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1956-04-26 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十六日(木曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————   委員異動 四月二十五日委員安井謙君、斎藤昇 君、小幡治和君、笹森順造君、田中啓 一君、岡田宗司君及び佐藤尚武辞任 につき、その補欠として木崎虎藏君、 川村松助君、横川信夫君、大谷贇雄 君、宮澤喜一君、小笠原二三男君及び 野田俊作君を議長において指名した。 本日委員小笠原二三男辞任につき、 その補欠として佐多忠隆君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            森下 政一君            小林 武治君    委員            大谷 贇雄君            木島 虎藏君            佐野  廣君            堀  末治君            宮澤 喜一君            横川 信夫君            中田 吉雄君            松澤 兼人君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方財政再建等のための公共事業  に係る国庫負担等臨時特例に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○地方財政法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 会議を開きます。  委員異動がございましたから、御報告申し上げます。委員安井謙君、齋藤昇君、小幡治和君、笹森順造君、田中啓一君、岡田宗司君、佐藤尚武君、これは、いずれも昨日付辞任せられました、新たに木島虎藏君、川村松助君、横川信夫君、大谷贇雄君宮澤喜一君、小笠原二三男君、野田俊作君がそれぞれ委員に任命せられました。本日付委員小笠原二三男君は辞任され、新たに佐多忠隆君が委員に任命せられました。御報告申し上げておきます。   —————————————
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本日は、前回に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案地方財政再建等のための公共事業に係る国庫負担等臨時特例に関する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題に供し、質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 中田吉雄

    中田吉雄君 地方財政平衡交付金地方交付税に変ったことによって、地方公共団体予算編成の方針その他に、期待しているようなことが起きましたか。やはり平衡交付金の場合と交付税の場合とは違う、平衡交付金とは違ったことを期待して、やはり交付税に改められたわけなんだと思うのですが、あてがい扶持というと表現が悪いのですが、自主性を持たしてきちんとさしてやるということで、好ましい何らかの変化が起きているのですか。
  5. 後藤博

    政府委員後藤博君) 交付金制度交付税に直す一つ趣旨は、毎年交付金増額をめぐって、いろいろ政治的な動きがあったのを、ある程度そういう問題はなくしようという考え方一つあったのであります。そういう点から申しますと、基礎になります三税の自然増収が年々ございまする関係からいたしまして、当然に一定の率でもってくるということになりましたので、従来のような、政治的な運動というのが大分緩和されてきておるというのが政治的の効果であると思います。  それから一つは、事務的に申しましても、主税が決定いたしますれば、大体その率が二十五とか二十二とかいうことでわかって参ります。その交付税法財政需要見方が変らなければ、大体どのくらい自分のところに来るだろうかということも的確に出てくるわけであります。これは、団体によって違いますが、従来健全財政をやっている団体におきましては、ほとんどこの交付税の額というものは、自分算定した額と私どもが配付いたしましたものと変っておりません。そういう意味で、安定したと言うことができるのじゃないかと思っております。昨年のような、初めから二十五を組んだり、二十七を組んだりするような団体がございますれば、もちろん政治的な含みを持った予算ということになりますが、そうでない、まじめな団体はちゃんと二十二で組んでおりまして、それは、大体その予定の交付税の額は確保されるということで、従来より見ますると、安定したようなことになっていると私ども考えております。
  6. 中田吉雄

    中田吉雄君 今度、率が二十二から五に変っているのですが、この地方交付税法の第六条の三の第二項ですね。六条の三の第二項に、「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き」とあるのですね。「引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、」率の変更をする。「引き続き」というのは、一体これは、引き続いて何年くらい変ったら、そしてその総額に「著しく」という、「著しく」はおよそどれくらいの額になるものですか。
  7. 後藤博

    政府委員後藤博君) 六条の三の二項は、これは、交付税率の率の変更を行う場合の規定でありますが、この場合の「引き続き」と申しますのは、大体二、三年というふうに私どもは解釈しております。最小限度二年以上、こう考えております。  それから「著しく」というのは、財源不足額とそれから交付税額の差で、財源不足額の方が一割以上多くなったような場合、大体そういうふうに考えております。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 一割。
  9. 後藤博

    政府委員後藤博君) はあ。
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 差が一割というと、地方交付税が千六百二十七億、たとえばことしでいうと……。
  11. 後藤博

    政府委員後藤博君) 交付税と申しますと、千六百億の九二%が普通交付税であります。普通交付税の額が大体財源不足額をカバーするわけであります。そのカバーするものより財源不足額の方が多くなりまして、その差が普通交付税の一割を出たような場合をわれわれは考えております。大体額にしますと、百億くらいになるかと思います。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、その百億程度不足になれば、地方公共団体で自主的な調整ができないというふうに見ていいわけですか。その基準です。
  13. 後藤博

    政府委員後藤博君) そういう場合には、ここに書いてありますように、地方財政もしくは地方行政にかかる制度の改正をいたしまするか、率の変更をしなければならない状態にきたものとわれわれは考えております。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 ですから、それはやはりもう自主的な調整限界外ということですか。
  15. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃる通りであります。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 この地方財政計画は、地方財政交付金のときのような意義は持っていないと思うのですが、しかし、この二五%が妥当だかどうかということをきめる前には、やはり財政計画をまず検討せなければならぬと思うのですがね。その適否が一つ判断する重要な基礎資料になると思う。だから、二五%でいいかどうか、ただ国財政需要その他から、あてがい扶持のようなことにきびしく地方財政が組まれておりはしないかというのをもう一ぺん、二五%が妥当な金額なのかどうか、この地方財政計画をもう一ぺん、二月ごろですか、これを説明されたのは……。やはりもう一ぺん、地方財政計画との関連なしには、二五%で、これがほんとうに無理がないかどうかと言うことが、私できないじゃないかと思うのですが。
  17. 後藤博

    政府委員後藤博君) この交付税考え方はどういうふうに考えるかという問題を一つ前提としたわけであります。私どもは、交付税というのは、税よりも、何と申しますか、独立性の薄い独立財源であると考えております。しかし、その持っておる機能は、やはり調整財源機能であります。従って、調整財源機能を持たせる限度をどの辺におくかというのが問題であります。これを多くして問題を解決する方法がいいか、完全な独立自主財源である税をふやしていくほうがいいかということになりますと、われわれとしては、やはり考え方としては、独立自主税財源をふやしていくというのが筋だろうと思います。その財源の伸ばし方と相まって、調整機能を持つところの調整財源である交付税をふやしていくという考え方に立っているわけであります。従って、本年の財政計画は、独立自主財源をもちろんふやしております。それとあわせて交付税の額もふやす、この二つの方法でやくているわけであります。従って、交付税の額だけを問題にするということでなくて、やはり独立自主財源である基本的なものを中心に考えていくというのが私は、地方財政の立場から申しまして本筋ではないか、そういう観点から二五%というものを見ていただきたい、こういうふうに思うんであります。この二五%の場合、国家財政との関係が出てきます。従って、他の要素をあわせて考えなければなりませんが、そういうふうに交付税の率をお考えになっていただけばいいのじゃないかと思います。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 自治庁の方からいただいた三十一年度地方財政計画説明、それから官報の付録の本年度地方財政計画、これらを見ると、今、後藤さんの言われたようなことがすべて総合されて地方財政計画が組まれて、二五%の交付税の額がきまっているわけでしょう。だから、その二五%で妥当なのか、妥当でないといっても、二年以上著しく異ならなければかまわんのだという見解からみればいいわけでありますが、しかし、地方制度調査会等関係からいっても、これまでの赤字は別として、単年度赤字は含まぬという考えからいえば、自主財源強化等も含めて、これが無理でないかということは、給与費公共事業その他で、これを一々検討して見ぬと、二五%が妥当かどうか、なかなかめんどうじゃないかと思うんですが、これ一つ、私自身だけでは恐縮ですが、選挙の関係等もあって、地方財政計画について説明を受けていないし、また、他の人に聞いても、今年くらい地方財政計画をやらなんだことはないと言う。国の予算に匹敵するほど重要なんですが、委員長どうでしょう、少しこの説明していただくことは……。私、それから二五%が妥当なのかどうか、その問題について伺ってみたいと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をとめて。   〔速記中止
  20. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。
  21. 後藤博

    政府委員後藤博君) 従来の財政計画問題点と、それから三十一年度計画を作りますときの財源措置とのからみ合いにつきまして、簡単にお話を申し上げます。  お手元にあります地方財政計画説明要旨に出ておるわけでありますが、従来と異なっておる考え方は、一番最近の決算を基礎にいたしまして財政計画を直すと同時に、従来問題になっております問題の解決をはかったということであります。  まず、消費的経費につきましては、給与実態調査が行われましたので、その給与実態調査の結果を基礎にいたしまして、財政計画給与費算定を適正化したという点が第一点であります。  それから給与費につきましては、さらに従来昇給の問題を二・五%しか見ておりませんでしたが、国家公務員の実積が四%でございますので、四%に引き上げた計算をいたしました。これが第二点であります。  それから、もう一つ消費的経費で、給与費の中で、義務教育関係生徒児童が非常にふえて参ります。それに伴いまして、小中学校及び盲あ学校の教員の増は、七千九百人ばかり新しく見た。これが消費的経費の中の問題であります。これを大体この中に織り込んでおります。  それから投資的経費の中では、従来国庫補助負担率等につきまして、いろいろ問題がございまして、これを一斉に大体引き上げて、地方負担の軽減をはかったのでございます。  それから、申し忘れましたけれども消費的経費の中の物件費につきましては、従来物件費見方が非常に少いという問題がございましたので、これも大幅に物件費財政計画上の数字是正いたしております。これは三十年度、三十一年度の対比で見ていただきますとわかりますが、相当その他の物件費を伸ばしております。  それから投資的経費は、今申し上げました補助率の問題を大体片づけたのであります。  それから歳入の方は、自主財源の増徴の方法として都市計画税軽油引取税、それから国有及び公有施設についての固定資産税相当額交付金制度並びに納付金制度等によりまして、財源の充実をはかったのでございます。それとあわせて、地方交付税増率をはかったということにいたしております。  数字で申し上げますと、三十年度と三十一年度で、たとえば消費的経費について申しますと、給与費で二百二十一億増加いたしております。これは、先ほど申しました給与実態調査の結果を反映すると同時に、昇給の分の計画是正を行い、同時に生徒児童の増に伴う教員の増加を見たために、二百二十億の増になります。それからその他の経費におきましては、百六十八億だけふやしております。これはいわゆる物件費是正を行いました。従来物件費を非常に毎年節約を重ねてきておりますので、ある程度復元をいたしたのであります。  消費的経費で、さらに義務的な経費で問題になりますのは公債費、これは昨年に比べますと百十二億だけふえております。従って、昨年から見ますと、消費的経費は五百八億だけ増額を立てたのでございます。それから投資的経費の方は、公共事業費等事業量はそう変りませんが、公共事業費補助負担率が上ったために、逆に五十七億だけ昨年よりも事業費が落ちております。失対が十六億だけ増加いたしております。それから単独事業費等も多少増額をいたしております。投資的経費の総計は、三十九億マイナスになって参ります。歳出合計で四百六十八億だけ昨年よりも経費増額をみたのでございます。  歳入の方は、先ほど申しましたように、地方税関係新税を起しております。新税の方が大体総額百十二億ばかりになります。それから、譲与税のうち入場税の東京、大阪分交付団体の方に振りかえております。それから、さらに一割分だけ国にリザーブして、一割分だけを当然に交付団体の方に回すということにしておりますので、その関係で十六億ばかりふえております。交付団体分で申しますと、三十一億ばかりふえたことになります。それから交付税は、昨年に比べて二百三十三億、国庫支出金は四十五億ばかりふえます。これは補助負担金、それから義務教育関係負担金がふえるわけであります。それから地方債は、逆に昨年のものよりも、六十八億、昨年の最後計画よりも六十八億だけ落しております。雑収入の方は、逆に五十億だけふやしたということでつじつまを合わしたのでございます。従来の財政計画上の問題になっておりました点は、一応財政計画上は是正したような格好になっております。そうして最後に、この交付税をその場合は二十五にするということが、きまったのでございますが、そういう過程で、財政計画上から申しますれば、一応二十五でつじつまが合う。従来の財政計画の欠点とされておりましたものを是正したということを申し上げられるのじゃないかと思っております。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 給与費は二百二十億ですかね。この実態調査で、そういうふうに実際に合うように組んだということですね、五万人ですかね。大蔵省関係でそれがどう調整されているのですか。
  23. 後藤博

