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1956-02-14 第24回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十四日(火曜日)    午後一時三十四分開会  出席者は左の通り。    委員長     松平 勇雄君    理事            島津 忠彦君            宮田 重文君            久保  等君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            新谷寅三郎君            瀧井治三郎君            最上 英子君            永岡 光治君            三木 治朗君            山田 節男君            野田 俊作君            八木 秀次君            八木 幸吉君   国務大臣    郵 政 大 臣 村上  勇君   政府委員    郵政政務次官  上林山榮吉君    郵政省監察局長 久保 威夫君    郵政省郵務局長 松井 一郎君    郵政省貯金局長 成松  馨君    郵政省簡易保険    局長      小野 吉郎君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業運営実情に関する調査の  件  (お年玉つき郵便葉書による寄付金  に関する件)  (簡易生命保険最高制限額の引上げ  に関する件)  (簡易生命保険及び郵便年金積立金  の運用に関する件) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (放送法改正に関する件)  (日本電信電話公社及び日本放送協  会の固定資産に対する課税に関する  件)     —————————————
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 逓信委員会を開会いたします。  郵政事業運営実情に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を一括して議題といたします。本日は前回に引き続きまして、先般の一般所管説明に関する質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 永岡光治

    永岡光治君 ただいまの委員長の議事の進め方に基きまして、私は先般の委員会郵政大臣から所管事項について説明をいただきましたが、その資料に基きまして若干の質問をいたしたいと思うのでありますが、第一点はお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案を本国会に提出いたすことにいたしておりますので、その節はよろしくお願いしますと、こういうことを言っております。実は私たち地方に参りまして職員方々から承わる苦情というのは、なぜ年賀葉書を五円で、そのうち一円を寄付するのか、当然もうこの際は五円にして、必要とあればさらに一円つけて六円にして売り出せばいいじゃないか。大臣もまあ御承知通り年末年始繁忙というものは、非常に職員にとっては悩みの種でありまして、そういう苦労もありますので、ぜひそういうようにしていただきたいという要望があるわけです。そこでいろいろ話を聞いてみたところが、五円にしてもらいたいという真意は、募金を一円くっつけて五円にするというそのことは一応いいとして、今までやって参ったのでありますからいいが、この一円がどういうように使われておるかということについて、職員は全然知らされていないし、聞くところによれば、必ずしも正当に募金お年玉つき制度趣旨に沿ってこれが使用されていないという向きも、職員の諸君は聞いておるようです。従ってそういうふうに不明朗であれば、もともと五円で売ってもらえば、五億枚売れば五億という金が職員の待遇の改善に向けられるのでありますが、その自分たち犠牲において集めたその募金がとんでもないところに流れている、こういうことではまことに困る。そこで郵政当局でこの点を十分監視してもらわなければならんと思うのでありまするが、いまだにこの点が明確になっていないし、実情調査いたしてみましても、その使途すら明確に郵政当局に把握されていない。これはどちらが悪いのか知りませんが、そういうことでありまして、非常に遺憾の声が強いようでありますが、私もこの大臣説明資料にうたわれているこの法律案改正というものも、郵政当局監督というものを強化しよう、その使途について十分監視をしよう、こういう趣旨ではないかと思うのでありますが、まず私はこの法律改正についての大臣の所見ですね、どういう考えで改正をしようとしておるのか、その点をまず承わりたいと思うのです。
  4. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 永岡委員の御指摘の通りでありまして、私どもとしては逓信従業員があの年末年始繁忙を克服して努力したその結果、五億数千万円というような金が社会福祉に回る、そういう大きな目的のために努力してくれた結果であって、非常にこの点は感謝し、また、この金の使途につきましては、十分有効にお気の毒な人たちの救済、援助の方面に使われることを希望し、またそうなくてはならないのでありますが、従来この募金使途が非常に不明朗なところがありまして、責任者としての私の立場から申しますならば、どうしてもその金が有効適切に使われているかどうかということを、はっきり確かめる必要があるのではないかというようなことから、今回この立法措置をいたそうとしておる次第でありますが、この点につきましては、細目にわたって郵務局長の方から一応御説明申し上げたいと思います。
  5. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) それでは私から補足的に御説明申し上げたいと思います。お年玉つきはがき寄付金をつけて集めて参りまして、すでに今年で二十六億五千万円ばかりとなっております。当初は、実はこんなにたくさん金が順調に集まるとは予期しておらなかったのであります。そのうまくゆきました裏面については、永岡委員承知だろうと思いますが、年賀はがきの料金というものを特別に減額しておるという点が、これが成功した最大の原因だろうと思っております。かりに、このはがきが普通の五円であり、さらに一円を付加した場合を考えてみますると、とてもこんな金にはならない。ところが、先ほど大臣からもお話がありましたように、従来、私どももこう金額が膨大になったことについて、これがどのように使われておるかということについて、決して無関心であるわけにはいかないというので、何回も繰り返し、その内容というものについて、何とか具体的にこれをつかみたいというので、いろいろな資料を実は従来から集めて参っておるのでありますが、今日結論として申し上げられる点は、これが何に使われたかということについて、郵政大臣として責任をもって申し上げるだけの確信のある資料は残念ながら出せない。と申しまするのは、初期において使われたものは、地方における共同募金団体というものが一般募金と混淆して使ってしまった。その結果、この金自身立場から見て、何に使われたかということはもとより言えない。その後、これだけは、やはり郵政省として国の機関を使って集めた金であるから、それが何に使われたかということは言えばければいかぬ。そういう意味において、会計経理についても何とかこれはやはり別にしてもらわなければ困るというようなことを申し入れまして、毎年それを繰り返しやっておるのでありますが、いまだになお末端においては一緒にしていて、わかりませんというようなことであります。また、中には、もっともだというので、経理を別にされて、こちらへ何に使ったかということの報告をされておるところも、もちろんあります。しかし、残念なことに、郵政省報告されたものと、当該共同募金委員会がこれに使ったと言って一般に公表されておる資料と、それからいろいろ中央募金委員会中央において集められて、かようかように使われたと言っているものと、この三つの資料を突き合わせてみますと、非常に多くのケースにおいて、その金額においても、その使途においても食い違いがある。そういうことが表面的な資料として得られた一つの事実であります。のみならず、今日に至っても、なお二年もさきに交付して、これに使ったとすでに公表済みのものについてすらも、その後の使途変更というものが続々として出てくる。これでは一体、何に使いましたと責任をもって御説明をするというわけには、とうてい参らないと思っております。もとより、それがすべて悪意のもとになされたとは私も思っておりません。これは、会計機構不備や、あるいは年度区分の不統一、または計画そご等、いろいろなことができて、そういう現象が起きたのだろうとは推定しておりまするが、しかし、何にいたしましても、結果的にこれは間違いのないものだとわれわれが信憑し得るだけのものを、今日残念ながら持ち得ないというのが現状であります。  私どもは、こうして国の機関を使い、国の従業員を動員して集めた寄付金は、最低限度皆さんに向って、これはかように使われましたと確信をもってこれを申し上げるというものでなければならないと思っております。そういう点から見て、これは従来の法規というものがほとんどただ一カ条でありまして、その法規というものについては、どうこれは考えてみても運用不備がある。一例を申し上げれば、現在国民から集めたお金が一つのスルーでもって相手団体に入っていく。私どもがその後最近に至りましていろいろ実情を観察しますと、およそわれわれの寄付意図とは違ったようなことに金が使われておるということが事実として少くなく、あちらこちらにおいて発見されております。しからばその金を返せというわけにもいかない。元は国民から出ておるわけなんですから、今その金だけを返せという措置もあまりできない。またその交付に当って、従来そういう慈善団体という方々の善意に信頼してやったわけでありまするから、必ずしも初めからこれこれの計画以外に使うべからずというところまで干渉したわけじゃございません。従って、これはわれわれとしては道義的にはなはだけしからんということを言う以上には手がないというような事実、それからまた、この金が使われた場合に、果してその通り使われたかどうかということは、残念ながら過去においてほとんど責任をもって監査しておるところがなかったということも一つの事実であります。そういうことを総合してみますると、やはり金の使途というものが明確になると同時に、これを監査して責任をもって報告するというものが裏づけられはければ、とうていとういう募金というものは今後続けていき得ないじゃないか、かように考えられるわけであります。よく世間の方方は、郵政省が集めておるのだから、郵政省でそういうことをやったらいいじゃないかというような御意見もあるわけでありますが、これは御承知のように、今の憲法の規定からいたしましても、国の公金になったようなものは、これは公けの支配に属しない慈善とか教育とかというものに支出できないということもありまして、国みずからの金としてこれを使うというわけには参らない。やはりそこにはどうしても、あるそうした一連のものについて責任をもって代行していただく機関が、どうしても必要になってくるというふうな結論に到達したわけであります。事実は、今年、先ほど申し上げましたように、実際の形としては、もうそういう形で中央一定の金の一括管理というものを覚書か何かでやっておりますが、これは機構としてははなはだ過渡的なもので、技術上相当疑問もあります。今後できればその点を改正して、はっきりと責任を明確にするような機構法律改正したい、かように考えて目下検討中であります。
  6. 永岡光治

    永岡光治君 ただいまは郵務局長から御説明がありましたが、私たち地方で聞いた話しの内容も、大体そういうようなところにあるようです。もしそういうことが事実であるとすれば、このお年玉つきはがきという制度についも再検討しなければならぬと私は思うのであります。もし、こういうことが一般国民に知れたということになりますれば、おそらくこれは協力してくれないということになるじゃないか、郵便局職員あたりが汗水を流して募金をした問題ですね、これは。今お話しによれば、すでに二十六億五千万円という莫大な金が募集されておる。聞いてみたところが、地方に行っても、これが募金会お年玉はがきの金でできた施設だとはっきり明示されていないし、なかなか監視がむずかしいようです。私は承わりました地方に参りましても、そういうことになりますれば、私が冒頭に申し上げましたように、そういういいかげんなことならば職員も苦労することもやめるし、ぜひやめてもらいたいという声も私はもっともだと思います。私はやめることそのことはそう急に取り上げるべき問題ではないが、やはりこの金によって社会福祉施設こういうものにどんどん使用するということは、非常に意義あることだと思います。この辺のところは職員方々にも十分御理解願って、今後協力を求めなければならんと思うのですが、それにはやはり私は一定の条件がなくちゃならぬ。つまり信用し得る機関があって、それがおそらく、少くとも政府、たとえば郵政省あたりと同じ信頼し得る何かの代行機関があって、当然そこからこれが支出されて、監査もできるということでなくては安心ができないと思うのです。無理もないことだと思いますが、そういう観点に立って今法律改正計画されているというふうに承わりましたわけですが、これは大臣いつごろ大体本委員会に提案される見通しでございますか。
  7. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大体今月中には提出ができると思っております。
  8. 永岡光治

