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1956-02-16 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十六日(木曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            江田 三郎君            三浦 辰雄君    委員            秋山俊一郎君           池田宇右衞門君            小西 英雄君            関根 久藏君            横川 信夫君            河合 義一君            河井 彌八君            溝口 三郎君            森 八三一君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    食糧庁長官   清井  正君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農業改良    局総務課長   庄野五一郎君    通商産業省通商    局次長     樋詰 誠明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告公有林野官行造林法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○農林水産政策に関する調査の件  (澱粉及び大豆等価格支持に関す  る件)  (米穀の集荷に関する件)     —————————————
  2. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  派遣委員報告の件を議題にいたします。先般御足労をいただきました熊野川及び剣山地域山林開発事業施行予定地実情調査について、本日は第二班剣山地区の御報告を伺うことにいたします。御出張の小西及び三橋両委員におかれましては、寒さの折から遠路御足労をいただき、まことにありがとうございました。では御報告をお願いいたします。
  3. 小西英雄

    小西英雄君 それでは第二班の剣山地域森林開発事業施行予定地現地視察概要を御報告申し上げます。第二班は三橋委員小西が参加いたしたのでありまして、二月三日東京を出発、四日夕刻徳島市に着き、まず徳島県知事並びに県当局地元関係者説明を聞き、徳島市に一泊、翌五日ジープで那賀川下流平島製材工場を視察しました。ここで那賀川流域森林開発に対する業者の意見や那賀川流域造林事業木材流通事情等説明を聞き、さらに那賀川をさかのぼって川Hから約八十キロの地点にある長安口ダムを視察しました。さらにさかのぼって木頭村の蝉谷林道に分け入り、目下県営で行なっている林道建設の現場を視察しました。当日は出原に一泊、地元木頭村長等から陳情を聴取し、翌六日畔ケ野峯に登り、南川地区に広がる民有林八千町歩開発予定地を眺望し、杉の造林地等を視察し、那賀川を下り、県営ダム地点から沢谷に入り、木沢村役場で地元村長森林組合等関係者陳情説明を聴取して、徳島県庁に着いたのであります。この間の走行距離は約三百キロでありまして、相当な強行軍でありました。翌日鳴門を経て八日に帰京いたした次第であります。  この間に視察しました剣山地区概要を申し上げますと、現在開発予定地域となっておりますのは剣山中心とする木頭上木頭、平谷、木屋平、一字、東、西祖谷山の八カ村でありまして、総面積十万一千町歩林野面積はその九一%に当る九万二千余町歩でありまして、その蓄積量は四千七百四十五万七千石と推定されております。このうち開発対象蓄積はおおむね二千八百十八万八千石とされております。従ってこれを県全体からみますと、林野面積で二〇%、蓄積量で五一%となり、県といたしましても大きな事業であります。しかしその人口は三万九千余人で、県人口の四%しかなく、一平方キロ当り四十人という未開の地域になっているのであります。この地域の地勢について申し上げますと、山地はすべて急傾斜の深い谷間をなし、河川の侵蝕は激しく、いわゆる壮令期の地形を呈しています。土質はれき質壌土が多く、地味はおおむね良好で、どこでもよく木が茂っております。この地域の特質は気候がよく、樹木生長が早いことで去ります。年平均気温は十四度でありまして、雪はほとんどなく、四国山脈の影響を受けて降水量がきわめて多く、平均二千八百ミリより約三千ミリもあると言われ、樹木の生育に適しているのであります。従って木材生長率もきわめて高く、わが国の木材生長率平均二・八%でありますが、この地力では平均四%で、特に杉材は四・五%と言われており、寒冷地区から見ます約二倍の生長率があるわけで、この点から見ましても、この地区開発適地と言い得るのであります。問題はこれら林産物の搬出でありまして、従来はほとんど那賀川の流送に依存いたしたのでありまして、陸送路としては吉野川沿いに一本、那賀川沿いに一本の国道があるのみであります。しかるに最近電源開発が行われ、前述長安口県営ダムができてから流送は全く不可能となり、もっぱら陸路によらざるを得なくなったのであります。従って林道さえ開発されるならば、奥山に眠っている蓄積量の多い森林資源は急激にその経済性を増すのでありまして、現在では川口で石二千八百円の杉材も、山元では国道への搬出の比較的よいところで九百五十円、困難なところでは二百八十円と言われ、剣山山麓搬出の不便なるところでは立木価格は全く無価値となっているのであります。この点から考えましても、この地域開発経済効果は高く、森林生長率の高い点から見ましても、民有林の分の割合の高い点からしましても、今回の開発事業候補地としては最も適当なる個所であると思われるのであります。  次に地元要望について申し上げますと、第一は森林開発事業は早急に宝施してもらいたいということでありまして、地元では昭和三十一年度からぜひ実施してもらいたいという要望が最も多かったのであります。第二は、実施後は計画の必要な資金を確保して、事業縮小等の事態が起らないように、十分なる資金計画を立てていただきたく、地元ではむしろ路線の拡大をはかられるよう強く要望しておりました。第三は、開発方式と言いますか、事業主体方式は公団であろうと特別会計であろうと別に異存はないが、当県は県直営林道事業を早くより実施し、おり、経験もあるので、県の行政機間を十分に活用されたいと要望がありました。第四は、開発後の造林事業について、優良品種の確保のために特段の考慮を払われたく、このために苗圃等造成に努められたいということでありました。以上が地元要望の大要でありますが、われわれが心配いたしました地元負担や償還の問題については、全く問題がなく、全面的な地元の協力の熱意のほどもうかがわれた次第であります。最後にこの調査について感想を申し上げますと、第一はこの地域が従来おおむね流送に依存いたしたため、幹線林道が皆無の状態にあり、好むと好まざるとにかかわらず林道網を完成しなければ、林業開発は望み得ない状態にある点であります。  第二には、従来から流送に依存したため、小径木生産は無価値にひとしく、また間伐材が売れないため、一町歩当り千八百本程度の疎植が行われ、非常な不生産的な、粗放的な林業が行われていたのであります。従って開発事業によって林道網が完成いたしますと、一町歩当り三千本前後の標準的な植栽も可能となり、かつ間伐収入も得られるようになりますので、林業収入も早くから得られるようになり、この意味からも経済効果は大きくなるのであります。その結果この地域総合開発と相待って林種転換も可能となり、その生産量は倍加されるものと思われます。ただこの際最も重要と思われる点は、この地域国道の不完全な点でありまして、この事業によって幹線林道が完成されたとしても、基幹となる国道の改修が最も必要であり、さしあたって現在国道退避所を設置し、上り下りのトラック、バスの交通の便をはかるような措置を講ずることが、この事業の実行上最も緊要であることを痛感した次第であります。  以上はなはだ簡単でありますが、現地調査報告を申し上げます。
  4. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) ありがとうございました。ただいまの御報告に御質疑向きはこの際御質疑をお願い申し上げます。     —————————————
  5. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) では前回に引き続いて、公有林野官行造林法の一部を改正する法律案議題とします。  本法律案につきましては、前回委員会において農林当局から提案理由並びに本法律案審査前提となる民有林野の現況、その他の事項について説明を聞き、続いて質疑に入り、質疑が中途になっておるのであります。質疑を続けることにいたします。御質疑向きは順次御質疑をお願い申し上げます。
  6. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この間も私質問申し上げたのですが、私ばかりするのもどうかと思いますから、どなたか質問があればいつでも私はその方に譲りたいと思っております。しかしこの案は何しろいいから、大へんにこの法律案がけっこうだからということであまり質疑がないようでありますが、けっこうではありまするが、この法律案審議で一応明らかにしておきたいことをこの際に聞きたい、こういうふうに思うのです。  提案理由を見ましても、水源地帯造林というものをこの際に強く打ち出しておるわけなんですが、配られた参考資料を見ますと、十四ページ、この一応目標としておる三十万町歩は、市町村が二十万町歩部落七万、私有林三万と所有別の一応の目標はこうでありますが、水源関係は、水源林関係というのはどういうふうになりますか、三万町歩が見込まれておるように思うのですが、この点はどうなんですか、この辺をお聞きしたいのです。つまり水源地帯についてはこの機会に  この官行造林制度機会に付帯してやれるという法律にし、かつ説明を受けると、水源地帯造林というものは極力早く進めなければならぬと言っておるのですが、それが数字にどういうふうに現われておるかを一応この資料について御説明を願いたい、こういうことです。
  7. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 水源涵養林造成いたしまする手段といたしまして、いわゆる水源造成というものを従来国三分の二、都道府県三分の一の負担区分をもちまして、公共事業費によりまして実施して参りましたことは、すでに御承知通りであるわけでありますが、これらのものが現在林野庁で策定をいたしております保安林整備契約調査の中から累計をいたしてみまするというと、全体で約四十三万町歩あるわけでございます。その中で八万町歩はいわゆる保安林整備臨時措置法に基きまして、昭和二十九年度から民有保安林整備事業をいたし、その整備事業の一環といたしまして国で買い上げ、必要な施設を講じ、長くその機能を保っために、国みずからの責任においてその維持管理に当っていく必要があるという対象を十年間計画、五十万町歩目標でやっておるのでありますが、その地帯の中に含まれておるという状況でございます。従いまして、その八万町歩は買い上げが逐次進んで参りまするとともに、全額国有林野事業負担におきまして、これを実施するということに相なるわけであります。それで残りの三十五万町歩でございまするが、その所有形態を見まするというと、県有が二万四千町歩市町村有が十四万町歩部落有が八万七千町歩私有が九万九千町歩、こういうことに相なるわけでございまして、市町村有並びに部落有、これを合せまするというと、二十二万七千町歩に相なり、私有林はただいま申し上げましたごとく約十万町歩、これらのものがいわゆる水源林造成事業対象になる総面積でございます。そのうちでこの公有林官行造林事業で今回の改正案によりまして新たに部落有林地帯をかかえ込みに、さらに私有林の一部まで及ぼしていこうというものを含めまして、十一万町歩がこの事業の一応対象になる、かようなふうに考えておるのが私ども目標でございます。一応三十万町歩目標の新規の官行造林事業の中で、いわゆる普通林的なものが十九万町歩水源林造成的なものが十一万町歩として、その十一万町歩の内訳は市町村有五万、部落有三万、一応私有三万、合計十一万、こういう目標でおるわけでございます。
  8. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで水源地帯造林というものをできるだけ早く完成していきたい、こういう考え方が強くうたわれているから、私は水源林涵養地帯をもっと多く契約の中に取り入れていくのかと思ったのです。ところが見るというと、必ずしもそうではないということあるものだから、根本的には官行造林というものは一番今日荒れていると言われている町村あるいは部落有林というものをねらうために、一面においては、ために——というか、狙っておって、水源林の方は急を要するのたけれどもこういう少い形になる。しかし今日の町村部落もだんだん当局愛林思想といったようなものがしみ込んできて、相当に植栽熱も上ってきているようだから、制限を受けるだろうと思われるような水源林のようなものこそこの対象にしたいといったようなところがあるのです。しかし一方においてはこの道の立て方というものが町村ないし部落林ということを基本にしているものだから、その一方においては早く造林をしたいという水源林の方まで手が及ばないというわけじゃないか、その辺どうなんです。
  9. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 一昨日の質疑の中にも関連しまして説明を申し上げたと思うのでありまするが、この公有林野官行造林事業は、あくまでも相手方所有者との間の契約によって進めて参るという建前でございまするからして、いささかも強制的に当るようなことは前提としてはあり得ないということに相なっております。そこで一応私どもその目標はただいまの御質問の中にもありましたように、一番荒れている所を、しかもなかなか造林しにくいであろう所をねらってやっていくのだという事柄自体は、公有林野官行造林の問題としては当然取り上げて参るべきだと思うのでありますが、現在官行造林事業によらなくても、補助金交付による自力造林によってかなり造林の進展しているというような事実も公有林野の中には見えておりまするし、一応こういうような姿に相なるのではなかろうか。その他の造林手段もあわせ考えまして、この対象になるものはこういう姿になるのではなかろうかということを実は私どもといたしましては推定をいたしまして、こういった事業目標というものを掲げているわけでございます。
  10. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この官行造林実施は、第一次の官行造林というものは当時の行政所管関係があって、北海道に相なるけれども北海道にはたしか実施しなかったように思えるけれども、今日になってはどうなんですか、当然北海道のこともこの対象の中に入って推定されていると思うのですが、その点はどうですか。
  11. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) もちろん北海道地域も例外でなく、適当地に対しましては、内地と同じように実施していくつもりであります。
  12. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで北海道は御承知通り、一昨年でありましたか、大へんな風水害があって、洞爺丸事件の陰に隠れて世間的には必ずしも非常な注意を呼ばなかったけれども、今日やってみればやってみるほどその被害が非常におそろしい結果であって、日本のある意味では林政上の大問題、頭痛の種だと思って私は同情しているのだけれども、そこで北海道はやがて植林という問題を強く取り上げてこなければならぬと思うのです。それと関連して、この公有林野官行造林というようなものを北海道方面に、第一次はやらなかったのであるが、しかし北海道方面に特に強く執行していきたいというような考え方があるのかないのか、この点はどうなんですか。
  13. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) お説の通り北海道森林施策といたしまして、大規模な水害の整備のあとには、相当徹底した造林対策が講じられなければならないということにつきましては、全く私も同感でございます。御承知通り、従来北海道森林はおおむね人工植栽によることなく、天然更新という方式によりまして行われて参った部分か圧倒的に多かったのでございますけれども、あのような無残な姿にまで破壊されました森林生産力の破壊は、やはり造林によって短期間に完了して参るということに相ならなければならぬものだと、かように考えているわけでございます。従いまして、北海道造林問題を今後急速に、しかも大規模に推進いたしまするためには、いまだ十分に確立を見ておりません北方地帯における植林技術というものも、速急に解決されなければならないと思いまするし、そのほか内地需給生産の態勢の確立早目に行なって参らなければならぬ。いずれも今後の問題としてあるやに考えるのでございまするが、その中で一体早急に生産力増強手段として官行造林事業を特にあの地点に大幅に執行して参るかどうかという点につきましては、私どもそこまで目標の設定を明らかにするわけじゃございませんけれども、ただいまの大眼目に従いまして、この手段が相当有効に作用するという見通しがはっきりつきました場合におきましては、そのような点も取り上げて進めて参りたい、かように考えるわけでございます。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 だんだんその点はわかって参りましたが、どうもやはりわからないのは——わからないというのは語弊があるけれども、この法律ではその目的を達しないということがわかって来たのは、問題の水源林造林の問題です。私はこれは第一条の第三号のいわゆる水源造林の一部も付帯してやれるということについては、これを多とするのですけれども、どうも聞いていると、結局はこの方式によって町村あるいは部落有といったものを中心としてやろうという限りにおいては、おのずからこういった一方においてはやりたい、やらなくちゃならぬと言われている水源林造林というものは、何としても付帯的にしかできないという結論、従ってこの法律程度にしかできないと思う。従って私はもう一つ進めて、いわゆる水源地造林というものを取り上げてやっていくという方式というものが新たに出されなければいけないのか、今日はまだそこまではそういった希望はあっても、要はやるという段階、環境が熟していないというのか、この点はどうなのですか。河野大臣お見えになったらこれは聞かなければならぬことなんですけれども、たしか河野大臣が就任されて間もなくでありましたが、水源林造林というようなこと、さらには造林なんというものはただやっていればいいのでなく、だれが得するとかというようなけちな考えでなくて、一つの国の富になるのだからして、それは大いにやったらいいということを林道の開設とあわせて力説をされていた時代がある。その際にはたしか水源林造林というものは特に強調されていたように思うのですが、この問題は結局新たな何といいますか、観点に立たないというと、その水源林造林というものはやっていけない。しかもその水源林造林というものを徹底的にやっていくためには、かねてから問題である保安林というものの制度を再検討をもっとして、それとあわせてやっていくのでなければ、まだその時期ではないというふうに考えておられるのかとは思うのですが、その点はどうなんですか。
