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1956-05-16 第24回国会 参議院 内閣委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十六日(水曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員の異動 五月十五日委員梶原茂嘉辞任につ き、その補欠として高瀬荘太郎君を議 長において指名した。 五月十六日委員小酒井義男辞任につ き、その補欠として菊川孝夫君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            野本 品吉君            宮田 重文君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            青柳 秀夫君            井上 清一君            木島 虎藏君            木村篤太郎君            西郷吉之助君            佐藤清一郎君            江田 三郎君            亀田 得治君            菊川 孝夫君            田畑 金光君            松浦 清一君   委員外議員    八木 幸吉君   衆議院議員    黒金 泰美君   政府委員    人事院給与局長 瀧本 忠男君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国務大臣私企業等への関与制限  に関する法律案八木幸吉君外三名  発議) ○国家公務員に対する寒冷地手当及び  石炭手当の支給に関する法律の一部  を改正する法律案(衆第十九号)(  衆議院提出)     —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより内閣委員会を開きます。  委員変更についてお知らせいたします。  五月十五日付で梶原茂嘉君が辞任されまして、高瀬莊太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案を議題といたします。提案者より発言を求められておりますから、発言を許します。八木幸吉君。
  4. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) ただいま御審議をいただくことになっております国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案について一言経過を申し上げたいと存じます。本法律案は、第十九国会で、当時内閣委員会できわめて慎重に御審議をいただきましたのでございますが、最初原案には、この法律私企業等への関与制限をする官職につきましては、国務大臣以外に、政務次官並びに官房長官も、この中に、原案には入っておったのであります。然るに当時の自由党委員方々から、それではあまり範囲が広過ぎるのではないか、こういう御意見がございまして、修正案が出されたのでございます。その修正案には官房長官並びに政務次官をこの制限から除外するという一点でありまして、この修正案満場一致をもって本委員会通過いたしたのであります。そういたしまして、本会議では、ごく一、二と私は記憶しているのでありますが、起立がなかったのみで、大多数の方の御賛成を得て、参議起通過いたしたのであります。それで衆議院に送られたのでございますが、当時私どもが提出いたしましたこの本案と同趣意特定公務員営利企業等への関与制限する法律案が、社会党中村高一氏を代表として衆議院で提出されておりました。その法案は、各国への大公使法制局長官人事官、その他、法律の対象となっている範囲が非常に広うございましたが、それが相前後いたしまして、衆議院通過して、本院に参りました。両方同じような法律案が、一方では参議院から衆議院にいき、他方では衆議院から参議院へくるというような実情で、つい両方ともそのまま審議未了になってしまったのでございます。これは第十九国会のことでございます。  それから昨年の夏第二十二国会で、また今度は自由党から修正されましたように、政務次官官房長官を抜きまして、国務大臣だけに限って、このたび御審議願いますのと同じ法律案が本院に提出されまして、幸い内閣委員会並びに本会議とも満場一致通過をいたしまして、衆議院に送付いたしたのであります。衆議院に送付しましたのが七月末でございまして、同日衆議院内閣委員会では、私が提案理由を御説明申し上げて、会期がないからというので継続審議ということにきまりましたのでありますが、本会議で、閉会中の議案の審議に関する議決がなしに本会議が流会になりましたがために、継続審議が出来ないでそのままになってしまいました。それで今回再びこれを提案して皆様方の御賛同を仰ぐという次第になりましたので、皆様方の御参考のために今までの経過を御説明さしていただいた次第であります。
  5. 青木一男

    委員長青木一男君) 本案に対する質疑のおありの方は順次お述べを願います。
  6. 田畑金光

    田畑金光君 二、三提案者にお尋ねいたしますが、ただいままでの経過について御報告がありましたので、よく了解できましたが、ただこの法律案目的とする、国務大臣の職責の重要性にかんがみ、私企業との一切の関係を断って、世上の疑惑を一掃し、行動の公正を期するということは、単に国務大臣のみでなく、この法律趣旨とするところは、たとえば十九国会における造船疑獄汚職事件に見られますように、政党全体の綱紀の粛正と申しますか、要するに政党品位と権威を維持する、こういうような精神から出ておるものと考えるわけであります。ことに政府要路大宮等において、いろいろ今日まで世の指弾あるいは疑惑を受けること等がありましたので、そのようなことを阻止して政治品位を高めようとするのが、この法律案の根本を流れる趣旨と見るわけであります。そういう点から考えましたときに、国務大臣のみに限定するというところに問題があるのではなかろうか、当然、官房長官あるいは内閣官房副長宮あるいは政務次官等々が、この中に入れられてしかるべきではないかと考えるわけであります。ことに御承知通りに、今度の政府行政機構改革の一環として、総理府の事務を所管させるために国務大臣を充てる総務長官を設け、内閣官房の仕事は一切国務大臣としての内閣官房長官が専任をする、こういうような行政機構改革等も出ているわけであります。そういたしますと、国務大臣である官房長官であるかどうか、このことによってこの法律案適用があるかないかという問題になってくるわけでありますが、そう考えてみますると、これは当然内閣官房長官にもあるいはその他政務次官等にも適用されてしかるべきではなかろうかと、こう考えますが、これを排除した理由について、いま少し詳細に、これは今日までのいろいろな経過によってこのようなことになったとは推察はしますが、御説明を願いたいと思うわけです。
  7. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) まことにただいまの御意見、私も全く同感をいたすものでございまして、第十九国会本案を提出いたしましたときには、官房長官並びに政務次官も含めて提案をいたしたのでございます。ただそのときには、法制局長官内閣官房長官人事官、検査官、大使、公使等はこの法律案には含ませないことにいたしたのでございまして、その理由といたしますところは、本来、本法案のごときは、法律案としなくとも、当然その職務におありの方が自粛的に私企業との関係をお断ちになるということが一番望ましい形ではあるのでありますけれども、今までの経過からいたしまして、やはり立法的の措置をしなければならんといったような情勢に立ち至りましたがために、最も重職にある国務大臣並びに官房長官政務次官等を実はその範囲の中にあげたのでございまして、法制局長官等事務官的の色彩が濃くて、政務官的な色彩がほかのものとよりは若干開きがありますので、まずそれらのものを先に実は選択をいたしたものでございます。ところが当時、先ほどもちょっと触れましたのでございますが、自由党方々から、政務次官等の更迭は非常にひんぱんでもあるし、まず国務大臣だけに限って一つ最初法律案を作っておけば、自然その他の官職にあられる方もその趣意になろうであろう、こういったような意味合いで修正の御意見がございました。私といたしましては、国務大臣だけでもせめて法制化すれば、若干なりともこの立法趣旨の一端でも目的を達することができる、かように考えまして、その説に御賛成申し上げました。内閣委員会満場一致で通さしていただいたような次第でありまして、趣意といたしましては、ただいまお述べになりましたような趣意に私ども全く賛成ではあるのでありますが、まず第一階梯として、国務大臣政治の、行政の中枢にある国務大臣に対してこれらの規制を施す、立法的処置を講じるということが第一階梯として必要ではないか、かように考えまして、最も通りやすい形という意味も含めまして、国務大臣だけに限って本案を実は提案をいたしましたような次第でございまして、御趣旨は全く御同感で、そういうような意味に漸次持っていけるようにということを考えておる次第でございます。
  8. 田畑金光

