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1956-03-30 第24回国会 参議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月三十日(金曜日)    午後二時八分開会     —————————————   委員の異動 本日委員植竹春彦君及び長島銀藏君辞 任につき、その補欠として佐野廣君及 び伊能芳雄君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            井上 知治君            伊能 芳雄君            遠藤 柳作君            木村篤太郎君            佐野  廣君            苫米地義三君            中山 壽彦君            田畑 金光君            廣瀬 久忠君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 英三君    国 務 大 臣 河野 一郎君   政府委員    行政管理政務次    官       宇都宮徳馬君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    厚生大臣官房総    務課長     小山進次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○厚生省設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。  厚生省設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対して質疑のおありの方は御質疑を願います。
  3. 田畑金光

    田畑金光君 大臣に一、二の点についてお尋ねいたしたいのですが、それはこの改正法案提案理由によりますと、改正の第二点として保険局に新たに次長制をとることにされたのでありますが、その理由の中に、その説明の中に、政府としては昭和三十五年度目途として全国民医療保険を普及させる決意を固めておるので、社会保険の整備について保険局中心とし格段の積極的な施策を講ずることとされているようであります。昭和三十五年度目途として全国民医療保険普及徹底をはかられるということが、これはわれわれ社会保障制度強化を期待する者としてまた国民保険医療保険をすべての国民に普及するという点において、国民全体の要望であろうと、こう見るわけであります。この点に関しまして大臣の本計画推進あるいは完成に対する計画等について、構想を御説明願いたいと考えるのであります。
  4. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今の御質問の点でございまするが、御承知のように、ただいまのこの社会保険という問題は、ことに医療保険という問題、これは社会保障といたしましての最も重要な中核ともいうべきものでありまして、現在ございますのは御承知のように、健康保険、それには組合政府管掌、それから日雇労働者健康保険、あるいは船員保険、各種の共済組合というような勤労者対象といたしましての健康保険がある、医療保険があるのでございます。そのほかに御承知のように主として自営者中心といたしましての国民健康保険がある。そのほかに全然この社会保険対象になっていない、適用を受けていない方々が三千万人いるわけであります。それらのものを私どもといたしましては、昭和三十五年という経済五ヵ年計画社会保障五ヵ年計画最終年度目途といたしまして、国民保険の線に持っていきたい、もちろんこれには現在いろいろの、御議論があるのでありまして、この国民保険という問題に対しては、どなたもおそらく御異議はないと思うのでありまして、現在の健康保険、それから五人以下の雇用しかない、従業員しかない事業体、これは適用を受けてない。これらをどうするか、今日の健康保険財政に非常に大きなウェートになっております結核の問題、そういうような問題もあわせまして、いろいろ今後十分に検討いたしまして、国民保険目途として進んでいくためには、これから十分に、これらの問題を総合的に調査研究をいたしまして、最後一つ三千万人の未加入者も入れる国民保険の域に達すべきである、こういうのでありまして、三十一年度におきましては約九百万円の予算のもとに、医療保険保険医療の問題につきまして調査研究をいたしますために、厚生大臣一つ相談相手といたしまして、それらの専門的な人々をお願いいたしまして、そうしてこれから年次計画を組み、いろいろの計画を定めまして、調査研究を進めながら、これらの対策を講じて参りたい、こういう考え方を持っております。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 三千万人の国民が、まだ医療保険適用を受けていない、われわれもよく承知いたしておりますが、こういう人方に対しても、国民保険の趣旨に基いて、医療保険適用ぜしめる、このことは先ほど申し上げたように、まことに社会保障制度充実一環として、国民の望むところであるわけであります。ところが今のお話によりますと、今年度九百万の予算を計上して政府調査に取りかかる、こういう段階のようでありまするが、そういたしますと、厚生省といたしては、具体的に五ヵ年計画で皆保険を完成しようという御意図でありますならば、昭和三十一年度は、五ヵ年計画の第一年度に該当するわけであります。本年度調査段階で、何も具体的な事業推進は期待されていないのかどうか。第一年度として国民保険への具体的な推進をはかれる準備を、御用意を持っておられるかどうか。でなければ五ヵ年計画、あるいは五年後に達成するというようなことが、事実これは不可能であろうと考えます。  さらにまた関連してお尋ねしておきたいのは、大臣の御説明によりますると、今年度調査段階のようでありまするが、いかなる機関調査を依頼されるのか、いろいろの大臣の、厚生省諮問機関もあるようでありまするが、そういう諮問機関を利用して、調査あるいは成案を得せしめるのか、こういうような点について、もう少し具体的に厚生省方針を承わりたいと思います。
  6. 小林英三

    国務大臣小林英三君) まずこの国民保険というわれわれの目途といたしております三十五年度に到達いたすためには、本年度におきましては、とりあえず従来赤字をもって非常にその運営の十分なる機能を発揮できなかったところの政府管掌健康保険というものに対しまして、法制的にこれに政府補助を得まして、そうしてただいま御審議を願っております被保険者一部負担、これによりまして、その他種種の制度改正いたしまして、これによってひとまず健康保険の立て直しをするということも、三十一年度の初年度のそれらに対する一環でございます。それから国民健康保険につきましても、本年は二百万以上の加入者を予定いたしまして、そうしてそれに対して、それぞれの予算を計上いたしているのであります。  かくいたしまして、健康保険そのもの軌道に乗って、国民保険そのものも、本年度計画といたしましては加入者をふやして参る、三十一年度におきましては、ただいま申し上げましたように、九百万円の予算に基きまして、適当なる学識給験者あるいは実際家というような人々を委嘱いたしまして、それらの問題につきまして十分に調査研究をいたし、年次計画もいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  7. 田畑金光

    田畑金光君 私がお尋ねいたしましたのは、国民健康保険の部門について、いわゆる五年計画、三十五年度国民全体を保険に加入せしめるという一点についてお尋ねしたわけでありますが、そういたしますと、この調査研究をこれから進められるについては学識経験者に委嘱をされるようでありますが、その時期とかあるいは答申の時期等について、大体どういうような厚生省としては考え方でおられるのか、その辺の事情を承わります。
  8. 小林英三

    国務大臣小林英三君) これは私どもの考えておりますことは、審議会とかそういうふうな意味のものでなくいたしまして、大臣の顧問というような意味で、われわれとともに御相談相手になってもらって、そして厚生省全般といたしまして調査研究を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  9. 田畑金光

    田畑金光君 この点はこの程度にとどめまして、先ほど御答弁の中にありました健康保険赤字財政の問題で、政府としては今回提案されておる保険法の一部改正法案提案をなされておるこの点でありまするが、もうすでに周知の通り政府としても相当苦境に立っておられるように見受けるわけであります。ことに保険医の総辞退、こういう深刻な問題に当面されて、厚生省としては、政府としては対策に奔命されておるように見受けるわけでありますが、この改正法案に対しまして、患者の一部負担の問題、あるいは保険医に対する監査の強化、あるいは登録の問題、医療機関の指定の問題等について、今の情勢国民的な世論として政府改正法案に対し反対ののろしを上げて、法案自体も非常な難航をきわめておるわけであります。こういう情勢に対しまして、大臣は当面の責任者としてどうお考えになっておられるのか、政府改正案があのままで通過するという自信をなお持っておられるのか。さらにお尋ねしたいことは、政府の今回とられた一部改正法案措置によって、昭和三十二年度以降、健康保険財政というものは健全な運営ができるのかどうか、また来年度になれば何らかの措置をとらなければやっていけないのであろうとわれわれは見るのでありまするが、こういう健康保険財政赤字に対しまして、政府並びに特に責任官庁としての厚生省は恒久的な施策を準備しておられるのかどうか、承わりたいと思います。
  10. 小林英三

    国務大臣小林英三君) この健康保険のただいま御審議を願っておりまする、国会におきまして御審議中のこの改正案、これは私どもといたしましては、社会保障確立促進の見地からいたしまして、しかも医療というものはその時代におきまする最高医療保障というものを堅持しながら、国民健康保険制度というものの進歩向上をはかるという目的をもちまして、今日あのような改正案を出しておるのでございます。来年度におきましての財政状態に対してはどう思うかというような御意見でございまするが、私はこの政府補助という問題につきましても、これは今のような目的政府補助をいたすのでありまして、今年度は取りあえず三十億円でございまするが、これもやはりそういう意味から出しておるのでございまして、今日の改正案国会の御審議によりまして通過いたしまして、これが実施するということになりますならば、私は今後の健康保険財政はもちろん軌道に乗っかりまするし、将来ますます政府管掌健康保険制度というものが向上発展するものだと考えております。  今日のこの保険医諸君がああいうふうに総辞退という動きがありまして、現に京都、大阪、東京あるいは兵庫というように総辞退の届出をなさったということにつきましては、私どもといたしましては保険医療というものの非常に重大な、しかも公共性を考えまして、まことに遺憾に思っておるのでありますが、しかしこの問題につきましては私も常に努めて全国の医療担当者諸君にもお目にかかり、またそれらの代表者諸君にもお目にかかって、いろいろとこの内容等につきましても御説明を申し上げ、今日の健康保険というものをほんとうに将来軌道に乗っけて進歩発展さすには、これが一番よろしいのだということにつきまして、理解を得つつあったのでありますが、たまたま全部ではございませんけれども、それぞれの土地におきまする過半数以上の担当者諸君が、現に辞退をお出しになっておるのであります。しかし私はまだ予告期間があることでございまするし、その間におきましては各都道府県の知事その他の関係者を通じまして、できるだけそれらの辞退者も取り下げていただきまするようにお願いをいたし、またその地におきましては、最悪の場合につきましては、これはあとに残っておられまする健康保険医の御協力、それからすべての公的医療機関の御協力を得まして、国民の各位には御心配をかけないようにいたしていきたいと、こういうふうにただいま考えております。
  11. 田畑金光

