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1956-03-01 第24回国会 参議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)    午前十一時一分開会     —————————————   委員の異動 本日委員遠藤柳作君辞任につき、その 補欠として高野一夫君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            井上 知治君            植竹 春彦君           大野木秀次郎君            木村篤太郎君            高野 一夫君            木下 源吾君            田畑 金光君            高瀬荘太郎君            廣瀬 久忠君   国務大臣    法 務 大 臣 牧野 良三君   政府委員    内閣官房長官 田中 榮一君    内閣総理大臣官    房審議室長   賀屋 正雄君    警察庁刑事部長 中川 董治君    法務政務次官  松原 一彦君    法務省刑事局長    事務代理    長戸 寛美君    厚生省社会局長 安田  巌君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。  総理府設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 田畑金光

    田畑金光君 今資料をいただいたので目を通しておりませんが、まず最初にお尋ねしたいことは、今回の審議会設置に対しまして、一応予算が五十三万七千円という少額の予算にとどまっておるわけであります。しかしこの売春問題は、単に法務省とかいうだけの問題ではなく、厚生省あるいは労働省その他諸般にわたって、それぞれの対策を樹立、推進することが必要かと考えまするが、一体本年度予算に対しましてどの程度予算要求をなされ、それが各省別にどの程度になっておるのか、まずその点をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) お答えいたします。ただいまお諮りをしておりまするのは、委員会だけの予算でございます。これは御承知通りに、それほど経費のかかるものではないと存じます。委員会において御決定を願う案を法律案にまとめまして、国会に提出いたしまして、そこで今年度内に行うことのできるものは直ちに着手いたしたい、そうして特別に特殊な予算を要する施設に関しましては、明年度予算に計上することにいたしたいと存じまするが、私どもの考えておりますところでは、必要なるものは年度内において行政措置において十分に取り行うことができる。かように考えておる次第でございます。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 御趣旨はよくわかりますが、必要なのは来年度予算でやるといたしましても、当面審議会が設置されてその答申が出てくる、それに基いて政府立法措置を進められる、当然相当のあるいは施設とか、設備とか、あるいは各種の費用が必要かと考えまするが、そういうような面は行政措置でやられるという御自信があるのかどうか、この点を承わります。
  6. 千葉信

    千葉信君 関連質問大臣、はっきりしておかなければいかぬと思うのですが、今、大臣は必要なるものは明年度予算に計上して何とかするということを言われましたが、大臣の言われる明年度予算というのは、三十一年度予算ですか、三十二年度予算ですか、大へんな問題です。これはこういう点をごまかしては当然許しがたいことになります。
  7. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 言葉が悪うございました、あやまります、訂正いたします。明後年の予算です。この点、打ち明けて皆さんに御相談いたします。従来私は売春法案に関する考え方がどうも私は偏狭であったように思うのです。売春婦を処罰するということを中心に進めて行くということがどうも私は即しない、私は売春をやる婦女子というのは気の毒な境遇にあるのですから、この人たちにはほんとうにあわれみをかけるという方面で行かなければならない。で、根本は私は風紀が頽廃いたしておりますから、これを直すということと、性道徳が全く乱れておりますから、これを正すということと、この両面が大切だと思います。それには刑罰は最小限度のものでありまして、できるだけ私は社会運動をいたしたい。なぜ今までこの方面社会運動が行われなかったか、その点におきまして、私は一昨日でございましたか、ここでお述べしたように、ドイツ敗戦後における廃頽した実情と、日本敗戦した後におけるパンパンの激増によって、この方面が非常に乱れて来たという方面と同じでございますが、ドイツはやはりぴりっとやることができました。今業者が昨年までの状況とは違って、私らのところへ陳情にこなくなった。もう自粛しなければならないということを社会的にだいぶ自覚しかかって来た。これはいい風潮でありますから、これをずっと推し進めて行きたいと思います。そうして私ども相当大規模社会運動を始めてみたい。それには人を要する。で、私は今後の審議会では委員の人選というものには特別の心をして、社会運動を大きく広げて行くに適当な人々を各方面から物色すれば、私は相当いい効果があがるんじゃないか、かように思うのであります。これがすなわち私が行政措置で十分やれる自信を持つゆえんでございまして、私はこの点に対しては、ただいまは自信を持っております。具体的なことは審議会において御協議を得た上でないと発表することはできないと思いまするけれども、さような心持を私は持っておるということを御了承を賜わりたいと存じます。
  8. 千葉信

    千葉信君 この法律案については非常に大臣は早く成立を希望しておられることと承わっておりました。それにしては一昨日の委員会でも、きょうの第一問に対する御答弁でも、大臣の御講義が少し過ぎて、御答弁が必ずしも質問に対する要領のいい答弁をこえて、おしゃべりが過ぎたりすると、なかなか審議が進まない。だいぶ私ども質問しなければならない点がありますから、一つその点については大臣の方で要領よく御答弁を願っておきたいと思います。
  9. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) あまり述べますまい。簡単にしておきましょう。御理解を得るのに便利にと思って私がよけいなことを言いますが、簡単な方がいいなら私もその方がけっこうです。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 大臣、すわったままで一つ答弁けっこうであります。老大家に立って御答弁を願うのもどうも気の毒ですから……。
  11. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) おそれ入ります。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどのお話で、大臣は、売春問題に関して今後社会運動重点を置いて進めて参りたい、非常にうんちくのある、また意味すべき言葉であると考え、われわれもそういう運動が一日も早く軌道に乗り、促進されることを願っておるわけでありますが、いわゆる社会運動として今後取り上げられようとする構想と申しますか、重点、こういうような面について大臣考え方を承わりたいと思います。
  13. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) お言葉に従って、それではすわったまま答弁することにお許しを請います。  私は、まず大切なことはわい本の取締り及び映画の取締りというような風俗の方面を主体に扱かって行きたいと思いますことが一つでございます。一つは、戦後次官会議におきまして決定して、赤線青線ができるようなことを認めたこと、これが今日に至らしめたのだけれども、あれによって、私はもしかあれをやらなかったならば、良家の子女が大きな凌辱を受けたのだろうと思うのです。だから大へんな誤まりであったにかかわりませず、社会的には大きい効果もあげておる。もうここで引き締める時期が来たと思うのです。だからこれを引き締める方面にはとうしたらいいかということを社会運動でやって行きたい。だからこいつは閉鎖するとか、買収するとか、そういう大げさなことをやってはできることでもないし、むしろ害がありますので、社会運動でこれを実際の方面に持って行きたい、こう思っております。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 社会運動と一口に言われますと、抽象的で、非常に言葉としては大きな期待が寄せられますが、今のような内容程度でありますならば、果して大臣の所期されるような目的が達成できるかどうか、私は非常に疑わしく思うわけであります。社会運動と申しますと、第二次鳩山内閣、あるいは第一次鳩山内閣が唱えて参りました新生派運動等一つ社会運動だと、こう考えるわけであります。しかしこの新生活運動がどの程度国民に新らしい倫理道徳、あるいは生活態度、精神的な信仰、こういう面に寄与したかどうかということは、はなはだ疑問に思っているわけであります。私は大臣のいわゆる社会運動を主張され、あるいはその将来の実績をはかる前に、今の新生活運動というものがどのような形になっておるのか、政府はどういうようにそれを評価しておられるか、この点を承わりたいと考えます。それは官房長官でもけっこうですから、一つ答弁願います。
  15. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいま大臣の仰せになりました社会運動を全面的に展開する一つ方法といたしましては、まあいろいろな方法があろうかと考えておりまするが、現在新生活運動政府といたしましても大いに提唱いたしまして、風紀改善、それからまあ青少年不良化防止、あるいはまたいろいろな先ほどお話がございましたような不良出版物をなるべく排除すると、こうした運動も新生活運動一つ一環としまして展開されるものと考えておりまするが、それと共に、先ほど大臣から申し上げました社会運動というものは、最近この純潔運動と申しますか、そういうような運動も相当識者の間に言われておりまして、純潔教育を十分に普及徹底いたしまして、これによって婦女みずから自覚を持たせて、そうしてみずからそういう転落過程に陥ることをみずからの意思によってこれを防止するということも必要ではないかと、かような関係で現在文部省とも十分に連絡をとりまして、学校社会家庭と、この三つが緊密な連絡をとりまして、この純潔教育を十分に普及徹底して、それによって売春というものが悪であると、婦女みずからが売春というものは悪であるが故に、こうした過程に絶対に陥らぬようにみずからの身を守ると、こういうような運動識者の間において最近非常に叫ばれておりまして、まあそういう関係におきましては、いろいろ教科科目の中にもそういうものをそういう気持一つ取り入れまして、生徒生活指導を行いたい。それからまた学校社会家庭の間の緊密な連絡をとりまして、いわゆる青少年生活指導をやる。それから環境改善等社会教育活動を通じて純潔教育の普及の徹底をはかるようにしたらどうかと、まあかような関係PTA、それから婦人団体、それから学校当局、あるいはまたそうした矯風関係各種団体、こういうものが緊密なる連絡をとりまして、一つ社会運動的な大きな流れの中に乗って現在の売春防止をはかって行ったらばどうかと、かように考えております。法律を出しまして、法律だけで、法律、条例によってのみこれを取り締るということは非常に困難でございまして、やはりおのずからそこに社会運動的な一つの大きな動きによってこの売春行為というものは悪であるという観念を全部に植え付けて、みずからこれを守るというような運動も実行させて行きたい、まああらゆる機関を動員いたしまして、こういう方面に一点に集中して行ったらどうだろうかと、かように考えております。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 今の説明を承わっておりますと、これは事新しく法務省や法務大臣が音頭をとって、社会運動と呼びかける。あるいは社会運動という名を冠するほどの運動ではないと私はお聞きいたします。と申しまするのは、純潔教育を徹底する、あるいは青少年教育社会教育を進めて行く、婦人団体PTA等々と連絡をとって、こういう運動を進めて行くということになって参りますならば、これは文部省のいわゆる教育行政の中にあって、社会教育として取り上げられてしかるべき問題ではなかろうかと考えておるわけでありますが、先般来の大臣答弁を聞いておりますと、法によって取締る、あるいは法によって処罰をする、そういうようなことは第二の問題であって、あくまで人間としての教育を進める、社会連動として進めてその目的を達成する、こういうお話でありましたが、その趣旨そのものはけっこうでありますけれども運動の今の実態を聞いてみますると、文部省社会教育と何ら変らぬと、こう考えておるわけでありますが、その運動の今後の発展のあり方というものは別個の形をとって進められようとする構想をお持ちなのか、従来の学校教育社会教育とまるで違ったものを考えておられるのかどうか、この点大臣構想を承わりたいと思います。
  17. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) ただいまは事務的方面から、その一環を御答弁になったのであります。私は全然違った方面から、新しい構想で進みたいと思っておるわけで、御承知通り近頃日本のむすめさんたち、若い奥さんたちの洋装というものは、あれは大体あれですね、ストリート・ウオーカーの悪い風習ですね。口紅をむやみにつけたり、ハイヒールをはいたり、あるいはおかしなスカートをはいたり、ああいうものをいいことだと思っていたのです、アメリカからの輸入で……。これは社会運動でなければ矯正はできません。それから女学校生徒が特殊な方面へ進んで行くということも、非常にいましめなければならぬ点があります。そうしてそれがすぐ男の誘惑とくっついている。これが敗戦実態でございます。でありますから、この方面には規模を変えて、もう今までとは非常に……、ふき破った全然別の方策を講じなければならぬ。それを仮に私は社会運動と名づけてみたのでありますが、それにはきまじめな人々ではいかぬでありましょう。世の中の表裏に徹した連中が委員の中に入ってくれて、それが一つ構想を明らかにしてくれる。私には具体的なものがありますが、それは委員会が果していれるかどうか問題でありますから、今ここで発表はできませんが、御婦人団体が、特殊な人は一人づつ私のところで引き受けますということをお申し出になった。その婦人団体に、あなた方の熱意をさまさぬでおいて下さいよと言っておいたのですが、私は普通の今までのようなことをやっておってはいかぬ、だから敗戦気分をここで一掃して、日本ほんとうの若い者の社会生活というものはこうあるべきだ。そうすると、何といいましても、春を売ることが一番収入の多い女の仕事になってくるのです。生活に困る人が……。これはいけない、こんなこっちゃいけないんだというその思想的な面を取上げなければいかぬ。街頭で討論をしみましたら、子供四人抱えており、亭主に死なれたら一体引受けてくれるのか、御婦人からこういう質問が出たのです。そんな廃頽した気分があるのです。あれは売春になれば、すぐ子供四人養える。それを禁止するなら、あなた引き受けてくれるか、引き受けましょうと言いましたら首を垂れるですね。だからそこへいくと、一体あまり形式的なことをやり過ぎるから、もうその中へ手を入れよう、こう私は思っておるのです。
  18. 千葉信

