運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-14 第24回国会 参議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十四日(水曜日) 午後零時三十八分開議     —————————————  議事日程 第二十一号   昭和三十一年三月十四日    午前十時開議  第一 所得税法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)           (委員長報告)  第二 租税特別措置法等の一部を   改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)  (委員長報告)  第三 砂糖消費税法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院   送付)    (委員長報告)  第四 関税定率法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)     (委員長報告)  第五 所得税法の一部を改正する   法律案衆議院提出)          (委員長報告)  第六 昭和二十八年度、昭和二十   九年度及び昭和三十年度におけ   る国債整理基金に充てるべき資   金の繰入の特例に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)          (委員長報告)  第七 船舶職員法等の一部を改正   する法律案内閣提出)          (委員長報告)  第八 道路運送車両法の一部を改   正する法律案内閣提出)          (委員長報告)  第九 司法書士法の一部を改正す   る法律案衆議院提出)          (委員長報告)  第一〇 土地家屋調査士法の一部   を改正する法律案衆議院提   出)      (委員長報告)  第一一 地方公務員法等の一部を     改正する法律案内閣提出)           (委員長報告)  第一二 入場譲与税法の一部を改   正する法律案内閣提出、衆議   院送付)    (委員長報告)  第一三 公職選挙法の一部を改正   する法律案(第二十三回国会本   院提出、第二十四回国会衆議院   送付)     (委員長報告)  第一四 国会議員選挙等の執行   経費の基準に関する法律の一部   を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)  (委員長報告)  第一五 農林漁業金融公庫法の一   部を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)  (委員長報告)  第一六 家畜取引法案内閣提出)           (委員長報告)     —————————————
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 遠藤柳作

    遠藤柳作君 私はこの際、日韓関係打開に関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 ただいまの動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 遠藤君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。遠藤柳作君。   〔遠藤柳作登壇拍手
  8. 遠藤柳作

    遠藤柳作君 私は自由民主党を代表し、日韓問題に関しまして政府所見をただします。  私は官吏生活の初めと終りとを朝鮮で過ごしました関係もあり、日韓両国の現状及び今後につきましては、特に深い関心を抱いておる一人であります。これがために、ここ数年来、志を同じゅうする友人、同学の諸氏とともに真摯な研究調査を続けて参りましたが、期するところは、一日もすみやかに国交正常化して両国親善関係を増進し、もってアジアの平和、ひいては世界の平和に貢献したいというのが、すなわち私どもの念願でございます。  鳩山総理大臣におかれましては、かつては日韓両国親善のためにはみずから京城を訪れてもよいとまで言われ、その熱意のほどを示されました。おそらくはその健康なり政務の実情にしてこれを許すとするならば、今でもそのような熱意をお持ちになっておるものと信じます。また重光外務大臣その他の関係閣僚並びに関係係官諸氏も、この問題の処理について一方ならぬ御心労のことと推察し、ここにあらためて深甚なる敬意を表する次第であります。  近く米国政府ダレス国務長官が来訪されますが、ダレス長官は事前に京城におもむかれ、李承晩大統領とも会見されて、日韓関係に関し十分意見の交換をされて来るものと思います。政府はかねて日韓関係打開について米国政府あっせんを懇請せられ、米国政府もまた近来、これに対してとみに積極的な努力をなすに至ったと聞いておりますが、お差しつかえなくば、まずこの間の経緯を承わりますと同時に、この機会にダレス長官に対し、国民の熱望するところをあるがままに伝える御用意がありやいなやをお伺いしたいのであります。  日韓両国米国にとって、ともに同じ自由陣営内の盟邦であります。その米国盟邦紛争を続け、少くとも今なお正式の国交関係を樹立するに至らないということは、米国にとっていかに好ましからざることであるかは、申すまでもありません。日韓両国が依然として今日のごとき状態を持続するならば、米国のせっかくの援助もその効果をいかに減殺されるかも、ここにあらためて申すまでもないのであります。李承晩ラインのごときは、韓国側においてマッカーサー・ラインに由来するとまで申しておりますが、さかのぼって、李承晩政府成立事情から推しても、米国はこの際、日韓両国関係正常化について明白かつ的確なる措置に出てもらいたいものでありますが、政府の御所見はいかがでありますか。  申すまでもなく、日韓関係正常化のためにとるべき第一の道は、日韓会談再開することにあります。しかるに韓国政府は、この会談再開前提として、在韓日本人財産請求権の放棄とか、あるいはいわゆる久保田発言の撤回などを要求しておるようでありますが、これは政府に対して正式に申し入れたものであるか、それとも、単なる先方の放送にすぎないのか、この点をまず明らかにしてほしいものであります。御承知のごとく、従来かかる問題は、会談内容とせられたのであります。会談内容とすべきものを会談再開の条件とするように要求するということには、何かの事情はあると思いますが、政府はこれに対していかなるお考えを持っておられるのであるか、あるいは韓国側に対してどのような回答をしておられるかをお伺いしたいと存ずるのであります。これが質疑の第二点であります。  次に伺いたいのは、会談主眼をまず日韓両国関係正常化をはかる基本的なものとして、基本条約締結することに置かるる御意思があるかどうかであります。御承知のごとく、従来の日韓関係は、財産請求権とか、久保田発言とか、李承晩ラインとか、釜山大村における両国民の抑留問題などの、具体的な個々の問題の紛争のために多くの時間を費しておりますが、これらの諸問題は、両国国交が開かれてその上で十分の討議を重ねる方が、よりよき解決をもたらすものと思われる節もあるのであります。  そもそも一衣帯水の近きにある日韓両国が、十年の久しきにわたり、今なお正式の外交関係を持たぬということは、世にもまれなる変態であり、両国の誤解もしくは不安もこのような異常な態勢から派生するものと言わなくてはなりません。承わるところによりますれば、この基本条約内容については、すでにさきに開かれました日韓会談において十二分に検討され、両国間に意見調整が行われておるので、ほとんど問題がないようであります。果してしからば、何ゆえにこの条約締結を促進されないのでありましょうか。繰り返して申しますが、今日の日韓両国関係は、国際常識上まことに異例のことに属するものと申さなければなりません。李ラインの問題のことはあとで申し上げますが、在日朝鮮人取扱いにしても、在外公館設置のことにしても、貿易にしても、すべてこれ変態的な応急措置と言わなくてはなりません。国際常識軌道をはずれております。従って、基本条約締結によりますもって両国関係軌道に乗せ、しかる後にもろもろの懸案解決をはかるということが、すなわち適正なる順序であると信じますが、総理大臣もしくは外務大臣等の御所見を伺いたいのであります。  しかし、もしも韓国側にしてこれに応ぜず、個々懸案一つ一つ解決することを主張するなら、政府順序としてどの問題から御取り上げになるのでありますか。私どもといたしましては、差し迫る当面の緊急の問題、すなわちこの寒空に釜山の鉄柵の中に打ちふるえているわが六百九十一名の同胞を、一日も一刻も早くこの祖国に帰させ、及び盛漁期を前にして、多くの漁業関係に深刻なる不安と多大の損害を与えている李ライン問題を解決することを喫緊のことと考えますが、これに関連する交渉が現在どの程度に進捗しておりますか。もしも李ラインの本質に触れて討議をしようとしておられるものとすれば、その解決は容易ではないと思います。韓国政府従来の態度から推せば、いかに当方が言葉を尽して国際法上の純理を説いても、当方の申し出をいれさせることは、きわめて困難であることは、当局が最もよく承知のはずであります。これが論争に時日を費すことは、いたずらに漁期を失うばかりでなく、魚をして漁夫の利を占めさせるという皮肉の結果を招来させることでありましょう。従って、さしあたって急がなくてはならないものは、出漁操業の安全をはかるにあると信じますが、政府、特に重光外務大臣の御所見はいかがでございますか。船田防衛庁長官及び河野農林大臣の御所見もあわせて伺い得るならば仕合せであります。  特にこの際、不祥事の発生を未然に防止する必要上、明確にしていただきたいことは、李ラインに入るものは、出漁する漁船はもとより、監視船巡視船といえどもこれを砲撃し、必要とあらば撃沈する、という昨年十一月十七日の韓国連合参謀本部声明が、その後いかに取り扱われたかということであります。わが外務当局在日韓国代表部を通じて、この声明が果して韓国政府の確定したる意思なりやいなやを御質問になっておられますが、これに対する回答は参っていたのでありましょうか。旧臘十二月八日、重光外相韓国側から、日本側護衛つき李ラインを突破するというのでなく、普通の形でやるのであれば、韓国としてはこれを撃沈するなどの対策を考えているわけではないという意思表示を受け取ったと申されておりますが、これを先の質問に対する正式回答と見ておられるのでありますか。またかかる意思表示をもって、韓国側李ラインに対する従来の態度を緩和したものと解されておるかどうか。緩和したと解されるなら、その理由いかんをお伺いしたいと思うのであります。われわれとしましては、韓国側が従来の態度を緩和したと見るべき形跡が遺憾ながら見受けられないのであります。旧臘十二月七日、韓国沿岸警備隊所属武装船艇二十五隻を釜山に集結せしめ、李ラインに入るものは漁船にせよ、巡視船にせよ、これに発砲撃沈するよう指令しているとの報告があるのであります。なお同十日には、韓国軍スポークスマンは、韓国連合参謀本部李亨根議長が、同夜、さきに発表した捕獲、発砲、撃沈するという声明を再確認し、あくまで強硬な態度をもって臨むことを強調し、日本側の非難を無視すると言明したと発表いたしておるのであります。  私どもはまず人権を尊重いたします。過去において、すでに幾人もの死者をさえ出している始末である。たとえ韓国政府がどのような意思表示をいたしましても、その軍部や出先警察当局がこのような態度でありましては、勢いのおもむくところ、いかなる事態を発生せしめるかもわかりません。願わくばこれが一片の杞憂であってほしいものであります。政府当局は、韓国軍首脳のかかる言動をいかに解されるのでありますか、御決意のほどを伺いたいと存ずるのであります。  次にお尋ねしたいのは、日韓両国経済交流のことであります。韓国政府は、昨年八月、みずから対日経済断交声明いたしましたが、国内においても猛烈な反対を受けるや、十月中旬、これが経過的便法を発表し、逐次貿易再開の通路を広げ、今年に入るや、さらにこれを拡大するがごとき声明を発表いたしました。しかるに三月一日からは、日本品輸入のワクを縮め、輸入禁止の品目を増加いたしております。日本品輸入を阻止することは、結局においては韓国民に少からぬ不利不便をこうむらしめるものでありますが、それにもかかわらず、韓国政府があえてかかる措置をとります理由は一体どこにあるのでありましょうか。御承知のごとく、韓国二千万国民は、今インフレに悩み、日本から安い消費物資が大量に輸入されることを切望しているのであります。この要望を満たすよう努力することが、すなわち日韓両国親善一つの方法だと思います。韓国輸出業者のうちにも、日本への輸出貿易が円滑に行われることを希望している者が少くないと聞いておりますが、貸し越しとなっている帳じりの処理などは別問題といたしまして、この際日韓両国民の利益のために、貿易について日本側がいかなる措置をとっているかをお伺いしたいのであります。日韓貿易が円滑に行われるならば、米国の対韓援助資金による日本品買付の問題も、ある程度打開されるのではないかと考えられます。米国は、一九五四年度も対韓援助資金のうち二五%は日本品買付に振り向けるように勧告いたしましたが、今年度の対韓援助資金も七億ドルに近いようであります。もしもこの二〇%なりとも日本品買付に振り向けられるならば、少くとも昨年度における中共への輸出二千九百万ドルの五倍に近い額に上るわけであります。不幸、韓国政府がこれを阻止するために、かかる取引が行われず、その結果韓国民の多数がインフレに悩んでいることは、まことに遺憾にたえない次第であります。これはもとより日本の責に帰すべき問題ではありませんが、日韓親善関係増進という高い見地から、日本としては韓国政府に対し、この点についても何らかの措置を講ずべきであると信じますが、政府の御所見を承わりたいものであります。  以上、主として日韓両国にわたる諸問題についてお尋ねいたしましたが、このほか日本に現在する朝鮮人に関する諸問題、すなわち北鮮系もしくは共産系と見られるもの、韓国系、すなわち反共系と見られるもの、その他南北鮮平和統一の運動を行うものなどに関しても、当局にただしたいことが少くないのでありますが、しかしそれは他日に譲ることにいたしますが、何分にも登録されている人数でも六十万を超えるこれら朝鮮人の処遇及びその動向は、思想上、経済上種々なる問題を宿しております。またこれら在日朝鮮人に対しまして、日本政府が支払っておる生活保護費失業対策費中小学校教育費収容所費救らい費など、三十数億円の諸経費が果してどのように使われているかも検討しなければなりません。しかしこれらの問題は日本の国内問題であると同時に、日韓両国にわたる国際問題でもあります。二面の性格を帯びておるのであります。従ってこの際政府は、外務、厚生、法務、農林、通産もしくは防衛庁の各長官らをもって組織する総合機構をお作りになることが適当ではないかと思います。すなわちこの特別機構によって朝鮮関係の一切の問題を総合的に調査研究し、かつ総合的な企画立案を行う必要があると信じますが、政府の御所見はいかがでありまするか。  以上の質疑に対し、関係大臣から復蔵のない御見解を承わることができまするならば、日韓関係の今後のために稗益するところが少くないと信じます。これをもって私の質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣重光葵登壇