    田畑金光君 与党内部にも改正法案について修正意見等も出ておるように、動きもあるように聞いておりますが、政府としてはあくまでも今出されておる改正法案を堅持される決意でおられるかどうか、この点をお伺いいたします。
  12. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 私も与党内部におきまして、政府原案についてある程度修正をしようじゃないかというような意味動きがあることは承知をいたしておるのでございます。しかしながら私どもといたしましては、最初この原案につきましても、十分に党の最高幹部等とも相談もいたし、また政府補助金法制化の問題につきましても、与党あるいは大蔵、厚生当局も参加いたしまして、そして法制化を決定した次第でございまして、もちろん原案提案者といたしましての私といたしましては、この原案が通過することを希望しておるのであります。しかしこれは国会が御審議になることでございまするから、与党におきましては修正案が出ました場合におきましては、そのときにわれわれの態度を決定したいと思っております。
  13. 田畑金光

    田畑金光君 社会保障制度審議会答申は二割国庫負粗ということを政府に具申しておるわけであります。予算編成の当初において、厚生省としても強く国庫負担構想をもって臨まれたはずであります。少くとも一割負担国庫においてなすべきであるという基本的な態度で、厚生大臣は職を賭してがんばられたということもわれわれは聞いておるわけであります。ところがそれがいろいろな曲折を経て、結局補助金という形に落ちついたわけでありますが、先ほど大臣の御答弁になりましたように、社会保障制度の今日の中心医療保険であるといたしまするならば、健康保険等制度におきまして、今後とも政府社会保障制度審議会答申等を尊重して、国の予算の中に安定した保険財政の地位を確立しておくべきであるとわれわれは考えますが、大臣は今度この問題に対しまして、そのような考え方で努力をされる御意思がありますかどうか承わります。
  14. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 私が就任いたしまして、まず考えましたことは、政府管掌健康保険赤字の問題、これは御承知のように、二十九年度におきましては四十億円の赤字、そのほかに積立金等も十数億使い果し、三十年度におきましては六十億の赤字が出まして、合計いたしまして百億の処置につきましては、御承知のように大部分を資金運用部からの借入金によって暫定的の処置をいたしたのであります。三十一年度におきましても、やはり医療費向上いたしますし、一方保険財政収入面につきましては、保険料収入というものが、ほとんどカーブが緩慢でありまして、上って参らない。医療費はどんどん社会の進展に伴いまして、技術も進歩し、医学も進歩し、いろいろなわけでだんだん上って参りました。当分医療費増高というものは、これは日本ばかりではございませんし、各国とも上るべき傾向にあるのでありまして、これには私はまず第一番に考えましたことは、今お聞きのように、医療費の一割程度国庫負担国庫補助を得たいものだ、こういうふうに考えまして、当時大蔵省にも四十億円はぜひ出してもらいたいということにつきまして、いろいろと折衝をいたしたのでございます。しかし大蔵省と私どもの間におきまして、相当の大きな開きが出て参りました。しかし国の財政ということもございまするし、一方におきましては、先ほど申し上げましたように、社会保険適用を受けていない方が三千万人いる、これら三千万人の方たというものは、一方において国の税金というものは、国民の義務としてお払いになっており、医療費に関しては自費でもっておかかりになっておるというような状態方々も多数あるのでありまして、そういうようないろいろな関係からいたしまして、本年度は三十億に決定いたしたのであります。その当時はもちろん三十億というものは、単なる政府補助でございまして、これではいかぬというので、先ほど申し上げましたように、健康保険制度進歩向上のために、政府はこれを法制化いたしまして、そうして今日御審議願っておりますような改正案の中に法制化いたしたわけでありまして、私はこれによりまして健康保険財政軌道に乗り、健康保険制度そのもの向上進歩発展ということが期せられることを期待いたしておるのであります。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 きのう千葉委員からも御指摘があり質問があったわけでありますが、大臣答弁によって、その間の事情はわかりましたが、ただ一つ、この際、念を念を押しておきたいことは、二十七日の閣議終了後二、三の閣僚が、抑留同胞引揚問題あるいは未帰還者留守家族保護措置強化の問題について話し合いをなされた、その話し合いについて外相談話が発表された、しかしこれは正規の閣議議題でもない、またそういう話し合いがなされたのでもないという御答弁でありまするので、その問題については触れませんが、ただ今後予測されることは、きのうも私質問いたしましたが、抑留者の問題というものは今後深刻な波紋を描いて、さらに国民の関心を集中せしめる問題だとみるわけであります。引揚促進の問題は外交交渉の重大な問題でありましょうが、留守家族援護の問題については、どうしても厚生省中心となって、さらに誠意をもって善処されなければならなぬと考えるわけであります。留守家族援護強化について、厚生当局としては、こういう新らしい情勢の前に、何か対策を考えておられるかどうか承わっておきます。
  16. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 厚生省といたしましては、留守家族援護の問題につきましては、もう国の財政の許される範囲内におきまして、できるだけこれらの方々に対しまして十分な優遇の措置を将来とも講じて参りたいと、こういうふうに考えおります。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 私のお尋ねしますことは、すでにきまりました三十一年度予算、あるいはまた留守家族援護法範囲内において、ことしは留守家族援護をやっていくという厚生省としては、既定の方針をとられるのか、あるいは新しい情勢に即して留守家族援護法等強化、あるいは何らかの強化された問題を考えているのかどうか、この点をお尋ねしているわけです。
  18. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 留守家族援護につきましては、今日予算も両院を通過いたしまして、その予算範囲内におきまして措置をいたし、また今後の問題につきましても、われわれは留守家族のお気の毒な状態にかんがみまして、今後ともできるだけ好遇の処置を講じて参りたいと、こう考えます。
  19. 千葉信

    千葉信君 小林さんにお尋ねをいたしますが、この提案理由なんかを拝見しますと、非常にうまいことを書いておるんです。それからまた大臣答弁を聞いておりましても、さながら三十五年度までには国民保険の大理想を必ず達成するというような、まことに話だけは立派で、決心だけは立派であるが、しかしどうもこの提案理由説明が私どもに暗示するように、どうもほんとうに腹を据えてそれを実行しょうとしているのかどうか、疑わしい点が私はずいぶんあると思うんです。それは今度の健康保険法改正、それからまた社会保障制度充実、それから予算の計上、まあこういうふうな問題については、これは社会労働委員会の方で、この国会でも大臣はだいぶ汗をかかなければならぬだろうと思っていますので、まあその点は大体そっちの方にこの際割愛することにして、私はこの委員会における所管の立場から、主として機構関係から、果してそういう提案理由説明に盛られた内容実行に移されるかどうか。大臣の簡単にここで披瀝されている決意のような格好で、それが実行に移されるものかどうか、それでもっと直接に、今度のこの提案された法律案に盛られた厚生省機構上から、私は疑点をただしたいと思う。  この提案理由説明には、「その管掌する社会保険諾事業運営に万全を期しつつ、外、国民保険を目ざして医療保険一大飛躍をはかりますためには、さしあたりの対策といたしまして、局長を助けつつこの困難なる業務の一半を分担処理する次長設置」をする、初めの方は大した騎虎の勢いで出ているが、最後にいくというと、この問題の解決のために前進の節一歩として次長を置くと、これだけです。しかもその次長は、引揚援護局の方から一人もらってきてこっちの方に据えるというだけに過ぎない。そうしてこれに対してこういう釈明が行われている。「これに伴い新たに次長一人を増員いたしますことが諸般情勢上許されませんので」、ここに私は問題があると思うのです。一体その諸般情勢とは何でしょうか。社会保障制度確立の問題、社会保障制度拡充強化ということは、あなた方の内閣にとって公約一つじゃありませんか。しかるにそのたった一人の次長だけをほかの方から持ってさておいて、これは諸般情勢上許されぬ——諸般情勢とは一体何ですか。
  20. 小林英三

    国務大臣小林英三君) これは今の行政管理庁、まあ内閣方針といたしまして行政整理をいたしたい、それには局もふやさない、次長もふやさない、各省は課長を二割整理しようというような、一つ方針を快走して、それにむかいまして行政整理担当大臣が進めていたわけでございます。従いまして厚生省におきましても、今お聞きのような、健康保険局に新しく次長を置くということが、そういう方針から許されませんので、その諸般事情と申し上げますのは、つまりそういうふうな方針のもとにやっていこう、こういうことでございまするので、新しくふやさないで引揚援護局の方から二名のものを一人にして、こちらに一名次長を置こう、こういう意味説明でございます。
  21. 千葉信

