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1956-05-23 第24回国会 参議院 文教委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十三日(水曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事            有馬 英二君            吉田 萬次君            湯山  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            剱木 亨弘君            白井  勇君            田中 啓一君            中川 幸平君            三浦 義男君            三木與吉郎君            秋山 長造君            安部キミ子君            荒木正三郎君            成瀬 幡治君            矢嶋 三義君            高橋 道男君            竹下 豐次君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    法制局参事官  町田  充君    文部省初等中等    教育局地方課長 木田  宏君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方教育行政組織及び運営に関す  る法律施行に伴う関係法律整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これより文教委員会を開会いたします。  まず、昨晩の理事会の経過について報告いたします。先日来の当委員会における文部大臣発言について、昨日の委員会において文部大臣に対し質疑を行なったわけでありますが、理事会においては、まず本件取扱いについて協議を行いましたところ、相手が酒気を帯びていた旨の大臣発言は、松沢一鶴君から実情を聴取した結果、その事実はなかったことを確認いたしましたので、委員長よりその旨御報告を申し上げます。本件の今後の取扱いは、なおその点以外の点についての意見の調整を要するので、報告を申し上げる段階に至っておりません。  次に、本日の委員会運営については、当初昨日をもって質疑を終了し、本日直ちに討論採決に入るべきであるという自民党意見と、逐条審議を本日行なってみた後、質疑が残れば、その際あらためて協議を行うという社会党意見が対立したまま、歩み寄りがなかったので、委員長から各章一時間の割合で計六時間をもって逐条審議を終了することを提案いたした次第であります。結局各会派に持ち帰られた上、重ねて協議を行なった結果、自民党側委員長の提案に賛成されたのでありますが、なお社会党は五日間の逐条審議を必要とするという御希望がありました。そこでさらに協議を重ねたのでありますが、十二時に至りましたので、本日は午後五時まで逐条審議を行い、その後の委員会運営については、五時からあらためて理事会を開いて協議を行うことに決定いたした次第であります。  以上御報告申し上げた通り取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 秋山長造

    秋山長造君 取り運ばれることにつきましては、私も党の理事の方から承わっておりますので、異議はございませんが、ただ、委員長の御報告最初の点でありました、松沢一鶴氏が酒気を帯びていたという文部大臣発言は誤まりだった、実は酒気を帯びていなかったのだということだけは、満場一致御確認になったという御報告でございますが、委員長にお伺いしたいことは、ただ文部大臣が誤まりだったということを理事会確認されて、そうしてただいまのような形で御報告をされて、それでもうその点は済みだ、ケリがついたというように委員長はお考えになっておるのかどうかということが第一点であります。  それから第二点は、酒気云々の点以外に、重要な問題点が幾つかあるわけですが、それらの点については、理事会で論議されたけれども確認されるに至らず、従ってただいまの機会に御報告されるまでに至らなかった、こういうことでございます。しからば、酒気云々以外の確認されるに至らなかった、従ってただいまの機会に御報告されるに至らなかった重大な問題点は、今後いかような扱いをなさるおつもりであるか。この二点についてお伺いしたい。
  4. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) そのほかのことについて確認したこともまだあります。これは大臣松沢一鶴君とのお話が一致しておりますので、あらためて委員長は申し上げなかっただけで、ただ酒気云々の点は、この速記録にも載っておりますので、委員長からこの報告をもって、そのことはなかったということを訂正をさしていただいたということでございます。で、その点も含めていろいろ御意見が両側から出ておりましたが、ここに御報告申し上げましたように、まだ両方の御意見を調整できたというところまでいっておりませんので、なおこれを理事会においてどうするかということを御意見をきめていただかなければならぬ、かように考えておりますが、委員長としてどう取り計らうのがいいかということを聞かれましても、委員長がきめた通り皆さんが御了承になるならよろしゅうございますが、これはやはり理事会において御了承を得る以外に方法はなかろうと考えるので、ここで委員長意見を、どうするかということを申し上げることは、差し控えたいと考えるのであります。
  5. 秋山長造

    秋山長造君 もう一回だけ。そういたしますと、酒気云々の点については理事会においてその点だけは確認したけれども、しからばその確認した点についてどういう扱いをするか、どういう結末をつけるかという問題と、それからそれ以外の点について委員会としてどう扱うかという問題は、いずれもきょうの理事会に持ち越された、きょうの委員会散会後の理事会においてあらためて御相談される、こういうように了承してよろしゅうございますか。
  6. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) そう考えていただいてけっこうだと思います。
  7. 秋山長造

    秋山長造君 了承します。
  8. 雨森常夫

    雨森常夫君 先ほど昨日の理事会の結果を御報告承わったのですが、お話しの、本日の五時ごろにこの委員会を終って、あとのことについては、また理事会を開いて協議する、こういうお話しでありましたが、本日の五時ごろに委員会休憩でありますか、あるいは散会後になったのでありますか。
  9. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) その点につきましては、散会とも休憩とも、理事会においてはおきめを願いませんでしたので、要すればお昼ごろこの休憩時間中に、理事会を開いてその点をきめてもよろしゅうございますが、委員長のつもりといたしては、五時に休憩をしていただいて理事会を開く、かように委員長としては解釈をいたしておった次第でございますが、理事会では確認をいたしておりませんでした。
  10. 秋山長造

    秋山長造君 その点はどうなんですか。今雨森さんからあらためてその点について問題が提起されたので、私ちょっと意外な感じを持ったんですが、(「提起したのじゃない、きのうの理事会の結果を……」と呼ぶ者あり)これはきょうは六時間逐条審議を続けて、大体そのめどは五時ごろに委員会を終ってそうして自後の処置、明日以後の処置理事会においてあらためて検討する、こういうように私は承わっておったんですけれども、その点はただいまの雨森さんの御発言並びに委員長の御注釈を加えられたところから承わることと、私の聞いておったこととちょっとこれは違う点があるんですが、五時に終る、委員会を終ってということを先ほど委員長報告の中でおっしゃったんですが、その終るという意味は、私はごく自然に何げなしに聞いておったんですけれども、それが終るという意味は、一応委員会休憩にしてという意味だということになると、どうもあとに何か含蓄のありそうなような感じを持つのですけれども、その点はいかがですか。社会党理事に対しても、ちょっと内輪なことで工合が悪いのですけれども、これは今問題が出たからお尋ねするのですけれども、私ちょっとその点が納得がつきがたいのですが。
  11. 湯山勇

    湯山勇君 私は午後五時というのは、もう大体常識的にその日の日程の終る時間です。そこで委員長の御解釈が私にはちょっと納得できないので、特に五時以後休憩して開くのであれば、そういう発言があるべきだったと思います。そういう発言が何もなかったわけですから、常識としては五時に委員会を終って理事会に入るといえば、だれが聞いても、これは委員会が終ってそれから理事会というふうに解釈するのが妥当であって、そういうふうに休憩してやるという場合には注釈がなければならないと思うのです。従ってきのうの話の確認はしなかったけれども、五時までやるということは、五時で散会して理事会に入ると解釈するのが、確認がなければ常識だと思います。
  12. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) でございますから、いずれにいたしましても、本日のこの逐条審議模様が、やはりかかっていることと存じますので、これはやはりそれを今からはっきりときめておくこともどうかと思うのでございます。たとえば五時に至ってまだちょうど審議のいいところが続いているようであれば、これは十分や十五分はそれでまた……、五時と申し上げましたけれども、そこで切るということも非常に不自然でございましょうし、一に本日のこの審議模様にかかっておりますから、この点は一つ理事会におまかせ願って、委員長といたしましては、先ほど申しました通り理事会において決定いたしましたところは、五時までは逐条審議を続けるのである、そこまでいって、そうしてその後において委員会運営についてあらためて理事会を開いて相談するのだ、これがきまったところでございまして、理事会できまっておりませんので、それ以上のことを申し上げることは、委員長解釈を申し上げた次第でございますけれども、これも解釈にすぎないので、確定をしている、確認をされたことではないというように各委員は御了承を願いたいと思います。審議に入りたいと思います。……安部君。
  13. 安部キミ子

    安部キミ子君 今のお話しですと、まだ質問の都合で、ちょうど五時きっちりというわけにいかなければ五時は五時十分でも、五時十五分でも延びるかもしれない、その十五分延びたところで、本日の委員会は終了する、こういう意味でございますか。
  14. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) いや、その点はまだきまっておりませんので、先ほど申し上げたのであります。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 もうこれでやめますから、ちょっとしばらくごかんべんを願います。これは今の与党さんの方の解釈は、私はどうも後で考えてとってつけられた解釈じゃないかと思う。いかがでしょうか。私はきのう聞いたことも、けさ聞いたことも、これは先ほど湯山理事からおっしゃったその通りです。ごく自然になだらかに聞いたので、そういう五時に終るという点を特に取り上げて、そうしてそれは五時に終るといっても、これは休憩をするので……、休憩をする以上は再開ということが前提とされている。そうすると再開あたり質疑打切りというようなことを出すというようなことまで、こう何か含まれているようなんですね。奥歯に物のはさまったような感じを受けるんです。そこらははっきりフェアプレーで、男らしく、はっきりやってもらわぬと、この逐条審議をやれ、やれと言われても、あとに何か待っているようなことでやれやれと言われても、これは抜き足差し足ということにならざるを得ないんですから、そこらはガラス張りで一つすっきりしておいて下さい。
  16. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 問題をこんがらかさないようにお願いいたします。
  17. 田中啓一

    田中啓一君 どうもいろいろ御発言がありますので、そのときの様子を一応申し上げておくのが、皆さんの御参考になるかと思うのであります。私はたしかその六時間を限って逐条審議委員長のお取りなしの案に賛成いたしますと言った際に、それならば六時間内は、あまり言いたくはないけれども質疑打切りの動議は出さないかという御質問がありまして、さようであります、こういう発言をしたことを覚えております。これは皆さんも御記憶であろうと思う。それからまた、六時間といったって十分超過したらいかぬというふうにも思っておりません。従って委員長は六時間といっても、およそ五時ごろになったならば、そこでまあその十分や十五分のことをかれこれ言うわけではないが、なお長時間逐条審議について御要求があるということも、問題が残っておるということもあり得るので、そういった問題をどうするか、こういうことをまあ相談しよう、従って一ぺん飯を食って夜でも一つやろうじゃないかという相談もあり得るわけなんで、そういった意味でゆうべなるほど委員長のおっしゃったように休憩するとも、散会するとも、継続するとも言わないで、お互い散会したわけでありまして、これはどうもやはり委員長かたくおっしゃるように、手がたくおっしゃるように、一ぺんそこのところをどうするかというのを、きょう昼でも理事会で御相談願うよりほかどうもお互いきまった確認はいたしておらないのだとかように思います。さような事情なんです、事情は。(「話が違うよ、少し」「違わないよ」「一応はっきりしておいて下さい」と呼ぶ者あり)
  18. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) どうぞ逐条審議にお入り願って、委員長においてはその点は最も(「質疑は打ち切らないということを約束しているのだから」と呼ぶ者あり)常識的に理事会においておきめ願いたいと思いますから、どうぞその点そう御心配なさらないで質疑にお入り願いたいと思います。   —————————————
  19. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案及び同法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案を議題といたします。  これより逐条質疑に入ります。まず、第一章について御質疑のある方は順次御発言を願います。
  20. 秋山長造

    秋山長造君 第一条についてお伺いしますが、その見出しのところに、「(この法律趣旨)」と書いてあります。この趣旨という意味はどういう意味なんでしょうか、その点最初に伺います。
  21. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは趣旨見出しに書いてある、ここの点についての御質問であろうと存じますが、この法律組み立てにつきまして、第一条に書いたわけであります。それを「(この法律趣旨)」と現わしたわけであります。
  22. 秋山長造

    秋山長造君 ただいまの局長の御答弁によりますと、この法律組み立てということだというお話しなんですが、まあ普通第一条には、大きな法律の場合は大ていこの法律目的という見出しになっている。それからこの第一条の文章を読んでみても、まあ内容についてはわれわれ問題がありますけれども、この形だけから見ましても、「この法律は、教育委員会設置学校その他の教育機関職員身分取扱その他地方公共団体における教育行政組織及び運営基本を定めることを目的とする」、「目的とする」とこう書いてあるのですね。だから第一条目的なんですね。ところがこの見出しに限って、この法律目的と書かないで、「この法律趣旨」と、条文内容とは別な言葉が使ってあるのですが、この点はどういうわけでしょうか。これは中に「定めることを目的とする」と条文自体がこれは目的規定であるということをみずからうたっておるにもかかわらず、見出し趣旨ということになっているのは、これは例のないことじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  23. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは字句といたしましては趣旨といい、目的といい、さほど区別はないと存じますけれども、ここにありますように、この法律教育委員会設置教育機関職員身分取扱その他地方公共団体における教育行政組織及び運営基本を定める、こういう何と申しますか、内容構成についてここに書いておりますので、こういう場合は趣旨と書くのが普通じゃないか。いずれにしましても、趣旨といい、目的といい、そう言葉としましては違いはないので、まあ趣旨という言葉を使ったのであります。
  24. 秋山長造

    秋山長造君 目的といい、趣旨といい、言葉の違いはないのだという議論ならば、それは私の質問も無意味だということになりますけれども、しかし私はそうじゃないと思うんです。これは現行法においても、第一条は「この法律目的」という見出しがついて、そうして条文も、云々することを目的とすると、こう現行法でもうたってある。それから今度の新法案でも、一条条文自体云々することを目的とすると、同じように目的ということをうたっているのですから、この第一条目的ということであることは明らかです。ところが、にもかかわらず見出しだけは現行法が「(この法律目的)」という見出しを使っているのと異って新法案は「趣旨」という言葉が使ってある。意味は同じだという理屈は、この場合には私は通らないのじゃないかと思うのですがね。意味は同じだというようなことをおっしゃるならば、なおさら条文自体が、云々することを目的とするという、目的規定であるということをみずからうたっているのだから、その見出しは当然「(この法律目的)」という言葉を、文字を使ってしかるべきではないか。なるほど局長がおっしゃるように、ある場合には目的とうたい、ある場合には趣旨とうたう例もあるようです、いろいろ法律を調べてみますと。教育関係でも教育公務員特例法の第一条は、やはり見出しは「(この法律趣旨)」、趣旨という言葉が使ってあります。しかし、その条文は今問題にしている法律案とは違いまして、云々について規定するという言葉が使ってありますね。教育公務員特例法の第一条を見ていただけばわかりますから読みません。云々、かようしかじかのことについて規定する、この法律は規定する、こういう言葉が使ってある、研修について規定することを目的とする、こういう言葉が使ってあるわけじゃないのですね。だからこの教育公務員特例法の第一条のような条文書き方で、そうして趣旨という言葉見出しに使うならば、それは話がわかる。この新法案の第一条はもう明らかに、云々することを目的とすると、目的だということははっきりうたってある。にもかかわらずこの見出しだけがその条文と異って趣旨という文字が使ってある。これは私は間違いではないか、あるいは間違いでなければ、何か局長がおっしゃるように、同じ意味だということ以上の何かおもんばかりがあって、趣旨という文字を使われたのではないかと推察するのです。これは趣旨目的というのは同じじゃないですよ。漢和辞典を引いていただけばわかります。目的というところを字引で引いてごらんなさい、趣旨ということは書いてない。趣旨というところを引いてごらんなさい、目的とは書いてない。違うんです。そこに何か特別なお考えがあって、こういう違う言葉を使われたのじゃないかと私は思う。その点について御解明願いたい。
  25. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 見出しつけ方の問題でございますけれども、ただいま御引用になりましたように、従来の法律も「趣旨」という見出しをつけたものがございます。おおよそ主としてその法律構成を第一条に出している、そういう書き方をしました場合には、「趣旨」というふうな見出しをつけることが多いようであります。第一条で、主としてその法律効果、その法律のねらっている目的効果、そういうものを書きました場合には、見出し目的とつく方が多いようでございます。その例にならったまででございまして、これは見出しでございまして、さほどおっしゃるように考えておりません。
  26. 秋山長造

    秋山長造君 それはね、局長簡単にそう言って、どっちでもいいのだというようにおっしゃるけれども、これは法律でしょう。教育行政憲法ですよ。その憲法の用語というものは、それはどっちでもいいのだ、同じことだというようないいかげんなことで私は書かれているものではないんですよ。一字一句それはゆるがせにできないものでしょう。たとえばこの条文がわれわれに配られてからあと訂正表が出ましたね。ミスプリントの訂正表が。あれなんか見ましても、句読点の、点やマルですね。あの句読点の打ち方の違いですら、厳重に訂正しておられるでしょう。点がマルになろうとマルが点になろうと、点が落ちようとついていようと、法律意味そのものに何も違いはないじゃないかということが言えるわけです。ところがこの法律という問題になると、一般の手紙だとか、あるいは小説だとか、論文だとかそういうものの場合とは違って、一点一句ゆるがせにできないものと私は考えるのです、これは。だから条文内容は、「目的」ということを使っておるにもかかわらず、見出しが「趣旨」というように食い違った見出しがついておるということは、これはやはり間違いでなければ、何か特殊なおもんばかりがあって、特にそうされたと解釈するよりしようがない。こういう場合には、こういう意味のことを内容にうたっておる場合には、「趣旨」と書くのが例だとおっしゃるけれども、そういう例があれば、一つ教えていただきたいのです。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと関連……。御答弁の前に、私も今の点について申し上げたいのですが、公職選挙法、これにも、調査室からいただいた資料ですけれども、「(この法律目的)」として第一条のしめくくりは「もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」「(この法律目的)」という見出しで「目的とする。」というしめくくりです。それから地方公務員法、これも第一条は「(この法律目的)」と見出しがついて、法律条文最後は「もって地方自治の本旨の実現に資することを目的とする。」と、しめくくりは「目的」です。それから現行教育委員会法においても(「この法律目的」)これは秋山委員が指摘の通り、「教育本来の目的を達成することを目的とする。」地方自治法においても同じですよ。国家公務員法、みな同じ。だから「目的とする。」という締めくくりのついておる条文については見出しは、「目的」と、こうなっていなければならないはずである、こういうことを指摘して秋山委員質問にお答え願いたい。
  28. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 先ほどから申し上げますように、この第一条法律内容を具体的にその構成を主として出したようなものにつきましては、第一条見出しは「趣旨」とするという例がございますので、その例に従ってやったのでございます。たとえば「目的とする。」と最後にあるから見出しに、「目的」とするという必ずしもそうじゃございませんので、たとえば、国家行政組織法見出し、第一条、「(総則)」とございますけれども、第一条にその目的を書いてあるわけであります。先ほど申しますように法律効果の、法律のねらっておる目的を主として第一条に書いてある、そういう場合と、そうじゃなく、その構成を主として出してある、これによりまして区別をいたしておりますので、その例に従いましてこれを「趣旨」といたしました。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 いやそれは局長違いますよ、あなた。この一条はこの法律組み立てを、この法律構成一条でうたっているんじゃないでしょう。この地方教育行政組織及び運営に関する法律、この法律目的は何かということを第一条にうたっておるんでしょう。だから第一条の論より証拠、ここに書いておられるんじゃないですか。「この法律は、教育委員会設置学校その他の教育機関職員身分取扱その他地方公共団体における教育行政組織及び運営基本を定めることを目的とする。」と書いてある、「目的とする。」と、あなたが今おっしゃるように法律構成とか、組み立てのことを書いているんだというんだったら、第一条はこういう書き方でなしに、第一条、この法律は、この法律組み立てを定めることを目的とする、か何かそういうように書かれなければいかん。この法律自体組み立てがどうあるべきかということを第一条がうたっているのでは全然ない。そうじゃなくしてこの法律というものは地方教育行政についての組織及び運営がどうあるべきかということをうたうのが目的なんです。だからやはり「目的」ですよ。これは今おっしゃるようなこの法律自体構成を第一条でうたっておるのだというようなことは、一条条文とは全然別なことです。これ含まれていないんだと思うんですがね。これは字句にこだわるようですけれどもね、これ重要なことだと思うのです。この第一条というのは。文部大臣いかがですか。
  30. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) ただいままで政府委員のお答えいたした通りでございます。
  31. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長関連。政府委員答弁した通りだというのではわからないのです。こういうことなんじゃないですか。この現行教育委員会法の第一条には「(この法律目的)」として御存じの通り書いてある。それと非常に違ってくるので、この「法律目的」と書けなくてまあ「趣旨」とした。それからまた、この方は教育公務員特例法の教職員身分取扱いもかなり入っているので、教育公務員特例法の第一条見出しを「趣旨」と書いて第一条をそれらしく規定しています。それでこれがちゃんぽんになって「(この法律趣旨)」と書き、条文最後を「目的とする。」かようにしたから、他の法律条文の並べ方と非常に違った形になって、秋山委員質問が出てきていると思うんですがね、はっきりした根拠がないと思うのですよ。だからどうしてね、ほかの法律と形態をかえて「定めることを目的とする。」としたのに、あえて「法律目的」としないで「趣旨」としたのはこうだという納得できるような説明ができなければ、局長の説明では納得できんわけです。
  32. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは先ほどからの御説明を繰り返すだけで、また繰り返してはなはば恐縮でございますが、第一条に書いていますところをごらんいただきますと、結局「地方公共団体における教育行政組織及び運営基本を定める」、こういうふうに「基本を定める」ということの中身を書いてある。そうじゃなくて先ほどおあげになりました、たとえば現行の教育委員会先ほど湯山さんからお引きになりましたけれども、これは何と申しますか、その法律のねらう効果と申しますか、そういうことを書いてある。そういう書き方をした場合には見出しに「目的」をつける。それからこの法律のような書き方の場合には、「趣旨」とつける。教育公務員特例法をごらんになりましても、中身のことにつきまして、「任免、分限、懲戒、服務及び研修について規定する。」こういうふうな書き方をいたしております。これには「趣旨」という見出しがついております。
  33. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまの政府委員答弁で大体はっきりしていると思いますが。
  34. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この法案が出てくる経過を伺ったら少しははっきりしてくるかと思うのです。それでその角度から伺いますが、当初文部省は現行教育委員会法の改正を企図して、そうして教育行政組織及び運営に関するこれを一本と、それから現行教育公務員特例法と関連のある職員の身分法のものを一本と、二本建を考えられておったと思うのですね。で、ここで私は伺いたいのは、そういう意味職員法案というものの構想が練られていたのですが、それはどういうことを立法内容とされようとしておったのか、それが一点と、その後、それが消えてですね、そして教育委員会法の改正案のこの中に、教育機関職員身分取扱いというのが入ってきて、それは当初の構想である職員法案というものが姿を没して本国会に出なかったわけなんですが、どういうお考えのもとにそういう方針を変えられたのか、当初考えられておった職員法案の構想と、それからそれをやめられて教育公務員特例法の中にあるところの一部をこちらに持ってこられたその理由と、それを一応伺えば、これに関連する答弁が出てくるのではないかと思います。
  35. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは第一条逐条審議をお願いしておる段階でございますから、政府の立案過程のことをここで申し上げることはいかがかと存じます。これは、いや政府部内におきましていろいろ考えたことはこれはございましょうけれども(「それを聞いているのだ」と呼ぶ者あり)しかし、政府の成案として提出しましたのはこの法律でございますから、それは事務的にいろいろな内部で考えたということは、これはあるかもしれませんが、しかし今お話したように、そうかたまったものを正式にきめて決定したということはございません。
  36. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 答弁して下さいよ、今二点伺ったでしょうが、それとこれが関連があるのですよ。それを聞かなければわからんでしょう。局長は不遜ですよ。ということは、これは私申し上げますから聞いて下さいよ。教育公務員特例法、これはこの第一条に書いてあるように、教育公務員の職務と、その責任の特殊性に基きと、この特殊性に基き教育公務員特例法が出たというのは、この法の一番眼目になっておる、ね、眼目になっておったわけですよ。ところがこの中から一部ですね、この法案の中に持ってきているわけです。その結果としては教育公務員の特殊性という教育公務員特例法の立法精神の中核となるべきものはぼけてきている、薄らいできています。それは当初あなたのところでは、教育公務員特例法の抜本的改正といいますか、世間に伝えられているのは職員法案というもので伝えられたわけです。それは考えられていたはずなんです。ところがその構想がつぶれて、そして教育委員会法の改正の中に織り込んで、そこでこの教育公務員特例法というものの特殊性というものが薄らいできた、ところが幸いに教育公務員特例法の第一条には趣旨という言葉がある、それから教育委員会法のところには目的と書いて、目的とするとある、それをちょうどちゃんぽんにしたような形がこの法律趣旨と、この第一条の終りが目的とすると、こういう形で出てきているわけであります。だからその経緯を聞けば、納得するような点が出てくるだろうと思うからお伺いしますと伺っているのです。それを答弁して下さいよ。
  37. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 第一条の規定におきましては、ただいまおっしゃいましたような関連はございません。この法律教育機関職員身分取扱いについて規定しておりますけれども、この法律におきましては、特に地方の公共団体におきまする教育行政組織運営に関しまして基本をきめておりますから、この法律の中に地方教育行政に関しまする教育機関職員身分取扱いを規定するのは適当と存じまして、こちらに入れたのです。教育公務員特例法の中に教育公務員の特殊性に基きます関係につきましては、なお規定がここにございます。ただこちらに取り出して参りましたのは、若干これに関係ございますけれども、こっちに規定しておりますのは、地方教育行政組織運営に関しまする部分をこっちに規定しておるわけでございます。
  38. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣に伺いますが、第一点は今後職員法案というものを出すことをお考えになって、この法案は出てきているのか、それが第一点。それから第二点は、教育公務員特例法は教員の職務とその責任の特殊性という立場からこの法律ができているのですが、たとえばですね、教育長とかあるいは教育職員の任用資格条件とか、それに伴うところの勤務条件とか、そういう特殊性は今度なくなるようになっておりますが、従来ですね、教育公務員の職責とその責任の特殊性から考慮されて参った、そういうことは今後おやめになるお考えか、この整理法案を見るとそういう点が現われているわけでございますので、その二点を伺います。
  39. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) この法規は私が就任して以来、党においてもいろいろ研究の上、立案を命じたものでございます。その過程において私は職員法なるものを別途立案することは嘱託したことはございませんので、この法律はこの法律通りでございます。あるいは立案者はこれになるまでにたびたび筆を取りかえたかもしれませんけれども、これはこの法律のみとどうか御了解を願いたいと思います。教育公務員特例法を今変えるという考えは持っておりません。  それから先ほど以来の政府委員答弁をその通りだと、先刻答えましたことについて、その通りではわからんということでございましたが、もう少し私の言葉で同じことを解明いたしますれば、この見出しはその内容を簡単につけて、後日法律を調べる人の便宜に供するものでございまして、従前には、戦前にはこのことがなかったんでありますが、本屋が勝手につけるといったような場合もございまして、このつけ方はその規定全体を見てですね、これが本質じゃということをまあ取ってつけるのですね。で、こういう同じような文字でも、これが目的だといった場合は目的とやる。これが全体総則に過ぎんという場合には、総則ともつけておるんです。そこでです、現在の教育委員会法は特に教育基本法にある尊い言葉をここに引きまして、なおそれに公正なる意味によって地方の実情に即した教育行政を行うために教育委員会を設けて教育本来の目的を達成する、こういうオブジェクティブな抽象的な大きな目的を書いておるので、これは私は目的と言ったんだろうと思うのです。この一番しまいのくくりの目的という字があるからというわけじゃなかろうと思います。公務員法のごときは、目的とは書いてありまするけれども、しいてそういうふうな歴史的使命というふうなことは書かないで、全体のことを書いておりまするから、先刻政府委員が引用したように総則とつけております。中は目的と書いてありましても。それから教育公務員特例法はやっぱりこれと同じような組織運営のことが書いてありまするが、これがやっぱり全体から見て尊い目的、使命といったようなことに重きを置かないで、さればといって単純な総則でもないから、やはりこの法律趣旨でやっております。それと似たような規定であって、その結びには目的とするとありまするけれども、前のものと比べてここに目的とするから目的とつけますというと、以前の法律目的は非常に崇高な使命を書いておるのに、今度の目的という表題はそれに合わぬということになりますから、むしろこれはやはりこの法律趣旨とか、あるいはこの法律構成とか、趣意とかいう方が、今回の一条によく合うのであります。一字々々の文字をもって終りに目的とするということを書いてあるから、ここに目的とするというふうに書かなければならぬことにも限っておりませんので、この法律趣旨と書く方が今回の一条にはふさわしい。これを、重ねて言いますが、この法律目的と書いて、今のやつをこう改正したというと、現在の使命観のようなものを書いているのが、今度この目的になるというと、目的が非常に通俗なものになってしまう、こういう解釈もするのでありまして、この法律としてはやはり趣旨と書く方が穏当だと、政府委員の初めから説明いたしておりまする組織、形態のようなことを書いているから趣旨としたと、こういう説明と同じ意味でありまするけれども、先刻重ねてのお問いでありましたから、また私重ねて申し上げておきます。
  40. 秋山長造

