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1956-02-10 第24回国会 参議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十日(金曜日)    午前十時二十八分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第九号   昭和三十一年二月十日    午前十時開議  第一 原水爆実験禁止に関する   決議案小滝彬君外十四名発議)     (委員会審査省略要求事件)  第二 砂利採取法案(第二十二回   国会衆議院提出)(委員長報告)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、報告をいたしてお諮りをいたしたいことがございます。議長は、昨年十二月二十九日、英国上院議長キルミュアー氏並びに下院議長ウイリアム・エス・モリソン氏から、日本国会両院議員八名よりなる派遣団が、本年の二月二十七日ロンドンに到着し、英国議会の賓客として三月七日まで滞在せられるよう取り計らわれたい旨の招請状を受領いたしました。よって衆議院議長と協議の結果、去る一月十六日、この招請を受諾する旨回答いたしました。  つきましては、本院からは英国議会議員三名を派遣することといたし、その人選は議長に一任されたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。議長は、派遣議員中川以良君江田三郎君、加賀山之雄君を指名いたします。(拍手)    ————————
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、原水爆実験禁止に関する決議案小滝彬君外十四名発議)  本案は、発議者から委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって本案議題といたします。  まず発議者趣旨説明を求めます。小滝彬君。   〔小滝彬登壇拍手
  7. 小滝彬

    小滝彬君 私は提案者を代表いたしまして、提案趣旨説明をいたしまする前に、まず決議案を朗読いたしたいと思います。    原水爆実験禁止に関する決議   本院は、さきに「原子力国際管理並びに原子兵器禁止に関する決議」を行ったが、近時原子兵器の問題は国際間の重要案件となり、米、英、ソ等をはじめ、各国それぞれその取扱いに苦慮しているものの、一昨年のビキニにおける米国水爆実験につづいて、最近ソ連においても強力な水爆実験が行われ、更にまた今春は米英両国によって大規模実験が行われると伝えられる。   結局は人類破滅を招来する原水爆製造及び使用禁止はわれわれの強く熱望するところであるが、国際間に有効な措置が確立されるまでの間、その実験禁止に関して、国際連合並びに関係各国が、すみやかに有効、適切な措置をとることを要請する。  右決議する。  この案文にも述べられております通り、本院は一昨昭和二十九年四月五日、「原子力国際管理並びに原子兵器禁止に関する決議」を満場一致可決いたしたのであります。しこうして、その決議は、政府を通じてさっそく国連事務総長に伝達せられ、国連事務総長は、軍縮委員会関係の文書として、直ちにこれを各加盟各国代表に配付いたしたのでございます。しかるにその後、国連における本問題の審議はまことに遺憾ながら何らの進捗を見ず、問題の解決はなお道遠しの感なきを得ない次第であります。もちろんわれわれは、国連において、その創設以来、原子兵器禁止原子力国際管理について非常に熱心な論議が戦わされ、関係各国が多大の努力を払ってきたところの事実とその熱意とを否定するものではございませんし、また原子力平和的利用に関する国際協力国連相当の功績をおさめつつある事実には少からざる敬意を表するものでありますが、しかし不幸にして東西両陣営相互間の不信と疑惑と、そうしてまた原水爆禁止具体的方法についての意見の相違とは、この問題解決を今日もなお不可能ならしめておる次第でありまして、われわれ身をもって原水爆の惨害を体験してきた日本人にとっては、これこそ最も大なる国際的痛恨事であると言わなければならないのであります。  従って、われわれは世界における原子兵器禁止運動のチャンピォンとして、絶えず国際的世論に訴えて、人類の幸福と繁栄のため、目的貫徹に邁進すべき権利責任との存することを痛感するものであります。  