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1956-02-03 第24回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月三日(金曜日)    午後一時二十八分開会     —————————————   委員異動 一月三十日委員西川甚五郎君辞任につ き、その補欠として白波瀬米吉君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松平 勇雄君    理事            島津 忠彦君            宮田 重文君            久保  等君            柏木 庫治君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            新谷寅三郎君            津島 壽一君            永岡 光治君            三木 治朗君            山田 節男君            八木 幸吉君            八木 秀次君   国務大臣    郵 政 大 臣 村上  勇君   政府委員    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    郵政政務次官  上林山榮吉君    郵政省監察局長 久保 威夫君    郵政省郵務局長 松井 一郎君    郵政省貯金局長 成松  馨君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    会計検査院事務    総局第五局長  上村 照昌君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案衆議院提出)(第二十三  回国会継続) ○郵政事業運営実情に関する調査の  件  (郵政省所管業務現況及び運営方  針に関する件) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (日本電信電話公社事業状況及び  運営方針に関する件) ○日本放送協会昭和二十九年度財産目  録、貸借対照表及び損益計算書並び  にこれに関する説明書内閣提出) ○派遣委員報告     —————————————
  2. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) これより逓信委員会を開会いたします。議事に入ります前に二、三御報告申し上げます。  まず委員異動についてでありますが、去る一月三十日西川甚五郎君が委員を辞任されまして、その後任として白波瀬米吉君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、前回委員会におきまして委員長にその措置を一任されました委員派遣の件につきましては、先月中旬東北近畿に二班の委員派遣を行い、東北地方宮田委員柏木委員近畿地方三木委員山田委員最上委員にそれぞれ御調査を願った次第であります。右御了承お願いいたします。     —————————————
  4. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) それではこれより本日の議事に入ります。  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題といたします。  その後における国際電信電話株式会社政府保有株式処理状況については、さきに大蔵当局から御報告を受けましたが、この際重ねて当局から御説明を伺いたいと存じます。正示管財局長
  5. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは前国会におきまして、当委員会でいろいろ御審議をいただきましたのでございますが、その後国が所有いたしておりました国際電信電話株式会社株式処分につきまして、どういうふうに参りましたかにつきまして御説明を申し上げます。前国会のことは繰り返して申しませんが、当委員会の御意向その他によりまして、政府といたしましては適当な、また、もっとも近い時期に処分をいたすべく、その後政府部内におきましていろいろと準備を進めて参ったのでありますが、去る一月十四日に大蔵省郵政省の間におきまして正式の文書によりまして、本件の処理について意見の一致をみたわけでございます。これよりさき一応公告につきましては、郵政省の内意を確かめまして、一月五日に一般公告をいたしまして、この処分をする旨のことを公告いたしたわけでございますが、それから約十一日ほど後になりますが、一月十六日に一般競争入札を実施いたした次第でございます。競争入札大蔵省出先機関でございまする関東財務局においていたしたのでございますが、その結果を概略申し上げますと、総入札株数、これは入札株式の全部を集計したものでございますが、その数は一千六万二千六百株に達しております。そのうち落札いたしましたのは、政府の競売に付しました株数でございますが、百四十八万四千七百四十株、従って残りの八百五十七万七千八百六十株は落札せざる株数になるわけでございます。この入札されました金額総額は五十五億七千三十三万二千八百八十円ということになりますが、そのうち先ほど申し上げました落札株数に相当する落札金額は八億九千七百九十一万三千五十円でありまして、残り落札せざる株式に相なるわけであります。入札に参加いたしました件数、これはあとで申し上げます入札保証金額を積まれた件数に合うわけでございますが、これは八十五件になっております。ただ八十五件でございましたが、実際に入札されましたのは七十九件でありまして、保証金をお出しになって棄権された方は六件であります。入札口数といたしましては一千十二口になっておりまして、そのうち四十三口が落札数になっております。先ほどの七十九件のうち落札した件数としては七件ということになっております。入札保証金総額は十七億四千八百十七万七千百三円であります。このうち先ほど申しました七件、四十三口の落札件数落札口数に相当いたしますものが二億九千八十五万二千四百円でございまして、これが契約保証金に切りかわったものであります。入札の総平均価格は五百五十三円五十六銭でございますが、このうち落札になりましたものの総平均をとりますと、六百四円七十六銭ということに相なっております。落札されました方、落札者を申し上げますと、日興証券野村証券大和証券、六鹿証券それから赤木屋証券大阪商事協同証券この七社に相なります。以上申し上げましたように七軒の証券業者等によりまして予定通り百四十八万四千七百四十株が落札されました。その総額は八億九千七百九十一万三千五十円でございまして、これを平均いたしますと六百四円七十六銭ということになったわけでございます。  かような結果になりましたので、その結果は直ちに関係の向きに御連絡を申し上げ、特に御承知のようにこの処分いたしました収入につきましては、できる限りすみやかに電電公社に交付する必要がございますので、目下予算当局におきましては本年度内に補正予算にこれを計上すべく準備をいたしております。近く補正予算といたしまして、国会提出見込みと相なっております。
  6. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) それでは御質疑のおありの方は、順次御発言を願い  ます。
  7. 久保等

    久保等君 今の御説明で七つの証券会社に売ったというのですが、それの株数金額をちょっと念のために補足御説明願いたいと思うのですが。
  8. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。日興証券株数で申しまして百四万二千株、金額で六億三千二百二十二万九千円であります。それから野村証券株数で三十万株、金額で一億八千二十五万円、大和証券が十三万九千五百株でございまして八千三百四十八万二千円、六鹿証券が二千株でございまして、百十九万七千円、赤木屋証券が一千株でございまして、六十万一千円、大阪商事が二百株でございまして十二万円、協同証券が四十株でございまして、二万四千五十円、こういうことに相なっております。
  9. 山田節男

    山田節男君 この成績を見ると、全くわれわれ予想外価格で売れているわけですが、まず第一に大株、多数の株を買った日興証券、それから野村証券、それから大和証券、こういう証券会社の買った株は、証券会社自体が買ったのか、あるいは委託で買ったのか、その真の株主になるべき人の、何か行く先がわかれば一つ知らしていただきたいと思います。
  10. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。ただいまの山田委員の御質問につきましては、私どももはっきり自信を持ってお答えをいたすほどつまびらかでございませんが、その後多少のお答えをすべき材料がありまするので申し上げますが、やはり相当数委託によるものというふうに考えられるのでございまして、これは日興、野村を通じて、あるいは大和証券も含めましてでございますが、これらの証券会社落札をいたしました株が、その後相当部分生命保険会社あるいは銀行というふうなところに結局帰属していっているように、あるいはいくことになるように承知をいたしておるのであります。ただ、証券会社といたしましても相当数はやはり持っているのでありまして、これはこの会社株式が御承知のように相当会社内容が堅実であるというふうに見られております関係上、いわゆるこういうふうな証券会社としても相当数を自分の方の所有として持っていることが有利という判断に基くものであると考えられるのであります。
  11. 山田節男

    山田節男君 これは前国会委員会でこの株式を本委員会で売るべしという趣旨に従って売却することになったときの正示管財局長見通しとして、大体証券市場が今好況にある、今大体この線だろう、こういう自信のあるお言葉があったわけであります。実際こうしてかみ合せて見るというと、申し込み売却株数に対して八倍弱という申し込みがあった。これはおそらく大蔵当局としても予想以上の需要があるということに驚かれたのではないかと思う。そこで大蔵当局として一体こういったようないろいろな証券市場がまあ好況にあるといっても、これほどの高額な需要があったということに対して、ただ市場がこういうものに対して非常なインタレストを持ったという以上に、何かそこに根拠があるのではないかと思いますが、そういうものに対するお考えはどうですか。