    千葉信君 それはそんなことを言うから、あなた方がそこで幾ら太鼓をたたいても、うっかりこっちの方では信用できぬということになるのです。もちろん鳩山内閣方針として、なるべく人員はふやさない、課も減らしたい、これは一般的な方針です。そうしてそういう方針をとっていることは事実認めるけれども、しかし一方では、たとえば政務次官の増員参与官制度を設けて、もう少し充実しなければならぬ、こういう意見も一方にはあるわけです。これはどこから出てきているかというと、そういう必要を認めるからこそ、一般的な人員整理とか、局課の削減という方式と別に、必要なものに対しては認めるいとうやり方じゃありませんか。しかもあなたは今、そういう政府の一般的な方針としてやられているから、おれの方もそれに従ったのだと言うけれども、今提案されている定員法をごらんなさい、その事情によっては三千五百人も増員を認められている省庁があるじゃありませんか。そういう所もあるのです。しかも大した問題でない所、大した重要でない所、政府国民にこういうことをするといって看板をぶら下げて国民を、極端な言葉でいえばだました問題でない所、そういう所は私はいいと思うのです。しかし少くとも三大公約一つだとか二つだとかいって、大げさに太鼓をたたいてきている問題について——そうでない省庁になると三千五百人もふやしている、それを厚生省ともあろうものが、当面重大な社会保障制度充実という問題に一番取っ組んでいかなければならない厚生省が、諸般情勢もありますので一人もふやさなかった、こんな格好だから、あなた方が幾らそこで太鼓をたたかれても、私たちの疑念は去らないのです。これはやはり極端にいうと、小林さんはほんとう社会保障制度充実しようとか、三十五年には国民保険を目ざしているのだというようなことを言っても、われわれは信用できないし、あなたがほんとうにそのつもりで腹を据えてかかっているのではないという印象を受けざるを得ない。もう少しあなた、この機構の問題について、社会保障費の増額という問題と同様に、私はもう少し真剣にあなたが腹を据えてかかる必要が一なかったか、あったと思うのです。それが欠けていたからこんな結果になって、こんな釈明みたいなことを書いて、しかも簡単には了承がつかぬような釈明を書かなければならぬような格好になった原因ではないでしょうか。どうです。
  22. 小林英三

    国務大臣小林英三君) まあ千葉さんは提案理由説明の行の字句の一節をつかまえて言っておられますが……
  23. 千葉信

    千葉信君 違う、違う。
  24. 小林英三

    国務大臣小林英三君) そういうことを御判断になっておりますが、私はこういう問題につきまして、提案理由説明というものはきわめてまじめであり、またわれわれが考えている通りに書くべきものであるということは私ども承知いたしております。しかしこういうふうな字句の問題につきましてわれわれの考えていること全般を批判されるということは、私どもはそれには御同意するわけにはいかないのであります。
  25. 千葉信

    千葉信君 大臣どうも私の質問がわからないで答弁しているのか、わかっていてごまかして答弁しているのか、ちょっと了解に苦しむのですが、私はこの理由一つとして提案理由説明に書いてあることももちろん取り上げました。もちろん取り上げましたが、しかし私はこの提案理由説明そのものに対して言っているのではなく、こういう提案理由説明、同時に田畑委員質問に対してあなたがお答えになっておられた、この提案理由説明に盛られているような決意を堂々とあなたそこで披瀝されている。だからその披瀝されていることが、この機構改正の問題のワク内だけで考えてもですよ、あやしいのじゃないか。たった一人の次長をふやしただけで、しかもそれもよそから持ってきた。しかもあなた、一般的な情勢の中で人をふやすということは、この内閣はそういう方針をとっていないという。とっていないというものを、片方の方では、今この内閣委員会定員法改正案審議されている。そこでは三千五百人も認められている所もある。これはその必要を認めたからじゃないか。しかもそのあなたの管掌しておられる社会保障制度等のごときはですよ、あなたの内閣にとっては命取りの問題ではないか。機構上から見ても、そんないいかげんなやり方では何ぼ三十五年皆保険というようなことをあなたが言われても、機構上の改正の立場から見ても、簡単にはどうも信用しきれぬと思うが、その点ももっとあなたは努力すべき立場じゃなかったかと、こう言っておるのです。
  26. 小林英三

    国務大臣小林英三君) そうすると、千葉さんのお考えは、次長を一人置くにも行政整理のまあワク内しか守れなかった。それだからしてこの社会保険確立ということはできないのだと、こういう御意見ですか。
  27. 千葉信

    千葉信君 まあそういうふうにあなた考えるなら考えてもいいです。
  28. 小林英三

    国務大臣小林英三君) そういう意味ではないということを申し上げておきます。
  29. 千葉信

    千葉信君 でたらめな答弁ではだめですよ。私は今度の健保法の問題についても実はここで聞きたいのです。それはまあ社会労働委員会の方でやるでしょうから、私はその医療保険に関する予算の計上、社会保障制度充実という問題についてはここでは割愛する。しかしですね、内閣委員会の所管しているその機構の問題に関連して問題を取り上げてみてもですよ、今回の健康保険法改正に見られるような実際の裏づけとなる予算は、あなたがその主張された通りにならなかった。従ってそっちの方は、あなたは社会労働委員会の方で相当汗をかかなくちゃならぬ。こっちの方はしかしそこには触れないけれども機構改正関係から見ただけでも、私はあなたがそこで大言壮語しておられるような、そういう状態にはなかなかいかないのじゃないか。たとえば、この次長一人瞬いて、そこでもってその次長一人置くことの釈明に、あなたはこういう美辞麗句を並べるが、内実が伴っていないじゃないですか。こんなことにも内実を伴っていないような格好だから、あなたが今そこで言われておる言葉もやはりそういうふうにはなはだ頼りない結論になるのじゃないか。そこでどうして一体、あなたは機構上にも腹を据えて保険局拡充強化というような問題についておやりになれなかったのか。ほかの方にはそういう例がありますよということを私はあなたに話して、あなたの答弁を聞こうとしているのです。どうですか。
  30. 小林英三

    国務大臣小林英三君) これはまあいろいろ行政整理の問題につきましては、これは行政審議会答申に基きまして、河野担当大臣が今管掌してやっておるわけでありますが、やはり内閣といたしましては、今千葉さんのおっしゃるように、私が、厚生省だけでは次長を二名もらいたいとか、三名もらいたいとかいうことは、これは一応主張はできるわけでありますが、千葉さんの御質問だけを取り上げてみましても、しかし行政整理という問題につきましては、なかなか各省が各省ごとの意見を各省の理由に基いて述べましたのでは、なかなかできない、こういうことでございまして、たとえば課長の問題にいたしましても、これは二割なら二割おしなべて各省とも二割やろう、これにれにはもう厚生省はもちろんでありますが、各省ともいろいろな議論が出たのであります。しかしこれは、一人々々がいろいろな理由を言って理屈を言ったのでは、できないだろうから、とにかく一応画一でやろう、こういうようなことがございまして、各省とも全部二割を実行いたすことにきまったわけであります。その後の問題として、もうどうしてもここで課がもう一つなければ困るという問題があった場合には、スタートした上でさらに閣議の決定をしてもいいじゃないか、こう実は申し合せましてこれを決行したようなわけでありまして、千葉さんのおっしゃるようなことについても、これは確かに一つの御意見として尊重しておきます。また千葉さんの御意見は理屈もあろうと思いますけれども行政整理という問題はなかなかむずかしい問題でありまして、その点は一つ御了承をお願いいたしたいと思います。
  31. 千葉信

    千葉信君 どうも大臣行政整理なんという一言葉も全然意味を取っ違えて、とんでもない場所で平気で言っておられますから、これをもう少しこういう問題について厚生大臣に将来勉強してもらって、質問に対応するような御答弁をしていただく準備を願わなければならぬと思います。  私はこんな格好では堂々めぐりしますから、次に進みますが、今の問題に関連して、先ほど厚生大臣は、国民保険を目ざしてその方針を樹立するために予算は九百万円、それから予算委員会の席上では、医療保障委員というような言葉を使われておりましたが、ここでは、これは審議会というような格好ではなくて顧問ということにしたいということを御答弁になられました。まあこの九百万円の予算を計上して計画策定に当られようとしているその態度を私は大いに了とします。しかし問題の起ってきますことは、一体その医療保障委員もしくは参与の活用ということに私はなってくると思うのです。この場合は幾ら予算を計上してそういうものを持ってみても、果してそのあなたが期待しておられるようないい成果をあげることができるかどうか。最近官房長官から各種行政審議会等のごときものは整理淘汰しろという通牒が出ております。これは大臣も御承知通りです。吉田内閣のときでさえぐんと減らした各種行政審議会等がまたぞろどんどんふえてきておる。あなたはそういう政府方針は、はっきり把握しておられるだろうと思う。だからあなたは、ここでは審議会ということを避けて、参与というような、もしくは顧問というような言葉を使っておられますが、私は実はその厚住省の中に設けられている付属機関、この付属機関のうちの第二十九条の方の関係、これは大臣も御承知のように、厚生省の中に各種審議会等が二十三も四もあるのです。そしてその中には、厚生大臣の諮問に応じて医療機関の整備及び診療報酬に関する重要事項を審議する医療審議会、二十三か四ある各種審議会の中にこういう審議会があるのです。私はもし真剣にしかも国民の血税をあまり使わないで能率的にやろうとするならば、こういう審議会等に対してこの際配慮されてしかるべきだったと思うのです。私はこれは誤解かもしれぬし、少し悪口になるかもしらぬけれども、どうも最近政府のやり口を見ておりますと、いろいろな問題にぶつかると、やれ何々制度審議会、やれ何審議会、その審議会を設けて、そっちに藉口して曠日弥久、いたずらに日をかせいでいる。しかも結論は容易に立派なるものは期待できない。それでも政府の方としては、国会答弁はそっちの方に今諮問しておるからと、そこに逃げ込んできておる。私は今度の場合もその一環という印象を与えられておる。そういう私の印象がもし誤解であるというのならば、私は厚生大臣のその顧問制度なり、あるいはまた医療保障委員制度なるものに対してどの程度具体的な見通しなり計画をお持ちになっておるか、その点を承わっておきたい。
  32. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今の九百万円の予算社会保険の問題について調査研究をし、計画を立てていこうという、こういう委員につきましては、これは予算委員会におきまして、医療保障委員、そういう仮設的のそういうふうな意味委員を置こう。それから性格というものを、やはり審議会というような、法的に作ってあります審議会というような意味でなしに、やはり大臣の顧問というような意味で作るというようなことは最初から考えておって、これらに対しまして近く具体的に名称をきめ、また人選等につきましては十分に慎重にいたしまして、今千葉さんの御心配になっているような問題につきましても十分に検討いたしまして、有効適切にこれの御協力を得ていきたい、こういうふうに考えております。
  33. 野本品吉

