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1956-03-13 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員秋山俊一郎君及び長谷山行毅 君辞任につき、その補欠として井上清 一君及び一松政二君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君            三浦 辰雄君    委員            井上 清一君           池田宇右衞門君            小西 英雄君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            一松 政二君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            河合 義一君            溝口 三郎君            森 八三一君            千田  正君   政府委員    農林省農林経済    局長      安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君   参考人    農林漁業金融公    庫総裁     山添 利作君    農林中央金庫理    事長      湯河 元威君    全国組合金融協    会副会長    鈴木 勇造君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林漁業金融に関する件)  (農地問題に関する件) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出参議院送付) ○家畜取引法案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 戸叶武

    理事戸叶武君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず委員の変更について御報告いたします。秋山俊一郎君及び長谷山行毅君が辞任され、井上清一君及び一松政二君が選任されました。   —————————————
  3. 戸叶武

    理事戸叶武君) 最初に参考人各位に対して一言おわびを申し上げます。実は本日の議題であります農林漁業金融に関して各位の御意見を伺うことにつきましては、去る三月二日の午後ということに計画して、せっかくお差し繰り願っておったのでありますが、国会の都合によって当日は急に取りやめ、本日あらためて御出席を願うことになったことは、大へん御迷惑をおかけいたしましたこと申しわけなく、おわびを申し上げます。  農林漁業金融に関する件を議題にいたします。  今国会において、ただいままでに農林水産委員会に付託せられました法律案は、前国会から継続審査のもの二件を加えて十六件ありまして、その中には開拓融資保証法の一部を改正する法律案開拓者資金融通法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業改良資金助成法案等農林漁業金融に直接関係がある法律案が四件に達しております。また最近金融が緩和し、金利が下向きになりましたので、金融事情がだいぶ変ってきておりますので、この際農林漁業金融業務に携わっておられます各位参考人として御出席をわずらわし、農林漁業金融の現況及び今後の見通し、並びにそのあり方等について御意見を伺うことにいたしましたところ、各位におかれましては、きわめて御多忙中特にお差し繰り御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  ただいまから御意見を伺うことにいたします。第一に山添総裁、第二に湯河理事長、第三に鈴木会長の順に御意見をお述べいただき、三人の御陳述が終ったのち委員各位の御質疑をいただき、続いて懇談ということにいたしたいと存じますから、御了承願います。まず山添総裁にお願いいたします。
  4. 山添利作

    参考人山添利作君) 私は農林漁業金融公庫山添であります。私どものあずかっております農林漁業に対する公庫長期融資のことにつきまして、ごく概略をお話いたしたいと思います。  第一に、公庫の概況でございますが、御承知のように昭和三十年度におきまする公庫融資予定は二百六十億でございましたところ、回収金予定よりもたくさんございました関係上、実際におきましては、さらに二十五億を加えて融資をいたすことに相なりました。従って本年の融資額は二百八十五億ということになっております。これは昭和三十一年度は二百九十億円の融資計画でございますから、大体三十年度、三十一年度同じような状況でございます。この三十年度の年度末におきます貸出の残高は約一千億になることになっております。この農林漁業資金が使われております方面の割合を見ますると、土地改良、これが一番重点でございまして、約半ばでございます。それから林業関係が一割二分見当水産関係が同じく一割二分見当、それから農業関係共同施設、これは電気導入等を含みますが、これが一割三分程度、そのほか塩業でありますとか、あるいは自作農資金でありますとかという割合であります。  この二百八十億とか二百九十億を融資しますについて、大体この需要とそれから供給と申しますか、どういう関係になっておるか、この長期資金に対する農林漁業長期資金需要ということは、これははっきりつかめません。つかめませんが、かりに公庫の方に、公庫というと語弊がございますが、私ども仕事農林中央金庫信用組合連合会、また地方銀行委託をいたしておりまするが、それぞれの委託金融機関融通をしてくれという申し出のありました額と、それからこちらから実際に供給いたしまする資金量の比較をみますると、土地改良におきましては、おおむね八五%程度供給をいたしております。それから林業につきましては七五%の供給であります。もっとも林業の中にはいわゆる伐調資金伐採調整に伴うところの資金というものが相当多く、十八億以上含まれておりまして、これは府県に割当をいたしておりますから、これは割当以上に出てこない、ですから林道とかあるいは造林という資金だけをとってみますると、もとより七割五分の供給はいたしておらぬということになりまするが、全体をくるめまするとそういうことであります。それから水産業関係におきましては、大体申し込みの半分に対して融資に応じておる、こういうことでございます。もっとも漁船などとりましても、半分と申しますのは、件数についてはもう少し上回って供給できておるのでありますが、金額的に申しますと半分、こういう状況でございます。  それでは公庫融資対象になっておりますような農林漁業の非常に長期資金が、他の金融機関からも供給されておるかどうか、すなわちこういう資金に対する全体における公庫融資の占めておる地位と申しますか、比重といいますか、これはどういうことになっておるかと申しますと、これも正確なことはもとよりわかりませんのでありますが、ごく概略見当をつけてみますると、農業並びに林業におきましては、圧倒的に公庫資金が多いのでございまして、その他の金融機関ではほとんど少いのでございます。これは昨年の十一月末の推計でございまするが、たとえば農業に関する設備資金というものをとってみますると、全体で五百八十七億、そのうち公庫の占めます部分が四百九十七億ございますから、ほとんど公庫部分が多い。公庫以外のものといたしましては、農林中央金庫の五十三億円、あるいは相互銀行の二十二億円、こういう程度でございます。  それから林業につきましては、総額六十四億円のうち農林漁業金融公庫のものが五十九億円でございまして、これも農林中央金庫さんでありますとか、あるいは相互銀行等が他にございますが、その他はほとんどネグリジブルと申していいと思います。  漁業につきましては、総額三百億のうち公庫の占めますものは百九億であります。これは他の金融機関の方から出ておるのであります。農林中央金庫部分が四十二億、それから銀行部分が相当ございます。この銀行部分が相当ございますといいますのは、これは公庫資金は大洋とかあるいは日水とかいうような大きな会社には貸さないのでありまして、いわゆる中小漁業者に限られております。そういう大口のものは普通の金融機関から出ております。そういう関係もございまして、公庫融資は全体の三分の一ばかりでございまするが、これが中小企業に属する漁業だけをとってみますと、公庫比重はもっと上る、こういうわけでございます。こういう点から見ましても、非常に長期資金ということになりますると、ほとんど公庫が圧倒的な資金供給源であるということがわかるわけでございます。  さて最近の金融事情がいろいろ変りましたので、その事柄公庫の申し込みなり、資金需要というようなものに現われておるかどうかという点につきましては、これはほとんど今のところ関係はございません。関係がございません理由一つは、まだこの長期資金すなわち一種の投資に属する資金でございます。こういうふうなものが反映する時間的なまだ経過をとっていないこと、それからこういう土地改良その他の事業というものは、必ずしもそういう金融事情等が反映するということとは直接関係がないといいますか一あるには違いないけれども、そう大きな変化を来たすものではない。あるいはまた公庫の金というものは長期でありかつ低利でありまして、ほかの金融機関の金ほどあっちへ行ったりこっちへ行ったりというような彼此融通的な性格を持っていない。そういう理由から一般金融事情変化ということと公庫金融ということはあまり関係がないのでございます。公庫融資いたします中身と申しますか、融資対象事業の中は、しかしながら時に応じてそれぞれ変化といいますか、時の情勢に応ずるように資金計画が立てられるのでありまして、三十一年度の予算をとってみますると、この関係におきましては、重点を置いて増加いたしましたものは土地改良、それから漁船自作農資金また塩業というようなものでございます。三十一年度の予算を見ますると、土地改良につきましては、見かけ上は減っておるのでありますが、見かけ上、減りましたのは、それは災害に対する融資という部分が、これは災害が昨年は少かった関係で、一昨年も少かったのでございますが、減っておるのでありまして、実質的には非補助の土地改良に対する融資等を十二億円ばかり増加されております。漁船につきましては、昨年二十億ありましたものが、三十一年度においては二十八億、それから自作農資金におきましては、昨年二〇億のが二十五億、こういうふうに重点配分をされておるのであります。一方若干減りましたものにつきましては、たとえば農業倉庫でありますとか、水産冷蔵施設というようなものが一わたり行き渡ったように考えられるというようなこと、あるいは電気導入におきましては、小水力の開発、これも今後は従来ほどではない、むしろ目下は電気導入すなわち電線をつけて引っぱってくる、こういう点に重点を置いて施行しておりますので、金額は従来ほどは要らない、そういうこと。それから農機具等のいわゆる個人施設につきまして、改良基金保証制度等ができまする関係上、そちらでふえるがゆえにこちらの方が軽くなった、こういうようなことがございます。そういうふうに中におきましては、それぞれの事情において重点的な推移というものがあるわけでございます。  ところで、この公庫融資あり方といたしましては、何と申しましても基本的な土地改良でありまするとか、あるいは造林林道、漁港というような基礎的なものに重点を置くことはこれは当然のことであろうと思います。従ってなるべく中期のものであって、比較的経営に密着したような資金、すなわち農機具でございまするとか、あるいは堆肥舎でありまするとか、あるいは畜舎サイロ、私の方では主務大臣指定施設ということになっておりますが、そういう個人的な施設のもので、これはある程度五年以内くらいで返せる、金額も必ずしもそれほど多額でないというようなものにつきましては、これはなるべくならば、事情の許す限り組合系統金融でまかなってもらう、これが今後の方向であろうと思うし、元来そうあるべきものと考えております。この点につきましては、昨年個人に対する貸付を公けに認めまするにつきましても、農業協同組合等が二割以上協調融資をする、すなわち公庫の金と組合系統の金とをまぜて使ってもらう、こういう制度に相なっておるのでありまして、これが進めば——進めばといいますか、これもそういう思想の現われでございまするが、できるならそういうようなものは組合系統融資でまかなってもらいたい、幸いと申しまするか、改良基金制度ができますると、これが融資保証をし、また実質上利子補給もいたすことに相なっておりますので、系統資金がその制度に乗りまして、使われる公庫の方といたしましては、個人施設に対しましては、開拓地でありますとか、あるいは畜舎サイロ等でありますれば、これを集約酪農地区、こういう特殊なものに振り向けてゆく、そして全体的な効果を上げていきたい、こういう考え方でございます。  なお自作農資金は、これは御承知のように土地取得資金、それから従来たまりました借金を整理する、負債整理のような維持資金と二つに分かれておりますが、統計を見ますと、この実績におきまして、維持資金が大体六割五分、残り取得資金相続資金というのはネグリジブルでございます。そういう関係になっております。この自作農維持創設資金は、元来それ自体として農地政策自作農維持育成、あるいは自作地の増加ということが本来の任務でございまするが、これも将来だんだん発達してこの制度が広く行き渡るという認識が広まりますれば、これは組合系統におきましても、農業者に対して中期のある程度まとまった金を貸すのには便利になるわけでございます。すなわち直接ではございませんけれども自作農維持資金は、本来の目的のほかに、農業者信用を間接的に増大する効果というものがおそらく将来出てくるだろうと思います。従ってそういうことになりますれば、一つ組合系統資金をある程度長い期間のものに対してでも出し得る一つの間接的な援護になるのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。  このように、個人に対しまするものは大体組合系統でまかなうといいと申しましたけれども、しかしこれは農業関係のことについてでございます。漁業でありますとかあるいは林業に関しましては、様子がそこのところは今のところ違っております。これは金の額にいたしましても、事業の種類にいたしましても違っておりまするし、先ほど申しましたような、一般金融の中における農林漁業公庫資金地位から見ましても、これは当分従来通りと、かように考えておる次第であります。  なお、最後に申し上げておきたいことは、この公庫資金は御承知のように政府からの出資と、それから預金部等からの借り入れでございますが、出資比率が非常に三十年度並びに三十一年度において低下をいたしたという事柄でございます。このことはもとよりそれによりまして公庫貸付金利を上げるということはございません。しかし実際上におきまして、公庫が必要としますところの滞り貸しに対する準備金の率というものが低下をするわけでありまして、従来でありますると、予算上におきまして、滞り貸し準備金に引き当てるべきものが年貸付残高の〇・七%くらい予算上見られておったのでありますが、三十一年度になりますると〇・一、二%という——金頭で申しますと一億二千万円、こういうふうに低くなっております。これは一年という限りをとってみますれば別に大したことはございませんけれども、やはり相当程度貸し倒れ準備金は従来のごとく〇・七ございませんでも、〇・五程度は積み立てるべきであると思うのでありまして、すなわち健全経営という見地からいたしまして、従って従来におきまして、できるだけこの出資の額の比率を高めていただく、こういうことはどうしても必要であると考えております。そういうところに問題があるということだけを申し上げます。
  5. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、湯河理事長にお願いいたします。
  6. 湯河元威