  9. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  御質問趣旨は、善隣友好関係にあるべき日韓両国関係をすみやかに正常化したいという熱意にあふれた御質問のようでございました。その御趣旨につきましては、むろん全然政府としても同感でございます。今日、日韓関係がこのような状態におるのは、まことに国際的に異例であると言われましたが、その通りであります。この異例をなくするように全力をそそがなければなりません。すなわち国交調整の問題が根本問題でございます。日韓国交調整のない間は、日韓関係において非常に困ったことであるのみならず、これは東亜全局、ひいては世界の平和に有害であるということは言うまでもないことでございます。そうでありますから、この日韓関係調整をいたしたいという方針は、あくまで最善努力を尽さなければならぬのでございます。これにはお話通りに、多くの解決をすべき問題がむしろ山積いたしておるといっても差しつかえないのでございます。お話通りに、朝鮮人取扱いの問題、貿易の問題その他漁業の問題、漁夫抑留の問題、あるいは李ラインの問題、砲撃問題等、いろいろな問題がございます。これをすべて根本的に解決するためには、日韓国交調整のための交渉を早く再会いたさなければなりません。その再開をするためにいろいろ努力を続けておるわけでございます。その間にも韓国側で非常な強硬な声明等がございまして、いまだに国交再開交渉を始める空気になっておらないことを非常に遺憾といたします。しかし、これはでき得るだけすみやかに交渉再開のことに努力をしなければなりませんが、さてその各個の問題についても、同時にこれまた個々の問題について解決をはかるということが必要であると感じます。その問題についても、特に抑留漁夫の釈放問題が重要喫緊事でございます。これが今日いまだに解決をしていないということは、私の最も痛心するところでございます。そこでこの問題は、御承知通り大村収容所の問題にも関連してきていることは申し上げた通りでございますから、これらの問題について、いろいろ努力をし、話し合いをいたしておりますけれども、まだ今日ここで確信をもって、解決ができると申し上げることのできないことをほんとうに遺憾に思います。  それから砲撃問題についてお尋ねでございました。その砲撃問題は、護衛付などで入らなければ、砲撃は考えていないのだ、しないのだという、この意思表示韓国責任者の方面からありましたので、私はこれは、そういう考え方韓国側の正式の考え方だと、こう考えまして、こういう問題はそれとして全局の問題、空気をよくして、そうして全局交渉再開にいくようにせいぜい努力をし、そのためには、できるものから解決をいたしまして、空気改善するということも考えなければ、ならぬ、こういうふうに考えまして、措置をいたしておるわけであります。  これで大体、全体的にお答えを申したと考えますので、以上をもって私のお答えを終ります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎登壇
  10. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 遠藤君の御質問お答えをいたします。  二十八年十月、日韓会談の決裂以来、政府は公正な第三者を加えまして、妥当な解決をはからんとする見地から、機会あるごとに第三国側に対しまして、日韓間の見解調整についてその好意的あっせんを依頼して参ったのであります。今後とも右の方針でやっていきたいと思うのであります。しかしながらこの間の関係お話をするということは非常に困るから、この関係の間の詳しい話ができないから自分答弁すると言って、外務大臣が出た次第でありますので、どうか御了解を願いたいと思います。  私に対して特にお話がありましたから、基本条約締結についてだけ、自分考え方を申し上げます。日韓会談に臨みまして、基本条約だけは、どうしてもこれ孝締結いたしまして、両国間の国交を開き、外交使節を交換することによって、友好、和親の関係を樹立する方針を持して参ったのでありまするが、先方は、諸懸案を一括して討議をして同時に解決すべしとの主張を曲げませんで、右に応じてこなかったために、今日に至りましても、両国基本関係調整されない次第でございます。  その他の事柄については、外務大臣答弁をもって御了承願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣船田中登壇拍手
  11. 船田中

    国務大臣船田中君) 李承晩ライン付近出漁いたしました多数のわが漁民が抑留され、また船が拿捕されるというような事件の起っておりますことは、まことに遺憾千万でございます。この出漁保護につきましては、第一線に海上保安庁が当っておるのでございます。自衛隊法によりますれば、海上保安庁の力の及ばないという際におきましては、もちろん自衛艦隊の出動するということもできるのでございますが、日韓関係につきましては、ただいま総理大臣及び外務大臣から御答弁がありましたように、何といたしましても、これは外交交渉によって適当なる調整をはかるということが主眼でございまして、今日の場合、自衛隊がこれに出動するというようなことは、政策としてまことによろしくないと考えまして、この問題につきましては、切にこの外交交渉によって円満なる妥結に至ることを念願いたしておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  李承晩ライン付近出漁いたしまする漁船につきましては、常時二隻の監視船をもってこれが監視をいたしておるのでございますが、御承知通り、ままこれが不幸な事態に立ち至りますることは、はなはだ遺憾なことと考えております。農林省といたしましては、拿捕事件が起りますれば、やむを得ずこれを、直ちにその状況外務省に報告いたしまして、外交交渉によってこれが解決を期待いたしておるのでございますが、なかなかその結果を得ることができませんで困っておるわけでございます。ただしそれが善後処置といたしましては、現在許される範囲内において保険もしくは見舞金等によって、これが留守家族救助等には最善を尽しておるつもりでございますが、遠藤さんの御趣旨のように、これが解決がなかなかできませんことは、はなはだ遺憾に考えておる次第でございます。(拍手)      —————・—————
  13. 平林剛

    平林剛君 私はこの際、公共企業体関係調停案等に関する緊急質問動議を提出いたします。
  14. 榊原亨

    榊原亨君 ただいまの平林君の動議に賛成いたします。
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 平林君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。平林剛君。   〔平林剛登壇拍手
  17. 平林剛

    平林剛君 私は日本社会党を代表して、総評の春季闘争の一環といわれる三公社、五現業紛争に対する調停案に関連をし、当面の紛争解決するため、政府に対する質疑を行いたいと思うものであります。  まず鳩山総理に対して、公共企業体等調停委員会がすでに提示した三公社郵政関係現業に対する調停案、また近く提示される残りの四現業調停案に対する政府態度についてお伺いをいたします。  御承知のように、国鉄の職員に対しては、二月二十九日、その給与は労働の質と量に対応して必ずしも適当なものと認めがたいので、公社経理状況改善を待ってすみやかに是正措置を講ずること、さしあたり暫定措置として、本年度内に一人当り平均五千円以上支給することを中心とする調停案が提示されました。同じく電電公社職員に対しては三月二日、現給与は必ずしも適正なものと認められないので、適当な時期に改善措置を講ずること、三月三日には、同じような調停案専売公社職員に対して行われたのであります。次いで、郵政関係調停案が三月十日、適正な時期にこれが改善措置を講ずることとありまして、いずれも現在の給与ベースに対する是正策を指示され、その前提として暫定措置、もしくは特別給与の支給を認めたのであります。  政府は、今回の春季闘争に対しては、終始強硬な態度をとり、賃金アップ要望を押えようとしたにもかかわらず、このような結論は、今次賃上げ要求正当性を認め、一つの良識を示したものと思うのであります。もちろん、これらの調停案には、ベースアップの時期と額とが明確でないことは紛争解決のため遺憾でありますが、それにもかかわらず、公共企業体の各組合は、紛争早期解決のため第三者機関を尊重するという態度を示し、政府当局の善処を求めて円満妥結を望んでおります。しかるに、政府の今日までの態度は、調停案が全部出そろうまで静観をしているとか、調停案を受諾するかどうかは、当事者で決定すべきものだと、まるで人ごとのような無責任さにあります。さきにあれほど今次闘争を政治闘争であるとか、革命のための闘争であるとか、悪質な宣伝を行い、労働運動に対する威嚇と政治干渉に熱中したのに比べますと、鳩山内閣は一体だれのための政府であるか疑わしめるのであります。私は、今次紛争解決のための調停案が提示された現実に基きまして、一日も早く政府態度を明らかにすることが、紛争早期解決する道であると思います。  公共企業体調停案処理は、当然労使間で自主的に処理すべきものではありますが、現実には、その財源の調達には、政府当局の積極的努力が必要でありまして、もし政府紛争早期解決を望むなら、すみやかに調停案尊重の方針を明らかにして、この線で公社側も紛争処理に当れと出るのが、今日の政府のとるべき態度であると思います。今日の段階で、関係者が慎重に検討中であると言うだけでは、私は済まないと思うのであります。総理大臣の誠意と指導性のある所信を明らかにしていただきたいと思います。  次に、国家公務員、地方公務員に対する給与の取り扱いについてお尋ねをいたします。御承知のように、これらの諸君も、政府に対して待遇改善を訴えまして、給与水準の引き上げを強く叫んでおります。国家公務員が、国民全般の奉仕者としてその職務に当るべきは当然でありますが、今日その生活実情をしさいに検討すれば、当然給与改訂の必要であることは、昨年の人事院勧告に明らかなところであります。しかるに、政府の一貫した態度は、生活苦悩の訴えに対して、ただ違法は断固取り締るとか、厳重に警告を発するとか、威圧ばかりを加えるだけであります。最近の鳩山内閣、特に二大政党の対立時代に入ってからの保守党政府に私の最も遺憾とするところは、あまりに権力主義的な傾向に陥り、政治にあたたかい思いやりが失われているということであります。私は、今日三公社現業や民間産業の多くに、ある程度の給与引き上げが実現しつつある現状において、国家公務員、地方公務員に対する給与方針に何らかの変更を加えるべきではないかと思うのであります。国家公務員法にも、情勢適応の原則によって、社会一般の情勢に適応するように、勤務条件に関する基礎を変更することができみことになっております。また人事院は、このような場合勧告を怠ってならないことになっておりますが、いまだ何らの音さたもない。人事院を統括する鳩山総理は、人事院に対しても何らかの措置要望すべきでないか、この点についてお答えを願いたいと思うのであります。  次に、大蔵大臣に対して調停案を実施する財源措置に関しお尋ねをいたします。今回の調停案をすなおに解釈した場合、調停案第一項の給与改善と第二項の暫定措置特別給与の支給、その他調停条項を満足させるには、相当の予算的措置が必要であると思います。倉石労働大臣がしばしば自慢をするように、調停案を忠実に履行するためには、具体的にはどうすべきか、調停案尊重の具体的措置をお示し願いたいと思うのであります。  私の見解によれば、調停案第二項の暫定措置特別給与は、取りあえず各企業体の予算を移流用して実施できたとしても、他の部分については結局補正予算を必要とすると思いますが、いかがですか。なお、従来までの調停案や仲裁裁定の取扱いをめぐって、財源措置に対する大蔵当局の狭義な解釈と、労働問題の機微を理解しない頑迷さが、しばしば紛争を拡大する事例が多かったので、今回の紛争処理に当っては、当事者の一人である大蔵大臣の積極的努力を期待したいと思いますが、その見解をお聞かせ願いたいと思います。  最後に、倉石労働大臣に、調停案の解釈と紛争解決のめどをどこに置くべきかについて、その見解をただしたいと思うのであります。三公社、五現業紛争を早期に解決するために提示された調停案内容は、私どもの解釈によると、実質的に給与の改訂を認めたものと思うのであります。それはすでに調停理由一つとして、現在の給与が労働の質と量から見て適当でないと認めていること、調停委員会が当事者の質問に対して、すみやかに是正措置を講ずるという意味は、ベース改訂はもちろん、その他の是正も含めたものであると説明をしていること、また、第二項の暫定措置特別給与の支給について、さしあたりの措置とうたっていることから見ても明らかなことであります。しかるに、政府の一部には、これを単なる一時金と解釈する向きがある模様でありますが、この解釈はまさしくサギをカラスと言いくるめるたぐいだと私は思うのであります。せっかくの調停案による紛争処理が、まちまちの解釈によって紛争を長引かせたり、拡大させたりすることを私は心配するものでありまして、政府が正当な解釈で対処することを要望するものであります。倉石労働大臣の御見解を承わりたい。  第二に、調停案の表現があいまいでありますだけに、紛争処理する当事者、特に政府関係方面が大乗的見地から円満解決努力をしなければ、解釈論争は果てしない相剋となり、社会的にも重大性を深めるに違いないと思うのでありますが、その意味で、もし私の解釈と労働大臣の解釈が違うとするならば、政府は、どの線で紛争解決のめどをつかもうとするのか。今日三公社、五現業紛争解決の焦点は、給与是正の時期と額について適切な示唆を政府が与えるということ、調停案実施の予算的措置を講ずるということ、この二点にあると思うのでありますが、政府はどこに解決点を求めようとするのか、倉石労働大臣の紛争解決に対する良識を示して欲しいのであります。  第三にお尋ねしたいのは、調停案の示唆する給与改訂と労働生産性の関係についてであります。三公社、五現業調停案を見ますと、いずれもその企業業績の向上、業務内容の充実をあげております。これは政府の指導する生産性向上運動の建前から見て、調停案政府方針に合致していると思うのでありますが、私は大臣に調停案の批判を求めているわけではありません。むしろこの面だけでも、給与改訂をする事由となると思うのでありますが、生産性向上運動を宣伝する労働大臣の立場でその見解をお聞きしたいのであります。  要するに、今日三公社、五現業紛争を円満に解決する方向に導くかどうかということは、私は政府態度いかんにかかっていると思います。今度の春季闘争全般を通じて、労働大臣を初め政府態度にはいたずらに社会不安を助長する宣伝と誇張が多く、政府措置には、不当な権力行使と労働運動に対する政治干渉が強かったことは、私の最も遺憾とするところであります。現に労働者の賃上げに対する切なる要望を、日本経済を混乱麻痺させるとか、政治的野心と革命闘争の野望を満たそうとする暴挙であるとか、終戦直後の二・一ゼネストを思わせるとか騒ぎ立てたその春闘が、労働組合の純然たる経済闘争であったことは、調停案に対する組合の受諾態度、あるいは民間において賃上げに満足した組合が次次と妥結している実情が、あの自民党の声明も、結局誇大な宣伝と挑発であったことを現実に示しているではありませんか。