    ○野本品吉君 今千葉さんの賛同が高潮に達してきて、大へん腰くだけをさせるようで失礼なのですけれども、大体本日の委員会の運び方にしましても、時間でも大よその見当をつけて進められたらばと思いますので、この際、速記をとどめられて懇談の機会をほしいと思います。
  34. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  35. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。
  36. 千葉信

    千葉信君 それではもうこれ以上あまり追及しませんけれども、どうも一方では予算がすでに計上され、国会審議が終っておる。しかもその予算の使う方法、具体的な委員会構想というか、顧問制度構想というものもきまっていないような格好では、ますま僕は疑惑を深めざるを得ぬと思うので、こういうことのないように一つ今後下帯を締め直して、国会で要らぬことで、私、ことき陣笠から、ああでもない、こうでもないと言われることのないように、一つ厚生大臣、問題全般に対してまじめに取っ組んでもらいたい。私はこれを厚生大臣に要望して一応質疑をやめます。
  37. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に御質疑もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  39. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は自由民主党を代表いたしまして原案に賛成の意を表します。
  40. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に御発言もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。厚生省設置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  42. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 挙手総員、全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願うことにいたして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     田畑 金光  井上 知治     遠藤 柳作  木村篤太郎     中山 壽彦  苫米地義三     島村 軍次  千葉  信     野本 品吉     —————————————
  44. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それでは行政機関職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  45. 千葉信

    千葉信君 行政管理庁当局にお尋ね申し上げますが、定員法の問題を審議するに当って、一番直接的な関連をもっている問題は定員外にはみ出ている、しかも定員内職貧と何ら変らない勤務の態様、勤続の状態、学歴、経験、執務の状態、まあそれが定員内の職員と何にも異らない多数の職員がいる。定員法が制定されている一つの効果というのは、一体政府の職員が何人いるのか、行政機関の中で国の行政に当っている職員というのは、ピンからキリまでで一体何人いるのかということが明らかにされるところに定員法一つ目的もあろうかと思うのです。そこでそういう問題に入る前に、今、私が申し上げたような定員内職員と同じ状態におかれている職員というのが何人いるのかということをまず明らかにしたいと思うのです。行政管理庁の方から出ている資料によりますと、立法部、司法部、行政部と、これを全部含んで出ております数字というのは、六万一千百三十八人でこれがその常勤労務者、定員外常勤労務者、それから非常勤の職員と呼ばれているものこれまた特別職を除いて五十二万六千九百二十人、こうなっていまして、その司法部、立法部等を除いての行政部だけの常勤労務者の数というのは、これは六万六百六十二人おります。これは定員内の職員とほとんど変らない状態で勤務している。処遇もまたこれらの職員の場合にはあまり待遇上の問題についてトラブルは起らない格好で処遇は受けております。そこで問題は、この常勤労務者は当然定員化しなければならないということについては、これはまあ行政管理庁の方でも二十二国会でそういうお考えだという答弁をいただいておりますから、これはこれでまたあとでやります。しかし問題は、この六万人の常勤労務者のほかに、行政部だけに存在する一般職の職員の非常勤職員の五十二万六千九百二十人、一体そのうちそれでは常勤労務者と同じような状態にあるものが何人いるか。同じ条件のもとにおりながら、身分上非常勤職員ということで、非常に待遇等も劣悪な待遇をとられている。定員法からももちろん除外されている。その五十二万六千九百二十人のうち、たとえば建設省は三万一千六百六十人おるということになっております。この三万一千六百六十人のうち、一体常勤労務者と同じような状態において勤務しているものの数というものは幾らあるかというと、二万八十十九人、これははっきりした根拠に基いている数字です。これは岡部さんも知っている通り、この数字の出どころは、建設省の中における各事業所を全部精密に検査をして調べて、その調べた結果に基いて大体、悉皆調査ではありませんけれども人員にして千三百七十人の職長の調査を行なった。ところがそのうちほとんど常勤労務者と何ら登りない状態で勤務しているものが千二百十三人いるという調査報告が出ている。これは岡部さんも御承知だろうと思う。政務次官ももちろん御承知だろうと思う。それから今度は農林省の関係、農林省では三十九万二千八百五十三人いる。しかしこの数字の中にはやれ農林統計調査員であるとか、それから各種審議会委員であるとか、技術補佐員であるとか、まあいろいろそういうふうに各項目にわかれておって、そのうちの全く常勤労務者として勤務しているような職種の人を別にして、まあ常勤労務者という格好で勤務しているもの以外のものを全部はずしてしまって、そうしてその実態を調べて見ますと、農林本省と、それから食糧庁では七万二千七百五十人のうちに、五万七千七百八十人の常勤労務者と同じ状態の職員がいるのです。これの計算の基礎というものは、これも同様に農林省関係の各種事業所で人事院が調査をして、百四十五人の職員の実態を調査したところが、そのうちの百十四人が常勤労務者と同じ勤務の状態にある。その調査の結果に基いて弾き出された数字というのが、今申し上げている七万二千七百五十人のうちの五万七千人です。農林省だけで五万七千名、建設省だけで二万八千名、そのほかにあなたの方からお出し願った資料によりましても、常勤労務者という格好で勤務している職員は農林省では二万一千六百五十八人、建設省では一万一千五百六十五人、どうでしょうか、この数字は。この数字を根拠にすると常勤労務者を含んで十五万人の、当然定員内に算入さるべき職員がこんなに悪法の定員法があるためばかりに、まあ法律が悪いのではなくて、あなたの方でその定員を策定する際に、理由のない除外を行なってきておるから、こういう格好になっておる。これは一体二十二国会で岡部さんはこの点について何らかの措置をとるということを答弁されております。私は行政管理庁の長官に来てもらって、はっきりと一本とらなければならぬということは、実はこれなんです。どうですか。この数字はあなたはお認めになりますか。
  46. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) まず、常勤労務者の問題でありますが、この点につきましては先般の委員会におきましても申し上げました通り、現在の常勤的非常勤職員の中で常勤労務者と類似の職務あるいは勤務態様をもっておる者が多いということは私も認めますから、その点につきましては極力これを常勤労務者並みの待遇にしたいということは大蔵省と折衝いたします。また各組合におきましても、非常に強いこれについての要望もございまして、結局三十一年度予算におきましては、常勤労務者を総数一万五千八百名ふやしたいということを御説明申し上げました。この一万五千八百名というのは、大体におきまして非常に変な言葉でありますが、常勤的非常勤職員のほぼ半数に近いものを常勤労務者に引き上げたということを申し上げた。しからば、常勤的非常勤職員はどのくらいあるかというお尋ねでございましたので、これは約四万前後と踏んでおるということを申し上げたのでありまして、それに対しまして千葉さんは常勤的非常勤職員は十二万あるのだという仰せでありまして、本日その数字をお示しになりましたが、この常勤的非常勤職員というのは、言葉自体がわからないと同時に、非常勤職員のその実態につきましても各省あるいは各組合におきましても、これはきわめて形態は把握困難なはずでございます。と申しますのは、この非常勤職員として雇われました者のうち、その一定の勤務条件が半年以上継続いたしました者と一応常勤的非常勤職員とみなす取扱いをしておるはずであります。すなわち、その形態、数というものはきわめて流動的なものであります。しかし、流動的なものであるけれども、一応固定した中心部分がある。その中心部分をできるだけ把握したいというような建前から申し上げておるのでありまして、その数字につきましては、これは千葉さんにもあらためて確めていただきたいと思いますが、人事院の調査におきましても、常勤的非常勤が何人いるかという線は出ていないはずであります。各組合におきましても、もちろん常勤的非常勤職員が、これこれいるということを申してくるのはありますが、その実態はいろいろ私は通うと思いますので、この点はまた時間がございますれば、申し上げますが、それからなお、常勤労務者の問題につきましてさらに一言つけ加えますと、常勤労務者というものが、定員内の職員と勤務の態様、勤務の内容が同じであれば、これは定員法に織り込むべきことは当然でございます。また、常勤労務者の制度をどうするかということについて、これは政府全体として、特に行政管理庁とか人事院が研究しなければならない問題であるということを申上げました。それに関連いたしまして、公務員制度調査会の結論も出ておりますので、それをしんしゃくして結論を出さなければならないことになっておりますが、常勤労務者が定員法内の職員と同じであると認定される場合におきましては、これは定員法内の職員に入れるべきであるということは当然認めております。現に郵政省のこの郵便事業に従事している者、電話交換に従事しているような者は、これは郵政省を構成する職員と見るべきであるというので、これはどんどん定員法の中に繰り入れておりますから、郵政省に関する限りは常勤労務者というものは現在おりません。と申しますのは、これは一昨々年約一千名だったと思いますが、これを定員の中に繰り入れまして、それでその後この点は解決いたしておりますし、その後業務量の増大に応じて出て参りますものはどんどん定員の中に繰り入れております。これは繰り入れなければ、郵政省におきましても常勤労務者という形態が発生しているはずでございますが、そういうことによって解決しているわけであります。しかし各省におきましては、これはたとえば恩給局の業務なんかを見ればわかります通り、現在臨時的な恩給業務に従事しているものを恩給局の職員の定員の中に繰り入れるべきかどうかということについては検討の余地のあることは、これは御了承いただけると思います。いちいち例をさげますと長くなりますが、そのような考えでおりますので、さらにお尋ねによりまして詳しくお答え申し上げたいと思います。
  47. 千葉信