    政府委員後藤博君) 一応数字の上で出ましたのは五万人でありましたが、そのうちで、財政計画上五万人から——五万一千人でありますが、五万一千人から、これは昨年の一月の調査でありますから、二十九年度末、それから三十年度中に整理をいたしましたもの一万四千八百人を落しまして、三万六千六百五十人だけを新らしくみたわけであります。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、それはどうなるのですか、どういうふうに話が大蔵省と……。何かそこにまだ、長期的な計画で合理的にやるというようなことを書いてあるのですが、これはどういうふうになっているのですか。ただ地方公共団体にいろいろな指示を与えて、実際切らしていくのですか、どうなんですか。このたび九千五百五十二人だけ整理するというふうになっているのですが、そういう長期計画はどうなるのですか、これは。三万幾らの……。
  25. 後藤博

    政府委員後藤博君) 先ほど申し上げましたように、五万一千人のうちから二十九年度及び三十年度整理したものを引いたものを財政計画に載せまして、そうして本年度約一万人を整理する。で、本年以降、幾ら整理するかというのはきめておりません。これは、あるべき定員、まあ標準定員というものを自治庁で作りまして、それを基礎にして将来の問題は、減らすかどうかというのを考えよう、こういうことになっておるわけであります。
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 将来の計画は立っていないが、本年度財政計画で九千五百五十二人、およそ一万人やるという、どういうところからそういう計画を出されたのですか。
  27. 柴田護

    説明員柴田護君) 私の方から職員算定経過を申し上げますと、実態調査を行いました結果の人員というものと、それから昭和三十年度に出ております地方公務員の数との間に、五万一千四百六十人の差があったのであります。この五万一千四百六十人というものが、どういう理由で出てきたのか、つまり財政計画算定漏れであるか、あるいは財政計画で予想をされておったものをこえて、地方団体職員を置いておったのかということにつきまして、大蔵省側も、私たちの方も、確たる証拠を持ち合しておりません。そこで水掛論に相なったのでありますが、財政計画のあり方から申し上げますならば、地方公務員国家公務員であれば受けるであろう給与というものを地方公務員が受けられるように、まず財源措置をするのが財政計画の前建であろうと思うのでありますが、そういう意味から言いますと、財政計画上の給与費総額をはじきます場合に、給与単価というものを、職歴あるいは学歴、経験年数に応じまして、国家公務員であるならば幾らぐらい受けられるか、幾らぐらいであるかという、まあ、国家公務員と同水準に置いて給与単価を直すという点が一点、もう一つは、それじゃ地方公務員の数を、地方団体が賦課された行政を行います上において幾らぐらい職員を置くのが妥当であるかという問題に相なっていくのであります。その辺につきまして、はっきりした議論がつきませんので、また事実問題にいたしましても、予算編成を前にいたしまして、地方団体において置かれるべき職員数というものを計算することは、実際問題として不可能であったのであります。そこで、実態調査の結果、出て参りました職員数から補助職員国庫補助職員部分を除きまして、その他の部分につきまして、財政計画上、国家公務員行政整理とばつを合せまして実施を期待いたしました昭和三十一年一月十日以降二十九年度分と、それから昭和一二十年度中に残り整理を期待されました人員、約一万人を、一万五千人ぐらいでありましたか、それを控除いたしまして、残った部分について、職員数をどう置くかという問題に相なって参ります。  そこで、その計算をそれからあるべき職員数を導き出すのでありますけれども、その計算は今の際にはできない。そこでまあその計算は、ここ一年間ぐらいの間に、昭和三十二年度財政計画を作りますまでの間にそのめどをつける。それまでの間においては、現在のその二十九年度残りと、三十年度整理した人員を引いたものを使うか、あるいはそれから人員を引くかという問題になったのでありますが、町村合併も進展して参っておることでもありますし、また、停年制もしかれることでありまするし、大体一団体二人程度、約一万人でありますが、それぐのいの者整理は期待できるのじゃないか、客観的にみまして。ともかく現在の地方公務員の数は決して少いとはいえない、多いのであります。そこで財政計画上の数字といたしましては、一地方団体二人程度、平均いたしまして、大体県で一%、市町村で二%程度でありますが、その程度、総合計いたしまして九千七百人ばかりの人員整理を本年度中に期待するということにして、計算をしたのであります。  この職員数合理的配置ということを考えます場合には、標準定員というようなものを作ったらどうかというような意見もございますし、またそういう方向に進むべきだと思いますけれども、ただ標準定員と申し上げましても、一概に何府県何人というようにきめるのも、問題が実はあるんでありまして、つまり財源との見合いにおいて、一般財源で賄うべき職員というのが幾らかというようなはじき方をしていかなければならぬのではないかというように私たちは実は考えております。使用料、手数料を見合いにして職員を置きます場合においては別段その職員というものを気にかける必要もないんであろうと思うんでありますが、問題は税と、標準税収入、それからまあ地方交付税と申しますか、いわゆる標準的な一般財源でもって賄われるべき職員地方財政計画上、あるいはまた、さらに進んでは地方団体別に、どのくらい置くことが適当であるかということをまあ計算することが問題じゃないかというように現在考えております。いずれにいたしましても、標準職員数を作れという要望と申しますか、御意見は相当ありますので、そういう方向で作業を進めて参りたいと考えております。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、昭和三十一年度地方財政計画では、五万人の問題は片がつかずに、来年度に持ち越している一万四千ですか、それを引いたもの、三万六千ですか、ということなんですね。そうしてですね、本年度およそ一万を整理することを期待するということになっておるんですが、その期待はかなりきびしく、命令のような形で地方団体に出ているんじゃないかと思うのですが、その整理に対する通達といいますか、地方公共団体にどういう措置がとられていますか。
  29. 後藤博

    政府委員後藤博君) 前段の人数につきましては、大体私どもの主張を大蔵省にのんでもらって、一応将来の問題としておることは、おっしゃいました通りであります。  それから、この財政計画を作りまし出て、地方団体に対する指導の問題は、これは財政計画上はこういう数字でもってはじいてあるということを伝えておりまして、別に個々団体に対してどうのこうのというふうな指導はいたしておりません。個々団体におきまして、それぞれ財政計画そのもの基礎にいたしまして、また自己の赤字の解消のために、いろいろな施策を加えて措置をしておるのが現状であります。われわれが示しておりますところの通達にも、そうこまかいことは言っておりません。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、こまかい通達指導なしにですね。まあそれだけやらんと交付税を特別にでももらえぬかもしれぬというような自治庁の方の趣旨をよくみずからくんで、ああいう各府県強行措置をとっているんですか。なかなか私はそうでないと思うのですがね。なかなかきびしい、補助金をやらんとか、そんな行政整理をやらんのなら、余裕があるんだろうからかまわんぞというような相当な措置内面指導というか、とられているんじゃないかと思うのですがね。これはどうなんです。
  31. 後藤博

    政府委員後藤博君) 各府県できびしい整理とか新陳代謝をやっておりますが、これはその府県々々の一般財源をどの程度伸ばせるかという、そこを基点としてこの予算をとっておるわけでございますからその予算基礎として、どうしても、他の投資的経費に出す一般財源との振り合い上、この程度でおさめようと、この点から出発して整理考えておるのであります。こまかい点をわれわれは、幾ら切れとか、新陳代謝幾らしろとかいうような指導は、全然これはしておりません。
  32. 中田吉雄

    中田吉雄君 各府県人員整理に対する何は、傾向といいますか、それはわかりますか。きょうだめなら、一つあすでもいただきたいと思うのですが。
  33. 後藤博

    政府委員後藤博君) 各地方団体の当初から計画をして整理をする団体というのはそうあまり多くないんじゃないかと思います。これは新陳代謝の形式でもって、しかも昇給制限をいたしまして、新陳代謝から生み出していくというようなことで、骨格予算のようなものを作っておるのであります。まだはっきりした財源の見通しがつきませんので、そういう格好で府県なんかやっております。従って、再建整備の団体以外におきましては、やはりまだはっきりしないというのが実際ではないか。私ども別にその調べもとっておりません。再建団体におきましても、本年幾ら切るかというようなこともまだはっきりしないで、再建企画上において何人くらい新陳代謝をし、何人くらい整理をするという計画をして持ってきておるのでありますから、その段階まで行くには、もう少し時間がかかるんじゃないかと思います。
  34. 中田吉雄