    千葉信君 大臣の御答弁を聞いておりますと、気持はよくわかるのです。終戦後非常に性道徳が乱れ、化粧も派手になった、そして大体あまり倫理観念が昔ほどでなくなったから、そういう点に対して社会運動というか、一面から言うと思想運動格好でこの問題を解決する方法をとる。私はその点は賛成なんです。しかしどうも大臣は、そういう点に重点をおいて、それだけで問題が解決できるかのような印象答弁では与えております。これじゃいかぬと思うのです。
  19. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) うん、そうですね。いけません。
  20. 千葉信

    千葉信君 最近の売淫の実際のそういうものについて、最も新らしい、事実に基礎をおいた調査がありました。北海道の札幌ですが、ここできわめて最近ですが、百六十二人の売春婦を、一体なぜそういう状態転落したかということの調査をした。その調査によりますと、百六十二名のうち、生活苦による者が、これは未亡人も、有夫の者もおります。独身もおります。若い者もおります。その全体の百六十二名のうち、生活苦によってそういう状態転落した者が七八形なんです。ほとんど全部がもう生活苦と言ってもいいじゃありませんか。そのほかの、女の浅はかな虚栄心というのが八名、たった八名、それから家庭不和や、純潔を汚されたなどによる自暴自棄が七名、好奇心からが五名、好奇心というのはどういうのかわかりませんが、好奇心からというのが五名、それから誘惑による者が二名、その他雑件が十四名、こういう実態なのです。私はこれは単に札幌だけじゃなくて、全国的にこういう実情だろうと思います。そういうことですと、大臣が今考えておられる純潔教育性道徳の高揚、もしくは社会運動によるそういう世論の喚起というような方法なんぞをとってみても、七八%のところへは大体において及ばないということが、ここではっきり出てくると思うのです。そうなりますと、やはりこれは大臣所管外であるということになるかもしらぬけれども、実際はこの生活苦による売淫という問題を処理する方向へ国の政治が行かなきゃならぬ。つまり政治あり方です。失業者をどうするか、生活困窮者をどうするか。大臣は御承知ないかもしらぬけれども毎日心々ですよ、一日ごとに百八十人以上の家出人日本ではいるのです。どこからもう絶えず百八十人もの人が、毎日々々路頭に迷ってさまよい出ているということなんです。その人たちは一体どこへ行きますか。その人たちのうちの婦女子は一体どこへ行きますか。なぜ一体そういう家出なんということがそんなに大量に起ってくるか。その大半がこれまた生活苦からだということが、警視庁の調査で、国警本部調査ではっきりしています。そういうところにメスを入れようとしないで、性道徳はこうあるべきだ、倫理観念はこうあるべきだなんぞと説教してみたって、何ぼその運動を高揚させてみたところで、私はそれはもうほんとうに、ある一部分の解決にはなるかもしれぬけれども、それだけでは、私どもここで聞いていても、大臣はいたずらにユートピアを頭に描いていて、問題の実相、本来解決しなければならない実態というものをあなたはつかんでおられないような印象を与える。その点どうですか。
  21. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) すべて同感であります。ただし、すぐ家出したり、すぐ売春婦になりたがるという風が戦後できている。それがいけない。ちょっと生活に苦しむと、すぐに春を売りに出るという気風を直さなければならぬ。それは私が引き受ける。それと同時に、片方においては厚生省施設、警察の方の手配、そういうこともやる。ところが今それをやらないで牢に入れようと言ったらだめだ。あなたの説に同感なんです。だからそこで行きましょう。
  22. 千葉信

    千葉信君 そこでまた一つ問題があるのです。たとえば、大臣はさっき、子供を三人か四人かかえている未亡人が、一体売春婦をやめて自分はどうして食って行くんですかと聞かれた。大臣はそれに対して引き受けると言って、頭を下げさした。なるほどそうかもしれぬ。大臣にそういう質疑をした婦女子は、なるほど性道徳に対する非常に低い観念しか持っていないということが言えるかもしれない。しかしそれだけ考えたら私は間違いだと思う。どうしてかというと、職業に就いて三人なり四人なりの子供を養おうとしても、今の社会状態はどうですか、失業者がうようよしているじゃありませんか、大学を出てさえ失業している者がたくさんいる、男子でさえ。政府の方で発表している数字でも、完全失業者はもう八十万、ことし、政府の方じゃ三百四万という不完全失業者を発表している。しかも日本の場合には、農村であるとか、中小商工業であるとか、非常に特殊な日本産業構造の中で、第一次産業にも半失業という状態の者が、そこでほとんどもう寄生虫同様の格好でやって何がしか働いて生活をしている。日本の半失業者のあの計数というのは、これはイギリスあたり産業構造状態から、直ちにその数字でもって比較にはならぬと思う、日本の場合には。表面に出ない実際の失業者が非常に日本は多いのです。そういう状態なんです。一方には政府の方じゃ二百万人分の生活困窮者に対する救済措置をとっているのである。しかも片方厚生省じゃ何と言っておりますか。厚生省調査によっても、そういう政府補助を与え、効済している生活困窮者と全く同じ状態生活困窮者が一千二百万人いると厚生省は言っているじゃありませんか、一千二百万人ですよ。失業問題、こういう生活困窮者の問題、こういう点を政府が大幅な誠意をもって解決するという方法をとらない限り、大臣にそう言って、私はこの生業をやめたら引き受けてくれますかと言いたい者がたくさんいるのです。何も自分で好んでやっていない者がむしろいると言えると思うのです。そういうような追いつめられた状態に置かれているから、一体私がこの商売をやめたらどうしてくれるのですかという反問をしたくなる国民がたくさんいるのです。ここにも虚栄心からとか、興味からとか、そういうことで輸落しているものは両方で十二、三人おります。しかしこれは全体の一割にも満たない数です、いいですか。その全体の一割にも満たないそういう虚栄心だとか、あるいは誘惑だとか、そんな動機転落して行ったものは、これは大臣が言われるような方法で十分何とかできると思う。それ以外の七八%もの転落動機を無視しては、この点に対して深い考えを及ぼさない限り、私は単なるお説教、単なる精神運動の提唱だけでは私は問題は解決できぬと思う。どうですか。
  23. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) すべて同感です。その方面までここで行くのじゃないが、その方面根本でやらなきゃならぬことは当然であります。実はそこを私の方が引き受けてやりたいくらいなんです。もう同感です。一諸にやりましょう。
  24. 千葉信

    千葉信君 その点が一昨日の委員会でも、きょうの委員会でも、大臣答弁から抜けていて、肝心なところが抜けていて、ちっぽけな方ばかり……。
  25. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 何これ小さな部分ですよ、これは……。
  26. 千葉信

    千葉信君 いや、大臣答弁しているのは小さな問題ばかり取り上げて、さながら解決をしたかのような答弁をするから、だから審議が進まないのです、あなたは大事な点について真っ先に答えなきゃならない。言われて気づいて答弁するのではだめです。
  27. 牧野良三

  28. 田畑金光

    田畑金光君 大臣ほんとう考え方は、今の千葉委員質問に対する答弁で明らかになったわけでありますが、大臣も、要するに売春問題の解決というものは単に精神教育の面だけではなくて、より根本的には売春しなけりゃならぬそういう生活環境をなくすることが根本である。すなわち病気や貧乏をなくすることが根本的な建前である、こういうようなことを中心として今後の社会運動は進めて行かれるようでありまするが、そういうような趣旨に解釈してよろしいわけでありますか。
  29. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 全くその通りでございます。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、私はいろいろ質問をしたくなってくるわけでありますが、先ほど来千葉委員からもいろいろ指摘がされたわけであります。問題を広範にわたって質問を展開しようとは考えておりませんが、たとえばただ一つの問題を取り上げてみますると、今政治的に問題になっておりまする健康保険組合赤字の処理の問題であります。これは政府説明によりますると、昭和三十一年度には六十七億の赤字が出る。で、厚生省としては二割の国庫補助を要求したわけでありますけれども、結局のところは三十億が国庫補助となり、あとは被保険者負担、あるいは病人の負担、あるいは診療給付内容の制限、あるいは保険医に対する監督を強化する、こういうような面で、御承知のように全国十二万の医師、歯科医師、日本医師会、日本歯科医師会、あるいはまた被保険者である労働団体等がこぞって反対をいたしておるわけであります。しかもこの問題となっておる健康保険というものは、いわゆる政府管掌の健康保険であり、中小企業の健康保険における問題であるわけであります。御承知のように、今日の中小企業というものは大企業に圧迫されておる。同時にまたそういう中小企業に対してどの程度政府は対策をとっておるかというと、遺憾ながら見るべき対策もとられていない。そういう職場とそういう企業体に働く労働者の健康保険の問題が、今言ったような政府予算から見るとむざんにほうむられておる。こういうただ一つの例を取り上げて見ましても本年度政府予算のいろいろな面から眺めて見ましたとき、どうも国民生活を守る、生活環境を高めていく、明朗化する、こういう面からいうと大きな批判と検討の余地を残しておると考えるわけであります。それで突き詰めて申しますると、鳩山内閣の唱えておりました社会保障制度を強化する、国民生活を守っていく。こういう面に重点を置かないで、今の予算というものはたとえば防衛関係費が治外法権的な存在になっておると言われておるような、こういう軍事的な面が強く出ておる。こういうようなことを考えてみますとき、どうも私は大臣お話として要するに売春をなくする、これが一つ社会運動だが、その根本は貧乏をなくし、病気をなくすることである。そういうような趣旨からいたしますと、今の政治の方向はどうも逆の方に向っているような気がするわけであります。これは大臣も内閣一体の責任の上からいって、しかも重要閣僚であるし、現内閣においても最も有力な閣僚であられる大臣がこういう政治の方向をとらしめているということは、私たちとしては納得がいかぬわけであります。問題を掘り下げて、あるいは集約して申し上げますならば、大臣の先ほど千葉委員質問に対しその通りだ、全く同感だ、こうお認めになられましたいわゆる貧乏と病気をなくする、社会生活環境を積極的に明るくしてやる。こういう点についてどういう今後対策をとって具体的に実現されようとなされておられるのか。この点を掘り下げて一つ大臣から承わりたいと思います。
  31. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 申し上げます。おっしゃる通り社会悪の根源は貧と病とでございます。これに対する社会政策というものを根本的に立てなければいけません。日本政治はそこに対しては非常に貧困であります。のみならず私が国会における質問応答を見ますると、皆さん社会保障というと厚生省の仕事だけのように思っておるのです。厚生大臣以外にちっとも質問していないのですね。社会政策の大きな面は法務省にある、そういうことは過去の委員会一つも現われていない。そうして大蔵省の当局もちっともそういうことを知らぬ。だから私は今度は蒙を開いたつもりであります。金額においてはわずかだけれども、少くとも門戸を開いた。だからあなたのおっしゃる通りに病気と貧とに向って大きな社会政策を行うにあらざれば、社会保障なんというおこがましいことは言えないと思います。私は全く同感でございますから、閣内ではそのことの政策を基礎的に確立するということに微力をいたしております。何らかの効果を上げたいと思っております。
  32. 木下源吾