  15. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 水源林造成を極力早い機会にやってしまいたいという考え方は、私どもとしましてもお説の通り持っているわけでございます。水源林造林というのは、申し上げるまでもなくいわゆる保安林造林のいいでありまするから、もちろん保安林と言いましても、その制限内容につきましてはかなり広い幅が持たせられてあるわけでございますが、とにもかくにも一般林のごとく自由にふるまうことのできない対象地域における造林である。これはまあ一つの特殊的な事情だと思うのでありますが、それだけに当面の造林意欲というものがなかなかわいてきがたいような対象であるということからして、緊急に造林を必要とするような地帯造林でありながら、なかなかそれが思うように進んでいかないという本質を持っておることは御承知通りでございます。そこで私どもといたしましては、水源林の従来の造成方式でありまするが、森林法の第四十一条におきましてやっておるような方式につきましては、新植林につきましては国、都道府県全額これを負担してやっていくというような、いわば非常に高率な補助方式をとっておるわけであります。そこで一体そういう対象についてどういう方式こそが一番願わしいのか、こういう問題に相なろうかと思うのであります。その場合に現在までとって参りましたいわゆる補助方式によるやり方、それ自体に非常に重大な欠陥があるというようには私どもは考えておらないわけでございます。ただし事柄本質から考えてみまするというと、官行造林といったようなやり方でやるのにふさわしい対象でのる、むしろ官行造林方式でやった方かよりいいのではなかろうかということは考えておるわけでございますが、昨日も御説明申し上げましたように、一応現在の官行造林事業というものは、国有林野事業特別会計の中の一事業としてこれを計画しているという点からの制約も実は受けて参るわけでありまして、水源機能涵養ということになりますと、当然値えっぱなしではいけないのでございまして、その後の保育、手入れ維持管理というふうなものが極力完全に行われることによって水源機能涵養ということが確実にできるものだといった見地からいたしますならば、やはり官行造林事業対象として植栽後のそういった取り扱いについても完全を期するということが願わしい方式ではあると思うのでありますが、しからば一体植えるだけ国並びに都道府県の経費で植えるということになった場合に、そういうような制限内容をもった森林ですからして、その後その所有者は全然手入れをしないということになるかというと、必ずしも主体によってはそういうふうなことには相ならんということで、私どもといたしましては、とにかく両方式を並行してやっていく。しかし主体は従来のような公共事業費による高率補助方式でやっていく。むしろ官行造林方式でやって参りますところは、官行造林方式でやった方が双方ともに都合がよろしいというようなところに限ってやっていく、こういう考え方で現在進んで参るつもりでいるわけでございます。
  16. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると、この審議に上っている官行造林法というものは結局部落有林、従来の法律では取り扱い対象にならなかった部落有林をこんど対象にする、そのうちできそうなやつを対象にする、あわせてそれと付帯してやれそうなところの水源地帯造林についてはこれを対象にしていこうというだけであって、一方における水源林造林というのは従来の方式による補助政策でやっていくより今のところでは仕方がないのじゃなかろうか、こういうことだと思うのです。しかし私どもとしては、さらにこの水源林涵養については一段となんというか、手広くやっていくような発展をしてもらいたいと思うのだから、その線を再々実は聞いている。この水源造林ということになるのは現在保安林でなければならぬのですか。あるいはそれは保安林に新らたに編入することを条件とすれば対象になりますかどうですか。
  17. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 現に保安林でない場合でありましても、保安林とするということで対象になるわけでございます。
  18. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで私はもう一つ心配するのは、従来の保安林というものは、かつて治山事業などをやる場合においては、保安林にすれば治山事業をするといった部面もないわけではなかったわけですね。でありますから、従ってその当時は治山事業が必要であって、そうして保安林にしてもらった。ところが治山事業が成功しまして今日はもうりっぱな山になっている。だから今日からみるというと、なぜそんなところにわずかながらの保安林があるのだろうかという感じがする。そこでよくみるというと、今いったような、当時は治山事業がぜひ必要であって、それをしたがための効果が明らかに出て、そうして今は非常に落ち着いた、保安林というものの必要さえないじゃないかといったような感じの山がたまに見ることができる。そういうような工合に、この造林の恩典に浴するために保安林にしてけっこうだから、これにやってくれという風も出て来るんではなかろうか。皆さんの方では保安林というものの再検討中でありますから、そういうことは今日の段階ではもうないのかと思うけれども、過去には少くともそういう治山事業を通じてあったものだから、私はすみやかに保安林整備という問題をもっと期限を短くして根本的にやっていくという考え方をこの際とるということ、さらには森林法でもすでに問題になっているわけですから、森林法さえも一部変えて、保安林というものの考え方をよく整理していくということ、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
  19. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 実際運用面におきまして、ただいま三浦委員から御指摘のございましたようなことが必ずしもなくはなかったということを私どもも実は承知しているわけであります。そこで、まあそういうことがありますというと、当然私どもの政策目標というものはくずれて参るということは当然でございます。そこでお説の通り、やはり保安林整備という問題の中で具体的にその個所がきめられてこなければならぬ、こういうことに相なってくると思う。現に二十九年度以降進行中の保安林整備事業の中で特に保安施設事業の項目を取り上げております。その保安林整備事業の中で各流域につきまして、具体的にいわゆる保安林水源林の統制をする対象となる予定地がきまって参るということでございまして、それについて計画的に実施して参るということでございます。保安林整備計画は二十九年度から始めておりまして、三十三年度までかかるわけでございますが、明年度におきまして主要な部分は大幅に進行するということになっておりますので、その計画の進行を見計らいながら、ただい津申し上げましたような具体的に指定いたしました個所について事業計画実施して参る、まあこういうことで、御心配のようなことのないように運営して参りたい、かように考えております。
  20. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それに関連しまして、国有林のいわゆる再編成という問題を近ごろ言う人があるのですね。それはああいった藩政時代の藩有であったものを国の財産に召し上げて、そしてできたのが国有林の大体の骨になっている。ところが当時の藩の行政としていついろと姿の変った形式でその藩内の座業をそれぞれやっていた関係から、ある地帯は非常に藩有であったという——藩有の形において山を扱っていたところが非常に多いところがあり、七うでない地帯は藩有という形でなく、他の制限はあるにしても形は藩有の杉でないところがあった。従って地図を開いて見るというと、国有林というものの現在の存在というものが非常に片寄った形になっている。地理的に言うと片寄った形になって、北海道と東北地帯は非常に多い。これに反して西の方に行けば、その産業上に占めていたウエイトというものが小さかったというのか、いろいろの事情があったのでしょう。藩有というものがなかった結果、少なかった結果、国有林というものがまあまばらになった。ところが今日四つの島になった日本から見てこの山林を眺めるというと、風水害等が頻繁に襲ってくる関係もあり、識者の中には広島だとか岡山だとか、ああいう花崗岩地帯であって、ひとたび豪雨が襲えば単なる山の崩壊にとどまらず、それは熟田熟畑を破壊し、さらには市街地を大洪水の前に非常な惨害を与えるといったようなことから、それはむしろ国民全体の責任でその山というものは管理、治むべきではなかろうか、従って単に五割程度を補助する治山事業の補助事業では、ああいった地帯の山林の治まるのはなかなか期待し得ない、従ってそういったところはむしろ日本のいわゆる土地の区分というか、国土の保全という観点から言って、むしろ国が責任を持って治山、植林というものをやっていくのだ、こういう主張がだんだん出てきているのですね。たとえばそんなに遠くに例をとらなくても、この利根川にいたしましても、群馬県は治山事業をやってもらう場合は非常に県としては地元負担が多い、しかしその利益を受けるのは下の千葉、埼玉、東京、こういつた所は特に経済が発展しているせいという事情もあって非常な恩恵を受けている。長野でも同様です。先般私どもの参りました熊野地帯でも水上はいわゆる奈良県、そうしてある程度ああいった比較的手の入らない所では林直が発達していないために、道端は非常に乱暴に切っているせいで、治山事業を必要とするような問題が起きている。それは奈良県が地元負担をしなければならない。しかしそのいわゆる水を治めることによる被害の防除というものによる利益というものは、その川の下の方の府県が、あるいは町村が受けている。だからこれは一つの県でそういった治山事業というものをやるのはまあ大へん負担になる。こういう議論さえある。こういうことがあるのですから、私は国有林の再編成問題を現在の森林状況とその配置から見て考えるという問題も保安林整備とあわせて考えていい時期、考えるべき時期に来たというふうに思うのですが、これについてはどういうふうに思いますか。
  21. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) まあ日本における林業政策の最重要なる問題の一つといたしまして、いわゆる国有林野の再編成と申しますか、こういう問題を取り上げて行かなければならないことはお説の通りだと思うのです。ただいま御指摘いただきましたようなさまざまな事象が現に起っておるという事実をとらまえまして、現在の国有林はこれでいいのかという問題が、端的に言うと、こういう点も実はかなり近年におきましては目立ってきたように思っております。昨年の三月末に失効いたしました国有林野整備臨時措置法でございまするが、これは法制定の趣旨は必ずしもただいまのような意味合いにおいていわゆる林野の再整備をうたっておる、そのことによりまして、民有林野との相互の機能の調整がうまくはかれるようなふうに再整備をするというようなねらいではなかったのでございますが、ただ運用面の進め方といたしましては、孤立団地といったような考え方におきましても、北海道、東北のような国有林野が非常に偏在いたしておりまする地域と、西日本一帯の国有林が非常に少い地域との間におきましては、非常に違った実は運用をいたしたのでございますが、それらの運用面を取りきめます事柄の背後には、やはり国有林野のあり方の地域的な姿というものをある程度描いてやってきたことは事実でございます。現に進行しておる保安林整備臨時措置法によるところの民有林野の買い上げ等にいたしましても、将来かくあるべしというふうに考えられますところの国有林野の再配備の姿というものをおぼろげながらも頭に描きながらも、そういう問題の取り進めを実はいたしておる、こういうような現状であるわけでございまするが、御承知のように現在の国有林野事業特別会計制度をとりまして、一応独立採算制ということを建前にしてやっておりますような関係上、ただいまのような具体的な問題がここに発生をいたして参りましても、果してよくそういうところまで取り込みまして、この事業の責任と負担においてやっていくということになりますというと、なかなかそこにはまあ問題がある。従いまして、現行の方式なり考え方のもとでは、なかなかただいまのような御意見に対する対応策も実は不徹底きわまるものになってしまうというのが現状でございます。今回の保安林整備の問題に関しましても、たとえば富山県の常願寺川の流域というものは、御承知のように非常に大規模な崩壊地がございまして、当然国でもって徹底的な施策をいたしまして、あの流域保全を考えるということが当然である、こういう考え方も実は成り立つのでございます。今のような仕組みの中でそのようなものまでかかえ込んで参りまして、国有林野事業としてやって参るということにつきましては、なかなかむずかしい問題にからまれて参る、こういうような事態でございまして、ここではなかなか結論を出し得ない面も多々あるかと思いますが、将来の方向といたしましては、ただいま御指摘のような点を十分に考えて、すみやかにその結論を得るように努力すべきである、かように考えております。
  22. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この官行造林法を見ますというと、民法二百五十六条はこれを排除しておる、当然だと思うのです。同様に私一つ最近問題になるのは、地方自治法の何条でしたか忘れましたが、最近は町村対象として今後は民間もですね、木材産業に非常に関連の多いたとえばパルプとか鉱山とかいうところが、自分の経営のために町村等と部分林をいわゆる分収、この官行造林と同じような考え方から分収歩合で契約しておるのでありまして、この分収歩合で契約をしておるその市町村は、今の現行法でいけば、こういう住民の権利に属することを十年以上長い契約をしてはならない、現にしておるものは昭和三十二年かにその効力は失うのだという条項があるはずです。で、この問題は、実はこの官行造林の精神とあわせて今日国と同じような考え方、つまり植栽すればおそらく七分五厘程度の、植えたもののそろばんからいうととらなければ経済的にはうまくない、それでもようようだというような造林事業をみずから五分でがまんしておる。そして地代として地元町村等に半分上げます、収穫時において半分上げますという契約をしておるのだから、実は国土緑化の関係造林促進の関係からもこれは排除すべきものじゃなくって、この官行造林とあわせてそのことが正当に行われるのであれば、むしろ進めてもいいんではなかろうか。そういうものと両々相待って国の緑化というものを進めていく一つの方法じゃないか。従って今の自治法に盛られている条項ですね、それをすみやかに政府としては削除するなり、新たにその点の心配なく契約ができるような形に持っていくべきじゃなかろうか、こういうふうに思うのです。これは国の官行造林に相対して、民の民行造林といいますか何といいますか、特殊契約に基く分収造林でありまして、これはぜひ安心させたい、この機会に安心させるべきだと、こういうふうに思うのですが、どうなんですか、政府は。
  23. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいまの規定が地方自治法の中にあることにつきましては、私もよく承知しているわけでございますが、近く地方自治法の改正の機会があるやに聞いておりまするので、そういった際に修正意見として織り込もう、かようなふうに考えております。  それからただいまのいわゆる木材を資材として大量に消費いたしまする産業が、いわゆる資材入手の安全化を高める意味におきまして、町村等との間に分収契約に基く造林実施している、要するに産業保護林的なものとしての造林実施しているというような現象は、近年ある程度進んで参っているようでございますが、私どもといたしましては、そのような造林の進め方というものを、さらに推進していくべきものであるかどうかということにつきましては、相当検討を要する余地がある、かように考えております。
  24. 森八三一