(拍手)私は労働大臣の言動の中に、労働大臣というより自民党の労働対策部長として、一方的な威嚇と挑戦的態度があったと指摘せざるを得ません。この際、本来の労働大臣として、予算的措置を伴う紛争処理には何ら自主性のない公共企業体の実情をつかみ、これは公共企業体のものであるからその当事者におまかせをする、建前はそうでありますが、実質的に政府にこの権限があるのでありますから、互いに責任を他に転嫁する現状を打開するために、誠意を示すことを要望するものであります。  以上、私は社会党を代表して、今次紛争を円満に解決するために政府態度を明らかにすることを求めました。私に対する答弁は、そのまま紛争解決のかぎとなるか、紛争拡大の火となるか、どちらかだと思うのであります。政府の慎重に、そしてこの緊急質問の意図するところを洞察し、責任と理解のある御答弁を期待し、私の質疑を終るものであります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  18. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 平林君の御質問お答えをいたします。  第一の御質問に対しましては、政府調停案につきましては、労使当事者が自主的に決定すべきものであるというように考えております。詳細につきましては、関係大臣から答弁をしてもらいます。  第二点について申し上げます。国家、地方公務員に対する給与問題について、政府としてどういうように善処するかという御質問でありました。国家公務員に適正な給与を保障することは、公務能率の増進のために、きわめて必要でありまして、政府としては、従来これがためにできる限りの努力をしてきている次第でございます。現に昨年の末におきましては、財政困難の折にもかからず、人事院の勧告を尊重いたしまして、期末手当を増額いたしまして、さらに三十一年度においても、勤労所得税の軽減を考慮しています。しかしながら、最近における消費者物価、民間賃金等の推移からみまして、一般的な給与改訂を行うことは必要でないと考えております。また、地方公務員についても、国家公務員の給与と均衡を失することがないように、適正な給与を保障いたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  19. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 三公社、五現業につきましては、ただいま三公社と郵政事業について調停案が提出されておりまするが、まだこれについても三公社等の当局者の決定がありませんし、なお非現業については調停案が今後に出ることになっておりますので、今この段階で私が具体的にいろいろと申し上げることは適当でないと思います。なお本件につきまして、補正予算を組むということは、今のところ考えておりません。   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  20. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 調停案に対する態度は、大蔵大臣から申し上げました通りでございまして、私どもの立場としては、同じような立場にある五現業を、まだ全部出ないうちに調停でとやこう言うことは、かえってよろしくないと思いまして、慎重に見ておるところであります。平林さんは専門家でいらっしゃいますからよく御存じのように、従来調停だけで妥結いたしておった例はあまりありませんで、大体公労協関係のものは仲裁にもっていかれておりますが、仲裁にもっていくことがいいとか悪いとかということを今論議されるのは、私はどうかと思うのでありまして、政府としては、そういうことを言わずに当該責任者態度を見ておる。五現業が出てから、五現業が直接政府関係ございますから、その上で、態度を決定いたしたい。  私に対する御質問の調停に対する態度紛争解決に対してどういう考えをもっておるかということでございますが、紛争が一日も早く解決されることを望んでおることは申すまでもございません。ただこれが、ただいま申し上げましたような状況でありますので、予算上資金上不可能なような支出がもし出されるということになれば、これは当然仲裁に参るでありましょう。一審裁判の途中で政府がそういうことをとやこう態度を表明することは、かえって事態紛争をしけからしめるものでございますから、私どもとしては慎重な態度をとっておる次第でございます。  給与改訂と生産性向上のことでございますが、ただいまのお話で、三公社が生産性向上運動を尊重して向上しておるという御説明でございました。私どもは、この点についても検討をいたしておりますが、三公社の生産力が向上いたしておるかどうかということについては、一がいにこれは言えないことでございます。しかし、企業体でございますから、もちろん生産性が向上いたした場合には、その利益の分配にあずかることは当然なことでございますけれども、こういう国家的事業の生産性向上は、やはり賃金値上げということだけでなく、一般国民にもその恩典に浴さしめるように努力すべきは当然だと存じます。  最後に、春季闘争政府態度についてお話がございました。私どもは遺憾ながら平林さんの御指摘になりましたように、政府は総評の春季闘争について弾圧いたしておることは一回もありません。私どもがただ注意をいたしておるのは、つまり鳩山内閣の労働政策というところで先ほど総理にもお尋ねがございましたけれども、私どもは単に従業員だけの利益とかあるいは経営者側の利益に偏重してものを考えることはできないのでありまして、政府の背後におる納税者である八千万国民国民経済の立場に立って、この闘争というものを考えておるのでございまして、この闘争について私どもがとって参りましたことは、決して弾圧ではないので、ことに公務員及び公労協に向っては、どうぞ正当なる労働運動をやってもらいたいと、従って違法なことをおやりになれば、これは国民にかわって政治とあずかっておる政府は取り締らなければならないのだから、正当な方法によって、法の命ずるところによってやってもらいたいということを御注意いたしておるのでありまして、政府態度は、かえってこれらの組合の人々に親切な態度だと、私どもは確信いたしておるわけであります。(拍手)      —————・—————
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、所得税法の一部を改正する法律案  日程第二、租税特別措置法等の一部を改正する法律案  日程第三、砂糖消費税法の一部を改正する法律案  日程第四、関税定率法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第五、所得税法の一部を改正する法律案衆議院提出)  日程第六、昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上、六案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長岡崎真一君。   〔岡崎真一君登壇拍手
  23. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案(閣法第八号)について申し上げます。  政府は、最近の諸情勢に即応すべき合理的な租税制度を確立し、その全面的改革を昭和三十二年度より実施する見地より、昨年八月臨時税制調査会を設置し、目下鋭意検討中でありまするが、昨年十二月発表の中間答申において、給与所得者の負担が他の所得者に比べ特に重いと認められるので、この不均衡の是正だけはあとう限り昭和三十一年度において行うことが望ましいという趣旨の答申があり、本案はこの答申を尊重し、本年度において給与所得者の税負担を軽減するため所要の改正措置を講じようとするものであります。  次に、本案の内容について申し上げますると、給与所得控除額を引き上げるため、控除率を現行の一割五分から二割にするとともに、最高限度額を現行の六万円から八万円に改めようとするものでありまするが、本年度は財源の関係上、実施時期が七月一日となっておりまするので、控除率は一割七分五厘、最高限度額は七万円といたしております。この軽減措置によりまして、給与所得者の税負担は相当程度軽減されることになり、たとえば、夫婦子供三人のいわゆる標準世帯の場合で申しますると、その課税最低限は、現在の年収二十三万一千二百五十円が、本年度二十三万八千七百十円、平年度で二十四万六千六百六十七円となり、平均月収二万円までは非課税となるわけであります。なお給与所得に対する源泉徴収については、本年七月一日以降、平年度計算による改正後の控除を用いて行われることになっておりまするが、年の途中で死亡したり、または出国したりする者の準確定申告について、納税者の便宜をはかるため、本法の施行は四月一日にいたしております。さらにまた、この減税措置による減収額約百五十億円は、別途提出の租税特別措置法等の一部を改正する法律案等に規定されておる交際費の損金不算入措置の範囲を拡大し、退職給与引当金の積立限度額の制限及び砂糖消費税率を引き上げる措置による増収分をもって充当することといたしております。  本案の審議の詳細につきましては、速記録によって御承知願いたいと存じます。  討論に入りましたところが、岡委員より、「今回の減税措置はおそきに失した感を受け、少くとも四月一日から実施すべきであり、依然不満な点が少くないから、三十二年度の本格的な税制改正の際には控除率を二五%に引き上げることが望ましい。また財源の捻出方法についても必ずしもふさわしい内容を持っていないから、今後十分検討し、給与所得者の納得する方向において善処されたい」との要望を付して賛成意見が述べられ、続いて土田委員より、「中堅所得階級の安定をはかる意味から、最高限度額を十万円にすべきであり、同時に減税の恩典が少い中小企業者に対しても特別の配慮が望ましい。また今回財源として交際費、退職給与引当金等が対象となっておるが、資本蓄積不要化の懸念、中小企業への悪影響等を考慮すれば必ずしも妥当なものとは思われない。さらにまた、退職引当金措置のごとく巨額な増収分が、法律によらず政令で処理されていることは適当でないから善処されたい」との要望を付して賛成意見が述べられました。最後に木村委員より、「現在の税制は資本蓄積に重点が置かれ過ぎており、公平の原則から見ると不均衡の面が多く、特に租税特別措置法により、大法人に有利な税制が行われていることは適当でなく、根本的な改正を要する。また、給与所得者に対する軽減措置は不十分であり、とりあえず控除率を二五%、最高限度を十万円に引き上げ、本年の四月一日から実施すべきである。さらに減税の恩典を受け得ない貧困階級にとっては、間接税の引き上げによって、かえって税負担が加重せられ、今回の減税措置は、家計の影響を考慮すれば、名目的な減税にすぎない」との反対意見が述べられ、かくて採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、租税特別措置法、有価証券取引税法及び登録税法について所要の改正を行おうとするものであります。  以下、おもなる改正点について申し上げますると、第一点は、租税特別措置法に規定してあります法人の交際費等について、損金不算入措置を拡大するとともに、航空機の燃料用揮発油に対する揮発油税及び地方道路税の免税措置が、本年三月末日をもって終了することとなっておりますので、航空機事業育成等の見地から、免税期間を今後三年間、すなわち昭和三十四年三月末日まで延長するものであります。交際費の損金不算入の規定は、御承知のごとく、法人の交際費等の経費を抑制するための目的で、昭和二十九年四月一日から、三年間を限って、資本金五百万円以上の法人等が各事業年度に支出した交際費等の金額が、基準年度の交際費等の支出額の七割に相当する金額と、取引金額に一定割合を乗じて算出した金額のうち、いずれか多い金額をこえた場合には、その超過額の二分の一相当額を損金に算入しないこととしてありますのを、今回その超過額全額について損金不算入の措置を講ずることといたしております。  第二点は、有価証券取引税についての改正でありまして、本年四月一日より公社債市場の再開が予定されておりまするに伴い、公社債等の譲渡にかかわる有価証券取引税の税率を引き下げるため、現在証券業者を譲渡者とする場合の課税率万分の三、その他の者を譲渡者とする場合の課税率万分の七を、それぞれ万分の一及び万分の三に引き下げております。  第三点は、登録税法についての改正を行おうとするものであります。すなわち昨年十一月ころより償還期限五年の長期信用銀行債券が発行されておりますることに伴いまして、この際、社債の払い込みについての規定のうち、戦前の興業債券、勧業債券等を整理するとともに、長期信用銀行債券で、償還期限が三年をこえるものについては、千分の二の軽減税率を適用することといたしております。  なお、交際費課税の改正による増収見込額は約十億円、航空機用揮発油の免税措置によって約九億五千万円、有価証券取引税の改正によって約二千万円、それぞれ減収が見込まれております。  本案の審議の詳細につきましては、速記録によって御承知願いたいと存じます。  討論に入りましたところ、岡委員より、「航空機用揮発油、有価証券取引税、登録税の改正措置については賛成であるが、交際費の損金不算入措置の基準額について、何らの改正が行われなかったことは不満であり、また本法に規定するものの取捨選択についても問題があり、抜本的にはその全廃が望ましい」との反対意見が述べられ、ついで木村委員より、「本案の内容を見ると、相互に関連のない事項が一緒に提出されており、提出の仕方が不親切で、あり、矛盾している。また交際費の改正措置についても、岡委員と同様な見解に立って徹底的な措置をとるべきである」との反対意見が述べられ、かくて採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における砂糖取引の実情にかんがみ、砂糖消費税の納期限を改めるほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。  以下、主なる改正点について簡単に申し上げます。  第一点は、納期を変更することでありまして、現行法においては、製造場から移出する際、砂糖消費税を徴収することとし、別に税相当額の担保を提供する場合には、三カ月以内徴収を猶予する規定を設けておりまするが、通達によって現在は二カ月間の徴収猶予が認められております。しかし砂糖取引の決済状況や酒税法等、ほかの間接税の納付制度に徴しましても、この際、徴収期間を短縮することが適当と思われますので、保税地域から引き取る場合を除き、製造場から移出する砂糖類に対する課税は、移出の月の翌月末日までに徴収するとともに、課税相当額の担保の提供があった場合には、一カ月以内徴収猶予することができることとしております。もっともこの徴収猶予の規定につきましては、当分の間適用しないこととしておりますから、実質的には半カ月間程度の短縮が行われることとなります。  第二点は、農家で製造される黒砂糖等については、小規模な製造者が多数あります関係上、納税者、徴収者双方とも煩雑な手数を要する実情であり、今回製造者が集荷機関である協同組合等に委託して製造場から移出する場合には、従前通り、受託者である協同組合等を納税義務者とすることによって、事務手続の簡素化をはかるものであります。  このほか、国の買上げるテンサイ糖についても、納税制度の合理化をはかる措置を講じております。  なお、納税期限を短縮する措置によりまして、昭和三十一年度の砂糖消費税は十三カ月分の収入が計上されることにより、約四十億円の増収が見込まれております。  