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1956-03-20 第24回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十日(火曜日)    午前十時五十五分開会     ―――――――――――――   委員の異動 三月十九日委員藤原道子君辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            長島 銀藏君            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            井上 知治君            木村篤太郎君            苫米地義三君            中山 壽彦君            木下 源吾君            田畑 金光君            高瀬荘太郎君            廣瀬 久忠君   衆議院議員            黒金 泰美君   国務大臣    労 働 大 臣 倉石 忠雄君    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    法制局第二部長 野木 新一君    内閣総理大臣官    房審議室長   賀屋 正雄君    総理府恩給局長 三橋 則雄君    科学技術行政協    議会事務局長  鈴江 康平君    宮内庁次長   瓜生 順良君    行政管理庁管理    次官      宇都宮徳馬君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    経済企画政務次    官       齋藤 憲三君    大蔵政務次官  山手 滿男君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和二十三年六月三十日以前に給与  事由の生じた恩給等年額改定に  関する法律案内閣送付予備審  査) ○昭和二十三年六月三十日以前に給付  事由の生じた国家公務員共済組合法  等の規定による年金の額の改定に関  する法律案内閣送付予備審査) ○国家公務員等旅費に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○宮内庁法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○国家公務員に対する寒冷地手当及び  石炭手当支給に関する法律の一部  を改正する法律案(衆一九号)(衆  議院送付) ○国家公務員に対する寒冷地手当及び  石炭手当支給に関する法律の一部  を改正する法律案千葉信君外九名  発議) ○科学技術庁設置法案内閣提出、衆  議院送付)     ―――――――――――――
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それではただいまから開会いたします。  委員の変更について御通知申し上げます。三月十九日、藤原道子君が辞任されまして、その補欠吉田法晴君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等年額改定に関する法律案議題といたします。  倉石労働大臣より提案理由説明を聴取いたします。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま議題となりました昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等年額改定に関する法律案について、その提案理由及び概要説明申し上げます。  この法律案は、去る第二十二回国会衆参両院内閣委員会における恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案審議の際の付帯決議趣旨に従い、昭和二十三年六月三十日以前に退職し、もしくは死亡した文官関係公務員またはその遺族に給される恩給増額改定いたそうとするものでありまして、内容のおもなる点について申し上げますと、次のごとくであります。  第一の点は、恩給増額改定に関するものであります。昭和二十三年六月三十日以前に退職し、もしくは死亡した公務員またはその遺族恩給で特に増額を要望されているものは、文官関係公務員またはその遺族普通恩給または扶助料であると思われますが、これらの恩給年額は、同年七月、新給与制度実施され、一般公務員給与増額されたのに伴い増額されてから、昭和二十八年まで、公務員給与支給水準が引き上げられるたびことに増額改定されて現在に至っているのであります。ところで、新給与制度実施の際は、各省局長は十三級職又は十四級職に格づけされることになっていましたが、かって旧高等官官等俸給令施行されていた当時、勅任官たる各省局長としての俸給を受けて退職した者に給されている恩給年額は、いわゆる一万二千円ベース当時の一般職職員俸給表による十三級職三号俸を受けて退職した者に給される恩給同額に、また、各省局長年功加俸を受けて退職した者に給されている恩給年額は、十四級職五号俸、すなわち十四級職の最高俸の一号下位俸給を受けて退職した者に給される恩給同額となっていますので、昭和二十三年六月三十日以前に退職した各省局長にかかわる恩給は、そのまま据え置くこととし、その他の各省局長以上の俸給を受けて退職した者にかかわる恩給についても、同様の取扱いをしようとするものであります。しかしながら、旧判任官俸給令施行されていた当時、判任官一級俸を受けて退職した者に給されている恩給年額は、一万二千円ベース当時の各省課長補佐としての下位俸給であり、かつ、係長としての高位の俸給である九級職三号俸を受けて退職した者に給される恩給同額となっていますので、これを改めて、新給与制度実施の際の各省課長補佐としての中位の俸給である十級職二号俸、またはこれと同額係長としての最高位俸給である九級職八号俸を受けて退職した者に給される恩給と同程度の額になるように増額することとし、その他その他の勅任官たる各省局長俸給に満たない額の俸給を受けて退職した者にかかる恩給についても、その後に退職した者にかかる恩給との権衡を考慮して、右に準じ、その年額是正を行うこととし、現行恩給年額計算基礎俸給年額三十五万四千円以下のものについて、一万二千円ベース当時の一般職職員俸給表通し号俸号俸ないし五号俸上位俸給年額に相当する額と現行額との差額に相当する増額を行い、恩給増額改定しようとするものでありまして、この措置は本年十月分以降の恩給について、本人の請求を待たずに行うこととしようとするものであります。法律案第一条並びに別表第一及び第二の規定がこれに関するものであります。  第二の点は、増額改定措置の制限に関するものであります。恩給に関する経費は、最近急激に増加し、年額九百億円をこえる巨額に達していますので、国家財政の現状にかんがみ、このたびの増額は、公務傷病者及び遺族たる子が受給者である場合を除いて、六十歳以上の受給者恩給に対してのみ行うこととし、受給者が六十歳に達するまでは増額を停止しようとするものであります。法律案第二条がこれに関するものであります。なお、右のほか、昭和二十三年六月三十日以前に退職した公務員に給する普通恩給で、昭和三十一年十月一日以後に給与事由の生ずるものについても、同日前のものに準じて取り扱うこと、及びこの法律は公布の日から施行することを定めようとするものでありまして、法律案第三条及び附則の規定が、これに関するものであります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  5. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等規定による年金の額の改定に関する法律案議題といたします。  大蔵政務次官山手滿男君より提案理由説明を聴取いたします。
  6. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) ただいま議題となりました昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等規定による年金の額の改定に関する法律案につきまして提案理由説明申し上げます。  国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金のうち、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じたものにつきましては、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等規定による年金特別措置に関する法律規定により、恩給の例に準じて昭和二十八年一月分からの年金額改定支給して参ったのでありますが、このたび別途本国会提案されました昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等年額改定に関する法律案により、再び恩給の不均衡是正措置が行われることとなりましたので、共済組合年金についても、前回同様、恩給の例にならって是正措置を行おうとするものであります。  今回の年金額改定措置は、年金額算定基準となった仮定俸給が、二万九千五百円以下のものを対象に、恩給の場合と全く同様一号俸ないし五号俸調整をいたしました。なお、この措置により増加する費用は、一般的原則に従いまして、国庫と地方公共団体または公社が按分して負担することといたしております。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  7. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  山手大蔵政務次官より提案理由説明を聴取いたします。
  8. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) ただいま課題となりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに概要を御説明申し上げます。  国家公務員等内国旅行を行う場合、従来、国家公務員等旅費に関する法律規定に定められた等級より下位等級によって鉄道旅行または水路旅行を行うことが多い反面、日当及び宿泊料定額は、旅館の宿泊料金等実態に比べて低額であると考えられますので、この際運賃日当及び宿泊料等旅費額実費弁償建前に即して改訂するとともに、外国旅行につきましても、右の趣旨に準じて実態に応じた改正を行うほか、あわせて所要規定整備を行い、旅費制度内容及び運営の合理化をはかることとし、この法律案を提出いたした次第であります。  次に、その改正の要点を御説明申し上げます。内国旅費につきましては、第一に、鉄道賃及び船賃紋別支給区分が、現行法では、内閣総理大臣等及び十一級以上の職務にある者には一等の、十級以下四級以上の職務にある者には二等の、三級以下の職務にある者には三等の運賃をそれぞれ支給することになっておりますのを、内閣総理大臣等及び七級以上の職務にある者には二等の、六級以下の職務にある者には三等の運賃支給することといたしたのであります。ただし、内閣総理大臣等及び十四級以上の職務にある者が一等車又は一等船室を利用する場合には、一等運賃支給することといたしております。第二に、内閣総理大臣等及び十一級以上の職務にある者に対しましては、片道三百キロメートル以上の旅行をする場合には、新たに特別二等車料金支給することといたしました。第三に、特別急行料金支給できる旅行を、現行法では片道五百キロメートル以上のものとしておりますのを、片道三百キロメートルのものに改めました。第四に、日当宿泊料及び食卓料定額をそれぞれ現行定額の三割増の額といたしました。  外国旅行につきましては、第一に、鉄道賃及び船賃につき、さきに御説明申し上げました内国旅費の場合に準じて、それぞれの級別支給区分を改めることにいたしました。第二に、航空賃について、現行法では、現に支払った運賃によることになっておりますのを、運賃等級を二以上の階級に区分する航空路による旅行の場合には、原則として、内閣総理大臣等及び十三級以上の職務にある者に対しては最上級運賃を、十二級以下の職務にある者に対しては最上級直近下位の級の運賃支給することといたしました。第三に、移転料定額にき別表を補正し、鉄道二千キロメートル以上を四段階に区分して、新たにそれぞれの定額を定めることにいたしました。以上のほかその他の規定につきましても、若干整備をはかることといたした次第でもあります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、宮内庁法の一部を改正する法律案議題といたします。根本内閣官房長官より提案理由説明を聴取いたします。
  10. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) ただいま議題となりました宮内庁法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  今回の改正は、第一に、内部部局所掌事務について所要調整を行うことであります。すなわち、従来物品を管理することは管理部所掌事務でありましたが、これを長官官房に移しかえまして、現在長官官房所掌事務となっております金銭会計事務との統合をはかりましたこと、また従来の宮内庁法には表示されておりませんが、現在侍従職管理部に分れております調理供事務を一元化して、これを管理部所掌事務とすることにより当該事務能率化合理化をはかることにしたことであります。第二に、宮内庁皇宮警察との事務連係につきましては、従来とも特別の注意を払って参ったのでありますが、今回は、さらにその緊密化を促進し、宮内庁所掌事務の遂行を円滑ならしめる意味におきまして、宮内庁長官は、必要がある場合には、皇宮警察事務について、警察庁長官所要措置を求めることができることにしたことであります。第三に、宮内庁に置かれております特殊な名称の内部部局の長、すなわち侍従長東宮大夫及び式部官長官職名及び権限をこの際明記するとともに、従来内部規程で置かれておりました侍従次長侍従長補佐官として掲げることにしたことであります。第四に、現存する京都事務所、正倉院事務所及び下総御料牧場責任の所在を明確にするため、これらを宮内庁附属機関とすることにしたことであります。なお、東宮大夫式部官長及び侍従次長宮内庁法に明示したことに伴いまして、国家公務員法及び特別職職員給与に関する法律の一部に所要改正を加えることにいたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  11. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案(衆第一九号)を議題といたします。  衆議院議員黒金泰美君より提案理由説明を聴取いたします。
  12. 黒金泰美

    衆議院議員黒金泰美君) ただいま議題となりました国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案提案理由をご説明いたします。  国家公務員給与は、基本給のほかに寒冷地に勤務する者には寒冷地手当を、また、北海道に勤務する者にはさらに石炭手当支給していることは御承知通りであります。しかるに、石炭手当支給額北海道全道一律であり、また、寒冷地手当支給区分にも必ずしも適当でない点があります等のために、寒冷度の激しい東北その他の地方に勤務する者の給与が比校的に恵まれぬ状況にあるのでありまして、ことに近年は公社現業関係官署におきましては、薪炭手当等の名をもって寒冷地手当増額をいたしております実情に顧みて、その均衡をはかるために、これらの地方に在勤する公務員に対して新たに薪炭手当を設けることといたすのが本案の目的であります。  すなわち、青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島、新潟、長野、群馬、富山、石川、福井、岐阜のうちで、人事院勧告に基いて内閣総理大臣が定める区域に在勤する国家公務員に対して、一冬に世帯主四千五百円、独身者千五百円の薪炭手当寒冷地手当とあわせて支給しようとするものでありまして、公社現業の例にならった次第であります。本案施行による経費は、内閣総理大臣寒冷地の五級地として指定されている区域を定めるものといたしますれば、国家公務員に対しては約一億六百万円を要するのでありますが、さらに公社職員に対しては約一億一千二百万円、地方公務員に対しては約一億六千二百万円を要するのでありまして、これら三者の額は計三億八千万円となります。もっとも、このうちから昭和三十年に公社現業官署職員支給した額一億七千万円を控除すれば、純増加額は約二億九百万円であります。なお、本案は来年度内において政令の定めるときから施行することとし、予算措置のついた上で実施することといたしております。  何とぞ御審議の上、積雪寒冷に悩み、給与の点においてさえ恵まれぬ寒冷度のはなはだしい地域に在勤する公務員諸君の心情を御賢察賜わり、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――
  13. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案(参第二号)を議題といたします。  発議者千葉信君より提案理由説明を聴取いたします。
  14. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げます。  御承知のごとく、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当につきましては、一般給与とは別個に、昭和二十四年法律第二百号によって定められているのでありますが、その施行以来、最近に至るまでの間に東北地方その他の寒冷度の著しい地域実情にかんがみ、若干の改正を要する点が認められて参ったのであります。すなわち北海道に在勤する国家公務員に対しては寒冷地手当とあわせて石炭手当支給することになっておりますが、東北地方その他寒冷度の著しい各地域におきましても、冬期暖房用経費、符に薪炭等購入代金生計費に与える影響は著しいものがあり、同一労働、同一給与原則から言っても、これらの地域に勤務する国家公務員については、北海道における石炭手当に準じて何らかの手当支給する必要が認められるのであります。現に各公社並びに郵政、農林等現業職員に対しては、先年来この措置がとられてきたところであります。一方国家公務員給与体系につきましては、先に人事院において給与準則勧告国会に提出されているのでありますが、石炭手当等についてはこれを準則の中に含まず、別個の取扱いを予想しておるものであり、昭和二十四年法律第二百号が当時議員提案として制定された経緯もありますので、この法律施行以来、その実施に伴って改正の必要を認められてきた諸点について、今回同じく議員提案による法律改正を行なって、その責を果したいと考えてあえて提案いたした次第であります。  次に、改正の主要なる点について御説明申し上げます。改正点の第一は、寒冷地手当及び石炭手当とは別に新たに薪炭手当を設けることとし、その支給範囲は、北海道以外の地域で、人事院勧告に基いて内閣総理大臣の定める地域に在勤する者とし、その支給額については、世帯主たる職員に対して薪一棚及び木炭百キログラム、その他の職員に対して薪〇・四柵及び木炭四〇キログラムを、それぞれ時価によって換算した額の相当.額をこえないこととし、その他必要な事項は人来院勧告に基いて内閣総理大臣が定めることといたしております。以上のほかに、他の法律との関係、その他若干の改正を加えているものでありまして、法律案提案理由並びにその要旨について御説明申し上げました。付加いたしますならば、御承知通り、本法律案は第二十二国会において本院を全会一致をもって通過いたしました法律案と同様の内容を持つものでございます。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  15. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 以上六件の法律案については、本日は提案理由を聴取するにとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  17. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、科学技術庁設置法案議題といたします。  本案に対する御質疑のおありの方は御質疑を願います。
  18. 千葉信