  12. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この点につきましては前国会におきましていろいろ見通しについては御質疑もあり、またお答え申したわけでございますが、やはり率直に申しまして、結果は予想外に諸般の条件がよくて、結果が非常にまあ有利な処分ができたということに尽きるかと思うのでございます。従ってこれは全く私どもの予期以上になったということに実は尽きておるのでありますが、しかしながらやはりあとからだんだんと分析をいたして考えますと、今日の金融情勢その他の点から、まあ大体こういう結果になることが必ずしも予想されなくもなかったと、これはあとからいろいろ分析をしまして理屈をつけると、そういうことにもなるわけでございまして、たとえば証券界におきましても、一応のデータを基礎にいたしまして申し上げてみますると、現行八分配当のもので、たとえば日興証券の六百六円七十五銭という落札価格を例にとりまして、八分配当利回りを換算してみますると、六分七厘五毛ぐらいになると思われます。これは一月十六日、ちょうどこの競争入札をいたしたときでございますが、そのとき東証、東京証券の二百二十五種、これは山一証券の調べによっておりますが、平均利回り六分六厘大毛に比しましてこれを上回っているということが言えると思うのでございます。またやはり八分配当といたしまして入札時期から配当入手時、すなわち一月の二十日ごろから五月末日までの間の利回りを見てみますと、日歩二銭五厘見当になるかと思われますが、これはコールの翌月ものが一銭七厘程度でございますから、これに比しましてやはり相当有利であるというようなところから、これはあとから実はこういう分析をして申し上げるのでございまして、何だか強がりを言っておるようでございますが、まあ決して不合理な価格ではないというふうに説明はつく。ただ私どもといたしましては、それを実行する以外の、当時といたしましてはどうしても相当確実なところで申し上げたのでございまして、前国会におきましてはある程度控え目なところに見通しを申し上げたことは事実であったと、かように考えております。
  13. 山田節男

    山田節男君 ただいまの正示局長の御説明は大体わかるのですが、証券業者として大体こういう株式、しかも大量購入する場合、もちろんこれは利回り考えるのは当然のことだろうと思います。それから将来の何ですか、金利の値下げということも九分通りわかっておるわけですね。ですからこれを高値を呼んだということは、国際電信電話株式会社の将来の見通しというものに対してかなり楽観というか、考えがあったのに違いないと思うのですが、この点はどうですか。たとえばこの点は八分で配当しているが、やがて一割ぐらいの配当をするだろう。それからあるいはそれ以上するかもしれない。それからいろんな、私はこういう株を売買するについては見通しがあると思う。そういうファクターがあったかどうか。単にこれが配当も含んでいるという以外に、他にそういうファクターがあったかどうか、この点の関連はどうですか。
  14. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 申し上げますが、これはまあ実際に委託をされ、あるいは入札をされました方々のいわば一種の思惑の問題でございまするので、私からかれこれ憶測はできないのでございますが、先ほど申し上げましたように、会社の資産なり、また事業の収益の見通しなりが相当堅実であり、将来性があるということは、これは私ども万人が認めたところではないか。従いましてただいま山田委員の御指摘になりましたようなことも、もう一つの考慮の中に入っておったということも推測はできるのでありますが、ただこの問題につきましてはいろいろ会社配当につきまして、前国会、あるいはその前の国会等におきましてもいろいろ御議論等もあったのでございまして、これらの点ももとより業者の方ではそれぞれ調査は行き届いておったと存じます。果してはっきりとどの程度にそれが作用したかということは、これは全く私には推測の域を脱しておりませんので、お答えはできませんが、いろいろの条件から申しまして、先ほどお答え申し上げたように客観的にも相当採算上有利なものという判断のもとにかような事態になったものと考えておるわけでございます。
  15. 山田節男

    山田節男君 最後に、この株を売り出す場合に、大蔵省として最低の価格と申しますか、これ以上、これ以下では売れない、これはあらかじめ証券会社に対して打ち合せというか、協議された場合に、この株に対しての底値といいますかね、ミニマムの基準というものを私は定めておくべきじゃないかと、もしあったらどのくらいにきめてあったか。よもやこれは平均六百余円ということはないので、その点もしあれば参考のために聞いておきたい。
  16. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは非常にデリケートでございまして、実は物件の処分をいたします場合に、私どもとしましてはみな予定価格というものがございまして、これは大蔵大臣当該執行官庁と申しますか、この際は関東財務局長でございますが、これに指示をいたすということになっております。その指示内容を実はしいて申し上げるということになりますと、ちょっと私ただいますぐ申し上げていいのか、あるいは国会の要求によってあらためて手続をとるべきか多少疑問がございまするので、その点はちょっと差し控えさせていただきたいと存じますが、前国会の当委員会における御審議等から、またわれわれ申し上げた点から、一応この額面を割らないということは当然のことというふうに大体考えまして、また従来のこの政府が、国が持っておりました株の処分実績からも、大体その線は、これはもう一つ前提条件と申しますか、そういうことになっておりましたことは事実で、その点は申し上げていいかと思いますが、さて、しからば何百何円というふうに指示が行われたかという点につきましては、ちょっと、この予定価格を考慮する場合の手続というふうなことになりますので、もし、しいてこれをお出しするようにということでございますれば、手続等を少し調べました上で申し上げたいと思います。
  17. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 他に御発言はございませんか。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つだけ。郵政省でも大蔵省でもどちらでもけっこうですから、資料をいただきたいのです。今度の株式を売り渡したにつきまして、絶えず異動のあるもののことでありますから、何日か現在ということにして、この会社持株資本構成がどういうふうになったかということを知りたいのです。聞くところによりますと、相当多くの株式保険会社に流れたということになりまして、中には一割をこえるような持株会社になった保険会社もあるということを聞くのですが、その状況を具体的に数字でお示し願いたいと思います。資本構成が今度の売却によってどういう結果になったかということをお示し願いたいと思います。
  19. 八木幸吉

    八木幸吉君 管財局長にお伺いいたしますけれども、今度の落札平均株価、六百四円七十六銭は客観情勢から見て、必ずしも高過ぎたというふうには分析した上で思わない、そういう御説明が今ございましたが、かりに、あと残っておりまする百三十二万株を売り出せば、やはり同じくらいの値段で、つまり六百円見当で売れるというお見込みでございましょうか、いかがでございましょう。
  20. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 今の八大先生の御質問、これは市場判断がどういうことになっておるかという点にかかるわけでございますが、前国会以来の当委員会における御審議等におきまして、今国会継続御審査中の法律案に抵触しない範囲、つまり、ただいま御指摘の百三十二万株を除いたものを処分するということは、これは一つの公けの事実といいますか、そういうことは公けに議論をされましたし、関係の向き向きには相当徹底をしてわかっておることではないかというふうに思われまするので、これをどう織り込んで見込みを立てるかということは、一つ問題点かと私は考えるのでありますが、ただ、先ほども率直にお認めをいたしましたように、われわれの見込みよりははるかに有利に処分されたということもまた事実でございます。そこで、そういうふうに処分されたのは、百三十二万株を除いた百四十八万四千七百四十株、先般処分されました株式を対象にして、さような相場が立ったということなのか、あるいはさらに追っかけて、今政府の持っておりますものを処分しても、その相場が維持されるのかという問題になってくるわけであります。従いまして、そこのところは、非常に私としては見通しが立ちにくいのでございますが、少くとも先ほど申し上げましたように、証券会社が手持ちの株等につきましてある程度相場を立てておるのでありますが、これは大体先ほど指摘の六百四円七十六銭よりはやや高く、大体六百十円内外の相場を立てておるように承知をいたしております。ただ果してその通りいくかいかないか、御質問のような、今政府が持っておるのを放した場合、いわば仮定の問題になりますが、この点につきましては、私は的確にそれを見通すわけには実は参らないような感じがいたします。率直なところでございますが、御了承いただきたいと存じます。
  21. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点、今の市場相場が大体六百十円というお話し法律案継続審議関係を別にして、今の入札で総落札金額が五十五億七千万円もあったというこの事実と、それから今お話しになった利回り等分析の結果から見て、百三十二万株というものを売れば、やっぱり六百円見当で売れると見て大体えらい間違いはないでございましょうか、くどいようですがどうですか。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 重ねての御質問でございますが、これはやはり私といたしましては、前国会以来の御審議、これはそれぞれ速記録あるいは新聞の報道等によりまして市場に織り込みされまして、先ほど一応価格利回り採算等からいって説明がつきますということを申し上げたのでありまするから、それは利回り採算からいいますと、そういう説明はつくのでございますか、さて果して市場の実際の相場というものはさように動きますかどうか。これは必ずしもさっき申し上げたような単純な利回りの算定からだけでもないかと思いまするので、いろいろの要素が入っておりまするから、はっきりと絶対大丈夫でございますというような表現もできませんのでございますが、大体利回り計算からすれば、さっき申し上げたと同じような計算はこれは可能であるというふうに考えております。