    千葉信君 そういう答弁じゃだめだ。その郵政省がどういうふうに組みかえたか、恩給局がどういうふうに組みかえたか、これは私知っています恩給局なんかは定員内にしたのじゃなくて、常勤労務者にするという措置をとられたことも私は知っております。私のお尋ねしているのはそういうことじゃなくて、今あなたはこの常勤労務者はなるべく定員内職員に切りかえることにした、こう言われますけれども、しかし今回一体どれだけの人員が定員内の職員に組みかえられたか、これはこの定員法で明らかだ。今度の新しい定員法で明らかだ。差し引き増減幾らかということはこの定員法の中ではっきりしている。五千人そこそこ、五千人そこそこというのは、その五千人の職員と同じように扱われる資格をもっているものがその他にも六万六百人いる。あなたが言ったのはそのうちのたった十二分の一なので、あとの十二分の一に対しては一体どうするかという問題が当然起ってくる。そのほかに常勤労務者でない、いわゆる常勤的非常勤と呼ばれるそのケースの中に一体どれくらい常勤労務者と何様な職務の内容、勤続の形態、こういう同一のケースによって判定される必要のある非常勤職員が幾らあるかということについては、私はこの前十二万人ということを言いましたが、実はその正確な調査によりますともっと多いのです。いいですか。今私は十五が人と推定される。そのうちのどうしてもそういう職員だという判定を下さなければならない事実については、これは私の推測じゃなくて、行政措置の運用に関する判定を人半院が行なった、その人事院の行なったやつは、これは建設省と農林省に対して行われた。いいですか。そのうちの建設省における千三百七十人の非常勤職員に対して実態調査を行なったところが、常勤労務者とちっとも変らない状態において勤務しているものが千二百十三人いるから、こういう状態で放置することは、これは不当だから政府としては、これに対して適切な措置を直ちに講じろという判定が下された。そういうことになりますと、千三百七十人のうち千二百十三人が常勤労務者と同じだということになると、さっき申し上げたように、いろんな角度から検討してみて、当然その非常勤職員として扱われて差しつかえないような職員は別にして、どうもあやしいと思われる非常勤職員だけを、常勤労務者と同じような格好になるのじゃないかと思われる数字を捉えてみたところが、それが三万一千六百六十人いる、それが建設省だけですよ。そうすると、これは千三百七十人のうちの千二百十三人だから、七万一千六百六十人ということになると、これはその割合で計算をしていきますと、二万八千十九人建設省だけでいることになる。これは実態調査に基いている。実態調査に基いて行われたその調査の結果判定されたもの、その割合を、それと同じように勤務している非常勤職員に当てはめて計算することは当然じゃありませんか。それ以外に大体推定の方法ないでしょう。その方法によって計算されたものが建設省だけで常勤労務者以外に、それと同じような格好で勤務している者が二万八千人いるということがはっきりしている。そのほかに、建設省には常勤労務者が一万一千五百六十五人いるのです。これは四万人じゃありませんか。そのほかに同様なケースで調べたものが、農林省の関係では、常勤労務者以外に常勤労務岩と同じ格好で勤務している非常勤職員が五万七千百八十二人。たった二つだけでもこうですよ。これは私はこれ以外の数字をここで出さないのは、できるだけ正確を期さなければならないし、そのためには、実態調査を行なったその判定に基いて計算をするということが、問題をより具体的にすると思うから、それ以外の数字は出さないだけです。これ二つ合せただけでも、ここに八万人という数字が出てくるじゃありませんか。建設省、農林省以外の常動労務者に該当するものは別にしても、常勤労務者とこれとを加えますと幾らになりますか。十四万人じゃありませんか。十四万人もいるところへ、あなたが今度措置をとられた数というのはたった五千人じゃありませんか。それじゃ二十二国会であなたがまあ一生懸命おやりになったということは私も認めるけれども、しかしそれにしても、この前の国会答弁されたその約束とあまりに食い違う。何らその約束が実行されていないという結論も私は言えば言えると思う。あなたはこの数字をお認めになりますか、なりませんか。
  48. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) お答え申し上げますが、千葉さんのお述べになりました点につきまして、決して私、頭から否定するわけじゃございません。(千葉信君「否定なんかできないはずだよ、君」と述ぶ)そういう見方があると思います。それはごもっともでございますが、しかしまたこういう事実もあるわけであります。常勤的非常勤職員が多数おるのは、これは建設省と農林省と、それに次いでは運輸省、この三省が多いわけであります。建設省におきましては、その常勤的非常勤職員というものの数につきましてはいろいろな見方がありますから、千葉さんの数字を一応取り上げてもよろしゅうございますが、その常勤的非常勤職員の中から、来年度におきましては、五千四百三十五人を常勤労務者に取り上げたという政府側の努力も一つ御了承いただきたい、こう思う次第でございます。  それから農林関係につきましては、そのうちの一つの形態は、食糧関係の検査員関係の職員がおそらく私はその中に入っておるのじゃなかろうかと思います。それ以外ですと、農地関係と林野関係、これが大部分を占めようと思います。これにつきましては、やはり常勤労務者にしなければならぬ部面もありますので、その中からは食糧庁をもしも千葉さんが要らぬとおっしゃるなら申し上げませんが、林野庁関係では三千百五十二人の常勤労務者、それから農地関係では農地関係を含めました他の分もあると思いますが、農地関係で千三百人の常勤労務者にいたした、すなわち常勤的非常勤職員というものが、年々その仕事が固定化していく、そして、従ってそれを常勤労務者に取り上げていかなければならならないということは認めます。従いまして常勤労務者というのが現在におきましては、これは二十五年から発生している一つの公務員の種類でありますが、これが現在においては六万に逃してきておるということは、これは否定できない公務員制度一つの事実でございます。この事実を何とかしなければならぬということは、これは私ども真剣に考えている問題なんであります。これは公務員制度全体につながる問題でありまして、時間がありますならば、これは世界各国の例も、こういうものをどういうふうに世界各国は扱っておるということを申し上げてもいいかと思いますが、そういう問題で千葉さんも私どもの努力を認めていただきましたが、一部分ずつ一つ手をつけておるということを御了承いただきたいと存じます。
  49. 千葉信

    千葉信君 まあ努力は私も認めるにやぶさかではありませんが、常勤労務者の関係だけからいえば、十二分の一という努力ですから、私はその十二分の一しか努力は認めない。そのほかにも非常勤労務者は倍以上もおるから、そうすると、あなたがたの払われた努力というのは四十分の一ぐらいしか努力が払われなかったということになるわけです。全体のケースからいえば、そんな感謝しろと言っても、そんなに簡単に感謝はできない。(笑声)数字の上からそうなると思います。  私は岡部さんにこれ以上この問題でどうこうと言う必要はないと思うけれども、しかし私の申し上げた数字は、あなたの方ではどういうふうにお調べになって言っておられるか知りませんが、私は全部良心な立場に立って調べております。それから今あなたのお話になりました農林省関係の分につきましても、たとえば統計調査員であるとか、あるいは普通いわれる労務者であるとか——全くの労務者、それから審議会委員とか、こういう関係は全部オミットしておるのです。全然入れない。林野庁でもそうです。そういう格好でできるだけ自分で信用できるその数字を調べ上げた結果がさっき申し上げたように、建設、農林だけで八万人、常勤労務者はそのほかに六万人以上おるのです。これが一つ定員法のこの採決に入る前に、この前岡部さんから約束していただきましたけれども、残念ながらその約束は四十分の一しか果されておりませんから、こんな格好では絶えず問題になる。そうしてまた今度も三十一年度予算を見ましても、もう極端な例が出ております。定員内の職員を常勤労務者に切りかえるような措置予算上とられておる。その他地方自治体に対する交付金の関係では、今まで人件費補助という格好で交付されておったものが、今度は事業費に切りかえられて事業費の補助になっておる。そうなると、この前、定員内から地方職員の場合には、常勤労務者もしくは非常勤職員に落されるという、根本の予算の立て方がそうなっておりますから、そういう事実もお認め願いたい。これではこのままこの法律案をここで採決に入る前に休憩して、委員を動員して、そうしてこの法律案を採決するということはちょっとむずかしいと思います。(「博学は認めるよ」と呼ぶ者あり)公務員の問題を取り上げるときには、この問題をやらなければだめですよ。真剣にこれは考えなければならぬ。
  50. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 繰り返して申し上げるようでありますが、今の公務員制度におきましては、結局定員法の規定しておる一般職の職員のほかに、常勤労務者と似たような制度ができて、さらにそのもとで勤務形態が固定しないものとして常勤的な非常勤職員、それからさらに純粋な労務者、日雇いのラスの非常勤職員というような形態が出て参ります。これらをひっくるめまして国家公務員と称しておりますが、これらをどう規正するか、その待遇について、待遇と申しましても、これはそれぞれの職員の一生にかかわる継続的な問題でございますから、それらにつきまして慎重に考えなければならない問題が起きて参りますので、それで戦後の公務員制度は非常にむずかしくなってきた。これをどう変えるかということにつきましても、これはやはり世界各国の制度とある程度まで歩調のそろったような変え方をしなければなりません。昔のように、単に官吏という種類に何万人にとどめてしまう。そのほかは予算措置にまかせるというような逆行ということは許されないと思う。そういうようなことを一つ考えあわせながら、この問題は真剣にやっていかなければならぬ問題だ、こう考えております。
  51. 千葉信

