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政府委員(
安田善一郎君)
衆議院の方の私の担当しております仕事がございまして、大へんおくれましたことは恐縮でございます。御了承をお願い申し上げます。
御
承知の中央卸売市場対策協議会として
予算も計上していただきまして、農林省において開催し、諮問をし、かつそれに対して答申をいただきました
事項は大別しまして七項目になります。七つの項目につきましては、
中央卸売市場法の
現行法について
改正を要する
事項と、法とのものではないが、中央卸売市場の整備強化活動促進、その他類似市場の規制につきまして御
意見をいただきましたほか、運賃、通信の
関係等の行政
措置等ですることもお答えを願いまして、第七といたしましては、六までの
事項の早急な
措置を要望する、その他なお、加工食品及び畜産品の市場
取引の問題をも含めて研究を要するという二つに分けた答申であるわけでございます。
その六項目の第一の点でございますが、これは最近の中央卸売市場全部とは言わないが、かなり大分部分のもの、特に大都市の大規模の中央卸売市場は消費的市場でなしに集散市場的で、
関係圏も広くて実情が変っておる。それに応じましてその使命を
生産者、
消費者、出荷者との関連をも考えて考慮せよということでございましたのでありますが、これに対しまして、この中央卸売市場の使命とか任務を法的にも書いたらどうだという
意見が一部にあって、それが決定ではございませんが、そういう意味も若干含めて精神を書いた御答申をいただきました。これに対しましては、
改正案の逐条について中央卸売市場なり、市場の開設者なり、卸売人なり、仲買人なり、類似市場という他の一般市場といってもいいような問題も含めまして、逐条その
関係条文にその精神を表わすことをもって要望に応える
改正にしたつもりでございます。
第二点の答申といたしましては、早急に
法律改正及び
関係法令の
改正を要するということを第一の答申
事項に照応して答申されましたので、
本案をその趣旨で提案を申し上げたので、こたえておるつもりでございます。
第三点は従来市場行政に対して国が消極的で、もっと積極的に指導監督を行なって行政機構の確立をはかり、市場の専管部課の独立を行うような例、あるいは市場設備の整備強化のための補助金の交付、起債のあっせん、低利資金の融資あっせん等について国が骨を折れ、こういうことについての第三点の御答申がありましたことに対しましては、協議会の途中でありましたが、私
ども農林経済局内に企業市場課というような課を設けまして、目下は七人でやっておりますが、別途の
予算、人件費である
予算措置を講じまして、本法案に載っておりませんが、
改正法案のためにする、十分ではございませんが、さしあたり二名の監督官の増員を
予算上御
審議を願って、
衆議院では御可決下すったわけでございます。この若干の人員の増加及び専管課の独立を企図しまして、従来の法でもできる法的根拠に基く指導監督、及び
改正案が御
審議御可決下さいまするならば、これに基きまする行政庁として、特に国の行政庁としてなすべきことは極力自由を侵害せず、
法律の精神に基く範囲内におきまして、できる限りのことをいたしたいと思っておるわけでございます。市場設備の整備強化のため等につきましては、中央卸売市場として従来の旧法に基いて成り立っておりますものについて、地区が指定をされておりまするが、まだ中央市場ができていないとか、中央市場ができておるが、設備強化であるとか、分場の設備も十分でないとか、本分場を通じまして、すでに集荷分配あるいは
取引機構等のための設備が十分でないことに対しましては、三十年度六千万円の補助金を計上いたしまして、従来あるものに対してもさらに設備拡充の補助をいたし、また現に札幌等におきましては、これは例でございますが、指定地区であって中央市場がないところの設備促進をして、補助金を交付するように年度内に
措置するつもりであります。さらに見返り円の融資も約六億目下概定しておりまして、見返り円の金利四分、一応の償還期限を一定の据え置き期間を含めまして二十年、このくらいを予定しておりまして、最終決定でございませんが、ここに使うことだけは