しかしてこの権利を行使し、責任を遂行するためには、われわれは今後といえども反復をいとわず、機会あるごとに原子力国際管理原水爆製造使用禁止などのこの根本的問題の解決を提唱すべきであることはもちろんであります。  しかし最近この根本問題が未解決である結果といたしまして、関係各国原水爆製造競争に乗り出し、これに没頭いたしまして、きわめて大規模な、かつきわめて強力な原水爆実験を繰り返す傾向を生じておることは、同僚議員諸君もよく御承知の通りでございます。そのために世界の人心は、今や極度の恐怖感に襲われ、しかもわれわれの同胞がビキニで、すでに体験いたしましたごとく、ときに多数の人々が不慮の危害をこうむるおそれも少くない実情でありますので、われわれはこの際、特に政府をして原水爆実験禁止国連並びに関係各国に対して、強く厳粛に要請せしめんとする次第であります。  もっともこの実験禁止要請に対しましては、あるいは問題の本末を転倒した誤まった考え方に基くものとして、理論的な反駁を加える向きもあろうかとも存じます。現に一昨年ビキニでの水爆実験後間もなくこの種実験即時停止国連信託統治理事会における討議の対象となりました際、原子兵器禁止が有効に実行せられぬ限り、国際平和と安全のため、原子兵器実験は必要欠くべからざるものであるという議論が大勢を占め、実験合法性が承認せられましたし、さらに昨年の国連第十回総会において、その第一委員会に、インド代表提案いたしました原水爆実験停止決議案もまた同様の理由によって否決し去られた経緯があるのであります。  また法律論はしばらくおき、実際問題としてこれを取り上げる人々の中には、かりに実験禁止が形式上国際的合意として成立した場合においても、これを忠実に実行することを果して各国に期待することができるかどうか、果して鉄のカーテンに深く閉ざされた秘密国家が、国際監視機関もなしにこれを実行するであろうかどうか、また言論と報道の自由を認めるいわばガラス張りの自由主義国家だけが、結局この禁止協定犠牲になるおそれはないだろうかどうか、さらにまた(「賛成か反対か」と呼ぶ者あり)あとで結論を言うから聞いて下さい。さらにまた、自由民主国家群との協力によって国家の安全を維持し、国際平和に貢献しようとする日本にとっては、このような実験禁止は、かえって自国の防衛と国際的立場を弱体化するおそろしい結果をもたらすものではなかろうかといったような懸念も潜在いたしておるのであります。  なお、技術的見地に立つ人たちの中には、原水爆使用禁止が実現せぬ限り、むしろ実験を行うことによって原水爆人類に対する被害を食いとめる方策を探求し得る利点のあることを強調する向きもあるようであります。  私はこれらの議論が、全然一顧の価値だになき机上の空論であると即断するものではもちろんございませんが、しかしもし関係各国にあくまで実験禁止効果的措置を講じようとする固い決意さえあるならば、必ず、今例として申し上げたような実験禁止に伴う不均衡や不合理や危険などが、りっぱに除去し得られるであろうと私は確信するものであります。  また実験禁止といったような部分的な措置一つ一つ築き上げていくことによって、漸次原水爆使用禁止最終的段階に到達するというこのいき方も、必ずしも一がいに本末転倒のいき方として排除すべきものではない、いな、これも確かに目的達成一つの便法であると信ずるものであります。インドネール首相も、インドネシアのサストロアミジョヨ首相も、早くからこの実験中止を提唱してきたのでありますが、英国においても、昨年十一月、下院においてイーデン首相は、実験禁止についてソ連側会談する用意のある旨を明らかにしておりまするし、また過般ワシントンで行われました米英首脳者会談でも、この問題について話し合いが行われたとの報道もございますので、われわれはこの際、原水爆の存在とその暴威をのろう日本国民の押えがたい国民感情を織り込んだこの決議案趣旨を、あまねく世界に唱道いたしたいのであります。ことに昨年ソ連で無警告のまま行われました大規模水爆実験に引き続いて、近く米国が行おうとしておる同種の実験は、再び太平洋地域がその実験場となることのようでありまするし、英国もまた太平洋方面で同様の実験を行う様子でありまするので、太平洋の水に直接洗われる日本国民といたしましては、苦い過去の経験にもかんがみて、とうていこれを座視するに忍びないのは当然でございます。これが本決議案を本日緊急上程いたしました一半の重要な理由でもある次第でございます。  私は以上簡単に趣旨説明をいたしたいのでありまするが、どうかこの決議案は満場一致可決せられまするように、同僚議員諸君に強く要望をいたしますると同時に、国連及び関係各国が、この切々たる日本国民の訴えを真剣に傾聴して、せめて原水爆実験だけでも直ちにこれを禁止するよう有効適切な措置を一日も早く実施せんことを、諸君とともに衷心より念願いたしまして、私の趣旨説明を終る次第でございます。(拍手