    田畑金光君 この法律案を拝見しますと、別に罰則規定もあるわけでもない次第であります。従いまして、この法律案そのもののねらいというものは、あくまでも政治道義を高揚することをねらいとしておるものと見ざるを鴛ないわけでありますが、しかもまたこの法律案提案されたその当時の議会情勢政治背景というものが、先ほど申し上げたように、造船疑獄汚職事件という、あの国民を非常に憤激せしめました事件背景になっているわけであります。この法律案がすでに国会議員立法の形で、それぞれ衆参両院から提案されておる、このことは、この法案審議を通じ、時の吉田内閣以来、十分政府承知だろうと考えるわけであります。この法律案成立したと、いなとにかかわらず当然政府としては国会においてこういう動きがあるということは察知しておるといたしますなら、その後の閣僚の選考、あるいは閣僚に任命されて以降、こういう法律精神に基いてたとえば現内閣等が善処をしておる姿を、提案者としてはお認めになられておるかどうか。具体的に申しますと、これは先般、現在の閣僚会社役員等調査について専門員室から資料をいただきましたが、この資料昭和三十年の十一月二十三日覇日新聞に載ったのをわれわれは資料としていただいたわけですが、なお相当数閣僚がこの法律からいうと私企業等関与しておるわけであります。こういうような傾向に対しまして、私が先ほど申し上げたように、法律成立したと、いなとにかかわらず、議会においてこういうような法律制定動きがあり、批判があるとするならば、当然内閣は自粛してしかるべきと考えますが、そういうような点について提案者はどう見ておられるか、承わりたいと思うわけです。
  9. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) 最初第十九国会にほぼ同趣旨提案をいたしましたときには、相当船会社等関係のある国務大臣がございまして、当時造船利子補給問題等もありますがために、特にこの問題を強調したわけでございますが、そのときの国務大臣私企業との関係一覧表を拝見しましたときに、たとえば今の自由民主党の総務会長をしておられまする石井光次郎氏は、運輸大臣に御就任になります前に、従来関係をしておられました九州の方の鉄道会社役員辞任されたということを私はたまたまその調査によって発見をいたしまして、大へんけっこうな処置であった、かように自分は感じておる次第であります。本案は十九国会以来、範囲は違い産すが、社会党方々からも提案されておりますし、また私どもといたしましては、各派の御賛成を得まして参議院を二度も通過をいたしておりますような実情でございますので、第三次鳩山内閣成立いたしましたときにおきましても、国務大臣に御就任になりました方々が、この法案趣旨に従って、ただいまお述べになりましたように、法案立法化されたといなとを問わず、私企業との関係をお断ちいただくようなことがあれば、非常に幸いである。かように存じたのでございますが、その後調査をいたしました調べによりますと、相変らず相当国務大臣の方が私企業等に御関係になっておる実情でございますので、まことに残念なことであって、どうか一つこの法律案両院通過いたしまして、法律の面からこの目的が達せられるように希望しております。戦前はかようなことはまるでないことでありまして、戦前国務大臣をお勤めになられました方々は、いずれも、自分たち国務大臣就任すると同時に、関係会社役員の辞表を提出いたしたもので、戦後実に変った、感慨にたえないということをお漏らしになっておるような実情であります。私としましては、法律案はなくても、私企業との御関係を自発的にお断ちになるということは、今お述べになりましたように最も望ましいことで、このことが行われていないことはまことに残念である、従って本法案成立を切実に念願するものである、こういうことを申し上げておきます。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 御趣旨よくわかりましたが、さらにもう一つお尋ねいたしたいことは、一般職国家公務員については、国家公務員法適用により、第百三条、第百四条の規定によって、私企業への関与制限されているわけであります。特別職国家公務員、ことに国務大臣等については国家公務員法適用がないわけでありますが、こういう人方については、従前官吏服務紀律規定適用される、こういうことになっているわけであります。まあそういうことから見ますと、この官吏服務紀律と今回のこの立法との関係でありまするが、これはどういうことになるのか、この点、提案者の方から御説明を承わりたいと考えるわけです。
  11. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) 御承知通り現在の国家公務員のうちで、一般職公務員はその法律の第百三条及び第百四条で私企業等への関与制限を受けておるのでございます。ところが御承知通り国家公務員法の第二条の第四項は「この法律規定は、一般職に属するすべての職に、これを適用する」と規定いたしておりますが、第五項には「この法律規定は、この法律の改正により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない」、こういう規定がございまして、他方国家公務員法規定適用されまするまでの官吏任免等に関する点につきましては、昭和二十二年の法律第百二十一号におきまして、国家公務員法適用されない特別職国家公務員服務に関してはなお「従前の例による」、こういう趣旨規定がございます。そこでこの「従前の例による」という規定によりまして、特別職国家公務員服務につきましては官吏服務紀律規定適用されるのであります。この官吏服務紀律規定を申し上げますと、明治二十年七月三十日の勅令第三十九号はいわゆる官吏服務紀律でございますが、その七条に「官吏ハ本属長官許可ヲ得ルニサレハ営業会社ノ社長又ハ役員トナルコトヲ得ス」第十一条に「官吏並二共家族ハ本属長官許可ヲ得ルニサレハ直接ト間接トヲ問ハス商業営ムコトヲ得ス」、それから第十三条に、「官吏ハ本属長官許可ヲ得ルニサレハ本職外ニ給料ヲ得テ他事務行フコトヲ得ス」、こういったような規定がございます。この国務大臣の場合におけるいわゆるこの官吏服務紀律規定されておりまする本属長官総理大臣とみなされておりますので、現在私企業関係しておるのはどの法律を根拠として許されておるかと申しますと、この官吏服務紀律本属長官総理大臣とみなして、総理大臣許可を得て営利会社役員等国務大臣就任することを許されておる、かような実情になっておるわけでございます。
  12. 千葉信

