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1956-01-31 第24回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年一月三十一日(火曜日)    午後一時四十一分開会     —————————————   委員の異動 十二月二十日委員青柳秀夫君、酒井利 雄君及び村上義一辞任につき、その 補欠として植竹春彦君、遠藤柳作君及 び高瀬莊太郎君を議長において指名し た。 一月二十五日委員須藤五郎辞任につ き、その補欠として堀眞琴君を議長に おいて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小柳 牧衞君    理事            長島 銀藏君            野本 品吉君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            遠藤 柳作君            木村篤太郎君            松浦 清一君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君            堀  眞琴君   政府委員    調達庁長官   安田  清君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 北島 武雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○委員派遣承認要求の件 ○国の防衛に関する調査の件  (基地問題の現状に関する件)  (昭和三十一年度防衛庁関係予算に  関する件)     —————————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それではただいまから委員会を開会いたします。  昨日の委員長及び理事打合会におきまして、今週の内閣委員会運営につき打ち合せをいたしました結果、ただいまお手元に配付いたしました日程通り、本日、二月二日及び三日の三日間委員会を開くことにきまりましたので、この点御承知を願います。  本日の委員会におきましては、別紙日程に掲げました案件のほか、政府が今国会におきまして国会提出する予定法律案のうち、本委員会に付託せらるる予定法律案につきまして、その提出の時期等につき内閣官房長官より説明を求むることに予定し、昨日政府にその旨を連絡したのでありますが、政府においては、ただいまのところまだ今期国会提出する法律案について具体的に説明する段階に至っていないので、しばらく御猶予願いたい旨返答がありましたので、この点は後日に譲ることにいたしたいと存じますので御了承を願います。     —————————————
  3. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) まず、これより委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  今期国会におきましては、政府より防衛及び行政構機改革に関する各種重要法案提出が予想せられ、また他方におきましては、米駐留軍基地拡張に伴う各種問題の発生することが予想せられますので、これらの諸問題について、当委員会としては現地実情を十分調査しておく必要があろうかと存じます。幸い二月中ごろまでは当委員会に付託される法律案もほとんどない見込みでありますので、この際二班ないし三班の委員派遣を行う必要がある旨、昨日打合会におきまして理事の御意見が一致いたしました。本日の委員会にこの委員派遣の件をお諮りいたす次第であります。この点について御意見のおありの方は御発言願いたいと存じます。  ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  4. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて下さい。  大体皆さんの御意見に沿いまして、議長委員派遣承認要求書提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、本院規則第百八十条の二によりまして、委員派遣承認要求書内容及びその手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  7. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、国の防衛に関する調査議題といたします。  まず、基地問題の現状に関する件につきまして調達庁長官からの御説明を願います。
  8. 安田清

    政府委員安田清君) 駐留軍基地の問題についての現状を御報告いたしたいと思います。昨年の暮に、この席に参りまして若干の御報告を申し上げたことがございます。そのときにこまかい数字その他を申し上げるあれがなかったものでございますから、ちょうど数字がまとまっておりますので、一応現状の御報告をいたしておきたいと思います。  昨年の十二月一日現在で駐留軍提供いたしておりますいわゆる施設及び区域というものは六百二十件ほどございまして、土地にいたしまして約三億九千万坪ほど、そのうち国有地が約一億二千五百万坪程度であります。残りの一億七千三百万坪ほどが民公有のものでございます。建物に関しましては三百二十五万坪、うち、二百七十六万坪ほどが国有でごいざまして、残りの四十八万坪ほどのものが民公有でございます。これは相当実は平和条約発効以来減少いたしておりまして、平和条約を発効いたしましたときには、施設の件数といたしましては二千八百二十三件ほどあったのであります。それが現在は六百二十件に下っておる、こういうような現況でございます。こういうような現況でございまして、いわゆる基地拡張という問題といたしましては、昨年以来調達庁で扱っております五カ所の飛行場というものが現在大きな問題となっておるわけであります。この五カ所の飛行場に関しましては、うち、立川、横田、小牧につきましては、すでに調査段階も終りまして、現在各地ともこの提供についての話し合いを進めておるような現況でございます。残り新潟木更津に関しましては、新潟の方は御承知のような状態で、われわれの方の仕事の手順もおくれまして、ちょうど積雪期にもなりましたので、現在屋内の作業を続けておりまして、各種の資料その他に基きまして調査を進めております。木更津の方は、ちょうど現在海の方の中の地質の調査を実施いたしておりまして、これが済みましてから、いかようなる拡張をやるかということについて十分なる検討を加え、軍側とも話し合いをして、適地であるかどうかというようなことも判断をいたしながら、この問題がきまって行くような段階になっております。小牧基地に関しましては、あそこにございます西三カ村のうち、楠、豊山、小牧につきましては、団体の話し合いができて、春日についても近く話がまとまる予定でございます。一カ所残りました北里に関しましては、なお現地の名古屋の局においてお話し合いを進めておりまして、これももう何とか打開ができるのではないか、こういうふうに考えております。立川につきましては、昨年以来いろいろとごたごたをいたしましたが、東京都知事のごあっせん等もあり、いわゆる反対派方々も、知事のごあっせんによって担当の大臣に会ってみようかどうかということを御協議中であるというふうに承わっております。幸いにして大臣とお会い願うような事態になり、お話し合いが進められるというような状態になれば、この問題はまた進展して行くんじゃないかと考えております。不幸にして、まあそういうような事態にならないということになりますれば、われわれといたしましては、やむを得ず法に基きます手続を進めなければならぬかと、こういうふうな心配をいたしておるわけでございます。そのほかには大して大きなものは現在扱っておりませんような状態でございます。  基地拡張現況についての説明ということでは、はなはだ簡単ではございますけれども、以上のような現況でございます。まあその他小さいものについては、方々で若干のいわゆる地役権要求その他について手がけておるものもございますが、おのおの各地各地で出先の局が地元の方と話し合いをいたしまして、土地提供なり、あるいは借り上げというようなことで日常の業務をやっておるのが調達庁現況でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上で御説明を終ります。
  9. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御質疑のおありの方は御発言を願います。
  10. 島村軍次

    島村軍次君 今聞き漏らしたかもしれませんが、山形の大高根の方はどうなっておりますか。
  11. 安田清

    政府委員安田清君) 大高根の問題に関しましては、昨年調査測量を済ませまして、その結果に基きまして地元方々協議をいたしております。大体大部分の方と協議がととのいつつある状態でございます。なお若干協議のととのわない方がありますので、その方々に対しましては、なお若干の時間をいかして、向う側からも、もう少し説明が聞きたいというお申し出もございますので、そういうような状態で現在おるわけでございます。
  12. 堀眞琴

    堀眞琴君 今の大高根の問題ですが、つい十日ばかり前の新聞ですが、アメリカ軍の配置がえによりまして、大高根基地は返還することになるかもしれぬという新聞記事が出ておったのですが、その辺の事情はどういう工合になっておりますか。
  13. 安田清

    政府委員安田清君) 最近の新聞にも出ておりましたが、アメリカの第一騎兵師団という、主として東北におりました部隊が、仙台なり、あるいは東京地区移動するということが陸軍司令部から発表になっております。さっそくその点について、現地の九師団からも発表がございまして、どこの部隊がどこに動くというような発表があったのでございます。なお、そのときにも新聞にも出ておりましたが、部隊自体移動をするけれども、管理部隊が残って、施設はそのままで残るというような点が書いてございます。われわれといたしましては、その後、軍の方にも連絡をいたしまして、部隊移動というものがこの施設とどういう関連になるかという問い合せをいたしております。現在までのところでは、軍としては部隊移動というものは系統が違うようでございまして、部隊と、施設管理をいたしております司令部が違うようでございます。部隊移動、即施設の不用になるという問題ではないというようなことではございますが、しかし、いずれにいたしましても、あれだけおりました部隊が相当動くわけでございますから、施設に何らかの影響があるのじゃないかというようなことで問い合せをいたしておりますが、軍の方といたしましては、部隊移動は、アメリカ本国からの指令に基いて急にきまった問題である、施設をどうするかという問題は、なお今後研究を要するといろ御返事でございますので、なるべく早く研究を了していただいて、その結果を聞きたい、こういうことで交渉をいたしております。
  14. 堀眞琴

    堀眞琴君 今の問題ですが、基地を使用するのは現実の部隊であるわけです。ところがその部隊仙台やその他に移駐する、あと管理するわずかの人員が残る。まさか管理する部隊があの基地演習場として使用するなんということは考えられないのですが、その点に関して、もう少し強く政府側としては向う側要求すべきではないかと思いますが、その点はどういうふうになっているか、もう一度お聞かせ願  いたい。
  15. 安田清

    政府委員安田清君) おっしゃる通りの点は考えられるわけでございますが、これは先年、たとえば北海道部隊内地に引き揚げましたようなこともございます。そのときにも、北海道部隊が引き揚げましたあと北海道演習場はやはり陸軍演習場として残っております。内地のものが行ってあそこで演習するというような事態もあったわけでございます。従いまして、部隊移動に伴って、直ちに演習場等が不必要になるかどうかということは、この前例に徴しましても、必ずしもそうとは言い切れない点がございます。しかしおっしゃる通り、使わないような施設を軍に提供しておく必要もございませんので、軍側においてただいま計画を立てておると言っております。で、その計画をできるだけ早くつかみまして、もしおっしゃるような事態であって、ただ管理部隊がそれを管理しておるというような計画というようなことになれば、これはどうしても返していただくというようなことの方針を出して行きたい、こういうように考えております。
  16. 松浦清一

    松浦清一君 駐留軍提供している基地等に関する御説明は、言葉で承わるだけではわかりましたが、のちほど一つ刷りものにして御配付を願いたいと思います。  それから現在提供されているもののほかに、アメリカ側要求されておる基地飛行場等がどういう現状になっているかということを、もしおわかりになれば御説明を願いたいと思います。
  17. 安田清

    政府委員安田清君) 駐留軍からの要求は、前の国会でも前長官がたびたび申し上げましたように、相当多数な要求が参っておりますけれども、これはまあ主として申し上げましたような通信施設の整備その他でございます。で、私の今記憶いたしておりますところでは、かれこれ二百くらいの要求があるかと思いますが、これは必ずしも、われわれといたしましてはその要求に応ずるということを考えておるわけではございません。たびたび申し上げておりますように、必要最小限度、やむを得ざるものだけを最終的に政府部内で十分検討を加えたのちにこの問題を検討して決定して行く、こういうような作業になっておりまして、過去の経緯から申しましても、ほとんど大部分を断わっておるというような状態でございます。かたがた本年から来年にかけましては、そうわれわれといたしましても大きな要求を受けてもできるはずでもございませんし、またそういう要求が出るものとも考えておらないわけであります。
  18. 松浦清一

    松浦清一君 非常にたくさんな要求を受けて、その中から提供やむなしと考えられておるようなおもな地域はどういうところですか。
  19. 安田清

    政府委員安田清君) 日常作業として検討を続けておりますので、現在提供やむなしというようなことで考えておって作業をやっておりますもの、まあ大きなものは岩国の飛行場に隣接いたします土地で、その付近の地元との話し合いも今進めております。そのほかには大きなものといたしましては、申し上げました五つ飛行場であります。先ほどお話の出ました大高根の問題、これが大きなもので、あとは大体が地役権要求その他でございまして、既設の基地を改善するというような意味で、若干の電線を引っ張りたい、あるいは下水の管を埋めたいというような要求が、申し上げました数のうちのほとんど大部分でございます。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 昨年立川で起った、小牧新潟木更津の問題になったときに、伊丹飛行場拡張の問題、青野原射撃演習場問題等がいろいろ取りざたされておったのですが、その後伊丹についてはどのようになっているか、青野原についてはどのようになっているか、御説明ができれば承わりたいと思います。
  21. 安田清

