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1956-05-15 第24回国会 参議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十五日(火曜日)    午後二時一分開会     —————————————   委員異動 五月十日委員津島壽一辞任につき、 その補欠として重宗雄三君を議長にお いて指名した。 五月十四日委員最上英子辞任につ き、その補欠として加藤武徳君を議長 において指名した。 五月十五日委員加藤武徳辞任につ き、その補欠として最上英子君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    理事            島津 忠彦君            久保  等君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            新谷寅三郎君            瀧井治三郎君            永岡 光治君            三木 治朗君            山田 節男君            八木 幸吉君   政府委員    郵政政務次官  上林榮吉君    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君   説明員    郵政省電波監理    局次長     荘   宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選電気通信並びに電波に関する調査の  件  (標準放送用周波数割当等に関す  る件)  (国際電信料に関する件) ○郵政事業運営実情に関する調査の  件  (お年玉つき郵便はがきによる寄附  金に関する件)  (特定郵便局長の身分に関する件)     —————————————
  2. 島津忠彦

    理事島津忠彦君) 逓信委員会を開会いたします。  本日委員長所用ため委員長の委嘱によりまして私がその職務を行います。  まず前回以後の委員異動について御報告いたします。  去る五月十日、津島壽一君が委員辞任され、その補欠として重宗雄三君が委員に選任されました。また昨十四日、最上英子君が辞任されましたが、本日再び本委員に復帰されました。  以上御報告申し上げます。     —————————————
  3. 島津忠彦

    理事島津忠彦君) それではこれより本日の議事に入ります。  ただいま御報告いだしました通り最上英子君の一時委員辞任に伴い、理事補欠互選いたしたいと存じます。  互選方法は前例により、これを委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 島津忠彦

    理事島津忠彦君) 御異議ないものと認め、それでは最上英子君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 島津忠彦

    理事島津忠彦君) 次に郵政事業運営実情に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を一括して議題といたします。  山田委員新谷委員及び永岡委員から標準放送周波数割当に関する件、その他について質疑通告がございました。  この際順次御発言を願います。
  6. 山田節男

    山田節男君 きょうは大臣並びに電波監理局長が所用のため出席をされておらないわけですが、実は今、質問通告もいたしましたように、来たる六月に実現さるべき標準放送並びにテレビジョンの周波数の再編成に際しての郵政省当局の根本的な方針といいますか、態度を、周波数割当に対する態度というものを承わりたいと思うのです。今も各委員からあまり技術的のことにわたってはという意見もあったようです。ごもっともな話でありますから、しかもきょう、あす、これに関して公聴会も開かれておるというようなことで、公聴会の結論によっては、政府のまた根本的方針が若干変るということもこれは予期されますが、今日まで政府標準放送周波数割当について、いわゆるチャンネル・プランについて、どういう方針でやる腹がまえでおるか、この点を抽象的でもよろしゅうございますから、一つ政府当局から御説明を願いたいと思います。
  7. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 根本的な方針についてはいまだ省議も得ておりませんので、ただいま電波監理局の案としまして、公聴会を開いておる状況でございますので、公聴会が済んだ後大臣もしくは技術的にわかる電波監理局長等から御説明をいたさせたいと思っております。その他の問題については荘次長が来ておりますから、その方面からお聞きを願いたいと思っております。
  8. 荘宏

    説明員荘宏君) 標準放送つまり一般のラジオでございますが、これに用います周波数割当の再編成につきまして、電波監理局の、局段階の案でございますが、これを五月の七日に一般に公表いたしまして、昨日及び本日にわたりまして、NHK民放連、民放各社、現在申請を出しておられる方等から御意見をいただいている次第でございます。それで、電波監理局といたしまして、今回公表いたしました案はどういう考えのもとにできているかということについて説明をするようにというお話でございますので、以下申し上げさしていただきます。  現在全国の波の割当はどういう考えによってできているか。たただいまの状況でございますが、これを申し上げますと、これは前回放送局免許更改期つまり二十八年の五月の末に免許更改期が来たわけでございますが、その際に六月以降どういうふうな波の割当をやるかということを考えまして、郵政省といたしまして、割当方針を定めた次第でございます。これを定めるに当りましては、郵政大臣から、郵政省にあります電波監理審議会諮問をいたしまして、電波監理審議会におきましては、利害関係者及び学識経験者の方々の公聴会を開き、その意見を十分考えられまして、原案に対して若干の修正意見を付して答申をせられ、それによって五月の一日にその修正意見大臣が採用いたしまして、決定をいたしたものかございます。この二十八年五月一日の標準放送用周波数割当編成方針と申しますのは、その概略を申し上げますと、次のようなものでございます。それは、標準放送用周波数の公正かつ能率的な利用を確保し、NHK設立目的の達成と、一般放送事業者放送つまり民間放送放送でございます、これのできる限りの伸張、その伸張を可能ならしめ、放送による公共の福祉の増進を期する。これを大原則といたしまして、具体的にはしからばどうするかと申しますと、NHKにつきましてはあまねく日本全国において同時に協会二つの異なった番組が聞けるようにするとともに、地域別放送聴取できるようにする。つまり協会については、第一、第二、二つのネット・ワークが持てるようにし、かつ全国中継番組ばかりで一はなく、ローカルの放送をも放送し、聴取できるようにする。こういうような波の割当をするということにしております。また民放につきましては、その健全な発達をはかり、全国主要地域においてその聴取が可能となるようにする。こういうところを大筋としておるのが、二十八年五月一日の割当編成方針でございます。それでこの方針に、今回変更を加える要ありやいなやということについて、私どもいろいろ検討いたしたのでございますが、このやり方でいいのではないか。これで行こうということに、現在なっておるわけでございます。しかしこの方針によりまして、二十八年に現行の割当表を作成したわけでございますが、今回また免許更改期が来、これをチャンスとして、全国放送局の波のつけかえができるという時期になりまするので、現在の割当表そのものを踏襲するか、これに変更を加えるかという問題があるわけでございますが、私どもといたしましては、基本的な方針といたしましては、先ほど申し上げました二十八年の方針によることが妥当であるけれども、具体的な割当については、その後の事情によってある程度変更を加えることが適当である。こういうふうに考えた次第でございます。  それでどういう事情があったかということになるわけでございますが、過去三年の間におきまして、近隣諸国の、この外国からの電波でいろいろと混信被害がふえてきております。また国内の各局間におきましても、相互混信がかなりひどいものがございます。また放送につきましては、その後も一般社会要望が非常に強く、電力を増加してもらいたい、あるいは周波数を変えてもらいたいというような御希望が非常に多数あるわけでございます。また新設局の御要望等も実はあるわけでございます。中継局を設けたい。また純然たる新しい事業者として新規の局を設けたい、こういうような新設局の御要望がいろいろあるわけでございます。それで私どもといたしましては、今回の再免許機会に、そういったいろいろな事情考えまして、そういうことを頭に入れて、そして波の割当を最も合理的なものを作ろう、かように考えた次第でございます。そしてでき上ったのが、具体的な今回の割当表案というわけでございます。  さてただいま申し上げましたような、外国混信あるいは国内相互混信あるいは放送界要望、そういったようなものに対処しまして、どういうふうな、しからば具体案に、どういう考え修正を加えていくかという若干の細目方針みたいなものを考えました。これについて申し上げたいと存じます。  第一番には、外国からの混信が非常にふえておるのでございます。これに対しまして、何らかわが国として対応措置を講じなければならない、かように考えまして案を作りました。第一番に、一つ方法といたしましては、NHK主要局——札幌東京大阪福岡、この四カ所のNHKの第一及び第二放送につきましては、これを百キロまで増力できるように波の割当をしようということを考えたわけでございます。この百キロまで増力をいたします意味は、百キロによってもちろん国内波そのもの聴取も容易になるわけでございますが、百キロ以外の小さい電力NHKの各地の放送局があるわけでございますが、それらが現在すでにある程度混信を受けているという波を使わざるを得ないようなものもどうしても割当表の上に出て参るし、また現在は混信がなくても、今後いつ何どき混信をこうむるかもわからない、こういうようなことも考えなければなりませんので、そういった場合に昼間は使いものになる波でありましても、夜になると混信ために使えなくなるかもしれない、こういうようなものを救済する必要があるわけでございます。それで大電にいたしまして地元の局が聞こえなくなった場合には、少くとも少し距離が離れますけれども大電の局を聞けばとにもかくにもNHKサービスを受け得るようにすると、こういうような考えで百キロワットまで外国混信対策として増力考えたらどうかというふうに思ったわけでございます。  それから次にこれは若干技術的な問題になるわけでございますが、大電にいたしますと、その大電から十KC離れました隣の波が低い方と高い方とに二つ出るわけでございますが、この隣合せの波につきましては、民放に割り当てました場合には国内大電ために非常に強い混信を受ける危険性がございますので、民放に来っても差しつかえがないというような土地に割り当てるような場合を除きまして、一般的にはNHKの方にその隣の波は割り当てるということを考えております。NHKの場合でありますと、夜間においてはほとんど全国同一プログラムと見てもいいような状況でもありますので、大電の隣の波はNHKに与えてもあまり支障はない、かように考えたわけでございます。  それから現在外国混信を受けております波につきましては、はなはだしく強い混信を受けておりますものについては、国内使用は見合せざるを得ないわけでございまして、この点につきましては二十八年の割当を作りましたときも同様でございます。今回も全然使えないものは遺憾ながら使わないでおきますが、国内で使ってもまあまあ使いものにはなる、しかしかなり外国混信があるというものにつきましては、これは民放の方に割り当てます場合には、民放としては一局一局がそれぞれ生命線と申すような状況にありますので、混信のひどい波は社としてとても忍び得ないというような事情にもございますので、NHKの方に割当を行う。NHKは不満があると思いますけれども、しかしながらこれを捨ててしまって、日本の国として波を失うということよりも、やはりどこかで使ってもらった方がいいという考えからNHK使用をしてもらう、まあこういうような考えをとりました。  以上が大体外国混信関係についてのあらまし考えでございます。  それから第二といたしまして、NHK局で大きな電力放送をしている、その放送区域の中にもう一つあるいは二つNHKの局が含まれるという場合がございます。そういうふうな重複した局についてはそういうものはやめてしまえという議論が民放側からは強く主張せられておるわけでございますけれども、私どもといたしましては今回の波の割当においてはその割当は廃止しはしないというふうに考えております。しかしながらその割当を行います波につきましては、大きな電力の局の方からのサービスも受け得ることでありますので、一般波——まあいわば上等の波の割当は行わない場合がある。昼間は使いものになるけれども、夜になれば使えない、外国混信が起るというような波を割り当てることもある、こういうような考えでおります。昼間におきましてはそれぞれ番組が組めるけれども、夜になれば大きい方の局のを聞いてもらえばいいではないか、こういうような考えに立ったわけでございます。  それから第三には国内相互混信が現在いろいろあるわけでございますが、ことに民放の方から強くその是正を要望せられております。これにつきましてできるだけ改善措置考えたいという方針をとりました。つまり局と局との間の距離を、同一周波数を使う場合におきましてできるだけ局間距離を大きくとるというようなことによりまして、国内相互混信を軽減いたしたい、かように考えております。  それから第四番目に放送の利益を享受できる地域をできるだけ広げたい。放送を聞きたいと思っても聞えないところをできるだけなくすようにしたいという考えをもちろん今回もとっておるわけでございまして、NHKにつきましても、たとえばかねて問題になっております山口県の防府の増力、あるいは静岡の第二の増力、その他数局ございますが、そういったようなものを考えております。また民放につきましても広島の民放が昼一キロ、夜五百ワットというようなことになっておりますが、これも三キロまで増力したらどうか。また京都につきましても昼夜間とも三キロにしたらどうか。こういうように可能な範囲において、かつ放送事業相互関係において妥当と認められる幅においてそれぞれの増力考えております。また五百ワットの民放局が多数あるわけでございますが、これにつきましても昼間は現在一キロ、夜五百ということになっているのが多数あるわけでございますが、これにつきましても相手局相互に話し合いがつきましてお互いに夜一キロまでやろうではないかと相互に了解がつきますれば、役所といたしましては一キロまでの増力は認めようではないか、こういう考えをとった次第でございます。また中継局設置要望も多数ございますが、これにつきましてもできるだけこれを可能ならしめるような割当をやりたい、かように考えた次第でございます。  それから第五番目といたしまして民放事業改善に資するような措置を講じたいということを考えました。内容といたしましてはこれは先ほど四として申し上げましたものにも重複いたすわけでございますが、昼夜とも五百ワット局はできるだけ一キロにしようというようなこと、また現在百ワットで放送事業を営んでおる局がございます。岐阜の民放、高松の民放、これにつきましては一般局並みのところまでの増力をできるだけ考慮したい、こういうことを考えました。また中継局につきましては現在の中継局用の波の割当NHK中継局用の波と民放中継局用の波と非常に波の間隔において接近したところに設けられておりますが、ためNHKの局が第一、第二、二つできたというような場所におきましては、民放中継局を置こうといたしますと、波の用意はあるのでございますけれども、いざという場合の計算をいたしてみますと、NHKの局との間の周波数の開きが少な過ぎてその民放中継局を認めることができない、こういう実情になっておるので、その点を改善したい。つまりNHK民放のそれぞれの中継局用の波の間隔をもう少しあけまして能率よくこの中継局用の波を使えるようにしたい、こういうことを考えております。  それから第六番目といたしまして現在東京地区大阪地区におきましては民放が複数会社並立いたしておるわけでございますが、このように複数事業社を並立させることが必要かつそういうことにすることに意義があると考えられる地域についてはできるだけそういう方向に波の割当をやりたい、かように考えた次第でございます。それで以上のような考えによりまして具体的な波の割当表を作ったわけでございますが、最後の並立形態として実際波の割当ができましたのが北九州地区——福岡県でございます。  それから申し忘れましたが、わが国放送用周波数使用につきましていつでも問題になるのは、例の駐留軍放送でございます。この駐留軍放送につきましてはできる限りやめてもらいたいというのが私どもの年来の希望でございます。今回も駐留軍と長い期間かかりまして折衝いたしました結果、東京の八百十キロサイクルによります駐留軍放送は、これは波を動かすことも減力することもできない、どうしてもできないという先方の回答でございます。しかしながら仙台のこれはやはり十キロでございます。駐留軍放送については二キロ半に波力して周波数を高いところへ持っていくということに話がまとまりました。また名古屋の駐留軍放送につきましても、これが現在十キロでやっておるわけでございますが、これについては減力はできないけれども高いところに波を移すということに話がまとまったわけでございます。大体そういうような状況のもとにおきまして、ただいま申し上げましたような考え方に基いて割当表を作って昨日来公聴会を開いておるような次第でございます。その公聴会が済みましたらそれらの御意見十分参酌、参考といたしまして改むべきところは改め、最もいい案と考えられるものを作り上げまして、省の案を取りまとめ、それから電波監理審議会諮問をいたしまして省の意見として案として確定すると、こういう段階を現在考えておる次第でございます。あらましのところそういう状況でございます。
  9. 山田節男