政府部内で決定をいたしておりますが、その資金を見返りに、普通の起債による場合は八分、安くても六分以上であるので、より短期の償還期限を持ちますものに比しますというと、この特殊の
政府資金の低利
長期の融資は補助金に匹敵するというので、三十一年度はそれによって本年度の補助金を交付したより以上の多くを、中央市場の
長期的整備
計画を促進するように努力中でございます。なお、その答申の付記といたしまして、言いかえますというと、第三項の答申の付記としまして、特に註を付されて御答申願いましたが、国の指導監督は積極的に今後やるべきであるけれ
ども、中央集権化の傾向を招来してもどうかと思うから、市場運営の自主性は尊重せよという御趣旨に従いまして、法文でも提起しておりますように、たとえば卸売人の許可にいたしましても、旧法の付則の
規定によりまして地方の
長官が、今では正確には都道府県の知事と言うべきだと思いますが、これが許可したものは国が許可したものとみなすということで、本来国の業務といたしておりますことを主務
大臣に移すと同時に、答申の御趣旨を生かしまして、市場開設者の御
意見を十分に尊重してでなければ許可
事務を扱ってはいけない、こういうのを法定いたしまして、国の特に
政府の主務
大臣のこの
規定によりまする
権限の行使ないし運用につきまして、みずから規制する、市場の御
意見を十分に反映してからしか行えないという規制の
規定を設けたのがこの趣旨であります。
答申の第四項以下は、個々の具体的な
事項について中央卸売市場に関する改善
事項を御答申願いましたわけでございますが、その中には卸売人、仲買人、小売商その他の売買参加人、卸売人の営業譲渡、合併についての独禁法との
関係、あるいは先ほど申しましたように生鮮食品の輸送、荷扱い、通信線路保持、その他等に関しまする
事項が含まれておるわけでございますが、この点につきましては、答申の趣旨を、私
どもは極力
法律案の制定及び全体の
法律案の構成の上において許す限りにおいては、おおむねこれを技術的に可能の範囲には、ほとんど全部といってもいいほど取り上げて案を作成したつもりでありまして、卸売人についてまず申し上げますというと、その
基本的あり方については今後慎重な検討を要するけれ
ども、法案の
改正等の
内容といたしましたのは、答申にありますように、当面少数適当な数にとどめることについては許可の
条件、許可の態度等につきまして、少数適限の趣旨をねらいまして、なおかつ答申にありますように、すでに現在過度の荷引競争を避けるために、適当な法的及び行政的
措置を講ずることにつきましては、私的独占及び公正
取引に関する
法律に抵触する場合がございますが、中央卸売市場の開設者の性質及び
取引方法がせり売りの公的な方法によることの性質にもかんがみまして、公取
委員会とも折衝をいたしまして、独禁法排除の
規定を設けることにいたし、また運用上両者——両者と申しますのは、公取
委員会と
農林大臣との間におきまする取扱い上の意識統一をいたしまして、
法律改正案に盛りましたことは、市場の、特に中央卸売市場の卸売人に関する限りにおきましては、一方主務
大臣の監督もありますので、許可制の運用のよろしきを得ますると同時に、過度の荷引き競争を避けるための卸売人間の
取引に関する
取引条件に関しまする協定を結びました場合は、
価格、
数量についてはこれを除きまするが、除く意味は中央卸売市場は売手と買手とが自由に公正に公開のせり売りで
取引して融通の円滑をはかり、
価格の適正化をはかるという
目的を持っておりますので、
数量と
価格を除きまするけれ
ども、その他の荷引き競争的なことについては協定を結びましても、
農林大臣がそれをよく見てよろしいと判定をいたしました場合には、独禁法に従来ならば触れる場合でも触れないように立案をいたしたわけでございます。また卸売人は単一制でもいいか、複数制の方がいいかということも考えられるという
意見については、対策協議会の御論議を通じまして結論が出ませんでしたけれ
ども、少数適当な数という中には、