    千葉信君 行政管理庁の方から、岡部さんに御答弁いただくこと大いにけっこうですが、どなたか責任のある方が、そう申しては失礼ですが、やはり岡部さんに追及する内容としては少し当を失すると思うのです。ですから、やはり責任ある答弁をしてもらわなければならないという角度から岡部さんに御答弁願うこともたくさんありますが、そういう御処置を……。
  19. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 政務次官に今来ていただきますから、その間事務的に私が政府委員として御答弁できる範囲におきましてお答えを申し上げます。
  20. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  21. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) では速記を始めて。
  22. 島村軍次

    島村軍次君 この間の問題は国家行政組織法との矛盾の問題だと思うのですから、私最後に質問申し上げて、政府の方の一致した見解を表明してもらいたいということを申し上げておいたのですから、千葉さんから改めて質疑されぬでも、政府の方からみずから進んでこの問題に対する御答弁があってしかるべきだと思うのです。
  23. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 前回の委員会には直接出席いたしませんでしたが、御質問の御趣旨は承わっておりましたので、私の理解する範囲におきまして、お尋ねに対してお答えを申し上げたいと思います。  私が承わっております御質問の御趣旨は、総理庁外局たる庁には、その内部部局として部を置くことが行政組織法において定められているのに、科学技術庁においてその内部部局として局を設けるということは組織法違反の疑いがあるのではないかという御趣旨のように承わりましたが、それで間違いがございませんければ、その点につきましてお答え申し上げます。  これは非常に重要なお尋ねであると思いますので、根本的な態度について申し上げますと、国家行政組織法と申しますのは、国の行政組織基準を定める法律でございます。そうしてまた行政管理庁といたしましては、この基準を順守する責任のある官庁であることは申すまでもございません。従いまして、私どもといたしましては、この国の行政組織国家行政組織法の定める基準によって制定されて行くように微力を尽している次第でございます。それと同時に、国の行政というものは生々躍動し、発展して行くものでございますから、そのときどきの必要に応じまして、行政機関の形態、内容も同時に発展して行かなければならない。それに応ずるように、また行政組織法基準も合理的に検討いたしまして、もしも変える必要があるならば、なるべく実態に沿うた基準であるようにこれを検討して行くことも私どもの義務であると存じております。そういう根本的な立場からお答え申し上げる次第でございます。従いまして、あくまで現在の行政組織法をその求ますなおに順守して行きますならば、各府、省の外局である庁には、その内部部局として部を置くことが当然でございます。ただ、それでは法律建前がそれに対して例外を許さない、あるいは部以外のものを置くことを禁止しているものであるかということが第一点の問題になります。それから第二点の問題として、現在新たに出て参ります総理府外局としての庁に内部部局として局を置くことが必要であるかどうか。必要と認める場合に、それを認める道がないかということが第三の問題になろうかと思うのであります。  それで第一の問題について申し上げますと、行政組織法の七条の第一項には、各府、省には内部部局として官房、局、課を置く、こうなっております。読み上げてみますと、条文上はっきり、第七条の第一項といたしまして、   府及び省には、その所掌事務を遂行するため、左に掲げる内部部局を置く。    官房    局    課  とはっきりうたっております。次に、第二項におきましては   庁には、その所掌事務を遂行するため、左に掲げる内部部局を置くことができる。  これはすなわち庁の方には「できる」ということで若干ゆとりが認めてございます。すなわち庁には官房、部、課を置くことができる、こういうように規定してございます。それに基きまして、その庁の大小によりまして、ある場合には部も置かないものがございます。現に北海道開発庁のごときは部を置いてございません。それから部を置くことができると書いてありまするので、それでは部課以外のものを禁止しているかという趣旨でございますが、これは必ずしも禁止しているのではない、特に必要があります場合には基準法には従うけれども、同じ法律として、国会の議決によりましてその特例法を認めることがでるんじゃないかという建前で従来参っております。その実例といたしましては、すでに御審議いただいて制定しております防衛庁設置法がございます。防衛庁設置法ではその第十条で、防衛庁には防衛局、教育局、人事局、経理局、装備局という五局を置いておりますし、なお過去におきましては、引揚援護庁には援護局と復員局というものを置いたことがございました。そういうような事情で、法律的には、法律をもってすれば特例として置いても差しつかえないということが政府部内の公けの解釈となっております。それが第二点の法律問題。それでは第三点に、庁に局を置くことが望ましいかどうかという問題でございます。この場合におきまして、組織法は割合窮屈な基準を設けております。あるいは画一的な基準を設けていると申し上げてもよろしいかと思いますが、すなわち府及び省の外局としては庁を置くということがございまして、総理府におきまして国務大臣を長官とする省にも準ずべき大きな庁も、あるいは各省の比較的行政事務のまとまったものとして内局と区別して置く庁にも、同じように一律に外局制度を適用いたしまして、その間に区別がございません。従いまして、総理府国務大臣を長とする庁、すなわち防衛庁でありますとか、経済企画庁でありますとか、行政管理庁のような庁におきましての部長クラスというものと、それから各省の局長クラスというものと、その職務内容におきましては変りがない。従いまして、具体的に例を申し上げますと、経済企画庁のごときところにおきまして、その部長には各省の局長級との交流をするというような必要が起るのでありますが、これは今の職階制の運用におきまして、とかく局長の方が部長よりも給与がいいというような関係で人事交流が非常に困難になってくる。今度の科学技術庁のような場合におきましても、各省の局長あるいはそれ以上のクラスのものを内部部局部長として打って行きたい。そして盛んに各省と交流をしたいというような場合におきまして、これを部長のままにしておくということはきわめてその運用上支障を来たすので、これは何とか局長にしたいということが行政審議委員の一致した要請に基く答申でもありますし、関係省におきましても、そういう強い要望があるわけであります。そういうような趣旨に基きまして、自由民主党における政策審議会の場合におきましても、そういう趣旨におきまして、特に特例として局を認めたというような形でございますので、このたびの科学技術庁設置法案におきまして、部にかえまして局を設けるということは、現在の行政組織法建前及び行政運営の実情から見まして、特例と考えました場合においてはこれは差しつかえないことである、こう考えております。
  24. 千葉信

    千葉信君 全部聞かないでしまったけれども、大体聞いても聞かなくても同じような内容だと思うのです。前段の方の聞いた分から考えてみても、実に苦しい答弁で、一生懸命さぎをからすと言いくるめようとして、国民が聞いてもわからぬ理屈をこねているのです。国家行政組織そのものは生々発展する行政の状態に応じて相当幅のある解釈をしなければならぬということを言っておられるのですが、私はその行政部門が住々発展しつつあるということについては、おっしゃる通り認めます。しかし、それだからといって、法律規定されていることを、たとえば今おっしゃっていることを聞くと、片方には「内部部局を置く。」となっていて、片方は「内部部局を置くことができる。」などという表現だからこの間は違うのだ。あなたはそんなことまで言っている。それなら、いろいろな点について僕はあなたに聞きたいけれども、しかしあなたとここで議論するつもりはなから私の質疑だけを行いますが、あなたがおっしゃるように、第七条の関係が、片方は、府や省は「内部部局を置く。」となっているからこれははっきりしている。しかしあとの方は「置くことができる。」ということになっているのだから、この点については幅があるのだ、こういう答弁です。もしそういうあなたの言うことが正しいとしたら、同じ行政組織法の中に例外規定がある。第二十一条によりますと、「現業行政機関については、特に法律の定めるところにより、第七条及び前条の規定にかかわらず、別段の定めをすることができる。」、こうなっております。こういう点からみても、法律自体はそういう幅のあるものだなどという解釈をすることが一体できるかどうか。そういう例外が必要だから、例外を認めなければならぬから、だから第二十一条というものは設けられているのでしょう。この場合は、現業以外のものについては節七条によってやるべきだということは行政組織法の今の建前じゃありませんか。そうして今あなたは前例がないわけじょない。たとえば引揚援護げ設置令、これはなくなりましたが、おっしゃる通り、なるほど援護局、復員局、それから現在防衛庁設置法によりますと、第七条二項に該当する庁でありながら、ここにあるように五つの局が設けられている。こういうふうに設けられているのだから、法律国会において成立し、こういう既成事実が認められたということは、そこにも国家行政組織法の幅があるという解釈にならなければならないのだと、そんなばかなことってないです。これはこういう国家行政組織法に対する十分なる検討や審議がなかったからこんなことになってしまった。もし当時この問題が審議されておれば、こういう局は設けることができないという結論に達するか、さもなければ、当時国家行政組織法改正されなければならないはずです。これはあなたのおっしゃるようなそういう答弁は、突き詰めていうと、これは国会を愚弄した答弁だということになると思うのです。
  25. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) ただいまの千葉さんのお尋ねお答えいたしますが、正面に申し上げまして、第七条の第一項と第二項に確かに表現の違いがある。片方は、第一項は「置く。」、第二項は「置くことができる。」と、こうあります場合に、第二項の「置くことができる。」という表現の場合においては、これは一項と比べて二項を解釈した場合に、二項の方にゆとりがあると、こう考えることは、これは法律の常識として、これは当然千葉さんお認めになることだろうと存じます。この点につきましてはこれ以上申し上げません。それから次に、第二十一条について、現業機関について、この七条、それから二十条についての特例を認めることができる、こういう規定がございます。これは私も承知しております。これはどういうことかと申しますと、これも千葉さん御承知通り、郵政省であるとか、あるいは印刷局であるとか、造幣局であるとかいう現業機関は、これは普通の行政機関事務の運営が違うから、内部事情もこれは狩段の違いをしなければならぬ必要がある、普通の行政機関の組織で縛るのは、これは窮屈だろう、こういう趣旨でございますが、今の科学技術庁であるとか、防衛庁に対する例外とは考えておりません。従いまして、その特例として、私は郵政省あたりには、もっと郵政省の実情に応じた組織ができるものと、この二十一条を根拠にして考えております。現実にはそう大して違っておりませんが、特例として海えておりますのは、たとえば郵政省の官房に人事部を置きましたり、資材部を、置きましたりしておるのでございます。これはまさにその例外と考えておりますので、御承知の各省の官房とか、局に部を置きます場合には、暫定的な例外として省の中に特にのけておりますが、この別表第一をごらんになりましてもわかります通り、郵政省の欄には現にそういう官房に部があったりするのを掲げておりません。その趣旨でございますから、そういうことになっておりますが、この二十一条はさしあたりこの場合には関係がないものと思っております。それから第三番自の、それでは従来いろいろな例があるのは、それは審議不十分の関係で、もしも審議がされるならば、このようなことがなかったろうというような御意見でございますが、これは十分ごもっともでございます。この各省の外局である庁の内部機構におきまして、このような特例を認めることがいいか悪いかということは、これは行政制度の政策上十分私は御審議いただきたいことと思っております。その際に各省の庁と、それから先ほど申し上げました通り国務大臣を長官とし、各省の局長と交流しなければならないような、総理府の庁と同じように扱っていいかどうかということは、これは組織法上検討しなければならぬ問題でございます。この点につきましては、私どもは目下真剣に現在の行政実情に応ずるように今検討中でございます。
  26. 千葉信

    千葉信君 一番最後におっしゃられた現在の行政実情に応ずるように最善の努力をしているという御答弁は、国家行政組織法のこの条文等を含む改正について、行政管理庁の方ではいろいろ研究を進めておられると、こういうことですか。
  27. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 行政組織法があくまで、これがあります以上は、行政組織基準を定めておるものでありますから、その基準を順守されるものでなければならない、同時にその基準が画一的に実情に即しないようになりまして、特例が多くなることは、基準法の生命を失いますので、むしろ絶えずその実情に合うような基準法たらしめなければならない、そういう意味におきまして、今、千葉さんからも重ねてお尋ねのありました点につきまして検討しておりますので、行政組織法改正するような機会もございまするならば、そういうような点についても当然問題にしていただかなければならないと存じております。
  28. 千葉信