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本案に対し、討論通告がございます。順次発言を許します。羽生三七君   〔羽生三七君登壇拍手
  9. 羽生三七

    羽生三七君 私は日本社会党を代表して、ただいま上程された原水爆実験禁止に関する決議案賛成いたします。  かつての太平洋戦争で、わが日本は、史上初めての原爆広島長崎に投下され、何十万人の犠牲者を出し、これが戦争終結の直接の契機となったのでありますが、それから十年余を経過した今日、なおまだ、当時の原爆被災者中の生存者が数多く病床にあり、さらにまた、その中には、今日、死の道をたどっている犠牲者もあることを知るにつけ、この核兵器の恐るべき殺戮力と、かつまたその影響力の強大さに驚くのであります。世界史上初めてこの原爆の洗礼を受けた日本国民は、さらに一昨年のビキニにおける水爆実験に際しましても、その放射能によって多くの漁民が傷つき、また日本水産業も一時的にせよ、相当の打撃をこうむったのでありますが、この水爆についても、日本国民史上最初被災者となっているのであります。その後ソ連においても強力な原水爆実験が行われ、また今春には米英両国とも大規模実験が、しかも太平洋水域において行われるとも伝えられております。  これら原水爆威力は、広島長崎に投下された当時のそれに比較して数百倍に及び、また近く二千数百倍の威力を持つであろうと言われております。戦争のために使用されるあらゆる兵器は、相手を倒し、みずからの勝利をもたらすために発明されたり使用されたりするものでありましょう。ところが原水爆は、どういう作用をもたらすでありましょうか。これを使用する国は、勝利を得られるでありましょうか。相手の国の人民だけを倒し、自国人民だけが安全であり得るでありましょうか。核兵器の発明が一国だけの独占にゆだねられている場合には、そういうこともあるかもしれません。しかしこの兵器を、今やアメリカソ連英国も持ち、あるいはその他の国も持とうとしております。もはや一国の秘密独占兵器たる時代は過ぎ去りました。そうである限り、いずれかの国が使用すれば、相手の国も当然報復的に爆撃を行うでしょう。そしてこれを使用する双方国民は、みずから作り出した水爆の中にみずからの死を見なければならぬという矛盾した運命に陥ることになります。従って水爆を持つ戦争には勝つ者も負ける者もない。そして、それは、もう一度どこかの山の中に疎開をしようとか、他人は死んでも自分だけは助かるであろうという性質のものでもなくなるでしょう。ただあるものは、人類破滅文明死滅だけということができると思います。  現に一作八日の記者会見で、アイゼンハワー大統領誘導弾の問題に言及して、「このような武器を使用しての争いは、もはや戦争ではなく、民族の自殺となるであろう」と言っております。次の戦争意味するものは、およそこのような性質のものでありましょう。さればこそ、このような大量殺戮兵器製造使用実験禁止は、世界の多くの国民の心からの熱望となっております。わが日本においても三千数百万の人々が、あるいは世界では何億の人民が、国境を越えてこの願望を署名に托しているのであります。米英ソ等を初め、世界各国も、みな、おのおのこの問題に悩んでおります。これをどう処理したらよいかという悩みであります。しかし、それにもかかわらず、国際連合関係各国も、これが禁止について明確な措置をとり得る段階に達しないことは、まことに遺憾しごくでございます。  周知のように、昨年四月はバンドンで、七月にはジュネーヴ巨頭会談が開かれましたが、この会議精神を、ジュネーヴ精神、あるいはバンドン精神と呼んでおります。ジュネーヴ精神とは、水爆戦争自殺行為に過ぎないこと、軍事力はもはや唯一の力たり得ないこと、すなわち冷戦十年の国際政治の基調となってきた力の政策の破綻を認め合ったものにほかなりません。