    ○木下源吾君 さっき売春の問題の解決社会運動でやる。こういうお話ですが、昨今政府はいわゆる社会運動思想運動、そういうものに対してきびしい弾圧の方策をとろうとしておることが新聞に見えております。そのいわゆる社会運動、こういう思想運動とその売春をなくするという社会運動、これは一体どういうように区別がありますか、それを一つ伺いたい。
  33. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) お答えを申し上げます。私は社会運動には二つの種類があると思います。片方は不当なる措置に対して反省を促すためにやるところの社会運動、積極的な目的をもってそれの国民的世論を起すための社会運動、この二つ。私の今やろうとするのはその後者でございます。
  34. 木下源吾

    ○木下源吾君 社会運動というのが二つあるし、一つは云々と言われますが、要するに社会運動目的は、ただいまのような貧困をなくする、病苦をなくする、こういうふうにまあ言われているわけです。ただ一般に今政府が企図している社会運動弾圧の方策、その社会運動もやはりそういう目的だろうと思うのです。ただ政府が弾圧しようとするものはその目的を達成する手段、そういうものに対して弾圧するのであろうと思うのです、今のお話を聞いていると。そうすると政府社会運動というものは一体いかなる手段でやるか。政府みずからやるという社会運動の手段はどういうものであるかということが当然問題になってくると思うのです。その政府のやろうとする手段を一つ承わっておかんと明確にならない。
  35. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) どうもこの程度でかんべんしておいて下さい。問題が大へん私の答弁しにくいところへいきましたが、社会運動を弾圧するなんという考えは大体いかんです。そんなことは絶対私は反対です。
  36. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると社会運動は弾圧しないということは法務大臣の言明で明らかになりました。それはよし社会主義運動であろうと共産主義運動であろうと。しかるに実際はだな、先般来衆議院の委員会でもあなたお聞きの通り社会運動を進めていったものがいかに今日官僚によって弾圧されているかということはもうおわかりだろうと思うから、これはすみやかに法務大臣のただいまの言明によってそういうことをなくすることを望みたいと思うのですが、それに対する態度はどうですか。
  37. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) お心に沿うような方向で今進んでおります。
  38. 木下源吾

    ○木下源吾君 それはけっこうなことで実績を伺ってみたいと思っております。ただいまこの売春法に関する問題でいろいろ論議されておりますが、基本的にはやはりこれは婦人を商品化する。資本主義のこれは一つの鉄則でありますが、労働も商品であり、婦人も商品である。いわゆる人格を認めないところに起因しているところの機構の問題であります。そこでこのことは今論議してもする必要のないくらい明らかであります。で、この商品行為として認めているこの社会機構、この中においてこれをいかに巧みに今是正していくかということに御苦心なさっていると思うのであります。ただ婦女子みずからがこういうことをしないようにというのが念願のようであります、今政府の方のお考えはですね。こういう念願をもって一体するためにはこの対策を、目標をどこにおけばいいか。婦人みずからがそういうものにならないように、実際はそれは婦人みずからがみずから商品たらざるものに自覚し、そうして闘争を進めていく過程においてそれが清算されると思うのであります。労働者は今や商品にあらずという自覚の下に戦っていっているのであります。労働者の戦いは御承知通り団結と、そうして団体協約とストライキの権利を持っておるのであります。もし婦人にこのような解放される手段、そういうその法律でそういうものを保障したならば、私は婦人みずからがそういうことをしてはいけないということにだんだん徹していくのではないかと思うが、婦人みずからの労働者が持っておるような基本的人権、こういうものを確保する法律を作るというお考えがあるのかないのか。これはこれこそ法務大臣の私は重大な責任であろうと考えますが、どうですか。
  39. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) すべて同感でございます。そうして法律を積極的に作らないで、消極的な方面から御意見を実現していきたいと思うのであります。
  40. 木下源吾

    ○木下源吾君 今御承知通り資本主義は、かかる問題がここにおいてお互いに論議しなければならんまでにだんだんその末期に近づいて来ておるのであります。敗退し切らんうちにこれを挽回するということは、あなたの今おっしゃっておる中から、また副長官から言われておる言葉の中から、社会運動以外にない、社会運動とは何ぞや、それは社会主義です。それ以外にないということを明言しておられるように思うのでありますが、この点についてはお考えはどうですか。
  41. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) そうはいきませんな。
  42. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうはいかぬということで、抽象的に今観念的に片づけられると具体的にまた論議しなければならぬけれども、それはまあここでは今あまりこの委員会で論議することもなかろうと思いますが、私は社会運動政府みずからがやらなければならぬ、こういうときにはもはや限界が来ておるのだということを意味しておるのじゃないかと、こう思っておる。そうすれば前から言うように、どうもその矛盾をどこで解決するのか。私はこの委員会を、どうしても審議会を作って解決するのだ、その審議会内容を、今まで協議会、そういうものを見ておりますと、こんなものでは解決できぬのではないか、そういう考えを持つのでありますが、なおそれでも審議会を設けて解決するという自信をお持ちになるのかどうか。
  43. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 審議会を設けて解決するという意思なのではございません。法律案を作るに当って偏狭なるもの、一方に偏するものであってはならないというので審議会において審議していただいて、その資料に基いてこれを立法化して、そうしてただいままで非常に多方面から御意見を承わって幸いいたしましたが、私は売春という小さい面から見る方面だけをここで解決していきたい。しかしそれで満足しない、この機会において広く内閣は社会問題解決に乗り出さなければいかぬ、その先駆をこれでやろう、なかなか大きい考えを持っているのですよ。
  44. 木下源吾

    ○木下源吾君 この程度にしておきましょう。
  45. 田畑金光

    田畑金光君 大臣に対する質問答弁は常に質問者に賛成なされるのでどうも質問の進め工合も……。
  46. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) あなた方の意見がいいのですから、しようがありません。
  47. 田畑金光

    田畑金光君 そこで一つまたお尋ねいたしますが、先ほどの大臣答弁の中に、審議会の構成が非常に問題である。要するに委員の中に入ってくる人が問題であって、それは気まじめなものでなく、社会の表裏に通じた者を入れなければならぬ、こういうような御答弁であるわけであります。先般の田中官房長官答弁の中にも、現在作っている売春問題対策協議会の委員は一人も入れないで、新しい角度から今度作られる審議会の人選を進めて行く、こういうお話であるわけであります。そうしますと、現在の協議会の委員は、先ほどの大臣答弁からいうと、気まじめなものではあるが社会の表裏に通じていない人方の集まりのようにも見受けられるわけですが、大臣の言われる今度審議会委員の構成というものは、どういう考え方で進めていかれようとする予定なのか、この点をまず第一に承わりたいと思います。
  48. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) そう開き直られるとちょっと困るのですが、まあ私は不粋な委員会はよそうじゃないか、少し社会の表裏に通じて、そこに徹底した意見を出してもらう、従ってあなた方の今おっしゃったようなところへ入ってこなければいかぬですよ。貧と病というところの社会悪の根本まで入っていって、そして札幌の例をさっき承わった、ああいうところを理解して、そうして売春の一角から社会改良運動というものが起るということにいきたいと思うのですな。
  49. 田畑金光

    田畑金光君 いや、大へんどうも御答弁ばくとして大きくてつかみどころがないわけですが、まあ私の感じますることは、今まで政府の各機関の中にいろいろな審議会委員会、あるいは顧問、参与、こういうものが設けられておりまするが、常にそういう審議会委員等の顔ぶれというものは片寄っておるわけであります。これは大臣お認めなさるかどうかしりませんが、そういうことではいわゆるお話のような公正な世上の意見を集約することはできないと考えるわけであります。そういう点からみましたときに、先ほどのお話のようにほんとうに今度できる審議会委員の構成は、従来の政府のとってきた慣行から離れで新しい角度で人選を進められるのだ、これは至極妥当なことでありわれわれも望むことであるわけであります。別に開き直ったわけでも何でもないので、この際一つ大臣はそのような考え方でこの審議会委員の構成を処理するという強い決意があるのかどうか。あるとするなら少くとも大臣の頭の中にはどういう層からとか、どういうような顔ぶれとかいう構想くらは持たれてしかるべきだと思うのだが、いまだなお熟しないとすると、どうも先ほど来の御意見は抽象的な御議論としか受け取れないので、この際一つ承わっておきたいと思まかす。
  50. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) もう熟しております。あの型を少し破りたいと思います。そのために非難が起きるかもしれませんが、私自身は非難を甘受します。そうして国会の方の委員もそういうつもりで選んでほしいと思いますな。型を破りましょうや。
  51. 千葉信

    千葉信君 まず第一番に、これは田中長官に対する質問になろうかと思うのでありますが、最近どうも各種行政委員会の乱設の傾向が見られてきた。極端に言えば、どんどん行政委員会審議会等を作っておいて、問題の解決をそこへ逃げ込んでそこへ責任をおっかぶせて、そうして政府の方じゃあ国会に対しては、今最もこういう民主的な機関で審議をしているから、そこで答申が出たらおれの方でその点にかんがみて最終的に法案を出そうという、一切の問題がそうなんです。どうもそういう傾向が最近非常に目立ってきていると思うのです。これは田中さんも大臣のように、全く君の意見に同意見だと言う答弁だろうと思うのですが、行政費の節約それから行政機関の統合という点からなるべく簡素化し、そして強力なものにする。一方では経費の節約、冗費をはぶくという考えを持たなければならない。各種委員会各種審議会といえどもその例外であってはならない。たとえその国費が額が多かろうと少かろうと、そういう方針は堅持されなければいけない。この点はどうですか。
  52. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 最初の御質問でございますが、政府審議会調査式会のものを作りまして、そうしてその調査会、審議会の答申を待って政府が措置をすると、それについての政府の責任を審議会調査会に転嫁するというようなお説と承わったのでございますが、そういう意思は毛頭ございません。御承知のように、政府があらゆる法案を策定する場合におきましても、行政措置をする場合におきましても、やはり各方面の識見ある方々の御意見を十分に拝聴いたしました上で、それを基準にいたしましていろいろな案を策定することが、これがまあ私は最も妥当な方法ではないかと考えております。もちろん政府が法案を提出したり、あるいは行政措置をいたした場合におきましては、あくまでこれはその結果生ずるところの非難に対しましては、これは当然政府政治的責任であろうと考えております。従いまして、今仰せのような責任を他へ転嫁してそれによっておくらせるとか、あるいはその責任を回避するというようなことは毛頭ございません。  それから委員会が最近非常に多いじゃないかというお話でございますが、その点はまことにその通りでございまして、実は昨年来政府といたしましても、委員会もしくは審議会というようなものを整理したいと、こういう気持からすでに地方行政委員会においても今千葉委員お話のようなことが再三再四論議されまして、これは政府としましては、各庁並びに出先機関に対しましてもそうした種類の審議会委員会というようなものは、この際新しく作ることはなるべくこれを避ける。それから現在あるものでもすでにもう廃止してよろしいというようなものについては、すみやかにこれを廃止するようにと、こういう指令を出しまして、現在官房長官名をもちまして各省大臣にもそれを連絡いたし、また閣議におきましても再三再四そうしたことを連絡いたしております。それで最近の政府のやり方としましては、ある一つのやむを得ないこれは措置でございますが、一つの便宜手段でございますけれども、どうしてもその委員会もしくは審議会を作らなくてはならぬという場合においては、既存の要らなくなった審議会委員会一つ減らしてそうして新しいものを作らせる、そうしますと、数としましてはふえないわけであります。それから現在鋭意委員会の要らないものはなるべくこれを廃止しようということをやっておりますが、ただ御承知のように委員会審議会でも法律の根拠に基いて作られました委員会は、根本法である法律そのものを改正しなければ廃止できない。こういうような関係で、そういうことから現在委員会廃止というものがなかなか思うようにいっておりません。できるだけ一つその点は廃止するように努めております。今回の政府の行政改革もお説のように、経費の節減と能率の増進ということを主眼にいたしまして現在行政改革をやっていきたい。かように考えて今立集中でございます。
  53. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 今法務大臣はほかの委員会から呼びにきておりますが、よろしゅうございますか。
  54. 千葉信