    千葉信君 そういうことになれば、行政管理庁の方から、いっそういう行政組織法改正案が出てくるかわからないけれども、もしも解釈として私どもがとっているように、今度の科学技術庁の設置法による川の設置は、少くともその現行行政組織法では、これは違反とは言わないまでも、抵触していることは明瞭である。そうしてこれは国民が常識上考ても、こういう第七条に、府、省に対しては官房とか、局とか、課を置くものとすると、それから外局である庁に対しては、官房、それから部、それから課を賢くことができる、こういう行政組織法になっているのが、今回の科学技術庁設置法案によりますと、この第七条の第二項に少くとも抵触しているということは、どんなに国会でうまい答弁をしてみても国民は承知しません。こういうはっきりした法律の条文があるのに、それと違うやり方をするということは違法行為なんだ。今までそういう事実があると言ってみても、その事実はやはりこの法律と抵触しているということになるのです。そうなれば、もしあなたが言われるように、これから行政組織法を検討して、同時にまた改正案を出すということになって、その法律国会を通ればこれは問題がはっきり解釈される。しかしそれまでの間は、国会としては引揚援護局の関係であるとか、あるいは防衛庁の関係で、既成事実があるからという理由で、こうはっきりした問題を、やはり目をつぶるわけにはいかぬ。そうなりますと、この法律審議関係は、非常に、そのあなたの方から出てくる行政組織法改正案なるものと深い関連を持ってくることになるのです。一体いつごろあなたの方ではそういう具的体な措置をおとりになるのですか。
  29. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 千葉さんのお尋ね、まことにごもっともでございます。ただしかし、私が申し上げました組織法に関する限りは、これは国の行政組織基準を定める法律について、それの行政組織実情に合うかどうかは絶えず検討し、国会の御審議を願う準備をしているということでございます。それで、それではそれとは別問題に、この科学技術庁設置法がこの第七条の二項と違反するじゃないか、抵触するじゃないか、違反するとまでは言わないので、抵触するじゃないかというお尋ねでございますが、その点につきましては、まことにごもっともなお尋ねでございますので、当然出て参ります疑問でありますので、私どもこの設置法の審議の際においては、その点につきましても相当慎重に検討したはずでございます。従いまして、この設置法の第十二条以下をごらんいただきますと、第十二条以下には見出しとして「(特別な職)」ということを特に掲げてございます。そうして十三条には、「各局に局長を置く。」ということをはっきりうたっております。それからその第三項に、「局長は、命を受け、局務を掌理する。」ということもはっきりうたってあるわけであります。すなわち科学技術庁に現在の状態のままで局長を置くということは、これはあくまで特別なものなんで、特別な職であるから、特別にその職務内容もはっきりし、これは部長にかえて特別な職として置かれるのだということを明らかにしておりまして、従いまして、そういう意味におきまして、これは国家行政組織法第七条の特例である。黙っていれば抵触する疑いもありますから、特例であるということを明らかにいたしまして御審議をいただく、こういう建前でございます。あくまでこれは特例を認めていただく、こういう趣旨でありますから、御了承いただきたいと思います。そういう意味で用意がしてある、こういうことです。
  30. 千葉信

    千葉信君 これはずいぶん苦しい答弁だけれども、その御答弁では筋が通らぬときがある。岡部さん、一体あなたは今の答弁で筋が通っていると思っているのかい。
  31. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) これはあくまでその点におきましては現行法建前において筋を通したつもりでありまして、当然に第七条第二項を無視して……、七条二項に該当するのだとすればこのような苦しんだ表現は使っておりません。御議論の点を十分頭に入れまして、これはどうしても科学技術庁には局制を設ける必要があるんだという建前から、特例を、特別な職として設けたわけでございますから、これは御審議をいただく十分な値打ちがあると、こう考えております。
  32. 千葉信

    千葉信君 どうも値打ちがあると押しつけられても、僕の方ではその値打ちを認めるわけにいかぬのですね。一体政府の最近やっている事項はこればかりではなく、これに似た事項が多々あるのです。たとえば憲法第九条の解釈についてはいい例だと思う。はっきり戦力云々、交戦権云々はっきりしているのに、政府の方では事実でもって、実際の憲法の精神をくずしてきている。それと同じように、今度の科学技術庁関係でも、国家行政組織法でもこんなにはっきりしている。科学技術庁の設置法の中で(特別な職)という項でこういう条文を設けた。こういう条文を設けたからだから行政組織法関係はいいじゃないか、こういうばかな話は私は成り立たぬと思うのです。これはどうも今の問題に関する限り頭脳明敏な岡部さんが及第したとは私は考えられない。これ一つ行政管理庁の長官でも呼んでもらって、はっきりけじめをつけぬことでは、今のような答弁国会がちょろまかされてはたまらぬのだ、これは。
  33. 島村軍次

    島村軍次君 法制局の解釈を一つ。なお参議院の法制局の方の解釈をあわせて。
  34. 野木新一

    政府委員(野木新一君) ただいま千葉先生と岡部部長との質疑、応答は、私途中から拝聴したわけでありまして、あるいは多少食い違う点があるかと思いますが、問題点は実は昨日ちょっとほかから承わりまして大体勘どころは承知しているつもりでありますが、それについて御答弁申し上げます。  お説のように、国家行政組織法第七条第二項から申しますと、庁には局を置くということは書いてないことは御指摘の通りでございます。それから第七条第一項、第二項と比べてみまして、第一項には「左に掲げる内部部局を置く。」と暫定的に規定いたし、第二項では「左に掲げる内部部局を置くことができる。」というように規定してありまして、第二項の方がゆとりがあるということは先ほど岡部部長からも申し上げておりましたが、私どももそう思っております。  次にそういうようなことからいたしまして、この科学技術庁設置法は国家行政組織法に違反するのではないかという議論でありますが、違反するという言葉の意味でありますが、まあ憲法と法律というような関係におきましては、上位法及び下位法の関係でありますから、まさに下位法は上位法に違反していないというような意味で、違反という言葉が割合い素直に使えると思いますが、国家行政組織法科学技術庁設置法の関係においては、そのような意味の違反ということはまあ生じないのではないかと思います。ただ違反とおっしゃる言葉が、おそらく言わんとするところは国家行政組織法は一つの国家行政組織の基本について定めた法律であるから、それのちょっと例外的なものがここに出ておる。そういう意味で基準なり基本法の趣旨に沿わないではないかというような意味で、おそらく違反という言葉を使われたのではないかと存ずる次第であります。そういたしますと確かにこの科学技術庁設置法は、国家行政組織法から見ますと一種の国家行政組織法のきめたワクなり、いろいろの道具立てにすっとそのまま入るというものではない。多少局の設置という問題点におきまして、多少ぴたり沿わない点があるということはそれはお説のように言い得ると存じます。その意味で先ほど岡部部長が最後の方に申したように、この科学技術庁設置法は国家行政組織法の特例的の部分も含んでいるということを答弁されたのは、そのことを言っておるのではないかと存じます。立法の態度あるいはある制度を作る態度といたしましては、一つの国家行政組織法というような基準法なり基本法と申しますか、基準を定めた法律がある場合に、特段の理由がない限りはその基準にのっとっていくというのが、その基準法を制定した趣旨であると存じますが、何か特別の、特段の理由のある場合には、同じ法律のことでありまするから、多少の特例を認めることもこれはやむを得ないのではないかと存じます。その場合に設置法を改正してから行うべきだという論議も確かに一つの議論として成り立つと存じますが、何ぶん行政組織などについては非常に変転期でもありますし、多少の点は、まず特例がやや出て、それからそれが特例でなくて一般的に進化して、一般的な形で法律に取り入れられるということは、法律のいろいろの分野で、牧野先生がいろいろ言われるように、法律の発進は例外の方から発達していくというようなこともあります。それをそのまま引くわけではありませんが、法律の進化論も各分野においては間々見られることであります。しかしながら私どもとしましては、なるべくそういうような特例は何か特別の理由がない限りは許さないという点で、これはずいぶん議論してみましたけれども、この科学技術庁設置法というような、科学技術という面は日本の今までの行政機構においてはあまり重んぜられていなかった。従って普通の国家行政組織という面においては、このような技術関係行政組織については、今まであまり重点的に考えておらなかった。十分配慮しなかったという面もあるいはあるのではないか。従いましてこういう点においてやや特例が出てくるということは、先ほど申しました法律制度の進化という画から見ても必ずしも不合理ではないだろう。こういう意味でこの点は一つの基準法がありますので、法制局といたしましてはぜひこれにはめ込んでみたいという点でいろいろ議論いたしましたが、今言ったようないきさつでこれについてはやはり特例を認めるのはやむを得ないだろうということで、一種の特例を認めた次第であります。  しかしその特例の認め方たるや非常に大きな特例だったかどうかと申しますると、先ほど岡部部長が力説しておられましたような、国家行政組織法第七条二項はややゆとりのある書き方ということになっておりますので、まあ特例と言ってもこの程度の特例は実際の理由があるならばやむを得ないだろうということで、法制局といたしましては、一種のはっきり言えば特例という意味で認めたわけであります。そうして法律法律の間にありますから、その同じ面の問題におきましては何と言いますか、これが憲法違反とかいうような意味の違反の問題は起らないのではないか、そういうように存じておったわけであります。  しかしながら御意見のように、この今のこの基準法というものを非常に強く考えるという立場から言えば、なぜこういう特例を認める必要があるか、その合理的根拠いかんという点においては、論議の点になると思いますが、法律違反であるという法律論の点におきましては、これは説明つくのではないかと存じておる次第でございます。
  35. 千葉信

    千葉信君 どうも今の答弁、かなり内容からいうと容赦できんことをしばしば言っておるようであります。法律の発展は特例法から。そういう学説がどこにあるか私は知らんけれども法制局ともあろうものがそんなことを言うところに問題が出てくる。いろいろなことを言われておるようですが、法制局として、まあ今の答弁みんな引っくり返してもいいと思うのだ。  しかし僕は一悪だけ聞きたいことは、国家行政組織法にこうあるのですよ、第三条に、「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。」法制局は一体この条文を何と考えておるか。そしてそういうふうに法律行政機関をこういう組織にするといってきめて、それによって第二条が初めて生きてくる。第二条によると、「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲所掌事務と権限を着する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」「国の行政機関は、内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」第二条は第三条の規定の根本精神なんです。こうはっきりあるのですよ。この行政組織法できめるなんということがはっきり第三条にあるのに、これはあなたが言われるように、やはり科学技術の振興が国の重要な施策であるから、その重要度の度合に応じてある程度法律の幅を広げて考えてやってもいいじゃないかとあなたは言われるけれども、私も科学技術の振興が刻下喫緊の重要問題であることは賛成する。しかし重要な問題であるからといって、こういう根拠法がはっきりしているのに、その行政組織を規制する場合に特例を設けてもいいのだということにはならん。そんな議論はどっからも出てこない。その解釈の仕方は私は法制局としては重要な失態だと思う。私はこの科学技術庁設置法が内閣でいろいろ審議されたときに、あなた方が非常に追い込められたような格好で、最後には賛成しなければならん状態になった経緯も知ってます。しかしそれだからといってあなた方が先に立って法律をくずしてもいいという解釈を法制局がとっているのか。
  36. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 千葉先生の御意見は、法制局的な立場から申しますと、非常に一々ごもっともに存ずる議論でありまして、法制局の立場におる者といたしましては、鞭撻のお言葉と存じまして、非常にありがたく拝聴する次第でございます。ただ私が特例と申しましたのは、あるいは非常に意味が強く響き過ぎたかとも存じますが、法制局といたしましては、やはりこういうような、国会で御制定になった国家行政組織法という一つの基準法律がありますから、すべての行政組織はこれにあてはめていきたいという努力をいたすのは当然であります。また努力してきているわけでございます。しかしながら何分行政というものはいろいろ変化し、進展するものでありますし、ことにこの科学技術というものについては、原子力その他新しい世界における発達を背景といたしまして、特に変化の著しいものでありますので、いろいろの要求がありました際に、この特例が大きな特例でなくて、この国家行政組織法から見ても、まあ特例としてやや軽微なものではないかというような意味のものならば、結局同じ法律同士でありまするから、ことにその特例が、将来のあるいはたとえ行政組織法改正するといった方向から見て、新しい改正法の方向から見ても、それに逆行するというようなものであったら、また非常に別の意味の問題になるかもしれませんが、あるいはそういうような、これは結局国家行政組織法をどういうように改正するかということは、国会の御制定になる問題でありますが、私ども法制局の立場から見まして、そういう方向を一応頭に入れて考えてみました場合に、まあ私ども考えた方向と必らずしも逆行するものではないというような意味の特例であり、しかも現行国家行政組織法からみても非常に大きなものとまでいかない、現行国家行政組織法そのものを破壊する、基本を破るというところまでいかないものならば、まあ漸次若干の特例は認めるということは、必ずしも法制的立場として自殺的行為でもあるまいという程度に考えたわけであります。しからばこの特例が国家行政組織法全体から見てどの程度のものであるかということを考えてみますと、先ほど岡部部長からしばしば申しておったようでありますが、第七条第二項で「置くことができる。」というようにややゆとりのあるように解釈して書いておりますので、そういう点を考えてみますると、法制局といたしましては、行政機構を管理しておる行政管理庁の方で実質的にそれはやむを得ないだろうと認めてきましたことでもありますし、法制的の点から見ても、そういう点ではまた若干特例を認めてもやむを得ないだろう。そういうように考えまして、法制局といたしましては審議を完了いたしまして国会の御批判を仰ぐ、そういうようなことになった次第であります。
  37. 島村軍次

    島村軍次君 法制局法律の番人で、ずいぶん行政的に見ると逆に非常に細かい問題も、法律でこね廻して細かいところまで注意を与え、しかも法律の解決を厳格に解するという立場におられるので、ただいまの答弁を聞いてみますると、どうも千葉さんのお言葉を借りて言うようでありますが、追いつめられて政治的な答弁をするような感じがいたすのですが、そこで行政管理庁政務次官にお伺いいたしますが、近く行政組織法改正について全般的な提案をされるように承わっておりますが、その際にこれらの諸問題を考慮のうちに入れて改正をする御意思があるかどうか。しかもその提案はいつ頃される予定であるか、これを伺っておきたい。
  38. 宇都宮徳馬

    政府委員宇都宮徳馬君) これらの実情に合うように国家行政組織法改正いたすべく、今立案中でございます。そうしてその提案の時期はもちろん本国会中でございまするが、何日ということはただいまなおさまっておりません。
  39. 島村軍次

    島村軍次君 そこで先ほどの答弁を伺ってみますと、すでに既成事実として防衛庁が局を設けておる。これは第七条には実質的には違反とは言えないが、もうすでに法律で既成事実ができておるのであるから、その前例に従ったというような意味のお言葉もあったようでありますが、しからば既成事実が、特例として最小限度にすでに防衛庁なり、ここにまた科学技術庁の設置法においてその特例を作るとすることが疑義があるということになれば、これは既成事実もどんどん出てくるというのであって、現段階におきましてはむしろ進んで改正をすべきであるということは、先ほど申し上げた通りでありますが、ただいま政務次官答弁によりますと、これらの問題を合うように改正の意思があると、こういうことを御答弁になっておりますが、どういう点に、どう改正しようという御意図でありますか、その点をあわせて伺っておきたいと思う。
  40. 宇都宮徳馬