    千葉信君 官房長官がお見えになっておりませんので、この際、提案者にお尋ねしておきたいと思うのです。先ほどのお話しにもありましたように、十九国会来、その趣旨がきわめて適切であるというので、私ども会派諸君中からも提案者となって、たびたび参議院としては全会一致でかつて成立をみた法律案でございます。今回も前回同様の措置がとられて、ただいま審議中の状態ですが、この前この委員会審議をしましたときも、もう何度も参議院としては全会一致通過して、しかもいろいろな事情はかりにあったとしても、衆議院の方で常に審議未了という形で不成立に終っておる。そういうことではせっかくのりっぱな法律も実効をまつことができないので、そこでこの前の審議に際して、提案者の方ヘできればやはり今回はなるべくこの法律案成立するように努力すべきであるし、従ってそのためには従来の経験にかんがみて、参議院通過させると同時に、衆議院通過させるような措置を講ずる必要があるのじゃないか。そういう意味から言いますると、何といっても、その政府の意向あるいは衆議院における条件からいいましても、与党の方のできれば正規の参加、それが不可能ならば、せめて与党諸君の中から多数の方々提案者になっていただくように話を進めるという措置が必要じゃないか。条件としては、なるべく早く衆議院に送り込むことが望ましいことであるけれども、今申し上げたような条件が整うことの方が先決条件であるという考え方から、今日までこの法律案はちっとも審議が進捗しないという状態のもとにおかれてきた。その理由は今申し上げた通りであります。その後、この際、提案者からその交渉経過がどういう格好になっておるか。私ども法律案審議するに当って、善意ばかりじゃこれは審議が尽されない。悪意というと語弊があるけれども、場合によっては問題を深く検討したり、あるいはまた疑ってかかる必要も私はあろうかと思います。どういう見通しになるか、どういう結果になるか、そういう点もやはりわれわれとしては考えつつ法律案の慎重な審議に当らなきゃならん。提案者も御承知のように、私はこの法律案参議院は通ると思う。今までの例からいって、これはもう大体全会一致でいけそうだと私は考えておる。与党諸君の中からもむしろ進んで提案者になってもよろしいという御意見方々もあるようです。そこで今までの提案者が努力をされたその経過の中でどういう状態になって、その与党方々との間の折衝自民党の方との折衝がどういうふうになっておるかということを承わると同時に、私はここでやはり考えておかなきゃならんのは、たとえば参議院では全会一致成立する、自民党諸君賛成だ、本会議では一人の反対者もない、その成立与党諸君賛同して成立するという状態だ。しかもそれは依然として衆議院の方へいって前二回と同じように棚上げされたり、うやむやにされたり、審議未了という格好になったり、そういうことでは私は、どの会派の場合もそうですが、やはりお互い政治責任というものを負わなきゃならんと思う。徳義というものをわれわれ考えなきゃならん。その徳義がわれわれとしては、この際当然この法律案衆議院における成立という問題に大きな影響を持ってくる。具体的に言えば、自分賛成した法律について自分会派の中でちっとも努力しないで傍観しておる。私は悪意で解釈すれば、この法律案が通ることは好ましくない、特に政府がそういう問題に対してあまり喜ばんときには、そっぽを向いておるようなときには、正面切ってこの善悪に満ちた法律案を阻止したり、反対するわけにはいかんけれども、なに通ったってこれは衆議院へ行ってどうせだめになるだろうからと、こういう格好で行動されてはいかんと思うのです。ですから、そういう意味からも、私はせっかくここで全会一致成立をしそうな状態にあるのですから、これはおそらく八木さんの今までの交渉はかなり成功されておると思うのですが、どういう状態にあるか一つその経過を承わりたいと思います。
  13. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) ただいまのお話まことに私にとってありがたい注意でありまして、千葉さんから、最初この法案を出したときに、参議院の空気は大体わかっておるんだから、衆議院の方をお前しっかりやれ、こういう御注意を受けまして、なるほどこれはうかつであったというので、すでに賛成者の御署名をいただいて提案しておりましたけれども、できるならばそれに自民党方々の、前の国会でしましたように御賛同を仰ぐという手続をとりたい、かように存じまして、自民党方々に、実は前に賛成していただいたような方々お話を持ち込みました。ところが前の参議院あり方自由党と民主党が一緒になりましてから後のあり方とはだいぶん参議院における法案に対する版扱い方が異なっておりまして、賛成署名といえども、それぞれの機関を通じて賛成がなければ署名していかん、こういう規定になっておるというので、早速私はこちらの方の国会対策委員会それから政策審議会その方面に連絡をとりまして、幸い国会対策委員会の方も通りました。政策審議会通りました。あと総務会賛成さえすればよい、こういうことになりましたので、それぞれ私の知人、かつての同僚等を通じまして総務会にその話を持ち掛けましたところが、なかなか総務会の方では当時小選挙区制の問題がだんだん盛り上ってきましたために、ほかの問題についてはどうももう一つ注意が払われない。これは困ったことになった。だんだんと会期も切迫してくると実は思っておりましたのですが、あまり気の進んでいないときに無理にこれを総務会にかけてもらって、せっかく政策審議会国会対策が通っておるものを変にこじらしてしまうのも実はこれは考えものだと思って、少し騒ぎの静まるのを私実は待っておりました。そうしてこれがようやく一段落しましたので、また再びその問題を持ち込みまして、私どもきわめて親しい総務からその話しをいたしました。実は石井総務会長にもお目にかかって、この話をいたしましたところ、まだ自分の手元の方に相談が回ってきてないから、回ってきたときに考えようと思うから、正式に自分の方に話が来るような手続をしたらいいだろうというので、また私は親しい総務の方に話をいたしました。そういたしますと、四月二十日をもって一応この議員立法の方の手続は打ち切るということでありましたので、今までずいぶん話を持ってきておるのに今ごろ打ち切られたのでは困る、どうしたらいいかということで相談をいたしましたところ、私の友人がいろいろ心配してくれまして、下手に総務会をいじり回しておるよりも、これはいっそ参議院独自で幸いこの前にも通っているのだから、あとから署名をもらうというのも調子が悪いのだ、そこで署名をもらうということにあまりこだわらずに、いっそ参議院方々に話をして一応参議院をすらっと通してきて、その後に問題を新しくして、参議院通過法律であるというので総務会なり何なりに真剣に持ってきたらいいじゃないか。閣僚の席におりました私の友人も、実は第一次鳩山内閣ができたときにこの問題は進んで内閣の声明として新聞に発表した事実があるくらいだから、実は私の仲間には反対者もあるけれども、しかし賛成者もいるんだから、参議院が通って衆議院に回ってきた場合には真剣に一つ取り組んでやったらいいじゃないか、変に総務会にこだわって君がたびたびちょこちょこ来たのではまずいのじゃないか、今のこういう段階では一日も早く参議院皆さん方にお願して通して持ってきたらいい、そこでわれわれも賛成者もおるんだから衆議院で徹底的にやろうじゃないか、こういうことになりましたので、非常に多くの重要法案が本委員会に累積しておるにもかかわらず、委員長初め理事各位の御了解をいただきまして、本日上程の運びとなった次第で、何とかこの法案を至急向うに送り込むようにお願いしたい、実はこういうのが打ち割ったところでございまして、どうかその辺の事情を御了承をお願いしたいと思います。
  14. 千葉信

    千葉信君 一つ休憩に入ったらどうでしょう。
  15. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記停止。   〔速記中止
  16. 青木一男

  17. 木島虎藏

    木島虎藏君 提案者にちょっとお尋ねしたいことがあるんですが、それはこの間議院運営委員会原子力委員石川一郎さんを任命することが議せられたときに、社会党の岡三郎君から実に傾聴すべき意見が出たんです。それは原子力委員には兼職を禁止する、石川一郎さんに兼職を禁止して原子力委員にお願いをするのに一体給料を幾ら出すんだという質問があったんです。官房副長官からこれは官吏としての最高の俸結でたしか七万幾らか、八万円足らずの金になる。一体石川一郎さんごとき人を八万円足らずの金でしばって兼職を禁止するというようなことで、一体そういう方に委員に、兼職を禁止してお願いするということはいかがなものか、大体おかしいじゃないか、そういう方なら思い切って二十万なり三十万なり差し上げて、そうして専念してもらわなければいかんじゃないか、それは非常に傾聴すべき意見だったのです。今までの官僚思想から言いますと……、八木さんが提案されたこの提案趣旨はこれは趣旨としては私はこうあるべきだと思います。しかし実際問題として今の、さっきの原子力委員会の委員と関連してのことが一脈あるではないか。そこでこれは議員のことを言ってはどうかと思いますが、議員の歳費で、いろいろ世間で言われているのと実際といろいろ議論のあるところがあります。それと同じようなことで、形式的には美しくても、実質的にこれに合わないと、どっか抜け穴ができるということが考えられる。この点をどういうようにお考えになるかということをお聞きしたい。
  18. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) 今のお話は私も非常に傾聴すべき御意見だと思います。この案を提案いたしておりますこの後に同じような御意見を実は私は伺ったことがあるのであります。そこで調べてみましたところが、戦前の比率から見ましても、実は物価の値上りを見ましても、国務大臣の給料はもっとうんと上げたらいいじゃないか、実はそれが当然の帰結じゃないかと私自身も考えましたのですが、ただ問題は理由はそこにあっても、いろいろ他の一般公務員等の給料との関係も考えまして、また国民感情に及ぼす影響等も考えてみますと、国務大臣の給料をこれと関連して一ぺんに上げるというだけの、提案をするだけの実は踏み切りも私はつかなかったものですから、これは一つぜひ考えてみなければならぬ。しかも戦前の大臣の給料といえどもやはり安いのであったから、とりあえずまず戦前状態に返えすということで、積極的に自分はそれとこれと相関連して国務大臣の報酬を上げるということを立法化して提案するまでの考えが実はつかなかったのですけれども、しかしこれはきわめて理由のあることで、何とかもう少しそこに調整がとれたら、真剣にこれは考えてみなければならぬことだ、実はこう考えたままで踏み切りがつかずにおるというのが今の私の率直な心情でございまして、その意見が出ましたときに、なるほどこれは一つ考えてみなければならぬということを真剣に実は考えておったことは事実であり藤して、答弁になるかどうかしりませんが、ありのままの私の考えを申し上げまして答弁にかえさせていただきます。
  19. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、大体その辺に多少の問題があるということは御承知の上で提案なさったのですか。
  20. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) そこでやはりこれは国務大臣になろうというだけの決心の力はそういったような利害を超越して就職をする、それにどうしてもお困りの方は大臣を辞退していただくより仕方はない、こういう気持で実は提案した次第であります。
  21. 島村軍次

