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1956-03-16 第24回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十六日(金曜日)    午前十時四十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十二号   昭和三十一年三月十六日    午前十時開議  第一 教科書法案趣旨説明)  第二 日本学術会議法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送   付)      (委員長報告)  第三 住宅金融公庫法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送   付)      (委員長報告)  第四 開拓融資保証法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送   付)      (委員長報告)  第五 開拓者資金融通法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院   送付)     (委員長報告)  第六 漁船再保険特別会計における   給与保険の再保険事業について生   じた損失をうめるための一般会計   からの繰入金に関する法律案(内   閣提出衆議院送付)           (委員長報告)  第七 食糧管理特別会計昭和三十   年度における損失をうめるための   措置に関する法律案内閣提出、   衆議院送付)           (委員長報告)  第八 国有財産法の一部を改正する   法律案内閣提出)           (委員長報告)  第九 外務公務員法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)      (委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 榊原亨

    榊原亨君 私は、この際、沖縄行政に関する緊急質問動議提出いたします。
  5. 藤田進

    藤田進君 私は、ただいまの榊原君の動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 榊原君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。榊原亨君。   〔榊原亨登壇拍手
  8. 榊原亨

    榊原亨君 御承知通り沖縄は太平洋戦争中、日本本土での唯一の戦場となった土地でありまして、その住民諸君の多数が老若男女を問わず戦闘に参加し、最後まで敢闘された犠牲に対しましては、全く感謝感激のほかないところであります。私は、たまたま昨年十一月、本院を代表いたしまして、全琉球戦没者追悼式に参列し、親しくかの地の実情を見聞する機会を得たのでありまするが、その住民諸君窮状は想像に絶するものがありまして、終戦後十年の今日におきましても、なお終戦後二、三年当時の内地の様相を呈しておるのであります。私どものために犠牲となった、同じ国籍を有するこの地の同胞の今日のこの境遇には、全く同情を禁じ得ない次第であります。しかも、これら住民諸君は、今もなお日本を慕い、日本復帰の一日も早からんことを熱望され、また先年国会の議決によって実現されました援護恩給等措置についても、涙をもって感謝されておるありさまであります。この実情を見ましても、日本国会が、日本政府が、沖縄のためには、特にあとうる限りの熱意と誠意とをもって、十分の手を尽してこれに報ゆべき責任を痛感する次第であります。たまたま近くダレス長官が来訪されるのを機といたしまして、私はこの際、沖縄住民諸君の急迫した窮状を率直に訴えて、これら沖縄行政に関して、特に内外に同情ある理解を喚起せんため、あえて自由民主党を代表いたしまして、政府所信をたださんとするものであります。  すでに申し述べましたように、沖縄は、アメリカ本土作戦犠牲となった特殊の事情ある地域でありまするから、十分この特殊性考慮して、事の大小を問わず、あとうる限りの便宜と広義の法の解釈をもって、諸般措置を講ずべきであります。たとえて申しますると、沖縄の実戦に参加いたしました青年学徒軍人としての身分処理につきましても、いろいろと難色はありましょうが、これらにつきましては、すべてひとしくこれを軍人として処遇すべきであります。また沖縄有給吏員恩給措置につきましても、恩給法上の公務員ではないとか、あるいは朝鮮、台湾等の外地の元有給吏員と切り離せないとかいうような、多少の問題はありましょうとも、沖縄県消失というために生じたこの特殊の事情にかんがみて、すみやかに措置をせられんことを望むものであります。その他戦傷病者恩給等受給条件につきましても、その実情特殊性に沿うべく努力すべきであると存じます。さらに沖縄在籍戦傷病者復員事務戦没者に比べておくれておるために、恩給やさらに更生医療手続も支障を生じている現状につきましても、さらに一段の工夫と努力を要すると考えるのであります。戦傷病者更生医療に関する東京都への委託費等の増額につきましても、考慮を要する点が多々あるのでありまするが、これらの措置は、予算上はきわめて軽微なものが多く、たとえば元沖縄有給吏員恩給措置のごときを例にとりましても、わずかに四百万円であるのでありまするが、それだからといって、これを放置すべきではなく、進んで現在の沖縄同胞の窮迫した生活には、これらの少額でございましても、まさに暗夜のともしびに比すべき生活のかてともなるものでありまするので、これら一連恩給援護措置の諸点につきまして、特に各所管大臣のあたたかい御所見を承わりたいのであります。  米軍沖縄占領し、完全な軍政をしきましてから、講和条約発効に至る間の占領軍の用に供しましたところの土地等個人財産損害補償が、いまだに本土並みに払われておりません。米軍としては、もちろん講和条約発効後のものにつきましては、責任を持っておるのでありまするが、発効前のものにつきましては、平和条約によって当然これは日本政府責任であるという見解をとっておるのであります。従いまして、この間の犠牲補償は宙に迷った形となっておるのでありまするが、これらにつきましても、政府はすみやかに責任をもって措置すべきものと思われまするが、所管大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。  以上のごとき事柄は、いわゆる戦争跡始末に属する処置でありまするが、米国軍政下にある沖縄住民現状は、さきに申し上げましたように相当苦しいものと認めるのであります。現に沖縄における軍用地は四万エーカーでありまして、陸地総面積の一二・七%、農地総面積の一七%に相当しております。その結果五万戸が土地を失っておるのでありまして、人口密度平方マイル当り千百四十二人という狭い沖縄におきまして、代替地を求めることはきわめて困難であります。また、総戸数の四分の二が農家であるという農業依存沖縄農作地を失うことは、同胞諸君にとってその苦痛は相当深刻なものがあるのでありまして、また、これら収用された軍用地に対する補償も、必ずしも適正とは言うことができないのでありまして、関係者の窮乏はますます深刻を示しておるのであります。これらの住民苦悩は、沖縄わが国復帰することによって、一切は解決されるものでありまして、住民のひとしく日本復帰を熱望している点もこの点に帰一するものであります。対日平和条約第三条には、沖縄米国信託統治とすることを国連に提案できる権利を米国に対して認めておるのでありまするが、米国はこれを保留して、今なお暫定的に占領行政を行なっておる現状であります。そこで問題となりまするのは、平和会議当時アメリカインド政府に対する回答覚書や、アメリカ全権英国全権の表明されたところの日本の有する残存主権と申しまするか、潜在主権と申しまするか、レジデュアルという言葉で表明されておるところの主権解釈であります。