    秋山長造君 今文部大臣のおっしゃるこの第一条は、法律構成というようなことを書いておるのだから、「趣旨」でいいのだとおっしゃる。それはこの法律構成ということは、第一条ではなくて目次のところに書いてあるのじゃないですか。目次のところがこの法律構成でしょう。この法律はどういう構成になっているかといったら、第一章は総則、第二章は教育委員会設置及び組織、第三章は教育委員会及び地方公共団体の長の職務権限、第四章は教育機関、第五章は文部大臣及び教育委員会相互間の関係等、第六章は雑則、それから附則、これがこの法律構成だと思う。法律構成の中の一部門を占めておるところの第一条に、この法律全体の構成をうたうというようなことはあり得ぬことです。それは目次にちゃんとうたわれておる。第一条はあくまでこの法律目的なんです。一体この大きな法律を今突如として出したのは、何の目的で出したのかということは世間の人はちょっとわからぬ。だからどういう目的でこの法律は作ったのであるということを第一条にうたって、世間のあまり法律に詳しくない人は全部の条文をすみからすみまで読まなくても、とりあえず第一条を読めば、ははあこの法律地方教育行政組織及び運営基本を定めるという目的で作られたのだなということがわかるようにしてあるのが第一条なんです。一体この法律には目的はあるのですか。ないのですか。
  41. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) これも総括の質問でたびたび御質問になりましたが、この法律目的は、高遠な目的はやはり教育本来の使命を達成する教育基本法の目的であります。そこで申しまするが、日本の言葉目的というのがはっきりはしませんけれども、大体二つあるのですね。一つは使命といったような意味です。もう一つは対象ということですね。ドイツ語で言えばゲーゲンシュタンツという対象物のことを目的ということもあるのです。対象物じゃなくして当為使命ということを目的というのです。そこで今お問いになった目的は使命的意味目的であろうと思いまして、今答えておるのであります。しかしながら対象物という目的であったらここに書いてありまする通り教育委員会設置とか、それから職員身分取扱いとか、教育行政組織運営、こういうものを対象物という、ドイツ語でいうゲーゲンシュタンツといった意味目的です。しかしながらお問いの使命観ということであったら、日本の教育基本法、また基本法になくても日本人が考えておる教育、私は教育は教養と育成の詰まったものだと思います。国民の教育に関する使命を達成する、こういうふうに思っております。それで今回のこの一条は、使命観における目的は実は書かないで、今度第一条目的とあるというのは、こういうことを対象物とするというくらいの意味目的とあるのです。でありますから、国家行政組織法にも目的とするとありますけれども、あれは対象物とするという目的でありましたから、この見出しを総則とのみつけておる。今回は今の教育委員会法との連絡もあることでありますから、ここで目的とするというと、えてして、使命とするというふうに解されるというと、非常に中身と外と違いますから、やはりこれは趣旨とでも書いた方がよかったろうと、私は思うのであります。
  42. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 第一条を読みまして、私の一番強く感ずる点は、この法律を作る理由というのが明確でないという感じです。これは一般質問のときにも相当論議された点でありますが、そういう点で簡単にお尋ねいたします。それは現行法と比較対照いたしますと、非常に明瞭になるわけです。それからまた、他の法律と対照いたしましても、非常に明瞭であります。たとえば現行法では第一条に、この法律を作る理由というのが、明確になっております。読み上げますと、「この法律は、教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきであるという自覚のもとに、公正な民意により、地方の実情に即した教育行政を行うために、教育委員会を設け、教育本来の目的を達成することを目的とする。」というふうに、この法律を作った理由というのが、非常に明確に私は出ておると思います。それからたとえば地方公務員法を見ましても、先ほど読み上げられましたが、その第一条の後段において、「地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を保障し、もって地方自治の本旨の実現に資することを目的とする。」、こういうふうに法律を作る理由、この法律を制定する理由というのが非常にはっきりしてきておると思います。しかし、この政府原案の第一条を見ますと、こういう法律を作る理由が書いてないのです。先ほど局長から説明がありましたように、これは地方教育行政組織及び運営組み立てをこしらえるのだ、私は組み立てをこしらえるということはわかりますが、なぜこの法律を作る必要があるかというその理由を、少くとも第一条において明記する必要があるというふうに考えておるわけであります。ですから、そういう意味で、先ほどいろいろ質問がございましたが、私も全く同感でございまして、これはどうしても、この法律を作る理由というものを、この第一条において明確にする必要がある。なぜ組み立てだけを第一条に規定して、その理由を明記しなかったのかという点に疑問が残るわけであります。この点の御説明を願いたいのであります。
  43. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは先ほども申し上げました問題でございますが、要するに立法技術としての問題だと存じます。そこで現行法の規定は、これは教育委員会法でございまして、教育委員会についての理念と申しますか、そういうことを特にあそこに掲げたものだと存じます。しかし、このたびの法律はここにありますように、教育委員会制度を含めまして、さらにほかの分野にわたりまして地方教育行政組織運営基本を定めておりますので、かようなきめ方をいたしたのであります。しかし先般来一般質問で御質問もあり、御答弁も申し上げておりますように、教育並びに教育行政のよるべき基準、あるいはその目的、あるいはねらうべき効果といったようなものは、これは教育基本法にございますので、ここにあらためてそれを繰り返して書く必要はなかろう、それはもちろんでございますけれども、それは教育基本法に明定してございますので、ここに繰り返して書かないで、立法技術上かような形にして第一条を統一した、かようなことでございます。
  44. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教育基本法に書いてあるということですが、私は教育基本法には地方教育行政組織、そういうものについてまで規定しておらないと思うのです。教育基本法はさっきも読みましたように、教育が不当な支配に服することなく国民全体に対して直接責任をもって行われなければならぬということだけですよ。それだけなんです。それで、この法律を見ましても、地方教育行政組織及び運営に関する法律案となっておるわけなんです。これについて、第一条について組み立てというものを、これをきめていくのだ、こういう説明でありました。しかし、それ以前に地方教育行政組織及び運営に関するこういう法律を作る必要がどこにあるのか、組み立てばいいですよ。こういう地方教育行政をやるのに、こういう組み立てでやっていくのだということと、そういう地方教育行政組織を必要とする理由ですね、これは何にも教育基本法に書いてないですよ。根本精神はそこからよってくるのですけれども、この法律趣旨そのものは、やはりこの法律に書かなければならぬ、そういう点が抜けておる。これは教育基本法に書いてあるから、二重になるという性質のものじゃ私はないと思う。現行教育委員会法を見てもわかりますように、地方の実情に即した教育行政を行うために教育委員会というものを作るのだというふうにこれははっきり書いてあるのですよ。やはりそういう法律を作る理由というものがここに書いてあるのですよ。これはどうしても第一条に書くべき性質のものだ、こういうことを言っておるわけです。
  45. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまお述べになりましたような法律のねらいます目標と申しますか、そういうことを第一条に掲げるか掲げないか、これは御意見はございましょうけれども、私は立法技術の問題だと存じます。この法律におきましては、先ほどから御説明いたしますように、この法律趣旨といたしまして、教育行政組織及び運営基本を定めるのだ、こういうことを規定したわけでございます。
  46. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 文部大臣は何か、こういうような法律趣旨とかあるいは総則、目的、定義とかいろんなことがあるわけですが、こんなものは本屋が勝手につけたようなものだから、あまり意味がないというので、ここらあたりで軽く逃げていくようなつもりでおっしゃっただろうと思うのです。まあお年のせいか、私は弁護士をやっていたあなたとしては不見識だと思う。(「聞き違えているのだよ、そんなことは言うておらぬ」と呼ぶ者あり)何が聞き違いだ、聞き違いじゃない。本屋が勝手にこんなものはつける、こういうことを言っているのです。(「そういうことは昔あったと言うのだ」と呼ぶ者あり)だからそんなごまかしの法律をやっちゃいけない、法律として書いた以上は。
  47. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 質疑を願います。
  48. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 何か本屋さんが勝手につけるようなもので、あまり意味がないようなことをおっしゃる。そういうことは私はけしからぬことだと思う。少くとも法律として出した以上は、私は一言一句意味があると思う。まずその点について、こういう非常に軽いもので意味がないということについては一つ文部大臣にたしなめておきます。  そして次に伺いたいと思うのですが、一体見出しを今見てみますというと、大体目的というのが非常に多いようです。それからもう一つ定義というものが多い。その定義で出した場合は、定義でしめくくってあるし、あるいは目的で出した場合は、目的としてしめくくってある。趣旨で出した場合は、目的というのはないわけです。そこであなたの方は技術の問題だからというので目的として出した。逆に目的としてくくった場合に総則というものがあるわけだから、その論法を引き出してきて、目的趣旨でくくったって差しつかえないじゃないかというような御答弁があるわけなんです。そこで一つそう言うなら、その技術の問題なら、目的と対象をくくったものを趣旨とこうきめた、そういう他に立法の例があるなら例を一つ示していただきたい。
  49. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 第一の法律の各条文見出しでございますけれども、たとえば地方自治法の法規集を見ますと、見出しがございます。これは法律としては実はないわけであります。これは便宜で、先ほど大臣の御説明のように、よくわかるように便宜上これはどこでつけましたか、つけて行われておる、こういう法規集になっているわけであります。そういうことを先ほど大臣からも御説明があったわけであります。  それから最後法律条文目的とくくって、それと違う見出しをつけた例があるか……。(成瀬幡治君「いや趣旨」と述ぶ)それはちょっと私は今存じません。
  50. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと申し上げますが、委員長において内閣法制局の出席を求めましたところ、ただいま法制局参事官町田充君が出席されましたので、お知らせいたしておきます。
  51. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 存ぜぬということは、調べてなくてあるかないかということがわからぬという意味なのか、そこのところをはっきりして下さい。
  52. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私が今ここに存じないという意味でございます。
  53. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私も実は調べていないわけですが、それじゃ法制局の方にお尋ねしますが、一体こういう例はあるのかないのか、お聞かせ願いたいと思います。
  54. 町田充

    説明員(町田充君) 大体この法律条文見出しといたしまして、この法律目的と書くか、あるいはこの法律趣旨と書くか、こういう点についてのお尋ねのようでございます。
  55. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いや、そうじゃない、違うのだ。もう一ぺん言うが、第一条を読んでみますと、その一番しまいに「基本を定めることを目的とする。」、こうくくってある。そうして第一条の横に「(この法律趣旨)」とこう書いてある。「(この法律趣旨)」という場合は、総則であるとか、あるいは目的あるいは定義と、こう書いてあるのですよ、普通は。これで初めて趣旨というものが出てきたように思うわけです。しかも法律目的とこうくくった場合は、大体このカッコの中が大体目的にくくってあります。定義とくくった場合は、定義としてくくってある。目的としてくくった場合に、一つの例とし七総則としてくくった例はある。ところが目的をこうくくって、趣旨とこうくくった例はないように思うわけです。もしそういう場合があるのかないのか、実例があるなら、その実例を示してもらいたい、こういうことです。
  56. 町田充

    説明員(町田充君) 実例は今、私、具体的に思い当りませんが、こういう例がほかにあったと思います。あとでちょっと調べましてお答えをいたします。
  57. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしたら、私は実例が出ましてからあとそれに関連してまた質問しますから、質問を留保いたします。
  58. 秋山長造

    秋山長造君 この点は法制局の方で実例を出されることも一つの材料にはなるわけですけれども、それとは離れても、私問題はやはり残ると思うのです。先ほど国家行政組織法の第一条だって目的規定でありながら、総則という見出しがついておるじゃないかというお話がございましたが、これをお伺いしますが、六法全書の中にある国家行政組織法一条の頭のところになるほど総則ということが書いてある。けれども、これは先ほど局長がおっしゃったように、これは法律には本来なかったものを、ただ六法にまとめる場合に、便宜のために総則ということを入れたのではないかどうか、その点が第一点。それから第二点は、かりに法律に本来総則ということがあったとしても、これは何も「目的とする」。という第一条のみの見出しではない。ごらんになればわかるように、その総則として第一条、第二条があるのです。その全体の見出しなんです。だから少し長い法律だったら、総則は第一章を総則として、そうして第一条、第二条、こういうふうにやるべきものだろうと思うのです。その二点についてお伺いしたい。
  59. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私からまず申し上げますが、国家行政組織法見出しにつきましては、私たまたま、先ほど申し上げましたように地方自治法の方につきましては存じておりましたので、お答えしたのでありますが、国家行政組織法につきましては、やはり法律としましてこの総則というものが初めからついておったものだそうでございますが、今私確かめてみたのであります。それから今お話し通りだと存じます。この総則というのは、おそらく一条、二条を含めたものでございましょう。そういう意味でつけてあると存じますけれども、さようにこの見出しというものは、法律を見る人の便宜のために、これは最も適切な内容を適切に表現するものを選ぶわけでございましょうけれども便宜のためにつけるものでありますから、なるべく内容と即しなければならぬと思うわけでございます。こういうつけ方もほかの法律も例があるように私存じます。今お話しの点は第一条、第二条を含めて書いてあることと存じますが、いずれにいたしましても、第一条には目的とございますけれども、その目的という字を、字句通り見出しにつけるわけでない、かようなことは先ほどそういう意味で引用いたしたわけであります。
  60. 秋山長造

    秋山長造君 ですから国家行政組織法を即席で引用されて、これにだって目的のところで総則とつけてあるじゃないか、こうおっしゃることは、ちょっと私が今お尋しておることとは少し違うのです。それで第一条に返りますが、先ほど文部大臣は同じ目的と一口に言っても、使命観における高遠な目的、たとえば日本国憲法の前文のようなことを想定しておっしゃっておるのだろうと思うのですが、そういう目的もあるし、それからドイツ語のゲーゲンシュタンツという単なる対象という目的意味もある、こういうふうにおっしゃったのですが、私は目的内容が高遠であろうと、低級であろうと、そういうことを聞いているのではない。ほかの委員の方はそこまで突っ込んで聞いておられるのですけれども、私が聞いておるのは、こんな高遠だとか、低級だとか、こういう目的そのものの価値判断をしているわけじゃない。とにかくこれだけの法律を作るについては、目的ははっきりしておらなければならぬわけです。目的なしの法律ということはあり得ぬですからね。だから目的ははっきりしておらなければならぬ。その目的は何かといったら、これは第一条に書いてある通り地方教育行政組織及び運営基本を定める、これがこの法律目的なのだ。そうでしょう、そう書いてある。「目的とする。」と書いてあるのだから、それが目的なのだ。その目的が一体低級なものであるか、高遠なものであるかということは、これは別問題です。とにかくこの法律目的は、地方教育行政組織運営基本を定めることが目的なのだ。だから今もあなたのおっしゃるように、法律見出しというものは、読む人の便宜のために、最も内容に即した見出しをつけるのが例だとおっしゃるなら、なおさらはっきりこの基本を定めることを目的としてこの法律を作るのだということを条文に書いているのですから、書いている以上はなおさらこの見出しは便宜のために同じような言葉を使ってこの法律目的をこう書かなければ、読む人が迷うと思うのですよ。見出し趣旨を書いてあるし、内容には目的と書いてあるし、一体目的内容とどういう違いがあるのだろうか。すぐ字引でも引かなければならぬ、それだけの手数がかかる、そうでしょう。だから、そういうことがあるのだから、あえて目的と書かないで、趣旨と書かれたところに私の疑問が起っておる。いわんや先ほど矢嶋委員や、荒木委員から質問が出ましたような点を考えますと、むしろ邪推すれば、どうも現行法の第一条と比べて見て、現行法には目的として先ほど文部大臣言葉で言えば、使命観における高遠な目的、そういう高遠な目的がうたわれておるのに、今度はきわめてこう事務的な低い目的しかうたっていないので、どうも見出しまで目的と書くのは現行法に照していささか気がひけるので、目的と書くのもちょっと気がひけるから、趣旨くらいで遠慮しておこうかというような意味にさえとれる。まあそこいらはまだいい方です。もう一歩邪推しますと、これは、第一条目的というようなことをはっきりうたっおくと、今度教育基本法でも動かそうとするときに、動きのとれぬことになる。動きのとれぬことになるから、とりあえず今度の法律だけはきわめて事務的、技術的にこうやっておいて、そうしてほんとうの使命観におけるところの高遠な目的、その目的は今度臨教審に諮問して、そうして書きかえようというようなことまでちゃんと予想されて、あえてこういうふうに内容をぼかすような趣旨というような字句、すぐ意味のとりにくい言葉を使われたのじゃないのですか。それはだれが読みましても、目的という言葉は、目的とは何ぞやというようなことは、文部大臣がおっしゃるように、それはいろいろ解釈の違いが生まれてくるかもしれぬけれども、それにしても常識として目的といえば、非常にはっきりしているわけですね、感じは。ところが趣旨ということになると、これは目的という場合ほどはっきりぴったりきません。だから同じようなことだといって済ますわけにはいかないのですよ。やはりいろいろなことがこの趣旨というあいまいな言葉の中に含まれておるようにどうしても思える。いろいろなことを申し上げましたけれども、申し上げたことに対して要点だけでよろしいから、もう一度一つ答弁願いたい。
  61. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今まで申し上げましたことをまた繰り返すことになりますが、第一条法律書き方といたしまして、主としてこれは文章でございますから、はっきりそう分けてしまうわけにもいかない場合がございますが、主として法律内容構成をいたす場合と、それから法律の達成すべき目標と申しますか、効果と申しますか、そういうものを主として書く場合と両方書き方があると思います。そのいずれをとるかということは、私は立法技術の問題かと存じます。そこで、ここでその目的を書くか書かんか、その目的と申しますのは、その法律のねらいます大きな目標と申しますか、そういうことを書くか書かんかということは、それはいろいろ御意見があると思います。書いた方がいいという御意見も先般来あるようでございますけれども、政府としましてとりましたのは、そうじゃない、法律構成内容をここに示していくという方法をとったわけでございます。それは理由は先ほどから申しますように、教育行政教育の目標というものは、これは教育基本法に明定されておりますので、ここにさらにあらためて書く必要はなかろうということでございます。そこでこの見出し内容をなるべくわかるようにということは、そのつもりでございますけれども、これは先ほども引きました目的と書いてあるから目的と書かなければならぬということはないだろうということを、先ほどから申し上げておるわけでございまして、秋山さんも先ほど御引用になりました国家行政組織法におきましても「(総則)」とあります。第一条はまさに目的と書いてある。しかし「(総則)」と全体を含めて書いてあるのでありますから、これはまた一つのいずれにした方がいいかという問題だと思います。いろいろまあお考えをお述べになりましたけれども、そのほかの他意は全然ございませんので、御了承いただきたいと存じます。
  62. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) その他の実例があるかどうかということについて、法制局参事官からその例について発言したいということを求められております。
  63. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっとその前に。私もうあまり繰り返してお尋ねしませんけれども、今の第二段でおっしゃった条文目的と書いてあるから、見出しにも目的と書かなきゃならぬということは必ずしも言えない、これは私も認めます。認めますけれども、ただ、この場合は見出しをつけない場合だろうと思うのです。条文には「目的とする。」と書いてあるけれども、その場合は見出しをつけない場合だろうと思う。たとえば国家行政組織法の、先ほども言いましたが、第一条の肩のところに「(総則)」と書いてあるけれども、これは今言うような意味における第一条見出しじゃないのです。国家行政組織法の総則というものは、第一条見出しじゃない。これは第一条、第二条までの見出しなんです。だから少し条文の多い法律の場合ならば、むしろ第一章総則として、そうして次の行に第一条云々、こう書かるべきところを、これはわずかに総則に当るところが二ヵ条にすぎないから、そこで「(総則)」と前に書いただけで、それは決して第一条だけの総則じゃない。だからその例をお引きになるのは私は間違いだ、こういうことを申し上げたのです。ところがここは「第一章総則」として、そうしてその次に第一条があって、その第一条見出しとして「(この法律趣旨)」こう書いてある。だからこの場合と国家行政組織法の場合とは違うということを申し上げておる。  それから第二点は、局長が前段におっしゃった、この法律の大きな目的と第一条に書く場合もあるが、第一条に必ずしも書かなければならぬことはない、こうおっしゃる。それも私はその通りだと思います。だから私の質問は、今度の法律の第一条現行法の第一条のようなことをうたってないじゃないか、けしからんじゃないかということをお尋ねしておるんじゃないんです。それはもう別個の問題です。そうじゃなくして、この法律の大きな目的といえば、文部大臣のおっしゃるその高遠な目的、使命観に導かれた高遠な目的ということです。それは何もこの法律にうたってなくてもあっても、それは教育効果を大いに上げていく、国民教育のレベルを大いにあげていくということが教育目的であることはきまっているんです。だからそれをうたってないのがけしからんということを言っておるんじゃない。これはもうこの法律の第一条そのものについて、私は具体的に考えて具体的な御質問をしているんで、大きな目的云々とか、あるいは高遠な目的云々、あるいは現行法の第一条に含まれておる目的云々ということとは離れて、とにかくこの法律にはこの法律として目的があるんですね、目先の目的があるんです。具体的な目的があるんです。その目的は何かということをこの第一条にはうたってある、そうでしょう。うたってある。その目的は何かといえば、教育行政組織及び運営基本を定めることが目的だ、こうここへ書いてある。だからそれにあえて見出しをつけるならば、この法律目的と、こう書かれるのが当り前だと思う。にもかかわらずそれをあえて、あえてか偶然か何か知りませんけれども、しかしこの法律を十分練られた上で、これは使われたんですから、あえてこの「趣旨」という文句を使われたと思わざるを得ない。で、そこにどうもぴったりしないというか、すっきりしないといいますか、先ほど私が申し上げておるようなことまで邪推しなければならないような余地ができてくるんじゃないか、こういう御質問をしておるわけです。
  64. 町田充

    説明員(町田充君) 立法例といたしましては、昭和二十九年の法律でございますが、市町村職員共済組合法、これにやはりこれと全く同様の例でございますが、第一条は、条文の中は、「この法律は、」何々「について定めることを目的とする。」こう言っておりまして、見出しといたしまして、「(この法律趣旨)」という見出しをつけておる立法例もございますので、こういう形の立法も許されるんじゃないかというふうに考えております。
  65. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ちょっと申し上げますが、議長から本会議出席を求められたんでございますが、いかがいたしましょう。
  66. 秋山長造

    秋山長造君 それはけっこうですけれどももう一点だけ。(「本会議に先にいってこい、暫時休憩、何分間ですか」等と呼ぶ者あり)
  67. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 本会議は二十分ぐらいの予定でございます。十二時五十分、再開いたします。正確にお集まり願います。    午前十一時四十八分休憩    ————・————    午後一時十四分開会
  68. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 午前に引き続きまして、文教委員会再開いたします。
  69. 安部キミ子

    安部キミ子君 この一条を見まして、一条のまあ趣旨といいますか目的といいますか、そのことがはっきりしませんが、とにかく目的はこの教育委員会法の題目に書れてあります通りに、地方教育行政組織及び運営に関する法律案であるということがはっきりしたわけでありますが、最初総括質問のときに、大臣は、この法律教育委員会法すなわち現行法の一部修正であるというふうな意味のことをおっしゃいましたけれども、このように内容が、ほとんど大事な骨子が変っているということは、一般質問の結果、みんなが認めたところであります。そういうふうに大きく変革されておるこの教育委員会法が、名前そのものが変っているということ自体でも、私はこの法案現行法教育委員会法の一部修正どころの騒ぎではなくて、根本的に変えたものだと思いますが、大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  70. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) その答えは今回の法律の中の教育委員会現行法教育委員会とはどう相違するかとおっしゃるから、本質において二つの委員会は同じ本質を持っておると、こういうふうな意味で申し上げたのでございます。法律の規定自身は一部どころじゃない、全部、数量的には全条書き直しております。ひとり全条書き直したのみならず、今度は委員会以外のことも書いてあるので、地方教育行政組織運営を書いております。私が本質において相違しておらぬと言うのは、今の委員会と今後の委員会とが本質的に同様だと、こういうお答えをしたつもりでございます。
  71. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、この附則にもありますように、現行法は九月の三十日で廃案になるのですね。
  72. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 原則として。
  73. 安部キミ子

