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衆議院議員(前田正男君) 本修正案は自由党、社会党共同の提案によりまして修正をいたしたのでありまして、衆議院におきましては全会一致賛成をいたした案でございます。
その修正に対するところを
説明いたしたいと思うのでありますが、この
科学技術庁設置法案の第七条の第五項がまず第一点でございます。これはこの科学
技術庁の設置法案におきまして、「科学
技術に関し、」というこの「科学
技術」という言葉は、第三条の後段におきまして「(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)」ということにしてありますので、もしここに「科学
技術に関し、」ということになりますと、「人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るもの」が除かれて、学術
会議との間の諮問、答申、勧告ということになってくるということでございます。しかしながら御承知の
通り日本学術
会議の法案には人文も含め、また大学の研究も含めてやっております。これを政府に答申して参りましたり、政府から諮問したりするようなときには、政府といたしまして、どっかでこれを取り扱わなければならぬことになりますが、従来の
科学技術行政協議会がこの
法律成立とともに廃止になりますので、この科学
技術庁でその任務をいたさなければなりません。従いまして、この科学
技術庁におきましては、学術
会議への諮問及び学術
会議の答申、または勧告に対してはすべてやれるということでございます。従いまして、そういう
意味におきまして一応この手続を、学術
会議との間の手続ができるということでございます。しかしながら科学
技術庁の任務からいたしますと、大学の
関係については除かれておりますので、それは単に手続的にはいたしますけれども、そういう問題はすべて文部省に科学
技術庁から移管されて行くということでございます。しかしこの法文上その手続もできないということになると困りますので、一応ここは削除したような次第であります。
次の修正点でございますが、それは第八条でございます。第八条の第三号中のところでございますけれども、これは原子力
関係の「
関係行政機関の原子力利用に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する
経費の見積の方針の調整」というその下に「並びにこれらの
経費の配分
計画」を加えることになりました。これは原子力
委員会法を見ていただきますと、原子力
委員会法にもこういう配分という字が入っておりますので、また二月三日の閣議決定の科学
技術庁設置要綱におきましても、この
関係の
予算につきましては、原子力
関係のことにつきましてはこういうふうになっているのであります。「各省庁所管試験研究機関の原子力利用に関する
経費及び原子力利用に関する試験研究補助金等に関する
予算は、
昭和三十二
年度以降においては、科学
技術庁に一括計上し、必要に応じ各省の
予算に移し替えるものとする。」、こういうふうな閣議決定がございまして、これは当然
予算総則に出てくるのでありますけれども、このように一括計上して必要に応じて移しかえるのでありますけれども、当然配分の仕事もやるわけであります。従いまして、原子力
委員会の任務とこれと、またこの閣議決定と歩調をあわすためにここを修正したのであります。閣議決定の日は
昭和三十一年の二月三日の閣議決定でございます。
その次の修正点でございますが、それは第十二条の第三項でございます。これはここに「科学
技術庁に、科学審議官三人以内を置く。」ということが書いてあるのでございますけれども、御承知の
通りこの科学
技術庁というのは、人文科学と大学の研究を除きました各方面のことをすべてやるのでございまして、一部の方にはこの研究所が
航空とか、あるいは原子力とか材料
関係だけのその方面を主にしてやるのではないかということを新聞に誤まって出たこともあったのでありますけれども、これは単に研究所の問題等は将来、この閣議決定にあります
通り科学
技術庁ができましたならば政府の全部の研究所を再検討して、それをきめることになっております。とりあえず総理府にあるのを科学
技術庁につけたのでありまして、すべての問題にわたって科学
技術庁の養成をやるのであります。従ってこの科学審議官三人では不十分ではないかと思いまして、その後また各省においてもその設立に非常に協力をされまして、また各学会の権威者あるいは
関係の研究者をみずから出したいという申し出もございました。すでに閣議決定をいたしまして、国会に提案になりました科学
技術庁の定員法の中にも、各省から科学
技術庁に進んで審議官を定員として出しているのであります。そういうようなことから一応この三名では、
関係方面が入ってこないというようなことから、大体われわれが予想いたしましたところは、資源あるいは建設
関係を含めて一人、通産
関係が一人、農業方面から一人、運輸方面から一人、郵政
関係、これはおもに電波、電気
関係の方面から一人というふうな工合に考えたらどうか。そのほかまた厚生
関係の方もありますが、これは調査官等に出してもらうということでこの科学
技術庁は農政のことも厚生のことも、運輸のことも、電波
関係技術のことも全部含まっておりますので、少くとも五人くらいにしなければならぬのじゃないかと考えておるのでありまして、今申しましたようなことで正員法の方は各省から定員を出して、すでに衆議院の方に提案になっておるようでございます。従いまして、われわれもそういう意見を聞きましたので、各省が進んで各界の権威者を出したいという意見を聞き、また協力したいという意見でありましたので、この人数を「五人以内」に改めたのであります。
それから十九条でございますが、この十九条の第一項のところでございまして、これはここに科学
技術庁に科学
技術審議会を設けることになっておりますが、その目的といたしまして、「科学
技術に関する重要事項を審議すること。」となっておりますけれども、この「重要事項」の下に「並びに
日本学術
会議への諮問及び
日本学術
会議の答申又は勧告に関する事項」を加えるということでございます。これは
科学技術行政協議会が廃止になりますので、従いまして、従来の学術
会議との連絡等のためにありましたこの
科学技術行政協議会の任務というものも引き継がなければなりません。そこで閣議決定要綱ということになりますが、科学
技術審議会
委員の定数のうちその三分の一に相当する
委員は
日本学術
会議の推薦する者から任命するということになっておりまして、学術
会議の人がこの科学
技術審議会
委員の三分の一に入っているわけであります。従いまして、当然学術
会議との間の諮問、答申または勧告等の仕事は当然この審議会で審議されるわけでございます。ところが先ほど申し上げました
通り、この科学
技術という言葉は、人文科学と大学における研究は第三条後段から全部の条項にわたりまして除かれることになりましたので、もし
日本学術
会議の方から人文科学あるいは大学研究等に関する答申とか諮問、勧告等があった場合に、特にこの審議会がやれないということになりましては困りますので、一応明瞭にこの審議会がなし得るということを追加したわけでございます。
それからその次の修正点は附則でございますが、附則の第四項のところでございますが、これは原子力
委員会設置法の第十五条の
改正に関する分の前に次のように加えることにいたしました。それは原子力
委員会法の「第七条第一項中「
国務大臣」というのを「科学
技術庁
長官たる
国務大臣」に改める。」この原子力
委員会設置法ができましたときには、科学
技術庁ができておりませんでしたので、単に「
国務大臣」ということで
委員長をきめましたけれども、この際科学
技術庁の中におきましては、原子力の行政も含めて行いますので、当然この「
国務大臣」は「科学
技術庁
長官たる
国務大臣」でなければならない。まあ事実上はそうでありますけれども、場合によりますと、総理府に別の
国務大臣があって兼任するということがあっても困りますので、この際明瞭にしておいた方がよいということで、「科学
技術庁
長官たる
国務大臣」こういうふうに修正をいたしたような次第であります。
大体以上が衆議院における修正点でございます。