  23. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 他に御発言もなければ、本案については本日はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  25. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、郵政事業運営実情に関する調査議題といたします。郵政省所管業務現況及び運営方針につきまして郵政大臣の御説明をお願いいたします。
  26. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それでは私から所管事項につきまして概略御説明申し上げます。  まず、郵便事業について申し上げますと、近年おおむね順調な歩みをたどり、サービスの点におきましても施設の面におきましても、ほぼ戦前の水準近くまでこぎつけることができたのであります。しかし、これで十分であるとは申せないのでありまして、今後とも事業整備拡充をはかって参りたいと考えております。  郵便局は現在、全国に一万五千余局ありますが、その局舎は、老朽、狭隘のもの、あるいは、明け渡しを要求されているもの、都市計画による移転を迫られているもの、仮復旧のまま放置されている戦災局舎等も多く、その上、最近では町村合併に伴う郵便区調整のために改善を要するものも相当数に及んでおりますので、御承知のように昨年度から郵便局舎改善八カ年計画を樹立いたしまして、鋭意その改善に努力いたしております。  なお、お年玉つき郵便はがきにつけられた寄付金を交付する範囲が狭すぎるきらいがありますので、これを拡張して、より広い社会的要請にこたえるようにいたしますとともに、寄付金の使途を明確化する等のために、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案を本国会提出いたすことといたしておりますので、その節は、よろしく御審議をお願いいたします。  次に、郵便貯金について申し上げますと、郵便貯金の現在高はついに五千億円を突破するに至ったのでありますが、御承知通り、この金は資金運用部を通じて財政投融資に充てられ、わが国の再建復興に大きく役立っているのでありまして、本年度は新たに一千百億円増加目標として強力に推進いたして参ったのであります。ところが、本年度頭初風来十二月初旬頃までの増勢は著しく不振でありまして、その後やや好転して参りましたものの、年度頭初から一月末日までの増加高は、八百三億余円で、目標額の七三%、前年同期の実績の八一%にしか達しない実情でありますので、成績で不振の原因を把握いたしまして、でき得る限り目標額に近づけるよう努力中であります。  次に、簡易生命保険及び郵便年金について申し上げますと、両事業ともおおむね順調な歩みをたどっておりまして、昨年一月から十二月末までの実績は、簡易生命保険の新契約第一回保険料は十五億六千八百万円で、目標額の一一六%を占め、また、郵便年金の新契約掛金額は、六億九千九百万円で、目標額の一四〇%に達しております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用について申し上げますと、この積立金郵便貯金と同様に財政資金として大いに役立っているのであります。本年度簡易生命保険郵便年金積立金運用原資は、総額五百五十六億円でありまして、その融資状況は、十二月末日までに地方公共団体に四百十一億円を融通承認いたし、そのうち二百二十六億円を起債前貸しとして、すでに融通済みでございます。そのほか、住宅金融公庫に対しましては、貸付予定額三十億円全額を、契約者貸付といたしましては三十六億円を、それぞれ貸し付けいたしております。一方、日本住宅公団に対する二十億円、郵政事業特例会計に対する五億円も近く融資する見込みであります。なお、資金余裕金地方公共団体に短期で延五百二十三億円を融資いたしまして、残高は百五十八億円となっております。  また、来年度運用計画につきましては、昭和三十一年度財政投融資計画案によりまして、地方公共団体に三百九十億円、住宅金融公庫に六十億円、日本住宅公団に四十一億円、農林漁業金融公庫に五十五億円、郵政事業特別会計に十八億円、合計五百六十四億円と策定いたしております。この運用計画は、近く資金運用部資金運用審議会に諮問する予定でありますが、総額において、昭和三十年度より六十一億円の増加となっておりまして、従来の融資対象のほか、新たに農林漁業金融公庫に対しても融資することといたした次第であります。  次に、郵政省職員の給与問題について申し上げますと、昨年十一月に全逓信従業員組合から郵政職員の給与の不合理、不均衡是正並びにベースアップに関する要求の提出があったのでありますが、省側といたしましては、組合案の方式に賛成しがたく、かつ、予算上の余裕もありませんので、団体交渉の結果、右要求を拒否しましたので、組合側は同年末に至り中央調停委員会に調停を申請し、目下調停継続中であります。  次に、昭和三十一年度郵政省所管予算の概要につきまして申し上げます。  まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算総額は一千二百六十二億四千万円でありまして、その歳出予算の内訳を申し上げますと、郵政省において取り扱う郵便郵便貯金、簡易保険及び電気通信等諸業務に要する業務費が九百八十三億八千余万円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出経費が二百二十九億二千余万円、公債及び借入金の償還金が一億三千万円、予測しがたい経費の支出に充てるため予備費として五億円、郵便局舎等の建設費といたしまして、四十三億円を計上いたしております。  次に、定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における三十一年度の予算定員は、二十五万六千百一人でありまして、前年度に比べ、三千五百五十人の増員となりますが、この増員は、郵便業務並びに電気通信業務の特定局における勤務時間に関する仲裁裁定の実施に伴う人員千六百二十二人、郵便業務量の増加及び特定局における電話施設の増加に伴う人員千六百八十一人、保険業務量の増加等に伴う人員二百四十七人となっている次第であります。  次に、歳入予算について申し上げますと、歳入予算総額は歳出予算と同額の一千二百六十二億四千余万円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入及び雑収入が四百五十六億四千万円、為替貯金、保険年金、電気通信の各業務の運営経費に充てるため他の会計から繰り入れられる他会計からる受け入れ収入が五百四十九億五千余万円、郵便局舎の建設財源に充てるため郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年金特別会計の両会計から受け入れる設備負担金が九億一千万円、郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が十八億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が、二百二十九億二千万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに四百六億八千余万円を計上いたしております。次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算は、歳入が、一千八十三億五千余万円で、歳出は三百八十五億九千余万円を計上いたしており、歳入超過額六百九十七億六千万円は、法律の定めるところによりまして、積立金として処理することとなっております。  次に、当省所管一般会計予算について説明申し上げますと、歳出予算総額は十五億七百万円でありまして、これを前年度予算額十四億四千六百万円に比べますと六千百万円の増加となっております。この増加のおもな事項といたしましては、無線局の検査並びに電波監視業務において、機械器具の整備及びその他の経費として二千八百万円、海外放送交付金において一千四百万円、その他一千九百万円であります。  次に、これら業務の運営に必要な定員について申し上げますと、本年度予算定員は二千九百四十七人で、前年度予算定員二千九百十一人に比へ三十六人の増加となっております。この増加は、電気通信監理並びに無線局の検査業務の拡充強化等に伴うものであります。  次に、電波関係について申し上げます。  まず、最近のわが国の無線局開設について、簡単に申し上げますと、戦後、電波技術の進歩に伴いまして、電波の利用が著しく増大いたしまして、無線局の開設も増加の一途をたどり、昨年末で二万になんなんとしており、一昨年末と比較しますと、一年間で実に四千局の増加となっております。このように、無線局は今後ますます増加する傾向にありますが、割当られる電波には限りがありますので、当省といたしましては、電波が能率的に、かつ、公平に利用されるよう研究し、努力したいと考えている次第であります。  次に、放送法の問題について申し上げますと、現行放送法は、わが国が占領下にあった時期において、かつ、商業放送及びテレビジョン放送等の発足をみない時期において制定されたものであり、今日においては著しく事情が異ることになりましたので、今や、その再検討を行なってみるべき段階に達したものと思われるのでありますが、何分にも事はきわめて重要でありますので、これが作業に当っては、慎重を期し、広く各方面の意見を聞き、世論の帰するところに基いて、要は最善の案を作るという考えのもとに事を進める必要があると思っているのでありまして、このような手続を経て結論を得次第、国会に提案いたしたいと考えている次第であります。  次に、放送関係について申しあげますと、標準放送局で現在運用中のものは、昨年十二月末で総計二百三十四局でありまして、そのうち日本放送協会所属のものが百七十五局、商業放送が三十八社五十九局となっております。これを一昨年末と比較いたしますと、日本放送協会所属のものが七局、商業放送局が五局の増加となっております。日本放送協会のものは、難聴区域の聴取状態改善のため開設したものでありまして、同様の目的のために開設するもので、現在予備免許中のものが五局あり、同協会におきましては、これらの新設ならびに一部放送局の空中線電力の増強等により、鋭意聴取状態の改善に努力している次第であります。  一方、これを普及状況の面からみますと、昨年十一月末における全国受信契約者数は、一千二百九十七万二千となっており、これは全国総世帯数の約七二・二%に当っておりまして、一年前に比べますと、契約者数において七十三万の増となっております。  なお、日本放送協会の昭和三十一年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきましては、追って本国会提出する予定でございますので、その節は、よろしく御審議をいただきますようお願いいたします。  