    永岡光治君 今月中ですか、重ねて私は、従って大臣に特に強く要望いたしたいのですが、政務次官もおいでになっているようでありますが、この点はこの目的からいいまして、かりにも不明朗な運用がされるという印象を現在受けているのですから、やっぱり現在厚生その他の関係の不行き届きの結果こういう結果になったと思うのですが、どうか一つ郵政当局十分監視でき、職員その他が十分監視できるように私はこれは強く要望しておかなければならんと思うのですが、そういうものが骨抜きにされた改正案であるとするならばこれは意味がないと思うのです。そういうことは十分盛っていただけると私どもは解釈したいのですが、そういうふうに解釈してよろいでしょうか。
  9. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まことに永岡さんの機宜に適した御質疑でありまして、御注意いただきましてありがとうございます。私もどこまでもこれが有効適切に社会福祉事業に使われるように、郵政従業員の労苦が水泡に帰しないようにというような意味から、相当しっかりした法案にして御審議を願いたい、かように思っております。
  10. 永岡光治

    永岡光治君 そこで大体今月中に提案できるというので、私はそれをお待ちしているわけですが、もしこれがいいかげんな法律案改正になるようでしたら、この際私たちはこの制度をやめるべきだ、法律案改正の廃止の提案くらいしたい決意であるということを十分御理解願いまして、さらに職員関係の意向が十分この中に反映できるような一つ制度も考えてもらいたい、これも強く要望いたしておきますが、ぜひこれを実現さしていただきたいと思うのですが、もう一度大臣にこの点の御決意を承わりたいと思うのです。
  11. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御趣旨の点十分考えて成案を得たいと思っております。
  12. 久保等

    久保等君 先ほど郵務局長の御説明では、郵政省から中央共同募金会に渡した金の使途についての検査方法がないといったような何か御説明があったのですけれども、これは何らかの機関監査といったようなことは行われておらないのでしょうか。
  13. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 現行法の建前によりますると、大体集めた金が直接所有権としては中央共同募金に行っちまうわけです。それを内部的にしかるべく分けてきているわけです。これはまあ形式上の監督権からいえば、もちろん中央共同募金というものは厚生省に所属すると思うのです。ところが厚生省自身としましては、非常に全国に細分化されていて、個別的に見るということは事実問題として不可能と言わざるを得ない。そのように共同募金会の金は国または公けの団体は干渉してはいけないという、これはちゃんと法律的なものがあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、この金は事実は共同募金会みずからが活動されて集められた金のことだろうと思っておりまするが、たまたまこちらから交付したものもそれと一緒に使ったものですから、結局そういうものに対して責任をもって監査するものが、事実は共同募金会自身自己監査による以外にはなかった。その自己監査ということも過去においてはほとんど行われなかった。やかましく言いまして、最近やっと一応の監査をこちらから特別にやらした。それが最近の実情です。
  14. 久保等

    久保等君 これは私は一つ研究課題かもしれないけれども、少くとも政府機関を通じてこの数億に上る莫大な基金が集められて、しかもそれが一たん入ったところは、大体そろいう性格のところであるかもしれないけれども、見方によっては、ちょうど補助金の問題と若干似通ったところもあると思うのですが、これは補助金の場合であれば、当然会計換査院等の厳重ないろいろな監査ということもなされるわけですが、相手慈善団体のようなものであるからといって、私は少くともそういった全般的な基金運営に対する監査は、これはまあ確かに慈善事業の本質からいって問題があろうかと思いますが、ただ、事郵政省から手渡した基金の問題に対しては、やはりこれはどこにどういう形で使われたかということは、十分明確にされなければならんと思うんですが、その所管厚生省であるのか、郵政省であるのか、そういったところに問題があろうと思うのですが、いずれにしてもただやりっ放しで、どうお使いになろうと勝手ですという形では、非常に問題があると思いますが、共同募金そのものが、街頭で集められた募金がどういう形で使われておるか不明瞭で、とかく問題が起っておると思います。これはむずかしい問題で簡単にいかないと思いますが、集められた経過というものは、きわめてはっきりしておる。政府そのものが集めた基金でもあるわけですから、それがどういう形で使われたかということが監査もできないというような状態にはっておるとということは、非常に重大な問題と思います。従ってそういう根本問題もあろうかと思いますが、特に郵政省が直接従業員の非常にいわば犠牲において集められた基金であるだけに、これは基金性格からいって、厚生省とか何とかいう問題があるかと思いますが、しかしその金そのものの最終、最後のところの経過というものを十分監視して、これが有効に使われるかどうかということについては、責任は私は郵政省においてお持ちになるのが当然ではないかと思います。ぜひ今永岡委員の御質問もありましたが、今度幸い法案が出される機会に、そういう問題についてやはり十分に明確にしてもらうことが必要ではないかと思います。私もちょうど昨年の夏ごろだったと思いますが、新聞でこの問題について記事を拝見したことがあるんですが、三十年度について何か従来と違った措置を具体的にとられたのかどうか。その方法を、もし変えられた点があるならば、具体的にとった措置について御説明を若干願いたいと思います。
  15. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私からお答えいたします。昨年実はその問題が具体的にいろいろと問題となったわけでありますが、何しろ現在の法律の根拠というものは、そういうことを予測して作られておるわけじゃない。しかし法律改正がかりにその当時間に合わなくとも、われわれの運用の範囲内においてできる限りのことは直していかなければならん。そういうことから従来のいろいろな弊害を分析いたしまして、要するに現金の流し方があまりに多くのルート通り過ぎている。これがやはり問題がわからなくなる一点である。しかもその現金を流すときが、ほんとう末端において現金を必要とする時期とは無関係に流れて行っておる。従って中間においてためたり、いろいろ横に使ったりするということは当然に起る。そういう弊害を痛感いたしましたので、実は大臣から日赤に共募を指定するに際しまして両者によく話しまして、現金の流し方というものは、もっと簡単明瞭にしなければいかん。従来のように実際の必要の時期をも考えないで、多くの段階を通じて流していく仕方はやめる。そうして中央両者覚書によって一応官の名称を資金管理部というようなものを作って、そこではっきりとしてその現金責任をもって保管させておく。そうして具体的な計画が進捗をして、いよいよほんとうにその計画の実現上金が必要だということが立証されたときに、中央から直接そこへ現金を送ってあげましょう。そういうふうなルートをこの三十年度の措置としてやりましたという点が一点と、先ほど申し上げましたように、従来はほとんどそれに対する実地監査というものは、だれのところにおいても行われていはい。これは困るというので、特別に監査をして、その報告をしろといろ二点を、三十年度の措置としてつけたわけであります。
  16. 永岡光治

    永岡光治君 大体私は郵務局長説明で了解いたしましたが、とにかくこれは郵政省あるいはそういうところで集めればこそ、これだけのものが集まるのであって、これはやはりそういう観点から考えるならば、当然久保委員も先ほど指摘しておりますように、郵政省監査なり、監督というものを十分反映できるような組織でなければ、ふたたびこれがまた疑惑を残すような運営になって参りますと、いよいよこれはお年玉はがきそのもの制度に私は影響する問題でありますので、十分この点は一つ遺憾のないように改正案の中に明確にしてもらいたいと思うのです。それから質問を続けますが…。
  17. 山田節男

    山田節男君 今問題のあるお年玉はがきですが、この金をどうするかという問題について、法案を出されるというのですが、これは多少意見もまじりますが、これは従来の金の使い道は、今郵務局長の言われたような内容だと私は知っているわけです。ああいう一年に一度お年玉はがきというものを出して、今年のごとく六億円以上の金が集まる、これの使い方ですね。今も問題になっておるように、これも一つ助成金として補助金的に使うのがいいか、そうでなくてとにかくせっかくあれだけのまとまった金が入るならば、もっと一つか二つまとまった仕事を計画的にやる。これは私たとえば戦後の西ドイツ、ポーランド、この間ソ連に行ったが、ソ連富くじをやっております。ガン病院のセンターを作り、いろいろ効果的な事業をやるためにロタリーをやっている、富くじをやっている、ロタリーもいいが、年に一度のお年玉はがきというものの一円を寄付してもらって、国民総意の大衆の金です。ですからそういうふうにやるかどうかという問題がある。従来の経験によると、一つ助成金とか補助金的なものに使う、これは私ども参議院で第二十三国会補助金に関する法律を通しました。これは衆議院が流したやつを参議院がついに成立させた。ただし国の決算に、助成金というものが、補助金というものが、これは実際適正に使われているかどうか、これはむしろ絶望的になっている、数年間の国の決算で。今のせっかく集めたお年玉はがきを売却した寄付金をそういった性質に使うのがいいかどうか再検討していいと思う。今大臣社会厚生事業に寄付されていると言うが、イギリスのごときは、やはりこれは地方税社会事業費に支出されるごとになっておるので、社会事業会計監督というものがありまして、これは非常にプライベートであろうが、公けであろうが、少くとも国庫から、あるいは地方税から財源として金をもらって、非常にきつい会計監督をやっておるわけですが、日本にはまだそういうものがない。そういった形のものを、来るべき今お出しになる法案郵政省がこれをやろうとすると、金だけ会計監査をしても決してわかるものじゃありません。ですからむしろそういう性格寄付金補助金的なものに使うよりも、もっと固まったものに使う、これは根本的な方針を再検討しなければならない。もし従年のごとき、ただ補助金的にこれを出して、資金管理部とか何とか作ってやると言いますけれども、これは今までの郵政監査、これは私も決算委員会で相当よく調べた。なるほど制度としては悪くない、悪くないけれども、果してわれわれは決算立場から見て、これはどうか、まだまだはるかに及びません。ですからそういうことは根本問題を考えなければならない。もし来るべき法案が依然として補助金的にこれを出して、ただそれを会計監査をする、あるいは金を出すところの責任の所在を明らかにするというだけでは、今日の日本の民度では、とてもせっかくの金をおやりになっても、適正に使えるかどうか、非常にむずかしい。もうすでにそういう例が年々国会で問題になる。国の公務員がやることですから、これは申すまでもなく、チャールズ・ディッケンスのオリヴァー・ツイストという小説を見ても、やはり社会厚生事業というものは、一ぺんに人を救済することはできない。どうしても一面ルーズとは申しませんが、事業の本質上効果的に使われないものです。こういう問題をお考えにならないと、ただ資金の管理あるいは会計監査をやるということは、あまりにもロマンチックな考え方です。実際問題としてはそんなことでは解決できない。どういう法案が出るか知らんけれども、私はこの際過去の経験からみて一つの根本的なセンターを作るとか、あるいはガンの研究所を作るとか少くとも全国民がこれによって恵みを受けるというようなものに着眼すべきであると思う。一社会保障団体に金を分けてやるなんという考え方は、少くとも一国の政府がやることじゃない。あまりにも見解が狭い。やり方が先が見えておると思う。どうですか、そういうことを。実際大臣はまだ御就任以来日が浅いが、少くとも松井郵務局長あたりは外国の事情も知っておられるのだし、そういう情勢については、やり方が口マンチックですよ。そういう問題を考えないといけないと思うのですが、これはどうですか。大臣なり郵務局長から御答弁願いたい。
  18. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 一応私からお答えさしていただきます。ただいまの山田委員の御意見は全く同感でございます。この制度始めて以来、ただいまおっしゃったように、せっかくこれだけ集まった金を、またもとのようにくずして使うということは、やはり賢明な使い方ではない。できるだけこれは集約して、その当時国民が最も要望するであろうというものを選定して、それにまとめて使うことが、集めた金の意義があるのじゃないかという考えを私個人としては持っております。そこで従来のなるべくそういう方向に運用上これを持っていきたいというので、このちょうど一昨年からでございますが、そういう従来の県ごとに按分的に考えるというほかに、そのうちのある一定のワクを留保する、そうしてそれをそういう府県のブロックというようなところを離れて、もう少し大きな目で見て、必要な施設に充ててもらいたいというふうにして参っております。去年と今年とはそういう関係で全額のうちで、大体四億ないし五億のうち一億くらいの金しか当りませんが、それくらいのものを少くともさいて、これは従来の単に府県ごとに按分的に流すというようなものをやめるというところへ持ってきておりまするが、まだこの集まった金の全部を一挙にまとめてやるというところまでは、ただいまのところ前進いたしておりません。しかし、私どもは徐々にそういう方向へ進めていきたいと考えております。
  19. 山田節男