    ○森八三一君 私は森林行政についてはあまりよくわかりませんから、今度の改正は官行造林対象部落林野と水源林に拡大をするということのように承知をしておりますが、そこでこの法律の第一条の三号で、国土を保全する意味から水源林造成していく必要があるということは私も痛感しますが、にもかかわらず前の二つとあわせて行う場合だけに限定されておる。これで水源林造成涵養ということは、果して現状で目的を達するかどうか、これはこうしぼる必要はないのじゃないがという感じを強く持つのですが、特に法律の第三号でこういうふうな制限を加えられました事由はどこに存在するのか、これは先刻お話のありましたように、一面に補助事業として一般民有林には制度があるのだからということだと思うのでありますが、それでは目的を達し得ざる部分が相当にあるのじゃないか、現実に。そういうものを放置するということは、こういったような機構の改正をおやりになる趣旨とは非常に遠いものが存在することになるのですが、それはどういうふうにお考えになってこういう制限をされているのか、その気持を一つ
  25. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいまの御質疑の中にも御説明申し上げましたように、たしかに水源林をすみやかに造成しなければならないような対象地に対しまして、造林実施する方式といたしましては、官行造林による方式というのが相当適切な方式じゃないかということにつきましては、私どももそういうように考えております。従いまして、それならばただいまの御質疑のごとく、何も制限をしないでずんと取り込んでいいじゃないか、こういう議論が当然出てくるかと思いますが、私どもといたしましては、現在普通林に対しまして補助金を交付いたしまして、自力で造林をしておる、これがいわゆる普通林造林の根幹となる造林方式でございますが、その場合におきましても、いわゆる新植費だけにつきまして、国と地方で四割の補助を出して、あとの六割に相当する部分は自力でやっておる。こういう状況でその後の保育、手入れ、その他の維持管理というものは、あげて森林所有者がやっておるわけであります。それで実はただいま御説明申し上げました国が三分の二と、都道府県が三分の一を持ちまして、いわゆる新値に関する限りは全額をもって水源林造成を公共事業としてやっているという実態があるわけでございまするが、そこで特に水源林ということになりまするというと、その後のやはり保育、手入れ維持管理というものが水源木の機能を付与しまする上に相当大きな役割りを持つものだということは、私どももそのように考えております。それはあくまでも国がみずからの官行造林事業対象としてかかえ込んで、国の手でもってその段階までのことを一切やらなければ、その所有者では全然やれないような対象のものばかりかというと、必ずしもそうではなくて、もちろん保安林ということになりまするけれども、将来に向って伐採に関する制限の行われる制限内容というものは、相当程度の伐採許容のある段階から禁伐のごときものまであるわけでありまして、それは対象地の状況によって非常に違ってくるわけでありまするが、保安林といえども必ずしもそこで収益が期待されぬというわけではないのであります。水源涵養保安林におきましても、もちろん制限はありまするが、間伐等の方式も認められているわけでございまして、一切の経済活動等が拘束されるというわけではありませんから、従いまして、新値の場合について普通林とのバランスのとれる補助方式がとられている場合におきましては、普通林の場合に考えられておりますと同じような、対象部分によりましては森林所有者みずからが必要な保育、手入れ、維持、管理をやって参るということが十分可能であるし、そういうふうにやってもらえる対象も現に十分あると、こういうふうに考えまして、それならばあえてそのような方式というものを私どもといたしましては、この段階において否定をする必要はもちろんないわけでありまして、むしろ従来までやって、ある程度の成果をおさめているという事実もありまするからして、それはそのままに残して、むしろこの段階ではこれを一つ根幹にしておく、ただし今回の改正によりまして、従来のいわゆる市町村有林のほかに部落有林までも拡大できるようになったということに相なる。さらに先の三十万町歩計画の中では、いわゆる水源林造成というものを意識的に取り入れていくという考え方をしなかったのでありまするが、この機会に拡大をいたしまする三十万町歩目標の新しい造林計画におきましては、普通林的なもの、水源林造成的なものというふうなものをある程度意識いたしまして、取り上げているというような経緯からいたしまするというと、やはり市町村有林並びに部落有林で、いわゆる水源林造成対象になるものが官行造林事業として行われるということがはっきり出て参る。そういった場合にそれに近接している、あるいは介在しているというものが、ただ私有林であるということだけでぽつんと穴があくというようなことは、むしろ実態の森林としての水源機能涵養というような考え方からいたしまするというと、必ずしも適切ではない。しかもその場合に、一緒にやるという私有林はこれまた契約でやっていくということになりまするからして、むしろ相手方に選択の自由があるわけでございまして、それで自分の方は資金関係その他手間ひまの関係からいっても、一緒にやってもらった方が好都合だというような場合には一緒にやる、そうして一緒にやること自体が国の方としても効果を達成する上にけっこうであり、なおかつ管理の上からいいましても、いわゆる一体の管理の中の部分でございまするからして、いささかもそのために経費の掛り増しというようなことでもないというように考えるわけでございます。  もう一点は、何といいましても国有林野事業特別会計の中でやっておりまするので、従いましてその方面からの資金的な制約も出てくる、従っていかにこれの方がいいといいましても、この段階で急速に全部をかかえ込むようなやり方にはなかなかなし得ないのじゃないか、こういうような制約もあって、主体はどこまでも公有林野であり、それとあわせてやることが適当だというふうに考えるものをやって参る、こういうふうに押えておるわけであります。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 今の説明では私まだ理解いたしかねるのですが、予算とかそういうような制約から起きてくる現実のそごというものは理解できますが、原則論として水源林涵養が非常に大切である、その場合に今回の改正によって拡大をする場合に、得にこのことに関してこの一条の三号があわせ行う場合だけに限定をしておるということは、どうも今の御説明では理解しかねる、ただ補助事業が別個にあるから、それはそれとしてやっていくのだということであれば、この法律改正はあくまでも公有地だけに限定すべきなので、一般にまで拡大を考えられたことは、既往の補助造林というととでは十分に目的を達成し得ざる部分があるという現実をお認めになったからであろうと思うのです。だとすればあわせ行うということにしぼらなくて、そういう単独な存在についても施行されてしかるべきであると思うのです。それが今の御説明でどうも私納得ができない。そこでそれに関連して、それじゃ一体その水源林造成涵養をしていくために、補助造林の方が効率的といいますか、効果的とみるべきか、官行造林の方がそういうふうに考えられるのか、実際どっちが効果的であるかという問題をどうお考えになるのか。
  27. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 長官一つ答弁を要点を簡単にお願いいたします。
  28. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 補助造林の場合におきましては、新値だけをいたしまして、あとは所有者にまかせる、百行造林の場合は新植後の維持管理も全部国の方でやるということになりまするので、両者の方式を比較いたしまするならば、水源造林の場合にはやはり官行造林でやるということがより適切な方式だということははっきりと言えると思います。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、今言った三号にしぼった理由というものは非常に薄弱になってくるのですが、今予算等の制約からこういうようにしたという趣旨では、法律としては不満足のものであるというように私は理解するのですが、もう少し何か根拠を御説明願いたいと思います。
  30. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 議事進行に関して。——お願いだが、きょうは大臣が病気に急になったというので、予算の方でも農林大臣がいないから政務次官を要求しているんだが、もし皆さんの御了解を得られるならば、政務次官の方は予算の方へ回ってもらうし、この法案を上げるに重大だからここにとめおくということになれば、また私はそのことを予算委員長の了解を求めるということになると思うのですが、一つ政務次官は予算の方に回ってもらって、またあとで来ていただくように皆さんの御了解を願いたいと思います。
  31. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) ちょっと速記をこめて。   〔速記中止〕
  32. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 速記を始めて。今池田委員の御発言になりましたように取り計らうことにいたします。
  33. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) 私どもの考えといたしましては、公有林野宮行造林法というものを全面的に白紙にかえしまして、全部新しい出発点から立て直すという場合には、ただいまの森先生のような考え方も当然取り入れられる考え方であるというふうに考えるのでございますが、あくまでも本体は公有林野官行造林事業の分野におきましては、部落有林まで取り入れていくということを考えたいということでやって参りましたような関係上、付随的に私有林水源林までを取り入れておるという限度でやっておるわけでございます。  それから一つには、三十万町歩計画というものを実施して参るわけでございますが、これをやって参ります上には、やはり国有林野事業特別会計の今後の収支見通しというようなものの中でやっていくという前提に立ちますと、なかなか大幅に取り入れていかれないというような見通しからいたしまして、その程度に限定せざるを得なかったというような事情があるのでございます。
  34. 森八三一

