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1956-03-08 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月八日(木曜日)    午前十一時六分開会     ―――――――――――――    委員の異動 本日委員小幡治和君辞任につき、その 補欠として斎藤昇君を議長において指 名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            斎藤  昇君            笹森 順造君            佐野  廣君            田中 啓一君            堀  末治君           小笠原二三男君            加瀬  完君            森崎  隆君            若木 勝藏君            岸  良一君            鈴木  一君   国務大臣    国 務 大 臣 太田 正孝君   政府委員    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁財政部長 後藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方公務員法等の一部を改正する法  律案内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより委員会を開会いたします。  前回に引き続き地方公務員法等の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 この間自治庁からいただきました資料の点で、数字の点を伺いたいのでありますが、停年該当人員はまあ五十五才あたりを一応停年仮定いたしましたときに、それから超過する人員を調べますと、都道府県関係が一万二千九百六十四名、市が一万五千七百六十七名、町村が一万四千八百三十二名、こういう数字になりますが、間違いございませんね……。それでこの該当人員のうち、いわゆる停年による退職人員というものをどのくらいに自治庁はお見込みですか。
  4. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今までしばしば申し上げました通り、まあ全自治団体がかりにこれと同じ形のものをとって例外なしにやれば、こういうことになるわけでございますが、停年制をとるものもあり、とらないものもあり、あるいは年令につきましてもいろいろ差別があり、あるいは例外措置その他の問題もありますし、それから施行の時期の問題も、これは団体によって違いましょうと思いますけれども、われわれといたしましては停年制によって何人該当者が出てくるという予測がつきかねるわけであります。またつけてもおりません。
  5. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 発言中ですが、ちょっと私から政府委員に御注意申し上げますが、前回森下委員質問でも、もしかりに今言うように、五十五才なら五十五才で全地方団体停年制をしいたと仮定すればこうなると、これはあなたの方でも大体の計算はしておられるだろうと思うから、あなたの方では――森下君が何べんも繰り返して言われたけれども、それは非常にやはりこの法案の通過に支障があると考えておられるかしらぬけれども、そうした仮定された数字というものを一ぺんもお出しにならない。また加瀬君の今の質問どもそういうことですが、これは私はある程度仮定を……もう個々の論議ですからみんな委員はわかっております。で、仮定すれば、全地方団体がかりに五十才でやればこうなる、六十才でやればこうなるということは、もし数字がおありになるならば、これは何べんもそこのところで各委員が繰り返し繰り返し質問する労を省いて、明らかに答えていただいた方が、委員会の議事の進行上都合がよかろうと私は思いますから、念のためこれからの御答弁に参考にしていただくために申し上げておきます。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 これは今委員長から、私が実は注文しようと思った点を全部おっしゃっていただきましたので、言うことはないのですが、たとえば自治庁の発表した財政計画によりますと大体五万一千四百六十名でございますが、これだけの国家公務員並み考えた場合、過剰人員というものをかかえておる、あるいはこれだけを合理化させなければならない人員である、こういうふうな御説明があったわけであります。停年制とか待命制とか、いろいろの方法によりましても、結局帰するところはこの五万一千四百六十名という、そういうもののうちの一部分の解消をこれらの制度によってはかるということが当然想定されておると思うのです。そうなって参りますれば、一応五十五才と仮定するならば、それに該当する人員はわかった。そうすると都道府県あるいは市町村停年制条例で設ける団体がどれくらいあるだろうかという、あるいはどれくらい設けさせなきゃならないという、人員整理の上から想定が当然自治庁としてはあるだろうと思う。そうすれば大体財政的な合理化という見地からも、これくらいの節減というものをはかってもらわなきゃならないという一応の基準というものは、あるいは標準というものは考えられなければ、大臣がこの前御説明になったように、二つの目的があるのだ、その一つ地方財政合理化ということもねらいであるということであるならば、合理化の内訳というものがわからなければ、地方財政合理化目的であるということは非常に空なものになると思うのです。そういう点で一応いろいろの試案というものは当然計算されておらなければならないと思う。そういう点を聞きたいのです。