これを単なる最終的領土処分権と考えまして、米国信託統治提案しない限りにおいては、沖縄米国が領有するか、あるいは第三国の領有となるか、あるいは沖縄は独立するか、あるいは日本領に戻るかというような場合にのみ、最後発言権を有するという解釈をする学説があるのであります。しかしながら、この言葉は、かような最終的領土処分権と考えるよりも、これは現段階においては、第一義的には日本領土主権を保有し、米国行政立法及び司法の対人的主権を行使するという暫定的の政治的分離でありまして、これに基く潜在主権の保有と考えるのを妥当と思われるのでありまするが、この点政府の御所見外務大臣お尋ねする次第であります。  もし、しかりとするならば、平和会議における日本全権の述べましたように、一日も早く行政権復帰を期待することは当然でありまして、政府は絶えざる努力をもって力強く十分なる熱意を傾けて、外交交渉によりこれが返還を強力に折衝すべきであると思うのであります。沖縄同胞の熱烈なる希望にもかかわらず、現地においては昭和二十九年以来、日本復帰運動は抑圧されております。琉球政府という名の政府はありましても、完全な自治権を与えておらず、その首長たる行政首席はいまだに民政副長官の任命であります。この際日本復帰を促進することのできるものは、日本政府外交交渉によるほか道がない現状でありまして、この点につきまして外務大臣の御所見、御決意を承わりたいと存ずるのであります。  以上、私の質問に対する政府所見は、私どものためにその夫を失い、その子供をささげた沖縄同胞の現実の苦悩に対する忍耐と努力に、新しい希望と強い励みを与えるものでありまするから、特にその点十分御考慮の上、各大臣お答えを要望いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)   〔国務大臣重光葵登壇
  9. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 沖縄事態が、サンフランシスコ条約によって定まっておることは申すまでもございません。そこでその解釈につきまして、沖縄に対する潜在主権日本が持っておるということも、アメリカは認めております。潜在主権ということは、今沖縄占領しておる占領目的が終了するとともに、主権日本に返すという意味であるということでございます。そうでありますから、なるべくすみやかに占領をいたしておる事態が変化して、必要のないようになって、なるべく早く返してもらいたいということが、日本の主張であることは申すまでもございません。その間におきましては、沖縄住民は、さようなわけでありますから、やはり日本人として国籍を持っておるものといたしまして、十分に、これを日本政府としては、その利害を考慮して措置しなければなりません。従いまして、米国に対しましては沖縄住民のいろいろな要請は十分取り次いで、そして考慮を促し、実現を期しておるわけでございます。沖縄住民の今申されたような日本復帰の気持は、実に貴重なものと考えますので、この点は日本政府としても、あくまでその要請に応じ、保護に遺憾なきを期したいと、こう考えておるのであります。(「今遺憾だということで質問している」「答弁になっていない」と呼ぶ者あり、拍手)   〔国務大臣小林英三登壇
  10. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 榊原議員の御質疑お答えをいたします。  沖縄に在住いたしておりまする遺族て付する遺族手金、それから弔慰金等裁定につきましては、御承知のように長い間米軍管理下にございました等の諸種の事情によりまして、多少おくれて裁定も開始されたのでありまするが、本年一月末現在におきまして、受付件数が一万九千六百六件でございまして、このうち裁定をいたしましたものが一万八千八百九十四件であります。その結果といたしまして、遺族年金支給をいたしましたものが一万三千八百十五件、弔慰金支給件数が一万七千八百四十五件に相なっておるのでございます。なお請求書類提出方々につきましては、現地関係当局と十分緊密な連絡をはかりまして、せっかくその処理促進努力中でございます。  それからお尋ね沖縄学徒につきまして、これは各人ごとに個々の事情を十分に調査いたしまして、軍人同様軍隊と行動を共にされまして戦闘に参加して、そして戦没された方々につきましては、沖縄といたしましての特殊のケースを考えまして、軍人として取り扱いたいと存じまして、目下慎重調査中でございます。  沖縄に居住の旧軍人軍属に対しまするお尋ね更生医療の問題でございまするが、これも先ほどから申し上げました通り、非常に手をつけていなかったのでありますが、二十八年度におきましては四件、二十九年度も四件、三十年度は十七件、その金額は百四十万円となっておるのでございます。従来ただ法律に基きまする援護実施機関というものが、一体だれがするのだということが現地の人にも明らかになっておりました関係もございまして、昨年の十二月に東京都知事実施機関とするということに政令で改めまして、積極的にその措置に向って邁進をいたしたいと存じておる次第であります。(拍手)   〔政府委員根本龍太郎登壇拍手
  11. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 恩給関係についての御質問がございましたので、その点についてお答えを申し上げます。  まず沖縄における戦傷病者、これは戦死者を含むところの方々に対する恩給の点についてどうなっておるかという御質問でございます。これにつきましては、内地にその受給者がおられます場合においては、内地に住んでおられる戦傷病者と全く同様な措置をとっておる次第であります。なおまた沖縄受給者がおられましても、同様な措置をとっているのでございまして、この恩給の点については、内地と同様の措置をとっておる次第でございます。  次に元沖縄有給吏員恩給の問題について御質問がございましたが、これにつきましては、昭和二十三年九月三十日、すなわち沖縄県が廃止になった以前に恩給権者となった者につきましては、その支払額のうち、二十三年九月三十日までの分については、政府が現在管理しております元沖縄財産から、本年四月以降において支払うことになっておる次第でございます。なお、右恩給権者の二十三年十月一日以降の分及び二十三年十月一日以降に恩給権者となった者につきましては、これは目下関係当局が十分に検討して、近くその回答を出したい、こう思っておる次第でございます。(拍手)      —————・—————
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、教科書法案趣旨説明)  本案について国会法第五十六条の二の規定により提出者にその趣旨説明を求めます。清瀬文部大臣。   〔国務大臣清瀬一郎登壇
  13. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今回、政府から提出いたしました教科書法案について、提案趣旨を御説明申し上げます。  教科書は、小学校中学校高等学校等において、教科の主たる教材として教授の用に供せられるものでありますので、その学校教育において占める地位はきわめて重要であります。次代の国民の育成の上に多大の影響を有するものでありますことは、多言を要しないところと存じます。従いまして、その内容適正であることを要するのはもとより、その採択発行供給が公正かつ的確に行われ、しかも価格はできる限り低廉であることが要請せられるのであります。  わが国現行教科書制度は、御承知通り終戦後の教育改革の一環として実施されたもので、従前国定制度検定制度に切りかえたものであります。しかるに、この制度の発足がきわめて早急の間に行われた事情もありまして、立法措置が不十分であり、制度的にも不備を免れなかったのであります。すなわち現行教科書発行に関する臨時措置法という法律は、戦後の用紙、その他経済事情の不安定なる時期に発行を迅速、確実ならしめるために制定されたものであり、その名称の示す通り臨時立法の形式をとっておるのであります。また検定採択等についても、政令省令等で各個別に規定するにすぎないのであります。  しかして、この制度実施状況を見まするに、用紙その他の事情が安定するに伴うて、発行者の数及び検定申請の数は逐年増加して、教科書種類が多くなりて参りました。