    参考人湯河元威君) ただいま御紹介いただきました農林中央金庫湯河でございます。  農林金融の中におきまして、私ども関係いたしておりますのは主として組合金融系統でございまして、協同組合の仕組みを土台にいたしました金融面でございます。後ほどお話しのございまする鈴木会長の御関係は、そのうちの特に農業協同組合信用事業の問題でありまして、私のところはその以外に水産業信用事業、それから森林業金融事業、その他ございますわけでございます。で最近の情勢、従来から引き続きました情勢は御承知もいただいているかと存じまするが、組合金融といたしましては、主たる業務預金を集めまして、そうしてそれを組合に貸す仕事をしておるのでございますが、この預金が村の単協で集められます。これは農業漁業ともにさようでございます。そうしてそれが県の段階信用連合会に集まりまして、そうしてそれが農林中金に集まるのでございますが、もとよりその各段階におきまして、単協も、それから信用連合会も、それぞれ組合金融機構としてできておりますので、その集まりました預金は、所属組合から集めました預金は、それぞれまた所属組合貸し出しが行われるのでございます。そうしてその貸し出しを行いました残りがございますると、それが上級機関に預けられる形で集まりまして、そうしてそれが農林中央金庫最後に集まります。農林中央金庫はそれを所属信用連合会なり、または場合によりましては単協貸し付ける。あるいは森林水産組合または連合会等に貸すという仕事をしておるのでございます。  ところで、この組合金融資金量は、中金段階において特に顕著に現われて参りますものは、何と申しましても農林水産業季節的性格からいたしまして、非常に金の余るときと金の足らないときと出てくるのであります。ちょうど今日以降春先にかけましては、資金需要が非常に多くなりまして金が不足して参ります。そういうときには貸す金もふえるのでございますが、預金はふえない、非常に資金が足りなくなります。これが秋口になりますると、貸した金は返って参ります。しこうして預金がふえて参りまして非常に金が多くなります。この春から秋にかけての、また秋から春にかけての大きな波を打つのがこの農林金融特色でございまして、それが先ほどのお話しのございました山添総裁公庫におきましては、政府出資または資金運用部資金等が運用されておるのでございますから、そういう点は全然問題が特別ございませんが、組合金融系統におきましては、預金貸付とを扱っておりますので、その季節的な変動が非常に大きいのでございます。そこでその春先の資金が不足するときにおきましては、日本銀行から金を借りてきて、そして資金の不足を補う、秋口になりまして金が集まりますと、これを市中に運用して、そしてその金を消化するということを扱っておるのであります。なお御承知いただいておることと存じまするが、そのほかに農林中央金庫といたしましては、農林債券市中に売り出しまして、それで資金を集めております。これは今申しましたような資金の返還がございますときの、資金が足りないときにこれが埋め合せになることも一部ございますが、その以外におきまして、やはり農林水産業のために中長期資金貸し出す財源として市中から資金を集める方法でございます。なお私ども農林中央金庫におきましては、政府の米の買い入れ代金支払義務を扱っておりますので、金が中金を通って流れて参ります。また公庫のお仕事を下請けをいたしまして、委託金融機関として活用しておりますので、若干の金はそこを通って参ります。これらの部分農林中央金庫の窓口を通りまして、出たり入ったりしておりますのでございます。  ところで、ただいままで、ごく最近までの姿は、終戦後のことでございまするが、国の経済が非常にインフレ的でございましたために、運営の面におきましては幾多の困難がございます。そうして預金がなかなか集まらないのでございます。と申しますのは、金融市場全体の姿からいたしまして資金が足りない。そこで各金融機関預金争奪に狂奔いたしまして、そのために金利調整法等の制限がございましても、なかなかその裏をいろいろうまい方法をもちまして農村の資金を他の金融機関がさらっていくのでございます。そうされては組合金融としての機能が十分果せませんものでございますから、われわれ組合金融の各段階の当局といたしましては、非常にそこに苦慮いたしまして、その防戦にこれ努めて参ったのでございます。しかしそれとともに、預貯金と申しますものは、何と申しましてもインフレを克服するために資本蓄積をはからなければならない、また国の経済再建をはかるためにも預金を増大して資本蓄積をはからなければならないということが申されておりますので、われわれは組合金融本来の機能において預金の必要がございまするが、しかしその国家的要請にも応じまして、預金の吸収に非常の努力をしたわけであります。しかし考えてみますると、とにかく他の金融機関からしきりに預金争奪の攻勢を受けまして、しかもそれが裏をかくようなやみ金利と申しますか、いろいろうまい方法でもってやって参りますからやりきれませんので、組合金融系統におきましては、それぞれ公正なる手段、あるいは奨励金を出すとか、あるいは貯蓄の奨励をするとか、あるいはこれこそ組合特色でございまするが、特別配当事業分類に応じて特別配当というものを多くし、しかもそれを配当でございまするにもかかわりませず、事前に約束をしていくというふうな措置をもちまして、やみに対抗して預金を集めるという努力を重ねたのでございます。そういたしますると、そういうことで非常に資金コストが高くなる、資金原価が高くなるということもやむを得ませんことでございます。ところで資金原価が高くなりますると、それを本来の組合金融仕事でありまする農林漁業の面にそれを貸し付けるということについては、非常にそこがやりにくくなります。何分にも農林漁業として低位産業でありまするものに対しましては、なるべくならば資金貸付金利が安くなければならぬということはよくわかっております。にもかかわりませず、その貸付を安くすることができないということでございます。この点が非常に終戦後の悩みでございます。金を集めてもそれが農山漁村の方になかなか運用できないという悩みがあったのでございます。その結果といたしまして、心ならずもそれが余裕金になる。余裕金となって上級機関に行って預けられるという形が出て参ります。なお許された最小限度の道をもちまして、系統外にそれが運用されるということにもなってきたのであります。これが農林中央金庫の場合でございますると、先ほど申し上げましたように、足りないときは日本銀行その他から金を借りることもできるし、また余っているときにはそれを金融市場に十分に運用することができる役割を持っておるのでございまするが、しかしそれをやることは、われわれといたしまして考えましても、本来預金を集めておきながら、それら系統預金はこれは農山漁村に当然還元すべきものであると考えながらも、その資金コストが高くならざるを得なかったためにその機能が十分できませんで、お金を余裕金として運用しておるということは非常に心苦しく思って参りました。なんで貯金を集めているのか、貯金を集めてもそれが余裕金になるのならばしようがないじゃないかという感じをしょっちゅう持っております。しかし預貯金というものを集めるということは、当時はインフレを克服するために、あるいは経済を再建するために必要であるということも他の一面にございましたのでやって参ったのでございますが、このインフレ段階におきましては、何と申しましても組合金融の本然の姿が現われて参りません。ところが一昨年来デフレ政策がとられまして、その効果が漸次現われてきまして、特に昨年の半ばごろ以降輸出が非常に伸長いたしましたし、そうして経済がだんだんと正常化して参りました。各金融機関ともいわゆるオーバー・ローンの形が変って参りました。金融が非常に緩慢になって参りました。かてて加えて昨年の秋には記録的な大豊作がございまして、これで国民所得もだいぶふえました。そうして系統預金も非常にふえて参りました。こういうふうに資金が不足していた状態から金融が緩慢な状態に移って参りますると、今まで金利がとかく上昇傾向をたどっておりましたものが顕著に低下して参ったのでございます。昨年の秋にはこのことが特に顕著になり、農林中央金庫におきましては、預金はあの豊作のあとを受けまして非常にふえましたが、さて例年のごとくそれを一般の金融市場に放出をして適切な運用をはかるということはできにくくなって参りました。このことは運用上非常に困難にはなりましたけれども、このことはわれわれがインフレ下におきまして、また金利上昇下において悩んでおりました悩みをここでなくしていく姿になってきたことでございます。  そこでこの情勢を見まして、われわれといたしましては、自分の苦しみをどうするということではございません。もはや金利を高くつり上げても預金争奪するような他の金融機関の活動はなくなってきておる、金利は一般に下ってきておるときでございまするから、従来防戦的措置としてとって参りましたこちらの貯蓄奨励施策であるとか、あるいは特配を予定する等の措置、こういうものは将来はやめるべきだ、これをやめれば組合金融資金コストが下る、下ればこれをもって貸付を行うことができるようになる、資金蓄積コストが高いという弊害を免れることができるという段階になりました。もとより組合金融系統機関といたしましては、他の金融機関と同様でございまして、インフレ段階に起って参りましたいろいろの経費の不合理な支出等を詰めなければならぬことは、これは同様でございまするが、それとともに資金原価が安くなってくるということになりましたので、この安い原価をもってするならば、本然の組合金融の使命であるところの農林水産業に対する貸付を行うことができるであろうという気持になって参ったのでございます。  ところで、貸付の問題になりますると、戦時中以来、実は農林水産業に対する組合貸付というものは非常に停滞的でございました。ところで今すぐ資金が、しかもその金利が安くなったからといって、すぐ貸付が起るということはなかなかむずかしいのでございまするが、われわれといたしましては、今後の問題としてその点につきまして、適切なる農林水産業貸付組合金融が担当するという段階がきたということを切実に思うものでございます。今日までこれらの点につきまして、心ならずも貸付が伸びてないという点がございまして、そうしてその穴埋めをするために、組合金融が十分の機能を発揮していなかったために、あるいは農業手形制度であるとか、あるいは各種の制度金融というものを起し、あるいは農林漁業金融公庫の御活動をいただいていたのでございます。今後におきましても、それらの措置がそれぞれの役割をもって御活躍いただくことはわれわれ当然期待するものでございまするが、非常に今までの組合金融として農林水産業貸付が十分伸びておりませんために、無用の重荷をおかけしていたような点は、これから組合金融は心機一転、そのお役に立つようにして参りたいという心組みを持つ次第でございます。  これが今後のわれわれの向う方向といたしまして、農山漁村といたしましては、いろいろ生産性を伸ばしていったり、農民の生活を向上したりする必要のありますものを、過去長い間のように政府の補助金行政等によらずして、金融によってやっていくのだということが政府のお建前のようでもございます。その金融というのは主として貸付の問題だと思いますのでございますが、われわれ組合金融関係している者として、その点にお尽しすることが非常に少なかったということが常々遺憾に思っておりましたことでございますが、今後はその点において、われわれとしては十分に自分らの務めを果し得る段階が来たような気持を持っておりますので、いろいろの御施策をあわせて行なっていただきますならば、われわれとしてもこれから本気になって努力をして参りたいというような感じを持っております。  ごく概略でございまするが、一通り申し上げました。
  7. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、鈴木会長にお願いいたします。
  8. 鈴木勇造