本案の審議の詳細につきましては、速記録によって御承知を願いたいと存じます。  討論に入りましたところ、岡委員から、「砂糖関税の引き上げは、最終的には消費者に転嫁され、本案は、その法的根拠を確立したことになる、また砂糖専売制度の実施、もしくは政府の保有砂糖をもって、財源の確保、価格の安定等をはかるべきである」との反対意見が述べられ、ついで木村委員より、「租税対策は単に直接税より間接税への移行をもってしては、根本的な打開策とはならず、防衛関係費等を削減して歳出規模を縮小することが前提でなければならないこと、砂糖会社の不当利潤を吸い上げる構想をやめて、関税引き上げにおきかえたことは、不明朗なものを感ずること、給与所得者に対する減税も、他方砂糖の値上りを考える場合、見せかけの減税であり、政府の施策は首尾一貫していない」との反対意見が述べられ、かくて採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、関税収入の増加をはかるため、砂糖等の関税率を相当程度引き上げるほか、最近輸入価格が安定しつつある実情にかんがみ、カン詰等の糖みつを除いた砂糖等について、現行の従価税率を従量税率に改めようとするものであります。すなわち現在従価二割の原料糖を従量で換算いたしますると、一キログラム、七円六十二銭に相当するものでありますが、これを十四円に引き上げるとともに、精製糖については、現在の従価三割五分、換算して一キログラム当り十七円一銭のものを二十四円に、氷砂糖については、従価三割五分を換算して一キログラム当り二十五円九十銭のものを三十六円に、それぞれ引き上げ、また糖みつについても若干の引き上げを行なっております。  なお、この措置によりまして、昭和三十一年度の関税収入は、約六十二億円の増収が見込まれております。本案の審議の詳細につきましては、速記録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了して討論に入りましたところ、岡委員から、「砂糖メーカーは酒造業者に比較して金繰りは楽であるから、さらに納期を一カ月程度に短縮することが望ましい、また黒糖生産者についても何らかの救済措置を講ずべきである」との反対意見が述べられ、ついで木村委員より、「砂糖メーカーが徴収を猶予されている資金は一カ月に約四十億の巨額に達し、他の業種に比べて特典を与え過ぎており、今回納期が平均四十五日に短縮されても、依然として不当に徴収期間が長過ぎる」との反対意見が述べられ、かくて採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、所得税法の一部を改正する法律案(衆第十二号)について申し上げます。  本案は、衆議院大蔵委員長松原喜之次君の提出にかかるものであります。  現在、地方教職員及び警察職員等は、条例に基いた互助組合を組織して、家族療養費に対する補完的な共済制度を実施し、これら組合員の掛金に対しては、従前より所得税法の規定する社会保険料控除の適用を受けていたのでありますが、昭和二十九年に制定されました市町村職員共済組合法の附則において除外措置がとられ、この結果、昭和三十年度以降においては課税せらるることとなっていたものであります。租税原則の立場から申しますと、かような付加給付にまで適用させることは異論のあるところでありましょうが、今日の社会保障制度の実施状況にかんがみまして、多少とも社会保障制度の強化に資せしめる意味においても、この際、条例により、地方公共団体がその職員に実施する共済制度に基き職員が負担する費用については、保険給付を主目的とするものに限り、社会保険料控除の適用を受け得る措置を講じようとするものであります。なお、この措置による減収額は約六千万円が見込まれております。本案の審議の詳細につきましては、速記録によって御承知を願いたいと思います。  かくて採決の結果、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  昭和二十八年度から昭和三十年度までの間においては、国債の元金償還のための資金を一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れる場合、その繰り入れ額は、特別会計法の規定によらないで、財政法の規定によって前々年度の剰余金の二分の一相当額とすること、また日本国有鉄道及び日本電信電話公社が、その発足当時に政府に対して負うこととなった債務の償還元利金は、直接、国債整理基金特別会計に受け入れ、一般会計から償還資金の繰り入れがあったものとみなすという、二つの特例措置がとられてきたのであります。本案は、国債償還の方法を目下検討中であって、いまだ結論を得ていないためと、経理の簡素化をはかるために、この特例措置を引き続き三十一年度においても講じようとするものであります。委員会における審議の詳細は速記録によって御承知を願います。  質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより六案の採決をいたします。  まず所得税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案  砂糖消費税法の一部を改正する法律案  関税定率法の一部を改正する法律案  以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。      —————・—————
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案衆議院提出)全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和十三年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第七、船舶職員法等の一部を改正する法律案  日程第八、道路運送車両法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。運輸委員長左藤義詮君。    〔左藤義詮君登壇拍手
  34. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 ただいま上程になりました船舶職員法等の一部を改正する法律案及び道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  最初に船舶職員法等の一部を改正する法律について申し上げます。  船舶職員法は、昭和二十六年第十回国会において旧船舶職員法に全面的改正を加え、これにかわる新法として制定せられたものでありますが、本年三月二十二日までは、同法付則並びに第十六回国会において制定されました海上運送法の一部改正法の付則及び第十九回国会において制定されました遠洋かつお・まぐろ漁業の用に供する船舶についての船舶職員法の臨時特例に関する法律によりまして、船舶職員の資格定員表の特例措置、新しく設けられた丙種船長等の資格についての無試験免許、学校卒業者に対する学術試験免除の特例措置が講ぜられているのであります。この改正法案は、これらの特例措置の適用をさらに約一年半、すなわち昭和三十二年十月十四日まで延長いたしますとともに、同日までに有効期間の満了する免許については、その効力を一年延長しようとするものであります。  さて、政府はこの理由について次のように説明しております。すなわち、船舶の就航区域の拡大、船舶の大型化等の海運界及び漁業界における情勢の変化に伴い、政府は、船舶職員の資格定員表、免許更新制度等について検討中であり、いまだ結論を得ていないので、その間に現在実施中の特例措置に変更を来たすことは適当でないから、この特例措置を延長し、その間に所要の措置を講じたいということであります。  本法案につきましては熱心な質疑が行われたのであります。その詳細は会議録により御承知願いたいと存じますが、そのおもなるものにつきまして申し上げますと、片岡委員より、「十九国会における船舶職員法等の一部改正法案審議の際、本委員会は、今後特例措置を再び繰り返す必要のないよう、政府は船舶職員の充足について万全の施策を講ずべきであるという趣旨の決議を行なったが、それにもかかわらず、特例措置を延期しようとするのはいかなる必要によるか。なお、この決議に基き政府はいかなる措置をとったか。また特例措置による資格定員表の適用のために海難事故が発生した例ありや。」との質問がありまして、これに対し政府委員より、「講習会の開催、国家試験の施行場所と回数の増加、試験内容改善、内燃機関についての限定免許を甲種一等機関士まで認めたこと等により、船舶職員の充足に努力したが、それにもかかわらず、特に、かつお・まぐろ漁船の著しい発展に追いつけず、また水産学校には、経費の負担が大きいことや適当な教諭の確保難のため、機関科の設置されてないものが多い等の事情により、特に機関部船舶職員に不足を生じている。また特例措置による資格定員表の適用のために海難事故の発生が多いとは思わない」旨の答弁がありました。さらに片岡委員よりの、「船舶の大型化、就航区域の拡大、船舶運航技術の高度化等に伴い、より高度の資格の船員を必要とするという主張については異論はないので、新規に船員になる者に対しては、従前よりは高度の資格を要求してもよいと思うが、経験の豊富な従来の乗組船員に対しては、現在の資格の効力を認めるべきではないか」との質問に対し、政府委員は、「船舶は貴重な人命を頂っているので、可及的資格の高い船舶職員を乗り組ませて航行の安全を確保し、海難の防止をはかりたい。特に遠洋かつお・まぐろ漁船は、インド洋、豪州海域等の遠洋区域に出漁するので、乗組船員については高度の資格の免状を要するものとしたいが、現状よりすれば、その法定資格はやや高過ぎる感があるので、この改正案により特例措置を約一年半延長し、その間において、船舶の航行の安全にも支障を与えず、かつ現状に即するように改正したい」旨答弁いたしました。さらに片岡委員の「改正案作成に際して、従来の船員の乗船経験年数を考慮する用意ありや」との質問に対し、政府委員より、「ぜひ何らかの措置を講じて失業することのないようにいたしたい」との答弁がありました。  さて、質疑を終り、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決に入りましたところ、本法案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、御報告申し上げます。  最近におけるわが国の自動車の発達はきわめて顕著なものがあり、その数においてすでに百四十万両をこえ、これに加えて自動車工業の進歩発達は、ますますその型を大型化し、また構造装置も複雑化して、本法制定当時に比較して、量、質ともに若干変化を来たしており、従って自動車行政の第一線業務も、それに応じて増加複雑化して参っております。  しかるに、自動車の検査手数料等は、本法制定当時のまま現在に至り、実情に沿わない状態にありますので、これらを実情に適合した料金に改めようとするのがこの改正案の趣旨であります。  次にこの法律案改正点について申し上げます。  まず第一点は、現行法においては自動車一両につき一律に二百円の検査手数料を徴収しておりますが、改正案では、この検査手数料を、二輪小型自動車を除く小型自動車にあっては、現行通り二百円として、普通自動車及び特殊自動車について三百円に改めることとした点であります。  第二点は、新たに検査証の紛失と乱用防止の目的から、検査証再交付の手数料納付についての規定を設け、一件について五十円を徴収することとしたことであります。  第三点は、臨時運行許可手数料は、現行法において五十円でありますのを、今回百円に改めることとした点であります。  委員会の質疑におきましては、大倉委員、森田委員、一松委員及び岡田委員よりそれぞれ質疑が行われましたが、その質疑事項は車両検査、及び臨時運行許可の手数料の値上げの理由、及び業務量の過度の膨張に対する、現在の車両検査所の施設ならびに要員等に関する状況、及び業務の実態等に関するものでありました。  これに対して政府委員から、「最近は車両も大型化し、構造も複雑化し、これに伴い検査の手数もかかるので、政府の労務に対する報償という見地から、原価に近い検査手数料に値上げするのが財政上必要であると考えられること、なお、手数料の改正に伴う増収分は、要員の増加、車両検査所の施設拡充及び機械化をはかって、自動車検査の一そうの能率の向上と交通安全の確保に役立たしめたい」旨、臨時運行許可手数料については、「かねてから関係市町村より増加の要望もあり、これを原価に近くしたことと、また手数料の低廉であることによる、許可証の乱用と紛失を防止したいためである」旨の答弁がありました。なお平林委員より、昭和三十年度の収入額と三十一年度の収入見込額について質疑が行われ、政府委員から、「昭和三十年度の収入は約三億八千万円、昭和三十一年度は自動車の自然増加を見込み、平年度約五億円程度とみなされるが、昭和三十一年度は改正法律の実施期日の関係から、八千万円ないし一億円程度の増収の見込みである」旨の答弁がありました。  かくて質疑を終了し、ついで討論に入りましたところ、大倉委員より、「陸運事務所の業務の実態を見ると、車両検査等業務遂行に不十分な点が見受けられるから、将来完全なる検査の実施ができるようにせられたい」旨の要望を附し、この法案に賛成の意見の開陳がありました。  以上で討論を終局し、ただちに採決に入りましたところ、本法律案は、全会一致をもちまして、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第九、司法書士法の一部を改正する法律案  日程第十、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。   〔高田なほ子君登壇拍手