このことは一面教科書改善に資するところも多かったのでありまするが、他面、法的不備と相待って、教科書検定採択発行等の各面におきまして、各種の問題点と、これに対する批判を生むに至ったのでございます。すなわち検定の面においては、検定機構の不整備検定の粗漏と不適正が指摘せられ、採択の面においては、発行者間の激甚なる競争の結果、種々不公平な事態を誘発していることが批判されたごときであります。また教科書についての家庭負担をできる限り軽減すべきであるとの要望も一方に高まって参ったのであります。  以上申し述べましたような状況にかんがみ、政府は、かねてより現行教科書制度について、早急に改善措置を講ずべく検討いたして参ったのでありまするが、教科書学校教育上きわめて重要な地位にあるにかんがみまして、この問題の取扱いには特に慎重を期し、各方面の意見も聞きました上、この法案を作成いたしたのでございます。  次に、この法案の要点とするところを申し上げます。  第一は、文部大臣による検定制度を維持して参るとともに、検定の公正かつ厳密を期するために、その機構及び方法整備改善いたしたのでございます。検定機構につきましては、教科書検定審議会を拡充強化するとともに、別途教科書調査職員文部省に置くこととして、調査機能の向上を期しているのであります。すなわち従来文部省令にゆだねられておりました検定手続及び方法整備して、これをこの法案に明確に規定しましたほか、検定有効期間制度を設けることにいたしました。  第二に教科書採択に関する規定整備して、適正採択方式を確立したことであります。従来、採択に関する法律規定不備でありましたために、実際上採択方式は区々にわたり、責任の所在も不明確になるきらいがありましたが、この法案によりまして、学校の種別及び設置者の別に従ってそれぞれ適正採択方式を明確に規定することにいたしました。ことに市町村立の小、中学校につきましては、特別の採択方式を設けたのであります。すなわち郡、市またはこれらの区域を含めた地域基準といたしまして採択地区を設け、その地区ごとに置かれます教科書選定協議会選定によって、その地区実情に即して、学年ごとに同一種類教科書適正採択せられるようにいたしたのであります。また従来の臨時的な展示会制度を改めて、常設の教科書研究施設を置き、教科書比較検討機会を十分に与えることにしているのでございます。なお採択に関する不公正行為につきましては、発行者または供給業者採択関係者等に対する利益の供与、採択関係者等組織的な利用等採択の公正を誤まらせるおそれのある行為を禁止して、その違反行為に対しては、一般刑法の制裁のあるのはもちろんでありまするが、本法案におきましては別に登録取り消し等を行い得ることを規定して、従来とかくの批判のあったこの種の行為の排除を期しておるのでございます。  第三に、発行及び供給の確実、円滑を期するために、所要規定整備したのでございます。教科書発行者並びにいわゆる特約供給業者につきまして、発行及び供給重要性公共性にかんがみ、新たに登録制度を設け、これらの業者に対する規制監督措置規定いたしました。また発行者登録教科書供給業者教科書発行供給に関する義務と相互の関係を明らかに規定して、確実で迅速な発行供給を期しようといたしました。なお登録取り消し定価認可基準等教科書発行供給に関する重要事項につき、文部大臣の諮問に応じて調査審議に当らしめるために、文部省教科書発行審議会を置くことにいたしたのであります。  第四に、教科書価格の問題についてでございます。教科書は、学校教育上必要欠くべからざるものであるから、その価格適正化をはかり、家庭負担を軽減すべきことはもちろんのことであります。このたびの立法に当りましても、この観点から発行者の過度の宣伝行為規制等によって、価格の低下に資するよう配慮いたしております。この法案におきましても、定価従前通り文部大臣認可制といたしましたが、その認可基準は前述の教科書発行審議会に諮問して慎重に検討いたす所存であります。  最後に、教師用指導書について必要な規制を加えることにいたしたわけであります。教師用指導書教師学習指導の手引きとして、特定の教科書の記述に対応して著作発行されるもので、事実上教科書と相並んで教育上重要な機能をもっておるのでありますから、その発行の場合には、文部大臣提出を要するものとして、教育上不適当な個所がある場合には、文部大臣訂正勧告をすることができることといたしたのであります。  以上のほか、この法律の円滑なる運営を確保するため、必要な事項について罰則を整備いたしましたほか、従前規定によって検定を与えられた図書の有効期間の特例を定める等、所要経過措置規定いたしたのでございます。  以上、この法案提案趣旨について申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。矢嶋三義君。   〔矢嶋三義登壇拍手
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられました教科書法案に対しまして、鳩山首相以下関係大臣所信をたださんとするものであります。  教科書教育上に占める地位はきわめて重要であり、児童生徒に与える影響は至大であるとともに、その制度を一歩誤まれば、国民教育のあり方に重大な歪曲をもたらし、ひいては国の運命を危うくするものであると申しても過言ではありません。従って教科書制度に関し適正なる法的整備をはかることは必要であり、それは過去の歴史にかんがみて、あくまで教育国家統制画一主義を排し、民主主義教育を助長する内容のものであるべきことは絶対必要なことと確信いたすものであります。最近のわが国教育界実情は、中央地方を通じて実質的に教育予算が減額され、多くの大学の教育施設設備は、先進国の水準にほど遠く、高等学校以下義務教育学校では、施設設備はおろか、最低限度教員数さえ確保されず、また長欠不就学生徒児童は数十万人を数えるみじめな状況でありますが、鳩山総理は、国家教育に対する責任義務をいかに考えられているか。憲法第二十六条の義務教育無償教育機会均等実現のための具体的政策の構想はどうか、御所見と信念を第一に承わりたいのであります。  次に、本法案は、先進国の多くに見られるごとく、義務教育教科書無償実現する方向において検討されたものかどうか。さらに明年度就学困難な小学児童の一部に対して教科書を給与する方針を中学校まで拡大し、少くとも教科書を購入できない義務教育生徒児童が、わが国に一人もいなくなる程度の措置はきわめて簡単であるが、鳩山総理にその熱意があるかどうかお伺いいたします。  最近の鳩山施政は、教育政治的中立性を無視し、政治権力による教育支配中央集権の野望を露骨化して参りました。このことは、先日政府から提出されました地方教育行政組織及び運営に関する法律案内容と、中央教育審議会にさえ諮ることなく、党利党略的強引な提出経過とを見れば、きわめて明々白々であります。また放送法改正意図に見られるごとく、思想言論国家統制をなさんとしているのであります。かくのごとく一貫せる立案背景を持つ本法律案も、検定発行供給事務にわたって文部大臣監督権影響力を異常に強化していますが、教育中央集権官僚支配を容易ならしめる地方教育行政組織及び運営に関する法律案の成立と相待って、わが国教育憲法改正、再軍備政策具現のために利用していると考えられるのでありますが、いかがですか。鳩山総理は、憲法違反の疑いをみずから持ちながらも、自己の良心にそむいて自主性なき自衛隊の増強政策を強行しているのでありますが、かような憲法の精神を軽視、じゅうりんするがごとき一連鳩山政策国民は憤りをもって見守っているのでありますが、総理は改められるお考えはないか、御答弁を求めます。  次に、文部大臣の持つ権限として四十五人の教科書調査官、八十人の検定審議会委員、二十人の教科書発行審議会委員の任命方針、さらに都道府県教育長の承認権、採択地区の設定、教科書選定協議会の構成等に対する助言指導権等、法の運用次第では、きわめて容易に準国定教科書行政をなし得るように立案されているのでありますが、将来教科書国定の底意を持っておられるのではないかと考えられますが、教科書国定に関する鳩山総理並びに清瀬文部大臣の御所見をしかと承わっておきたいのであります。  