    安部キミ子君 ええ原則としてですね。そうしますとこの現行法が廃案になってですね、そうしてこういう新しいものが全然今大臣がおっしゃいましたようにもうほとんど根本的に変っておる。しかし教育法だけでなくて、地方行政の分から各連関法案をですね、ひっくるめた新しいものが生れてきたと、こういう形になっておるということは、大臣はお認めになっていらっしゃいますね。
  74. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それは認めます。
  75. 安部キミ子

    安部キミ子君 そういうことを認めておいでになります以上は、この現行法がなくなってですよ、そうしてこういうものが生れて、しかもこの法案の、いわゆる教育委員会法の目的というものが、なぜこの教育委員会法があの当時昭和二十三年に生まれなきゃならなかったか、こういう意味でですね、この法案目的というものがはっきりしておる、従来戦争前の教育のあり方でなくて、戦後の日本の民主教育を打ち立てるには、どうしてもこういう国民の手による教育が打ち立てられなければならないということの、いわゆる教育を国民全部が責任を持つという建前でこの教育委員会法というものができたわけなんですが、そこで第一条のその目的のところでですね、私は大臣最初おっしゃいましたこの現行法の一部修正ということは認められないのか、やはり従来のように、あなたがおっしゃいましたように、これはどこまでも一部修正だと、現行法の一部修正だということが成り立つかどうかということをお尋ねします。
  76. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 現行法の一部修正というのじゃないのです。現行法の一部修正のように筆をとることもできまするけれども、この案は現行法の一部修正じゃないのです。私がそう言いました言葉は、教育委員会の本質は変っておるかと、湯山さんでしたか矢嶋さんでしたかのお問いに対して、それは本質は変っておらん、今まで日本で経験のない複数合議体ではあるけれども、やはり執行機関なんだ、これが非常な大きな本質であり、何をするかといえば、まず第一に学校を管理する、教職員の身分を監督する、学校以外の教育施設、公民館とか、青年教育とか、文化財もこれに関与する、仕事もほとんど同じことだし、本質も今言う通り執行機関、町村の執行機関だ、こういう本質的のことが変っておらんと申し上げたので、規定は目で見てもわかる通り、全部変えました。現行法法律の一部修正でないことは、これはあなたのおっしゃる通りです。
  77. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、この法案の題目を見ただけで、これが教育委員会法の本質は変っていない、いわゆる現行の教育委員会法の本質を持った法律だということが感ぜられるでしょうか。
  78. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) そのお問いと私の答えと少しそごしておるのです。本質が違わんというのは、法律でなく、教育委員会というものの本質が変っておらんというのであって、法律自身は全部書きかえましたから、一部修正じゃございません。(「権限その他は変っているわね」と呼ぶ者あり)
  79. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、この新法ですね、今度出ました法律に、教育委員会法であるということがはっきり目的のところで書かれて、そうして今第一条としておるところのこの題目は、いわゆる現行法の第二条のところへ当るべきであって、やはり目的現行法の第一条のようにちゃんと書くのが、私は法の建前じゃないかと思いますが、どうなんでしょうか。
  80. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それはけさほどから政府委員よりお答えいたしておりまするが、また先日私も答えましたが、法律の初めにやや序文のような、プレアンブルの体でこの法律の目ざす目的、すなわち使命を書くということも荘重ないい書き方ではございますけれども、わが国ではそうはしないので、はやその使命という意味目的が、教育基本法であるのでありまするから、それを繰返さないで、すぐ実質のことだけにこれを及ぶように書いておるのでございます。現行の教育基本法の本法の目的と書いてありまするところは変えたのじゃございません。
  81. 安部キミ子

    安部キミ子君 ちょっともう一点。この法案の題目を見ましても、これが教育委員会法というような印象は受けられない。しかも、第一条目的の、目的といいますか、趣旨の中にも、この法案のいわゆるほんとうの目的というものが明示されていないのですよ。法の建前からすれば、私はこういう法律は、法案の作り方ですね、これは私はまだ不備なものだと思う。やはり現行法が全然なくなるのですから、この現行法の精神を生かす題目がここにちゃんと列挙されなければ、この法案の建前というものはそこなわれている。だから結局この法案というものは教育委員会法の精神を生かしたものでなくて、別のものが生れてきたと私はこういうふうに解釈するのです。その点は大臣も認めておいでになるように、もうほとんどが削除されて新しいものになっているわけですから、だからむしろ、この教育委員会法というようなことは、やはりこの法案から受ける印象、それから題目から受ける印象というものは何もない。何もないと言えば語弊がありますが、ほとんどがその精神というものがすたれてきている。私はこういう意味で、最初大臣がこの新しくできた法律は、現在の委員会法の精神を生かしたと、こういうふうにお話しになりましても、実は承服できないのです。せめてこの目的なり、何かがはっきりここに列挙してあれば、なるほどここの教育委員会法の精神だけは、こちらに移し植えられてわかると思うのですが、私その点遺憾に思いますが、大臣はどうなんでしょうか。
  82. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 私は遺憾に思わないのです。地方教育行政というのは、委員会だけじゃないのです。委員会も、ほかの地方教育行政もあるので、委員会は地方行政組織の大きな部分でありまするけれども、一部分であります。こういうふうな立て方をいたしましたのは、そこに法規がございましょうか……、わが国の憲法の九十二条に「地方公共団体組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」それで地方公共団体組織運営法律できめる。これは地方公共団体のうちの教育に関する部分の組織運営であります。そのうちに、地方公共団体の行政のうちに、大きな部分をなす教育委員会というのがそこに没入しているわけです。ですから新聞では新教委法案とお書きになるけれども、これが教育委員会だけの法律じゃございません。町村長のなす教育の事務も書いておりまするし、それから学校のことも書いておりまするし、すなわち地方公共団体のなす教育に関する組織運営を包括したものであります。けれども教育委員会のことは、非常にたくさん書いてありまするから、新聞じゃ新教委法案と言いますけれども、この日本の法制の組織でありましたら、地方行政の組織なんで、地方行政のうちで地方教育行政組織運営地方教育行政のうちの大きなものが教育委員会であることはその通りであります。こういう物の考え方なんです。
  83. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、ただいま大臣が御説明になりましたように、この現在の教育委員会法の精神というものは、あまり取り入れてない。まあ刺身でいえばつまぐらいなところだ、まあ極端に言えばそういう目的で今度の法律案が作成された、そういうところに意図があったということなんでございますね。
  84. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 刺身のつまじゃございません。(「何ですか」と呼ぶ者あり)それは地方教育行政のうちの一番大きな部分は、教育委員会でございますということを、先ごろから繰り返して申し上げておるのであります。ほかのこともつまじゃございませんけれども、いわば町村長の教育の権限、第二十四条がありまするが、あの方がいわばつまのようになるわけなんです、おもなことは二十三条の方なんですから。
  85. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、まあ大臣のおっしゃいましたことを百歩譲って、私はこういうふうに考えるのです。そうしますと今の教育委員会法というものが性格が変ってきた、本質的には性格が変ってきた、こう解釈してよろしいのでしょう。
  86. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 今の地方教育行政一般のうちに、教育委員会のことが規定してあります。この教育委員会の本質は変っちゃおりません。なお、つけ加えて申し上げまするが、日本の法律は戦後逐次できましたから、今までは組織的の地方教育行政組織運営という一般法はなかったんです。ばらばらにいろいろな法律に入っておりまする。それを今度は法典化して地方教育行政法というふうにこれは出しましたけれども、正直にいえば、そのうちの大部分はあなたのおっしゃる通り教育委員会法なんです。しかし、ほかのものもまじっております。個条も少いし、事項も少いけれども、地方教育行政のことをまずこれで一つの法典としてモディファイしたものでございます。その中に包含されておる委員会は、現在の委員会と本質においちゃ同じことであります。改正法でありまするから、全部同じじゃございませんが、本質といえば、それが合議体であるけれども、公共団体の執行機関だ、しかも独立性のある執行機関だ、何をするかといえば、教育、文化のことをやる執行機関だ、この本質というものはちっとも違わないのです。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣、あなたがそういうことを言っていると、これは先に審議が進まんで困るのだが、ざっくばらんにこれだけ認めようじゃないですか。今度の改正で、あと質疑で出てくるわけだが、教育委員の選任の仕方も変ってきたので、教育委員会委員構成も変ってくるでしょう。また、あと逐条審議で出てくるわけですが、教育長の質的変化も生ずるわけです。それから法の改正によって教育委員会の権限にも相当大幅の変化があったわけだから、これだけのことははっきりしているわけですね。現行教育委員会よりも、新法成立後における教育委員会は、その権限が狭まってきた。従って、教育に対する責任の度合いも、現行教育委員会よりは、その程度が若干薄くなると思うのです。権限が縮小されるわけです。それから現行教育委員会法下におけるよりは、新法成立後における文部省、文部大臣発言権、影響力というものは、現行よりは、よしあしは別として、ともかく強まったことは事実だ。これだけのことははっきりしているですね。それをはっきり認めて先に行かんと進まんですよ。本質とか性格とか言っていると、あなたはいろいろ言葉を左右にするので、それだけをお答え願います。
  88. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それはこの法律自身で御判断願いたいのですが、今安部さんの御質問は、本質が変っておるかどうかとおっしゃるので、本質は変っておらぬ。ほかのことは変ったところは相当ある。むしろ変えるのが目的であったのです。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから、実質的には僕の聞いたようなことを質問しているわけだ。そうでしょう。
  90. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 権限のことも変化しております。文部大臣の仕事も変っております。それは認めます。ここに書いてあるのですから。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どういうふうに変った。私が言った通り……。
  92. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) あなたのおっしゃる通りという言葉を全部承認するわけにはいきません。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どこのところが承認できませんか。
  94. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) それを言えば、この法律の全部を言わんなりませんが、権限のことも、それは変ったには相違ないのです。今までの権限と、たとえば二十四条の終りの三つのことは、従前は教育委員会であったのが、今度は町村長になっておる。(「要点を簡単に」と呼ぶ者あり)それからして、今までは措置要求ということがなかったのが、今度は文部大臣の措置要求がありまするから、そういう変化は、もう私が認めないったって、ここに書いてあるのです。それはその通りなんです。
  95. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ私もあまり長くはいかがかと存じますから、簡単にお尋ねしたいと思いますが、何か例はないかと、こういう話でしたが、一つあるというお話で、市町村職員共済組合法といういい例が出てきたんです。これをならっておやりになったのじゃなくて、やはり局長の話を聞いておりますと、実はこれがあるからやったというのじゃなくて、今まで例でいうならば、やはり法律目的というようなのが普通の原則的な立法技術としては多くとっておった例なんです。それをわざわざ探してみたらあったぐらいの例と申しますか、そういう珍しいことで趣旨ということをお書きになったのだから、それは別段他意がない、目的趣旨というようなものとあまり言葉も違わんから、そう他意はないのだ、まあしいていえば、大臣言葉でいえば、このカッコの中はアクセサリー的なものだから、そう他意はなくてここに書いたのだと、こういう意味に了解していいわけですか。
  96. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 他意はないと、私そういう言葉を使って午前中に秋山さんの御質問にお答えいたしております。これは、秋山さんの御質問が、いろいろ邪推をするのでどうかというお話しでございましたから、そういうことはございませんから、御安心を願いたいという意味で、他意はないと申し上げたわけでありまして、見出しに「趣旨」と使いました理由は、これは午前中に申し上げました通りでございまして、書き方としまして「趣旨」と使う場合と「目的」と使う場合、主として法律内容構成を出します場合には、「趣旨」という使い方をしておりまするし、それからそうじゃない、法律の使命でございますとか、そういうことを出しておる場合には、「目的」という見出しをつけておる、そういう例にならったんだ、こういうことを申し上げたわけでございます。先例として、立法例としてお尋ねがありましたのは、本文の中で目的としてしめくくっておる条文で、その見出しを「趣旨」としたものはあるかないかという御質問でございましたから、私自身はそのとき存じませんでしたけれども、法制局の方から立法例をお示しになったわけであります。ただ、一条趣旨という見出しをつけた法律はたくさんございます。それは私も午前中申し上げたようなことでございます。そういう先例にならい、私今申しましたような理由で、趣旨と書いたわけであります。
  97. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣にお尋ねしますが、大臣、あなたが提案の責任者なんだが、目的じゃなくてこういう数少い例でやられた趣旨ということは、またあとにたとえば教育基本法だとか、その他教育法律をすぐ変えなくちゃならん、だからここに趣旨を使ったのだというような、そういう意味ではないわけですね。大臣、どうですか。
  98. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 政府委員の申した通りでございます。これは第一条の全体から見て、この法律趣旨を書いておる、そこを押えて見出しに「趣旨」と書いたのでございます。
  99. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あのねえ大臣、私はそういうことを聞いておるのじゃない。あなたは教育基本法を改正するとか、ほかのものもそういう前提のもとに立って、このことで何かあとでいろいろなことが起るといかんから、そこでここで趣旨という言葉を使ったのだ、そういう意味じゃないですねと、こういうのです。
  100. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) これには、教育基本法を改正するなんということは含んでおりません。
  101. 秋山長造

    秋山長造君 法制局参事官へ、午前中の私の質問に対する御答弁について三点だけお尋ねします。まず第一点は、午前中私に例があるかということで御答弁になった市町村職員共済組合法ですが、市町村職員共済組合法の第一条は、なるほど条文では目的と書きますから見出しでは「趣旨」と書いておるのですが、これはもちろん便宜のために本屋がつけた見出しでなしに、法律そのものに最初からついておった見出しだろうと思いますが、その点とそれから今のところこの先例としては、市町村職員共済組合法の一条しか法制局の方でもおあげになっていないのですが、その他にどれくらいこういう例があるのかどうか、これが第一点です。第二点は、あなた方は立法の実務に当っておられるわけですが、この立法技術上「趣旨」とうたう場合と「目的」とうたう場合とどう違うのか、何かその使い分けをする根拠がおありになるのか、この点が第二点。それから第三点は、今のところ市町村職員共済組合法一つしか例があがっていないのですが、おそらくこういう例は非常に少いと思います。一体なぜそういう例が少いのか、何かそういう例が非常に少いということには理由があるのか、それからまた、私自身は市町村職員共済組合法の第一条と今度の法律案の第一条とはだいぶ性質が違うという見解を持っておるのです。で、市町村職員共済組合法の第一条は「この法律は、地方公務員法の精神にのっとり」ということで大きな柱が一本入っているのですね。ところが今度の法律の第一条は、たとえば教育基本法の精神にのっとるとか何かというような、そういう柱が入っていないのですね、いきなり書いておるわけです。だからおのずから性格が違うと思いますけれども、しかし、とにかく今度のようなこういう教育基本を定める重大な法律の第一条として、何ゆえに目的ということが書いてあるにもかかわらず、見出しだけは趣旨というようなあいまいな見出しをつけることが一体適当なのかどうか、この三つの点についてお答えを願います。
  102. 野木新一

    政府委員(野木新一君) ただいまの御質問の点につきまして、主任の参事官にかわりまして私からお答え申し上げます。法制局におきまして法案を立案する際に当りまして、「この法律目的」とか「法律趣旨」ということについて、まずどのように考えているのかということについて申し上げます。実は法律目的とか趣旨とかいうことをうたいまして法律案の冒頭に書くようになりましたのは、御承知のように終戦後の立法の形式であるわけでありますが、初めのころは「法律趣旨」という言葉は少くて、大がいのは「法律目的」とか単なる「目的」というように使っておったわけであります。ところがその後だんだん反省してみますと、本法のように、たとえば「この法律は、教育委員会設置、」云々教育行政組織及び運営基本を定めることを目的とする。」というような場合におきましては、全体を通じてみればこの法律の達成しようとする使命をうたったというのではなくて、むしろこの法律内容を、趣旨をうたうことになるのじゃないかというような議論がありまして、むしろこういう場合には「法律目的」としないで「趣旨」と使った方がいいのではないかというような議論もだいぶありまして、むしろそうした方が適当じゃないかというような議論が強くなりまして、最近の内閣法制局から出す案は、どちらかというと、そういうような趣旨で立案してきておると存じます。しかしながら、これもまた、いろいろ議論があることでございまして、まだ確然とそれのみに限るというほど、必ずしも統一されてはいないのではないかと存じますが、大体の使い分けといたしましては、先ほど緒方局長が申し上げたような感覚でおるわけであります。そうして最近の法律におきましては、目的と書いた場合には、形は何々を定めもって何々をすることを目的とするというようなことをうたっておるのが多いと承知しております。ところでこのように条文の中に「目的とする。」として、しかも見出し趣旨と使った例があるかと申しますと、私はおそらくはかにもあるのではないかと思いますが、はっきりしておるのは、先ほど申し上げた市町村職員共済組合法ははっきり思い出します。あとは調べてみることにします。(「新しい法律はこれからそういうふうにスタイルを変えると言っておいてあとないというのはおかしいじゃないか、防衛庁設置法だって目的になっておるぜ、これは二十九年六月九日、市町村のやつは二十九年七月一日」と呼ぶ者あり)
  103. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) どうぞ発言を求めて下さい。
  104. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 先ほど申しましたように一応そういう議論がありましたが、一応そういうことがよいのではないかという議論がありましたが、必ずしも全部それに統一されておるということにまだいかないということを、今申し上げたわけであります。(「何べん聞いても同じだ、保留していこう」と呼ぶ者あり)この法律におきましても、むしろこの内容から見ますと、今言ったようなところから申しますれば、むしろ趣旨とした方が妥当でありますので、この法律の立案に際しましては、今言ったような趣旨から、見出しは「(この法律趣旨)」とした次第であります。これが適当かどうかと申しますと、やはり私どもの考えといたしましては、この法律目的、あるいは趣旨といったような場合には、先ほど一応議論になったといったようないきさつから申しまして、私といたしましてはこういう場合にはこのように法律趣旨としたい、それから法律のよってもって達成したい目的を書く場合には、法律目的とした方がやはりよいのではないかと現在は思っておるわけであります。
  105. 秋山長造

    秋山長造君 もうこれだけでこの点はやめますが、結局今法制局の方の御説明を伺いましても、やはり趣旨目的趣旨という見出しを使う場合と、目的という見出しを使う場合の使い分け、あるいは使い分けをする何か一つのしっかりした基準、根拠というようなものは確立されておらない。法制局自体、立法担当者自体の間でいろいろな議論がある、そうしていまだに結論的なものは出てない、従って趣旨を使う場合はこうこうこういう場合、趣旨という意味はこうこうこうだ、目的という見出しを使う場合はこういう場合、そうしてこういう意味だということは、はっきりしていないというように了解をいたしますが、その通りでよろしゅうございますか。  それから第二点は、この市町村職員共済組合法以外に、今問題になっておるような条文の中では、目的とうたいながら見出しでは趣旨とうたっておる例があれば、これは後刻資料として御提出を願いたい。この二点。第一点はお伺い、第二点は資料提出のお願い。
  106. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 趣旨目的の使い分けにつきましては、先ほどるる申し上げましたように、その法律のよってもって達成する使命をうたう場合を目的とし、そうでなくてその内容なり趣旨を説明するというような場合には、趣旨という見出しをつけた方が適当ではなかろうかという点は、寄り寄り協議いたしまして、まだ絶対それのみに限ろうところまでに結論はいっていませんが、大体そっちの方が強いわけであります。しかしながら、実際の使い分けといたしましては、今までもそうあまり意識して使っていませんので、たとえば御指摘の防衛庁設置法のようなもの、あるいはこれは今の考えからいえばこの法律趣旨とした方が適切かもしれません。そういうようなわけで、まだはっきり片っ方が全然いけなくて他の方でなくてはならないというように画然と統一というところまでいっておりませんが、将来の方向としては、ただいま私が申し上げたふうにした方がいいのではないかと存じておる次第であります。
  107. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 資料の点はよろしいですか。
  108. 野木新一

    政府委員(野木新一君) それからもう一つ資料の点は、さっそく調べまして御報告申し上げます。
  109. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 第一章を終ります。  第二章教育委員会設置及び組織に入りたいと思います。第二条は、よろしゅうございますか。
  110. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 第二章第二条は、教育委員会設置単位に関係のある条項であると思うんです。この問題は非常に従来から議論の多い点であったと思うんです。都道府県の場合はその規模はそう大して大きな差異はない。しかし、市町村の場合は非常に違うと思うんです。三十万、四十万という人口を持っている自治体、それから三千か四千しかない自治体、そういうものがあるわけですが、それに一律に設置するということについてですね、相当従来から議論があったところであります。これを一律に考えるということについて、何か文部省において検討されたことがあれば、ちょっとこの際説明していただきたいと思います。
  111. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) およそ教育事務につきまして、市町村がこれを取り扱って参るという建前を前提といたします限り、市町村に独任制の市町村長のほかに、合議制の独立の執行機関でありまする教育委員会設置していくということは、教育の伸展の上から考えまして、必要なことであると考えたわけでございます。市町村が特に、まあ市町村の教育事務のうちで一番中心になりますのは、学校運営、管理であります。市町村が学校運営、管理いたしまして学校教育を、社会教育もございますけれども、進めていくにつきまして、そこに市町村長のほかに、やはりこういう独立な機関を設けることがぜひ必要であるというふうに考えた次第でございます。ただいまお話しのように、設置単位につきまして、いわば規模の非常に小さい市町村まで一律に設置することについてはどうであるかというお話しでございますけれども、しかし、規模のいかんにかかわらず、教育事務を市町村が担当いたしますにつきましては、やはり教育の振興という観点から申しまして、ぜひ必要だと考えました。ただ、町村合併が現在進行中でありまするが、人口等の町村合併がまだ進んでいなくて人口等の非常に少い、狭い町村もございますから、そういうところでは、特別なやり方といたしまして、特に委員を三人にすることもできるという規定を別に設けておる次第でございます。
  112. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その二条で私はお教え願いたい点があるのですが、それはこの二法案を調べてみますと、二十三年に規定する事務の全部を共同する組合の教育委員会設置したところの市町村には、教育委員会は設けないが、その二十三条に規定する事務の一部を共同処理する市町村には組合の教育委員会以外に個別の教育委員会を設ける、こういうふうになっていると私は記憶しているわけですが、念のためにこの私の見解が相違しているかどうかということと、それから私お教え願いたいというのは、二十三条に規定する事務の一部を共同するために、この幾つかの市町村が共同で教育委員会を作るという場合は、どういう事務を対象として作ると予想されるのか、また、現在かような一部の事務を取り扱っている市町村組合の教育委員会というものが全国にどの程度あるのか、資料をお持ちだろうと思いますから、その点お教え願いたいと思います。
  113. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまの一部を共同処理する市町村の組合はどういう組合であるかというお話しでございますけれども、いわゆる学校組合等はこれに当るわけであります。学校を共同経営していくという組合がございます。ちょっと今資料につきまして地方課長からお答え申し上げます。
  114. 木田宏

    説明員(木田宏君) 教育事務の一部につきまして組合が設けられております数は今年の四月一日で四百二十ということになっております。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どういう事務を主としてやるように……。
  116. 木田宏