    政府委員安田清君) 伊丹の問題に関しましては、昨年、前福島長官が申し上げました通り、この五つ飛行場の完成をいたしましたのちにおいて、日本政府としては考えるつもりであるという状態でございます。それから青野原の方は爆撃演習要求がございましたが、われわれといたしましては、研究の結果、これは適当でないという判断を下した、こういうわけでございます。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 青野原射撃演習場は適当でないということで、アメリカ側もそれを了承して話がもう完了しておるわけですか。
  23. 安田清

    政府委員安田清君) 私の方といたしましては、青野原要求については日本政府としては了承ができないという返事が出してございます。その後向う側から現在まで再び要求が出ておりません。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 三十一年度予算内容をまだ詳細に検討しておらぬのでわかりませんが、飛行場拡張等に要する予算というものは、今度の予算ではどういう内容になっておるのでしょうか。
  25. 安田清

    政府委員安田清君) 三十一年度予算につきましては、実は私たちもまだ予算書もいただいておらぬような状態でありますが、しかし一応本年度予算程度の規模ということでございます。施設提供といたしましては約八十八億程度になると思います。その中で飛行場関係経費もまかなって行きたい、こういうふうに考えております。もちろん本年度経費もまかなって行きます。
  26. 松浦清一

    松浦清一君 この八十八億は、昨年来拡張または先ほど説明がありましたような諸設備といいますか、内部の施設改善等に要する費用で、新たに飛行場拡張をする、今まで問題になってきた五カ所以外の飛行場拡張をするための予算等はこの中に入っておりませんか。
  27. 安田清

    政府委員安田清君) 申し上げました八十八億の予算のうちの、まあ半分程度は従来ございます施設の借料に払わなければならぬかと、こういうふうに考えております。そのほか現在ございます施設の返還になりますものの補償費、これがやはり相当費用がかかる。そういうようなこと、それから各種補償事案に対します費用、そういうものを差し引いて参るわけでございます。従いまして、五カ所の飛行場以外に新しい大きな施設提供するというようなことに回す費用は、この八十八億ではとうていまかない得ないというような現状でございます。
  28. 松浦清一

    松浦清一君 だめを押すようで、はなはだ恐縮でずが、そうすると、本年度飛行場拡張に関するアメリカ側要求に対応して、たとえば伊丹飛行場拡張する費用が幾らというふうな、そういうふうな予算は入っておらないですか。
  29. 安田清

    政府委員安田清君) 伊丹の問題に関しましては、申し上げました通り実情でございまして、実は本年度の五カ所の飛行場が、御承知のような状態で進捗いたしておりません。これはやはり今の状態におきましては、三十一年度に持ち越しになって仕事をやらなければならぬと、こういうような状態であります。従いまして、伊丹飛行場に関しましては、本年度といいますか、来年度予算においてまかない得るかどうか、この点はわれわれといたしましては、来年度予算では伊丹はまかなう余地はなかろうと、こういうふうに考えております。ただ各種予算執行をいたしましたあとで残が出ますと……、残が出るということはとうてい考えられないことでございますが、三十一年度予算といたしましては、伊丹をやるほどの余裕は出てこぬのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  30. 松浦清一

    松浦清一君 予算内容の上から見て、伊丹飛行場拡張されることはないというのですが、アメリカ側日本との折衝の過程は、この五カ所の飛行場拡張が完了すれば、その次には伊丹飛行場拡張を承諾するという方針で進んでおるのですか、それとも反対だという態度なんですか。
  31. 安田清

    政府委員安田清君) 昨年も申し上げました通り飛行場拡張という問題は、国全体の防備を、できるだけ少い基地で全国の空をおおいたいということから結論が最終的に出ておるわけでございまして、四十カ所ございました飛行場が現在三十八カ所になっておるのでございますが、その飛行場のうちから今申し上げましたような地点を選ぶ考えでおるわけでございますが、ただしまあその間第一次的には五カ所の飛行場というような考え方でございますが、五カ所の飛行場について見通しがつけば、伊丹というものも考慮はできるというような状態でございます。必ず伊丹を五カ所と同列に扱ってやるというような気持ではございません。
  32. 松浦清一

    松浦清一君 そういうふうな答弁の仕方が昨年来いろいろ問題になってきておる。五カ所の飛行場拡張が完了すれば、その次に提供してもよろしいと政府は考えているのかどうかということが問題なんです。地元の方ではしばしば東京にやって来て、あなたもお会いになったでしょうが、ただいまのところは考えていない、ただいまのところは考えていないが、これは五カ所が済むならば、その次には伊丹が考えられるのだというふうにも解釈されるし、何だかんだと話し合っているうちに、断わることができるのだとも解釈されるし、そこが非常にあいまいだ。政府の腹としては、あそこは拡張に承諾をしないのだとして腹をきめておるのか、五カ所の拡張工事が完了すれば、その次に伊丹に着手すると考えておるのか、その点が明確になっておれば簡単なんだ、賛否のことは別問題として……。そこが非常にあいまいもことしてわからない。だから地元の人がこちらに来て、あなた方に会って話を聞いて帰って、大体伊丹は大丈夫らしいと報告してみたり、あるいはこの次は伊丹がやられるらしいというふうな報告をやってみたり、あいまいもことして明確にわかっていない。そこで非常に困っておる。私は予算の方から見ては入っていないということがわかりましたから、政府としては拡張を承諾するという意思なのか、しないという意思なのかということを明確にいたしておきたい。こういうわけです。
  33. 安田清

    政府委員安田清君) その点に関しましては、申し上げるまでもなく政府といたしまして、たとえば伊丹飛行場提供するという意思決定をいたしますのは閣議決定に基いてなすわけであります。われわれ事務当局といたしましては、そういうふうな計画があり、五カ所の飛行場に続いてその問題についての検討をやるという決心をいたしておるのでございまして、御質問のございましたように、あいまいもことしておるという御批判は、ある意味では当っておると思いますが、拡張ときめたわけではございませんし、放棄したわけではないというわけであります。
  34. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、最後の日本側意思決定閣議においてなざれるのだから、調達庁長官としては、これ以上の明確な政府としての意思表示をすることができないという限界まで来ておるわけですね、今のお話で…。その経過についてあなたの知り得る程度、問題はどういうことなんですか。まあ想像するに、昨年来の政府側答弁経過から判断をして、五カ所の拡張工事が完了すれば、その次は具体的に伊丹拡張を承諾してもいいというふうに考えているように受け取られるのです。今までの経過から判断してね。ところが地元からの陳情隊に対してそう言い切ってしまうというと、また旗を持って大ぜい抑しかけてくるから、きょうのところは返そうというつもりで、何とかすれば逃れるすべがあるのじゃないかと考えておるよらな言い分をしておられるのだな、あなたばかりでなくほかの人も……。そこに問題がやはりあるのでしょう。あいまいもこという言葉で表現することが適切であるかどうかわからぬのですけれども……。
  35. 安田清

    政府委員安田清君) 先ほど来申し上げましたような実情でございまして、現在の段階においてそれ以上私といたしまして申し上げようがない。現在やっておりますものについても、拡張そのもの調査が済んでいないところもあります。そういうような点で、伊丹問題というものについては議題に上っておるということではございますけれども、しかしこれを本物にするか、しないかというふうなことについては、やはり現在の状況においてはわからないという状況でございます。
  36. 松浦清一

    松浦清一君 それじゃそのことの一番決定的な意見を聞くのは外務大臣ですか、交渉経過を知っていて、そしで政府の代表として明確に答えられる人は外務大臣ですか。
  37. 安田清

    政府委員安田清君) 御承知のように、各種要求というものは合同委員会に出て参りまして、そこで日本政府が受けて研究をするわけでございます。従いまして、この研究の結果に基いて、その点を取り上げるか、取り上げないかということがきまるわけでございまして、研究の結果に基いて五カ所の議題を取り上げておるわけであります。なお伊丹飛行場というものが軍側から要求があるということは事実でございますが、これを日本政府として提供することにきめるか、きめぬかということは、先ほど申し上げましたように、今年の状況におきましては三十一年度状況において考えられる、あるいは考えてみるかもしらんというようなことになっておるわけですが、申し上げましたような予算状況でもございますので、少くとも三十一年度において、これを取り上げて考えてみる余地はないものと事務的には考えております。
  38. 堀眞琴

    堀眞琴君 今のお話しですと、だれが責任がある答弁をして下ざるかちょっとわからぬ感じがするんです。この前の前の国会のときだったと思いますが、立川飛行場拡張問題に関して、委員側からの質問があったのですが、当時西田労働大臣がこれに当っておったのですけれども、西田ざんは委員会に出て参りまして、私は担当大臣ではあるが、基地問題あるいはその他の問題について、自分としては閣議において発言することができないのだ、発言する権限がない。これは調達庁長官が内閣総理大臣の直属の担当者として閣議にも出席しておって発言をするのだ、こういうことを言われてだいぶ問題になったのですが、今の第三次鳩山内閣ですか、その鳩山内閣ではこういう問題、五飛行場あるいは伊丹問題等について責任を持って委員会答弁をなさるのはどなたなんですか。
  39. 安田清

    政府委員安田清君) その点について、西田前労働大臣が、調達庁長官閣議に出てやるというお話しがあったというのは今初めて伺うわけでございます。調達庁長官閣議に出るという制度はないと思います。そういうような観点から考えまして、伊丹の問題について、やるとか、やらぬとかいうことを責任を持ってだれが答弁できるかということになりますと、申し上げました通り、これを提供するというのをきめるのは閣議でございます。調達庁長官というわけでもございません。
  40. 堀眞琴

    堀眞琴君 担当大臣を聞いているんです。
  41. 安田清

    政府委員安田清君) 担当大臣は労働大臣でございます。
  42. 堀眞琴

    堀眞琴君 確かなんです。内閣委員会で、速記録をごらんになればわかると思いますが、当時の西田労働大臣が、担当大臣として発言することができない、こういうことを明言されておったのです。それで問題を起したんです。それで私は今のように質問申し上げた。松浦君は外務大臣ですかという質問なんですけれども、それには答弁なさらなかった。それで私は重ねて質問したのですが、わかりました。  それから私もう一つお尋ねしたいのは、五つ飛行場はともかく政府としてはこれを拡張することを約束して、そのいろいろ作業をやっておられるのだと思うのです。先ほどの御説明の中に、大体調査を完了したところがある、そういうところについて話し合いを進めておるのだ、こういうお話であったのですが、政府としてはこの五つ飛行場をいつまでに作業を完了して向うに引き渡そうとされておるのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  43. 安田清

    政府委員安田清君) 五つ飛行場拡張して向うに渡すことを約束しておるというお話でございましたが、約束をしておるわけではございませんで、五つ飛行場を取り上げてやってみようという決意をしておるわけでございます。ちょうど昨年の八月五日でございましたか、政府の声明が出ました当時に、調査が済んで閣議決定をいたしました三カ所については政府としては提供しようということがきまった、あとの二カ所については今後の調査に待つ、もちろん拡張は必要だということで取り上げたわけでございますが、しかし、拡張の方法なり区域なりというものは調査の結果を待たなければ具体的にはきまらぬと思います。それがきまりまして初めて閣議決定をいただいて向うに提供しよう、こういう日本政府の態度で最終的に決定するわけでございます。そういうような状況でございますので、向う側に引き渡す時期については申し上げましたようにアメリカの会計年度の六月までに何とかいたしたいというふうに事務的に考えて努力を続けておるわけでございます。
  44. 堀眞琴

    堀眞琴君 今のお話ですと、向うに引き渡すということを約束しておらぬというお話ですが、しかし、日米合同委員会においてこの五つ飛行場拡張して向う側提供するということはそこできまったのじゃないのですか。そのことが一つと、それからもう一つは、たとえば砂川のような場合、さきの御説明ですと法に従ってこれを収用するのだという意味のことをお話しになったと思う、そういう法に従っての作業をいつごろから初められるか、あるいはまた新潟のように知事もこれを公告することを拒否しておるというようなところについては政府としてはどういう態度をもってお臨みになるか、その二点をお尋ねしたいと思います。
  45. 安田清