そもそも教科書は自然的、社会的、教育的諸条件に合致したものでなければならないことは申すまでもありません。従って地域に即応した民主教育を助長する立場から教科書検定権を文部大臣のみが握ることは不当で、体制が整備されるに応じて、逐次各都道府県教育委員会にも検定権を持たすべきであると考えます。さらに突っ込んで申すならば、教科書検定基準学習指導要領によって、どうにでも政府の統制力が及ぶことを考えるとき、むしろ都道府県教育委員会に検定権の主体をおくべきであります。さらに検定制度下における教科書採択は、制度そのものの本質からいって、生徒児童に適応した教育指導計画を持ち、子供の教育に直接責任を持っている現場教師の自主的選択を尊重し、当該学校採択権を確立すべきで、本法案のように採択の統一化は原則的に排除すべきであり、特に採択地区を市もしくは郡以上とし、しかも一種目について一種類と限定し、さらに教科書以外の教材使用を強く制約するに至っては、地域に最も適応した生きた授業を展開することができなくなり、また教師の新しい教育をもり立てようとする自主的意欲は減殺されると考える次第であります。教科書国定の底意を持ち、教科書問題の一部に目を奪われ、民主教育助長の本質的な点を閑却し、教育中央統制を可能ならしめる本法案は、右検定採択の諸点につき再検討さるべきであると思いますが、清瀬文部大臣の御所見を承わります。  さらに清瀬文相にお伺いしたい点は、政府御用検定とならないよう、検定関係者の任命にいかなる方針を持って臨まれるか。また現行調査員制度はいかにされる考えか。さらに日教組の研究集会に協力する学者グループを、文部省は各種審議会委員の委嘱に際し、最近忌避している傾向はないかということであります。この際あわせて日教組研究集会に対する文部大臣としての御見解も承わっておきます。一国の文相としての適正なる信念にかけて、与党の党利党略的文教政策にこれ追従することをもって足れりとしているゆえをもって、国民から教育行政を委託されている全国の教育委員諸君から不信任決議文を突きつけられた清瀬文相の御感想はいかがなものでございましょうか。私は今の日本の保守党政権下において本法案が原案のまま成立するならば、真理を貫く正しい教科書を生徒児童に確保するために、政党人文部大臣影響を受けた検定の結論と著作者の見解の相違を公正に判定する機関が必要になるかと考えますが、文部大臣の御見解をただします。  次に、二、三質問事項を並べてお伺いします。現場教師並びに教科書関係者が数多くの教科書を研究することのできる常設研究施設はぜひ望まれるところでありますが、最小限一郡市二カ所は必要とされるのに、その所要予算が計上されていないのはいかなる見解に基くものか。教科書発行者を制限すべきでなく、教科書出版の機会均等、著作、発行の自由を保障さるべきであると思いますが、御所見はいかがですか。  さらに多年にわたって問題になっておりまする需要の絶対数が僅少で採算困難と認められる高等学校において使用する職業に関する教科の教科書、盲学校、ろう学校もしくは養護学校または小学校中学校もしくは高等学校の特殊学級において使用する教科書及び中学校または高等学校が行う通信教育において使用する教科書に関しては、格段の考慮を払うべきである旨、昨年十二月五日中央教育審議会から答申がされているのでありますが、その具体策をお答え願いたいのであります。  最後質問として、大蔵大臣並びに文部大臣に承わります。よい教科書を安く生徒児童に供給するために、教科書制度全般を通じて不公正なことを厳に取り締ることが要請されることはもちろんでありますが、一面、教科書発行に対する低利の国家融資や、用紙資材の特配、運賃、輸送料の軽減措置等が、その教科書の持つ公共性から考慮されてしかるべきと考えますが、この点について大蔵大臣並びに文部大臣の御見解を承わります。  質問を終るに当り、私は、わが国の民主教育を破壊するおそれのある現内閣の文教政策に、政府みずから再検討を加え、生気あふるる民主的文教政策に大きく転換する御努力を、鳩山内閣、特に清瀬文部大臣に強く要請するものであります。鳩山総理以下関係大臣の誠意ある、しかも的確詳細なる答弁を要求し、答弁次第によっては再質問の権利を保留して、一応降壇をいたします。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  16. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 矢嶋君の質問お答えをいたします。  第一に、国家教育に対する責任義務について御質問がございました。国家教育に対する責任義務とは、きわめて重大だともちろん考えております。このために、国と地方公共団体が有機的な連携を保って教育の振興をはからなくてはならない、そういう制度を樹立したいと政府は考えております。  第二に、憲法二十六条に関連した御質問がございました。具体的政策の構想はどうかという御質問でございました。義務教育無償制度として、国立及び公立の義務教育については、授業料を取らないという制度が確立されております。また、義務教育無償及び教育の普及と機会均等の精神を尊重して、義務教育費の国庫負担制度などの方策がとられております。義務教育用の教科書をすべて無償にするということは、国家財政の現状から見まして困難でありまするが、明年度から、小学校の準要保護児童に対する教科書の無償給与をいたしたいと考えまして、目下その法案並びに予算審議しておる次第でございます。この措置は、国家財政の許す限り、今後も継続させたいと考えております。  第三は、現行憲法の精神を軽視じゅうりんするような感があるというような御質問でございますが、そういう考えは毛頭持っておりません。また、現行教育を再軍備政策に利用しようとしているのではないかという御質問でございましたが、そういうことはもちろんございません。  最後に、近き将来に教科書の国定の底意がありはしないかという御質問であったと思いますが、そういう考えは持っておりません。(拍手)   〔国務大臣清瀬一郎登壇拍手
  17. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 矢嶋さんは、私に対しても、教科書国定の意図があるかというお問いを発せられましたが、ただいま総理より御答えのごとく、近き将来において国定教科書制度をとる考えはございません。  それからして第二には、教科書検定は、文部大臣がするよりも、都道府県委員会にさした方がいいではないか、こういう御意見でございまするが、しかし教科書重要性にかんがみまして、教科書検定権は、国家的に教育水準を維持するために、各都道府県にゆだねるよりも、現在通り、国において行う方がよいと考えておるのでございます。  次に、教科書採択学校教師が個個にやるべきものだと、こういう御意見のもとに質問されたんでございまするが、教科書採択は、教師の任意にゆだねるよりも、教師の意向を十分に反映させるようにして、適当な機関で決定される方が適当であると思うのでございます。採択区域を設けて同一種類教科書を使用することにしたのは、地域に即する教育実施教師教科書の共同研究等から好ましいと考えたのでございます。直ちにこれがために画一教育になろうとも考えておらぬのでございます。  その次に、お問いでありましたか、あるいは御演説の勢いでありましたか、全教委から、私は不信任決議を手交したということについての御所見でございまするが、なるほどそういうガリ版刷りのものが渡っておりまするけれども、書いてありますることは、私の考えと大へん違っております。私は全教委の方々の協議会は、国家制度とも思いませんし、これに案を付議するよりも、やはり中教審に付議して、その答を得て、最終的には、(「付議していない」と呼ぶ者あり)あります。(「してない」と呼ぶ者あり)これが最後には、あなた方の御判断を得るのであって、全教委の協議会というもの、すなわち法制的に組織されておらぬものについて、一々協議する必要がなかろうかと、こう考えておるのであります。  