    山田節男君 私共同募金、赤い羽根運動というのは非常にいいことだと思う。それから日本放送協会が助け合い運動として金を集める、これもいいと思う。少くとも国家の機関でああいうお年玉はがきという形式で集める金は、これはいわゆる救世軍の社会なべ式のものに扱うことは非常に悪い。センチメンタルです。政府がそういうセンチメンタルになる必要がない。民間は民間で共同募金、赤い羽根運動なり、社会なべなり、救世軍がやるだろうし、あるいは放送協会あたりが助け合い運動でやることはこれはかまわないと思う。しかし少くとも政府の一機関がやる以上、これほどの金をふやすからいいじゃないかという、これは非常なセンチメンタルな考え方を政府が持っていいかどうか。それをもっと生産的に、この金でもって、たとえば五カ年間でこういうものを作るのだということであれば、百枚買うところなら二百枚買うかもしれない。目標を与えておく。目標さえあればこれにつく。だから私はこういう社会事業団体、もとよりこれはいいことには違いないけれども、もうすでに一つも二つも、あるいはさらに民間でも個別的に、地方別にやっているのに、さらに国がこれをカバーしてやる。これは悪い意味のいわゆる日本政府のパートナリズムです。そういう見解を民主主義の国では抑止しなくてはいかん。どうもそのあたりのセンスというものは、今日の郵政省の金の使い方はなってないのじゃないか。これについては相当私は政治的な圧迫があるだろうと思う。今度そういったものを、監督機関を作るだけでもいろいろ私は圧迫があるだろうと思う。しかしちゃんと方針さえきめられれば、けしからんということは私はないと思う。ですからもし来たるべき、お出しになるべき法案が依然として社会なべ式なもので、ただ資金の配分を厳重にやるということでは、これは私は遺憾ながら従来と同じものだと思うのです。大同小異のものだ。ですからこの際抜本的なものを考えで、もっと高い視野から、国家という立場からやらなければいかんのじゃないか。お出しになる法案というものは今松井郵務局長説明されたように、単に資金の配分をやはり選択してやるという、この程度のものですかどうですか。内容について一つその点についての御説明を願いたい。
  20. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私御説明をちょっと落しましたのですが、その資金をはっきりとさせたいという点も、実は永岡委員のお尋ねに対して直接的な問題に対して御答弁をしたと私は考えております。なお、そのほかに山田委員のおっしゃいますように、何か一つ目的を定めて、それに重点的に流すような格好にしぼりたいということも合せて考えております。
  21. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、今の法案にはそういう御趣旨は入っておりますか。
  22. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) ただ何にするとか、何にするのがいいということは、これはにわかに法律に簡単にきめがたい。しかし、何か具体的なものにそれを集中したいという意図は法案の中に織り込みたいと思っております。
  23. 瀧井治三郎

    瀧井治三郎君 ちょっと関連して。法案をお出しにはるということを聞きましたが、今のお年玉はがきですが、各都道府県の郵便局並びに局員の御努力はごもっともで、非常な苦心を払っております。そこで、ずいぶんの枚数があるのですが、私の考えでは大部分はまあむしろどっちかというと、割当式ですね。あれだけ取ってくれ、これだけ取ってくれという大口の郵便利用者と申しますかの側の方に、やはり心やすいものが多いものですから、そこへ向けてお前のところは十万取ってくれ、五万取ってくれと割当をする、そうしてもしかりに一般によけいに出るときには、頼んだ二万枚を返してくれといった調子ですね。その事業家と申しますか、全国の郵便局、郵便を非常に利用する度の深い商社なんかでは、まあいろいろ厄介になるであろうから、しようがない、郵便局だからしょうがないから、郵便局に何とか奉仕するような考えで、しょうがないというあきらめぎみでそれを五万、十万として即座に引き取るといったところも相当あるだろうと思う。必ずしも売れても全部がお年玉はがきをいいことだからと言って、喜んで一般大衆が買ってるかということは、非常に疑問がある。郵便局員の方はあらゆる方面に努力をされていることは十分認識しておりますが、その大部分のはがきというものを、少くとも何万というまとまって取ってくれと頼みます。割当がこれだけ来ているから取ってくれ、仕方がないからといって取る。去年の暮のようによく売れますと、十万売ったけれども、二万削って八万にしておいてくれ、何だかわかっていてわからないようなことが年々繰り返されている。そういう面から見ましてお年玉はがきが売れたということは、全国一般の民衆のお年玉はがきというものに徹しているのかどうかと申しますと、大半というものはどっちかというと、郵便局で厄介になるからしょうがないなあということで引き取る大口の引き取り者があり、その立場の人はあまりお年玉はがきを喜んでおらない。むしろ反対しているというのがほんとうの腹だろうと思います。こういうような面もあるということだけ大臣お考えになって、一つ法案の方にも織り込んでいただけばけっこうだと思う。これは郵務局長にも申し上げておきます。
  24. 永岡光治

    永岡光治君 それじゃ質問を続けますが、昨年の貯金の目標が一千百億円、今年の目標額は予算書で見ますと、九百九十億ということになっておりますが、これはどういう原因でそういうことにされたのか、そしてそれに対する原因に対しての対策ですね。打開の対策は私はあると思うのですがどうでしょうか。
  25. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 来年度の目標を大体と申しますか、目標を九百九十億としたのでありますが、九百九十億の数につきましては、やはり本年度の実績、それから従来の傾向等を勘案する必要があるのでございまして、そういう点で今年度の目標をどう、本年度の実績をどのくらいと見たらいいかということが、非常に私どもとしては大きな問題になるわけでございます。本年度は昨日までの私どもの方の集計によりますと、八百二十二億となっております。今後これがどのくらい入るかということが非常に大きな要素になるわけでございますが、二月、三月はかなり変動のある時期でございまして、想定することはむずかしいのでありますけれども、私どもとしましては従事員の努力、あるいは郵政局の見込み等も勘案しまして、大体八百八十億くらいはできるのではなかろうか、八百五十億から八百八十億くらいできるのではなかろうか、このように想定しております。この数字は今年度の国民貯蓄額の大体の六・八%くらいになっておるのでありまして、これが現金増加額だけを問題にしますと六・八%くらいにはります。そこで従来はもう少しいいのであります、十数パーセントといったようなことにもなっておりますので、大体七%くらいまではいくのではなかろうかというところから、来年後の推定される国民貯蓄額の七%、現金増加額としましてこれに利子の振り返えを入れたものを計算するという工合になるわけでございます。なお、その九百九十億を達成するに際しての対策といたしましては、やはり郵便貯金といたしましてはじみちに宣伝といいますか、周知に努めていくということが肝要であろうと思いますので、従来の周知宣伝方法にもう少し工夫をこらしていきたいということと、団体貯金が通常貯金におきましてはかなりのウエイトを占めておりますので、団体貯金等にはなお力を入れていきたい、このように考えております。
  26. 永岡光治

    永岡光治君 昨年度のこの予算を検討された際に、目標額について政府にただしたことがあるわけです。当時の政策上おそらく一千百億というものは無理だろう、こういうことで大臣にすみやかに変えたらよろしかろうという話をしたにもかかわらず、大臣は大丈夫です。事務当局も大丈夫ですと広言をしたのでありますが、果せるかな今日の事態になりました。私はその責任を今さら追及する考えは豪も持っておりません。政府の発表によれば、国民所得はふえる、相当ふえる。ところが目標額は昨年に比べて、さらに減る。これはもし昨年のような意気込みであれば、この計画自体はおかしいという感じを抱くのはもっともだ。これはそれとして私どもは、国家資金が財政投融資の関係から潤沢であるということは最も望ましい。そういう点から考えますならば、やはり昨年度の意気込みでやったらどうかと思うのですが、その少くなった、目標額に達しないというこの原因についての解明が、あまり詳しく鮮明されておりませんが、私は何か抜本的な問題があるのやじないかと思う。一昨年に比べて昨年の国民所得がふえておるのは、これは間違いない。にもかかわらず目標額がはるかに低くなっておる。こういうことであれば、やはりこれは郵政大臣として、たとえば貯金の利子等の問題についても、あるいはまた、その他の募集の問題についても、再検討を加え欺ければらなぬ段階ではないかと思うのですが、そういうことについて検討されたのですか。従来ただ、今貯金局長のお話しによれば、宣伝の方法を変えるとか、団体貯金をどうこうと言っておりますが、それだけでは十分ではないと思うのですが、何か抜本的な利子問題に関連して検討されてしかるべきではないかと思うのですが、その点はどうでございましょう。
  27. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便貯金の伸び悩みは、私としていろいろと検討してみたのでありますが、結局勤労者の所得が思うようにいかなかったとか、あるいは中小企業が比較的デフレであったとか、いろいろな原因もありましょうが、一番大きな影響は、昨年七月ですか、あの市中銀行の利子課税を免除した、これがために従来の郵便貯金の利子の均衡が保たれなくなって、そこで市中の方へ相当流れていたのじゃないかとも思われます。従いまして私、就任早々の閣議でありましたが、この問題を指摘して、大蔵大臣に何らかの対策を講じなければいけないのじゃないかということを要望したのでありましたが、その際に大蔵大臣は、大体現在布中の金利の情勢は低下の方向をたどっておる。今年は多少金利が下るだろうから、まあもうしばらく静観しておってほしいというようなこともありました。私もなかなか利子の問題という問題は、大体国民は低金利を要望している際に、利子を上げるというようなことは、これはどうかと思いましたので、一応まあ今日静観しておるのでありますが、そういうようなことで、今年の目標額が相当大幅に開きが出ておるのじゃないかと思っております。来年度の三十一年度九百九十億を決定いたしましたことは、これはもとより財政投融資等の必要があるのでありますが、これは非常に困難だとは思いますが、昨年十二月からの貯金の伸び方を勘案いたしますれば、困難でありましょうが、どうにか九百九十億程度にこぎつけ得るのではないかと、かように思っておる次第であります。
  28. 永岡光治