    ○森八三一君 まあくどく質問いたしませんが、私は国土の保全ということが非常に重要であると思うので、そういう意味から森林行政の重要性を痛感しておる。幸いにその重要な部分として水源林造成涵養が取り上げられてきておる。このことは非常に僕はあらゆる施策に優先して強力に推進されなければいかん事態にきておるのじゃないかということを、年々歳々の災害を見るにつけて思うのであります。その場合にここに一歩を官行造林の範囲を水源林涵養の場合には民有地も拡大をするという線に踏み切った限りにおいては、あえて第三号のごとくにしばる必要はないのである。あわせ行う場合もありましょうし、単独の場合もありましょうし、いずれの場合といえどもその精神が貫かれていくということがなければならぬと思う。ところが予算の面から制約を受けられることが起きますことは、これは国費の関係でやむを得ません。しかしその趣旨としてはその趣旨が満たされるということでなければなりません。もしそういうような単独のものは補助事業でいけるのだという御確信があるならば、これは私は今の私の説は取り消してもいいのです。私のところでは補助事業ではいけないところが単独の際あるなんということを聞いておるので、くどく申し上げるのでありますが、そういうふうにお考えになりませんかどうか、結論を聞きたいと思います。
  35. 石谷憲男

    政府委員石谷憲男君) ただいま予算の点だけを申し上げたのでございますが、これはやはり現在の公有林野事業を預っておりまする営林局署が直接の維持管理の衝に当って参りますので、これらの管理能力というような点から考えましても、確かに水源林造成のために必要な造林地を求めまする場合でありましても、一応私ども契約対象は五十町歩以上まとまったものであることを要望しているわけです。これらのことも実際見ますと、本質とは多少違った基準の置き方であると思うのでありまするが、ただいま申し上げましたように、現在の管理能力を利用するといったような制限もありまする関係もありまして、そんなことにいたしているような事情でございます。従いまして、この段階の取り扱いといたしましては、大体公有林野とともにやるという程度にこの私有林の場合には限定させていただきたいというのが私どもの考えであります。
  36. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  37. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 速記つけて。  他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べをお願い申し上げます。  発言者がないにつき、別に御意見もないようでございますが討論は終結したものと認めます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。公有林野官行造林法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成のお方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  40. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 全会一致でございます。本案は全会一致をもって原案捕り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他の手続等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。  なお本案を可とされる方は順次御署名をお願いいたします心   多数意見者署名    青山 正一  三浦 辰雄    秋山俊一郎  池田宇右衞門    関根 久藏  小西 英雄    横川 信夫  河合 義一    河井 彌八  溝口 三郎    森 八三一  千田  正
  42. 重政庸徳

    委員長(重政庸徳君) それではしばらく休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。   午後零時五分休憩     —————————————   午後二時五分開会
  43. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) ただいまから委員会を再開いたします。澱粉及び大豆等価格支持の件を議題にいたします。かねてこの件について、澱粉に関して森委員から、また大豆に関して千田委員から発言を求められておりますから、この際順次御発言を願います。なおこの点についてただいま政府からの出席者は、農林大臣官府総務課長檜垣好文君、農業改良局総務課長庄野五一郎君、食糧庁長官清井正君、それから通商産業省からは通商局の次長樋詰誠明君が見えておられます。
  44. 森八三一

    ○森八三一君 私はただいま議題になりました澱粉の問題で食糧庁長官にお尋ねをいたしたいと思うのです。私ども承知をしておる数字によりますると、終戦後の昭和二十三年度における澱粉の生産量はおおむね四千三百万貫程度であったのが、政府の非常な努力と関係農民諸君の尽力によりまして、年とともに澱粉の生産量は上昇の一途をたどっております。食糧が非常に困難な情勢下におきまして、まことに喜ぶべきことであります。幸いに昨昭和三十年は天候の幸いにも恵まれまして、一億三千万貫以上の生産がみられたように承知をいたしております。こういうような情勢はすでに昨年の十月、十一月当時におきましても予測のできたことでありますので、たしか昨年の十一月の当委員会において、清井長官にお尋ねをいたしたと思うのでございますが、こういうような情勢になって参りますと、需要供給の関係が相当重大な様相を示すであろう、そこで成立いたしております重要農産物価格安定法の完全な運営が期待されなければならぬ、これについて当局としてはどういうようにお考えになっておるのか。私はその当時、昭和二十九年産澱粉買い入れが予算の面で十四億あり、予備費が十四億程度ありますので、とりあえずこの二十八億の既定予算を完全に活用して問題に取り組んでいただきたい、しかしながら予算の説明によりますと、昭和二十九年産の澱粉買い入れというような説明がついておりましたので、当時臨時国会を開くというような情勢でもありましたので、もし予算の説明等からいたしまして、昭和三十年産の澱粉の買い入れができないというようなことでありますれば、非常に憂慮すべき事態が発生するであろう、こういう関係はどうであるかという質問に対して、十月末日に政府買い入れ価格を告示し、その原料となるべきカンショ、バレイショ等の基準価格につきましても、一応法に基いて支持をされたわけであります。その支持の省内における御協議に際しまして、大蔵財務当局との間にも完全な了解が成立して、昭和二十九年産となっておるが、昭和三十年産の買い入れにこれを使用しても差しつかえないという親切な処置をとっておるというお話を聞きまして、非常に安心もし感謝もいたしておったのでありますが、その後だんだん情勢を見ておりますると、申し上げまするような、おそらくこれまた有史以来の大増産という情勢でありまするために、せっかく原料カンショの価格を支持するに、妥当であろうと政府が確信をせられておりまする買い入れ価格、もちろんこの価格につきましては、私としてもその当時議論いたしましたように、問題は残っておりますが、一応そういうような政府の方でお考えになっておる価格をすぐに維持し得ざる状況に置かれておることは御案内と思いますが、これに対処いたしまして、どういうような措置が講ぜられておりまするのかをまずもってお伺いをいたしたいと思います。
  45. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまのお尋ねの本年の非常なカンショ、バレイショ等の生産に基く澱粉の生産の増量、これに関連いたしますところの価格の支持に関しましては、ただいまお話しの通り先般の当委員会におきましても、ここにおいて御質問があり、私もその当時ただいまお述べになりましたようにお答え申し上げた記憶がございますが、この農産物価格安定法が実施されまして以来、御承知通り一度も実は買い上げをいたしたことはなかったのであります。ところが本年はただいまお述べになりましたような事情で、本来のこの法律の目的達成のために買い出動をいたさなければならないということに当然相なって参ることは私ども予想をいたしておったわけであります。実は三十年産のものにつきましては、例年はむしろ翌年の四月ごろから買うということにいたしておったのでありますけれども、本年は特に生産の状況も非常によろしいということでありますので、二月早々から買い始めることにいたし、すでに三日前に買い入れを実施いたしておるような状況であります。価格等につきましては・すでに御承知通り生産が非常にふえております関係上若干前年度よりも下っておりますが、適正なところにきめまして、なおそのほかに地域別の買い入れ場所等につきましても、生産者等の御意見も十分聞きまして、今までは消費地に場所を限っておったのでありますが、今回は産地等にも買い入れ場所を広げまして、買い入れをしやすくいたして参っておるのであります。三十年の予算におきましては、御承知通り補正予算におきましては、カンショ澱粉は五百九十六万貫を買うことにいたしておるのであります。バレイショ澱粉は二百四十五万貫、切りぼしは二百三十三万貫を買うことにいたしておるのでありますが、これは御承知通り補正予算でございますので、三月までの買い入れ数量でございます。四月以降も引き続き買うことといたし、三十一年度の予算におきましては、カンショ澱粉は七百七十万貫を買うことにいたしておりますので、合計カンショ澱粉といたしましては千三百六十六万貫を買うということに予定いたしておるのであります。バレイショにおきましては同様に三十一年度において二百九十万貫を買うことにいたしておりますので、補正予算と合計いたしまして五百三十五万貫を買うことにいたしておるのでありまして、カンショ澱粉、バレイショ澱粉合計いたしまするというと、約千九百万貫を買うことにいたしておるのであります。切りぼしにつきましては、三十一年度の予算におきまして三百十万貫を買うことにいたしておりますので、補正予算と合計いたしまして五百四十三万貫を買うことにいたしておるのであります。当初は二十九年産のものを予定いたしておったのでございますが、ただいまのお話しの通り本年度の予算におきましては本年度産の澱粉を買う。会計年度といたしましては本年と来年度にまたがって買うということになるわけでございますが、そういうようなことでただいま申し上げたようなバレイショ澱粉、カンショ澱粉合計二千万貫近く、切りぼし五百四十万貫というものを実は買うことにいたしているのであります。ただいま申し上げました量を三日前より買い入れの実施をいたしておるような状況でございまして、また買い入れ場所等につきましても、ただいま申し上げましたように、なるべく広げまして、農民の政府に対する売り渡し並びに団体に対する売り渡しの便宜になるように極力努力をいたしているつもりであるのであります。
  46. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまのお話によりますと、昭和三十年度予算で五百九十六万貫ですか、を買い入れの措置を講ずる、三十一年度予算で七百七十万貫、合計千三百六十六万貫のカンショ澱粉の政府買入れ計画を立てている。それからバレイショの澱粉で本年度と三十一年度産と合わして五百三十五万貫ということでございますが、その前段の方の五月までの昭和三十年度に計画されているカンショ澱粉の五百九十六万貫とバレイショ澱粉の二百四十五万貫ですか、これを考えますると、政府の告示されております買入れ価格から考えますると、おおむね十四億という当然の予算の範囲内において措置をするというように私は理解をするわけでありますが、その当時私も意見を申し上げましたように、非常に増産が期待をされている、これを放置すれば非常な問題が惹起するであろう、今年こそ制定以来初めて農産物価格安定法がその趣旨を具現すべきときであろうと思うので、そういう線に沿って十分な善処を希望することを申し上げておったのでありますが、それに関連して予備費−を使うということをも含めて私は申し上げておったのでありますが、そういう措置が考えられておりませんことはどういう関係なのか、その辺をもう一ぺんお伺いいたしたいと思います。
  47. 清井正