また、本年六月は放送局の再免許の時期に当っておりますが、外国電波の新たな出現等のため混信を受けている放送局も相当数にのぼっており、また、ラジオ受信機が逐次スーパー化しつつある現状でありますので、現行の周波数割当計画に再検討を加える必要があり、その毒編成について検討を進めております。  テレビジョン放送につきましては、現在免許を与えられているものは五局で、その内訳は、日本放送協会所属のものが、東京、大阪、名古屋に各一局ずつ、商業放送が東京に二社二局でありまして、このほか予備免許を与えられ、目下建設中のものが、大阪、名古屋に商業放送局一局ずっとなっております。また、テレビジョンの受信契約者数は、昨年十二月末現在、約十三万四百でありまして、順調な普及をたどっているものと考えられます。なお、テレビジョンの全国的周波数割当計画につきましては、ただいま鋭意作成中であります。  次に、国際放送について申しあげますと、国際放送は、諸外国にわが国の実情を伝え、各国の理解と支援を得るとともに、文化の交流をはかり、国際親善を深める上にきわめて大事なものでありまして、当省といたしましても、その拡充につきましては、常に意を用いているところでありまして、昭和三十年度におきましては、六月に一方向、放送時間一日一時間ふやしまして、十三方向、一日十三時間とし、また、送信電力につきましても、七方向に対しては、百キロワットに増力いたしました結果、海外における受信状況は大いに改善せられました。  次に、不法電波の監視状況について申し上げますと、無免許で電波を発射する不法無線局が数多く出現しておりまして、これら不法無線局は、合法無線局の運用を阻害し、空界を混乱に陥れるものでありますので、この取締りの徹底を期するため、種々努力をしている次第であります。  次に、昭和三十二年から行われます国際地球観測年における、わが国の電波研究関係について申し上げますと、これは、当省電波研究所が主として担当することとなっておりまして、おもな仕事としましては、電離層の観測、世界日関係、太陽雑音及び空電の観測等でありまして、国内の各電波観測所で実施するとともに、南極において、電離層観測、オーロラ及び散乱現象の観測を行う予定になっております。観測年の意義にかんがみ、また、南極観測は、わが国としては最初の試みであるので、所期の目的を達するため、学術会議その他の関係方面とも密接に連絡をとりつつ、観測機器の整備、設計を開始するなど、準備の万全を期している次第であります。  次に日本電信電話公社関係について申し上げます。  まず、電信電話の拡充五カ年計画の実施状況についてでありますが、本年度は、第三年目に当りまして、現在までの成果を見ますに、サービス工程面においては計画工程を上回る実績を収めておりますが、電話局舎建設等基礎工程の面におきましては、資金面の制約もありまして、若干後年度に繰延を余儀なくされている実情であります。今後ますます増大する熾烈なる要望に対処するために、基礎設備の拡充を完全に達成し得るよう実行することといたしております。  次に、三十一年度公社予算と建設工程の概要につきまして申し上げますと、損益勘定におきまして収入は一千二百九十三億五千万円、支出は一千百六十億二千二百万円、差引百三十三億二千八百万円の収支差額を生じますが、これは建設財源及び債務償還に充てるため、資本勘定へ繰り入れることになっております。  建設勘定におきましては建設改良のための財源として外部資金百八十三億七千三百万円、うち、公募債券八十五億円、加入者及び受益者引受債券五十五億三千万円、電話設備負担金四十三億四千三百万円、自己資金三百七十一億三千六百万円、うち、減価償却引当金二百二十九億円、損益勘定より受入百十六億九千四百万円、資本剰余金十三億四千二百万円、資産充当十二億円、合計五百五十五億九百万円が建設改良のための資金であります。同じく支出としては総係費五十五億三千七百万円、工事費四百九十九億七千二百万円、となっております。  この建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百五十五億九百万円をもちまして、加入者開通十八万五千名、六大都市とその江郊都市との即時通話サービスを含めまして公衆線が四十三万九千キロ、電話局の建設では、年度内にサービスを開始するもの二十一局、継続工事にして次年度以降にサービスを開始するもの十七局、新規着工のもの三十八局等の主要工程のほかに、来年度は特に、町村合併に伴う区域合併局六十九局、市外線増設八千八百九十キロ、及び無電話部落対策として二百十六件の工事を計画いたしております。  なお、今後経済諸活動の活発化、国民所得の拡大によりまして、電話の需要は今後とも継続的に増大する見込みであり、他方離島、農山村等に対する通信施設の普及等、今後は特にこのような公共的な需要にも対応していかなければならないのでありますが、一方、現行の電話設備費負担臨時措置法による設備負担金及び電信電話債券の利用者負担制度は、昭和三十年度末まで実施されることとなっており、公社建設資金の調達状況及び加入電話の需要量等を勘案すれば、右制度はなお相当長期間存続する必要があると考えられるのであります。そこで昭和三十五年度末までこの期限を延長すると同時に、現行法は加入電話の種類変更の場合の規定がないので、種類変更を認めている公衆電気通信法との統一調和をはかることのために、電話設備費負担臨時措置法を一部改正する法律案を本国会提出することといたしておりますので、その節は、よろしく御審議をお願いいたします。  次に、国際電気通信関係について申し上げますと、本年度、大阪−テヘラン間、東京−コロンボ間、東京−ローマ間等に対外直通回線を増設し、他方賃貸回線業務、放送中継業務を拡張し、なお、東京関門局も竣工いたしまして、サービスの充実を加えている次第であります。  次に、客年十一月認可いたしました国際電信電話株式会社の第五期利益金の処分について申し上げますと、当会社は設立以来第三年度を迎えますます順調に推移し、客年九月末第五期決算を終了しました。この概要を申し上げますと、営業成績は貿易好調の波に乗って全般的に順調な経緯をたどっており、その損益計算は営業総収入二十五億六千七百万円、営業総支出二十一億一百万円、差引利益金は四億六千六百万円となっておりますが、これに基きまして従来通り年八分の配当を認可したわけであります。  なお、第五期における設備計画の実施状況は、その建設支出額七億三千一百万円でありまして、年間予定瀬十五億九千万円の四六%相当を完了したこととなっております。  御承知通り、現在国が保有している国際電信電話株引会社株式のうち、発行株数の五分の一相当部分日本電信電話公社に保有せしめることを内容とする日本電信電話公社法の一部を改正する法律案が、去る第二十二回特別国会において衆議院逓信委員会から提出され、同院本会議において全会一致で可決され、参議院逓信委員会におきまして引き続き現在継続審議となっております。その法案に関係いたします五分の一相当部分を除く他の政府保有の株式売却処分につきましては、政府は、公社法付則の規定に従い、昭和三十一年一月十六日関東財務局において一般競争入札により、売り払い処分に付したのでありますが、その結果処分株式総数は一百四十八万四千七百四十株、落札総額は約八億九千八百万円であり、従いまして落札平均価格一株につき六百四円七十六銭になっております。右の売却代金の全額は公社に交付されることとなっており、これを公社の建設資金に充当せしめるため、目下予算措置について関係当局と取り運び中であります。  次にエカフェにおいて電気通信を取り上げるべき問題につきましては、かねがね郵政省において研究中でありましたが、本年一月初旬バンコックにおいて開催された第五回内陸運輸委員会に、当省からも代表二名を送り電気通信に関する諸問題の具体的な取り上げ方等につき討議に参加せしめたのでありますが、その結果同委員会は域内の電気通信の諸問題を討議するよう付託条項を拡張するとともに、具体的研究事項の優先順位を採択し、おおむね所期の目的を達し得たものと考えます。なお、本委員会における採択事項は、二月初旬インドのバンガロールにおいて開催される総会に報告決定されることとなっております。  以上をもちまして、私の報告を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきまして御質問によりお答え申し上げたいと存じます。
  27. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまの御説明に対しまして質疑もおありと存じますが、残余の議事の都合上、質疑は後日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  29. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を始めて下さい。  次に、電気通信並びに電波に関する調査議題に供します。日本電信電話公社事業状況並びに運営方針につきまして総裁の御説明をお願いいたします。
  30. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) ただいまから、昭和三十年度日本電信電話公社運営上のおもな問題並びに三十一年度予算につきまして、概略御説明申し上げます。  本年度予算は事業収入一千百七十五億円余でありますが、収入実績はおかげをもって好調でありまして、十二月末の決算によりますと、電信収入は六十四億円余、電話収入は八百十八億円余、その他の収入を合せて事業収入の合計は九百十四億円余でありまして、年間収入額はかなりの増収が期待されます。  建設工事の進捗状況を申し上げますと、予算の現額は当初予算額五百十三億円余に前年度よりの繰越額三十六億円余を加えて五百四十九億円余となりますが、十二月末の支出状況は三百四十三億円余でありまして、昨年と比較いたしますと、多少おくれぎみでありますが、年度内にはおおむね予定通り進捗する見込みであります。加入電話の早期開通等につきましては鋭意努力いたしました結果、十二月末において加入電話十五万八千余の増設を終り前年同期の十五万五千余をさらに二%上回る成果をおさめており、本年度末には、戦前最高の二倍に当る二百十六万に達することが予想されます。  市外回線につきましては、十二月末までに三十八万キロ余を新増設いたしまして、年度末までには計画通り四十二万キロ余を完成する見込みであります。東京−名古屋−大阪間においては一昨年の九月より長距離即時通話を実施して好評を博しておりますが、昨年九月より東京−神戸間、横浜−大阪間等に、十月一日より東京−仙台間に即時通話を開始いたしました。