  39. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ただいま上程されました司法書士法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果について御報告いたします。  もともと、この司法書士法と申しますのは、一般国民の嘱託を受けて、裁判所、検察庁または法務局、いわゆる登記所でございます。これに提出する書類を作成する業務を司法書士に適正に行わしめんとする法律でございますが、まず、このたびの改正案の主要点について申し上げますと、その第一点は、かような司法書士の業務がより一そう適正かつ迅速に処理されるよう、資格をより厳選することにいたしました。すなわち現行法におきましては、裁判所事務官、検察事務官等の在職年数が三年以上の者またはこれと同等以上の教養及び学力を有する者は、法務局長等の認可によって司法書士となれることになっておりますのを、このたびの改正では、これらの在職年数が五年以上の者、及びこれと同等以上の学力等を有する者と、資格の要件を引き上げました上、その中から法務局長等が選考して認可をするものと改めたことでございます。  次に第二点は、司法書士の質的向上だけではなく、なお進んでその品位の保持と業務の改善をはかるため、今日では任意に設立できることになっております各司法書士会の組織を、いわゆる強制設立として、必ず各法務局または各地方法務局単位に設立しなければならないものと定めたのでございます。そして、この司法書士会に入会していない司法書士は、その業務を行うことができないことと改めるとともに、各司法書士会は、その会員について法令違反の非行等があった場合には、法務局長または地方法務局長にその旨を報告しなければならないものと新規に規定いたしているのでございます。  第三点は、かように司法書士会が強制的に設立されることに伴いまして、会の会計に関する事項等、新たにその会則に規定すべき必要な事項を追加すると共に、会員である司法書士には、この会則に規定しておりますところの、司法書士が受けるべき報酬に関する定めについてだけではなく、会則全般についても順守の義務があることを明記いたしました。  第四点は、かく司法書士会の自主性をはかりながらも、さらに全国的な視野に立って各司法書士会、ひいては各司法書士の指導育成に遺憾なからしめる方途といたしまして、今日やはり任意に設立できることになっております司法書士会連合会の組織をも強制設立に改め、各司法書士会は会則を定めて、全国を通じて一個の連合会を設立しなければならぬものと規定いたしたのでございます。そして法務大臣が各司法書士会の定めんとする会則に対し、認可、不認可の処分をするに当っては、従前とは異なり、その全般について、この連合会の意見を聞かねばならぬと改めたのでございます。  その他、この改正案では、改正法施行の円滑化をはかるため、その施行時に司法書士である者、または施行の際現に存する司法書士会連合会は、それぞれ改正法の規定による司法書士または司法書士会連合会とするとともに、今日の各司法書士会は、この改正法の施行前に、その会則について法務大臣の認可を受けたものに限って施行後も存続せしめる等、経過措置を定めているのでございます。  以上が本法律案改正の要点でございますが、当委員会といたしましては、この司法書士の業務は、一面において民、刑事にわたる国民の権利義務に関することが多大であるとともに、他面において裁判、検察、法務行政の公正円滑な運営にも関連のありますことにかんがみまして、小林委員を初め、各委員からも熱心かつ適切な質疑がなされたのでございますが、その詳細は、速記録によって御了承願いたいと存じます。  かくて討論に入りましたところ、小林委員は、この改正案における連合会及び各司法書士会の性格にかんがみ、法務当局としては今後これらの団体に対し、より適切な指導監督をなさるべきことを主たる条件として、さらにまた中山委員とともに、第二条の任用認可規定の適用に際しては、いたずらに形式にとらわれず、適材にこの職を与え得るようにすべきことを条件として、最後に羽仁委員は、法律用語の社会化とともに、従って将来における司法書士業務の大衆化をはかることを主たる条件として賛成する旨の発言がなされたのでございますが、討論を終え、採決をいたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  続いて土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  元来この土地家屋調査士法と申しますのは、一般国民の依頼を受けて、土地台帳または家屋台帳の登録について必要な土地家屋に関する調査、測量、または申告の手続を行う業務を土地家屋調査士をして適正に行わしめんとする法律でありますが、過去五年間におけるこの法律の施行の状況にかんがみ、さらには取引のひんぱん化と、建築様式等の変化に対処すべく、この改正案においては、現行法を次の諸点において改正せんとしているのでございます。  その概要を申し上げますと、まず現行法では、一定の学校を卒業し、測量に関し二年以上の実務の経験を有する者は土地家屋調査士となることができますのを、この改正案では、五年以上の実務の経験を有する者に改めるとともに、調査士の欠格事由を追加して規定いたしましたが、これは調査士の質的向上をはかり、業務を適正迅速に処理せしめんとするものでございます。  次に、土地家屋調査士会について、本改正案では、現行の任意設立制を改めて、各法務局または地方法務局ごとに必ず一個の土地家屋調査士会を設けねばならぬこととし、これに入会していない調査士は、その業務を行うことができないものと明定するとともに、各調査士会はその会員について法令違反の非行等があった場合に、法務局長、または地方法務局長にその旨を報告すべき旨の規定を新たに設けたのでありますが、これらの措置によって調査士をして相互に切瑳琢磨せしめるとともに、進んでその品位の保持と業務の改善、進歩を期待いたしているわけでございます。またかように調査士会を強制的に設立せしめることに伴いまして、このたびの改正案では、この調査士会の会則中に規定すべき必要事項として、会の会計に関する規定等をも追加するとともに、   〔議長退席、副議長着席〕 現行法とは異なって、この会則中に規定しております調査士が受けるべき報酬に関する定めについてだけではなく、会則全般についても法務大臣の認可を要するものと改め、調査士には報酬規定だけではなく、会則全般について順守の義務があることを明らかにいたしました。  さらにまた現行法では調査士会と同様、任意に設立できることになっております調査士会の連合会をも、本改正案では各調査士会は全国を通じて一個の土地家屋調査士会連合会を設立しなければならないことに改めて、法務大臣が各調査士会の定めんとする会則を認可するに当っては、この連合会の意見を聞いて処分すべきことを規定いたしました。かく改めることによりまして、調査士制度の改善進歩のため、さらには全国的視野に立って自主的かつ団体的に各調査士会およびその会員である調査士の指導育成の強化に遺憾なからしめるよう期しておるわけでございます。  その他この改正案では、この改正法の施行時に、土地家屋調査士である者、または施行の際現に存する土地家屋調査士会連合会は、それぞれ改正法の規定による土地家屋調査士、または土地家屋調査士会連合会とするとともに、今日の各土地家屋調査士会は、この改正法の施行前、その会則についてこの法案の改正規定にのっとり、法務大臣の認可を受けたものに限って施行後も存続せしめる等の経過措置を定め、法律施行の円滑化をはかっておるのでございます。  以上が本法律案改正の要点でございますが、当委員会といたしましては、この土地家屋調査士の業務が不動産登記の基礎である土地台帳または家屋台帳の正確さの確保に重要な役割を持つものであり、ひいては国民大衆の不動産に関する権利関係に影響を及ぼすことにかんがみまして、小林委員を初め各委員からも熱心かつ適切な質疑がなされたのでございますが、その詳細は会議録によって御了承願いたいと存じます。  かくて討論に入りましたところ、小林委員は類似の業務を行う者がこの法案にならって強制加入、強制設立の会や連合会を組織して、特権的地位を築き、これに対する監督権が十分行われないということが起らないように、また門戸を開放し過ぎて、程度の低いものを作らぬように留意すべきことを条件として、羽仁委員は、当事者がみずからの手で法的処理ができるよう繁文縟礼を改めるべきことを条件として、中山委員は、改正案の趣旨は当初から実現されるべきであり、場当り的な改正は慎しむべきことを条件として、それぞれ賛成する旨の発言をされたのでございますが、討論を終えて採決いたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第でございます。  以上、御報告申上げます。(拍手
  40. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  41. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  42. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第十一、地方公務員法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十二、入場譲与税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  日程第十三、公職選挙法の一部を改正する法律案(第二十三回国会本院提出、第二十四回国会衆議院送付)  日程第十四、国会議員選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長松岡平市君。   〔松岡平市君登壇拍手
  44. 松岡平市

    ○松岡平市君 ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。  本法案は、最近における地方公務員制度運用の実績にかんがみ、その適正かつ合理化をはかるため、次の諸点に改正を加えようとするものであります。  すなわち改正要点の第一は、市町村の公平委員会を廃止して、その事務は都道府県の人事委員会が処理するものとすること。  第二は、地方公共団体は条例で停年を定めることができるものとし、停年制を定めるに当っては、職員の職の特殊性並びに退職年金及び退職一時金の制度との関連について適当な考慮を払わなければならないものとすること。なお、市町村立の義務教育学校の職員の停年制は、都道府県の条例で定めるものとすること。  第三は、地方公共団体は、当分の間条例で定めるところにより、臨時待命制度を実施することができるものとすること。  その他任用候補者名簿提出方法の簡素化及び採用試験の受験料の徴収に関し必要な規定を設けるとともに、退職年金、退職一時金及び退職手当の支給に関する異議の審査制度を整備すること等であります。  地方行政委員会におきましては、二月二十一日、太田自治庁長官から提案理由の説明を聞いた後、数回にわたり委員会を開き、また三月一日には、文教委員会と連合審査を行い、政府当局との間に質疑応答を重ねましたが、なかんずく、論議の最も多かったのは、停年制の問題であります。すなわちその二、三を御紹介いたしますと、「停年制をしくねらいはどこにあるか」という質問に対しては、「職員の新陳代謝と同時に、財政上の効果も二律的に考えられる」旨の答弁がありました。「政府は地方財政再建促進特別措置法にからんで赤字団体に停年制を強要するつもりはないか」との質問に対しては、「断じて強要する意思等はない」旨を答えられました。「政府側では停年年令は何才くらいを妥当と考えるか」との質問に対しては、太田自治庁長官から、「一がいには言えないが、一般のものについては、大体五十五才以上と考える」旨の答弁がありました。そのほか多くの問題点についても熱心に質疑応答が重ねられましたが、その詳細については速記録によってごらんを願いたいのであります。  三月十三日、討論に入り、加瀬委員は、「停年制は新陳代謝をねらっていると言うが、新陳代謝の必要が国家公務員の場合よりも、地方公務員についてより緊切であるという理論的根拠は見当らない、停年制には地方財政再建促進特別措置法にからんで人員整理が強行されるおそれがある」こと、その他幾多の理由をあげて、本法案に反対する旨を述べられ、小林委員は、「次の付帯決議を付して本法案に賛成する」旨を述べられました。小林委員提出の付帯決議案は、   停年制の実施に当っては左記事項につき政府は格別の考慮を払うべきである。   一、教員については、その特殊性にかんがみ、停年制の急激な影響を避けるためあらかじめ特別の考慮を加え、本制度の実施により教育を阻害することなきよう努めること。   二、条例の実施については相当の猶予期間を置くこと。   三、海外引揚者または長期にわたり兵役に服した者または他の者をもって代うべからざる知識技能を有する者等については、これが適用につき相当のしんしゃくを加えること。   四、停年者には過渡的に待命制度等を考慮すること。   五、単純労務に従事する者については停年年令につき特別のしんしゃくをすること。  右決議する。というのであります。  次に伊能委員は、「停年制の実施により、かえって停年前の者が一種の安心感に陥るような事態を招かないように、政府においては指導の上に十分注意をされたいということを要望して、本法案に賛成する」旨を述べられました。  かくて採決の結果、本法案は多数をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に小林委員の付帯決議案は、多数をもってこれを本委員会の決議とすることに決定いたしました。早川政府委員は、「右付帯決議に対し、その趣旨を尊重し、停年制の実施上遺憾なきを期したい」旨を述べられました。  以上、御報告いたします。  次に、入場譲与税法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  改正の要点は、第一は、入場譲与税の総額の改正であります。すなわち入場譲与税は、現行法では入場税収入の十分の九に相当する額とされているのを、今回地方財源を拡充する見地から入場税収入の全額に改めるものであります。この改正により、入場譲与税は昭和三十一年度において十六億円の増額が見込まれるのであります。  第二は、地方財源調整機能を強化するために、一部の都道府県の入場譲与税の額を減じて、これを他の都道府県に再譲与する点であります。すなわち入場譲与税は人口に按分して譲与されるのでありますが、地方交付税の算定上基準財政収入額が基準財政需要額をこえるいわゆる収入超過団体に対しては、その超過額の一定割合に相当する額だけ入場譲与税の額を減額し、その減額した額を他の都道府県にさらに人口に按分して再譲与するものであります。この調整措置により昭和三十一年度において東京都、大阪府及び神奈川県より減額して他の都道府県へ再譲与される総額は十七億九百万円の見込みであります。  地方行政委員会におきましては、二月二十一日、太田自治庁長官より提案理由の説明を聞いた後、政府当局との間に質疑応答を重ね、慎重審議を行なったのでありますが、その詳細については速記録によってごらんを願いたいのであります。  三月十三日、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案は、全会一致をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。  次に、公職選挙法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、第二十三回国会において本院より衆議院に提出し、同院においてこれを継続審査に付し、今回修正議決の上、本院に送付して参ったものであります。  衆議院の修正点の第一は、在職中、公職の候補者となることができるものとして、新たに内閣官房副長官を加えること。  第二は、原案において政党その他の政治団体の選挙における政治活動の規制中、いわゆる確認団体の所属候補者の数の算定については、公職の候補者は三以上の政党その他の政治団体の所属候補者として計算されることはできないとあるのを、二以上の政党その他政治団体の所属候補者として計算されることはできない。すなわち公職の候補者は二以上の確認団体にダブって所属することは認められないものとすること。  第三は、本法の施行期日、もと二月一日とあったのを三月十五日に改めることであります。  本案は、御承知通りさきの第二十二国会におきまして、小笠原地方行政委員長から委員会案として提案、衆議院において審議未了となったものを、前国会において私から再び委員会案として提案、前回同様委員会並びに本会議とも全会一致で可決をいただきましたところ、衆議院においてはこれが継続審議となり、本国会において、ただいま述べました修正をなされて送付されたものであります。修正の第一並びに第三は事務的なもので、別段の問題ともなりませんでしたが、第二の部分、すなわち確認団体の制限については大いに問題とされたのであります。