    説明員(木田宏君) これは高等学校の組合、中学校設置するための組合、小学校設置するための組合、高等学校、中学校設置する組合、中学校と小学校とを設置する組合、その他ございますが、そういった形態のものがあるわけでございます。
  117. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ちょっと先ほどの御質問に答え残しがあったと思いますけれども、ただいまおっしゃいましたように、第二条におきましては、第二十三条に規定します事務の全部または一部を共同処理する市町村の組合に教育委員会を置きます。ただし、この第六十条でございますが、組合に関する特例の規定を設けておりまして、市町村が第二十三条に規定する事務の全部を出同処理する組合を設ける場合におきましては、その組合を組織する市町村の方には教育委員会は置かない、こういうことでございます。先ほどおっしゃった通りだと思います。お答え残しましたので、つけ加えておきます。
  118. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この市町村の組合に教育委員会を置く、こうなるわけですが、その場合にこういうことが予測されると思うんですが、たとえばAの村に一部、全部でなくて一部を共同処理するように一部のものができる。AとBと相談して、Aの村とBの村と一緒になる、そうするとAとBが一緒になったところに教育委員会一つできる、もう一つは他の残った部分を処理するところのAの村にも教育委員会ができる、Bの村にも教育委員会ができる、そういう二段建と申しますか、そういうことは予測しているわけですね。
  119. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 理論上はそういうことは起り得ます。
  120. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、その場合にAとBとの村にできる、そうしてしかも、AとBとを一緒にしたものができるとすると、その委員の数は、委員はどういうことになるのですか、その次の組織にも関係してくるわけですが、そういうことを予側されておるということになると、Aの村Bの村におのおの三人がおって、そうしてだから六人になるわけですが、今度一緒になった、合同した場合もこれは三人でなければならんと思うのですが、そういう人は別々に教育委員を任命することになるのか、あるいはAあるいはBの村の三人の中から任命されてくるということも、これは予測されるのですが、一応あなたたちはどういうことを一体予測して、ここに設置単位をこういうふうに入れておるのか。それから今後そういうことで何か問題が起きるのじゃないかと思うのですが、そういうようなことについてすべて予測されておる問題があると思います。それについてはこういうふうに指導と申しますか、助言等を与えていくのだというようなことでもあると思うが、ついてはそういうような点もあわせて一つお聞せ願いたいと思います。
  121. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今おっしゃいましたように、これは三人というお話しでございますが、五人でございます。原則は五人、組合におきましても五人でございますが、で、A村B村とありまして、そうして、A村、B村で一部を共同処理する組合を作りました場合に、その組合の教育委員、これはやはり五人でございますが、これをどういう観点で任命するかということは、これはA村、B村にかかわらず任命ができるわけであります。これは兼職の禁止を除外いたしておりますので、A村、B村の教育委員の人が兼職することもできますけれども、そうじゃない場合もあり得るわけであります。
  122. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 局長さん、そういう場合に議会の承認を得て云々ということになるわけですね。そういう場合にどこの議会でどうやっていくかというような、議会の承認を得なければなりませんね。議会の承認というか、議会が推薦するわけですね。そういう場合に五人としますと、たとえばAの村が三人、Bの村が二人でやるのだというようなことは、Aの村とBの村と分け合ってやっていくのだということは、どこに書いてあるのですか。そういう場合にはどうもこの法律の建前からいうとおかしく聞える。私はそういうことがないのですから、おかしいことになるのじゃないかと思うのですが、そういうようなことも、私はあなたの方が予測されておることだと思うのです。それからあるいは事務の問題、それからいろいろな問題が出てくると思う。たとえば教育長をどこにやるとか、事務所をどこに設置するとか、委員会の事務局をどうするのだというような問題について、一切あなたは予測されておると思うのだが、そのことを一つお聞かせ願いたい、こう言っておるのです。
  123. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまの最初お話しでございますが、組合に教育委員会設置いたしまして、委員を任命いたします場合には、それは組合の議会の承認を受けるわけでございます。それから六十条の規定がございまして、今お話しのような点はこれは規定しておるわけでございまして、六十条の二項をごらんいただきますと、先ほど申し上げましたのは第四項でございまして、「二十三条に規定する事務の一部を共同処理する市町村の組合に置かれる教育委員会委員は、第六条の規定にかかわらず」、これは兼職禁止の規定を六条できめております。教育委員は他の執行機関として置かれる委員会委員を兼ねちゃいけないという第六条の規定がございますが、その規定の適用を排除いたしまして、「その組合を組織する市町村の教育委員会委員と兼ねることができる」こういうことになっております。それからなお第二項に規定がございまして、「市町村が第二十三条に規定する事務の全部又は一部を共同処理する組合を設けようとする場合において、当該市町村に教育委員会が置かれているときは、当該市町村の議会は、地方自治法第二百九十五条の議決をする前に、当該教育委員会意見をきかなければならない」、こういう規定を作っておりまして、六十条に手続規定は書いてあるのであります。
  124. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もうあと問題が起りそうなことはないわけですか。そこら辺のところだけ、まあ、その一点だけに限って、こういうようなことにして問題がありそうだからと予測されていることはそのくらいのことでしょうか、立法されるときに。この一部を共同処理する市町村の組合に教育委員会を置くと、こういうことをあなたの方が言われたわけですね。それであとでそういうようないろいろな問題が起きるようなことを、ほかには予測しておいでになりませんか。
  125. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは六十条全体組合に関する特例でございまして、申し上げますならば、一項、二項、三項、三項も関係ございますし、四項とそれから第五項には、組合の設置、解散その他の事項については、これは地方自治法地方公共団体の組合に関する規定でございますけれども、この全部の規定によるほか、政令で特別な規定を定めるという配慮をいたしているわけです。
  126. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あと問題はないわけですね。そうしますとこれはおかしいので、第四条の任命のところにちょっと入らなくちゃならんことになるわけですが、AとBとの一緒になった教育委員を任命するのは、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する、こうなっているわけですから、そうしますと、教育委員会をAとBとでやるときには、その地方公共団体の長やあるいは議会の人たちが話し合いまして、三名を出すところと二名を出すところと話し合って解決して、Aのものが三名なら三名にした場合に、その三名の人を共同処理する教育委員会委員に任命をすることができるということになるわけでしょうが、この四条の法文を読んでみると、何か設置単位が共同処理する組合の教育委員を任命するということが、どうもここで第四条だけではぼやけてくるように思うのだが、これは変じゃないでしょうかね。
  127. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまお話しのようにA村、B村がそういう協同組合を設けまして共同処理します場合には、実際といたしましてはそれは話し合いを行いましてA村B村から出すということになります。二名、三名という割当もやると思います。その組合を設置します場合の規定は、これは自治法に詳しくございまして、その協議によって規約を定める点はございます。都道府県知事の許可も要るということになっております。そこで今お話しの点は、おそらく任命するのはだれかということだろうと思いますが、それはその組合の管理者が任命いたします、その管理者が長に当りますので。その規定を明らかにするためには、第六十条の第五項の「政令で特別の定をすることができる」と、この政令でもって明らかにいたしていきたい、かように考えます。
  128. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、第六十条のその政令をもうこれは準備をしているわけですね、あなたの方は。それを審議をやる過程におきまして、これは早くやった方がいいと思いますし、スピードアップは好むところですから、一つあなたの方にあったら、その原案をこの次に資料として御提出願いたいと思います。
  129. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) まだ資料として差し出す段階ではございませんが、私ども鋭意準備しております。
  130. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは第二条よろしゅうございますね。  次に、第三条、第四条。
  131. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 かつてちょっと質疑があったようですが、時間がかかるから簡単に文部大臣から答えておいていただきます。現行では七人と五人だったわけなんですが、これを五人三人にしたのは、たしか簡素とかつて言われたかと思っておりますが、財政負担の軽減というような意味ですか。簡単でいいですから、七人、五人を五人、三人に減員した理由を明快に答えておいていただきたいと思います。
  132. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) やはり今回の案は機構を簡素にするということが主目的でございます。それがために、ごくわずかでありましても、経費は減りまするが、それを主目的にしておるわけではございません。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 何が主目的ですか。
  134. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 簡素化。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡素化……。
  136. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 次に、それでは四条、五条、六条は便宜これは委員に関することでございますので、あわせて御審議……。
  137. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 三条ある。この委員会の人数を三人にするという問題ですが、この委員会というのは合議制の行政機関であると思うのです。そこでその中の一人は教育委員会委員長、それから中の一人は教育長になるわけです。そうすると教育委員というのは一人と、こういうことになるわけですが、そういう場合、合議制の行政機関と言えるかどうかという問題ですね。
  138. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは先ほどちょっと御答弁いたしましたように、特に規模の小さい町村においての特例として、三名を認めるということでございます。法律趣旨は、原則は五人でございます。そこで今のお話は、あるものは教育委員長、あるいは教育長を兼ねるものも出てくる、こういうことでございますけれども、これは教育委員といたしましては全部同じ権限を持っておるわけでございます。これは教育委員一人々々が決して独立の権限を行使することはできるわけではないのでございまして、合議制の執行機関、合議制の機関でございますから、会議をして意思を決定して、それを発動するわけでございます。その意味におきましては、これは委員長というものがございまして、合議制の機関でございますから、会議を主催をしたり招集をしたり、あるいはまた一定の法律行為をする場合に、外部に対して代表するというようなことはこの法律にも規定いたしております。しかし、教育委員長といえども、その委員会の意思を決定する委員としては、これは同じくそれを構成する一メンバーでございます。三人でございましても、そのうちの三人が教育委員長を兼ねる、あるいは教育長を兼ねる場合におきましても、その合議制の執行機関としての意思決定する場合におきましての各委員の立場というものは、これは全然変らないわけでありまして、そういう意味におきましてこれは完全に合議制の執行機関、かように考えます。
  139. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 荒木君、この問題は一般質疑中にも行われた質疑だと思いますが……。
  140. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで私は実際問題として、合議制の行政機関としての機能が発揮できるかどうかということを聞いているわけなんです。一人は教育委員であるけれども、同時に教育長を兼ねておる、それから一人は教育委員長、こういう場合に実際にそういう合議制の行政機関としての機能を発揮できるかどうか、それからこれは特例であるということでありますが、法律の建前からいえば特例のような形になっております。しかし、先ほど大臣の説明にもありましたように簡素化をしていく、私は町村は大体これにならうんじゃないかというふうに思われるわけです。実際上は町村においてはなかなか特例というふうな形にならない、そういうふうに考えるわけです。そうすればこれは行政機関という性格を失ってしまう、こういうふうに思うのですがね。長くは申しません。委員長の何か一般質問で十分やった……、私はよく知りませんがね。ただ僕は委員長に申し上げておきたいのですが、あまり制肘を加えないように私はしてもらいたい。
  141. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 理事会のお約束でございますので、そう申し上げただけでございます。
  142. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう私は約束しておるのか。そういうふうにおっしゃれば、私はよく聞きたいと思うのです。どの程度これ一般質問でされたかしりませんが、あまり制肘を加えられたくないのです。
  143. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これはあくまで法律といたしましては、三人の委員をもって組織することができるというのは、特別の場合でございまして、これは例外的な規定にいたしております。ただ法律としてさようにいたしております。それからなお、ただいまお話しのありました、これは若干従来におきましても合議制の行政委員会というものの性格につきまして、若干の誤解が一般にはあったのではないか。教育委員会の個々の人が何か権能を行使する、こういうような考え方があるのではないかと思うのでございますが、そうではないのでございまして、これは三人なら三人、五人なら五人が会議を開いて意思を決定してやっていくところに、その合議制の行政機関の本質があるわけでございます。それで教育長を兼ねるということになりましても、その立場におきましては、これは教育長を兼ねる委員も同じその一メンバーでございます。そこで合議制の機関がきめましたそのことについて教育長は執行していく、かようなことでございますから、私はその観念が徹底いたしますならば、実体におきましても支障は起らんと考えております。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの問題は一般質問のときにちょっと伺ったわけですが、実は教育長のところで具体的に承わろうと思っておりましたが、今荒木委員から質問がありましたから、ここで具体的に承わろうと思うのですが、教育委員の人が教育長でございますね、その人が三人の教育委員会に出席したといったときに、その人は採決をするときに、採決権を行使するのですか、しないのですか。
  145. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) もちろんいたします。
  146. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いたしますか。
  147. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) します。
  148. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすれば、教育長は案件の起草者ですね。そうしてその起草を説明して、そうして教育委員会に対して助言をするわけですね。その人がその採決に加わるのですか、矛盾ございませんか。
  149. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 加わります。
  150. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 よしわかった、坐った。じゃ加わります、こういう場合、具体的に聞きますがね。三人教育委員おって、一人は教育委員長、この人が教育委員教育長、この人が原案を起草して、そうしてこれを説明して出すね、ちょうどこの人が病気で休んでおった。これは可否同数のときは委員長がきめるとなっておるのですね。そうすればこの人は教育長で教育委員でこの案を提出した人です。そうして委員長一人ではこれは採決に加われない、可否同数のときは委員長がきめる、これは可否同数も何もないじゃないですか。とするならば自分で案を作って、自分で説明して出しておいて、自分で採決するのですか、おかしいじゃないですか。また、こういう場合もあるのです。これが教育委員教育長、これが病気だ、この人が案を出したら、三親等内の問題だったから、この人は三親等内の問題に参画できん、だれもおりわせん、委員長いるだけです。こういう場合もある。また、こういう場合がある。教育長であって教育委員である。この人は病気しなくてぴんぴんしていても、この人かこの人の三親等内の問題だから参画できん、そうしたら教育長対教育委員で、これはどんなにして採決をするのですか、可否同数のときなんかありはしないのです。これが荒木委員が実質的にこの合議制の、合議体の執行委員会とか何とか言えますか、これはどういうふうに説明するの。文部大臣答弁大臣答弁
  151. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) まあ……。
  152. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあじゃないでしょう、はっきりしているでしょう。あなた法律家だもの。
  153. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これはまあ三人の場合ということを非常にこれは、(「それは三人になってきますよ、市町村の場合は」と呼ぶ者あり)三人の場合を原則のようにお話しになることは、これはあくまでも申し上げておりますように、五人が原則でございますから、前提として申し上げておきます。それからいろいろその場合は起るでございましょう。ただこれは、現在のまあ公選制の場合におきましても七人でございます、都道府県は。あるいは市町村は五人でございますが、それはいろいろ事故があって人員が少いという場合も起ります。そういう場合、特別な場合も起りますけれども、しかし三人の者が、今のように特別に病気をしたとか、あるいはその一身に関係する事件だったという場合には、それはいろんな制限を受けますけれども、通常の場合を考えますならば、三人の者が、先ほど申し上げますように合議制を構成するものとして出席して、その合議体としての意思を決定するわけでございます。そのことは今の制度におきましても起り得るじゃないかということであれば、(「確率が全然違う」と呼ぶ者あり)それでもう合議制でないということは言えないと思います。それから教育長の問題でございますが、それは教育長が自分で計画を立てたんでありまして、それを会議にかけるという場合、それはほかの、それを反対だということはないでございましょうけれども、しかし、あとに二人の委員がおって、三人できめるということでございますから、委員会としての意思の決定につきましては、これはやはり合議制としてきまると、こういうようなふうに相なっております。
  154. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私がさっきあげたそういうケースがあることを認めますか、認めませんか。
  155. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) でございますから、先ほど申し上げましたように、これはいずれの場合にもそういう事故の場合を想定すればですね、それは何人の委員会であっても、兼任をしておってもいなくても起り得る、そういう特別な場合は起り得る、かように考えております。
  156. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そんな緒方さん詭弁を弄するのはやめて下さい。七人、五人という数は、そういうような、私が今あげたような場合が起らないために七人、五人としてあるのですよ。ところが政府は、この法案考えるときに、財政的な考慮からのみ、教育というものを真に考えないでやったから、僕から言わせるならば、教育を冒涜しておると思う。だからこの三人なんという数字が出たのです。実際において市町村でやる場合には、三人の教育委員構成する場合はたくさん出てきますよ。そうすれば私が言ったような例は簡単に起り得るのですよ、簡単に。それはあなたの論を進めれば、われわれ参議院は二百五十人で構成している、全部の者が病気をする、ものすごい何か流行病があって全部が病気をすれば、そうすれば委員会が成り立たん場合はあり得るだろう、そんな説明なんか、そんなことは確率からいって考えられない。だから教育委員会は五人、七人にしてある、それをあなた方簡素化というので三人、五人として、五人の場合と三人の場合でそう私が言ったような特例が起る確率というものは違ってくるでしょう。プロバビリティが違ってきますよ。いまだかつて私が言ったような例は、五人の委員会で起った例はないでしょう。三人ならば簡単に起りますよ。この法案ずっと調べていけばわかりますが、ずいぶんとこういう場合には、あの会議に参加してはならんという規定があるね、しかも、市町村の教育委員やっておれば、大体親戚がありますよ。そうしたら自分のめいごとかおいごとか、教員をやっている人はおりますよ。それはあなた方が熊本出身で、東京に来てお役人するのとは違います。市町村の教育委員会にいけば、それは自分の村のことですから三親等に関係するのはたくさんありますよ。そうすれば三人で構成しておったら、今の場合は簡単に起り得るのです。病気をしないでも起り得るのです。これをあなた、何ですか、合議体の執行機関と言えますか、可否同数のときなんかおかしいじゃないですか。この考え方は教育を冒涜するものですよ。大臣、私は冗談で言っているんじゃないのですよ、教育は何ものであるか、今の教育委員会の立法精神はどういうところにあって出したのか、教育を尊重するかしないか、その高低のところからこういうことが出てきておる、だから私は、あえて言ったのです。簡素化、経費の軽減が理由で五人、三人にしたという、とんでもない考えですよ。経費が軽減されたことはいいでしょう。簡素化されたこともいいでしょう。しかし、それは教育行政は行えないじゃないですか。合議体の執行機関というものは成り立たんじゃないですか。それを犠牲にしてまで簡素化とか、経費軽減をやらなければならないのですか。このことは教育を軽視しております。教育を尊重してない考え方から出ておるものと攻撃された場合、何とこれに反駁できますか。これは重大な問題だと思うのだ、私は。大臣どういうようにお考えになりますか。私の所論に誤りがあったら反論して下さい。それに私はまた質問なり反論をいたしましょう。
  157. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 政府委員の答えた通りと存じます。
  158. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員ではわからん。
  159. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 原則はやはり五人であります。しかしながら、条例の定むるところによって三人にもっていける。あるいは条例を制定する場合に、この地方では同族のものが非常に多いからといったようなことを考えたら、三人は避けるかもわかりません。三人にしろと命じたのではないのです。しかしながら、三人でよく運行ができる。この村は家数も少い。まあこれでもってやってみようという見込みがつくならば、条例制定権者は町会でありまするから、村会でありまするから、そこで三人でよかろうということを考えて三人にすることもよろしい。五人であることが原則、地方の意思を尊重してかようなる規定を作ることは私はいいことだと思うのです。必ず五人にせいといって、どんな小さい村でも五人々々とやるよりも、みながああこの村は三人でよかろうというんじゃったら、これを許すこともまた地方自治の本旨ですし、それで教育を冒涜するようなことは私は決してないと思います。
  160. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 よくこの法案を批判する一部の人は、これは教育委員会法の抜本的改正だとか、あるいは骨抜きだということをよく使われているのです。それはこういうところに出てきているのです。骨抜きになるのです。こういうところから僕は出ていると思うのです。国民の言葉は。今この法案について全国の教職員の人がぜひこの現行法を守ってほしいという陳情があっていることは、この前の請願を調べてみた結果によっても明らかなんです。また、大臣がよく言われるように、市町村長あたりは現行法が幾らかいいからと言われておる。議会側もそういう意向があるのです。こういう背景があれば、まあそういう人は今の教育委員会をできるだけ骨抜きにしたいという気持があるわけだ。教育は大切だ、教育については努力するという考えはありながら、それは思っておりながら、教育委員会をできれば骨抜きにしたいという潜在意識を持っておられるのです。そうした場合に、三人の委員構成する教育委員会というものは、相当出てきますよ。私は物事をきめたり、ことに法律なんか作る場合は、一億分の一というようなそういう確率のものは、それは私は法律化してもいいと思うのです。けれども私がさっきあげたような、これはそんな一億分の一、一千万分の一でもない、きわめて簡単に起る確率のあるケースです。そういうものは法律を作るときによけなくちゃいけませんよ。特例といっても、それは一千万分の一というようなプロバビリティならいいでしょう。けれども私が今言ったような例というものは、簡単に起る例じゃありませんか。法律を作る場合はそういうことは避けなくちゃいけない。私はこの立法をした事務当局、その責任者緒方さんは、どう考えておられるかと思うのだ。おそらくこれは政府与党も、政調会でもみたくったわけだが、ある場合は三木武吉さんとかあるいは岸信介さんあたりが出てこられて、そうして調整せられたわけですが、そのときに三人という数が出たので、三人のうちの一人を教育長にしたらどうだというようなことが、岸信介さんあたりから出たわけだ。そういう人は教育というものを簡単に考えておる。それは党内がまとまればいい。簡素化になればいい。お金がよく要らなくなればいい。それのみが大部分頭を占めておるわけです。だから岸信介さんあたりはそういう言葉が出るでしょうが、少くとも文部大臣とか、立法作業を直接やられておるところの文部事務当局としては、教育を尊重する、教育を守るという立場から、強力なる発言と抵抗があって僕はしかるべきだと思う。それをなし得ずこういうものが出てきたということは、きわめて遺憾である。遺憾なだけでなくて実際に困ると思う。私がさっきあげた場合というのは、簡単に起り得る場合ですよ。これは簡単に起り得る場合です。それから大臣はさっきずいぶん詭弁をもって答弁されております。この村では同族の人が多いから三人じゃいかぬ、五人にしましょう……。日本全国どこの村へでも行ってみてごらんなさい。教育委員などになるのは知名人です。大てい結婚は同じ村でやっておる。いとい、はとこ、兄弟など持っておらぬ人はいないですよ。あなたは兄弟何人おりますか。あなたがあなたの村の教育委員になってごらんなさい。人事など扱う場合に、参画できない場合が幾らも起ってきますよ。私もそうです。自分の生まれた町、あるいは村へ帰ればそうです。だからこれは運用上どうしても困るのですよ。これをどうするのですか。
  161. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今の除籍の場合の関係を強く御発言のようでございますが、これは委員が三人おって、三人の一身に関係することがありますといたしましても、それは何も三人が必ず同じときにやる必要はないと思います。それは時期を変えてでも、運用によって、非常に極端な場合は避けていけるのではないかと思います。この教育委員の数を五人にし、あるいは三人にすることもできる、これは私ども案を作りました考え方といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、市町村の段階までどうしても教育委員会というものは存置していく必要がある、これは教育の振興のためにはどうしても必要だ、独任制の市町村長にゆだねるということでなしに、合議制のこういう機関が必要である、それはあるいは教育の案定性、一貫性あるいは中立性から申しまして、あるいはまた、非常に住民の意思を反映するというような関係から申しましても、こういう特別な行政機関を必要とするという観点から、市町村にも、先ほど荒木さんの御質問にもございましたが、いろいろ議論がありましても、私どもとしてはこれを存置していくことが必要だと思います。ただ、その場合に、その委員会構成の人数を何人にするかという問題です。これはいろいろな要請によって異なって参ります。ただ、住民の意思を反映するという意味から申しますれば多々ますます弁ずかもしれません。非常にたくさんの人を集めてやった方がいいかもしれません。しかしこれは執行機関でございますから、やはりある程度のそこに限界があるはずです。それをどの辺で抑えていくかということは、非常にむずかしい問題ではございますけれども、やはり原則として五人でよろしいのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。執行機関でございますから、いたずらに人数が多くなりますことは、事務処理の能率の迅速化という観点から申しましても、適当ではございますせん。あるいはまた事務の簡素化、機構の簡素化、そういう観点から申しましても、いたずらに膨大な機関を作ることは不適当だと存じます。そこでいろいろ考えました末の結論が、一般的には五人、特に規模の非常に小さいところは三人でもいいじゃないかということでございます。三人のメンバーで構成しましては、その合議体の実をなさぬじゃないかというお話もございますが、これは現在都道府県の公安委員会、これは三人でございます。人事委員会もさようでございます。特にまた人事委員会につきましては、事務局長委員が兼ねることができることにも相なっております。このような便法はやはり行政の各面から検討いたしまして、総合的に検討した結論として、こういうことに相なったわけでございます。運用につきましては、その運用によりましてこの合議機関としての妙味を発揮していくことができると考えております。
  162. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これ以上意見にわたりますから……。
  163. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いかにも執行機関、執行機関と、きまったものをただそれを執行するように軽く言われるのでありますけれども、教育委員会は今度任命権を持っておる都道府県に、教育関係職員の人事に関しての内申なんかもするのでしょう。それから予算を組むときには、教育委員会は知事と協議するのでしょう。一体先生の定員をどうするとか、授業料は上げたらいいか、上げないのがいいだろうかという協議をして、その方針をきめて、それから知事側と協議するでしょう。だからそういう点について、人事とか、教育の方針とか、あるいはあとで出てくるでしょうが、ワーク、ブックを、これはいいか、悪いか、どうするかという問題について意思決定をするのでしょう。だから一人できめるということはきわめて危険でしょう。あなたは執行機関、執行機関と言いますけれども、だれか、県議会かどこかできめたものを知事とか、部長とかが執行するのと、事が違うのです。また、人事委員会の仕事と、教育委員会のやる仕事というものとは、その量、幅からいって、また、全住民の関心度からいって全く程度が違うのですよ。私はただ問題は、三人の場合は先ほどいったようなことがよく起りがちであるから、それをやってはいけない。これはどうしても、私は教育委員会法の立法精神を軽視した、いわば教育軽視の考え方から出ておる。こういう点が許容できないという立場から伺ったわけです。私の所論は絶対間違っていない。遺憾の意を表明しておきます。
  164. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 緒方さん。これは立法作業者であるあなたは予測されておると思いますが、この五人を三人にしたいということですが、三人と、こういうふうに書いておくと、ただし書の方に非常に重きが置かれてしまって、私どもあるいは矢嶋君が言われるように、三人のところが非常に多くなるのじゃないかということを予測して、心配しておるのです。そこで立法に当られる責任者であるあなたにお尋ねしておくのですが、言質をとっておかなければならないのですが、三人でやったら、非常に矛盾や間違いが起きて、危険の度合いが非常に多いということを矢嶋君は非常に心配しておる。あなたは立法に当って、三人の教育委員会設置することは非常に少いだろう、あとは大体五人でやってくれるだろう。こういう予測のもとにやられたのか、それとも三人が非常に多くなってくる。しかも三人になった場合は、今矢嶋君が指摘したような矛盾がたくさん出てきて危険が出てくるのですが、それでもなおかつ、三人で押し切ろうとしてやられたのか、そこの辺のところを明確にお答え願いたい。
  165. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 法律の規定いたしておりますところは、あくまでも五人が原則でございまして、特別の事情のあるところにおいては、条例で三人ときめることができるということでございますから、あくまでこれは例外だと、かように考えて立法いたしました。
  166. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、われわれは三人の方がずっと多くなると心配するのですが、あなたはそうじゃないと、こう否定されるのですか。法律条文の説明じゃなくて、私どもはこういう法律施行したら、どういうことが具体的に出てくるかということを心配しておる。予測の責任を……。
  167. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 予測は、この法律通りに執行されるものと考えておりまして、この法律が成立しました場合には、この法律に従って実施されるものだと、考えております。
  168. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、あなたは五人の方がうんと多くなって、三人というものは非常に少い。こういうふうに予測しておるわけですね。それで結果が逆になったらどうしますか。
  169. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私はあくまで法律趣旨が行われるものだと期待いたしておりまするし、そういうふうに予測いたしております。
  170. 秋山長造

    秋山長造君 私は一点だけお伺いしますが、今までの五人、七人という委員の定数を三人、五人にされたということは、文部大臣のおっしゃる通り、これは簡素化ということだと思います。しかもその簡素化ということが、他にも理由はあるにしても、最大の理由がこれは経費の節約だろうということもはっきりしているわけです。それで、一点としてお尋ねしたいことは、公選をやめることによってどれだけの経費の節約になるのか。  それから第二点は、委員の数を減ずることによって給与費がどれだけの節約を見込まれておるか。それで、実はこれは本年度の地方財政計画をお立てになり、また地方交付税法に基いて地方公共団体の基準財政需要額を算定する場合に使う単位費用、測定単位ごとの単位費用、この単位費用の見積りという点に響くわけですから、これは政府の方で必ずそろばんをはじかれておるものと思う。それで、その点と二点お伺いしたい。  その問題と、それからもう一つ、ただいま成瀬委員の御質問に対する御答弁ですが、局長は、あくまで五人が原則で、三人は例外だとおっしゃるのですけれども、これは法律の建前ではそうなっているが、実際には、今日の地方財政という点から考えただけでも、三人が実際上原則になって、五人が例外になることは、これは明白です。現に地方財政再建促進特別措置法の第十条、あるいは今、国会に提案になっている地方自治法の一部改正案の第八十条の第四項の次に第五項として加えられる条文等をごらんになると、これはもう事の成り行き上三名が原則になるだろうということは、これはほぼ明らかだと思う。この二つの問題についてお答えを願います。
  171. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 第一の、選挙費の節約が幾らくらいになるかということでございますが、これは見込みでございますが、大よそ十五億くらいじゃなかろうかと考えます。  それから今おっしゃいました基準財政需要額の単位費用の問題につきましては、地方課長からお答え申し上げます。  それから一番最後には、三人が多くなるじゃないかということでございますが、私は先ほどお答えしました通り考えておりますので、御了解いただきます。
  172. 木田宏