さらに大阪−福岡間のマイクロ工事の進捗に伴いまして、来たる四月一日より大阪−広島間に、六月一日より大阪−福岡間に即時通話を開始する予定であります。  基礎工程のおもなものについて申し上げますと、分局開始九局のうち七局、自動改式十一局のうち六局、共電改式は計画通り六局がすべて年度内に完成する見込みで、その他の局はいずれも継続工事として三十一年度中にはサービスを開始する予定であります。長距離ケーブルにつきましては滝の川−高崎間のほか五区間を計画しましたが、二区間を除き年度内に完成する見込みであります、マイクロウエーブ施設につきましては、大阪−福岡間の工事は、ただいま申し上げた通りでありますが、東京−札幌間の工事につきましては、東京−仙台間は三月に、仙台−札幌間は八月にそれぞれ完成することを目途として目下工事を進めております。  次に市内通話の利用状況を申し上げますと、度数制局一加入当り一日平均通話度数は本年度上半期において八・七度となっておりまして、通話の完了率は、十大都市平均で二十九年度の六二・〇%から六五・三%と向上いたしております。  市外通話の取扱い状況は、本年度上半期における利用度数は約三億一千九百万度で、前年同期に比べまして一二・八%の増加となっております。これは加入電話の増加率一一・六%を上回っておりまして、サービスの向上による利用の増加を物語るものと考えられます。さらに待合時間短縮に伴い普通通話の占める割合が増加し、本年九月における特急通話の割合は全体の五%となり前年同期九・七%に比べて著しく減少いたしました。このようなことは収入面に端的に反映し、利用度数は前述の通り増加しているにもかかわらず、通話料は一一%の増加にとどまっております。  次に電信の現状でありますが、本年度上半期における有料発信通数は約三千八百万通でありまして、前年同期と比較して四・九%の減で、依然として減少傾向にあります。なお、サービスの改善策として本年度も引き続き電報受付窓口の普及に努めました結果、漸次拡充され、十一月末におきまして簡易公衆及び委託公衆電話総数一万八千三百個所の三〇・五%に当る五千五百八十カ所が電報を取り扱っております。  また電報を受け付けてから配達するまでの所要時分は本年八月全国主要電報取扱い局間に発着するものについて調査しましたところ、至急電報三十九分、普通電報五十四分でありまして、前年度よりもさらに短縮されております。  次に最近の労働情勢について簡単に申し上げたいと存じます。設備の近代化に伴う配置転換や、休日休暇制度の合理化等に関する全電通労働組合との労働協約に関しましては、その交渉は一たん決裂して、十月以降における合理化反対労働協約締結闘争となったのでありますが、公共企業体等中央調停委員会の配置転換協約についてのあっせん案により団体交渉を行なった結果、十二月一日に配置転換、勤務時間、休暇及び休職についての協約を締結するに至りました。今後設備の近代化を実施するに当りましては、これに伴う要員配置計画について組合に対し説明を行いその積極的協力のもとに実施して参りますとともに、長期計画の策定に当りましては、設備の近代化に伴う職員の配置転換の問題を一そう慎重に考慮して参りたいと考えております。なお、組合側より出されました基準内賃銀二千円引き上げの要求につきましては、団体交渉においては解決に至らず、目下中央調停委員会において審議中であります。  以上三十年度事業概況について申し上げましたが、次に三十一年度の公社予算について御説明を申し上げます。  まず損益勘定について申し上げますと、収入は千二百九十三億円余でありまして、三十年度予算と比較いたしますと、百十七億円余の増加となっております。収入の内訳について申し上げますと、電信収入八十七億円余、電話収入千百五十六億円余、委託業務収入十九億円余、雑収入二十九億円余となっております。電信収入は前年度予算に比べわずか六百万円余の増加となっております。電報は通数、単金ともに下がる傾向にありまして、電報料収入は前年度に比べ三億円余の減少が見込まれるのでありますが、電信専用線の利用が最近二、三年の間に急激に増加し、電信専用料において三億円余の増加が見込まれ、電信収入全体としては差引ほとんど変化がないという状況であります。電話収入は三十年度予算に比べ百十二億円余の増加となっております。料金種別のおもなるものについて見ますと、電話使用料において二十三億円余、度数料において五十四億円余、市外電話料において二十八億円余、公衆電話料において四億円余、それぞれ増加しております。全般的に申しまして、経済界の好況の影響もありまして、市内通話度数も市外通話度数もかなり伸びておりますが、市外通話におきまして、特急通話が二、三年前時数におきまして二割以上を占めておりましたのが、三十年九月におきましてはわずか五%に過ぎぬようになり、サービス改善に伴う減収傾向は顕著に現われております。また、今後町村合併に伴う冠話整備、無電話部落対策等を推進いたしますと、この傾向は一段と強くなるものと考えられ、収入の確保については楽観を許しません。  次に、支出は千二百九十三億円余でありまして、その内訳を見ますと、営業、保守等に要しまする経費が人件費、物件費合せて八百四十三億円余でありまして、三十年度予算と比べ六十二億円余の増加となっており、利子及び債務取扱い費は七十二億円余で十二億円余の増加であります。減価償却費は二百二十九億円でありまして、三十年度予算の二百四十億円余に比べ十一億円余の減少となっておりますが、これは固定資産の再評価額が三十年度予算の編成時期の関係から推定価額により計上しましたための誤差に基くものでありまして、三十年度における減価償却費は、決算におきましては二百六億円程度と推定されますので、実質的には二十三億円程度増加となるわけであります。予備費は三十年度と同額の十五億円でありまして、資本勘定へ繰り入れば百三十三億円余で、三十年度予算に比べ五十四億円余の増加でありますが、決算の上ではただいま申し上げました減価償却費の予算と決算との差額三十四億円程度が資本勘定への繰り入れに追加されますので、三十年度予算における損益勘定より資本勘定への繰り入れば百十三億円程度に上ると推定されますので、実質的には二十億円程度増加となる次第であります。  なお、各勘定所属の職員予定数の合計は新規増員六千人余を含め十七万八千人余でありまして、給与総額は四百七十八億円余となっております。  また、固定資産税七億円余を計上いたしておりますが、公社といたしましては、建設資金に直接響く問題でありますので、この措置は地方財政再建のためにする臨時的な時限措置であることを明らかにするとともに、納付手続にいたずらに煩雑な手数を要することが考えられますので、予算繰り入れの形式で自治庁に一括納付する方法をとられることを強く希望している次第であります。  次に建設勘定でありますが、既定の電信電話拡充五カ年計画の第四年度の工程を遂行することを基本とし、町村合併に伴う施設の整備並びに無電話部落対策について配意いたした次第であります。  建設資金から御説明いたしますと、自己資本としましては減価償却引当金が二百二十九億円、損益勘定より受け入れが百三十三億円余、三十年度の利益金を引当てとする資産充当が十二億円、合せて三百七十四億円余であります。借入資本としましては装置料等を内容とする設備負担金が十三億円余、電話設備負担金が四十三億円余、電信電話債券が公募によるもの八十五億円、受益者引き受けによるもの五十五億円余でありまして、合せて百九十七億円余であります。以上を合計いたしまして五百七十一億円余となりますが、債務償還のため必要な十六億円余を控除いたしまして、五百五十五億円余が建設勘定の財源となるわけでありまして、三十年度予算に比べ四十一億円余の増加となります。  さて建設の工程でありますがサービス工程におきましては加入電話十八万五千、公衆電話一万余、市外電話回線四十六万二千キロ余等、三十年度と比べ若干上回った工程を計画いたしました。基礎工程におきましては、電話局の建設としましては大都市における新電話局が四局、方式変更に伴うものが自動式十二局、共電式五局、計二十一局のサービス開始を計画いたしました。サービス開始をする局数は三十年度とあまり変っておりませんが、工事継続のもの、新規着工のものは局数において二倍程度増加しております。市外関係につきましては、同軸及び無装荷ケーブルを七区間、装荷及び短距離搬送ケーブルを十六区間、極超短波を五区間、それぞれ建設いたしますが、三十年度の工程と比べますと、区間数におきまして装荷及び短距離ケーブルが六区間減少しておりますが、その他のものはそれぞれ一区間ずつ増加して計画いたしました。  次に町村合併に伴う電話サービスの改善でありますが、大都市、中都市の電話局の建設に伴いまして加入区域の統合を行う区域合併は三十年度と同程度実施いたしますが、このほか三十年度の二倍に当る十億円を計上いたしまして、電話局の統合六十九局、市外回線の新増設約千三百回線八千八百キロ余の工程を計画いたしました。これは町村合併によって当該市町村の公衆のこうむる電話サービスの不便と、それから生じる苦情の原因が、主として市外通話サービスにある事実にかんがみまして、市外回線の増設に重点を置き、これを三十年度の二・三倍とした次第であります。また三十一年度より無電話部落対策を推進して、僻地に電話の便益を行き渡らせないと考えまして、まず二億円の資金をもって二百余の部落に公衆電話の整備を計画いたしました。  さて、この建設計画を実施することにより、加入電話の普及率は、三十年度末におきまして人口百人当り二・七が三十一年度末には二・九となり、公衆電話の普及率は、千人当り〇・四二が〇・五三になります。自動化率について申し上げますと、三十年度末四九・六%から三十一年度は五二・七%となり、六大都市を除きました自動化率は二二・五%から二六・四%に向上いたします。またサービス水準はどのように改善されるかと申しますると、電報におきましては速度、誤謬率ともに現状維持の程度考えますが、電話におきましては六大都市の市内通話完了率は、六六%より六七%へと向上し、市外電話の待ち合せ時分は、短距離は現状維持の四十分でありますが、長距離及び中距離におきましては、それぞれ十分間を短縮し、それぞれ一時間三十分程度改善される見込みであります。保全サービスにつきましては申告率、障害率とも年々減少をみておりますが、今後さらに設備の取りかえに努めること等により、一そう改善をはかって参りたいと考えております。なお、料金の支払請求書に内沢を付することにつきましては、現在東京、大阪におきまして加入電話のそれぞれ四割程度を実施しておりますが、大阪においては四月より、東京においては九月より全加入者に実施できる見込みであります。その他の地区においても逐次これを実施していくこととし、さしあたり三十二年度には名古屋において実施したいと考えております。  最後に電話設備負担臨時措置法の一部を改正する法案につきましてお願いを申し上げたいのでありますが、電話に対する需要は依然として増加しておりまして、電信電話サービスの現状はまだ満足すべき状態に至っておりません。このため今後引き続き毎年少くとも約十九万の加入電話、約四十万キロの市外回線、及び基礎施設の拡充をはかっていく必要があり、これに要する建設資金は毎年五百九十億円に達します。しかも、これに充当し得る内部資金は三百五十億円程度でありまして、財政投融資による資金の調達も、過去の実績より見て、その大幅な増額を期待することはきわめて困難であります。従って負担法に基く建設資金約百億円を確保することができないとすれば、現在までおおむね順調な進捗をみた第一次五カ年計画も、中途において蹉跌する結果となるわけでありまして、公社としましては強くこの法案の成立を希望しておる次第であります。何とぞ委員各位の深い御理解、御支援をお願いする次第であります。  以上をもちまして私の説明を終ります。