    中田吉雄君 特に財政収支の均衡をとらせる措置として、最近自治庁のこれは総務課ですか、財政課長と総務部長と地方課長を主として自治庁が人事のあっせんをして、その面でまず財政課長を握って、府県の財政収支の均衡をとらせる。それから地方課長を本省差し向けの者をよこして、市町村の財政を、収支の均衡をとらせるような措置が私は強くなされているんじゃないかと思うのです。最近の各府県の人里異動を見ると、総務部長、財政課長、地方課長、その三つを事実上自治庁が握ることによって官選知事は浮いちゃった。なかなかその面から、本省差し向けで来ているから、知事の言うことをきかぬだって、おれらは収支の均衡さえとれば、また本省へ栄転できるのだ、大県へ行けるのだという形で、非常な強力な措置が私はとられておったと思うのですが、こういうところになかなかうまい、ちょっとうかがい知れぬ指導方針が入ってきておるんじゃないかと思います。
  35. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃいますのはまるで逆でありまして、私どもの方は財政関係ですが、逆に、財政課長をくれ、それから本省の課長を総務部長にくれというような、そちらの要求が強くて、われわれの方は断わるのに困っておるのであります。それから地方課長を有資格者にいたしまするには、これは、県の中でいろいろ事情がありまして、村出身の人では非常にむずかしくて、県の中でちょうど地方課長だけは別な仕事であります。国を代表するような仕事であります。県の他の職員とはまるきり立場が違うのであります。従って、極端なことを申しますと、知事の立場とも違ったようなことをやらざるを得ないような場合もございます。従って、非常に苦しい立場になりますので、できるだけその県に関係のない人をもらいたいという希望が県にあるのであります。そういうようなことで、最近はそういう地方課長も多くなっております。出しますときは、もちろん向うが希望してくれば、そのポストに出しますけれども、何課長がいいというような出し方ではなくて、向うの希望に合った人をこちらであっせんをするというのが筋でありまして、われわれの方から送り込んでいるのではないのでありまして、むしろ無理やりに引っ張っていかれるような場合が相当多いのであります。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、この三役が事実上自治庁の息が強くかかって、財政に割合うとい知事なんか浮いちゃっている。なかなかその辺は、後藤さんの言われるようなことではない。また、地方から懇請して頼んで、もうそうせざるを得ないような、また、そういうふうにされた方がいいんじゃないかということを鈴木次長が言っておられることがあったと思います。これは、事実上そういう形でやって、特に府県はもう財政収支の均衡をとるだけで、ほとんど事業もできない。それでは一つ総務課に頼んで、各府県の財政課長、地方課長、総務部長、これは自主的にその県で採用したのかどうか、自治庁差し向けでやっているというのが最近非常に多くなって、なかなか本省から世話をしてきた部課長は知事の言うことをきかんで、とにかく収支の均衡を、できるだけ調整を強化し、そうして単独事業をうんと切って、県民の立場をよそにして、収支の均衡を合わして、二年くらいしたら大県にいくとか、自治庁にまた帰らしてもらっていくというような傾向がさらに強く出ているのですが、一つ明日でも、総務課であっせんした、それはなかなか重大な問題です。われわれは聞くところによると、総務部長を、これは自治法の改正のときに、それを警察の警視正のような国家公務員とし、本省差し向けのようなことをして、事実上の収支の均衡を、知事とある意味では独立したような形でやるというような改正試案を考えられていたことがある。なかなかその辺は、この問題は、非常に地方自治とからんで収支を合せる手段としてとられている。明日でもそういう資料を総務課長の方に頼みます。例はあげませんが、なかなか多いのですよ、それが……。明日出ますか。
  37. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私の所管でないので、帰って相談してみます。私どもはそう多くないと思っておりますけれども、くれと言ってくることは事実であります。ここにおります財政課長なんかも、何べんもくれと言われていまして、私はそのたびごとに断わって、非常に不義理をしているのでありますが、非常に粘ってこられる人があります。これは財政再建をしたいという立場からもありますけれども、課長の場合もやはり同じようなことでありまして、昨年くらいまでは……。最近は必ずしもそういう傾向にはなっていないように私は思っております。昨年の春ごろは非常にそういう要求がありましたけれども、まあ自治庁から課長も総務部長に出ております。しかし、最近はそういう傾向でもないのであります。よその各省から地方団体に出ておるのでありまして、必ずしも自治庁だけが出しておるのではないのであります、たとえば財政課長をやっておる者でも、大蔵省から出ている人がおります。総務部長にもおります。各省からも財政関係の人が出ておるのでありまして、別に自治庁だけが特別な意図を持って人を送り込んでいるわけではありません。
  38. 中田吉雄

    中田吉雄君 その給与費の問題にからんで、増加教員算定方法というのがありますね、財政計画の十ページ。算定方法のところに、「政令」「その他」とあって、「その他」の場合に、増加学級に先生一人掛けるわけですが、これではどうなるのですか。先生が病気したり、いろいろな場合、これでも支障はないという見解ですか。
  39. 柴田護

    説明員柴田護君) 従来は、増加教員算定につきましては、財政計画上独自な算定を実はやっておりました。ところがその方法をとって参りますと、毎年義務教育国庫負担金が少し足らないというのが現実の大体の姿なのであります。それが翌年度あるいは年一度の途中で補正をいたしまして、国庫補助金がふえて参る。その前は、財政計画は従来修正はいたしません。経費の面につきましては、すでに所要額の経費を見込んでおりますので、もし国庫負担金がふえて参りますと、本来見積り不足であった国庫負担金がそれだけふえるのであって、一般財源はそれだけ助かる、こういう格好になりますので、従来は財政計画を修正しておりません。そこで、その間に国庫予算義務教育費国庫負担金計算とそれから財政計画上の義務教育費の計算というものは食い違って来ておったのであります。それが常に問題を巻き起しまして、毎年文教委員会あたりではやかましく議論をされた問題であります。そこで、本年度からはそういう方法をやめまして、義務教育職員につきましては、半額国庫負担制度があるのでございますので、国庫補助職員と同じような扱い方をする。言いかえますならば、基礎義務教育費の国庫負担金算定基礎による、こういう方法をとっておるのであります。従って、もし年度途中におきまして、国庫負担金の方の計算基礎が変って参りますと、この財政計画上の義務教育費の算定も変ってくる、こういうやり方に変えたのでございます。ここに書いてあります増加教員算定方法は、全く義務教育費国庫負担金計算方法と同じであります。増加学級に一人という人数じゃ少いじゃないかという御意見でございますが、従来の国庫負担金は、実額負担でございますので、実際に置いております教職員の数と、その実給与額に応じて半額を国庫が負担して参った。従いまして、おっしゃいましたような、先生が休んだ場合等につきましては、すでに現在の教員配置でよろしい、むしろ所によっては多い所があるわけであります。それで、増加学級をもって算定いたします場合に、それに一人当りの教員の増加を認めればほぼいいのじゃないかというのが国庫負担金算定においてとられました立場でございます。その立場をそのまま財政計画上は踏襲しておるわけでございます。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 義務教育費国庫負担のこれを適用してやるというのですが、最近各府県とも一学級五十五人とか六人とか、だんだんふやしてきて、なかなか窮屈になってきておると思うのですが、最近の各府県の動向はわかりませんか。大まかなところでいいのですが……。
  41. 柴田護

    説明員柴田護君) 今度増員いたしましたあと、どういう配置になっているかという問題は、五月一日現在で指定統計に出て参りますし、私の方でも、幾ら増員されたのかということを目下照会いたしておりまして、集計を実は待っておる段階でございますが、最近の状況は、教職員数の配置につきまして、合理的な基準を求めようという角度から、各学校につきまして、実際に教育委員会当局と財務当局とが共同調査をいたしまして、そうして合理的配置というものに努力をしておるようでございます。県によりましては、ある年度に非常にふやしますと、翌年度の少々の児童生徒の増というものは既設の学級で吸収し得るような場合もあるわけでございまして、翌年度はほとんどふやさないという場合もございます。毎年ちょぼちょぼふやしておるような県もございますので、その間の態容は千差万別ございますけれども、最近の傾向は、学級というものの配置というものを中身にわたって実際に調べて、そうして従来やっておりましたように、仮定学級一学級について一・何人といったような計算はやめております。大体実際について教員合理的配置というものを考えていく傾向が非常に強くなって参りました。そのために、従来のでこぼこをならした平均的な計算と、実際について調べました計算との間には食い違いがあるわけでございますので、教職員数の増員というのはあまりございません。従来から比べますと、傾向的には減って参っております。
  42. 小林武治

    ○小林武治君 ちょっと今のに関連。今の義務教育職員が、県によると町村費の負担の教員がいます、それは御存じなんでしょうね。それはどういうふうに見ておられるか。
  43. 柴田護

    説明員柴田護君) これは御指摘のように、県によってはございます。通常は、置いております形式は講師という名目で、あるいは事務職員という名目で、市町村が独自で経費を持って学校に配属しておる。なぜそういうような現象が起って参ったかといいますと、これは、所によってでございますけれども、非常に教員団体あるいは父兄からやかましく言われて、そういうものを市町村で持ってもいいから、一つ先生の数を増してもらいたい。いわば非常に程度の高い教育をしておるという所に多うございます。もちろん人によりましては、それは教員の増員をしぼるから、そういう傾向が出てくるんじゃないかといったような意見もございますけれども、私たちの承知しております限りにおいては、市町村当局が父兄あるいは教員団体の方から押されて置いておるというような場合が多いように私たち考えております。
  44. 小林武治

    ○小林武治君 今の問題は、文部省の問題かもしれませんが、要するに義務教育費は半額国庫で負担する、こう法律できめてあるんで、いわば市町村で負担の要る教員を置くということはやみ教員だ、こういうふうに言うてもいいと思いますが、これを置かざるを得ないということについては、財政当局としてもまた考えなければならぬことがありゃせんかと思うのですが、これを一つ文部省等と相談して、ある程度しぼってみるというふうな気持はありませんか。やみでこういうことをやっておるということはいけない。従って、これは今の正規の職員になれぬから、恩給とか待遇とか、その他についての保護もない。そうして義務教育職員の国庫負担がふえれば、これをまた振りかえるというような、予約みたいな格好で入っておる。こういうことで、県は関与しておらぬ。こんな教員がおるのは、私は好ましくないと思いますが、その点どうですか。
  45. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃいます通り、正規の職員に直すべきもの、やはり県が負担していくべきものだと思います。しかし特殊な団体——市町村でありますが、——におきまして、他よりも教育程度を高くするために、市町村がその負担の職員を置くという場合を私どもがちょっと押えるということはできないんじゃないか。これは、市町村の一般職員の数をそれだけふやしたという考え方に立って、そして市町村の一般職員が多いか少いか、それを基礎にして判断すべきもので、その一つだけをとらえて、それをやめろとか、やめさせるとかいうようなことを考えるのはちょっと酷ではないか、かような考え方をいたしております。
  46. 小林武治

    ○小林武治君 今の点は、私は市町村が事務職員をふやしておるというのは問題はない。これが教員の仕事をしておるから問題なんですね。ですから私今言うように、これはあなた方の関係より、むしろ文部省の関係がおもな問題だと思いますが、しかし、これがほんとうに必要ならば、文部省の国庫負担金増額を要求したらいいだろうし、今みたいな状態をそのまま放置して、この状態がかなり広く行われております。先般私は岡山県において見ましたが、相当人数のものがおるんです。しかも、これがすぐにまた国庫負担の増額のもとになっております。こういうものがおるからして増してもらいたいんだ。だからして、必ずしもあなたの方に関係がないとは言われない。この点をもう少し政府としても検討してみる必要がないか。あなたのところと文部省と、こういうことを一つやってみたらどうか、こういうふうに思うんです。
  47. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私どもの方からも、事務的にはもちろん文部省に話しておりますし、そういう事実のあることも承知いたしております。まあ国の予算との関連の問題もございますが、さらに検討いたしまして、文部省と相談をし、その一般職員の中にやっぱり繰り入れていくという方式の方にもっていきたいと考えております。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 さっき申しました各府県別の平均した一学級当りの児童数、わかりますか、最近の。
  49. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を止めて。   〔速記中止
  50. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。  それでは、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩    ————・————    午後一時五十二分開会
  51. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続きまして、地方交付税法の一部を改正する法律案地方財政再建等のための公共事業に係る国庫負担等臨時特例に関する法律案地方財政法等の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題に供し、質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  52. 森下政一