    ○島村軍次君 簡単に。この法案のうちで「自ら営利企業を営み」ということがありますが、問題はたとえば弁護士とか、お医者さんとか、あるいは農業とかというようなものも、あるいはまた寺院の住職とかというようなものまでも含むものなのかどうかということをはっきりしておきたいと思うのですがね。この点を簡単に御答弁願います。
  22. 八木幸吉

    委員外議員八木幸吉君) この問題は非常にむずかしい問題でございますけれども国家公務員法規定と同一な解釈にしたい、これがまあ第一点であります。しからば具体的に医師、弁護士農業、寺院の住職、著述業はこの法律案制限業極内に入るかどうかということにつきましては、現在人事院で一般公務員についてその具体的の実例がないのでありまして、従って明確な解釈はないことになっておりますけれども、この法律案立法趣旨からいたしますと、やはり私の見解では広くこれらの業種も国務大臣の重責から考えまして法律案制限業種内に入るのじゃないか、こう実は考えておるのであります。
  23. 千葉信

    千葉信君 動議を提出いたします。本案について質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決に入らんことの動議を提出いたします。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  24. 青木一男

    委員長青木一男君) 千葉君の動議に賛成の方は挙手をお願いいたします。   〔賛成名挙手〕
  25. 青木一男

    委員長青木一男君) 全員挙手でございます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。国務大臣私企業等への関与制限に関する法律案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  26. 青木一男

    委員長青木一男君) 全員挙手でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  本会議における口頭報告の内容その他諸般の手続は先例により委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見署名     松浦 清一  田畑 金光     亀田 得治  千葉  信     江田 三郎  木島 虎藏     佐藤清一郎  青柳 秀夫     島村 軍次  宮田 重文     野本 品吉
  28. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。まず黒金衆議院議員外一名提出案に対して衆議院において修正が加えられました部分についての御説明を願います。
  29. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 本案につきましては、提案理由説明をすでに終えておりますので、その後委員会におきまして自由民主党並びに日本社会党両党の提案修正案を可決いたしまして修正可決をいたしておりますので、この修正点につきまして御説明申し上げたいと存じます。  修正点は二点ございます。第一点は支給地域に関するものでありますが、原案趣旨といたしましては、現在三公社現業官庁で支給いたしております地域、現行の五級地でありますが、寒冷地手当の支給五級地、この地域だけにという考え方でありましたために、青森県以下十二県を列記しておりましたが、これではあまりに窮屈ではないか、将来五級地から四級地、あるいは三級地までもこの給与を及ぼすような場合がある場合に、また法律を改正するのも大へんであろうからというような社会党側の強い御要望もございまして、立法の技術の問題であり、差しあたりは、この公社現業の官庁と同じく現行五級地の地域を総理大臣が指定するというような差しあたりの実態については変りございませんけれども、書き方の上ではこの方がかえってよいのではないかというような点でこの一点が改められたわけであります。  第二点の修正は支給金額であります。原案は初めの支給地域で申し上げたと同様に公社と現業に現在支給されております額とおおむね同じ額を与えようというような考え方から、世帯主につきまして四千五百円、それから世帯主以外の者につきまして千五百円、かような規定をいたしておりましたが、これにつきましても多少のゆとりをつけておいた方がいいであろうというような御主張もございまして、世帯主は五千円、それから世帯主以外の者につきましては千七百円以下ということにして多少のゆとりをつけておこう、この二点が修正点でございます。  修正につきましての説明をいたしました。
  30. 青木一男

    委員長青木一男君) これより質疑に入ります。
  31. 千葉信

    千葉信君 提案者にお尋ねいたしますが、ただいまも修正点に関する御説明があり、第一条第三項を加えたこの内容について、ただいまの御説明では当面としては、修正前の原案にありましたように、五級地に一応限定する。しかし将来の問題としてはそれはあまりに窮屈である。私はこの窮屈という意味は、これは窮屈と言うよりも限定されてしまってどうにもならないからという法律上の解釈がはっきりあるという見地から、できるだけ実情に沿うように五級地以外の地域等に対しても考慮しなければならないという立場なり、考え方なりから、この措置がとられたことだというふうに考えており、ただいまの御説明も私は趣旨は同様の趣旨だと思うのですが、そこでその施行期日との関連も出てくるわけですが、まあ施行期日の問題もあとから御質問申し上げますが、この国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律趣旨から言いましても、それからまたその支給地域をどうするか、支給範囲をどういうふうにするか、まあ金額をどういうふうにするか、こういう点について内閣総理大臣がきめるものではあるけれども、これは人事院の勧告を待ってきめるということになるとすれば、あなたの方ではこういう修正の部分に関してその総理大臣のきめる前の勧告を行う人事院、この人事院自体はもしもこの法律審議の過程で、これは本年度はやらないのだ、来年度はこういう措置をとるのだということがここではっきりされていれば、これはまあ人事院としてもかなり条件としては制約を受けざるを得ないけれども、この点がやはりその法律成立をすれば人事院としては直ちに作業を開始するなり準備をしなければならないし、そういう意味で一体人事院の方とはどういう御連絡になっておるか、その人事院との連絡の状態によっては、そうしてまた人事院の立場から問題に検討を加えた場合、もしも国会における諸種の制約がなければ、審議の過程における制約がなければ、人事院は人事院の独自の立場でこの法律案趣旨に基いて科学的な検討を加えてそれに基いて勧告を出す、そういう形式をとることになると思う。その点について一体さしあたっては御説明ではかなり窮屈な格好でお考えになられておるようですが、その点人事院の方とはどういうふうに御連絡になっておりますか。
  32. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今のお尋ねの中で二つに分けて考えてみたい——お答えしたいと思うのですが、第一の支給地域をどうするかという問題について修正原案と、修正を受けた場合の原案者の考え方いかん、それからそのあとではこの問題についての人事院との交渉いかん、分けて考えたいと思います。  第一の問題につきまして、私どもは発案者としてこの給与の体系自体といたしまして、たとえば北海道における石炭手当寒冷地手当と合せた支給額、これと海一つ隔ててあまり寒冷度なり積雪の違わない青森県、岩手県というものとの手当の額の相違、あるいはまた同じ寒冷地手当だけを受けておりまするいわゆる内地の四級地なり三級地というものと、ごく寒い青森県なり岩手県なりとの間の比較権衡、こういうものをずうっと見て参りますと、やはりどうも青森県、岩手県あたりの極寒であって、しかも石炭手当の支給を受けていないこの土地がかなりに苦しい恵まれない状況にある、こういう結論が出て参ったのでございます。こういうような点につきましては、人事院なりその他の官庁におきましてもこの不均衡は認めておられるようであります。ただこれを一体どうやって救っていくかということになりますれば、今も多少お触れになっておったと思いまするけれども、現行の五級地だけを救いましても意味がないと思います。五級地と四級地とが村境にあって隣合せておる、五級地だけにいわゆる薪炭手当を追加いたしますれば、そこで非常な懸隔ができまして、これは給与体系としておかしなものになる、従って四級地なり三級地なりは逐次直していかなければならない、ただこれだけのことをいたしますのに私どもとしては、これはまあごくざっくばらんに申し上げますが、昨年の十一月の十五日に自由党と民主党とが合併いたしました。それから予算作りで忙がしかった、こういうようなことなんかもありまして、今年の予算にこの制度の経費が計上いたしてございません。そういう状態に制約を受けて考えてみますると、そういう全般的な改正はこれはすぐにはむずかしいのじゃないか、そうなって参りますと、一体どこをすぐに手をつけるのがよいのか。そうかと申しましても、いつまでも手をつけないでおきますことは、これは御承知通りにもう数年来の問題でございまして、せめてこのことくらいは何か仕事をしていかなければならないのじゃないか、こういうことで考えてみますと、現在三公社なり五現業でもって、これは給与の体系としてはおかしいかもしれません、内地の五級地に対してだけ寒冷地手当の臨時増給なりあるいは薪炭手当という名目でもって支給いたしておりますが、この土地に勤務しておりまする同じ公務員には同じだけの額を支給するのが、とりあえずとしての措置としてとるべきところではないか、まあこの程度の額だったらば何とか今の既定の予算の中からでも差し繰って支給できないことはないだろう、こういう考えで出発したのが原案でございます。従いまして額におきましてもあるいはまた支給の地域につきましても、三公社五現業に追いつこうというのがそもそもの出発点でありましたけれども、しかし理屈から申せば、これは五級地だけ救ってそれでいいかということになりますれば、それで決していいとは言えません。従いまして初めの響き方——支給地域の書き方につきましては、これは修正の御意見の方が私は正しいと思います。それでこれに応じたような次第でございます。  第二の人事院との折衝につきましては、これは昨年の特別国会以来、自由党側からもこの案を提出いたしましたし、また民主党側からも提出いたしました。参議院におきまして千葉委員から御提出のあったことは、これはもう私どものむしろ先覚者でございます。で、こういうような状態にございましたので、昨年来人事院といろいろ折衝いたしてきましたけれども、人事院といたしましてのお考え方は、公務員制度の調査会があり、今回の答申もあって、こういったようないろいろな基準、あるいは不均衡というものは認めるけれども、しかしむしろこういうような給与の制度は単純化の方向にいくべきである、今石炭手当寒冷地手当とが支給されている北海道の方についてさえも、これを一本にした方がいいのじゃないかというのが当面としての考え方だ、それをまたこちらの方でもって新しい制度というものを作るということは、これはますます制度を複雑にして、これはむしろよろしくないというお考えが強うございました。強うございましたが、とにかく今の青森とか岩手とかいったような土地、現行の五級地についてのほかの公社なり現業官庁等の職員との間にあります不均衡については、これはお認めになっております。従って今回の改正の結果、この法律を通していただきますならば、これも千葉委員から御指摘になった通り施行期日の問題が問題になると思いますが、施行になりますれば、当然にある程度のものまでの御勧告はあるものと期待をいたします。
  33. 千葉信