    政府委員(清井正君) 御承知通り農産物、すなわちただいまお話しの農産物の買い入れは、農産物買い入れ費という食糧管理特別会計に項を設けまして、それによって買い入れております。従いまして、カンショ、バレイショ、切りぼしと書いてありますけれども、これは一応の配分でありまして、農産物の買い入れ費によって処理をいたすことにいたしているのであります。また特別会計の本来の性格上款項の流用ということは大蔵大臣協議すればできることになっておりますので、その辺の特別会計としての業務上の流通性は若干あることになっているのであります。予備費は御承知通り組んでございますが、これはほんとうにやむを得ざる場合の予備費でございまして、すぐ初めからこれを使うということに計画的にちょっといたしかねる次第もございますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような数字を基礎として実行に移っているのでありますが、予算はむろん本年の予算と来年と分れますが、実行はずっと続くわけでございますけれども、今後の事情に応じてやはり本法律の目的達成のためにはやはり必要な数量はどうしても買わなければならぬことになるかもわからないのでございます。私ども予算を立てます建前といたしましては、やはりある一定の数字を計上いたしまして、ある程度買いますれば目的は達するであろう、こういうふうに考えて一応計上したようなわけでありますが、その辺は一つ御了承を願います。
  48. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、諸般の買い入れ事務手続等もありまして、ただ予算があるからすぐ効果が出るといりわけじゃなし、漸次両年度にまたがって仕事を進めていく、その仕事の進行に従いまして、昭和三十年度の予定といたしましては、当然の予算の範囲内で一応考えて、昭和三十一年度にも、今審議中の予算が成立いたしますれば、当然の予算が決定するわけでありますので、それをもって措置をすると、その見込み額がお話のように約千九百万貫程度になる。が、しかし、そり措置をもってしても、なおかつ重要農産物価格安定法にいう趣旨が達成せられません場合には、昭和三十一年度り予備費その他を割り振りをして、重安農産物価格安定法の趣旨が達成せられるように努力をするという計画を持っておる、そういうように措置をする心構えだというように私どもは今の御発言を理解するのでありますが、そういうように理解いたしましてよろしいのかどうか。今の長官の御答弁でよくわかりましたが、重ねてその点を明確にしておきたいと思います。
  49. 清井正

    政府委員(清井正君) お話の御趣旨は、私どもその通りに考えておるのであります。ただ、この予算に計上いたしてありますのは、あくまでも見込み金額であります。さりとて、私どもといたしましては、予算に計上いたしますからには、この予算の数字によって目的が達成されるものということで予算を計上していることは、御了承願いたいと思うのであります。当初より、全然この数字が非常に不安定なもりだということは、申し上げられないのであります。私どもといたしましては、この四月以降、四月、五月ごろにわたりまして、政府の買い入れを継続することによりまして、当初の目的は達成し得るものと考えておるのでありますけれども、もしもこれが不十分でのるということがその後の事態によって判明いたしますれば、やはり本法の目的を達成するために必要な措置どうしても講じなければならぬものと与えておるのであります。その際におきましては直ちに予備費ということになりますが、これはちょっと予算技術上の問題がございまして、あるいは農産物の買い入れ費、たとえば切りぼしの買い入れ費の予算でもってバレイショ澱粉、カンショ澱粉が買えるわけであります。そういう措置を講ずるには、ほかの金を一時流用して買うということも考えられるのでありまして、直ちに予備費ということは考えられないのでありますが、私どもの考えとしては、この数字で一応目的は達成されるものとして予算を計上してありますが、かりに目的が達成せられません場合には、追加買い入れその他の措置によりまして、本法の目的を達成するに必要な措置を当然とっていかなければならないのではないかと私どもは考えております。
  50. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話、非常によく了解いたしました。私、予備費ということに、今までの話の関連上、限定して発言をしたのでありますが、これは必ずしも私の言っておる精神は予備費という意味ではないので、食糧買い入れ費の中に、カンショ澱粉、バレイショ澱粉、カンショ切りぼしというように、イモの問題だけをあげましても三種類あります。それぞれ生産数量とにらみ合せて内輪の計画をおきめになっておりますが、その相互間においての融通は、実際仕事の進行に従って、適切に実態に合うように措置をするということであります。また当然そうなければならぬと思うのであります。その場合に、品目別相互間において必ずしも買い出動をしなくても、法の精神は   〔理事三浦辰雄君退席、理事重政庸徳君着席〕 生きてくるような事態が発生する場合には、その部分の見込み金額は過剰になる、それが他の方へ使われるということで、全体的にお考えを願いたいと思うのであります。そういうような措置を全体的に講じましても、なおかつ法の趣旨が達成せられぬという最悪の場合、これはもちろん予算をお組みになるのにはあらゆる角度から検討しておやりになっておりますので、計画通りその実効が出てくることを私どもは期待いたします。しかしながら、これは見込みでありますので、見込みが狂ったという場合には、最後の段階において予備費を使用してでも趣旨の達成を考えていくのだという気持は、今の言葉で十分私は了解いたしましたので、そういうようなことに一つ取り運んでいただきますことを特にお願いを申し上げまして、もし今そういうように私が理解することに間違いがあれば、もう一ぺん御訂正を願ってようございますが、そうだとすれば、もう御答弁は要りません。既定の計画通り進めていく、そうして相互間における融通はその実態に即して考え、なおかつそれでも十分に目的が達成し得られないという具体的事実の発生した場合には、予備費あるいはイモ以外の他の買い入れ費というものを使用して趣旨の透徹をはかるのだという措置をするということに、私は理解いたします。そういうように一つ御進行いただきたいという希望を申し上げておきます。
  51. 千田正

    ○千田正君 私は大豆の問題について長官にお尋ねしたいと思いますが、昭和三十年度の大豆の需給計画と輸入計画、私の手元に入って来た資料によりまするというと、大体年間の需給計画からいいますと、年間需要量が八十五万四千トン、国内の出回りの見込みとしては二十一万トン、外国からの輸入量六十四万四千トン、そのうち二万五千トンをいわゆる大豆かすとして考えており、丸大豆としては六十一万八千トンというものの輸入の計画があったように考えますが、実際三十年度の通関手続を終ったものが八十万六千トンになっておりますが、これは私のところに入ったこの資料は長官の方の関係資料とは変っておらないものでございますか。
  52. 清井正

    政府委員(清井正君) ちょっと、私ども具体的な数字をただいま手元に持っておりませんですが、大豆の需給計画はただいまおっしゃった通りだと私は思っております。若干数字が違っているかもわかりませんが、大体国内を二十一万トンの出回りと見まして、外国からのまる大豆が六十四万幾らと計算をいたしておりましたが、まあ、かすを入れて六十六万トンという計算をいたしておりますが、大体お話の通りだと思っております。通関の方の数字につきましては、私ちょっとただいま持っておりませんが、おそらく需給計画はそうでありましても、前年度の繰り越しがございます。同時に、また今年から来年に繰り越されるものがございますから、計画と実際の輸入との関係で、おそらくそういう数字が出ているのではないかと私は考えているのでございますが、計画といたしましては、ただいまお述べになりましたような形になっているわけであります。
  53. 千田正