    政府委員宇都宮徳馬君) 行政機関外局には原則として局が置けないことにきまっておるわけでありまするから、外局に特に必要がある場合には局を置くこともできると、国務大臣を長とする外局に局を置くこともできるという規定を設けるつもりであります。
  41. 千葉信

    千葉信君 だいぶ今の答弁ではっきりしてきたと思うのです。外局には局は置けないことになっておるからという答弁であります。これでまあ先ほど来もやもやして、まだわれわれがごまかされそうになっていた問題が、はっきり今の答弁で第七条の解釈も確立したわけです。その点では問題は一歩前進できると思うのです。そこで、今、政務次官もはっきりおっしゃったように、先ほどこれらの問題とおっしゃったのが、さらに具体的に国務大臣である長官のもとに設けられる外局、つまり庁の場合では局を捌くことができる、そう国家行政組織法を改められる御意思がはっきりした。それ、御提案になられる時期は、特に明確な日時等は、これまあ御答弁いただこうといっても無理だと思う。しかし、予想としては、やはりこれから政府としての態度をきめ、それから国会にその法律案提案され、それから国会でこれを審議する、こういう段取りになろうと思います。で、そうなりますと、この点をどうするかということを聞かなければならない。そういう措置がとられるまでの間は、今、この国会審議している科学技術庁の法案は、政務次官が今おっしゃったように、明確に国家行政組織法の第七条に違反する。第七条に違反するものを国会は通すわけにはいかない。そこで、そういう政府の方から法律提案されて、国会でこれが審議決定されるまでの間は、この科学技術庁設置法に伴って設置されるその局に対しては、この際はその法律が通るまでは部という格好にするか、さもなければ科学技術省にするか、いずれかの措置をとらなければ、非合法な法律国会は通すわけにはいかぬということになると思うのです。  そこで、その点について私は正力国務大臣にお伺いしたい。正力国務大臣は、この問題をどう処理されるおつもりか。あなたとしては、この際これをそれでは省にしていただきたいというのか、いや、これはもう原子力局を初め、今度設置される局は、これを部にすることにしていただきたいと考えるか。それとも行政管理庁の方から国家行政組織法第七条の改正案が提案されて、国会でこれを審議決定されるまで一応私どもこの法律案については、この科学技術庁設置法案については、その条件が整うまで待ってもよろしゅうございますと、こういうのか、三つの方法になる。正力さんはどうお考えでありますか。
  42. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまだいぶ議論がありましたが、いかにもごもっとものことばかりでありますが、しかし、私どもは、これは省にも将来したいと思っています。いますが、何分、省の、さきの法制局答弁がありましたごとく、無理はありますけれども、しいて解釈できぬわけでもないから、そういうふうな解釈でいきたいと私は思っております。
  43. 千葉信

    千葉信君 何だい、正力さんの答弁答弁になっておらない。あなたはここにおられる宇都宮行政管理政務次官がはっきり言われたことを何と聞いたか。
  44. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ええ、知っています。さっき宇都宮政務次官は、改正する意思があると言っておりました。それは間違っておるから改正すると、私はとらなかったのであります。多少疑義があるから、そういう疑義があることを改正したいという意思だと思います。だから、私は先ほどの法制局答弁を必ずしも正当とはいえませんけれども、それでいこうと考えておるわけです。
  45. 千葉信

    千葉信君 私は別にこの問題を取り上げて、この法律案をできれば押え込んでしまいたいなどという考えをもって聞いているのじゃないのですよ。この法律を、やはり、われわれとしては、この国会では成立さしたいという考えを持っているわけです。しかし、その法律の含んでいる非合法というか、現行法律に抵触するような条件を含んだままでこの国会を通過させるわけにはいかない。ですから、この問題をどうして解決したらいいかというのが今の問題なんです。ところが、今、それに対して正力さんは、解釈のしようによっては通せるじゃないかという御議論である。そういう解釈ができないから、そういうあなたのおっしゃるような希望的な解釈だけではみんなが賛成するわけにはいかぬから、その点についてもっとわれわれとしては慎重に掘り下げて問題を考えなければならぬと思うのです。  そこで、私は次の質問に移りますが、参議院の法制局長もお見えになっておられますから、おそらく、あなたも今までの質疑のポイントといいますか、重要な点については御存じだろうと思いますので、この今問題になっている点についての法制局の御見解を承わっておきたいと思います。
  46. 奧野健一

    法制局長(奧野健一君) 今問題になっておりますのは、第五条におきまして、科学技術庁に四つの局を置くという、四つの局を庁に置くということは、国家行政組織法の七条第二項によりますると、庁には、官房、部、置くことができるとあるのにもかかわらず、庁でありながらそのもとに局を置くのは、行政組織法趣旨に沿わないではないかという御議論かと思い面す。なるほど、行政組織法第七条第二項には、庁に局を置くことができるという規定はございませんので、行政組織法として考えておることは、庁に局を固くことは予定されてなかったろうと思います。しかしながら、行政組織法は、第一条にもございますように、行政組織基準をきめた規定でありまして、これと異なるような組織を法律をもって別にきめた場合に、その法律が違法であるというようなことはなく、ただいわゆるこの一般的な基準と違った特例を他の法律できめるということは、全然禁止されておるというまでにはみるべきものではなく、すでに防衛庁設置法でも、防衛庁に局を設けたり、また引揚援護庁設置法でも、庁の中に局を設けた先例もありますので、法律をもって別に、そういったような特例を設けることをも、行政組織法は禁止しておるというふうにまで強く考えなくてもいいんではないか。ただ行政組織法は、行政組織一般基準をきめたのでありますからなる、べくそうしないと、系統がやや乱れているような感じがないでもありませんが、違法かどうかという問題になりますと、別に法律で特例を設けることを厳禁しているとも考えられないと思います。
  47. 千葉信

    千葉信君 私の聞きたいは、あなたがおっしゃるようにこの科学技術庁設置法が国家行政組織法そのものに違反するからいかんということを言っているんじゃないのです。違法の法律をわれわれ審議するわけにいかんということ、こういうことも言っているわけじゃないのです。一歩を譲って国家行政組織法の第三条によって、国の行政機関の組織はこの法律でこれを定めるものとするというように規制しており、そうしてそれを受けて府、省及び庁はどういう構成にするかということを規制しておる。そういう第七条の規制したものに従おうとしないで特例を設ける。これに該当しないものを設けてもいいという議論は、私は出てこないと思うのです。国家行政組織法が規制する場合には、やはり根本法であるところのこの法律を遵守する上において作らなければならぬ。その点については悪しくこの国家行政組織法そのものがくずされた状態において解釈されている。これではいかんと思うのです。この点はこの法律が違反するかしないかは別として、そういう態度は少くとも行政府としてはとるべきではない。国会としてもまたそういうやり方はとるべきでない。もしそういう特例を設ける必要があるときには、はっきりそういう特例を認めるような法改正を行うという手続を通じて問題を解決するという態度に出るべきだ、こうなると思うのです。そこが問題なんです。そこはどうですか。
  48. 奧野健一

    法制局長(奧野健一君) 御承知のようにこの国家行政組織法の附則の第二十四条という規定によりますと、七条一項の規定にかかわらず省に部を置く場合を規定しております。でありますからこの国家行政組織法の系統をくずさないで規定するには、附則等において庁に特例として局を置くといったようにすることが、あるいは難ましいのではないかと思いますので、先ほどおっしゃったように違法かどうかの問題じゃないと言われましたが、われわれとしては違法ではないという程度のことしかちょっと申し上げかねると思います。
  49. 千葉信

    千葉信君 頭を少し冷す必要があるからここらで休憩して午後に再開をするとしたらどうですか。
  50. 苫米地義三

    苫米地義三君 関連してちょっと。ちょうど正力国務大臣が見えておりますからお伺いしたいのですが、この法案は衆議院で付帯決議が提出されているのですね。その付帯決議趣旨を考えてみますと、将来特許庁や何かのことも包含して、今後は省に昇格しようと言っている意味が暗黙のうちに加わっているように思うのですが、もしそうだとすれば暫定的に局を特例で置いたということもわかるのです。ですから国家行政組織法を直すという根本的な問題もさることながら、科学技術庁を省に昇格するという案があるのじゃないですか。その点を一つ伺いたい。
  51. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 実は衆議院の方で付帯決議が出ておりまして、省に早くするようにこっちは考えているのであります。付帯決議を実行するつもりでおります。
  52. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 暫時休憩いた  します。一時半に再開いたします。     午後零時二十六分休憩      ―――――・―――――     午後二時四十三分開会
  53. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから再会いたします。休憩前に引き続き科学技術庁設置法案に対する御質疑を願います。
  54. 野本品吉

    ○野本品吉君 提案理由にございまするように、非常に資源の乏しい日本、それから経済基盤がきめて脆弱であり、しかも莫大な人口を抱えておるというような点から考えて、国民経済の自立、発展、あるいは国民生活水準の向上、これを目ざしての科学技術庁設置法案でありますから、これは国民のすべてのものがこの限りにおいて反対する理由はないと思います。また一方ややもすると各行政庁の間のセクト主義というものが非常に強いものがありまして、ばらばらになりがちであるけれども、それらを総合調整して基本政策の企画推進に当る、あるいは各省庁間の総合調整に当る、こういう点から考えまして、大へん私は適当な措置であると考えておるわけであります。こういうふうに考えてどこから見ましても問題にならない適切な提案であるこの法案に対しまして、なお世間でいろいろと批判があり、あるいは疑いの目を向けておる点もあるわけでありまして、これらの点について政府の御説明をお伺いいたしまして、世間の批判や疑いの目に対しまして、はっきりした解明をしておく必要があると、かように考えて御質問申し上げるわけです。  その第一点は、科学技術の範囲の問題であります。これは日本学術会議法の中で、学術会議が自然科学と人文科学に分け、その自然科学の中に、理学、工学、農学、それからして医学、歯学、薬学というふうに分れております。この科学技術の範囲というものをどういうふうにお考えになっておるか、一応お伺いしたいと思います。
  55. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 私からお答えいたします。大別してただいま御指摘のように、いわゆる人文科学を除きました自然科学全般にわたっての構想で進みたいと思います。ただいま御指摘の後段に属する問題は全部包含しております。
  56. 野本品吉

    ○野本品吉君 次に世間ではこの法案を前にいたしまして、総合調整ということが言われているが、その総合調整がややもするというと、統制強化というような方向に行くのではないかということについて、いろいろと疑問を持ち、また批判を加えているわけであります。そこでこの法案全体を見まして、そういう感じがする部分は、一つは第四条の十二、十三の「関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整を行うこと。」、それから「関係行政機関の試験研究機関の科学技術に関する経費及び関係行政機関の科学技術に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費の見積の方針の調整を行うこと。」、この十二、十三を見ますというと、すなおにこれを見れば別でありますが、先ほど申しましたような印象を受けないでもない。それからさらに第八条の三項を見ますというと、やはりそういうことが言われておりますし、さらにここに「委託費その他これらに類する経費の見積の方針の調整」、それが修正されまして大体これの「経費の配分計画」ということまで言われているわけです。それから十一条の長官の権限の問題であります。特にこの権限のうちで3の「科学技術の振興及び資源の総合的利用に関する重要事項について勧告することができる。」、それからして、その4に「その勧告に基いてとった措置について報告を求めることができる。」最後が問題であります。5のつまり内閣法第六条の規定によりまして、「閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」という条項までも、その発動に対して「意見を具申することができる。」、これらの点を総合してみて、先ほど申しましたような総合調整が、いわゆる悪い意味の統制強化に移行していくのではないか、こういう疑問を持っているわけです。これらにつきまして私は正力国務大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
  57. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまお話のありましたように、これは文句から見るといかにも統制でもするかのごとく見えるのです。しかし、これは総合調整でありまして統制でありませんから、この文字通り調整だけでありまして、決して統制するようなことはいたしません。
  58. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこでもう一つ、これは関連したことですが、予算に関するいろいろな総合調整等をされるわけですが、経済企画庁の設置法の第三条の二号に、「二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策の企画立案」、三号に「経済に関する基本的な政策の総合調整」ということがうたわれております。経済企画庁の設置法が審議されますときに、長官が見えられまして、予算その他についての総合調整をすると言われておりますが、そこで私がお伺いしたいのは、その経済企画庁の予算その他に対する総合調整と、それから科学技術庁の総合調整というものがどういう関係になってくるかという点。
  59. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 経済企画庁の総合調整の問題は、申し上げるまでもなく経済、主として予算の総合調整をはかるので、たとえて申しますならば、国土総合開発に関しまして各省間の開発に関する調整をどうとるかというような問題は、現に予算の上にも盛られて、これは実施の面に移されつつある問題であります。ただ、この科学技術庁におきまする関係各省間の総育調整は、御承知通り、今日各省庁間に分属せられております付置機関、その内容をよく調査いたしまして、同じ問題に対して重復をしておるような場合があるとか、あるいは予算のとり方においてむだなところがある、そういう点がございましたならば、これに対して総合調整をはかって、この科学技術庁設置の目的であります科学技術の振興をはかり、国民経済の発展に寄与するためにそういうふうな適切な総合調整をはかりたい、こういうふうに考えております。もちろんこの科学技術の総合調整というものは、究極において経済の問題につながっておるのでございまするから、私たちの考えといたしましては、経済企画庁の経済計画と科学技術庁の科学技術振興対策というものは、あくまでも車の両輪のごとく、両々相待ってその実効をあげていくものである、そういうふうに考えておる次第であります。
  60. 野本品吉