    千葉信君 そういたしますると、提案者の方のお考えとしては、昨年十一月に行われた合同、それからその合同の関係もあって、予算編成等についてはこの問題が期待通りには進まないと、そこでとりあえずの措置としては、本年度に限ってはこの修正案通りの形で法律が通っても、本年度の予算に、この修正案通りの形でほんとうに合理的な五級地以外の地域を含む結論が人事院の方から出され、それによって総理大臣がかりにきめるとしても、それはその予算の関係ではむずかしいから、従ってとりあえずの措置としては、そういう予算との関係で本年度はまあ五級地だけでいかざるを得ないじゃないか、そういうお考えで出しておられる。ところが今承わったお話でも、人事院の立場から行われる勧告は、そういう御趣旨が徹底しているとか、国会審議が全く御趣旨のような格好でそうだというふうになっている場合は別として、やはりこの法律案が通って、この法律成立したものとしてつかまえた人事院は、この第一条の第三項によって行う作業なり、その作業によって出てくる合理的な結論というものは、やはりそのいつ出すか出さないかということは抜きにして、私はその五級地だけというのではならないと思う。そうするとどうもその予算にはない。しかしその予算の中から五級地だけの分については何かしぼり出そうじゃないかという考え方が、この付則の方にも施行期日の関係で出てきているわけですが、ところがそれはそうはいかない。一方勧告を出す方はこの法律に基いて……。ところが実際の場合としては、私はあなたの考えのように、この予算に計上されてはいないけれども、この程度のものは出せるだろうというので、まあここにあなたの方でも五級地程度ということは当面の措置としてはこの条文によっても考えておられる。そこで私はこの施行期日が問題になってくると思うのです。まあ今の質疑応答でも、この修正趣旨なり、従ってこの修正を含む法律通過すれば、これば当然五級地だけではなくて、その他の地域にも均霑して、ほんとうに合理的な配分になるべきだ。まあこの点はいいんです。この点はいいんですけれども、その点に関連して今お話し申し上げたように、施行期日が残念ながら来年の三月三十一日までの間ということです。今の御答弁では、五級地の分については、ほかの地域を切り離して五級地だけの分については当面してやらなければならない。まあそういうお考えで先に提案が行われて、それから修正が行われる。ところがここへきては「政令で定める日から」、これは私はあなたのおっしゃる通り、やろうと思えば、たとえば一般会計の関係からいいましても、あなたの方の提案の場合は、これは八千万円しかかからない。一般会計全体のうちから八千万円、人件費のうちからでも捻出できぬなんていうことは私は絶対ないと思う。その点についてあなたは与党としての立場から、この施行の問題についてこの政令に譲る、その政令に譲った場合の条件についてどういうふうにお話し合いを進められたか。
  34. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今の点でございますが、この問題につきまして千葉先生長らく御検討になっておって、まあいわば兄貴から弟が尋ねられたようなもので、非常にお答えしにくい点もあるのでございますけれども、私どもが考えております点、特に今の修正でもって明らかになりましたように、これは制度としては今おっしゃった通りに、人事院としてはまさか五級地だけでよろしいというような勧告はできないのじゃないかと思います。ただしかし、その勧告の仕方にもこれはいろいろあるのじゃないか。根本的には、先ほども申し上げましたように公務員制度の調査会の答申もございますので、根本的な改正案というものもありましょうし、またかりにそこにいくまでの間で薪炭手当を全般的に及ぼせば、五級地にはどうしたらいい、四級地にはどうしたらいい、三級地にはどうしたらいいというような中間的な案もございましょうし、これはおそらくそういう点を御検討になって勧告があるのだろうと思っております。ただしかし、それが予算や何かの点でもって制約を受けます結果、その中でさしあたり今年はこれだけのものをしたらどうかというような御勧告の方法もあるのじゃないか。かように実は期待しておるわけです。と同時に、率直に申し上げますが、社会党、自由民主党、両党から修正の御意見が出ました場合に、今のような根本的な問題もありますけれども、それはその案を待って、そのような案をとった上で施行するとなりますれば、どうしても一年はおくれてしまう。そうすればごくわずかな点であって、また理論的には十分といえないにしましても、とにかく今年からでも施行できる方がいいんじゃないか。そうだとすれば、現にほかの公社なり現業官庁でもって行なっておる場所についてだけでも一つことし支給できるようにしたらどうだろうというのが、修正案をお考えになった方々の御意見でありましたが、今度の修正におきましても、実はこの委員長から議長あての報告書でも、この案の施行に要する経由、修正によってふえます額は、両方合せても二億四千四百万、これは地方公務員も入れてでございます。こういうふうな額であって、決して全面的なものまでをことしには期待しておらない。従いまして、この付則の点でもって施行期日をきめます際にも、まあこの程度のものだけ——少くとも根本的な問題は、勧告願うにしましても、すぐには施行できないと思います。従ってこの程度のものだけは、この年度の間でもって予算の執行状況を見て参りますれば、これは御承知通りに衆冷地手当は八月の末に支給されております。このときまでに地方庁まで含めまして、予算の執行状況、これを見て、出せるか出せないかをきめるのは、これはなかなかむずかしいかもしれません。しかし普通の支出官でありますならば、今ここで御審議を願い、かりにこの法案が通るということにでもなりますれば、多少のへそくりというのを作っておくのが常識、その点がはっきりしますならば、ごく部分的にではありますけれども、ことしから一つ施行をしてもらいたい。その状況によって、十月なら十月に施行をすれば、そうすればそのときまでに人事院の方でもよくお考えになっていただいて、この部分的な施行ならば、これは年度末にでも間に合せて、そうしてせめて限られた範囲の方にでもことしから幾分でも今までよりは恵まれた状態に持って参りたい。これが修正のときに社会党方々皆さんとお話しし合った実は真相でございます。その点御了承を賜わりたい。
  35. 千葉信