そもそも第二十二国会に本案を提案いたしました際、各会派はそれぞれの主張を折衷調整、話し合い、妥結したもので、この案は審議未了となりましたが、前国会、私から提案したものは、この審議未了となりました案をそのまま踏襲したもので、これはすなわち各会派の話し合い案であり、これが衆議院において修正されたる点は、事前の話し合いの経緯に照らし、各会派ともこれを認むべきじゃないという強い主張がありました。  委員会は、修正点について小金衆議院議員から説明を聴取し、小金議員並びに政府に対し二、三質疑をなしたるほか、もっぱら、しばしば懇談を重ねて、各会派の調整をはかることに努めました。原案に戻して、すなわち本法案を参議院の原案のごとく修正して、衆議院がこれに対しいかなる態度に出るかを見届け、あくまで地方行政委員会の決定に関する面目を保持すべきものであるという、もっともな御主張とともに、委員長たる私に対して責任追及の強い御主張等もございましたが、委員会はついに円満なる調整を懇談裡に得ることを得ませんでした。  かくて三月十三日討論に入りまして、小笠原委員は社会党を代表して、「当初委員長提出にかかり、参議院各派協調の結晶たる本法案が衆議院送付案のごとき結果になったことは、院議尊重の立場より、また公党間の信義の問題として、はたまた政党政治の責任の上から遺憾にたえない、よって本法案には反対である」旨述べられました。伊能委員は自由民主党を代表して、「今や本法案の成立か不成立かの重大な段階に立ち至った、この際すみやかに本法の成立を期して、来たるべき参議院選挙に間に合わせなければならぬ。この意味において本法案に賛成する」旨述べられました。  かくて採決の結果、本法案は、多数をもって衆議院送付案の通り可決すべきCものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。  次に、国会議員選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本法案は、ただいま報告いたしました公職選挙法の一部改正に伴い、国会議員選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正せんとするものであります。  改正の第一点は、衆議院議員及び参議院地方選出議員の個人演説会告知用ポスターの制度が廃止されることに伴い、同ポスターの経費に関する規定を削除することであります。第二点は、候補者が使用する選挙運動用ポスターの枚数を、衆議院議員の候補者については現行二千枚を五千枚に、参議院地方選出議員の候補者については現行二千枚を八千枚に、参議院全国選出議員については現行二万枚を五万枚に、それぞれ増加されることに伴い、ポスターの経費の額を増額しようとするものであります。第三点は、参議院議員の選挙期日の公示が、現行三十日前とあるを二十五日前に行われるようになり、従って選挙運動の期間が短縮されることに伴い、都道府県及び市区町村の選挙管理委員会の選挙事務に要する経費を減額しようとするものであります。  地方行政委員会におきましては、本月九日、政府当局より提案理由の説明を聞いたのち、格別の質疑もなく、昨十三日、討論に入りましたところ、別段の発言もなく、採決の結果、本法案は多数をもって、衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  45. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 地方公務員法等の一部を改正する法律案に対し、加瀬完君、安井謙君から、公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、小笠原二三男君、伊能芳雄君から、討論の通告がございます。順次発言を許します。加瀬完君。    〔加瀬完君登壇拍手
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は日本社会党を代表いたし、ただいま議題となりました地方公務員法等の一部を改正する法律案に対して反対をいたします。以下、理由を申し上げます。  反対の第一点は、提案理由の根拠が薄弱な点であります。政府の説明によりますと、特に停年制については二つの前提をその提案の根拠といたしております。その一つは、停年制は新陳代謝と地方財政の合理化を目的としていること、その二つは、国家公務員に停年制を施行せず、地方公務員にのみ適用をいたしますのは、国家公務員には若年の者が非常に多く、新陳代謝の必要がないこと、この二つであります。今新陳代謝を問題にいたし、政府の資料によりまして、国家公務員と地方公務員との高年令者の構成比を比較いたしますと、国家公務員一般職の高年令者は四%であるのに対して、都道府県行政職は三・二%、義務教育職員は小学校〇・八%、中学校一・三%と、いずれも高年令者は、地方公務員の方が少いのであります。また四十才より四十九才までの占める人員と、五十才から五十四才までの占める人員の構成比の差をみますると、国家公務員の一二・五に対し、都道府県は一六・三、市は一三・三、小学校一五・七、中学校一五・九と、これもいずれも、その差は地方団体の方が国よりも大きいのであります。このことは、国より地方団体の方が若いものが多く、高齢者が少く、かえって新陳代者がよく行われていることを示すものであります。従って、国は新陳代者の必要は少く地方は新陳代謝を必要とするという理由は、成り立たないのであります。  さらに第二の政府の説明による目的といたします地方財政の合理化の点でありますが、停年該当者を何人と見て、これに伴う節減額をどれだけ見込むのか、こういう質問が何回も繰り返されたのでありますが、これに対する明確な答弁は、政府においては一回もありません。今、かりに一般公務員の五十五才を押え、これ以上を停年該当者として計算をいたしてみますと、停年者は府県、市、町村を合せて四万三千五百六十三人となります。このうち府県八割、市七割、町村九割を該当退職者とみなすと、三万四千人となります。停年退職者の平均給料総額は、平均勤続年数を二十五年と押えますと、府県が三十四万円、市が三十一万円、町村が二十万円でありますので、節減額は、退職者全部を未補充の場合には八十八億円、入れかえ補充の場合には五十一億円となります。これに対しまして、退職手当、恩給費等の支払額は百五十七億円、もしも退職手当を慣例通りに扱いまするならば、二百九十億円となりまして、さしあたりの差引計算は六十九億円ないし二百三十九億円の地方支出の増となるのであります。もちろんこれらの指数は、退職者の幅によりまして増減はありますけれども、退職者については、一人平均、府県職員が三十七万円、市三十四万円、町村二十六万円程度の持ち出し分が地方団体に生ずることは間違いがございません。これらに類するところの計算あるいは財政の措置というものは、政府におきましては少しも考慮されておらないのであります。困難なる問題の解決は、一切をあげて地方の条例に転嫁されております。このようでありましては、財政の合理化といいましても、それは何ら具体性を持たない空中楼閣にしかすぎないと断ぜざるを得ないのであります。  反対の第二点は、停年制並びに待命制の運用による弊害であります。地方財政に対する最近の政府態度は、地方財政再建法におきましても、三十一年度地方財政計画におきましても、地方財政の再建を最大の目的といたしまして、そのためには経費の節約、特に給与費の合理化の計画を第一の条件に置いておりますことは、周知の通りでございます。しかも再建法施行についての自治庁の通達によりますと、再建団体の長に対し、予算、職員の任免、給与については、他物委員会等の権限に属することをも協議を受ける権限を与えられております。また三十一年度地方財政計画によりますと、機構の簡素化、停年制の実施、地方再建整備の促進、給与費の合理化等が、強く策定計画の前提となっておるのであります。特に給与費につきましては、給与実態調査の結果に対し、是正本俸と標準職員数を設定をし、両者の差額について計画的な合理化を予定すると記されておるのであります。従いまして、この差額は、高給者の整理による平均給の引き下げか、定員の削減による給与費総額の縮小か、いずれかの道を選ばなければならないことになります。なお、去る十二日上程をされました地方教育行政の組織及び運営に関する法律案によりますと、予算人員、給与額等の決定権は知事に移るわけでありますので、従いまして、再建法といわゆる教育委員会の改正法と財政計画の三者の目的がからみ合いまして、特に再建団体にありましては、好むと好まざるとにかかわらず、給与費の縮減が当然の義務とさせられるわけであります。この政府の人員縮減方式が停年制を利用し、あるいはまた改正法第二条三項の「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員となった職員については」「職員にその意に反して臨時待命を」命ずることができる、こういう待命制度をも数多く適用するのであろうことは、当然の成り行きであります。しかも、これらによりまして縮減される人員は、地方の任意の事情をこえまして、政府の財政目的のための指示が強く作用をいたしまするゆえに、はるかに多数の整理を予期せざるを得ないのであります。  一方、こうしましてほうり出されましたる退職者にとりましては、今後の生活をどうして維持していくかの新しい問題が生ずるのでございます。政府の先般発表をいたしました経済自立五カ年計画を見ますると、「わが国における雇用問題の困難性は、生産年令人口の急激な増大に基因している、昭和二十九年度から三十五年度に至る期間におきましても、総人口の増大が五・五%に対し、生産年令人口は一二%とそれをはるかに上回っておる、また現在におきましても不完全就業者が多数存在しておりますることをあわせ考えますと、雇用問題は非常に重要な問題である、しかし予定をいたしました経済規模の拡大によりましても、この計画期間中には、雇用問題は十分に解決をすることができないので、これに対しましては、やはり公共事業、失業対策、社会保障等の対策を講ずる必要がある」と、こういうふうに述べられまして、社会保障の対策がありませんでは、雇用問題の小康をすらも得られないことを指摘いたしておるのであります。さらに、同計画は、「輸出産業、基幹産業等については生産性向上の要請が強いので、生産の増大にかかわらず雇用の伸びは期待することができない」とも述べておられます。そうであるならば、失業人口は、第二次産業によりましては吸収することができません。また、第一次産業への吸収も限度であるとなりますと、あとは第三次産業への吸収を計画するほかないのでございます。その第三次産業から就労率が低下をし、しかも低所得者の激増をしておりまする経済不安定の中に、保障対策もなく、再雇用への見通しも立たず、今や大量の退職者を出そうとするならば、この退職者たちの生活不安、さらにまた不就労者の増大による社会不安、この解決はどこに求むるのでございましょうか。明らかに国全体の総合計画からいきましても、大きい矛盾を蔵しておるのであります。  次に、この極度の節減方式が最大の対象といたすものは、給与費の大部分を占める義務学校職員に向けられることは明らかでございます。三十一年度の地方財政計画におきましても、実員実額と称しながら、七千二百十八学級の学級増にもかかわらず、三十年度計画よりは、小学校において三千八百七十七人、中学校において五千八百十四人の減員を示しております。この目下の地方団体の宿命ともいうべき人員整理の方針が停年制と待命制とを利用いたしまして、大蔵省の意図する不当なる定員定額主義に移行をするといたしますならば、国民の最低の権利でありまする義務教育を受ける権利をすら、今や放棄せざるを得ない状態でございます。  反対の第三点は、保護救済規定及び施行基準の不明確な点であります。停年制の他の一つの性格は、その停年まではその生活が保障されるという一面があることでございます。しかし、このたびの停年制には、停年制をしく基準もありません。また、一定年令までは生活を保障するという年令基準、または退職優遇策等の条件も打ち出されておりません。それどころか、今日各府県では、特に教職員に対しまして男女差を明瞭に打ち出し、女子におきましては四十五才、四十八才をもって、男子におきましても五十才にならないのに、多数の勧奨退職をひんぴんと行なっておるのであります。しかも政府は、これらを地方の特殊事情として許容をいたしております。このような地方事情をそのまま停年制あるいは待命制に許すといたしますならば、停年年令は若い方に引き上げられ、待命者の幅は任意に拡大をされること、また明らかであります。(拍手改正法二十八条八項のごとく、退職者に対しては、退職年金制度との関連を考慮するというのでありまするならば、当然具体的な救済規定があるべきにもかかわらず、全然これらは設けられておりません。まだ、不当退職を理由に不満を訴えんといたしましても、公平委員会はすでに廃止をされておるのであります。国家、地方両公務員法を貫く平等取扱いの原則も、情勢適応の原則も、今や地方公務員に対しては、保護をしてくれる根拠とはなりません。前述の経済事情をさらに考慮いたしまするときには、ひいては憲法規定の国民の基本的人権をさえ、地方公務員は侵されんとする状態にあると言っても過言ではないのでございます。まことにすさまじき悪法と言わざるを得ません。少くとも退職者の基本的人権と、今までの公務員として当然受けるべき権利の保護は、明瞭に示さるべきであります。これらの点がはなはだ不備であります。戦争から終戦にかけまして、一身を犠牲に地方住民の福祉に貢献をいたしました地方公務員の諸君が、「狡兎死して走狗にらる」という言葉がございますが、その用途を無用とされまして、今や首切らるることを思いまするときに、まことに、にらるる走狗の悲しみを禁じ得ないのでございます。強くこの点を政府に反省を促しまして、私の反対討論を終ります。(拍手)     —————————————
  47. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 安井謙君。   〔安井謙君登壇拍手
  48. 安井謙

