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1955-12-23 第24回国会 参議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月二十三日(金曜日)    午後零時十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二号   昭和三十年十二月二十三日    午前十時開議  第一 参議院予備金支出の件(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 木下源吾

    木下源吾君 私は、この際、北海道開発に関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 私は、ただいまの木下源吾君の動議賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木下君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。木下源吾君。    〔木下源吾登壇拍手
  8. 木下源吾

    木下源吾君 私は、この際日本社会党を代表いたしまして、北海道開発に関する質問をいたしたいと思うのであります。  数日前、正力国務大臣北海道開発審議会の席上におきまして、北海道開発会社法案なるものを発表いたしたのであります。また与党北海道総合開発調査特別委員会は、北海道省設置を伴う開発要綱、いわゆる廣川案なるものを決定して新聞にも発表いたしておりますし、私はまたその資料も受け取っておるのであります。もちろん両案とも政府与党とが連絡の上にいろいろ作業を進めておられると考えますが、この問題は、きわめて重大な内容を含むものでありまして、北海道民もまた全国民も、非常に注目しておるところでございます。つきましては、次の諸点について首相初め関係大臣から所見を承わりたいのであります。  第一に、廣川案によると、地方公共団体である北海道、これを廃止してしまう。そうして北海道特別行政区として数県に分ち、その上に省を設けて、これに司法、行政防衛を除く通産、文教、交通、農林建設等の一切の行政権限を与え、また国有林のごときもこれに移管して、国鉄、電信電話を公社から分離して国営としてこれを経営する。このことは、一見今日までのような各省間のセクト主義を排して強力に北海道開発を遂行するように見えるのでありまするけれども、実は御承知のように、地方自治制度の精神にきわめて逆行しておると考えられます。そうして中央集権的傾向を非常に強めるものでありまして、現に御承知のように、町村合併を進め、そうしていろいろ道州制度なんということが研究せられておる今日、まさにこれに逆行するところの制度と言わなければならないのでありまして、自治制破壊であると考えられるものであります。  次に、また経済開発構想とあわせて、いわゆる戦前の台湾、朝鮮、樺太などのごとく、植民地統治の再現となりはしないか。果してそうであるとするならば、民主主義に逆行するもはなはだしいものと考えられますが、この点についての所見を伺いたいのであります。  今日、北海道社会党出身の知事でありまして北海道議会与党が過半数の勢力を占めています。これに対して、先には北海道開発庁を設けまして、その自治権限を弱めようといたしたのでありました。今度は北海道から自治制を取り上げて、中央集権を強化しようとしておるのであります。北海道行政が、政争の具となって、自治自主性が奪われ、またそのたびごとに利権の対象が強くなることは、まことに道民の不利益とわれわれは考えておりますが、この点についての所見を伺いたいのであります。  アメリカ日本防衛上、これまで南は沖縄、北は北海道を重要視して、その基地化を進めて参りました。このようなときに、正力国務大臣は、北海道開発会社なるものを新たに設けて、外資の導入を行ない、アスファルトの基幹道路一千キロ以上を新設すると言っておられるのでありますが、これは結局軍事道路となり、ひも付き融資となり、北海道軍事基地化を進め、アメリカの隷属を強めることになるのではないでしょうか。かかる事態は、道民生活の安定にとっても、道民の平和にとっても、さらに日本独立にとってもゆゆしい問題と思うのであります。(拍手)このような開発構想は、アメリカ政府の要請に基いておやりになって行く考えであるのでありますか、そういう経緯がありますのでありますか、この点について特に総理大臣から御所見を承わりたいのであります。  河野国務相に対しては、このような機構改革が、今後の行政機構改革案に盛り込まれていますか、また盛り込む考えであるのであるか、この点をお伺いしたい。  正力国務相に対しては、北海道開発庁が、今大蔵省に要求しておる三十一年度開発予算は、前大久保長官案が骨子であると考えております。しかしてその中には、財政支出が五十億円に上る公庫案があるのであります。しかるにこれと同時に廣川案として百二十億円公庫案が出ております。