    千葉信君 この人事院の方で法律通過後、本年度の特例な状態に応じて出される勧告に対して、方法としてはいろいろただいま御答弁にありましたように、御定的な措置を含める勧告をするという方法がある。こういう点について、私はまたあとから人事院の方へ尋ねて、その点をはっきりさせておく必要かあろうと思いますが、あなたにお尋ねいたしましたもう一つの点ではっきりお答え願えなかった点は、一応あなたのお考えになられたように、予算は通過後である、従って正面切ってことしどうこうということはできない。しかし最低限度の、へそくりという言葉をお使いになったが、全くその通り、予算の執行の状況を見ますと、それほど厳格なものじゃない。大蔵省の力から出してくる法律でさえも、予算の通過後に予算に関連して予算がなくて、つじつまの合わない法律案を出してきたりするくらいですから、現にそれがあったんですから。ですから私はそういう点は若干のゆとりもあるし、やろうと思えばできる。そこで私のお尋ねしているのは、与党としての立場のあなたが、今おっしゃるような考え方に立って、一応その筋の通った法律案通りの支給区分、合理的な配分という将来の問題は別として、それは今の予算通過後の、予算編成当時からの考え方、予算通過後の段階からいっても、どうもその通りはむずかしいが、私もそう思う。あなたもそう思っている。それはやろうと思えばできないわけじゃない。そういう立場でお考えになっておられて、与党としての立場からどういうふうに折衝を進められて、そして本年度施行についてはどの程度の話し合いになっているか、あるのかないのか、この点を私は御答弁願いたい。
  36. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) これはこの前に衆議院委員会でも田中内閣官房長官から答弁がありましたように、制度としても今研究中である、また予算の上でも、もう成立した後にこういう予算を伴うものは困るのだ、正面切って言えば政府としてはこの御答弁以外にないと思います。そこでもってただ、今申し上げましたように、実際問題として最小限度のことをいたしますならば、これは私は金の上で、ないとは言えないと思います。そこでもってこれは私ども、あるいはまたこの案と申しますか、こういう.手当を出して、そうして比較的恵まれない地方にいる公務員方々に幾らかでも光明を与えたいとお考えになって下さる方は、千葉さんを初めとして相当多くの方がおられますが、こういう皆様のお力によりまして、そうして実際問題としては各地方庁を初め、一番大口に金の要るのは青森県とかあるいはまた岩手県とかの地方庁が一番多く必要だと思います。こういうようなところの状況もよく調べました上で、何とかやりくりつくということになれば、せめてこの範囲内だけでもこれだけしませんことには、三公社なり現業と非常に隔たりのある、不均衡な、虐待された待遇にことしも甘んじなければいけないのでありますから、せめてその点だけでも一つ行なっていただきたいということを強く人事院なり、また大蔵省初め、政府にお願いをいたしまして、そうしてこの年末には支給をぜひ行なっていただくように今後努力をして参りたい、こういうふうに考えております。
  37. 千葉信

    千葉信君 その地方公務員関係なんかもあるし、それから現業庁、公社等の関係もありますが、私はこの法印の直接の関係としてやはり一番問題になるのは国家公務員関係だと思うのです。この法律の直接の関係は、私のお尋ねしているのは、衆議院内閣委員会審議の過程で、政府の方から行われた答弁、これは正面切っての答弁ですから、私はそれは速記録も拝見しているのです。ですからそれをお尋ねしているのじゃなくて、おっしゃるような不合理な、不当な不利益をこうむっている職員に対して、ことしもまたそのままでよろしいということにはならぬのですから、せっかく法律案提案され、これの成立の見通しが大体あるという段階で、これから予算の関係等で御折衝になられるということでは、私は、野党の場合は別ですよ、与党の場合じゃ少し手が抜かれていると思うのです。その点今、私はある程度今までの経過の中で折衝なり、あるいはその結果見通しなりがあったのじゃないかと思って、挺業者としての今までの交渉経過を私は聞きたい。これがこの問題についての私の質問なんですが、どうでしょうか。
  38. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 適切なる御忠告ありがとうございますけれども、実はまだうんとは決して申しておりません。従いまして、一つ与野党の別なく御後援を願いまして、そしてぜひこの年末に支給できるように一つ御援助を賜わりたいと思います。
  39. 千葉信

    千葉信君 まあこの法律案なり、それからまたこの付則等は、このまま通れば、この点についてはお互いに努力もし、協力もしなければならぬと思いますが、今のままではどうも少し期待に沿ってないような段階なので、これはこれ以上私としては質問は遠慮を申し上げて、次の質問に入りますが、この法律案成立することによって既得権が保障される。同時にまた公平な取扱いがこの法律によって出てくる。これは当然そうならなければならないのですから、法律案の内容自体が、あくまでもその適正な手当なり、もしくはその手当の配分等については公正なものでなければならぬ、公平なものでなければならぬ。ほんとうに条件に適合するようなものであるかどうかということと、それに適合させることに持っていかなければならないし、同時に公平にやらなければならぬ。同時にまたこういう問題は、あなたも御承知通り、少くとも既得権を侵害するような結果になったり、それからまたその既得権を侵害してかまわぬという立法では私はいかぬと思う。そういう点からいいますと、今までもらっていた職員のうち、この法律通過することによって不利益な諸君が出てくる。もしそういう事実があったら、私はこれは決して善意でもって企てられ、提案された法律であっても、その手抜かりは私はやはり問題になると思う。実はあなたの方から修正前の原案が提出され、それが修正によって金額の引き上げが行われた。ところがその修正された金額でも、今まで支給されていた職員のうち、その金額を今回の立法によって不利益に、法律ではですね、きめられるということになると、どうもせっかくの既得権が侵害されるおそれが私は当然出てくると思う。どういうところにそれがあるかというと、地方公務員だとか、それから国家公務員、それから少し損をしていた公社の職員等の場合は別として、そうでなくて、有利にもらっていたところがこういうところにある。たとえば国鉄です。国鉄の場合、計算しますと、今まで五千八百六十円薪炭手当に該当する分としてもらっていた人が、あなたの法律によると、八百六十円損をしてしまう。それから今まで二千六百二十円もらっていた諸君が、今度の修正によって千七百円ということになると、八百二十円のこれまた損をしなければならない。前者は所帯主、後者は独身者、これはその立法上やはりわれわれとしては十分考えなければならぬ点だと思うのですが、この点まああなたは直接修正に当られたわけじゃないから、その意味ではあなたの責任を追及することもどうかと思う。しかしあなたの原案はもっと低かった。これは私はせっかく百尺竿頭一歩を進めながら、その一歩が半歩になってしまったということになると思うのですが、どうでしょうか。
  40. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 私非常にうかつなことを伺って恐縮なんですけれども、この法律は公社には適用ないつもりでおるのでございますが、いかがでございましょうかしら。国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律これ自体は、一般職国家公務員であって、公社や現業関係のものには適用ないのじゃございませんか。逆に質問するようではなはだ恐縮なんでございますが……。
  41. 千葉信

    千葉信君 私はまた逆に質問しますが、あなたの法律提案の場合に含まれていた予算というものは、これはどことどこですか、二億円というのは。
  42. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) これは国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の第一条では、これは「国家公務員法第二条に規定する一般職に属する職員で」とありまして、この国家公務員法第二条の規定しております一般職にはこれは入っていないのでございます。従いまして、この国鉄なり電電なりは、給与総額の範囲内で、いわゆる団体交渉その他でもってこういうものはきまっておった。そこでそっちが先行してしまったものですから、いわゆる一般公務員についてはそういう制度がない。その制度の穴を埋めますために、この法律の改正を今出しておるのでございまして、従ってこういう公社、現業関係、そういう方々を除いたいわゆる一般公務員の問題が、この国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律適用範囲である、かように了解いたしております。
  43. 千葉信