    永岡光治君 そうするとこれは昨年の一千百億に比べて、今年はそれの一割減ということになれば、資金会計から繰り入れられる郵政省の予算も、従ってこれは昨年に比べれば減額されてくると思うのですが、それは事業運営について支障はないのでしょうか。私は相当困難な問題が起きはしないかとおそれているのですが……。
  29. 成松馨

    政府委員(成松馨君) お話しの通りに、郵便貯金事業だけをとってみますると、郵便貯金の歳入は、大体今までの平均残高と来年度見込みのものを資金運用部に預託いたしまして、それに対して来年度は六分一厘という利子で歳入が入ってくるわけでありますが、それ以外に、ただそれだけの利子では、とうてい郵便貯金を円滑に運行するのには不十分でありますので、ここ数年来資金運用部から補てん金を受け入れておるのであります。従いまして来年度の予算につきましても、それぞれ勘案しまして、片一方には、われわれ貯金業務従業者といたしましても、極力事業を合理化し、あるいはまた経費の節約をはかるというような方面ともあわせまして、補てん金との関係において、どうかこうかやっていけるという考えを持っております。
  30. 永岡光治

    永岡光治君 そこで私はお尋ねしたわけですが、昨年の委員会における、これは経理局長であったかと記憶しておりますが、貯金のこの目標額に対しまして、資金部からの繰り入れについての一定の率がある、その率が年々歳々減額された。たとえば一厘ずつ減額されてくるというように説明を承わったのですが、そうすると、あれですか、三十一年度においては、資金部との関係においては、そういう繰り入れについての率の引き下げというものは行われていない、こういうように解釈していいですか。行われておるのですか。
  31. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 利率の問題は、二十七年度を六分五厘といたしまして、毎年一厘ずつ下げるということになっております。従いまして三十年度におきましては、六分二厘ということで預託利子が参っております。三十一年度は六分一厘というようになっております。利子の点はそのように下っておるのでありますが、一面におきまして先ほどもお話し申し上げましたように、事業の十分なる運営をするために、その預託利子だけでは……、仕事をやっていくのに資金運用部から補てん金を受け入れてもらっておりますので、結局コストとしましては六分一厘以上に、来年度の予算では六分九厘七毛と承知いたしておりますが、コストの面ではそのようになるわけであります。
  32. 永岡光治

    永岡光治君 それでは、コスト一厘下げて、足りない分を補てん金をもらっておるということであれば、そうして結局何とかやりくりをするように財源を確保しておるということであれば、これは年々歳々一厘ずつ落していく、そういうことは誤まっておる、同じことだと思う。補てん金をもってそれを穴埋めするというのは、何ら意味がない。ましてや、昨年の場合一千百億、その場合に六分二厘ですか、ところが今年度においては、目標額が九百九十億に下っておるにもかかわらず、さらにそれに対して一厘下げるということになれば、さらに補てん金が増大してくるということは、火を見るよりも明らかだと、私は常識的にそう考えざるを得ないのです。ですから、そういう毎年一厘ずつ落してやっていけという、そういう根拠が、私はきわめて薄弱だと思う。もし合理化によって行うというのであれば、昨年は合理化していなかった、昨年は余裕があったのか、こういう論拠にもなりますので、私はそういう資金部との関係、大蔵省との折衝を始められたと思うのですが、そういう方法について再検討する必要があるのじゃないかと思いますが、この点はどういうように考えておられましょうか。
  33. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 資金運用部としましては、いろいろな原資が入っておりますので、それに対して、たとえば五年ものは五分五厘であるとか、七年ものは六分であるとかいうように、一定した利子をつけておるわけであります。郵政事業につきましても、その利率が適用されることにつきましては、資金運用部へ入っているほかの原資と同一でございますが、ただ郵便貯金事業の特質といたまして、三十年度、たとえば六分二厘ということで、前から繰り入れをしてもらっておるわけであります。ただそういうふうに利率が下りましても、毎年郵便貯金が千億前後ずつふえておりますので、従って預金部資金に対する平均残高が多くなるわけであります。従って一厘というものが下るとしましても、受け入れ額それ自体はふえてくるわけでございます。
  34. 永岡光治

    永岡光治君 いずれこの問題はここで論議をしてもあれですから、こまかい資料を検討の上で、この問題についてさらに質問を続けていただきたいと思いますが、次に、保険の問題ですが、運用法等が改正されるに当って、衆参両院における逓信委員会で、付帯決議をつけていることは、大臣も御承知だと思います。保険金額の最高目標額は、当時の、あるいはまた今日の情勢から見て十五万円というきわめて低いではないか。当初この十五万円と決定される際にも、あるいは三十万円説あり、十五万円説あり、郵政当局におきましても、これは何とか二十万円以上でという気持があっただろうと思います。にもかかわらず諸般の情勢からして、やむなく十五万円で私たちもそれに同調せざるを得はいということになったわけですが、すでに貯金の最高制限額にいたしましても、これは二十万円です。さらに現在のいろいろな保険をかけた趣旨から考えまして、その保険金が取れた場合の使用方途を考える場合には、明らかに現在の社会情勢、経済情勢からするならば、これは低い金額です。従ってこの前も衆参両院の逓信委員会で、先ほども申し上げましたように、次の国会には必ずこれを引き上げる件について提案してほしい。当時松田大臣は、そのようにいたしますという答弁があって、私たちはこれを通過さしたものでありますが、こういう条件つきの問題について、今国会に出されないというのは、きわめて遺憾だと思うのですが、当然出す決意大臣は引き継がれておると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  35. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。この問題は、私も永岡委員と全く同感であります。少くとも今日の経済情勢から見た貨幣価値から申しましても、十五万円というのは低く過ぎると思っております。従いましてこれをもう少し引き上げていきたいという気持は何ら変りはありませんが、ただ、なかなかいろいろめんどうな問題がつきまとって参りました。特に昨年でしたか、保険料金の率を少し下げておる。そういうようなことで、大蔵省方面ともいろいろ相談しておりますが、まだ一致点を見出すわけに参っておりませんが、この国会で、前大臣お約束されたようでありますが、この国会では、私としては自信が持ちかねております。
  36. 永岡光治

    永岡光治君 自信を持ちかねておるという、その持ちかねておる原因は、どこら方面の反対なんでしょか。これは松田大臣でしたが、これはしばしば各当時の大臣というものは、必ずその御要望に沿いますと、まさか私たちをだまして法律案を通過させるために、そういうことを言ったわけではないと思いますが、これはどこに反撃のあれがあるのでしょうか。大蔵省にあるとすれば、これは郵政大臣、あるいは政務次官あたり、さらに御努力を願って、ぜひともこれは解決をはかってもらわなければ困ると思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  37. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま事務当局では鋭意折衝いたしておりますので、政府委員から詳細お答えいたしておきます。
  38. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 保険最高額の引き上げにつきましては、過去二回にわたりまして国会の御決議もいただいております。ただいま大臣からお答え申し上げましたごとく、現在の十五万円で満足しておるわけではないのであります。いろいろ保険の運営実情等から申しましても、できるだけこれをすみやかに付帯決議の線に沿いまして引き上げて参りたい、かようには考えておりますが、ちょうど昨年の九月に保険料金の、いわゆる保険料の掛金の割合を約一〇%ばかり低下したわけであります。これは非常に簡易保険といたしましてはサービスの改善になっているわけであります。これに対しまして民間生保界におきましても何とかこれに対応してサービスの改善をはかりたい、こういう動きはあるようであります。大蔵省といたしましても民間生保にそのような要望はいたしておりますが、民間の会社にもいろいろ財政状況にはへだたりがありまして、これが可能なところもあれば非常に窮屈なところもあるようでありまして、全体の足並みがなかなか揃わない。従いまして非常に簡易保険の料率引き上げに対抗するサービス改善策に今日苦慮しておるような状況でございます。そういうような点その他の関係から見まして、大蔵省と事務的に折衝はいたしてはおりますが、今日のところどちらかと申しますと事務的には消極でございます。今しばらく民間の、簡易保険のサービス改善に対する対応策ができ上ったあとにしてもらいたいというような気持が強いようであります。そういうことで事務的にはいついっどのくらいに上げよう、こういう結論がなかなか出かねておるということが現状でございます。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 民間保険のことを引き合いに出しておりますが、これは民間保険は民間保険としての一つの行き方もありましょう。しかし郵政当局で、国家でこれを行なっているというこういうところには特別な意義があるということを一つお考え願わなければ困ると思うのです。それはまことに零細な庶民階級を対象としてのことでありまして、民間の保険とおのずから私は対象が違わるべきものだと思うのです。そういう意味であるからこそ、この前の逓信委員会におきましても、数回にわたって要望もし、付帯決議もしたわけでありますから、事務当局の折衝中だということでは私は了解できないと思うのです。これはやはり郵政大臣、大蔵大臣の間で御協議をいただいて、これは逓信委員会をだましちゃ困ると思うのですね。将来そういうことであれば付帯決議でこの次何とかしますということは、私たちはまゆつばもので、この法律案を一々通すということについては考慮しなければならぬと思うのですが、私はぜひともこの会期中にこの引き上げを実現してもらわなければ国民立場から考えて困る。民間の保険企業者の立場ではないのです。企業者の立場を考えるというよりは、むしろ国民立場から考えるのが政府立場だと考えますので、その点について大臣はさらにこの決意を固めて、ぜひ本国会にこの法律案を提出してもらいたいと思うのですが、そういう御決意を固めていただきたいと思いますが、どうでございましょうか。
  40. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これまで、ただいま政府委員からお答えいたしましたように、事務的な折衝を続けておるようであります。なお私としても十分考慮いたしまして、一応検討して参りたいと思っております。
  41. 永岡光治

    永岡光治君 重ねてこれはお願いしておきますが、どうか一つ逓信委員会をだましたということがないように、この点は十分一つ大臣の奮起を促したいと思うのですが、この国会のいつになるかわかりませんけれども、ぜひこれは出してもらいたい。その折衡課程も、委員会のつど私は大臣質問をしたいと思いますので、その点十分一つお含みおきをいただきたいと思うのです。  そこでこれに関連してお尋ねいたしますが、運用の先です。運用の先について郵政事業特別会計の方に十八億の融資をされるように計画されておりますが、そのうちの半額は、これは特定局舎の整備のために向けるという、こういう約束をいただいておったのでありますが、それはこの予算の実行に当ってその通り実現するのかどうか、これも重大な約束でございますので、お尋ねいたします。
  42. 小野吉郎