    参考人鈴木勇造君) 私ただいま御紹介にあずかりました組合金融協会の鈴木でございます。  大へん諸先生方には、日ごろ農協の仕事につきまして非常な御支援、御指導をいただいておることにつきましてここに厚く御礼を申し上げます。ただいま農林中央金庫理事長さんのお話がありましたので、おそらく私が申し上げることも同じ系統でありますために重複をする面も多いかと存じます。従いましてこの点についてずいぶんお聞き苦しい点が多いのじゃないかと思いますが、しばらくどうぞ御静聴をお願い申し上げます。  われわれ農業協同組合として仕事をしております者は、組合金融ということは各町村にありまする単協と都道府県にありまする信用農業協同組合連合会、これは略して信連と申しておりまするが、それをただいま湯河さんのお話の農林中央金庫、この三段階を称してわれわれは組合金融系統と、こう申しておりまするが、まず第一にわれわれ単協仕事でありまするが、御承知通り単協は昨年末で三千八百五十億円からの貯金を持っております。これはまあ国全体の預貯金の五兆円と言われまするものから比較しますと、まことに八%弱というような微々たるものでありまするが、しかし御承知通りわれわれ農協というものは全国津々浦々どんな山間僻地、交通不便な所にも店舗を持ちまして、われわれの方では店舗とは言いませんが、事務所を持ちまして、そうして仕事をしておるのであります。しかもたとえば五百人の組合員でありますれば、この貯金がかりに六千万円としましても、大体におきましてこの組合員の五倍ないし六倍くらいの貯金の件数なのでありまして、一件につきましては二万円程度というのが今日の農協の貯金の一件当りの金額であります。従って平素の取扱いというものはまことに微々たる金額の取扱いをいたしまして、そうして今日国策に沿って貯蓄の増強というような仕事を進めておりまするのが今日の単協仕事でございます。同時に単協としましては、これは御承知通り信用以外の販売、購買事業というような仕事もやっておりまするが、今申し上げますることはこれは信用事業のことだけにとどめまするが、そのうちで貯金はそうした零細な貯金を取り扱うとともに、また貸付も、御承知通り日本の農村というものはきわめて零細でありまして、しかも農業という事業とまた農民の生活とはほとんど区別のできないような今日農民の経営体でありますので、これらのまた農民に対する貸付というものもまことに小さい金であります。おそらく今日一般金融界における金融ベースには乗らないような五千、一万というような、ごく微々たる貸付があるのでありまして、ただそこに農協の貸し出しが非常に金利が今高いというようなことを言われております。事実調べてみますと、単協におきましての貸し出しというものは日歩三銭ないし三銭五厘でございますが、しかしこれにはわれわれ農協におきましては、貯金をするものは全部組合員ないしは組合員の家族でございますが、同時に金を借りるというものについて、他の金融機関とは事変りまして、農協で金を貸すのは、たとえばよその金融機関で当座の取引がすでにあるとか、もしくは金を借りるための歩積みをするとかいうようなことは一切やっておりません。従ってこれはまあ私そういう例を申し上げてはなはだ失礼でありまするが、長らくわれわれ農協の仕事に携わっておりまして、今ある東京においての交通運輸事業に携わっておりまするわれわれの仲間の一人が先般私の所へ来まして、実は今までお前たちのことについてずいぶん高利貸だとか何とかいうことを悪口を言うたが、実際において他の事業に携わってみて、よその金融機関と接触してみると、なかなかどうして今まで農協あたりと金の借り入れをしたこととは事変って、なかなか事がめんどうだ、まず第一に調査費用をとられる、これも相当の額の調査費用をとられる、その上当座の金も三割やそこらのものは始終置かなければならない、毎月々々また手形の書きかえのつどには歩積みをさせられる、こういうふうなことを計算をして見ていくと、これはもう表面は二銭七厘くらいで金を借りられるようになっているのだが、実際計算して見るとまあ四銭にも五銭にも当るというようなことで、お前の方の方にずいぶん悪口を言うてきたが、ほかの金融機関と接してみるとそうでないのだ、というようなことの述懐がありましたが、私はその面につきまして今日の農協の仕事というのは、はなはだ零細な貯金を預かり、また零細な貸付をしておりますが、その間には世間の金融機関とは変ったと言いますか、世間の金融機関ではまねのできない、いわば正当な取引をしているのじゃないかというような感がいたしておるのであります。しかも今日農協の仕事というのは、できるだけわれわれは貯蓄をお勧めして参っておりますので、いわば農協としては農民のための資金貸付をするのも当然でありまするが、同時に農民にできるだけ貯蓄心の養成というもの、これは私はある程度まで農協としての使命を果すゆえんではないかというふうに考えておるような次第であります。  今日単協としては、ずいぶんいろいろなことを言われまするが、そうした事業に携わっておりまする中の役職員も、時間的にも農民というものはほかの金融機関と事変りまして、朝九時から午後四時まで、その間に昼休みをしてそうして仕事をするなどというのとは事変りまして、朝も早くから、しかも夜おそくなっても何かと農民のためにサービスするということが、これが農協の仕事だというふうにもまた教えられ、同時にそうした考え方をもって今日どうやら仕事を進めているような次第であります。と同時に、農協として、今これはまあ農協と信連、全体を通じてでありますが、いろいろ農協の仕事についてわれわれはずいぶん長らくその点についてはお願をして参ったのですが、単協における貸し出しあたりにつきまして、とかく単協仕事が農民にほんとうに要求をされる貸し出しができないというようなことを言われまするが、実際問題としましては、御承知通り農協、信連を通じて財務基準令というものがございます。この政令は今日農協において金を貸す場合におきまして、単協では自分の組合員に金を貸す貸付は、組合の出資金並びに出資予約貯金総額のうちの一割、これをこえてはならない。また同時に組合員から組合出資をしておりますもの、また出資予約貯金をしておりまするものの二十倍、いずれか低い方にということが規定をされております。従って今日単協が二百万円程度の出資金だとすると、その一割、どうあろうとも二十万円をこえるというような貸し出しはできないというような規定のもとにおいて仕事をしなければなりませんので、実際において思うような貸し出しができない。その上においてこの規定は都道府県の信連にも同じ規制がそのまま行われております。単協においての今の政令ではまあどうやらがまんができましょうが、信連の段階におきますると、この点についははなはだどうも今日困っておるような次第であります。それは御承知通り信連で今単協に金を貸す場合におきまして、これが信連の出資総額の一割程度といいますると、今全国の信連一億円をこえるという出資金は、数県きりしかないのでありまして、これはまあ信連といたしまして、少くとも出資を一億円をこえるくらいはこれは必要なことはわれわれ痛感をしておりまするが、しかし御承知通り、信連の今出資ははなはだできないような状態にあるのであります。それは御承知通り経済連の再建整備というようなことからしまして、経済連に対して単協は相当多額なそれぞれの都道府県におきまして出資をして、この経済連の整備促進ができるまでは単協経済連に出資をしましたものは、全部無利子で無配当で今日あるのであります。しかもこの金額というものは、なかなか各単協から見ますると大きなものでありまして、単協によりますると、大きいところでは三、四百万円というものが経済連の出資としてされて、しかもそれは無配当、無利息であるというような形で、しばらく七、八年はこういう形でなければ経済連の整備促進ができないというようなことにありますために、その上に持っていって信連に対する出資をここで増額をするということはできない。従ってわれわれ出資をふやさなければならないというような事情もよくわかっておりまするし、またそうすべきだとは思っておりまするが、何にしましても、今日では単協から信連の出資を増すというような状況にはできないのでありまして、自然そうなりますると、今日信連は全国まず四、五千万円の程度でありまして、従って一単協貸し付ける制限というものが四、五百万円で押えられる。これはまあ単協信用がないわけではなしに、そういう政令のためにやむなくその政令を守る以上は貸し出しができない。もしやろうとすれば政令を犯さなければならないというような形にあります。この点については、今までずいぶん信連側といたしましては、農林御当局にもそうした政令の改正をお願いし、いろいろ御研究も願ったのですが、いまだにこの政令が改正ができないということで、非常にわれわれ残念に思っているような次第であります。どうぞ一つ諸先生方のお力添えによりまして、ぜひそうした政令が私は一日も早く御改正を願いまして、各都道府県の信連がほんとうに活発に農協のために仕事ができまして、信連本来の使命が果し得るようにぜひお願いを申し上げたいと存じておるような次第であります。  なおわれわれ信連側としまして、今日仕事ができるだけしたいというようなことからしまして、先ほども湯河理事長さんのお話のように、今日の金融緩慢な情勢から金利低下の趨勢に従って、先般も農林中央金庫では予定特配の廃止を二月十日からなされましたが、これについては、全国の信連としては非常に痛手なのであります。これはしかしこの痛手はお互い御承知通り、今日の予定特配を廃止されるということは、金利に換算しまして年一分の金利の引き下げになりますので、これが単協の窓口金利の引き下げということになれば、これはそれでよろしいのですが、御承知通り今日一般の金融界の窓口は引き下らないのでございますから、もちろん単協においても窓口を引き下げるわけにはいかない。従ってこの予定特配の廃止というものは信連と単協の間にそのしわ寄せをいたしまして、そうしてこの際をがまんしていくという以外にない。今非常に単協経営、また信連が経済連の整備促進のために非常な悩みをしております際に、さらに一般金融界の情勢からして中金予定特配が引き下るということは非常に苦しいことではありますが、しかしこれは先般もわれわれ全国の信連が集まりまして、そうして今日の金利低下情勢からいって、当然われわれはこれに順応した処置をとらなければならないのではないかというふうな決定をしまして、それぞれ今日金利の引き下げの方向をたどって仕事は進めておりますが、ただわれわれ信連側としますと、今日非常に農林中央金庫の構成につきまして今悩みを持っておるのであります。それはここに湯河理事長さんがいらっしゃるので、その側でそんなことを申し上げると失礼に存じますが、しかしわれわれは湯河理事長に対する個人的な問題でなしに、農林中央金庫の構成としまして、今日非常に皆さん方がすでに御承知のことだと存じますが、農林中央金庫の今日の出資は全国の農協並びに信連を主軸としまして、さらに漁業森林方面の各それぞれの組合出資をしまして、農林中央金庫が構成されておりますにもかかわらず、この農林中央金庫の今日の役員の構成は全部御承知通り大蔵、農林両大臣の任命でありまして、従って理事長さんは今日この構成団体総代会に対して何ら拘束をされない。総代会というものは農林中央金庫事業報告を承認する程度が今日の総代会だというような形でありまして、総代会がありましても、総代というものが金庫のいろいろな事業について何らの権限がないのだというような形であるということは、自然これは全国のわれわれの都道府県の信連から考えてみますると、はなはだお互い民主的な世の中において、今日自分たちで出資はしておりながら、それが自分たちの思うようにならない。もちろんこの農林中央金庫をわれわれ自分たちの勝手気ままなものにしようとは考えておりません。各都道府県の信連においても、今日各都道府県の信連というものは少くとも都道府県庁の農業行政と非常な緊密な連絡の下に、資金貸付なり仕事をしておる今日でありまして、今後といえども農林中央金庫を民主化していただいても、われわれ決して農林当局と相反するような仕事をもくろんでいるわけではございませんが、しかしここには信連側からいいますれば、自分たちで出資しておりまするその農林中央金庫が、少くとも理事長さんが総代会の意思を無視はなすっておりませんが、無視してでもできるような構成にあるということは不合理を感ずるような次第でございます。従って、今特に信連側としまして要望しておりますることは、全体の農林中央金庫、信連、単協、この金融系統を一本化して仕事をして参りたいというその念願が届かない形であります。たとえば、農林中央金庫の今日の支所等の配置問題あたりにつきましても、われわれ支所の必要な場所に農林中央金庫の支所の設置をされているということは、これは必要でありまするから当然でありまするが、御承知通り、今日では農林中央金庫の支所というものはほとんど全国の都道府県にありまして、そうしてその支所は、各都道府県の信連の職員とほとんど同じくらいな職員を擁して仕事をされておりまするが、この中央金庫の支所のお仕事というものは、これは御承知通り預金というものは各都道府県の信連、農業方面の信連で大部分預金はあるのでありまして、そのほかから預金されておるものはほとんど微々たるものであります。ただ農林中央金庫の支所というものが今かりに必要だということになりますれば、これは水産漁業方面貸出しのためにサービスをされているというようなこと、自然われわれからいいますれば、そうした多額の費用を使っての今日の農林中央金庫の支所というものは、もう少し合理化されまして、そうしてそこには資金コストの引き下げというような面にも現われるのじゃないかということを考えますと、ぜひ一日も早く農林中央金庫の構成を民主化していただきまして、そうしてそこには系統全体が一本化して仕事ができますようにということで、先年来この点については特にやかましく論議しましたが、ことに昨年来そうした面につきましてもいろいろ研究しておりますが、なかなか今日の情勢からいいますと、信連側からそういうことを申し上げると、はなはだなまいきだというようなおしかりなどこうむって、今日われわれの希望がかなうかどうかということについても、ずいぶん苦慮しておるような次第でございますが、しかしこれはまあ系統をできるだけ早く一本化するために、そうした措置を一日も早く御研究を願い、そうして措置を講じていただくことが最も今日組合金融をして完全なものにしていただけることではないかと思うような次第であります。  いろいろ平素われわれ特に農手であるとか、災害融資であるとか、いろいろ政府の御厄介にはなりまするが、しかしこうした制度金融については、われわれどももこれを常に農協というものは制度金融によるばかりが農協本来の使命じゃないのだ、先ほども湯河理事長さんのお話しのように、できるだけお互いの間に資金を集めまして、そうしてその資金をぜひコストを引き下げて、そうして農協として農民のためにできるだけの資金需要を満たすという方向に向っては、われわれ日夜苦慮しておりまするが、そのことは今後ともぜひ資金蓄積、特に貯金の増強という面については、これは全国一丸となって仕事を進め、また今後ともその面については努力をして参りたいと存じますので、ただ今申し上げましたような、われわれやりたくもできない、いわば政令について押えられておる面だとか、また系統一体化をするための金庫の構成を民主化していただくというようなことは、ぜひこれは諸先生方のお力を借りなければならない面でありまして、いろいろ今までも皆さん方に御指導、御援助をいただいておりまするが、この上とも一つ皆さん方の絶えざる御支援のほどをお願い申し上げまして、はなはだ簡単でありまするが、私の話を終らせていただきます。
  9. 戸叶武

    理事戸叶武君) 以上御意見を伺ったのでありますが、右の御意見に対して御質疑の向きは、御質疑を願います。
  10. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 貴重な時間をおいで願って、非常な有益な御意見を承わりまして、ありがたく思っております。  私は常々この農林中央金庫資金が非常にコスト高である。ことに農林中央金庫を通じて、農業団体あるいは農村における金融の中心であるにもかかわらず、ことに非常に農村としては期待をかけておるにもかかわらず、コスト高であって、しかも農手のようなものもせっかくあるにもかかわらず、場合によればその農手そのものがいわゆる肥料屋の便宜のために利用される。農村にはもちろん若干の利用の点はありますけれども、事実金を借りて、そうしてこれを利用するものは、いわゆる肥料商であるというようなふうにも感じられる向きもあるわけです。そこで全国の農業協同組合連合会の総会等におきまして、これらの空気から見ても、ただいま鈴木さんから非常に勇敢に、農林中央金庫コストを下げるための一つ改組案というものを心配してもらいたいという御意見が出たわけですが、全国の大会においても、とにかく農林中央金庫に世話になっておりまするから、せっかくみんな内蔵しておるにもかかわらず、こういったような意見が開陳されないでおるわけであります。たまたま開陳すると、ただいま鈴木さんから言われたように、ある程度のいわゆる圧迫を加えられるというような話までわれわれ聞いておるわけでありますが、ただいま農林中央金庫湯河さんから話を聞くと、特殊性があって、コストが高いというのは、季節的にその資金が動いているがためである、こういうような話でありますが、どういう内容で動いておるのか、私はこの詳細な月別の資金の動き方等も参考に一つちょうだいしたいと思うのでありますが、この点いかがですか。
  11. 湯河元威

    参考人湯河元威君) ただいまのお話でございますが、農林中央金庫、あるいは組合金融全体でございますが、資金コストの高いのは季節的な変動からではございませんので、先ほど申し上げましたように、一般の金利の上昇傾向からやむを得ず高くなっている。それが、最近金融が緩慢になり、金利低下の傾向をたどっておりますので、今後金利低下する。もうすでにそういうことがきざしてきておりまするので、具体的に申し上げまするならば、貸付金利で、信連に対して中金の取引が一番多いのでありますが、この信連に対する取引、手形の貸付ないし割引は、今まで二銭四厘でございましたが、それを二銭二厘を目安として、そこにはいろいろあやがございまするが、下ってくる。こういう段階になりましたのでございます。それでこの傾向が出ましたのは、資金原価を下げ得るような情勢になりましたので、かように出て参りましたのでございます。季節的な変動と申しますことは、これは組合金融あるいは農林金融に免れませんものではございまするが、それがコストを動かしているのではございません。
  12. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 季節的でないとするならば、ただいま理事湯河さんのお話では信連に貸付が一番多いというようなわけでございますが、昨年十月の農林中央金庫貸し出し歩合が新聞にこの間出ておりました。きょうはその新聞を持って参りませんでしたが、全国の信連に対する貸付状況はいわゆる系統貸付というものは四〇%である、それから他の金融系統貸しつけているのが六〇%であるというようなことが新聞に出ておりました。これはパーセントは若干違ったかも知れませぬが、私は概念的にそう覚えておりますが、こういうふうな貸付内容。そうすると私の考えでは、一番農村の資金の端境期である十月あたりにおいてさえも、信連等の系統機関に貸し付ける金は少くて、そうして他のわずかに出資が二十億程度の外部団体に対する貸付の方がはるかに多いというようなことが新聞に出ておったのでございますが、この点はいかがでありますか。
  13. 湯河元威

    参考人湯河元威君) 毎年十月ごろになりますると、やはり米の供出代金等が支払われまして、今まで御融資しておりました貸付も減って参りまして、そして預金がどんどんふえて参ります。それでいわゆる余裕金を運用する段階に入って参りまするのでございます。ただいまのお言葉の中の端境期と仰せになりましたのは、大体六、七月どろ、これが一番金の足らないときであります。もう十月ごろになりますと、金がずっと余って参りまして、その当時になりますると、系統内部からはお金が返って参ります。私の方で御融資しておりましたものも、どんどん農手その他で返って参ります。貸付が減るときであります。そしてその段階になりますると、系統の内部の御融資をお貸付をする必要がなくなります。そこでいわゆる余裕金となりまして、これはできるだけ有利に系統外に運用いたしまして、その運用利益を系統内部に還元する措置がとられる段階になっております。さようなときでございまするゆえに、四〇%いう仰せ、正確ではないというお話がございましたが、そうだろうと思います。まあ大体の傾向としてはそういうふうになっております。
  14. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 いずれにいたしましても、これは何ら資料がなくて、ただ水掛論みたいなことになりまするので、私は先ほど鈴木さんから言われましたことは、これはもう本当に全国の農民の偽らざる告白だと思います。そこでそれには農林中央金庫の内容等も詳細に承知したいと思いますので、月別の貸出状況あるいは決算等を私は承知したいのでありますが、その資料の提供をお願いしたいと思います。それによって私は今後十分なる機会を与えていただきたい。委員長に私は要請いたしまして、私の発言はとどめます。その資料は出していただけるのですか。
  15. 戸叶武