    ○千田正君 それで前年度の繰り越しがあるのじゃないかというようなお話ですが、二十九年度通関したものが五十万トン、私のところの資料では五十万七千トンでありますので、三十年度は八十万六千トンとしますと、少くとも二十九年度よりは三十万トンもオーバーして輸入している。こうした輸入した大豆の問題が国内大豆の生産に非常に影響してきたのじゃないか、こういうふうに私は考えられるのであります。というのは、御承知通り、昨年ある程度豊作であったとしましても、年末あたりの状況を見まするというと、すでに石当り三千円を切って売られている。生産農家としましては、どうしても原価の三千二百円、この辺の価格の安定を維持しで売らなければ、やっていけない。ことに、御承知通り、山間地帯である、あるいは水田のない所の畑地の農産物としては、先ほど森委員のおっしゃったように、イモ類であるとか、あるいはこの大豆というものが山間地帯農産物の大宗をなすものだというふうにわれわれは考えているのであります。表で見ましても、全日本の立場から見ましても、大豆の生産面積というものは四十三万三千町歩、戸数にして四百六十六万三千戸というものがこの大豆生産に従事している。一番価格の変動によって特に影響をこうむるのはいわゆる開拓農民であります。ということは、御承知通り、開拓地は荒蕪地をようやく耕して、そうしてそこにジャガイモであるとか、あるいは大豆とかいうものを、一年のうちの収穫の目標としている。それが一定の価格というものを標準にして考えながらやっておったのが、それが値下りが来た。そのために、十分なる農家の経営経済が立っていかない。これを何とかして維持していかなかったならば、こうした僻陬におけるところの開拓農民であるとか、あるいは水田も持たないところの畑作農家に対しては、非常に農家経営に及ぼすところの影響は大きい。これに対する対処方針をどういうふうに持っていくかという点を、私は長官にお伺いしたいのであります。  というのは、今最初私がお尋ねしましたように、六十万トンくらい輸入すべきものを、すでに八十万トンも通関しておる。税関を通っただけでも直ちに市場に影響することは、これは当駅商人であればすぐにわかることでありまして、その影響がまあ農家の軒先の売買にまで影響してくる。こういうような循環性を持った、ことに国際マーケットとつながりのあるところのこうした食糧品の輸入計画というものは、国内におけるところの生産農家に及ぼす影響は非常に大きい。これを農家の経営の面からいって、価格を安定しながら、そうした農家の生産を向上さしていく方法を考えなければならないとわれわれは考えるのですが、これに対して長官のお考えはどういうふうにお考えになっておられるか。三十一年度も同じように、相当量の輸入計画をされていくつもりかどうか。そうしてそうするならば、当然国内におけるところのこうした大豆生産の価格に対しても影響を及ぼすはずでありますので、それに対するところの対処方針というものをどういうふうに立てられておられるか、この点を伺っておきたいと思います。
  54. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまお話しの国内大豆の農業経営、特に開拓地農業経営の重要性から考えて、輸入大豆との関連についてのお話がございましたが、ただいまお話のありました通り、特に東北、北海道並びに開拓地全般にわたりまして、大豆の生産の農業経営に及ぼす影響はきわめて大きいということは、私ども十分承知をいたしておるのであります。特に開拓地の大豆生産のごときは、三十年の統計によりましても、全体の八七%という統計になっておりまして、非常に及ぼすところは開拓地に大きい。しかも開拓地といたしましては、換金作物といたしましては、ほとんど唯一に近いものであります。これの経営に及ぼす影響はきわめて甚大でありますことは、ただいまお話のありました通りと考えるのであります。  ただ、これがただいまお話しの通り、国内出回り二十一万トン程度に対しまして輸入が六十万トン以上でございますから、国内の出回りの三倍以上のものが入っておるということでありまして、しかもこれはただいま、御承知通り、割当制を原則としてやっておりますので、油脂及びみそ、しょうゆ、その他の丸大豆業者との間に外貨をちゃんと分けまして輸入をさせるというのを原則といたしておるのであります。そういうようなことで、年々輸入量はふえて参ってきておるのであります。一方また、みそ、しょうゆ、油、その他の大豆の需要もまた年々ふえて参るというようなことでありまして、われわれといたしましては、明年の計画につきましては今はっきり申し上げられませんけれども、そんなにことしの大豆の総輸入高を減らすというわけにはいかないのじゃないかというふうに私ども考えておるのであります。あるいは若干ふえはせぬかと考えております。ただ問題は、ふえるにいたしましても、国内大豆との関係を十分調整する必要のあるというところに問題の要点があるのじゃないかと思います。お話の通りであります。  実は、御承知通り、昨年の春までは国内大豆は、外国の輸入大豆に比べまして、相当割高になっておったのであります。千円以上の開きを持っておったのでありますが、それが急激に昨年の秋ごろから国内大豆が下って参りました。と申しますのは、御承知通り、主として中共大豆が入って参りまして、中共大豆の品質が国内の丸大豆のものと大体似ておるのであります。こういったような意味においても、品質的な競合があったということが一つ。それから外国大豆の割り振りが丸大豆の輸入業者に相当多く割り当てられたということもあるのじゃないかと思いますが、そういうようなことによって非常に国内大豆の値下りをいたしました。ほとんど国内大豆の競合関係は、価格の面におきましても、御指摘のように、三千円を割るようなことになりまして、非常な重大な問題になって参ったのであります。  当時私どもいろいろ相談をいたしまして、すでに御承知通り、残余のワクが少し残っておりますので、それをとめますとか、あるいは一時買い入れましたものをえさ用にか、えるような措置をするとか、あるいはいろいろな措置を講じて参って、できるだけ国内大豆の価格維持に努めて参ったのであります。また最近におきましては、すでに御承知通り、開拓関係の方々の持っております大豆をとうふ用に回すことにいたしまして、相当の高値と申しますか、大体二万四千俵の開拓連扱いの品物をとうふ屋の店先で三千三百二十五円で渡すように、役所であっせんをいたしたのであります。従いまして、岩手三等のものもございますが、農家の庭先で約三千円でございます。そういうことで開拓連の二万四千俵は一応さばけたのであります。そういうようなわけで、私どもといたしましては、ただいま手持ちしておりますものをさらに販売あっせんいたしますとか、いろいろなことを講じて、できるだけ国内大豆の価格維持に努めて参っておるわけであります。  そういうふうにいたして参っておるのでありますが、ただいまの御指摘にもありましたごとくに、さりとて輸入大豆をそんなに急激に減らすことも、油なりかすなりの需要の面からして、そう簡単に減らせない。そういうものとにらみ合わせて、国内大豆の価格維持について一体どういう考え方をとるべきかということが、きわめてこれは重要な問題であり、私ども農林部内におきましても常に検討を重ねておるところであります。いろいろな方法が考えられると思うのでありまして、ただ問題は、御承知通り、国内の流通分の三倍に近いものが外国から入ってきて、やっと需要を満たすという特殊なものでございます。ただいま森委員のお話にもありましたが、カンショ、バレイショと事情が違っておりまして、相当のものが外国から入ってくる事情がありますから、それとの関連において外国から入ってくる大豆をあわせ考えて参りませんと、国内大豆の価格維持もできないということでありまして、両方を勘案いたしましてこの施策を同時にいたさなければ、なかなかできないというように考えておるわけであります。従って、これは単に農林省だけの問題じゃございませんので、ただいま御指摘の問題につきましては、どういうふうにいたしますれば国内大豆の価格を適当なところに維持することができるかどうかということについて、せっかく各方面の意見をあわせまして検討いたしておる最中であります。今ここで直ちに、こういうふうにいたしますということを申し上げられないことははなはだ遺憾でございますけれども、とにかく国内大豆の価格維持ということは、きわめて緊要だということはよくわかっております。そのためにはどうするかということを、ただいま申し上げたような種々の観点から、ただいま検討いたしておる最中であるというふうに申し上げる以外に、ただいまのところは申し上げられないのであります。かような需給の今日の事情であります点を十分一つ御了承願いたいと考えております。
  55. 千田正

    ○千田正君 今検討中だとおっしゃるのですが、もちろん検討していただかなければならないし、あらゆる点を考えていただかなければならないのですが、一つ、私はこれは応急対策としては、通産省との関連のもとに考えられる問題が一つと、それから恒久対策として、たとえば価格安定法の中の対象として大豆を取り扱うかどうかというような問題もあると思います。ただ野放しにしておったのでは、これはまた、ことしの収穫期においてまた同じような問題を繰り返す。一つか二つか、ともかく恒久対策を、それから緊急対策を二つくらい、何か施策を持っておられると思いますが、それは発表できませんか。
  56. 清井正

    政府委員(清井正君) 応急対策と申しまするか、何という言葉を使っていいかわかりませんが、ただいま申し上げたような大豆の手持ちのものにつきまして十分はかすことを考えまして、とにかく庭先三千円ではくことができるということは、とにかく私はそう低い価格でないと率直に思うのでありますが、とにかくそういうことで、とうふ屋が全部引き受けるということになりましたので。しかもまた四万六千トンばかりのまだ残っておりますものを押えておる状況であります。そういうことで、よそから入ったものはとめておる。その他いろいろのことを考えまして、たとえば入ったものが完全にその需要者の方へ行くように、よそに流れないようにということをよく厳重に監視するとか、いろいろな方法を講じまして、流通が円滑に行くようにということでやっておるのでありまして、それが応急と申しますれば応急になるわけでありますが、応急にはそういうことをやっておりますし、その他いろいろ、お話によりましては、私どもといたしましては、十分に考えていかなければならぬと思うのであります。問題はむしろ恒久対策と申しますか、その次に来たる施策であります。  御指摘の農産物価格安定法に大豆を入れるという問題も、確かに一つの大きな問題であります。すでにこの問題も御意見として受けておる向きもあるのでありますが、農産物価格安定法に入れまして、カンショ澱粉と同じようなことで、一定の価格を政府がきめまして、その価格によって一定数量は買い入れるということによって、国内大豆の価格を維持するということも確かに一つの問題であります。そのときにただ考えなければなりませんことば、御存じの通り、国内大豆がただいまのような形になっておりまして、国内大豆が今後どんどんかりに値下りするといたしまして、だんだん入って参りまして、これが非常に値が国内大豆にも影響を及ぼすという、輸入大豆が国内大豆に対して影響を及ぼすということになりますと、政府の価格維持政策も非常に力のないものでありますから、やはり国内において農産物価格安定法に入れまして、一定価格で国内大豆を支持するといたしますれば、同時に、その三倍のものが外国から入ってくる、しかもそれがだんだん安くなるのじゃないかということも考えられますので、そのものについても何らかの施策がなければ、それは施策として十分にいくということはいかないのでありますので、そこら辺のところを十分勘案いたしましていきませんと、国内の今の支持政策もまことに不十分なものになってしまう。あるいはいたずらに政府が買っただけで、売れないということになりますれば、非常に国家的会計の観点からいっても損がいくということになります。損得は別にいたしましても、政策そのものといたしましては、やはり相当部分が輸入に依存する関係上、輸入大豆の施策までもあわせ考えていかなければならぬということになるわけであります。それにつきましては、ただいま外貨の割当制度をやっておるのでありまして、これにつきましてむしろ割当制度をやめたらどうかというような意見もあるわけですが、同時に関税の問題もあります。いずれにいたしましても、そういうような問題がありますので、私どもといたしましては、外国から入ってくる大豆についての規制措置というものを考えていきませんと、やはり国内の支持政策が考えられないというふうに実は考えておるのであります。  その場合におきましても、御承知通り、大豆は丸で消費される場合と、油をとるためにこれをかすと油に分ける場合、しかもそれはアメリカ物が易く、中共その他のものは丸でそのまま消費されるということで、消費形態が非常にむらであることは御承知通りであります。そういうようなことで、大豆政策というものは非常に困難な問題でありまして、同じ油の中でも、非常に大豆の何が違います。同じ丸で使うものでありましても、みそ、しょうゆ、とうふ、納豆、きなこと、いろいろあるわけでありますが、そういう点が非常に複雑に分れておるということでありまして、これを適正に配分するということが非常にむずかしい問題があるわけです。  そういうような観点から考えまして、私どもといたしましては、輸入大豆の問題とあわせ考えまして、国内の支持制度につきましても結論を出さなければならない、こういうようなことでございますが、問題がきわめて複雑になっておりまして、なかなか結論が得られません。とにかくこの問題は早急に結論を出しまして、国内の大豆の価格を安定せしめるということの方策を考えていかなければならぬということで、せっかく今考えておる最中であります。
  57. 千田正

