○片柳眞吉君 私は緑風会を代表いたしまして、すでに三日前に行われました
鳩山総理大臣の施政
方針演説並びに
大蔵大臣、
経済企画庁長官の
財政経済演説に対しまして、民主政治のあり方、
農業、食糧問題を中心といたしまして
質問をいたすものであります。
まず
わが国の民主政治の今後のあり方についてでありまして、
総理に御
所見を伺いたいのであります。多年の宿望が実現いたしまして、昨年保守党と社会党それぞれの合同がなりまして、自由民主党、
日本社会党の二大政党が対立し、
政策を中心といたしまして
国会の審議を尽し政治を
推進することになりましたことは、御同慶にたえないところでありますが、他面両党の
主義主張が根本的に相違する点が少くないために、場合によりましては、両党の激突となり、容易ならぬ事態の発生することを憂うるものであります。
国会における
民主主義は、言うまでもなく言論の
尊重であり、暴力の排除であり、数によるとともに質による政治であると申さなければなりませんが、
鳩山総理は、二大政党対立下におきまする
国会の
民主主義のルールを
確立する上におきまして、いかなる構想をお持ちでありましょうか。過般の施政
方針におきましても、首相は、政党
責任政治の
確立、
国会の品位の向上を強調せられておりますが、言論の
尊重、暴力の排除等の本質的な問題を解決、実現する上におきましての具体的な構想をお伺いいたしたいのであります。
民主政治のあり方に関連いたしまして、次に御
質問いたしたい点は、
予算の編成権の問題であるのであります。民主政治は同時に
責任政治であると思いますが、
わが国は議院
内閣制でありまして、
予算案の作成の
責任は、あくまで
内閣にあることは言うまでもないところであります。しかるに三十一年度の
予算案編成の経過を見ておりますると、
政府がその
責任におきまして実体的に
予算案を編成したかどうか疑問とすべき点があるようであります。
与党の政調会がその主導権を握り、各部会がそれぞれの主張を強行いたしまして、ぶんどり戦に終始したような感がしてならないのであります。
総理大臣はその間、ほとんど調整の労をとりませず、
大蔵大臣が孤軍奮闘し、河野
農林大臣の応援を得てようやく処理したような感じを受けますることは、きわめて遺憾でありまするが、一体これでよろしいのでありましょうか、
総理の御
所見を承わりたいのであります。
その三は、民主政治の
確立と参議院の機能との関係であります。衆議院が全面的に政党の基盤に立ちます以上、どうしても最後には党議に従いまする数による政治となることは否定し得ないところでありまして、かるがゆえにこそ参議院の第二院としての存在
理由があるものと思います。しかるに最近の参議院の動向を見ておりますると、次第にその政党の色彩を濃くしておるようであります。これは
憲法改正の問題にも関連するのでありまするが、この政党化の
傾向に対しまして、
総理の御
所見をお聞かせを願いたいのであります。
国会における民主政治の円滑な運営をはかる上から見まして、参議院が過度に政党化することは好ましくないと思いまするが、いかがでありましょうか。
次に、私は国内の産業問題中、
農業政策、食糧
政策を中心といたしまして、関係
大臣に御
質問をいたしたいのであります。その一は、食糧問題でありまするが、明年度の食糧管理特別会計の
予算案を見まするに、米の
統制は原則としてこれを存続いたし、消費者
米価はこれを据え置き、外米、麦類の
政府売却価格を
引き下げるという方向は、
現状におきましてこれに賛意を表するものでありまするが、外米の自由販売は、結局配給
制度を破壊することにならないかを心配するものでありまするが、外米の自由販売の具体的構想とともに、
農林大臣の御
所見を
承知したいのであります。また外米、麦類の
政府売却価格
引き下げは、今申し上げましたように賛成でありまするが、その結果食管会計のやりくりが次第に苦しくなりまして、ひいては生産者価格を圧迫することになるのではないかということを特に心配をいたすものでありますが、この点につきまして、
農林大臣、特に
大蔵大臣がさような見解を持つというようなことも聞いておりまするが、
大蔵大臣の見解を求めたいのであります。
その二は、本年の生産者
米価の問題でございまして、三十年産
米価は、稀有の
豊作に恵まれまして、まず全体的には文句のなかったところでありましょうが、本年の三十一年産の
米価は、
予算上九千九百六十円とされているのであります。これは昨年の
米価を
農業パリティの低下にスライドしたものでありまして、一応の理屈であると考えまするが、昨年のごとき
豊作を連続して期待するわけには参らぬことは申すまでもありません。
農家の心理なり、
農家の希望にこたえる
意味におきまして、端的に昨年の
米価審議会が答申いたしました生産費及び
所得補償方式をとる御
意思はないでしょうか。普通の
農家の生産費を補償するということがはっきりいたしますれば、
農家の生産目標もはっきりして参りまするし、また
米価が政治的に決定されるという非難も解消されると存じます。また生産費方式をとりましても、昨今の生産資材の値下り状況から見て参りまして、
