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1956-04-10 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十日(火曜日)    午後二時二十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君           池田宇右衞門君            小西 英雄君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            河合 義一君            溝口 三郎君            森 八三一君   衆議院議員            笹山茂太郎君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    農林省農林経済    局長      安田善一郎君    農林省農業改良    局長      大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農業改良    局総務課長   庄野五一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中央卸売市場法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○農業改良資金助成法案内閣提出、  衆議院送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院送付、予  備審査)     —————————————
  2. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  速記をとめて下さい、   〔速記中止
  3. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣提出参議院先議議題にいたします。  本法律案につきましては、四月六日の委員会の御決定によって、お差しつかえなければ、ただいまから直ちに討論採決を行うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 戸叶武

    理事戸叶武君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 私はただいま議題になりました中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対しまして、次に申し述べますような修正を加え、なおさらに申し上げますような付帯決議を付して賛成いたすものであります。  まず修正案を朗読いたします。    中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対する修正案  中央卸売市場法の一部を改正する法律案の一部な次のように修正する。  第一条の改正規定の次に次の改正規定を加える。  第三条に次の一項を加える。  開設者ハ中央卸売市場於ル業務適正旦健全ナル運営確保スル必要アルトキハ業務規程以テ卸売業務ヲ為ス者ノ数ノ最高限度ヲ定ムルコトヲ得  第十条の次に五条を加える改正規定のうち「次の五条」を「次の六条」に改め、第十条ノ六を第十条ノ七とし、第十条ノ五第一項中「第十条ノ二」を「第十条ノ三」に改め、同条を第十条ノ六とし、第十条ノ四に次の一項を加え、同条を第十条ノ五とする。  農林大臣前項処分ヲ為ス場合員於テ当該処分ガ開設者意見トナルトキハ理由明記シタル文書以テ其ノ旨ヲ当該開設者通知スベシ  同改正規定のうち第十条ノ三第一号中「第十条ノ五」を「第十条ノ六」に改め、同条を第十条ノ四とし、第十条ノ二中「前条」を「第十条」に改め、同条を第十条ノ三とし、同条の前に次の一条を加える。  第十条ノ二 農林大臣ハ第三条第二項ノ規定二依ル数日取高限度ヲ超エテ前条許可ヲ為スコトヲ得ズ  第十五条の次に五条を加える改正規定のうち第十五条ノ二第一項中「当該卸売業務ヲ為ス者ガ」の下に「命令ノ定ムル所二依リ予メ農林大臣ノ認可ヲ受ケ此等ノ者ノ間二於テス合併ハ営業譲受又ハ」を加える。   同改正規定のうち第十五条ノ二第二項各号列記以外の部分中「協定」を「合併ハ営業譲受ハ協定」に、同項第一号及び第二号中「其ノ内容」を「其ノ合併ハ営業譲受ハ其協定内容」に改める。   第十八条の改正規定中「第十条ノ六」を「第十条ノ七」に改める。   第二十条の次に三条を加える改正規定のうち第二十三条第三項中「第十条ノ六」を「第十条ノ七]に改める。  次に付帯決議の案を朗読いたします。    中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  一、中央卸売市場がその機能を完全に発揮し、本来の使命を達成することができるよう、政府は、中央卸売市場の設備及び施設の完備に対して、財政的且つ資金的に万全の助成措置を講ずべきである。  二、農林大臣において、卸売人許可し、又はこれを拒否するに当つては、特段の理由のない限り開設者意見を容れることとし、苟しくも改正後の第十条の五の規定趣旨にもとることなきを期すべきである。  三、政府は、この機会において、卸売人が納付すべき保証金金額是正等生産者出荷者)の債梅の弁済を確保するため、遺憾なく措置すべきである。  四、類似市場に関する規定は、類似市場を公認するものではなく、この趣旨に副つて政府は、中央卸売市場育成強化と相俟って、類似市場取扱いに対して遣憾なきを期すべきである。  五 生産者団体卸売業務に参加し得る機会をはかり、この場合において、生産者団体がよくその機能を果たすことができるよう、政府はこれが育成に努めるべきである。   右決議する。  続いてこれが趣旨を簡単に申し上げます。修正案について申し上げます。  修正の第一点は、過ぐる昭和三十年七月二十七日第二十二回国会に、当時の当委員会の有志によって発議せられ、今日まで継続審査に付せられております中央卸売市場法の一部を改正する法律案内容に盛られておりますところの、中央卸売市場における卸売人合併及び営業業務について独占禁止法の適用を除外する規定を本改正法律案に盛り込もうとするものであります。これはその当時と今日とでは市場に何らの変化が認められず、かつ政府においても農林省公正取引委員会との間の覚書によって右に準ずる取扱いをなす話し合いになっておるとのことでありますから、これをこの際法律に明文化することが適当であると認められるからであります。  修正の第二点は、卸売人許可に関する規定を整備しようとするものでありまして、今回の改正によって中央卸売市場における卸売人許可農林大臣が直接行うことになるのでありますが、卸売人業務市場運営中心でありまして、きわめて重要でありますから、その選定には特に慎重を期し、至公至平、かりそめにも独善あるいは偏重に陥ってはならないと考えます。このためには農林大臣の意思と開設者意見との完全なる疎通のもとにおいて、量的にもまた質的にも最も適当な措置がとられなければならないと存じます。かような見地に立って必要な規定を整備しようとするものであります。  次に付帯決議についてでありますが、これにつきましては、文面で明らかでありまして、特に御説明を要しないと考えられますから、省略いたします。
  6. 青山正一

    青山正一君 私は本案に対しまして、不満でありますが賛成するものであります。また修正案及び付帯決議に対しまして賛成するものであります。  本改正案につきましては、遺憾ながら政府の方々と見解を異にしているものであります。御承知のように参議院委員会といたしましては、第一回の国会開会以来、前後八回にわたりまして、全国中央卸売市場国会議員派遣の形で実施調査を遂げた結果から、これは全面的改正の必要があるものと判断していたのであります。農林省は昨年市場対策協議会を設けられた際には、必ずや全面的改正の方向に結論をみるであろうと期待したのでありますが、ここでも当局の意向が反映してか、部分的改正が答申されたのであります。しかも本改正案答申事項中の重要な点が織り込まれていなかったことからみましても、いかに中途半端的なものであるかを知ることができるのであります。ことに卸売人許可権限については、卸売業務許可市場施設許可とが一元的であるべきであり、また実情に精通しておる立場の者が、多少権限を持つべきであると主張するのは、これは十分に考慮すべき理由があると信ずるのであります。  また類似市場の問題についてみましても、法文の解釈があるいは抑制するがごとく、あるいは野放しにさせるのではないかとさえ疑われるようなあいまいなものであります。これは当局としては確固たる方針が立っていなかったからであると言わざるを得ないのであります。このような法案を成立いたしますことは、若干の修正があったとしても、大局から見てむしろいろいろな市場行政を混乱せしめ、将来に禍根を残すことが非常に予測されるのであります。かような見解からして私は非常な大きな不満があるのでありますが、政府においては本委員会審議過程などを十分に考慮せられ、近い将来に全面的改正案を準備せられ、少くとも文語体と口語体の法案ではなく、あるいはひらかなの法案あるいはかたかなの法案、こういうふうな入りまじりの法案ではなく、確固たる全面的改正案を準備せられまして、市場対策協議会にあらためて諮問の上提案になられることを期待して、あえて本案賛成するものであります。また修正意見にも付帯決議にも賛成するものであります。  最後に一言しておきたいことは、本法案の成立に伴い、政令、業務規程等も当然改正せられることと思いますが、これらは市場民主的運営を達成せしめるよう、一貫したものとし、いたずらに中央集権的に流れざるよう特に希望いたしておくものであります。
  7. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御意見ありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより中央卸売市場法の一部を改正する法律案(閣法第九九号)について採決に入ります。  まず討論中にありました森君提出修正案を問題に供します。森君提出修正案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって森君提出修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  11. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  次に、討論中に述べられました森君提出付帯決議案議題といたします。森君提出付帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  12. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致と認めます。よって森君提出付帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一   重政 庸徳     秋山俊一郎   雨森 常夫     池田宇右衙門  小西 英雄     佐藤清一郎   関根 久藏     宮本 邦彦   横川 信夫     河合 義一   溝口 三郎     森 八一三
  14. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまの付帯決議に関し、この際政府当局の御所見を伺っておきたいと存じます。大石農林政務次官
  15. 大石武一