さらに今回は、正力さん自身から、民間資本外資を導入いたしまして、開発会社案なるものが発表せられたのであります。一体政府は、このように数々分れておる案の調整を、いつどのようにして調整をつけられる考えでありますか、と申しますのは、明年度予算決定を目前に控えて、まことに支離滅裂の感を抱くのであります。ただ政府が、いろいろな案を実行不可能なような形の上において示されて、こういうことは、政府のいわゆるから宣伝の具に北海道開発を利用しておるのだといっても弁解の辞はないのではないか。今年内から明年早々に予算がまとまろうとしておるときである。どうかこの点について、北海道開発のために正確な御所見を承わりたいのであります。  なお、自衛隊の除隊兵をまとめて北海道に入植させるいわゆる予備自衛官として給与を与えて、適時訓練を行いつつ、有事の際に動員しようという、いわゆる新しい屯田兵制度が、防衛庁農林省の間で具体的に交渉が進められておると伝えられておるのであります。この点については河野農林大臣から御説明を承わりたいと思うのであります。  以上が質問の要点でありますけれども、御承知のように、北海道日本に残されたるただ一つの宝庫として、道民生活の安定と資源開発を目標に、去る昭和二十七年度から三十一年度まで五カ年計画が策定されたのであります。道民は、これの完成に非常な期待を寄せて参ったのであります。なぜなれば、道路の開さく、河川の改修、漁港の設置土地改良を初めとして、ことごとく道民生活の基盤であるからであります。しかるにこの計画は、満了を明年度に控えて、今三十年度でようやく三七%より遂行されておりません。道民は非常に失望を感じております。そうして請願陳情がきびすを接しているのは、諸君承知通りであります。しかもなお、次の計画に大きな期待を寄せておるのであります。しかるに今次与党案政府の発表されました機構改革経済開発の六カ年計画案は、独立と平和がおびやかされ、民主主義生活の危機が印象づけられるために、非常に心配しておるのであります。何とぞかかる心配を解消するために、明確なる御所見をこの際承わりたいのであります。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  9. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 木下君の御質問に対してお答えをいたします。  北海道省案は、どういうことを考えて出したのかというようなことについての一般的の御質問がありましたが、北海道省案の意図するところは、開発を促進いたしまして、経済の興隆、民生の安定をはかることにあるのはもとより当然の事柄でありまして、防衛強化のためではありません。またアメリカの要望があったわけでは絶対にないのであります。この点について、私に答弁をしろということでございましたから、この点だけを答弁いたしまして、他は関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 北海道に関する行政機構を改編する案が、われわれの与党の方にありますことは御指摘の通りであります。この案につきましては、私も十分研究をいたしまして、党の方との意見の調整、さらにこれが将来どういうふうになるか、一般行政との関係をどういうふうに調整するかということにつきましては、目下検討中でございまして、まだ結論をここに申し上げる段階に至っておりません。  農林大臣としてお答えいたします。防衛庁費農林省の所管の開発に関する開懇事業費との間の関係でございますが、これにつきましても、先般来、屯田兵制度のような構想においてやることがいいか悪いかということについては、せっかく両者の間で打ち合せをいたしまして、そして、もしそれが相当に実効をあげ得るものであって、とるべきものであるという結論に達しますれば、そういう方向に進みます。これはむしろそういう方向に進んで行く方か妥当ではないかという見当に今進んでおる次第であります。(「まだきまっていないのか」と呼ぶ者あり)  お答え申し上げます。まだ結論を出す段階に至っておりませんので、今、予算の編成中でございますから、予算ができました上でお答え申し上げます。(拍手)    [国務大臣正力松太郎登壇拍手
  11. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) お答えいたします。  北海道開発三十一年度予算は、お話の通り、すでに大蔵省に提出しているのでありまして、その予算を推し進めて行くつもりであります。そのうち、在来提出しておりまする北海道産業開発金庫案に関連いたしまして、産業開発の方法として私の考えておりますもりも、党の廣川委員会考えておりますものも、結局画期的北海道開発考えておるものでありまして、この目的達成のため今後十分研究調査をはかりまして、具体策を策定した上、皆さんの御審議をお願い申すつもりでおります。(拍手)    〔木下源吾発言の許可を求む〕
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木下源吾君。    〔木下源吾登壇拍手
