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政府委員(
石谷憲男君) ただいまの御
質疑の中にも御
説明申し上げましたように、たしかに
水源林をすみやかに
造成しなければならないような
対象地に対しまして、
造林を
実施する
方式といたしましては、
官行造林による
方式というのが相当適切な
方式じゃないかということにつきましては、私
どももそういうように考えております。従いまして、それならばただいまの御
質疑のごとく、何も
制限をしないでずんと取り込んでいいじゃないか、こういう議論が当然出てくるかと思いますが、私
どもといたしましては、現在普通林に対しまして補助金を交付いたしまして、自力で
造林をしておる、これがいわゆる普通林
造林の根幹となる
造林方式でございますが、その場合におきましても、いわゆる新植費だけにつきまして、国と地方で四割の補助を出して、あとの六割に相当する部分は自力でやっておる。こういう状況でその後の保育、
手入れ、その他の
維持管理というものは、あげて
森林所有者がやっておるわけであります。それで実はただいま御
説明申し上げました国が三分の二と、
都道府県が三分の一を持ちまして、いわゆる新値に関する限りは
全額をもって
水源林造成を公共
事業としてやっているという実態があるわけでございまするが、そこで特に
水源林ということになりまするというと、その後のやはり保育、
手入れ、
維持管理というものが水源木の
機能を付与しまする上に相当大きな役割りを持つものだということは、私
どももそのように考えております。それはあくまでも国がみずからの
官行造林事業の
対象としてかかえ込んで、国の手でもってその段階までのことを一切やらなければ、その
所有者では全然やれないような
対象のものばかりかというと、必ずしもそうではなくて、もちろん
保安林ということになりまするけれ
ども、将来に向って伐採に関する
制限の行われる
制限内容というものは、相当
程度の伐採許容のある段階から禁伐のごときものまであるわけでありまして、それは
対象地の状況によって非常に違ってくるわけでありまするが、
保安林といえ
ども必ずしもそこで収益が期待されぬというわけではないのであります。水源
涵養の
保安林におきましても、もちろん
制限はありまするが、間伐等の
方式も認められているわけでございまして、一切の経済活動等が拘束されるというわけではありませんから、従いまして、新値の場合について普通林とのバランスのとれる
補助方式がとられている場合におきましては、普通林の場合に考えられておりますと同じような、
対象部分によりましては
森林所有者みずからが必要な保育、
手入れ、維持、管理をやって参るということが十分可能であるし、そういうふうにやってもらえる
対象も現に十分あると、こういうふうに考えまして、それならばあえてそのような
方式というものを私
どもといたしましては、この段階において否定をする必要はもちろんないわけでありまして、むしろ従来までやって、ある
程度の成果をおさめているという事実もありまするからして、それはそのままに残して、むしろこの段階ではこれを
一つ根幹にしておく、ただし今回の改正によりまして、従来のいわゆる
市町村有林のほかに
部落有林までも拡大できるようになったということに相なる。さらに先の三十万
町歩計画の中では、いわゆる
水源林造成というものを意識的に取り入れていくという
考え方をしなかったのでありまするが、この
機会に拡大をいたしまする三十万
町歩の
目標の新しい
造林計画におきましては、普通林的なもの、
水源林造成的なものというふうなものをある
程度意識いたしまして、取り上げているというような経緯からいたしまするというと、やはり
市町村有林並びに
部落有林で、いわゆる
水源林造成の
対象になるものが
官行造林事業として行われるということがはっきり出て参る。そういった場合にそれに近接している、あるいは介在しているというものが、ただ
私有林であるということだけでぽつんと穴があくというようなことは、むしろ実態の
森林としての
水源機能の
涵養というような
考え方からいたしまするというと、必ずしも適切ではない。しかもその場合に、一緒にやるという
私有林はこれまた
契約でやっていくということになりまするからして、むしろ相手方に選択の自由があるわけでございまして、それで自分の方は
資金関係その他手間ひまの
関係からいっても、一緒にやってもらった方が好都合だというような場合には一緒にやる、そうして一緒にやること
自体が国の方としても
効果を達成する上にけっこうであり、なおかつ管理の上からいいましても、いわゆる一体の管理の中の部分でございまするからして、いささかもそのために経費の掛り増しというようなことでもないというように考えるわけでございます。
もう一点は、何といいましても
国有林野事業特別会計の中でやっておりまするので、従いましてその方面からの
資金的な制約も出てくる、従っていかにこれの方がいいといいましても、この段階で急速に全部をかかえ込むような
やり方にはなかなかなし得ないのじゃないか、こういうような制約もあって、
主体はどこまでも
公有林野であり、それとあわせてやることが適当だというふうに考えるものをやって参る、こういうふうに押えておるわけであります。