    ○千田正君 開拓関係の手持ち四万俵ですね、これはやはり、先般長官があっせんされた価格ぐらいの価格で、さばいていけるという自信がおありですか。
  58. 清井正

    政府委員(清井正君) これは二万四千俵でございますが……。
  59. 千田正

    ○千田正君 最初二万四千と言ったでしょう、この間ごあっせんなすったのは。
  60. 清井正

    政府委員(清井正君) 二万四千俵、とうふ屋の店先渡し値段をはっきりきめまして、引き取ることにきめておりますから……。
  61. 千田正

    ○千田正君 現在手持ちしているのがあるんでしょう。
  62. 清井正

    政府委員(清井正君) 二万四千のほかにでございますか。
  63. 千田正

    ○千田正君 ほかに。
  64. 清井正

    政府委員(清井正君) その問題につきましては、ただいまそこまで話を進めておらないのでございますが、とりあえず二万四千俵につきまして措置いたしたのであります。  そういうことで、いわゆる支持政策も支持政策でございますけれども、今のように政府ができるだけあっせんいたしまして、そうして生産者のものを実需者に結びつけまして、実需者と生産者を結びつける。そうしてできるだけ一つ中間経費をなくしようと思いますので、流通経路につきまして政府がごあっせん申しまして、実需者に直接渡すということを考えることが、何といっても、物をさばくためには一番いい方法でありますので、とにかくそういうことから手をつけていこうというので、やっておるわけであります。おそらくこういう方法を講じますれば、安定の買い上げ方策も方策でございますけれども、やはり相当程度私はさばけるんじゃないかというふうにも考えているのでございます。もっとも、これは開拓の問題もございますけれども、やはり販売の方の態勢もある程度整備しなくてはいかぬわけですから、共同販売に対する態勢を整備していただきまして、そうしてその販売の関係と需要の関係と直接結びつける、その間に政府なり適当な機関がごあっせん申し上げるということでありますれば、中間の経費もおそらく少くなってくるのでございますので、両方にとっていいという価格がきまるんではないか、こういうふうに実は考えまして、ただいまの開拓の方のお扱いになったものについてもこういう方法でとりあえずやって参っておるわけでありますが、この方法だけで不十分な点がございますれば、さらにただいま御指摘のような価格支持という問題も考えていかなければならぬのであります。とにかく私どもといたしましては、これは大豆全般の問題でございますので、いかように取り計らっていかれるかということにつきまして、いろいろな観点から実は今検討いたしておるような次第であります。
  65. 千田正

    ○千田正君 今、食糧庁以外に、ほかのどなたかおりますか。
  66. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 通商産業省の通商局次長が見えております。
  67. 千田正

    ○千田正君 では、通産省の方にお伺いいたしますが、今長官からこういう話でありますが、この大豆の輸入計画は、三十一年度の予想としましては、外貨割当は前年度と変りないんですか。それとも、ある程度増額してありますかどうか。
  68. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 三十一年度の外貨につきましては、ただいまそれぞれの関係省とお打ち合せの最中でございまして、まだ結論を得るに至ってございません。大体三月の十日ぐらいまでに大体の見当をつけたいと、こう思っておりますが、ただいま長官からもいろいろお話がございましたが、食糧庁の方の御意見というものを十分に尊重いたしまして、協議した上できめていきたい、こう思っております。ただ、今までわれわれがいろいろ伺っておりますところでは、今年度減るということはあまりないんじゃないかという気がいたしておりますが、まだこのお話の最中でございますので、これから進めるということであります。
  69. 千田正

    ○千田正君 今の見通しとしましては、この買い上げの大豆の価格は、昨年のいわゆる三十年度よりも安く入るという見通しなんですか。それとも、あれですか、従来とそう大差ない値段で入ると、こういうふうな見通しですか。どちらでしょう。
  70. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) まだ来年度の単価そのものについても十分に検討いたしておりませんが、大体のところ・本年度と大差ないというような価格で予算を組むというようなことになるんじゃないかと考えておりますが、さらに今後の見通しその他についてもう少し検討してみたいと考えております。
  71. 千田正

    ○千田正君 かりに、食糧庁あるいは農林省から一つの、国内生産者に対する政策の一つとして、関税等を課すというような問題を要望された場合には、通産省としましては、これに協力するという御意向はもちろんおありであろうと思いますが、どうなんですか、その点は。
  72. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) もし農林省の方で、関税がかかったというようなことのために、現在の割当制度その他について何らかの変更をしてもよろしいといったような御意見がございました場合には、通産省といたしましては、これは通商拡大といったような方向から、逐次各方面の制限を撤廃したいと考えている際でありますので、主管官庁の方でそういう御決心をなさるということであれば、われわれの方はもちろん喜んで御協力したい、こういうふうに考えておりますが、通商の自由化とかいうようなことも、これは結局日本経済全体の向上発展ということでございますので、これは一に大豆だけに限りませんが、まず国内産業の基盤というものがそれで脅威されるといったような場合には、これは主管官庁であります農林省の御意見というものを伺った上でやりたいと思っておりますが、農林省の方から積極的のお申し出がある場合には、これは今日われわれの方は喜んで御協力したいと思っております。
  73. 千田正

    ○千田正君 農林省の改良局から見えておられますか。
  74. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 総務課長が見えております。
  75. 千田正

    ○千田正君 今長官から、いろいろ検討中であるというお話を承わりましたし、また通産省からは、国内産業という問題の圧迫その他に関して、現業官庁の農林省からのお申し入れがあった場合には考慮しようというお話でありますが、現実の問題としまして、一番この大豆の問題に苦しんでおるのは開拓農民です。開拓農民のほとんど八〇%以上の収入というものは、この大豆によってやっておる。その大豆を、一応一定の開拓が完成するまでの一つの標準として、彼らの収入の大宗をなすものであり、また国からの融資であるとか補助であるとかいうものに対する一つの農家経営の根本をなすものは大豆なんです。その大豆がかような状況に追い込まれるということはますます、それでなくてさえ、開拓行政そのものが貧困な状況である現今の日本の開拓行政というものに対して、こうした生産物に対する対処方針を何か決定してやらなければ、せっかく農林省が考えている開拓行政の完成ということは期せられないと思うんですが、あなた方の方ではこれに対して何か考えておられますか。
  76. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 今食糧庁の長官からもお答えがありましたように、われわれといたしまして、生産を担当いたしております局といたしましては、根本的には生産増強、それはまあ品質の改善なり、あるいは生産費コストの低減なり、そういった根本的な問題については、これは試験場あるいは技術普及員、そういった点を通じ、できるだけのことはやる。それから将来についても、大豆問題が非常に世界的に値下りの状況にある、こういうことにつきましては、畑作改善の根本問題として取り上げていきたい。そういう点については、三十一年度におきましても試験場なり、あるいは試験的な畑作改良施策なりについては、少しずつ手を打っております。何分思うようにはこれは十分にはできておりませんけれども、そういう方向にはできるだけ、根本的な問題としては、やっていきたい。それからこれは大量取引の問題もございますので、やはり品質を統一して規格をできるだけ上げていく、そういう点、品種改良というような点もできるだけやりたい、そういうふうにわれわれ思っております。一面そういうふうに国内でできるだけ生産的な措置を講じますにつきましても、外国からの大豆の圧迫というものについては、先ほど長官からお答えいたしましたように、価格安定なり、そういった点については十分、省内でそういう方向へ持っていきたいとわれわれは考えている次第でございます。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 今の千田委員の大豆問題の質疑に関連いたしまして、食糧庁長官にもう一つ澱粉問題をお伺いしたいと思いますが、それは、澱粉が結局水あめというような甘味原料として加工されるのがほとんど全部と申し上げてよろしい。そういうことで、砂糖との因果関係が非常に密接につながってくる。前年度の生産数量が九千万貫、今年は一億四千万貫というと、おおむね前年の二分の一くらいのものが三十年度には増産せられ、これが甘味原料として国内で供給せられるということになると、砂糖の輸入数量を考慮しなければならぬ、考慮すべきである、こう私は思うのでございますが、そういう点、何かお考えになっているかどうか、お伺いしたいと思います。
  78. 清井正

    政府委員(清井正君) 私どもただいま考えておりますのは、国内の澱粉のもちろん甘味原料としての観点から、砂糖の輸入計画をどうするかということについては、たしか抽象的にはその問題があろうかと思いますけれども、ただいま明年の数量につきましてはまだ考えていないのでございますが、果してそれがどの程度砂糖の輸入計画に響くものでございますか、私もちょっとただいまはっきり申し上げられません。関連的にはそういうことが考えられると思います。ただ、それが具体的問題としまして、どの程度に考えていくべきか。主としてこれはブドウ糖その他の問題に使用された場合に、砂糖としてどういう影響があるかということを見ますと、いろいろな問題があろうかと思いますので、はっきりしたことはちょっと申し上げられません。関連的にはそういうことは考えられるものだと思います。  私ども砂糖の問題につきましては非常にむずかしい問題でございまして、価格につきましても、国内のただいま指示をいたしておりますところの澱粉の価格ということも当然考えながら、砂糖の価格というものを考えていかなければならぬということは、それぞれ考えておるところでございまして、あまりにも砂糖の価格が低くなり過ぎるということで、それが国内澱粉価格に非常な悪影響を及ぼすということでは相ならぬというようなことを考えておりまして、私ども農産物価格安定法の精神から考えまして、砂糖の価格というものを、その関連において適当なところで考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、これはあくまで価格の面で考えておるのでありまして、数量的には輸入計画の砂糖にどの程度の影響を及ぼすかということは、ちょっと私は申し上げられませんが、関連的には影響があろうと思います。果して数量に現われて参りますかどうか、今のところはっきり申し上げられない状況でございます。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 私、今具体的にどういうように影響するかということについての確たる調査を持っておりませんが、長官も今言われましたように、関連的には量の問題に影響してくるということは言えると思います。せっかく重要な価格安定法で価格支持をしようといたしましても、そのものの絶対量が非常に、他のものとの関連において、余ってくるかどうかというようなふうになって参りますれば、問題はずっと残ってくると思います。こういう関係になってくると思いますので、砂糖の輸入量と三十年の国内資源としての甘味料の増大という点は、これは密接不可分な関係に私はおかれると思いますので、十分一つ御研究願いまして、そういう方面からも澱粉の支持価格が維持されるというようなことについて、最善の考慮をしていただきたいという希望を申し上げます。  なお、もう一つお伺いしたいのは、前回質疑の際に、長官の希望として、でき得る限り自主的な調整を生者者団体でやることを期待するという御意見と承知いたしておりますけれども、その場合に、今のような非常に生産数量が多い、そうして重要農産物価格安定法による支持価格は出ておるが、必ずしも予算その他の面からして、急速に価格の維持をはかることが困難であるという場合には、自主的な調整をされなければならぬと思いますが、そういう場合に、自主的調整数量ということについては、他日政府がその結論のめんどうを見てやるというようなことについてお打も合せをなさるかどうか。もうそれは生産者団体が勝手にやっているのだということかどうか。その辺はどういうふうに実施されるか。自主的調整を希望するという前回委員会における長官の御希望と、今後の具体的措置をどう関連せしむべきかという点について、お伺いいたしたいと思います。
  80. 清井正