    山田節男君 今大体の方針あらましを聞いたわけですが、これはきょう政務次官もいらっしゃるのでこれはもし御発言できなければ大臣に御相談していただきたいと思うのですが、一体こうした三年に一回の周波数更改、改めるというときに郵政省としたら放送事業整理といいますか、今荘君の話されたような周波数の技術的な整理ということはこれはもちろん必要である、しかしもっと政治的、行政的に考えるべきことは公共放送はこれはとにかくとして、ことに民間放送の場合経営内容、それから放送の何といいますか仕方と申しますか、そういったようなものについて郵政省としての監督権を発動するのは三年に一回くる再免許の時期に監督権を発揮するのが一番いい時期なのです。それがため免許期間というものを三年ということを時限的に免許した、そういう建前からすれば、今回の、相当全国に広がっておる民間放送、ことに標準放送の中で免許をこれは取り消すという、再免許しないというようなものもあり得るのじゃないかと思うのですが、郵政省としてはこういう根本的な態度一つとしていわゆる行政監督権を発動するという建前でこの問題をどのように考えておられるのかどうか、考えておられるとすれば今日全国にある民間放送の中で免許をしないというものがあるかどうか、こういう点一つ伺っておきたい。
  10. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 波の再免許する場合に政府側として、郵政省側として不適正なものがあれば監督権を発動すべきではないかという趣旨の御意見でございますが、はなはだしくらち外に出るものであればそういうことを考えなければならぬこともあり得るかとも思いますけれども、御承知の通り放送事業は言論の圧迫にならないように細心の注意を払わなければならない事業でもございますので、よほどの事情のない限りそういう発動をしたいという考えは現在持っていないわけでございます。なお具体的にはたとえば経営内容が経済的に悪いようなものについてはこういうふうにせられたらどうだろうという助言はできるだけいたしたいと思って多少助言はいたしておるわけでございますが、しかしただいまのところそういう経済面から見て全然経営が成り立たないと思っている会社は一、二ございましたけれども、これも最近立ち直りまして今後改良を加えるならば自立できるのではないかというような段階にあると承知いたしております。その他の技術的な問題についてはなお補足的に答弁してもいいと思っております。
  11. 山田節男

    山田節男君 ことに標準放送に使う中波の周波数というものは非常に余裕がないというか、混雑してしまって困っていることは事実です。そういうことになれば再免許機会に、たとえば、たとえばというと語弊があるかもしれませんが、民間放送のきわめてスケールの小さいいわゆるカバレージの小さい民間放送を、これはスポンサーの側から言っても、あるいは事業家から言っても、そういう小さい範囲放送事業を行うということはこれは将来を考えれば必ずしも健全でないというように考えられるのです。従ってそういったものは波を節約するという意味からもむしろそういうものは小さいカバレージ民間放送事業というものは、できれば単一化してしまう、そうして波の節約ということも考えられるわけですが、そういう方面のことは今回では郵政省考えておられるかどうか、この点を一つ伺っておきたい。
  12. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 現段階においてはそういう御質疑内容のことについては考えていないのでございます。ただしかし確かに示唆に富んだ御意見でございますので、しばらく今の状態を続けて参りまして、なおかつ波の増力がほとんどできない、たとえば駐留軍方面が使っているものなどを早急に返してもらうことが長い期間にわたってできない、あるいは個々の経営状態がさらにまた悪くなっていくということにでもなりますと、おっしゃるように地域的にある程度の調整も将来は考えなければならぬこともあり得るかと思いますけれども、現段階ではそういうことを考えておりません。
  13. 山田節男

    山田節男君 今の荘次長の話を聞くと、大体今回の周波数の再免許に際しての整備については公共放送、すなわちNHK放送を第一順位として考える、すなわち優先的に周波数割当については考える、このことは私ははっきりしているように思うのです。そこで今も説明のあった中に民間放送公共放送との周波数の何といいますか、非常に波が似ているため混信がある。それがためNHKの出力のパワーを多くして夜間それで聞け、こういったような説明があったように思うのですが、民間放送は、おそらく公聴会でも私はいろいろ希望が出ていると思いますが、公共放送優先主義にする、これは私はもっともだと思います。しかしまた他方におきまして、民間放送も全部じゃないけれども、ある程度の周波数の引上げというものも多いわけですね。今のように波の割当によって民放が従来相当、この何といいますか政府に対して要請をしている。しかも民放意見を聞けば、NHKが非常にいい波ばかりとっておって民放に対する波の割当が不公平である、こういうことの非難を過去において聞いておるわけで、こういうことに対しての調整といいますか、調整は今回の再免許においてどの程度まで、これがまあ公聴会もあるわけですから、公聴会の前において政府が一応このことを考えなくちゃならぬと思います。具体的にそういう点についてはどういう点を考慮されておるか、伺えれば一つ伺いたい。
  14. 荘宏

    説明員荘宏君) 大電の点に関しまして私の御説明が悪かったのじゃないかと思いますが、こういうことを申し上げたつもりでございます。それは民放が聞えなくなるような割当をやっておいて、聞えなければNHK大電を聞けと、こういう意味で言うたのではございません。外国混信ためNHKの小さい局が聞えなくなるような場合があり得るから、そういうような場合にはNHKが聞えなくなっては、これは全国カバーというNHKの目的に沿わないので、そういうような場合には、地元のNHKは聞けなくても少し離れた大電NHKが聞けるようにしておく必要がある、そういう意味NHKの小さい局を救済する意味において、NHK大電というものを考えたわけでございます。それが一つ、それから民放局の方を痛めつけておって、NHKの方にいい波をやるというようなことになっておるのではないかという御質問につきましては、実は昨日もNHK側の方々から猛烈に私ども攻撃をされたわけでございますが、NHKの方々がおっしゃいますには、今回の割当案は民放を極度に重視しておる、民放偏重であると、NHKに対しては先ほど私が申し上げました、まあ方針みたいなことを申し上げましたが、その中にもありましたごとく、外国混信のひどい波はなるべく民放には渡さないで、NHKの方に使わせるのだなどというようなことはまことにもってけしからぬ。それからNHK大電傘下の放送局について必ずしもいい波をよこさないということもけしからぬ、まあいろいろさまざまおしかりを頂戴したわけであります。それから一般放送事業についてはいろいろ改善措置を講ずるなどというくだりもあるけれども、それらについてもけしからぬと、まあ非常にNHKからおしかりを受けたわけであります。そのように今回公表いたしました案においては民放というものを十分私どもとしては考えたつもりでおります。
  15. 山田節男

    山田節男君 ことに周波数割当変更をやるという場合に、今の御説明を聞くと、外国放送というものとの混信もあるというので、出力を強める、民放においても従来一キロのものを三キロにする、こういう工合にラジオ放送というものが次第に強電力になっていくということは、むしろ私は弊害といいますか、いろいろな、むしろそれによって将来の受信者の立場といいますか、非常に混乱してくるのじゃないか。で、たとえばアメリカの通信法なんか見てもラジオ放送に関する限り、これはまあラジオ放送ばかりじゃなくて無線電話、無線電信を含んでおるが、なるべく弱電力を使え、パワーをできるだけ最低限度までに弱めろ、これが一つの原則になっておるわけであります。ところが今のように日本で、しかも政府がさらに前よりも出力を、パワーを強めていくということですね、これは私は非常な危険を伴うのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんでしょう。ことに日本のように、もう周波数の何といいますか、スペクトラムが非常に狭小になってしまって混雑しておって、しかも国内的に考えてもお互いに地方放送局の出力を多くすることがむしろ混乱を、混信の危険をより多くするのじゃないかと、こういう私はしろうととしての杞憂を感じるわけですが、この点どうですか。
  16. 荘宏

    説明員荘宏君) 放送局に指定いたします電力につきましてはできる限り周波数の能率的な使用ができるようにという見地に立って最も適当な電力と思われるものを指定しておる考えでございます。それで先ほど山田先生のおっしゃいました通信法にございます、できる限り小電力でやれという点は実はわが国電波法の中にも同じ趣旨の文言がございます。電波法の第五十四条という規定に、「無線局を運用する場合においては、空中線電力は、免許状に記載されたものの範囲内で通信を行うため必要最小のものでなければならない。但し、遭難通信については、この限りでない。」とございまして、わが国においても同じ思想をとっておるわけでございます。ただこの場合には、これはちょっと放送局とは違う、一般のいわゆる通信用の無線局でございまして、この場合には通信目的が達成されるならばできる限り小さいやつでやってもらいたい、こういう趣旨に出ておるのでございます。それで放送局の場合はある大きさの放送地域というものをどうしてもカバーしなければ放送という目的に合致しないということで、やはり五十キロでありますとか、十キロでありますとか、一キロでありますとか、一般の通信用無線局に比べれば相当大きなパワーのものが空間に出ていくということは、これは局の性質上やむを得ないのではないか、またそうやることが放送として適当なのではないかと、かように考えておるわけでございます。
  17. 山田節男