また同時に、力の競争水爆によって最後の限界にきたことを認め合ったものとも言えます。これがいわゆるジュネーヴ精神背景でございましょう。またバンドン精神も、反植民地主義という太い別の柱が打ち立てられているものの、結局のところ、次の戦争人間生活の終りと見るという点でジュネーヴ精神に共通するものであったと信じます。その後ジュネーヴ精神は冷却したとか、あるいは水爆実験禁止は適当でないとか、さらにまた、この原水爆こそが逆に戦争防止に役立っているというような議論もあります。しかしこの危険きわまりない兵器製造競争、そのバランスの中に戦争防止意義を認めるという考え方は、少くとも人類の良識とは言いがたいのであります。(拍手)現実は、時にそのような印象を与えることがあるかもしれません。しかし、この危ない兵器をコントロールできないような事態が発生したとき、あるいは双方バランスが破れたそのときは、先にも申し述べましたように、文明死滅となるのであります。われわれは世界の国々が、軍備縮小第一歩として、まずこの原水爆製造及び使用禁止を実現することを強く熱望するのでありますが、このことに関し有効適切な措置が確立するまでの間、とりあえず、まず実験禁止を行うことはきわめて妥当な要望であろうと確信をいたします。  しかも、この人類の希望を世界に表明するに当って、わが日本は、過去において原水爆史上最初被災者であり、また今後実験の場合にも、その地理的条件から最も被害を受けやすい立場に置かれており、さらにまた、日本国憲法の条章からも、強くこれを世界に訴え得る立場にもありますので、この決議案はきわめて意義深いものと信じます。また政府も、この決議案が成立した場合には、国際連合及び関係各国に対し、日本国会の議決を伝達して、熱意ある態度をもって進むことを希望いたします。  われわれは、原子力人類殺戮役割から、その平和的利用を通じて、人類福祉に貢献するような、いや、人類福祉にのみ役立つような日のすみやかなる到来を念願しつつ、本決議案に対する社会党を代表しての私の賛成討論を終ります。(拍手)   —————————————
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 梶原茂嘉君。   〔梶原茂嘉登壇拍手
  11. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする原水爆実験禁止に関する決議案賛成討論を試みるものであります。  わが国原爆によりまする被害を受けたただ一つの国であります。さらにまた、水爆実験による脅威を受け、被害を受けた唯一の国であります。従って、原水爆を保有する国に対し、さらにまた原水爆実験を試みんとする国に対し、さらにまた広く世界に向って原水爆に関して常に正しく発言し得る権利を有するのであります。と同時にまた、発言をすべき責任をになうものと信ずるのであります。  一昨年の四月、ビキニ環礁におきまするアメリカ水爆実験に関連して、われわれは、原子力国際管理並びに原子兵器禁止に関する決議を行なったのであります。当時は諸般情勢によって、原子兵器実験については、それに伴いまする被害防止について言及したにとどまって、実験中止禁止そのものには触れなかったのであります。自来今日まで約二年、その間原水爆をめぐりまする世界の様相は、われわれの行いました決議趣旨に必ずしも沿わずに、むしろ漸次深刻の度を加えつつありますることは、遺憾ながら否定し得ない事実であります。かかる情勢のもとにおいて、わが国は昨年の四月、バンドンにおきまするアジアアフリカ会議において、率先して原水爆禁止に関する決議提案したのであります。また、アジアアフリカを通じまする二十八の独立国とともに、原水爆実験禁止についても、すでに決議を行なって世界に訴えたのであります。ただいま上程されておりまする本決議案は、ひとりわが国のみの立場からの主張、要請ではないのでありまして、アジアアフリカを通じまするすべての独立国の共通した、共同決意の表明であることを私は指摘いたしたいと思うのであります。  今日、原水爆兵器としての性格は、単に戦争当事国のみにその対象を限定することはできないのでありまして、全人類をその対象とする性格に漸次変貌しつつありますることは、疑いをいれないところであります。従って原水爆を保有いたしておりまする国は、その意味において、その範囲においては、全人類運命関係を持つと言わざるを得ないのであります。