    政府委員安田清君) 申し上げました通り三カ所の飛行場については日米合同委員会で具体的に提供することがきまって、閣議でもおきめをいただいて作業を進めておるわけでございます。あとの問題については日米合同委員会でこれを提供するという約束をしておる段階ではございません。しかし、この問題を取り上げて国の防衛上必要であるからこの二カ所については調査をし、そうして技術的にも可能であるということになれば当然これは日米合同委員会提供に同意をいたし、そうして拡張になることと思います。もちろんわれわれといたしましてはこの五カ所は最小限の国として必要であるという前提から取り上げておるわけでございますから、この五カ所が一カ所でもなくなるということを考えておるわけではございませんが、ただ理屈上から申せば合同委員会として向う側あとの二カ所について提供するという約束をしておるわけではございません。
  46. 堀眞琴

    堀眞琴君 もう一つ、その回答をまだ得ていないのですが、たとえば砂川のような場合、法によって適当の措置をする、こういう御説明をなさったのですが、そういう措置を政府はいつごろからお始めになるか、あるいはまた、新潟のような場合どういう態度をもって臨まれるか、それをあわせて御答弁願いたいと思います。
  47. 安田清

    政府委員安田清君) 砂川に関しましては申し上げました通り、すでに合同委員会において提供するという約束をいたしておるわけでございますが、たまたま地元方々の態度が先ほど申し上げましたような点も見えておりますので、現在それの出方を待っておるわけでございますが、しかしその点についての態度が近く判明いたしますので、その態度に基いて申し上げましたような手続を進めたい、こういうふうに考えております。  新潟その他に関しましては、申し上げました通り調査を完了いたしまして、具体的に拡張計画がきまり、そうして閣議決定があった後において話し合いがどうしてもつかない場合にはやはりそういうようなことにならざるを得ぬと、こういうふうに考えております。
  48. 堀眞琴

    堀眞琴君 そうしますと新潟の場合、まだ合同委員会では決定しておらぬというお話ですが、しかし今の御説明ですと、政府の方ではともかく調査をやって、そうしてその上でこれをきめる、こういうことなんです。その調査を完了される目標はどのくらいのところに置いておられるのですか。
  49. 安田清

    政府委員安田清君) 新潟に関しましては現存申し上げましたように、調査というのもまあいろいろの調査があるわけでございまして、屋内におきまして各棟の資料その他で調査も進めております。ただ現地調査というものは、あすこの土地柄その他から現在積雪期でもございますので、かえって調査をするというのには不適当である、こういうふうに考えておりますので、大へんおくれて工合が悪いわけでございますが、雪解けを待たないと現地調査はできないのではないか、こういうふうに考えております。
  50. 千葉信

    ○千葉信君 先ほど松浦君の質問に対してお答えになったときに、私は非常に重要な点を含んでおると思うのですが、たとえば伊丹飛行場を将来どうするかという問題について安田さんの御答弁を聞いていると、政府としての方針や考えというものはほとんど最終結論を左右するようなものにはならない。むしろ方針というものを全然持たないで、基地設定等の問題に臨んでいるとしか受け取れない。一体基地を設定したり提供したりするということは、やはり表面上の理由からいいましても、日本防衛ということにその根拠があることなんです。そうですね。そういうことにたりますと当然どこへどういう基地を設定する必要があるかということについては日本政府自体の中にも日本防衛を担当しているところがあるのです。全然その防衛に対してその防衛を担当している省庁がつんぼさじきではないと思う。そういう点からすれば、その基地の設定等についてはやはりそこで考えている防衛方針というものが一応の根拠にならなくちゃならない。もちろんあなた方の場合としては、たとえばその地方の地理的な条件がどうあるかということについてはあらかじめ測量とか、あるいは折衝ということが必要かもしれないけれども、しかしやっぱり根本は今申し上げた点にあると思うのです。そうだとすれば日本政府として一体伊丹飛行場ならば飛行場を将来どうするかというようなことについて、全然政府方針を持っていないということは私は不見識じゃないかと思う。それだから、一体その日本の国にはどっかに主人がいるのかという印象を与えると思うのです。私は事実そうだと思うのです。そういう点についてやはり調達庁調達庁の立場だけではなくて、そういう総合的な立場から、その基地を一体提供しなきゃならないのかどうかということについてもっと政府の方と十分な連絡をとり、調達庁としても今問題になっておる飛行場提供する必要があるのかどうかということをあらかじめ政府方針として考えておく必要がある。その点が全然ないというのでは、これは全くよその国の手下みたいな格好になっているということを言われても仕方がない。この点もう少しはっきりさせる必要が私は調達庁とし  てもあると思う。  それからもう一つ、先ほど堀君の質問に対してお答えになったようですが、たとえばもう去年の七月から始まっているアメリカの会計年度アメリカ日本に駐留している陸軍費の大幅な削減が四八%も当初の予定というか、要求からみると削られている。しかも当時これは前任者から当然あなた方は引き継いでおると思うけれども、こういう陸軍費の削減という問題が、調達庁として一方ではいろいろな調達の業務を担当していると同時にその調達が解除したりするような場合に起ってくる労働問題、労務対策、こういう点にも調達庁は当然の責任があるわけです。従ってそういうことになると一体アメリカの会計年度における日本駐留軍労務者に対する最終結論がどう出るかというようなことについて全然つんぼさじきにいるのではこれまたほんとうの調達業務というものはできないと思います。それをさっき調達庁長官予算も全然見当がつかない、概念的なものでも、概略的なものでも向うから全然連絡なしの場合には私はそういうものを要求してもいいと思いうのです。それはまあ向うの戦略上からこまかい数字発表できないとか、こまかい地域の調達云々の問題については基地設定その他の問題についてはこれはまあ秘密に属するから言えないというなら言わなくてもいい。しかしそういうこまかい点ではなくて重要な点、大まかな点、一体本年度最初の計画では一万人程度の首切りをやらなければならないという条件を含んでいたその予算要求からさらに四八%も削られたわけですから、非常にこれは大きな問題である、そういう点について、私はこまかい数字は別としても予算の全貌なり、もしくは外貌なりというものは私は当然日本政府の調達業務を担当している方がそういう点を知らないで仕事ができるはずはないと思うのです。その点については前任者なり、あるいはたしか労務部長でしたか、なるべく早くそういう点については的確な対策を持つために早く連絡をして明らかにするようにいたしますと、こう言っている、この委員会で。ところが今度安田さんは今ごろになってまだ予算なんか全然見当がつかない、——これじゃあなたたちの仕事というものは全然自分の方針意思を持たずに言いつけられるままに、はいそうですか、はいそういたしましょうという格好で、まあ昔のでっちさんがこき使われたような格好の仕事の仕方しかできないと思う。第二点としては一体そういう予算の点はまだわからないのですか。
  51. 安田清

    政府委員安田清君) ただいまいろいろ御発言がございましたが、私先ほどから飛行場の問題について申し上げました点で少し言葉が足りなかった点があったと思います。拡張提供決定したかというふうな御質問を受けましたので、非常に厳格な意味でのお話を申し上げたわけでございます。しかしその大前提となりますこの飛行場に関して日本の国の防衛のためにこれは拡張を考えなければならぬという大方針はきまっておるわけでございます。しかしそういう意味での検討がずいぶん長くなされまして、その結果が現在の状況に現われているわけです。ただ厳格な意味拡張決定したかと言われますと、拡張ということを決定いたしますのは最終的には閣議でおきめいただくという意味のことが非常に頭にあったものですから、そういう意味で申し上げましたわけでございまして、政府として無方針であるということではございません。無方針でこういう問題に取組んでおるのではないのでありまして、国の防衛上どうしても必要であるということからこの問題が取り上げられ、事務的な作業が進んでおるわけでございまして、言葉の足りなかった点がありますればその点は一つぜひ御了承願いたいと、こう思うのであります。  それからただいまの予算の点についてわからぬじゃないかという点は、駐留軍労務者の関係の予算アメリカ側予算の問題であります。この問題については、アメリカ側予算がいかようになりますかということは、駐留軍労務者の解雇その他の問題にも相当の影響があるわけでございまして、常々軍側とは折衝いたしておりまして、先ほどお触れになりました四八%の減というような数字もその点からつかんでおります。しかしこれが即、駐留軍労務者の減少ということにつながらないという点、それでは現実の問題としてどれくらい駐留軍労務者が減るのかという問題について常に向う側と連絡をし、交渉いたしておるわけでございますが、予算の面からだけではこの問題が向う側としても見当がつかない。いろいろな観点から、たとえば今回の軍の配置転換というような問題についても、やはり若干の人数の減少なり、あるいは異動というような点があるかと思いますが、軍側予算の削減ということが郡、駐留軍労務者の減少ということに直結的にはつながらない。ことに予算が、よく私もその点わかりませんが、極東軍といいますか、日本におりまする駐留軍に対します予算のつけ方というものは年度の途中においてもやはり増額されるというような点もあるようであります。そういう点から駐留軍労務者に関連いたします減少その他の数字というものは、やはりここにその具体的な事案に関しまして連絡をいたしまして、そうしてできるだけじかにつかみたいというようなことで努力をいたしております。年間どれくらいという大まかな数字で概算いたしますときには、今申し上げましたようなつかみ方で話ができるわけでございます。具体的にそれが実現化していきますときにどうなるかという問題につき検しては不断の連絡と交渉ということによってこの数字をつかんでいくというような現状でございます。
  52. 千葉信

    ○千葉信君 まあ基地提供するかしないかということの最終決定がどこでなされるか、また私どもの質問に対して調達庁長官が答え得る限界というものは私どももわかってきております。ただしかし私どもここでお尋ねしておきたいことは、最終的には内閣できめる、きまったかと聞かれたら、その点についてはさっきのような答弁をした、その点はよいと思います、それで。私は調達庁長官としては一体伊丹飛行場拡張の問題についてどういうお考えを持っているか、これをはっきりさせていただきたいと思います。  それからもう一つ、そのアメリカ陸軍費が削減されたそのまんまが駐留軍労務者の雇用の関係に響いてくるのではない、——これは当然だと思うのです。しかし四八%という削減は、これはだれが考えたって常識上ずいぶん大幅な削減で、それがまるまる響かないまでも相当な影響があるということは、これははっきりしていると思う。その点については前の委員会でもそうだというあなた方の方の答弁になっております。その当時はっきりしておりましたことは、アメリカの会計年度のちょうど一年間における五千人の平均人員の削減だ、一年間の平均人員の削減が五千人ということになると、当然この結果としてはその最終日にはおよそ一万人に上る削減ということになると思います。この点について、一体そういう数字がさらに予算の削減ということによって上回るはずだが、上回るとすれば、これは調達庁としても無関心な態度はとれない。相当それに対する善後策も考究しなければならぬはずだ。そういう問題がなくとも、たとえば兵庫県あたりでは、労働時間の短縮云々の問題をめぐってトラブルが大へんなんです。そこへ持ってきて、さらに首切りだ。そういう事情にあるとすれば、私は調達庁としても、もちそろそろはっきりした数字をうかんでいるころだと思ったのです。先ほど第一騎兵師団の問題に言及されましたが、ゆうべ私が現地から得た新しい連絡によりますと、最初八戸の騎兵師団は撤退するとか、そこにとどまらないとか、こういう方針であった。途中でひっくり返った。ところがまた、騎兵師団は、第一騎兵師団は撤退するという方針現地でははっきり向うさんの方から、向うざんの口から現地の労働者の諸君に伝えられておる。しかもその地域はどことどこだということもはっきりしておるのです、ゆうべの連絡では。そういう点なんかもどうも、まあこれは質問の範囲であなたがお答えになったからそういうことになったのかもしらぬけれども、どうも調達庁はそういう変転する状態等について向うとの連絡が十分じゃない。設定するときばっかりやいやいとこき使われて、設定してそうして跡始末を要するような事態が起る起らないという状態に対しては、全然つんぼさじきに置かれている。まさかそんなことはないと思うけれども、それじゃ困る。第一点をもう少し具体的にあなたの考えている方針を承わっておきたい。それから第二点については、もっと積極的に向うの方針を知る必要があなたの職責上あると思うし、調達行政をやるためには当然必要だと思うし、向うもその義務があると思うのです。特にそのあなたの担当する仕事の一つとしての調達庁の労務対策について、一体本年度内に、アメリカの会計年度内に、どういう状態になるのか、予算の関連もさっき申し上げたように、あると思うのです。もう少しはっきりあなた知っていなければならないし、知っているはずだと思うのですが、どうですか。
  53. 安田清