    千葉信君 今の答弁、だめですよ。あなたがそういう認識をもっているか、それとも知っていながら今のような答弁をされたか、非常に不可解に思う。あなたは定員法の策定によって、その後こういう形態が生じたということをいわれますけれども、これはなぜ生じたかというと、定員法の策定に当って、最初から無理な定員法を制定した。そのために、その定員法の中に、二ヵ月以内の期間を定めて雇用される職員を除くという条件を制定の際に入れた。そこではみ出た職員に対しては、二ヵ月以内に期間を定めて雇用される職員については、この範囲でないというところに皆押し込めた。それが常勤労務者じゃありませんか。しかもその常勤労務者を定員内に入れることを怠り、それと同時に、さっき申し上げた業務費、事業費等でまかなってきた職員をそのままにしておいた。そのままにしたということは、はじめからそういう形式をとらなければならない格好定員法が制定されたことに問題がある。
  52. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 常勤労務者というものが——定員法制定の際におきましては、すべての常勤的形態のものは一応全部定員法の中に入れるという建前でございました。その際に、単に二ヵ月以内の勤務形態をもつものは、これを定員法の中に入れるのは無理だろうということで、これを除いたわけであります。それがだんだん勤務の形態が長くなってきたから、こういうことになりましたので、しかし現在におきましても、二ヵ月以内の期間をもって雇用するという勤務形態をとる必要はありますので、この形態を廃止するわけにはいかぬ以上、これと同じ種類の職員が出てくるということは、これは避けられませんから、この問題をどうするかということが、今後の問題であるということであります。
  53. 千葉信

    千葉信君 行政管理庁がそんな実情を知らないようなことじゃ困ると思う。あなたも知っている通り、あの定員法の制定当時にいかにたくさんの職員が首切られたか。しかもその首を切りっぱなしではとうてい仕事ができないから、定員法の中に二ヵ月以内の期間を定めて雇用されるものは除くとなっている、それを利用して各省庁は全部その自分が首を切った職員をあとからあとから入れて使っている。ですから常勤労務者というものは自然発生的なものではなくて、初めからどうにも仕事をするために所要の人員だから、それを定員法でしばられたものだから、それ以外の必要な人員については常勤労務者という格好で、そのままおいたというのがそうじゃありませんか。自然発生じゃないです。そんな答弁じゃだめです。  大臣にお尋ねいたしますが、昨年の二十二国会定員法審議されましたときに、その定員法審議の一番重要な問題になったのは、常勤労務者を定員化しなければならぬという問題、それから常勤労務者でない常勤的非常勤職員のうち常勤労務者と同様の形態で勤務をし、同様の資格を持っているものに対しては、これを定員化すべきだというのが大きな問題です。当時の内閣委員長等も、内閣委員会としてはこの問題について小委員会を設けて真剣に取っ組んで解決しようじゃないかという、そういう意見を出されている。そこでその最後には、ここにおられる野本議員の提案でこういう付帯決議が行われているのです。「現在、行政機関職員定員法のワク外にある常勤労務者及び非常勤職員の中には、その職務の性質、勤務の条件等において、定員法による職員と実質上何ら異ならないものが相当多数含まれている。従来、政府は、これらの者の処遇について、早急に検討を加え、適当な対策を講ずる旨言明したにかかわらず、いまだ今日に至るも、何らの措置を講じていないことはまことに遺憾にたえない。政府は、すみやかにこれらの職員の処遇について、根本的検討を加え、具体的措置を講ずべきことを要望する。右決議する」。同時にまたこの委員会の席上で岡部管理部長から、実際に実情はわれわれの心配している通りであるから、これらに対しては当然政府として適正な措置を至急講じなければならないことは当然でございます、こういう答弁がその採決の当日、六月三十日に行われております。そこで、今度もその定員法改正案が提出されましたので、一体この問題についての指揮はどうなっているかということがやはり論議の中心になりました。そこで一体現在の非常勤労務者それから常勤的非常勤のうち、常勤労務者と同じような仕事をしている者、従って政府としては定員として改訂を要する職員の状態は一体どれくらいいるかということについて、今ここで質疑応答を重ねたわけです。そして私の方からはっきりと行政管理庁の方から出た行政部の中における当然その定員内に入らなければならない六万六百六十二人のほかに、大体推定十二万人の常勤的非常勤職員、これはもう仕事の態様においても何においても常勤労務者とちっとも変らない状態にいる職員だから、これと合せて定員化する措置政府はとらなければならないのじゃないか。その数字を申し上げました根拠は、私ははっきり調査を完了しているものを基礎にし、たとえば農林省等におきましては、これは河野さんも御存じでしょうが、農林省等におきまして人事院の方から不利益処分に対する、不公正な扱いに対する行政措置の要求に関する判定が行われた。そのときの調査を基礎として、農林省の中にはそういう関係の職員というのは五万七千百八十二人いる、それから同様に建設省の関係では二万八千十九人いる、常勤労務者をして扱うべきものが。そうすると、この二つの省だけで八万人いるということになる。これはその他の官庁の推定で十二万人と申し上げております。これとあなたの方からいただいているこの資料の常勤労務者、六万人の数と合せますと、これはただちに定員法でもって考慮を加えなければならない職員の数は十八万人いる。従来政府の方でも、国会の付帯決議もあることであるし、それから行政管理庁国会において行なった答弁の経過もありますし、今回のこの定員法改正は別として、私はこれに対してやはり政治力の高い河野行政管理庁長官に対して明確にお約束をとりたい、一札をもらってからでなければ、この定員法は通ぜぬ、こういうことでおいでを願ったのですが、長官いかがでしょう。
  54. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お話になりました御趣旨は私もよくわかります。私も農林省の所管もいたしておりまして、林野庁、農地局等にその種の職員がおりますことを常にどうしたものかというふうに考えておるのでございます。がしかし、一面から申しますと、先ほど岡部政府委員の申しましたように、全然そういう臨時のものがなくていいわけでもないと思うのであります。従いましてお話になりました御趣旨もわれわれとしては十分納得もできますし、また岡部君の答えましたこともそういう面もあるということだと私は思うのであります。それはそれといたしまして、今お述べになりました御趣旨は、私といたしましては、今回の追って御審議をいただきまする行政機構の改革につきましても、本来国民の大部分の人が、行政機構の改革をすると政府は言うのに、人員整理のない行政機構の改革があるかということを非常に強く非難しておられます。ところが私が思いますのに、現在の国内の各般の情勢から見まして、今、一方において行政整理をして、人員整理をして、一方において失業対策をして、そういう事態をやることが是か非かというような諸般情勢を勘案して、さしあたり急いで国民諸君に、課がたくさんあったり、もしくは窓口が多かったりするような迷惑をかけておる。それから不必要なものというものはこの際すみやかに整理するが、しかし職場を持って協力願っておりまする人については、これをまた有効に使う方法もあるというようなことで、今回の行政整理機構の改革には人員整理はいたさないということで、これも不徹底のうらみはあるかもしれませんが、その方向をとっておるわけでございます。従いまして、今回政府として近日のうちに提出しようといたしておりまする行政機構の改革につきましても、今のようなのと逆な面があるわけでございます。しかしこれは引き続き第二次におきまして、三公社五現業というもののあり方についても根本的に、これを民間に移すべきか、さらに政府がどういうふうな方向にいくべきか、現在のままでいくべきかということについては、だいぶ国民各層に御意見があるわけでございます。従ってこれを政府におきましては十分に検討を加えまして、将来の方向を明確に定めて、その上でこの問題を取り扱っていきたいと、こう思っておるわけでありまして、いずれ今の話の点は、大体申しますのに、三公社五現業と見られるものに非常に多うございます。で、そういったような感覚からいたしましても、これらの点をどうするかということとあわせて、もちろん御指摘の通りに同じ職場に同じ仕事をしておる者が、一は定員の中に入っておらない、待遇が違うというようなことのあり得べきものではないのでございますから、これは明確にしなければならぬことは当然でございまして、そういう時期に一つ抜本的にやらなければならぬと、こう考えて、ただ、いたずらに時をかせいでおるということではないのでありまして、そのときには当然これはやるべきものだ。同時に人員整理とあわせて考えたい。しかしそのときの社会情勢が、まだ今のような失業者がますますふえるというようなときにみだりにやるべきじゃないと思うので、そのときにはそのときのことがあるでございましょうが、一応私としては今申し上げたように考えておる次第でございます。
  55. 千葉信