それから、今、矢嶋さんは教科書についてのお問いでありましたから、(「そうじゃない」と呼ぶ者あり)矢嶋さんのお問いは、検定委員会と著者との見解が違うじぶんに、これにさらに判断する機関が必要じゃないか、こういうふうに聞き取ったのでございまするが、さような機関は設けておりませんです。しかしながら検定の過程において、著者に、あるいは質問をし、あるいは著者から意見を求める機会は与えておるのでございます。  それからしてその次の問いは、教科書研究施設は今度初めて置いておるのでありまするが、最小限度一郡一市に置くだけくらいに、多数置くべきものではないかということでございましたが、今回の教科書研究施設は、常設のものでございまして、そうたくさん置く必要もなかろうかと、本年度予算は三千万円計上いたしまして、全国に大体六百カ所くらい置くつもりでございます。  それからして検定審議会の委員だとか、教科書調査官の任命方針はどうであるか。いわゆる学者グループを除外する考えではないかといったようなことでございまするが、検定審議会の委員、教科書調査官の任命については、特に慎重を期して、中正練達な人を選ぶ方針でございます。現行の調査員制度は、教科書調査の補助者として必要がありまするので、ある程度は存続させる方針であります。教員諸氏の研究成果を発表し、その素質の向上をはかることは、これはもちろんけっこうなことでございまして、その内容が中正なるものであることを期待いたしております。文部省の各種委員会の委員の嘱託に際しては、日教組の研究集会に協力する学者グループであるからといって、別段差別取扱いをする考えは少しもございません。  それから研究集会をどう思うかということでありまするが、今言った適当なる研究集会は、むろん差しつかえございません。  それからして職業教育等の教科書についてでございまするが、これは今回の法律の第五十四条に規定しております。これは中教審から産業教育用の教科書の編集、発行を促進して、その価格の低廉をはかることということ、特殊教育教科書、特に点字教科書の編集発行を促進して、これが入手を容易ならしむるよう措置すべし、こういう答申が出ておるのでございます。そこで本法案では、第五十四条で産業教育用または特殊教育用並びに通信教育用の教科書については、政令でこの法律の特例を定めることといたしたのでございます。この政令有効期間採択方法発行供給等について、必要な特例を設けたいと思っております。また点字教科書については、昭和三十一年度予算で点字印刷機械を購入するとともに、教科書の購入費を補助することにしておるのでございます。  次に、この用紙の配給とか郵税の軽減等でございましたが、このうち教科書の無料配付、教科書発行に対する低利資金の融通等については、大蔵当局よりお答えがあると思います。用紙の配給のことは、これは性質が違いまするから、今回の法律に触れておりません。郵税また輸送料の軽減については、別に他の当局と相談をしてみたいと思います。  最後に、民主教育努力せよという御激励でありましたが、矢嶋さんの御趣意に従って、専心わが国教育の進化発達については留意をしたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  18. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 名実ともにいい教科書を安く作る、そして生徒児童が安く入手できるということは、これはだれも異論がありません。政府もさように努力をいたしておるわけでありますが、いかにこれを具現するか、具体化するかということに問題があると思うのでありますが、文部大臣初め関係者と十分相談をして、大蔵大臣としてもできるだけ協力いたすつもりであります。(拍手
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 矢嶋三義君。   〔矢嶋三義登壇拍手
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま総理以下の答弁を承わりますと、非常に納得できない点がありますので、重ねて伺います。  この法律案について最も重要な点は、政府が国の教育に対する義務責任をいかに把握しているかという、この第一点と、それから鳩山内閣の施政一般を通じて見られますように、何といっても中央集権的な、言論思想の自由をある程度抑制するような方向に進みつつあるということは、これは否定できない。おそらく憲法改正を企図しているところの政府与党のお考えとしては、そういう点も含んでおられるのではないかと思うのですが、今の憲法を改訂するに先立って、既成事実を逐次作りつつあるということは、まぎれもない事実なんです。従って私は、総理にこの教育国家の持つところの義務責任について承わったところが、総理答弁では、中央地方を有機的連携をもって教育を推進するために、かくのごとき教育立法をなしつつあるのだ、こういうことですが、これはとんでもないことだと思う。かつての日本教育を誤まったのは、中央地方との有機的結合という名のもとに、中央集権的の教育、時の政党による、あるいは時の官僚による、あるいは軍閥によって、日本教育が支配されたところに、今日の日本のこの悲しみがあったわけです。その反省のもとから、国民の、国民による、国民のための教育を打ち立てるという立場からみて、戦後のいわゆる民主教育というものは発足している。先般提案されましたところの地方教育行政組織及び運営に関する法律案並びに本法律案の底を流れているものは、これを破壊するものである。従って私は、その点に対する総理の御見解と、さらに法律を作って、ああしたらいかぬ、こうしてはいかぬ、この教科書はいかぬ、このパンフレットはいけない、かような取締りをするだけが能ではなくて、私は、国の教育に対する義務責任というものは、教育施設設備、教材教具、これも十分に整備いたしましょう。また憲法二十六条に保障してあるところの義務教育無償教育機会均等の精神を生かすために、今の日本国民経済力からして、能力がありながら十分の教育を受けられないところのお気の毒な子供に対して十分なる教育がなされるような、かような予算を組むことにおいて、私は国の責任義務の一端が果されると思う。私は時間がないから、数字をもって具体的にこれを申しませんが、本年度の予算を検討すれば、その点は明確である。こういう点について政府はお考えになっておられないのかどうか、重ねて伺います。  それからもう一点総理に承わりたい点は、総理義務教育無償というのは、わが国の経済力からどうもむずかしい。だから来年度、ごく一部の子供に一億三千万円程度の予算を組んで教科書供与の補助をしよう、かようにしたと言っていますが、この言葉を裏返すと、今度憲法改訂をやる場合には、第二十六条の義務教育無償というこの活字を変えるお考えが総理にあるやに私は推察するのでございますが、明確にお答えを願います。  次に文部大臣に伺いたい点は、清瀬さん、あなたの最近の文教政策全般について、若干私は批判し、所見を述べ、あなたの見解を承わったのです。何も教科書、この法案だけに局限して承わっているわけではありません。あなたは地方教育行政組織及び運営に関する法律案、これをきっかけとして、これのみじゃありません。さらに全般のいわゆる清瀬文政に対して、全国の教育委員会の委員諸君があなたに、清瀬文政は納得できない、公選された教育委員諸君国民にかわって、あなたに不信任文を突きつけたのです。ガリ版刷りをもらったとは何ですか、文部大臣、あなたは何らそこに反省はないのですか、それを私は承わっておる次第でございます。そういうあなたであれば、今度のこの法案が原案のまま成立した場合にあなたは、かつて国定時代にありましたような図書監修官にも類すべきいわゆる教科書調査官という者を四十五名握ります。あなたが任命権を持っておる。それから審議会委員についても、教科書発行審議会委員についてもあなたは強い発言権を持っている。それから採択をきめる都道府県教育委員会、この教育長をあなたは承認するところの権限を持っている。そして選定協議会の委員を任命するには、あなたのおめがねにかなったところの教育長が任命する。こういう一連機構を考えた場合に、あなたのような、今のような感覚で文教行政をやったならば、日ならずして実質上の国定教科書教育中央集権的、時の政治権力によるところの教育支配というものが生まれ、日本の民主教育に重大なる危機をもたらすと思うのでございますので、承わっておりますので、明確に御答弁を願います。(拍手