    山田節男君 これは、たとえば外国放送によって混信を生じると、まあわが国から言えば、たとえばソ連のハバロフスク、それから北京、それから朝鮮は、これは釜山か京城かよく知りませんが、少くともこれは一千キロワットくらいじゃないか、それからアメリカが沖繩の放送の、あそこへつくのも千キロワットといったようなことを言っているわけです。そうすると外国からくる周波数放送が千キロワットくらいでやっておるところへ、たとえば札幌とかあるいは福岡という方面だけ百キロワットくらいなパワーで、それで混信というものを避けられるかどうか、これは私技術家でないからわかりませんが、そういうことは可能ですか。たとえば、向うから来るのが千キロのものに付してそういう主要地点を百キロにすればこれは防げると考えるのだと思いますが、これは技術的に可能なんですか。
  18. 荘宏

    説明員荘宏君) 詳細につきましてはまた別途機会をあらためて技術専門の者からお答えさせたいと思いますが、わが国で百キロの局を先ほども申し上げましたように四カ所でやりますと、たしか私の今の記憶によりますと、全国あまねく二ミリボルトでたしかカバーができる、こういうふうに聞いております。そういたしますと、近隣諸国から相当大きな電力で出して参りましても、この百キロの局に直接衝突は——同じ周波数では出して参りましても、先方といたしましても効果がないわけでございますので、必ずや違った周波数で出す場合でも出してくるのじゃないか、かように考えられます。そうなりますと、こちらの外電のものは一応妨害なしに受信できるのではないか、かように考えられます。もちろんあえて同じ周波数でやってこられますと問題は残るわけでございますけれども、そういう場合にはまた地元の放送が生きるとか、いろいろ国内的に助かる面もあるのではないか、かように考えます。
  19. 山田節男

    山田節男君 まあこれ以上説明を要求しませんがね。最後にテレビジョンの免許申請がかなり各地方から行われておるやに聞くのであります。たとえば大阪でもそういう免許の申請がある。しかし前回には免許する場合に、免許の基準としてそこの地区に特別の政治的、経済的に特に密接な関係のある者に、そういう事業体に免許をするという何か電波監理委員会か何かの裁定があったように私は記憶するのですが、これは政府一つの根本的な態度をきめるものだろうと思うのですが、今度の政府前回においてテレビジョンの免許に対して表わした態度というものは今後もずっと変らないものであるかどうか。これは荘君に質問しちゃ何か違うかもしらぬけれども、しかし政府方針としてはそういうものだということが前にはっきり裁定に現われておる。この方針においては今後も変りないということが言えますか。
  20. 荘宏

    説明員荘宏君) ただいまのお話は民放のテレビのことだろうと存じますが、民放のテレビにつきましては、お話のごとく大阪及び名古屋の両地区における民放テレビの免許について郵政省がとった過去の方針がございます。その点につきましては、役所の一つの行政判例といたしまして今後もおそらくその方針は維持されるであろうと私は考えております。
  21. 山田節男

    山田節男君 私はこれできょうは打ち切ります。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 チャンネル・プランについて二つ伺います。あなたのお答えできる範囲でけっこうですが、一つ民放の方で従来郵政省は一県一社主義ということを盛んに主張されましたね。一県一社主義、これは今日こんな方針をやはり基本方針として持っておられるのですか。民放も許可する場合に一県一社主義を原則としているのだということを電波監理委員会ですか、審議会ですかきめられておる。あの方針はまだ生きているのですかということを伺っておる。
  23. 荘宏

    説明員荘宏君) 現在お話のように、たしか特殊の県を除きまして一県一社になっておるわけでございます。それで今後県を同じくして複数の局を認め得るというところは周波数事情からいたしましてほとんどないのではなかろうかと、まあかように考えます。ただ先ほど方針の御説明の中で申し上げましたように、事業者を並立させることに特に意義があると考えられるそのような全日本的に考えて重要な地域というものについては、場合によって複数になり得るのがあろうかと、かように考えます。ただし現在の周波数事情のもとにおきましては、先ほど申し上げました福岡県、これは現在二社あるわけでございますが、この二社が大体同じ電力で並立するという程度で、それ以外のところにもっていって一県にさらに競争業者ができるということは、ただいまの周波数事情ではきわめて困難ではないかと、かように考えます。
  24. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大都市で民放も競争者があるということは民放の発展の上からみて非常に必要なことなのです。そうでないと民放というものはやはり免許事業ですから、免許せられておって一向内部の番組改善とか国民に対するサービス考えないであぐらをかいたような格好でやられては困るのです。従って経営状態が非常にいい、まだもう一つぐらい許してもしかるべきだというような地域は、たとえば京浜とか阪神とか北九州とかいう限られた地域だと思いますが、そういうところではむしろ競争相手があった方がいい。それはあなたが言われるように、必要に応じてと言われることもそれは私けっこうだと思います。けっこうですが、けれどもそうでないところに一県一社主義というような原則において免許をせられたために、先ほど山田委員から言われましたように、今日それが間違っておったということをお考えになりませんか。電波には県で別に境があって、そこから先にいかぬとか何とかいうものではないのです。これはローカール資本をある程度使うという意味で勢いそうならざるを得なかったという、民放が生まれたときの経過からみてある程度是認すべき問題にすぎない。今日のように全国的にチャンネル・プランを新しく作り直して考え直そうという時期に一県一社なんということをお考えになる必要はないと私は思う。むしろ弊害があっちこっちに現われてきているのです。それで各府県の非常に小さな県で、隣合せで民放があって、お互いに増力ができない、従ってきわめて限られたためにお互いが困ってしまって、さっき山田委員が言われましたがね、NHK増力を、民放増力を非常に希望しておるでしょう、それを軒並みに増力するというと大へんなことになってしまう、これはできない、だからやはり基本的には一県一社主義なんというそういうふうな方針をおとりになったからそういう結果になった。私はここで見直した方がいいと思うのですが、あなた方は見直さなかったのですね。見直した方がいいと当時はお考えにならなかったのですか、この案を作るときに……。今度それを御検討しようというお気持がないのですか。こういう機会でないとできないですよ。……よろしゅうございます。これはいつか次の機会に局長でもこられたときに御説明を願いたいと思います。  もう一つ聞きたいのは、これは荘君から御説明があって、あなた方の方針はよくわかりました。ですがその方針の第二に書いてあることです。私はこれを、チャンネル・プランを一応お作りになって実行されたその中途でいろいろ申し上げても、実際は実行するのに非常に困るだろうと思って実は今日まで遠慮しておったのですが、しかしこの委員会ではもう数年来私の意見は申し述べてあるのです。で、先ほどNHK大電放送主義について御説明になりましたですね。今日でもそういった大電力局とそのサービス・エリアに入っている小局との関係があるのですね。今後そういったものはますますふえてくるわけですね。これは簡単にあなた方はチャンネルの割当を廃止しないということを非常に誇らしげにここに書いておられますが、なぜこんな方針をおとりになったのですか。経済的に見てNHKがやはり何と言っても全国民の負担する聴取料によって賄われておる団体なんですね。ですからむだな経費を省かなければならない。一方で第一放送、第二放送大電力で聞えておるでしょう、聞えているのに同じものをもう一ぺん焼き直してその地方局の波で送って二重に聞かさなければならぬという理由はないじゃないですか。それは唯一のよりどころはこの前に議論したことですが、ローカル放送なんです。ローカル放送の時間をお調べになると、あなた方の従来きめておられた基準と合致しなかったのです。合致しないものを合致させるためにわざわざ規則までお変えになって合致するんだということにされたわけです。しかしそれほどまでにしてこの二時間や三時間のローカル放送ためになけなしの周波数をリザーブしなければならぬか、それによってどんな利益があるか、あるいはそれをやめることによってどれくらいの利益があるか、私はむしろやめた方が——何も聞えないようにしようというのじゃないのです、聞えるのです、聞えるのですが、一方から言うと施設費が助かる、維持費が助かるでしょう、あるいは運営費が非常に助かるでしょう。もしそれで万一きわめて小さい部分で聞えなくなるような部分があるとすれば、どこかにほんとうに小さな無人の中継局でもお作りになってその部分だけカバーするようにするのが一番合理的です。そういうことを考えないで、きわめて当然であるかのごとくそういう大電放送局放送区域と重複するものについてもチャンネルの割当を廃止しないということを非常に誇らしげに原則としてうたっておられる、これは私は郵政省考え方が一体何のためにこういうことをされたのか、全く了解に苦しむのです。その理由を今日お述べ下さればけっこうだし、もしお述べになれないなら書いたものにして、私は後学のためにとっておきますから、(笑声)ぜひ書いたものにしてお示し願いたい。私はこれは数年来主張しているのですが、どうしてもあなた方は実行されない。
  25. 荘宏

    説明員荘宏君) 新谷先生からもう答えはこういうのだろうというところまでお示しいただいたので(笑声)申し上げてもおしかりを受けるだけかもしれませんが、NHK大電傘下の小電力局を廃止しない理由でございますが、これは先生のお話のように確かにローカル放送ができるようにという趣旨でございます。それでローカル放送につきましては確かにNHKで現在やっております時間は数時間——三時間か四時間でございます。この点は事実でございますが、場合によっては非常に長時間やるような日もあり得るわけでございます。それで経営の問題とからみ合って比較天びんをとった場合に、ローカル放送をやめるようにしておくのがいいか、まあやめちまってもうそういった局は廃局にして、あるいは置くにしてもごく小さい無人の中継局くらいにしてしまったらどうか、こういうことになるわけですが、その判断におきまして私どもといたしましては、現在各地方からできるだけNHKのローカルを充実してくれ、ローカル放送をやれるようにしてくれという強い御要望があったのでございます。その点を考えまして局としてはやはり置けるようにしておきたいというふうに考えたわけでございます。ただこの作文がはなはだへたくそでありまして、いかにも先生のお目からごらんになりますと誇らしげに書いてあるというお話でございますが、私どもとしては決して自慢をして書いたというような気持はさらさらございません。ただ割当表を実際作ります場合にはっきりその態度を表わしておかないとあとの作業ができないものですから、割当を廃止しないことにして以上の作業をするという趣旨で書いたにすぎないのであります。  なおローカル放送の必要性といいますか要望といいますか、その点を考えまして割当はいたしましたわけでございますけれども、しかしながら何といいましても先生お話のごとく大電力でりっぱに聞えている状況でございますので、その点も勘案いたしまして、いわば一等品の上等の波は割当をしないで、まあ言葉が悪うございますが、若干傷のある傷物でしんぼうをしてもらう、まあ傷物ならばその他のたとえば民放におきましてもそういったものは要らないと言うでございましょうし、そういったようなものの十分利用をはかるということも大切でございますので、日本全体の周波数圏域を維持する意味からも使えるものを使う、せっかく現在放送局もあることだし、地元も要望をしている、また使おうとすれば昼間なんかは十分波として役に立つものでございますから、これらの局を残して波の割当をやる、こういうふうに考えたわけでございます。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まあ御答弁はよくわかっているのですが、もう一ぺん考え直していただくことを私は要望します。それはもう今あなた方が言っておられるのはあとからつけた理屈でして、実際には、たとえばどこかの局がある、実際に今人もある、設備もある、それを一方は大電力になったからといって廃止されるのは非常に困るという地方の要望があってそれに抵抗し切れないで、押し切れないでずるずる引っぱられているのが実情だと私は思う。現に関東地方をごらんなさい。関東地方はあちらこちらで今まで小さな放送局をもって電波を出しておったでしょう。今日やめていて何県カバーしていますか。今大電力でやっているたとえば大阪を例にとっても、何県の地方のローカル放送をカバーしていますか、やれないことはないわけです。みんながどこの中央局でも東京のようにおやりになるとやれないはずはないのです。もしかりにどうしてもやれないという場合は、その中の一つの波でもけっこうですから、やはり中央局でその波を一つ取ってそれで時間を割ってやれば波の方も倹約になるし、施設の方も倹約になるはずであります。一日に二時間や三時間のためにわざわざりっぱな施設も人もそのまま温存していく、倹約できるものをしないのだというような方針をおとりになることは私は放送協会態度としても非常に遺憾だと思うし、それを易々諾々として許される郵政省態度としてもきわめて遺憾だと思う。私監督官庁のこれは非常な決意を持って反省されることを要望します。かかるチャンネル・プランの最終決定までにはそういう趣旨を実現して下さい。希望しておきます。
  27. 山田節男