    政府委員(小野吉郎君) 郵務局長からお答えいたしたほうが適当かと思いますが、ただいま席をはずしておりますので、私から申し上げますが、積立金の百分の三を下らない額を郵便局舎改善の資金に充てる、こういうことは確かに付帯決議にありました。その際の審議のいろいろな過程におきまして、その資金をひとしく郵便局舎改善におきましても、また特定局におきましても、大体半々程度に並行して改善がなされるように配慮しろ、こういうお話はまさにあったわけであります。で計画の当局といたしまして、建築部におきましてはそういった御趣旨に沿うような基本計画を立てて参っております。大体そういうような御趣旨に沿い得ると思います。もちろん郵便局舎改善関係も三十一年度ぽっきりで終るものではありません。すでに三十年度からスタートしておりまして、現在のところ大体八カ年の長期計画をもって所期の目的を達しよう、こういうことになって刈りますので、その八カ年を通じまして、大体でき上ってみれば特定局におきましてもその半分は改善されたというような結果に導くように計画を実施しておるわけであります。簡易保険局といたしましては、金額におきまして当該年度の投融資計画にのせる資金の百分の三を下らない額を運用して参るこういうことは、付帯決議の線にどこまでも沿って参らなければならないのでありますが、三十一年度としてはちょうどそれを少しばかり上回る金額にはなりますが、付帯決議の線を十分尊重いたしました運用計画を立て、現在そういうところで事務局ではまとまっております。従ってそれの実行におきましては、基本的な計画部門において御趣旨に沿うような配慮をいたしておりますので、結果は御趣旨に沿い得るようなことに相なっておると思います。
  43. 永岡光治

    永岡光治君 これは必要とあれば私は前大臣の答弁の議事録をここで公表してもいいと思うのですが、明らかに言明しておる問題であるし、今事務当局からそういう趣旨で、趣旨に沿い得るとこういうことであれば、その点については私は一応了解したいと思います。いずれこれは予算案の内容を検討してからにしたいと思うのですが、ただ、私がしばしば主張いたしますように、現在特定局舎というものは非常に古いし、狭いし、狭隘そのものであります。これも大臣の御承知通りであります。ですから特定局長さんの方で局舎を建てようにも、今日の経済情勢からなかなか建てられない、こういう声がしきりにあるものですから、私はこの点について郵政当局は十分考慮しなければはらぬ、こういうことを申し上げて大臣の了解を得たわけですが、しからば私はお尋ねいたしたいのでありますが、この局舎予算は次の項目になりますと四十三億というものが計上されておりまして、この資金から借り入れてくる、問題は保険の積立金の融資が十八億、従来は、昨年は資金部からも五億これは借り入れておったのでありますが、それはどういう理由で減されたのか。それがなければ意味がないと思う。私はそれを前提にしてなおかつ、保険の融資の際には、これを三%下らざるものをぜひ計上してもらいたいということを強く主張していたのであります。ですからこれは当然私はこの金額では不足すると思うのですが、どうでございますか。その辺のお約束もこれはどうも逓信委員会に約束したものと往々にして違ったことを郵政省はおやりになるような印象を強くするのですが、この点をぜひ私はただしておきたいと思うのです。
  44. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 資金運用部の融資が昨年は五億ですか、何ぼかあったのですが、それが今度消えておりますが、これにつきましては私も相当予算閣議の際に努力をいたしました。しかし第一次予算内示の際には、この簡保の資金が十億というようなことで、一方資金運用部の資金を五億というような内示でありました。私はどこまでも本委員会の御決議の御趣旨を尊重いたしまして、この簡保の十八億はこれをどうしても確保しなければならないと思いまして、この点を強く主張したのであります。その結果国の財政全般からついに五億ばかりの融資は削除されたのでありますが、自己資金の二十五億と簡保の十八億、合せて四十三億をまあ確保できれば、どうにか私どもの八カ年計画に支障はないと思っている次第であります。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 私は大臣の努力されたことの経過は、今の御答弁でその努力は一応わかったのでありますが、これはやはり約束は約束として十分果してくれないと困ります。第一考えてみましても、何とか昨年に比べてある程度の増額だからいいではないかという趣旨のようでございますが、今局舎を考えてごらんなさい。一万五千以上のものを持っているのでありますから、かりに一カ年間にこれを二百局償却するとして、新しく入れかえることにいたしましても、十年間で二千局です。五十年で一万です。五十年も待つ局舎を償却の対象にするにはあまりに長過ぎる。だとすれば局舎整備のための予算は十分でないというのが当然の結論だと思いますが、私は努力は努力として認めますが、さらにその努力をもう一段払っていただきたかったということを特に申し上げまして、次年度においてはこれをカバーするだけのものをなお増額して、予算の確保に努力していただきたいことを申し上げて要望いたしておきますが、その点一つ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  46. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私も各地の局を視察いたしまして、全く永岡委員御指摘の状態であることを痛感いたしております。従いまして本年度におきましても十分努力をいたしたのでありますが、国全般の財政上の立場から、辛うじて八カ年計画が軌道に乗るという程度であります。しかしながらこれをもって決して満足するものでもありませんし、また、まだ私としては相当もの足りないものがあると思いますので、次年度の際には御指導の通りに十分奮闘して、この予算の確保をいたしたいとかように思っております。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 次いでお伺いいたしますが、運用の先について、ここに示されている地方公共団体に三百九十億円、住宅金融公庫に六十億円、日本住宅公団に対して四十一億円、農林漁業金融公庫に五十五億円、郵政事業特別会計に十八億円、こういうように明示されているわけですが、この前日本住宅公団設立に当ってこれを融資するという計画を発表された際に、当時私たちはこれは郵政省といいましょうか、郵政省立場を考慮して、本委員会では十分これらが緊密な連絡をとって運営ができるようにという、そういう意味からぜひ郵政関係職員はこれは交流になると思うのです炉、十分そういうことも考慮して、関係職員のこれらの団体に対するところの何といいますか、交流を特に考えてもらいたいということを強く要望して、当時の松田大臣もよろしゅうございます、そのように努力いたしますと答弁したのでありますが、今日すでに松田大臣郵政大臣ではございませんので、松田郵政大臣を責めるわけには参りませんけれども、結果から見ますと、きわめて微々たるものでありまして、一人の理事が入ったにすぎないというようでございますが、だとすると、これは私たちの要望と非常に違うのでありまして、これらの団体に融資されるということがここに表示されておりますが、この問題についても緊密な連鎖をとるということも、きわめて重大なる運用についても郵政省としては考えなければならない問題だと思いますので、これらについても十分そういう人事の交流という問題について考慮されてしかるべきだと思いますが、いかようにお考えになりますか。
  48. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この点は私も永岡委員と全く同感であります。少くとも郵政従業員ほんとうに苦心惨たんして集めたこれだけの金が、まとまって一つのある企業体に貸し付けられる場合に、その企業体がその金をどういうふうに使用していくかというようなところを、監視と申すことは食言でありましょうが、その金が有意義に使用されておるかどうかということについては、十分郵政省としてもこれに関心を持ち、これにやはり参加する必要があろうと思います。この点に関しましては、私としては十分各関係閣僚とも個々に相談いたしておりますが、なお機会を見まして、私の意のあるところを各位にも発表して、その所期の目的を達成いたしたいと、かように思っておる次第でございます。
  49. 永岡光治

    永岡光治君 関連してお尋ねするわけですが、この融資の対象先がここに明示されておりますが、この資金源の性質から考えまして、労働金庫等にも当然これは融資すべきじゃないかということを、当時私たちは主張したのでありますが、これには盛られておりませんが、そういうお考えをお持ちなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  50. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この労働金庫に貸し付けるということにつきましては、非常にいろいろな各方面からの要望もあるように思っておりますので、これは検討して参りたいと思っております。
  51. 永岡光治

    永岡光治君 検討するということは、実現するように努力したいと、こういうように解釈してよろしいでしょうか。
  52. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 早計に私がこれをそういうふうにするというようなことは申し上げられませんが、御趣旨に沿って相談してみたいと思っております。
  53. 永岡光治

    永岡光治君 ついででありますから、委員の各位の御了解を得て私はあと一点御質問しておきたいと思うのですが、それは放送法改正の問題でありますが、これはどういうことになっておりますか。この前では大体案を一応作ったならば、衆参両院の関係委員の十分事前の審議をお願いして、まとまった……、まあこれは放送法の性質からいいまして、与党とか野党とかいう立場でなしに、超党派的に考慮さるべき問題だと考えて、国民立場からこれは全くりっぱな建設的なものができなければ困るということでそういう意思を申し上げまして、村上大臣もその趣旨に沿ってぜひそういう小委員会といいますか、専門委員会といいますか、そういうものを作って万全を期したいという答弁だったわけですが、今日どのような経過になっておりましょうか、その点を私はお尋ねしたいと思うのです。
  54. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 放送法改正につきましては、昨年の夏本委員会で御要望がありまして以来、その後も引き続き鋭意研究作業をやっております。これを機会にしまして全面的に改正を加えるか、あるいはその中の特に重要な部分を摘出しまして部分的な改正を行うかにつきましては、まだ最後のこうすべきだという結論に参りません。検討は全面的に依然としてやっておりますけれども、これをどうして法案として国会に出すようにするかということにつきましては、まだ結論に参りません。目下やっておりまする作業は、電波監理審議会という郵政大臣の諮問機関がありますが、その電波監理審議会等にこれの改正を実施する方法等につきまして非公式に検討を依頼しております。なるべく多くの人の意見を十分にお聞きしまして、そうして私どもが作りつつありますところの素案にいろいろな注文を織り込みまして、そうして郵政省の最後の案として、案に近いものにしましてから、さらに国会の皆様方あるいはその他の各方面の意見をさらに入れまして、そうしてなるべく完璧なものにしたい、こういう所存でございます。
  55. 永岡光治

    永岡光治君 御説明はきわめて抽象的で、まだ検討しておるが、どういう結論になるかまだそれすら出ていないと、こういうせんじ詰めれば結論のようでございますが、この国会に出すような運びになるのか、その辺の見通しは今のととろ全然ないのか、あるとすれば大体大よその構想がまとまっておらなければならぬと思うのですが、そういう見通しがあるとすれば、その要点と申しますか項目、そういうものについての検討の結論を私は経過でもよろしいのでございますが、承わっておきたいと思うのですが。
  56. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 先刻申し上げましたように全面的の改正に取りかかるべきか、あるいは部分的にわたってすべきかということにつきましての最後の判断、どっちをとるべきかという判断にまだ参りませんのです。しかしいずれにしましても、放送法改正はなるべく早く具体的に取りかかるべきだという考えでありまして、もしそろいう判断で、たとえば部分上の改正でも早く着手——と申しますのは、多くの方々の御意見を承わりまして、そうして法案ができ上って国会に提出できるような形に持っていく、その具体的の作業をできるならばなるべく早くやりたい、そういうつもりで判断をどうすべきかということにつきまして、研究しつつ進めているわけでありまして、できますならば、なるべく早く今回の国会中にでも提案できるように取り運びたい、そういうふうに考えております。それでもし今回、今会期中に解決しませんでも、継続しても進めるというふうにすべきだと考えております。
  57. 山田節男