    政府委員安田清君) 労務の問題に関しましては、先ほどお話がございましたその四八%減というのは、昨年の予算よりも四八彩が下ったわけじゃなくて、要求に対しての四八%ということであったわけでございます。御承知通りかと思います。そういうような観点から、人数の削減ということについての情報と思いますが、私とるべく不断に努力を続けておるわけでございます。申し上げましたように、軍側においてさえ、この点がつかめないということで、私も直接陸軍の参謀長にも会い、その点についての確かめもいたしました。計画も立ち次第ともかく知らすということで、軍側としてもなお計画が立たないような状態でございます。と言いますのは、軍側としても、できるだけやはり削減は避けたいということで努力をいたしておるわけでございまして、予算についての追加の要求というようなこともいろいろとワシントンにもやっておるというようなことでもございまして、そういうような点から、やはり計画的な会計年度内の全体の削減数字というものを、まあ幾らわれわれとしましてもつかみたい、——その点については連絡が足りない、交渉が足りないという御批判がございました。今後とも努力を続けてつかみたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 おしまいの方はどうですか、伊丹飛行場拡張についてどういうお考えですか。
  55. 安田清

    政府委員安田清君) 伊丹飛行場に関しましては、申し上げました通り、五カ所の飛行場というものを第一次に考えておるわけでございます。それに次ぎまして伊丹飛行場ということが国の防衛上必要であるという観点から、引き続いてこれを取り上げたい、こういうふうに考えております。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 五カ所、これは五カ所上げなくてもいいのですが、五カ所のうち三カ所、二カ所というような分け方か、もう一ぺん正確に願いたい。新潟あとの二カ所のうちに入っておりますか。
  57. 安田清

    政府委員安田清君) 申し上げましたのは、五カ所のうち二カ所と三カ所と分けたというのは、先ほども申し上げました通り拡張をすでに決定したかという御質問に非常に厳格な意味で申し上げたわけでございます。従いまして閣議決定のありました小牧立川、横田というものと、閣議決定がございません二カ所を分けたわけでございます。しかしこれは同列にわれわれとしては考えているわけでございます。そういうようなことで当然この五カ所については第一次的に国の防衛上どうしても必要であるということで拡張という線で物事を進めているわけでございます。ただ厳格な意味においてこれは拡張決定したかとおっしゃいますと、閣議決定のありました三カ所、あとの二カ所は未決定ということになるのです。その点言葉が足りませんで誤解を招いて大へん恐縮だと思いますが、御了承願いたいと思います。
  58. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 厳密な意味新潟木更津とは側壁なり所定の予定を、下準備ができて閣議決定まで至っておらぬという、まあ御説明だと思うんですが、意図はわかりました。別な機会に衆議院その他で、参議院でも御答弁ございましたか、はっきり覚えておりませんが、五つのうち一つはあるいは取りやめになるかもしらんという意味のことを速記録がついておりましたか、新聞でございましたか、こういうふうに言われたことは間違いない。そこでまあ今の答弁と関連して聞くのですが、新潟なり木更津なりは、あるいは測量なりその他従来の福島さんの言葉で言うと、青写真をとるなり、計画を具して閣議決定ということにまでは至っておらんから、あるいはこれは何というのですか、論理だけを申し上げるわけですが、新潟木更津については閣議決定に至らんこともあるかもしらん、こういう意味なのでしょうか、その辺をもう少し願いたい。
  59. 安田清

    政府委員安田清君) そういう意味ではございません。
  60. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではどういう意味なんですか。これは福島さんであったか、あるいは担当大臣であったかしりませんが、五つのうちの一つはあるいはやめるかもしらん、こういう意味答弁がどこかで確かにございましたが、それはどういう意味なんでしょうか。
  61. 安田清

    政府委員安田清君) ただいまのお話は多分西田前労働大臣がおやめになる直前に新聞記者におっしゃった話だろうと思うのです。それで立日時非常に実は問題になりましたわけでございます。西田労働大臣みずからその点は否定をされております。否定というのは冗談を言ったんだということで、冗談とはふまじめだというようなことで、だいぶおしかりもたしかあったと思います。そういう意味でございまして、政府として一カ所二カ所とりやめるということを考えているわけではございません。
  62. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 西田労働大臣、これは個人の発言じゃなかろうと思うんですが、まあそれを今からここで責任追及をしようとは思っておらぬのですが、調達庁長官としての安田さんにお尋ねをしているわけですが、政府方針としては、合同委員会でのあるいは要請もあって、五カ所を拡張したいというあれは持っている、しかし実際問題として、あるいは論理的に閣議決定に至らぬことになる可能性も、これは未定のことですから、全くないわけではない。こういうことには、それは言いにくいかもしらぬが、実際問題としてそういうこともあり得るということは言えませんか。
  63. 安田清

    政府委員安田清君) 実際問題としてはそういうことはあり得ないと思います。
  64. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではまあ西田労働大臣の名前も出ましたし、思い出すのですが、西田労働大臣は、基地が原爆基地になるのではない、拡張される五つ飛行場なり、あるいは残ると言われた十の飛行場が原爆搭載機の発着する基地になるのではないかという非常な心配が国民の間にある、従って各基地ごとに原爆基地には使用しないのだと、こういう協定を作るということも考える、こういうことを、これも新聞記者にですが、言われた。だからそういうことは調達庁として考えられておるかどうか。まあその当時調達庁なり労働省の中で検討されたのかどうかは知りませんが、今そういうことが検討し得るかどうか。あるいは、いや、あれは原爆基地には使用しないのだ、こういうことなのですか、それとも使用するというのですか。西田言明に関連をして安田さんに一つお尋をしたいと思います。
  65. 安田清

    政府委員安田清君) 原爆の問題に関しましては、外務大臣、総理からたびたび国会で御発言のありました通りでございまして、われわれといたしましては、その飛行場が原爆の基地になるというようなことは毛頭考えておりません。
  66. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 なるということは考えておらぬ。ところが問題は保障がほしいというのです、私どもは。そこで西田さんは個々の基地ごとにそういう契約をとる方法もあると、こういうことを担当大臣として重大な示唆をして下さったのですが、そういうことが考えられるかということをあなたに今尋ねておるわけなんです。というのは、これは名前を言うてもかまいませんが、日本の軍事評論家、背の海軍軍令部の有力な参謀であった人が、砂川、新潟小牧などは大型機が、たとえばB57などが離着陸の目的だと思い込まれておる。しかし今日では戦闘機も小型原子兵器を積んで行ける。あるいは積んで行けるということは、アメリカのネバダの実験によっても確認されておるし、それからF86ジェット戦闘機がそれに充てられる機種であることも米空軍当局も認めておる。それで日本の今問題になっておる基地拡張に関連して、原爆搭載機の戦闘機はスピードも一そう早められておるし、爆弾の重量のために長い滑走路が必要になって、これこそが滑走路拡張の直接的な理由と言うことができると、はっきり五つなりあるいは十なりですか、その基地拡張と、それから原爆搭載機の発着とは関係があると、これはまあその道の専門家が言うておるわけなんです。従ってただ鳩山さんやあるいはあなたたちがその点についてはしろうとですが、いや、あれは原爆基地にはしないのだと、こう言われても、保障がない限りは私どもは安心するわけにはいかぬ。それだけに、保障の点についてお考えになっておるか、あるいはその具体的な方法について、かつて西田労働大臣が示唆された重大な示唆をどういう工合に調達庁として考えられるか、こういうことをお尋ねしておきます。
  67. 安田清

    政府委員安田清君) 原爆の問題については、申し上げました通り、国の最高責任者であらせられます総理がはっきりと保障されておるわけでございまして、それ以上の保障はないものと考えます。
  68. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 総理の保障は、この間のお話じゃございませんが、きょうの本会議でも言われたように、常にひっくり返る、残念ながら。何と言うか、法上の保障と言うか、協定上の保障と言うか、何かなければ、これは口だけでは、憲法は改正いたしませんとあれだけ言っておられた吉田さんが、しまいには憲法改正の態勢を整えられたわけです。言葉だけでは保障ができないから、そういう保障について、せっかく前大臣が示唆された保障の方法を調達庁お考えになりませんか、あるいは検討してみるというお考えはないかということを重ねてお尋ねいたします。
  69. 安田清

    政府委員安田清君) 申し上げました通り、総理がはっきりとおっしゃっておる以上、われわれといたしましては、今何か御示唆のございましたこと私よくわかりませんが、そういう必要はないものと思います。
  70. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あるから、まじめに考えたらどうだと言うのです。
  71. 安田清

    政府委員安田清君) その必要はないと思うわけでございます。
  72. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあそれは押し問答になりますから、もっと、それじゃ大臣なりあるいは総理なりを呼んでお話をしなければ話になるまいと思う。ただ安田長官、何と申しますか、態度はなはだ不遜だというか、あるいはまじめに検討したらどうかと言うのに、頑迷な態度はなはだ遺憾に思います。それだけ申し上げて次に移ります。  国防上必要だということを安田さんも先ほどから言っておられる。米軍の要望によって云々というのじゃなくて、日本の国防上必要云々ということの発言が福島長官によってなされて、衆議院の予算委員会あるいは内閣委員会でも問題になったのですが、そのことを今申し上げておるわけではない。論理的に日本の国防上必要だということで基地拡張する、あるいはそうして日本の国民の土地を取り上げる云々ということであるならば、あるいはどこを必要とするのかしないのか、あるいはどこの所有土地を使うかどうかと、こういう国民の権利義務に関連をいたします問題は、法律あるいはもっと国会の承認を求め、国民の承認を求める方法でやらるべきではないかと思うのですが、その点については国防上必要云々と言われる安田長官はどうお考えになりますか。
  73. 安田清

    政府委員安田清君) 御質問の趣旨は少しわかりかねるわけでございますが、国防上必要であるということであります場合、もちろん駐留軍に対する施設提供という形でこの問題が解決していくわけでございます。実現していくわけでございます。従いまして現在ございます法律でこれをやっていくことに差しつかえないのだと、こういうふうに思うわけでございます。
  74. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の議論はさっき私の説明を十分聞いておられぬからそう言うと思うのですが、具体的にもう少し論議をしなければなるまいから、時間の点で次の機会に譲ります。  こまかいことを承わりますが、去年最初五カ所拡張の際に大型ジェット機発声のために九千あるいは一万フィートの滑走路が必要だと、こういう説明を福島前長官はおっしゃいました。ところが立川飛行場拡張に関連をして、これは訴訟でですが、政府から立川飛行場は七千五百フィートあればよろしいんだ、こういう答弁書が出て参った。そしてその後七千五百を立川側へ千でしたか、立川側と、それから砂川の方に、つまりこれは柵の中ですが、拡張しない柵の中ですが、若干拡張をして、それで砂川の方について拡張をしなくっても七千五百の滑走路ができるような設計といいますか……設計ができておるかどうか知りませんが……工事がなされておる。答弁計には七千五百あればよろしい、こう書いてある。そうすると七千五百柵の外に、砂川の方に拡張する必要がなくなったのではないかと考えられますが、この点はどうですか。
  75. 安田清