    千葉信君 それじゃ法務大臣にはどうせ二時間あるいは三時間は僕の質問はかかりますから、午後に法務大臣においで願うことにして、今の答弁に対して質問を続行します。  ただいまの答弁の前段の言ですね。私は一般的な立場からその点を指摘しているのですが、政府はそうじゃない、決して遷延策をとっているのでもない、決して遷延のためにやろうとしているのでもない。こういう答弁ですが、実際は政府の弁答通りじゃないのです。あらゆるところにそれを立証できる事実があるのです。また私は、この審議会関係は、これは質疑の進行につれて当然その点に触れてゆかなければなるまいと思うのですが、それはそれとして一般的に言っても、いま一つの例をとらえてみてもたとえば公務員諸君に対する恩給法、あの恩給制度をどうするかという問題がある。人事院の勧告がある。政府の方じゃそれを社会保障制度審議会にかけてそこから答申が出る。それを今度また公務員制度調査会にかけて答申が出る。ところがその答申が二つとも食い違っている。これは田中さんも御存じでしょう。社会保障制度審議会の方では、全体の社会保障制度の一環として考うべきである、こう言っておる。片方はそうじゃない、同じ政府の諮問でも片方はこう言っている、公務員の恩給に関する限りは、これは公務員諸君が負担してこういう制度を持続しておる、保険制度に基いてやっておる。従ってこの恩給法は当然社会保障制度審議会の考え通りじゃなくて即時実施すべきものだ。内容についてまた違った案が出てくる。こんな格好じゃ一体いつになったらこの問題が解決するのですか。結局政府の方はせんじ詰めて言えば、社会保障制度審議会に籍口している、今度は公務員制度調査会に籍口している。両方の案が違う。こんな格好で延びるという結果になる。あなた方が最初からそういう方法をとろうとしたのじゃないかもわからぬが、しかし結果としてしょっちゅうそういうことがある。拾いあげれば数限りがない、こういう状態が。また今度は今まで売春問題対策協議会で一応の成案を得て答申が出た、またここで審議会を設けて予算もほとんど伴っておらない審議会を作ってそこで答申が出るまで、大臣なんかはさっき明年度なんておかしなことを言って、僕に注意されて、あわてて三十二年度予算を計上する。本年度、たとえばきのうも官房長官は議院運営委員会の席上で、売春禁止法の提案の時期について、全くわれわれが考えていたような政府ほんとうにその売春禁止法を年度内に提案する意思があるのかどうか、きのうの質疑応答でも明らかになっている。片方はそうじゃない、審議会を作ったらそこで急いで年度内に、何とか三月末に国会に出そうとしているというチンプンカンプンの答弁です。これじゃ審議会を作ってそこで答申を待ってやろうという態度が、これに籍口して責任のがれをしておるのじゃないか。これに籍口して遷延策を講じようとしているのじゃないかという疑念を生ずるのは当然です。  それから次のあとの問題。まあその不必要と認められるもの、もしくはあまり緊急性のない委員会審議会等については整理、統廃合する、こういう通知をあなた方が官房長官名で出された、出されたかどうか私はそれは知らない。出されたかもしれないけれども、現実にこうして出て、この内閣委員会にかかる審議会委員会の設置についてもかなりの件数に上っておる。しかもさっき私が申し上げたように、たとえ経費が多かろうと少なかろうと、当然の措置としては経費を節約するという立場、それから行政機構、行政機関の簡素、強力化の立場から当然そういうものは統廃合しなければならないという、その点はあなた方の場合ばかりでなくて、実は昭和二十六年三月二十七日に、これは吉田内閣の当時ですが、審議会等の整理に関する件という閣議決定がなされて、そうしてその当時二百三十六の審議会委員会等が行政機関内に存在しておったのだが、この閣議決定をもってそれが整理統合されて百六十六に減った。それが今日どうですか、昭和二十六年のその閣議決定当時の状態よりもっと多くなっておる。二百四十一件になっておる。逆にふえておるじゃありませんか。鳩山内閣になってから特にふえておるのです。それじゃあなた方が今ごろそんな通牒を出したのは事実であったとしても、全くこういう当然政府として考えなければならない点がおろそかになる。放漫になる。でたらめになる。結果としてそうなっているじゃありませんか。これじゃ通牒を出したということでは私は弁解にならぬと思うのですよ。どうですか、その点は。
  55. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 最初の問題でちょっと私からお答えいたしますが、今回の審議会は、一昨日でございますか、私から申し上げましたが、もちろんこの法案の事前の御検討を願う、それによってわれわれといたしましては、おそくなってまことに恐縮でございます、委員の方に大へん御迷惑かと存じますが、なるべく早い機会にこの法案の事前審査をお願いいたしまして、そうしてできるだけ早く国会に提案をいたしたい、かような真摯な態度でやっておるわけであります。  それからいま一つ、この審議会は最初に私が申し上げましたごとくに、単にこの法案等を検討したらそれで解散してしまうというのでなくて、国会議員の皆様方にもぜひ御協力をいただいて、そうして今後売春問題というものは、なかなかその法律を出しただけですぐ解決できるかというとなかなかそう簡単にいかぬと思います。これからいろいろな問題が続々として起ってくるだろうと思うのです。そういう個々の問題を審議会においてお取り上げ願って、そうして政府に対していろいろの御注意を願う、御警告を願う。現在政府がやっておることについて、この点が悪ければ悪いというふうにつまり教えていただく、そういう意味においてこの審議会は恒久的な審議会として存置いたしまして、これを実際の行政面とタッチしながら運営をしていったらどうか。かように考えておるのでございまして、従来法案を作ったらそれで審議会を解散するという性質のものとは若干違っておりますので、この点は一つ御了承を願いたいと思うのでございます。  それからその次に委員会審議会等の整理でございまして、今数字をお示しになったのでございますが、あるいはこの内閣になりましてふえた点もあるかも存じません。しかしそれはまた必要によってふえたのでございまして、決してむだな委員会審議会を作ったという趣旨では毛頭ないと私は考えております。しかしこの審議会委員会というものは不要になったもの、それから現在置いておいても何ら利用されない審議会委員会というようなものはなるべくこれを一つ整理していきたいという基本的な態度につきましては、これはあくまで堅持いたしまして、今後も非常に困難な点があるかもしれませんが、これはできるだけ一つ実現するように私どもは努力していきたいと、かように考えております。
  56. 千葉信

    千葉信君 これはもう第一の点についても第二の点についても、ただいまの御答弁だけでは必ずしも了解しがたいのですが、問題があまりたくさんありますから、どんどん次に移って進めていきたいと思うのですが、今の答弁に関連して出てきました問題、まあ官房長官が言われるように、今度の設けられる審議会が決してその法案の審議をするためだけの審議会じゃない、これは私もわかっております。広範な売春問題について今後相当長期間にわたって完全な施策を樹立するために、いろいろ諮問が行われる機関であるということは、これはわかる。しかしそれならそれでここに問題があることは、その審議会の所要経費としてこの間も委員会で御答弁ありましたが、五十三万七千何がしの経費が年度予算に計上されている。従ってこの法律案が通れば当然の措置として政令で審議会の運営の方法、構成の内容、それから事務局はどうする、職員はどうする、まあこういう点も整備されなければならぬと思うのです。その経費が五十三万七千円。どういう基礎に立って計算されたか知らぬけれども、そういう事務機構なんかまで、一応はどんな程度のものか、私はこんな経費ではまかない切れぬと思う。あなた方のおそらく要求された予算もこんな程度のものじゃないと思う。田中さんも御承知のように昨年の十二月から行政審議会が設けられた。ところがその行政審議会は二月の途中で予算がなくなって、行政審議会を開こうたって開けない格好になっちゃった。開店休業どころかもう店を全く締めちゃった。締めざるを得ないのです。一時のがれに審議会の答申案について政府の方ではこういう調整を行なっているとか、こういう会合を行なって相談したとか、そんな苦しまぎれに弁解の態度をとっている。そういう前例があるのです。またぞろその審議会の運営だけでもこの予算の点から制約が起ってくる。あなた方がせっかく、いや法律案審議だけじゃないのだ、万全の策を講ずるためにその後のいろいろな問題について審議してもらうのだと言っているけれども、こんなものじゃとてもまかない切れないでしょう。あなた方の一体最初の予算の要求はこの審議会の運営費として何ぼ要求されたか。それからこんなものでやっていけるのか。やっていけるとすれば、一体どういうやり方を考えておられるか。
  57. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この売春対策審議会の当初の予算といたしましては、約百五十万円ほど要求いたしたのでありまするが、それが現在では非常に少くなりまして、その三分の一の五十三万七千円の予算しか計上されていないのであります。この経費の内訳は、大体この審議会開催に必要な経費、なお細かく申しますれば、委員会委員の手当であるとか、その他会開催に必要な諸雑費を含んでおるのであります。もちろん五十三万円程度のもので委員会というものは十分に……、経費の点におきましては、あるいは不十分ではないかと考えております。しかし単に経費だけで委員会の運営ができないということは私はないと考えておりますので、この最小の経費を最大に活用いたしまして、審議会を有効に一つ運営していただくようにお願いをいたしたいと、かように考えておるわけであります。
  58. 千葉信

