして質疑を終え、討論に入りましたところ、八木幸吉委員より、「公社本来の使命からして建設資金の調達を加入者負担へしわ寄せすることなく、財政融資によること、公社経営の合理化と資金の効率的使用になお一段の努力を要する余地のあること、本法の延長期間の長きに過ぎる」等の趣旨を述べて反対。日本社会党の久保委員及び緑風会の柏木委員より、「わが国の電話施設の普及度は世界の諸国に比して相当低位にあり、その施設のすみやかなる拡充には国民全般より熾烈な要望がある、従って公社が現に進行中の電信電話拡充計画は、いっときたりとも空白停頓を許さない事情にあるので、本法案はやむを得ないものと認めざるを得ないが、あらゆる方途を講じて延長期間内といえども加入者の負担軽減に一段の配意をいたすべきである」旨を述べて、本案に賛成するとの意見の開陳がありました。  かくて討論を終え、採決をいたしましたところ、多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、可決せられました。    ————————
  34. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。文教委員長飯島連次郎君。   〔飯島連次郎登壇拍手
  35. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 ただいま議題となりました万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律案について、文教委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  まず、本案が政府から提案されました理由とその内容について簡単に御説明申し上げます。本案は、前国会において批准されました万国著作権条約に基くものであり、国内法たる現行著作権法特例として制定しようとするものであります。従来著作権に関する国際条約といたしましては、ベルヌ条約と米州関係条約とが併存し、前者は無方式主義、後者は方式主義を原則として対立関係にあり、この両条約の統合は、長い間世界の懸案事項であったのであります。戦後ユネスコが設けられるに及び、この両条約の橋渡しを実現することを目的として万国著作権条約が創設せられました。わが国は、明治三十二年ベルヌ条約に加入するとともに、著作権法を制定し、今日に至っておるのでありますが、前国会において万国著作権条約を批准いたしましたので、本年四月二十八日以降、この条約により米州諸国特にアメリカ合衆国と新しい関係に入ることになり、ここに著作権法特例を設け、新たな事態に対処する必要があるというのが、大体の提案の趣旨であります。  次に、本案の内容について、そのおもなる点を御説明申し上げます。  第一は、万国著作権条約規定する締約国間の相互主義の原則に基きまして、わが国の著作権法規定する保護時間を尺度といたしまして、相手国の法令で定めておる保護期間がわが国よりも長い場合、その超過部分は保護しないこと、また短い場合には、短いままで認めること、さらには相手国の法令で保護を与えていない種類の著作物は、わが国も保護を与えない旨の規定をいたしております。  第二に、翻訳権に関する特例といたしまして、著作物が最初に発行された年の翌年から七年以内に日本語に翻訳発行されていない場合、日本国民は文部大臣の許可を得て補償金を支払うか、または供託して翻訳発行ができるという法定許諾制を採用しております。  第三には、この法律はベルヌ条約圏の国々で発行された著作物には適用しないこと、また、この法律は遡及効を持たないことが規定されております。  第四には、日本国との平和条約第十二条の規定に基いて、同条約の最初の効力発生の日から四年間、内国民待遇の保護を受けておる著作物については、この法律の施行の日以後も、なお従前通り著作権法による保護を受ける旨の規定を設けております。  第五には、附則において著作物の第一発行年月日の登録制度を設ける旨の規定をいたしております。この第一発行の年月日の登録は任意制でありますが、このような法律に根拠を置く登録をすることにより、国内的にはもちろん、特に今後は方式国たるアメリカ合衆国等において日本の著作物について紛争が生じた場合、当事者はこの登録の謄本を裁判所に送付することによって有利な立証ができるというのであります。  以上が本案の提案理由及び内容であります。  次に、委員会におきまする本案の審議の経過を申し上げます。本法律案はその性質上、専門的事項にわたる部分が多いため、委員会としては、特に慎重を期し、たびたび関係者をもまじえた懇談会を持ちまして、研究いたした次第であります。しかして委員会における質疑の過程で特に問題となったのは、第一発行年月日の登録制に関する部分でございました。