    政府委員大石武一君) 御決議趣旨に沿いまして、これを十分に尊重いたし、善処する所存でございます。
  16. 戸叶武

    理事戸叶武君) では速記をとめて。   〔速記中止
  17. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  農業改良資金助成法案、(内閣提出衆議院送付)を議題にいたします。  本法律案につきましては、去る二月二十一日提案理由、続いて四月六日補足説明を聞き、一部質疑に入ったのでありますが、さらに御質疑の向きは続いて御質疑を願います。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 政府提出資料によりますると、技術導入資金対象となるものの中で西南暖地の関係が二一%、秋落ち水田改良が一四%、保温折衷苗代が五〇%というようになっておるようであります。かようなことでですね、提案理由説明の中に述べられておりまする「ある程度普及度を示し、補助金対象とする理由は逐次稀薄となりつつある」という説明は、どうも了解しかねるように思うのですが、どういう感覚でこういうような内容を盛っておられるのか、その点をまずちょっと伺いたい。  さらにです、改良資金制度に関しましては昨年の十二月十六日でしたか、当委員会農業改良資金制度に関する決議を行なっております。その趣旨当局でも十分御了承を願っておるはずであります。特に決議に述べておりますように、保温折衷苗代健苗育成事業耕土培養事業、西南地方水稲早植え栽培等に対する補助金貸付金に振りかえるというようなことは時期きわめて適当ではない、慎重に検討を要しなければならないという趣旨を述べておるのでありますが、この本院の決議に対し、一体この制度を創設されますについてどういうようにお考えになりましたかどうか。特にこの仕事を受けて立ちまする農業団体は、当委員会議決をいたしました改良資金制度に関する決議趣旨と同様に、補助制度貸付制度に切りかえることに対しては相当反対をしておるように思うのでありますが、そういうような実際にこの事の上に立つ各種農業団体意見等をどういうように参酌、理解されておるのか、そういう点をまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  19. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 御承知のように私どもといたしましては、今後の農業の進展ということにつきましては、平素努力をいたしておる考えでございまして、決して、補助金そのものを制限しようとする趣旨では全然ないのでございます。従って今後といえども都道府県なり、市町村なり、あるいは個人にいたしましても、新技術導入の場合につきましては、これは今後ともぜひ補助金をもってやって参りたい、かように考えておるのであります。ただ、すでに数年奨励をしまして、新技術導入相当民間に、農民の間に普及いたしまして、危険性がほとんどなくなったので、こういうような場合におきましては国家財政等の都合もありまして、何年も補助金を継続していくということは実際問題といたしまして、これは困難じゃなかろうかと思うのでございます。しかしながら一時に補助金を打ち切りまして、たとえば農家の肥料のように個人持ちということにいたしますると、そこに今まで普及いたしました速度が急にあるいは後退をするというようなおそれもございますので、補助金をやることはこの際あきらめますけれども、それにかわる中間的な段階といたしまして資金を供給していく、つまり無利子の金をもちまして、それによって技術普及をはかっていこうというのがこの制度趣旨であるのでございます。  なお、従前補助金におきましては、御承知のように非常に少額の補助金でございまして、大部分の金というものは自分の自己まかないであったのでございますが、今回は約七割程度のものを無利子をもって貸し付ける、この方がかえって農民のためにも場合によりましては利益のある場合もあろうかとわれわれは考えるのでございます。そういうような趣旨からいたしまして、この際一部の補助事業につきましては改良資金に切りかえていくことにいたしたのであります。しかしながら今後といえども、あるいは農民個人のものではなしに、ほかの一般の農民利益になるようなものにつきましては、従前通り補助事業として継続していくことにつきましては、むろん申し上げるまでもなく今後ともそういうふうにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、まず本計画にせられておる事業については全国一律に切りかえてしまうということではなく、計画せられている事業についても、いまだ普及しておりませんような地域に対しては補助金を継続するというように受けとれるのでありますが、そういう措置を講ぜられるかどうか、たとえて言えば健苗育成に関する事業のごときは、まだ議員提案でわれわれがこの必要を認めて補助事業としてやっていくべきであるという法律を作ったわけであります。そういうことは全部打ち切られてしまうということではない、やはり国会趣旨がそのまま存続していくのだというように受け取るのでありますが、そういうふうに理解していいのかどうか、もしそうでないとすれば、今も説明にあったように相当普及をしている地域はこれは切りかえるという趣旨とは違ってくるということであると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  21. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 具体的に申し上げますれば、保温折衷苗代でありますとか耕土培養のように、補助対象と申しまするか、補助対象のものを改良資金に切りかえるものにつきましては、全国一律に改良資金に切りかえるのでございまして、地域的にどの地方補助金で、どの地方改良資金というような区別は設けない考えでおるのでございます。ただ御承知のようにただいまもお話がございましたように、普及していないところをどうするかという問題がございまするが、これにつきましては、新農村建設の場合市町村で新しくそういうような計画を立てて参りました場合には、従前通り補助金を組みたい、かように考えておるのでございまして、新農村計画対象となりました地方におきましては、そういう道を開いておるわけでございます。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 それはおかしなことですね。新農村建設運動は、全国一ぺんに六千六百の町村に行われておるわけでなくて、特定の、予算にある十四億六千万円というものの範疇で今度指定されて来た、——たまたまそういう指定されるであろう地域が今全国的に切りかえようとする事業後進地であって、ぴたっと一致してしまえばこれはお話のように解決されるかもしれませんが、必ずしも私はそういうようにはいかんと思うのです。いかん場所についてはこの制度の切りかえによって農業生産力を増進をしなければならぬということが足踏みをし、後退をしていくというようなきわめて憂うべき状態にある。特に今まで零細なる補助金とは言っておりましても、主として食糧自給確保に関することがその中心であったと思うのです。食糧自給確保という問題は、これはもう目の先の海外における農産物の生産過剰ということにとらわれてはいかんので、国際的な食糧の前途というものを一体どうお考えになっているのか、そういうことから議論しなければならぬと思うのでございますが、私は現在の国際的な人口増加の趨勢というものを考えますると、少くとも三十年くらい先には食糧農産物あるいは食糧海産物、一切がっさいの食糧を含めて増加人口に対応し得るような食糧というものはなくなる、非常に困難な食糧事情に逢着するということが私としては考えさせられるのでありますが、そういうことなんか十分お考えになっておるのかどうかということに疑問を持たなければならぬ、そういう点は一体どうお考えになりますか。
  23. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) もう私が申し上げるまでもなく、食糧増産わが国の国情並びにわが国農民農業経営の安定上から非常に重大であるということは、もう申し上げるまでもないところであります。私どもといたしましてもその点重々了承いたしておるつもりでございます。今回切りかえましたのも相当程度もう普及いたしておりまして、しかも技術に伴う危険性と申しますか、リスクというものがほとんどないという程度にまで農民に理解せられておるのでございます。そういう段階に到達しておりまする保温折衷苗代でありますとか、あるいは西南暖地水稲健苗圃につきましては、これは補助金を交付します上にも、いわゆる資金を無利子で貸すということがかえって農業生産力維持増強上からはとるべき方法ではなかろうか、こういうふうに考えまして、この際改良資金制度に切りかえたわけでございます。
  24. 森八三一