    千葉信君 そこでまた精神運動を起さなければならぬと思うのだけれども、しかしざっと考えてみても、ここには民間人九名が入る予定になっている、民間人九名が入れば、給与法によっても、一日について三千円程度のものは出さなければならぬことになる。行政審議会がいい例だ。仮に一人三千円出すとなったら、一回開いて何ぼかかるのです。この人たちの分だけで約三万円はふっとんでしまう。一回三万円ふっとんで、そのほかに事務費を出さなければならぬ、職員の給与もまかなわなければならない。ざっと考えてみても、たちまちそういうことに押しつめられてくると思う。設けるだけ設けたって、実際上の中味のある審議なんか期待できないのです。そこにも、その言いわけのためにこういう審議会を置くのじゃないかという疑いも出てくる。あなたの方では当初百五十万要求されて三分の一に削られた。三分の一に削られてできないことになったら、あなた方は責任をとらなければならぬ。それをあなた方は、今度は国会に対して、五十三万円、三分の一でもできるような顔をしている。それは一生懸命にやろうという気持はわかる。熱心にやる場合と、不熱心にやる場合とは違うこともわかる。しかし腹をすかしておいて、経費もないところでやれやれと責めてみたところで、これは責める方が無理だと思う。私はこれではできぬ、これじゃ活発な、慎重な、ひんぱんな審議会なんか持てやしない。どうですか、これで十分なんですか。
  59. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私の考えとしましては、今のお話の……、こういうことを申し上げるのはどうかと思うのでありますが、委員会の民間委員の手当式のようなものも、正式のいわゆる給与法にいうような、今のお話の一日三千円というようなものでは、とてもこれはできないことははっきりしております。民間委員の方々にはよくこの事情を御認識願いまして、実費弁償的な、お車代式なもので御勘弁を願って御協力を願う。こういうようにお願いをして、なるべく一つこの経費で最大の効果を上げたいと、かように考えております。
  60. 千葉信

    千葉信君 大臣もいないし、大臣の方に関連して質問する事項もまだ相当ありますから、午後に一つやってもらいたいと思います。
  61. 島村軍次

    ○島村軍次君 二、三簡単に伺いたいのですが、この審議会の設置は国会通過とともにすみやかに公布されまして、委員の任命ができるであろうと思う。そこで形態は恒久機関になっているようでありますが、この売春問題を検討を加えてくると、相当広範にわたってなかなか結論が出ないのじゃないかと思うのですが、ここで政府の方では、一昨日承わったところによりますと、すでに対策協議会で甲案、乙案も出ておるようでありますが、いわゆる売春と言いますか、売淫禁止法というものは、いつごろお出しになる御予定でありますか、包まず承わりたいと思います。
  62. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 現在のわれわれの準備といたしましては、この総理府設置法の一部改正法案がもし成立いたしまして、公布に相なった場合におきましては、直ちにこの審議会の構成等につきまする政令を公布いたしまして、そして政令が公布になりましたら、直ちにこの審議会委員の方々を御委嘱申し上げたいと存じます。と同時に、国会議員の皆様方にも、これに御参加を願う関係がございまして、これらの両院の同意を得る関係もございますので、その方の手続きをできるだけ迅速にいたしていただきまして、そしてまず審議会のメンバーがここできまるのであります。きまりましたら、すぐ第一回の審議会を開きまして、そしてこの今連絡協議会で検討を加えておりまする売淫防止法案の草稿を、この審議会で事前に御検討を願いまして、そうしてそれの答申をいただきまして、そしてそれによってさらに政府としましては、その売春防止法案を訂正すべきものは訂正をいたしまして、それを直ちに国会に提案いたしたい、まあこういうことなんでございます。従いまして、その対策委員会の御審議が幸いに早く進みますならば、それだけ早く国会にも提案できるわけでございます。私どもの考えとしては、時期が非常に切迫しておりまするので、ある程度拙速主義で、一つこの法案の御検討を願いまして、そしてもしもこの点が実情に即して悪い点があるならば、これは他の法案とは異りますし、やはりそのときの社会情勢に即応して法案というものができなければならぬと考えておりますので、もし実際に即しない点がありましたならば、またこれを手直ししていただいてもけっこうであろう、かように考えております。
  63. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると、本国会中に御提案になる御予定ですか。
  64. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) まあ政府としてはさよう考えて、今取り進めをいたしておる次第でございます。
  65. 島村軍次

    ○島村軍次君 一昨日の説明によりますと、環境の取り締りというか、売淫に関する問題を主体に考えておられるようでありますが、そこでいわゆる資料によって拝見いたしまする甲案によりますというと、刑事処分及び保安処分に関する部門、あるいは転落防止及び保護更生に関する部門と、こう分けて御検討になっておるようでありますが、なかなか広範な問題になりまして、しかもどなたかから御意見のあったように、現在の法制の範囲で取り締る取り締り事項も相当あると思うのでありますが、このすこぶる広範にわたる事項が早く結論が出るかどうかという問題は、なかなか見方の問題かもしれませんが、困難じゃないかと思うのでありますが、本国会中にぜひ提案するという御意思はただいま御説明通りのようでありますが、巷間伝うるところによりますと、審議会政府は責任を転嫁して、そうしてこの法案の提出を引き延ばしをするのじゃないかというような見方をする人があるのでありますが、その点に対しては御意見はどうですか。
  66. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 今お話しのようなことを批判される方もあろうかと考えております。しかしながら、政府としましては、この法務委員会の付帯決議を尊重いたしまして、一応通すべき筋を通しまして、踏むべき順序を踏んで、審議会を作ってそれにかける、こういう方針でやっておりますので、まあ政府としましては、審議会の設置が遅れたために検討する期間が非常に短かくなってまことに御迷惑とは存じまするが、政府といたしましては、ぜひ本国会にこれを提案をいたしたいと、かように念願をいたしておる次第であります。
  67. 島村軍次

    ○島村軍次君 昨日の問題として、もうすでに三月に入って、そうしてこれから審議会を作って三月中にその結論を得る、あるいは四月早々に結論を得るということはすこぶる困難じゃないかと予想されるわけです。しこうして、この国会にもおのずから会期もありますし、この広範な事項に関する法案をきわめて短期間に審議しなければならぬという結果になると思うのでありますが、もしこれが拙速主義をとられまするというと、かえってこの重大な問題に関して及ぼす影響は相当多いと思うのでありますが、むしろ法案そのものの審議を、提案を相当慎重に扱う意味から考えるというと、時期についてはもし間に合わなかった時分には政府はどういう措置を講ぜられますか、つまり提案が延びるというようなことになれば、どういう措置を講じてやられますか、その点を一つ伺っておきたい。
  68. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 政府といたしましては、ぜひ本国会において成立を念願しておりまするので、まだ、もし不成立になった場合ということまで実は考えていないわけでございます。この法案をごらん願うとわかると思いますが、いろいろ各広範にわたって相当影響するところも大きいのでございまして、この点につきましては、われわれも最初から非常にむずかしい問題だということはかねてから覚悟いたしておるのでありますが、しかしまあ大体こういうような、各条項に規定されておるような手柄につきましては、すでにもう前国会におきましても相当真剣に取り上げまして十分論議せられた事項だけでございまして、そういう点をここに取り上げまして、前の協議会の答申案だと非常に理想的に広範になっておりますので、それでは非常に法案の通知が困難である、従いまして、それをさらに簡略にいたしまして、そうしてこの売春防止法案を作りまして、これた提案いたしたいと、かような気持でございます。
  69. 島村軍次

    ○島村軍次君 私はこういうことを申し上げるということは、なぜそういうことを申し上げるかと申しますれば、この提出されんとする法案そのものはきわめて簡明なものになるかもしれませんが、しかし先ほど大臣お話になった社会運動をかねての関係、あるいは裁判所との関係家庭裁判所に関する関係、あるいはまた矯正保護施設に関する関係、あるいは保健衛生に関する関係、あるいはまた性病予防との関係ということになりますというと、一つの法案は簡単であっても、他との関係が非常に錯綜して、なかなか収拾をするのに困難されるのじゃないかということを予想されると思うのでありますが、あらかじめそういう問題に関してはもう御準備があるのですか、どうですか。
  70. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 本法案を実施するに関連いたしまして、今お示しのいろいろな社会運動的な面、それから行政措置としましては、厚生省関係、労働省関係、あるいはまた警察、検察の関係につきましては、すでに相当連絡協議会におきまして論議を尽されまして、十分なる連絡を保ちまして、法案実施と同時にこれらの機関が活動できるように、現にもうすでに活動をしておりますけれども、これらの施設と相まってこの法案の実施に遺憾なきを期したい、かように考えて十分にその点は打合せ済みでございます。
  71. 島村軍次

    ○島村軍次君 こまかい問題になりますが、「内閣総理大臣又は関係大臣」と、こう二つに分けてありますが、提案理由のお分けになったその気持なり、その理由、それから総理府の付属機関として審議会をおく、こういうふうになっておりますが、主管は一体どこにあって、しかもこの事務局はどこでお扱いになり、あるいは五十三万幾らの金はきわめて少額でありますが、事務局の処理がこういう程度でできるのかどうか、まず事務局の問題のどこに中心をおおきになるかというような問題を一つ合わせて御説明願いたい。
  72. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 「内閣総理大臣又は関係大臣」となっておりまするが、この売春対策のための諸施策は各省に非常に関係するところがございまして、たとえば厚生省、それから労働省、それから先ほどの社会教育的な運動の展開につきましては文部省の協力も得なければなりません。そのほかまた警察、検察、各関係庁にわたっておりますので、各大臣。それからまた内閣総理大臣といたしましては、審議室等が総理府に設置されております。審議室が中心になって現在やっておりますので、内閣総理大臣。それからこの審議会の庶務をどこでやるかということでございますが、前回の売春問題対策協議会におきましては、法務省においてこの庶務を行なったのでありまするが、今回は法務省だけでは十分に目的を達成できないと思いますので、内閣が主体となりまして、法務省がこれに協力した形におきまして、予算等は内閣に付せられておりますので、内閣が主となって、同時に法務省がこれに協力するという形で行きたいと思っております。
  73. 島村軍次

    ○島村軍次君 予算の問題に関して、最初要求されたのはたしか十四億幾らということだったようでありますが、これは各省の関係事項を全部取りまとめて、完全にやるとしてのお見込みでありますか。たとえば法務省で刑罰の問題以上に、保護観察とか、あるいは矯正をするとか、中央庁の地方行政に関係を持つ事項も相当あると思います。そこで今の十四億幾らという予算は、これは各省関係のやつを一括して、これだけあれば少くとも今考えておられるいろいろな仕事は十分なし得るという見通しをもって御提案になった金額であるか。また、たとえば進みますというと、あるいは健康診断というような問題もありましょうし、職業の補導というような問題等も考えますというと、なかなか困難じゃないか。そこでさきに補助金整理等の法律が出まして、引き続いてこれの徹底のために法務省では検事の増員を計画されたが、それがだめになったというようなことも承わるのでありますが、そういう増員とか、あるいは機構の改正というような問題は、あわせてこの売春と同時にお考えになった事項でありますか、またさらに進んで、地方の機構についてはどう考えておられますか、そういう点についての一つ御所見を……。
  74. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 最初十四億余を要求いたしましたのは、各省の要求額を合算したものが十四億余になっております。なお、法務省関係につきましては、法務省側から御説明をいたします。
  75. 長戸寛美

    政府委員(長戸寛美君) お答えをいたします。私ども売春の問題に関しまして予算の要求いたしましたのは、法務省全体といたしまして約八億余でございます。その中で一番多くを占めますのが矯正施設売春婦には少年がございますので、その少年の矯正というふうなことから少年院の増設を要するという関係で、それが相当の数に上っております。そのほか検察の面におきましては、現在もある程度取締りをいたしておりますが、この売春防止の法案が成立いたしますれば、そこに一つの大きなふんぎりをつけることになりますので、かなりの事件の増加が考えられます。それに対して若干の増員も考慮いたして大蔵省の方に要求いたしたのでございます。しかしながら、予算の査定の結果、法務省全体といたしましては三百万余の予算だけが認められたという次第でございます。
  76. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうしますと、五十何万円のほかに、各省のこの問題に関する予算は別途に、審議会以外に、各省に相当の予算が増額されたと、こういうことなんですか。
  77. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 最終的には五千三百六十四万四千円となっております。それがおもなるものは、厚生省の四千万円、労働省の一千万円、それから法務省関係が三百六十四万円が計上されております。
  78. 島村軍次