  31. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  32. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を始めて。ただいまの二案件に対する御説明に対しまして御質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  33. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、先般本委員会に付記されました日本放送協会昭和二十九年度財産目貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。まず郵政政務次官から本件の御説明をお願いいたします。
  34. 上林山榮吉

    政府委員(上林山榮吉君) では私から御説明を申し上げたいと思います。  日本放送協会の昭和二十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について概略御説明申し上げます。  日本放送協会のこれらの書類は、放送法第四十条の規定に基きまして国会提出いたすものでございます。  協会から提出されました昭和二十九年度貸借対照表等の詳細は、お手元の書類の通りでありますが、その概要について御説明申し上げますと、昭和三十年三月三十一日現在における資本総額は三十五億九千五百余万円であり、これに照応する資産は七十五億五千八百余万円、負債は三十九億六千三百余万円となっております。  資産の内容を見ますと、流動資産六億五百余万円、固定資産六十二億三千九百余万円、特定資産五億九千六百余万円、繰延勘定一億千七百余万円となっております。また、負債の内容は、流動負債三億八千七百余万円、固定負債三十五億七千六百万円となっております。損益につきましては、事業収入は、ラジオ関係が九十六億三千余万円、テレビジョン関係が一億二千二百余万円、事業支出は、ラジオ関係が八十八億五千余万円テレビジョン関係が六億七千五百余万円で、ラジオ関係においては、差引当期剰余金七億八千余万円、テレビジョン関係においては、差引当期欠損金五億五千三百余万円となっており、協会の事業収支全体から見ますと、差引当期剰余金二億二千七百余万円となっております。  以上で、概要の説明を終りますが、何とぞよろしく御審査のほどをお願いいたします。
  35. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に、会計検査院当局から検査の結果について御説明をお願いいたします。
  36. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 会計検査院は日本放送協会の昭和二十九事業年度財産目貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を三十年十二月十三日内閣から送付を受けまして、検査を終りまして同年の十二月二十三日内閣に回付いたしました。  検査の概要を申し上げますと、毎月放送協会から提出されます試算表等による書面検査のほか、会計実地検査といたしまして、協会の本部及び七中央放送局のうち、本年度は本部及び大阪、名古屋両放送局を延べ約七十日間実地検査を行いまして、これは大体昨年度と同じ程度になっておるわけでございます。検査といたしましては、協会の財政状態及び経営の成績等協会の会計経理全般について検討しましたが、その結果特に不当といたしまして国会報告いたします事項はございません。また検査の結果によりまして、相手方の受検官庁に注意すべき事項につきましては、毎年それぞれ注意しておる扱いになっておりますが、本年度におきましては協会に対して検査院から注意した事態もございません。概しまして二十九年度の決算は堅実に処理されておるものと認めたわけでございます。
  37. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 本件に関する質疑は後日に譲ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 御異議ないと認めます。  なお、お諮りいたしますが、今後本件審査のため参考人として日本放送協会役職員の出席を求める必要がある場合には、臨時、委員長からこれを求めることとしてあらかじめその取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  40. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 次に派遣委員報告議題といたします。各班の御報告をお願いいたします。まず近畿班の御報告をお願いいたします。
  41. 山田節男

    山田節男君 私から第二班の委員派遣の結果を御報告申し上げます。  第二班は三木委員最上委員と私の三名でありましたが、これに八木幸吉委員、滝井委員が特に御参加下さいまして、この五名で、郵政局、郵政監察局、郵便局、貯金局、電気通信局、電報局、電話局、電波監理局、国際電信電話株式会社支社、諸放送事業等を視察いたしたのでありますが、私から視察の結果を御報告申し上げます。  まず、郵政事業関係について申し上げますと、第一に町村合併に伴う郵便集配区整備の問題は本年一月一日現在において郵便区の調整を必要とするもの百十九件に対し、調整済みのもの二十一件でありまして、三十二年度完了の目途としては、その進捗状況は必ずしも良好とは言えない状況でありますが、今後その進捗をはばむ諸要素を克服して極力推進していくつもりであるということでありました。  また、郵便局舎については不良局舎は特に他管内に比しきわめて多く、局舎改善八カ年計画をもって改善を要する局は普通局では百十一局、特配局では集配局のみでも百五十三局にも上る実情で、ぜひとも緊急改善方強く本省に要望しているということでありました。  次に、年末年始の繁忙期における業務の状況について申し上げますと、お年玉付郵便はがきは管内売さばき目標は九千百四十万枚で、前年より五・四%増でありましたが、やや不足程度成績をもって売りさばかれ、また小包郵便物はおおむね一割五分程度増加と認められましたが、いずれも早期差し出しの実が上ったため、業務運行上も格別の支障なく、きわめて順調でありました。  次に、郵便貯金の奨励成績につきましては、本年度の管内郵便貯金増加状況は、管内各局の非常な努力にもかかわらず効を奏せず、年度初頭より実績並びに対目標割合とも昨年度に比し約半ば程度で、一月十一日現在で目標額に対し五割九分弱の成績にとどまっておる現状でありますが、この不振の原因は、  一、民間貯蓄機関の預貯金利子免税の措置によって郵貯利子無税という国民大衆に対する福祉性がなくなったので、郵便貯金の勧奨が困難になり、勢い郵便貯金を他の機関に預け入れかえするものが増加していること、  二、農業協同組合の預金払い出しの抑制、  三、中小商工業者の金融難  四、農村の消費の増大等に基因すると認められますが、十二月に入ってやや好転を見せているのと、各局の懸命な努力によって年度累計百十四億、対目標割合八割二分程度まではぜひ達成したいと意気込んでおりました。  次に、貯金関係で一言触れたいのは、京都貯金局を視察いたしましたが、その新局舎がきわめてりっぱで、設計も能率的にかつ安全性を確保するようにできており、しかも比較的単価も安いことはまことにけっこうなことと思いましたが、和歌山県の口座を京都貯金局が所管していることから、八木委員より種々質問が発せられました。すなわち、  一、貯金原簿を各郵便局に置くことを考えたことがあるか。  二、貯金の払い戻し局を制限したらどのような不都合を生ずるか。  三、要するに貯金会計の赤字の原因が資金運用部よりの利子と預金者への支払い利子の辺にあることもわかるが、一面運営の面において合理化を行う余地はないか。たとえば極端にいえば、むだに近いサービスのために不要に近い経費が出ている面があるのではないか等、経営面よりの質問がありました。  次に、郵政監察については、本年度における主要犯罪及び事故のうち、西淀川局主事中村長一の八百六十万円に達する通常貯金の預け入れ及び資金横領事件について三木委員及び八木委員より、かくのごとき多額の二年間にもわたる横領事実が容易に発覚しなかったのはどういうわけか。運営面の機構、業務遂行の過程、またはこれが監査方法等に欠くるところがあったのではないか。また監察制度については、従来のやり方があまりに消極的であって、法規違反に対しても容易に発動せず、このような態度がひいては草津局問題のごとき事件を起す根本的な原因となるのではないか等の質問がありましたが、監察局としては、決して消極的であるわけでなく、一局につき一年三、四カ月に一回の監査ではやはり十分でなく、まれに西淀川局のような事例が起ることがあり、また草津局についても監察局は郵政局と同穴なるがゆえに管理者側に有利になるよう事実を曲げたり、故意にかばうような態度をとったものでなく、あくまでも厳正中立の立場において真正なる調査を行い、これを報告したものであるとの答弁があり、同問題のその後の処理についても本省よりも調査に来られましたし、地方の段階を離れて中央の本省において解決をはかるはずであるとのことでありました。  次に、電々公社関係について申し上げます。  第一に、町村合併に伴う電話施設の統合整備については、管内において同一行政区域内に二つ以上の交換局を有する町村数は二百四に達し、電話施設統合計画の対象となる子局数は四百二十四局を数うるに至っておりますが、これらの解決策として、まず年度別に一応の計画基準を設け、これに従って長き見通しのもとに逐次計画的に建設せんとし、これに市外台集中、飛地特別加入区域制度、あるいは加入区域の再編成等をも加味して実施中であります。