    説明員(木田宏君) 県の委員を七人から五人にし、今回のように市町村の委員は五人の委員をもって組織するが、三人をもって組織することができると、こうした場合に、どの程度経費の節約になるかという御質問であったと思います。都道府県の教育委員会委員の経費につきましては、従来の基準財政需要額の積算の技術的な見地から、これは県の教育委員会委員報酬費というものが、それ自体としては明確に出てきておらないのでございます。ですから、今回七人であったものを五人にしたことによりまして、どれだけ財政規模として減るかという点につきまして、私から御説明申し上げる数字というものは出ておりません。ただ、大よそ県の教育委員の方々の経費というものの概算が実際上の問題として一応できるのじゃないか、こう考えております。市町村の教育委員委員報酬につきましては、これも秋山先生御存じだと存じますけれども、昭和三十一年度の地方財政計画の組み方が、三十年度までの地方財政計画の組み方と全然違って参りましたので、三十年度までの地方財政計画の組み方と対比してどうなっておるかという比較が財政計画の上では困難なのでございます。しかしながら、昭和三十一年度の市町村委員会委員報酬費として上っておりますものは、従来とっておりました都市の委員一人当り八千四百円、町村の委員一人当り一千円の月額でもって積算されておるのでございまして、人数も一応五人の計算になっておると承知しております。従いまして年間で四億七千八百万円が市町村委員委員報酬費でございます。この点につきましては、財政計画上は現在と同様、こういう考え方を私どもはいたしておるわけでございます。従いまして、単位費用の関係に響くというお話でございましたけれども、今申し上げました点から、単位費用に影響があるとは考えておらないのでございます。
  173. 秋山長造

    秋山長造君 もう一点だけでやめます。  今の市町村の教育委員会の報酬の経費総額四億七千万円というのは、この現行法における計算だと思います。それから現行法における都道府県の教育委員の報酬総額がどのくらいかということをあわせて承わりたいということと、それからこの交付税を算定する場合に使う単位費用には、委員報酬というものは含まれていないというお話だったのですけれども、これはやっぱり給与費ということで計算の基礎にはなっておるのじゃないでしょうか。
  174. 木田宏

    説明員(木田宏君) あとの点から申し上げますが、委員報酬が単位費用の中に含まれていない、こう申し上げたわけではないのでございまして、三十一年度の市町村教育委員会委員報酬は、その単価のとり方は、従来の地方財政計画でとっておりました委員の費用弁償の単価と同額をとっておりまして、人数も同じように五人、こう計算をしておるわけでございますから、単位費用の積算の問題に影響がないであろう、こういうふうに申し上げたつもりでございます。  それから先ほど申し上げました四億七千八百万円という委員報酬費は、これは現行の教育委員会制度のもとにおける経費でないかという御質問でございますけれども、これは今回の地方財政計画にありましては、一応選挙費用もこの法律案趣旨に沿いまして計上いたしておりませんし、委員報酬につきましても、これは自治庁当局で積算したわけでございますが、一応改正案の前提に立っておるものと、私どもは了承しておるわけでございます。  それから都道府県の委員の費用がどのくらいになっておるかという点でございますが、これにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、地方財政計画上の経費として明確な数字は出ておりません。しかし実際の支出面から見た都道府県の教育委員会費というものはどのくらいかと申しますと、約二億というふうに調査結果に基いて把握をいたしております。
  175. 秋山長造

    秋山長造君 どうもありがとうございました。
  176. 湯山勇

    湯山勇君 四条について、私は字句の意義ですけれども、ここに「(以下単に「教育」という。)」という注がございます。この法律によって、以下教育という文字か使ってあるのは、その教育という字句の内容は、教育、学術及び文化、この三つに限定されておると思いますが、そうでございますか。
  177. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは教育、学術、文化を包括いたしまして、現行法でもかように現定いたしております。現行法通りであります。
  178. 湯山勇

    湯山勇君 そこで字句の使い方について、例を引いてお尋ねをいたします。それは五十二条の措置要求、措置要求の内容等については、そこへ行ったときにお尋ねすることにしまして、今の字句だけの問題ですけれども、「文部大臣は、地方自治法第二百四十六条の二の規定にかかわらず、地方公共団体の長又は教育委員会教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、教育の本来の目的達成を阻害しているものがあると認めるときは、」措置要求ができる、こう書いてございます。当然この五十二条の措置要求の対象になる教育も、ただいま私が指摘いたしましたように、第四条において、教育というものの内容は、教育、学術、文化、こう規定されておりますから、当然これも教育、学術、文化について、文部大臣だけに特に措置要求権がある、こうなると思いますが、間違いありませんか。
  179. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その通りでございます。
  180. 湯山勇

    湯山勇君 そこで文部大臣は、教育、学術、文化以外については、この法律によって措置要求権はない、こういうことになると思いますが、逆にいえば……。それもよろしゅうございますか。
  181. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは教育に関する事務、地方公共団体の長または教育委員会教育に関する事務、これはこの法律におきましては二十三条、二十四条に出ております。一応ここに出ておりますので、この事務につきまして、という意味了承していただきたいと思います。
  182. 湯山勇

    湯山勇君 そこで、この法律を受けて文部省設置法が改正になっております。そこで関係法律整理に関する法律案、その七ページをごらん願いたい。七ページの文部省設置法の一部を次のように改正するという中に、十九の二として「地方公共団体の長又は教育委員会に対し、教育、学術、文化」、これは今はっきりしました。それ以外に「宗教の事務の管理」と宗教が加わっております。これは本法ではそういうことはできないことになっております、文部大臣だけの権限はこれだけですから……。にもかかわらず、その法律をつけた文部省設置法には新たに宗教が加わっておる。そうすると一方では宗教のことが設置法によって行われるし、措置要求が、今回の地方教育行政組織及び運営に関する法律案では、宗教のことはできないことになっております。これは一体どう説明しますか。
  183. 木田宏

    説明員(木田宏君) 御説明申し上げます。文部省設置法で使っております用語につきましては、文部省設置法の二条に、学校あるいは初等教育、大学教育、社会教育あるいは学術あるいは文化等、この八つの文字につきまして、この法律で文化とはこういう、学術とはこういう、こういう書き方をいたしております。そうしてそのお手元にお配りしてあります文部省設置法の第四条に、「文部省は、学校教育、社会教育、学術及び文化の振興及び普及を図ることを任務とし、これらの事項及び宗教に関する国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」、こういう定め方をしておるのでございます。従いまして文部省設置法で使っております、ここには広い意味教育という用語の定義をいたしておりませんが、四条の規定の書き方からもおわかりいただけます通り、この文部省設置法の用語の使い方と、今回の地方教育行政組織及び運営に関しまする法律案で使っております教育、学術、文化の用語の使い方とは違っておるのでございます。今回の法案につきましては、現行法教育委員会法で規定をしております教育、学術、文化、それを教育という、この現行法の概念規定をそのまま踏襲したものでございます。現行法の四条には、教育委員会は、「教育、学術及び文化(教育という。以下同じ。)の権限に関する事務」をつかさどる。こういうふうに書いてございまして、この現行法教育、学術、文化の中には、宗教も含めて扱っておるのでございます。そこでこの現行法の建前にのっとりまして、この法律における教育、学術、文化という用語をそのまま踏襲したのでございまして、文部省設置法の関係に、用語の使い方に若干差異がございますのは、これは現行教育委員会法と文部省設置法との間における用語の差異が、この場合にもそのまま出てきたものと、こう考えております。
  184. 湯山勇

    湯山勇君 そういうでたらめな説明をしてもらっては困る。はっきりこの法律によって、教育とは、教育、学術、文化ときめられておるのです。いいですか。それ以外の宗教なんて入っていない。教育、学術、文化と分けたときに、その概念の中に宗教が入るなんというでたらめを言っては困る。(「現行法でも入っていない」と呼ぶ者あり)そうして大臣の措置要求のところは、はっきり教育目的を阻害しておるとか、教育に関する事務の管理その他できめてあるじゃないか、教育内容は。そのきめてある内容の中に宗教なんか入っているというのですか。そんなでたらめを言っては困るのだ、入っていないのだから。初めの説明のときに、入らぬとはっきり答弁した。教育、学術、文化、その三つかと言ったら、そうだ。そうすると五十二条でも、教育、学術、文化以外のことはできないかと言うと、そうだ。そう言っておいて、今度これが出てきて、今度改正したこのものにはっきり教育、学術、文化、宗教が入っておる。このことは、前に私が大臣にお尋ねしたときに大臣は、知事のやることの中には、私立学校のことと宗教のことがあるとはっきり言われた。別に、それを今になって入っているのだったといっても、それは追っつかない。はっきり間違いなら間違いだと認めたらいい。いいかげんなことを言っては困る。言葉通り、法文の通り正確に言ってもらわなくちゃ、ごまかさないでもらいたい。
  185. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 少しもごまかしているわけじゃございませんで、先ほど御説明申しましたように、現行の教育委員会法におきまする教育という字句の使い方と、現在の文部省設置法におきまする教育の使い方、これには違いがございます。御指摘の通りでございます。御指摘じゃございません、申し上げた通りでございます。ただ、先ほども私が念を入れて申し上げましたのは、現行の教育、学術、文化、これをそのまま受けて、ということを特に申し上げました。と申しますのは、この現行の教育委員会法の第四条、先ほど木田課長が読み上げましたけれども、この教育、学術、文化、さらに包括して教育、この中には宗教は入っておるわけです。(「入っていないと言ったじゃないか、大臣もあんたも。ちょっと待って下さい。」と呼ぶ者あり)さらに説明をしますから、先をお聞き願いたいと思います。(「おかしいよ、あんたの説明は。入っていないよ」と呼ぶ者あり)それで現行法の第五十条をちょっとごらん願います。教育に関する法人、五十条の第七号にもって参りまして、「教育に関する法人」という規定をいたして、その中から特に「(私立学校設置する法人及び宗教法人を除く。)」、こういうふうに規定いたしております。これは「教育に関する法人」というこの「教育」の中には、宗教ということを含みますので、特に宗教法人はここから除いておるわけです。この規定から申しましても、第四条に申します教育、学術、文化、これをまとめまして教育、この中には宗教を含んでおります。その関係がございますから、設置法におきましては、先ほど御指摘がありましたような整理を今回いたしたわけでございます。
  186. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今の緒方局長のは、よくも探して詭弁を弄するものだと思うのだね。第五十条は「都道府県教育委員会のみが、これを行う。」というのは、御承知のように私立学校は都道府県教育委員会の所管でなくて、都道府県知事の所管なんですよ。それで「(私立学校設置する法人及び宗教法人を除く。)」というカッコに書いてあるのであって、この先ほどから出た「教育、学術及び文化」、それをこの新法案五十二条の教育がこれを受けている。そうしてこの設置法のところに教育、学術、文化、ここまで書いていれば問題はない。ところがここに宗教をくっつけているというのは、どうしてもこれは落さねばいけませんよ。誤植として出さねばいかんよ。教育委員会法の現行法の五十条云々なんと言ったことは、傍聴しておる人はなるほどと思うかもしれんけれども、おかしいよ。全然これは違うよ。こちらの現行法の中に宗教が入っているというのはおかしいよ。今の現行法で、至るところに教育、学術、文化及び宗教というのは別々にありますよ。あなた方からもらった印刷物は全部別々になっていますよ。これはミス・プリントじゃないですか。(笑声)
  187. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今おっしゃいましたように、五十条の第七号、この教育という概念の中に宗教というものを含まなければ、このカッコのことは書く必要がないわけなんです。宗教法人に関する事項ということは書く必要がないわけです。「教育に関する法人」ということがございまして、わざわざ宗教に関する法人、宗教法人はこれを除いておるということは、教育の中に宗教という概念を含んでいるから、それはこの権限じゃないからというわけでこれを除外しておるわけです。これから申しましても、四条に申しまする教育の中には宗教を含んでおる、こういう前提でございますから、それを受けて、現行法教育という概念を持って参りましたので、わざわざ設置法の中に宗教を入れたというわけです。
  188. 湯山勇

    湯山勇君 それでは私念を入れてお尋ねいたします。たんねんにお尋ねしますからお答え願いたい。四条です。四条の、教育、学術、文化、この三つに分けてあります。よろしゅうございますか、その教育、学術、文化と分けてあるこの分け方と、文部省設置法の教育、学術、文化、こう分けてある分け方とは違うんですか。
  189. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 設置法の方は、先ほども御説明いたしましたように第二条で、学術、文化、それから教育につきましては学校教育、初等、中等、大学、特殊、社会教育、こういうふうにずっと書き分けまして、その内容をここに規定いたしております。従いまして、その設置法に申しまする教育、学術、文化と、教育委員会法におきまする教育、学術、文化と、従って今度の新しい法律案におきまする教育、学術、文化の間にも、そこの点はズレができておりますが、その点を整理規定で修正したのが御指摘の点であります。
  190. 湯山勇

    湯山勇君 それではもう一ぺん聞きます。設置法の教育と、第四条の教育、このカッコに入れてない教育、この教育教育とは違いますか。
  191. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) どこのことでございましょうか。
  192. 湯山勇

    湯山勇君 四条の「人格が高潔で、教育、学術及び文化」と書いてあるその教育と、設置法の「教育、学術、文化及び宗教」と書いてある、その教育教育とは違うか、こう言っているんです。
  193. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは同じでございます。
  194. 湯山勇

    湯山勇君 では、その次の学術と学術とは違いますか、同じですか。
  195. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは同じでございます。宗教はどこに入るかということだろうと思いますけれども……
  196. 湯山勇

    湯山勇君 まあ、ちょっと、聞きますから。その次、文化と文化は違いますか同じですか、概念は。
  197. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) そこが食い違いが起っておりますから、わざわざ宗教ということをつけ加えておるわけでございます。
  198. 湯山勇

    湯山勇君 どこが違うんですか。文化ですか。
  199. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 本法におきまする、今御審議願っておりまする法律案におきまする文化の中には宗教が入っておるわけでございますね。文部省設置法の文化の中には、この第二条でごらんのように、お手元にございませんけれども、文化の定義をここにしているんです、はっきり。でございますから、その中に宗教が入っておりませんので、そこに食い違いが起っておるわけでございます。ですから本法におきまする文化の中には、宗教を含むというふうに解釈いたしておりますから、御了承いただきたいと思います。
  200. 湯山勇

    湯山勇君 そういうおかしい説明でごまかそうと思っても簡単にごまかされないので、この中には教育委員会が宗教のことはやらないということを言っておられるでしょう。ところがこの法律を見ますと、教育に関して何々というのがたくさんあるんです。たとえば本法の中には、従来除外しておりましたけれども、第二十三条、教育委員会の職務権限の中には、いいですか、たとえば第十六号「教育に関する法人に関すること。」、教育委員会のやることにですね。それから十七号に「教育に係る調査及び指定統計その他の統計に関すること。」、その他教育に関することがたくさん出ております。これはみんな宗教のこともやるんですね、教育委員会は。
  201. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) おっしゃいます意味は、宗教法人のことはどうであろうかというお話であろうと思いますが、これは機関委任事務といたしまして、都道府県知事に委任いたしております、宗教法人法によりまして。それ以外の宗教に関しますることは、これは教育委員会の所管に相なります。宗教に広く関しますることにつきまして教育委員会が所管いたします。
  202. 秋山長造

    秋山長造君 宗教法人に関することは委任事務とおっしゃいましたね。これは本来は国の事務で、それを地方公共団体に委任されているわけなんです。で、そういたしますと、国から委任をされた事務については、文部大臣は指揮監督権を持っておる。これは別の規定で持っているのでしょう。だからあらためて、この関係法において、この関係法の第五条ですか、「教育、学術、文化及び宗教」、宗教ということはうたう必要はないことじゃないですか、これは。
  203. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) わかりました。
  204. 秋山長造

    秋山長造君 わかったですか。教育、学術、文化というのは、これは地方の固有事務でありますから、だからこういう規定を——それに対して文部大臣が措置要求なり指揮監督的なことをしようと思えば、特別な法令が要るわけですけれども、宗教は元来国の事務で地方に委任しておるのですから、委任しておるという限りにおいては、指揮監督権は持っておるから、特にこれをうたう必要はないのじゃないか、こういう質問です。
  205. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今申しましたように、宗教法人に関することにつきましては、まさにおっしゃる通りでございます。ただ、それ以外のこれは宗教に関する事項でございます。たとえば教育基本法で申しましても、宗教教育という条項が第九条に出ておりまして、学校教育の上におきまする宗教の取扱い、こういうことにつきましては、やはり教育委員、文部省の関係することでございますし、そうして、それにつきまして広く措置要求することはございます。教育委員会の所管といたしまして措置要求することは、これはあり得る、理論的にはあり得るわけでございます。
  206. 秋山長造

    秋山長造君 言葉の争いのようなことになりますけれども、そこのところは私ははっきりしておかなければならないと思うのです。教育基本法にいう宗教教育というのは、これは教育が重点でしょう。その宗教は形容詞なんですよ。宗教教育という教育なんです。だからそれはもちろん、われわれの教育という概念の中にこれは当然含めていいと思うのです。ところが文部省設置法第四条に掲げておる宗教に関する事務というのは、宗教教育のことじゃないのでしょう。教育基本法にいりておる宗教教育ということでなくして、これは一応教育とは別な宗教、宗教法人その他宗教のことなんで、宗教教育のこととは別の概念だと思うのです、文部省設置法の第四条において。で、宗教教育だとか何教育だとかいうのは、要するに教育なんだけれども、ここにうたってある宗教というのは、その宗教教育とは別の問題なのです。そうしてそれは、しかも宗教行政というものは国の事務なのです。それを地方に委任しておるのだから、その委任事務については、これは何も今度の法律を待たなくとも、当然従来のこの法律によってですね。文部大臣は指揮監督権を持っておる。にもかかわらず、特に関係法令でうたっておるということが私は怪しいと、今湯山質問が出てくる一つの要素となっておる。
  207. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 先ほどから申し上げておりますように、この教育という概念規定を正確にする意味で、設置法の方にはそこにズレがございますから、教育委員会法との間にズレがございますから、そこを正確にする意味で埋めたのでございます。そこで、ただいまの教育基本法を私は出しましたが、教育基本法の条文をお読み願いましても「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。」、あるいは第二項に「国及び地方公共団体設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」、まさにそれは教育に関しまするけれども、宗教にも関係する事項でございます。従いまして、先ほど申しますように、その宗教教育という概念の中に含んでおりますから、現行法におきましては、それは先ほど申し上げましたように、五十条の七号から、特に教育という中から宗教を除いておるということから申しましても、理論的に出て参ります。そこをやはり埋めておきませんと、やはり正確でございませんから、正確を期する意味におきまして、念を入れて文部省設置法の方は宗教ということを特に入れて規定しておるわけでございます。
  208. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 緒方局長、ここはこう書くべきじゃなかったのですか。やはり文部省の設置法と関連をもって考えた場合に、この措置要求のところの新法案の五十二条ですね、ここは文部省設置法の第四条を受けて、「学校教育、社会教育、学術及び文化」とそれから宗教と、これだけの活字をここに並べるべきじゃなかったかと思うのです、私は。それで明確になると思う。ところが用語の簡素化をはかったのか、この第四条のところの教育委員を任命するに当っての、その教育委員としての資格条件の中の「教育、学術及び文化」というのを、これを単に教育と、こういうふうに表わしておいて、その教育というのを受けて五十二条にもっていったから、こういう私は不明確なものが出てきたと思うのです。そこであなた苦しまぎれに、第四条の文化の中には宗教が入っているなんて、これは無理ですよ、そういう解釈は。文部省から出ておる他の省令、規則等における教育、学術、文化、宗教、こういうふうな言葉の使い方からいって無理ですよ。それは牽強付会ですよ。ここのところ、今私が言ったように直しなさい。そうしたらはっきりしてくる。学校教育、社会教育、学術、文化、宗教、それが目的達成を阻害して云々と書けば、これは法の体裁としても整ってくるし、また読む人にも誤解を与えない。さように私はここのところを書き改めるべきだと思うのです。どうですか。
  209. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 非常に明確を欠くというお話でございますが、先ほどから申し上げております通りに、明確にするために、文部省設置法を特に整理をいたしたわけでございまして、私は非常に明確だと思っておりますが、(「五十二条のところですよ、この法案のですね」と呼ぶ者あり)法律でございますから、法律の用語を正確にすることを期しておる所存でございます。
  210. 湯山勇

    湯山勇君 これは局長、そういうふうにいろいろなことをおっしゃいますけれども、大臣言葉を借りていえば、この現行教育委員会法は、この法律を作るに当って、これはなかりしことになっているわけです。これはないのです、これ。そうしてこの法律ではやはり教育、学術、文化、「教育」と規定してあります。このあとのただし書きか注意書きか、カッコの中のものは必ずしもその概念を規定したものじゃなくて、これは注意です、一つの。そういうことにならないようにという注意なんで、その中に含まれている、含まれていないということは関係ありません。もしこの法律にもそういうことがあれば別ですけれども、現在この法律が通れば、今あなたのおっしゃったようなことを指摘する材料は一つもなくなります。そのときにこれとこれとを対比して、一方には教育、学術、文化となっておるし、一方には教育、学術、文化、宗教となっておる。そういうことの対比をして、あなたが今おっしゃったような理屈をつける材料はもうなくなっているのです、法律同士比べたときに。そうなったときに一体何でそういうことが言えるか。そういうことを言う材料は消滅しているのですよ、この法律のときには。これはやはり概念規定を変えるか、この関係法の整理を変えるか、あるいは何とか方法をしなければ、これは大へんなことになります。それを今のこのなくなる法律をもとにしてとやかくおっしゃっても、それはなくなったあとでは通用いたしません。
  211. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは先ほど来申し上げます通り考えておりますので、その教育という概念規定につきましては、旧法をそのまま受けて新法は規定しておりますので、その間のギャップを埋める意味で規定したわけでございます。もしこれをやりませんと、そこに食い違いが起ると私どもは考えております。  なお、現行法のできました経緯等につきまして、地方課長から御説明申し上げます。
  212. 湯山勇

    湯山勇君 委員長、要らないです。ギャップができる、できるとおっしゃいますけれども、この五十二条をあとで私質問しますけれども、五十二条によってギャップはできません。宗教に関することは宗教に関することでやる道はあるんです、ちゃんと。本院の法制局もそう言っています。ですからあなたのように、現行法のそういう注意書きにこだわって牽強付会な解釈をするということは許されない。しかし、あなたがあくまでもそうおっしゃるのであれば、それはまたそれとして一応承わるだけにしておいて、五十二条のときに、宗教がこの法律のブランクにならないということを指摘して質問します。
  213. 秋山長造

    秋山長造君 これは大臣に聞いた方がいいのですが、大臣はどうされましたか。
  214. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 今すぐ戻ります。
  215. 秋山長造

    秋山長造君 局長に聞きます——大臣帰えられましたので、第四条について文部大臣にお尋ねしますが、委員の資格要件の第一は「当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者」、これが第一です。それから第二は「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」、この二つが新しい教育委員の資格要件だと思いますが、そのうち、あとの人格云々というのは、これはきわめて抽象的あるいは法律以上という意味で超法律的な概念だと思う。ところが第一の資格要件である「公共団体の長の被選挙権」というのは、きわめて法律的なこれは概念だと思う。現行法では地方公共団体の選挙権を有する者、こういうことだったわけですね。今度は「長の被選挙権を有する者」、こういうふうに変ってきたわけですが、現行法と新法と大きく変ってきた理由、趣旨、そういう点についてまずお伺いします。
  216. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 大体教育委員会は執行機関であるといったようなところから長の被選挙権で押えたのでございます。
  217. 秋山長造