    政府委員安田清君) 立川飛行場の滑走路を七千五百に延ばすということでございますが、今のお話で、現在の基地の中でとれるじゃないかという御質問かと思いますが、それは絶対にそうはいかないのです。ただ、今の御疑念が出ましたのは、七千五百というのは滑走路の長さであります。その前後にいわゆるオーバー・ランというものが必要なわけでありますから、おそらくそれを除外されてお考えになったんじゃないかと、こういうふうに考えます。
  76. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その通りです。その通りですが、最初の話は砂川側に拡張して、そうして滑走路の地点もとると、こういう話でした。ところがその後立川市側なり、それから中で滑走路七千五百がとれる、これは御否定になるまいと思うのですが、その後の、現に行われている工事なりあるいは立川側で拡張された滑走路の部分で、柵内で、今までの拡張しないところの欄内で、七千五百とれるということは否定なさらぬと思う。そうするとあれだけ青写真をとるために測量をさせてもらう、人の土地に入って頭を下げて測量をさせてもらうにしては、何と手荒な測量であったかと思うのですが、それは抜きにして、滑走路拡張用地を測量するということでしたが、その後の実際は柵の中で七千五百とれるということが明らかになったんじゃないかということを申し上げたのです。
  77. 安田清

    政府委員安田清君) 柵の中で七千五百フィートがとれるかどうか、私はそうは考えておりません。そして今お話のありましたことについては、砂川の方に延ばすということは、あすこの飛行場を滑走路七千五百フィートの飛行場にするためには絶対に必要であるという現実は、今でも変っておらぬ、こういうふうに考えます。
  78. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 絶対にいかぬと、あそこの中で七千五百とれているという事実も御否定になりますか。
  79. 安田清

    政府委員安田清君) やはりあすこの中で滑走路が七千五百とれている事実はないと思います。
  80. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 とれている事実はないといっても、私の調べたところでは、あると信じておるので、調べなくても絶対にないというのか、それとも調べますか。
  81. 安田清

    政府委員安田清君) 申し上げました通り滑走路の前後にオーバー・ランというものが必要なわけであります。
  82. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 オーバー・ランを抜きにしての話だ。
  83. 安田清

    政府委員安田清君) あの中で七千五百の滑走路はとれない。
  84. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そのオーバー・ランとかあるいはクリアランス・ゾーンの話をしているんじゃなくて、滑走路それ自身七千五百あそこの中でとれるか、とれてるじゃないかという話をしているんです。検討をしていく意思もありませんか。
  85. 安田清

    政府委員安田清君) あすこの中で滑走路が七千五百とれているとは考えられないわけでございます。補助滑走路といいますか、ただいまのオーバー・ランというものがあるわけでございますから、どうしても滑走路といたしましては柵内ではおさまらないわけでございます。
  86. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それからさっきの伊丹のあれに関連をいたしますが、この委員会でもずっと前、安田さんが長官になる前に、福島長官の時代ですが、基地問題が論議されました場合に、この委員会の公正な意見を吐く方にしても、あるいは先般衆議院の内閣委員会が板付の基地調査等もいたしましたが、個人的には保守党の中でも市内にある軍用基地はこれは移転すべきであろう、こういう意見を述べられております。個人的には閣僚の中でさえそういう意見を述べる人もあります。これは最小限度常識だろうと思うのですが、そこで伊丹の問題についてはきまったようなきまらぬような話をされますが、板付、伊丹についてあるいはその他市内にあります基地拡張については、これを取りやめるべきだと、あるいはその移転について努力をすべきだと考えられないものか、安田長官の何といいますか、四角四面な答弁ではなくて、良心的な一つ答弁を願いたいと思います。
  87. 安田清

    政府委員安田清君) 板付の飛行場の移転という問題に関しましては、この前も暮のこの委員会で申し上げた通りでございます。現実の問題として、あれだけの飛行場にかわる飛行場というものはまず見つからぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  88. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 伊丹と板付と一緒にして、関連して、今お話を申し上げて尋ねたわけですが、空軍司令官でさえかわりがあったらこれを考えましょうということを言っておるわけですが、市内の基地は移転すべきだという常識について、どういう工合にまあ考慮されるか、耳を傾けられるか、四角四面なお答え、あるいはあすこにあるのだから考えにくいという立場を超えて、何と申しますか、個人ではないという常識に対して、どういう工合に耳を傾けられるか、あるいは可能であるならば、あるいは移転先があるならば、移転もこれは不可能ではないという工合に考えられるか、重ねて御答弁を願います。
  89. 安田清

    政府委員安田清君) 市内にある飛行場は移転ができるかできないかという問題になりますと、これはその飛行場が持っております使命を果し得る別の飛行場があり得るかどうかという点にかかってくるわけでございます。そういうことから、その飛行場の持っております使命を十分に果し得る他の飛行場というものがあり得るなら、これは考えられるわけでございますが、そうでない限りこの問題は考えられないというふうに思います。
  90. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 高射砲陣地の増設問題が板付で起っているのですが、これについてはそういう計画はないと申しますか、調達庁というか政府で一応断わられた形になっておりますが、その後あのマックノートン書簡にも出ましたように、三沢、小牧等についても小さいあれではありますが、やっぱり問題があるということを感じます。あるいは板付についてさらに千フィートですか、拡張をしたいという、これはどういう筋を通って伝えられたかわかりませんけれども、そういう希望があることには間違いない。そこでそういう全体の全国の基地について増強の計画がどの程度あるのか、あるいは計画といいますか希望が……。それに対して調達庁というか、政府としてどういう態度で臨んでおられるのか、これより以上の拡張については応ずる意思がないということであろうかと思うのですが、その辺の態度をはっきり一つ承わりたいと思います。
  91. 安田清

    政府委員安田清君) ただいまの板付の飛行場を延ばすという話が先般衆議院の方々がお見えになったとき現地で出たというような報告を、私の方も局から受けておりますが、こういうことについては全然今までも話がないわけでありまして、われわれといたしましてはたとえそういう要求が出ましても、これをどうするかというような問題は当然考えられないというふうに思っております。ほかの問題に関しましても、先ほど申し上げました通り、国の全体の防衛から、緊急不可欠というもの以外に、われわれとしては処理をするつもりはないわけであります。従いましていろいろの要求がありといたしましても、そういう観点から考え、なおそれの及ぼします影響その他も十分に考慮をいたしてこの問題が処理されるもの、こういうふうに考えております。
  92. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、他の地点についても高射砲陣地の増設等に応ずるあれはない、それから飛行場の数をふやしますとかあるいは飛行場の滑走路を拡張をするというような要請があるとも思われぬが、あるとしても、日本政府としてこれに応ずるつもりはない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  93. 安田清

    政府委員安田清君) 高射砲の陣地について必要がないということを申し上げたつもりはございません。申し上げました通り、必要な所はやはり提供しなければならぬ、こういうふうに考えております。ただ板付の問題に関しましては、われわれといたしましてこの問題については取り上げないという態度をきめたことは、この前の国会で前長官が申し上げた通りでございます。その他の問題に関しましては、具体的なものが出て参りましたときに政府部内において十分申し上げましたような観点から検討をいたしまして、そうしてそのときの判断によってこの問題はきまるもの、こういうふうに考えておりまして、私がここで一人でどうこうという問題じゃないと、こういうふうに考えております。
  94. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 福島長官のときに五つ、それから拡張を必要としない他の五つ、十のほかは返還をするんだということでした、ところがなかなか返還にならなくて、ようやく年を越して、たとえば築城の飛行場あるいは大高根の射撃場、どちらかと申しますと問題があった所からまあぼちぼち返還の話があるようであります。ところがその返還に当っては、前に言明せられた方針は、これは一応国民に返す、そして自衛隊が使うか使わぬかはそのあとの話で、一応所有者に、土地で強制的に取り上げたものは、これは戦争中のものもありますがという話でしたが、民間の所有地についてはそういうふうにするというはっきりした言明がありましたが、実際に最近の模様を見てみますと、返さないで何とか保管というのですか、大高根伊丹なんかでもそういうあれのようですが、米軍で保管をしている、こういうことで、そのうちに自衛隊に渡す、これは転貸という形で、法律上の関係から言うと別ですが、転貸という形になると思うのですが、築城の場合のごときはそういう返還をしないで自衛隊がそのまま使うという形がきそうであります。これは従来の言明、約束と違うのです。どことどこが返される運びになっておるのか、あるいは返される予定なのか、返す場合は従来の言明のように、戦争中を含めまして、取り上げたものについては民間所有者に返す、こういう態度を貫ぬかるべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  95. 安田清

    政府委員安田清君) 五カ所の飛行場拡張ができ、拡張を要しない他の五カ所ばかりの飛行場は、将来日本の空を守る飛行場になる、その他はできるだけ返してもらうということは、前長官が申し上げた通り、そういう方針で進んでおると申して間違いない、その当時四十カ所と申上げましたのは、先ほど申し上げましたように四十……三十六カ所かになっておるかと思います。逐次そういうふうに返還になるわけでございます。返還になりますれば、いわゆるわれわれの方が民間の土地を借り上げておりますのは、もとの所有者にお返しすることは当然でございます。
  96. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 借り上げの話ではありません。借りているものは返すのは当り前です。借りているものではなくて、取り上げたものだ、と申しますか、あるいは収用したものはもちろんですが、そうでなくて、築城のごときは、前からの、戦争中の陸軍が使ったと思うのです。今問題になります飛行場は、ほとんど終戦直前というか、戦争末期になってその当時の陸軍の構想からいえば、日本に近接した敵の艦隊に特攻をやるために小さな飛行場を作った、それを取り上げて米軍が使っておるという実情です。だから飛行場を作るときには、多くの農民の土地を取り上げて、そして使ったことは間違いございません。福島長官の言明は借り上げという……借りているものは返すのは当然の話です。そうではなくて、米軍が使っておった飛行場については、国の土地は別問題として、民間、私人からとったものについては一応返す、そしてそのあと自衛隊で使うかどうかは別の関係、法律が違うのだから別の関係だ、こういうことをはっきり言われた。その点を私は尋ねておるのです。
  97. 安田清

    政府委員安田清君) 現存提供いたしております飛行場土地そのものが、民間のものであるか、または国有地であるか以外にはないと思います。公有のものもあります。今お話に出ました築城は国有地であります。国有地でございますので、返りますと大蔵省の方に国有財産になって戻るのは当然であります。
  98. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはまあ多少法律論もありますけれども、借り上げは問題はない。形の上では今国有になっているかもしれないけれども、それは、民間のものを取り上げたものについては一応返すべきではないかということを申し上げたのです。それから米軍から返したら、国かあるいはその国を越えて取り上げたいきさつもあって、民間に返すかどうかというものを検討して、そうして自衛隊なら自衛隊で使うのはそのあとの関係である、こういうことを申し上げているのですが、戦争中といえども、農民から無理をして取り上げたものについても、農民に一応返すということを考慮されるのかどうか、その点重ねてお尋ねします。
  99. 安田清

    政府委員安田清君) この問題については調達庁の所管の外でございます。
  100. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 吉田君、今防衛庁の予算説明がありますから、なるべく簡潔に一つお願、いいたします。
  101. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 調達庁の所管の外、それはまあ厳密にはそうかもしれませんけれども、提供をして、それから返されるときには調達庁が任務として仕事をするわけであります。土地を返すか返さぬかというときに、調達庁の任務の外だ、そんなべらぼうな話はない。
  102. 安田清

    政府委員安田清君) お話しのございました土地国有地でございますので、調達庁はこれを国有地といたしまして大蔵省に返すわけでございます。そのあとの処置のことを今おっしゃったので、調達庁の所管の外であると、こういうことを申し上げたのであります。
  103. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 築城の点はあるいはそうかもしれません。大蔵省に返して、それから地元民がもとの農地として返してくれ云々ということを大蔵省に言うべきかどうかという点もありましょう。しかし築城だけではありません。その他の点もあるわけですし、関係からいって返すときには、一応それぞれの、何と申しますか、関係者に返して、それからもとの話だという言明をされてきましたから、私は言明されなくても当然のことだと思うのですが、そろそろ返還の問題が起って参りましたから、調達庁としてはその辺でさばいて、民間に返せるものは民間に返すというあっせんと申しますか、手配をすべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  104. 安田清