    ○森下政一君 中田さんから午前に引き続いて質疑が出ると思うのですが、その前にですね、大へんおじゃまですけれども後藤さん、地方交付税法の一部改正に関する法律ですね。それの第十三条の三ですね、イ、ロとありますね、その辺わかりやすくひとつ説明してもらいたいのですが、非常に難解なんですがね。
  53. 後藤博

    政府委員後藤博君) この十三条のこの三号の規定は、これはいわゆる態容補正と称しておる補正の規定であります。で、御存じの通り、単位費用を一応きめておりますが、それを段階補正とか、種別補正、寒冷補正、それからこの態容の補正というもので補正をいたしておるのであります。それでまあ財政需要を出しておるのでありますが、態容補正というのは、行政の権能が市町村によりまして違うと、たとえば人口十五万以上の都市と、人口十五万以下の都市は行政権能が違っておる、それから小さい町村と大きな町村とでは行政の質が違います。従って大きな市町村になればなるほど行政の質が向上していくという考え方に立っておるのであります。従来ではそれを何で測定しておるかと申しますと、点数で出しております。その態容の補正を出します基礎になりますものは、まず人口であります。人口と宅地の平均価格、経済構造、これは労務者の数であります。それからもう一つは勤務地手当、だんだん大きくなるに従いまして勤務地手当が違って参ります。それぞれの要素を点数に直しまして、市町村の場合には従って二十段階の質にわけておるわけであります。だんだん勤務地手当が高くなり人口が多くなるに従って行政の質が変ってくると、行政権能も変ってくるので、それを点数で出しまして、何点以上は何質と、こういうふうにして二十段階に分けておるわけであります。その市町村はそれで消費的経費及び投資的経費財政需要というものを増加いたしておるのでありますが、府県にそのままそれを持っていきますると、府県行政というのは、市町村の行政の寄せ集め部分だけではないのであります。別な仕事があるわけであります。別な仕事の部分がはっきり出てこない、従って府県府県の独自の態容補正をやってもらいたいという要求が前からあるのであります。そういたしますると、極端なことを申しますると、府県を何段階かの県に分けなければならぬ、一等県から何等県かに分けなければなりません。こういう問題が出てくるのであります。そこで今まで踏み切りがつかなかったのでありますが、今回の地方交付税増額がありましたその機会に、府県投資的経費につきまして、市町村とは別な標準で投資的経費財政需要の補正をいたしたい。そういう意味でここに府県の態容補正というものを別に上げたのであります。その態容補正を見まする場合に一体何を見るかと申しますと、ここにあります経済構造、それから人口一人当りの所得というようなものを標準にして、そうして態容補正をいたしたい、こう考えておるんであります。で簡単に申しますれば一般財源の量が少くて、そうして投資的経費の多い県、つまり逆に申しますと未開発の程度の高い所、そういう所の府県投資的経費財政需要を伸ばそう、そうして交付税の量を多くしよう、同時にそういう場合には従来起債がたくさんついておりますその起債の量を減らしていこう、こういう考え方でこの補正を考えたのでございます。
  54. 森下政一

    ○森下政一君 そうするとこの府県の態容補正というのは、今度初めてこういうことが採用されることになるんですね。それでそのときの経済構造というのはやはり何ですか、さっきおっしゃったのと同じですか。経済構造。
  55. 後藤博

    政府委員後藤博君) 市町村の場合は労務者の数が、つまり原始産業から第二次、第三次の産業に移っていけばいくほど、点数が高くなっております。ところがこの場合府県の場合は逆なことを考えておるのであります。そういう労務者の少い所に財政需要を多く見ようと、こういう計数を経済構造、つまり労務者の数、従来のやっと逆数的な考え方をいたしております。市町村の場合、そういうものを使って財政需要を伸ばすような計数を出そう、こういうふうに考えておるのであります。
  56. 森下政一

    ○森下政一君 そういうことは今度新たにおきめになったら、各府県当事者には説明なさるわけですか。
  57. 後藤博

    政府委員後藤博君) もうすでに各府県は知っております。従ってこのたとえば東北のような県は、これで交付税が非常に伸びるということを考えております。従ってまああまり多くしないでくれという、そうすれば非常に伸びるわけであります。県はあまり多く取らないで、東北だけかけるようにしてもらいたいとか、その計数の取り方をこういうふうにしてくれとかいうことを言ってきております、知事さんが代表して。私どもはそうではなくて東北とか何とかではなく、全国的に見まして、投資的事業が相当にありながら、一般財源が少いんで、従来起債で財源を補てんをしておるというような所に多くいくような方式を考えておるんであります。その県の数を幾らにするか、どうせ傾斜をつけるわけでありますから、どのくらいにするかということはまだはっきりきめておりません。今作業をいたしまして計数は出しておりますが、まだ確定いたしておりません。
  58. 森下政一

    ○森下政一君 後藤さん、前回の委員会でそういうことについてあなたから説明があったんですか、そういうことについての。
  59. 後藤博

    政府委員後藤博君) 前回のときは説明いたしました。
  60. 森下政一

    ○森下政一君 ああ、説明したんですか、わかりました。
  61. 堀末治

    ○堀末治君 今の経済構造というのは労務者の数だけですか。生産高などという問題も入らないですか。
  62. 柴田護

    説明員柴田護君) 大体全人口に対して占めます二次産業と三次産業の人口の比率をもって経済構造を考えております。労務者と申しますか、二次産業に従事する人口ですね。
  63. 後藤博

    政府委員後藤博君) 第一次産業というのは御承知の通り原始産業です。第二次産業というのは鉱工業です。第三次産業というのはサービスを主にしたものです。こういうふうな段階が従来経済の言葉としてあるわけです。全体の人口のうちで第一次産業、第二次産業、第三次産業、そういうものの割合を出しまして、その数を使って、そういう少い所に多くいくような係数を出すわけです。つまり財政需要が伸びるような係数を出す、逆数のようなものを考えたわけであります。
  64. 堀末治

    ○堀末治君 話はわかりますが、そうすると逆数のとり方の基準がまずきまっているのですか。かりに経済構造の少い所にはよけいやる、これはよくわかるが、その比率をどういうふうにしてとるのか。
  65. 柴田護

    説明員柴田護君) 経済構造というのは、「人口一人当りの所得その他総理府令で定める指標」と書いてありますが、これは投資的経費算定いたします場合に、いわば未開発投資と申しますか、要するにあまり開発されていない所、これの開発経費というものを見ていこうじゃないか、平均的なところまで見ていこうじゃないかというのがこの補正の趣旨なのでございますが、その場合にごく純粋に理論的に申し上げますと、人口百七十万の府県を一応標準団体として考えているわけです。人口百七十万の府県について、土木ならば土木の中の道路費についてはこれくらいの投資的経費が要るという計数が出て参ります。それと、たとえば青森県なら青森県の開発を要する投資的経費というものが幾らかというのが出てくる、その間の関連をどういう指標でつかむか、その指標を経済構造の逆数を使ったり、あるいは一人当り住民所得の比率を使ったり、あるいは一人当りの県民の税額の逆数を使ったり、こういうことなのでございます。結局その指標をかみ合せたものが、標準団体の場合を一といたしますと、逆数ですから一・幾らという増になって出てくるわけです。それは経費の性質によってどれをとるかというのは違いますので、一例をあげますと道路費で申しますと未改修の道路面積というのがわかっているわけです。未改修の道路の面積の全道路面積中に占める割合というのもわかるわけです。そうしますと、その辺から改修しなければならない道路の面積というものが出てくるわけです。その比率を使えばそれも一つの指標であります。  補正をどの種目に利用するかという問題は、結局この補正の趣旨から申し上げまして、土木費系統の経費、それから産業経済費、特に農業行政費と林業行政費でございますが、こういうものに態容補正を使いたいと思っております。その中で農業の場合と道路の場合ではとるべき指標が違うわけでございます。一がいに経済指標と申しましても、経済構造を中心に考えていく経費と、ほかの指標をかみ合さなければならない経費もあるわけでございます。それは今部長が申しましたようにいろいろな経費について検討をしているわけでございます。
  66. 堀末治

    ○堀末治君 まだ実際に指標というのはできてないのですね。
  67. 柴田護

    説明員柴田護君) まだ検討中でございまして確定はいたしておりません。
  68. 堀末治

    ○堀末治君 それは考え方だけをここに現わしたわけですか。いずれそうすると指標ができればはっきりしたものをわれわれに説明して聞かすことはできますね。
  69. 柴田護

    説明員柴田護君) できると思います。
  70. 堀末治

    ○堀末治君 いつごろできますか。
  71. 柴田護

    説明員柴田護君) これは少し時間がかかりまして、大体五月の終りごろまでには作業を終りたいと思っております。
  72. 堀末治

    ○堀末治君 そうすると、今国会中には大体そういうことを一ぺんこれによってできたものを説明してくれますね。きょうでもできていて説明してくれるとピンとわかってくるのですが、まあ考え方はわかったれけども数字がわれわれには逆数というけれどもちょっと見当がつかない。とにかくできたら一つぜひここで一ぺんわれわれに説明するようお願いしておきます。
  73. 後藤博

    政府委員後藤博君) 出てきたものは、たとえば土木費なら土木費に対して点数か何かで出てきましたものを何割増しにするかという数字最後に出てくるわけです。その何割増しにするかとう数字を数値にぶっかけるだけであります。こういうことなのです。その過程が今申しましたように費目によっていろいろなやり方をかみ合せなければ、一つの標準だけではいけないということです。ですからたとえば土木のうちでも河川とそれから道路とはやはり違うわけであります。産業行政費のうちでも農業とその他とは違うわけであります。こういうふうにこまかく今試算しております。絶対量、財政需要の伸びを一体どのくらいにするかということは、総量の問題として二十億にするか、三十億にするかという問題もありますが、どのくらいの県までかけるかというその辺の問題は数字をある程度つかんでから、そして大体この辺までの県に財政需要が伸びるように、どうせ傾斜ですから、その係数を作らなければならぬと思います。そういうことでいろいろ試算をしたり、検討をしておるわけであります。
  74. 中田吉雄

    中田吉雄君 それと関連して補正段階には、密度とか、態容とか、寒冷とかあるのですが、態容だけでいいのですか、もっとほかの問題もやはりこの際少し検討していく必要はないのですか、どうして態容補正だけでその実態に合うというふうにお考えですか。
  75. 柴田護