    山田節男君 関連して。今の新谷君の言われた一件ですがね、これはまあ上林政務次官は政治力があるから大臣一つよく言ってもらいたいことは、われわれが現地、たとえば北陸の方を回ってみますと、ことにこれが三年か四年前です、相当民放のああいう小さい地域の方がとにかく経済的に行き詰まっちゃって、もうにっちもさっちもいかなくなったときにわれわれは行ったのです。これは何かというと、今のような地域の広さとかそういうものを考えないで、いわゆる一県一放送主義というようなことで民間事業民放を認可した、これは非常な私は政府として誤まったやり方だと思う。少くとも日本のような小さい島でいえば、民間放送というものもスポンサーからしてもカバレージが大きくなければスポンサーの価値がないわけですから。これはまあ話は余談になりますが、たとえば青森県へ行ってみる、岩手県へ行ってみる、こういうところはいいスポンサーがつかないのです、全国的なカバーされるあれがないから。そうするとやはりスポット・アナウンスといいますか、十秒間二千円とか二千五百円というものを集めてやっておる。それでそういうようなところで経営が困っているときには、もう何とかならぬだろうか、たとえば北陸なら北陸の、あそこは北越ですか、富山それから石川ですね、それから福井、こういったようなところを一つのネット・ワークにしちゃってやったらどうかということを僕ら言ったわけです。ところがまあ自来そういう話があったらしいが、少し景気がよくなってくると、配当ができるというようなことになると、いわゆる一城のあるじになってしまって、あれはもうおれたちでやれるんだということを言うわけです。しかしこれは電波行政からいったりあるいは聴取者の立場からいっても、あるいはスポンサーの立場からいっても非常に経済的価値が少いし、また利便が少いわけです。ですから今度のように三年に一回の機会に、今新谷君も指摘されたようなことは、政府が、それこそ電波監理局郵政省がこれに対して行政権を発動して合理化していかなくちゃいかぬと思うのです。だからこれは何としても政府の誤まりだ。それから最後にはこれを聞く国民は非常に不便だと思うのです。ですからこれは電波監理審議会あたりでそういうようなことを議せられたかどうか、私は部外者ですから知りませんけれども、しかしこれは政府としては慎重に考えなくちゃいかぬ。ただもうかっている、もうかっていないという問題じゃないのです。ですからこれは六月一日ということになれば日にちもありませんけれども、しかしこれは今までのことで、これでなお今後三年間続けていくということはますます根が生えてしまう。弱体な政府ではこれはできないということです。一番問題なのは周波数を効率的に、しかも能率的にやるということになれば、まず第一にこれをやらなければならぬ。これを等閑視しておったところに中波周波数のスペクトラムがなくなってしまう。これは国民のものですから、一民間放送会社のものじゃないのです。独占事業じゃないのですから、国民のものという建前政府はこれを割当しなければならぬ。これは私は考えてしかるべきものだと思うのです。だからその点は一つ政務次官郵政大臣に強く言われて、その片りんでも三年に一度のこの機会において表わすということは、大臣政務次官これは非常に大きな責任だと思うのですよ。これは一つ研究していただいて、次回一つ大臣あたりからそれに対する御所見を賜わりたいと思うのです。一つ政務次官にお願いしておきます。
  28. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 新谷、山田委員からまことに示唆に富んだ御意見を拝聴いたしましたが、なお結論的な答えは次回でもよろしいということでございますので、大臣その他技術当局ともよく打ち合せた上で、この機会にできる範囲内のことだけでも努力してみたいと、こういうように考えております。先ほども意見がありましたように、アメリカの七人委員会等では偏向的な放送をやったり、経営があまりにもずさんであったりする場合には、淡々として免許を取り消すと、こういうことも聞いておるのでございますが、そういうふうに理想的に日本でもやれるものであるならば、まことに幸いであるという気持だけは私ども持っておるのでございますけれども、なかなか微妙で並み大ていのことではこの問題をさばいていけないというのが実情でございますので、努めてお示しの御意見に沿うように努力申し上げたいという以外に本日は残念ながら答えができないのであります。御了承を願います。
  29. 永岡光治

    永岡光治君 私は一つ会期も終りになっておりますので、郵政当局の所見をただしたいと思うことが一つあるわけですが、それは過ぐる二月だったと記憶いたしておりますが、本委員会で私から郵政大臣に特に質問をいたしまして、従来、お年玉はがきの募金の配分の状況が非常に不明朗きわまりない。このことが郵政職員に非常に悪影響を及ぼしまして、その募集の意欲すらないというお話を承わって、非常に憂慮いたしております。ついてはこの制度について根本的な検討をする段階になってきておるんじゃないかと、そこで郵政大臣としてはどのような考えを持っておるかという私の質問に対しまして、郵政大臣は今着々研究をいたしておる、今国会には必ず提案をいたしますと、こういう実は御答弁だったのですが、もう会期もあと二十日くらいを残した今日依然として法律案を出されておりませんが、どのような措置になっておるか、今後どのようにしていくのか、その点をまず私は承わりたいと思うのです。
  30. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 永岡委員ほかからの熱心なる御要望もあり、私どももそういうふうに考えておりましたので、郵政省及び郵政職員がきれいな気持で集めたお年玉の金がきれいに、しかも有効に使われるように処置をしたいと、こういうわけで党内の調整もはかり、あるいは郵政省と厚生省との調整もはかりして、やや結論に達したと、こう思ったことが一、二回あったのでございまするが、何分にも私ども考え方は、さっき言った気持に合せまして、今まで通り主として社会福祉事業にこれを使うとともに、一面明るい方面にもこれを使いたい。たとえば苦学生が非常に難儀をしておるからそれらの者の宿舎を大都会なら大都会に作るとか、あるいは特殊教育であるしいのみ学園などにもこうしたものの金で何とか便宜をはかりだいとかいうように、いろいろと主張し、また一面、単に会議費とか、あるいは出張旅費とかそういうものに使われることも場合によってはいいのでありますけれども、それよりもわずかの金でございますから、できるだけ有意義に、あとに残るようなものにこれを使いたい。こういうわけでいろいろと折衝をいたして参りましたが、厚生省及び厚生省の外郭団体等の熱心なる陳情などもございまして、一進一退で今日に至ったことをまことに申しわけなく考えております。それで、しからば今国会にそれが間に合うのか、こういうふうに畳みかけられますと、現段階ではおそらく間に合うまいと申し上げなければならぬのであります。それならば近い将来どうするか、こういうことになりますが、来国会までには必ずそれらの調整をとりまして、きれいな気持で集めた金がきれいに、しかも有効に喜ばれて使われていくような形態で実施できるような法案を提出したいと、こういうふうに私ども考えているところでございまして、大臣初め熱心に努力をいたしましたが、ただいま申し上げたような事情になっておることを御了承願いたいと思います。
  31. 永岡光治

    永岡光治君 郵政当局は今の御説明でわかりましたが、大臣以下政務次官、事務当局も熱心に努力したけれども、ついに実を結ばなかった、こういうことでございますが、その大きな原因はどこにあるんでしょうか。聞けば自民党の、何か逓信委員部会でございますか、そこで論議をされまして、そこで反対にあって、これがついに日の目を見るに至らなかった、こういうことでございますが、趣旨には反対であったのかどうか。
  32. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 衆議院の逓信委員会でも、参議院の逓信委員会と同様に、この問題についてはきわめて熱心に協力をしていただきましたので、そういうような事情は何もなかったのでございます。
  33. 永岡光治

    永岡光治君 いや、衆参両院のこういう逓信委員会ではこれが正しくこれが使われるということで、特に郵政当局の善処を要望したことは今お答えの通りです。なぜ日の目を見なかったかというその原因ですね。これはお宅の党の方の何か関係で、日の目を見るに至らなかった、こういう話ですが、その原因はどこにあったのかということです。どの点が反対であったかということです。
  34. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) お答えいたします。党内の事情も一部はございます。たとえば通信部会はきわめて御熱心に支持をしていただきました。ところが社会労働部会の方では、厚生省とと関係上、あるいはその他の外郭団体との関係上、一応了解をしてくれたこともございますけれども、また先ほど申し上げた通り、一進一退を続けできて、結論に至らなかった。しかし全面的にこの法案に反対であるという意向を示されたことはございません。時間がかかるけれども、お互いに協調をして、近い将来にやろうじゃないか。こういった話合いはいたしておるのでございまして、全然根本的に対立して、この法案が日の目を見ないようにしようという意図はなかったように記憶いたしております。
  35. 永岡光治

    永岡光治君 従来この郵政当局から募金会に対してこの使途はどういうように使われておるかということについて御報告を求めても、その報告すらできないような紊乱した経理状況であったということを政務次官は知っているかどうか。
  36. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 具体的に報告書は見ておりませんけれども、不適当なものも中にはあったということを聞いております。具体的なことはほかの機会に申し上げるなり、あるいは適当な機会にまたお聞き下さることを私としては希望したいと思います。
  37. 永岡光治