すなわち、「信憑性がきわめて重視される登録制度が、その手続において、単に書類申請のみではあいまいになり、所期の目的を実現できないのではないか、しかしながらその信憑性を重んずるがゆえに納本を伴うものとすることは、ベルヌ条約の無方式主義に背馳するものとなるのではないか、また、相手国の裁判所において第三者的証拠力をいかに発揮できるか、十分の保証がないのではないか、この登録制度はしばらく先へ延ばして再考慮してみてはどうか」等の質問に対して、政府は、「この法律に根拠を置く登録制度の立証がいかなる国においても相当強い力を持つものと信じていること、及び手続においては、現在、別の目的から義務制となっている国会図書館の納本の際の受領書を提示してもらうか、現物を提示してもらうことを原則とし、この旨を省令で規定するつもりであるから、この登録制度はぜひ設けてほしい」旨の答弁がございました。その他の質疑応答につきましては、これを速記録に譲ることといたします。  かくして討論に入りましたところ、湯山委員より、「登録の実施に当っては慎重を期されたい」旨の希望を付しての賛成発言が行われ、また、高橋委員よりは、「今回の登録制度なるものは、方式主義の米州条約圏諸国に対する親心の措置であると了解する、また、本法律の制定は国際文化交流の上から適当な方策と考えるが、この法律案の母法たる著作権法全般にわたっての改正案が、できるだけ早い機会に提案されることを望む」旨の賛成討論がございました。  次いで、本案を採決に付しましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決定をいたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————————
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、空港整備法案  日程第四、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。運輸委員長左藤義詮君。   〔左藤義詮君登壇拍手
  40. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 ただいま議題となりました空港整備法案及び臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、空港整備法案について申し上げます。航空交通が近代的交通手段として政治経済活動を能率化しておる現状より見て、航空路網の急速な整備は必要な措置であるにもかかわらず、わが国では現在なお一部の幹線のみが整備されておるのにすぎない状態であります。従いまして早急に各地の空港を整備拡充することが強く要望されてきておりまして、この要請に応じ、空港の整備をはかりますため、空港を国または地方公共団体において管理し、両者の費用負担において、その建設整備を進めていく体制を確立いたしまして、わが国の航空の発達を促進せんとするのが本法案の目的であります。  次に、本法案のおもなる点を申し上げますと、第一点は、本法案で言う空港とは、「主として航空運送の用に供する公共用飛行場」をさしておりまして、これを三種類に分けます。第一種空港は国際航空路線に必要な飛行場、第二種空港は主要な国内航空路線に必要な飛行場、第三種空港は地方的な航空運送を確保するための飛行場とし、それらを政令をもって指定しようとするのであります。  第二点は、空港の設置及び管理についてであります。すなわち、第一種空港及び第二種空港は運輸大臣が設置し管理することとし、第三種空港は地方公共団体が設置管理守ることとして、空港の管理主体を明確にいたしておることであります。なお、第二種空港につきましては、地方公共団体が管理することが適切であると認めるときは、その申請により地方公共団体に管理させることができるようにしていることであります。第三点は、本法案の主要目的である空港の建設、整備に要する工事費用の分担に関する規定であります。第一種空港は、その利用が国際的になりますので、全額を国庫が負担し、第二種空港、第三種空港につきましては、国と地方公共団体との双方に利害関係がありますので、国と地方公共団体とが費用を分担し合うことにいたしております。この場合、基本的施設の工事費用につきましては、第二種空港で七割五分、第三種空港では五割を国庫で負担し、その他付帯施設の工事費用につきましては、第二種空港で七割五分以内、第三種空港で五割以内の補助を国が行うことにしております。さらに、災害復旧工事に要する費用については、第二種空港、第三種空港の基本施設について国が八割を負担し、付帯施設については国が八割以内の補助を行うこととしております。第四点といたしまして、北海道と離島につきましては、これらの地域の開発振興のために、特に国の負担率及び補助率を高めることができる旨規定されております。  質疑に入りましたところ、早川、木島、三木、一松、小酒井、左藤、大倉の各委員より熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によりごらんを願うこととし、そのおもなものを申し上げますと、まず、空港整備計画並びに空港指定の予定についてでありまして、政府委員の答弁によりますと、「さしあたり第一種空港としては羽田、第二種空港としては高松、熊本、鹿児島、大村等でありまして、第三種空港は、たとえば離島におけるものなどがその適例である」ということでありました。