    説明員柴田護君) おっしゃるようにほかの問題ももちろんございます。そもそもには単位費用の問題が実はあるわけであります。単位費用をきめましたときの標準団体行政規模というものは、大体昭和二十五年の実態調査に基いて昭和二十六年に定めたものであります。それ以後修正を加えておりますけれども、合併も進行いたしておりますし、県の行政の内容も相当変って参っております。従いまして単位費用の積算の基礎になります標準団体そのものにつきましても、根本的にメスを入れなければならぬ段階に実は来ておるのであります。本年実はやりたかったのでございますが、この作業は半年はかかります。そこで昨年は実は地方財政の当面の問題を処理するのに急でありまして、その基本的の作業に実は時間がなくてかかれなかったのであります。本年度はやりたいと思っております。なおそれに関連いたしまして、おっしゃいました種別補正、種別補正と申しますのは、たとえば高等学校で申しますと、この単位費用は普通の課程の高等学校について単位費用が出ておるわけであります。従いまして全日制の商業課程、あるいは農業課程というものにつきましてはそれぞれの種別補正をいたすわけであります。また定時制高校につきましても同じような補正をいたしていくわけであります。そういう補正の仕方が理論的に実態に近いものかどうかということは、おっしゃるように問題はあるわけであります。また寒冷補正に対しましても、寒冷積雪度の計算というものが実態に合うかどうかという問題もあります。問題があることは十分承知しております。本年度交付税算定の際に手のつけられるものはつけたいと考えております。基本的には標準団体行政内容そのものの分析からかからなければならぬ。それには半年を要する。大体昭和三十二年度交付税に間に合うように標準団体の再調査をやりたい、かように考えております。
  76. 中田吉雄

    中田吉雄君 この補正の要因として、寒冷と同じように雨量の問題は建築物の耐用年数、損粍、道路その他に、非常な寒冷と同等の多雨地帯には影響があると思って、これはすでに補正を加えるべきだという要請があるのに、どうして手をつけられないのですか。
  77. 柴田護

    説明員柴田護君) 雨量補正の問題もありますし、それから単位費用等の補正の問題もありますし、だんだんそういうふうにこまかく分けて参りますと、風の補正、風が非常に強いから消防ポンプがよけい要る。近県で申し上げますれば群馬県のような事例があるのであります。そうしますと今度は風でも強さが違う。しょっちゅう吹いている風でも、非常に強い風が少し吹く場合と、相当の風が平町吹いている場合がある、そういうようなものを補正してくれというようないろいろな要求がございますが、交付税計算であまり微に入り細に入りますのもいかがかと実は思うのでありますし、また国会の各委員会でもあまり計算が複雑になり過ぎはしないかという御要求もございますので、その風土的自然的条件というものが決定的な影響を及ぼすものというものを取り上げておるわけでございます。寒冷補正だけを取り上げておりますのは寒冷地手当の支給の問題がありまして、これは非常に決定的な要素として財政需要に大きく影響するという意味から寒冷補正だけを現在の段階では取り上げておるわけでございます。
  78. 中田吉雄

    中田吉雄君 それはやはり雨量はもうほとんど統計的に出ているのですし、道路の維持、建物の耐用年数等には乾燥地帯と多雨地帯とでは、もうけた違いに天気のいろいろな要素とか、これはもう非常に複雑になり過ぎるんじゃないかという問題以上に、私はやっぱり考慮していただいてもいいんじゃないかと思うわけです。それから台風圏内というものもきまっているのですから、ほとんどもう雨量観察で鹿児島、宮崎、あの辺を通ってどこを通るということはさまっている。やはり相当財政需要に影響していると思うのです。
  79. 柴田護

    説明員柴田護君) 理論的にはお説の問題は確かにあると思うのでありまして、十分私たちも研究はいたしておりますけれども、どの程度やるか、またどの程度そういう自然的条件のために実際にあるべき財政需要としてどこまで持っていくかという問題につきましては、なお詳細に検討する必要があると現在のところは考えております。
  80. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は想像以上に多いと思いますから、検討をされるのに時日を要すると思うから、特別交付金でこういうものは十分また考えてもらっていいと思います。  それから公債費の元利償還分の負担というものをこれで見ることはできないものですか。
  81. 後藤博

    政府委員後藤博君) 公債費の元利負担分のうちで、災害関係は一応単位費用の方で出しております。これは大体九五%くらい財政需要で見ることになっております。災害の単独事業もこれは特別交付金で、一定の計算方式で見ることになっております。  災害以外のいわゆる公共事業をどうするかという問題は、単独事業まで含めてどうするか、単独事業というのは県が単独でやるのでありますから、これは一応別にしまして、公共事業関係の起債をやはり見てもらいたいという要求があるのであります。しかしこれは今は単位費用を作ります場合に、たとえば土木関係でありますが、土木費の中に一定の耐用年数を見合うところの償却費の形で現在は入れておるのであります。その耐用年数を短かくするとか、もう一つは法人税あたりの耐用年数と合わしていくとか、さらに起債の年度と合わしていくというような問題もあります。漸次それで耐用年数の方も是正いたしておりますが、なまで公共事業公債費を載せてよいのか悪いのかという問題になりますと、これは問題があるのであります。と申しますのは、一般財源をできるだけ多く出してやった所と、それから起債に頼ってやった所とやり方がいろいろあります。従って一般財源をたくさん出しておった所を中心にして考えますと、それぞれの単位費用の中で見るのが至当ではないかという議論が成り立つのであります。ただ起債ばかりに頼っている所は、おっしゃいますような議論をしております。それをどう調和させるかという問題があるのであります。その上に公共事業そのものは何と申しましても、どうしてもやらなければならぬものでありますが、やはりある程度県の裁量の余地のある事業が相当ございますので、その辺をはかって参りますと、あるべき財政需要として公債費をみな上げていくということは、どうもまだ少し早いのじゃないか、別の方法でもって公債費の問題を片づけるのが筋ではないか、かように私ども考えておるのであります。
  82. 中田吉雄

    中田吉雄君 この地方交付税法の一部を改正する法律案の新規対照表に、道府県の小学校費「一人につき」「一学級につき」「一校につき」というのでみなふえているわけですね、最初に。小学校費児童数一人につき千七百五十七円が千八百八十二円、一学級につき七万九千六十三円が八万四千六百六十八円、一校につき十七万四千十円が十八万千六百四十円というふうにふえているわけですね。これは、この計算でやった結果児童数に比べて学級数や学校数の多い所にどういう影響を与えるか。どういうことになりますか、こういうふやし方で計算してみますと。それは児童数に比べて学級数が少い分教場、そういう所に少くいくようなことにならぬかというお尋ねなのです。こういうふやし方はどうか。
  83. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは小中学校費ともにですが、給与費是正するために算出したわけであります。これは今までの単価を五分の一程度引き上げた、そのためにこれが変ってきたのでありまして、従来とは別に内容は変っておりませんが、ただ給与単価を五%くらい上げておりますので、その上った分がここに出ているのであります。
  84. 中田吉雄

    中田吉雄君 この中に、単位費用ですね、道路の面積、橋梁の面積、これは目的税との関係はどういうふうに、これを説明して下さい。
  85. 柴田護

    説明員柴田護君) 道路の面積、橋梁の面積、河川、港湾それぞれ単位費用が下っているのはどういうわけかというお尋ねだと思いますが、これは給与費是正と〇・二五分の追加はやっておるのでありますが、国庫補助率も上っておりますのと、それから新たに目的税として軽油引取税、それから都市計画税というのが制度改正でできますので、それのある部分を目的財源として、特定財源として落しまする関係上、単位費用のもとになっております経費総額はふえておりますが、一般財源の所要額としては減っております。
  86. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、特別に道路がよくなるということはないのですか、その関係はどうですか。ただこれまでの内容はそういう形でやりくりして維持されるということなんですか、実際の運用の面が。
  87. 柴田護

    説明員柴田護君) 目的税も入れ方によりまして、全部のものを、目的税の全額を、まあ標準団体の規模におきまして、全額これを特定財源といたしますと、おっしゃるような形になりますが、この単位費用の計算では、軽油引取税は六割程度を目的財源といたしております。四割程度のものは財源外に置いておりますので、その分は道路費が伸びる、道路の財政需要が伸びるということになるだろうと思います。
  88. 中田吉雄

    中田吉雄君 県の標準行政規模の問題ですね、百七十万ですか、それからのこのズレですね、はなはだしく小県の場合は、標準からのズレの関係ですね、少し話して下さい。
  89. 柴田護

    説明員柴田護君) 百七十万人の人口のあります県を標準団体といたしましたのは、大体昭和二十五年の国勢調査基礎にいたしまして全国全府県の平均規模をとったというのが百七十万であります。その後におきまして人口はふえておりますし、それから町村合併が進行して参りますとその都市の数、それから町村の数というものの平均規模も実は変って参っております。また現状は地方の出先機関等につきまして相当の統廃合も行われておりますので、ここに書いてあります地方事務所数というのも一体これでいいのかどうか、あるべき行政規模として十ヵ所地方事務所というものを設けることがいいか悪いか、あるいはこれを今多くの県でやっております地方事務所という形でなくして、たとえば福祉事務所とかあるいは県税事務所とかいったようなものにまかしていく方法がいいのか、といったような問題もこの中にあるわけでございます。  それから職員の配置から申しますと、このお手元に差し上げております単位費用積算基礎のずっとあとの方に、職員の配置数の表がございますけれども、こういった職員の配置数というのが大体現状においていいのか悪いのかという問題も実はあるわけでございます。行政事務の内容からいたしましても、この標準団体において一応想定しております標準行政規模というものが妥当かどうか、言いかえますならば、標準行政規模においてつかまえております行政事務というものは、法令によって地方団体が執行を義務づけられております経費と、そのほかに義務づけられてはおりませんけれども、大体普遍的に地方団体が行うものと考えられておる事務というものを、標準行政規模の事務として取り上げておりますが、その事務内容そのものがその後において相当変化いたして参ったのじゃないか。変化いたしておりますとするならば、その行政費の計算も検討しなければならぬし、また変化をいたしておりませんといたしましても、物価の変動その他によりまして経費算定につきましてなお検討する部分があるかもしれない、そういう問題がいろいろあるわけです。現実に地方団体から出て参っております資料に、全般的には来年の改訂に備えまして全国的な調査をする予定でおりますけれども、今まで私の方の調査課あたりで調べてもらったところでは、この基準財政需要額というものと、現実の地方団体がその経費に投入いたしております一般財源というものとの比較は、県によりまして非常にでこぼこがあるわけでございます。基準財政需要額以内でおさめている県もあるし、それから基準財政需要額を非常にオーバーしている団体もあります。そのオーバーの程度も二割とか三割ならまあともかくとして、五割なりあるいは七割、八割というような県も実はあるわけでございます。それが一体何に由来するか、単位費用が非常に低いのか、あるいはまた補正の仕方がまずいのかという問題がまああるわけでございます。その辺のところをじっくりと分析いたしまして、そうして単位費用の悪い所は単位費用で直さすし、補正係数の悪い所は補正係数で直していく、まあこういう方法をとって改善をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  90. 中田吉雄