    永岡光治君 これは大口利用者からの御協力を得たことも事実でございますが、郵政職員がやはり一生懸命に募集をいたしまして売りさばいて、あの募金に年間五億という膨大な金を集めたということは政務次官みずから御承知の通りだと思うのです。今日郵政事業であればこそあれだけの募金が集まるような状態でありまして、たとえば南極探検の募金をいたしましても、御案内の通り千数百万円が今日せいぜいでございます。従って私は郵政事業なるがゆえに集まるという、こういう点を考えますならば、ただ集まるからこれはどう使ってもいいということにはならぬと思うのです。飲食の金に使われたり、幹部の出張旅費に、しかも外国の出張旅費にまでこれが使われるという、そういうことであっては募金をするところの職員は何のために働いているかということについて非常に不満を感じているだろうと思うのです。やはりこれは募金の目的であるところのそういう社会事業にこれは使うのだという、こういうところに私は大きな意義があって今日まで営々として努力してきたと思うのです。とりわけこの郵政事業は期末手当等の問題にいたしましても、各官庁に比べて財政が赤字だということで、仲裁裁定が出ましても容易にそれが実施されないというのが今日の状況であります。もしかりにこの五億という金が、郵政職員が募金でなしに、そのままの形で、正当な五円の料金で売りさばかれたならば、私はおそらく職員の待遇の上にもこれが恵まれてきたと思うのです。それをしもなげうって、なおかつ社会福祉のためにこの募金に営々として努力されているということは、やはり社会福祉のために正しく使われるところに意義があると考えている。それが今日実施されましてから数年間たっておりますけれども、どういうように使われたか、郵政当局から報告を求められても報告ができないというような状況、しかも先ほど申し上げましたように、飲食費に使われたり、海外の出張の旅費にまで使われて、本来の目的であるところの社会事業には精力を注いでいないとか、あるいはまた地方の募金団体の支部のいろいろな雑費やその他の経費に使われるというに至っては、まさにこれは害悪をむしろ及ぼすのであって、本来ならばこの際募金、このお年玉はがきをやめてしかるべきだ、それこそがほんとうに反省を促す大きなみせしめにもなると思いますので、近く三十一年度におけるお年玉はがきの計画を立てられると思うのですが、私はそういうはっきりした使途が明確になるような措置を講ぜられないままに、今日の状況でこれが行われるということになりますれば、おそらく従業員諸君はこれに対して反対の運動を起すのではないかということをおそれるのであります。こういう状態にあるのでありますが、この募金を行うまでにこの計画を立てて、実施されるまでに使途が明確になるような具体的措置は、法律案は改正されないまでも、郵政当局で何らかの改正の意図を持っているのかどうか、その点をまず私はお聞きをいたしたいと思います。
  38. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 非常なおしかりを受けたわけでございますが、私もおしかりを受けながら大部分その通りだと、こういうような気持ですなおに拝聴いたしました。御承知の通りこの金は募金ではございますけれども考えようによっては私は郵政省の犠牲においてなされておる金であると見れると考えております。なぜかといいますと、普通は五円で売るべきものを郵政省は四円で売って、そしてそれにプラス一円をこれを募金という形で醵出しておるのでございますから、考えようによってはこれは郵政省の財政的な犠牲において募金をしておるとも見えるのでありますので、この使い方については先ほども申し上げました通り有効に適切に使われなければならぬ、こういうように考えてあの法案を用意したわけであったのでございますけれども、残念ながらいまだその結論を今国会で見ていないことは返す返すも残念に思っておるところでございますが、そこで、そういうような過去のいろいろな事情もございましたので、三十年度の金の使い方につきましては、私どもも郵政審議会等に御相談を申し上げ、あるいは赤十字社あるいは共同募金会等にも御相談を申し上げまして、そしてたとえば広島あるいは長崎等の原爆患者の病院等を作るというような、その他具体的に身体不自由児の治療所であるとか、あるいは養老院であるとかいうように、そうしたものにできるだけ具体的に使うように御相談を申し上げてきたわけでございまして、今までに比べてそういう方向に進んでおることは事実でございます。そこで三十一年度の問題につきましても、郵政審議会にあらかじめそれぞれの団体から計画書を出してもらいまして、きわめて適切であるという問題に限って集められたものを割当をしていただくようにと、こういう気持で現段階では進んでおるところでございます。重々御意見に従いまして、かりに法律が間に合わなくてもこれに準じた取扱いができるように事務的にも政治的にも私ども進めて参りたいとただいまのところでは考えておるところでございます。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 この事務当局の用意されました法律の改正の試案が、厚生省あたりから非常に強い反対があったということも私は承わっておりますし、また地方における共同募金の団体からも反対があったということも承わっております。しかしその反対の理由というものは、決して郵政当局がこれについて十分監視の行き届くような組織に変えたいと、こういうねらいとちっともこれはそごを来たすものではないのであって、将来とも共同募金委員会におまかせするし、また方法についても十分御相談をしていくというのであって、今日の方針とちっとも変りない。ただこれが正確に、しかも誤まれる方向に、むだな方向に、目的としないところの経費に使われては困るという郵政当局の計画について何ら反対する理由がなかったにもかかわらず、厚生省あるいは地方の募金団体から強い反対があったということは、それだけになおさら私は不明朗なものをこのままに見のがすわけにはいかないと思う。やはり何か甘い……吸っていればこそ何かこの使途が明確になることをおそれておると、こういう印象を強く受けるものでありますから、今のお答えによって郵政当局の御決意のほどもわかりましたが、どうか三十一年度にぜひとも、この次の国会には法律案の改正を出していただくのでありますから、私たちは双手をあげてそれに賛成をいたすものでありますけれども、同時にもしそれをしも自民党のあるいは党内の事情でこれが許されないというような状況がありますならば、その際はもうこういうお年玉はがきのごときものはやめる、こういう強硬方針一つ臨んでもらいたい。これは職員の声です。私たちしばしば陳情を受けて、実は弱っているような状況であります。どうか一つそういうことのないように、ほんとうにこれが正しく集められ、正しく使用されて、所期の目的を達せられるような方向にぜひとも最善の努力を願うように要望いたしまして私の質問を終りますが、間違いなく次の国会には出していただけますか、その点を念を押しておきます。
  40. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 次の国会には間違いなく提出できるものと考えますし、また努力をいたしたいと思っております。
  41. 久保等

    ○久保等君 私、少し例の特定局長の問題について御質問をしてみたいと存じます。本来ならば郵政大臣にお伺いすべきでありますが、本日お見えにならないので、すでに先月一応議員立法という形でございますが、特定郵便局長の任免等に関する特別措置法案並びに国家公務員法の一部を改正する法律案という二つの形で現に国会に出されて参って、この法律案の扱いを内閣委員会でやるか、あるいは逓信委員会でやるかということについても種々論議がされまして、結論的に内閣委員会で扱おうということに今なっているわけです。ところで、私特にこの問題については前々からこういった動きのあることも一応察知せられましたし、また当委員会でも、この問題に関連して、前々から非常に一つの危惧を感じながら質問も当時郵政大臣に私ども行なって、郵政大臣考え方、あるいはまた事務当局等の考え方も承わっておったわけであります。そこで、そういった不明朗なきわめて党利党略的な法律案が国会に出されてくることのないようにということをひたすらこいねがっておったわけです。しかし、結果的に法律案が日の目を国会に出されてきたという形で今日見ているわけですが、この問題に対して私は少くとも郵政政務次官が、政務次官という要職におられて、この法律案に対してどういうお考えを持っているか、この際承わっておきたいと思うのです。聞くところによると、郵政次官は、この問題についていわば賛成の御意見を持っているやに聞いているのですが、しかしすでに法律案が出されておりますことに対して、議員立法でございますから当然政府が正式に扱った問題ではありません、しかし少くとも議員立法の法律でありましょうとも、それに対するお考え方は明確に政府としてもお持ちでありましょうし、また政務次官としてもお持ちになっておられると思いますので、郵政の政務次官という立場でけっこうでございまするが、今日のところ上林政務次官からお考えを承わりたいと思います。
  42. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 政府意見については種々の事情もございますので、本問題はできるだけ大臣からお聞き取りを願いたいと思っているのでございます。御承知の通り省議にもまだかかっていない段階でございますので、私が、一部賛成の意見もないではないし、一部まだ検討の余地のある点もあると思っている段階でもございますので、政務次官という立場にはおりましても、どちらかといえば個人の意見にもなりかねないのでございますので、問題が問題だけに私としても慎重に扱いたい、こういう考えを持っておりますので、本日は御容赦を願いたいと思っております。なお、この問題が議員立法でございましても、いよいよ本格的に審議されるという段階にもしなるものでございましたならば、私どもといたしましても省議を開くなり、あるいは大臣との意見調整ももしあるならばはかるなりいたしまして、お答えすることが適当ではないかと私自身は考えておりますし、またいろいろな情報によりますと、あるいは今国会には間に合わないのじゃないだろうかという話もあるやさきでもございますので、私からあれこれ先走っていろいろな意見を申し上げることは不適当かと考えますので御了承願いたいと思います。
  43. 久保等

    ○久保等君 私ここで特に政務次官に御質問をいたしておりますのは、政府を代表して、あるいはまた郵政大臣の代理として御答弁を願いたいという意味じゃなくて、もう少しざっくばらんな意味政務次官の立場、政務次官としてのお考え方でけっこうですからお伺いをいたしたいという、いわばきわめて非公式的な御質問にもなっておるかとも思うのでありますが、そういう点を念頭に置いて、一つここで十分に御答弁を願ってけっこうなんです。それでただ、今の御答弁ですと、何かある段階がくれば省議でまとめて省としての考え方、政府としての考え方を、いずれかの結論を出すんだというふうにも聞き取れるような御答弁をされておるのですが、何か私それはどういうお考え方なのかよくわかりませんけれども、むしろこの法律案が与党側から出されるに当っての事前の措置として、また事前の態度として、当然これは郵政省そのものの重大問題だけに何らかのこれは態度をむしろ明確にして、党そのものに少くとも郵政大臣なりあるいはまた現在の内閣そのものの考え方というものを明確に表示すべきじゃなかったかというふうに考えるわけです。この法律案が今国会では怪しい雲行きであるから、今のところは別に態度はきめておらぬが、これを相当スピーディに審議を始められるというような状態になれば、このままではいけないので、何らかの結論を郵政当局としても出したいという御答弁のように受け取れるのですが、筋としては理解しかねるのですけれども、そういうお考え方なんでしょうか、いずれ近いうちにこの法律案に対する考え方というものを、今ごろになってこれからきめるのだというお考え方でも持っておられるのでしょうか。
  44. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 先ほど申し上げます通り、かりに非公式な気持でいいから何でもお前の考えを言ってみたらどうだと、きわめて思いやりのある質問をされたわけでございますけれども、立場が何といっても政務次官という立場でございますので、現段階においては別席でお茶を飲みながらの話でありますならば、私の個人の意見ということも多少は考えておるのでございますから、申し上げてもいいかとも思いますけれども、私はこの問題は慎重に扱わなければならないと、賛否こもごもなんだから、とにかくもっと研究しなければならないという考えは持っておりますけれども、強引に御推察のように右に引っぱっていこうとか、左に引っぱっていこうとかいう考えは、議員立法の立場から考えましても私は持っていないのでございまして、なおまた議員立法としてこれがきまったときに初めて省の方では、あるいは政務次官の立場においてでも考えるのかと、こういう御質問でございますけれども、それはそう申し上げるよりほかに方法はないということは、これはもうあなたが御同情ある質問をなされるならばおわかり下さる点だと思うので、あくまで議員立法に対して政府が先走って右左の御意見を申し上げることは、これこそかりに重大な問題であったといたしましても、これは私は国会に対する一つの干渉がましいことにもなりますので、むしろ一歩下って、結論が出た場合に右左の政府意見はどうだと言われたときに、みんなの意見を集めて、結論を得た上で答えるのが最も穏便な処置ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 これは政務次官はえらいだいぶ遠慮をされて言っておるようですが、そもそも私はこの動機が問題だと思うのです。今日自民党が絶対多数を衆議院において持っておるということが、いろいろな点においてその数を頼めば何でもできるという印象を非常に強くしている。あの小選挙区制法案を見てごらんなさい、今日どうですか、国民の世論の前に骨抜きに立ち至ったじゃございませんか。しかも党利党略であることは間違いない、これは動機が不純だと申しますことは私も承知いたしております。資料を出せとおっしゃればこの際出してもけっこうですが、それは政務次官の前ですから遠慮いたしますが、しかし自民党の下部組織に特定局長をする、こういう約束のもとに、ごらんなさい、二千名から三千名の入党の怪文書が回っておることも私は押えています。献金を条件にこの法律案を出す、しかもこれについては相当反対があった。反対のあるのは当りまえですが、考えてごらんなさい、月給は一人前にもらえる、局長なんというのは片手間でやってよろしい、兼業はよろしい、恩給はもらえて実質上の世襲だという、しかも市会議員もさせる、町村議員もさせる、そういう今日べらぼうなことを国民が了承すると思いますか。しかもなおかつ聞くところによれば、砂田組織局長が、わしの面子もあるのだから、審議未了になるのはそれはともかくといたしまして、とにもかくにも一応この法律案を出してもらいたいということさえ言われておるといっているじゃありませんか。私はこういう党利党略のための、不純なる動機に基いてこういう法案を出されるということは、きわめて遺憾です。しかもあなたは今郵政当局に相談があってからこれは郵政当局の意見をまとめると、こうおっしゃっておりますが、私は予算委員会においても、あるいはその他の委員会におきましても、政府の所見をただしました。とりわけこれは職員との関係のあります労働大臣にもただしましたところが、政府意見は一致してこれは反対ですということを言っているわけです。それにもかかわらず、あえて自民党が強行するというそういう際に当って、あなた方がなぜこれを阻止しなかったかということです。ここに私は問題があると思うのです。すでに内閣委員会には衆議院ではもう提案されておる段階ですから、郵政当局としてこういう意見だということをやはり言ってしかるべきですよ。これができないというのは、今から出たならば、意見を問われたならばまとめて話そう、どうやらこれは日の目を見ないであろうということもありまするからということでありまするが、そういうことを望んでおりまするならばなおさらのこと、私は国民の前に、ラジオの朝の私たちの言葉の場合でも、あるいは新聞紙上等でもずいぶんとたたかれております。しかも局長の間でも反対する局長が半数くらいあるわけです、今日では。昔の封建当時の今から昭和十二年にさかのぼるわけです、あの制度が改正されたのは。その改正された当時に私もお手伝いした一人でありますが、昭和十二年の昔に返そうというのでありますから、よほどうまい汁を夢見ていると私は思う。しかし時代は変ってしまいました。完全に特定局長さんというのは一つの俸給取りです。昔と違うのです。また昔の時代のようにすでにそういう特権階級、あるいは有力者に頼らなければならぬ時代はもう過ぎました。それを昔に返そうというのですから、これはだれが考えてもまさにむちゃくちゃです。しかも先ほど申し上げましたように、その動機たるやきわめて不純であります。そういう意味から、これはぜひ郵政当局としても国民に毅然たる態度を明示することが事を誤まらないのです。これは御承知の通り郵便事業というものは国民に対するサービス事業ですから、それを政争の具に供すということはもってのほかのことで、これはもう何としても許すことのできない問題でありますから、今からでもおそくはありません。郵政当局の毅然たる態度一つ私は示していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  46. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 先ほどから申し上げておる通り、私はただいまの立場で郵政省意見をはっきり言えと、こうおっしゃいますけれども、私は残念ながらそれを申し上げる時期ではないと考えております。その意味で御了解を願っておきたいと思います。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 あなたはそうおっしゃいますが、あの法律が通れば、あなたのところは一万数千名の定員を増員しなければならないのです。御承知の通り、あの局長さんの定員は、仕事をするものとしてこれだけなければならないということで定員が算出されているのです。それが片手間でよろしいということならば、その分の定員をふやさなければならない。かりに一万人とすれば、年間に、単価はどのぐらいになりましょうか、三十万といたしましても三十億の金がかかるのです。どこからこの経費を持ってくるのですか。これが通過したら郵政事業はお手あげではありませんか。郵便料金を値上げするのか、それとも一般会計から繰り入れでもするのですか。もうあなたの事業の足元に火がついているじゃないですか。それに対して、まだあなたの見解を述べる段階ではありません、などと言うのはちょっと不審にたえない。増員を要するということは御承知でしょう、もしこれが通過すれば……。
  48. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 先ほどから申し上げております通り、私は、この際見解を申し上げる段階ではないし、また、研究も十分に至っておりませんので、お答えできないということをさらに申し上げたいと思います。
  49. 久保等