  13. 木下源吾

    木下源吾君 ただいま首相の御答弁は、北海道省設置して行くことに賛成のような御答弁に承わりましたが、私のお尋ねしておるのは、そのこと自体が、自治体の破壊であり、自治制度破壊であり、民主主義に逆行するのではないかという御所見を伺いましたので、この点について御答弁を願いたいと思います。  なお、正力大臣には、今現に北海道予算が進んでおるが、そのままで行くというけれども、その中に、五十億円の案と百二十億円の案とが並んで、まだ調整がついておらぬのではないか、そのような事態では、予算の過程に非常な支障があるのではないか。同時に、北海道開発で非常なる支障になると考えるので、その点もお伺いして  昭和三十年度(昭和三十年四月一日かおるし、もう一つは、あなたの会社案なるものが、外資を導入し、民間資金を入れて、そうして北海道開発幹線道路を作るんだと、そうしてそれが私は、軍事道路になる危険性が多分にあるのではないか、外資ひも付きが問題になるのではないか、こういうことをお尋ねしておるのであって、その点の懸念がないかどうか、こういうことを御答弁を願いたい。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  14. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お答えをいたします。  北海道省案というものは、ただいまできているわけではありません。検討中でございます。案がきまりましたときに御答弁いたします。    [国務大臣正力松太郎登壇拍手
  15. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) お答えいたします。  公庫案につきまして、廣川案と私の案と調整することに今努力しております。その見込みがついておりますから、御安心願いたい。それからなお、お前が考えておる道路というのは、軍用に利用されるのかと、もう軍用とかには絶対利用いたしません。全く平和のために作るのであります。どうぞ御安心願いたい。(拍手)      ——————————
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、原子力委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  内閣総理大臣から、原子力委員会設置法第八条第一項及び同法附則第一項但書の規定により、石川一郎君、藤岡由夫君、有沢広巳君、湯川秀樹君を原子力委員会委員任命することについて本院の同意を得たい旨の申し出がございました。  本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、参議院予備金支出の件を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。議院運営委員長石原幹市郎君。    〔石原幹市郎登壇拍手
  20. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件について、御報告申し上げます。  今回御報告いたしますのは、昭和二十九年十二月十日から昭和三十年十二月十九日までの間に支出されたものでありまするが、二十九年度分については支出はなく、三十年度分の支出額は二百七十万六千円となっております。参議院予備金予算は、二十九年度、三十年度ともにいずれも五百万円でありまするが、二十九年度分は、前回本議場において御報告いたしました百九十三万九千百五十五円の支出があったのみで、それ以後支出はなく、差引き三百六万八百四十五円が不用額となったわけであります。また三十年度分は、今申し上げまするように二百十万六千円の支出がありましたが、これを差引きますと二百二十九万四千円の残となっております。支出済額の内訳は、第一は、在職中死亡された故議員前田穰君及び大逹茂雄君に対する弔慰金でありまして、それぞれ歳費一カ年相当額、合計百八十七万二千円を支出しております。第二は、本年四月十八日、インドネシア共和国のバンドンにおいて開催されたアジア・アフリカ会議出席のため議員派遣に要した経費八十三万四千円であります。これらの支出は、いずれもそのつど議院運営委員会の承認を経たものであります。国会予備金に関する法律第三条の規定により、ここに御報告申し上げる次第であります。  何とぞ御審議の上、御承認あらんことを希望いたします。(拍手
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。本件は、委員長報告通り承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって本件は、承諾することに決しました。  次会議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、北海道開発に関する緊急質問  一、原子力委員会委員任命に関する件  一、日程第一 参議院予備金支出の件