    中田吉雄君 百七十万の標準規模からのズレがうまくやれるようになっているかと、そういうことについて新たな検討はされないかということです。
  91. 柴田護

    説明員柴田護君) ちょっと御質問、誤解いたしておりまして失礼いたしましたが、御質問は小規模団体の問題だと思います。小規模団体につきましては、現在段階補正係数というものによりまして費目別に補正をいたしておるのでございますが、その補正の仕方が適当かどうかという問題になるかと思います。従いまして、これは単位費用の問題というよりか、むしろ補正係数の問題でありまして、そういう小規模団体について、まあ最低水準の行政をやったがために、どの程度経費が要るかという問題があろうかと思います。現在の段階補正の補正係数で算定いたしましたところでは、係数のカーブそのものから言いますと、非常にわれわれは見過ぎるほど見過ぎておると思うのであります。ところが結果的にはそこにズレが出てくる。なぜそのズレが出てくるかと、いいますと、私は投資的経費算定の仕方が違うと思います。で、この今回態容補正係数に第二次態容補正係数というものを想定いたしまして、そういった小規模団体、本来、財源もない所では、起債で今まで仕事をやってきたやり方というものが、結局公債費になってはね返って参りまして、一般財源の弾力性を押える。ところがそういう団体では経費につきましてもあまり弾力性がございませんので、それを経費の伸縮によってその公債費のおおかぶさってくる部分というものの圧力というものを緩和できない。言いかえますならば、そういう所には大体借金をさすべきじゃないのが借金をさしてきたのに間違いがありはせぬか。起債を押えっぱなしじゃ、そういう団体の開発ということはできない。従ってそういう小規模団体につきましては、投資的経費考え方というものを根本的にまず変えようじゃないか、そうして交付税計算上の投資的経費算定をより合理化して、一方借金をすることによって将来公債費にはね返って、それが財政を圧迫するという現象をまあ断ち切ってしまいたい、そういうように考えているわけでございます。補正係数だけから見て参りますと、私たちは小規模団体につきまして、むしろ段階補正係数は見過ぎるほど見過ぎているというようなカーブが出て参っております。その矛盾は投資的経費算定にあるというように考えます。
  92. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは今度態容補正の問題ですか、それで大体救済できるというのですか。大体われわれがこれまで見ていると、小規模団体でも、百七十万の標準規模からずれて、百万程度は割合有利な、百万前後の、佐野さんがおられて大へん恐縮ですが、島根、鳥取は大して努力せぬでも、交付税計算が百万程度の所は、私は全国的にみて割合その他行政費というのですか、どこかで、それからずっと市でも小さい処が、やはりただいま言われたような配慮にもかかわらず十分でないのじゃないかと思うが、どうも百万程度の所は割合有利になるような気がするのですが、どうですか。
  93. 柴田護

    説明員柴田護君) 単位費用の中に消費的経費投資的経費とあるわけであります。そこで消費的経費につきましては、主として人件費をみて参っております。その人件費をみて参っております場合に、態容と申しますか、いわゆるその団体の都市化の程度に応じて割増しあるいは割減をしている。それからまた小規模団体につきましては、人頭の経費が割高になりますので、その割高になる部分につきましては、段階補正係数を適用してみてくれというのが大かたの考え方でございますが、その場合に、態容補正係数を作ります場合に、市町村の態容補正係数をそのまま積み上げて県の態容補正係数にしてきたのが従来のやり方でございます。ということは、結局県の行政の質なり量というものは、これは市町村の態容いかんによってきまる、市町村が原始的であれば県の行政も原始的である。市町村の行政態容が都市化しておれば県の行政もある程度都市化してゆくという考え方に立っておったわけであります。ここに一つは問題があるわけであります。単位費用全部を含めます場合には、そういうような未開発の市町村の開発程度が低いという所こそ、むしろ県がかばってやらねばならぬ仕事が多い。それは何かと申しますと、それはやはり消費的経費部分ではないのでございまして、投資的経費部分じゃないか。そこで従来の態容補正係数の誤まりを、第二次態容補正係数というものを作ってやろうといたしましたのは、そういうような従来の態容補正係数の作り方の欠点を補いたい。こういうねらいから第二補正係数を作った。かたがたそれは地方債の運用を根本的に変える前提でもあるし、両方密接に相関連した問題というふうに二つの考え方に立っておるわけでございます。先ほど来のお話の小規模団体につきましては、消費的経費だけにつきましては、現在の段階補正係数でそういうおかしいことは出ていない。むしろ県の経費がかかります部分というものは、そういった市町村があまり何と申しますか、都市化していない。そこでそれを県が補う仕事というものが相当量団体の規模に比して多い。その見方というものが、従来の態容補正係数ではまともに算出されない。そういうものを救って算出してゆくためには、どうしてもそういった未開発度というものに見合った補正をやってゆく必要がある。そこでこういうような第二次態容補正係数というものを作って、投資的経費を割増ししよう、これは従来普通のやり方は補正係数は連乗いたします。従いまして、一つ数字に対しまして補正係数をお互いに連乗してゆくわけでございますけれども、連乗してゆきますと、その度合いがむしろ低まるのでありまして、それよりもむしろ端的に割増しをして、そうして割増し係数を作って補正をしてゆこう、こういうような考え方をいたしまして、第二次補正係数をとっておるのでございます。このやり方でやってみなければなりませんけれども、私たち考え方では、相当よくなるのじゃないかというふうに考えております。
  94. 中田吉雄

    中田吉雄君 逆戻りして恐縮ですが、未開発というか後進性といいますか、そういうふうのは態容補正でだいぶやれると、それはどこまで含めるか、皆含めては意味がなくなってしまいましょうし、その辺の勘はなかなかめんどうですね。それはやはり第一種、第二種、第三種の比率とかいろいろ基準があるでしょうが、その構想はどうですか、どこまで網に入れてゆくかというその基準。
  95. 柴田護

    説明員柴田護君) 今のところでは考えておりますのは、やはり投資的経費というものを中心に考えてゆきますので、道路、橋梁、河川、それからその他土木、港湾だけはこれは客観的な補正をやりますとかえって逆になるおそれがありますので、港湾は一応省きまして、その他の土木関係経費、それから産業経済費中で農業行政費と林業行政、この二つの費目につきまして、第二次態容補正係数を適用する、こういう気持でおります。県の範囲をどの程度までということでありますが、これはあらかじめ意図しておるわけではございませんので、標準団体につきまして一応理論的なものをできるだけ出しまして、それから指標によって求めてゆきたい。従いまして、どのくらい県が入るかわかりません。わかりませんが、まあ三分の一以下には下ることはないだろう、こういうふうに考えております。
  96. 中田吉雄

    中田吉雄君 小規模団体の救済といいますか、その措置は主として投資的経費だろうということですが、私はどうもその点、行政費がやはり補正係数で十分できないからじゃないかと思うが、その他行政費といいますか、その他土木費でも、人口、面積というような、その他教育費の人口、産業経済費でもいわゆるそういうその他諸費という点が、やはり十分補正されていないということはないのですか。
  97. 柴田護

    説明員柴田護君) 産業経済費というものは、実はこの標準規模というものを考えますのに非常にむずかしい経費で、どこまでが普遍的事務で、どこまでが任意的要務かということになりますと、これは実は非常にむずかしいのでありますので、現在二十五年の実態調査に基きます二十六年度に作りました建前を一応そのままにいたしておりますが、小規模団体につきましては、特に産業経済費だとか、あるいはその他行政費だとかいうものの補正が足らないとは私たち考えません。むしろお説の中で当りますものは、小規模団体と申しますよりか、むしろ僻地を非常に擁しておるとか、僻地学校というものが相当あるにかかわらず、僻地学校というものがあまりよく計算上表現されないというところにむしろ問題があり、悩みがあるのじゃないか。ところが僻地学校の中で、あるべき僻地学校というものをどうするかということになりますと、これは客観的になかなかよるべき基準がない。そこで現在では一応普通交付税計算は、このままの状態で取っておきまして、特別交付税計算いたします場合に、災害等の発生額にもよりますけれども、大体特別交付税算定いたします場合にそういった要因を取り上げていく。また過去におきまして発行した地方債の償還額が非常に大きなウエイトを占めておるような団体につきましても、やはり特別交付税算定の際にそういう意味を特に考慮していくという方法で、二本建で救っていかなければしょうがないのじゃないかというふうに考えております。
  98. 中田吉雄

    中田吉雄君 いろいろこれまでの実績その他を勘案してやられるものですが、しかし総額でいかに精緻な方法をやってみてもどうにもならぬということはないのですか。二五%であれば大体もううまくやれると、総額が非常に限られておれば、なかなか精緻な方法をもってしても、実際うまく全体を網の中に入れることはできぬじゃないかと思いますが、その辺はどうお考えになりますか。
  99. 後藤博

    政府委員後藤博君) 財政需要というものの考え方の問題に連なるのでありますが、財政需要を相当見ていこうとすればおっしゃるようなことになります。で、財政需要というものを必要最小限度経費と見るかどうかという問題にかかってくるのであります。現実の財政需要というものをとらないで、やはり国が保証する限度財政需要という考え方に立てば、まあ今の二五%くらいが全体の財源構成の上からいっても、財政構造の上からいっても、大体現在の段階では適当な数字ではないかと、かように私ども考えておるのであります。財政需要というものを現実の財政需要まで見るのだと、こういう観点に立てばまたおのずから変ったものになって参ります。交付税が足りないということになって参ります。従って、交付税制度の基本は一体何であるかによって問題の解決の方法が違って参りますし、財源の量がやはり不足であるか足りるかという問題は多少分れてくるのじゃないかと、かように考えておるのであります。
  100. 中田吉雄

    中田吉雄君 この町村合併をやって非常に町村の数が少くなって、作業上どうなんですか、非常に便利でしょうね。その関係はどうなんですか。
  101. 柴田護

    説明員柴田護君) お説のように、作業上は非常に時間的には楽になって、短かい時間でできるというような状況になっておりますし、また職員もこの制度ができましてから、計算方法が確立してから五、六年たちますので、職員の事務に対する習熟度も上って参っております。両方待ちまして非常に計算は早くなって参っております。
  102. 中田吉雄

    中田吉雄君 この町村合併の際に、交付税計算で合併した所は三年間ですか五年ですか、恩典があるでしょうね。それとからんで、合併しない所は交付税もめんどうみないしということを地方課が盛んに、補助金もやらぬし、起債もやらぬし、交付税もなくても減ってもいいんだということで、合併を往生さしているようですが、お宅の方の関係はどうなんですか。どこでも一やっているのですよ、これは。
  103. 後藤博

    政府委員後藤博君) まだ合併をしない町村と合併をした町村との間で、合併した町村にはもちろん差等、割増しを特別交付税あたりでやっておりますが、しかしそれ以外の、所で、単位費用等の問題で差別をつけておりません。現在では、だんだん下になる人口の少い団体ほど、やっぱり段階補正で行政費は上っていくという計算をしております。それを人口八千くらいの所でとめて同じだというようなことにしたらどうかというような考え方もあるわけでありますが、まだそこまではいっておりません。問題はおそらく、普通交付税はもちろん計算でありますからごまかしはつかぬのでありますが、特別交付税財政需要を見る場合にどちらを優先するかという問題だろうと思います。それはまあ合併町村の方の特別な財政需要を優先して見て、そうでない町村の方を従ってまあ見られないと、そこまで手が回らないと、こういう結果になっておることを言っておるのじゃないかと思うのです。
  104. 中田吉雄