    ○久保等君 この法律案は、少くとも出される経過については、それこそ慎重に私は与党の内部でも検討されたはずですし、また、そのように聞いているわけです。そこで、そういう慎重な検討と、いろいろ調査の結果出されて参った二つの法律案、しかもさかのぼって見れば、自民党そのものの全国組織委員会で、党の組織確立という観点から、非常に慎重にこれまた検討を加えられたという話も聞いておるわけです。従って、少くとも国会に出してくるからには、当然この法律案の通過と成立を考えておるだろうと思うのです。しかも、これが小党ならばいざ知らず、二大政党の対立とは言っても、圧倒的な多数を有する今日の自民党のもとにおいて出されて参った法律案ならば、そう私は軽々にこの問題の推移を見守るとは思われないのです。にもかかわらず、先ほど政務次官の御答弁だと、どうもあまり気合いがかからないようなお話で、どうやら今国会での成立はおぼつかないのじゃないかというふうな口吻を漏らされたのですが、一体政務次官の御判断の基礎はどこから出てきておるのですか。えらい見通しがいいようでございますが、われわれは、これは少くとも非常に重大視し、それこそ慎重審議を国会でやらなければならないと思っておるのです。今国会の会期もすでに十七日間延長されたというような状況のもとで、一つ大いに提案者の意のあるところを承わって、われわれは審議の参考にもしなければならないと思うのです。特に、従業員を現実にかかえて郵政事業を預かっておる政務次官として、この法案に対する態度というものは、もちろん大臣を初めとして現在は明確であろうと思うのです。ところが、法律案に対する見通しというものについて、先ほど政務次官からお話があったのですが、それならば一体郵政大臣はこの法律、案の成立しないことを期待しておられるのかどうか。その成立が困難なような御判断はどこから一体出ておられるのか、承わりたいと思うのです。
  50. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 的確なことは郵政大臣からお聞き取り下さることが一番適切かと私考えますので、多くを申し上げませんが、ただ、重要法案がたくさん山積しておる、そういう理由から考えまして、この法案に限らず、時間的に通らぬものも多いだろう、こういうような一般的な推察から申し上げたわけでございます。なお、この法案に限らず、郵政省関係のある法案はあくまでも郵政事業にプラスになるように私ども考えていかなければならぬ、こういうふうに一般的には考えておりますので、この法案の部分々々についての論議は私は自分でもまだ十分に研究をいたしておりませんので、大ざっぱな、一通りの研究しかいたしておりませんので、こういう席上で責任を持ってまだお答えできないことを遺憾に思います。勉強が足りぬじゃないかとおっしゃればそれまででございますが、そういうような段階であることを重ねて申し上げておきたいと思います。
  51. 久保等

    ○久保等君 私はこれだけの重要法律案に対して、少くとも公開の委員会の席上で堂々と筋の通った、しかも所信のある答弁のできないような法律案を、直接郵政大臣なり、あるいは郵政事務当局が手がけない法律にしろ、少くとも与党が提出してくる法案に対して、それに対して、一体それならば郵政政務次官がその陰において一体どういう関与の仕方をされたのか。すなわち、一言の相談もなかった、知らなかったのだと、オー・ミステークだと言って今日言われる程度の状態でこの法案が国会に出されてきたのか。それとも郵政大臣は、ただいまの御説明通りに、その当時勉強しておったのだが、自分の意思を表明する機会もなかったし、そういう結論も持っていなかった、その間に党としての結論が国会に出されたという経過なのか。要するに、この法案が国会に出されるまでの経過について、全然政務次官はこの問題に対して何らの意思表示もしなかったということなのかどうなのか。これはお茶飲み話で済まされる問題じゃなくて、少くともこういう公開の席上で郵政政務次官の所信を表明さるべき問題だと思います。しかも、ことに私は遺憾に思いますことは、これが唐突に出されたということであるならば、やはり私は人間のあやまちとしてそういうことをあえて追及しようとは思いません。しかし、当委員会でも、前々から、本年の二月であったか三月であったか忘れましたけれども、少くともそういう案があるやに聞くけれども、しかしもしほんとうにそういう問題を検討するならば、終戦後における国家公務員法の制定の過程、それから公共企業体等労働関係法の制定の過程等を考えて、むしろ問題なのは、全従業員に対して、特に公共企業体関係の労働組合に対して、労働組合の組合員に対して、政治活動を許すか許さないかという問題、これは非常に大きな一つの問題なんだ、従って、そういう問題については四つに組んで研究をせられて——われわれの結論を言えばはっきりしておりまするが、少くとも公企体関係の労働組合の組合員には政治活動の自由を許すべきだという結論を持っておるんだが、一体郵政事務当局はどういう考えを持っておるか、というお尋ねをしたことに対して、もちろんそういう問題については十分研究しておる。しかし、事いやしくもその中の一部の、しかも重責にある局長にだけ政治活動の自由を許すといったような非常識なことは考えられないというような御答弁もあって、それならばということで私はその後の推移を見守っておったんですが、先ほども申し上げましたように、きわめてこれが党略案でありますることは明らかでありまするが、あえて私はこの席で自民党の責任を追及しようとは思いませんですが、ただ、そういう事態の推移に対して、郵政当局、特に私は郵政大臣並びに政務次官がどういう行動をとったかということについては、これはもう最大の関心を持たざるを得ないし、またそれに対する御弁明はぜひこれは承わらなければならないと思う。これは、もちろん上林政務次官が一議員としてどういう所見を持っておられようと、どういう行動をせられようと、私はそれに対してはいささかもとやかくの御批判を申し上げようとは思いません。しかし、事政務次官の席におる限りは、やはり事業というものに対しての責任を十分とっていただかなければならぬし、しかも、個人の御意見はどうあろうとも、政務次官という立場においての是非善悪の判別はこれはしていただかなければ困ると思う。そういう点で、特に私はこの席上で、政務次官のそういう意味での、この法案が国会に出されてくる過程において、一体郵政政務次官は何らこの問題についてはタッチしなかったということなのかどうなのか。これは事実ですから、事実の経過だけを私は承わればいいので、いいとか悪いとかということについてはこの機会に表明できないというお話ですから、過去の経過の事実について一つ率直にお述べいただきたいと思う。別に政務次官の責任の追及とか何とかいうことを考えているわけではないんです。しかし、やはり明らかにすることは明らかにして参ることがこの法案の審議に当って特に私は重要だろうと思いますし、また特に従業員諸君の立場にしてみれば、政務次官が少くとも自分らの責任者としてある以上は、政務次官事業の発展と従業員の生活、あるいは従業員の将来を考えてやってくれることを心から私は念願しておるだろうと思う。そういう状況下において、やはり政務次官考え方なり、そういう経過等についての事実は、これは率直に御表明願うことが必要じゃないかと思う。先ほどから言われておることは、まだ結論は出ておらないし、このことに対してとやかくの意見を言うべき段階でないと言われるけれども、私はそういう段階どころじゃなくて、きわめて今日おそきに失するし、なぜこういう法律案がもし適当でないと御判断されたのであるならば、これは何らかの措置ないしはそれに対する十分の助言忠告を与えるべきであったと思うのですが、しかしそれはその結果そのものを追及するのではなくて、経過に対して一体政務次官はどういうお考えを持っておったか。この法律案に対して関与せられたのか、全然こういう問題についてはノー・タッチだったと言われるのか、その間の事情だけを一つ明確に御答弁をわずらわしたいと思うのです。
  52. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 私の意見はさっきから申し上げておる通りでございまして、これ以上申し上げることはできないのであります。  なおこの法案について直接タッチしたかどうかというお話でございますが、政務次官として公的にタッチしたことはございません。先ほど申し上げます通り、あくまでも議員立法でございまするので、議員みずからが自発的にやられたものと私は推察をいたしております。
  53. 久保等

    ○久保等君 まあ、きわめて火の粉のかぶらないように用心深く答弁をせられておるのですが、しかしそれは用心深い御答弁ではなくて、私は真実をやはり語っておらないという気がいたすのです。法律案に対して正式にタッチしたかどうかというふうに私の御質問をお聞きになられたのならば、私はその点もう少し御理解をいただけるように御質問をしたいと思うのですが、そういう私は形式的な法律案の問題について、一体正式に意見を聞かれたかどうかという意味で質問しておるのではなくて、この法律案が出される経過の中において、政務次官であるなしは別として上林山さんその者が何らかの意見を表明し、反対であるとか、賛成であるとか、適当であるとかないとかという何らかの意向を表明せられたか、せられなかったかという意味での御質問なんですが、何らの連絡もなかったし、それからまた御意向も全然表明せらなかったという意味で理解してよろしいのかどうか、簡単にお聞きしてみたいと思います。
  54. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 先ほどから何べんも申し上げておる通りでございまして、御了承願いたいと思います。
  55. 久保等