    ○森八三一君 これは議論になりますからいかがかと思いますが、われわれが昨年の年末に議決をいたしましたのは、もちろん全面的にいつまでも補助事業でいくべしというものではなくて、お話のように保温衷苗代健苗育成にしましても、耕土培養にいたしましても、そのことを行いますれば相当の効果があるということは、もうこれはことし去年の問題ではなくて、すでに前からわかっておったことなんです。そのわかっておったことがなかなか進まないというところにその問題がある。そこでやはり農民の現在の心理状態あるいは経済事情等を勘案いたしますれば、そういうような実績を目の前に見ておる地域におきましては、これは補助事業から今度の制度に切りかえることによりまして何ら支障を起さないということは考えられると思いますけれども、すでにそういうことが十分立証され証明されておるにもかかわらず、今もって集団的に地域的にそういう問題がちっとも取り上げられておらぬという所は、これは今回の貸付金制度によると申しましても、これはなかなかそのことが浸透しないというように私どもは理解するから、ああいう決議をいたしたわけでございます。特に例示して、耕土培養であるとか、あるいは保温折衷苗代等については十分考慮しなければならぬということを申し上げておるのに、今の御答弁ではそういう趣旨は全く考慮されておらないというような結果になって、はなはだ遺憾に思うわけであります。このことは議論になりますから、何べんお聞きいたしましても平行線と思いますので、その程度にいたしますが、そういたしますると、そこでその補助制度貸付金制度に切りかえる、それはもちろん金額の上では補助金よりは貸付金の額の方がふえる、そうするとそれは金利を免除するんだから、むしろときによってはそれを行う農家に対して経済的な利益を伴う場合もあるということでありますが、そういうことをつぶさに説明をして、農業生産が減退をしないように持っていきまするためには、これは相当計画的な秩序の立った指導が行われなければならぬと思う。その指導は一体どうおやりになるのか、おそらく御答弁では改良普及員制度があるので、その改良普及員制度を通じてやるんだ、こういう御答弁だろうと私は思うのでございますが、その改良普及員制度はむしろ本年度の予算におきますると、人員等においてもある程度は縮減されておるということなんです。一体前局長の時代にこのことは考えられた事件だと思いますが、その当時には、こういうことになれば、そういうような技術指導普及徹底ということが非常に大きなウエイトを占めてくるので、それに唯応ずるだけの普及員制度の充実ということをお考えになっておったと思うんです。そのことの方だけは飛んでしまって、この制度だけが先行しておるというところに私は非常に大きなちぐはぐが起きておる、問題がある、こう思うんですが、これは一体どうお考えになりますか、その所見を伺いたい。
  25. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 改良資金制度に切りかえまして、今後ますます農業技術を発展させて参りますためには、ただいまお話のありました通り技術員の全面的な活用ということがぜひ必要ではないか、かように考えるのでございます。で、技術員の問題につきましては私どもといたしましては、なお今後増員というものを要求して参りたいと、かように考えるわけでございまするが、今回約二・五%ほど減員に相なったのでございまするが、これは現に都道府県におりまする欠員見合いの分の一部を減員した、従いまして実人員にはこれらは異動はない、こういうような格好になるわけでございます。従ってこの制度をやりまする場合に、技術員相当手不足になるということが考えられるのでございまするが、この手不足を補いまするために、技術員の機動力と申しまするか、活動範囲を広くしまするためにオートバイを都道府県に対して補助するということにいたしのでございます。なお技術員の質を上げるということがぜひ必要でありまするので、これらの研修につきまして、今後とも大いに努力をいたしまして、技術員の質とそれから普及員の活動能力を増加することによりまして、手不足の点を補いまして、本制度が円滑に行われるように指導して参りたいと、かように考えるわけでございます。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 まあ形式的なことをお答えになっておると思うのですが、それは何%か人を減らしたと、そこでその活動行動がにぶっちゃいかぬから、それを補完する意味においてのあるいはオートバイをやるなどということをお考えになった。これも非常にむずかしい問題になるんです。現在欠員が多い県と少い県とあるでしょうし、そういうことを一体配置転換をしてならせるかならせぬかという問題も、これは当面起きてくる問題なんです。平均に欠員がありますれば、それは平均にそういう交通の施設をしてやりまして、活動の半径を延ばしていくということができますが、欠員が府県別にアンバラスになっておる場合には、一体どうするのか、オートバイをアンバランスの実情に応じてある県には非常にたくさんやるが、ある県には非常に少い、こんなことは私は実際問題としてはできぬと思う。それでは人間の配置転換をやる、こういうことを考える、これも実際問題としてはなかなかむずかしい問題だと思うし、それをやったといたしましても、それは現状を維持するにとどまる。この仕事がふえてくることに対応する充実はちっとも考えておらぬ。将来に向って希望するということは、希望であって現状の解決にはちっともならぬ、こう思うんですが、そういう点は一体どう取り組んでいかれるのか。制度は作った、そうしてわれわれの希望とは違った方向に向っておる。しかし農業生産力はますます上げなければいかぬ。そのことを解決するために、この制度がほんとうに後進の地域普及徹底していくということをはかるためには具体的に一体どうおやりになるのか。活用すると申しましても、そうはこういう新らしい事業に取り組んでいくだけの充実はないんです、過去の状態にとどまっておるということなんだから……。しかもこの仕事をやって参りますと、これはかなり改良普及員諸君には事務的なことまでもめんどうをさせなければならぬということになると私は思う。従来はそういう一切のわずらわしいことはなかったわけです。改良普及員としてはそういう事務的なことにわずらわされないということが私は一番好ましい姿と思っております。今度はこの制度によってそういうことまでもしわよせられてくる。必然的にそういう新しい仕事がふえてくるときに、そっちの方のことをやらせれば、人間の能力には限界があるのですから、当然一方の方はにぶってくる。せっかくこの改良普及員制度というものが創設されて数年間、関係者の努力によって非常に農民から歓迎され、喜ばれておるというときに、今度は事務的なことをしょわされていって、そっちの方に向ってしまうということになると、従来の仕事に手抜かりが生まれてくると思うのですが、そういうことはどうなさるのか、もう少し問題の本質に触れてお答えをいただきたいと存じます。
  27. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 改良普及員制度を創設いたしまして、御承知のよりにもう七年ほどになりまするが、最近に至りましては、先生からお話がありましたように、非常に農民から親しまれ尊敬されるようになっておりまして、わが国農業技術指導の根幹をなしておるという点につきましては、私どもといたしましてもこれを喜びといたしておるところでございます。ただ改良普及員につきましては、従前、事によりますといろいろ批判がありましたのは、ただ技術を教えるだけで一つも農民に親しみがない、あるいは世話が足りないという点が大きな非難でありましたのでございまして、資金面の世話、あるいは資材面の世話と、こういうようないわゆる農民と一体をなした、農民の側に立った指導というものがないということが非常なまあ普及員の非難の点であったのでございまするが、今回この改良資金に切りかえまして、その点につきまして資金の世話をすることになりましたので、その点は今後は農民からさらに喜ばれるのではなかろうかと、かように考えるのでございます。  ただ、今お話のありましたように、改良普及員の数が少いという点につきましては、私どもといたしましても、現在の普及員で十分であるとは毛頭考えていないのでございまして、機会あるごとにこれらの増員につきましては考慮して参りたいと、かように考えておるのでございます。ただ現実の問題といたしまして、今回二・五%近くの欠員見合いの分を減員に相なったのでございますが、これをどうするかという点は、ただいまお話のように、実際問題としては欠員の多い県と全然ない県とがありますので、これをどうするかという点につきましては、今後ともとくと検討して参りたい。ただ実際の人間が移動するというようなことも、現在の府県間の操作といたしましては非常に困難でありまするが、その点は各府県の主任官ともよく相談いたしまして、実情に即するようにやって参りたいと、かように考えるわけでございます。
  28. 森八三一