    山田節男君 今の濱田電波監理局長の答弁に関してですが、村上郵政大臣は就任されて、放送法改正する、こう言明されたのです。御承知のように、この六月にはいわゆる再免許ということがある。これはこの電波監理の監督行政から言えば、一番重要な時期にかかっている。たとえば、従来の民間放送なり、公共放送、あるいは一般の無線局にしても、あなたがこの間報告されたように、年間約四千、現在約二万の無線局がある。しかも、ふえればふえるほど、いわゆる、何といいますか、周波数の割当、いわゆるスペクトラムというようなものが限られていく。たとえば、技術的に言えば、私はしろうとですけれども、中波の今の標準放送を短波にすべきか。ほんとうにこの電波行政というものは根本的な問題を考えなければならぬと思うのです。しかるに、再免許という、電波行政からいえば最も重要な機会に、放送法なり、あるいは放送法に関連して、国会ですでに何べんも問題になりましたけれども、放送局の開設基準、規則、これらは単なる郵政省の省議だけできめるべきじゃない重要な問題が含まれておる。これも過去において何回も討議された問題ですが、そういうような問題をどうするかということになれば、これは電波法の問題なんですから、この再免許の機会において、この点を政府ははっきり取り上げていただきたい。そうすれば、放送法なり、電波法なりというものは必ず出すべきものだと思う。しかも六月の再免許の際に間に合うようにしなければならぬと思う。今の電波監理局長の話を聞くと、継続審議に出すようになるかもしれない、出さぬかもしれない、なるべく早く出したいと思います、というようなことじゃ、大臣が最初に御言明になったことと違うのです。これは大臣として、再免許の日を機会に、ぜひ一つ出すようにしていただきたい。中途半端なことはいけませんよ。このような日進月歩のものについて。年々電波の周波数の割当には困りかえっておる。ですから、これをどうするかということについて、大臣として事務当局の言うことを、それが大臣の気持でありますというようなことでは、これはいけないのです。どうですか、大臣の腹はどうなんですか。
  58. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 放送法改正は、私はどこまでもこの国会に出したいと思いまして、省内において、特に電波監理局が中心になって、この素案を今作っておるのでありますが、その素案ができるたびに省議にかけまして、省議でいろいろな角度から検討しております。少くとも私といたしましては、その素案ぐらいのものは郵政当局としてこれを作って、そして、それから各方面に諮問していくということが常識だろうと思いまして、その素案を目下検討いたしておるのであります。ただ、省内においてもいろいろな意見が出まして、電波監理局の考え、また個々の省内の省議の考え方等によって、素案を得るまでには相当な日にちがかかるのであります。これはどうでもいいというような無責任なものであったら、すぐにでもできますが、非常に慎重を要することであります。実は非常に手間がかかっておることはまことに遺憾に思っておりますが、私としては、少くとも今月中には一応審議会等にも検討してもらうような程度の素案を作っておきたい。こう思って目下鋭意努力いたしておる次第であります。
  59. 山田節男

    山田節男君 この問題は、本委員会ではすでにもう三年ごし、四年ごしの問題なんです。あなたの前任者の松田郵政大臣、それから塚田郵政大臣のときもこの問題が出ておった。そうして今おっしゃるような、各方面の意見なり、あるいは当委員会に対する陳情なり、電波管理委員会におけるいろいろな審議、それから衆議院においては、さらにこれに対して放送法改正の小委員会まで設けておる。これは一昨年と思います。相当これは論議を尽しておる。ですから今さら要綱なんという時期じゃない。以前からできておるはずですから。要は、第三次鳩山内閣がどうこれを扱うのか、特に管轄の郵政大臣のあなたがこれをどうするのか、今はあなたの腹一つにある。今から慎重審議すると言っても郵政省関係電波監理局でやっておることを見れば、もうあらゆる面から見ておる、長谷局長時代に……。ですから、これをさらに論議すると言ったって、法制の問題だけでしょう。技術上の問題は研究が済んじゃった。同じこと並んです。問題はポリシーをどうするかということです。これは吉田内閣のときからそういう問題が起きておる。それが今日依然として見通しがつかぬというようなことでは、今申し上げたように、再免許という絶好の機会なんです。郵政大臣としての電波行政に対する監督といったら、再免許ぐらいしかない。どこを見ましても、アメリカの通信を見ましても、FCC、連邦通信局がやっておることを見ましても、再免許の機会において、全国の放送で過去において悪いものはどんどんオミットしてしまった。こういう重大な時期なんです。そうすればその土台となるべき放送法なり、あるいは電波法というものを今までの通りでいくんでなかったら、早くお出しにならないと間に合わない。ですからあなたが大臣としてこの六月を機会にして、作業できるようにやらなくちゃならぬ郵政大臣の絶対的責任だと私は思っておる。もうすでに二月の半ばを過ぎようとしておる。今月中に要綱をきめるというようなことじゃ、われわれとしてははなはだ遺憾なんで、この問題は何も政党政派の問題ではない。もうこれは国民全体の所有に属しておる電波なんです。この放送その他電波関係の憲法を改正するのは絶好なチャンスだから私は質問しておる。今月の末に要綱を出されて、そうして閣議を経て成文化する……。土台は私はできておるのを知っております。ですから、問題はもう大臣の腹いかん、あなたの政治力のいかんによってできることである。今さら研究というものは必要じゃないと思う。ですから、ぜひ今月なら今月一ぱいに要綱を決定されて、成文化して、来月早々には出す、これは大きなポリシーですから、とても一カ月やそこらじゃできない。臨時国会で扱うべき問題じゃない。少くとも通常国会で扱うべき問題であると思う。幸い今国会は通常国会で、長期の国会ですから、そういう絶好のチャンスですから、大臣として歳月の長い懸案をお互いに責任を転嫁するというところに困難性があるじゃないか。あらゆる方面の要望を全部入れるということは電波行政にあり得ない。要はこの国民の共有である電波をどういうふうにするのだということに対するあなたの腹がきまりさえすれば、これは国会に出せると思う。ですから、これは希望になりますけれども村上郵政大臣一つ早急にこれを出されて、出されたあとに、いわゆるいろいろな論議は国会でやるもんなんです。政府は腹をきめればいい。早くお出しになることを私切に希望しておきます。
  60. 久保等

    久保等君 放送法改正問題は、今山田委員の言われたように、数年来の懸案だと思うのですが、昨年、前大臣はきわめて早急のうちに具体案ができて、期限もある程度、昨年の年内には具体案を得て御相談もしたいという非常に確信に満ちたような御答弁もあったんですが、それがまた大臣がおかわりになったとはいえ、これは数代のすでに大臣にまたがっております問題だけに、今まだ御説明を伺うと、目下なお検討中で、試案といいますか、素案といったようなものの結論も早急に実はないというようなお話なんで、何か非常に外部から見ておると、少くともちょっと理解に苦しむような停頓状態にあるのじゃないかと私思うのですが、しかし、事は重大な問題なんです。従って、私も軽々に、こういったことに対しでただ単に急ぐという問題で片づけられない問題だと思います。非常に重要な問題だと思います。そこで、すでに数回にわたって、私も当委員会でも前大臣当時から申し上げておることなんですが、重要な法律案のやはり扱い方について、政府が手続的な問題として今相当考慮しなければならぬ点があるのじゃないか。もう事務当局であらゆる面からあらゆる検討を加えなければならぬことは当然やらなければならない。データ等も世界各国のデータ等も調べたデータをそろえることも必要だと思いますが、最後はそういった資料に基いてやはり私は国民の各階層の権威のある批判、あるいは意見等を十分にこれはもう織り込んで、そして、結論が出されなければならぬのじゃないか。それがためにはどうしても各階層の代表から触る何らかの審議会といったようなものをこの法律改正のために特に設けて、そこで十分に論議をする。そういうことになれば、当然その機会にはいろんな形の批判があらゆる方法を通じて出ると思いますが、そういったことも織り込んで、その審議会で十分検討してもらうというような形で成案を得るというような方法を考えてもらったらどうかということを申し上げておったのです。ところが、その問題については今のところ一向に日の目を見ないと申しますか、事務当局で相変らず素案について検討を数年にわたって加えておられるが、最後の段階はやはり国民の意向によって、それぞれ右するか左するかというような問題について二者択一の形に結論を出すには、そういう形で結論を出す以外にないと思う。ただ単にその事業の方面の堪能者であるという理由だけで、ある一部の人、ある特定の人で結論が出されていいもんではないと思いますし、そういうことになると、今問題がむずかしい問題でありますだけに変な誤解も招くと思います。少くともこの放送法なり電波関係法規改正問題については、私は十分に法律改正の機会を通じて国民意見を聞くという方法をぜひとつてもらいたいということを、前々から主張しておりますし、またそのことを熱望しておりますが、そういう各方面の代表によって構成された審議といったようなものを設けられて、それにかけられる一体御意思をお持ちなのかどうか。これはきわめて具体的な、国会に提案せられる前の一つの手続的は方法の問題なんですが、そういうことは大臣はお考えになっておらないのですか。
  61. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 各界の意見を聞くということは、これはもう私としては当然のことだろうと思っております。いか触る方法によってそういう形をとるかという点についても十分考えていきたいと思っております。で、このまことにおくれて相済まないのですけれども、先ほども山田委員からの御忠告、御激励のお言葉がありましたが、全く早く、私もできる限り早くと思っておりますが、何さまいろいろな事項、事項ではないのですけれども、ほとんど委員会が衆参交互に開かれる状態が続いておりましたのと、省議を開いて検討するのが夜というような状態でありますので、これからは少し予算が上ればひまにもなりますので、これから連続で一つ一刻も早く素案だけでも一つ作って御批判を仰ぎたいと、かように思っております。
  62. 久保等