    千葉信君 法律はあなたのおっしゃる通りです。一般職の職員に対する給与、手当、その通りなんです。ところがその給与法できめられ、そのきめられた支給というものは、これは一般職の職員だけじゃなくて、その他の職員にも及ぶわけです。地方公務員等の場合は、これを準用するということになって、地方公務員はこれの立法が問題になってくる 同時に今度は逆に言うと、たとえば団体交渉できめられる現業であるとかあるいは公社の場合、今度の場合は逆になって、大体まだ法律がきめられていないのに、そちらの方ではそれぞれ団体交渉でそういう金額なり手当を獲得し、獲得ということは少し語弊があるかもしらんけれども、実施をされてきた。そういう事実があって、なおかつ地方公務員を含める一般職の職員等が全然支給の対象にならず、法律の制定も行われないので、そのために今度の改正ということになったわけです。その改正によって国家公務員、地方公務員等は、この法律の制定によってやっとどうにかこうにか浮び上るという格好へきておる。同時にまた、おっしゃるように、現業職員の関係あるいは公社の関係、公社が並んでいますが、その並んでいる公社のうちに、やはり今度の法律の制定によって、今まで四千五百円しかもらわなかったものが五千円もらうという条件が出てくる。五千円もらうという条件がその日にすぐ出てくる。だからここまではいい。ここまではいいが、これは別物だという解釈をあなたが持っていたら、これはとんでもない間違いだ。法律でこれははっきりと一般職の職員、それに準用を受ける地方公務員、こういう人たちがやはり同様に、たとえば電電公社、たとえば専売公社、こういう公社の関係もこの立法によって潤おうわけです。だからそこには問題がない。そこには問題がなしに、そういうふうに電電公社、専売公社が今までより有利になる条件が出てくると同時に、一方には問題になったこの法律の制定によって不利益になるおそれがある。つまり立法によって既得権を削られるおそれがあるものが出る。立法に当ってはこの点を慎重にやらなければならない。慎重さを欠いておると言っても差しつかえない。
  44. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今非常におしかりを受けて恐縮なんですけれども、それほど慎重を欠いておったとも思わないのでございますが、と申しますのは、これは釈迦に説法のたぐいで恐縮なんでありますが、国鉄、電電、専売と三公社並べてみましても、いわゆる薪炭手当に当るものが非常に差があることは、これはごらんの通りでございます。電電なり専売は、世帯主四千五行円、準世帯主三千円、独身者千五百円、ところが国鉄になって参りますと、寒冷地手当となりまして、内地一級、世帯主が一万八千五百円、独身者七千九百円、二級地で世帯主が一万五千百円、独身者六千四百円、このように国鉄だけは、——これは私も詳しいことは申し上げられません。これ以上知っておりませんから、突っ込まれると困るのでありますけれども、給与の立え方が非常に違っておるのでございますね。従いまして、この今私ども修正案が通ったにいたしましても、国鉄のこの給与体系が違うものでありますから、そこまですぐに及んでくるとは実は私ども考えておりません。それをしもこれがどうしてもこちらに引きずられて値下げになるであろうというように御懸念になります点、もしもそういうことであったらまことに恐縮でありますけれども、まあこれも一つの既得権であり、相対的な差が縮まるということ、これはもう私ども明らかに認めなければなりませんし、また差を縮めることが目的なんでありますけれども、しかし絶対額が減るということは私ども夢にも考えておりませんでしたし、またそういうことになろうとも今考えていないような次第であります。
  45. 千葉信

    千葉信君 国鉄の給与の立て方が他の方と若干違う。これはみんな違っているのです。三公社が三公社みんな違っておる。現業また違っておる。その中でも国鉄が若干異色があることは私も知っている。それから絶対額の関係について、絶対額としては減らんだろう、これはその通りだと思うのです。ただ、今あなたのお読みになった一級地、二級地の関係というのは、職員でごっちゃになっているんじゃなくて、地域々々ではっきり分れている。あなたのお読みになったその資料は、一級地の場合にはこれは青森、弘前、それから青森県内の四十三カ町村の職員、給与の立て方が特色を持っているとか、違っているとか、絶対額がどうのこうのということはその通りだけれども、この今読み上げた地域の諸君は、今回の法律の制定によって、国鉄としては絶対額が変らんかもしらん。あるいは差を縮めるという措置がとられるかもしれない。その差を縮めるという措置にしても、今回のこの法律の制定によってどこから縮むか。この県内のこの地域の諸君は不利益になるということも認めた上での絶対願は動かんということになるじゃありませんか……。まあそれはいい。それはいいけれども、少くともこの地域の諸君は、あなたもお考えになっておられるように、国鉄の中における絶対額の関係、特色を持っている給与体系の立て方であるけれども、しかしその絶対額は大体動かさないでおいて、今回の法律によってある程度のものは有利になる。有利になるという条件が、絶対額の中ではどこへしわ寄せするかというと、今回の法律の制定によって、この県内の諸君は不利益になるとはお考えになりませんか。
  46. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今の点がどうも私よくわかりませんけれども、国鉄の二級地というのは、今御指摘のあった青森の特定の地域以外の五級地でございますね。従ってその五級地の人たちに、すでに、今度の私どもの案の農商額をかりに支給したといたしましても、それよりもよりよい手当をもらっておるのでありますから、相対的に見てほかのものが追いついてくる。追いついてくるから差が減るということまでは私ども認めますけれども、そのために不利益になるとは考えないのでございますが、むしろ今までそういう手当があった、ほかのものにはなかった、そこであまりにひどい、同じ地域に勤務しながら、片一方はもらっておる、片一方は全然もらっていない。その人を何とか同じ待遇までして上げたいというのが念願でございまして、従って追いかけられている方が追いついたから不利になったということは、これはまあ考え方の相違かもしれませんけれども、そうでなくて、今まで何年か不利を忍んでおったのだから、それが追いつくのを追いつかせるということでいいじゃないでしょうか。私どもはそう考えております。
  47. 千葉信

    千葉信君 その点が、今までこういう法律がないときには、大体薪炭手当そのものの制度がないのですから、ですからその団体交渉等によって、切り取り強盗とか何とかいう状態で、それぞれの主張に応じて、実際上法律がなくともこういう団体交渉でも成果はあった。いいですか。ところがたとえば青森、これは二級地という言葉がありましたが、そうじゃなくて、内地の一級地、そういう一級地の場合にもらっていた地方、そっちの地方は、今度の法律の制定された額よりも多くなる。片方の方は、国鉄の場合には追いついてくるという条件が起るのでしょう。その追いついてくる方は、これはもうおっしゃる通り私は大いに賛成なんだ、ところがそういう条件が起るときに、今度はこういう法律がものをいって、今までのように制度がなかったときに取っていた条件のような格好のものは、この法律の一定の基準というものが今までの——たとえばいろいろな給与の関係、地域給の関係でも何でもそうであるけれども、こういう法律が出ると、その法律に準拠するという方法がとられてくる。そうするとこの場合の青森県の諸君なんかの場合には、今まで多くもらっていたのが削られるという可能性が出てくる。その削られる可能性が出てくる根拠となるのは何かというと、今回の立法によってそういう既得権をずっと保障してやるような法律でいけば別です。具体的に言えば金額が少いということなんです。だから五千円できめられると、それより八百六十円多くもらっていた人たち、それからそれより八百二十円多くもらっていた人たちが、その交渉の過程でも結論としても不利になるおそれがこの立法立法というよりも、この法律の金額の関係で出てくるおそれがある。法律を作るときにはやはりそういう点は十分考えなきゃならぬ。同時に今回の法律提案は、あなたのおっしゃるように一方の方はもらっている既成事実がある。この既成事実を認めるという格好で他の諸君にも均霑するという措置をとられなければならぬというのが立法趣旨でしょう。その立法趣旨からいけば、なぜここだけが考慮の対象にされずに、不利益になるようなおそれがあるような措置が、今回の法律案によって出てきたか、なぜその金額を、これらの諸君の既得権の保障できるような格好立法を考えなかったか、この点です。
  48. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) しばしばの御注意で恐縮ですけれども、まあ金額の関係から申しますならば、電電が四千五百円、専売四千五百円、郵政が四千五百円になったかどうか、私も最近の資料は存じませんが……、三千九百円でございました。こういうようなものが幾つかある。国鉄が今も申し上げたように多少体系も違ってずば抜けておる。こういう場合に追いつこうとするのでありますから、またこれを非常に高い金額を限界にいたしますると、いわゆるいたちごっことでも申しましょうか、またそちらも、今お話がありましたように実力で、法律がなくとも切り取り強盗、お話によればできた立場にあるのですから、また切り取りをやる、またこっちが追いかける、これでは何ともしようがない。従って今おっしゃるように、こういう法律ができますと一つの何か基準ができて、全体に及ぼすおそれ、これはあるかもしれません。あるかもしれませんが、またそうあった方が全体としていいのじゃないか。ただし今お話がありましたような、法律がなくてもその既得権をお取りになったくらいのところでありますから、これが出たからといって、私はすぐに下るものとは決して考えませんけれども、しかしやっぱり何か全体的な基準が一つあった方がいいのじゃないか、このように考えましたことと、もう一つは今申すような国鉄以外の公社の現状が大体四千五百円がとまりである。これに追いつこうとするのでありますから、四千五百円に原案はいたしたのでありますが、それじゃあまり芸がなさ過ぎるじゃないか、多少はゆとりをつけておいてもらいたいというような修正案の骨子でありまして、それから五百円なり二百円、限界として上に置いたというのが修正案なり原案を作りました趣旨でございます。
  49. 千葉信