    政府委員安田清君) 福島前長官飛行場の整備に伴って、不要になる飛行場は返してもらうとおっしゃったのはその通りでございます。返してもらうということは、いわゆる施設区域かうはすして、日本側の手に戻ると、こういうことであります。われわれの方が現在提供いたしておりますものには国有地かまたは民公有地以外のものはないわけでございまして、民有地なう当然所有者にお返しをするわけでございます。国有地については申し上げました通り国の行政機構に基きまして大蔵省所管に戻す、これ以外の方法は考えられない、その中間のものというものはないというわけであります。
  105. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 国有地にいたしましても、たとえば土地収用したものについては被収用者に返すという点もありましょう。それから国有地に返ってから、それから先は大蔵省の仕事だと、こう返してから先のことはおれは知らぬということになるから、それについては接収したものについては調達庁も返るようにすべきだろう、あるいは旧陸軍時代の点まで申し上げるから、あとはまあそれはおれの知ったことではない、大蔵省に言っていけと、こういうお話しですが、一応日本に返ってきた場合に、それかう先のあっせんというものを調達庁としてはできるだけするということは、それは何と申しますか厳密な権限問題からいえば、先ほどのような民有地とあるいは国有地ということになりましょうけれども、返ってきたもののあとの処置については、できるだけのことはするというのは、調達庁の任務ではないか、こういうことをまあ申し上げているわけであります。
  106. 安田清

    政府委員安田清君) お話しのありましたようなことは調達庁の任務であるとは考えておりません。
  107. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がなくなりますから先へ参りますが、けしからんと思うのだな。たとえば収用なんかしたものについてもそれはおれの知ったことかと、こういう態度は、これは何というのか、木で鼻をくくったような話だと思うのですが、またの機会にいたしましょう。これは徳義上も取り上げたものについては返るように、それは大蔵省がやるか調達庁がやるか当面の責任は別問題にして、私は考えるのが当り前だと思うのです、国の機関として。  それからもう一つお尋ねをいたしますが、砂川その他で協力謝礼金と言いますか、そういうものをきめられた、その支出について旧年末、会計検査院等では補償ではないそういう金が出るはずはないと、こういうことを予算委員会あるいは衆議院の法務委員会ですか、等でも言ってこられたわけですが、その点について、その後どういう工合に会計検査院その他について、何と申しますか打ち合せがなされたのか。それから現に砂川についても、いわゆる条件派と言われる人の中で補償にならないために、たとえば家を建てるのに借地をしておる、その他のそういう所有者でない人については、割合に、何と言いますか、金額が利益的といいますか、いいけれども、所有者には悪いということで、いわゆる条件派と言われる人も拒否をしておるということを聞いております。ということは、やっぱり補償でないから、根拠のない協力といったようなものに金を出そうとして、崩そうとするから、まともにできない。まじめに補償というものを考えないで、そういうことをきめるから拒否に会うのだと私は思うのですが、法的にもそれから実際の点からいっても、最初の構想は失敗をしておると思うのです。法的な関係あるいは運用からいって、考え直される余地はないかどうか、その点一つ伺いたいと思います。
  108. 安田清

    政府委員安田清君) 協力謝金については違法の措置であるとは考えておりません。御質問のごさいました会計検査院といかなる打ち合せをしたかという御質問でごさいましたが、会計検査院との打ち合せは別にいたしておりません。ただ砂川その他におきまして謝金の問題について考え直す気持があるかということでございますが、われわれといたしましては、政府の意図しますこの飛行場拡張というものを、できるだけ早く円満にやりたいということで謝金の制度を考えております。この制度で問題の解決を期したい。こういうふうに考えております。
  109. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それじゃ会計検査院との答弁は食い違って参りましたから、別な機会に会計検査院と御同席の上でその点を承わりたいと思いますので、委員長あと委員会運営を、さようの取り計いをされることを希望して、その点は終ります。  以上の基地関係について質問を申し上げました際に、安田長官答弁、きわめて何と申しますか、不まじめと申しますか、不誠意で、はなはだ私は不満に思います。時間がございませんから他日の機会にすることにして、不満の意だけを強く表明いたしておきます。  最後に、先ほど千葉さんから質問がごさいましたが、明らかになりませんから要望をして、別の機会に一応表明を願いたいと思うのですが、駐留軍労務者、労働者が今後どういう工合に推移するのか、それに対して政府としてはどういう対策を立てておるのか、あるいは立てるのか、こういう点についてはどうなるのかわからぬからおそらく立っていないだううと思いますが、前にも、前長官のときにも申し上げましたが、国の方で立ててくれぬから労働者が、あるいは労働組合が自分で職業補導をやっているような実情で、おまけに、たとえばこれは予算委員会の際でしたか、福岡、佐世保で大量の整理があるということを聞くがと言ったら、福島長官はそのときに、佐世保は海軍で、福岡は空軍で吸収をするということだから御心配は要りませんと、こう言われましたが、その後数次にわたって出て参っております。その点は大へん遺憾に思いますけれども、まあ責任を追及してもしょうがないと思いますから十分この見通しと、それから至急対策を立ててもらいたい。職業補導にいたしましてもあるいは就職のあっせんにいたしましても、その他につきましても、十分に対策を立ててもういたいと思うのですが、そういう点について説明を期待したいと思います。いつごろできますか、それをお聞かせ願いたい。  それかう一つだけお尋ねいたします。福岡で保安解雇ということが行われた。板付で十八名、それから直傭を含めまして二十二、三名だと思いますが、歌声運動に参加した云々のようなことですが、報復といいますか、組合活動に関する弾まの疑いが非常にありますが、私生活において歌を歌った歌わぬといったような問題は、私は解雇の原因にはなうぬと思いますが、どういう工合に聞いておられるか、これはあるいは聞いておられぬかもしれませんけれども、私生活なりあるいは組合活動をやったということが、保安解雇の理由にはならぬと思うのですが、これについて長官の所見を承わりたいと思います。
  110. 安田清

    政府委員安田清君) ただいまのお話は、私まだよく存じておりませんので取り調べてから答えをいたしたいと思います。
  111. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それから前のやつは……、一般的な……。
  112. 安田清

    政府委員安田清君) 一般的な問題の労務者の減少推移の問題については、先ほど申し上げましたような状態で、現在までやはり長い期間にわたる計画といいますか、減少の数字というものがつかめない状態でございますかう、今後なお努力をいたしたいと思います。
  113. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 対策もつけて……。
  114. 安田清