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 内閣総理大臣は自席において発言してよろしゅうございます。
  22. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 議長のお許しを得ましたから、この席から答弁させていただきます。  先ほど私がお答えしました通りに、教育が国と地方の公共団体の有機的連絡のもとに行われるようにいたしたいと考えまして、このたびの法案を立案したのであります。そのことを申し上げたのであります。  次の御質問は、義務教育の授業料の点でございますが、これはむろん御承知通り今は無償であります。憲法改正に当ってやはり義務教育無償の建前を変えるというようなつもりは私は毛頭持っておりません。できるだけ教育費の軽減をいたしたいというように考えております。(拍手)   〔国務大臣清瀬一郎登壇拍手
  23. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 矢嶋さんは、先刻は教科書法案についての質疑でなくして、文政全体のことを聞いたのだと、こういう第二問でございました。広範な答えでありますが、私は、また私の属する党派は、今日の教育現状を顧みまして、大へん心配しておるのです。新聞でもちょいちょいごらんでありまするが、各学校においていわゆる暴力教室事件が頻発しておる。特殊の学校でなくても、個々の青年の風紀について憂うべきところが多々あるのでございます。さようなことは社会環境にもよります。また敗戦後の国民、独得の心理状態にもよりまするけれども、これを一つ国家のためにただいまは直したいということを考えまして、一方においては臨時教育制度審議会の設置を提案いたしまして、道徳の基準から学校制度、ことに大学の制度について御研究を賜わりたい、こう思っております。もう一つは、昨年以来わが党で調べましたら、今の教科書に非常に間違いが多かったのです。実に客観的事実まで間違っておるのです。これじゃいかぬ、だから教科書の一つ法律を変えなければならぬ。それからまた、今日教育のこうなったのは、教育委員会というものが時勢に適さないのじゃないか。一つの公共団体のうちに二つの執行機関がある、二本建ての教育をする、これはいけぬだろう。こういう考えから、今回は日本教育の是正のために力を尽したいと思っております。むろん私自身、微力なものでございますから、皆様の御賛同を得て、どうか日本国の建て直しのための礎石を作りたいというのが私の心境でございます。(拍手
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、日本学術会議法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長飯島連次郎君。   〔飯島連次郎君登壇拍手
  26. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 ただいま議題となりました日本学術会議法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  まず本法律案内容と、これが提案理由を御説明申し上げます。本案は、日本学術会議の職務及び権限に関する規定と、会員の選挙に関する規定の一部を改正しようとするのがその主眼点でございます。すなわち第一に、日本学術会議の職務及び権限といたしまして、国際学術団体に加入することができること、及びその加入の場合において政府が新たに義務負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする規定を設けております。従来、日本学術会議は、その設立の目的及び職務として、事実上国際学術団体に加入してきております。これは日本学術会議の前身たる学術研究会議の事務を引き継いだものと解釈し、予算支出等もいたしてきたのでありますが、近時学術交流の促進はことに著しく、将来ますます国際学術団体への加入の必要が痛感されますので、この際これに関する明文の規定を設けるとともに、負担金の多額に上ることも予想されますので、政府がその義務負担することとなる場合には、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経ることとしたいというのであります。  第二に、会員の選挙につきましては、従来の選挙の実情にかんがみ、今回その選挙規則を厳格なものに改めるとともに、会員の選挙権及び被選挙権を有する者が、右選挙規則の規定に違反する行為をした場合には、同規則の定めるところによって選挙権と被選挙権を停止され、または当選を無効とされる旨の規定を新たに設けるというのであります。  委員会におきましては、本案につきまして活発な質疑応答が行われましたが、その主な点は次のようなものであります。  第一に、「日本学術会議は、その職務権限として、科学の振興に関して、政府の諮問に答えるとともに、勧告することができるのでありますが、さらに一歩を進め、その設置の目的に照して、科学を行政、産業及び国民生活に反映、浸透せしむるために、その活動状況等を国会報告する等のほか、広く国民に対して啓蒙活動をする努力が不足であると考えるがどうか」との質問に対しては、「今後はそうした活動面にも十分努力したい」旨の答弁がございました。また、「日本学術会議が発足以来行なった政府に対する勧告、申し入れ、答申等は相当数に上っているが、政府はそれらを採択しているかどうか」との質問に対しては、「大部分のものはこれをとり入れられているが、不採択のものもないではなかった」とのことでございました。  第二に、「日本学術会議が国際学術団体に加入する場合、政府が新たに義務負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとすることとなっているが、これは良識ある学術会議が加入するのであるから、内閣総理大臣の承認を経る必要がないのではないか、」また、「政府の承認については政治的、思想的配慮から左右される危険はないか」との質問に対しては、「加入に伴って発生する分担金支出は相当多額になる場合もあり、あらかじめ内閣総理大臣の承認を求めることを適当としたこと、またこの承認に当っては、純粋な学術上の立場からの学術会議の要望は、当然尊重されるものと考える」旨の答弁がありました。  第三には、会員選挙について新たに設けられた制裁規定につきまして、従来の選挙の実情、弊害について、また今回の法改正に基いて改正される選挙規則案の内容、あるいは選挙取締りの方法等、詳細な質疑応当が行われましたが、これらはいずれも速記録に譲ることといたします。  かくて質疑を終り討論に入りましたところ、湯山委員よりは、「学術会議の広報活動を一そう強化するよう努力してもらいたいこと、また選挙規則の実施に当っては、科学者にふさわしい公明な選挙が行われるよう十分な配慮をすること、さらにまたかような選挙は、学者の良心によって行われるべきものであるから、厳重な選挙規則や、法律上の制裁規定を必要としない日の、一日もすみやかに来たることを希望して本案に賛成する」旨の発言がございました。  次に竹下委員よりは、「学術会議無用論というものが従来一部にあったが、その理由の根拠としては、不正な会員選挙が行われて来たことだと考える。今回学術会議が率先して、きびしい選挙規則を設けられるという、この反省的態度に敬意を表し、今後に大きな期待を寄せるものである」との賛成討論がなされました。  以上で討論を終り、本案を採決に付しましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員会理事石井桂君。   〔石井桂君登壇拍手
  30. 石井桂