    千葉信君 だからこれはあなたと私と立場が違うから、少々意見も違うであろうし、あなたの場合では、こういう公社とか現業の関係で、どういう状態でそういう給与がきまるか、どういう関係でその給与の金額がきまるかということについては、失礼なことを申し上げるようですが、私はやっぱりよく御承知にならんであろうと思う。実情は、たとえば国鉄なら国鉄の中でこういう問題を決定するときには、それぞれ相当に論議をして、そうして一方は幾ら、つまり一級地は幾ら、二級地は幾らということで、それぞれその受給者、利害関係者、支給される側の者が相談をし、その相談の結果に基いて相手と折衝して、そうして大体そういう考えが基礎になって問題が決定される、大まかに言って。ところがそういう決定の仕方をされてここまできているこの状態が、残念ながらその法律が出て、たとえば第一段階として、五級地に対しては五千円とか千七百円という格好で支給するということになると、それがこの地域からこの地域という格好で一応の基準になる、法律で。そうすると今まで法律のなかったときにはそれぞれその利害関係者同士の、はっきり言えば組合員同士の話し合い、相談で、ここからこうはこういうふうにという格好できめられる。ここからこっちはこういうふうに低くてもいいという格好で一級地、二級地という差がついており、そのお互いの話に水が入るわけだ。青森からずっと各府県の五級地なんかは第一段階としては五千円でよろしい。そうなると実際問題としても、その場合どうしても実際問題としてはあなたの、法律通過することによってごたごたが起きるという言葉があり面したが、ごたごたよりもむしろ気の毒な状態が起る。ごたごたが起っても私はやむを得ないと思う。そのごたごたの結果出てくる結論というのは、何とあなたが答弁してみても、実際問題として青森県の諸君はさっき申し上げたような格好で損をする、金額がはっきり削られるから。私は法律を作るときに考えなければならないのは、適正なものであると同時に公正でなければならない。同時に既得権を、上げてやるのはいいですよ、当然の必要があって上げるのですから、既得権を保障するということが、またこういう間脳を解決するときの立法の場合の根本的な心がけでなければならね。さっきその給与はもっと複雑なものでない、単純なものに持っていこうというお話があなたの答弁の中にありました。人事院もそれを考える、政府もそれを考える、公務員制度もそれを採用する。ところがなかなか容易にそれができないのは、考えがまとまらないためじゃない、方策がないためだ。どうしてその単純化できない条件が出てくるかというと、既得権を一方では保障しなければならないというために、そのためにできないのじゃないですか。それほど給与の問題なんかについては既得権は尊重されなければならぬし、それを考えなければ、こんな問題いじる資格なしと言わなければならない、こうなってくる。せっかく勇敢に踏み出されながら、どうも少し今申し上げたような点では私はどうも感服申し上げるわけにいかぬと思う。
  50. 木島虎藏

    木島虎藏君 ただ一点だけ質問さしていただきたいと思う。  それはこの石炭手当、薪炭手当等のときに、せっかく額面はいただいても、職員の方が税金をとられて、そして立法者がお考えになるような実質が渡らぬ、こういうことが現在の薪炭手当なり石炭手当なるものの最大の悩みです。この問題を立案に当ってどういうふうにお考えになったか、その点を一つお伺いしたい。
  51. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) この問題は非常に大問題でございまして、特に北海道の石炭手当について、税引で石炭手当をよこせ、こういう御主張が非常に強いのであります。これは理論的に考えますれば、積雪寒冷のために生計費がかさむ、その増高分の補償でございますから、あるいは税を引いたところの額がそれに当るように金額で調整できるかもしれません。あるいはまた税の点でもって調整することも可能かもしれません。ただ私どもが非常に疑問に思いますのは、これは議論にわたりまして恐縮なんでありますが、積雪寒冷のために生計費が増高いたしますものはサラリーマンだけじゃないのでございます。これは中小企業者しかり、農漁村しかり、みな生計費が増高いたしております。で、これに対しまして、私どもこういうことを提案しながらおかしな話かもしれませんが、公務員なり給与所得者につきましては、手当の上で何らかプラスをいたしまして、その分を救うことができますけれども、これが農漁民であったり、中小企業者だったりいたしますると、何らそういう方策はとり得ないのであります。従いまして、もし税の方でもってそういうことを考えますならば、これは給与所得だけでなしに、中小企業あるいは農漁民の方、みんなに通じまして、たとえば今、所御税の場合におきましても基礎控除という考えがございます。そういうような、何らか積雪寒冷地控除とでもいうような、所得のうちでも五分引きなり一割引きなり、これは実情で引かなければいけない、そういう格好で引いていかなければ、これは税の面では不均衡じゃないか、またかりにそういたしましても、まだ残る問題は、たとえば所得税については月額二万円以下の人、平均家族だと所得税かからなくなりました。そういう人たちは税の方ではこれは救いようがない。中小企業なり農民にいたしましても、これは所得の少い方には所得税もかかっていないのでありますから、そういうことだけで救い得ないので、もっと根本的な考え方をしなければいけないと思いますけれども、しかしもし税の上外、考えるといたしますならば、全体の所得者に通じましてそういう考え方をしていったらどうか。この手当だけについて考えていくのはちょっとおかしいじゃないかということで、実は私どもの党内でも政調会で今検討いたしておりまするし、また政府の税制調査会におきましてもそういう意味で今検討をしてもらっているような次第でございます。
  52. 木島虎藏

    木島虎藏君 税の議論をするとお説の通りだと思いますが、(千葉信君「いや、少し違う」と述ぶ)それと一緒かどうか存じませんが、どうせそういう寒冷地で生活をするという、補償の意味があるのですから、特に公務員並びにそれに……、まあ公務員です。そこでそれを現物給与にするという考えはなかったのですか。
  53. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 現物給与につきまして、これはいろいろ検討いたしました。検討いたしまして、たとえばこれは千葉さんの案にございまして、これに触れるので、はなはだ恐縮なんでございますが、たとえばまき一束とか炭何グラムということの案も実は検討いたしたのでございます。ただ私ども、これは意見が達って恐縮でありますけれども、たとえばまき一束と申しましても、ある県の中では郡一つ隔てましてそのおのおのの容積が違うのでございます。あまりにまき一束と申してもどれをとるか、これは内閣の統計の方では一つきまった容積がございますけれども、ただ実際に町で使っております束というものの観念があまりに違いますから、かえってこれはまずいのではないか。それから石炭でありますれば、大がい品質もきまっておりましょうけれども、まきにつきましては材質も土地々々で違いますし、炭につきましても同様でございます。こういうことでもってかえってごたごたが起っては悪いだろう。これを実は人事院からもそういうような御勧告を受けまして、むしろ確定金額にいたした方がよかろう、こういうことでいたしたわけであります。
  54. 千葉信

    千葉信君 まあ今の税の問題なんかについても問題が起ってきたし、質問をきょうはこれくらいにして、本会議関係がありますから散会されたらどうです。動議を提出いたします。またあとでじっくり……。
  55. 青木一男

    委員長青木一男君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会