米価は大した値上りにはならないと思うのであります。しかも生産費低下の今後の
見通しからいたしまして、生産者
米価は漸次低下するものと考えられます。この辺の事情をくみましての
農林大臣の御
答弁を得たいのであります。
その二は、新農村建設という新しい構想についてでございまして、天下り
農政を排して、下からの盛り上る
農政に切りかえるということは、理論的には異議がございません。また零細な補助金を個々ばらばらに出すよりも、これを包括して有効に使い得るようにするということもけっこうだと思います。またその結果として適地適産
主義、天下り的食糧増産の排除ということになるわけだと存じまするが、ここで疑問となりまする点は、
経済自立五カ年
計画と適地通産
主義との関係であります。この
計画によりますれば、主要食糧につきましては、
昭和三十五年度における主食の
輸入量を、おおむね
現状程度にとどめ、人口
増加に基く需要増と、農地の壊廃等による減産分を充足することを目途として増産
計画が予定されておりまするが、これは適地適産
主義との関係がいかがになるのでありましょうか、
農林大臣と
経済企画庁長官の説明を願いたいのであります。
もう
一つは、適地適産の
方針でありまするが、狭い視野に立つ農村の適地通産
主義が、結果においては同種農産物の生産過剰となり、価格の暴落を来たすことがないかをおそれるのであります。米麦は、何といたしましても、
政府買い入れという保障がありまするが、蔬菜、果樹等になりますると、これらの保障もなく、昨年のごとき、野菜等については、いわゆる
豊作飢饉を招来したのであります。従って、適地適産と申しましても、大所高所からの総合的指導が必要であり、また
農業保険、
農業共済
制度の拡充、農産
物価格支持
政策の裏づけが必要であり、また
農業手形等の利便にもできるだけ均霑せしめるだけの用意が必要だと思いまするが、その用意があるのでありましょうか、
農林大臣の
方針を承わりたいのであります。
その四は、新農村の建設と関連いたしまするところのいわゆる
農業団体再編成の問題でございまして、本日、自由民主党の政調会の
意見も新聞に発表されておりまするが、第十九
国会で成立いたしました
農業団体再編成の結論は、都道府県
段階以上の再編成でありまして、肝心の末端の再編成は何ら触れていなかったのでありまするから、上下を一貫した再編成は、参議院の修正案
通り、きわめて必要のことと思っておるのであります。ただ、いわゆる平野試案の示すごとくでありますれば、農村の
実情なり
農民の希望と相当広く離れておることを憂うるものであります。なかんずく、町村
農業協同組合の
事業から信用
事業を分離せんとする構想に対しましては、きわめて問題でございまして、もしこれを実現いたしますれば、町村
農業協同組合の存立は、大半が危険に瀕するに至るでありましょう。
農業協同組合の組織は、沿革の古い、固定的な組織でありまして、決して戦後派的なものではないのであります。
農業協同組合は
農家の生産を保育助成するものであり、この
基本的な生産を助成する
意味の金融、生産の結果生ずる
所得を貯金として受け入れするという業務は、生産
事業と直結する販売購買
事業と密接
不可分な関係にあるものであります。従いまして、都道府県以上の金融業務を簡素化いたしまして、金利の低下をはかり、農村金融を
合理化しようとする考え方は、これは別途十分考究の余地があると存じまするが、町村の
農業協同組合の機能から信用
事業を分離するということは、鳥の翼を奪うにひとしい重大な問題だと思うのであります。
農林大臣は、世論の動向を見てこれをきめると言われておりまするし、また
与党自民党におきましても慎重論が強くなってきておるようでありまするが、ぜひとも慎重な考慮をわずらわしたいのでありまして、これに対する
責任大臣の
農林大臣の
所見をお伺いいたしたいのであります。
要するにわれわれは、
農業団体再編成の急務を知るものでありまするが、この際、
農民に迷惑のかからないよう、農村のために不変の組織であるところの農村団体の再編成を望むものであります。ここ数年間に
農業団体の改変は実に目まぐるしいものがあるのでございまして、
農業委員会
制度の制定がありましたが、次には都道府県の
農業会議、中央
農業会議所、都道府県の
農業協同組合中央会、全国の農協の中央会の設立となりましたけれども、いずれも所期した実効を上げておらないようであります。その
意味におきまして、
農業団体の真の
意味の再編成を期待するものでありまするが、その目的は、あくまで簡素にして強力な、特に
農民の
生活に直結した団体の
確立であると思うのであります。この際、
政府は思いつきに堕せず、ほんとうに
農民の
意思に立脚いたしました確固不動の農村団体の再編成をされんことを望むものでありまするが、これに対しまする
農林大臣の
所見をお伺いいたしたいのであります。
私の
質問は以上で終ったのでありまするが、関係
大臣から懇切明快な
答弁を期待をいたすものであります。(
拍手)
〔
国務大臣鳩山一郎君
登壇、
拍手〕