    久保等君 非常に、大臣、極力この問題についても真剣にお考えになって努力はしておられるのだと思うのですが、先ほど来、繰り返して言うようですが、とにかく数年来の懸案ですが、いつも委員会質問いたしますと、大体そういったような御答弁で、出たそうでなかなか出てこないという状況がここ一両年にわたって実は続いておった。私は決して、出そうで出ないけれども、無理して出してもらう必要はないと思うのです。また、そういう程度に扱かわれる性格じゃこれはないと思う。非常に重要な問題だし、それから法律の対象そのものが非常に最近、これは他の事業部門にあまり見られないほど、非常にどんどん目まぐるしい発展と膨張を実はしておりまして、そういう実情にありまする、新時代に対する根本的に考え直さなければならない状態に置かれている電波関係法律であり、しかも一般の国民の認識なり、常識からいきますと、電波関係法律というと、これは何かとっつきにくい、比較的、あるいは理解がつかないのじゃないかと思うのですが、非常にしかしこの問題をめぐって直接利害関係のある人たち、これはまた非常にやかましく賛否両論相呼応していろいろな意見が交錯していると思うのですよ。従ってこれに対する扱い方というものは、よほど私は冷静に考えて参らなければならない面もありますし、それからまた非常に事は慎重に運ばなければならない問題を含んでいることは、これはもう申し上げるまでもないわけなんです。従ってそこで今言った検討するにしても、検討の仕方が私はあるのじゃないかと思うのですよ。そこで今省議云々と言われたのですが、これはまあ省議といっても、郵政省機構は、大臣が一番よく御存じなんですが、とにかくいろいろな事業関係の部局長がおられるわけですが、そういう方々が省議で参画せられて論議せられることは、これは非常に必要だし、やらなければならん過程だと思うのです。しかし問題の、特に十分慎重に検討を加えていただかなければならないのは、この法律を、少くとも、何といいますか、専門的な立場から見られる方、あるいはまた、これに対して非常に重大な関係を持っておられる方、その方面に対して非常に経験なり、学識なりを持っている方、そういうあるいは国民の代表的な方々の御参集を願ったそういう機関で専門的に扱って、ある一定期間を、ほんとうに必要な大半の努力をそういった方面に注いでいただくための機関を持って、そこで検討しないと、単なる郵政関係法律案国会に出すという形の程度の論議では、結論の出る問題では私はないと思う。大事なのは、今こういった私は十分に各界代表の審議なり、意見というものを一つ十分に戦わすということが必要じゃないかと思うのです。でそうしない限り、一体どういうことについて何を一体検討しているのか、これは全然今のところ極端は言葉の表現でいえば国民はつんぼさじきに上げられているという形に私は置かれていると思う。もちろんそれぞれのやかましく言っておられる方々は、それぞれの腹案は一応お持ちだと思うのですが、それは私はそれぞれの腹案は、法案審議に当って参考にしなければならないと思うけれども、実はそういうことをあまり知らされていない国民全体からの意見というものをこの法案に盛り込んでいかなければならない、重要な、広範な利審関係を、国民自体が持っていろ法律じゃないかと思う。従ってその扱い方が、どうももうすぐにでも、松田大臣等によると、ここ一カ月以内には何か日の日を見るように言われておった経過もあるのです。あれっと思うようなことを旅先で言われて、われわれも意外に思ったりなんかしたのですが、大臣がかわってみると、ちんとしているというような印象を客観的に見ますと受けるのですが、そういうことがあってはならない法律だと私は思うのですが、ぜひ私は十分一つ検討を加えていただくためにも、その方法もぜひ一つ考えていただかなければならないのじゃないかというようにも考えているのですが、そういう意味で、拙速主義でやれという意味で私は申し上げるのではさらさらないのでありますが、数年の懸案の問題でありまするだけに、しかも非常に重大でありまするだけに、大臣としては一つぜひただ単にその行きがかりとかいう気持で出される法律案では絶対ならんと思うのですが、ぜひ一つそういう経緯をお考えになって事務当局を鞭撻をして、急がなくてはならん問題についてはもちろん急ぐし、急がなければならぬと思うのですが、ただもう一つ堂々と論議のされる……、国会に出てからの話じゃないのですが、国会に出る前ですが、堂々と論議される、批判せられるという場を何とか大臣としてはお考えになる必要があるのじゃないかということですが、これは新大臣には初めて申し上げることかもしれませんが、前々から私はそのことを申しておるのですが、ぜひそういう手続がとられなければならぬのじゃないか。そうしてすみやかに国会に出されることを私は希望するわけなのですが、ただ、どこにどういう問題があって混迷といいますか、停頓しておられるのか、結論が出しかねるのかわかりませんけれども、十分一つそういう経過のあることをお考えになって、そうして私はある程度はっきりした見通しをお伺いいたしたいと思うのです。本日でなくてもけっこうですから、見通しをお立て願いたい。その場限りといっては失礼ですが、委員会でやかましく言われるから、その場で何とか極力早急に出します、出しますという御答弁でなくて、どういう方法で、どういう形で、どういう結論を出して、いつごろには必ず出すということを一つ前松田郵政大臣の轍を踏まないで、放言的な御答弁を願うのじゃなくて、ぜひ一つ事務当局の実情も十分にらんでいただいて、しかも政府としての立場から、あるいは国民立場に立って、構想をどうするかという問題をもう少しはっきりした態度と見通しを、私一つきわめて近い将来において当委員会に御表明願いたいと思うのですが、それでただ単にできもしない約束を、抽象的にやるなんということを言われても、はなはだこれは迷惑だと思うのですが、一つその点大臣からもう一ぺん御所見を伺いたいと思います。
  63. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まことに適切な御意見でありますが、私も就任早々の考え方、こんなことぐらいすぐできるだろうというような気持でおりましたが、だんだんとこれを深く研究して参りますと、私自身が、従来できているいわゆる素案に対して、私自身これに必ずしもついていけないような案が盛られている。そういう点についてこれのまた再検討を命ずる。それのまたできたものがどうもまだ気に入らない。これは決して……委員会でこういうことを申し上げては失礼ですが、陰の声とかあるいは一部の圧力、そういうようなものでなくて、私の立場ということだけでなくて、私自身これを個人的に見た場合にも必ずしも満足のできない点がありまして、そのために幾たびかそれの再検討を要求しております。先ほど申し上げましたように最近ちょっと国会のひまが、それを検討するひまがなかったのですが、もう明日からでも早く、少くとも満点でなくても七十点くらいの素案を作って、そうしてその上で御指摘のように、御意見のような各方面に一応御検討願うということに取り運びたいと、かように思っております。おくれてまことに恐縮ですが、しかし何代もかかった問題だけに、なかなか私も簡単には扱いかねております。御趣旨の点十分考慮いたしまして、でき得れば少くとも今月中には私の方としての素案を作り上げたいと、かように思っておる次第であります。
  64. 久保等

    久保等君 その素案炉できれば、どういう形で経過を各界に相談されるというのですか。大臣の考えておられるのはどういうことなんですか。それを何か閣議にでもかけて閣議での了承を得れば国会へ出す。一応素案を発表する。それの反響を見るという程度の、反響を見るということを考えておられるのか。私はそういう程度では非常に何かさっき申し上げたような考え方からすると、非常に慎重に考えておられるという御認識なり、またその通り努力をしておられると思うのですが、しかしその法案を扱う態度としては私はいわば当局が、事務当局といってははなはだ失礼かもしれませんけれども、まあ郵政当局で一応成案を得たものは、そのまま何か閣議にかけられるという経過をたどられるようで、どうも十分に民主的に各界の意向を織り込んで、そこで最終的な結論を出すといった形とは大分違った形になるのではないかと思うのですが、何とかもう少し何か具体的な大臣のお考えがあるなら承わりたいと思うのですが。
  65. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 直ちに閣議にこれをかけて法案にして御審議を願い、国会に提出するというようはことは、私は差し控えます。それができましたら、そのある期間の間、学識経験者、あるいはまた各界の人たちに一応御検討願った上で大体その成案を得れば、それから閣議等々と諮っていくというような順序に参りたいと存じます。
  66. 久保等

    久保等君 それではほかに御質問がなければ私がちょっとこの前の問題と関連するのですが、一つ大臣からお伺いしたいと思うのですが、この前電々公社に対する固定資産税の問題で御質問をいたしたのですが、その後の経過もあるでしょうが、まあさらに大臣この前全然御説明の中には触れておられなかったのですが、やはりNHKの固定資産税の問題もまあ同様の問題としてあるようでありますが、これもどういう状況になっているのか。私はやはり本来ならば法律案はこれは地方行政委員会に出される法律案であるかもしれませんが、しかし本来ならば、これはやはり当委員会の方で十分に大臣からの御説明もあってしかるべきだと思うし、また委員会としてもいろんな御意見が当然出ると私は思うのです。従って単にそのときに一つの問題として御質問申し上げるのには、あまりにも大きな実は問題ではないかと思うのです。NHKの問題にしても、やはり私は先般申し上げたような立場から、一体大臣としてはどう考えておられるのか。まあ放送事業の問題にしても、ただいまのも放送の問題とも関係はありますが、とにかくN日Kの問題については、テレビジョンの今日の普及、発達の状況から考えても、これまた相当拡張資金と申しますか、建設資金といいますか、そういったものも必要であり、年々歳々この予算の問題については当委員会で直接扱っている問題なんですが、そういうことでこれまた資金難にあえいでいるという状況の中で、固定資産税がこれまた課税せられるという問題が新しく今度出て参っているわけなんですが、これに対して大臣一つ経過はり御所見を御説明願いたいと思うのですが。
  67. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。前回の当委員会におきまして久保委員からの強いこの公社に対する課税についての反対の御意見もありましたので、私もその後火花を散らして各方面と交渉いたしたのであります。しかしながら国家財政全般から見て、まあこの程度のことはやむを得はいだろうというので遺憾ながら公社に課税することになりました。しかしながら当初自治庁方面で要望しておりました固定資産税というものではないのでありまして、これは公社の課税のその規模を固定資産に置くということでございまして、それは今年度、三十一年度の予算に含んだ範囲においてこれを調整するということであります。形は納付金という形になりました。納付金が法的にどういうものであるかということについては、また専門的に御質疑があればお答えいたさせますけれども、納付金の形で一応課税するということにきまった次第であります。御指摘のNHKに対する固定資産税でありますが、固定資産税につきましても、公社と同列に取り扱うようにということを強く要望したのでありましたが、この種の放送協会とよく類似の事業体に対して、みなどうしても改送協会からは固定資産税を出してもらわなきゃいかぬということと、ほとんど大部分の意見でありましたので、この点はいかんとも希望を入れることができなかったことは残念でありますけれども、あらゆる努力を払いましたが、NHKについては一応固定資産税を微収するということになりました。
  68. 久保等

    久保等君 NHKの問題についてのなおその税率なり、それからまた課税等によって、当然起り得る……、そうなれば地方々々でやらなきゃならぬのですが、非常に事務的にも煩瑣なんですが、そういったことによる一体経費がどの程度になると見込んでおるのか、そういったようなことをもう少し具体的に詳細に承わりたいと思うのです。
  69. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 日本放送協会の税額につきましては、今資料を持っておりません。あとで詳細調べまして御報告を申し上げます。
  70. 久保等