従って、原水爆に関しまする実験といえども、もはやその国のみのほしいままなる行動にこれを許すわけには参らないと私は思うのであります。本決議案におきまして、国連以外に、英、米、ソ連等原水爆実験を行い、または行わんとする国を対象として、直接それらの国の善処を要請せんとしておりますることは、私は正しいことであって、意味のあることと信ずるのであります。原水爆に関する実験は、もはや実験それ自体で、すでに人類に対する脅威であります。実験より生じまするあらゆる災厄に対しては、あらかじめ現在の科学をもってしてこれを予知し、これを防除することはできないのであります。実験それ自体、ある意味においては原子兵器使用と相通ずるものがあるようにも感ぜられるのであります。  昨年七月、ジュネーヴにおきまする四巨頭会談を初めとして、世界緊張緩和に関しまして、あるいは安全保障、あるいは軍備縮小等、各問題が種種の角度から、熱心に検討され、論議され、施策され、また努力が傾倒されておるのでありまするけれども、しかしながら将来にわたって世界冷戦緩和して、世界緊張緩和したという何らの証左が、現在残念ながらまだこれをつかむことができないのであります。しかもこの間、原水爆保有自体戦争を回避する役割を果すものであるという見解も行われております。また実力を背景としてぎりぎりの瀬戸際まで事態を持っていくこと自体戦争を回避する道であるとの見解も行われておるのであります。私は今ここで、これらの見解を批判するつもりはありません。今日まで、あるいはこれらの所論の通りであったかもわかりません。しかしながら決してこのことは、明日の平和を保障するものではないと私は思うのであります。人類破滅せしめる原水爆戦争を回避する最大の力であると、これに依存しなければならないとするほど、おそるべき考え方は私はないと思うのであります。しかもかかる考え方のもとに、漸次規模を拡大しながら原水爆実験が行われ、また近く行われんとしておるのであります。かかる実験は、実験それ自体において、私は人類とその文明に対して、極めて大なる脅威を与えるものであると信じます。しかも人類運命にかかるそれらの実験が、われわれの目を離れて秘密のうちに行われんとしているのであります。私はかかる実験は、実験そのものがすでに人類に対する償い得ざる犯罪とさえ感ぜられるのでありまして、人間の理知は、兵器を制御し、兵器を支配し得ることはもちろんであります。しかしながら兵器の質なり量が、ある限度以上になりますると、兵器自体人間の理性を支配し、コントロールするということがあり得ることを私はひそかに憂慮するものであります。いかなる平和の論が盛んに行われましても、いかに平和確保に関する施策が具体化いたしましても、原水爆実験が別途行われる限りにおいては、また原水爆製造され、それが保有されておりまする限りにおいては、私は決して世界緊張緩和はあり得ないと思います。世界平和の確保第一歩は、何としても原水爆実験中止に初めてその真実の第一歩があり得ると信ずるものであります。これなくしては私は世界緊張緩和世界の平和の確保はあり得ないと信ずるのであります。かかる観点から、私は緑風会を代表いたしまして、この決議案に全幅の賛意を表するものであります。(拍手
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論通告者発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、鳩山内閣総理大臣から発言を求められました。鳩山内閣総理大臣。   〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  14. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまの御決議に対しまして、政府の所信を一言申し述べたいと思います。  政府といたしましては、原水爆実験禁止に関する国際的措置がすみやかに実現をいたし、この種実験中止されるに至るように、かねてから熱望をいたしているのでありまして、ただいまの御決議趣旨を体しまして、今後さらにこれに努力をいたすことをここにお誓いいたします。(拍手)    ————————