    政府委員(清井正君) お話の自主的な調整の問題でございますが、これは言うまでもなく、私どもといたしましては、生産者の団体等が販売の自主的調整をしたものから優先的に買い上げるということに、法律的にはつながっているわけでございます。従いまして、自主的な調整をしたものから、政府が一定数量を買うということにもなるわけであります。必ずしも、その自主的な調整数量をすなわち全部政府が買うのだということには、形式的にはそうなっていないのであります。あくまでもこれは生産者が自主的に御調整になって、その調整した分のうちから民間に売るものもあるし、政府に売るものもある、こういうことになるのであります。政府といたしましては、先ほど申し上げましたような趣旨から、その一部を買い上げることによって全部の澱粉の価格の安定がつくだろう、こういう見込みのもとに、先ほど申し上げたようなわけであります。  ただ、自主的な調整につきましても、いろいろ私ども御意見等を伺っておるわけでありまして、私どもの方にも、その自主的な調整数量につきましては、十分存じているわけでありますから、その問題につきまして、政府が全面的に買い入れるということは、これは別といたしましても、その自主的な調整数量の民間に対する販売についての政府ができるごあっせん等は十分いたしまして、その自主的調整の目的が達成し得るように十分努力していかなければならない、こういうふうに考えているわけでありまして、あくまで私どもが買うのは、自主的な調整された分のうちから一部を買い上げる、こういうような建前に相なろうかと思うのでありますが、要するに、自主的に調整するということも、価格の安定が目的でありますから、価格の安定をさせるためには、どういうふうにしたらいいかということにつきましては、政府がそれを買い入れるということも一つの方法ではございますけれども、さらにまた、自主的調整を、他の民間の団体につきましてもできるだけごあっせんをするということも一つの方法であると考えまして、両々並行して澱粉価格等の安定に資していきたい、こういうふうに考えておるのであります。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 今の御質問申し上げましたのは、自主的調整を希望する、そうしてきょうの質疑の前段の方で、三十年度の予算と三十一年度の予算というものとを実施することによって、所期の目的を達成すると考えておるのだと。まさに計画はその通りだと思います。その計画が目的を達成し得ない場合には、特別会計の総合的運営によって目的を達成するように措置をすると。その場合に、希望されている自主的調整というものとの関係はどうなるか。表現がまずいのでよく御理解願えないかもしれませんが、希望されている自主的調整に従って、ずっと仕事を進めていって、幸いにそのことが効を奏して、安定法によって指示された価格の維持ができるということであれば、これはもうそれで政府が買い上げる必要も何もございませんし、そのことによって目的を達したということになるが、不幸にして、予算の範囲内において政府が買い上げをずっと進めていきましても、なおかつ市価の維持ができませんで、自主的調整をしたものが相当残ってしまうという場合には、前段の方の質疑の結論に基いて、政府は全体の食糧買い上げ上の操作によって、そのものの迷惑が起きないように措置をするのだ、というふうに私は理解したのですが、精神はそういうふうに理解してよろしいかどうかということなんです。
  82. 清井正

    政府委員(清井正君) 御質問の趣旨は私もよくわかるつもりであるのであります。ただ私ども予算を実は立てておるのでありまして、とにかく数字がありますれば、またこの数字程度を政府が買いますれば、とにかく価格安定の目的は達成することができるだろうと考えておるのであります。もしもそうでない場合におきましては、先ほど申し上げたような措置をとるということを申し上げたのでありまして、あくまで私どもはその精神によってこの法の運用をいたすわけであります。  従って、販売の調整ということにつきましても、私どもはできるだけこれを調整の自主的な措置によって、この法律の目的が達成するように考えることが、まずこれは必要なんでありまして、その他きわめて弾力的なことになりまするけれども、要するに、この法律の目的達成のために、私どもといたしましては万全の措置を尽していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  83. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) では、この問題はこの程度にいたします。     —————————————
  84. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 次に、米穀の集荷の件を議題にいたします。  この件について森委員から発言を求められておりますから、この際御発言をお願い申し上げます。なお、この件について、ただいま食糧庁長官が御出席になっております。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 今委員長からお話しの米の集荷制度の問題ですが、これはもうきのうの衆議院の委員会で詳細は尽きておりますので、詳しいことをここでお伺いする気持はございませんが、昭和三十年の八月三十一日に特別指定集荷業者の指定の特例に関する省令の一部を改正する省令というのが出まして、特別指定集荷業者の指定の特例に関する省令の一部は、昭和三十一年八月三十一日までは実施をしないのだと、こういうように役所の方針が示されているように思うのですが、これは私の受け取り方が違うのかどうか、それをまず明確にしておきたいと思います。
  86. 清井正

    政府委員(清井正君) そういう趣旨の省令を出したことは、その通りでございます。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、ことしのこの集荷制度の変更といいますか、割当出荷の方法から予約集荷の方法に変えられて、そこでその予約の取りまとめをする場合におきまして、指定もそれぞれできまして、そのことに全幅的な努力もし、政府の施策に協力して一生懸命やっておる。しかもそういう機関はいずれもこの省令というものをよく理解してやっておる。その矢先に、途中で何か変更を一まだされておりませんから何とも言えませんが、変更されるようなにおいが出るということは、非常にこれは政府の施策に対して協力する団体が不満を訴える。それが将来のこの集荷制度というものに非常な悪影響を持ってくるのじゃないか。大臣もきのうの衆議院の委員会では、農業協同組合が十分な機能を発揮し得るような状態に相なるまでは、現在の管理制度を変える意思はない、こういうことをはっきりおっしゃっているので、そうなれば、政府の指示によって協力している団体が気持よくやっていくように導かなきゃならぬと私は思うのでございますが、そのことはどういうふうになって参りますか。まだ実施をされておりませんので、何とも言えませんが、何かといえば、実施されるというふうなにおいが出ておるので、非常にこれは変に感ずるのですが、長官はどうお考えになりますか。その辺の気持を一つお伺いしたいと思います。
  88. 清井正

    政府委員(清井正君) この規則を出しました趣旨は、申すまでもなく、二十七年に特別集荷制度といわれておりますいわゆる買い取りによる集荷制度実施いたしましたのでありますが、そのときに非常な弊害等も感ぜられましたので、その後集荷制度実施いたしていないのであります。食糧管理法の施行規則には実はその特別集荷制度を指定して、毎年やるように実は規則が入っておるのであります。そこでこのままじっとほうっておきますれば、当然特例が実施されるのであります。そういうことであっては、かねて御承知通りのような事前売り渡しのような制度に変えて売り渡しをやっているのでありますから、その売り渡しをやる当初には、将来特集をやるぞということをあわせ考えれば、これは全治意味のないことで、そういう意味合いから、特別集荷指定制度制度によるところの業者の指定ということはしない、一年間延ばすということにしたのがこの省令のゆえんでありまして、これは過去二カ年続けてやったようなわけでありまして、そういう建前からできておるわけであります。  まあ御指摘の通り、そういうようなことから、今回の事前売り渡し申込制度につきましては、生産者団体の格段の御努力によって、当初の二千三百五十万石から三千百万石に申し込みがふえまして、非常に私どももけっこうだと考えておるのであります。またその後団体は、さらに三百万石に近い数量を増加いたしました——増加いたしたこととして十分承知をいたしておるのであります。ただ私ども考えますに、御承知のようなことしの生産状況でありまして、かりに四千万石程度の農家保有米ができましても、なお数百万石のいわゆる計算上の余裕米があるということに相なるわけであります。一方、政府に対する売り渡しは、申し込みは三千百万石でございましたけれども、一月末現在の集計によりますと、それが約十七万石程度ふえておるのでありまして、申し込みの数量は達成いたしましたけれども、一月末現在で約十七万石程度しかふえておらぬということでありますれば、やはりその間に相当の余裕米があるということも考えざるを得ない。そういうような観点から、ただいま申し上げたような農業団体の格段の御努力は今までもありましたし、今後も続くことは十分わかっておるのでありますから、さらに余剰米対策といたしまして新しい制度をこれにつけ加えまして、農業団体の努力に加うるに新しい制度をしくことによりまして、さらに余剰米の集荷ができますればけっこうじゃないかというような考え方からいたしまして、私どもそういうような案を来年から特に考えるということで、ただいまも考えて、しきりに目下立案をいたしておることは事実でございます。ただ、この問題につきましては、昨日の衆議院でいろいろ御議論があったのでございまするが、大臣もその点は慎重に考えて実施したいということを言っておられるのでありまして、まだ大臣もいずれともおきめになっていらっしゃらないのであります。私どもは事務的にいろいろ立案をいたしておるのは事実でございます。  今のようなことでございまして、率直に申し上げますれば、農業団体の御努力も十分承知いたし、また今後御期待申すわけでありますが、なお計算上余裕米があるということでありますれば、本年だけのこれは非常な豊作のときの特殊臨時的な措置ということでやっていきたい。しかも、やって参ります場合におきましても、これは個人あるいは県べースで完全に政府に対する売り渡し申込みを完了したものについてのみやっていくというようなことによりまして、円滑な実施を期していきたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 余剰米が計算上まだあるであろうと私も想像いたしまするが、とにかくことしの八月三十一日まではその制度でやるのだということをきめておいて、そうして制度を変えて予約買入制度に全力をあげて努力をされておる。しかもその余剰米の集荷についてはまた別途の計画を立てて最善の努力をやっておる最中に、そういう制度が飛び出してくるということは、これはそのことが、私は、将来の予約買入制度というものを進めてその実効を収めていく上に、非常な支障を巻き起すもとになると思いますので、その点は十分一つ御考慮を願って、実施をされないように期待をいたします。  かりに実施をするという場合には、これは一体買取制度でいくのでございますか、あくまでも委託という制度でいくという、事務的な研究の仮定はどうお考えになっておるのか、その一点だけをお伺いしたいと思います。
  90. 清井正

    政府委員(清井正君) これを集荷業者が買い取りをいたすということになりますと、これは全くの特集と同じでございまして、それは考えていないのであります。かりにいたします場合におきましても、これは農業団体が今までやっておったと同様な委託によってやるということははっきりいたしておるのであります。いずれの場合におきましても、買取り制という、いわゆる特集制度の最も特色のあるところでありますが、そこはやらない。従来通りのようないわゆる委託制度によって、生産者の委託を受けて政府に売るという形は堅持していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、受託者の名前が政府にあくまでつながっておるという形が堅持される、こういうふうに理解していいのですか。
  92. 清井正

    政府委員(清井正君) もう少し詳しく申し上げたいと思いますが、やるときまったらやむを得ませんが、やるといたした場合の研究でございますが、代表者供出、いわゆる匿名供出というもりは過去二カ年間はやっておるわけでありますから、これもことしは実施いたしたいと思っています。従って、新しい制度によりますというと、新しく新規の業者がまた入ってくるわけであります。しかも、これは大体県単位であります。県単位で新しい業者が入ってくるということになりますので、その制度と匿名代表者とあわせ併用されると思うのであります。従いまして、委託を受けます場合、委託を受けた代表者の名前において政府から金の支払いを受けるという制度に相なると思っております。その点は去年、おととしやりました匿名供出と同じ性質の内容であります。こういうふうに実は考えております。
  93. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、今の買い取りと委託の関係が、代表者売り渡しの制度に変ることは、その内容において買い取りの事実が存在するというような変な問題が私は起きてくる危険が多分にあると思いますので、こういう制度実施は中止すべきであると全面的に考えておりますが、もし、かりにこれが実施されるというような最悪の場合といえども、その辺ははっきり一つお願え願っておかぬと、形式的に買い取りの制度は認めないんだと言っておりましても、実質的には買い取りの制度を認めると同じ結果になると、私はそう考えます。だから、その点については十分一つ御考慮を願いたいと思います。あくまで趣旨が透徹するような形を存続しておるということを、特別に考慮をすべきであると思いますので、この点は最悪の場合の問題としても、なおかつ御考慮を願うことを希望申し上げておきます。
  94. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  95. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。   午後三時十六分散会