    理事戸叶武君) 資料は出していただくことにします。
  16. 青山正一

    ○青山正一君 鈴木さん、あるいは中央金庫の湯河理事長にお尋ねいたしたいと思いますが、ただいまの佐藤さんの御質問にも関連いたしますが、各県の農信連とかあるいは漁信連は、あらゆる意味で成績が非常に悪いということを聞いておるわけなんです。たとえば、まことに私の県のことを申し上げて済まぬ次第でありますが、石川県の漁信連のごときは、二人か三人の業者で全部の貸し出しをやっておというような状態であって、ほとんど壊滅一歩前というよりもほとんど壊滅状態になっている、こういったような状況です。漁信連あるいは農信連の実情は一体現状においてはどうなっておるのか。多分に廃止するというような声も聞いておるわけなんですが、もし悪い点があったら一体どういうふうに改めるか。先ほど鈴木さんのお話では、なるたけ政令を改めて一本化した方がいいじゃないかという意見もあるわけですが、その問題について御両所から御意見を承わりたい。
  17. 鈴木勇造

    参考人鈴木勇造君) お答え申し上げます。私は農業の方でございますから、漁信連のことについては湯河さんなりその他からお答え願いたいと思いますが、今石川県の例のお話がありましたが、われわれ各都道府県の信用農業協同組合連合会、それからわれわれの方では各信連と申しておりますが、この面におきまして、御承知通り貸し出しが一部のものに貸し出されて、私どもには貸し出されないというような、そういうはなはだ申しわけのないような資金貸し出しは一切ないというふうにわれわれ考えております。これにつきましては、各都道府県の信連とも年々総会を開きまして、そうしてその総会において、一会員に対する貸し出しは幾らというふうな限度をきめまして、その限度内でいろいろ単協資金貸付をしておりますので、今お話のようなそうしたことはないと考えております。
  18. 湯河元威

    参考人湯河元威君) 私もただいま鈴木会長のお話のように存じておりますのでございます。信用連合会は、ことに農業信用連合会は非常に御苦心をなさって、長い歴史もおありでございまして、いろいろインフレーションその他のむずかしい段階も済んだし、また事業連、すなわち経済連等の整備促進などで非常に負担をしていらっしゃる等のことがございましても、さほど御心配になりますような点はないと思っております。  一方漁連、水産業協同組合信用組合の連合会、信漁連と申しますか、これはなかなか歴史が新しいものでございますから、いろいろ御経営上にむずかしい点もおありのようでございます。またおなれにもなっていらっしゃらない点がおありでございます。若干農信連と比較いたしますと見劣りいたします。そういう点につきましては、政府も十分御監督いただいておることでもございますし、お取引上におきましては、われわれの方でも今後も十分気をつけて御懸念のようなことのないようにしたいと思います。
  19. 青山正一

    ○青山正一君 農林漁業金融公庫の総裁にお伺いしたいのですが、これは手続の問題なのです。これは非常にこまかい問問でまことに失礼ですけれども、最初に組合関係金融の問題についてお伺いしたいのですが、中金とか、あるいは農林漁業金融公庫のように融資側としては、この手続上最低必要な資料が要ると思われますが、いわゆる協同組合とか、あるいは個人業者については作成がなかなかめんどうであるわけでございますが、非常に折衝に疲れてなかなかこれは思うようにいかないという面があろうと思います。そういうふうな面は一体どうするか。それから中金の責任において、非常に簡易に実施可能の方法が考え得られるのじゃないかというようなことも考え得られるのですが、この点についてはどういうふうに考えておられるか。それから申請してから決裁までに相当の期間を要するわけですが、たとえば魚の面で申しますと、漁期にほとんど間に合ったためしがないというような事態か起るので、この期間を短縮した方が非常にいいのじゃないかと、こういうふうにも考えられるわけなのです。それから経営内容の大きいような組合に対しては書類の作成とか、交渉も非常になれておるわけなのですが、ほんとうに資金を必要とする弱小組合などはほとんど顧みられていない、こういうふうな点について、この手続上非常にむずかしいじゃないか、何とか簡易化する方法はないかというふうな問題が非常に受益者の方に希望があるわけなのですが、この関係について一つお答え願いたい。  それから、これはのちほど申し上げたいと思いますが、同じく総裁にお聞きしたいのですが、個人関係について、たとえば二割の共通融資は大がいの場合限度までほとんど借り入れしているので、その上に共通融資分だけをワクを拡げるということはなかなか業者のためには困難だろうと思うのですが、そんな点について一つ御質問申し上げたいと思います。以上の点について、手続上簡単な問題ですが、お答え願いたいと思います。
  20. 湯河元威

    参考人湯河元威君) 手続と申しますか、書類の作成が非常にめんどうであるという点につきましては、一回検討いたしまして、やや簡素化をしたのでありますけれども、なお相当めんどうであると思います。しかしこれはその金を貸す側からみますると、私の方は実は書面審査をやっております。従ってある程度の詳細なる記載というものを要求することは、これはやむを得んのであります。しかしそうは言いましても、これは簡単なことに越したことはないのでありますから、なお今後ともに検討いたしたいと思います。  それから借り入れの申し込みをしてからずいぶん時間がかかるじゃないか、これは特に魚の方にそういう関係が起るのでありまして、ほかの方でありますと、まあおくれる場合もありまするけれども、問題がなければ割合簡単である。しかるに漁業特に漁船関係だと思いますが、これは冷蔵庫もそうでありますが、漁具もございますわけでありますが、何しろ申し込みが非常に先ほど申しますように多い、その中から選択をしていくわけです。従って公平な割当と申すと変でございますが、貸し出しをいたしますためには、ある程度状況を眺めるというようなこともございますわけであります。しかしなるべく考え方としてはいいものはいい、悪いものは悪い、少くとも金を借りたいという人には御都合があるわけですから、いつまでも引っぱっておくよりも、早く見当をつけることは必要であると思っております。そういうふうに努力はして参りたいと、まあかように考えております。
  21. 青山正一

    ○青山正一君 最後に、これはきょうの問題と別の問題かもしれませんが、湯河さんも、それから漁業金融公庫の総裁も、農林次官であらせられました関係上、一つ参考に御意見を承わりたいと思いますが、今国会にこの参議院先議で中央卸売市場の改正法案が上程されたわけです。おそらく近くこれは可決になるとすれば、いわゆるこの不良の荷受機関とか、あるいは仲買機関の整理というようなことも考えられるわけなのですが、そうした際に荷受機関あるいは仲買機関は代金決済の面も考えていかなければいかぬというようなことになるわけなんです。そうなるとすると、この精算の面には——あなたはあっちでというように、農林漁業金融公庫とかあるいは農林中金というようないわゆる金融的な措置をなさっているわけなんですが、融通の面におきましては、現在はたくさんある市中銀行から、この荷受機関はここから、この仲買いの代金決済はここからというようなことで、非常にここかしこから融資を仰いでいるようなわけなんです。そこで農林次官をやられた山添さんと湯河さん御両所も中央卸売市場法はよく御承知だろうと思いますが、そういった荷受機関なり仲買いが適限数になった場合において、いわゆる流通面の市場金融を一体どうすればいいか、新たにそういったものを市場金融公庫とかそういうものを作ればいいか、あるいは農林中金のようにそれをまかせるとか、あるいは中央市場に信用金庫というような形の金融機関があるが、そういったものにそう金融機関をまかせるとか何とか、いろいろ方法があろうと思いますが、この問題について一つ意見をざっくばらんに承わりたいと思います。
  22. 湯河元威

    参考人湯河元威君) ただいまのお話まことに私は当惑するのでございます。今までの考え方を率直に申しますと、仲買い市場におきまする金融はやはりわれわれの系統金融ではお扱いしない方がよい、それは正規の金融の筋道といたしましては、やはり市中銀行でお扱いいただくことにいたしまして、そうしてそのことが生産者に対するお払いや何かにつきまして故障の起るようなことのないように御監督をいただく。しかし生産者の方で出荷されたものについての、この出荷から代金を受け取るまでの間の金融は、これはもとより市場に出荷されますまでの金融系統金融でしっかり御めんどうをみさせていただきたい。しかし市場に出まして後の、あるいは小売さんにお渡しになる間のことはやはり銀行関係でおやりになった方がよいのではないか。なおよく考えてみなければわかりませんが、一応そう考えております。
  23. 青山正一

    ○青山正一君 それならばお聞きしたいと思いますが、おそらくあなたの方に、東都水産という荷受機関がやはりあなたの方に相当の金融を仰いでいるだろうと思います。また全漁連が失敗したいわゆる中水という荷受機関が大阪にも東京にもあったわけなんですが、そこに相当多額の金融農林中央金庫あたりでやっているのですが、それはどういう筋合いのもあでありますか。その点を御説明願いたい。
  24. 湯河元威

    参考人湯河元威君) それは実は余裕金運用という形式でやっているのでございます。本来系統金融から申しますと、資金が余ったときにそれをどこに用いるかということを考えますと、法律の上におきましても、やはり農林水産業関係ある団体法人に貸すということになっております。貸すならば、やはりさようなもしもそこに御融資することによりまして、漁連系統等の払いがよくなるところへ貸すというつもりで、われわれの方では余裕金融として認めておりましたので、広く一般には当然やるというふうには考えておりません。
  25. 青山正一

    ○青山正一君 この中央卸売市場法が可決になりますると、見返り資金の特別会計からいわゆる設備資金として六億何がしの金がおそらく出るだろう、こういうふうに仮定されておるわけなんですが、幾ら施設の方がうまくいきましても、そういったその運営の面において非常に悪ければ、これは何にもならぬ。そこで今度私どもが直そうとするいわゆる中央卸売市場法というものは、あくまで荷受機関とかそういったものを今までのように野放しに許可するというようなことじゃなしに、あくまでしっかりした荷受機関、あるいは卸売機関を適限数にしまして、農林大臣が指定しようというふうな建前に今なっておるわけです。そこでただいまお話を聞きますると、やはり何というか、農林中金でもそういうふうな基礎の確実なところへ一つの道が開いておった。しかし大阪のいわゆる中水魚市場とか、あるいは東京の中水魚市場のごときは、これは基礎が確実でなかった。そういうところでさえもそういうふうな道を講じておられた。そこで、まあその面をこの面に結びつけて、農林大臣の指定する荷受機関とか、そういうところへやはり考えるべきが私は至当だろうと思うのですが、そういった気持は毛頭ないのですか、どうですか。
  26. 湯河元威

    参考人湯河元威君) 大阪中水とそれから東京の中水は、実はこれは先ほど申し上げましたほかにもう一つございますのは、中水協会というものがございます。その市場荷受機関と申しますか、それは事務系統のものだというふうなつもりでやっておったのでございます。ところが残念なことには、その経営がうまくいきませんで、われわれも非常に悩んでおるようなわけでございます。で、先ほど申し上げましたように、余裕金融は——季節的な農林金融組合からいって必要がございまするし、そういった際には、われわれとしてはなるべくお仕事の近いところに、それが系統のお役に立つようなところにお仕事をしたいというふうに考えるわけでございます。余裕金融になりますと、時期的な制限がございます。それでお受けになる方でも非常にそこのところの御不安がございますが、よく御理解がつくならば、われわれの方の余裕金融というものができますときにおきまして、われわれのところも十分政府の御監督、御指示を受けまして考えることができないわけではございません。
  27. 戸叶武

    理事戸叶武君) どうでしょう。この程度で質疑を結んで懇談に入ったらいかがなものでしょうか。ほかに質問ございますか。
  28. 千田正

    ○千田正君 山添さんに伺いたいのですが、今年の公庫政府からの財政投融資の原資の関係かどうかわからぬが、利息のつくものを多く借りるような結果になって、そうして政府出資の利息のつかないのは減っておる。これは将来公庫の運営に非常に重大な影響を及ぼす問題ではないかと私は思うのですが、これは今年きりなのか、または将来何か変えるというはっきりした方針でも持っておられて、まあ今年だけはやむを得ないということなのか、また現況にかんがみて改むべきかどうか、その点をはっきり教えていただきたい。
  29. 山添利作

    参考人山添利作君) これは現在の財政事情としてまあやむを得ぬ、こういうわけでございまして、従来でありますと、大体新しい資金を二百億ここへ持ってくるならば、百億、半分は利子のつかない出資をもらっておったわけであります。ところが三十年度予算においていわゆる修正ということがございまして、出資は十億、三十一年度も同じく十億で、借り入れの方は二百億、こういうことになっております。で、これはその年度だけをとってみますと、これはとうてい採算とかなんとかいう話にはならない、ただ今までの過去の蓄積といいますか、累計をもって見ますと、三十一年度は辛うじてよろしいと、まあこういうのでございます。しかしこの状態が続きますると、先ほどもちょっと申しましたが、望ましいところの貸し倒れ準備金等を積み立てるにはやはりこれではいけないのであって、従って将来の財政事情はもちろん窮屈だと思いますけれども、やはり相当部分は、半分程度はこれはやはり利子のつかない出資にしていただきたいという強い希望を持っておるわけであります。
  30. 森八三一

    ○森八三一君 今の千田さんの質問に関連して。先日提案理由の説明を聞き、なお補足説明を伺ったときに、私も同様の質問をした。そこで原資の構成が変って参りますというと、運営上に非常に大きな支障をもたらしてくる、そこで一体どうしたらいいかということをお伺いしたのですが、その結論としては、もちろん農林当局は好んでこういうことをしたのではないけれども、全般的な国の財政事情でこういうことをした、そこで公庫の運営上の問題を考えて参りますと、方策として公庫内部の刷新といいますか、経費のかからぬように努めて経費の節減をはかる、同時に委託事務についても手数料をある程度下げていく、それでそろばん勘定を合わせていくと、こういうような意味の御答弁があったのでありますが、それに関連して、中金理事長並びに信連の方をやられております金融協会の方では、一体この重大な国の資金貸し出しまして、国家的な農林漁業金融の最末端の仕事を担当せられます場合に、そういうような委託手数料等に節減の余地が一体あるのかないのか、今まで多少そういうところにゆとりがあって削られるとすると、これは非常にけっこうでありますが、もし最末端の方における事務がそういうことによって支障を来たすということになりますると、公庫本来の持っておる使命を十二分に達成するわけには参りかねる、あるいは事務が渋滞いたしまして、事がスピーディに運ばない、結局農民が迷惑をこうむるというような結果が考えられる。それでは非常に困ると思いますが、そういった点は一体どの程度圧縮するのかわかりませんが、その余地が一体おありになるのかどうか、直接に窓口業務を担当しておられる立場から眺められまして、いかがなものでしょうか、それをお伺いしたいと思います。
  31. 鈴木勇造