    秋山長造君 これは執行機関であるということは、現行法においても同じことなんです。しかも先ほど来議論が出ておりますように、なしろ執行機関であるということだけをとって考えた場合には、今度の新法における執行機関としての性格よりも、現行法における執行機関としての性格の方がよりはっきりしておったわけですね。自主性とか独立性とかという問題がこの間出ましたが、それから見ましても、現行法における執行機関という性格の方がはっきりしておった、今度の新法では多少ぼやけておる、弱くなっている、われわれはまあそう解釈している。あなた方の方は何ら変らぬとおっしゃるけれども、われわれの方はそういうように解釈しておる。現行法よりも一そうしっかりした、はっきりした執行機関だということは、まさかおっしゃらないでしょう。にもかかわらず、そういうように範囲が非常に広くなるといいますか、広くなるといえば聞えはいいですが、その反面、現行法における教育委員であるならば、その資格要件からいたしまして、その居住する町村において選挙権を持っておるわけですから、少くとも相当長期間その土地に住んでおって、そしてその土地の人となじみも深い。だれが教育委員になったといえば、すぐああどこそこのだれそれさんか、あの人はいい人だとか、あの人はちょっとどうかというように批判が非常に簡単にできますわね。それからまた、自分の子供を頂ける教育委員ですから、親としては非常にその教育に対して深い関心を持つわけです。その自分の子供の教育に非常に直接関心を持っている親として非常に身近な関係にあるわけです、現行の教育委員ならば……。ところが今度の法律によりますと、委員はどこから連れてきてもいいわけでしょう、日本国じゅう。鹿児島県の片いなかの教育委員を北海道にこれは連れていってもかまわぬ。そういうことになりますと、他の面については、あとから触れますけれども、少くとも子供を持つ親とのなじみといいますか、親しみといいますか、直接今までのように子供を持つ親が自分たちの手で選んだ身近な教育委員という感じはこれはなくなる。どこからか妙な人を連れてきて、わけのわからぬ人を連れてきたということもあり得るわけです。だからそこらに、あなた方の御説明を聞けば、そのかわりに他の面で大いにそのマイナスをプラスする、カバーするだけのものがあるんだと、こうおっしゃるでしょうけれども、一番大切な、教育行政に大切なことは、これはやっぱり教育に対して第一の責任を持つのは親と教師です。特に親です。その親との関係が非常に疎遠な存在になるということだけは、これはお認めいただけるのではないかと思う。その点があるにもかかわらず、あえてこういうように資格要件を変えられた点について、一つもう少し徹底した御答弁をお伺いしたい。
  218. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今御指摘のように、長の被選挙権を資格要件といたしております。そこの選挙権を持つ必要はない。従って住所要件はない。ただこれは、従来はこれは公選でございますから、ただ任命をします対象といたしまして、こういう規定を作ったということでございます。そこでお話のように、その地域との結びつきでございますが、これにつきましては、やはりその公選で出ております長が、やはり公選で出ております議会の同意を得て任命するとございますので、その地域との結びつきということについての判断は十分そこで行われるのじゃないか、かように考えます。それで十分じゃないだろうかと存じます。そこで御質問の中にもございましたように、ここに掲げてありますように、人格が高潔で、教育に関して識見を有する人、その公共団体の教育事務を担当するのに最もふさわしい人という観点から、公選によりました長が、公選によりまする議会の同意を得て選ぶのであれば、何も必ずしもそこの住所要件というものにこだわることはないのじゃないか。もう少し広い見地から最も適当な適任者を選ぶということが、むしろ適正じゃないかと考えておるわけであります。長の被選挙権というものを特にいたしましたのは、これはやはり県におきますならば、知事に対等な、あるいは対等と申しますと言葉は少し悪いのでありますけれども、知事や市町村長等の資格と同じような資格を教育委員にも要求する、こういう観点から、長の被選挙権ということを特に規定したわけであります。
  219. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この点については、先日私一般質問のときにも伺ったところですから、同じことを伺うのですが、都道府県の場合は、その都道府県内で居住して被選挙権を持つような場合にしても、これにしても、実際は同じだと思う。あなた方が法案を作るときに、都道府県の場合は心配されなかったが、市町村の場合を顧慮した場合にこういう表現が出てきたものと私は推察しておるのですが、そうでしょうか。もうちょっと具体的に申しましょう。ということは、都道府県の場合だったら、現行法と同じように、都道府県内に居住して、そうして被選挙権を持っておる人の中から教育委員を選べる。現行法にしろ、新法にしろ、教育長はどこから持ってきてもいいわけですね、都道府県の場合は……。だから都道府県の場合は問題はない。ただこれが出てきたのは、市町村の場合を心配されたのだと思う。市町村の場合は教育長と教育委員が兼ねるというところに、こうしなければ工合が悪かったのでしょう。すなわち一つの村で教育委員を選んで、その中の一人が必ず教育長になるわけですね。だからその村に居住して、そうして被選挙権を持っておるというワクにすると、やはり適当な教育長を選びづらくなってくる。都道府県の場合には、県内で教育委員に適当な人がおるでしょうし、現行法でも新法でも、教育長をどこから持ってきてもいいわけです。しかし市町村の場合は、教育委員の中から教育長を選ばなければならぬという制約があるのですからね、そこにその村の中から、ぜひとも村の中に居住して、そうして被選挙権を持っておるものと限定をすると、適当な教育長、教育委員が得られない場合が考えられるので、私はこういうように公共団体の長の被選挙権を持っておるもので、具体的に言うならば、どこの町、どこの村からつれてきてもいいように書かれたものと思う。そうでしょう。そうだと私は推察しているのですがね。
  220. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは都道府県も市町村も同じことでございまして、市町村におきましておっしゃいましたので申し上げますと、これは隣り村に住んでいる人でも、その村の出身の方で、あの人が最も適任者だという判断を市町村長がいたしまして、その方をお願いしてくるということもあるかと存じます。県の場合にもやはり同様のことが言えると思います。従いまして(「県の場合、教育長はどこからつれてきてもいいのだ」と呼ぶ者あり)教育長じゃございません、委員に……。とにかく広い範囲から適任者を選ぶことができるようにいたしておることはその通りでございます。しかしその地域とのつがり、これは大事でございますが、しかし長が選ぶことでございますし、また議会の同意を得て選ぶのでございますから、その点は十分配慮されるものと考えております。ただいま矢嶋委員のお話のように、市町村の場合に教育長を委員の中から選ぶという場合に、結果的には今のような懸念が出てくると思います。この制度によりまして……。
  221. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あのね局長、極端なことを言われては困るのです。この新法が成立して、都道府県だったら教育委員は必ず都道府県の住民の中から選びますよ。知事はその中から選んで議会に提案するでしょう。議会はそれを承認するでしょう。おそらくよその県から教育委員を持ってきて、それを承認するような私は都道府県議会は絶無といってもいいと思う、賭けておいてもいいと思う、僕は。都道府県の場合はそうですよ、問題は。しかも都道府県の場合は現行法でも新法でも、教育長はどこからでも連れてこられるのだから、これは問題はない。これが出てきたのは、明らかに今秋山委員が指摘したように、その町村の住民でない人が教育委員になってきて、しかも教育行政の責任者である教育長になるというような不自然な、住民と親しみのないのが出てくるというのは、どこから出てきたかというと、町村の教育委員教育長を兼ねさせるという無理から出てきているのですよ、無理から。これはもうはっきりしている。岸さんの取りなしで、岸信介さんのその取りなしで、教育委員の中から教育長を選ぶ、教育長というものを、教育専門家でなくちゃならぬという、それをくずして、教育委員会から教育長を選ばなきゃならぬという、そういう無理なことをやったところからこれが出てきたのです。だからすっきりするためには、教育委員会がある以上は、現行法の精神を生かして、教育長は専門職にすべきだ、教育委員と兼ねさすべきじゃない、こういう結論がはっきり出てくる、そういうことをやるから——あなたはそういう私と同じ意見なんだ。ただ大臣が隣りにいるから賛成と言えないだけで、同じ意見だ。そういう無理なことをするからこういうことが出てくる。これは大臣の責任ですよ。緒方局長意見も、木田地方課長の意見も、矢嶋の意見はりっぱだと思っているに間違いない。それが政治的な取引きで教育委員教育長を兼ねさせる、こういう無理が実はこういうところへ出てきている。あと幾らでも出てきておる。これは国務大臣文部大臣としてのあなたの責任ですよ。あなたの政治力の問題ですよ。いかがお考えになりますか。局長の説明は要らんです。要らんですよ、はっきりしている。これは全国の有識者は、緒方初中局長が、教育委員会がある以上教育長はいかなる者を任命しなきゃならぬかということを、あなたがどういう見解を持っているかということは、あなたが何と言おうと、全国の有識者はちゃんと知っている。それは常識以前の問題です。
  222. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) ここで教育委員の資格を公共団体の長と同一にいたしましたのは、町村の、市町村の程度においては、一般の執行機関たる市町村長がやはり必ずしも住民たることを限定といたしておりません。公職選挙法の第十条にあるのでございます。また府県知事の、府県のレベルにおきまする教育委員会、この場合は府県知事と同資格にしたのであります。何となれば、いずれも執行機関でございまするから、これは公正と認めたのであります。逆に、委員のうちから教育長を選ばんならんということを先にきめて、あとからその求めに応ずるためにこの規定を作ったというのじゃございません。この規定がこういうふうに広い執行機関と同じ地位、同じ資格と書いてありまするから、これならばやはり教育長を互選的に選定するということも可能になるということがあとからきたのであります。あなたのおっしゃることとは逆でございます。
  223. 秋山長造

    秋山長造君 それは大臣は、知事や市町村長はどこからでも持ってこられるじゃないか、それと同じことだとこうおっしゃるけれども……。
  224. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) さようでございます。
  225. 秋山長造

    秋山長造君 ところが知事や、市町村長はどこからでも持ってこられるけれども、しかし問題は住民との結びつきの機会が与えられておるか、こういうことが問題で、それは知事や市町村長は、今度の任命制と同じように、どこからそれは連れてきてもよろしいけれども、それは住民が選挙するのではなしに、どこかから任命されるのだ、こういうことになれば、大臣の議論はわかるのです。ところが知事や市町村長は、なるほどどこからでも連れてこられるかわりに、選挙という洗礼を受けなければならない。選挙をやらなきゃいかぬ。そしてそれによって、なるほどこの土地に住んではならぬ人だけれども、しかし選挙を通じて、その住民から直接選ばれるという機会を持つことによって、住民と結びつくわけなんです。そういう機会があるでしょう。ところが今度の教育委員はそうではないでしょう。住民との結びつき、子を持つ親との結びつきはもうぷっつりタコの糸が切れるように切れてしまうわけでしょう。そうでしょう。公選制はなくなる。そうしてどこの馬の骨……、馬の骨というのはちょっと取り消しますが、それは取り消しますが、どこの人かわからないような人を連れてきて、そうして教育行政をやるのでしょう。一般の住民なり父母なりというものは、どういう機会を通じて教育に対する発言をするのですか。自分の子供の教育に対する発言ができるのですか。その機会はないでしょう。住民は選挙というものを通じて発言ができる、市町村長や知事に対しては……。ところが一般の親や住民は、教育委員に対しては、教育というものに対しては、どういう機会を通じて発言するのです。その結びつきがない、なくなる。
  226. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) これもお取り消しには及びませんが、ぷっつり切れたというのは、私は言い過ぎだと思うのです。直接選挙はいたしませんけれども、直接選挙を経た議員が同意するのです。直接選挙を経た町長がきめるのです。今任命という言葉が入りますが、これは選任であって、何も昔のように中央政府から任命するものじゃございません。教育委員は直接選挙を経た町村議会が同意するのでございます。すなわち、子供の父母が選挙した人がこれをやるのであります。ぷっつりは切れてはおりません。それは直接選挙よりは間接にはなります。間接選挙という言葉は私は使いたくありませんが、やや間接選挙の体にはなっておりますけれども、ぷっつりは切れておりません。まだもう一つそれが悪ければ、村のお父さん、お母さんはイニシャチブをとってリコールができるのです。でありますから、ぷっつり切れた、よその馬の骨を連れてくるということじゃございませんから、御安心願いたいと思います。
  227. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、大臣は子を持つ親と教育委員とのつながりというものは、リコールということだけでつながっておるわけですね、リコールだけで。リコール以外にはつながらないでしょう。リコールだけでつながっておるのだから、ぷっつり切れたというのは言い過ぎだとおっしゃる。一体そういうリコールということは、これは消極的なつながりでしょう。親はリコールというようなことだけでつないでもらって、それでもう安心したというようなものではないと思う。それはむしろ逆に、リコールというのは、よくよく悪い人をやめさすという権利でしょう。しかし、それは悪い場合にやめさすこと以上の権利じゃない。そういうことより、親としては自分たちの気持を積極的に教育委員に代弁をさして、積極的に子供の教育をどんどんやってもらいたい。そのために適任者を選ぶということが今までの公選制の建前なんです。これはリコールということでつながっておるから、ぷっつりは切れておらぬとおっしゃる議論は、私はこれこそおかしいと思うのですがね。これはやはり何とおっしゃっても、第一レーマン・コントロールということを言われておる。これは今度の法案の建前においても貫いておるということを、文部大臣はおっしゃってきた。レーマン・コントロールということは、今度のように、どこからでも適任者ならいいじゃないか、どこからでも連れてきたらいいじゃないかということによって、レーマン・コントロールというものは薄らいでくると思う。どうしても遠方から来る。よそから通う、土地の人でない人が通う。なるほど学歴とか何だとかそういうような面では、あるいはいわゆるより適任者が得られるかもしれない。しかしそのかわりに、町村の教育行政をあずかる教育委員としての適格要件の第一にあげるべき、その子を持つ親たちとの結びつき、親たちの気持をどれだけよくのみ込んで、そうして教育行政に生かしてくれるかという、その点はこれはどうしても薄らいでくる。それ以外の学歴とか何とかいうようなことは、あるいはよそから連れてきた方が、その町内だけで、町村内だけで選ぶ場合よりも、よりいい場合があるかもしれぬけれども、親との結びつきという、その点だけについてはどうしても現行の制度の方が、それは法律によって保障されていますよ。より強く保障されておる。だから今度のこういう建前をみますと、どうも子を持つ親というものの立場がおろそかに考えられておると思う。父母というものをあまり信用されていない。子を持つ親に対する不信、信用しないという、不信の感情の現われですよ、こういうことの方が直接公選よりもいいというふうにお考えになるのは……。任命の方が、親に直接選ばしたよりもいい人が選べるのだという考え方そのものが、私は親に対する、父母に対する、地方住民に対する不信感から出発しておると、これは権力主義者特有の心理状態ですよ。国民を信じない、親を信じない、お上を信じるところの、官僚をより重くみるという私は考え方の現われだと思う。いかがです。
  228. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 今のあなたの再質問は、私が初めの質問に答えたその補充的に述べた後段に重きをおいて再質問をされておるので、さらにリコールという方法もあって国民に責任を負うといったのは、補充的に私が申し上げたことなんです。直接選挙によるつながりも一つでありまするけれども、しかしながら、あなたのおっしゃる親、お父さん、お母さんが選挙した一体町村議員があるじゃないか、選挙した県会議員があるじゃないか、そのものの同意を得て町村長が、しかもその町村長、知事は、これもお父さん、お母さんの選挙した人なんです。この方法によって父母とつながりがあるじゃないか、これを私は主に申し上げたのです。しこうして、民主主義の国において、国民とのつながりは、なるほど直接選挙の方がそれは直接でしょう。それまでを私はかれこれ言うのじゃありませんけれども、アメリカのような民主主義でも、大統領は間接選挙によっております。これは民主主義に反するとだれも言っておりません。この場合は間接選挙ということは使いませんけれども、選挙によって選ばれた町村長が、選挙によって選ばれた町村会の同意を得て、そうして選定するのでありまして、あなたはお上がとか、官僚がとか言いますけれども、この選挙、選定には政府はちっとも容喙しないのです。全く自治体の機関が選ぶのでありまするから、親を無視するとか、町村を無視するとか、官僚主義ということじゃないのです。それだけは御了承の上、さらに疑義があればお尋ねを願いたいと思います。
  229. 秋山長造

    秋山長造君 これは大臣とこの点について議論をするつもりはございませんから、ございませんけれども、私がお上とか官僚主義だとか言ったのは、別にあなたが町村の教育委員を任命するという意味で言ったのじゃない。そういうものの考え方の現われだということを言っておるのです。父母や住民の良識というものを信用しない。  それからもう一つは、アメリカの大統領ということを言われましたが、これも議論をする必要はないので、アメリカの大統領選挙というものは、大統領を選挙するというたった一つ目的のために、大統領の選挙人を一般選挙民が一たん選んで、そうしてその選ばれた選挙人が大統領を選挙するのですから、それが間接選挙、この選任方法というものは、その大統領の間接選挙とは違のでしょう。全然そういう間接選挙でも何でもありはしません。大臣局長もしばしば間接選挙だ、間接選挙だということをおっしゃるけれども、それはこじつけですよ。間接選挙でも何でもない。  それからもう一つは、父母が選んだ、住民が選んだ町村長や町村会議員が選ぶのだから、何も変らぬではないか、こうおっしゃるのですけれども、町村長や町村会議員というものは、アメリカの大統領選挙の選挙人のごとく、これは教育委員というものを選ぶということを目的にして、唯一の目的にして出た人たちじゃないでしょう。これはほんとうの仕事のつけたりとして、つけたりとしてただこういう手続に参与するというだけなのです。だからね、それは直接父母の直接選挙によって選ばれた教育委員と、それから今度のような方法によって選任される教育委員と、父母との結びつきの程度、糸の太さというものは、それはうんと違います。これは形容詞をつければ、ぷっつり切れたといってもあえて過言ではないと私は思う。どうお考えになりますか。
  230. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 今はあなたの御見解をお述べになりましたが、私はそうは思いません。私も間接選挙じゃないけれどもということは断っております。その目的のための間接選挙ではないが、しかし間接選挙で選んだ人が相談をしてきめるという点において連絡がぷっつり切れているものじゃない、私はこう申し上げたのです。何もここで言葉の争いはいたしませんけれども、なるほど直接選挙よりは連絡が薄いことは認めます。それを私は言い張るのじゃありません。しかしながら適当な教育委員会組織するためには、やはり国民が日夜接するところの町村会議員なり県会議員が介入して相談をして、町村長と意を通じて、これならこの村の教育委員によかろうということをきめる場合には、やはりその村の父母あるいは父兄、それと全く無関係にやったものだ、昔の視学官が官吏として任命されたものが出ていって世話するという場合とはこれは違います。やは教育委員会のあり方としては、こういうことも私は一つであろうと思います。直接選挙ばかりによっておらぬ制度もほかの国にもあることは私よりあなたの方がよく御存じであります。物事はまあ目的を達するのが第一で、直接選挙ばやりでありますけれども、何もかも直接選挙でなくて、このくらいの余裕をとって間接に民意の反映ということも合目的であれば、これも認むべしと、こういう私は意見を持っているのであります。
  231. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ねえ大臣、いつも同じことを答弁されておっても、これは限りないのですがね。これだけのことを私は耳に入れておきましょう。そして違う角度から一、二聞かせていただきます。それは今だと各村の教育委員の人は自分の村のどこからか自転車に乗って、そして教育委員会に行って子供の教育行政を責任をもってやっているわけですよ。これでいきますと、隣りの町、あるいは隣りの村から教育委員の人が自転車に乗ってきて、そして子供の教育行政をやられるわけですよ。それだけ違ってくるのだ。私は都道府県の場合には、これはほとんど実害はない、関係はないです。問題は市町村の場合です。村の中から自転車に乗って、そして教育委員会へ行って仕事をするのと、隣りの村から電車やあるいは自転車で会議のあるときだけやってきて、そして仕事をやるのとでは、その住民の結び付き、それから感情、住民の、住民による、住民のための教育という立場から言ってずいぶん違った味わいのものになるんですよ。これはもう明々白々たることです。それで私は今度は違う角度から伺いますが、初等中等教育局長、あなたに伺いますが、現行法における教育公務員特例法教育長の資格要件を落したのはどういうわけですか。この角度からちょっと聞いていきます。
  232. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいま前段におっしゃいましたことでありますけれども、この法律の四条は、その村の人を教育委員に選ぶということは何もここに支障はないのであります。今例にお引きになりましたように隣りの村の人もできるということなのです。でありますから、それは先ほど秋山さんもおっしゃいましたように、それはその村に居住、選挙権を有するという要件がなくても、そのほかの観点からその村の教育行政につきまして、高い見識と識見で大所高所から適正な教育行政をやり得るという人を判断をして、それが任命できるということでありますから、一つ了承いただきたいと思います。  それから次に教育長の資格要件の問題でございますが、これは現在の教育公務員特例法に規定しておりますが、この規定を整理法で整理いたしました。これは教育長の選任方法が改まりましたので、これに従いましてこれは整理いたしたのでございます。資格要件を必ずしも今規定しておりますように形式的に、たとえば学歴がどうであるとか、あるいは一定の単位をとっていなければならぬとか、あるいは教育に関する職務に何年以上従事していなければならぬ、こういうふうな形式的な資格要件をつけるよりも、むしろこれは教育長という職分から申しまして、教育に関しまして十分識見を持ち、その知識がなければいかぬのでございますけれども、また一面、教育長の仕事というものは豊富な行政の経験、識見ということも必要でございますから、さような観点を総合的に勘案しまして、それぞれの教育委員会で適任者を選ぶ、こういう制度をとった方がより適任者を選ぶことができると考えますので、さような観点からいたしまして、この教育長の選任方法も改まりましたので、教育公務員特例法整理をいたしまして改正したわけでございます。
  233. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうことを言うと、また大きい声を出さなければならぬ。ここにも教育軽視の、教育を冒涜する私は考え方があると思う。一体今まで助役を教育長として認めてきた、こういうことは教育軽視の考え方ですよ。大体一国の文教政策というものを政略的な立場からのみ考えるからこういうことが出てくる。考えてごらんなさい。ある町ある村において、相当の学問をし、教育職員としての経歴を持ち、りっぱな識見を持っている、そういう学校長以下の教育職員を……、なかにはりっぱな助役さんもおりましょう。そういう助役に教育長を兼ねさした、こういうのは現行教育委員会法の立法精神をじゅうりんしているものですよ。それがさらに今度は経過規定である程度いくわけですが、教育長の資格要件を落したということは、これはやはり教育軽視の考え方から出てきておる。さらにどうしてこういうものを落さなければならなかったかということは、質問してゆけば理由がはっきりしてくると思います。教育委員というものは政治的手腕も必要でしょう。しかし、教育長の一番重要な要件というものは、何といっても教育全体の専門的識見を持っているということですよ。これが一番重要なんです。従って現行ではなんでしょう、教育長の資格は「学士の称号を有し、且つ、文部省令で定めるところにより、大学において所定の単位を修得し、五年以上教育に関する職にあったこと。」とか、あるいは「二年以上、校長、指導主事、社会教育主事その他の文部省令で定める職員の職にあったこと。」とか、「教諭一級普通免許状を有し、」云々という、要するに専門職としての資格が規定されている。これは全部落した。この落したのもこのままでいいかどうかは私は若干意見を持っていますが、それは今日触れません。しかしこれに近いところの私は教育長にはやはり要件が必要だと思う。そうしなければ実際に現場において働いている先生方に適正なる指導と助言はなし得ないと私は考えておる。政府がこういう条件を全部落したのは、やはり町村において教育委員教育長とを兼ねさせるというところから出てきているのですよ。それを町村で教育委員教育長を兼ねさせる、だからこういうふうな条件を大幅に取らなければならなくなってきた。だから場合によったら、えらい教育委員教育長が私は出てくると思います。  そこで私は少し具体的に伺いますが、あなた方はせめて人格が高潔で云々ということで埋め合せようとしていると思いますが、非常に抽象的なものになっておると思うのですが、首長の選挙とか、地方公共団体の議員の選挙のような場合は、よくこういう人が出ております。選挙違反なんかかかったのは何とも思っていない、名誉ぐらいに思っている。選挙違反で罰金を受けたり、投獄されたような人が平気で首長に当選したり、議員に当選したりしている、あるいは詐欺をやったような人がなっている人もおります。あるいは二号、三号、めかけを持っておるような者、正妻以外の女性に子を産ましたような男性なんかも、都道府県の首長やら議員にたくさんなっている。ところが最近の市町村の教育委員の選挙を見ていると、かつて詐欺で引っかかったとか、あるいは選挙違反をやったとか、あるいは二号、三号とかを持っているような人物が立候補すると、あの人が教育委員になっては困るからといって、りっぱな人を対立候補として、青年団とか婦人会が立候補さして、当選さしているような選挙が最近行われておる。一体教育専門職としての要件も落している、教育公務員特例法で落している、何もなくなってしまう、そうしてあとはさっき言ったように、他の町村からも連れて来れるわけなんです。あとは「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する」云々とあるのですが、大臣に具体的に伺いましょう。これは将来、首長が議会に教育委員を推薦する場合に大事になってくるわけですが、もう具体的に伺いますよ、ゼロ号とか二号、三号とか持っておるような男、それからちょっとした詐欺に引っかかったような男、あるいは選挙違反なんかで有罪となったような人、そういう人を首長は教育委員、その中のある一人は教育長になるわけですが、そういう人を首長が推薦することは望ましいとお考えになっておるのか、それともそういうことについて別に何もお考えになっておられないのか、どの程度のお考えを持って「人格が高潔で、教育、学術及び文化」云々と表現されたか、本法案成立後において、運用上非常に関係が深いと思いますので明確に伺っておきたいと思います。立案者の所見を伺います。
  234. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 教育委員には、ここに禁固以上の刑に処せられたる者等、欠格条項がありまして、これは元のように公職選挙法で選挙するのであったら、ここに書かないでも選挙法にあるのであります。それからしてここに人格が高潔で、教育、学術文化に関し識見を有するという人は、あなたの今例にとられましたような人は入りません。どうもあなたが非常に今いろいろなことをおっしゃいましたが、(「いろいろなことってどんなことですか」と呼ぶ者あり)例をいろいろあげられまして、広汎なことでありましたからぴったり合うかどうかは知らぬが、あなたのお心持ですね、性道徳についても非常な不評がある、まあ刑罰に処せられぬでも詐欺を働らくとか、賭博をやるとか、そういう人はもういけないと思っておるのであります。その心持をここで人格が高潔で教育、学術、文化に対する識見、こういうのであります。
  235. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ちょっと補足いたします。先ほどのお話の中に選挙違反で失格した者というお話がございました。これは被選挙権がございませんので、当然そういう人は失格でございます。
  236. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最近助役がずっと教育長になって……、あれは十分職責を果し、うまくいっていると局長はお考えになっておられるのですか、どういう眼をもってあの助役が教育長を兼ねているのを見ておられますか、承わっておきましょう。
  237. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これはあくまで暫定措置でございますから、好ましい姿とは考えておりません。従いまして本法におきましても、当分の間助役の兼職禁止の規定を解除しておりましたのを、三十二年三月三十一日までの間に限って兼職禁止を解除する、適用しない、こういう規定にいたしております。
  238. 湯山勇

    湯山勇君 今経過措置について助役の任期の話が出ましたから、これは本来十六条でお尋ねすべき問題だと思いましたけれども、関連してお尋ねします。なぜ一体三十二年の二月三十一日まで助役の教育長兼務を認めたのですか。
  239. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは専任の——助役が教育長をやっておりましたところを、現にやっておりましたところを専任にいたしますと、それだけ財政措置も必要でございますので、本年度は財政措置が十分講ぜられておりませんので、三十二年三月三十一日まででございますから、三十一年度一ぱいはこの特例を認めていこう、こういうことにいたしたわけでございます。
  240. 湯山勇

    湯山勇君 それはおかしいので、経過措置によれば、付則の第十一条で、現在教育長をしている助役は九月の三十日でやめなければなりません。そうして九月の三十日からは費用のそういうふうに要らない委員が認命されるわけです、教育長に委員の中から。そうすれば九月三十一日以降助役教育長というものは存在しないわけです。その存在しない教育長を三十二年の三月三十一日まで置くという理由は、これは成り立たないのです。九月三十一日以降ですね、委員教育長をやらなくてもいいという規定があれば別ですけれども、そうじゃないのですから。新しい委員会ができれば九月三十日に、十月一日ですか、できればその中から教育長ができるわけですから、これは予算と関係ないわけです。それをあえて三十二年三月三十一日までとするということは、これは不合理です。
  241. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今の付則第一条のこの規定は……、
  242. 湯山勇

    湯山勇君 十一条ですよ。
  243. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 付則の方からごらんいただきますが、これは助役が兼任できるという規定でございます。そこで市町村の教育委員会におきましては、十六条三項によりまして、委員の中から選ぶということでございます。で、経過規定といたしまして……、
  244. 湯山勇

    湯山勇君 十一条です。
  245. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) そこで先ほど申しました財政措置の問題でございますけれども、助役が兼任をいたしましても、その助役につきまして、これは財政措置が必要でございます。もしも助役でなくて専任の教育長を選ばなきゃならぬということにいたしました場合には、その専任の教育長に対しまする財政措置が必要でございますので、従いまして、この経過的に三十一年度一ぱいは助役兼任という原則を認めていく、例外的なこれを認めていくということでございます。
  246. 湯山勇

    湯山勇君 それは財政的な問題はわかりました。しかしやはり十一条との関係がわかりません。(「そうなんだ、そこなんだ」と呼ぶ者あり)現在在任している助役の教育長は、九月の三十一日限りやめなければなりません。  それから経過措置の中において、経過期間中においても、助役がかりに経過措置によって委員以外の教育長として任命された場合も、都道府県教育委員会の承認を得て任命された場合も、九月三十日にはやめなければなりません。そういうことがちゃんとこれに書いておるわけです。だから実際は教育長の助役の教育長兼務の期間がたとえ三月まで延びたとしても、この経過措置によって認められてないのですから、九月三十一日以降の助役の兼務ということは認められないのです。そういうことはあり得ないわけだ、この法によってですね。だから実際はそれは財政上の措置で、三十二年三月三十一日まで助役は兼務することができることにはなっておるけれども、経過措置十一条によってそういう事実は九月三十一日以降ないわけです。こういうことになるわけで、これは有名無実だということを申し上げておるのです。
  247. 木田宏