    ○石井桂君 ただいま議題となりました、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。住宅金融公庫は、昭和二十五年六月に、住宅建設資金の融通機関として、全額政府出資をもって設立された公法人でありまして、その業務は、一般の金融機関に委託するほか、みずからも貸付、管理等を行うなど現業的性格を持っているのでありますが、役員及び職員はこれまで国家公務員とされて参りました。これは公庫の業務体制を急速に整備する必要があったことによるのでありまして、すでに設立後五カ年余を経過した現在、その必要も認められなくなりました。よって本改正案は、役職員の地位国家公務員でないものとし、これに伴って、恩給及び退職手当等に関し、必要な措置を講じようとするものであります。すなわち、役職員で、現に恩給法の準用を受けている者の恩給については、改正後にわいても、当分の間恩給法規定を準用することにし、退職手当等については、主務大臣の承認を受けて支給基準を定めることにしたのであります。  なお、役職員の刑法その他の罰則の適用については、公務員と同様の取扱いをしております。このほか、住宅の工法、資材等の発達に伴い、公庫の貸付の対象となる簡易耐火構造の住宅の定義について必要な改正をしております。  本法案審議に関連しまして、「耐火構造住宅を促進する方法として、造作部分等は入居者がみずからの資力に応じて作ることにし、それを除く部分に全額融資する考えはないか」との質問がありましたが、これに対しては、政府から、「融資住宅設計基準内容について検討していきたい」との答弁がありました。  本案は、三月十三日、質疑を終了、十五日、討論を省略、全会一致原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、開拓融資保証法の一部を改正する法律案  日程第五、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事三浦辰雄君。   〔三浦辰雄君登壇拍手
  35. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 ただいま議題となりました開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。  まず開拓融資保証法の一部を改正する法律案について申し上げます。  開拓者の農業経営に必要な資金の融通を円滑にし、開拓地における農業生産力の発展と農業経営の安定を促進するため、長、中期の低利資金については、開拓者資金融通法によって政府が直接融資することになっておりますが、短期資金については、開拓者の団体と政府または、都道府県との共同出資によって開拓融資保証協会を設立し、その会員が金融機関から受ける債務を保証する制度を確立するため、昭和二十八年開拓融資保証法が施行され、これに基いて都道府県開拓融資保証協会及び中央開拓融資保証協会が設立されて今日に至っております。  しかして、政府中央保証協会に対し、現在二億円の出資を行なって、保証制度運営をはかっているのでありますが、この制度に対する開拓者の加入が増加し、また営農の進展に伴って資金の需要も増大したため、現在の中央保証協会の基金をもってしては、開拓者からの債務保証に対する要請に応ずることが困難であるという理由によって、政府は、昭和三十一年度、さらに一般会計から五千万円を中央保証協会に追加出資して、中央保証協会に対する政府からの出資金を現在の一億円から二億五千万円に増額して、保証のワクの拡大をはかろうとするのが、この改正法律案提出された理由並びにその内容であります。  次に開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について申し上げます。  開拓者資金融通法は、開拓者の営農に必要な長期及び中期の資金を低利で融通するため、昭和二十二年制定せられたものでありますが、今回、現行法におおよそ次のような改正を加えるため、本改正法律案提出せられたのであります。  すなわち、改正の第一点は、北海道野付郡別海村及び青森県上北郡の一部等、政令で定める区域内で、農地開発機械公団が持っている機械を使って開墾される開拓地、いわゆる機械開墾地区開拓地の開拓者またはその組織する法人に対して開拓者資金の貸付を拡大しようとするものであります。これが内容のその一つは、これらの開拓者及び法人に対して、新たに、従来融資されている開拓者資金のほか、開墾作業を行うのに必要な資金及び機械開墾地区開拓地における特別な営農条件のため必要とされる飲料水供給施設、その他の政令で定めるものを設置するのに必要な資金を貸し付けることができることとなし、しかしてその条件は、前者については、償還期間は、据置期間五年を含めて二十年以内、利率は、据置期間は無利子とし、その後は年三分六厘五毛の均等年賦償還により、また後者については、償還期間は、据置期間五年を含めて二十五年以内、利率は、据置期間は無利子とし、その後は年五分の均等年賦償還の方法によることになっております。その二は、これらの開拓者及び法人は、機械開墾は短時日になし遂げられることになり、これに伴って営農も速度を早めなければならない等のため、一般の開拓者に比べて多額の資金が入用であるという考え方から、これらのものに対しては、現行法によって貸し付けられている開拓者資金を、一般の開拓者に対するものより多額に貸し付けることができることとし、しかして、その条件は、現行貸付額の範囲内は現行規定による条件、すなわち償還期間は据置期間五年を含めて二十年、利率は据置期間は無利子とし、その後は年三分六厘五毛の均等年賦償還とし・現行の貸付額を超える場合は、その超える部分については、償還期間は据置期間五年を含めて二十五年以内、利率は据置期間は無利子とし、その後は年五分の均等年賦償還の方法によることとなっているのであります。  改正の第二点は、入植後三カ年以上を経過した、いわゆる既入植者に対する家畜資金等の中期資金の貸付条件の変更でありまして、これらの資金の貸付条件は、現在年利五分五厘、二年据置、五年償還、据置期間中は無利子ということになっておりますが、この条件では開拓者にとっては、その生産を拡大する上において無理があるという見解をもって、その条件を変更して、三年据置、八年償還とし、ただしこの場合は、据置期間中も利子をつけることにしようとするものであります。  改正の第三は、昭和二十八年及び二十九年に発生した災害によって、二年連続して被害を受けた開拓者またはその組織する法人に対して資金の融通に特別な措置を設けたことでありまして、昭和二十八年及び二十九年の両年に発生した災害によって、二年連続して被害をこうむり、災害融資に関する特別措置法の適用を受けた開拓者またはその組織する法人に対して、その営農の基盤を確立して、経営の安定に資せしめるために、新たに年利五分五厘、三年据置、十二年償還の条件をもって、農機具、畜舎、サイロ、堆肥舎等、生産の基盤となる設備を整えるために必要な資金を貸し付けることにしようとするものであります。  以上が両法案提案趣旨及びその内容の大要でありますが、これらの両法案は、ともに開拓者に対する営農融資に関するものでありまして、その内容は相通ずるものでありますから、委員会におきましては両者を一括して審査することとなし、まず農林当局から提案理由の説明を聞き、続いて開拓営農及び開拓融資の現況その他参考事項並びに法律案内容等について説明を求め、ついで質疑に入り、開拓融資保証法改正については、今回の改正により政府から中央開拓融資保証協会に対する追加出資五千万円の決定の方法並びにその当否、また開拓者資金融通法改正については、これが提案理由の説明と法律案内容との関係、農地開発機械公団の業務の現況及びその運営方法の当否、機械開墾地区の入植者の資金必要額並びにこれに対する融資あるいは補助の金額及びその当否、いわゆる家畜導入資金については、従来その据置期間中無利子であったが、今回の改正によって利子をつけることとした理由及びその当否、機械開墾に対する世界銀行借款の内容並びにこれが交渉の現況及び今後の見通し等の事項について、政府所見がただされたのでありまして、これが詳細については会議録に譲ることを御了承願いたいのでありますが、これらの質疑属対する政府答弁の一、二を要約いたしますと、「提案理由の説明において述べられているところと法律案内容とが食い違っているように認められるのは、提案理由の説明においては明確を欠いているうらみがあるので、お許しが得られれば訂正したい。