    ○野本品吉君 それからこれも世間でいろいろと心配されておることですが、原子力委員長である国務大臣科学技術庁の長官になるとしますと、予算的にも、その運営の面においても、重点が原子力関係のものに置かれて、そのほかのものが添えものになるような心配があるということを言われておりますが、これについて大臣はどういうふうに考えておられますか。
  61. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 実は科学技術庁の中に原子力局が入っておりますが、つまり原子力というものは非常に最新式の科学技術でありますから、そこでこの中に入れたのでありまして、私は原子力委員会委員長をしておりますが、科学技術庁の長官としましては、みな同一に扱うべきものと心得ておりますし、疑いのないように極力注意いたします。
  62. 野本品吉

    ○野本品吉君 日本学術会議法では、「科学に関する研究、試験等の助成、その他科学の振興を図るために政府の支出する交付金、補助金等の予算及びその配分」、それから「政府所管の研究所、試験所及び委託研究費等に関する予算編成の方針」、さらに、「特に専門科学者の検討を要する重要施策」というようなことにつきまして政府が諮問する、こういうことになっておるわけですが、そこで科学技術庁の予算、試験研究等に対するいろいろな施策が独走しますと、日本学術会議の規定が室文化するといいますか、稀薄になってくるという心配がやはりあるわけです。このことにつきましては、先般学者の参考人の出席を求めまして、いろいろと学術会議の会長の茅さん等の意見も聞いたわけですが、私どもも最高の学者の集まっております日本学術会議というものが、やはり科学技術振興の上に最高度に活用されることが希望されるわけですが、運営の点におきまして、大臣はこれをどういうふうにお考えになっておりますか。
  63. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 科学技術庁の長官として、また同時に科学技術行政協議会の副会長をいたしておりますので、私は双方よく調整をとりまして、必ず一方に偏することのないように努力いたします。
  64. 野本品吉

    ○野本品吉君 さらに第十六条をやはり問題にされる方があるわけです。科学技術庁附属機関として、航空技術研究所それから金属材料技術研究所というものを置かれる、さらに原子力局というものがこの中に入ってくる、こういうふうになってくると、世間では、これは防衛庁の姉妹機関か防衛庁の附属機関になるじゃないか、そういうふうに自然になっていくじゃないかということを御心配されている向きもあるわけです。そのことについて大臣のお考えは。
  65. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 防衛庁は防衛庁長官がありまするし、また私の方は科学技術庁の長官でありますから、決して防衛庁の長官の下にいくわけに参りませんから、どこまでもそれを尊重してやります。これは私の方の下になるのですから、防衛庁の下になるようなことはいたしません。
  66. 野本品吉

    ○野本品吉君 さらにその点で、これもやはり科学技術の最高峰を行こうとしておる。ある部分においては、防衛庁に技術研究所がありまして、いろいろな研究をされておる、これはやはり防衛庁独自の研究だと思いますが、それとこれとはどういう関係になって参りますか。
  67. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 防衛庁のことは、要するに防衛に関する技術であります。これは全く平和に関する技術でありますから、その区別ははっきりしております。一方は兵器であります。一方は平和利用の技術でありますから。
  68. 千葉信

    千葉信君 関連して。どうも大臣の御答弁を聞いておると随所に政治的な答弁が多過ぎる。これは聞かんとするところに率直にお答えになっておらぬところがずいぶんある。その中に今の御答弁も入る。大臣は防衛庁の技術研究所の関係、具体的にはその問題ですが、その関係と、それからこの法案で各関係行政機関の科学技術に関する試験、研究、この問題については一方は兵器だから、一方はあくまでも平和利用の目的のもとに行われるのだから、この二つははっきり違うという答弁をされましたが、その答弁で大臣、間違いないということになりますと、今までの衆議院における答弁と大きな食い違いを来たすことになりますが、その点どうですか。あなた間違わないようにちゃんと答弁しなければだめですよ。
  69. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 私は技術的のことをあまり詳しく知らぬので、しろうとでなるほど答弁が政治的になったかもしれまぜぬが、技術的なことは政務次官が詳しいですから、政務次官から……。
  70. 千葉信

    千葉信君 私は政治的な答弁になってもいいと思うのです。いいと思うけれども、少くとも本旨をとり違えちゃいかぬ、大事な点をとり違えちゃいかぬと思うのです。今までの政府答弁によりますと、はっきり行政管理庁の方でも、それから提案者としての齋藤政務次官答弁におきましても、将来はこれに包含したい、包含する方針だという答弁なんです。今の大臣の答弁からいいますと、これはもう違ったものだから関係ないのだと、これじゃ……、その細かい、もしくは技術的なことは大臣が知らぬというのならそれでいいけれども、この点は大事な問題で、両方別々のものだということにはならないのですよ。今の答弁からいうと、それは大臣、係に答弁させるからと言って逃げるような問題じゃないと思うのです。はっきりしなければ……、もう一回大臣の御答弁を一つ。
  71. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 今のお答えにちょっと補足いたしておきますが、防衛庁の方のでも、科学技術に関することはこの科学技術庁の方で調整いたします。
  72. 千葉信

    千葉信君 そういうことでしょう。ですからちゃんと防衛庁の方にも技術研究所というものが防衛庁附属機関組織規程の中に規定されておる。その任務の内容もはっきりしておる。ところがこの試験研究の中には当然今度の法案によって科学技術庁の中に包含せらるべき性質を持っているものがたくさんあるのです。これに対して従来齋藤政務次官は、究極において研究所、試験所というものも適当な形で傘下におさめる、これは防衛庁の関係です、そう言っておる。それから宇都宮政務次官は同じその問題について試験所の中に純粋の研究的な設備とか人員の要ることも事実だ、そういうものは科学技術庁の所管のもとの研究機関になることを期待する、こういう答弁をされておる。そうすると今のような大臣の答弁は、もっと明確にならなければ、一体将来は大臣はどちらへ持っていくのか、それからこの点もっと正確に、あれはわれわれの方に整理統合すべきものだというはっきりした答弁をおやりなさい。どうですか。
  73. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 私から御答弁申し上げますが、この科学技術庁科学技術庁設置法に規定してございます通り、あくまでも「科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、」という原則を打ち立てまして日本における全部の自然科学の実体を把握して参りたい、かように考えておるのであります。従いまして、ただいま大臣の御答弁になりました防衛庁の要求するいろいろな科学技術の面に関しましても、当然純粋な科学技術の立場としてはこれは触れていくと思うのです。ただしあくまでも科学技術庁の目標といたすところは、国民経済に寄与するということでございますから、相なるべくは国民経済に寄与する重点的な科学技術の振興を第一に取り上げていきたい、かように考えております。
  74. 千葉信

    千葉信君 大体答弁了承できるのですが、それだけでは私は答弁にならないと思う。国民経済の自立ということを言われておりますが全くその通りです。しかしその国民経済の自立発展という問題も、国民の生活を守るという条件、経済の発展を期待するという条件、そういう問題は、結局は根本においてあなた方が言っておられる国の安危に関する問題、国民の生活がくずれ去らないようにするという問題、そういう点を考えると、やはり大きな意味では、国民経済の発展という問題も、防衛庁の中の国防に関するものも、国民の生活を守るその科学技術の目的とやはり合致してくるところがたくさんあると思うのです。そういう意味に今の御答弁了解していいのですか。
  75. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 「国民経済の発展に寄与する」ということは、非常に広範囲な問題でございまして、ただいま御指摘のような国防自衛のために必要であるという建前から防衛庁は防衛庁としていろいろな研究をやるだろうと、そういう科学技術に関しましては一応科学技術庁においてこれを検討していくということには私は間違いないと思います。
  76. 千葉信

    千葉信君 そうすると、一般的な科学技術の研究ということで合致する点が出てくる、こういうことですね。
  77. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) この科学技術の研究は、これは単に防衛目的と限って科学技術の研究をやるという局限された問題にしぼり上げるということはなかなかむずかしいと思うのです。それで、私から申し上げるのはいかがかと存じますが、一体科学技術の水準をどんどん高めて参りますというと、その科学技術というものは一切の問題に触れていくという場合が多いので、特に科学技術庁といたしましては、これが防御のためであるから力を入れるとかそういうことでなく、科学技術全体の水準を上げていくという建前に立っては一切が包含されるのじゃないか、さように考えております。
  78. 千葉信

    千葉信君 ですから、結論としてこの法案によるところの「関係行政機関の」ということは、ひとり防衛庁を除外するというような考えは持っておらない、こういうことですね。
  79. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) その通りであります。
  80. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は大体以上の幾つかの点が世間で批判され、あるいは問題になっている点でありますから、これらの世間の批判、疑いに対しましてあやまちのないように十分技術庁の仕事を進めて行かれる上において御注意を願いたいという希望を持っております。  それから最後にお伺いしたいのですが、衆議院で付帯決議をされております「政府は、科学技術振興の重要性と緊急性に鑑み、中央地方を通じて科学技術に関する試験研究機関、特許行政機構等に再検討を加え、昭和三十二年度において科学技術庁を更に整備拡充し、科学技術の振興を強力に推進すべきである。」この付帯決議を通しまして、科学技術の振興というものがいかに大きな問題として考えられておるかということもわかりますが、この向うに何やらあるような気がしてならないわけです。この「三十二年度において科学技術庁を更に整備拡充し、」云々というこの付帯決議趣旨を、政府はどういうふうに受け、取られておりますか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  81. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 科学技術庁整備拡充といいまするのは、つまり今度の科学技術庁に入るのは各省で科学技術に関するものはすべてひっくるめて入れることになっております。これはいろいろな都合がありましてどうしても科学技術庁に一つ入れてしまわなきゃならないということを考えております。今一つは科学技術者は従来同じ文官でありながら、幾らか待遇、地位等において劣っているところがあるのでありまして、これを一つどうしても普通にしなくちゃならないという待遇の面と、それから組織の面と両方にこれはわたっておるのであります。
  82. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいまの御説明のほかに、午前中他の委員の方からも御質問があったのですが、省への移行といいますか、そういうようなことも考えておられるのですか。
  83. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先の組織の問題といいますのは、つまり省を考えておるわけであります。急にすぐいくかどうかわかりませんが、できるだけ省の方にもっていくように努力したいと、こういうように考えておるのであります。
  84. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣に二、三の点についてお尋ねしたいと思いますが、今度できる科学技術庁を担当される国務大臣でもありまするし、また原子力委員会委員長でもあられる国務大臣でありまするから、ある意味におきましては科学技術行政の最高の地位にあるわけであります。ただ科学と申しましても、今論議されている科学は、主として自然科学の部門になっておるわけでありまするが、科学技術の総合的な発展のためには、同時に人文科学の面も尊重し、これが発展を期さなければならぬ、こう考えるわけであります。まさに自然科学と人文科学の両者が総合統一された発展を確立することによって、日本のいわゆる文化水準の向上、あるいは国民生活の引き上げ、大きな意味における経済の交流、こういう問題も期待できると考えるわけです。それでお尋ねしたいことは、単に自然科学の科学行政の最高責任者であるのみならず、同時にまた半面の人文科学についても大臣としては一つの構想を持っておられると考えまするが、この点に関しまして、大臣はどういうように今後これが発展のために施策をなすべきかという点について承わりたいと思います。
  85. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほども申し上げました通りに、今まで日本の官庁組織というものは技術者に対する待避が普通よりも劣っている点があったと思いますから、まずこの点も考えなくちゃならぬと思います。それから従って基礎的研究をやるにしても、やはりそれに対る組織、待遇という点を考えなきゃいかぬと思いますので、今後ますます科学技術の基礎、応用等の研究はもちろんのことでありますが、それについてはやはりその本人の待遇、組織というものを収めなきゃならない。なにしろ日本の経済を救うのについては科学技術の力によらなければならぬ。今までは科学技術の力によって経済あるいは文明の発展を考えるという考えが少かったと思います。今後はどうしても日本は科学技術の力によらなければならぬ。それにはその人を働けるようにしなければならぬ。組織を作らなければならぬ。それからまた待遇の点を考えなければならぬ、こう思っておるわけであります。
  86. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) ちょっと私から補足的に御説明を申し上げます。科学技術の振興に関しましては、ただいま自然科学を主として大臣から御答弁申し上げたのでありますが、御指摘の人文科学と自然科学の間の調整は、これは本質的に純然たる区別ができるかどうかということは、私もよくわかりませんが、自然科学と人文科学と相関連する問題につきましては、これは当然科学整術庁において取り上げてこの研究を推進していかなければならぬものだと思っております。その点に関しましては、衆議院におきましてこの法案の修正があったのでございますが、特に第七条の五の「科学技術に関し、日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申又は勧告に関すること。」というこの「科学技術に関し」というのが削除になったのであります。これは学術会議は単に自然科学だけを取り扱うのではなくして、人文科学をも取り扱うのであるから、特に日本学術会議の答申、勧告等を尊重して、自然科学と人文科学との関連の密なるものは科学技術庁においてし尊重してこれを研究していかなければならぬという御趣旨であったとので、科学技術庁が設置せられましたならば、その方向に向って努力をいたして参りたい、さように考えます。
  87. 田畑金光