また電信電話局舎の概況は管内直轄局百七十局に対し、三十年度ないし三十二年度において約五十六局を改善しようとしております。また郵便電信電話の窓口一本化計画については、局長以下きわめて積極的かつ開放的でありまして、電信電話局の前にも郵便ポストを置くように、また普通郵便局には電信電話業務をも取り扱わしめるようにとの趣旨のもとに単独局舎の普通郵便局六十六局中、すでに電通業務を取り扱っている局には二十一局に達している現状であります。  次に、電話需給の状況は、同局多年の努力により、大都市重点主義採用の結果、大阪の需給率は三十一年度において九三・二%に改善され、管内需給率八七・九%をはるかに上回ることになる見込みであり、神戸においても九七・三%の需給率に達する見込みであって、総体的に見て局舎建設を急いでいる京都を除き、大都市中央部の需給率は三十一年度において著しく改善される見通しがついたので、重点を大都市周辺部及び中小都市に移行せんとする予定であることはまことに同慶にたえないところであります。  次に、国際電信電話会社について申し上げますと、同社の大阪支社所属の電報局電話局を視察するとともに、支社長より業務担当範囲、業務量、担当人員等につき詳細の説明を聴取しましたが、未開発で器械技術の劣っている中東及び東南アジア方面を主たる相手とし、東京とほぼ同数の業務量を比較的に少い人員で能率的にさばいていること。シンガポール、香港等を経由せず、直接の通信の具体化、この方面への電気通信事業の指導開発等に力を注いでいる点に注目に値するものがあると感じました。また同支社の社屋は本社の約半分の大きさのものが来たる八月ごろ完成の予定で、これに現業事務も移転し、東京と同じように一社屋に集中することになれば、いよいよ能率的となり、また対公社との関係においても、双方ともに好都合となろうと思われました。  次いで河内の送信所を視察いたしましたが、その際従業員組合側より、目下参議院において継続審議中の公社法改正案には絶対に反対である旨の陳情がありました。  次に、電波監理事務について申し上げますと、同局局長以下きわめて熱心に業務を遂行しておられ、特に高周波利用設備施設、有線放送設備施設等につき種々興味ある説明がありましたが、逐年取扱業務量の急激な増加にもかかわらず、これに従事する要員の増加なく、かつ同局発足当時から比較的多くの病弱者をかかえ、現在員二百四十二名中、要保護者療養者合計四十人で全員の一七%に達しておるのは、同情に値するとともに健康管理の徹底化を痛感しました。  次に、放送開始について申します。大阪にはNHKのほかに民放として新日本放送、朝日放送がありますが、NHKが普及率八〇・五%の高率に満足せず、特に番組編成等に非常な努力を払っておることが看取されましたが、二つの民放も創立当初危ぶまれた危惧をみごとに克服して、おのおの一割二分の配当をなし得るに至ったことは、各経営者が真剣に放送事業に打ち込んでおられるその努力のしからしむるところと思われます。しかしながら放送局設備はいずれも狭隘に失し、雑然たる感じがいたしましたが、これは将来できるだけすみやかに改善すべき余地があるということを痛感いたしました次第であります。  またテレビ放送におきましても、目下準備中の大阪テレビ放送も今年末までに新社屋において放送開始の運びに至るようであります。  最後に、一月十四日午前十一時より新大阪ホテルにおいての郵政、電気通信電波、放送等各事業の利用者代表との懇談会について申し上げます。  同懇談会はわれわれ参議院逓信委員会委員一行の来阪を機会に、大阪郵政局長近畿電気通信局長近畿電波監理局長連名の案内で、同地方の警察、電力、放送、ガス、銀行、商社、電鉄等官界及び実業界の代表者五十余名の参集を願い、各事業につき承直なる意見、不満、希望等を述べてもらい、これに対し各局長より答弁し、さらにわれわれ議員より意見あらばこれを述べるという形式のもとに、西村郵政局長司会のもとに開かれたものでありまして、約二時間にわたり終始きわめて熱心にかつ率直なる意見の交換が行われたのでありますが、現に当日御出席の各界代表者の顔ぶれを見て、最近における郵政、電気通信電波、放送等がいかに国民各層に直接至大の利害関係があり、その重要性を増してきたかを如実に物語るものでありまして、これら事業担当者の責任、ひいては逓信委員会の責務の重大なるを痛感した次第であります。  今そのおもなる発言の大要を申し述べますと、次の通りであります。  一、郵便事業関係におきましては、一商社の方より、東郵便局による早朝配達という格別な取扱いによって、弊社は非常な便宜を得ているが、戦前に数回の配達のあった都会地も、物数の少い農村も戦後は全国一率に二回の配達になっているようであるが、利用度の高い都会地には、その物数に応じ三回、四回の配達を実施してはいかんとの発言があり、また一商社の方より料金後納郵便物の担保金は二カ月分となっているが、これを一カ月分に減額してもらえないか等の意見がありました。電気通信事業については、ある協会の方から、電話料は近時銀行、会社、商社の支出中大きな部分を占めるに至ったが、今後大幅の料金引き上げは避けてほしい。またある程度の大口利用には度数料の逓減を認めてもらえないか。また、ある証券業者より、電電公社のサービスも国際電電会社のサービスもきわめてよろしく、われわれ利用者もこの形態のままでよりよいサービスを期待しているのに、最近公社が会社の株の一部を保有する法案が問題となっているようであるが、せっかく落ちついて双方成績よく発展しているものを、ことさらにがたがたせしむるのは、まことに了解に苦しむ旨の発言がありました。  次に、電波については警察側より、警察は莫大な回線を公社より借り、山の中の中継所、無線局等において公社の非常なサービスに常に感謝しているものであるが、小さいパトロールカーその他の小型無線の許可申請の事務的処理が繁雑でかつむずかしいので、電波法改正の際は、これら事務の簡素化について国会においても御配慮願いたいとの発言がありました。  放送関係においてはNHKと民放の性格、そのあり方、民放が四十社に達するに至った今日における地位、NHKと民放に対する監督の問題及びこれに対応する保護の問題、受信料等、広範にわたりNHKと民放側との間に相当突っ込んだ意見が述べられ、逓信委員会における法案審議の参考とせられたい旨発言がありました。   〔委員長退席、理事島津忠彦君着席〕  以上をもって懇談会を終り会食に入り、なごやかなうちに午後二時散会をしました。  以上をもちまして第二班の視察報告を終ります。
  42. 島津忠彦

    ○理事(島津忠彦君) 次に、東北班から御報告をお願いいたします。
  43. 宮田重文

    宮田重文君 本員は柏木委員とともに、去る一月十五日より十八日に至る四日間、仙台郵政局、同郵政監察局、東北電波監理局、東北電気通信局、NHK仙台中央放送局、株式会社東北放送、同ラジオ福島の各所管に関する郵便、貯金、保険の各事業電波行政に関する業務、電信電話に関する事業、放送に関する事業等の運営状況を視察いたしましたので、そのおもなる点を御報告いたします。  まず、町村合併に伴う郵便集配区の整備について申し上げます。仙台管内における合併の状況は、基本計画すなわち東北六県合計一千三百六十八町村を九百八町村減少いたし、四百六十町村といたさんとするものでありますが、本年一月一日現在において八百九町村の減少をみております。これに対する郵便集配施設の改善計画として一部組みかえを要するもの九十八件、統合を要するもの百六十九件に達するものでありますが、今日までに実施したものは一部組みかえ二十三件、統合三件にすぎず、計画の一割にも満たない実情であります。この実施遅延の理由として、当局は合併後日が浅いので、町村民が旧地域の利益を固執して対立しているためであると説明いたしております。もちろん合併早々町村民融和の実があがらず、合併町村の諸行政が必ずしも円滑に実施せられていないことは推測にかたくないのでありますが、整備の遷延は郵便物の遅配、誤達など利用者に不利不便を与えるのであるから、当局は積極的に計画を推進する必要があると認めるのであります。  次に、郵便貯金、簡易保険、郵便年金の奨励状況について申し上げます。当管内における郵便貯金の現在高は三十年十二月末において三百六十二億三千万円でありまして、全国合計五千三億円に対し七%に当っております。三十年度における増加目標は六十六億六千万円であって、本年一月十日現在達成額四十八億二千万円であり、目標に対し七二%強に当りますが、   〔理事島津忠彦君退席、委員長着席〕 前年同期の八九%に比べて本年度成績ははなはだふるわないのであります。もっともこの郵便貯金不振の状況は全国共通の現象でありまして、一般経済界の景気の上昇、なかんずく農村における未曽有の豊作にもかかわらず、郵便貯金がかかる不成績となった主たる原因は、銀行預貯金に対する利子課税の免除、農協の高金利、経営の健全化などのため、預金がこれらの民間金融機関に吸収せられるに至ったことによると考えられるのであります。郵便貯金関係の職員がいかに懸命の努力を払っても、この利率の調整をはからない限り、増加目標を達成することははなはだ困難であり、従って財政資金の蓄積に支障をきたすものでありまして、政府はすみやかにこの利率の調整をいたすことを要するものと認められるのであります。  当管内における簡易保険の保険金額は、三十年十一月末現在八百八十四億円、件数は同じく現在四百三十一万件、一件当り二万五百十五円で、普及率四六%でありまして、全国平均四六%と同位となっております。昨年一月より十二月まで一年間の募集目標保険料一億七百万円に対し一二一%、すなわち一億三千万円、保険金百六十六億四千万円に対し一一八%すなわち百九十七億三千万円、件数三十万件でありますから、一件当り保険金六万六千円となっております。保険金を十五万円に引き上げたことと、保険料を引き下げたこととは募集を容易にいたし、事業の増進に相当大なる要因となったものと認められるのであります。郵便年金目標三千七百万円は昨年初期に達成し、十二月末現在においては目標の一九二%を完成し、きわめて良好なる成績をおさめたのであります。  簡易保険及び郵便年金積立金運用状況を見ますと、短期融資においては三十年度七百二十件、金額五十三億一千万円に上っており、起債前貸において七十九件、二億九千万円であります。年々公共団体の事業の拡大するに伴い、資金需要も増大いたしております。  次に、郵便局舎の状況及びこれが整備改善計画について申し上げます。局舎事業の発展に従って次第に狭隘となり、特に町村合併に伴う集配逓送施設の調整計画に支障を来たしておる状況でありまして、急速に改善を要するものが多いのであります。政府は本年度より局舎改善八年計画を樹立いたし、当管内においては経年四十年以上の老朽局七十三局、町村合併に伴う改善局四十二局、都市計画に伴うもの十一局、その他不良局五十七局、通計百八十四局の新改築を実施せんとするものであります。