農地開発機械公団の業務の運営については、入植者からも公団からも喜ばれるやり方に努めたい。機械開墾地区の入植者の収支については、入植後三年間は赤字であるが、それ以後黒字に転じ、上北地区において八年、根釧地区において九年目に営農形態がほぼ完成する見通しである。世界銀行の借款については、開墾、建設及び土地改良用の機械並びに乳牛の購入費として四百数十万ドルの予定をもって交渉中であって、都合よく取り運べば三月中には借款契約が成立するものと思う」等というように述べられております。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、別に発言もなく、続いて採決の結果、両案は、いずれも全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第六、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案  日程第七、食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第八、国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出)  風上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長岡崎真一君。   〔岡崎真一君登壇拍手
  40. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案について申し上げます。  最近において漁船乗組員の抑留が増加し、また抑留の長期化などに伴い、漁船乗組員給与保険法に基く支払い増加により、政府の引受再保険勘定に異常な損失を生じ、この赤字補てんのため、従来漁船再保険特別会計に、一般会計から繰り入れられました繰入金の措置を、しばしば講じて参ったことは御承知通りであります。本案もまた、昭和二十九年及び三十年度におけるこれらの損失をうめるため、昭和三十年度におきまして、一般会計から六千三百五十万円を限度として、この会計の給与勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。  本案の審議におきましては、抑留の状況、保険未加入者に対する見舞金、抑留者留守家族の実情等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案について申し上げます。  食糧管理特別会計昭和三十年度末における損失は、二十九年度の繰り越し損失金を含めて当初約百億円と予想されておりましたが、三十年度においては、政府買い入れ数量の著しい増加と、これに伴う早場米格差の支払いの増加、準内地米の業務用売却予定数量の減少等によって、百三十六億円余の損失を生ずる見込みであり、これに二十九年度の決算上の損失が三十億円余となりますので、結局この会計の昭和三十年度末における損失は百六十七億円と見込まれるに至ったのであります。  本案は、この損失を補てんするため必要な措置を講じようとするもので、百六十七億円の損失のうち百億円は、昭和二十六年度に一般会計から繰り入れたいわゆるインベントリー・ファイナンス百億円に見合いまするので、この分を一般会計に繰り戻さなくともよいことといたし、残り六十七億円については、昭和三十年度において一般会計からこの会計に繰入金をすることができるようにしようとするものであります。  本案の審議においては、インベントリー・ファイナンス取りくずしと一般会計との関係、病変米の処理状況等について熱心なる質疑がなされましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、国有財産法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案の改正点の第一は、合同庁舎等の行政財産の管理の合理化をはかるために、大蔵大臣がその所管者を指定する制度を設けようとするものであります。第二は、従来物品として取り扱われてきました航空機は、船舶等と同様、不動産に準ずるものであるにかんがみまして、これを国有財産として管理しようとするものであります。第三は、行政財産を他の各省各庁の長に使用させる場合は、その調整をはかるため大蔵大臣に協議することとしようとするものであります。  本案は別段の質疑もなく、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  41. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第九、外務公務員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長山川良一君。   〔山川良一君登壇拍手
  44. 山川良一

    ○山川良一君 ただいま議題となりました外務公務員法の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  本案は衆議院の修正送付案であります。まず、順序として政府原案につき御説明いたします。政府の説明によりますと、現在世界の多くの国は、特派大使の制度を設けておりますが、わが国にては、旧官制時代はこの制度がありました。現状においても、かかる大使を特派することは可能であるという解釈論もありますが、これを明確にするために、この特派大使の制度を明文化することといたしたのであります。このために特派大使を外務公務員として外務公務員法中に規定し、これに関連する条項を改正したものが政府原案であります。特派大使の性格は認証官にあらざる特別職で、かつ政府代表及び全権委員に類似の臨時の官職であります。また外国における重要な儀式に参列する場合には、特派大使は天皇が認証した信任状を携行し、なお、特派大使には、顧問、随員が付随できること等、この使節の使命と地位を重からしめるようにしてあるのであります。  次に、衆議院の修正は、外務公務員法第八条の改正に関する部分に別に一項を加え、特派大使、全権委員、政府代表等については、国会議員のうちから任命することができる。この場合は両院一致の議決を得なければならないと定めたことであります。この修正の趣旨は、国会議員は、現行国会法規定解釈によっても特派大使等の官職につき得るのでありますが、これを一層明確にして、外務公務員法中に規定したがよいとの意見に基き修正されたとのことでありました。  委員会においては、三月十五日、本法案審議を行いましたが、別に質疑もなく、採決の結果、全会一致をもって、衆議院送付案の通り可決いたすべきものと決定いたした次第でございます。  以上、報告申し上げます。(拍手
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  46. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      —————・————— ○本日の会議に付した案件  一、沖縄行政に関する緊急質問    一、日程第一 教科書法案趣旨説明)   一、日程第二 日本学術会議法の一部を改正する法律案  一、日程第三 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第四 開拓融資保証法の一部を改正する法律案  一、日程第五 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案  一、日程第六 漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案  一、日程第七 食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案  一、日程第八 国有財産法の一部を改正する法律案  一、日程第九 外務公務員法の一部を改正する法律案