なお、「現在米軍管理のものについては、返還された後追加指定する」との答弁があり、また、「三十一年度の空港整備計画として、約一億五千万円が予算に計上されておる」旨、具体的な説明がございました。  次に、「地方財政窮乏の折柄、空港工事の費用負担が地方財政を圧迫しないか」という質問に対しましては、「空港整備の費用負担につきましては、事前に地方公共団体と十分協議をなすか、またはその申請によって行われ、かつおおむね既存の空港が対象となるので、地方財政を圧迫する程度の負担となる心配はない」との答弁でありました。また、空港整備について地元と利害関係の一致しない場合の調整について質問がありましたのに対し、政府委員は、「この法案は、空港の設置及び管理主体並びに工事費の負担等について規定したものであり、空港の設置については航空法で規律するところでありますが、地元との利害の不一致につきましては、公聴会も開き、十分審査の上善処され、また飛行場周辺の土地物件につきましては、損失補償または買取り請求の道もあり、なお、公共用飛行場の設置については土地収用法の適用がありますが、あくまでも地元との協議を基調とし、円滑に処理したい」旨の答弁がありました。なお、自衛隊の使用する飛行場の整備について質問がありましたのに対しましては、「この法案は、自衛隊の管理するものには関係のない」旨を明らかにせられました。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、格別発言もなく、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって本法律案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について、申し上げます。  現行法は、第十六回国会において制定されたものでありまして、戦争によって崩壊したわが国商船隊の再建をはかるための海運助成施策の実施に伴い、できるだけ均斉のとれた商船隊を建造し得るよう、国際航海に従事し得る船舶の建造についての許可制度を定めたものでありまして、四カ年間の臨時立法とされているものであります。この改正法案は、経済自立五カ年計画の一環たる計画造船の円滑な遂行を確保するため、現行法の有効期間を昭和三十六年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  本委員会におきましては、現行法を延長する理由、また現行法の施行実績等につきまして、町田委員より種々質疑が行われたのでありますが、政府委員の答弁中、おもなるものを総合して申し上げますと、「わが国の造船能力は、熔接技術の進歩により、ブロック建造方式をとり得ることになったので、建造工程が早くなり、また船舶の大型化に伴い、単位当り工数が少くなり、年間最大百二十万トンないし百三十万トンに及び、国内船の建造を確保するとともに、輸出船を引き受けて外貨獲得を行わせたい。また第十二次計画造船は三十万トン計画であるが、一方本年度の輸出船の契約量は、二月末日までで約二百万トンに達し、なお海運市況の好転により、自己資金による造船も増加している。これらの事情により、船台状況は相当窮屈となっており、また鋼材の需要量も、相当生産限度に接近するに至っている実情なので、輸出船や自己資金建造船を制限しない場合においては、計画造船を円滑に遂行し得るかどうか不安が感ぜられる。従って計画造船の円滑なる遂行上、輸出船の建造については、これを検討する必要があると考える。自己資金建造船についても、その増加はけっこうなことであるが、資材の取り合い等により全般の計画に支障を与えても困るし、またその船主が利子補給対象会社である場合にあっては、その経理に不都合な影響を与えることのないようこれを規整する必要が認められる。また現行法の施行後、最近までの間において許可したものは、国内船、輸出船を合わせて三百四十八隻、約三百九十四万トンであり、不許可にした件数はきわめて少いが、本法による造船許可制のもとに船舶の設計仕様の改善、船価の適正化、国産船舶用機械の使用等について、内面的に行政指導を行なっている」ということでありました。  討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決に入り、本法律案は原案通り可決すべきものと、全会一致をもって決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  41. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十九分散会    ———————— ○本日の会議に付した案件  一、能代大火被害状況とこれ   に対する復興対策に関する建設大   臣の報告  一、日ソ交渉経過に関する外務大   臣の報告  一、日程第一 電話設備費負担臨時   措置法の一部を改正する法律案  一、日程第二万国著作権条約の実   施に伴う著作権法特例に関する   法律案  一、日程第三 空港整備法案  一、日程第四 臨時船舶建造調整法   の一部を改正する法律案    ————————