    説明員(木田宏君) お答えいたします。前段は湯山委員の御指摘の通りでございまして、この経過規定の附則十一条によりまして、助役で教育長を現在兼ねております者も一応九月三十日でおしまいということになっております。(湯山勇君「途中で任命した者も同じだ」と述ぶ)ええ、途中で任命した者も同様でございます。整理法の一条で自治法の附則六条を改めまして、これは昭和三十二年三月三十一日までの間に限り、助役を委員以外からでも——委員になってないのですけれども、助役を特別に本年度中兼ねることができる、兼ねさせることができる。その場合には市町村の教育委員会は都道府県の教育委員会の承認を得て任命するのだと。これは新たな行為として考えておるのでございます。ですから、現在兼ねております者は一応九月三十日で全部切れますけれども、本年度に限りましては、この自治法の附則六条の特別規定によりまして兼ねさせる場合には、あらためてここに書いてあります任命行為手続をとりまして、本年度中兼ねさせることができる、こういう趣旨でございます。
  248. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それがね、教育軽視の考え方だと言うのだ。なぜそんなことをするのですか。具体的に、私が今助役で教育長になっていると、私は九月三十日にやめなくちゃならぬ。そうしてまた十月一日に、来年の三月三十一日までという条件で、私はまた教育長になれるのですね。そうでしょう、地方課長。
  249. 木田宏

    説明員(木田宏君) そうです。
  250. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 なぜそんなことをするのですか。これだけを改正するなら、九月三十日になったらあと教育委員の中の一人を教育長にするというなら、それでなぜいかないで、そういうことをやるのですか、その理由は。
  251. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは先ほど申しましたように、財政的な措置が十分でございませんので、本年度一ぱいはこういう特例を認めていこう、こういうことでございます。で、来年度からは本則に帰って参るわけでございます。本年度一ぱいはこういうことにいたしておるのであります。
  252. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それがわからぬのだ。そうすると、何ですか、教育長を助役にしようが、教育委員の中から教育長を選ぼうが、教育委員の定数を五人ときめれば、五人の教育委員を選ぶわけでしょう。教育委員を三人とすれば、三人の教育委員を選ぶわけでしょう。助役さんがならなければ、このうちの一人が教育長になるわけですね。だから、助役が教育長になった場合と、この場合と、財政的な何でいくと、どのくらい違うのですか。
  253. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 助役でございますから、兼任しております場合には、その給与について特別な措置は要らないわけでございますね。ところが、委員の中から専任の教育長を選任いたしますと、教育長としての給与が必要になってきます。その財政措置が十分講ぜられておりませんので、本年度だけはこれでやろうということでございます。
  254. 湯山勇

    湯山勇君 あなた方のおっしゃることは本末転倒しておると思います。これはこの法律を実施するための整理ですから、よろしゅうございますか、この法律を、つまりこの組織運営に関する本法を実施するためにこの関係法を整理したわけです。これはわかりますね。そうすると、こちらが主です。中心は本法です。本法のどこを探して、九月三十日以降助役が教育長になってもいいところがありますか。整理法でもって本法を拘束するなんということはできないですよ。どこにありますか。
  255. 木田宏

    説明員(木田宏君) ただいま湯山委員の御指摘の通り、本法では九月三十日までに全部旧体制を切りかえてしまうという建前になっておるのでございます。そこで自治法という別の法律体系の、これは附則ではございますけれども、そこに特例規定を掲げたわけでございます。自治法で、地方教育行政組織及び運営に関する法律第十六条第三項の規定にかかわらず、当分の間、助役が教育長を兼ねられるとなっておりましたのを、本年度限りに縮めてその特例措置をした、こういうわけでございます。
  256. 湯山勇

    湯山勇君 これも非常に無理な解釈で、それだけの間助役がなる可能性があるということをきめておるわけですね、自治法では。だから、その可能性があるということは否定しておりません。しかし、その可能性の中で、これだけやるかやらないかということは本法できめるのです。これは間違いないです。けれども、それはもうはっきりしておりますから、もうこれ以上聞きません。
  257. 安部キミ子

    安部キミ子君 私は第四条についてちょっとただしておきたいことがあります。先ほど委員の資格及び——まあ委員がやがて教育長にもなれる可能性があるのでありますが、その委員の資格については、先ほど矢嶋委員からるる質問がありまして、私の心配の一部が解けたのであります。しかし、この委員をきめるについては、地方の公共団体の長が議会の同意を得て任命するということになっております。そうしますと、委員になりたいというふうな野心のある人はですね、いろいろな形で運動が行われてくるのじゃないか。極言すれば、収賄、汚職というふうな思わしくない事態も私は起ってくる可能性がある、こういうふうに思えますが、その点、大臣及び局長はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  258. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは任命いたしますのは長でございますから、長の公正な判断によって、ここに掲げてありますような条件でもって、まあ任命するわけでございます。で、さような運動とかいろいろな請託等をいれて任命するということでは、これは法の趣旨に沿わないことに相なります。従いまして、まあいろいろとそういうことが実態としてあるかもしれませんけれども、この法律といたしましては、この法律の制度といたしましては、長が公正な立場から適正な人を任命することをまあ期待しておるわけでございます。まあさようにお答えするほかは、この法律の制度としてはさように相なってくるわけでございますから、御了承いただきたいと思います。  それからさらに、立ちましたついでではなはだ恐縮ですが、先ほど湯山先生のお話しになりましたこの整理法の第一条の規定でございますが、ここにありますように、ごらんいただけばわかりますように、「当分の間」を変えまして、三十一年度一ぱいはですね、任命することができると、まさに可能性を、可能であるということをきめてあります。これはしかし十六条第三項の規定にかかわらず任命することができるわけでございますから、委員の中から選ばなくてもいい。それを選ぶか選ばぬかは、これは教育委員会でやることでございます。
  259. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほどから問題になっておりました教育委員の選任条件、これにつきまして私は一点だけお伺いしておきたいと思う点があります。それは、今度の規定で、地域の住民から必ずしも任命しなくてもいい、日本全国どこからでも教育委員を任命することができる、この問題でございます。で、先ほどの説明では、そういう広いところから選んだ方が適任者を得ることができる、教育委員としてふさわしい人を得やすい、そういう理由があげられたわけでございます。私はその点はですね、抽象的には認めます。しかし今日教育委員の諸君がまあ一番苦労しておるのは、やはり教育予算をどうして獲得するかという点にまあ一番の努力が払われておるのであります。で、今日教育委員が、この地方財政の苦しい中から教育予算を確保するというためには、なみなみならぬ努力をしておられます。こういう努力はどういうところからくるかと考えてみますと、やはり第一に、公選された委員であるということが大きな理由でありますが、なおそのほかに考えられる点は、自分たちの住んでいる地域の子弟が行く学校である、自分たちの学校である、そういう学校に対する愛着ですね、あるいは地域に対する愛着、そういうものが教育に対する非常な熱意となって、そうして教育委員が苦しい非常な努力をして、教育予算を獲得しておる。こういうのが私は現状であると思うのです。今度の法律では、「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、」、これは非常にけっこうです。しかし今日私は非常に大事なことは、教育に対する強い熱意、それが私は非常に必要な点じゃないかと思うのです。そういう点から考えると、地域住民でなしに、広くどこからでも持ってこられるのだ、こういう考え方はやっぱし間違っておると思うのです。私はやはりその地域の中から選ぶことによって、選ばれた教育委員が、任命された教育委員が、やはり自分たちの地域の学校に対する愛着、地域に対する愛着として非常な熱意を持ってくると思うのです。それをどこからでも持ってくるということになると、そういう熱意はだんだん薄れてくる、こういうことを心配するのですが、そういう点について、この法を作るときに考慮せられたかどうか、そういう点を私は一つだけ承わっておきます。
  260. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 先ほども申し上げましたけれども、ここで「長の被選挙権を有する者」の中から任命するということにいたしましたけれども、これはもちろんその都道府県、市町村の住民である人を選ぶことは、一向これは制限はないわけであります。従いまして、そのほかからも適任者があれば選ぶことができるというふうにお考えいただきますならば、ほかから選ばれた、ほんとうに教育に熱意のある、識見のある適任者がある場合に、長が広く選ぶことができるわけでございますので、それはもちろん大部分はその市町村の中から、あるいは都道府県の中から選ばれると思います。でございますので、教育の予算のみならず教育全般の振興につきまして、その都道府県なり市町村の教育事務につきまして、真剣に、親身になっておやりになるような人を長は選ぶものだと、かように考えます。何かほかからだけ選んで構成されるのじゃないかというようなふうに考えますと、今のようなお考えが出るかと思いますけれども、これは「長の被選挙権を有する者」の中から選ぶことができるということでございますから、私は実態としましては、やはり中核になるのはその町村から、あるいは都道府県から選ばれるということが実態じゃないかと思うわけでございます。
  261. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) いかがでございましょう、次に移るようにしましては……。
  262. 秋山長造

    秋山長造君 私、先ほどからお尋ねしておったことがちょっと中断しておりましたけれども、もう一点だけお伺いいたします。  文部当局にお尋ねしますが、四条の一項の被選挙権、この教育委員の資格要件をおきめになる場合に、従来、任命制にしても何ら差しつかえないじゃないか、現に公安委員なんかは任命制で何ら不都合はないじゃないかというように、都道府県の公安委員の例をしばしば大臣局長も御引用になっておったのですが、今度この四条の資格要件の規定をお作りになるときに、都道府県の公安委員の資格要件を御参考にされたかどうか、これが第一点のお伺いです。と申しますのは、警察法によりますと、都道府県の公安委員の資格には、やはり「当該都道府県の議会の議員の被選挙権を有する者」というふうに、要するにその県内の住民でなければ公安委員になれぬという規定があります。ところが、今度の教育委員については県外からどんどん連れてこられるということになると、まあ県くらいな単位になって、そしてなおかつ県外からも連れてくるという規定は、まあどんなに考えても、ちょっと私はあまり明けっぱなし過ぎると申しますか、行き過ぎじゃないか。その点が第一点です。  それから第二点は、日本全国どこからでも連れてこられる、特に都道府県の場合なんかはそういうことが現実に起り得ると思うのですが、そうすると、今度の法律文部大臣はあるいは指導、助言、援助、あるいは連絡、調整、その他の権限を持たれるわけです。そこでお伺いしたいのは、都道府県の教育委員、主として都道府県の教育委員ですが、この教育委員の選考に当って、文部大臣あるいは事務的には文部省が関与してもかまわないのかどうか。することができるのかどうか。その点と、二点お伺いします。
  263. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 前段の公安委員の選任の資格でございますが、これは御指摘の通り、公安委員会は「議会の議員の被選挙権を有する者」ということになっておりますので、本法案の立て方と違っております。これは十分前例はいろいろ調べてみたのでございますけれども、教育事務につきましては、先ほどから申し上げますように、やはり広く人材を求めるということが必要であろうと存じまして、特に長の被選挙権、知事、市町村長を選ぶについての同じ資格要件、こういうふうに考えまして、特に公安委員会とは区別をして規定をしたわけでございます。今人事委員会の方につきましては、御承知のように、これはそういう規定はございません。  それから後段の御質問でございますが、これは関与いたしません。
  264. 秋山長造

    秋山長造君 関与いたしませんとおっしゃるのは、これは私の質問に対する答弁にならない。関与できるのかどうか。する意思がないということでなしに、しようと思えばできるのかどうか、こうお尋ねしているのです。
  265. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは個々の委員の任命につきまして、文部大臣がそれに関与することはできない、そういう趣旨でございます。
  266. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは五条、六条、一緒にやっていただきたいと思うのですが……。
  267. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 五条ですが、その答弁するときに、これは簡単に四条の二項を答えておいて下さい。私は第一回の教育委員選挙に立候補した経験を持っているのですが、あのときの教育委員会法には、こういうふうに何人以上同一の政党に所属してはならないという規定があったと思うのですが、その後その規定は消えたわけですが、あの消えたのはどういうわけだったのか、ついでにそれだけ聞いておきたいと思います。確かに、第一回の教育委員選挙のころは、同一政党の者は何人以上になってはならぬという規定がございました。  それから第五条ですね、こういう条文解釈は、何ですか、第二項「委員は、再任されることができる。」ということは、再々任もできるということを意味するのでしょうね。そういうふうに解釈するのが正しいでしょうね。
  268. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今の前段の御質問でございますが、私ちょっと一番最初のことを知りませんから、調べましてからお答えをいたします。公選でそういう制限があるのはちょっと奇異に感じますけれども、調べましてお答えいたします。  それから後段の方は、その通りでございます。
  269. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 第六条。
  270. 秋山長造

    秋山長造君 この兼職禁止の規定は、現行法の第十条と相当様相を異にしております。現行法の規定では、教育委員というものは、今度の新法によって兼職を禁止されておる者以外に、国会議員、あるいは国家公務員、あるいはさらに「その就任について国会又は地方公共団体の議会の選挙、議決又は同意を必要とする国家公務員及び地方公務員」、こういうものも兼職できないことになっておる。ところが、今度の新法によりますと、そういうものは全部抜けておりますから、国会議員や国家公務員等は教育委員と兼職ができるという解釈ができるのですが、そういうふうに範囲を広げられたのは、これはどういう理由でしょうか。
  271. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 新法の規定でございますが、これは特にこの教育委員会というのが地方公共団体の機関でございますから、地方公共団体の関係につきまして特にここに規定をいたしておるわけでございます。国会議員につきましては、これは国会法の規定がございまして、兼職は禁示されております。それからまた国家公務員につきましては、これは国家公務員法の関係でそれぞれ措置ができますので、ここには特に規定をいたしておりません。大体この規定は、公安委員会の規定と同じような形によって、前例によりまして規定をいたしたわけでございます。
  272. 秋山長造

    秋山長造君 では、国会議員も国家公務員も、これは本法でなしに、それぞれの国会法なりあるいは国家公務員法なりの規定によって禁示措置がとられておるから、だから、ここにはあらためてうたわなかった、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  273. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 国家公務員につきましては、国家公務員法の方でその措置がとり得ますから、規制ができますので、これには規定しておりません。国会議員につきましては、これは兼職禁示ということははっきり国会法に書いてございます。
  274. 秋山長造

    秋山長造君 現行の国家公務員法にそういう規定があるのですね。その点ちょっと、公務員法の何条にあるのかお知らせ願いたいのです。
  275. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) いや、私が申し上げておりますのは、百四条の規定によりまして、兼職をいたします場合にそれぞれ「所轄庁の長の許可を要する。」、こういう規定がございまして、これによりまして規制ができますので、特にこの法律には書かなかった。この法律には、特に地方公共団体の関係でございますから、地方公共団体の常勤の職員につきましては兼職禁止ということははっきり書いた、こういうふうに申し上げているわけであります。兼職禁止の規定が国家公務員法にあるというふうに説明しておるわけじゃございません。国家公務員法の方で許可を監督長がするということになっておりますので、それによりまして必要な規制ができると、かように申し上げておる次第であります。
  276. 秋山長造

    秋山長造君 この点は、今おっしゃった国家公務員法の百四条の規定は、これは地方公共団体を含むんですか。地方公共団体を含まないのでしょう。一般民間の、いわゆる民間の事業団体の役員その他をやる場合の規定じゃないですか。
  277. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは「営利企業以外の事業の団体の役員、」とずっとありまして、「その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、」とございますので、含むものと解釈いたしております。
  278. 秋山長造

    秋山長造君 この点は、はっきりしておいていただきたいと思うのは、現行国家公務員法ができたのは二十三年ですね。ところが、この兼職の制限の規定、現行法の第十条は、昭和二十五年の法律第百六十八号によって改正されているのですね。だから、そのときには国家公務員法というものはすでにあるのです。この百四条というものがおっしゃるような解釈ならば、現行法においても第十条にこういうことをうたわなくてもよかったのじゃないかということを考えるのです。それが一点と、百四条の規定は、これはもし局長のおっしゃるようならば、地方公共団体ということを含むのですから、これは当然この中に地方公共団体その他いかなる事業団体とか、何か書いてあるはずなんですよ。これはやっぱりここで、この百四条が主たる規制の対象にしておるのは、営利事業はもちろんできないけれども、営利企業以外の事業団体。だから、公共団体というものとはだいぶ離れたいろいろな民間団体のことです。だから、ここに地方公共団体のたとえば教育委員なんかを含めるというのは、どうもこれは間違っていると思うのですが、どこかほかにもう少しあるのじゃないですか。もう少しはっきり規制されている条文があるのじゃないか。なければ、ちょっと現行法と照らし合して何か間違いじゃないかというように思える。
  279. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 国家公務員法第百四条の解釈は、間違いないと存じます。国家公務員が営利事業等のほかに、地方公共団体の事業に勝手に従事することができるということはおかしいのでございまして、これはやはり許可を要するということが必要だろうと存じます。その趣旨から申しましても、これは解釈には間違いはないと存じます。そこで今度の新法案の立て方は、公安委員会あるいは人事委員会、警察法なり地方公務員法の立て方をそのまま持って参りまして、その型にならって規定したわけでございますから、その点御了承いただきたいと思います。
  280. 秋山長造

    秋山長造君 まことに恐縮ですけれども、もう一回だけ。今の点は、法制局も見えておられるのですが、法制局の方の御見解も同じかどうかということと、それから第二点は、さらに現行法には、「その就任について国会又は地方公共団体の議会の選挙、議決又は同意を必要とする国家公務員及び地方公務員」と、こうありますね。この点も今度の新法においては同じように規制されておるのかどうか、その二点を念のためお伺いいたします。
  281. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 国家公務員法の百四条の解釈は、先ほど緒方局長が申された通りと思っております。  ただいま御指摘の後段の方、すなわち「議会の選挙、議決又は同意を必要とする」云々というのは、これはいわゆる特別職の職員ということになると存じますが、これにつきましては、その選任の「選挙、議決又は同意」、そういう点でそれぞれの法令により調整できると、そういうことに解すべきものと存じております。
  282. 秋山長造

    秋山長造君 今おっしゃる法制局の方の御解釈は、選任に当ってそういう点は規制されるだろうという話なんですが、私のお伺いしているのは、そういう運用の上での話でなしに、それを規制する規定がどこにあるかということをお尋ねしておるので、関係条文をもってお示しいただければ、もうこれで私の質問は済むのです。
  283. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ちょっと私からも申し上げます。この現行法の十条におきまする議会の選挙、議決または同意を必要とする公務員につきましては、いろいろございましょうけれども、その地方公共団体の常勤の職員、これに対しましては明らかに兼職禁止が新法で出て参りますので、常勤のたとえば副知事とかということに相なります。それから実体といたしましては、今お答えのございましたように、議会の議決、選任でございますので、その点から実質的な規制ができてくると思っております。
  284. 木田宏

    説明員(木田宏君) 現行法の十条につきましては、ここに就任について議会の選挙、議決、同意を必要とする公務員と、こう書いてありますのは、今回の法律では大体「地方公共団体に執行機関として置かれる委員会委員若しくは委員」というのが、おおむねそれに該当するのでございます。で、それ以外にも、現行法通りのことで参りますと、公共団体に執行機関として置かれる委員会委員若しくは委員以外にもあるかとも存じますけれども、中身は、大体規定しようとする趣旨は、同じことを議員外のことについて、ちょうど行政委員会委員ということを主眼にして考えておるものでございます。
  285. 秋山長造

    秋山長造君 これは事実問題ですから、重ねてお伺いするのですが、その「地方公共団体の議会の選挙、議決、又は同意」云々という場合は、今の御返事でわかりましたけれども、ところが、国会の選挙議決、同意を必要とする者との兼職を現行法では禁止をしておるのです。新法でそれを禁止する、規制する規定はどこにあるのですか。その点が私のお伺いしたいことなんです。その点が第一点。  それからついでにお伺いしておきます。もう一点は、新法の二行目に「委員会委員若しくは委員」ですね、委員会委員でなしに単なる委員、単なる委員というのを書いたのは、これはたとえば監査委員というようなものをさしておるのかどうか。
  286. 木田宏

    説明員(木田宏君) あとの方のお問いは御指摘の通りでございます。委員と申しますのは監査委員でございます。  それから国会の議決を要する職員につきましては、これは私全部を承知しておるわけではございませんけれども、文化財保護委員会委員でありますとか、国の行政委員会委員等、そういうものが多々あろうかと思います。しかし、それらにつきましては、先ほど国家公務員について申し上げたと同様に、それぞれの関係法規に国の職員としてゆだねたわけでございます。今回このように規定いたしましたのは、地方公務員法や警察法にならいまして、地方公共団体の職を中心にして書いたものでございます。
  287. 秋山長造

    秋山長造君 それでいいのですね、そういう人の兼職はいいのですね。
  288. 木田宏

    説明員(木田宏君) それは国会で議決を要する職について法律の規定がございます。それぞれの規定によって規制をされることと考えておるわけでございます。
  289. 秋山長造

    秋山長造君 考えているでなしに、これは現にそういうふうに規制されているかどうか。
  290. 木田宏

    説明員(木田宏君) 規制されております。
  291. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) いいですか。——一章をやっておりますが、続いて七条、八条、九条、十条、「罷免」、「解職請求」、「失職」、「辞職」、大体こういうことでございますが、一つ御一緒に質疑をどうぞ。
  292. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この第七条、罷免の条項であります。これについて私は、地方公共団体の長が委員を罷免する場合について、条件として「心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合」というのが一つあります。それからもう一つは「委員たるに適しない非行があると認める場合においては、」、特に私は委員たるに適しない非行がある場合、これは非常に抽象的であって、長の主観というものが非常に入ってくる、そういう心配があると思うのです。ですから、「委員たるに適しない非行」ということは、相当はっきりしておかなければ、乱用される結果が起ってくる。長の主観によって左右される点が非常に多いと思うのです。そういう点で、この法律の文面からだけは、非常にこれが政治的な理由によって利用される、そういうことが懸念されるわけです。そういう場合困るわけで、これについて立案者の方で何かある一定の解釈というものを持っておるかどうか、聞いておきたいと思うのです。
  293. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この非行というのは、これは常識的に考えましておのずから定まるところがあると存じます。特にここの第七条の規定におきましては、長が単独でやるのじゃございませんで、議会の同意を得て罷免をいたすことに相なっております。で、非行につきましていろいろ規定が従来の現行法にもございまして、たとえば公務員の懲戒の事由等にも非行ということがあがっております。これはそれ以上の詳しい基準というものは具体的にはなかなかきめにくいものでございまして、これはやはりそれを取り扱う人の良識によりまして、特にこの場合には議会の同意を必要といたしますから、おのずから定まるところがあると私は存じます。
  294. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは具体的にお尋ねをいたしますが、たとえば今度の任命制による教育委員の場合は、政治活動等については若干の制限があるわけですね。そういう場合です。この制限もはっきりしていないわけです。積極的な活動をしてはならないというふうな規定であったと思うのですが、そういう場合、積極的に政治活動をやったというふうな場合は非行の中に入るのかどうか。
  295. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これもケース、ケースの認定の問題でございますから、今ここでどれくらいのものがどうだということは、なかなか申しにくいと思います。ただいまおあげになりました十一条第五項でございますか、この制限の違反はあるいは職務上の義務違反ということに相なるかと存じますけれども、それはやはり度合いによってきまるところであろうと思います。そのケース、ケースによって長が判断し、議会の全体の良識によってきめていく、こういうことであろうと存じます。
  296. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 しかし大体の標準がなければならぬと思うのです。先ほど矢嶋委員は、教育委員の際に、いろいろおもしろい例をあげてお尋ねになりました。私はやはり大体の標準というものが考えられておらなければならぬと思うのです。こういうことはきめられないのだ、限界がむずかしいんだというふうなことであれば、これはやっぱし非常に悪用される。長が、この教育委員は最近好もしくないというふうになればですね、ちょっとしたことで罷免をするというふうなことが起ってくると思うんです。やはり大体の基準というものがなけりゃならぬと思うんですが、政府としてはですね、大体の標準というものを考えておるのかどうかですね、全然ないのか、その点を伺いたいと思います。
  297. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今おっしゃいますのはこの非行の標準でございましょうか。
  298. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうそう。
  299. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは「委員たるに適しない非行」でございますから、それは事実としてはいろいろございましょう。贈収賄をやるとか、こういうことをやればおそらく委員たるにふさわしくないことであろうと存じます。そのほか、それはいろいろと教育委員としまして、その都道府県なり市町村の教育委員といたしまして、ふさわしくない非行と申しますならば……
  300. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どういうことか、一つ例をあげてもらいたいと思います。どういうことか……。
  301. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 一々ここに事実を申し上げるということは、これはむずかしいことだと存じます。現在の、先ほども申し上げましたけれども、いろいろな規定にも、たとえば公務員の懲戒の事由としても、「非行」、全体の奉仕者としてふさわしくない非行、こういう規定がございます。教育委員としてふさわしくない、適しない非行ということでございますならば、その具体的な事実に即しまして、それがふさわしくない非行であるかどうかということはおのずから判断ができる。しかも、それも長が一人できめるのではなくて、議会の同意を得ることでございますから、これは私がここでこれこれのことでございますと申しましても、その事実によって具体的に判断されることと考えます。
  302. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではですね、今お話がありました公務員ですね、公務員が公務員たるにふさわしくない非行があったときには罷免されるというお話がございました。今までにそういう実例がございますか。公務員で公務員としてのふさわしくない非行、そういうものが罷免されたというような例がございますか。それをあげてもらうと、大体非行というものがわかってくるわけであります。
  303. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これはあると存じますけれども、ここで私その事例をあげる用意もございませんし、これはいろんな態様があると存じます。でございますから、ここの第七条の非行と申しますのも、これは常識的に私は判断いたしまして、非常に人格的に破廉恥な行為があったとか、先ほど申し上げました贈収賄というようなことがあったとか、いろいろあると存じます。教育委員としてふさわしくない非行でございますから、これはそれによりまして、そのときとき、場所々々によって十分判断がついていくことであろうと思います。
  304. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこういう問題で、たとえば教育委員を任命するときに共産党員であるということがわからなかった。ところが、任命してからそういうことがわかってきた。これはやめさせなければならぬというふうに長が考える。そういう場合にですね、やめさせる理由がない。そこでこういう条項を適用してそうしてやめさせる。私はこういう例はですね、前にあったということを聞いておるわけなんです。まあそういうふうに、こういうことはですね、非常に抽象的であって、非常に乱用されるおそれがあると思うんです。そういう乱用された場合の救済規定というのは、どこかにあるんですか。
  305. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは乱用されるかされないかということでございますけれども、まあたとえば現在の公安委員会、警察法の四十一条でございますけれども、公安委員会におきましても全然同じ規定をいたしております。委員たるに適しない非行があった場合に罷免の事由に相なります。しかし今日までこの条項を乱用して不当な罷免が行われたということは聞きません。おのずからこれは常識的な運用が働いていくものだと私どもは考えております。
  306. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この第七条の第五項に「その意に反して罷免されることがない。」、こういう規定がございます。ところがですね、その意に反して罷免されるというようなことがあり得ると思うんです。これは地方公務員でも国家公務員の場合でもですね、その意に反して罷免されるとか、そういうことが実際に起っておるわけでございます。ですから、その意に反して罷免されないというふうに規定されておりますけれども、実際にはその意思に反して罷免される、こういう場合が起ると思います。そういう場合の救済規定ですね、救済規定、これがこの法案には全然ないわけです。これはどういうふうに考えておられますか。
  307. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいま、公務員についても意に反して罷免されないという規定があって、それに反して行われておるということでございますけれども、まあこれは、この第五項は保障の規定でございまして、以上にあげましたような事由以外にはこれはその意に反して罷免できない、ここで身分保障の規定を立てたわけでございます。これが不当に意に反して罷免されるようなことに相なりますると、教育委員会の中立性、安定性ということを欠きますので、特にこれは第五項のような身分保障の規定をあげたのでございます。これは議会の同意を得て罷免をするということになっておりますが、先ほどから申し上げますように、長が長の恣意によって、かりに恣意によってやるといたしましても、それは不正の保障ということが、議会の同意ということによってそこに一つあると存じます。
  308. 中川幸平