事情によりまして御売人が単一になることも差しつかえないという趣旨をも含める
措置をとってみたらどうだ、しかし反対という
意見もございましたけれ
ども、従いまして、このニュアンスの状況に応じまして、私
どもは
農林大臣がよくよく実情と行政的な性格の判断をして認可をいたしました場合は、公正
取引委員会は農林省の
意見を尊重して、その趣旨に沿うて私的独占及び公正
取引に関する
法律の運用をいたしますという約束を明確な文章にいたしておるわけであります。それが答申の取扱いの趣旨に沿うゆえんであると、この段階においては考えておるのでございます。
仲買人につきまして御答申がございましたが、中央卸売市場といたしましても、現在ありまする中央卸売市場の仲買人がどこでも明確な地位をもって存在活動をしておるとは限っておりませんけれ
ども、冒頭に答申についても申し上げ、私
どももこれに付帯して御
意見を申し上げましたように、集散市場ともなるほどの実体を備えておるほどの大中央卸売市場には、厳として仲買人がりっぱな活動をされておりますので、りっぱな活動をされ、その任務の重要に応じましては、また公益的な性質を持っておりますので、
法律に直接その存在を認め得ることにいたしまして、認めた場合には明確に市場開設者は市場の業務規程におきまして、その資格や数、その他の要件を定めねばならんことを法文をもって書きました。従来の
現行法と申しますか、旧法においては、すべてこれに関する
規定は業務規程に譲られておりまして、本法には
規定がなかったのでありますが、御答申は「その地位の確立につき必要な法的
措置を講ずること」、そういう御答申でありましたことに応じまして、立案を申し上げたのでございます。
売買参加者につきましては、これまた同様のことが御答申になっておりますが、これは当然卸売人が
生産者、出荷者の委託を受けて売手に回われば、買手の立場として重要な
取引の一方の当事者でありまして、従来も旧法において相当の法的な地位ずけ及びその規制、監督ないしは保証の
規定がございますので、これは従来のように譲ったわけでございます。「小売商についてもその市場
取引における重要性にかんがみ、実情に応じ必要な法的
措置を講ずること」、という御答申を付記していただきましたけれ
ども、市場内におきまする小売商は売買参加人として入る場合において市場における機能を果すのでありますが、その他の一般小売商といたしましては、およそ日本の国内におきまする生鮮食品の小売商、あるいは小売業務というものについては種々の御
意見もありましょうが、なお今後の問題でありましょうが、何しろ自由販売体制を、自由経済の体制を
基礎としてとっている現在、生鮮食品の実情にもかんがみまして、
中央卸売市場法に関しまする
規定において、特に一般の生鮮食品の卸売商ないしは卸売業者一般について法的
措置を講ずることはいかがかと思いましたので、今回はこれを売買参加人の中に入っている意味以外においては手を触れなかったのでございます。仲買人の名称変更について答申の註の参考
意見としまして、協議会の中において「仲買人の名称変更について強い要望があった」、旨が付記されて答申をいただきましたが、現在の通常の呼び名がかなり普遍的になっておりますることと、中央卸売市場の仕組みを考えない場合には、卸売人と仲買人はある場合には元卸と小卸という立場にありましたり、あるいは仲買人が問屋業務を行なっているという立場におきまして、まさに単に仲買人でない場合がございましょうが、中央卸売市場におきましては大口大量の荷が来ましたときに、資金上あるいは物量的な荷分け、
取引上の重要な地位において認められている沿革もございまして、仲買人の機能、戦後の機能、言いかえますと、卸売人または他の売買参加人ないしは小売人との間にやはり一つの機能を分つと申しますか、区分もございますので、世上一般の状況を見ますると、中には卸売会社と卸会社というような個々の法人ないしは個人の名称を使っておられる場合がありますが、本法の
改正に当りましては、仲買人という名称でいいんじゃないだろうかということで立案を申し上げました。
さらに卸売人の営業譲渡または合併について独禁法の適用除外の