    ○安井謙君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案の地方公務員法の一部を改正する法律案及び同付帯決議に対し、賛成の意を表するものであります。  新憲法下に発足した新地方自治制度というものは、地方行政の民主化について相当大きな役割を果したことは事実であります。しかしながら、一方本制度の運用に当って制定された種々の法律制度の中には、過去数カ年の実績に徴してみましても、あまりにも実情に適せざるもの、あるいは形式主義に流れておるものも少しとしないのであります。本法は今日地方公務員法に見られるこれらの不合理を是正し、実情に適合した制度に改めようとするものでありまして、いわゆる占領政策行き過ぎ是正の一環とも言えます。あわせて窮乏化せる地方財政の改善の一助にもしようというものであります。  本法案のおもな内容は、地方団体の公平委員会を廃止すること及び地方公務員並びにこれに準ずる者に対し、実情に応じた停年あるいは待命の制度を実施する場合の根拠法を与えようとするものであります。  まず公平委員会の廃止の問題であります。その成立の由来から申しましても、いわゆる翻訳立法とも言えるのでありまして、過去の運営実績から申しましても、まことに実効の乏しい形式上の理想のみを追った制度と言わざるを得ないのであります。その証拠には、公平委員会は全国数千をもって数えられるのでありますが、この委員会の主要な任務である不利益処分の審査請求の取扱い件数等を例にとって見ましても、昭和二十六年度十三件、二十七年度五十四件、二十八年度二十件、二十九年はわずかに十四件といった僅少なものでありまして、その実績はまことに乏しく、むしろこの程度の事件処理は、従来別個に設定されております都道府県、あるいは大都市の人事委員会に一任いたした方が、より能率的であり、公平を期することができると思います。本制度の廃止に対しましては、市町村長会あるいは議会等も、おおむね賛意を表しております。政府の今回の措置はまことに当然、妥当なりと言えましょう。  次に、停年制と待命制度であります。今日の複雑な行政機構にあって、常に新風を吹き込み、事務の停滞を防ぐためには、停年制度を設定することは、まことに時宜を得た処置と思います。このことは今日民間の最も能率的な活動をいたしておる諸団体についても、ほとんどすべてが停年制を採用しておる実例に徴しても明らかであります。地方住民によって任命され、奉仕すべき義務のある地方公務員、教職員のみが、年令を超越して、いつまでも職場にとどまっておるということは、実際問題として黙許はできないことでもありましょう。しかしながら、本法の適用は、一面一定の年限に到達した公務員が必然的に職場を失うという、その人個人にとっては、まことに重大な事態を生ずるのであります。また、社会的にも失業問題を考慮しなければなりません。従って地方の実情を無視して、ただ法の定めるところによって、画一的、機械的に適用するということは、種々の弊害を予想されるわけでありまして、この点に関しては政府当局も十分に留意をいたし、この法律において停年制を実施しようとする地方団体は、それぞれ条例によってその措置をきめ得るという根拠を与えておるのであります。従って停年制そのものの実施は、地方議会の承認を待って、実情に応じて適用するという仕組みになっております。今日停年制の常識とされております年令層五十五才を例にとって見ましても、地方公務員の一般職については約六%、教職員につきましては二%弱でありまして、年間この程度の新陳代謝は、むしろ地方自治体の運営上には好ましい新風を与えるものであろうと考えます。まして、これらの人々は退職金、恩給も保障されております。また、この制度の採用と関連をいたしまして設定される予定の待命制度にも、いろいろこの運用の妙が発揮されるわけであります。しかしながら本委員会は、この停年制度を実施するに当りまして、あくまで慎重を期し、運営上行き過ぎ等により、公務員の身分に必要以上の不安を抱かしめあるいは行政、教育の機能に支障を来たすがごときことのないように、万全の措置を考慮しまして、本案採用上、十分考慮すべき点につきまして付帯決議を付したのであります。これまた賛意を表するゆえんであります。その他の部分につきましては、単に手続改正にすぎないのでありまして、論及することを見合せます。  以上をもって、私の賛成討論といたします。(拍手)     —————————————
  49. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これより公職選挙法の一部を改正する法律案の討論に入ります。小笠原二三男君。   〔小笠原二三男君登壇拍手
  50. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私は日本社会党を代表しまして、ただいま上程されました公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院送付案に反対いたします。  反対の理由としましては、その内容もさることながら、民主政治の基礎たる政党の信義の問題として、参議院の権威の問題として、審議権の確立という立場から反対せざるを得ないのであります。私個人の立場で申しますならば、不肖、地方行政委員長としてこの案を取り扱った経緯にかんがみて、こういった結果に立ち至ったことを、前委員長として、まことに院に対して申しわけがないとさえ思っておるのでございます。(拍手)  そもそも二十二国会に、時の自由党、民主党、緑風会三派の提案になった公職選挙法の一部改正法律案が出されたのでございまするが、社会党は公明選挙あるいは民主選挙の公正を期するという上からいえば、主権在民の今日、選挙民の選挙に関する自由を拡大しようという主張であります。ところがこの三派の出て来ました案は、選挙の自由を著しく制限することによって、規制することによって選挙の公正を期したいというのであります。まっこうからその意見は対立しておったものであります。従って当時委員長としまして、これが審議の取り扱いを考えます際に、あの国会において重要法案が山積しでおりました関係から、るるこれが取り扱いの協議をした結果、やはり明年に迫ると当時言われた参議院選挙の場合を規定したいという事務的な処理であるとするならば、その土俵、そのルールをきめるに当って、与野党の立場に立つということではなくて、選挙民である国民の了解し得る範囲で、お互いが話し合いの上で一つ法律案を策定しようではないかということの話し合いが前回の懇談会で認められまして、そうしてこの三派の提案になりました法案について、それを基礎として話し合いを進めたのであります。結果、幾多の議論がありましたが、集約されましたものは、事務的な改正の中にたった一つだけ入ってきております。第二百一条の政党並びに政治団体の確認に関する条項については、まっこうから各会派の間に意見の対立をみたのであります。先ほど委員長報告の中にもあったようでありまするが、現行法は確認団体に所属する候補者は幾つの団体に重複して登録せられてもいい、言論の自由が確保せらるるように選挙活動の自由が広範に広げられておるのであります。   〔副議長退席、議長着席〕  ところが、三派で提案になりましたものは、ただいま衆議院送付案で修正になって参りましたように、一つの政党あるいは一つの政治団体に所属した以上は、他の政党、政治団体の所属候補者となり得ないということで、著しく極端に、この政党並びに政治団体の選挙における政治活動を制限する規定だったのであります。そこでこれをいろいろ話し合いを進める過程において、両者の歩み寄りを願うということには、一つではいけない、あるいは四、五という多数でもいけない、従って二として、一人の候補者は一つの政党に所属するとともに、職能その他の団体として政治活動のでき得る確認を願う団体にも、これはまた一所属候補者となり得るという最低のところに幅を狭めて、これで全会一致の妥結案としようということに一致して決定になったのであります。ただその際に、この種の法律案は、これは参議院だけの意向によって決定せられたとしましても、衆議院においてこの話し合いの結果がくずれるというようなことになりますならば、この委員会の苦労も、また参議院において共同提案として委員長発議を本会議でなすということも、著しく参議院の権威を傷つけることである。従って緑風会のように参議院にだけ所属する政党でない自由党、民主党、社会党におかれましては、衆議院の決定は院の決定として自由ではあるけれども、それを構成している衆議院の政党と同一のこの三派の政党は、衆議院にもこの話をし、党議を一致して決定してもらわなければ、委員長としては委員長発議はできない、そこで各会派において善処をしてもらいたいということで、これが了承をせられて各会派においてお諮りを願ったのであります。  わが社会党におきましても、幾多の論議が基本線から行われまして、反対の議員も多数あった中に、再三の機関の話し合いを通じ、最終的には党議としてこれを決定し、そうして自由党並びに民主党もこれに同ずるということであればということで確認したのであります。それから自由党も民主党も、あるいは緑風会も、それぞれの手続を了して、一切この案件が衆議院をスムーズに通過するめどができたという御報告をいただきまして、私はこの本会議場におきまして委員長提案をいたしまして、小会派の一部の方を除いて、絶対多数をもって二十二国会で可決したのであります。そうして衆議院に参りましたら、会期末の混乱の中に、この案は不幸にして審議未了となったものでございます。第二十三国会において、委員長はただいまの松岡君にかわりましたが、各会派のこの意向というものは、そのまま尊重せられて異議なく、また委員長発議として参議院を通過したのであります。すなわち本院のこの本会議場に、委員長提案として二度議決せられ、松岡君の場合は、全会一致の議決を得ているのであります。  しかるところ、衆議院におきまして、ただいまのような送付案となって修正せられて参ったのであります。この修正の発議をなしたるものは、やはり自由民主党であります。私は先ほども申す通り衆議院において、いかような決定になろうとも、それに対して本院として異議を差しはさむ何らのあれもありません。両院がそれぞれ独立して審議する機関であることも、十分承知しております。しかし当時の自由党あるいは民主党が合体して自由民主党となったからといって、当時の自由党の党議、民主党の党議が、賛成、白であるものが、二つ合わさってそうして灰色になるとか黒になるとかということはあり得ないはずであります。(拍手)もしもそれがあるとするならば、今日小選挙区制のあの区割案に見られるごとく、その陰にひそむものは党利党略以外の何ものでもないのではないかとさえ私は疑うのであります。(拍手)全くこういう信義に欠けた行為が先例としてそのまま残って、今日では自民党の諸君に言わせますと、衆議院に送ったが継続審査になった以上は、衆議院が新たに発議したのと同じ性格を国会法において持つのであるから、衆議院が自由なる修正、発議をして参議院に送付することもまた適法であるというお話があったのでありますが、法律上、形式上は適法でございましょう。しかし私の申し上げるのは、そういうことで各政党間の公約、信義が、そのつどつど変改せらるるということで、どうして国会運営、どうして民主政治の基礎が成り立つか。(拍手)私は非常にこの点について憤激にたえないのであります。もしもかりに客観情勢が変ったということでもあるならば、それも一つ理由でございましょう。しかし地方選挙並びに前回の参議院選挙が行われた以後において、この種の弊害を認めるような選挙があったのでもございません。私はそういう意味で、そういうことが二度と再び先例となり、悪例となって、参議院各会派の運営が行われるということであるならば、何びとが国会役員たる委員長となって委員会を主宰しようとも、まことにこれは困った事態と申しますか、国民に信をつなぐ政党政治を健全になし得ないであろうということを憂うるのであります。(拍手)  従って第二に申し上げます参議院の権威にかけてということも、もうこれはおわかりのことだと存じます。少くとも共同提案として、委員長が二度もこの本会議で発議し、これに賛同を与えられた方々が、それぞれの党議が変改せられたからということで、また異なる態度をお示しになられるということであるならば、これはどうしても参議院議員として個々の、お一人お一人の審議権というものが、どこにいってしまうかということであります。(拍手)政党も大事である。その党議も大事である。しかしわれわれが国政を担当し、運営する基礎である、基盤であるこの参議院こそが、私は参議院議員として最も大事だと存ずるのであります。(拍手)そういう意味で緑風会におかれましては、この案を、原案を堅持せらるることについて、わが党並びに自民党に対しても、非常なるお骨折りを願ったということにつきましては、私は心から敬意を表します。(拍手)緑風会は、常に参議院にだけある会派としまして、是々非々の会派として参議院の権威を高めることのためには、断じて承服しない立場をとって今日まで参っておられるということは、幾多実証されておるのであります。ところがこれが結果として、その立場が堅持せらるるならば、首尾一貫するところでございましょう。ところが最後に当っては、やはり御発言はございませんでしたが、自民党の賛成理由にある通り、近々差し迫った参議院選挙に間に合せるがためには、この種の結果になってもやむを得ないということが立場となって御賛成になるというならば、日ごろの緑風会の態度はどこにいったのであるか。私は参議院の権威を保つ方法として道がないとは申しません。このたび二度も議決し、これを支持しておる参議院が、再びこの衆議院送付案を、これを支持しない、参議院の案に返すということもできるのであります。そうして衆議院に回付しました場合に、衆議院が三分の二の議決をもって衆議院意思通り決定することもできるでしょう。参議院のそういう強いその熱意、強いその態度というものに承服して、これをのむという方法もあるでございましょう。あるいはまた両院協議会を求めて、両院ともによろしく慎重審議の結果、よい結論を得たいという立場もございましょう。まだまだ方法は残されておる。あすに選挙があるわけではないのであります。従って参議院の意のあるところを院議として衆議院にお示しになられるという機会は、その道は、いまだ憲法並びに国会法によって開かれておるのであります。しかるに自分みずからが審議をし、支持してきたものを、自分みずからが今度は葬り去ろうとする、こういう態度が参議院の権威を高める道であるか。こういう先例がよい例として残るわけのものでは断じてないのであります。悪例であります。何びとが委員長になって委員長発議をしようが、これはそんなことにかかわりのないことであります。私は、従ってそういう意味で参議院の権威にかけて、この点については、まことに遺憾である、まだ権威を確立する道があるのに、なぜこういう早い道をたどって結論を得ようとせられるのか、私は自由民主党並びに緑風会の同僚諸君にお訴え申し上げたいのであります。しかもこの内容としますところは、先ほどの経過の説明の中で申し上げましたが、日本の民主政治を育てる基礎として非常に重要な問題をはらんでおるのであります。しかるならば、ますます私たちは慎重審議もし、幾たびも継続審査等をして得た結論が堅持せられないということであっては断じてならぬと存じます。  今、時間が参りましたので、これ以上のことは申し上げませんが、一つ残されておるのは、この本会議における一人一人の表決であります。参議院の権威を高め、公党の信義を貫き、そうかう清い一票を皆さん方がお持ちになっておられ、それのいかんによっては、いかようにでも御決定がなされるのでありまするから、皆さん方の良識をもって、私は賛否を明らかにせられることを要請したいと存じます。日本社会党の方から言って、今日の成立の経過から申しまして、国民の前に堂々として、この種の党利党略的な法律修正案には絶対反対であるということを表明いたしまして反対討論を終ります。(拍手)     —————————————
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 伊能芳雄君。   〔伊能芳雄君登壇拍手