    ○島村軍次君 このうちで一番大きいのは厚生省のようですが、これはどういうことをやられるのですか。
  79. 安田巌

    政府委員(安田巌君) 明年度予算厚生省関係売春対策費として入っておりますのは四千万円でございますが、これは売春婦の保護更生のために使う予算でございます。計画といたしましては、六大都市及び福岡と北海道に婦人相談所を設けます。それからなおその婦人相談所には二十人を収容できますところの一時収容施設を附置いたしたいと考えております。そのほか婦人相談所にも置きますけれども婦人相談所の置かれない地域に四百六十八人の婦人相談員というのを置きまして、これは主として大きい市におきますところの福祉事務所にそれを置くことになると思っております。そういうふうな予算が全体で四千万円でございます。
  80. 島村軍次

    ○島村軍次君 警察関係では予算は三十一年度にはないのですか。
  81. 中川董治

    政府委員(中川董治君) 警察関係の特に御質問予算関係について御説明いたしたいと思います。  売春防止の問題につきましては、過般来、官房長官お答えの通り連絡協議会の私どもメンバーといたしまして、関係各庁とともに総合的に研究に努めておるのでありますが、この立法の問題につきましては、御説明がありました通り、甲案、乙案その他の研究の試案も一応考えておるのでありますが、来年度三十一年度の問題といたしましては、この法律の施行ということになりますと、警察といたしましてはそれに基く犯罪の取締り、こういうことになろうかと思うのでありますが、従前警察関係の犯罪の取締り予算といいますのは、法律が成立いたしまして、その施行の時期が明確になってから予算を計上するのを例としておりますので、現在のところ三十一年度につきましては、新しい立法に基く予算は計上いたしておりません。
  82. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      —————・—————     午後二時五十四分開会
  83. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。
  84. 千葉信

    千葉信君 田中さんがくるといいのだけれども……、午前の質疑に引き続きまして、大臣も一緒にいてお聞きになっておられるからお答え願えると思うのですが、行政審議会等を設置する場合に、御承知のように、国家行政組織法によると法律によらなければならぬことになっている。これは法律によっていますよ。これは法律によっていますが、実は今政府の中に、行政部内に設けられている各種審議会委員会二百四十一のうち、閣議の決定に基いて法律によらないもの、これが十種あるのです。これはもう明らかに国家行政組織法第三条の違反なんですね。で、実はこの問題についてはだいぶ前ですが、参議院の内閣委員会で、こういう国家行政組織法の建前からいけば、閣議の決定だけでそういうものを設けるということは不都合だ、法律違反だ。それを救済するためには、やはりその国家行政組織法等の改正をしなきゃならぬというので、改正法律案が問題になったことがあるのです。ところがそれが今日まだ政府の方からの提案もされないでじんぜんとして、しかも事実は法律によらないでいろいろな委員会審議会調査会等が設けられている。これは一つ大臣は閣議においても発言力の非常に強い方ですから、この点を至急解決するような措置をおとりになる必要があると思うのです。多分そういう話が閣議で出てみれば、いや、それは閣議決定で設けている調査会、委員会等は、これは政府部内だけの、たとえば今までやってきました売春問題対策協議会、何も、行政官だけを集めてやっているのだからいいじゃないか、こういうことを言うかもしれませんが、実際はそうじゃないことがたくさんあるのです。たとえば公務員制度調査会、これは大臣も御承知のはずです。その中には大臣その他の行政官以外の民間人が十二人入っています。そうして公務員制度調査会が構成された。これなんかも弁解の余地のない法律違反なんです。これは民間人が入っているのですよ。民間人が入って一つの行政機関が設けられておる。法律によらぬで閣議決定でやっておる。こういう違法行為は、政府がその違法行為の手本を示すようでは、これは園児にとても順法精神を何ぼ言ってみたところでいかぬと思います。大臣はこれをどう処理されるつもりか承わりたい。
  85. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 内容を存じませんから、とくと調査した上で答弁いたします。
  86. 千葉信

    千葉信君 この問題は他の機会にまた審議できることですから……。
  87. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) どうぞそうして下さい。
  88. 千葉信

    千葉信君 ほんとうは今はっきり決意のほどでも伺っておきたいと思うのだけれども、知らないことに、はっきりした決意もむずかしいしするから、私はこれ以上お尋ねしません。  それからその次にお尋ねしたいことは、この委員会審議で明らかになりましたことは、三十一年度予算に計上されておる五千万円の各省の配算額、それからその予算においておやりになろうとしておるお仕事の内容、これはわかりました。しかし政府の方として、特にこれはおそらく総理府だと思うのですが、しかもその中には法務省関係も非常に大きな比重を占めておると思うのですが、この売春問題の処理のために、政府は当初十五億の予算要求を財政当局に向ってなされた。その十五億の当初予算の要求をされたときの計画を一つこの際できるだけ承わりたいと思います。大臣御無理でしたらどなたか……。
  89. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) それはすべて厚生省方面の要求であります。私の方面の要求は通っております。厚生省の方は厚生省の方から御説明させることにいたします。
  90. 千葉信

    千葉信君 ちょっと待った。どうも大臣その答弁おかしいと思うのだ。この間ここで法務省設置法の一部改正法案を審議したのです。そのとき少年院の関係で要求した予算が見るもむざんに削られた。私は金額も知っております。そのほかにその少年院に勤務する職員の定員も二千人の要求に対して、がた落ちに削られてしまって一人もおらぬ、非常勤職員だけ二百人、いいですか。そうしてきょうの午前の質疑で御答弁のありましたことは、その売春問題対策のための少年院の設置二カ所を考えておられると、それは少年院の審議のときには出なかった。きょうここで明らかにされた。その予算を削られた。売春問題対策のための予算じゃありませんか。大臣はちっとも削られないで、まるまるもらったなんて口をぬぐって答弁をしておられるけれども、それはうそだということはきょうの新聞にも出ている、うそでしょう。
  91. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) いや、そんなおかしなことはない。そんなうそなんか言やしませんよ。
  92. 千葉信

    千葉信君 そういう答弁がちゃんと出ておりますよ。
  93. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) そういうことは、僕に協力して下さいよ。
  94. 千葉信

    千葉信君 協力するけれども大臣答弁はそうじゃないということがはっきり答弁に出ておるのですから……。
  95. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 内輪話をあまりするといけませんが、どうもちっと予算の要求の基礎が私は妙だと思うのですよ。それで大きな予算を要求して、そうして削られることを覚悟で——どうも戦後悪い風習があるらしいのだな。そこでね、今度どうもちっと行政内部で粛正しなければなりません。それから今のお話ですがね、今度は定員は増さない、もう原則として増さない、そのかわり……(千葉信君「それもうそだ」と述ぶ)まあ待って下さい。その方針に従うと非常勤というものを認める。そうしてそれによって今度機構を改革して、しかる後に必要なもの、出直して必要なものというものをあらためて認めよう、こういう打ち合せがありまして、私はそれに従ったのですね。だからその点はまあ認めて下すって、ずいぶん至らぬところもあるけれども、やろうと言うのだから、なるべく早くこれを認めて、そうしてスタートさしていただきたい。どうぞお願いいたします。
  96. 千葉信

    千葉信君 どうも大臣に笑い顔でごまかされそうですが、戦後非常に悪い傾向があるという大臣お話は私も認めます。そうしてまたそういうことがあっちゃ困ると思うのです。しかしその半面最も緊要欠くべからざるものさえも、大臣のようなそういう認識のために犠牲になっているものがたくさんあるのです。ことに今度なんか、この十五億の売春対策のための経費なんか大なたをふるわれておる。これは大臣おそらく戦後の悪い風潮の中から、うんと要求しておいて何ぼでも取れれば得だというので要求したのじゃないでしょう。まさかこの十五億の予算の要求もそうだとはよもや大臣おっしゃるまい。ですから、そういうような傾向もあることもあるけれども、そのために所要の緊要欠くべからざるものまで犠牲になっているということについては、これは大臣なんかはその点については責任を持たれて、責任を痛感されて努力せられなければならぬと思うのです。その一環として、たとえばさっき申し上げた少年院の設置の問題についても、その少年院を二つ設置する場所まで出ているのです。札幌と福岡、そこに少年院を置く。そこへそういう賤業を営んでいた婦女子を収容する方法によって、ある環境から是正してかかって行こうと、そのために要求したのだけれども、それは削られた。そういうことですから、これは大臣に十五億の内訳について一々私はここで聞こうとは思いませんが、そういう事実もあるのだから、そうなると、法務省がそういう格好で削られておる。厚生省も、大臣が今おっしゃった通り大半は厚生省であるけれども、そこも削られた。削られても、なお今回政府の方では一歩踏み出てこの審議会を設けようとされていることは、その点は私は何する。しかし残念ながら私ども印象では予算も全然盛らないで削りっ放しで削っておる。審議会だけは設置しておる。審議会の答申については、まああるいはかなり簡単に出るかもしれません。三月中に出るかもしれない。出てもですよ、この十五億の予算なんかが通っておればこれは問題ない。審議会の経費は五十三万円、そのほかの経費全部合せたって五千三百万円そこそこじゃありませんか。少年院さえも通らない。これじゃ政府の方で、大臣がせっかく意気まいて委員会の席上で三月中にぜひ出すつもりだとおっしゃっていても、もしかりにその通りいっても、その法律案を実施するための裏づけがない。これは来年の、三十二年の四月一日から実施するなんという、そんなことになっちゃ大へんだ。そんなことは実際提案としてはできないと思う。そうなると、大臣、私の聞きたいのは、こういう裏づけのない法律案を、かりにこの審議会で答申してもらって、それを政府が提案するとしても不可能じゃありませんか。つまり、この審議会の設置はそういう状態にある。政府がまあしかし審議会だけは設置するから、百尺竿頭一歩を進めたのだから勘弁してくれというのか、こうした極端にいえば遷延策だと、こういうことにもなってくると思うのですが、どうですか。
  97. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) どうかそうまでも言わぬでおいて下さいよ。なかなか苦労がある。それに今のは、大蔵省というのはなかなかむずかしうございましてね。法律がきまらないと予算をきめないのですよ。で、私はね、よろしい、それは認める、僕は予算をこしらえてくる。いよいよ必要なとぎには追加予算だ、補正予算だよというところまで言って来たんです。だからね、まあこの程度で御了承下さいよ。なかなか、私は予算を組まなかったものだから、おそおそ就任したものですから……、けれども最後には大蔵省の全員を前に置いて、さあ行政認めよ、行政認めさえすればよろしい。行政認めれば当然の結果として必要な予算は認めると、やむを得ません。よろしい、それならそれで承認する。こう言って引き下ったのだ。だからその程度で勘弁しておいて下さい。
  98. 千葉信

    千葉信君 大臣、そういう答弁はもみ手答弁というのだ。
  99. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) ああそうですか。
  100. 千葉信