    ○田畑金光君 ただいまの御説明による第七条の五号の衆議院における削除の経緯についてはよく了解いたしますが、ただ私のお尋ねしておりますることは、確かにお話のように、学術会議は単に自然科学のみならず、人文科学についても諮問に応じ、あるいは答申または勧告をなすことになっておると考えまするが、お話の中にありますように、科学技術庁としても人文科学について自然科学と密接な関係のある部門については当然所管をする、こういう御答弁でありまするが、その密接な関係にある部門というのは、一体どういうふうな部門にわたるのか、自然科学と人文科学が密接な関係があって、しかも科学技術庁が所管するような面というのはどういう面をさすのか。
  88. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 専門的にわたりますから政府委員から一つ御答弁を……。
  89. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) おそらく科学技術庁におきまして自然科学と人文科学の両方にまたがる問題を扱うことになるのでございますが、その問題といたしましては、たとえば研究機関における公務員の制度をいかにすべきか、いろいろ研究者と申しますと、研究所長になれなくても非常に優秀な方がありますので、そういった方の待遇をいかにすべきかという問題がたとえばあるといたしますと、必ずしも自然科学の研究者のみでなく、人文科学の研究者においても同じ問題でございます。そういったものは科学技術庁において一律にやはり研究者の制度を改善するという意味において措置すべきが必要ではないかと思うのでございます。そのほかいろいろございますと思いますが、たとえば研究所におきまする、これは民間の研究機関でございますが、それに対する租税の問題もございます。あるいは海外の文献をいかに容易に入手するかといったような問題、あるいはユネスコ・クーポンというような制度で外国の文献を容易に入手できるという問題もございます。そういった問題を論議いたしますのは、自然科学のみならずやはり人文科学も一緒に合せたものを論議するのが至当ではないかと思うのであります。  それからなおそういった制度的な問題以外に、たとえば一つの産業的な技術を日本においていかに発展させるかという問題につきましては、やはり経済の面も合せまして、それを考える必要がありますので、そういった面はやはり科学技術庁に科学技術審議会というものもできますわけでございますので、そういったところにそういう経済の面の方々にも入っていただいて、一緒にそれを論議していただいて、そういうところでその振興をはかっていくというのではないかと思います。
  90. 田畑金光

    ○田畑金光君 どうも大臣並びに次官以下の説明を聞きますると、待遇改善をすることがすなわち科学技術のみならず人文科学の振興においても大事な基礎要件である、こういうようなお話であります。もっともなことだと一応は考えまするが、ただ単に待遇をよくするとか、あるいは研究機関の課税を軽減するとか、そういうようなことのみによって私の問わんとする人文科学の面における政府の尊重される態度というものは出てこないと見受けるわけであります。科学技術の振興ということをお話しになっておりまするが、たとえば科学技術の研究費というものはわが国においてはアメリカの十分の一にもすぎない、こういうことが言われております。また文部省における科学技術の科学研究費というものは戦前の水準にもまだ復していない、こういうようになっておるわけであります。ことにわれわれとして遺憾にたえないのは、一人の自衛隊員を維持するためにでも年間百万の費用を必要とするにもかかわらず、国立研究所における研究員等の年間予算というものはその半額にも満たないと言われておるわけであります。こういうことを見ましたとき、待遇を改善するとかというような話をなさっておりまするが、そういうような今の国家予算における科学研究に使われている費用、あるいは各種の試験研究所に向けられている予算、こういうものを見ましたとき、非常にこれは軽視されておる具体的な証拠であるとわれわれは考えまするが、大臣はこの点どういうように考えておられるか。ことに私今お尋ねいたしましたのは、防衛関係の予算とを比較検討いたしましたときに、いかにこの科学技術というものが名目は尊重されるがごとく言われておるけれども、実質は非常に軽んじられておる。この点についてどうお考えになっておられるか。
  91. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまお話のあります通りに、待遇改善だけではいけないと思いますので、一番遺憾に思っておるのは研究費の足らぬことであります。これはもう外国に比べたら非常に研究費が少い。従ってりっぱに知識がありながら研究結果が悪くなってくるのではないか、この点について考えておりますが、ただ思う通りにいかぬことは残念に思っております。どうしても研究費は、非常に必要だと思っております。
  92. 田畑金光

    ○田畑金光君 研究費は必要であるということ、あるいはふやそうと考えておるということはよくわかりまするが、たとえば本年度のこの科学技術庁関係の予算を見ましても、非常に少いのです。この間の公述人の御意見等を聞いてみましても、先般の科学技術行政協議会において答申をしたが、ほとんどそれが尊重されていない、ことに予算の面においては尊重されていない、こういうことを言われているわけであります。この点に関しまして大臣は科学技術行政の最高責任者であるとしますならば、もう少し一つ科学技術の名に値する国家予算の逆用等も努力をしてもらわなければならぬと考えておるわけですが、この点どうでしょうか。
  93. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 仰せの通り非常に予算が少いのでありますが、何しろ今度はただ各省から科学技術の人を集めたという程度のものでありまして、従ってまだ省なんというようなことを考えるにはまことに恥かしい次第でありますが、これはまあ国家財政上少いのは残念に思っておりますから、今後大いに努力してもう少し予算をとりまして、そうして少くとも研究費はふやさなくちゃならぬ。また私どもの原子力の方でも、海外にもう少し人を出さなければならぬ。その人も十分出せないので、そういう次第でまことに残念に思っております。
  94. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほどの私の質問に戻りますけれども、これは大臣から特に承わりたいと思うのですが、やはりこれは自然科学以外の部門においても、私は人文科学と、こう申しましたが、こういう面において、あるいは法律学においても、あるいはまた、歴史学においても、哲学においても、技術の面においても、こういう一般の入文科学の面においても、私は日本はまだ立ちおくれておる、こう考えておるわけです。従って広い意味の科学の振興をはかるためには、政府は単に自然科学の面のみならず、こういう人文科の面にも重点を置かれて推進をはかるべきだと考えるわけです。こういう点についても、もちろんこれは文部行政の所管になるかもしれませんが、国務大臣として、しかも一番大事な科学技術行政の最高責任者として内閣に列せられる正力国務大は臣、当然これについて御所見を、識見を持っておられると私は考えるのですが、その点について一つどういうお考えを持っておられるか、その構想を承わっておきたいと思います。
  95. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 構想と言われましても、はなはだしろうとでありましてよくわかりませんが、ただ先ほど申し上げた通りに、日本は科学技術を今まで軽視しておった傾きがあります。従ってそれに対する研究費はおろか、外国に研究にいく費用だってない。それから待遇だって悪いというような状態であります。だからこれをどうしても直したい。それについては、まずもう少しこの科学技術の必要だということを周知せしめまして、そうして予算をもう少しふやしたい、こう思っておるわけであります。まだ科学技術庁のできる際でありますからして、なお十分研究をいたしまして、御趣意に沿うようにしたいと思っております。
  96. 田畑金光

    ○田畑金光君 どうも答弁が食い違って、向うの方の答弁をなさっておるので、さっぱりどうも要領を得ないわけでしすが……。  もう二つお尋ねしまするが、科学技術の問題でも、やはり基礎科学の充実をはからなければならぬと考えるわけです。基礎科学の上に初めて応用面における発達というものも期待できると考えるわけであります。ただ、しかしいずれにいたしましても自然科学のみでなく、人文科学においても科学と称するものにおいては、少くとも科学する環境というものが大事だと考えるわけです。すなわち研究の自由とか、思想の自由とか、こういうような問題が私は科学全体の根本的な母体になるものと考えまするが、この点について大臣はいかようにお考えになっておられるか。
  97. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまのことにつきましては、なお文部当局ともよく協力してやりたいと思っております。何しろ先ほど繰り返したように、今まで科学の方面に……科学が軽視されておったのでありますが、この点は一そう一つ振興するように努力いたします。
  98. 田畑金光

    ○田畑金光君 私の質問することは別に文部当局と相談なさらなくても十分答弁のいく簡単な問題だと思うのです。私の質問していることは、思想の自由とか研究の自由、学問の自由ということが科学する心の基盤になるものであると私は考えるわけですが、こういうもろもろの学問的な自由というものを大臣はどう考えておられるか、こういうことをお尋ねしているわけなんです。
  99. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 学問の自由についてはもちろん私ども関係することではございません。私がさっき文部当局と協力してやると申したのは、どうしても技術者を養成しなくちゃならぬ。日本には技術者が少い。これが私は科学技術の振興に非常に必要だと、こう思っておるわけなんです。
  100. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほどの野本委員質問の中に触れられておりましたが、この科学技術の庁主としてと申しまするか、非常に重点を置かれておる点は、航空技術の問題と原子力の問題のように見受けるわけであります。もちろん原子力の研究は原子力基本法にうたわれているがごとく、平和利用のためであるということもわれわれは承知しているわけであります。また航空技術の発達につきましても、もちろんこれは平和的な航空技術の発達を意図されておることも理解できるのであります。しかし事柄の性質上、あるいは今日の各国の動きを見ましたにきに、原子力の発達も、あるいは航空技術の発煙も、戦争と平和というものは紙一重の状況にあるわけであります。でありまするから、科学技術庁の破り上げられている技術の部門というものは、防衛庁で取り扱っておる技術の部門とこれはほとんど平和か戦争かという紙一重の問題だと、かようにわれわれは考えているわけです。  このように見て参りました場合に、科学技術庁の設立というものが、ある意味においては思想、学問の統制という面を危険視されておると同時に、また他面においてはこれが戦争科学というか、戦争への一つの危険をもはらんでおる、こういうこともいろいろ憂えられておる点だと考えておるわけであります。でありますので、私はこの点に関しまして、もう少しはっきりとした大臣の見解をこの際承わっておきたいと思います。見解と申しましても、具体的に、先ほどの大臣の答弁によりますと、防衛庁の取り扱っている技術の問題と、科学技術庁で取り扱っている技術の問題とは全然別個であると、こういうようなお話でありましたが、だんだん追及されて参りまするというと、政務次官答弁になりましたように、関係行政機関の中には防衛庁も含まれる、従って防衛庁で取り扱っておる科学技術の面もこの中に入っておるのだと、こういう御答弁であるわけであります。この点に関しまして、もう一度一つ大臣のはっきりとした見解を承わっておきたいと思います。
  101. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほどからたびたび申し上げましように、われわれは平和を主とした技術の研究でありますがおのずから防衛庁の研究になるかもしれません、しかしどこどこまでも平和を主とした研究であります。ただ先ほど申しましたように、何としても日本では一番足りないのは技術者です。技術員をもっと養成しなければならぬと私は痛切に感じております。それからもう一つ、それについてに技術者に対する持逃の点もありますし、この点も考えなくちゃならぬ。そうして一面基礎研究ということのやり方も足りない。これを一つ奨励したい、こう思うておるわけであります。しかしさっき次官が申した通りに、なるほど兵器に関することもありましょうけれども、これはさっきお話の通り紙一軍かもしれませんけれども、われわれの立場としては、どこどこまでもつまり平和的の科学研究ということを主として考えております。
  102. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣の御答弁はちょっとあいまいでなかなかこれはわからないわけですがね。非常にどうもつかみがたくて、質問してもなかなか手ごたえがないのでね。まあこの点また別の機会に譲ることにして、政務次官にちょっと私は二、三お尋ねしてみたいと思うのですが、科学審議官、あるいは科学調査官、それから科学研究官、こういうものがそれぞれ置かれるわけであります。もちろんそれぞれの条文によってそれぞれの所掌事務が明らかになされておりまするが、もう少し平たく、これはどういう任務を持っているのか、たとえば技術者が当るのか、あるいは技術者でない者がこの職につくのか、またどういうような事柄を担当してやっていくのか、この点説明願いたいと思います。
  103. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 審議官、調査官、研究官は原則といたしまして、これは技術者出身をもって充当することにいたしております。審議官は職制から申しますと、十五級の、官庁職制といたしましては最高級の級でございまして、これに当っていただく方は、科学技術界の自他ともに許す、何と申しますか、エキスパートをお願いいたしまして、まず第一に行わなければなりませぬことは、閣議の要綱にもありました通り、中央、地方を通じまして実験所、研究所の実態を再検討して、そうして科学技術行政のあり方について的確な構想を練ってもらう。それによって将来の科学技術をやっていきたい、かような構想であるのであります。それから調査官は、各局にそれぞれ適切な職能によりましてこれを配属いたししまして、これは大体十三級を前後として考えているのでございますが、局長と課長の間に位する地位でございますが、部門別にその局の所掌する仕事に対しての調査をし、そうしてその行政の推進に当るという構想でございます。それから研究官は科学技術庁に付置せられます研究所にこれを配属いたしまして、これも十三級、十四級の純粋なる技術出の人を充てまして、その研究所、実験所のやって参りまする専門の部門に対してあやまちのないように監督的な、または推進的な立場で当ってもらいたい、かような構想で当っておるわけでございます。
  104. 田畑金光

    ○田畑金光君 次にお伺いすることは、顧問、参事というものを置くことができるとなっておりますが、顧問、参与というのはどういう仕事を、あるいはどんなことを諮問されるのか、この点について一つ御説明願います。
  105. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) この顧問はなるべく少数の方にお願いして、特に審議庁とかあるいはそういう職におつきになれない地位にあられる方が、さらに大局的にというか、日本の科学技術をいかにすべきかということに対して大臣が相談をするに足る方に一つなっていただきたい、さように考えておるのであります。それから参与の方も、これは万全を期するために、特に科学技術庁のあり方に対して重要な問題に対しましては御相談申し上げたい。これも各界の専門的な方にお願いをいたしたい、さように考えております。
  106. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、今説明によりますると、顧問、参与というものは大臣の最高の相談相手、あるいはこれに準ずる相談相手のようですが、この相談相手について何か、もうこの法律も近く通りまするが、腹案を持っておられましょうか。
  107. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) まだ腹案という具体的のものはありませんが、ただ先ほども次官から説明がありましたが、顧問にはその道のほんとうのエキスパートの人をこれに任命したいと思っております。具体的にだれかということまでは考えておりません。参与についてもそうです。大体顧問は人数も三人くらいにしたいとは思っております。あとはまだ……。
  108. 田畑金光

    ○田畑金光君 大体大臣の腹案を承わりまして安心いたしましたが、先ほど大臣は待避の改善ということを非常に強調されたようです。これは私も非常に大事なことだと考えるわけですが、具体的には私まだここで指摘するまで資料を集めておりませんが、とにかく行政機関の中に科学技術者というか、技術官の占める地位というものが一般的に低いと言われておるわけですが、おそらく各省庁を通じて局長クラスで技術系統の人がその地位にある人は珍しいと一般に言われておりまするが、最近はある程度これは是正されたとはいっても、なおそういう傾向は強いわけであります。大臣のお話によりますると、待避の改革、地位を高めるということは、こういう面等について思い切った措置を今後やって行こうとする腹のように承わったわけであります。幸いに科学技術庁においては科学審議官等は純然たる技術系統の人方がお当りになるように先ほどの説明もあったわけですね。しかし次長ですか、あるいは局長とか次官、こういうようなクラス等については科学技術庁である限り、大臣の考え方がそのように、科学技術者をほんとうに尊重しょうというようなことでありますならば、当然技術系統の人方が出て来るものと、こう考えるのですが、その点はどうでしょうか。
  109. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) その通りに考えております、お話の通りに…。
  110. 田畑金光