  52. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 私は自由民主党を代表して、ただいま提案されました衆議院送付にかかる公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、賛成討論を行いたいと存じます。  本法案の内容は、委員長からも報告がありましたように、来たるべき参議院議員通常選挙に必要と思われる事柄を盛ったものであって、その経過はただいま小笠原君の反対討論中にも述べられたところでありまして、多少重複するきらいはありますが、討論の性質上繰り返さなければならないのでございます。すなわち昨年第二十二特別国会に際しまして、地方行政委員会において、私を含む数人の当時の自由党並びに民主党所属委員と緑風会所属委員は、各所属会派内多数の希望によりまして、共同して改正案を準備して提案する一歩手前にあったのでありますが、当時の委員長であった小笠原君は、この私どもの準備した法案に対し、民主主義の円満な運営という立場から、話し合いの上で、社会党をも含めて各会派共同提案に持ち込みたいという熱心な希望を述べられ、各会派間の調整努力されたのでありますが、私どももその熱意に動かされ、その努力に敬意を表して、かつは内容の性質上、来たるべき参議院議員通常選挙に適用されるのに十分な時間の余裕をもって、早期成立を期するの心から、これに妥協し、それぞれ所属会派に持ち帰り、累次にわたって会派内の意見の統一を図り、小異を捨てて大同につくの見地から、譲歩すべきものは譲歩して、各会派の最大公約数的な法案に仕上げたのでございます。これを各会派共同提案として取り扱うこととして、委員長名をもって提案、本会議におきましては多数をもって議決し、衆議院送付したのであります。こういう経緯でありましたから、この法案の性格は、やや焦点がぼけたことはいなめないのでありますが、妥協して議決した以上は、私どもといたしましても、この法案の早期成立を期し、私はもちろん、参議院の関係者は、党内衆議院側に対しましては、極力懇請了解工作にこれ努めて参ったのでございますが、ついに第二十二国会におきましては、当時の特別な事情もありまして、審議未了に終ったのございます。こえて第二十三臨時国会におきまして、地方行政委員会におきましては、先の事情もありますので、再び前回と同様な内容に、さらにその後必要を生じた多少の改正を加えた今回の法案を、各会派共同提案とすることとし、前回同様、委員長名をもって提出し、再び本会議におきましては、全会一致の議決をみて衆議院送付したのであります。  私といたしましても、ぜひ臨時国会においては成立させたいと、党内衆議院側に対しまして強く働きかけ、要望を続けて来たのでありますが、不幸にしてその際には成立をみず、継続審議とされ、辛うじて通常国会においては、二月十日を目途として議決すべき旨言質を得まして、その日を待っておった次第であります。今通常国会に入りましてから、一月末の休会明けを待って、衆議院におきましては、特別委員会において審議を重ね、私もまた同僚緑風会の小林武治君とともに、同委員会にしばしば出席して、また裏面におきましても、鋭意原案通過を期待し、かつ努力して参ったのでありますが、この努力もむなしく、三月一日、ついに一部修正議決の上、本院に送付されるのやむなきに至ったのでございます。  かかる経過を経てきた本法案の取扱いといたしましては、原案を固執して、修正案を否決し、両院協議会に持ち込むか、あるいは可決して成立を期するかの道は二つであります。前者を選ぶとき、今まで参議院の二回にわたる議決、また私どもの重なる努力にもかかわらず、修正されたことを思うときに、衆議院側の翻意はとうてい望むべくもなく、従って不成立となることはきわめて明瞭であります。すなわち私どもは、今や本法案を成立せしむるか、葬り去るか、二者択一の場面に当面しておるのであります。否決されますならば、参議院議員通常選挙を目ざしての改正へのこの私どもの今までの努力が水泡に帰することは忍ぶといたしましても、公職選挙法における、より公明を期しての改正は達せられず、この内容とするところのものは、やみからやみに葬り去られる運命にあるのであります。のみならず、衆議院修正案の問題点である政党並びに政治団体の規正は、先の参議院議決となった原案と全く反対方向に行くものではなく、程度の問題であって、白を黒としたものでなく、濃い灰色を黒とした程度のものであり、この程度のものであるならば、私どもは当初、目途とした参議院議員通常選挙に間に合せたいという当初からの素志に従って、選挙を目睫の間に控えた今日、この法案の早期成立を期して賛成するの立場に立たざるを得ない気持を十分御理解願えるものと存ずるのでございます。  これをもちまして私の賛成討論といたします。(拍手
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより四案の採決をいたします。  まず、地方公務員法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  54. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、公職選挙法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、入場譲与税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  58. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  59. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、国会議員選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  61. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十五、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  日程第十六、家畜取引法案内閣提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事戸叶武君。   〔戸叶武君登壇拍手
  63. 戸叶武

    ○戸叶武君 ただいま議題となりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び家畜取引法案について、農林水産委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。  まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  農林漁業の生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金を融通する自的をもって、昭和二十七年農林漁業金融公庫法が施行され、その後数次の改正が行われて今日に至っておりますことは、すでに御承知通りであります。しかして昭和三十一年度における公庫の融資は、総額二百九十億円を予定し、その原資として回収金八十億円、産業投資特別会計からの出資金十億円、資金運用部特別会計からの借入金百四十五億円、並びに簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金五十五億円をもって充てることになっております。かくして、今回農林漁業金融公庫の資金の充実に資するため、昭和三十一年度において公庫に対する政府の出資を十億円増加して、その出資金が現在四百六十六億七百万円でありますのを、四百七十六億七百方円に増額しようとするのが、本法律案が提案された理由並びにその内容であります。なお右の出資は、政府の産業投資特別会計からこれを行うことになっております。  委員会におきましては、まず、農林当局から本法律案審査の前提である農林漁業金融公庫の現況、公庫の昭和三十一年度貸付計画及びこれが原資の構成並びに法律案内容等について説明を聞き、続いて質疑に入り、青山委員、森委員、東委員及び千田委員等から、公庫の原資において借入金による割合がだんだん多くなっているのであるが、かかる原資構成が公庫資金の融通及び公庫の経営に及ぼす影響、並びにその対策、一般金融事情の変化と公庫資金の金利の問題、合成繊維漁網の取得に必要な資金について、資金ワクの設定及び資金の確保、自作農維持創設資金の貸付状況並びにこれらの資金の確保及び均霑、農林漁業金融公庫の業務と、今回政府において計画されている北海道開発公庫の業務との関係等の問題について政府所見がただされ、さらに委員会においては、最近の金融情勢にかんがみ、本法律案の取り扱いに遺憾なきを期するため、農林漁業金融公庫総裁、農林中央金庫理事長及び社団法人全国組合金融協会副会長等、農林漁業金融の実務関係者を参考人としてその意見を徴し、慎重な審議が行われたのでありまして、これらの詳細については委員会の会議録に譲ることを御了承願いたいのでございます。  かくて審議を終り、討論に入りましたところ、森委員から、「公庫の原資構成を是正し、かつ融資手続を簡単にして、公庫の使命達成を期すべきである」との趣旨の希望を述べられ、同時に、「政府は、一般金融情勢の変遷に即応し、農林漁業金融に関する現行の諸制度に十分な検討を加え、農林漁業金融の刷新拡充のため遺憾なく措置すべきである。」という付帯決議を付して原案に賛成したい旨提議せられ、他に発言もなく、討論を終り、採決の結果、全会一致をもって森委員の提議による付帯決議とともに政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、家畜取引法案について申し上げます。  戦後わが国における畜産は急速に発展し、馬以外の家畜につきましては、その飼養頭数が戦前の最高水準を上回っておる状況でありますが、しかし家畜の流通につきましては、制度の上に大きな欠陥があり、その流通段階が複雑であるばかりでなく、家畜市場に関する規制が不十分でありまして、その取引方法が旧態依然とし、そのため適正な価格の形成と、公正な取引を期待できない実情にあって、家畜の円滑な流通を阻害し、畜産振興の隘路とされております。  家畜市場に関する法的措置は、かつて明治四十三年の制定にかかる家畜市場法があったのでありますが、終戦後、昭和二十三年廃止され、自後、今日において二十一の道府県が条例をもって家畜市場の規制を行なっておる実情であります。しかしながらこのように各地方の個々対策では、家畜の流通対策として遺憾な点が少くないのでありまして、かような事情から、家畜市場を整備し、これを中心として家畜の流通を円滑かつ公正ならしめようとするのが本法律案が提案せられた理由とされております。  しかして、本法律案内容について、その骨子を申し上げますと、第一は、家畜市場開設者の登録についてでありまして、家畜市場を開設しようとするときは、すべて都道府県知事の登録を要することとし、これに伴って登録の申請、登録の基準、登録の方法及び登録の失効等について必要な規定が設けられております。第二は、家畜市場についての規制でありまして、市場開設者は、家畜市場における家畜取引について、取引価格その他の事項を公表しなければならないこと、開設者は市場の開催日に、獣医師を配置して検査を行わしめなければならないこと、年間の開催日数が一定以上の市場は、指定の施設を備えなければならないこと、家畜の売買は原則として、せり売り、または入札の方法によらなければならないこと、代金等の決済は開設者を経なければならないこと、不正の利益を得る目的で談合する等の不正行為を禁止すること等、家畜市場の施設、取引の方法及び代金決済の方法等について規定されているのであります。  第三は、生産地帯において、子牛または子馬等の取引を行う産地家畜市場の再編整備についてでありまして、産地家畜市場の数が家畜生産頭数等からみて多きに過ぎ、市場機能を十分に果し得ない状況にあって、これが再編整備を行う必要があるときに、関係者の自主的な協議をととのえ、開設者からの申請に基いて、都道府県知事は一定の区域を再編整備地域として指定し、市場の再編整備を行う一定期間は、その地域内において、この種の市場の開設を制限する等の措置を講ずることとしたのであります。第四は、臨時市場に関する規制でありまして、臨時市場を開く場合は、所定の手続によって届け出なければならないこととするとともに、家畜取引の前後において所定の事項の公表を義務づけております。第五は、市場外における家畜取引に関する規制でありまして、家畜取引業者が、家畜取引業者以外の者に牛または馬を、直接または委託による売買または交換の契約に基いて引き渡す場合は、その家畜について年令、性別、価格その他省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならないこととしております。なお、その他本法の円滑な施行のため必要な報告及び検査等に関する規定並びに罰前が設けられております。以上が本法案の内容の大要であります。  委員会におきましては、まず農林当局から、本法律案審査の前提をなす家畜取引の現況その他の参考事項並びに法律案内容について詳細な説明を聞き、続いて質疑に入り、森委員等から、家畜取引及び家畜市場に関して、現在都道府県において行われている条例の実況及びこれらの条例と本法律案との関係、枝肉取引改善に関する方針、産地家畜市地再編整備の実行方法及びこれが家畜生産農家に及ぼす影響並びに家畜市場の育成と臨事市場との関係等の事項について政府所見がただされ、慎重な審議が行われたのでありまして、その詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、佐藤委員から、「本法の成果を十全ならしめるため、家畜市場の開設者の欠格事由を他の立法例にならって調整し、また家畜商についてもこれに準ずる規制を加え、かつ開設者の解散の場合の届出及び家畜市場の不開場による登録取り消しに関する規定を整備する」趣旨の修正の動議が提出せられ、その他には別に発言もなく、続いて採決の結果、本法律案は、全会一致をもって、政府原案に対して、佐藤委員提出の動議による修正を加えて議決すべきものと決定いたしました。  右、報告いたします。(拍手
  64. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  66. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、家畜取引法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  67. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十三分散会      —————・————— ○本日の会議に付した案件  一、日韓関係打開に関する緊急質問  一、公共企業体関係調停案等に関する緊急質問  一、日程第一 所得税法の一部を改正する法律案(閣第八号)  一、日程第二 租税特別措置法等の一部を改正する法律案  一、日程第三 砂糖消費税法の一部を改正する法律案  一、日程第四 関税定率法の一部を改正する法律案  一、日程第五 所得税法の一部を改正する法律案(衆第十二号)  一、日程第六 昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第七 船舶職員法等の一部を改正する法律案  一、日程第八 道路運送車両法の一部を改正する法律案  一、日程第九 司法書士法の一部を改正する法律案  一、日程第十 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 地方公務員法等の一部を改正する法律案  一、日程第十二 入場譲与税法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 公職選挙法の一部を改正する法律案  一、日程第十四 国会議員選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十五 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第十六 家畜取引法案      —————・—————