    ○中川幸平君 議事進行。昨日の理事会において本日の逐条審議は一章およそ一時間の予定でやるというようなことを、委員長から報告がありましたが、質疑の状態を見ておりますと、一般質疑の際にあった事柄を非常に繰り返して審議をやっておられるように、状態が感じられますが、委員長におかれてしかるべく進行するようにお取り計らいを願いたいと思います。
  309. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 委員長から、きわめて合理的に、反復しないように質疑されることを、前から希望し、皆さんに要望をいたしておる次第。ただ一章一時間と申しましたのは、私の皆さんに対する要望でございまして、これは理事会において最後的にそれでいいというふうには実は確認されなかった。委員長としては残念でございますけれども、これは両方の御意見が一致しないものですから、ただ自民党におかれては、その心組みならばきょう逐条審議に入ろうということを了承されておるんでございまして、その点だけははっきりと御報告申し上げられる次第でございます。
  310. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいまの発言について……。自民党さんの方から議事進行の発言がございましたが、私ども昨晩委員長理事打合会では、ともかくできるだけダブらないように、良心的に逐条審議をしよう、そうしてこの法の不明な点の解明をはかり、法成立後の運用に当って支障のなきよう、立法府としての審議権によってその使命を果そう、こういう立場で出発したわけで、本朝来われわれは、まあ大臣の出席がおくれてちょっと足踏みした時間があったけれども、きわめて良心的に必要な審議をしているつもりです。自民党さんにしてもいろいろの考えはありましょうけれども、そのような質疑をしないままでこの法律を通過成立させようというようなことは、私はおそらくそういうことはお考えになっていないだろうと思う。そうお考えになっているとなれば、これは私は重大な問題に相なってくると思います。今荒木委員質問中ですが、私ども今までの態度を堅持して、委員長委員会運営に協力して、ただすべき点をただして参りますので、そういう議事進行の発言を御遠慮いただきたい。そうして一分間でも多くわれわれに質疑の時間をお与え願いたい。かように委員長において委員会運営をお取り計らい願いたい。
  311. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) あらためて委員長から特にお願いいたします。一般質疑ですでに取りかわされた質疑には再び触れられないで、できるだけ具体的条項について御質疑を願いたい。それから御意見にわたることはできるだけ省略していただいて、質疑に集中されること、かようにお願いいたします。
  312. 秋山長造

    秋山長造君 委員長の今おっしゃることのお気持はわかるような気がします。しますけれども、ただ一般質問で触れた点は全然触れるな、それからまた意見は全然言うな、こういう……。
  313. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 全然とは申しておりません。
  314. 秋山長造

    秋山長造君 せいぜいですか。
  315. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 皆様方の良識に基いた質疑をしていただけば、それでいいのです。
  316. 秋山長造

    秋山長造君 私ども良識に基いて、真剣に質疑をしてきたつもりです。今朝来やってきたこの気持でやっていきたいと思いますので、一つその点、委員長の手元であまり窮屈なワクはおはめにならぬように、良識というワクで一つお取りさばき願いたいと思います。
  317. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 公務員の場合ですね、その意に反して罷免された場合は、これが救済規定があるわけです。もちろん公務員の場合と教育委員の場合とは違います。違いますから、同日に考えるということは私はできない面もあると思うのです。ただしかし、この法案の提案理由にもありましたように、教育行政の安定をはかるのだということが一つの重要な理由になっていようかと思います。そういたしますと、やはりそれには教育委員の身分安定という問題が重要な関係を持ってくると思うのであります。そういう意味において、できるだけ教育委員の身分の安定をはかっていくということは非常に好ましいことであるというふうに私は考えるのです。そこで、先ほど局長は、議会の同意を得て罷免するのであるから、それで十分であるというふうに答弁されたわけであります。しかし、私は議会というものを尊重しないというのじゃないですよ。大いに尊重しておりますが、やはり議会というものは政治的な色彩があるわけであります。ですから、やはり政治的な意図によって行われる場合が絶対ないということは、私は言えないと思います。そういう意味において、私は何らかの身分保障の規定ですね——もちろんその第五項は身分保障の規定であります。しかし、その中においても、その意に反して罷免されない。そういう罷免された場合ですね、やはり身分保障の規定というものは、公務員の場合と事情が違いますから同日には私も考えておりませんが、何らかの規定を必要とするのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、そういう点、この立案においてお考えになりませんでしたか。
  318. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その点につきましては、もしも不当な罷免がありました場合には、一般的には行政訴訟ができると思います。それ以上の方法は必要じゃないと考えたのでございます。この七条の規定のように、第一項から四項まで罷免のできる場合をはっきりいたしまして、それ以外には罷免できないのだという規定を設けましたことは、安定の上から適当であると考えます。
  319. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、罷免されたことが適当でないというふうに文部大臣の方で考えた場合には、これの措置の要求をする、今の御答弁はそうであったのですか、違うのですか。
  320. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 行政訴訟の問題となるであろうということを申し上げました。
  321. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私も少し伺いたいのですが、後ほど触れて参りますが、教育委員を五人あるいは三人任命した場合に、それぞれこの任期が違いますね。あれは首長が独断でやるのでしょうね。
  322. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは附則の第八条で書いておりますが、首長がこれを定めることにしております。
  323. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで、こういう第七条の第一項のごときは、これは威嚇条文ともいうべきものなんですね。実際にこういうものはほとんどないのです。しかしこういう罷免権を首長が発議することができるというのは、これは威嚇条文なんですね。まず教育委員は任命制だ。そうして教育長は文部大臣の承認を要するようになっている。それからその教育委員は、公共団体が承認したものを首長が任命する。こういう形にして、さらにですね、こういう罷免権があれば、教育委員の立場に立つと、まず首長から推薦を受けなくちゃならぬ、それから推薦を受けた上に議会の承認を得なくちゃならぬ、そうしてちょっとまかり違うと罷免される、これだけの条件がそろっておれば、首長に対して、議会に対して教育委員の立場というものは非常に弱くなりますね。これはどうですか、文部大臣答弁願います。
  324. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 弱い強いと言えましょうか。ともかく長が議会の同意を得て任命するのであります。そうしてその罷免の場合には、非行がある場合にはこれまた議会の同意を得なければ罷免ができません。こういうことなんです。そうしてあなたの御指摘の任期をだんだんにすることは、これは首長がやりますから、首長の意思にかかる部分は相当大でありまするけれども、弱い強いといいまするか、選挙によった委員はそうはできませんわね、選挙というもので権力を持っておりますから。それに比べれば、あなたのおっしゃる言葉を使えば、弱いと見ていいかわかりません。
  325. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで、まあ委員長の御要望もありましたから触れませんが、一般質問のときに議論されました教育委員の自主性ですね、ことに予算の問題を中心とするところの首長並びに議会に対する教育委員の力というものは非常に弱まってくるわけです。いわば教育委員ははいはいと、唯々諾々とした行動をとらざるを得ないように威嚇条文が完備しているわけで、その点われわれ一般質問のときに批判した点を確認しておきます。先ほどから質疑の中心になっている「委員たるに適しない非行」というのは、きわめて抽象的に書いて、乱用のおそれがあるわけですが、それで私は具体的に伺うのですがね。第四条では「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」と、こう書いてあるわけですね。そこで私が伺いたい点は、都道府県知事の場合とりましょう。ただいまの都道府県知事は選挙を受けるときは教育行政に関しては、公立の大学と、それから私立の高等学校以下の学校に関してのみ教育行政に関与権を持っている、そうして公立の大学を除く諸学校については予算案について若干の責任と権限を持っておっただけです。従ってこの都道府県知事は公選でございますが、人格が高潔で教育、学術及び文化云々なんかいうのは、こんなものは要件になっていないわけですね。たとえばさっき私は、矛盾が生じてくるわけなんですよ。あなたは「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する」云々というのは、たとえば二号さん、三号さんを持っているとか、あるいは詐欺をやったような人とか、あるいは汚職とか、そういうような……。
  326. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 矢嶋君、重複しないように願います。
  327. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 適しないとおっしゃるわけなんです。ところが今の首長は、都道府県知事はそれが要件になっていないから、該当者がおるわけですね。おると思うのです。その都道府県知事が教育委員に対して罷免権を発動するというのはおかしいと思うのだ。そういうところに矛盾を感じませんか。さっきの四条のときのあなたの答弁からいけば、「委員たるに適しない非行」というのは、具体的に言わなければわからんから申し上げるのですが、二号さん、三号さんを持って家庭生活を乱すとか、汚職なんかやる人は「委員たるに適しない非行」のうちに入るような答弁を第四条のときになさっておったのですね。それは入るのですか、入らんのですか。知事自身がそういう該当者がおると思うのです。自分がそういう該当者であって、そうして第七条に教育委員に対してこういうものを発動するとなったら、えらいことだと思うのです。抽象的な規定だから、こういう問題が起ってくるのですが、御答弁願います
  328. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 現在の町村長並びに知事は選挙によりまするから選挙の欠格条件に反しない以上は、国民の、選挙民の見るところによって選挙されておるのであります。これらの人の完全性ですね、インティビリティは選挙で保証されておるのであります。非常に悪い人ならば当選するはずはありませんです。選挙という民主的手段に信頼して今就任しておるのでありまするが、この人が任命したところの教育委員において、初めの任命のときと違って、負託にそむき非行があった場合には、知事それ自身がどうであろうと、町村長それ自身がどうであろうと、町村会全般の世論に聞いて、これを罷免するということは無理ではないと思います。
  329. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私が申し上げておることは、こういう法律が成立して、そして都道府県知事、市町村長、首長の選挙が行われた、住民から選ばれた首長がやられることに、私は一言の文句を言いません。私が問題にしている点は、今の首長というものは教育に関して、お父さんお母さんの子供の教育をこういう形でまかせるというような選挙をしていないのです。選挙されていないのです。私知っておるある知事は選挙のときに、私たちは教育行政については不適格のような取扱いを受けている云々、そういう演説をぶって歩いた知事さんおりますよ。ところが今の教育委員は、これに盛られてあるすべての内容のものをまかされて、公選委員として今仕事をしているのです。その人の権限は取り上げて、そうして今まで付与されていない条件で選ばれた首長にこれだけの権限を与えておる。そうしてこれから任命する教育委員には、人格は高潔で、教育、学術及び文化云々として条件をつけておいて、そうして非行があったら罷免するぞ、その罷免権を発動する人は、それを発議する人は住民から選挙で選ばれたときには、こういう権限を与えられていなかった。何も教育委員の条件になっている人格が高潔、教育、学術、文化、こういうものはなかった、私がさっきあなたに四条のとき伺った点を否定されれば、それに該当するような首長さんおられるのです。そういうところに私は矛盾があると思うのです。その矛盾をお感じになりませんかということを伺っている。だから乱用してはいけない、こんなもの落せばいいんです。
  330. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 首長は教育委員会と別の職務を持っております。首長自身にそれに適せざる非行があった時分には、おそらくはリコールが始まるものと思います。教育委員教育委員としての職務のあることは御承知の通りです。そうしてその教育委員の職務にたえざる非行があるというと、首長は議会の同意を得て罷免権を発動するということもあり得ることであります。この点においては首長と教育委員とは、別種の性質のものなることを一つ考え願いたいと思います。しこうして首長の在任はやはり選挙と、首長としての罷免権によって保障されているのでございます。それゆえに首長が選挙で選ばれるもので人格高潔なんという条件はないのだと、そういうものが人格高潔を条件とするものを罷免することはできないというのは、ちょっとロジックに合わんと思います。
  331. 湯山勇

    湯山勇君 私ちょっと中座しておりましたから、どなたかから質問があったんだとすれば、お答えいただかなくてもけっこうです。今のように教育委員に病気の場合は別ですけれども、委員たるに適しない非行があった場合ですね、それは任命権者にやはり責任があると思うのですが、その任命権者の責任、つまり首長の責任は、推薦する、任命するときには人格高潔、識見豊かな人というのでやって、それが非行を起した、議会に承認を求め任命した首長の責任というものは、どういうふうになっておりますか。
  332. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 任命権者は公選によります長でございます。公選によりまする機関でございますから、これに対しましてそれを罷免をするという制度はございません。もしもそれが非常に不当である場合、これが知事として、あるいは市町村長としての非常な不当な措置であった場合には、おそらく一般の原則に基きまして解職請求の住民の意思が発動して参ると存じます。
  333. 湯山勇

    湯山勇君 そういう場合に、これは今のように住民のリコールがあるまでは、道義的にも、政治的にも、首長は責任は感じなくてもいいというわけでございますか。
  334. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 道義的、政治的な責任と申しますのは、これはおのずから別でございましょう。これはその事態片々に即応して考えるべき問題と存じます。
  335. 湯山勇

    湯山勇君 七条二項でですね、同一の政党所属者が五人の場合、二人をこえる場合七条二項の場合です、「こえる員数の委員を当該地方公共団体の議会の同意を得て罷免する。」と、こうなっております。そこで、そうだとすれば、このために即刻議会を開くということも考えられませんから、次の議会が開かれるまでの間は、よろしゅうございますね、こういう事態になって次の議会が開かれるまでの期間においては、特に県議会なんかは期間があると思うのですが、第四条の第三項に反する事態が起ると、起っておるということはお認めになりますか。
  336. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは罷免行為がなければなりませんので、議会の同意を必要といたしますけれども、次のその議会を、特に開いてやれば即刻できますけれども、そうでない場合には次の議会、こういうことに相なることはやむを得ないことと思います。
  337. 湯山勇

    湯山勇君 やむを得ないことだとおっしゃるけれども、第四条三項に、「同一の政党に所属することとなってはならない。」と、そういう事態があってはならないという規定があります。今の第二項ではそういう事態も起る場合があるということになっておるので、この間には矛盾があると思うのですが、いかがでしょう。
  338. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その第四条の第三項の規定でございますが、これは知事があるいは市町村長が任命いたします場合に、こういうことであってはならぬということでございます。任命のときに同一政党の者を三人以上あるいは二人以上任命してはならないと、こういう制限の規定でございます。第七条の規定は罷免の規定でございます。こういう場合には罷免しなければならない。これは別でございます。
  339. 湯山勇

    湯山勇君 わかりました。
  340. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今ですね、これは湯山君の質問に関連してくるわけでございます。議会の同意を得て罷免すること、同意となっております。もし不同意ということが出た場合に、これも予測されると思うのですよ。議会で、第二項の場合、あるいは第三項の場合、四項の場合ですね、禁止規定はなるほどある。ところが議会が同意を与えない、不同意だと、こう出た場合どうなりますか。
  341. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これはその同一政党に三人以上所属するということは、これは任命の方の第四条の規定にも制限規定として出ておりますから、明らかに三人以上になった場合に議会が事実上不同意ということは、これはあり得ないと思うけれども、しかし、その政党所属というような事実につきまして、いろいろ長一人の判断でないと、事実がそうじゃないということで、不同意ということはあるいはきめるかもしれません。それは事実がそうであればその判断に基きまして行われることもあり得ると思います。
  342. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はもしのことを言っているんですよ、もし同一政党に所属することが明白になった、だから、明白になったから長が罷免すべきだというので出した。ところが議会はそれに対して不同意だと、こういうふうに答えが出たらどうなるかというのです。そういう場合が全然ないというわけじゃないのです。あるのです。もしあったとするならどういうことになるか、それはどうにもしようがないから捨てておくというのか、また、それに対する制裁的なものがあるのか、議会の良識にそれを持つとか何とかということになるのかどうなるのか。
  343. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私は事実上そういう場合は起り得ないと存じますけれども、もしございましたら同意を得なければ罷免できません。
  344. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうするとこれは非常に二項、三項、四項ということは私は同一政党に所属することは厳格にきめておるように、規制しておるようにできておるのですが、実際問題としてもし議会が同意を与えなければ、これは死に条文になってしまう。死文になる。こういうことになって、もしそういうことが行われた場合に対して、たとえばこれを何か制裁するとか、それをほんとうに規制するとかいうことが、私は法律はやはり必要だと思う。いま少し表現をどうこうするとか何とかということについて、研究されたことはないのか、ほんとうにそういうことが起り得ると私は予想するわけです。今までの地方議会ではいろいろな問題が起っておるでしょう。たとえば町村合併をめぐる問題等にも、いろいろな問題があるわけだ。だからもしそういうことについて、もしそういうことが起りはしないか。私は立法過程においては研究されたと思うのです。起きたらやむを得ん。ただそれだけの話しなんですか。
  345. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この議会の同意でございますので、議会の議決を経るわけでございます。その議決が不当であり、違法であったというような場合には、それぞれ地方自治法の原則に基きまして、その方の規制はこれは当然でございます。
  346. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 地方自治法の規制といっても、私は地方自治法のことはあまりわからないのですが、どんな規制がありますか。お聞かせ願いたいと思います。
  347. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 再議の規定、その再議に付したことが、さらに法令の規定に違反するといったような場合には、さらに(「地方自治法の何条ですかな」と呼ぶ者あり)たとえば百七十六条でございます。再議の規定でございます。かような規定によりまして、処置がとられます。
  348. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと待って下さい。地方自治法の百七十六条の一項ですか二項ですか何項ですか。
  349. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それじゃ申します。読み上げます。百七十六条の四項をごらんになりますと、「普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。」
  350. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) よろしゅうございますか。
  351. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっとちょっと。よろしくないです。ちょっと待って下さい。どうもよくわかりませんが、またあとでお聞きすることにしまして、先ほど荒木委員質問に対しまして、第五項のいわゆる救済規定は、行政訴訟でこれはやれるものと、こういうお話しでございました。意に反しては罷免されない。その意に反して罷免されることはできない。もしあった場合は行政訴訟を起せばいいのだと、こういうことで救済規定になるのだとおっしゃった。実はたとえばAの人が不適格だといって議会の同意を得てやめさせてしまった。やめさせますね。そうして私は欠員が生じたことになりますから、新しい人を、Aの人を任命してくると思います。そうして行政訴訟をやる。およそ行政訴訟を起してくるわけですね。片一方では意に反しない罷免だというので、そういたしましてもし行政訴訟が勝てば、六人の教育委員ができてしまったり、定員三名のところが四名になってしまったり、ですからそういうことは実質上起り得ないと思います。起り得ないけれども、もしそういうようなことにもなる場合に、たとえば第五条の任期の問題にもからみ合ってくるのですが、そういうような問題が起きたとか、いろいろなことが予想されるわけですが、第五条のときにちょっとおりませんでしたので、戻って大へん悪いですが、ここで明らかにしておきたい点は、欠員を生じたような場合には、今までの例で申しますと、一年ぐらい教育委員を任命せずにおいたところもあるわけです。繰り上げ次点になる。実際すぐやらなくてはならないのが、そこのところはどういうふうになっておるのですか。欠員が生じたとする、そうしますとそれをすぐ任命しなくちゃならないのか、そういうようなことも行政訴訟等の問題もあるから、その間一カ年間は欠員をおくとか、あるいは二カ年間は欠員としておくとか、そういうことが許されるものかどうか、そういうものは早急に私はやはり欠員を補充するというのが法の主体だと思うのです。ですから私は救済規定に言わんとするところは、あなたは救済規定が行政訴訟でできるじゃないかとこうおっしゃるが、実際はできないじゃないかと、こういうことが言いたいわけです。その点について局長の説明を求めます。
  352. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 欠員ができましたら、実体としましては、いろいろございましょう。しかし法律としまして、制度といたしまして、これはすみやかに欠員は補充するのが原則でございます。
  353. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 行政訴訟で勝ってもとへ戻ってきた場合にどうするか。
  354. 木田宏

    説明員(木田宏君) ただいま御指摘になりましたことは、教育委員の問題だけでなくて、広く一般に問題となることでございます。一人一職のポストの人につきましてそういう例が起ります場合には、やはり御指摘のような問題が起って参ります。ですから教育委員だけに特有の問題というわけではないと思うのです。それらの点につきましては、訴訟で判決の措置によってきまることと思いますが、ただ取り消された場合の措置をどのようにするかという点につきましては、判決が取り消されたから当然六人になる、こういうふうには考えておりません。やはりその場合の処理としては、しかるべき処置を別途考慮されるものと考えておりまして、それは教育委員についての任命制はございませんから、そういった先例はございませんが、一人一職の職につきまして、そういう訴訟事件が起った場合の先例等からも、事実上適宜に処置がとられるものと私どもは考えておるわけでございます。
  355. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、教育委員がどういう適宜な処置がとられるわけですか。あなたがこういうことがとられるであろうと予測するようなことは、どういったようなものですか。それは関係条文一つ示していただきたい。
  356. 木田宏

    説明員(木田宏君) それは判決の内容によってきまってくることでございます。ただ、判決の際に、そのポストにつけることが後任者の関係でできない場合の訴訟の措置等も判決の内容として示されることになり得ると考えるわけでございます。
  357. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今お聞きしますと、判決の内容として、五人の場合に六人にならないような判決が行われるだろうということを、あなたは期待しての話しです。そうじゃなくて、実際六人になってしまったという場合にどうするかと、こういうことを言っているわけです。
  358. 野木新一

    政府委員(野木新一君) ただいまの点は、木田課長が申し上げましたようにこの法律のみならず、他の法律にも同様に起る問題でございます。非常にむずかしい問題を含んでいるものと存じますが、私ども一応の解釈といたしましては、意に反して罷免すれば、それはその罷免という行為は違法行為になります。従ってこれは行政事件訴訟特例法等の関係法律によりまして、違法処分として行政の訴訟の問題となることと思います。そしてその任命行為が裁判の結果、たとえば任命行為が違法だ、無効だ、なお委員の地位にあるという場合には、おそらく罷免行為の取消もしくは無効確認の訴えか、あるいは現在まだ委員の地位にある、そういうことの確認の訴え、こういうことになりまして、もし判決の結果、同意を得ないで意に反して罷免したということが確認されますと、その罷免行為は法律の規定に反して取消されあるいは無効だということになるのではないかと思います。そういたしますと、その間に訴訟のことですから、あるいは一年ぐらいかかるかもしれません。そうすると、その間に別箇の委員が、行政処分ですから一応効力を生じたものとして、欠員ができた。それに対して別の新しい委員が任命されてくる。その新しく任命された委員の地位はどうなるかという問題でありますが、これは非常にむずかしい問題を含んでおるわけでありますが、おそらくあとの新しい委員の任命行為は、やはり定員をこえて任命したということになりますので、あとの方は違法な行為ということで、その任命行為は取り消すというような問題で解決されるのではないかと、存ずる次第であります。
  359. 秋山長造

    秋山長造君 九条も一緒にやっていいですか。
  360. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) どうぞ。
  361. 秋山長造

    秋山長造君 九条の一項の第四条第二項各号の一に該当するに至った場合はその職を失う。そこのところについてちょっとお伺いいたしたいのですが。その第四条の二項の三号に、委員の任命については、そのうち三人以上が同一の政党に所属することとなってはならない。とあり、三人以上所属することになった場合にはどうするかということが、七条の今、問題となっておった二項、三項、四項であらゆる場合を想定して規定されておると思います。その場合には長が議会の同意を得て罷免することになっておる。ところが第九条の一項の一号によりますと、今私が申し上げたような場合には、自動的に職を失うということになるわけですね。そこで失職ということと、それから罷免ということと、ちょっと抵触する点があると思います。その点の御解明を願いたい。
  362. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ちょっと秋山先生今のところ四条の第二項の一号、二号、これはちょっとお読み違いがあるのではないのですか。
  363. 秋山長造

    秋山長造君 一号、二号はいいのです。私のお尋ねしておるのは四条の三号です。
  364. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 三号でなく、三項でしょう。
  365. 秋山長造

    秋山長造君 いや三号を言うているのです。
  366. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 三号はございません。
  367. 秋山長造

    秋山長造君 私、ちょっと勘違いしておりました。そこでついでに第九条の二項についてお伺いします。二項の二行目の「地方公共団体の長の被選挙権の有無の決定及びその決定に関する争訟」ですね、この被選挙権の有無の決定については、これは各選挙管理委員会がやるのだろうと思うのですがね、その点と、それから争訟の場合の被告は、やはり選管であるのかどうか、その両点についてお伺いします。
  368. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは地方自治法の規定を準用いたしておりますが、選挙管理委員会を被告といたしまして裁判所に出訴をする、こういうことでございます。選挙管理委員会の決定は、文書をもって理由をつけて本人に交付しなければならんという規定をここで準用しているわけでございます。
  369. 秋山長造

    秋山長造君 私の解釈通りですね。
  370. 湯山勇

    湯山勇君 この辺で休憩したらどうでしょう。
  371. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) これで十条は……。
  372. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 第八条についてちょっと私は問題点があるのですが……。(「あとでやれよ」と呼ぶ者あり)
  373. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) この機会に御報告いたしますが、先ほど法制局第二部長から、先ほどの成瀬委員の御質問に対して提出資料を求められたのでありますが、そういうものは今見当らない、今のところそれ以外には見当らないという御報告がありました。  この辺で委員会休憩にいたしたいと思います、御異議ございませんか。(「もうきょうは散会したらどうですか」と呼ぶ者あり)……御異議ないと認めます。休憩します。    午後五時四十四分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