○松浦
清一君 大きな期待を持てないということは、現状のままでは大きな期待が持てないのですね。それはわかります。やはりココムの制限がありますから、今のような状態の中でココムの
輸出制限物資のワクをだんだんと縮めていってやるという、こういう方法では中共貿易はそう望めないと思うのです。結局はやはり中共との国交を回復して、この間、去年の春ですか、中国の貿易視察団の連中が来たときに話をしておったと思う。機械類であるとか船舶であるとか、大型トラックであるとか建設資材というようなものは
幾らでも要る、化学肥料も要る、こういうことは私
ども向うに行ったときもそういう
説明を聞いている。しかし実際取り引きをする場合になったら、どういう機械類が
幾ら要る、トラックが
幾ら要るというようなことは、大した量に達しないかもしれないけれ
ども、あるいはまた今制限物資になっておりますからそういうことを言うのかもわからぬけれ
ども、今の中国の、
日本じゃないけれ
ども、
経済自立五カ年
計画もあと一年で第一期が過ぎますのでありますけれ
ども、これは一切の生産の工業化がはかられておるということはあなたのおっしゃる
通り、よく御承知の
通りでございます。建設資材であるとか大型トラックであるとかいうことは、これはいよいよそこになってみなければわからぬけれ
ども、相当
輸出の見込みがあるものではないかと思う。船舶の問題もしかり、そういうところを貿易の相手先として切り開いていかなければ、あなたのおっしゃる東南アジアだとか中南米とかいう未開の土地にどんどんふえていくということは、それは貿易増大の
方針としては、
計画としてはちょっと甘いのではないか。
そこで私は最後に尋ねたいと思います。
日本がとにかく際限もなしといったところで、大した力もないけれ
ども、
国民の負担力が経済の面からいくと相当大きな負担になる。軍備を拡大していくという方向と、平和を回復していくという方向とマッチするかどうかという問題……ちょっと私は話が長くなりますが、結論ですから、おしまいですから許してもらいたい。
一体この
委員会でこの案件を審議するに当って、だいぶ長い時間総理や
防衛庁長官に質疑を繰り返されておりましたけれ
ども、局地
戦争がどうとか、あるいは侵略をされたときにどうだとかというようなことが、具体的にこれは言えようはずもありませんけれ
ども、どの国が侵略してくるとか、どの辺が危いという話はなかった。しかしながら、ただ独立国として自衛力を持たない国はないから、
日本の経済力に対応した軍備を持つということは独立国として当然だということ、集約して言えば……。そうして局地
戦争が起ったときにはその解決のためにその武力を使う、あるいは侵略をされたときにはこれを防衛しなければならぬ、集約をすれば、非常にたくさんの言葉で集約をされておるけれ
ども、落ちついたところはその辺のところだ。そこで
日本の国をやはり、
日本の国の平和を維持していくという大きな方向から
考えて、
一体どういうところに危険性があるかということを
考えてみる必要があると思うのです。これは
国会で審議をすれば議事録になんか残ったらいけないかもしれないけれ
ども、そこまで私は真剣に
考えてみる必要があると思う。そこである人の判断によるとですけれ
ども、これは間違いかもしれぬが、一昨年の暮に衆参両院各派から二十五人の国
会議員が中国に行きましたのですけれ
ども、あのときに帰り途だと思う。ただ
一つ意見の一致したことがあるのです。帰ってきたらみんな各党に帰って各党の政策に従うことになってきますから、ばらばらになりましたけれ
ども、香港で二晩泊ったその間に、将来の
日本の中共対策というものをどう
考えたらいいかということについていろいろ話し合って一致した
一つの意見がある。もし
日本が危険にさらされるということになったらどういうところから起ってくるか、こういうことなんです。それは中共に一ヵ月いる間に至るところで台湾解放、台湾解放ということをわれわれ聞いていた。どこに行っても台湾解放万歳というポスターが張られている。経済五ヵ年建設
計画に協力しようというポスターと、その二つのスローガンに塗りつぶされている。
産業は一切のものの工業化がはかられて自給自足態勢をとりつつある。台湾の武力解放にいくかいかないか、それは知りませんけれ
ども、今のような
日本と
アメリカの
関係、それから中国とソ連との
関係、このような態勢に置かれているとすれば、もしも中共がそういうことをやったときこれは非常に危険な状態になる。これは
日本が二十万や三十万の兵隊を持っても何もならぬ。そしてまた彼らが何かの式典をやるというと、第一に中華人民共和国の万歳をやって、毛沢東主席の万歳をやって、中国共産党の万歳をやって、最後に台湾解放の万歳をやる。何回も聞きました。それに中国の
国民がわあっと唱和していますよ。それほど今の中国の中では台湾解放ということが大きく渦巻いた
一つの政治的な
方針になっている。あるかないかは知らぬが、そういうことになればその辺は非常に大きな危険性がある、こういうことだ、それを防止するのにはということなんだ、問題はね。防止するのにはやはり日米安全保障条約と中ソ友好同盟条約とが背中合せになって対立しているところに非常に困った問題がある。
日本のきわめて弱い経済力をもって、そして資源も何もないそういうところで、一生懸命になっていろいろな犠牲を
国民に払わして、少々ぐらいの軍隊を持ってみたところで、こういう態勢にある限りにおいては、あるいは心配する人もできてくるだろう。その心配している人の心配を解消するのには、この二つの条約というものを解きほぐして、
一つの日米、中ソの友好同盟条約か平和条約か知らぬけれ
ども、そういうことを締結する方向に
日本の政治、外交の
努力を集中することが
最善の道であるということに意見が一致した。帰ってきたら変りましたけれ
ども、これは
一つの話です。話だけれ
ども、今の貿易の
関係にしても、中南米や東南アジアを
考えて
日本のこの五カ年
計画を立てていくということでは
考え方が甘過ぎる。やはり中共のそれに対する貿易、どれぐらいの量があるか知りませんけれ
ども、やはり平和条約を締結して、そうして力一ぱい
日本の労働力を活用していただく。いわゆる年二百万人もふえる労働人口の吸収のためには、その方面に活路を開いて
産業を高めていという
方針以外に経済
計画達成の具体的な方法はない、こう私
どもは判断をする。それには
日本が、今まであなた方がおっしゃってきたように、とにかく
国民の経済の
実情というものはどうであろうと、
国民の総所得を基礎にしてそうして二%強の
費用は防衛の方にどうしてもさくのだという判断に立って、将来、際限もなく伸びていくという軍事
計画の方向をたどるということは間違いであると私は想像する。あなたはどういうお
考えですか。これでおしまいです。