    参考人鈴木勇造君) ただいま御質問の、公庫の手数料の引き下げでございますが、実は最近いろいろそういうお話を承わっておりまして、公庫の方でも今日いろいろ資金源が、利息を払わなければならないような資金、それが量が多くなったために、御経営費をまかなって手数料を出すというところに困難性があるのだというようなところから、われわれの方へそういうお話がありました。しかしわれわれの方でも今内々研究はしておりまするが、今森先生の御質問のように、今まで余裕があったのかとおっしゃられますと、これははなはだそういうことを申し上げては失礼ですけれども、今までの手数料でも非常に納期を——昨年から信連で取り扱っておりますもので、一件が十万円、二十万円というような小さなものがたくさんあるのであります。従ってそうしたものにも、先ほどどなたかからの御質問の通り、ずいぶん大部ないろいろ手続き書を作るのじゃないかというようなお話で、あれも簡便化できないかというようなお話がございましたが、われわれもその点についてはできるだけ簡便化をはかっていただきたいと考えておりますが、そういったこともお願いをしておりますが、なかなか中央において書面審査をなさるお立場からいうと、それもいろいろ御研究は下さっておりますが、今直ちにそういったことに行かないので非常に残念に思っておりますが、そうしたやさき手数料が引き下がるということは、受託業務を引き受けておりまする信連、単協としては非常に苦しいのであります。従ってこれ以上引き下げは困難だということは申し上げているような次第であります。
  32. 河合義一

    ○河合義一君 金融協会の副会長にお尋ねしたいのですが、単協組合員である農民に金融をいたします際に、金利が非常に高いところもあるのであります。私は兵庫県に住んでおるものでありますが、兵庫県では私はまだ全部は調べておりませんけれども、調べただけでも五銭以上の金利をとっておる所が十二カ所あります。その中でも一番高いのが五銭二厘であります。こういうことは他府県においても例がございましょうか。一つお尋ねをいたしたいのでございます。
  33. 鈴木勇造

    参考人鈴木勇造君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、われわれの方で大体全国で今信用事業を営んでおりまするもの一万二千ちょっとよけいでございますが、その面から見ますると、大体三銭から三銭五厘でございまして、今御指摘のような高いものがありますことについて、私ども承知をしておりませんで失礼をいたしまするが、たまにはそういうものがあるかとも存じまするが、なるべく今の程度、三銭から三銭五厘という程度でということで、全国的には大体そんなふうな情勢であります。
  34. 河合義一

    ○河合義一君 この金利を取り締るということにつきましては、何か方法がございますのでしょうか。これはその組合で総会を開きましたときに、金利をどれほどにするということは問題になるのでありますが、自覚のある組合員でありましたならば、当然そういう高い金利にはならないのです。ところがいなかへ参りますと、そうではないのです。金を借りてもどれくらいの金利をとられておるか知らぬ組合員がたくさんにあるのです。またそういう人たちが金の必要を感じているのです。これは一つ監督官庁におきましても、また金融協会におきましても十分これを監督していただきまして、そんなことがなくならなければならぬと思います。私はほかの府県のことはよくは知りませんけれども、この農林委員会から群馬県へ視察に参りましたときに、あちらで所々で聞いてみましたけれども、まず二銭八厘以上はございませんでした。それから静岡県のどなたか農林委員に出ておられる方がございますが、あの方に静岡県のことを聞きましたら、これも二銭八厘、ほかの銀行から金を借りた場合には二銭六厘七厘で借りることもできるけれども、それにはいろいろの手数料をとられたり、また借りた金の何割かを預金に置かなくちゃならぬということがあるから、差引すればあまり違わないというようなことで、鈴木さんも先ほどおっしゃられましたけれども、これは組合員が寄って組合を作っておる、その単協から組合員が金を借りる、預金もほかへもって行かずになるべく預金は農協へ、なんという宣伝を盛んにやられている。また春先になりますると、預金をよけいした者を農協から東京へ旅行に連れて来るというような、いろいろな商売をするような巧妙な手段で金を集めて、その金をしかも五銭、五銭二厘で貸すに至っては、私は見のがすことはできぬと思う。こういうことに対しては今後どういうようにしたらいいとあなたは思われますか。またしようと思われ、これを農林省の方へでもかけ合って、そんなことのないようになさる覚悟はございますか、伺いたいと思います。
  35. 鈴木勇造

    参考人鈴木勇造君) 実は今組合金融協会としては、そういう監督権というようなものはないのでございますが、われわれの方としては全国の各都道府県の信連を通じまして、そういうべらぼうな金利を要求するようなことのないように、たとえば兵庫県さんなら兵庫県の信連ともお話し合いをしまして、今の御指摘のようなことのないように努めたいと存じますので、どうぞ一つ御了承願いたいと存じます。
  36. 河合義一

    ○河合義一君 そういう点については監督する権利はないとおっしゃるのでありますが、それではしたいほうだい、やりほうだいでいいものではないと思うのですが、あなたの方としましても、私は今兵庫県のことを申したのですが、他府県においてはどういう状態でありますか、よくわかっておりますか。
  37. 鈴木勇造

    参考人鈴木勇造君) 今私、他府県全体的には三銭か三銭五厘というようなことを申し上げたのですが、私もそう全国の単協状況まで知りませんので、大変申しわけありませんでしたが、そういうふうなことはまあできるだけ全体的にないように、今三銭から三銭五厘でも高いじゃないかというふうに考えているやさき、そういうお話を承わりまして、はなはだ残念に思いますが、できるだけそういうことのないように努めたい。しかしこれはまあ兵庫の信連を通じてでなければ私の方から何とも申し上げかねますが、そういった方向にぜひやって参りたいと思いますので、どうぞあしからず御了承願います。
  38. 森八三一

    ○森八三一君 今議題になっている農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきましては、まだ質問もあろうと思いますが、本日は採決の予定もありますので、ここで一たん懇談に移していただきまして、多少御相談をしてみたいと思いますので、そういうふうにお運びを願いたいと思います。ただいま私は公庫法の改正に関連してと申し上げましたが、このことは別にいたしまして、この際農林政策の観点から農林漁業金融問題を取り上げまして御懇談を願いたいと思いますことかありますので、そのようなお運びを願いたいと思います。
  39. 戸叶武

    理事戸叶武君) いかがなものでしょうか。質疑はこの程度で終って懇談会に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 戸叶武

    理事戸叶武君) それでは懇談に移ります。速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 戸叶武

    理事戸叶武君) では速記つけて下さい。  本日参考人に御意見を伺うのはこの程度にいたしたいと思いますが、参考人各位におかれましては、長時間にわたってお差し繰りいただき、まことにありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。   —————————————
  42. 戸叶武

    理事戸叶武君) それでは、前回及び前々回の委員会におけるお取りきめによって、続いて法律案の審査に入ることにいたします。  この際、開拓融資保証法の一部を改正する法律案、及び開拓者資金融通法の一部を改正する法律案についてお諮りいたします。これら両法案は、いずれも去る三月八日衆議院において全会一致をもって政府原案が通り、可決され、当院に送付、直ちに本委員会に託付されました。なお、開拓融資保証法の一部を改正する法律案につきましては、衆議院農林水産委員会において、お配りいたしておきましたような付帯決議が行われております。これら両案につきましては、すでに予備審査を終りまして、できれば明後三月十五日木曜日の午前の委員会において残余の質疑を終り、直ちに討論採決を行いたいと存じますが、お差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 戸叶武

    理事戸叶武君) それではそのように取り運びますから、御了承を願います。  なお修正案あるいは付帯決議案の御予定がございますれば、準備の都合がありますから、調査室までお伝え願います。   —————————————
  44. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案は、去る三月八日衆議院において全会一致をもって政府原案通り可決され、本院に送付、直ちに当委員会に本付託になりました。  なお、衆議院農林水産委員会において、お配りいたしておきましたような付帯決議が行われております。本法律案につきましては、前々回の委員会において予備審査を終ったのでありまして、その際のお取りきめによって、お差しつかえがなければ本日残余の質疑を終り、直ちに討論採決を行うことにいたしたいと存じますから、御了承願います。  では、質疑の向きは直ちに御質疑を願います。
  45. 青山正一

    ○青山正一君 先般の委員会におきまして、千田委員からの質問もありましたのですが、その問題に関連いたしまして御質問申し上げたいと思いますが、農林金融公庫のこの合成繊維の融資に関しては、大体この初年度の、つまり昨年三十年度には約四十件の申請がなされておるということを聞いておりますが、今年度三十一年度には、この三十年度以上の申請がなされるものだろうと、こういうふうに考えております。漁業というものは漁船とそれから漁具、この双方が完備されて、はじめてこの漁獲の増加となるわけでありますが、網の場合この漁船の場合と同様の取扱いをした方がいいと私どもは考えておるわけでありますが、現状においては、法律の上においてはこれは違っておる。これが同じ取扱いであるとすれば、これは最も好ましいと、こういうふうに考えておるわけですが、この点については法律改正の気持があるかないか、その点を承わりたいと思います。
  46. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ただいま青山委員から御意見の出ました、また御質問の出ました合成繊維漁網綱のことにつきましてでございまするが、公庫の現行法におきましては、漁船と漁網綱とが一応一つ一つの活字であり、言葉としては差異が確かにあります。しかしその意味におきましては、これは差異があるとは思っておらないのであります。すなわち漁業の共同利用施設、また主務大臣の指定をいたしまする漁業個人施設の中におきまして、特に細目としまして、あるいは大きい項目としまして、合成繊維漁網綱と書いてはございませんが、それに融資をし得る重要なる項目と考えておるわけでございます。実態におきましては、漁船に匹敵し、また他の繊維の漁網綱にも増しまして、最近におきましては合成繊維漁網綱は重要な漁業者の生産手段でありまして、まさにその融資対象としましては、農林漁業公庫貸付対象とすべきものと考えております。従いまして、現行法のもとにおきまして行政措置をも加えまするというと、以上の理由によりまして、明確にその重要性を認め、融資をワク及び基準において明確になし得ると考えまするので、でき得ますれば皆様のお許しを得まして、この措置をとらしていただきまして、公庫法の明文の改正を避けて早急に需要者の需要に応じたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 青山正一

    ○青山正一君 この合成繊維の従来の、つまり三十年度の実績はどういうことになっておりますか。あるいは三十一年度はどういうふうな計画になっておりますか。
  48. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ただいま御質問の三十年度の実情といたしましては、組合の自営分、共同施設の分といたしましては二億円、個人営分、個人施設といたしましては五千万円を予定いたしておりまして、集計が年度末に当って締めくくってありませんが、需要度の旺盛なことに応じまして、ほぼその予定に近いものと考えておるわけであります。公庫法の改正を三十一年度分について立案いたしますに当りまして、二月末までの申請を三十一年度分についてこれを見まするというと、組合自営分は、すなわち共同施設分は一億三千万円、個人営分、すなわち指定個人施設分は一億三千万円でございます。そこで先ほどの御意見とあわせまして、さらに補足をお許し願いまするというと、合成繊維の漁網綱の資金の取扱いにつきましては、本案がもし御可決願いますれば、私どもといたしましては、すなわち農林省といたしましては、公庫貸付は農林大臣の認可事項でございますので、その貸付計画の作成に当りまして、共同施設の細目に合成繊維漁網綱の項を設けまして、公庫法第十八条第一項第七号の規定による漁業協同組合自営分及び同条同項第八号の規定によりまする個人営の合成繊維漁網綱、こういう項は今でもございますが、それの両者に対しまする貸付資金ワクをそれぞれ計上いたしまして、かつ先般の委員会におきまして千田委員の御意見もありましたことに応じまして、私がお答えをいたしましたことを内容といたしまして、貸付計画の認可を適切にいたしまして、申請の度合い、申請というのは資金需要の申請でございますが、申請の実情に応じまして、この両者を融通して貸し付けさせることを行わしめるようにして認可をいたして実行せしめたいと思うのであります。また、ただいま申し上げました三十一年度の目下わかつておりまする要求しました資金需要額に対しましては、これをほとんど十分に満たさせるように資金ワクはできておりますので、これをワクとして定めるように万全の努力を払うつもりでございます。
  49. 戸叶武

    理事戸叶武君) 質疑が終りましたら、懇談に入りたいと思いますが。——速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  50. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  他に質疑もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  52. 森八三一

    ○森八三一君 私はただいま議題になっておりまする農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に関しまして、原案に賛成をするものであります。特にこの際希望として、質疑の際にも申し上げましたように、公庫の設立から今日までの経過をたどってみますると、原資の構成が著しく変ってきております。ということは、本来の公庫の使命を達成いたしまするためには、あらゆる方面に少からず悪い結果を持ち来たしておるわけでありますので、原資の構成につきまして、今後十分政府御当局に御考慮をいただきたい。また同時に、貸し出しの手続等につきまして、農民が格別に希望しておる自作農資金等につきまして、その手続がいかにも繁雑であるということで、待望しながらも、なおかつ手続の繁雑に追われて、その目的が十分に達成せられておらぬという状態がございますので、それらの点について十分御研究いただきたいと思います。  さらにこの際私は以下申し上げますような付帯決議を付したいと存じます。付帯決議の全文を朗読いたします。
  53. 戸叶武

    理事戸叶武君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  55. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました森君提出の付帯決議案を議題といたします。森君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致と認めます。よって森君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    青山 正一   重政 庸徳    三浦 辰雄   井上 清一   池田宇右衞門   関根 久藏    一松 政二   宮本 邦彦    佐藤清一郎   横川 信夫    河合 義一   溝口 三郎    森 八三一   千田  正   —————————————
  58. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  59. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  ただいま御懇談中に御協議願いました、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。中央卸売市場法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人から意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及びその他の手続については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   —————————————
  62. 戸叶武