    政府委員安田清君) 対策の方につきましても次の機会に十分御説明をいたしたいと思います。
  115. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に質疑もなければ本問題に対する調査はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  116. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、昭和三十一年度防衛庁関係予算に関する件につきまして防衛庁から御説明を願います。
  117. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 昭和三十一年度防衛庁関係の予算案の概略につきまして御説明申し上げます。お手元に昭和三十一年度防衛予算案の大要という資料が配付されているかと存じますが、この資料に基きまして御説明申し上げます。これをごらんになりながら一つお聞き願いたいと思います。  まず最初は定員が掲げてございますが、左側に陸上自衛隊以下調達実施本部に至る各機関別に昭和三十一年度の定員を自衛官と非自衛官に分けまして、これを昭和三十年度の下算定員と比較してさらに表が出ておりますが、この表の昭和三十一年度の一番下のところをごらんいただきますと、昭和三十一年度におきまする防衛庁関係の予算定員は自衛官におきまして十九万七千百八十二名、非自衛官におきまして一万七千八百二十二名計二十一万五千四名でございまして、これを昭和三十年度の合計定員十九万五千八百十一人に比較いたしますと、一万九千百九十三名の増加と相なっております。  その主なるものをこの表につきまして御説明申し上げますと、まず陸上自衛隊におきましては、昭和三十一年度は自衛官十六万名、非自衛官二万二千二十名、計十七万二千二十名、昭和三十年度が自衛官十五万名、非自衛官一万一千六百五十八名、計十六万一千六百五十八名でございますので、差し引きいたしまして、自衛官において一万名の増員、非自衛官において三百六十二名の増員、合せまして二万三百六十二名の増員と相なっております。次に海上自衛隊におきましては、昭和三十一年度における自衛官の定員は二万二千七百十六名、非自衛官千三百四十五名、計二万四千六十一名でございまして、昭和三十年度における自衛官一万九千三百九十一名、非自衛官九百九十七名、計二万三百八十八名に比較いたしまして、自衛官におきまして三千三百二十五名、非自衛官におきまして三百四十八名、合計三千六百七十三名の増員と相なっております。次に航空自衛隊におきましては、、昭和三十一年度における自衛官は一万四千四百三十四名、非自衛官が千八百六十六名、計二万六千三百名でありまして、昭和三十年度が自衛官一万三百四十六名、非自衛官千百五十九名、計一万一千五百五名でございますので、前年度に対比いたしまして、自衛官で四千八十八名、非自衛官で七百七名、計四千七百九十四名の増員と相なっておるわけでございます。  次に二枚目に予算額が出ております。予算額のうちまず歳出予算でございます。歳出予算もこの表にございますように、陸上自衛隊以下各組織別に三十一年度の金額を現態勢維持分と増勢分に分けまして、三十年度のそれと比較いたしております。一番最後の計の欄をごらん願いますと、昭和三十一年度におきましては、陸上自衛隊以下調達実施本部まで含めまして総額千二億円でございまして、うち現態勢維持分が七百七十三億九千九百万円、増勢分が二百二十八億円でございまして、三十年度予算総額が八百六十八億百万円、その内訳が、現態勢維持分六百一億八千四百万円、増勢分二百六十六億千六百万円でございますので、差し引きいたしまして、現態勢維持分におきまして百七十二億千五百万円の増額、増勢分におきまして三十八億下六百万円の減額、差し引きいたしまして百三十三億九千九百万円の増額と相なっておるわけでございます。このうち陸上自衛隊におきましては、昭和三十一年度は現態勢維持分、増勢分合せまして五百三十九億六千八百万円でございまして、昭和三十年度が五百三十二億四千七百万円でございますので差し引きいたしまして七億二千百万円の増額でございます。海上自衛隊におきましては、昭和三十一年度が二百二十八億五千四百万円でございまして、前年度昭和三十年度が百九十億千二百万円でございますから、差し引きいたしまして三十八億四千百万円の増額でございます。航空自衛隊については、昭和三十一年度は二百億二千万円でございます。昭和三十年度が百十八億千七百万円でございますから、差し引きいたしまして八十二億二百万円の増額と相なっております。  次に国庫債務負担行為の分でございますが、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、技術研究所を通じまして昭和三十一年度におきまして国庫債務負担行為の御承認をお願いいたしております金額は、計の欄をごらんいただきますと百四十二億八千二百万円でございまして、前年度が百五十四億八千万円でございますから、十一億九千八百万円の減少ということに相なっております。  そのうちのおもなものにつきまして概略御説明申し上げますと、海上自衛隊の艦船建造費で二十四億四千三百万円の国庫債務負担行為の承認をお願いいたしておりますが、この内訳は新たに警備艦甲型、千六百トン型でございますが、これを二隻建造いたしますのと、それに昭和三十年度において計画いたしました警備艦四隻分の装備関係経費が若干残っております。  航空自衛隊関係におきまして器材費、航空機購入費といたしまして九十九億四千七百万円御承認をお願いいたしておりますが、その内訳は備考欄にございますように、F86の生産関係におきまして七十四億三千三百万円、T33の生産関係におきまして二十五億千四百万円でごいざます。F86及びT33の国産化につきましては昭和三十年度より計画実施中でございますが、昭和三十一年度におきましてはこれにつきまして第二次生産計画を立てておるわけでありまして、後にも資料が出て参りますが、F86生産関係におきましては百十機、T33の生産関係におきましては八十三機の生産を計画いたしております。  次に新しい継続費といたしまして海上自衛隊におきまして艦船建造費総額二十七億千八百万円の計上をいたしてございますが、これは潜水艦の千トン型一隻建造に要する経費でございまして、普通ならば国庫債務負担行為で従来はまかなわれてきたのでありますが、今回の潜水艦につきましては戦後初めての建造でもございますので非常に研究を要します点がありますので、初年度昭和三十一年度におきまして全額の契約をすることがいささか無理でございますので、これを継続費として三年間に分割して計上をお願いいたしたのであります。  次に以上の予算編成の前提といたしました自衛隊の勢力を掲げてございますが、まず陸上自衛隊につきましては先に御説明申し上げましたように、現態勢維持分におきまして十六万一千六百五十八名、増勢分といたしまして一万三百六十二名、計十七万二千二十名という定員を予定いたしております。なおこのほかに定員以外ではございますが予備自衛官八千人の経費要求いたしております。前年度五千人でございましたのが八千人に増員する計画でございます。次に陸上自衛隊の部隊等の増強につきましては、主動部隊といたしまして混成団一、独立特科大隊三及びその他の部隊を編成いたすわけでございます。混成団の配置はただいまのところ東北地方北部を予定いたしております。以上の主動部隊の増勢に応じまして、これに伴う所要の後方部隊、機関、学校等を増加いたす予定でございます。なお今回自衛官の募集を扱っております地方連絡部につきましては現在二十三カ所認められてございますが、昭和三十一年度におきましては二十六カ所新たに増設をお願いいたしまして、これによりまして各府県必ず一カ所の地方連絡部を置くことにいたしたことでございます。  次に海上自衛隊でございますが、定員におきましては現態勢維持分、二万三百八十八名、増勢分が三千六百七十三名、計二万四千六十一名でございます。艦艇につきましては現態勢維持分、すなわち既定計画に基くものが三百八十三隻、トン数にいたしまして九万三千百六十一トンでございますが、新しく計画いたします増勢分といたしまして三十六隻、トン数におきまして六千百四十七トンを計画いたしております。合せまして四百十九隻、九万九千三百八トンとなる計画でございます。この増勢分の内訳が次の五ページに出てございますが、増勢分といたしましては日本側建造予定のもの、米供与艦艇、それと廃船及び解傭による減少を差引いたしまして数字が出ておりますが、まず日本側建造によるものといたしましては、昭和三十一年度予算におきまして新たに警備艇甲型千六百トン型のものを二隻、潜水艦千トン型一隻、小型掃海艇三十二トン型のものを二隻、救命艇三十トン型のもの一隻、油バージ三百トン型を一隻、合せまして七隻を新しく建造する計画を立てております。このほか国有財産における所管換を計画いたしておりますものが、運貨船二百トン型二隻、百トン型五隻、計七隻でございまして、次に米国からの供与艦艇としましては、AMSという型が三百二十トン型一隻、監視艦十六トン型十五隻、小型掃海艇三十八トン型十四隻、計三十隻を予定いたしております。以上が増加でございますが、なお駆潜特務艇を二隻廃船いたしますほか、掃海船六隻を解傭いたします。差引合計いたしまして三十六隻、六千百四十七トンというものが増勢になる計画でございます。  次は海上自衛隊の航空機でございますが、これも米供与にかかるものと日本側調達予定のものと区分いたしてございます。米供与にかかるものにつきましては三十一年度増勢分といたしましては三番目の中型対潜機十二機、一番下のSNBでございますが十八機、計三十機を米供与に期待いたしております。これに対しまして日本側調達といたしましては大型ヘリコプター二機、ベルという小型のヘリコプター二機を予定いたしておりまして、日本側調達四機、合計いたしまして三十四機が三十一年度の増勢分によるものでございます。これによりまして三十一年度末におきましては米供与による百十三機と、日本側調達十四機を合せまして百二十七機という計数と相なったのでございます。  次は航空自衛隊でございますが、定員といたしましては現態勢維持分二万一千五百五名、増勢分四千七百九十五名、計一万六千三百名でございます。航空自衛隊の航空機につきましては次に表が出ておりますが、機種といたしまして実用機、練習機、実験機と分けて合計いたしてございますが、この一番最後の合計欄を御覧願いますと、合計欄の三十年度末の定数が四百十一機、その内訳は実用機というところで七十一機、練習機が三百三十八機実験機が二機でございますが、これが三十一年度末におきましては五百八十二機、その内訳は実用機が百六十八機、練習機が四百十二機、実験機が二機ということに相なるわけでありまして、差引いたしまして、次に定数増加といたしまして百七十一機定数が増加いたします。これにさらに消耗分の更新の六十五機を見込みますと、計二百三十六機というものが増加機数になるわけでございますが、その増加機数の調遠につきましては、うち百十一機を米供与に期待し、他は日本側の購入を予定いたしておるのであります。航空自衛隊の部隊等の増強につきましてはまず第二航空団を編成いたしますほか、第二操縦学校分校、第二航空補給処を新たに設置し、さらに訓練航空警戒隊一カ所を設置する予定でございます。以上に伴う所要後方部隊及び教育機関等を増強することに相なっております。なお高速救命艇三十トン級のもの二隻を建造する予定とい たしております。  以上の予算編成の前提といたしましたMDAP、これはミューチュアル・ディフェンス・アシスタントプログラム(Mutual Defence Assistant Program)を略して私どもこう読んでおるわけでありますが、この米国の相互防衛援助の期待はどのようになっておるかと申しますと、陸上自衛隊におきましては、まず、編成装備品につきまして、陸上自衛官一万人の増勢に伴います新編成部隊の装備品甲類は、従来通り原則としてMDAP期待といたしております。装備品乙類は原則として従来通り国内調達ということにいたしております。弾薬は二万四千トンを予定いたしております。なお施設といたしましては、主として東北地区におきまして約五千五百人分、その他中部地区等におきまして若干の施設の返還を期待いたしております。その他なお若干の演習場及び弾薬庫等の返還も期待いたしまして、これによりまして、陸上自衛隊において使用するということにいたしております。次にMDAPによる米国留学生、これは従来通り自衛隊員を米国に留学いたさせております。引き続きそれが行われるわけでございます。なおAFFE委託教育、AFFEは極東陸軍、アーミイ・フォーシス・フォア・イースト(Army Forces Far East)の略でございまして、極東陸軍に対しまして、従来から各方面の教育を委託しておりますのを引き続きいたします。  海上門衛隊につきましては、艦艇関係におきましてAMS三百二十トン型一隻、監視艇十六トン型十五隻、MSML、掃海艇三十八トン型十四隻、LSSL、上陸用支援艇二百五十トン型三隻をそれぞれ期待いたしております。航空機におきましては中型対潜機十二機、SNBという練習機十八機を予定しております。海上自衛隊におきましては同じくMDAPによる米国留学生を期待しております。なお艦艇の搭載兵器等につきましては、原則としてアメリカからの援助を期待いたしております。  次に航空自衛隊におきましては、航空機のMDAP期待といたしましては、F86、C46、T6を合せまして、定数充足分が七十四機、損耗補てん分が三十五機、このほかに教材用二機で、合計百十一機の供与を期待しております。なお、装備品につきましてはGCA、これは盲目着陸装置、夜間でも天候の悪い時でも着陸できる装置であります。そのほか通信機類その他の装備品を期待いたしております。それから米国留学生の期待は陸上及び海上自衛隊と同様であります。なお、航空基地及び航空補給処の施設返還を期待いたしております。次にF86、T33の生産関係でございますが、F86及びT33の第二次生産を米国のMDAP援助を受けて開始する予定にいたしております。まずF86の生産関係につきましては、第一次計画、第二次計画を合せまして百八十機となっております。第一次計画によりまするのは七十機、第二次計画として予定いたしておりますのは百十機、合計百八十機と和なるわけでございます。この年度予算の計上額につきましては、この表にある通りでございますが、三十一年度分につきましてごらんいただきますと、三十一年度の歳出予算といたしましては、第一次計画に基くものの航空機購入費が十一億五千二百万円、それから第二次計画に基くところの運搬費が一億一千七百万円、同じく第二次計画に基くところの航空機購入費が六億三千万円で、第二次計画といたしましては、合せて七億四千七百万円であります。歳出予算といたしまして合計いたしますと、十八億九千九百万円の計上をお願いいたしておるわけであります。なお、国庫債務負担行為でございますが、第二次計画の航空機購入費といたしまして、七十四億三千四百万円を計上いたしておるわけでございます。次にT33の生産関係でございますが、第一次計画に基くものが九十七機、第二次計画に基きますのが八十三機、合せまして百八十機ということに相なります。この年度予算計上額につきましては、ここに掲げたる表の通りでございますが、この三十一年度欄をごらんいただきますと、第一次計画に基きまして、三十一年度の歳出予算化をいたしておりますものが、運搬費におきまして五千六百万円、航空機購入費におきまして二十一億八百万円、計二十一億六千四百万円でございますが、これに第二次計画分の運搬費三千百万万円、航空機購入費三億六千八百万円、計三億九千九百万円を合せまして、合計におきまして二十五億六千三百万円というものがT33関係の歳出予算でございます。なおこのほかで、第二次計画におきまして、三十一年度には航空機購入の二十五億千四百万円の国庫債務負担行為の計上をお願いいたしたいのであります。  以上が防衛庁の三十一年度予算案の概要でございます。
  118. 松浦清一

    松浦清一君 今日は大体予算の御説明を承わる日程なので、また予算そのものについては予算委員会で御審議になると思いますので、ここで御質問申し上げる筋合じゃないじゃないかと思いますが、ただ、わからないところだけ一、二点ちょっと教えていただきたいと思います。
  119. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) よろしゅうございます。
  120. 松浦清一

    松浦清一君 昨年来たびたび政府のほうで防衛五カ年計画というものを新聞等に発表されておるわけでありますが、今まで私どもの新聞紙上で承知いたしておりまするものは、一九六〇年度までに陸上自衛隊十八万ですか、艦艇が十二万六千トンとか十一万六千トンとか、十五万四千トンとか、あるいは航空自衛隊の航空機が千二百八十六機と最初には発表されておる。その次には千三百機というように発表されておるように記憶いたしておりますが、この防衛五カ年計画というものはすでに閣議で最終決定をしておるものでしょうか。もし、しておりますれば、その内容をちょっと御説明を願って、今年の予算要求されましたのはその第一年度に当るものであるかということを承わりたいと思います。
  121. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お尋ねのございました防衛六カ年計画、または五カ年計画でございますが、これにつきましては、いまだ政府決定はいたしておりません。従いまして、政府として正式に決定されたものはないわけでございます。おそらく国防会議構成法を国会におきまして御承認願うつもりで提案されることと思いますが、その国防会議ができましてからこれに諮問いたしまして、政府としては決定するということに相なろうかと存じます。
  122. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、年次計画ではなしに、三十年度は三十年度としてぷつりと切って、また三十一年度は三十一年度でその年だけの計画でぷつりと切っていく、こういう状態でございますか。
  123. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 政府といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、正式に決定いたしたのでございませんで、そのつど予算におきまして、政府において審議の上、その年度状況決定いたしておるのが真和でございます。
  124. 松浦清一

    松浦清一君 きょうは概略のことを承わるだけで別に究明的な気持は一つも持っておりません。  それから防衛庁費の中で前年度予算のときに、私は十分理解ができないままで進んで来たのですが、国庫債務負担行為でありますな。施設整備費であるとか、器材費、艦船建造費であるとか、そういう費目が、どうして防衛庁費の一般の経費の中で、施設費なりあるいは器材費なり、艦船の建造費なりという費目で計上されないで、国庫債務負担行為という別のワクを作ってそこに入れている。どういうわけでこの中に入れておるのでしょうかな。
  125. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは先生御承知のことと存じますが、国庫債務負担行為と申しますと、これは釈迦に説法で、はなはだ恐縮でございますが、後年度の負担になるべきことで、当該年度におきましてはまだ歳出予算化する必要のないというものにつきまして、国庫債務負担行為の制度があるわけであります。たとえば、ここに国庫債務負担行為といたしまして、百四十二億八千二百万円をお願いいたしておりますが、これらにつきましては、昭和三十一年度におきましては、支出はされないものでございますが、しかしこの国庫債務負担行為の権限がございませんと契約することができないわけでございまして、従いまして財政法上国庫債務負担行為の制度が認められております。これは背は予算外国庫の負担となるべき契約として国会の御承認を得たものであります。戦後は国庫債務負担行為と名前が変りまして、後年度におきましては、予算化されるべきものでありますけれども、当該年度においては予算化は必要がない、しかし契約は当該年度においてしなければならん、そういうものを国庫債務負担行為としてお願いをいたしております。
  126. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、三十年度の百五十四億八千万円というのが、やっぱり昨年もこういう形で認められたのですな。それは結局本年度末までにどういう形にこれはなるのでしょうか。
  127. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) この三十年度の百五十四億八千万円といいますか、この国庫債務負担行為の権限を国会から御承認願いまして、これに基きまして昭和三十年度中にそれぞれの所要の契約をするということになるわけであります。そこで昭和三十年度におきまして、国庫債務負担行為でお願いいたしまして百五十四億八千万円のうち、約百三十一億円が昭和三十一年度において新しく予算として計上されておる、こういう格好になるわけであります。
  128. 松浦清一