    ○久保等君 何べんも御答弁をされておりますが、何べん御答弁されても私の質問に対しては御答弁になっておらないと思います。まあ非常に優秀な政務次官が、まさかいかに口下手な私の質問でありましょうとも、私の伺っておりまする内容については大よそ見当がおつきになるのじゃないかと思いますが、しかし、にもかかわらずただ公式的な御説明、御答弁だけなんです。それで、まあそういう御説明からお伺いすると、どうもこの法律案のやはり出されて参る経過には、郵政大臣としても多少私はやはり面はゆいというか、私の質問にそのものずばりの答弁が願えないような御意思の表明があったやに推測せざるを得ないのです。しかし私はここで特に意見を長々と申し上げようとは思わないのです。それからまた見解の相違とか何とかいうような意味での御意見も申し上げようとはさらさら思いません。むしろそういう問題を離れ、イデオロギーとか政策だとかいう問題を離れて、私はやはりすなおに平明にこの郵政事業というものを考え、それからまたこの郵政事業を預かる従業員というものをながめて、それでそれらの人の扱い方をどう扱っていくかという問題について、少くとも私は郵政大臣なりまた政務次官というものは、時と場合によれば、かりに与党が横車を押そうとしても、郵政の事業を預かる責任者という立場で、私は断固として所信に進んでもらいたい。また事業の発展のために全力を上げてやはりやっていただかなければならぬ。これがすなわち郵政大臣あるいは政務次官の私は責任だろうと思うのです。従ってそれを党利党略的な考え方でやられることに対して、もし積極的ではなかったとしても幾らかでも便乗的な気持があり、あるいはないしはこれを積極的に推進したとするならば、なおさら私は非常に遺憾だと思うのです。全国の一万数千の特定局のポストを利用して、またそれらのポストにある人たちを利用して、私は党の党勢拡張をはかる、あるいはまたそれを選挙対策に利用するということは、私はいかなる党であっても許されないと思うのです。それでこのことについてはおそらく政務次官も私の意見をそれこそ公式の立場において反駁をされるお気持はないと思います。しかし私はこれは公開の席上であろうとなかろうと、個人的にしろ、少くとも事業に対して、わけても公共事業という事業に対しては、私はもう少しそのときそのときの党利党略的な考え方ではなくて、永久の一つ事業考えて参りまする場合には、もう少し一貫した、それこそ筋の通ったものの考え方、御判断を願わなければ、これはもう非常に重大な問題だと私は思うのです。まあこういう法律案が私は国会に出されたという事態についてあまりにも非常識なことに対して非常に義憤を感ずるわけなのです。時も時、ああいう小選挙区制法案という問題をめぐってあれだけの問題を引き起したのですが、あの問題と私はこの問題と比較して考えた場合に、全くうらはらの関係にあるほど非常に重要視される問題だと思いますし、しかもこの場合には生きている事業そのものに直接重大な影響がある点において、私はむしろ小選挙区制の法律案以上に非常に重大な問題だと実は思うのです。従って提案者の形が政府である、あるいはまた議員立法の形であるというその形のいかんを問わず、少くとも私は郵政大臣なり政務次官、郵政当局という問題についてはこれはもう重大な責任があると思うのです。また少くとも法律案が出される事前において、私はそのことを万が一あるかもしれないという危惧のもとに、特別の御注意を喚起して善処と御努力を要望しておいたのです。にもかかわらず、こういう法律案が出されて参った。内容をあけてみると、従来から問題になっておった従業員の問題なんかをたな上げにしてしまって、逆に特定局長の問題だけについてこの問題を扱って参った、こういう考え方は私はどう考えても正常なる常識ではとうてい判断をすることができないと実は思っておるのです。まあこの法律案について先ほど政務次官からその成り行きたるやどうも今国会での成立はむずかしいというような御答弁がございましたが、私は少くとも与党から出された法律案でありまするだけに、責任ある郵政当局の立場でどうも納得ができないという法律案であるならば、私はこの問題に対して自民党の組織委員会なり党の幹部、あるいは議員立法をされた諸君そのものに対して忠告と助言によってこの法律案を引き下げるような御努力をされることも、せめてもの今までの、もし御努力が足りなかったという面がありまするならば、まだ御努力を願っても私はおそくはないと思います。従ってこの法律案の推移に対して、一体積極的にこれを推進しようとする意思を持っておるのか、あるいはこれに対して、これはむしろ引き下げたい、これは撤回すべきが至当なのだという御判断を持つのかということがこの法案の今後の推移に非常に重大な影響を持っておると思います。従ってこれはこの機会政務次官の所信の表明がないのではなはだ遺憾でありますが、しかしいずれにいたしましても、この法律案に対して、この法律案が正式に国会において、将来においても成立しないということに対して御努力をぜひ願わなくちゃならぬと私は思っておるのです。しかしおそらくそういったことを申し上げると、いや、しかし議員立法だというようなことをおそらく公式の答弁では言われると思うのです。私はそういう公式の一片の御答弁で満足をしようと思いますんし、また満足できるものでもございませんが、問題はそういう公式的な議論ではなくて、法律案がすでに国会に出されておりまするけれども、ぜひ一つこの法律案が撤回されるように御努力を、私はこれはぜひお願いをしたいと思うのです。そうでなければ、むしろ悔いを千載に残す。そのことはいかに郵政政務次官が愛党精神に燃えておるのかもしれませんが、郵政事業という事業以上に愛党精神に燃えておるのかもしれませんけれども、私は実は与党のためにもならぬと思っておる。政務次官もう少しあなたはしっかり聞いてもらわなければ困る、あなたのために特に私は御要望申し上げておるのですから。私はあなたの愛党精神のためにもぜひこのことを強く申し上げておきたいと思うのです。この委員会で正式に法律案を扱うことにはなっておりませんけれども、しかし少くともこの問題についてのすべての責任は今後の郵政当局、郵政事業にかかってくる問題でありまするだけに、私はこのことを強く申し上げて、もし郵政大臣がこの法律案に対して若干でも御賛成のようなお気持でも持っておられるならば、この際私は厳重に一つ御反省を御要望申し上げたいのです。非常に出過ぎたようなことを申し上げて恐縮ですけれども、私はやはりこの前特に当委員会でもこの問題について郵政大臣に申し上げたような経済等を考えて、今日こういう問題を再び申し上げるということは私も非常に遺憾に存じます。しかしこれも事実ですから、はなはだ残念ではございますけれども、特に本席には政務次官がおいでになりますので、政務次官にそのことを申し上げておくのです。もしそれに対して筋を通した形で御反論なり御所見があるならば、私むしろこの機会に十分一つ拝聴して御高説を承わりたいと思うのです。もし御答弁がなければ私本日の本問題に対する質問はきょうのところ以上で終りたいと思います。
  56. 永岡光治

    永岡光治君 この際これは政務次官がおいでになりますから、一つ郵政当局の意向として確かめておきたいのですが、今出されております特定局長の特別職法案が流れるということであればそれにかわって今特定局長のこの法律案を通過することを非常に念願しておる諸君が企図しておる特定局長会の復活をぜひともこの際許してもらいたいという話があるやに聞いておるのですが、郵政当局はその点を許すつもりですか。その点を明確にしてもらいたいと思います。
  57. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) そのことは何にもただいまのところ考えておりません。大臣とも相談をいたしてもおりません。省議にもかかっておりません。
  58. 永岡光治

    永岡光治君 今のところということでこれは物騒じゃないかと思うのですが、これは従来からも問題になったことであり、これを作ることによって御承知の通り確かに説明申し上げるまでもなく、現在普通局長とか特定局長というもの、そういう幅の大小の相違こそあれ、待遇においても何においても区別をしておりませんというのが郵政委員会の本委員会における一貫した答弁です。またその方向に向っておそらく努力されておると思うのですが、局長会を復活して昔をまた夢みようとして、これによってまたいろいんな復活を企図しようということを考えておるようでありますが、これを復活されるとか補助金を出したりいろいろ金を出すことになりますが、それをやる考えがありますか、ないですか。その点だけ一つ明確にして下さい。
  59. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) これもまた勉強が足りないというおしかりを受けるかもしれませんが、詳しく研究いたしておりません。従いまして右にする、左にするということの言明をここで申し上げる段階でございません。白紙でございます。
  60. 永岡光治

    永岡光治君 それでは重ねてこの点について要望いたしておきますが、今何も考えていないというわけですからいずれ問題になれば当委員会としては徹底的に追及いたす覚悟でありますので、ぜひそういうことがないように、事業が円満にいくように要望いたして質問を終ります。
  61. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私きょう郵政大臣の御出席をお願いいたしておりましたのですが、最初は出席するというふうに事務当局から伺いましたが、結局どこか外出なさって行先がわからぬので出られないと、こういうことになったのであります。当委員会は一週間に一ぺんでありますし、むろん早くから出席要求をいたすべきでありますけれども、かりに要求がなくても少くとも待機の姿勢でおられる、あるいは用事があって外出なさるならば、外出先を明確にするということはこれは当然の義務でございまして、現にただいま久保委員から特定郵便局長の身分に関する法律案の問題で質疑応答を拝聴いたしておりましても、もし大臣が国会内においでになれば、この問題はもっと掘り下げて話ができるだろう、こういうことを目の前に見ましても、やはりもう少し委員会を重んじるような筋道を立ててもらいたいということを、まず、最初に私要望いたしておきまして、この間の事情を何か政務次官からでも承われれば、簡単に承わっておきたいと思います。
  62. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 先ほど非公式に事情を申し上げて御了解を願ったつもりでございますが、郵政大臣は総理大臣の代理で外に出るから、今日は両院の委員会があるから、君かわって出席してほしい、こういうことがございましたので、いわゆる質問の要点を書類によって拝見した結果は、あるいはそれでもよかろうと、こういうように判断をいたしましたので、先ほど申し上げたような事情大臣出席しなかったのでございますが、今後は御趣旨に従ってできるだけ委員会に出られるように私から連絡をいたしたいと、こういうふうに考えます。
  63. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで私質問の本問題に入りますが、今日の産経時事の新聞紙上に「郵政省、国際電電ともめる。電報料値下げで」、こういう表題で、「郵政省では十四日省議を開き国際電信電話会社が——」国際電報料金値下げのために設ける「料金審議会案を拒否することを決定した。これは貿易商社ICC、新聞編集者協会などからの陳情により郵政省が国際電電に「少くとも一割を下らない程度の値下げを行うよう」との要請に対し、会社側は五分以上の値下げはムリと審議会を設けて値下げ方法の検討を行いたいと申出たのを拒否したもの。郵政省事務当局の話では会社の経理内容で五分以上の値下げは不可能でないとしており、村上郵政相ら同省首脳は経営刷新の意味から重役三名の更迭をも考慮しているもようで、料金値下げ問題は五月末任期満了となる重役人事とからんで両者間にさらに複雑な動きが予想される。」こういう記事が出ておりました。そこでこの五月末の役員の問題につきましては、先般の当委員会で私の考えを申しまして、十分に慎重に考慮する、慎重にこれを考えるという大臣からの御答弁がありましたので、今日はこの点には私触れませんが、むろん慎重にお考えをいただくものと考えまして触れませんが、第一点の電報料値下げの問題について伺いたいのですが、郵政省では、少くとも一割を下らない程度は値下げできるだろう、少くとも五分以上はできないわけはない。こういうお考えであるし、会社は五分以上は無理だ、こう言っておるというのですが、郵政省は五分以上の値下げができるという根拠になる何か数字でもあれば資料としてお出しになることもお願いしたいし、その方のお係がここにお見えになっておりますれば、一応説明を伺いたいと思います。
  64. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 御承知の通りに、電報料金が高いということで、貿易商社あるいは国際商工会議所あるいは新聞編集者協会、これは国際新聞編集者協会でございますが、その方面から非常に強い、もっと幅のある値下げをしてもらいたいという熱心な要望があるわけでございますが、しかしこういう要望を全面的にわれわれは全部そうであるとは何も考えていないのでございまして、郵政省の事務当局と国際電電会社の事務当局との間で慎重に数字を検討して、そうして適当なところで値下げをするようにと、この点については大臣が国際電電の社長を招致して協議した場合にも、国際電電の方で、この基本的方針については了承をせられたものと考えておるところでございますが、ひいて郵政省として事務的に検討したところによりますと、一割程度以上のものは値下げをし得る、こういう計数が具体的に出ておりますので、この計数等については事務当局から答弁をいたさせたいと思います。そういうような事情でございまして、無理に料金を値下げさせようという意図ではなくて、これが独占会社でありますし、しかも半ば公共的な仕事をしておる会社でもございますので、その意味から、できるだけ国民に、あるいは国際的にサービスをするという意味から、相当程度の値下げは必要である、こういう結論を郵政省としては持っているわけでございます。数字の点については、先ほど申し上げました通り、事務当局から答弁をいたさせます。
  65. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 私から数字的な問題についてお答え申し上げます。私ども料金値下げの問題につきましては、ただいま政務次官からもお答え申し上げましたように、いろいろ各方面要望がございますし、また通信事業、国際電気通信事業も通信事業でございますが、その本質からいたしまして、当然公共的な性質のものでございますため、会社の事業の運営が許します限り、サービスはできるだけ良好でなければなりませんし、また料金もできるだけ安くしなければならないということが通信事業の本旨であるというふうに考えております。そういう点で国際電電会社が、ここ三年間いろいろ努力をしてこられました。その結果、サービスもかなりよくなったと思いますし、また同時に、料金の点においても、ここ三年間の業績から考えれば、当然通信事業の本旨として、安くせねばならない、あるいは安くし得る段階にきておるのじゃないかというふうに私ども考えた次第であります。かりにここで一応二十八年度からの利益金の状況を申し上げます。これは国際電電会社は半期ずつに分れておりますので、年間はまあ二期に分れますが、二十八年度の第一期の利益金は、総収入が二十一億六千六百万円、それに対します支出が十七億八千九百万円、その利益金が三億七千六百万円。第二期が、総収入二十四億五百万円、総支出が二十億一千二百万円、利益金が三億九千二百万円。第三期が、総収入が二十三億二千四百万円、総支出が十九億四千六百万円、利益金が三億七千七百万円。二十九年度の下期になります第四期が、総収入二十四億四千五百万円、総支出が二十億四千七百万円、利益金が三億九千八百万円、三十年度の第五期が、総収入が二十五億六千七百万円、総支出が二十一億、差引利益が四億六千六百万円、この三月で終末いたします第六期が、総収入が二十六億五千八百万円、総支出が二十一億三千五百万円、利益が五億二千二百万円、以上申し上げましたように、当初の年度からかなりの利益を示しておりまして、その利益が、二十九年度というのは経済界が非常に苦しかった時期でございますけれども、その間においても減らないで、利益の増収を来たしておりまして、三十年度に至りましては、がぜん利益が出てきておるという状況になっております。この状況につきましては、いろいろとこの経営内容というものをさらに分析いたしますと、いろいろな理由がございますけれども、私どもはこの経営結果というものから、さらに経営内容につきまして、あるいは保守費、あるいは減価償却費、あるいは人件費、そういうものの使い方というものを含めてみまして、それについてもいろいろと私どもとしては批判をすべき材料はあるとは思うのでございますけれども、さしむきその批判をする材料を別といたしましても、今申し上げました利益の状況から考えまして、一割程度の値下げをしても、会社としては悠々とやっていけるであろうということを考えまして、少くとも一割の値下げは可能であるというふうに考えた次第であります。
  66. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の政務次官の御説明で、郵政御当局と国際電電会社、大臣と社長とお会いになって、ある程度の値下げをするという基本方針においては意見が一致した。ただし、値下げの程度については両者が一致しない、こういうふうに利益金に関する御当局の御説明を承わったのでありますが、私のここでお伺いしたいことは、少くとも一割は値下げできるであろうという、今利益金だけをおあげになりましたが、もう少し突っ込んだ数字上の根拠を、郵政省と会社側とどういう根拠に基いて、なぜそういったような値下げの程度の話の差が出てくるか。会社側の立場と郵政省の立場と、両方とも数字に基いての資料を、なるたけ念の入ったものをおこしらえいただいて御提出願いたいということをこの機会にお願いをいたしておきたいのであります。  それから第二点として伺いたいことは、いずれこれは海外通信でありますから、国際的の値段の協定があるんじゃないかと思うんですが、一方的に日本で値下げをして一向差しつかえないものでありますか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
  67. 松田英一