    理事戸叶武君) 次に、家畜取引法案議題にいたします。  本法律につきましては、前回の委員会のお取りきめによって、お差しつかえなければ本日残余の質疑を終り、直ちに討論採決を行いたいと存じますから、御了承を願います。  では質疑の向きは順次御質疑を願います。——それでは速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  63. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  他に御質疑がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。
  65. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私はただいま議題になっております家畜取引法案につきまして、修正の動議を提出いたします。修正理由及び修正案は事務局から配られておると思いますので、便宜これを朗読して御説明にかえたいと存じます。    家畜取引法案修正理由   本法の成果を充全ならしめるため、家畜市場の開設者について、中央卸売市場における卸売人、商品取引所における会員及び証券取引所における会員の例にならって、禁錮以上の刑に処せられた者を欠格事由とし、かつ、家畜取引の実際のにない手である家畜商についても同様な規制を加える必要があると認め  (1) 家畜市場の登録基準として、禁錮以上の刑に処せられ、刑余二年を経過しない者には登録を与えないこととする。  (2) 家畜商法について禁錮以上の刑に処せられた者、その他家畜商法、家畜伝染病予防法または家畜取引法の違反者で刑余二年を経過しない者は家畜商免許の欠格事由とする。   なお、開設者の解散の場合の届出及び家畜市場の不開場による登録取り消しに関する規定を整備する。  趣旨の修正案を次のように提案するものであります。    家畜取引法案に対する修正案   家畜取引法案の二部を次のように修正する。   第五条第三号中「この法律、家畜商法又は」を」禁錮以上の刑に処せられた者又はこの法律、家畜商法若しくは」に、「罰金以上の刑」を「罰金」に改める。   第十条第二項中「清算人」の下に「(開設者たる法人の解散が合併によるときは、その業務を執行する役員であった者、破産によるときは、その破産管財人)」を加える。    第十八条第二項第二号中「第三条の登録を受けてから一年以内に」を「引き続き一年以上」に改める。   附則第五項中第四条第二号の改正規定を次のように改める。    第四条第二号中「この法律又は家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号〉」を「禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律、家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)若しくは家畜取引法(昭和三十一年法律第号)」に、「罰金以上」を「罰金」に、「一年」を「二年」に改める。附則に次の一項を加える。  6 この法律施行の際現に家畜商法第三条の免許を受けている者であつて、この法律の施行により、前項の規定による改正後の同法第四条第二号の規定に該当するに至つたものについては、同法第七条第一項の規定にかかわらず、その該当するに至ったことを理由とする当該免許の取消は行わないものとする。  以上であります。
  66. 戸叶武

    理事戸叶武君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより家畜取引法案について採決に入ります。まず、討論中にありました佐藤君提出の修正案を問題に供します。佐藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  68. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって佐藤君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  69. 戸叶武

    理事戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 戸叶武

    理事戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお本案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名    青山 正一  重政 庸徳    三浦 辰雄  井上 清一   池田宇右衞門  関根 久藏    一松 政二  宮本 邦彦    佐藤清一郎  横川 信夫    河合 義一  溝口 三郎    森 八三一  千田  正   —————————————
  71. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 戸叶武

    理事戸叶武君) 速記をつけて下さい。  議題に追加して、農地問題に関する件を議題にいたします。  この件につき、一松委員から発言を求められておりますから、この際御発言を願います。なおこの件について、ただいま政府からの出席者は農地局管理部長でございます。
  73. 一松政二

    ○一松政二君 農林省からの出席者は管理部長一人でございまして、その点に対しては私はいささか不満でありますけれども、衆議院との競合によって出られたというようなお話もありましたから、一応管理部長を通じて私の質疑を続けたいと考えます。  農地法の問題については世上いろいろ議論があって、昨今では、いわゆる農地改革の行き過ぎを是正するために全国に解放農地の補償連盟というものができて、昨年十二月の十四日に旧国技館において四万あるいは五万に達する人が全国から集まって、まことに静かにデモンストレーションをやったことは御承知通りだと思うのでありますが、私はなぜそういう問題が起ったかという根本にさかのぼって、少し事実を管理部長から承わりたいと思います。   〔理事戸叶武君退席、理事三浦辰雄君委員長席に着く〕  管理部長に当時のことを、当事の責任者ではなかったはずと思いますが、二十年の十一月二十三日を在、不在の基準として、その日にいた者は在村地主であり、その日にいなかった者は不在地主、翌日帰って来てもだめだ、しかも二十年の十一月二十三日といえば終戦直後のことでありまして、非常にたくさんの軍人あるいは国内においても教職員、官吏その他従来の慣行に従って、自分の持っている土地は、たとえわずかな土地であっても人に貸し、そうして米を買って食っておったのが実情だったと思うのでありますが、遽々然として二十年の十一月二十三日を基準にして、しかもそれが約一年あとの二十一年十月二十一日にそういう法令を施行したということになっておるのでありますが、この特別な日本の千古未曾有の敗戦のとき、そうして人口のあり方が最も乱れておった時代を標準としてやったことが、私はそのまま今日是正されずに行っておるのですが、管理部長はこの点はこのままでも差しつかえないのだ、これが非常に無理があって、そこにあらゆる悲惨なことや、いろいろなことを陳情でお聞きになっておると思うのですが、そういう極端な人口の分布状態及び農村のあり方の最も普通でない、アブノーマルな状態にあったときを基準とされたこに対して、それでもいいと今日でもお考えになるかどうか、その点を一つ承わりたい。
  74. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ただいまのお話の点は、いろいろと考え方が分れ得ると思います。この昭和二十年十一月二十三日という日をなぜ押えたかということは、この農地改革という非常に大きな日本の農業の歴史に、日本開聞以来何回かの、一つの大きなエポックを画する大仕事がなされたわけですが、その仕事をやりますとすると、これは不在地主の土地は買収するという規定が一つございますが、どこで在、不在をきめるかという一つの基準がなければならぬわけです。しょっちゅうその辺がはっきりしないことでは困りますから、必然的にやはり何らかのはっきりした時点を押えるという要求はどうしても不可避だと思います。さてどういう日を押えるかということについていろいろ考え方があるわけですが、昭和二十年十一月二十三日という日は、政府が閣議で農地改革をやりますという決定をして、それが公けになった日であります。その後に農地改革というようなことをやられてはたまらぬということで、土地の所有者などでこれをすぐ第三者に売っちまおうという動きも非常にたくさんありました。農地改革を実質的に骨抜きにしようというようなことも多く行われたわけであります。そこで自作農創設特別措置法という法律を作ります際に、政府が態度を決定をして、それが国民に明らかになった日を押えまして、その日現在において、この農地の移動の基準を定めて、法律の適用の一つの日にするという基準日にいたしたと、こういうわけであります。そこでその日がよかったか、悪かったかどうかということについては、いろいろの意見があろうと思いますが、何らかの関係で一定の日を押えざるを得ないということが一つの前提とすれば、やはり政府がはっきり態度を明らかにしたこの日を押えるということがまず妥当であろうと、かように私は考えております。
  75. 一松政二

    ○一松政二君 何らかをなさんとする場合に、特定の日を押えるということは、これはわかります。けれども、その特定の日がかなり国民に公平に受け取られる日であるべきであるということは、常識上当然であろうと思うのです。もしそれが著しくアブノーマルな状態の日であるならば、それをできるだけ修正して、そしてノーマルな状態ならばこうである、あるいは戦争前はこうであったというようなことに、そこに一応大なたをふるった、ふるって切ったばかりでは能ではない、切って切り過ぎたり、また切り方が悪ければ、その切り方を是正するということが政治なんです。しかもその当時は占領直後のことでもあり、日本政府の意思というものが、ほとんど聞かれないことは御承知通りであります。ただいたずらに、頭から押えつけてやられたことでありますから、そしてしかもそれがすこぶるアブノーマルな日を基準としておるわけでありますから、その基準についてもある程度人口がもとに戻り、農村の状態がややもとの状態に復したと考えられるような日に、ある程度これを順応さしていくというのが私は政治であろうと思う。そういう点について、これはただそういうわけであるから絶対的な日である、これはいささかも加除増減は許されないのだというお考えでございますか、今日におきましても。
  76. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 ちょっと関連……。この農地法を制定したのはいつだったか、かなり——日にちは忘れましたが、だいぶ過ぎてから遡及適用したわけであります。(一松政二君「一年前だ」と述ぶ)そうすると、すべて法律というのは既往にさかのぼらずということが原則であるにもかかわらず、この法律を遡及適用したということについて、これは法律的に見て適法であるかどうか、私はこれについてもまたいろいろ疑義があるわけですが、これについての解釈もあわせてお願いしたいと思います。
  77. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ただいまのお尋ねでございますが、昭和二十年十一月二十三日の現在をもって、法律の適用の一つの大きな基準といたしたということは、その当時国会におきましても、いろいろ議論になったところでございまして、その結果先ほど私が申し上げましたようなことも政府側から申し上げて、まず二十年十一月二十三日ということを押えるという御論議も含めまして、国会自作農創設特別措置法が可決された、こういうような経緯もございます。  それで農地改革でありますが、農地改革はもちろん占領治下になされたのでありますけれども、これはやはり日本の農業の形を戦後において発展をさせます大きな基礎となっておりますので、農地改革というものは、やはり日本経済全体にとって非常にいい結果をもたらした、こういう工合に考えておるのであります。そこでただいまお話の出征をいたしておりまして、いろいろ人口に異動もございますが、それにつきましては、農地法の適用といたしまして、昭和二十年八月十五日以前の召集にかかわります者については、自創法の五条の六号で、これについては特別の処理をするということで、軍務による服務については特別の除外例を設けているわけでございます。  それからただいま遡及の問題がございました。これの法律的な判断につきましては、建前といたしましては、この法律は一般にはさかのぼって適用する、施行以前にさかのぼって適用するということはいたしませんのですが、特別の必要の場合には、これはさかのぼって適用するということもあり得るわけでありまして、これは法律が国会の御審議を経て有効な成立をしておるということでありますならば、その法律としてはこれは遡及をすることができるということになるわけであります。ただ遡及をすることがいいかどうかということは、立案の過程及び国会の御審議の過程でいろいろ当然御論議になるところであります。そこでその遡及をする実態的な理由につきましては、先ほど御説明をいたしましたように、昭和二十年の十一月にこの農地改革ということが明らかになりました。それによっていろいろ農地の移動も盛んに発生をいたしました。そういう関係もありまして、昭和二十年十一月二十三日という日にさかのぼるということがきまった次第でございます。
  78. 一松政二

    ○一松政二君 農地改革そのものの是非善悪を私は問うているのではない、国会が審議して、国会がこれを了承したからそれでいいというものでもない、占領政策の是正ということはあなたも耳が痛いほどお聞きになっていると思う。その当時日本の国会というものは自由意思を持たないのです。形式的にはありますが、従ってあの憲法でも自主憲法をこしらえたいという国民の大多数の要望がある。従ってこの農地法といえども、私はこの農地改革の農地を、自作農を創設するというその大眼目を、ここでこれを再びもとに戻すとか何とかいう議論をしているわけではない。そのやり方について非常にアンバランスがあるのです。無情冷酷なものがあるわけです。それによって幾多の犠牲者が出、それから不満があり、もうこれによって何人が自殺しておるか、気違いになったかということはおそらく統計で数え切れぬほど私はあると思うのです。従って占領政策の是正ということは、今の内閣でもあるいは前の内閣でも吉田さん当時からそういうことが言われておるわけであります。従ってこの根本をくつがえらせようというのではない。農地改革以前に戻そうというのではない。これはとかく農林省あるいは放送局あたりで街頭録音なんかある場合に、解放農地の国家補償を求めるものが、いかにも何だかよこしまなことを言っておったり、昔に、農地法の改革をまたもとに戻そうというような運動があるかのごとく、一部の人に解釈されておることを非常に残念に思うのです。でありますから、われわれはその二十年十一月二十三日ということを一応例を引いた、それを今もう遡及的にそれを国会で承認されたなんということはこれはもう議論にならないのです。それは押えつけられていて、うんと言え、うんと言わなければ命をとると言われればうんと言いますよ。お前はこのように言ったじゃないかと言って、お前はうんと言ったからもういいじゃないかと、そういうわけにはいかぬ、世の中というものは。でありますから、これの是正をするかしないかということを私はここで管理部長にイエス、ノーを問うわけではございません。これは国の大きな政策の問題でございますから、これは国会の意思なり、政府なりがきめなければならぬ。私はこれを管理部長にそのイエス、ノーを求めようとしているものではございませんが、管理部長もそういう非常な犠牲者があり、そうして悲惨な目にあっておるものがたくさんあるということはお認めになるでしょう、いかがですか。
  79. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは農地改革によって、農地改革の結果でどういう影響があるということについてはいろんな問題がございます。これは当時の地主さんについても、あるいは当時の小作の人についてもいろんな影響を受けたわけでありますが、そのうちでも地主さんについて言えば、その地主さんの中には農地改革に関連をしていろいろ経済的に打撃を受けられた方ももちろんあると存じます。
  80. 一松政二

    ○一松政二君 私はただ影響を受けたというのじゃない。自殺したり気違いになったり、あるいは今日食えないでそうして国家の要保護者になったり、悲惨な生活をしておる人が今日でも非常に数が多いのです。それに目をつぶる気でございますか。そういうものがあるかないかということははっきりちょっと答えてもらいたい。
  81. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 私どもが事務的にお答えをいたしますと、その当時の地主さんの今日の生活状態について、その資産なりあるいは収入なり、そういうものについての詳しい調査はございません。ですから、従ってこれは個人的な感想なり、個人的な見聞の範囲内でこの判断をするということになりまして、責任をもってどうこうということを申し上げるだけの十分な基礎資料がないのでございますが、その当時の地主さんの中で、いろいろ今日困った生活をしていらっしゃる方はもちろんあると思います。その若干の方方については私も存じておりますが、それがただ農地改革を含めていろいろ戦後経済変動がございましたので、農地改革のためにこうなったということは、そのほかの複合原因もいろいろございますので、今のお尋ねについての正確な、割り切ったお答えをしにくいのでございます。それだけの資料を詳しく従来集積をしておらないのでございます。
  82. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 関連。今一松さんの質問を聞いていると、何かしら、もう頭からできる限り回避しようというような考えのもとに答えて、逃げよう、逃げようとするような考えのもとに答弁をしておるように私は考える。大体先ほど私が質問したのに対してもですよ、あの農地改革が非常な善政をしたのだ、それだからもう何ら言う必要はないのだ、それは善政であったかどうかということはもちろんわれわれもある程度承認はするが、その善政であった陰には非常な犠牲を払った。いわゆる国家が十分に補償もせずにそうして無理々々買収をし、そうして解放するような実情によって行われた。それはとりもなおさず、地主が非常な犠牲になったことは隠れもない事実です。それをほおかぶりして知らぬふりして、そうしてそういうような統計がないとか、あるいはそういうような他の経済の実情からも複合的に影響したのだから、必ずしも農地改革によったのではないのだというような詭弁を弄して云云することははなはだ私は遺憾です。いずれにいたしましても、質問に対してはやはりまじめに、私は誠実な答弁をすることが当りまえだと思う。さきには栃木県ではこの農地解放は憲法違反である。いわゆる憲法に適正な土地の賠償をしておらぬというところから憲法違反であるという裁判を提起いたしまして、これは最高裁判までは行かなかったが、途中でやめてしまったのですが、あれが最高裁まで行ったならばかなりおもしろい結果が出たのではないかとわれわれは見ておったのです。いずれにいたしましてもその政府当局者を、何も一管理部長あたりをいじめるために聞いているのじゃないと私は思う。だからもう少し親切な答弁をしてしかるべきだと思う。
  83. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 佐藤委員、一松委員に御相談ですがね。結局この問題は相当大きい問題でありまして、立川部長がよく答えるところではない。それでこれは大臣あるいはその他政府をほんとうに代表するような人たちとの間にこの問題は質疑してしかるべきだと思う。そう思いますが、ひとまずどう答えるか、立川君のお答えを催促しますが、考えて下さい。
  84. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ただいまいろいろおしかりがございましたが、私は問題を回避するつもりでは実はないのでございまして、私でお答えを申し上げ得る範囲について私は考え方をありのまま申し上げておる。ただその考えましたお答えがいろいろお気持に合わない点もあるかと存じますが、しかしそれは私の考え方でございますから、その点は御容赦を願いたいと思います。
  85. 一松政二