    ○森八三一君 相談をして善処するということをおっしゃいますけれども、これはなかなか実際問題としてそう簡単にいく筋合いのものでは私はないと思います。おそらくこの制度の切りかえによって、せっかく成果を上げてきております技術員普及員等に対して非常に批判が行われるこれは種まきをしておるというふうに、私は非常に心配をいたしておるのであります。なるほどお話のように、一般のことを世話するほど人員が充実しておればそれは一つの方法なんだけれども、改良されていく日進月歩の技術指導することすら不十分であるという現状において、そういうことにまでタッチしていくということになると、どうしてもそれは一方の方がおろそかになる。そうしてまた不満が起きてくるということで、必ずそこに問題が起るということも考えられますので、その善処するということをほんとうに実の上がる善処にしていただきたいと思うのでございます。  それから次にお伺いするのは、この制度の遂行によって農民の受くる金利、それからその取扱いをいたしますもののそれぞれの事務費相当額の金利といいますか、手数料といいますかそういうものは一体どういうふうにお考えになっておるのか。これまた非常に重要な問題でありまして、実際の実務を運行いたしまする取扱い機関が不十分な待遇ということになりますると、そのことが及んでこのことの円滑な遂行に障害を及ばずということになると思いますが、そういう点はどういうふうに考慮して、具体的にどうあんばいされておるのか、それをお伺いいたします。
  29. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 技術導入資金は、これは無利子でございます。施設資金は一割五厘でございまして、それ以上取ることは、これは禁止いたしたいと、かように考えておるわけでございます。それからこの事務を遂行いたしますにつきましての経費でありますが、これは総金額にいたしまして、約総資金の三%、二千五百万円ほどを考えておりまして、これは都道府県がみずから使いまする事務費と、それから都道府県が信連並びに農業協同組合に事務的な事項を一括して委任と申しまするか、やってもらうわけでありまするが、信連なり農業協同組合のそれを取り扱いまする経費を含めまして、全部で大体三%と、こういうふうに考えております。
  30. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 今局長のお答えになったところで、この基金の取扱い事務費の補助の問題でございまして、少しこまかくなりますので私から御説明申し上げたいと思います。これを取り扱いますにつきましては、法律にもございますように、県の信連系統に事務を委託する、こういうようなことに相なるわけでございまして、信連から単位農業協同組合に事務を委託する、こういうことでございます。それにつきまして、今局長から申し上げました大体二千五百五十万円になりますが、この範囲で補助を国から出したい、こういうふうに考えております。これは国の補助は三分の二でございますので、三分の一はこれに府県が継ぎ足す、こういうことに相なります。それでただいま局長からも申し上げましたように、この国から出します事務費の補助金二千五百五十万円は、府県のこの事務を管理あるいは指導する補助金と、それからただいま申し上げました農業団体の協同組合系統の事務取扱いにつきましてのこの所要事務費を補てんする、そういう二つが含まれておるわけでございまして、それにつきましては、予算の積算の基礎といたしましては、府県分と団体分というふうに一応分けて積算いたしました次第でございます。なおこれは実情をよくこれから運営してゆく段階におきまして調査いたしまして、特に信連系統でありますこの取扱い機関の意見等を聞きまして、十分その事務が円滑に動くように、そうして協同組合の必要事務費がカバーできるように配分いたしてゆきたい、こういうふうに考えております。ただいまのところでは、予算上は府県分が一・八%、それから団体分が一・二%、こういうふうに積算の基礎はなっております。これは積算の基礎でございまして、実際に実行する場合には実情に沿うように配分してゆきたい、こういうふうに考えております。
  31. 森八三一