    政府委員(松田英一君) この点はこの前のこの委員会で、実は山田先生の御質問に対しましてもお答えしたわけでございますが、現在の国際通信料金は、大体建て方は金フラン建になっておりまして、ある国とある国との間の通信料金というものは、電報について申し上げますと、一語当り何金フランだというふうなことできめております。それをそれぞれ各国が、自分の国の通貨に対しまして換算率をきめまして、一金フランは自分の国の幾らであるということでもって、それから自分の国で徴収する料金はこういうものである、というふうにきめるわけでございます。その場合に、その換算のレートのとり方というものは、何と申しますか、まあ大体はその金フランというものは、現在金本位制度というものをとっている国はどこもございませんので、金フランというものの中に入っておりますいわゆる金の純分というものと、各国の名目的な金の純分というものとの関係から自動的におのずからその比率というものが出てくるわけでございますけれども、しかし必ずしもそれによりませんで、適当なレートというものを各国がきめておる状況でございます。今申し上げました形式的なレートよりも上回ってきめておるということはまずございませんで、大体半数程度と申しますか、下回ってきめておる場合がかなり多いという状況でございます。  そこでもちろん値下げをいたしますときに、各国の間できまっておりますその金フランによります料金を、お互いに協定するものによって引き下げていく、という行き方でもって引き下げられれば、これは一番望ましい方法でございまして、日本の方でも料金が減りますと同時に外国側でも料金が減っていく。従って両国の間のお互いのやりとりの通信が安くできるということであって、最も望ましいわけでありますけれども、各国それぞれの事情がございまして、なかなかこちらでもって料金を下げたいから、お前の方も下げないかということを申し上げましても、先方ではなかなか言うことを聞かないという状況で、それを待っていたのでは、なかなか料金値下げができないという状況でございます。そこで、それでは今の換算率を自然変えますなり、あるいは換算率ということとは無関係に、自分の方の徴収料金は幾らというようにきめまして、これはおのずから換算率の変ったことになるわけですが、そういう行き方によりまして料金は変えるといたします。その場合に、一見非常に誤解を招くのでございますけれども、たとえばある国との間に、そういった各国ごとの料金の、徴収料金の引き下げをやりますと、そうすると、その国との間に、たとえば無線でございますと、お互いに半分半分取り分がある。そこで自分の方、で取った料金はレートより低いものでとるといたしますと、一つの電報料の中から、半分を向うへやらなければならないのであるから、結局損じゃないかということであって、つまり日本として非常に損をするというふうに、一がいに考えてしまわれる向きが割に多いのでございます。しかし今申し上げましたように、金フラン建できまっておりまして、お互いの国の決済は、その金フランでやるということに、これは条約上そうなっておりますので、これは結局ある国と日本との間の通信というものは、三月ごとにその間の通信というものを全部計算いたしまして、お互いに払い分、取り分というものを計算いたしますが、この計算は金フランの料金をもととして計算するわけでございます。従いまして、どちらが払い分に立つかということは、大体において無線の場合半々でございますから、そういう場合を仮定いたしますと、発信の多い国が要するに相手国に対して支払わなければならないという立場に立つわけです。従ってその場合に幾ら払わなければならないかということは、金フランでお互いに計算いたしまして、金フランで幾ら払わなければならないという計算ができまして、その払わなければならない金フランを払うというときには、これはおのずから金フランの、何と申しましょうか、世界的な通貨レートとしての金フランの料金をドルにかえてドルで払うということになりまして、従って結局全体の通信の量の動きというものが各国の間の外貨の支払いの結果に影響してくるというだけでございまして、料金の建て方、各国の徴収料金を変えたから一国の払い分がふえるとか減るとかという問題ではないわけでございます。ただもちろん日本の国際電電会社といたしましては、今まで取っておりました料金がそれだけ下るわけでございますから日本の国際電電会社としては同じ金を払いましてもたくさん取った料金の中から少く取った料金だけ払うのでございますから国際電電会社としてはそれだけ減収になるわけでございます。しかし日本の国の外貨の支払いという点から考えますと、それは料金の徴収を下げようが上げようが外貨の支払いには影響ない、それはやはり電報の通数の関係にのみ関係してくるということでございます。
  68. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 非常にむずかしい御説明で、ちょっとしろうとにはわかりかねますが、私の聞きたいことがそのうちで二つあります。一つ日本が勝手に電報料金を上げ下げできるか、よその国と関係なしにできるか、それが一つ。それからもう一つ、無線のときは、たとえばこっちが発信という場合に十という料金を日本が取ったら五を向うへやって五をこっちが取る、こういう説明ですね。そうするとかりに十を一割値下けして九にした場合に、向うにはやはり今まで通り五やらなくちゃならない。こっちが従来五取っておったものを四を取るということになるならば一割の料金値下げが、無線の場合には現実に手取り二割の値下げになる、こういうことになりますかどうか、その二点を簡単にお答え願いたい。
  69. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 第一の問題につきましては国際条約との関係からいたしまして、その中でなるべく金フランの料金、金フランの価値といいますか、そういうお互いの国の間の決済を金フランに近く徴収料金をきめるのが望ましいという規定はございますが、直ちにその規定のあとに、しかしそれと違う料金の換算率といいますか、違う徴収料金をきめた場合においても各国間の決済は金フランの料金によるというふうに書いてございますので、国際条約の上からも金フランの換算率が違ってくる。従って勝手に安くすることができるということを前提にしたような工合にして書いておりますし、また各国の実情を見ましても、金フランの換等率というものは下回っている国が先ほど申し上げましたようにかなり多いという点から考えまして、そういう行き方による料金の引下げということは可能であると私は考えております。  それから第二の問題の、つまり一割下げたために、半々にするためにそれは二割に響いてくるかということは、その電報について国際側の国際電電会社として取るべきものがそれだけ減ってくるという意味では真実でございます。しかし先ほど申し上げましたように、それは国としての外貨の支払い関係、そういうものについては影響がない。それから外国からくるものにつきましても影響はないということでございます。
  70. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 くどいようですが、国際収支の問題じゃなくて、一通話出したときに一割の値下げが二割減収になるというのは事実ですね。発信一通についての値下りです。一割値下げすれば無線のときは二割国際電電の収入が減ると、こういうわけですね。
  71. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 一割が二割に値下げになるという行き方はあり得るわけですが……。
  72. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 いや減収、無線の場合は一割値下げは二割の減収になる……。
  73. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 厳密に申し上げますとそこに若干首尾料、首尾料といいますのは両方に、今申し上げましたのはお互いの間の無線の料を半々にとるという意味で、それにお互いの端末の料金を足してやっておりますから、厳密に言うと若干違ってくる面も起りますけれども、大体半々ということでございますから、その全体の料金を一割下げますと、そうすると向うに対して払わねばならないという金を一通について考えます場合には国際電電の取り分は二割方減るということは確かでございます。
  74. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 いろいろむずかしい御説明がございましたが、値下げが日本で一方的にできる。それから無線の方においては大体において一割の値下げが二割の減収になるということだけはごく大ざっぱな議論として間違いないように承知いたします。その問題、その程度にいたしまして、今度は国内電報料金、今度は逆に値上げの話ですが、大へん時間がおそくなって相済みませんが、四月二十日の朝日新聞に出ておるところによりますと、四月十九日に日本電電公社は、三割程度の電報料金の値上げをいたし、そして六千人の従業員の整理案を発表した。この合理化案は公社内の合理化推進委員会で立案した。目的とするところは、百億円の電報の赤字を五十億円にするため、にするものであって、料金の値上げによって三十億、経費の節約によって二十億、料金の具体案は十字六十円を十五字百円にする、累加料金は据え置くのだ、人員整理は二万七千人のうち中継の機械化等で四千人、合理化で二千人、合計六千人の整理をする。なおモールス通信を廃止して、印刷通信と電話通信だけにする。電信電話両局の合同的経営の実を上げる、こういうことが出ておるのですが、この案は郵政当局ではどういうふうにお考えになりますか。
  75. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その問題につきましては、これは前々から、(八木幸吉君「簡単でいいですよ」と述ぶ)公社の中に電信事業の合理化委員会ができておりまして、そこでずっと研究しておりましたものが大体まとまりましたので、それを総裁に答申するというその答申書が発表になりましたので、新聞記事にそういうふうに出たわけでございますが、それはあくまでも公社の内部の一つの研究機関の研究成果であるにとどまりまして、公社として電信料金の値上げを考慮しているとか、それを取り上げてすぐに検討をして値上げをはかっていこうというようなことは全然ないように私どもは聞いております。
  76. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで電報料金の値上げは一体国会の同意は要りますか、どうですか。
  77. 上林山榮吉

    政府委員上林榮吉君) 国内電報の方は国会の議決は要らないそうでございます……国内電報だけが要るそうでございます。訂正しておきます。
  78. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 国会の同意を得るのならば私は安心してゆっくり研究いたしますが、新聞記事では一方的にできるかのようにちょっと見受けるものですからそういう質問をしたのですが、そこでこの値上げの問題につきましてもいろいろ資料を私要求したいので後刻詳細のことを書いて事務当局に出しますから、電信電話公社の方でなるたけ親切な資料をちょうだいしたい。きょうはこれだけ申しまして、今度大臣がおいでになったときにもう少し伺いたいと思います。
  79. 島津忠彦

    理事島津忠彦君) 別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会      —————・—————