    千葉信君 どうも私には最も苦手な答弁の仕方ですよ。大臣はその予算関係もそうですがね。それからさっきも触れました人員の関係、まあその少年院の問題がここに直接関係を持ってきます。その少年院の設備をどうする、建物をどうするという問題は抜きにして、二千人の要求が一人も認められないで、そうして非常勤が百八十人か二百人いる。大臣はこれに対して、政府の方針としても大蔵省の方針としても増員は認めぬ、ふやさぬ方針だ。今政府の方から定員法の一部改正案が出てくる。多いところは三千人も定員をふやしている。法務大臣一ぱい食わされているのじゃありませんか。よそではふやしている。法務省は一人も認めぬ。しかも、非常勤職員なんというのは、あんなごまかしはない。本来定員ではっきりすべきものを、定員の方はがちっと削ってきめておいて、仕事がやれないものですから、今度は非常勤。非常勤は何だと聞くと、これは二カ月の期間をきめて使う職員だ。実際二カ月かというと、五年も六年も大学生や高等学校出の連中を二カ月ごとに新たにして使う。そういう間違った雇用の仕方をしている。政府がそういう間違った雇用をして国民に手本を示している。まあしかし臨時職の問題はいいです。いいですが、大臣は大蔵省の方から一ぱい食わされているということになるのですが、これはどうですか。
  101. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) いや、わかりましたから、一つ逆襲いたします。大蔵省けしからぬですよ、そういうことになると……。
  102. 千葉信

    千葉信君 それからこの法律案審議関係でやはり必要だと思いますが、今一体売春を業としている婦女子は何人ぐらいおりますか。
  103. 長戸寛美

    政府委員(長戸寛美君) 売春婦の数の算定ということは非常にむずかしいことなんでございますが、厚生、労働両省におきまして考えましたのは、売春婦が合計で二十二万六千四百六十と、こういうふうに踏んでおります。そのうち散娼が六万三千、集娼が十二万九千、その他というふうになっております。しかしこれは非常に数の算定はむずかしいので、これは三十万とも言い、あるいは五十万を下らないとも言われておるのでございますが、一応の計算でございます。業者の数は三万七千というふうに考えております。そのほかに客引きとか、ポン引きと申しますか、そういうふうないろいろな女を取り巻く男といいますか、そういうふうなものが大体七万くらいいるというふうに考えております。
  104. 千葉信

    千葉信君 こうなると、直接売春の行為によって家族の生活を支えているか支えていないかは別として、それを利用して、それを利用してというか、食いものにして生活している、まあ寄生虫的な職業の者、それからその職業によって食っている連中というのは、もし五十万という推定がそのままとすれば、少くとも二百五十万の人間はこういう賤業を利用して食っているということになるわけですね。そういうことになりますね。
  105. 長戸寛美

    政府委員(長戸寛美君) 数ははっきりわかりませんけれども、かなりの数の者がそれによって寄食しているということは言えると思います。
  106. 千葉信

    千葉信君 人身売買の件数なんかはおわかりになっておりませんか。
  107. 長戸寛美

    政府委員(長戸寛美君) これは私の方では人身売買という形で計数をとっておりませんので、それだけでは出て参らないのでありますが、婦女に淫行させる行為に関係のある犯罪といたしましては、御存じのように、刑法に淫行勧誘罪とか、あるいは営利誘拐罪、そういうものがございます。そのほかに特別法といたしまして、児童福祉法違反、職業安定法違反、労働基準法違反、それから勅令九号の違反、それから条例の違反と、こういうふうなものがあるわけでございますが、昭和二十九年度におきまして全国の検察庁で受理いたしましたこれらの人員の総数は二万五千でございます。昨年一月から六月までの数にしまして一万二千。大体二万五千くらいのものが全国の検察庁に受理され、取調べを受けておるわけでございます。
  108. 千葉信

    千葉信君 田中さんが来られてから質問することがありますが、大臣にはああいう御答弁では戦意を喪失して、これ以上大臣に御答弁を……。(笑声)
  109. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) どうぞこれは一つ通してからそれからあんたと大いに戦意を……。(笑声)
  110. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど午前中にも質問があり、また大臣からも答弁がなされたわけでありますが、私大へん不勉強で、先ほど資料を読んで気づいたわけでありますが、前の国会のときに衆議院の法務委員会売春等に関する決議案が通り、これに基いて政府においては売春問題連絡協議会が設置をされ、さらにそれが今回の売春対策審議会に発展して参ったわけであります。その売春問題連絡協議会、昨年の十月二十八日の閣議決定によって設置せられましたこの協議会、これは緊急に法律案を立案する必要があるのでこの委員会が設置されたというように冒頭にうたわれているわけであります。また先ほど申しました昨年七月十九日の衆議院の法務委員会の決議を見ますると、内閣に強力な審議機関を設け、その議を経て行政措置、立法的措置、予算措置など総合対策を策定し、国会の審議を要するものについては次の通常国会に提出するように、こういう内容の決議であるわけであります。そうしますと、売春問題連絡協議会で一応出された法律案に基き政府の責任においてこの国会に売春禁止法案等が提案されることが今までの経過から見まして妥当な措置であると、かように考えるわけであります。ところが今回また新たに売春対策審議会を設置されて今度なくなります売春問題連絡協議会の答申案を審議をする、こういうことになって参りますると、その手続等は非常に慎重であり、また権威ある審議会によって権威ある法律案を作ろうとする当局の考え方は理解できないこともないわけですが、しかしすでに国会も三月に入り、今から審議会を作って法律案審議すると申しましても、一体この国会で法律案が成立するかどうか、あるいはまた審議会審議いかんによってはこの国会に間に合うのかどうか、こういう疑点が出てきょうと考えたわけであります。私はこれらの一連の経過を見ましたときに、どうも売春禁止法案ないし取締法案については政府は消極的であるということが言われておりまするが、その具体的な現われがこういうような慎重の名に隠れて時間をかせいでおる、こういうきらいがなきにしもあらずであるのであります。あらためて私は大臣にお尋ねいたしますが、大臣としては先ほど来強い決意をたびたび示されておりまするが、この国会のうちに法律案を必ず通して、そうして成立をさせるのだ、こういう強い腹がまえであるかどうか。同時にまたこの法律案がこの国会でもし成立しなかった、そういうような場合には大臣はどういう責任をとられるのか、これを一つ伺いたいと思います。
  111. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) お答えいたします。実は私は参議院ではこの設置法を二十五日もしくは二十七日にあげていただきまして、そうして月内に委員の選定を了して、そうして本日一日から委員会をスタートしたい、こう考えておりましたが、これも意のごとくならず、どうか特に本日はあげていただきまして、そうして明日、明後日の間にそれをやって、私は月曜日の五日にできればスタートしたいということで田中長官とも心せいておるのであります。これが第一。第二は、であるけれども、名をそういうことにかりて遷延させることなく、三月中には私は審議会の成案を得たいと思うのでございます。そうして私の予定といたしましては、せめて三月は末日でもいいから提案をして、そうして四月には早く審議を終っていただきたい。そうして御不満でもありましょうけれども、まあまあこの程度ならば通してやろうとおっしゃる案を提案いたしたいとかように思っております。もしもできなかったらどうするか、さあそのときはどうしましょうか、まさか……、それで責任はとりますが、どういう責任をとったらいいか、ただいまちょっとまだ考えついてないのです。まあ何とか責任を負いたいというぐらいな勢いで督促してかけ足をしたいと思っております。
  112. 千葉信

    千葉信君 関連質問大臣相当しゃあしゃあとして御答弁されておられまするけれども大臣の今の計画通りにかりに四月中に国会で法律案が成立するというようなことになった場合、その場合予算関係はどういうふうに大臣は処理される見通しを持っておられてそういう答弁をしておられるのですか。
  113. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) それは法律が通ったら必要なる経費は認めなければなるまいな、こう言っておりますから、それでおそらく臨時国会で補正予算ということになるかもしれません。私はそれだけの考えを持っております。
  114. 千葉信

    千葉信君 その点はいいと思うのですが、そうするとその成立した法律は臨時国会で補正予算が計上されるまでその施行期日を延ばすという具体的の方策ですか。具体的なことは……。
  115. 牧野良三

    国務大臣牧野良三君) 私はそう予算なんか当てにしないのですよ、この仕事に。そこでしかられるのだ、君はそれで逃げる。金を使ってこんなことをしなければならぬと思うのは間違いです。国民の皆の力でやらなければいけませんよ。けれども何といっても行政措置は各省でやれますが、固まった金の捻出はできませんから、そのときはどうしても少しおくれても私は特別に予算を要求してやるというのでなければならぬが、牧野としての意気は金を当てにしてこの仕事はしない、そういう心がまえでおります。
  116. 千葉信

    千葉信君 私は大臣の意気込みはよくわかるのだ。よくわかるけれども大臣が一生懸命やるとか、気持はこうだとか言われても、実際上政府がこれを執行する場合に私はその大臣の意気込みだけではいかんと思う。実際にそれに並行してそれに裏づけられるものがあり、そういう組織が完備し、そこで初めてその法律が実効を期することができるということになる。そうでない場合法律は成立しても、これは大臣が何を意気込んだって大臣一人が歯ぎしりすることになる。必ずしもそういうことは期待すべきでもないし、また期待するということはよくない。そこで関連して田中さんに伺いますが、田中さんの方ではその点はどういうふうに考えておりますか。
  117. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この現在政府が出したいと思っておりまする売春禁止法案の内容は一昨日説明いたしましたので差し控えますが、内容を御検討願うとわかると思うのでありますが、全条をすぐ法律が成立したからその日からこれを適用しなければならぬものと、それからすぐ適用することは非常に困難なものと二つあると思うのです。そこで、たとえば取締りに関するようなことは、これはもう公布したその日からでもすぐ適用ができると思います。そういうものはすぐその日から適用いたしまして、第一線で警察官等によってこれを摘発するということになると思います。それから、たとえば娼家の経営に対する整理であるとか、そういったようなものはやはりある程度の猶予期間をおきませぬと、すぐそのままということはこれは売春婦そのものの生活の問題にも関係して参りますし、またいろいろ政府としての具体的な措置を実施する場合におけるある程度の準備期間というものが必要だと思います。またその娼家の経営者を他へ転業せしめるという期間も必要だと思いますので、そういうものは今度できます審議会において十分御検討を願った上で、どの程度にしたらいいかということを御検討願った上で決定したらどうか、それを法案の中に入れてそうして国会に提案したいという考えでおります。
  118. 千葉信

    千葉信君 その点よくわかるのですよ。その一切の売春行為を取り締るとか、それをどういうふうに処罰するとか、まあ、こういうことについてはおっしゃる通りです。何もすぐ予算を計上しなければ警察が動かんとか、そんなことはないと思う。しかし質疑でも明らかになっているように、今度のあなたの方で大蔵省に予算を要求されたときの最大の重点はどこにあったかというと、その保護施設、環境をそういう行為をしなくてもいいようにするための保護施設重点が置かれた、答弁でもはっきりしている。ただあなたたちはそのために十四億何千万円というものを要求された。それが来ない。最も大事なそういう点ができないとなったら、事実何ぼ五月一日から施行するといって成立してもやれないのじゃないか。実際問題として成立しても、その予算がなければ法律にはならないじゃないか。この点です。
  119. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ごもっともな御質問でございます。当然これはわれわれが要求いたしました十四億の予算が計上されたならば、私どもとしましては非常に理想的な売春対策ができるだろうと思っておりまするが、先ほど説明しました通り、わずかに五千万円余の計上しかできませんので、やむを得ず、先ほど厚生省の安田政府委員から説明がございました通り、大体におきまして大都市がやはり売春問題の中心になりますので、大都市だけをさきに一応こうした保護更生施設を整備いたしまして、そしてさらにまたもし臨時国会でも開かれて、かりに補正予算のような機会があれば、その際に一つぜひわれわれの考え方を実現いたしたい。そういうふうに努力をせねばならぬと思っておりますが、またどうしても設けなければならぬので、さらに一応五千万円で本年度はやっておいて、三十二年度において大々的な一つの計画を立てて、それを強力に一つ大蔵省に要求して予算を獲得したらどうか、かように考えておるわけでございます。やむを得ず現在では五千万円の経費によってできるだけのことを一つやったらどうだろうか、かように考えております。
  120. 千葉信