    ○田畑金光君 その通り考えておられるというのは、この局長等は技術系統の人方がこれに当る、こういうことなんですか。
  111. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) その通りです。今まで、それが先ほど申す通り、文科出の人が非常にどこの役所でも有利な地位ばかり占めておりますから、それで今度は一つ技術者をできるだけこういう地位に特って行きたい、こう思っております。
  112. 田畑金光

    ○田畑金光君 間違いないですか……。
  113. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つお伺いしておきます。先ほど大臣は、文部省とよく打ち合せて、というお言葉がありました。それから科学技術者の養成ということをしきりに言われております。私は最後にお伺いしたいと思っておったのですが、それはやはり科学技術庁がほんとうに設置の目的に沿うような実績をおさめるには相当な期間を要すると思う。そこでこれはすべての問題がそうかもしれませんが、特に科学教育の問題になって来ると思います。小学校から中学、高等学校、一切を通じて科学教育の振興ということが科学技術に対する全国民の深い関心を高めるということになりますので、このことは科学技術庁の設置法ではむろんはっきり出ておりませんけれども、根本的な考え方としてこの点を特にお考え願う必要があると私は思っております。現在御承知通りに科学教育の面におきましては理科教育振興法というのがありまして、スズメの涙ほどの交付金のようなものを出しまして理科教育の振興をはかっておるわけであります。従って私はせっかくあります理科教育の振興法を名実ともにかね備えた振興法であらせるように努力する、それによって科学教育を全教育の分野において非常に重要視し、高めていくということが結局は技術庁設置の最終的な目的を進ずる上において非常に重大な問題だと思います。この点につきまして、文部省とよく相談して、という先ほどのお言葉がございましたが、科学技術振興の根本問題としての科学教育の問題につきまして、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  114. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 今お話の通りです。要するに私は今まで日本においては科学を研究する学生が非常に少い。これはどうしてもふやさなければならぬ。しかし事文部省に関することでありますから、私どもとしては意見を言うだけですから、どうしても科学振興をはかるについては科学技術を研究する学生をもっとふやさなければいかぬ。これが僕はほんとうに必要だと思っておりますから、これをしてこそ初めて日本の科学技術の進歩がはかれると思っております。この点は仰せの通りできるだけ力をいたします。ただし半は文部省所管でありますから私どもは意見を述べる程度であることは残念です。
  115. 野本品吉

    ○野本品吉君 その文部省が非常にまあ今の役所のうちで一番弱体な役所だと私は思っております。従ってほんとうに技術庁設置の有終の美をおさめるためには、どうしても大臣のような有力な方が文部省を鞭撻し、文部省を指導して科学教育そのものの振興のために、技術庁の重大な仕事として文部省に協力をお願いをしたいと思います。
  116. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 全くお話の通りであります。これはもうほんとうを言うと、文部省が今まで少し弱過ぎたと思うくらいです。あるいはもう少し力を入れてもらい、もう何としても科学の学生をふやすことが僕は一番いいことだと思っております。
  117. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ほかに何かありますか。
  118. 木下源吾

    ○木下源吾君 お尋ねしますが、今度の科学技術庁を設置するという点ですが、提案理由説明を見ますと、旧民経済の自立発展、生活水準の向上といろいろ書いておりますが、これはほんとうは防衛産業発展のためにこれは作られるのじゃないですか。
  119. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) いや、決して防衛産業のためにやるわけではありませんのです。要するにやはり平和産業のためが主であります。
  120. 木下源吾

    ○木下源吾君 これを見ますと、航空、金属なんか付属研究所を作る、これはだれが考えて見ても飛行機だとか、戦争に関係するものの研究が一番先のようだが、この点はどうですか。
  121. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 航空産業といえば平和産業には非常に必要なものでありまして、どうしても平和の方を主としてやっておるのであります。
  122. 木下源吾

    ○木下源吾君 ところがその平和に必要な航空は、日本でまだほかのものと比較してその技術云々に至るまでの何にきておらぬのではないですか。ほかのいろいろな産業とか、ほかの技術の方面と比較してどうですか。
  123. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ほかの…私はむしろ航空がおくれておりはせぬかと思っておりますので、とにかく時間を……スピードをたっとぶ時期に文明の利器としては航空は大いに奨励しなければならないと思うのであります。
  124. 木下源吾

    ○木下源吾君 その通りおくれておるのです。おくれておるのですから技術とか何とかというよりも、もっとその独自に日本で航空機のことをまかなう、自分でまかなう、そういうようなことはほかの方でやることがまず先決ではありませんか。
  125. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 私はそうも思っておりません。やはり航空は必要だと思っております。
  126. 木下源吾

    ○木下源吾君 必要なことはあなたのおっしゃる通りです。だけれどいろいろアメリカと比べたら、そういうことばかりやって、制限もたくさんある、そういうものを撤廃して、まずやれるという態勢を作るということが必要じゃないか。
  127. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 御意見としては聞いておきます……。
  128. 木下源吾

    ○木下源吾君 意見としてではなくて、実際としてどうですか。そういうことはやられないで、こういうことばかりをここに持ち出してくるから私は防衛産業に役立てるためではないか、こういうふうに聞いておるのです。
  129. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 決して防衛産業のためだけには考えておりません。
  130. 木下源吾

    ○木下源吾君 今承わっているといろいろ技術の向上、学生の技術をもう少しみな教育しなければいかぬ、その話も聞いておるが、現に今まで技術を持っているのは全部失業している、そうしてちまたにはんらんしておる、こういうものに対する政策はより大切でしょう、ところがそういう政策は行われないで、今これをやろうというこの趣旨は私は何かはかのところに考えがあるのじゃないかと大体見ておる、そう疑う。
  131. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) それは航空技術者が……ほかにおいても失業者がずいぶんおることは、政治の貧困さは残念に思っております。
  132. 木下源吾

    ○木下源吾君 残念に思っているならばその方から直してかかるのがほんとうじゃないか。
  133. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 大いにその点政府では考えておるのであります。
  134. 木下源吾

    ○木下源吾君 考えていることをなぜやらないでこういうことをやるのです。これは、正力さんあなたはすわっていて下さい、お互いに年寄りだから……。私がお聞きするのはむちゃなことじゃないんですよ。科学技術の振興はそれは私は大いにしていかなければならぬのだけれども、今までやってきたその人たちは、身につけた者は、せっかく優秀な技術を持っている人たちがニコヨンだとか何とかみんな忘れていってしまう、全部そういうものをまず一つ生かしていくことが先決問題じゃないか、特にそれをやらないで、こういうものを出すから変だなと思っておる。従って政府がそういう技術を統制したければしたいでよろしいから、まず今民間ちまたにたくさんいるああいうものから全部救い上げてやるということをしなければいかぬ。こういうふうに考えますが、正力さんどうですか。
  135. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) それもそうですけれども、実際失業者というのはその面ばかりじゃないんですから、これはもう少し政府としても大いに考えなければならぬ点が多々あると思います。おっしゃる点もよくわかります。
  136. 木下源吾

    ○木下源吾君 それで平和産業とさっき言われましたがね、平和産業をやる場合にはもっと僕はほかの考えがあってしかるべきだと思う。今まで科学技術の振興に対して政府は一体どういうことをおやりになったか、それを伺います。
  137. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 今まで私も詳しいことは知りませんが、あまり大したことをやっておったとは思っておりません。
  138. 木下源吾

    ○木下源吾君 それを詳しく知っておる人だれかおりませんか。
  139. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 従来政府の方で科学技術振興のために費しておりました予算といたしますと、大体三十年度におきまして百三十三億の金になっておるわけでございます。それでこれは一般会計の予算の大体一・三%に当っておるわけでございますが、その内容をちょっと申し上げますと、官庁の直轄研究機関の費用、そういうものが大きいようでございます。それから、あるいは大学の付置研究所の予算、あるいは研究、補助金、委託費そういったもの、それから額は割合に少いのでございますが、国際学術会議に日本の学者を派遣するというようなこと、あるいは各省の研究者、技術者を海外に特派せしめておるというようなこと、あるいは研究機械として非常に優秀なものを国内に入れるというようなこと等をやっておったわけでございます。それでこれは全予算から見ますとただいま申し上げましたように、一・三%に当るわけでございますが、絶対額におきましては……アメリカは御承知のように予算も膨大でありますし、金も多いので日本とは比較にならないのでありますが、全予算に対してどのくらいの比率で各国が出しておるかということを御参考までに申し上げますと、大体アメリカでは二・五から三%ぐらいの程度でございますが、日本よりまだ率がよろしいわけでございます。イギリスが大体二%程度、フランスが一・五%程度でございます。日本はそれから比べますとまだ幾分率が低いということは言えるのでございますが、しかしこの比率も漸次増加しつつあるということだけはお話し申し上げられると思います。約五年くらい前の状態でございますと、一コンマまでいっておりませんで〇・八くらいの程度でございまして、漸次上りつつあるということは申し上げられると思います。
  140. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のような百三十数億の国家予算を使っておる、これを見ると今度の何とは、どういう関係がありますか。科学技術振興を将来もやって行くということになると……。
  141. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) ただいま御指摘の、政府の科学技術の振興に対しましては従来も相当の予算をもってこの実行をやっておったわけであります。ただ諸外国に比しまして日本の科学技術の水準が低い。その結果日本の商品は外国貿易の面においても価格の面、品質の面においても劣るところがある、いろいろな批判があるんです。それで科学技術庁といたしましては日本の科学技術行政を強化いたしまして、第一の目的といたしましては、要綱にも書いてございます通り、中央、地方の研究所、実験所の再検討をいたしまして、そうして日本の科学技術の現在のあり方というものをその実態を把握いたしまして、そうして国民経済に寄与する問題に対しましては重点的に日本の科学技術の総力をあげてその問題に取っ組んでその水準を上げていく。そういうふうな構想を持ってやっていきたいと考えております。
  142. 木下源吾

    ○木下源吾君 今の三十一年度予算にもう組まれておる科学振興費百三十数億ですね、これとこの関係はどうなるかということをお尋ねしておる。今度の設置法によってできる科学技術庁とどういう関係があるか。今までのやつはやらぬようにするのか、その一部を廃止するとか、あるいはそれをこっちの今度の科学技術庁の方でどの部分はやっていくとか、こういう関係はどうなっているのか、予算とも関連してそれをお尋ねしておるのです。
  143. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) その予算の関係に関しましては第四条の十三号にございます通り、「関係行政機関の試験研究機関の科学技術に関する経史及び関係行政機関の科学技術に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費の見積の方針の調整を行う」ということを明記してございまして、たとえて申しまするならば、各省庁に分属してありまする試験所あるいは研究所がどういう問題に対してどれだけの研究費、実験を使うものであるかということを調べまして、そうして重複をいたしておりまするもの、あるいは特に不必要と認められるものに対しましては、各省町との相談においてこれを方針の調整を行なっていくということにいたしまして、原子力に関する以外のものに対しましては各省庁がそれぞれの立場においてこの調整できたものを大蔵省に予算の要求をして、各省専属の行政上必要な現在の付置機関はやはり現在の付圏機関のままに置いて研究実験をやっていく、こういう方針でおります。
  144. 木下源吾

    ○木下源吾君 三十一年度の科学振興費一般の今さきに答弁があった分は、三十二年度からはこの統制の中に今度はみな入って行ってですね、調整されるのだと、こういうふうに了解してよろしいか。
  145. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 三十一年度の予算におきましては、大体原子力に関係いたしまするものは一応原子力局において目を通した程度で終ったのでありますが、三十二年度におきましてはここに書いてございます通り、各関係省庁の科半技術に関する予算につきましては統制ではございませんけれども、その予算の見積りに対して調整をする。一応目を通してその万遺憾なきを期するという方針でおります。
  146. 木下源吾

    ○木下源吾君 すでに三十一年度は予算が今組まれておる。これは実際問題です。この面からおよそ三十二年度は、三十一年度の組まれておる予算というものをどういうふうにするかというようなことの検討がなされて、こういう今度の技術庁が作られるのだと、こういうふうに私は考えるのだが、その点はどうか。
  147. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 三十一年度の予算はすでに各省庁において要求をいたしておりまするので、これには科学技術庁といたしましてはまだ発足をいたしませんから、見積り調整を行うことは事実上できないわけであります。従いまして三十一年度において科学技術に関する予算を各省庁が使いますその実際に対しましては再検討を加えまして三十二年度から見積りに関する調整をやっていきたい。
  148. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは逆じゃないか。今の技術振興に対する各省庁のやり方があなたさきにおっしゃるようにいろいろ重復しておるものがあるとか、不要のものもある。いろいろそういうものが根本になって今度技術庁を作って、そしてこれを統合調整するというのがこの趣旨ではないのですか。
  149. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) なるべく第一段階といたしましては、先ほど申し上げました通り、中央、地方を通じましてその科学技術に関する試験所、研究所を主体とした再検討を加えまして、その再検討を加えた結果に基きましてもちろん科学技術庁長官は各省に対して勧告することはできるのです。しかし今日すでに予算の要求をなされておりまするものを変更するということは事実上できないと思います。
  150. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は予算に要求されているものを変更するかしないかということを聞いているのではなく、こういうものを作る以上は、そのよってきた根本、こういうわけだからこれを作らなければならぬと、こうならなければならぬ。それも従来科学振興費というものを使っておらないならば別でありますが、すでに百三十数億というものが予算に計上されて、そうして使う建前になっているのであるから、これとは関連なしにこのつまり研究所、技術庁を作るということはおかしいじゃないか、こういうことをお聞きしておるのでありまして、だから今予算を要求しておるものに手を加える、加えないということの問題ではなく、要求している予算はどこに不便、不都合、あるいは不要、こういうものがあるのかということは検討してかかられたんでしょう、こういうことをお聞きしておるのであります。もし検討されておるならば、事実において、この点においてこれはこうであった、この補助金は、これは減額してしかる、べきである、これは不要であるということが今お答えになれることができるのではないか、こういうことです。
  151. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) その実態はよく再検討を加えてみなければわからないのであります。
  152. 木下源吾