    ○森八三一君 積算の基礎が、三%のうち都道府県が一・八で、実務機関が一・二ということは、すでに一般に熟知されておることでありますが、おそらく都道府県といたしましてもそういうような構想のもとにいろいろ計画を進められてゆくのではないかと思うのであります。そこで実際の運行に当りましては、この一・八と一・二という比率はこれをもう一ぺん考慮するということであります。当然考慮せられなければならぬと思いますが、その場合に具体的に一体どうお取扱いになるか、私どもが今まで承知しておるところでは、実務機関である協同組合系統金融のやっております実務をみますと、農林漁業金融公庫の資金取扱いにつきましては、二・四%くらいの事務費が出ておるが、それすらも、過日この問題に関連いたしましてでありましたか、参考人の出席を求めまして、当委員会でいろいろ意見を聞きましたときに、そういうような程度であっても自作農創設推持資金のようなものについては、とうていそれは事務をカバーする程度のものではない。が、しかし事が非常に重要なことであるので、協同組合本来の利益をはき出してでもこれに協力しておるのだと、非常に不満であるというような趣旨が述べられておったのであります。さらにその他の災害のような場合における取扱いにつきましても、二%程度は与えられておるというような事実を勘案いたしますると、この配分というものは非常にこれはむずかしい問題になると私は思うのですが、具体的に協議をしてとおっしゃいますけれども、構想はどうお考えになっておるのか、積算の基礎を離れて、どんなふうに持ってゆこうとお考えになっておるのか、その気持を一つお伺いをいたしたいと思うのです。
  32. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) ただいま金庫事務等の委託によりまする信連系統団体の手数料の点御指摘になった次第でございますが、私たちの承知いたしておりますところによりますと、金庫事務の問題につきましては、保証債務による危険の負担量というような問題とか、あるいはそういう事務受託者の業務上の取扱いをいたしますについての事務量、そういったような点も含まれて二・五%というふうに承知しておるわけでございまして、そういう点は本件におきましては全部特別会計が負担する、こういうことになりますと、純然たる業務に必要な諸経費は、おおむね一・二程度というふうに承知をして一応予算提出した次第でございます。なお御指摘のような業務委託による農業団体が困るというようなことがあってはならぬと思いますので、ただいま申し上げましたように、実情に即して、これは予算上の配分でありますから、配付に当っては十分考慮したい、こう申し上げた次第であります。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 その資金取扱いの実務について法律の二十条でありましたか、信連に対して事務を委託をする、そうしてそれに関連して農業協同組合法の制限を一部変更されておるというような取扱いがされておると思いました。そこでお伺いいたしたいことは、その信連に対する事務の委託でありますが、これはどういうような形で行われることになりますのか。承わりますと、都道府県の事務の委託を受けるわけでありますので、金庫の業務の仕方、本格的なものにはならないというふうに聞くのであります。そういうことをこれはおそらくお認めになるということだろうと思うのです。従来県金庫というものにつきましては、法律上何らの制限はありません。ありませんが、地方自治庁の指導方針としてこれを単数ということに強行せらるるやに承わっております。一部の府県におきましては複数の県もありますが、いずれも銀行が複数であるという程度のことでありまして、協同組合が複数の指定を受けておるという例は聞いておりませんが、ここでこの仕事が新しく起きて参りますると、当然このことが問題になる。そういうようなことに処置せられるということがどうかという点をお伺いいたします。
  34. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 二十条によります事務の委託という点は、特に債権の回収という点において協同組合法の十条の規定にかかるということに相なる次第でありますが、この改良基金制度を運用してゆきますにつきましては、県の特別会計から、どうしてもやはり農民に最も接着いたしておりまして、最も農民の便宜のいい協同組合組織を多くしなくちゃならぬ、こういうことに相なるわけでございまして、それにつきましては、貸付金の申請を協同組合が受理して特別会計に取り次ぐ、あるいは特別会計で貸し付けるということを決定いたします場合に、貸付金の交付を協同組合系統に託する、こういうことに相なるわけでございます。今御指摘のような県の金庫事務の一部に相当するような仕事も委託をするように相なる次第でございます。この点につきましては、いろいろ法制上われわれも検討いたした次第でございまして、法制上といたしましては、金庫制度の本金庫に対します今御指摘の支金庫制度を採用するという道もございまするので、またこれは地方自治法施行令の百六十五条の支金庫ということに相なるわけでございます。なお同施行令の百六十六条の第二項の規定によります金庫事務の一部を取り扱うものとして、その金庫事務の取扱委託者、こういうような制度もあるわけでございます。これは支金庫じゃないわけです。百六十六条第二項による金庫の事務の一部を委託する、こういった制度も都道府県の知事の許可があればできる、こういうような制度も開かれておるわけでございます。また一面研究いたしましたところによりますと、特別会計から前渡資金の交付の形式でもって県信連に事前に金を交付しております。特別会計の農民からの申請に基く貸付決定というものがありますと、それの決定に基いて前渡資金の範囲から信連が単協を通じて農民に交付する、そういったような前渡資金交付方式といったような方式も考えられるわけでございます。ただいずれに方式をとったらいいかというような点につきましては、都道府県の意見を今徴しておる次第でございます。それによりましていずれかの方法をとっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。この点については自治庁とも事前に打ち合わした次第でございます。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 今お述べになりましたように、地方自治庁の関係の法規なり、あるいはその他に数個の場合があるということはよくわかりますが、そのうちに本金庫にするということについては一言も論及なかった。本金庫にできないという理由がございますか、ございませんか。私は地方自治庁のいろいろな規定を自分の承知しておる範囲内におきましては、何も県金庫というものは単数でなきやならぬという規定はないのです。支金庫なんということを初めから持ち出す必要もない、県の金庫に指定すればそれでよろしいので、それが一体どうしてできぬか、系統機関の資金の運用をやるこの制度について、どうしてそういうことがいかぬのか、その点をはっきりお伺いいたしたいと思う。
  36. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 金庫制度は大体一県一行主義というものを昔からとっておるのであります。数金庫といった制度はとられてない慣例になっております。なお支金庫に対して本金庫というものはこれを統轄するといったような法律の言葉がございまして、大体法律の建前も本金庫一行といったような建前のように承知いたしておりますが、これはやはり県の資金の把握の上からいって本金庫が数行あるようであると非常に把握しにくいといったような、そういった実際上の必要からくるのかとも承知いたしておりますが、この点については自治庁ともいろいろ本金庫を二つにしたらどうかというような意見を聞きましたが、自治庁としてはやはり一県一行主義というものを貫いていく、こういうような建前のようにわれわれは聞いておるわけでございけす。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 自治庁が一県一行主義というものを堅持しておられることはわれわれも承知しております。それは普通の場合はあるいはそういうことも言えるかもしれません。しかしここにこういう新しい制度ができて特別な資金の供給が行われる、しかもその事務は系統的な金融組織を使うという場合に、その事務に関する限り県金庫が単数でなきやならぬという規定はないのですから、それを複数にするということがどうしていかぬのか。農林省はそういう御折衝をなすったことがあるのか。今までの指導方針がこうだからそういうふうにきめきっていることは非常に矛盾があると思うのです。全然これは今までの県金庫本来の業務ではないことをやるんですから、それにふさわしいことを、法律が禁止しておらぬ限りは認めるということが一番正しいことで、それがどうして認められないのか、そういう御折衝があったのかないのか、あったとすればいきさつはどういういきさつでどうなっているのか、ことにお話のあったように、本金庫は支金庫を統轄するなんということになると、これは私は非常に大きな問題を及ぼすと思う。そんなことで軽々にこの問題は結論は出ません。これは系統金融に非常な問題を巻き起すという危険がありますので、支金庫でよろしいなんというそんないいかげんなことでこの問題を取り進めていくということには私は参りかねると思うのです。でございますので、いろんな方法がある、あるが、そのうちの一番私は正しい端的な方法は、地方自治法に何らの明文がない、単数でなきやならぬという規定がないという限りにおいては、この制度は創設当時に、本来の金庫としてこの業務に関する限りは認めるべきである、こう私は確信をしておる。その御折衝があったのかないのか、なかったとすれば非常に私は農林省としては手落ちであると思うし、あったとすれば、今御説明のような結論に到達したそのいきさつを御説明願いたい、こう思います。
  38. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 金庫事務につきましては最終まで折衝いたした一人でございます。この金庫事務につきましては、われわれは支金庫でもいけるんじゃないか、こういうような考え方で折衝いたしてきたわけでございまして、本金庫という問題については、さっき申しましたような一県一行主義というようなことで、非常に自治庁としては難色がある。支金庫といたしましても支金庫は全県下にこういったわたっての場合には支金庫といったようなものは認めてないそうでございまして、まあ支金庫と言わなくて、この金庫事務の一部を取り扱うということでも十分この改良基金がねらっております出納事務ということはできる、こういうふうに承知いたして金庫事務の一部を取り扱うものとして、あるいはさっき申しましたような前渡資金交付の方法で、いずれかでやったらいいのじゃないか、こういうことで自治庁と折衝をいたしたのでございます。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 私は非常に理解ができないのですが、一般の県の歳入歳出に伴う県金庫というのではない、新しい制度の創設によって特殊な特別会計を設けてやるという別個なものなんです。地方自治法には、県金庫は単数たるべしという規定はありません。こういう特別なものをやる場合に、そういう規定のないのに、従来の一行主義ということが堅持されなければならぬ理由がどうしても私には理解ができかねる。なぜ一県一行でなければならぬのか。こういう特別会計を設けてやる別途の特別の融資なんです。その理由が自治庁は一体どういうように説明して農林省は理解なすったのか。私農林省が理解する筋がないと思うのですが、その一行主義だということで単純に往生しちまったのか、理由を聞いて納得して往生なすったのか。私には往生する筋は一つもないと思います。何か県の一般の税金を取り扱って、その歳出をどうするというような問題はそれとは違う、全然性質が違うんです。こういう新しい事業の創設に伴って、本来のやってきておった一行主義というものは堅持されなければならぬという理由はどこにも発見できないのです。その折衝をなすったというならそのなすった経過において、かくかくの理由によってこれはこういうふうになるのだということの理解のできるような御説明をいただきたいと思うのですが、そういう具体的な内容はいかがでございましょうか。
  40. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 相当長い間折衝いたしたわけでございますけれども、県のやはり金庫事務というものは、一行でやった方が県資金の把握上非常に都合がいい、これは数行にわたるといろいろな不都合ができる、こういうことで自治庁の了解が得られなかったことを申し上げる次第でございます。
  41. 森八三一