    千葉信君 おっしゃる通り、補正予算が成立するような、そういうような機会があれば別です。そうでないとどうしてもあなたがおっしゃるような、これは大幅に三十二年度という格好にどうしてもなる、しかしこれはまああまりこれ以上お尋ねする必要もないようですから、大体どういうふうに政府がお考えになっているか、その内容がわかりましたから次に入りますが、政令案をもう準備をされておらなければならぬ段階だし、大臣も先ほど三月一日から実はやるつもりだということですから、その政令案では、その審議会の構成ですね。それから運営の仕方、それからその職員等についても政令でこれをきめるという総理府設置法十五条の規定、その中で特にお尋ねしたいのは、職員、つまり審議会の事務官といいますか、今度設けられる審議会には単に政府の諮問に応じて審議をするということだけじゃなくて、はっきりとあなた方の提案にもれいれいしく調査審議と、こうなっておる。調査という事項も当然入っておる。あなた方はその職員をどういうふうに具体的に政令の中でお考えになっておられるか。
  121. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) お答えいたします。この売春対策審議会の政令案は、これも政府部内の関係官庁の連絡協議会で十分検討いたしまして、ただいま案として用意はしてございまするが、まだ発表はいたしておりませんが、大体の構想を申し上げますると、審議会は内閣総理大臣または関係大臣の諮問に応じまして意見を述べる、答申をする。審議会委員は、大体数は二十五人以内が適当じゃないか。さらに審議会のように、専門の事項を調査させるために、専門委員を置くことができる。それから審議会に幹事二十名以内を置くと、これは関係各省の局長クラスの政府職員で二十人以内を置きたいと考えております。それから審議会には会長及び副会長一人を置いて、委員の互選によってこれを定める。それからさらに、この事務局の問題は、審議会の庶務は内閣総理大臣官房においてこれを処理すると、こういうことになっております。そこでこのために特に専任の職員を置くことはいたしませんで、現在の内閣審議室の職員及び関係各省の事務官の方々をこれにお手伝いを願いまして、これらの人々によって庶務の運営をしていったらどうだろうかと、かように考えております。
  122. 千葉信

    千葉信君 そうすると、特別にその職員は置かない。専任職員は置かない。そうすると、かなり今までの各省の職員でもそう手がすいて、ほかの仕事もお手伝いができるような冗員をかかえていたのかということになるし、それからまたそうじゃなくて、それをさらに一生懸命働いておるのがするのだ。今まで手一ぱい仕事をしておったのだけれども、一生懸命やってもらうことにするのだということになると、これはどうにも少し重苦しいことになるということで、必ずしもいいことではない。しかしこれはこまかい問題ですが、いずれにしても調査をするといういろいろな関係から、専任職員も要るし、計上されたこの予算では動けないじゃないかと思うのです。五十三万円ばかりでは、委員の手当も、車代でも払ってがまんしてもらうといっても、この点はどうですか。その点田中さん自信があるのですか。こんな五十三万円ばかりで。
  123. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) お説の通り非常に経費が縮小されましたので、これが運営には非常に私ども苦慮いたしております。しかしまあ、と申しましてこれをさらに今経費を増大することもできませんので、この経費におきましてできる範囲のことを一つやってみたいと考えております。
  124. 千葉信

    千葉信君 どうも一生懸命御努力される、まあ張切っておやりになろうとする気持もわかるにはわかるんですが、大臣が非常に精神的な要素を強調されるのと同じように、どうも私はその点では不安を感ぜざるを得ないのですが、しかしそれ以上にこの予算が何とかなるという見通しが、今のところありませんから、このくらいにして私は次の点に入りたいと思うのですが、さっきも実は牧野さんにお尋ねをして、そうして牧野さんに十分解決のため御努力を願うということを申し上げた。大臣ももちろんそれを了とされた。何がというとこれはちゃんとそういう設置法の一部改正という法律に基く審議会の設置ということになっておる。午前の質問に関連するのですがね。今政府部内に法律に基かない、閣議で設置をされておるものが十七あるのです、行政機関の中に、しかもりっぱな行政機関。これはね、国家行政組織法違反なんです、第三条。田中さん、一体これどう思うんです。組織法違反して。
  125. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 現在この政府部内にできておりまする委員会等で、閣議決定に基く審議機関で、行政機関はないと私は考えております。いわゆる諮問機関の場合はあり得ると考えられますが、行政機関というものは当然これは法律の根拠に基かなければ設置できませんので、おそらくそれは諮問機関ではないかと思いますが、形がどうも行政機関のような規定になされて、あるいはそういうふうになっておりますが、実質的にはほとんど審議機関でございます。
  126. 千葉信

    千葉信君 とんでもない話だ。行政組織法の第三条をごらんになれば「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定める」こうあるわけです。そして三項は「委員会及び庁は、総理府又は各省の外局として置かれるものとする。」、そうして第八条によりますと、  「第三条の各行政機関には、前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)及び試験所、研究所、文教施設、医療施設その他」、こうなっているのですよ。その行政機関の中に設けられるこういう委員会審議会、これが行政機関の一つであるということははっきりしておる。これは田中さん、この点は内閣委員会でしばしば問題になっているのです。そしてこの法律自体を改正しなければならぬという議が起って、その措置がとられようとしたときもあるのです、政府の方であまりどしどしこういうものを設けたりするからいかんというので……。ところが政府の方ではそれにほおかぶりで、法律に基く設置はしょっちゅうありますが、そうじゃないものも閣議決定でどんどんやっておる。おそらくその十七あるうち、あなた方の方ではよくお調べになれば、たとえばこの前の売春問題対策連絡協議会、これなんか何も法律に基かなくたっていいじゃないか。行政機関でやってもいいじゃないか。これは政府の行政機関の中の行政官を動員してやっているのだからいいじゃないか、あなた方はそう言われるでしょう。それはそれでいいのです。しかしそうじゃないのがあるのです。閣議の決定で、行政機関以外の全く関係のない民間人をその委員会の構成員にする。審議会の構成員にする。調査会の構成員にする。国家行政組織法の第三条第八条違反ですよ。あなた方の方でこの法律案の改正について国会に提案するなり、与党を通じて議員提案するなり、何とかしなければしょっちゅうこの問題が起る。田中さんどうですね。
  127. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この国家行政組織法の第八条の委員会は、これは当然八条の規定に基いてできた審議会委員会等でございまして、われわれとしましては当然法律の根拠に基く委員会、協議会でございますから、今お話の閣議決定に基く協議会、審議会で、行政機関としての機能を与えた、そういうものは閣議決定ではできないのでございまして、現在では閣議決定に基く審議会委員会で、行政機関としての委員会はないということを私は申し上げます。
  128. 千葉信

    千葉信君 第八条と第三条をはっきりごらんなさい。そんな答弁なんか出てこない。立派な行政機関の一部なんです。行政管理庁でもそういう解釈です。この前の第二十二国会の参議院内閣委員会の速記録をごらんなさい。原子力委員会関係でとことんまでこれを論議している。
  129. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 原子力委員会も、これも行政機関ではございませんので、これは一応諮問機関になっております。ただ問題は、原子力委員会の決定したことについては内閣はこれを尊重せねばならないというあの項目がございますので、あるいは行政機関ではないかという疑いがございますけれども、これはあくまで諮問機関ということになっております。御了承願いたいと思います。
  130. 千葉信

    千葉信君 行政管理庁の見解、それから二十二国会における原子力委員会のその性格は、一体この条文のどこに該当するかということについて、はっきり論議されておる。答弁をとってあるのです。まあ私はこれ以上あなたにこの問題についてもう追及はやめますから、帰ったら十分研究なさって、行政管理庁と連絡をとられて、早く適切な措置を講じて、少くとも法律をくぐるような格好委員会の設置、審議会の設置を一つやめるように至急努力して下さい。これはいけないのです。まあ私はこれ以上はやめますから、そのつもりで一つ……。
  131. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に御発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  133. 千葉信

    千葉信君 私は日本社会党を代表してこの法律案に反対をいたします。  私ども、もちろん売春そのものを禁止するという措置、従ってそのための立法、同時にまたそのための審議、協議ということは、当然必要であるということを痛感しております。その通りのコースで進むものであれば、私ども本来賛成すべき筋合いにありますけれども、しかしこの委員会審議の経過からみまして、どうも今回の政府の御提案になられたその態度というものは、従来しばしば私どもが、たとえば社会保障制度審議会であるとか、公務員制度調査会であるとか、その審議会の設置、その審議会審議に籍口して、じんぜんとして問題の解決が引き延ばされているにがい経験を持っております。私どものおそれるのは、今まで売春問題対策連絡協議会が持たれて、そこでかなり論議が進められて、完全なものではないにしても、一応の結論が出ようとしておる。同時にそれに伴って政府部内においては予算措置も講じられようとするまでに具体化した。しかるにその予算は大なたをふるわれて削られている。たとえ法律が成立しても、その実行は不可能という段階に陥り、従ってそういう予算編成の経過の中から出た結論として、当座の間、売春問題については審議会を設けて、そこで審議をしようという方策が出た疑いが非常に濃厚である。同時にまた予算の問題に関連する質疑の結果からいいまして、かりに政府答弁するように、この審議会年度内に結論を出し、この国会中に法律を提案し、この国会中にかりに法律が成立することがあって、実際上は予算の裏づけ等がない限り、補正予算の編成という問題もあるにはありますけれども、しかしそのためにそのときまで実行が実に困難な状態に置かれざるを得ない。そういう点等を考えてみますと、私ども実は額面通りにこの審議の経過からはこの法律を受け取るわけにいかないという疑問がどうしても残らざるを得ません。私どもそういう立場からむしろ進んでここに民主的な機関、民主的な合議ということも考えられますけれども、問題の緊急性、重要性等から考えますならば、この際むしろ政府としては進んで審議会の設置、今さら審議会の設置というよりも、法律案の提案という問題に着手すると同時に、予算関係についても今回のような措置がとられてはならないという、そういう立場に立って、私はこの法律案に対して反対をいたします。
  134. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に御発言もなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  136. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を初めて。  ただいま委員の辞任並びに補欠の通知がありました。遠藤柳作君が辞任せられまして、高野一夫君が補欠として選任されました。     —————————————
  137. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) これより採決に入ります。  総理府設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  138. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 挙手多数と認めます。よって本案は多数をもって原案通り可決することに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条により、本会議における口頭報告の内容、第七十二条によって議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願うことにいたして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    井上 知治  高瀬荘太郎    木村篤太郎  廣瀬 久忠    島村 軍次  野本 品吉    高野 一夫
  140. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 本日はこれにて散会いたします。     午後四時十一分散会