しかして本年度におきましては、普通局二局、特定局十局の新営を取り運んでおります。  次に、年末首繁忙期における郵便局業務の状況について申し上げますと、今期年末首郵便業務は取扱い物数の点において戦後最高の記録を示したのであります。すなわち年賀はがきの売りさばき数五千三百三十万通で、昨年に比し二百八十万通多く、年賀特別郵便物引受数一億五百五十万通で、昨年に比し五百万通多いのであります。元旦における年賀郵便配達数は四千六百三十万通で、昨年に比し二百三十八万通多くなっております。小包郵便物においては、書留小包は九万個で昨年の十万八千個に比し減少いたしておりますが、普通小包は二十八万五千個で、昨年に比し二万三千個の増加となっております。かように昨年に比し物数は増加いたしたのでありますが、年末労働闘争の早期解決などの理由により、業務は正常の運用を見たのであります。  次に、電信、電話事業関係につきましては、まず町村合併に伴う電話施設の統合整備の状況を申し上げます。町村合併の実施に伴い、同一市町村となった地域の電話については、局間距離六キロ以内のものは、電話加入区域の合併を行なって市内通話サービスを提供することといたし、六キロ以上のものについては、市外回線の増設を行なって、市外通話サービスの改善をはかることを一応の基本構想としておりますが、その対象となる町村の数は二百六十四、電話局の数は五百六十四であります。  三十年度においては、当初期待いたした予算の確保ができなかったので、確保された予算五千七百十万円の範囲内において実施することとして、年度内完成を目標に目下工事を取り急いでおります。従って本年度末においては、工事費三千六百四十八万円を以て三十二局の加入区域を合併し、加入者二百八十二に対して市内通話サービスを提供するものであります。市外回線の増設計画としては、工事費二千六百十二万円をもって四十八局に関し五十二回線、六百五十一キロを増設するのであります。次年度においては、予算の確定を待って急速実施し、現地の要望にこたえる旨当局説明いたしておるのであります。マイクロウエーブ施設の状況またはその施設計画について申し上げますと、東京仙台間のこの工事は、来たる四月一日業務開始を目途として目下工事の進捗をはかっており、仙台市外国見中継所においてはテレビを受像せられる段階となっております。さしむきの計画としては電話一ルート、テレビールート、予備一ルートでありまして、電話ルートは百二十通話路方式を予定いたしております。使用周波数は四千メガサイクル帯で、中継所間隔は五十キロであります。仙台のマイクロウェーブ中継電話局とNHK大年寺山テレビ送信所を結ぶ回線の工事も完了し、電話については、三月初旬から、テレビについては四月一日からおのおの開始の予定であります。なお仙台札幌間マイクロウエーブ工事も完成を急いでおりますが、この区間の工事設計の骨子は東京仙台間とほとんど同様であります。  次に、電信電話局舎状況及びこれが整備改善計画について申し上げます。当管内における公社直轄の局数は八十一局あり、このうち郵便局局舎を共用いたしているものは二十五局であります。戦後電信電話の拡張整備が大幅に行われ、設備の増設と要員の増加のあった関係もあり、局舎の行き詰りが次第にはなはだしくなっており、これに加えて老朽局舎も多いのでありまして、局舎改善は焦眉の急を要するものと考えられます。はなはだしく狭隘にして、事務の運行に支障のあるもの寒河江局ほか十九局、老朽したるもの若松局ほか二十二局に及んでおります。しかして本年度までに局舎新営が決定して目下設計中または工事中に属するものは仙台局ほか五局にすぎません。例年の例によると、年度内に完工するものは二、三局程度にとどまっておるのでありまして、この程度をもってしては、今後行き詰り局は次第に増加するばかりでありますから、当局において積極的なる改善計画の推進が必要であると存ずるのであります。  次に、電話の需給状況についてでありますが、二十九年度末における管内総加入者数は十三万八千三百三十四でありまして、本年度増設予定八千加入を加えますと、本年度末においては十四万六千三百三十四となります。しかし他方積滞需要数は三十年六月において一万六千六十二に上っており、逐年増加しておるのでありまして、もとよりこれが解決には機械、線路、局舎等、基礎施設の増強を必要とするので、容易に実現は困難でありますけれども、公共事業の使命にかんがみ、当局が真剣の考慮を払うことを切望する次第であります。  次に国際電信電話株式会社委託による電信電話の利用状況でありますが、国際電報の取扱い局数は直轄局六十、委託局二十七、合計八十七局であり、加入電話による国際通話の取扱い局は各県庁所在地の電話局及び釜石電報電話局の七局及び昨年十二月一日開設した会社の直轄の国際通話所四カ所となっております。当管内は貿易商社などの少い関係から、電報電話の利用は僅少でありまして、主として駐留軍の所在地における国際通話所によっております。年間国際電報六千五百通、電話八千通話に過ぎません。  次に、電波行政関係業務の運営状況について申し上げます。まず漁業無線の現況についてでありますが、当管内漁業無線局は海岸局十四局、船舶局千二百六十六局の多数に上っております。しかしてこれらの局に対する割当周波数を平均しますと、電信四・四波、電話四・五波であり、船舶局一局当りの平均使用可能時分は電信局六分十八秒、電話局六分十一秒の僅少時分となります。漁船の稼働範囲は日を逐って拡大され、これに伴って無線局はますます増加する勢いにあります上に、漁業経営の合理化のために無線通信に依存する度合いが高くなって参りますので、漁業通信時間はいよいよ窮屈にならざるを得ない状況であります。よって周波数の割当を増加する必要を痛感いたすのであります。  電波関係において最近特に注意すべき問題は秋田市にありますラジオ東北の放送に与えておる外国放送の混信であります。昨年十二月二十五日からラジオ東北と同一と思われる周波数七百二十キロサイクルでみずから北京放送局と称する外国放送がラジオ東北のサービスエリアにおいて同放送に混信妨害を与え、一部の地域、なかんずく日本海沿岸は放送聴取困難の状況となっております。一月一日からは午前午後二回にわたり日本語によりニュース、音楽、物語等の放送が行われ、その内容は単に妨害のためのものでなくて、日本向けの教養宣伝を目的とするものと解せられるのであります。  次に、NHK仙台中央放送局の業務の取扱状況について申し上げます。当局管内における放送局数は十九局であり、受信者数昨年十一月三十日現在において百十三万二千、普及率七三%となっております。これを都市と農村との別において普及率を比較してみますと、都市においては、その世帯数三十六万に対し、二三・二%でありますが、農村においてはその世帯数百十九万に対し七六・八%となっておりまして、農村に異常に高率の普及をいたしております。しかもこの現象は過去八年の間に急激に現われたものでありまして、東北農村における戦後の状況の一端をうかがい得るものと存ずるのであります。当管内における難聴区域は青森県北部、岩手県東部海岸、秋田県北部、山形県北部及び南西部、福島県東部及び西部でありまして、これに対しましては三十年度は岩手県大船渡市に五十ワット局を設置、秋田局第一放送の五百ワットを一キロワットに増力、山形新庄放送局に第二放送増設及び盛岡、秋田、山形、郡山の各放送局等においては、変調度の向上によって受信音を増大いたすなどの措置を講じ、難聴区域の解消に努力いたしておるのであります。  次に、テレビ放送について申し上げますと、東京、仙台間のマイクロウエーブ工事の完了により、仙台放送局においては三月二十二日テレビ放送が開始せられる予定でありまして、放送所の建設、機械その他の諸施設をほとんど完工いたしております。これが可視区域は宮城県の全部、山形、福島、岩手各県の一部であります。  次に東北放送、ラジオ福島両会社の放送業務に関するものでありますが、東北放送は二十七年五月の創業で現在資本金八千万円、出力十キロワット、そのサービスエリアは東北六県隣接県の一部に及んでおりまして、逐年業績が向上し、最近においては平均九時間半を売り上げ年一割の配当を実施いたしております。ラジオ福島は二十七年十二月創業資本金八千万円、出力〇・一キロワット、福島放送局のほかに郡山、若松、平の三局を有し、そのサービス・エリアは福島県一円でありまして、鋭意サービスの改善、業績の向上に努力いたしておりますが、なお経営上の困難を蔵しているものと認められます。  以上各事業運営実情を御報告いたしたのでありますが、私どもが視察いたしました関係各局及び各地におきまして各事業に関する各種の要望を受けたのであります。この機会にそのおもなものを御紹介いたしまして、委員各位の御参考に供したいと存じます。  その一は、テレビ放送に関するものでありまして、宮城県地域のみならずその他の地域においても同様すみやかに放送局を開設して、広く文化の恵沢に浴せしめる措置をとってもらいたい。なかんずく東北放送、ラジオ福島の各当事者及び地元より商業用テレビ放送の早期免許方について熱心な要望がありました。  その二は、薪炭手当の制度化に関するものでありますが、去る二十二国会において審議未了となった法案の再提出を要望するものであります。視察各局においてきわめて熱心なる希望が開陳せられました。  その三は、老朽または狭隘なる局舎に勤務する職員諸氏及び地元理事者から、すみやかに局舎の新造営をいたして、事務能率の向上と利用者の利便の増進をはかってもらいたいということであります。  その四は、簡易保険金の現行十五万を三十万円に引き上げることであります。現下の経済事情にかんがみるとき、十五万円をもっては国民生活の安定に寄与しがたいというのであります。  その五は、福島市における利用者の懇談会におきましては、郵便物配達の度数を増加すること、町村合併による郵便物の遅配を防止すること、大都市においては少くとも一局は現金扱事務の時間延長を実施すること、電話度数料の逓減制を考慮することなどの意見が述べられたのであります。  最後に、視察各局における職員諸氏が熱心なる態度をもって、おのおのの事業のため精励せられている事実を私どもは看取いたしまして深く敬意を表しましたことを付言いたしまして御報告を終ります。
  44. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) ただいまの御報告について何か御質疑がございますか……。ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  45. 松平勇雄

    委員長松平勇雄君) 速記を始めて。それでは御質疑もないようですから、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会