    ○一松政二君 今の部長のような言い方をするから佐藤さんも怒る。それから陳情に行っても、わがやったことは正しいのだ、そうしてあまたの犠牲者などが出ても、それには耳をおおって知らぬ顔をする。従って農林省の事務当局に話してももう問題にならぬ。それから各地方の都道府県の農地局の農地行政を扱っておる者も、ほとんどもう全部左だ、話にならぬと言って、怨嗟の声を放っているのが今全国津々浦浦に起っている。いわゆる旧地主、この地主という言葉がそもそもこれは間違いなんです。私も何十町歩、何百町歩、あるいは祖先伝来から持っておった土地とか、あるいは金のかたにとった土地を解放されたものについては何をかいわんやなんです。私はそういうことを言うているんじゃない。一町未満の人がずいぶんたくさんある。五町未満の人が、私は統計をつまびらかにいたしませんが、ほとんど大部分でしょう。一町、二町、あるいは三段、五段とられたものは、これはみずから額に汗をしてあがなっている。あるいはその親がやっている。そうして粒々辛苦したものをむざんにとられたんです。とられたとしか考えており、ませんよ。そうして法律の施行を、地方の都道府県のそういう行政官にまかせて、いわゆる農地委員なるものも——農業委員ですか、なるものも最初の法律では地主側の意見というものは通せないようにこしらえてある。その地主という観念が世間一般に非常に誤解されるのですよ。私も自分のことは言いたくはないが、私の親と一緒に私も田の草を取って、中学卒業までは田の草を取って、そうして私の親なんぞは飲まず、食わず、寝ずですよ。そうしてわずかに一生かかって一町五段か二町ばかりこしらえた田を半分以上、あるいは三分の二ほどとられていますよ。あとはふえていません。であるから今さっき佐藤さんが言ったように、何か農地改革じゃなくて、他の経済的な事情の変動もそれに手伝って生活が困難になったであろうというようなことは、耳をおうて鈴を盗むようなもんだ。そういう血も涙もないようなことでこの問題にあなたが、あるいは農地局が当られるとすれば、これは今後も重大な問題が起ってきます。大体血も涙もない共産的な行き方であったのです、この農地改革それ自身が。すでにそれはもう数々の過去の証拠において明らかなんです。でありますから、従ってこの犠牲者から考えれば、農林省がぐるだ。それでその一連の系統を引いている各都道府県の農地行政においても農業委員においても、いわゆる土地を持っておった者——私は地主という言葉を使いたくない。わずかな土地を持っておった者の言い分というものは、ことごとくこれは通らないで今日まできておるのですよ。でありますから、私はその問題は今の管理部長に説明を求めても、今言ったようなそっけない答弁をするから、それを再び私は繰り返そうとはしません。他の問題に移ります。  まず、買収価格が問題なんです。買収価格は何か戦時中の十六年から十九年の統計を基礎にして算出されたというように聞いておる。二十年、二十一年、二十二年、二十三年、二十四年、二十五年というときは、どういうときであったかということは、管理部長も今からさかのぼれば記憶にまざまざとしているでしょう。それだから、やみ米一升にも当らない金で取られたという感じが今日でも払拭することはできませんよ。二十一年の十月二十一日に自作農を創設したならば、なぜそのときの価格をもってやらなかったのか、なぜ十六年−十九年の戦時中の押えた物価でこれを計算したのか、それを承わりたい。
  86. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ただいまの十六年−十九年の物価で押えたというのは、そうではございません。これは農地改革のときに国が買収をいたしました農地価格の対価の計算でありますが、それを御説明を申し上げますと、そのときの自作収益価格をまず考えまして、それと地主採算価格を別に考えました。その結果地主採算価格の方が高い。そこで自作収益価格で補償をするが、その地主採算価格との差額は別に地主報償金としてお払いをする、こういう格好をとったわけであります。さて自作収益価格をどういう工合にして計算をしたかと申しますと、そのときには、米の収入——これは平均の反収に米価をかけまして、これは供出の分は供出価格をかけまして、それから自家保有分は消費者価格をかけまして、その結果収入が出るわけです。それから今度は支出、コストの方をその当時の調査に従いまして計算をいたしました。その計算に基いて収入から支出を引きますと、その差の収益が出てきます。その収益のうちから農民の利潤を差し引きますと、結局、土地の所有者に帰属いたしますところの地代分が出て参ります。その地代分は毎年毎年幾らで、その地代分を毎年々々土地の所有者が取得をするといたしますと、結局一定の資本に対するその果実ということになりますので、その資本は幾らだということを還元をいたしました、資本還元をいたしました価格が自作収益価格として出て参ったわけであります。片一方地主採算価格は反当の収量に対しまして、基準小作料が当時幾らであったか、その基準小作料の料率を掛けますと、そのときの小作米の高が出る。それに当時きめられてありましたこの米の地主価格を算定をいたしますと、地主の収益が出て参ります。それに対しまして税金を差し引きまして、地主の純収益を出しまして、それをもってやはり資本還元をいたしたわけであります。そこでその差をもって地主報償金に充てた、こういうことでありまして、今の昭和十六年ないし十九年というのは、水稲の平均反収といたしましては昭和十五年ないし十九年というのをとっておりますが、戦時中のそのほかの点につきましては、戦時中の条件をもって計算をしておる点はないはずでございます。
  87. 一松政二

    ○一松政二君 机上の数字を並べて、これをただ理論づけただけでは、これはもう適否の議論は堂々めぐりをするだけです。けれども、私の聞き及ぶところによると、そういう今の資本還元をして、地主の収益に反当りの価格というものを換算したその基礎数字というものが、私はすこぶる当を得てないと想像するわけです。なぜかというと、あの敗戦と経済の混乱なんですから、どこで一体その数字を押えるかということが問題になるわけです。でありますからその価格が正当であるとお考えになっておることが、一方から見れば、ただ当然だ、どろぼうにとられるように考えるのは、これは私はただ理屈の上の——理屈の上じゃない、人間は生きているのですから、その当時は、やみをさせなかった裁判官が死んだという、あれは戦時の末期でありましたが、あの終戦直後まで非常な凶作にあって、食糧の最も不足した時代である。であるから、その当時公定価格がどうであった、米一石が三百円であったというようなことをただ考えて、そうしてそういう数字をもってやったって、それだけで全部の生活ができているわけじゃございませんから、そういう点に非常にこれは無理があったということを私は指摘するにとどめます。今あなたに返事を求めたって今のように架空な、私から見れば架空な一応の数字で、得た結果を答弁されるだけですから、それ以上追及しません。  さらに伺いたいのは、さかのぼって十一月の二十三日に決定したんだが、第一回に金を支払ったのはいつですか。現金を支払ったのはいつですか。
  88. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは建前といたしましては、農地代金は農地証券をもって支払うということを全体の建前といたしておりました。ただし今の地主報償金部分及びこの自作収益価格で計算をいたしました農地買収価格、そのうちの端数部分は現金で支払い、その端数部分を除く部分は農地証券で支払う。それで、その現金分と農地証券分と分れるわけですが、現金部分につきましては買収を決定をいたしまして、決定をされたつど、これは逐次まあ払っていったわけでありますから、買収決定の日取りと実際に金が入りました日取りは、これはそれぞれ食い違っておりますけれども、あるいは三カ月、あるいは半年まあそれぞれ食い違っておると思いますが、そのような程度で支払う。それから農地証券はこれは証券でありますから、すぐ償還が始まらないのでありますが、その農地証券は一部分は二十二年の三月から買収、償還、買い上げを始めたのでございます。
  89. 一松政二

    ○一松政二君 二十年の十一月の二十三日から、二十二年、まる二年間ありますね。この二年間に経済の激変はどうであったか、今思い起されるだけでも、私はあなたが今ここで考えられてもおわかりだと思う。当時やみの米は一升百五十円から二百五十円までもしておった、二十二年には。二十年の十一月二十三日というのには、まだそこまでいっていなかったし、それから一般物価も、二十年の十一月と−二十二年になれば、ちょうど和田博雄君が安本長官で、国も赤字、個人も赤字、企業も赤字といってそうしてもういわゆる螺旋状型のインフレーションに進みつつあった時代であります。従って物を買うのに、値段をおととしならおととしときめておいて、そうして現金はことしやると、そうして値段の移動があった場合に、国だからこれは強制的にこういうことをやっていられる。これが双務契約で、普通の一対一の関係であったらこういうことは行われたとお思いになりますか。
  90. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) せっかくのお尋ねでございますから、あるいはまたおしかりを受けるかもしれませんが、私の考えておるところを申し上げたいと思います。この農地法の買収価格につきましては、先ほど申し上げましたような基準で計算をして出しております。それでかりに双務契約なら双務契約であるといたしましても、一方の当事者がこれできめるということにいたしますと、その当事者としてはやはり同じ考え方をとったと思います。そこで同じ考え方でいけばどうだということを申し上げなくてはならぬわけですが、先ほど申し上げましたように、自作収益価格というのは、目標は地主さんの経済的な利益を——農地法の買収価格は、自作収益価格と、地主採算価格と、二重の考え方になっておりますので、これは地主さんの経済的な利益を補償するという考え方に立っております。それは何かと申しますと、その土地農業経営をして収入がある、それから支出を差し引くと、それから結局残りが出る、つまりその土地の耕作者が農業を営みまして、そうしてその収入から支出を差し引いて利潤を差し引いた残りは、これは当然土地の所有者に支払い得る部分だ、そこで土地の所有者としては結局その地代部分を毎年安全に取得し得る、そういう経済的な立場である、こういう工合に見るわけであります。そこで今の二十年、二十一年、二十二年という工合にインフレーションは進行いたしました。そこでその年々の計算をかりに考えてみます場合に、米価の方も年々インフレーションで騰貴をいたしました。と同時に支出の方ももちろん肥料代その他がどんどん高くなっておるわけであります。そこで収入部分も、支出の部分インフレーションでどんどんつり上った。そこで今のように一定の地代を安全に取得し得る経済的な立場ということを考えて計算をいたしますと、その地主さんの取得し得る部分については、あの当時のインフレーションの進行の状態では、決して年次の進行とともに大きくプラスになってこないのであります。で米の一俵の値が上ったからということでは、その点は答えにならないので、やはり今申した考え方をとります限り、収入と支出と両面から考えて判断をきめなければならないと、こういう工合に存ずるのでございます。
  91. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  92. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 速記を始めて下さい。
  93. 一松政二

    ○一松政二君 今のような話だと、それはまた怒られるかもしれないというが、怒るのもおとな気ない話でありますが、それじゃ土地の価格はどうして上っているか。なぜそれじゃ今日土地の価格が一反歩六百円や七百円でやったものが今日十万円も二十万円もするのだ。どうしてそういうことが起る。肥料も要る、売れるのも高く売れるかもしれぬが、それからそれに費す費用もうんと要るんだから、地主の土地から得られるものは一定不変であるかのごとき今のお話なんだが、それなら土地が騰貴するわけがないじゃないですか。その問題はあとで触れますから時間の関係上はしょって申し上げます。  それで農地証券が二十四年か二十五年間にわたって払うということを、だんだんそれが変更になって、最終的に現金化して農地証券を買い上げたのはいつですか。
  94. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 二十二年から一部始まっておりますが、農地証券で現在までその買い上げを請求をしない方がございます。それで現在でも買い上げが続いておるのでありまして、まだその終期はこれから以後になると思います。
  95. 一松政二

    ○一松政二君 そういう答弁の仕方からしてはなはだ、なめたつもりではありますまいが、受ける側からいえば、はなはだ不満なんです。それは今全部終っていない。まるで腹立ってしまって、紙くず同様のものはいいと思ってうっちゃらかしているのもずいぶんあるから、全国的には相当の金額になるでしょう。けれども私が聞くところによれば、大体二十五年に大部分のものがつまり現金化されている。なぜそれじゃ二十四年で払えばいいものを二十五年に買い上げて現金で払ったのか、その理由はどこにあるのでありますか。最初の予定通り、農地証券で買ったものをなぜ現金に変えなければならなかったのか。変えたのか。それはおわかりですか。
  96. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 私からただいまの点をお答えするのは適当でないかもしれませんが、私の承知をいたしておりますところでは、一種の国債であります。で国債は、二十四年当時の農地証券のあれによりますと、たしか二十四年の償還条件で買うわけでありますが、あの当時のドッジ政策ですか、あれで国の財政の関係で国債を政府が買い上げて、それによってある程度インフレをチェックする作用をやったはずであります。で昭和二十四年、二十五年というところは、減債整理基金特別会計に非常に膨大な金をつぎまして、それで一気に農地証券を含めての多くの国債を買い上げた、こういうことであったと記憶しております。その政策の一環としてあの当時大量の農地証券の買い上げがあった、こういう工合に思うわけであります。
  97. 一松政二