    中田吉雄君 その問題は、これは特別分は地方課長が大体適当にやるようになっておるのですか。かなりその辺に問題があるようですがね。その関係はどうですか。町村の特別分と地方課長の権限の関係ですね。
  105. 後藤博

    政府委員後藤博君) 特別交付税につきましては市までは私どもの方でやります。町村の分は私どもよくわかりませんので、町村はまあまとめて県に配当いたしましてそれを町村に分けて持って参りまして、われわれはそれを見まして一々意見を聞いて大体きめておるのであります。
  106. 中田吉雄

    中田吉雄君 数の多い町村の分まで、しかも一額の少いのをやられるということはなかなか技術的にできぬと思いますが、いい地方課長がおればいいんですが、なかなかリベートを取ったり、それは大へんなことをやっている所がありますよ。私なんかは町村長会長からかなりあっちこっちで、あの地方課長は特別分をよけいやるからと言って自分の飲み代を払わしたりいろいろやって、なかなかこれはやはり一つの政治力を発揮する大きな手段に使われている。そういうことについて何ら聞かれぬということについては、どうも配分される当局として問題があると思うのです。私幾らも例を知っているのです、言いませんが。これは町村長会長から二、三の点で私そういうことを受けているのです。
  107. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私どもはもちろんそういう話を聞いたことはないのでありますが、これはまあ一つ計算でもって大体やりますが、町村の分になりまするとこまかい計算ができないので、まあたとえば一万円とか何万円というようなまるい数字で出しておる場合がございます。そういうまるい数字を作ります場合に多少その疑惑を招くようなことがあるのでないかと、事実は私はあるとは考えておりません。そういうことをやりましてもそれはすぐばれてしまうのじゃないかと思います。特別交付税の非常に何かもう大体今見まするとまあある程度平均的に配っておりますし、それぞれの需要はその団体の需要ももちろん見ておりますけれども、そういう差別をつけるようなことになっていないのであります。従ってまあそういうことがどうもあるというような話はもちろん聞いていませんし、あり得ないことで、これはまあ議会に対する関係からどうしてももらうべきものがもらえなかったために、いろいろ中傷的なことは私どもあることは聞いております。しかしそういうことはできるものではないと私ども考えております。
  108. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこれは、自治庁から来た地方課長はこの件ではやらないのです、残念ながら。これはやらないのです。やはり下から積み上げてきた地方課長はかなりやっている所があるのです。そうしてこれはある県ではだから交付税の特別分の各町村の割当てをはっきりせいと言うのです。非常にその問題が起きて、これは新聞に発表しないのです。非常に問題が起きたことがあるのです。ですからやはりまかせきりもまあそういう悪い配分をすれば、批判の中に正しい結果がだんだん地方住民の自覚ででもできるでしょうが、そうすると各町村別各県分の特別分は自治庁で出される、それは県の地方課長が各町村のやつを積み上げたやつをやっているのですね。その関係はどうなんですか。
  109. 後藤博

    政府委員後藤博君) 町村分につきましては一応計算で出すものがございます。全国的に統一的に出すものは町村別にして計算して一応出して持ってきます。そこでそれが出てさらにその上にあとから調整分として足rものを付加して、最後にもう一ぺん私どもの方に持ってきまして、そしてそれをわれわれの方で見ましてこれでよろしい、こういうふうにやっておるのでありまして、なかなか厳重にやっておるつもりでおります。前年の交付の分と本年度の割合なんかもにらんでおりまするし、そうへんちくりんな配分ができるようにはなっていないのであります。制度の上でもやり方の上でもなっていないのであります。まあ交付税に関する限りは私どもはそういうことは絶対にないと考えております。
  110. 中田吉雄

    中田吉雄君 なっていないはずなんですが、会計検査院の監査結果を見たって、昭和二十八年に一兆円の予算の中で一千億、検査をやって一千億からの不当があるのです。一割近い、そういうことは想像できぬことがあるのですから、それは会計検査院の昭和二十八年に抜き取り検査をやったところがあってはならぬことが一兆円の予算の一割に近い。それから昭和二十九年だって七百幾らあるのです。そういうことがあるのですからね、それだって同じことだと思うのです。
  111. 後藤博

    政府委員後藤博君) おそらく錯誤のことをおっしゃっているのだと思います。錯誤というのはほとんど計算間違いであります。たとえば、例をあげますと、河川の両側をとるべきものを一方しか計算していない、それから道路の面積につきましてその計算方法が間違っておる、まあ多く計算する場合と、できました道路をこの計算に入れていない場合と入れておる場合、つまりプラスの得をしておる場合と損をしておる場合、そういう錯誤を積み重ねていきますと会計検査院の方でそれはいけないというので翌年に全部是正しておりますが、普通に錯誤と申しておりまして、不正ではないのです。特別に意識してそういうことをやっているのじゃなくて、計算上の、計算をした人が間違ったり台帳が間違っておるというところからそういう錯誤が出ておるのでありまして、そういうものをおっしゃっているのじゃないかと思います。
  112. 中田吉雄

    中田吉雄君 その計算上の錯誤のそれではなしに、会計検査院が国の予算全体、公共事業やその他の支出を検査したら昭和二十八年に一割近い、二十九年はあまりひどいじゃないかというのでかなり締めていって七百幾らあった、これなんかもほとんどあり得ないことが、たとえば公共事業費、工事をやらずにおって竣工検査をやったということで金も払っておるという所もあるのですから、それはなかなか後藤さんの言われるようにきちんとできておればけっこうですが、その辺の関係一つ注意してもらいたいと思います。  この交付税の率を三税の二割二分から五分に上げられた、二五%に上げられたというのは、さっきも言いましたように地方財政健全への道、今年度地方財政計画、いただいた資料等でいろいろな前提条件に立っておるのですが、これでいいかどうかという一つの前提の中に、再建法でこれまでの赤字団体がまあ十分救済措置ができるかどうかということも一つの前提になると思うのですが、最近指定された団体の主要なものについて、再建計画一つ、そのあらましを……。もう指定されたのですか。もう京都なんかは、そういうものを出していただいて……、大よそどういう方向で…−、やはり再建法にうたってあるどういうところに重点を置いて再建の方途を見出しておるかというようなことを、モデル・ケースでも検討してみることも必要だと思うのですが、指定された団体の再建計画の梗概のようなものを出していただくことはできませんか。
  113. 後藤博

    政府委員後藤博君) お手元にあります資料で今再建計画がきまっておりますものは、県が三団体、それから再建計画をもうすでに議決しておるものが三団体、それから市が十三団体、町村がたしか二十七団体かあったと思います。あとは申し出をいたしておりまして、まだ指定日の指定が済んでいないもの、あわせてここに載せてあるわけでございます。現在府県で十一申し出があります。それから市で五十四、町村で百三十、こういう実情であります。この個々団体の再建計画と申しますものは、団体によって非常に違うのであります。増税をやる所と、増税でなしに滞納が非常に多い、たとえば京都府のような滞納が相当ございますような所はまず滞納整理をやって、その上で新しい財源の増強を考えた方がよろしいということで、初めからの増税は織り込んでおりません。京都市の場合もやはり同じようなふうになっております。しかし他に財源がなくて、ある程度の事業もやっていきたいというような所につきましては、やはり税財源はその他の増強方式を考えなければならぬというふうになっておりまして、県の中でもいろいろ違いますし、県と市町村との間で再建計画それ自体が異なっております。従って一定の方式というものはなかなかむずかしいのでありまして、その団体、その団体の従来の赤字の原因を探求し、同時に財政構造を見ながら再建計画を立てていくという考え方で現在やっております。できましたもののすでにもう議決して再建計画を出したものもございますので、これはお手元にお届けして御検討願いたいと思っております。
  114. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは後藤部長が言われるように赤字のよって来たる原因がいろいろあるから再建の方向の内容は違うでしょうが、しかし大よその傾向というものは滞納を処理するとか、行政整理をするとか、徴税を一ぱい取るとか、単独事業をやらぬとか、もういろいろな…二つでやれる所はないと思う。だから大よそどういう傾向にあるかということは、少くとも府県の指定された団体を見れば、大体の傾向は出なければならぬと私は思うのです、特殊性の中にも……。
  115. 後藤博

    政府委員後藤博君) 非常にむずかしいのは府県でありまして、市町村の方は事業のやり過ぎが非常に多いのであります。従って事業をしばらくやめることによって再建計画は割合簡単に立てられます。府県になりますと、事業のやり過ぎと同時に消費的経費を非常にふやしておる所もございますので、そのやり方についていろいろあるわけであります。結局経費の節減を中心にして、滞納その他の税の徴収率の引き上げ等で一応計画を立てる、その計画年度は、ある一定の方程式でもって計画年度をきめて、その範囲内で年度をきめて立てるとかいう考え方であります。やむを得なければ新増税というものを考えるというのでありまして、これはやむを得ない例外的な場合でありまして、経費の節減でいけるところはそれでいこう、こういう考え方をしております。
  116. 中田吉雄

    中田吉雄君 それを何か一覧表みたいにして大よそ再建計画を何年にして、節約を幾ら、徴税の強化を幾ら、滞約の処理は幾らというふうに、大体各府県別に……どれ一つで解決するということは私ないと思うのです。やはり徴税の強化をどうするとか、滞約処理をどうするとか、単独事業をどれだけ切るとかいうような各府県別のパーセントが出てくるのですね。それはできないのですか。
  117. 後藤博

    政府委員後藤博君) たとえば税でありますれば割合簡単であります。税の自然増をどの程度見ていくかというのが一つであります。これは一定の方程式でもって各税別のを税務部で作っております。今度はその徴収率はどうするかと申しますと、その徴収率は現在の徴収率をどのくらい引き上げることができるか、これは大体類似団体の徴収率、全国の平均、それから全国の最高等をにらんできめております。それから滞約の場合にもやはり同じように滞約の類似団体の徴収率、それから最高の徴収率、平均の徴収率等をにらんできめております。これは滞納の額によって非常に異なって参ります。そういうふうにその団体その団体できまっていくのでありまして、たとえば税は九五%以上でなければいかぬとか何とかいうことを申しましても、そう簡単には参らぬのであります。非常に低い、六〇%とか七〇%しがなかったところは一応八〇%にそれがだんだん上っていくというその方式でなければ実行ができないのであります。そういう所は従来その団体の徴収率を基礎にして漸次向上していくということになるのでありまして、それを最後幾らにしなければならないかということは、それはやはり全国平均で全国の同じ類似団体の最高というようなものを標準に持ってきてきめておるのであります。従って初めから予定して幾らに引き上げるということではないのであります。
  118. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はやはり一覧表みたいなものができると思うのですね。たとえば赤字なら赤字総額京都は幾ら、再建計画は期限が何年、そうして徴税の強化とか、人員整理とかずっとやって、それにはめていけば大体の各府県の再建の方向というものは一覧表に要約できなければならぬと思うのですがね。できないのですか。
  119. 後藤博