    千葉信君 今回の行政機構の改革に当って、最初から河野行政管理庁長官は、現在のような社会状態の中にこれ以上失業者をほうり出すようなことはできないという態度を明確におとりになって、そして行政機構の改革に当っては全く特異な例という状態で今回の行政機構の改革が最初から考えられておることは、私は大いに長官の政治的センスの高さを買っております。ですから、それは私は全然異存はございません。それからまたもう一つは、三公社等のあり方について政府はこれに検討を加えようとしておられる、その態度と私はその努力を大いに多といたします。当然放置すべきじゃなくて、最も国民の要望に沿うような形で機構を作りかえていくということは、これはいかなる政府の場合にも当然の責務だし、当然やらなければならぬ仕事ですから、私はその方向に進むことも賛成でございます。ただしかし、先ほど来私が申し上げている話の中に、常勤労務者的非常勤職員の問題がございましたが、   〔委員長退席、理事野本品吉君着席〕 河野さんは、それの最も多いのは三公社等の関係に見受けられるというお話でございましたが、実は私が先ほど来申し上げておる十八万人という想定の中には、その公社の職員は全然除外されておる。ですから全くの政府機関内部です。行政機関内部です。一般職、それから一般職の中で現業に従事しておる郵政、全農林とか印刷とか、こういうところだけのワク内でのこれは数字なんです。そうして将来もしも行政機構の改革、もしくは人員整理等の問題が起っても、社会不安の状態が今日のような状態であるならば、首切りをやるべきでないという河野さんの今の御答弁に、私は大いに敬意を表しますが、しかし一面から言うと、それとは別な、今私が申し上げておる常勤労務者的非常勤労務者、非常勤職員の中の常勤労務者に該当する職員の定員化という問題は、その待遇の問題とも関連して考えなければならぬし、それから実態は私が申し上げたような状態であるのに、国民行政機関内に従事する職員の数は定員法で規制された数だというふうに勘違いしておる。これは私に言わせると政府一つの細工です。これはやはり国民が自分たちの血税がどういうふうにその職員を採用する場合に使われておるかということを明確にする立場からも、定員法は適正なものに直さなければならぬ。  それからもう一つは、こういう格好定員法が制定されて、無恥なやり方で職員が勤務しておる結果として、河野さんも御承知のように、たとえばその政府職員としてのはっきり身分の保障を受けていない非常勤職員が毎年毎年新しく、しょっちゅう採用されておるといわれるその職員が、当然国家公務員として責任を持たなければならない食糧検査なんかに、検査証を借りて従事しておる。検査証を貸してそういう仕事をさせておる。それから通信の秘密を守らなければならぬという国家公務員としての当然な責務があるにかかわらず、国家公務員でない請負でもってそういう仕事が行われておる。つまり個人の通信の秘密を侵してはならないという大原則が、国家公務員でない者に扱わせるという格好で仕事が運営されておる。これではいかぬと思う。ですから、この点についてはもっと私は河野さんから明確にその時期等についても、たとえば次の国会等の場合左でに何とかするというような明確な答弁を私はこの際聞いておかなければ、どうも今、定員法が上るか上らないかの境です。そこまでやはり私は明確にしていただく必要があると思うのですが、いかがですか。
  56. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私は全く同感でございます。私自身もすみやかにやらなければならぬと思っておるのでございます。が、しかし、何分にも非常にむずかしい問題でございまして、そう何もかもできるものではございませんから、やる決意は十分持っておるということを一つ御了承願って、私の責任においてできるだけ努力はいたしますが、その方向で今自分は進もうとしておるのでございますから、どうか御了承願います。     —————————————
  57. 野本品吉

    ○理事(野本品吉君) この際、委員の変更がありましたから、御報告申し上げておきます。  植竹春彦君が辞任されまして佐野廣君が、長島銀藏君が辞任されまして伊能芳雄君が、それぞれ補欠に選任されました。御報告申し上げます。     —————————————
  58. 千葉信

    千葉信君 私はただいまの河野行政管理庁長官の御答弁に対して、その誠意と高い政治力に期待をかけて了承いたします。どうぞ一つ長官もがんばっていただきたい。
  59. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) できるだけ努力いたします。
  60. 田畑金光

    田畑金光君 昨日、宇都宮政務次官に質問いたしましたので、およそ政府当局行政機構改革に関する熱意については承知いたしておりますが、この際、担当大臣の河野さんにあらためて決意のほどを承わっておきたいと思います。  それは前国会の折に行政機構の改革に関しまして河野担当大臣から強い決意のほどが表明されたわけであります。今、御説明がありましたように、行政機構改革は人員整理を伴うものではないということ、さらにまた機構改革の成案を得ることについて、行政機構の構成を一新し、さらに各層の学識経験者に参加していただいて権威ある行政審議会を構成し、その答申を持ち、おそくも二月中には国会機構改革案を上程したい、こういう河野さんの決意が明らかにされたわけであります。そういう政府の準備手続を経まして、二月二十三日に行政審議会会長の阿部眞之助氏から行政管理庁長官の河野さんあてに答申が出ているわけであります。二月末でありますから、約束の二月末に提案されるということは、これは技術的にも無理であったと考えまするが、もうすでに三月も終ろうとしているわけであります。ところがこの間、行政機構改革の問題についてはいろいろ政府の中において、あるいは与党の中においていろいろ意見があるように、われわれは新聞等を通じ見ているのであります。事実はそうではないと思いまするが、この機会に一つ河野さんの面子を傷つけてやろうというような魂胆もなきにしもあらずというような話を聞いておりますが、まさかそんなことはないと思います。そこで私はこの問題に関しましてです、担当大臣としては、前国会の約束についてこれからどう処理されようとする御方針であるか、承わりたいと思います。
  61. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は昨年委員会法の改正を御決議いただきまして、新しい委員もお願いいたしまして、鋭意努力いたしたのでございますが、その答申が今お話しの通り二月二十三日にあったのでございます。御承知通り行政機構を改革いたしますことは、これ京でしばしば行われたことで、私といたしましては、従来の研究調査の資料もございますし、これらを参考としてもう一ぺん検討するのであるから、結論が比較的出やすい、こういうふうに思っておりましたところが、なかなか初めて手がけてみますと、事情が違いまして、回を重ねてやればやるほどだんだん原状に復するようなふうになるようなことを初めて知ったわけであります。なかなかものの改革というものはむずかしいもので、初めは皆そういう意見を持っておりますが、話し合って意見を交換しているうちに、たんだんあとへ下ってしまって、まあそれならあれもやめておいたらどうだ、これもやめておいたらどうだというふうになりがちのようでございますが、しかし委員各位の非常な御熱心によりまして、第一の答申といたしまして、皆さん御承知通り答申案をちょうだいいたしました。従って政府といたしましては、また私といたしましては、引き続き第二次の諮問もいたしましてやるつもりでございますが、さしあたり今国会には、第一次答申をいただきましたものにつきまして、これを法律案化いたしまして、そうして御審議を願うという含みで、御承知通り与党の方面の調整をいたし、政府内部意見の調整を鋭意努力いたしましたが、なかなかいろいろな点で、個々のこまかな問題で意見の一致を見るのが困難な問題が多いのでございます。しかしようやく本日の閣議におきまして、大体答申案の精神を尊重いたしました要項を各位の御承認を得ましたので、これをおそらく来週の火曜日までにはある程度のものは法案ができるのじゃなかろうか、そうしてなるべく取り急いで国会提案をいたしたい、特別支障のない限りそういう線で進みたい、こう考えているわけであります。
  62. 田畑金光

    田畑金光君 行政審議会答申は大項目に分れているわけであります。その第一がトップ・マラトージメントの機構改善、第二が総理府、第三が人事行政機構、第四が予算編成機構、第五が地方行政機構強化、第六が貿易行政機構、以上、六つに分れているわけでありますが、ただいまのお話によりますると、大体行政審議会答申案を尊重して、来週中には成案を得て国会に提出したい、本日の新聞を見ますると、昨日河野行政管理庁長官と岸自民党幹事長との話し合いで、行政機構改革につきましての提案をなすことについての意見の一致を見たというようなことも出ておりますが、今日の段階において与党との調整はついたかどうか。さらにまたこの審議会答申のどのような部面について成案されて、国会に上程される方針でありますか、それを伺いたいと思います。
  63. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいまお示しになりました点のうちで、貿易庁の設置につきましてはなお検討する部面がございますので、貿易閣僚の委員会というものを生かしまして、貿易庁設置に関するものはさらに検討するということにして、あと回しにするというだけを省きまして、他は大体その線に沿ってやっていく、こういうことにするつもりでございます。
  64. 田畑金光