    ○森八三一君 資金の把握ができない、これは特別の会計を設けてやるのですから、その点において二行というか、二つの金庫にいたしましても、むしろはっきりして私はいいのじゃないかと思う。それからその次の、従来は一行主義だから二行にしてはいかぬということはどうしても私には理解できませんが、これは農林省と自治庁との折衝は、その程度のことで農林省はやむを得ないものとして御了解になったというふうに理解していいのかどうか。もっと内容があるのかどうか。もしその程度とすれば、これは理解できませんから、地方自治庁とこの問題は十分質疑をかわさなきやならぬと思うのですが、その程度では私は農林省が理解されるはずはないと思うのです。もう少し内容があったとすれば一つお漏らしをいただきたい。
  42. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) これは非常に前例を開くことになって、いろいろとこういう前例を作ると金庫がたくさんにふえていく端緒になるということで非常な反対を受けたのです。
  43. 森八三一

    ○森八三一君 いい前例は作るべきであると思いますが、これは農林省としてはこういう例を作ると悪いとお考えで御了解なすったかどうか、了解なすったとすれば、前例を作るということは悪い例を開くのだということに農林省は理解なすったのですか。必ずしも前例がないからやっちゃいかぬということはあり得ないので、いいことは大いにやるべきです、そこに進歩があるのですから。ことに独占禁止法なんという法律もある世の中で、一行に独占をせしめるということはいかぬ。これは県議会が決定せぬというのは民意がそこにあるのですから、これは私どもは理解できる。理解できるけれども、県議会がかくあるべきと決定した場合にはこれは当然認めるべきだと思う。ことにこの資金の性質がそうである以上は、そうでなければならぬと思うのですが、それをすらも農林省が理解なすったというか、往生なすったということは、もう少し深いものがあったと思いますが、いかがでございましょうか。
  44. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) われわれといたしましては、さっき申しました資金前渡の方法なり、あるいは金庫事務一部の取扱い、そういったものの指定によりまして、十分本制度の目的が達し得るとこういうふうに考えた次第でございます。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 県金庫の事務をやるということで形式的にそこにその仕事が進むのだ、そこで系統金融というもののあるいは混乱が巻き起ってくるという危険をお感じにならなかったかどうか、もしそうだとすれば私はこれは非常に考え方が浅過ぎると思うのです。  そこで、それではもう一つ突っ込んで伺いますが、お述べになりましたようないろいろな方法があるという場合に、私はそういう方法は賛成をするのではございません。あくまでもこの制度趣旨資金の実際の流れ等々から考えまして、これは複数制の県金庫を認めるべきである、こう私は確信をしておるが、そのことは別にいたしまして、取扱い上いろいろな形式があるという場合に、農林省地方庁の意見を聞いて、それをそのままうのみにするということなのか、あるいは農林省としては私の申し上げまするような支金庫というような場合にはいろいろな問題も起るので、県金庫というような制度とは無関係に、何らか知事と信連との間の契約によって私の想像をしているような問題も巻き起らぬという方法で一つの新しい制度をここに考えていくという御方針なのか。県の方から言ってくるやつはその事情がそうなのだから、その辺はそういう方法で向うの勝手にやらせるということなのか。その辺のお気持はいかがなものですか。
  46. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) ただいま私が御説明申し上げましたような方法につきまして、地方庁の意見を問い合せておるのであります。そこで地方庁の意見を十分参酌いたしまして、金庫事務の一部を取り扱うような方法でいきますか、あるいは今森先生の御指摘になりましたような特別会計と信連との特別な契約によるいわゆる前渡方式でいくか、そういう点を採用いたしたいと、今地方庁の一番運営しやすい方法といったような点を問い合せておる次第であります。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 地方庁の運営しやすいという方法が地方庁から報告があれば、それはその方法によって地方庁に一任をするということであって、農林省としては別段まとまった方法をこのことに関しては出さないというお気持と承わっていいのかどうか。そういう意見を聞いた上多数の方向が特別契約でいくということであれば、特別契約ということ一本で全国にまとめていこうという指導方針をお出しになるのか。府県々々の希望によって、その希望をそのままに認めていくというお気持なのか。所管の事務当局としてはどうお考えになっておりますか。
  48. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) ただいま都道府県の意見を聞いておるわけでございますので、それをよく検討いたしまして、農林省といたしましては一つの方式を決定いたしまして、それによって指導していきたい、こういうふうな考えでおります。
  49. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、農林省としては報告をまとめた上で何らか一つの形のものにまとめていく、支金庫という制度に一本にするか、あるいは特別の契約という形の一本のものにするか、あるいは私の主張するような県金庫という本来のものに一本にするか、何らかその一つの形にまとめるということであると理解してよろしいかどうか、念のためにお伺いいたします。
  50. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 御意見通りでございます。
  51. 重政庸徳

    重政庸徳君 政令事項ですが、第二条第二項の政令で定める施設資金、ここにいろいろなたくさんの仕事が出ておりますが、たとえて申しますと、「穀物粉砕機の取得に要する資金」、それから「堆肥舎の造成に要する資金」と、いろいろ書いてありますが、これはやはり貸付の限度はおのおので皆違っておることになっておりますかどうですか。
  52. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 施設資金につきましては、貸付は系統金融の資金農民に貸付けられるわけでありまして、それに対しまして特別会計が債務保証をする、こういうことに相なる制度でございますが、系統団体農業協同組合から農民にこの施設資金が貸し出されます場合の資金量は必要資金の八割を貸し出す、こういうことになりまして、その貸し出されました資金の八割をさらに債務保証する、こういうことに相なろうと思います。
  53. 重政庸徳