    久保等君 それじゃ私はこれに関する一切の資料一つお出しを願いたいと思うのですが、NHKの固定資産関係資料、それから電電公社関係のものについても、これはやはり私はこの前申し落しましたけれども資料をぜひお出し願いたいと思うのですが、NHKの場合には、当委員会で予算そのものをこれは決定しなければならないし、審議しなければならないのですから、当然この問題は非常に重要な一つの項目になると思うのです。そこで資料をここでお願いしておきたいと思うのですが、今大臣にこの前との関連においてお尋ねしたいと思うのは、時限法にぜひ一つ最悪の場合は譲歩を……、譲歩した最後の結末は、せめて時限法という形ででも私は再検討する機会が与えられるようにしないと、こういうものは私は明らかに一つの悪法だと思うのです。今度この前の大臣の御説明、一般方針の御説明でも言われておりまするように、電電公社に対しては、何か今度また例の電話設備費負担臨時措置法の期間延長の法律案を出されるという御説明があったのですが、ああいう法律案を今度作られる制度というものを二つにらみ合せた場合に、私は非常に大きな矛盾と一体何をやっておるんだと実は言いたい、私からすれば何をやっておるんだと言いたい。電通事業に対する私は考え方が、今の政府の非常にちぐはぐな考え方じゃないかと思うのです。あの電話設備費臨時負担法の問題にしても、これは明らか時限立法になっているわけです。それで時期が今度一応更新といいますか、さらにまだ継続しなけりやならぬという状態で、さらに今度法律案がすでに国会に出されたようでありますが、こういう制度そのものを早急にやはり私は廃止されなけりやならぬ問題だと思うのです。莫大な債券と、それから個人負担において電話が設備されておるわけなんです。これは一体どこにそういう制度の原因があるかと言えば、明らかに電話の設備資金がない、従って非常に問題ではあろうが、ぜひ一つその設備負担を加入者がやってくれぬか、受益者がやってくれぬかという考え方で、これはいわば暫定措置的な方法でああいう法律ができておるんだと思うのです。今度またぞろこの法律の期限を延長して、やはり資金の確保をはからなければならぬという状況に今日置かれておると思うのです。ところが片や地方自治体が非常に財政的に窮屈だからというので、これはそういう貸すとか何とかいう形でなくて、のしをつけて無条件で差し上げますという制度がここにできようとしておる、実際問題として。私は政府電気通信事業というものを一体どう考えておるのか。また、電波というものに対してどういうふうに考えておるのかという問題を考えて、非常に大きな矛盾があると思うのです。これは単に私個人の矛盾撞着という問題ではなくて、政府がやっておる施策そのものに、二つの法律案という形において、そういう大きな矛盾をしておる法律案が同じ国会に出されようとしておるわけです。こういうところは一体大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのか。片やとにかく金が足りないのだといって電話債券を発行し、電話債券だけでは間に合わないで、設備負担金という形で取り上げて、そこから出てくる金は片方に、どうぞ地方財政がそんなにお困りになっていらっしゃるならお出ししましょうという形で、今度は新しく法律が作られて、固定資産税なりあるいはまたそれにかわる納付金制度というものができようとしておるわけです。私はこういう矛盾はぜひ一つなくしてもらいたい。そうしなければ一体どこを重点に何を考えておるのかという疑問を持つのは、ひとり私だけでなく、おそらく大臣もこの前の御答弁からすると同じような悩みと私は矛盾を感じておられると思うのです。そこで矛盾とそういう悩みを考えておられるなら、この問題については私は勇敢に、そういうことを起さないように、これはやはり大臣が非常に御尽力されておることは私も承知いたしておりますが、しかし結果がそういう形にならなければ、私はやはり困ると思うのです。一体先般言われた時限立法という問題一つにしても、その後どういう経過をたどっておるのか、一つ承わりたいと思います。
  71. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 久保委員御指摘の通り、相当いろいろな点に矛盾があるかのようにも考えられますが、しかしこれはまた電電公社だけでなく、国鉄にいたしましても、赤字を続けておるようなときに、やはりこのような納付金を徴収されるというようなことにもなっておりますが、国全般の財政から、どうしてもこういう形をとらなければ、財政その他の貧弱な市町村が育っていかないというようなことで、一応私どもも全般的にみて万止むを得ない措置じゃないかと思われたのであります。しかし、地方財政があらゆる角度から立ち直った際には、まずこういう政府機関同様な公社から、納付金にいたしましてもこれを課税するというようなことは、これはいかないという意味から、との問題の解決をした閣議の席上で、私は地方財政が立ち直った際には、これは御破算にしても、いわゆる時限措置にしてもらいたいということを強く要望いたしました。しかし、まあこれに対しては諾否の返答はなかったのであります。しかしそれを官房長官から、こういう郵政大臣から強い要望があったということは記録にとどめ、また各方面に発表されておるような状態であります。
  72. 久保等

    久保等君 そうすると何ですか、時限立法じゃなくて、法律案はこの前言われた通り法律案で出てくるということですか。
  73. 村上勇

    国務大臣村上勇君) その通りであります。
  74. 久保等

    久保等君 だから私は、これはまあ非常に不満というまりもむしろ、ふんまんを覚えるくらいなんです。だから大臣、今の御答弁にしても、私はまあそういう矛盾もあるように考えられるがというが、考えられるのじゃなくて、私は矛盾があると思うのです。ほかにかかってくるから、うちの場合もやむを得ないのだという考えからいけば別だと思いますが、それが筋として、話は別だと思う。国鉄の場合も確かにああいう赤字をかかえておりながら、それに対して固定資産税あるいはそれに似通ったものが課税されるということは、これはやはり筋が通らないと思う。やはり筋道は筋道、事の正邪という問題になれば、私は明らかに国鉄の場合にしろ、電通の場合にしろ同じだと思う。ただ当面こういうものが出されてきた場合に対する反対の態度をどうとるか、それに対する意見をどう述べるかということになると、国鉄と電通の場合と相当事情が違ってくると思う。この前もちょっと申し上げたように、片や料金値上げをやるということを内定されておるやに聞くのですが、少くとも料金値上げという形でやらなければならぬほど財政が逼迫しておる。しかも片方へは、本来の目的ならざる地方自治体に金を回すというのは、明らかに私は邪道だと思う。しかも国家全体の立場から財政規模を考えた場合に、ないところに融通をするということは、財政一元的な運営の上から、私はある程度当駅だと思います。しかし出し得る実情にあるかないかというまず現実の認識の問題が、私は問題だと思います。大きな事業だから少しくらいの金は何とかなるのだという考え方そのものが非常にラフなんだ、また非常にしろうと考えの考え方だと思う。少くとも事業の実態を知っておられる郵政大臣、あるいはまた運輸大臣立場からするならば、この問題については、地方自治体もそんなに困っておるならまあやむを得ないのだという結論には、私はどうしてもなり得ないと思うのですがね。特に郵政大臣は、国鉄という大きな企業体にもかかるのだからという認識がやはり私はあると思う。しかし私は、それはまたそれとして話は別だと思う。あくまでも電気通信事業にこういうものを課税されることは正しいのかどうかという問題は、やはり私は郵政大臣立場からこそ考えられなければならない問題で、他の事業がどうであろう、こうであろうということは、別に当然考えられてしかるべきだと思う。財政全体をにらみ合せて云々という問題は、私はそれは大蔵大臣としては、あるいは自治庁長官としては、あるところがないところへというか、持ってくるように、要求する立場としては、そういうことを言うのが私は筋だと思う。しかし私の申し上げているのは、事業の実態に対し、予算の内容を検討し、それから従来の経過を振り返ってみて申し上げていることなんです。そういう立場からいうと、一応そういうことも何か矛盾であるようだけれどもという、私はあとをつけ加えられることは余分だと思うが、大臣はその程度の御認識なのですか。どうも言葉じりをとらえて恐縮なのですが、大臣は何かそういうむしろ率直に見解を表明された方が、私は納得をしやすいように思うが、何かこじつけた議論でも私が吐いておるように認識されているとすると、大臣のお考えをもう少し伺わなければならぬ。大臣、先ほどの御答弁に対して、それが大臣の真意なんでしょうか。
  75. 村上勇

    国務大臣村上勇君) このことが決定しないまでの気持としては、全く久保さんと同様であります。しかし、すでにこれが閣議決定した上は、これは私としては万やむを得ないことだろう、かように思っております。
  76. 久保等

    久保等君 そういう答弁をされると、すべて終ってしまうのですが、ただ時限立法の問題は、私はもう少し何か方法があったのじゃないかと思うのです。要するに地方財政が立ち直ったときには、これは当然打ち切ってもらうのだということは、これは当りまえのことだ。ところが地方財政の実態というものは大臣も御承知のように、それこそ、ちょっとやそっとで私は根本的に立ち直るという段階は期待できないのじゃないかと思う。そうなると、要するに永久にいわば地方財政の負担というものは、これはこういう公共事業が負担していくのだということに、結果的にはなる可能性の方が強いと私は思う。そういうことでは一体、こういう膨大な、片や建設計画をかかえ四苦八苦して、そうしてあまりすっきりしない電話設備臨時負担法という法律も、さらにこの際期間を延長しなければならぬという実情にありながら、そういうものを私はみすみす作り上げでいくというようなことは、あまりにも制度的に見てもちぐはぐなやり方じゃないか。せめて私はだから、一年二年後にはさらに再検討するという機会は、まあ時限立法にしておかなければ、再検討する機会はないと思う。要するに、今大臣が言われたように、地方財政が立ち直ったときということになると、従ってそれまで、永久にこの制度が存続するということになると思います。そういうことでは、電通の事業そのものだって、実態そのものは常に変動するだろう、さらに苦しくなることも考えられるし、そうなると、ますます何カ年計画とか作ってみても、それはどうにもこうにもならないという羽目に立っていく。片や年々納付金という形で金を持っていかれるということになっても、なおかつ法律があるのだから、これはやむを得ないということにならざるを得ないと思う。だから私は、再検討する機会というものは、時限立法という形にしておいて、その機会に再検討して、一向に今までの地方財政もよくならないし、さらに電通事業の場合も、これを提案したときと同じだということで、あるいは次に延長されるということもあり得ると思うが、そういう少くとも再検討の機会を作っておくという形にしておかなければ、機会を失してしまうのじゃないか。そういうことで大臣の御尽力なり奮闘の結果、かりに了承するとして、時限立法という問題については、せめて大臣の最後の御尽力によって、結果のそうなることを期待しておったのですが、その程度でまあ大臣の反対意見なり、希望もあったという程度の説明が付加せられるという程度のことは、これはあってもなくても、そんなことは大して私は実効が上らないと思う。一体もうそれに対しては全然脈がないのですか。
  77. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどの言葉にちょっとあるいはあれがありましたが、私は地方財政に対して何らかの適当な財源を見つけて、ぜひこの種の課税はやめてもらいたいということを前提として時限立法云々ということを強く要望した次第でありますが、しかし、これに対して黙して語らずというような状態でありまして、どうもこれはただ一人相撲をとるような状態、どうも何とも仕方がなかったのですが、この段階では今さらこれを時限立法にするということは、私としては不可能だと思っております。
  78. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 他に御発言をございませんか。……それでは、これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会