    ○一松政二君 どうも公債を買い上げるということは現金を民間にまくことだと思う。かえってドッジ政策の反対じゃないかと思う。これが議論になるとすればそれは時間の関係もありますから、はしょっておいて、その次にいきます。  今日の自作農創設後十年間は、創設農地は売買は禁止されているはずですが、それは今日もさようですか。
  98. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 自作農創設特別措置法の時代は売買が禁止と申しますか、売買はできるのでありますが、売り渡すときにはまず国にお売りなさいと、こういうことでありまして、ところが昭和二十七年に農地法に変りましたときに、いわゆる創設解放農地も売買は自由であるということに法律上変ったわけであります。
  99. 一松政二

    ○一松政二君 売買は自由である、自由であるが今日売買するときに、まあ都道府県知事の許可を得て売買するときに、坪、都会地では坪でありますが、一反十万円、十五万円あるいは二十万円するものを一万五千円か二万円くらいの届出にして、そうしてその差額を、金額は私は必ずしも固執しているのではないのですけれども、大体そういうアイデアを聞いてくれればいいのですが、その差額を、政府が買い上げしてそうして実際は十万円、十五万円あるいは二十万円で売買していながら、表向きは一万五千円か二万円になっている、こういうのですが、そういう事実を御承知ですから、知らぬとおっしゃいますか、ないことでありますか、どっちですか。
  100. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 今のお尋ねは、その差額を政府が徴収をしているかと、それを知っているかと、こういうお尋ねでございますか。
  101. 一松政二

    ○一松政二君 そうじゃない。十五万なり二十万円で実売買はされているが、実際の知事の認可を受けるときなどは、その十分の一かあるいはそれ以下の、一万五千円か二万円の値段になって、そうして過去においては五千円か何かが公定価格というのですか、その差額だけを政府が収得しておって、そうしてその認可を受けた金額以外はもう全然やみくもに売った人がそれを所得している。これは税金の対象にも何にもなっていないということなんですが、その点はどうなんです。
  102. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 今の点で税金の点は私よく存じません。これは税金の対象にどういう工合になっているかはよく存じませんが、担当の責任者でもございませんので——おそらく今のお尋ねはこういう点をお尋ねになったのだと思います。その点を御説明をいたしますと、現在の農地法で参りますと、農地法の施行法に差額徴収の規定がございまして、自作農創設を受けました土地を売ります場合に、その当時の政府からの売り渡し価格、つまり政府から農民が買った価格と一定の価格の差金を政府が徴収すると、こういうことになっております。その価格が昨年の十二月の六日の政令で確か中田の、中等品位のもので平均一万一千八百円でありましたが、こういう工合にいたしておりますので、それと解放価格の差額は徴収すると、こういうことになるわけであります。そこで今お尋ねのありました、そのほか十万円とか二十万円とかやみくもで売っておるじゃないか、こういうお話がございます。この点につきましては、一つは農地法の規定、二十七年から売買価格及び自創法について政府が先買いをやめましたから、結局その差額は創設を受けた者が取得するということになるわけでありまして、この点についてはいろいろな考え方がありまして、これは非常な不当な取得であるという考え方もあります。それから一方これに対しまして、それはかりにまあこの土地をだれか第三者に取られるという場合には、耕作者といたしましては、農地の代金のほかに作離れをするための金額ももらうのだ、たとえば電源開発の場合だとか、そういうようなものも含めての価格であって、これはあながち土地の所有権だけの値段評価とすべきでないという考え方もあったりいたしまして、いろいろ考えのあるところであります。しかしどれだけ政府が徴収しておるかということ、それから先ほど一万五千円云々というお話がありましたが、その点について申し上げれば、昨年の十二月にそういう改訂をいたしました。これは小作料の改訂、農地価格の改訂に伴ってそういう改訂をいたしましたということであります。
  103. 一松政二

    ○一松政二君 管理部長は今の全国平均の農地の売買価格、これは東京付近では一反歩六百万円のところがあるそうです。名古屋付近が百五十万円ですけれども、全国平均するとほぼ二十万円くらいだということでありますが、管理部長は大体そういったようなことらしいということはお認めになりますか。
  104. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これは私どもはいろいろな話は聞くのでありますが、日本の農地統計として信頼し得るものといたしましては、勧銀調査の農地価格の水田と畑の価格の統計がございます。それは現在なおかつ二十九年現在までしか出ておりませんが、水田の中等品位のものといたしましては、二十九年として反九万三千五百四十六円という数字が出ております。
  105. 一松政二

    ○一松政二君 それが一方に二十年の十一月の二十三日で取られてすぐ眼の前にいるのです、その人が。これは戦災で焼けたとか、引き揚げられたので向うへ置いてきたとか、あるいは第二封鎖で取られた、第一次封鎖でとられた、あるいは特殊預金が打ち切られたというのと非常に趣きが異なる。それが非常な問題なんです。農村に嫉視反目の現状がこれに特有な問題として残っているわけなんです。財産を失ったり焼けたりした人が、それによって利得をした人はございません。災難を受けた人はありますけれども、その災難が、甲の災難が乙に幸いしているということはないのです。農地問題に限って一方の犠牲が他方の非常な所得となり、収入となってそれを幸いしているのです。そこに重大問題があるわけです。そういう点についてひとしく戦争犠牲者として片づけるにはあまりにそこに重大な違いがあるわけです。その違いのあるということを認めますか。
  106. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) これはもちろんその今の封鎖なら封鎖これはたとえばそれによってインフレーションの進行によって銀行が利得したのかもしれません。それで預金とか、戦災を受けたものと農地とはやはり差異がありましょう。差異がありましょうが、この点についてはやはり私は農地問題、いろいろな角度から考えてみなければならないと思いますのは、ただいま御指摘の地主さんが土地を国に買収を受けまして、その土地をたまたま売り渡しを受けた人が第三者に転売をしたので、それに対して非常な不満を持つということは、当然そういう感情はあると考えますが、片方もう一つの面から考えて総合的に見なければなりませんと思いますのは、その土地はおおむねやはり長い間耕作をしてきた人がその土地の解放を受けたわけであります。その人はその土地に全然寄与がなかったというわけではない。その土地をやはり多くの場合申せば耕し、豊かにするためには耕作者の汗が入っているわけでありまして、その点を全然見ないというわけにも参らない。いろいろな観点から判断をしなければならないというような感想を持つわけでございます。
  107. 一松政二

    ○一松政二君 今の管理部長の答弁が、一番最初に佐藤委員から詰問的な質疑がなされたのと同じことなんです。いかにも耕作権を重大視している。だから二十年の十一月二十三日というものを掘り下げて、そこでその農地を耕作しておった者が、十年も二十年も耕作しておった人もあるが、二十年の六月に田植えをしただけでその土地がその人のものになっているのもたくさんある。はなはだしきに至っては、同情をもって田植えだけはしてあげようというて、出征するから田植えだけはしてあげようというて田植えをした人がどっこいこれは私が耕作しているものだといって離さないというものもたくさんある。だからこれは調べてみなければわからないのです。だからそういうものを是正するためには、これは非常な調査をやって、そうしてこの是正をやらなければならぬのでありますから、これは私はあなたに求めることは、委員長が言われている通り、私はそれを求めているのではないけれども、これはただ冷静に事実を事実として記録にとどめておきたいし、また管理部長意見を聞いておるのであるけれども、ただ管理部長はそういう面に触れまい触れまい、事実が少しでもそれによって犠牲があるのだというようなことを答弁を避けていられる印象が、これはお聞になっている皆さんも全部おわかりだと思うのです。でありますから、もうそれ以上きょうはその点はお聞きしません。だからそれは他日に譲っておきます。  なおただ一点だけ私の聞きたいことは、農地法の二十四条で小作料は収穫の四分の一までを最高として認めているのに、何ゆえに今日の小作料をことさらにああいったような低額に、そうして収入一反当り二君かなんかの反収に見て、何ゆえにああいう無理無体な小作料に据え置いてあるのか、あるいは今年改めたと称しますけれども、農民からいえば非常な迷惑です。小作の部分はある程度見られた。それでも今度は固定資産税が上ったからまだマイナスだ、にもかかわらず、今度自分の六反か七反か作っておったものも、それも固定資産税が上るから、あの小作料を上げられたために今の自作農農民は非常に損をしておる。負担が増した、こう言っておるのです。だから今の農地法の二十四条と今の小作料とをどうあなたはなぜ二十四条を無視して今日の小作料を改めたのですか。その点ちょっと承わりたい。
  108. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 二十四条と小作料の基準二十一条との関係でありますが、二十四条は二割五分を小作料の額が上回るという場合には、すなわちこれは基準は、収穫された米の価額の二割五分を二十一条できめたこの基準に基いて、それぞれ地主さんと小作農の人との間で一々契約をするわけですが、その契約の結果一つのたんぼについての小作料の確定をいたしますが、その二十一条の基準に従って出て参りました小作料が、二十四条の場合は収穫された米の価額の二割五分をこえるというようになった場合には、その二割五分まで減額することができるということを規定をしておりまして、二十四条の二割五分でもってきめるということではございません。二十一条に、これは農地ごとに小作料の最高額をその省令できめる基準に基いて決定をする、こういうことになっております。そこでまあ農林省令のきめ方につきましては、小作料の基準を決定いたしますために非常に重要と考えまして、長い間慎重に検討をいたしました。そうして農林省の内部においてもいろいろと研究をいたしまして、結論といたしましては昭和三十年、昨年の米の価格から平均反収をとりまして収入を出しました。それに対して調査に基きますところの生産費を差し引いて、それから農業経営している人の利潤部分を引きまして、その残りが結局この地代に帰属をする、その地代を小作料の基準として定めましたものが現在の改訂されました小作料であります。そのような考え方できめておりますので、二割五分をもって二十一条の基準にしなければならないということはないと考えております。  それからまあ固定資産税の点についてはどうもよくわからない、今のお尋ねの点について私よく理解をいたしませんので、間違ったお答えをするかもしれませんが、この全国平均で申しますと、昨年の、昭和三十年の自治庁で決定をいたしました固定資産税の決定の標準と、それから本年の、三十一年の一月一日で自治庁がきめまするところの固定資産税の賦課の標準とは同一水準であります。そこで小作料が上りましたために、三十一年度の固定資産税の水準が上るということは全国的な水準としてはないと存じますが、村々等ではあるいはその自治庁の水準に従って、その水準を目安にして上げたり下げたり、これはまあ村の判断でするわけでありますから、あるいは村によっては、ところによれば昨年より本年の方が上っているというところがあるかも存じません。
  109. 一松政二

    ○一松政二君 もう一点だけ。それは、今の管理部長の答弁は非常に重大なんです。二十四条と二十一条の関係ですが、二十四条は二割五分以上を取ってはいけないという規定なんですね。反対に解釈すれば二割五分まではいいということなんです。であるから、これが一応の基準なんです。これを曲げて解釈している。そうして今度は費用が要ると、耕作者が生産費を見積る場合でも、これは見よう見方です。日当を一日四百円で計上するのも、二百円で計上するのも、二百五十円で計上するのも、二百五十円で計上するのと四百円で計上するのとはそこに六割も七割も違う。だからわずか五反か六反の保有地を持っておる人が二割五分までは問題は起らないのだ、それを取り上げようとはしないのだ。それを特に無視し、そして今のようなきめ方をするから返還を要求してくる。法の精神は二割五分以上取ってはいけないということは、二割五分まではよろしいということなんです。それを曲解して、二十一条で勝手な計算方式を出して、これは机上の計算ですから、費用をたくさんすれば、ネット・プロフィットは非常に少くなることはこれは当然なんです。だから米の生産費という微妙な計算は、これは幾ら計算したって概念的に出るだけであって、ほんとうの生産費は幾らが正しいとか、幾らが正しくないということは、これはまた論争の種なんです。今日の農家の日ごろの何かの労銀を二百五十円出せばみんな喜んで働きに出る。それを何だか農林省で計算したときには、四百円とかあるいはそれ以上で計算したとかいうことを聞いておりますけれども、私はそこで、農林省の考え方がどうしてもこの農地改革の最初の案に膠着してしまって、これにこんりんざい触れてはならぬと、これにあくまで執着しておるところに私は問題があって、さっき三浦さんが言われるように、農地局長に私はそういうことを求めておるのではないけれども、私はただ数字的な事実を今日は伺いたいし、それの御答弁を得たいと思うので、ただそれに対する感じ方を聞くと、いかにも冷酷な、そっちには触れないでなるべく逃げるというような印象を与えるような御答弁になっておる。ところが二十四条こそは明らかに私は農地法を農林省か曲げておると考える。これまた意見の相違ということになるでしょう。聞くところによると、収益の四分の一ということを言った担当官がある。米の収穫高の、収獲された価額の四分の一と明らかに報告に書いてあるのです。それがかりに三石とれるとすれば、それはまあ概略一石一万円とすれば三万円で、それの二割五分ならば七千五百円ですか、そういったような計算になる。それがたとえ七千円でも収入になるならば、地主はそう今日問題にはしない。私も百姓の出です。私の郷里にはいとこも農業会長をしておる。今日自分は一歩も足を踏み入れずに、もみの苗代から何からこしらえても反当一万円、純収益として一反歩一万円、所によっては二万円になる、残ると言っておりますよ。全部それを千円か千四、五百円、いいところで千四、五百円、そういったようなところに据え置くところに、この保有農地の問題が起ってくるのです。これは一つ、私はもう管理部長に答弁を求めません。私の意見として聞いておいて下さい。それで農林省はもう話にならないと、農林省の役人はもうこれは、はなはだ耳障りかもしれませんが、共産党と大した違いはないようなことを極言する人さえがあるのですよ。これはもう少しやはり客観的な実情を私は把握されりゃあいいと思うのです。そうしてあなた方がやはり血もあり、涙もある考え方でないと、自分のやったことはこんりんざい間違いないんだと、それによって起ったことは、他の原因で起ったことであって、何も農地改革自身でやったのじゃない。いろんな経済変動に負けたのだということをおっしゃるというと、それは犠牲者は怒りますよ。もうおそらくむしろ旗を立ててくるようになるでしょう。冷静に私はそれに対して一つ考えていただきたいと思います。  委員長ありがとうございました。私はこれで質問を今日のところは打ち切っておきます。
  110. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会    ————・————