    ○木下源吾君 再検討を加えてみなければわからないといって、こういうものを別に作る理由に私はならないと思うのであります。それだから私はこれはほかの方に目的があるのじゃないか。今までの目的と違うのじゃないか。こういうことをお尋ねしておるので、引き続いて私はその点を一つ説明してもらいたい。特に科学だから、従来との発展を無視した科学じゃないのだから。科学であるからよけいに私はそういうことをお聞きしたい。
  153. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) 先ほども申し上げました通り、日本の科学技術の水準は低いといわれておるが、なおかつ今日までの政治体制におきまして、日本の科学技術というものは、行政面においてもより以上に重視ぜらるべきものがさほどに重視ぜられなかったきらいもあるといわれておるのでありまして、この際科学技術庁の目的といたしましては、この日本の科学技術の実態をよく検討を加えて把握して、そうしてこの力を総合調整いたしまして、なるべく科学技術の水準を上げていきたい、こういう目的をもって科学技術庁が発足いたすのであります。従いまして今御指摘になりましたように、その日本の科学技術の実態に対して、すでに実態を把握していろいろな構想があるのではないか、こういうお説でありますが、もちろん日本の科学技術に対しまして、いろいろな構想もあるのでございますが、ます節一といたしましては、先ほども申し上げました通り、あくまでもその実態を検討いたしまして、その状態を調べなければならぬ。そのためにはこの第十一条にも掲げてございます通り、「科学技術の振興及び資源の総合的利用を図るため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」さらに、資料の説明、提出を求めまして、重要事項、に関しては勧告することができる。またその勧告に基いて総理大臣の指示権をも認めまして、十分日本の科学技術のあり方を把握いたしましてからこれをもっと強力に推進する行政の体制を作りたい、さように考えておる次第でございます。
  154. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のお話はわかるんだが、私の聞いておることと別の方を走っておるんだ。その実態を把握する。いろいろなことも今日までやられておる。それをやっておるから予算を出してやっておるのでしょう。ただ漫然とくれと言ったからやるとか、いろいろそんなもので政府は今までそれならば補助金を出すとか、研究費を出すとか、そんなことをやっておるのですか。これはやはり政府は国費を使って金を出す以上は、いろいろそういうものをみな調査の上、研究の上、これならば国のためになる、これならば科学の振興に役立つ、これならば国民経済の発展に役立つということでやっておるんでありましょう。百三十数億はただどぶへ捨てるようにしてやっておるのではないと思うのです。その点を私はお尋ねしている。今までやっておるのであるから、この面と今度との関連は一体どういうようになっておるのか、何べんお聞きしてもあなたはほかのことばかりを言っておる。条文を聞いているのではない、それはよくわかる。
  155. 齋藤憲三

    政府委員(齋藤憲三君) お説の通り、今日までの各省、各庁におきましては、それぞれの行政に必要なところの科学技術の振興をやっておるのであります。しかしながらこれを総合的に見て、果してどういう態勢にあるかということを今日からやっていかなければならないという必要に迫られまして、科学技術庁を新設して、各省庁に分属してありまする科学技術振興の態勢を今度は総合調整して大局からこの行政を推進して、もっと強力に推進していかなければならないという必要から、科学技術庁を設けて科学技術行政をやっていきたい、かように考えております。
  156. 木下源吾

    ○木下源吾君 その強力にやらなければならない根本的の事実、その理由の事実は一体どこにあるのかということをお聞きしているのです。今までやっておるのでは、これは強力でない、今までやっておるのはこれは不必要である、これを具体的に一つ私は聞きたいのです。あなたの都合が悪ければもう一ぺんさっきの方から、どこに学術研究費何に幾ら、どこの研究に幾ら、どこに幾らの金、補助金は幾ら……それをもう一ぺん具体的な数字で説明していただきたい。ずらずらと言ったんでなく、どこに何ぼかかる、そうして三十一年度は要求額はどこは何ぼだ、それを一つ出して下さい。
  157. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 申し上げたいのでございますが、非常に表がこまかくなっておりますものですから、一々申し上げますと非常に時間がかかりますので、必要でございましたらあとから資料を差し上げたいと思うのでございます。  まあ簡単に申し上げますれば、ただいま政務次盲から申し上げましたように、従来各省の科学技術関係の予算につきましても、一応従来ありますところの科学技術行政協議会におきましては検討はしておるわけでございます。たとえば研究費と申しましても、人件費と物件費との割合というのが一つございまするから、そういったものが、われわれといたしましては現在の研究と申しますのは、研究のときに使います薬品とか機械の購入費が非常に少い。それを全般的に言いますれば、人件費が三とすれば物件費は七くらいが適当ではなかろうか……。
  158. 木下源吾

    ○木下源吾君 そういうことを聞いているのではない。こまかくなくてもいいから、どこの学校に何のために幾ら、どこの研究所に何のために幾ら、どこの工場に何のために幾ら、それでいいのです。
  159. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 実は研究題目といたしますとやはり何千件とございますのですから、一々今ちょっと資料を持っておりませんので申し上げかねるのですが……。
  160. 木下源吾

    ○木下源吾君 何千件でなくてもよい。大ざっぱなところでよろしい。百三十数一億の……それは三十一年度の要求の基礎があればなおよろしい。
  161. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 三十一年度の予算の要求につきましてはただいま資料を持っておりませんのでございますが……。
  162. 木下源吾

    ○木下源吾君 そういうふうな資料を持ってこなければこういう法案の審議は非常に差しつかえることがあなた方はわからぬのか。そういう資料に基いて科学なんだ。ただ思いつきでやるのではない。特にこの問題は科学の問題に関するのであるからして、従来はこういうものはこういうふうに使っておる、こういうものはこういうように補助金を出しておる、そこでそういうものは不要である、こういうものが必要であるというようなことで、これを調査しなければならないと、こういう理由が立たなければだめなんだ、それが科学というものなんだ。
  163. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) 補助金に対しましては……。
  164. 木下源吾

    ○木下源吾君 補助金ではないのだ、みな……。
  165. 鈴江康平

    政府委員(鈴江康平君) それでは内訳を申し上げますと、官庁直轄研究機関につきましては約六十億の予算が出ておるのでございます。その研究機関と申しますと、これは約四十ばかりございまして、その点の詳細な数字もございますが、非常に長くなりますので資料を差し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  166. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでは資料にして出していただきますが……。
  167. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) どうですか、お諮りいたしますが、もう少し質問があるようですから、資料は資料として出していただくことにして、ほかの質問を続行することにしたいと思いますが……。
  168. 木下源吾

    ○木下源吾君 それならば、資料は資料として出していただくならば……資料が基本なんです。
  169. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) いや、ほかの質問がありますから……。
  170. 木下源吾

    ○木下源吾君 ほかの方を……それならば少し抽象的になるのですがお尋ねしますが、実は私はこういうことをお聞きしておる。今の気象台、こういうものが今度は外局になると、そういうようなことも聞いておるのですよ。そうすると、これはもう大きい技術の関係なんです。従来このような技術関係なぞに全くろくな予算を出しておらぬわけです。運輸省あたりのただ片すみの方へ押し込められておる。こういうようなことで、われわれは常に、津軽海峡に洞爺丸が転覆したとか、あるいは北の方で漁船が百何十隻も一ぺんにひっくり返ったと、そういうことを聞くたんびに、もう少し気象関係やそういうものをやることができぬものかと心ひそかに考えておるわけです。ところがそういう方面には予算もさっぱり出さない。定点観測のために船が必要だということでも作らない。そして船一そう作る金を惜んでおって、小さい船だけれども百そうもの発動機船が一ぺんにひっくり返った、そういうようなことをやっておるんですな。そしてこの間も私は中央気象台へ行って見せてもらったが、非常に一生懸命技術者諸君が世界中からデータを集めて、不自由なところからも集めてやっておるけれども、何せ今度は昇格するといったって予算が一銭もふえていないわけなんです。そのままなんです。あなた、正力さん、こういうことを私言うたならば非常に同情すると思うのですよ。あなた方のこの企画はそういうことをやる方面には金は一銭も出さんで、そうしておいてこういうこういうことをやってくれと、これはまた金が要るんだ。これは政府全体からしてばらばらで、あなたは力が強いからこれをやるし、一方は弱いからできぬかもしらぬけれども、国民全体としては私は非常に迷惑しごくだと思う。そういうことが出てくるものだからこれは今はやりの防衛産業、防衛のためにやる一切のそういうものじゃないか。それは道路でも何でも……。先にできる突貫道路とか何とか言ってできるそれと同じものじゃないかと考えさせられるわけなんですね。それならば、平和産業で国民経済の向上的な発展になるというようなことを書いておるのは、これは矛盾しておるじゃないかと考えられるわけです。それで私は聞いておるので、実際の面において非常に今科学技術がおくれておる、こう言うけれども、さっぱり進められる方向に行っていない。さっきも貿易の話を聞いているというと、技術が悪いから品物が悪い。それどころじゃない、技術ばかりじゃありませんよ。御承知通り長期の設備資金なんてさっぱり出さないことにして押えておって、そうして高い原料を買ってきて、安くなどできるわけがないでしょう。そういうようなことであるから私どもは、非常に話を聞いていると納得がいかぬから、こういうふうに追及しておるような形になってくる。悪く思わんで下さい。いいかげんなおざなりのことをしていけば、これで通るんだとお考えになるかもしれぬけれども、それでは国民に親切じゃない、こう思います。それですから今のような百三十何億というような金をあなた方政府が使っておることを、あなたは知らぬというけれども、片一方でちゃんと説明しておる。大金ですよ、あんた。その大金が不要であるとか、あるいはこれはむだだということになったら、これは大へんですよ。だからそういう面をよく研究されてこれを作っているのかどうか。そういうことは何にもない。だれが聞いて考えても、おかしいな。これは別の考えでこういうことをやっている、こう思うと思う。これは私ばかりでないですよ。ですからそれを明らかにしてもらいたい。私は技術振興に対する今日までの政府のやり方、そうして金をやっても、民間に補助しておっても、さっぱりなまけてやらないとか、あるいは研究に学校にやってもやっておらぬ。そういうことであれば何とかかんとか別の意味で私どもはこれは考えていかねばならぬ。こういうように私は考えてお聞きしておるのですから、別に悪く思わんで下さい。データをもらったらまたやります。
  171. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 千葉君、大臣ほかの委員会に行かなければなりませんからなるべく簡潔に……。
  172. 千葉信

    千葉信君 僕のやつは議事進行に関する動議と法案提出者に対する文句と、二つです。  あとの方から言いますと、今、木下君が予算の問題について、一体各試験研究機関等の予算の要求はどういう程度のものであるか。それからその配分の状態はどういう程度のものか、そういう基礎的なものが判明しないと審議は進まぬのじゃないかと言われましたが、私は全くその通りだと思うのです。同時に今度のこの法律提案に当って出てきた資料というのは、国際原子力機構に関する外務省関係のパンフレットが一冊、それから三十一年度科学技術庁予算の表が一枚、これは二枚になっておりますが。それから科学技術庁の機構図案、半ぴらのものがくっついているだけです。これだけの資料でこの法案を審議しろというのが提案者の意向なんですか。これじゃ審議が暗中模索でどこへ進んだらいいかわからない。自分で集めてこいというならわかりますが、それじゃ不親切きわまる態度だと思う。だからさっき木下料が言われたように資料を至急お出し願うと同時に、もうちょっと、あとから聞かれても答弁に困らない程度の資料はやっぱり急速に次回までに出してもらいたい。  これから動議です。きょうは、大体私の方から御相談申し上げた付帯決議の問題についてまだはっきり見通しが立ちません。なるべくきょう質疑を打ち切って、あさって討論採決をしたいという前提でやれば、その付帯決議をどうするかという問題、これが当然出てくると思う。その問題が今のところ一向進展の模様を見せておりませんので、この点について各会派でどうするかということを至急御相談願ってまとめるということが……。大体あまり聞かなくてももう結論は出ぜるという格好になりますから、そうすると法案の審議が非常に促進されると思うのです。  ですからそういうことを一つの前提として、きょうはとりあえず緑風会の高瀬さんの質問が残っておりますし、私も衆議院の修正部分についてかなり疑義を持っております。科学技術庁の任務と権限について、どうも話を聞いてますますわからなくなってくる、頭のいい人はわかるかもしれないけれども私はますます混乱してわからなくなる。この点が明確にならなければ……。  それから今度の法律を見ますと、御承知のように今まで他の行政機関にはなかったような強大な権限が含まれている。今まで勧告などという例は行政管理庁にもあったし、それから経済企画庁にもあった。しかし今度はその勧告からさらに一歩を進めた権限が科学技術庁の長官に与えられようとしており、この点が内閣法に違反するかどうかという問題も出てきているわけです。  ですからそういう若干の点について、あまり時間はかからないと思うけれども、これはあとに譲って、きょうはごらんの通り非常に委員の出席の状況が、いつもと違ってあまり悪いというのじゃありませんけれども、依然として定足数に満たないまま私ども審議をしている。これは私ども党に所属する者として、党の方針とは少くとも合致しない態度で非常に譲歩申し上げて法案の審議をやっておるわけです。しかし大体時間も時間だし、そういう状況もありますから、ここいらで一つきょうはやめて、次回にしていただいたらどうかと思います。
  173. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) お諮りいたします。本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめておきたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これをもって散会いたします。    午後四時二十七分散会