    重政庸徳君 僕の質問した要点はそういう要点ではない。たとえて言えば「小土地改良事業に要する資金」、あるいはその次にある「農林大臣の指定する農道及び索道の改良又は造成に要する資金」、これはやはり五町歩以下十万円下を限度として、十万以下をその範囲内において貸付ける、こういうお答えがあった。そういう意味で僕は質問している。もちろんここに書いてある事業で、そんなに高い事業はございませんから、今申し上げました土地改良に属するもの以外においては、あるいはそういう限度々、設けぬでも大体貸付の運びにいくだろうと思うのだけれども、今申し上げました土地改良事業及び農道索道というものは五町歩以下という限度はこれはまあ相当だろうと思う。だけれども十万円以下の資金であったらこれは帯に短かしで、短かいのみでほとんど利用価値がないように私は思う。利用価値がない、その点をお尋ねしておる。
  54. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 十万円以下と申し上げましたのは、公庫とのタブリがないようにこういう意味で申し上げましたので、十万円以上は公庫の対象、十万円以下は施設資金の方で貸し付ける、こういうことに相なっております。両方タブらないようにこういうことで申し上げました。
  55. 重政庸徳

    重政庸徳君 その十万円以上の場合には公庫が貸し付ける、十万円以下の場合にこの資金を——なるほどそれでわかりましたが、大体そうするとここに書いてある今申し上げました事業については、この資金を利用するということは不可能ということに結論はなるのですね、と申しますのは、索道とか農道とかいって十万円以下でできるものはほとんどどこを歩いたってない。
  56. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) この施設資金対象にいたしておりますこの小土地改良あるいは農道索道あるいは農地防風林、こう申しまするいわゆる十年償還のものについてでございますが、これはお配り申し上げました表にもございますように、小土地改良につきましては、客土、区画整理、暗渠排水、用排水路の取得、造成、こういうことを考えておるわけでありますが、それの工事をやりますにつきましての資材費を貸し付ける、こういうことに相なっておりまして、いわゆる工事費全体を対象にいたしておるわけでございませんで、客土ならば反当六千円の工事費がかかるといたしまして、そのうち一八%が資材費になるということで一八%の一千八十円を貸付の対象にいたす、その場合に債務保証をいたす、こういうことに相なっておりまして、いわゆる工事費総額というものじゃなくて資材費のみを対象とする、こういうことになっております。この客土につきましての一八%の資材費と申しますものにつきましては、これは農地局においていろいろ検討をしていただいた数字でございます。と申しますのは非常に小規模の土地改良でございますので、労力費等は農民等が自己負担あるいは助け合う、そういったようなことでできるのじゃないか、こういうふうな考えで、資材費を貸し付けたら十分目的を達するのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  57. 重政庸徳

    重政庸徳君 大体それで了解つきましたが、ところがこの索道となったらこれはほとんど資材ですね、これは十万円以内でできる索道はありはしない、そういうものはおそらくないだろう。
  58. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 索道につきましては、大体手動式で一メートル当り五百円といたしまして、資材費が七〇%、それから動力式で計算いたしますと、メートル当りが千五百円になりますのでございますが、やはりその資材費が七〇%程度になり、手動式で一メートル当り三百五十円、それから動力式で一メートル当り千五十円、それで平均いたしまして一メートル当り四百二十円程度対象とする、こういうことを考えております。先般申し上げましたように大体二百メートル乃至二百五十メートル程度、こういうことに考えております。
  59. 重政庸徳

    重政庸徳君 これを十万円以上は金庫、十万円以下はこれでまかなう、そうなってくるときは、あげて円滑にだれも資金を得て仕事が円満にいく、こういうように考えられるのだが、実情はそうじゃないので、十万円以上の金庫は、全国でその年度で要求する金額の何パーセントか非常に少いというような状況にあるのだから、そういう苦しい一律な限度を設けずに、まあ非常に大きな金になってくると二の資金に影響してくるから、だから二十万円であろうとあるいは二十五万円であろうと、そういうものはやはりこの金庫で借りるものはこの資金で足してやるという考えでいかねば、せっかく設けたこの施設資金が使えぬようになるのじゃないか。特に索道のごときはおそらく利用価値はないと思う。だからここで十万円以下というような一律なそういう限度をはずしていったらどうかと思うのだが、御意見どうですか。
  60. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) その点につきましては、先般の御質問のときにお答え申し上げたかと存じますが、金額が十万円以下または受益面積五町歩以下、こういうふうに一つの要件を充足すればよろしい、こう申し上げた次第であります。必ずしも全部が十万円以下でなくてはならないというふうには申し上げていない。十万円以下でもよろしい、あるいは受益面積五町歩以下の工事の場合でもよろしいのであります。御指摘のような不都合は生じないかと思います。
  61. 重政庸徳

    重政庸徳君 ちょっとおかしい、十万円以下と押えると、とにかく今申し上げましたような金庫で十万円以上はみなまかなわれ、十万円以下はこれでまかなわれて非常に円滑にいくというようにちょっと聞えるのだが、そうじゃないので、十万円以上の要求も金庫で満しておる分は何パーセントになっておるか、その数字は今記憶いたしておりませんが。要求の何パーセントかを満しておる。だからここで五町歩以下、十万円以下という五町歩以下はまずいい、が十万円以下というこういう苦しいことをお設けにならないでも、金庫で満されぬ分はこれで小事業は行なっていく、金額の点においてはそういうふうにする必要があるのじゃないか。こういう質問をしておるのですが、どっちかに該当したらばそれでいいのだというのですが、どっちかに該当しても私の今質問いたしておる趣旨には全然食い違ってきておる。
  62. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 御指摘の点は五町歩以下というようなことで解決できるのじゃないかと思うのでございますけれども、大体受益面積五町歩以下という程度の工事になれば……。
  63. 重政庸徳

    重政庸徳君 五町歩以下だったならば十万円をこえてもいい、そういうことですか。
  64. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) そういうことになりますので……。
  65. 森八三一