    松浦清一君 それから、あまりめんどうくさいことは申し上げたくないが、この八ページの下の方のMDAPというのですか、による米国留学生ですね。これは日本から米国に留学させる部分ですな。何人くらいですか。
  129. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 陸上自衛隊におきますMDAPによる米国留学生は、九十一名を予定いたしております。  次に九ページの所に海上自衛隊の(ハ)MDAPによる米国留学生とありますが、これは百四十九人予定をいたしております。  航空自衛隊におきまして同じく(ハ)のMDAPによる米国留学生でございますが、これは百六十八名予定いたしております。これらにつきましては、予算上におきましては、太平洋岸までの運賃だけが計上されておりまして、あと米国の国内におきましては、すべてアメリカの負担によって留学するものであります。
  130. 松浦清一

    松浦清一君 飛行機のF86とそれからT33の国産一機の費用はどのぐらいかかりますか。  それからF86のアメリカから部分品をもらうのですか、もらって日本で組み立てるときに、この一機についてアメリカから部分品をもらった分と国産で全部やった分と……。
  131. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) F86関係につきましては、第二次計画によりますれば、一機の所要額は一億四千百六十万円見当でございまして、正確のところは一億四千百六十四万二千円です。そのうち日本側の負担になりますものが七千五百二十八万六千円、こういうことに相なっております。  T33につきましては、一機の所要額が、第二次計画におきまして六千五百四十五万五千円でございます。このうも日本側の負担に帰する分が三千五百五十六万七千円ということに相なっております。これは御承知のように当初におきましては、ほとんど全部部分品を日本に持って参りまして、これはアメリカの援助でございますが、それを日本内地において組み立てるのでありますが、それが次第に日本におきまして部分品を作るようになりまして、だんだん日本側でその部分品を国産化して行く、こういう構想でございます。
  132. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、三ページにF86生産関係の百十機といいますのは、これは全部部分品も国産品でございますか。このT33の八十三機、これも全部部分品は日本の……。
  133. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これはそれぞれ段階によって多少の違いがございますが、とにかく日本側の負担に帰する分がF86関係におきまして七十四億三千三百万円、これを国庫債務負担行為としてお願いする、こういう考え方でございます。部分品は次第に国産化されて行く。従いまして最後の形になりますと、これが全部日本で、部分品のすべてが国産品、こういうことになる。当初日本で国産できない分につきましてアメリカ側から部分品の供与を受けた、それを国内において組み立てる。それから次第にアメリカ側部分品が減るとともに、日本の国産化が進んで行く、それで最後には全部日本側の負担になる、こういう考え方でございます。もちろんただいま申し上げましたように第二次計画におきましては、アメリカ側の負担もまだ相当あるわけであります。
  134. 松浦清一

    松浦清一君 そうします、F86にしましても、T33にしましても、まだ部分品から全部日本で生産するという過程には行っていないわけでありますね。
  135. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 御説の通りであります。
  136. 松浦清一

    松浦清一君 順次日本の国産品に取り替えられて行って、本年度の、三十一年度の末頃までには国産品で全部できるという見通しがあるわけですか。
  137. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 三十一年度におきましては国産品で全部まかなうというわけにいかないことになっております。
  138. 松浦清一

    松浦清一君 それじゃ今日はこの予算そのものの審議をやるべき日程ではないと思いますので、また予算そのものは予算委員会でやるでしょうが、今日気のつきました点だけ伺ってまた後ほどの機会に……。
  139. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 第一次計画、第二次計画というけれども、これは何ですか。
  140. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 第一次計画と申しますのは、昭和三十年度におきまして予算及び国庫債務負担行為で御承認を得てただいま実行中でございますから、第一次計画が三十二年の六月に終ることになっておりますが、それに飛行機の生産は、御承知のようにあとを追っかけて生産していきませんと工合が悪いので、三十一年度におきまして第二次計画というものを立てました。そして第一次計画に引き続き実行すると、こういうことに相成っておるわけであります。
  141. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、第二次計画で、飛行機でいえば三十一年度はないのですね。三十一年度まで第一次計画であって、第二次計画は三十二年度なんでしょう。
  142. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ええ。
  143. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、ここに第二次計画というものを出さなくてもいいと思うのだが、問題は六カ年計画と五カ年計画が、三十年度なら三十年度に立てた計画と三十一年度に立てる計画とは多少違う。出せんものがあるから御説明しにくいのだと思いますが、その辺はどの辺までか出せませんか。
  144. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは実は私の所管ではございません。防衛局長が実は後日申し上げることになるかと思いますが、自衛隊内部における航空要員の訓練計画並びに今後における増勢を考えまして、そしてかたがた日本の国内比産の面を考え合せた上の数字であるかと私は承知いたしております。
  145. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その辺今お答えにくかったようですが、横文字の一応説明を聞きましたが、早かったので、おそれ入りますが、もう一ぺんMDAPだとかAFFEだとか、ちょっとゆっくりお順いします。
  146. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) どうもこういうなれないのを急に作りまして資料として提出いたすのは、実ははなはだ工合が悪いかと思うのであります。MDAPと申しますと、ミューチュアル・ディフェンス・アシスタント・プログラム、結局アメリカの相互防衛援助計画によるところの援助の期待、これをMDAPと略称いたしております。  それからAFFEこれは極東陸軍でございまして、それはアーミィ・フォーシス・フォア・イーストであります。
  147. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうするとMDAPというのは相互防衛援助、Pは。
  148. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) プログラム。
  149. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 すると防衛援助計画ですね。向うで立てた計画ということになりますか。
  150. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) MDAPと申しますとこれはアメリカの略語なんでございまして、沿革的には相互防衛援助法というのが先にございまして、それが各種の援助とともに総合されまして、現在はMSA法とこういうことになっております。それから正確に今の言葉で申し上げますればMSAの期待と、こういうふうに御了解になればいいわけであります。昔からのただ法律の言葉をとらえましてMDAPと略称いたしております。
  151. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、実際はこちらでこれだけ期待するというのですか。それと、向うと打ち合せて向うの援助計画も勘案してこちらで立てた。そこで、まあ期待だけでなくて実際に実現するというのですか。
  152. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 米国のMDAPの援助につきましては、実を申しますと、なかなか最後までほんとうの確定的のところはわからないのでございます。文書もなかなか参りませんし、ほんとうに最後までくるときにならないと正式にわからないのがほんとうでございまして、ただし非公式にはかねがねから米軍市援助顧問団等から話があるのでございまして、私どもといたしましても、大体におきましてこの程度のようなものがくる、こういう想定でございます。ただしアメリカ予算の関係その他がございますので、はっきりと正式には文書でもって……最後までわからない。しかし大体におきましてこの期待はまずまず間違いなかろうかと、こう考えているところの数字でございます。
  153. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほどの松浦君の質問に関連いたしますが、このF86、T33それの大部分日本でできる。一部の部品が向うから来たもの、供与、こういうことになりますと所有権は日本のものでしょうが、その辺はどうなるのですか。
  154. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 所有権は日本のものになるのであります。部品の供与を受けます。
  155. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 向うからただでもらう……。
  156. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) そういうことでございます。米国の援助を金額で表わしておりますが、大体部品そのものを計算してみるとこういうことになる。米側負担分、日本側負担分と、そういうことでございまして、日本において国産化するところの部品及びその全体の組み立ての経費等が入っております。
  157. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると向うから、MSAに基いてくるもの、艦艇とか、これはそういうふうにあるわけですね、そういう部品の供与を受けたものはどうなるのですか。これはもうもらうだけで……その辺のMSAとの関係は。
  158. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は私も門外漢でございましてよくわからないのでございますが、あるいは間違っているかも知れません。この航空機のF86、T33の部品で参りますものにつきましては、これは将来日本において、他に付け加えるところの部品と共に、一体として航空機が一機でき上るのであります。これにつきましては所有権はもちろん日本政府にある、こういうふうに考えております。ただ将来の問題としまして相互防衛援助協定によっても、要らなくなったら返すという条文があったように思います。この場合こういうふうな部品につきましては、どういうことになるかにつきましては、実は検討いたしておりません。その他の完成したものでございますと、これは不要となれば返還する協定規約があるわけであります。
  159. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、もう一つ伺いますが、艦艇と飛行機だ思うのですが、どういう所で作っておりますか。もしわかっているだけでいいですから、お教え願いたいと思います。
  160. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) F86につきましては、これは名古屋の新三菱重工、三菱はたくさんございますので、旧三菱に対して……現在新日本重工、T33は川崎航空機の岐阜の製作所で製作いたしております。
  161. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一カ所だけですか。
  162. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございます。艦艇につきましてはまだ予定はございません。今後設計を立てまして、そうしていかなる会社に請け負わした方がいいかを慎重に審議いたしまして、決定いたすことに相なるはずでございます。
  163. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の吉田委員の質問と内容的には同じようなことで、私は昭和三十年度の艦艇、航空機、その他重要なる品物を作った会社とか、それから発注の数量とか、そういうものを一つ一覧表に作って、主なものでけっこうなんですが、どこの会社でどういうものをどれだけやったというのをあとで御提示願いたいと思います。
  164. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) かしこまりましてございます。
  165. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の将来国産化の方向をたどっておるわけでありますが、日本で全部国産化するということになりますと、おのずから艦艇にせよ飛行機にせよ、設計なりそれからいろいろな点が変ってくるのじゃないかと思うのですが、そうなってくると部品の規格その他が非常に問題になってくる、そういう点についての考慮は。
  166. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これも私、門外漢で当っていないかもしれませんが、F86、T33それぞれ特許権がありまして、その特許権の内容に従って規格がきまっておるわけであります。それから打ち出すということは私ちょっと考えられないのではなかろうかと思います。もし打ち出すとするといたしますれば、これは名前が変った飛行機になる、こう考えております。
  167. 松浦清一

    松浦清一君 船にしても、航空機にしても、やっぱりどこで作らせるかということはそれぞれ入札をやらせるんでしょうな。
  168. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 従来艦艇につきましては随意契約で会社をよく選定いたしましてやっております。
  169. 松浦清一

    松浦清一君 それじゃF86を新三菱で組み立てておるということも、新三菱という会社を指定して、あそこが技術が一番すぐれているという見解で入札なんかやらせないでやらしているわけですか。
  170. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございます。外国の特許権に関しますので、新三菱なりあるいは川崎航空は相手方の会社から特許権の実施権を取りましてやるわけです。これには長い間の両国政府間並びに会社を入れての技術上の検討の結果第一次計画が現在できておるのであります。従いまして一般競争契約でやるような性質のものではないわけでございます。
  171. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると飛行機に関する限りは新三菱とか川崎航空とかいう所が独占するような形になりはしませんか、事実上は。
  172. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) F86につきましては新三菱、T33につきましては川崎航空、こういうことに相なるわけでございまして、それが結局は経済全体から考えましても設備の重複を省き、技術を向上せしめる道であろうかと考えられるわけでございます。
  173. 島村軍次

    島村軍次君 防衛庁全体についての簡単な印刷物がありますか。
  174. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 最近調製できましたのがございますが、従いまして後日委員の諸先生に御配付いたしたいと思います。
  175. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 別に発言もなければ本問題に対する調査はこの程度にやめておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十四分散会      —————・—————