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、砂利採取法案(第二十二回国会衆議院提出)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。商工委員会理事河野謙三君。   〔河野謙三登壇拍手
  16. 河野謙三

    河野謙三君 ただいま議題となりました砂利採取法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず本法案の原案についてその骨子をごく簡単に申し上げます。本件は、砂利採取事業の健全な経営確保するとともに、砂利採取河川保全等との調整をはかり、公共の福祉の増進に寄与するために次の諸規定を設けておるのであります。  その第一は、河川法等の法令に基く砂利採取許可をする際には、業者の経営立場を考慮すべきであるという訓示的規定を設けたことであります。第二は、砂利採取管理者を選任し、砂利採取作業の直接監督に当らしめるということであります。第三は、河川以外の一般の土地における砂利採取について、採石権の設定を認め、また通産局長公益保護のために必要な措置を命ずることができるようになっておるのであります。  本案は、去る第二十二国会に、衆議院より当時の四派共同提案として提出されましたものでありまして、全会一致可決後、本院に送付して参ったものであります。当商工委員会といたしましては、審査に慎重を期するため、今日に至るまで審査を継続して参ったのであります。その間建設委員会とも連合審査を行う等、その取扱いにきわめて慎重を期したのであります。  審査の詳細は速記録に譲りますが、本法案に対し、建設委員会より、本法運用に際し、河川管理権限尊重と、砂利価格の抑制について特に留意すべきであるとの申し入れがございましたことを申し上げておきます。  なお、本法案に対し、阿具根委員より修正案が提出されました。修正理由につきましては、これも速記録をごらん願いたいと存じますが、おもなる修正点は次の三点でございます。  その第一は、本法の目的でございますが、原案にございます「経営の基礎を確立する」とあるのを、「発達に資する」と改めたことであります。  第二点は、原案第五条の「採取管理者」を「作業主任者」と改め、管理者という名称からくる非妥当性を除去し、さらに、省令で定める小規模業者にあっては、作業主任者の選任を必要としないことにし、もって小規模業者の保護となるような修正をしたのであります。  第三点は、原案第十一条の「砂利採取の許可方針」につきまして、国の直轄工事等の際に惹起される種々なる問題を円滑に処理し得るように、河川法等の運用条件を、より具体的に明確にするための修正等を行なっておるのでございます。  以上をもって討論に入りましたところ、まず河野委員より、次のごとき付帯決議を付して修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意見を開陳したのであります。付帯決議案は次の通りであります。すなわち、   砂利採取法の施行に当り、政府は次の諸点に留意し、万全の措置を講じなければならない。  一、砂利採取許可が一種の利権として取扱われ転売されることのなきよう厳重に取締ること。  二、公共工事の運営を阻害せしめざるは勿論、自家消費用及び農家等の季節的な砂利採取、又は経営規模の零細な業者の経営に支障なからしめるよう措置すること。  三、中小業者を圧迫することのなきよう配意するとともに、その育成を図るため、資金の確保、協同化等を積極的に推進すること。  四、建設基礎資材としての砂利の軍要性に鑑み、強力にその品質の向上と価格の低下を図ること。 以上であります。  次に藤田委員、中川委員より、それぞれ阿具根委員提出の修正案、修正部分を除く原案及び河野委員提出の付帯決議案について、賛成の意見が開陳せられました。  かくて採決に入りましたところ、阿具根委員提出の修正案及び修正部分を除く原案につきまして、全会一致をもって修正議決すべきものと決定し、河野委員提出の付帯決議案は、同じく全会一致をもって本委員会決議とすることに決定した次第でございます。  右御報告申し上げます。(拍手
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時十四分散会    ———————— ○本日の会議に付した案件  一、議員派遣の件  一、日程第一 原水爆実験禁止に   関する決議案  一、日程第二 砂利採取法案    ————————