    政府委員後藤博君) その赤字だけを、現在ありますたとえば十億とか二十億とか赤字だけを消す計画ではいかぬのであります。たとえば五年なら五年の間に財政事情がどうなるかということも計画の中に入るのであります。従って公債費の伸びる団体赤字以上に公債費が伸びる所もあります、赤字以上に。またその期間中に伸びていくというような所もあります。従ってその期間をどういうふうにきめて、その間に財政事情がどうなるかというものを見て、そうしてあとそれを補てんするために過去の赤字と将来出るであろう財源不足額とを合せたものを計画の中に盛っていくのであります。従って各団体ごとに違った姿をとるのであります。
  120. 中田吉雄

    中田吉雄君 だからそういうことを含めてやはり要約できると思うのですね、私は。
  121. 後藤博

    政府委員後藤博君) 相当団体が出てくればおっしゃるようなことが帰納的に出てくるかもしれません。しかし今あらかじめその非常に異なっている団体の財政を統一的にこうしなければならない、こういうふうな数字でもってそれをやっていくということは、非常に冒険でありまするし、できないのであります。
  122. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうじゃない。こうしなくちゃならぬというのじゃなしに、お宅の方に地方議会を通して再建計画を持ってきて指定を受けたのです。あるでしょう、すでに。その指定団体の再建計画方向を要約してもらいたいということなんです。
  123. 後藤博

    政府委員後藤博君) もうすでに指定を受けた……受けるということはまだ議決していないのであります。再建計画を作っていない、こういう指定を受けてその基準日を中心にして再建計画を作ってくるのであります。従って再建計画は作っていないということが、言えるのであります。三十年度で議決したものはあります。そうでないものは、これから作って持ってくるのであります。大部分のものは今個々団体が持ってきておる段階であります。まだ持ってきていない団体がたくさんあるのであります。
  124. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと私聞きますが、後藤君はそれをはっきりしていただきますればよろしいと思う。たとえば今あなた方の再建整備がそれぞれの県で議決された県があるかどうか、あるいは市があるかどうか、それがまだこれだけしかない、途中だということであれば中田君の注文に対してはっきりするのです。いかにももうあなたの方といろいろの話し合いをしたかもしれんけれどもまだ議決されておらぬ、決定されておらぬという段階を、もう少し詳しく御説明になればわかると思うのです。
  125. 後藤博

    政府委員後藤博君) このお手元にありますので、さっきちょっと申しておったのでありますが、府県の中で、もう議決しておりますのは三団体であります。これは京都府と、それから長崎県と兵庫県であります。この三つだけはちゃんともう議決をして持ってきております。それから市の中で数字だけで申しますと、たしか十三団体が議決をしていると思います。それから町村は二十七団体だけが議決をして持ってきております。それ以外の団体は今申しましたように指定日をまだきめていない団体、申出だけを議決して、指定日をきめておりますものは現在再建計画を作っておるのであります。まだ議会にもかけておりません。そういうようなことになっておりまして、それぞれの団体、たとえば今きまっておりますが京都のやり方と長崎のやり方と、兵庫のやり方はそれぞれ違っております。市でもやはり同じように違っております。ですからそれがもう相当出てくれば、一つの帰納的な形が出てくると思いますけれども、まだその段階までになっていないと私どもは見ております。
  126. 小林武治

    ○小林武治君 関連で。私もそれをみんな積み上げて、そうして一つの傾向を出すということは今むずかしいかもしれないが、ある県とある市の赤字の状態がこうこうで、これをこういうふうにするのだというようなケースだけでも一つ二つ説明していただいても非常に役立つんじゃないかと、こういうふうに思いますがね。今すぐにはということなら、適当な機会に、要するにこの県の再建計画がこういうふうになって、これでうまくいくのだという説明をぜひ願いたいと思いますが。
  127. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私から申しますがね、結局今あげられた、すでに議決したものが三府県ある、これは非常にそれぞれ違う、あなたがおっしゃる通り違う、京都と長崎と、兵庫、このあるいは市の中でもそういうティピカルなものを抽出されても、将来できてしまってからわれわれが騒いでみても一向どうも済んでしまったということになる。今ティピカルのことについてここにある府県だけでも十一ですか、このうち三つは一応議決されておる。今あなたのおっしゃる通りそれぞれ態様は違っている。あなたの方が再建計画として認められた内容も大へん相違があるだろうと思う。これはそのまま出されてもいいんじゃないか、三つの府県についてですね。市等については中田君が言われるように表を作らなくてもよかろうと思う。三つのものを大体順序で並べられれば、お互いが見てどこに力点を置いているかということは出てくると思う。これはやはり当委員会として再建整備に無関心ではないわけですから、今大へん忙しいことはわかっております、あなたの方は再建整備でいろいろなことで忙しいことわかっておるけれども、なるべく早い機会に、そのうち少くとも済んだものでこれはどうせわかることなんですから、一つ内容を比較的わかりやすいように、小さな数字等は捨ててもかまわんですから、出して、各委員に配付できれば大へんけっこうだと思います。そういう手続とれますか、できればとってやって下さい。
  128. 後藤博

    政府委員後藤博君) 承知しました。
  129. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 中田先生その点は一応よろしゅうございますか。
  130. 中田吉雄

    中田吉雄君 この再建の指定の申出というのですか、割合この希望者が多いと思うのですが、大体どうなんですか、あっちこっち、かなり指定を受けてみようかという……どういうわけでしょうか。
  131. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私どもはまあ全部で三百ぐらい初め考えておりました。府県は、申し出団体は私どもはせいぜい十四、五くらいじゃないかと思っておりましたが、大体そのくらいになるようであります。今十一ありますが、あともう四つ五つ出そう、であります。それから市が問題でありまして、市は私ども百くらいじゃないかとまあ踏んでおったのでありますが、これはわかりません、非常にひより見をしている市がたくさんございますので、百くらいにはなるのじゃないかと思っておりますが、これはもう少したたぬとわかりません。町村は二百五十か三百くらい——私どもは少くて二百、多くて二百五十くらい、合せて全体で三百前後じゃないかというふうに考えておりますが、町村はこれはもう大きい所は出てしまっております。各府県はいろいろ地方課長や何かの意見を聞きますと、出る所は出ておりますが、全然空白になって、ブランクになっている所は幾つ出るか、ほとんどないような県もございます。一つしか、たとえば大分でありますが、市はほとんど全部ありません。これはほとんど全部。赤字はありましても非常に少いわけでありますから。町村が一つかないし二つというような所もあります。ブランクのところの町村がどのくらいになるかまだ見当はつきません。大体まあ三百ぐらいじゃないかと、こういうふうに実は思っております。別に市の関係は少しおくれているのじゃないか、こういうふうに思います。
  132. 中田吉雄

    中田吉雄君 それで、再建債は大体予定された額で間に合うのですか。
  133. 後藤博

    政府委員後藤博君) 大体私どもは再建債は間に合うと考えております。ここに出ておりますものの赤字総額は、これは市町村の申し出の赤字総額がたしか、二百六、七十億くらいじゃないかと思っております。もう大きいところは大体出て参っておりまするから、大体四百億でまかなえるのじゃないかと思っております。
  134. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 中田君がさっきから言っている資料ですね、その資料もやはりそういうことなんですよ。それが出ていれば質問する必要はない。申し出の赤字がトータルして四百億なら四百億、大体のところでいいからそういうのを知りたいというのじゃないですかなあ。  それからいろいろ委員長もおっしゃったのですけれども定員をどのくらい減増するとか何とかいうようなことですね、そんなことはまあむずかしいですから、全部のものを計算するというのはむずかしいでしょうけれども、代表的にいって、三府県と、それから数都市と、そのくらいのものを拾って、こういう方法で再建しよう、少くとも赤字の額がここに書いてあって、合計できるようなふうに、数字がこれよりももう一つ詳しいものがあれば参考になると、こういうわけです。そんなものはじきできるでしょう。
  135. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは毎日この数が変っているのでありまして、ふえておるわけであります。百四、五十くらいのときに私ども今の数字を一応集計さしてみたのでありますが、そのとき、二百四十億くらいの数字が出ております。それから推算して二百六、七十億じゃないかと、こういう、ふうに私は今申し上げたのであります。もちろんこの申し出の団体赤字の集計をこれと合せて私どもやるように言っておりますから、できておるかもしれません。これは正確にわかりますれば出したいと思っております。
  136. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 何日現在でもいいですから。
  137. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これについてなお申しますが、申し出があればだんだんふえていくわけですから、どこでもけっこうです。今言うように四月末日なら四月末日、三月末日なら三月末日、ある程度たまったところで、この表のところでこれだけだ。あなたがおっしゃるように、あとは小さくなるが、その見込みが大体これくらいだというくらいのことは、そんなにむずかしいことでもない。大へんこまかいことではないのだから、どこかで押えて。いつも動くなんということは、大へん明敏な後藤君の答弁にも似合わぬと思う。どこかで押えられて……。
  138. 後藤博

    政府委員後藤博君) それはできます。計算だけの問題ですから……。
  139. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 一ぺんお出しになって……。再建整備ということは、当委員会として非常に関心を持っているわけですから、どういうふうにやっておられるかということを要求しなくても、ある程度あなたの方から委員たちに関心を持ってもらえるような資料を、できるだけお出しになるということは当然なことだと思います。かたがた要求もありましたから、要求のなかった分についても何か参考になるようなことについては、絶えず資料を当委員会に出すようにしていただきたい、委員長から要求申し上げておきます。
  140. 中田吉雄

    中田吉雄君 大蔵大臣にこれはちょっとその問題とはそれまするが、おいでになるときにお伺いしようと思うのですが、公債費の問題ですがね。今度の地方財政計画でも、普通会計における地方債の額を漸減するというある一つ方向は打ち出されているのですが、もっとやはり基本的な問題について、来年度あるいはその次くらいには、根本的なこの問題に検討されなければいかぬと思うのですが、大蔵省とこれについて協議されたようなことがあるのですか。あるいは自治庁としてこの三十一年度のこの国会が済んだくらいのところの基本計画を立てるような……、このままいかれるという方針ですか。
  141. 後藤博

    政府委員後藤博君) この三十一年一度の財政計画のときに、利子補給の方向というのを一応強く示したのでありますが、これがなかなかむずかしくて、借りかえ債だけの方式になったわけであります。しかしこの問題をどういう形で片づけるかということになりますと、大体方向としては、かねがね申しておりますように、起債の額をだんだん減らしていくということであります。その上に立って従来の起債を肩がわりする方式を考えるか、それから利子補給の方法考えるか、あわせて低利の借りかえの方法考えるか、大体方向はその程度じゃないかと思います。従って来年度予算の場合に、そういう問題につきましてさらに協議をいたしまして実現をはかるようにいたしたいと考えております。三十一年度財政計画がきまってからその後は何ら交渉はいたしておりません。
  142. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  143. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十三分散会    ————・————