規定は、先ほど申し上げましたように終戦後いろいろ
関係業界の方、開設者の方等の御苦労と幾多の波乱のある中に御苦心を重ねまして、また物資
統制が緩和されて自由になりまする過程におきまして、最近においては一般的に申しますと、市場の卸売人は乱立ぎみでありまして、代金の支払い等におきまして、委託販売者である
生産者または出荷者に代金支払いが十分でなかったり、おそ過ぎて荷引競争を不当にして自分の経営を危なくいたしましたり、それ自身が場内
取引の明朗化、公正化を阻害する等のこともございまするので、ぼちぼちと出て参りまする大阪とか兵庫とかというようなところの卸売人の営業譲渡または合併について、何らかの
措置を講ぜよという要望もございます。また一方ある市場におきましては、自然発生的に一個の卸売人しかない市場もございますが、答申の御趣旨によりまして、実質上先ほど申しました公取
委員会等の
法律と
農林大臣との認定、中央卸売市場の整備、
取引の方法、卸売人の主務
大臣の許可
制度、開設市場の
意見を尊重して初めて許可
制度を行うこと等を彼此勘案いたしまして、私的独占禁止法の除外を実質的に必要な場合には、可能ならしめるような運用
措置に譲ることにいたしておるわけでございます。
なお答申のこの次の、具体的
事項につきましての輸送荷扱い、通信、あるいはそれに関しまする鉄道車両の問題とか、冷蔵車両の使用料の問題でありますとか、急送料金の問題でありますとか、通信連絡業務に関しまする料金逓減の方策等は、
改正法案が御可決願えますれば、またそれと別個に随時行政上の
措置としまして、よくまた業界のお方々とお打ち合せをしながら、十分に趣旨が
通りますように、できる限りの努力をすることにいたしております。
法律問題とは目下のところは考えておらずに立案をいたしました。
答申第五項の中央卸売市場におきまする
取引の適正化につきまして、改善
事項といたしまして幾多あるけれ
ども、さしあたっては市場使用料、保証金、手数料、奨励金、歩戻金、前渡金、荷卸賃、消費宣伝等のあり方について、
関係方面の
意見を聞いて、その適正化をはかるために必要な
措置を講ぜよという御答申をいただきましたけれ
ども、市場使用料は今後適正に市場の開設者等をよく監督することとし、また使用設備の修理とか、必要に応じました設備拡充等に開設者も意を用いていくことにつきましてよく懇談を申し上げ、業界の実情としても、この間に使用料が多くはないか、少くはないか、開設者は使用料が高過ぎはしないだろうか、こういうような点については行政運用でやることといたしまして、今後努力をしたいと思っておりまして、その根拠が
法律にあればいいと思っておるわけでございます。使用料額につきましては、法定する要はないと思っておるわけであります。保証金、手数料、奨励金、歩戻金、前渡金等はただいままで申し上げましたことに重複をいたしますので、省略をいたしまして、法令では独禁法の排除でありますとか、卸売人、仲買人の資格——資格と申しますのは、信用度とか員数とか、信用度の中には、信用度の一部の具体的なるものとしましての保証金でありますとか、公正
取引の励行をするための意味での保証金であります等を含めますので、それらをもって対処いたしたい。しかし行政
措置でするようなことが時々刻々に生じますので、それに応じて行政的にやっていく意図を持っておるわけであります。
答申の第六点の、類似市場の規制、コントロールにつきましては、中央卸売市場等との
関係の調整のために何らかの
措置が必要と思われる。これらの問題については、中央卸売市場の施設及び運営の充実に待つべき点が多いが、当面必要な
措置を講ずるという御答申をいただきましたので、私が遅刻して参りました間に、参事官がよく御
説明を申し上げましたこと、また先に
提案理由書において御
説明を申し上げましたような
関係規定を旧法の第六条等ともあわせ考えまして、総体的にこれをもって答申にこたえる
法律案の
改正、あるいはこれにのっとりまする運用をもちまして、
政府の態度として御
審議を受けようと思って立案して、御
審議を受けるようにいたした次第でございます。