    ○森八三一君 この金庫の問題、私はどうしても釈然としないのですが、農林省は一体どういう姿が一番好ましいとお答えですか、本金庫が一番いいと思いますか、支金庫が一番いいと思いますか、特別な契約が一番いいと思いますか、農林省がこの仕事を主管してお進めになるのですから、どういう形でこの取扱いをお進めになるのが一番ふさわしいとお考えになるのか、農林当局の事務的なお考えを伺いたい。
  66. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) ただいま私が事務的に考えておるところだけを申し上げたいと思います。これはまだ県の意見等もちょいちょいと聞いておるところで判断しておる次第であります。いわゆる前渡資金交付方式で特別の契約をやっていったら一番スムーズにいくのじゃないか、こういうふうに私は今まで地方からいろいろ意見が出たところで判断いたしております。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話は、今までの折衝の経過を頭に入れてお答えになっておると思うが、何も今までの経過なしに制度的にどういうことが一番いいとお考えになるか。そういう建前がいいのか、すらっと本金庫にすれば、しかも特別会計であるということから何ら問題は私はないと思いますが、そういうような形の方がむしろいいとお考えになるのはどういう趣旨か、それを御説明いただきたい。そういう制度の方がいいとお考えになる趣旨はどういうことか。
  68. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 非常にむずかしい御質問でございますが、国の例から申しますと、農林漁業資金融通特別会計によりまして国の資金を貸し付けておった場合も、中金にこれを交付して、中金がその場合に日本銀行のような国庫資金にならなかったと承知いたしております。そういったような例もありまして、私としては特別前渡資金交付のような方式でやったらいいのじゃないか、そういうふうに考えております。またフランクに県から参っておる意見によりましても、県議会の議決とか、いろいろな点からいろいろ事務的にも県として問題が多いから、先ほど申しましたような前渡資金交付方式の方が一番やりいいのじゃないかというような意見具申も地方から来ておる次第でありまして、そういうあれこれを判断いたしまして考えた次第であります。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 その点はまだ私了解いたしませんので、質疑をまた継続いたすことにして今日はこの程度にしておきますが、その次にお伺いするのは法律の二十一条の関係はこれは一体地方庁と自治庁とどういうような話し合いになっておりますか、これは非常にむずかしい問題が起きると思うのです。このことに関連し都道府県が十分に考えません場合には、その府県の農民は非常にみじめな状態に置かれるとこう思うのですが、そうなりませんかどうか、お伺いします。
  70. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 県の負担能力の問題だと承知いたしますが、この点につきましては、御配付申し上げました資料の中に、大体三十年度の予算補助金といたしましてこの改良基金に組み入れました分が七億一千四百万円、それから三十一年度にこの改良基金として県に負担してもらうということを前提といたしました国の補助金が八億五千万円、こういうふうになっております。これは三分の二助成でございますので、県としては四億二千五百万円を負担する、こういうことになっております。ところが三十年度の補助金として七億一千四百万円に対しまして県の負担分はおおむね三億ちょっとこすくらいに計算されておるのであります。初年度におきましては、改良資金の性格上七割を貸し付ける、こういうことになるわけでございまして、事業量の関係もあり、貸付量がふえてくるということもありまして、資金量がふえておるわけでありまして、県の負担はふえておるわけでありますが、一定の基金が積み立てられますまでは県の負担があるわけでございますが、次年度からは県の負担はさらに四億から二億、さらに次年度は一億、半減ずつしていきまして、数年先には県の負担は全然なくなる、こういうふうな状態でありまして、県の負担は初年度においては一時やや増加いたしておりますけれども、次年度以降はずっと半減していくということでむしろ負担軽減になるということでございます。  なお県の負担部分につきましては、交付税交付金の基礎に計算済みでございまして、この点についての県負担部分の財源措置は講じられておりますので御心配はないと存じます。こういった状況でございます。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 そういう措置が講じられておりましても、地方議会がそれを受け入れないという場合はどう措置されるのか、その点はもう県議会がそういうふうに措置をしたのでこの技術導入に関する資金が行かなくても、それは県民の意思がそこにあるのだからやむを得ないということでそのままにするということにならざるを得ないと思うのですが、そういう結果になると理解してよろしいかどうか。
  72. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) その点につきましては、従来の補助金と同様かと存じております。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いいたしますのは、先刻の御説明で一割五厘という金利を予定しているということでありましたが、施設資金につきましては一割五厘というと一般市場金利と同じである、こうなりますが、その補給がおそらく伴うと思いますが、その補給が伴ってくると、その補給の財源というものは県別に必ずしも均衡がとれないというような状況にこの制度からなってくると思うのでありますが、そういう結果にはなりませんかどうか。
  74. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) その点につきましては、運用益が出ますように事前によく県と打ち合せて調整をやらなくちゃならぬかと考えております。
  75. 森八三一

    ○森八三一君 その調整ということは具体的にどういうふうにおやりになりますか。県別に調整を……。
  76. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 県から、ただいま御配付いたしてあります資料にありますように、各技術導入資金なり施設金なりにつきまして、それぞれの事項によります計画を出していただきたいと、こう存じている次第でございまして、そういう計画につきましては、たとえば耕土培養でありますれば事前に調査事業が先行いたしておりますので、おおむね調査事業によって事業量が決定するわけでありますから、その他従来の補助金等の実績もございまして、そういうものと見合って県のきめまする事業計画と従来の実績とをあわせてよく検討をいたしまして、県の自主性を相当認めながら、県間のバランスなり今御指摘のありました財源措置によってのアンバランスのないように、そういった調整をやらなくちゃならぬ、こう考えております。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 先刻の取扱い上の機構の問題につきましては、私はまだ了解ができませんので、十二日の委員会には地方自治庁の当局を呼んでいただきたいということを希望いたします。
  78. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて。   〔速記中止
  79. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  本法律案につきましては、差しつかえない限り明後四月十二日木曜日午後の委員会において残余の質疑を終り、直ちに討論採決を行うことにいたしまして差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 戸叶武

    理事戸叶武君) そのように御了承を願います。
  81. 戸叶武

    理事戸叶武君) 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案衆議院議員笹山茂太郎君ほか三名提出にかかるもので、去る四月六日予備審査のため衆議院より送付、同日当委員会に予備付託になったものであります。ただいまから提案理由説明を聞くことにいたします。衆議院議員笹山茂太郎君。
  82. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) ただいま議題となりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  わが国の農林水産業施設は、毎年災害により甚大な被害を受けており、従ってその復旧事業を推進することについては、国及び施行団体におきまして常に努力しておるところでありますが、今回これらの施設に関する災害復旧事業を特に推進するために、緊急な災害復旧事業に対する国庫補助金の交付につきまして、政府の財政上の措置に関する規定を整備するとともに、国庫補助にかかわる災害復旧事業の施行を翌年度に繰り延べる場合の差額返還の時期を明らかにすることといたしました。これが本改正案提出した理由でありますが、次にその主要な点について御説明申し上げます。  すなわち第一点は、災害復旧事業がとかく遅延し、多大の仕越し工事を生ずる等、各方面に甚大な支障を与えている現状を改善するためには種々の改善措置が必要と考えられるのでありますが、なかんずく国の予算措置については、単年度予算制度をとっているとはいうものの、実質的には継続費と同様の考慮の下にこれを行う必要があるものと考え、緊急な災害復旧事業として政令で定めるものにつきましては、政府はこれらの事業が、三カ年度以内に完了できるよう財政の許す範囲内において国庫補助金の交付につき必要な措置を講ずる旨を法文の上に明らかにし、もって施行者が迅速かつ計画的に工事を進め得る道を開き、災害復旧事業の推進をはかることといたしたのであります。  第二点は、国が都道府県に直接または間接に補助した場合に、補助金の交付を受けた年度にその補助金に残額を生じたときは、当該年度の終了後または当該年度の終了前に、当該事業の終了した場合においては当該事業の終了後、直ちに国に返還させるように現行法で規定せられておりますが、災害復旧事業がその事業実施の段階におきまして、工事の完成が当該年度を越えざるを得ないような事情にある場合におきましては、すでに国庫から前払金として支出したところの補助金については、当該補助金相当する事業量以下であっても、その補助金の差額は事業を繰り越して施行する限り国に返還する必要がないという行政措置が講ぜられておりますので、これらの行政措置との均衡をはかるために、国庫補助にかかわる災害復旧事業の施行を翌年度に繰り延べる場合におきましては、その差額は翌年度の事業の終了のときに返還することといたしたのでございます。  以上がこの法律案提案理由及びその概要でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。
  83. 戸叶武

    理事戸叶武君) 本法律案の審議は後日に譲ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  84. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会