    田畑金光君 これは先ほどの新聞だったと思いますが、機構改革の提案をされることについてはいろいろないきさつがあって、相当ブレーキがかかっていることをわれわれは見ているわけであります。それは、一つ与党内部におけるいろいろな考え方からくるブレーキもありましょうし、あるいは先ほどの大臣説明にもありましたが、こういう機構改革になって参りますると、どうしても後退する。いわゆる膨大な官僚機構からくるブレーキもあると、こう見るわけであります。そういうようなことはさておき、行政機構の改革の問題が出て参りますると、どうしても重要法案の審議というものに影響が及ぶだろうというようなことで、新聞の報道によりますると、自民党の参議院の代表の木村篤太郎、青木一男両氏等が水田政調会長らに対し、行政機構の改革案を上程することはこの際芳しくないだろう、その他の重要法案審議の上からいってよろしくないだろうと、こういうようなことで、まあこういう国会のかけ引きの点からも機構改革案の上程についてはいろいろな働きがあると、こうわれわれは見ておるのでありまするが、そういうような諸般情勢にかかわらず、政府としては公約に基き、現内閣の内政政策の三つのうち、一つ行政機構改革の問題でありましたが、そういう公約の手前、諸般情勢がどうあろうとも、今国会に必ず提案する、こういうような決意でおありかどうか、あらためてもう一度お尋ねいたします。
  65. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 会期も半ば過ぎておりますし、しかも参議院、衆議院ともに重要法案が非常にたくさんまだございます。ことに参議院のこの内閣委員会にはいろいろ重要法案のたくさんかかりますことで、非常に御迷惑とは思いますけれども、しかし政府といたしましては、この行政機構改革の案につきましてもぜひこれを一つ審議を願って、なるべく早く国家のために実現したいと、こう形えておりますので、先ほど申し上げました通り、本日の閣議で大綱をきめまして、そうして法案の成文化に着手して、取り急いでやっておるわけであります。どうかよろしく一つお願いいたしたいと思います。
  66. 田畑金光

    田畑金光君 さすがに河野担当大臣の政治力で押し切られたのだと、こう思いますが、出てくる案については、内容を見ないと御協力していいかどうかわかりませんけれども、それはさておきまして、この間の、過般の審議会答申は、第一次の答申になろうかと思うわけであります。答申書の冒頭にもあまするが、「今回の答申に含まれなかった社会福祉行政機構、交通行政機構、地方出先機関の改革及び行政事務の整理行政運営の改善に伴う行政機関内の部課の整理等については、引き続き審議の上答申する予定である」、こういうことを申しておるわけでありますが、この読み上げました第二段の行政機構改革の答申について、政府は、行政管理庁といたしましては、期待されておられるのかどうか、この点に関する行政審議会審議あるいは答申に関しまして、担当大臣としてはどのようにお考えになっておられるのか。
  67. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは先ほどお答え申し上げました通りに、引き続き審議会の開会をお願いいたしまして、今お話しになりました点について御答申を得たいと、こう思っております。
  68. 田畑金光

    田畑金光君 第二次の答申内容の中には、「行政運営の改善に伴う行政機関内の部課の整理等」、こう掲げているわけであります。ところが昨日から本日にかけて定員法審議の中で明らかになりましたことは、すでに閣議決定も見ておるかと思いますが、今回政府においては各省庁の課について二割削減の措置をとられているわけであります。ことに経済企画庁とか行政管理庁等については五割ないし六割の削減を行われておりまするが、今回政府のとられましたこの課の整理と、今私が質問いたしました、これから行政審議会で十分行政運営の改善に伴う行政機関の中の部課の整理等について検討してもらうというこの点とは、どういう関係になるのか、この点伺いたいと思います。
  69. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今お話しになりました行政審議会で部課の整理等を御審議願いますのは、出先機関等も含めて全面的に機構の点について御審議を願う、こういうつもりでおります。今、政府が四月一日から実施いたそうとするものは、本省関係のいわゆるトップ・マネージメントの思想と相関連いたまして、さしあたりこれを実行したいと、こういうことでございます。
  70. 田畑金光

    田畑金光君 先般の行政審議会審議された事項というものは、承わると、政府当局、あるいははっきり申すと河野行政管理庁長官の構想として今度の国会提案したい、こういう事項に限って諮問をされたとわれわれは聞いておるのであります。世上いろいろ今日まで伝えられて参りましたことは、たとえば現在の防衛庁を国防省に昇格せしめる。総理府の外局として防衛庁が設置されておる。もうすでに本年度予算通りますると、防衛庁の自衛官職員というものは二十一万名を突破する膨大な組織と機構と陣容を持っているわけであります。こうなって参りますると、当然これは独立の省として、名実ともに軍備体制を確立されることになろうと思うし、またそのように体裁を確立しなければ、どうも総理府の外局としての防衛庁というものは、法制上から見ましても、実際上の点からいっても不似合いな状況になってきておるわけで、あります。こういう、その一例を申し上げたわけでありまするが、今後政府といたしましては、さらにこういうような問題等に関しましても、行政審議会等の答申を期待しておられるのかどうか、この点について承わりたいと思います。
  71. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 審議会にはそのお手元にありまする冊子にもあります通り、私の諮問は総括的な諮問をいたしておりまして、今の答申は、審議会の自由な立場における御審議の結果の答申でございます。そう御了承いただきたいと思います。  それから防衛省のことについて今お話がございましたが、私は今の防衛庁を防衛省にこれをした方がよかろうというような考えは私は持っておりません。ただし永久ではございませんが、さしあたり私は防衛省に直すというような考えは持っておりません。
  72. 田畑金光

    田畑金光君 いろいろこの答申内容についての質問は、答申に基いて今後機構改革の具体的な法案が提案されましょうから、その節いろいろ御質問することにいたしまして、ただ一つ、私は今度政府が積極的な熱意をもって取り上げられておるその中に、人事行政機構の問題があるわけであります。要するに団交権を持たない、従って当然罷業権を持たない一般職の公務員のために、人事院制度というものが設けられたわけでありまするが、今回の人事行政機構改革によりますると、大きく後退するとわれわれは見ておるわけであります。この点に関しまして、一般職公務員の身分待遇、労働条件の維持向上という点から見ましたとき、私は大きな改悪案に発展するであろうと見ておるわけでありまするが、こういう点に関しまして河野大臣考え方のほどを承わっておきたいと思います。
  73. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それはいろいろ御意見とか見方とかいうようなものがあるかもしれませんが、私は少くとも従来の、人事院が勧告をいたしましても、その勧告を受け入れないできたような勧告、そういうふうに従来なってきたようなものであるならば、そういうものは必ずしも制度だけ、機構だけ、もしくはそういう姿だけありましても、これは決して私はいいものじゃないのであって、むしろその制度がそのままに必ず実現されると、そこに公務員諸君も安心感を持たれるということにいたした方がいいのじゃなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  74. 野本品吉

    ○理事(野本品吉君) それでは別に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 野本品吉

    ○理事(野本品吉君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  76. 千葉信

    千葉信君 私は本法律案に賛成をいたします。しかしながら、委員会審議においても明らかにされましたように、定員法改正案につきましては諸般の問題を含んでおり、特にその中におきましても、現在の定員法の制定当時に端を発する組織上の矛盾撞着、悪弊がそのまま今日に及んでいるところの常勤労務者、非常勤労務者に対するこれの適正な対策ないしは定員化、もちろん処遇等の問題にも関連してその措置がとられなければならないにかかわらず、二十二国会において政府がわれわれに答弁いたしましたその内容とは必ずしも合致を見ない改正案提案されるに至りましたことについては、遺憾千万と申さざるを得ません。特に政府の資料によりましても、当然定員化されるべき状態において勤務しているところの常勤労務者の数が、行政各部内に六万六百六十二人存在するということ、それからそのほかに、これまた定員法内の職員、常勤労務者と同じに一般職の職員であり、国家公務員であるところの非常勤職員の数は、これまた行政各部内に五十二万六千九百二十人存在している。しかもこの五十二万六千九百二十人のうち、特に農林省関係等におきましては、その非常勤職員の数が三十九万二千八百五十三人在職している。その中でも常勤労務者と全く同一と認められるもの——単なるこれは推定ではなくて、昨年の二月十二日に行政措置の要求に関する判定として、人事院が実情調査をしました結果に基いて明らかにせられました非常勤職員のうち、常勤職員と全く変らない職員の割合七八%という状態からいいまして、農林省関係では五万七千百八十二人の常勤労務者に該当する職員が六ヵ月をこえて継続勤務しておる。同時に建設省におきましては同様な職員の数は二万八千十九人存在するということでございます。従いまして、その他の各省庁等を集計いたしますと、信ずべき数字としては、十二万人の常勤労務者に対応する非常勤労務者が六ヵ月以上の勤続年数を有しながら、しかも非常に待遇等におきましても不当な待遇のもとにおいて処遇せられておる事実がございます。従いましてこれらの非常勤職員のうちの十二万人、さらに常勤労務者として、これまたわれわれとしては定員化すべき筋合の職員に対して不当な取扱いが行われており、かつこれらの十八万人の職員を加えた現在の定員外の人員の数そのものが、これが実際は行政機関内における政府職員であり、国家公務員の数であるという立場からいたしまするというと、現在の定員法そのものは国民を瞞着するものであります。   〔理事野本品吉君退席、委員長着席〕 血税をもって公務に担当せしめているこれらの職員の数が、国民の判断を誤まらしめるがごとき状態において制定せられているということについては、これはわれわれとしては承服しがたいところであります。従いまして委員会における審議におきましても、この点について河野行政管理庁長官に対して質疑を行い、同長官よりその事実について率直にこれを認めて、近い将来これの解決のために善処するというお約束がありましたので、私どもは問題の解決を後日に延ばして、一応この際、本法律案の成立に賛成をする次第でございます。  以上です。
  77. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ほかに討論ございませんか。——別に御発言もなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を可とされる方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  79. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 総員挙手、全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容及び七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願うことにいたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     田畑 金光  廣瀬 久忠     佐野  廣  木村篤太郎     遠藤 柳作  井上 知治     中山 壽彦  苫米地義三     伊能 芳雄  千葉  信     島村 軍次  野本 品吉
  81. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君)本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会