  7. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その御趣旨はよくわかりました。それで、われわれといたしましては、そういう仮定数字は作ろうと思えば作り得るわけですが、五十五才以上、六十才以上というようなものを作れば作れないわけじゃないのでございまして、それは計算だけなり、数字をやってみてもよろしゅうございますが、ただ、今加瀬委員のおっしゃいましたのは、また今度の定員の問題にもからんでくるわけでございまして、これにつきましては、今の五万幾らというものが、実人員財政計画との差があったのは事実でございますが、われわれはこの差を当然に直ちに解消すべきものだとも考えてもおりませんし、それで大蔵省といろいろ折衝の結果まあ九千幾らはいろいろな事情から考えてやむを得ない、こういう数字で話をまとめたわけでございます。それでありますから、その九千何百名というものは財政計画上減を見込んでおりますので、これはそれぞれの地方団体でその目標を達し得るようにしていただかなければならないという考えではございますが、これも結局全体の財政計画の問題でございまして、どの個々団体に数を割り振るとかいう問題ではないわけなのでございます。それで九千何百名にまた要するに定員を減らすという問題でございまして、停年制とか臨時待命定員を減らすという問題とかかわりがないわけでございまして、定員のいかんにかかわらず年令にくればやる。そのかわりにあとは補充する、こういう問題になってくるわけでございます。ただ事実上人にやめてもらう場合に、停年制の適用によってやめる人がきまるということは、これはあることだと思いますが、停年制というのは、そもそも定員そのものとは私は直接関係がない、こういうふうに考えておるわけでございます。そこでその全体の仮定数字はできますが、これによって府県が幾つくらいある、市町村幾つくらいやるかということは、われわれの方としては全く想像がつきかねますので、その点の数字出しにくい。九千名を逆算いたしまして、これに当てはまるもののはみ出た数というものは押えることは計算上できますけれども、これは実際の数字とは何の関係もない無意味数字でございますので、その点を一つお許し願いたいと思います。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると質問前提を申し上げますと、地方財政計画というものを自治庁はお出しになった。これが地方行財政に対する一つ方針というふうに私どもは了解をいたしたわけであります。それから先国会で地方財政再建促進臨時措置法ですか、いわゆる再建整備法といわれるものを出した。そして今度は地方公務員法の一部改正で、停年制待命制というものが出たわけです。この三つは――三つはと申しますのは、再建法でねらっている給与費合理化という点で、ある程度人員整理しなければならないという行政整理という一項目を掲げているわけです。それから三十一年度の地方財政計画では停年制なり機構の簡素化ということで、やはりこれは給与費合理化ということから人員縮小というものをうたっているわけです。それと停年制なり待命制なりというものは何にも関係がないということになりますか。
  9. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 何にも関係がないというわけじゃございませんで、要するに定員を減らすか減らさぬかという問題が一つあるわけです。それが九千名を整理するとか何とかいう問題になります。それから再建整備団体などで、個々団体でどうしても人員ゆとりというほどでないかもしらぬけれども、なお合理化し得る余地があるとすれば、個々団体定員をさらに合理化するという問題が一方にあると思います。それで停年制の問題は定員そのもの制度としては直接かかわりはないわけでございまして、定員を減らすか減らさぬかとかかわりなく、ある一定年令に達すればやめてもらう、そのかわり若い人を採用するという前提になっておるのでありまして、そこで給与費全体の合理化の面から見れば、そういうことによって月給の高い人にやめていただいて、その何分の一にも足りない人を採用するという問題で、その間に非常に合理化される、給与費の上から言えばそういうことは当然可能になるわけです。それとともに、さらにある程度定員縮減したいという場合に、どの人にやめてもらうか、こういう問題が起るときに、停年制をあわせて施行すれば、その上の人にとりあえずやめてもらう、こういう考え方も当然成り立つわけであります。だからそれと定員縮減というものを並行してやれば、そのやめていただくやめ方に停年制というものが利用できるということがありまして、それですから実施上は関連は私はそれぞれももろんあると思います。それで大臣もそういう趣旨で申したのだろうと思います。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 今御説明の中に、停年制というものは……待命制の御説明はありませんでしたが、臨時待命にしろ停年制にしろ、それは法自体から考えれば御説明通りだろうと思うのです。しかし政府方針としても、あるいは再建整備法なんかのねらっているところからみても、赤字解消するためには給与費合理化、あるいは率直に言うならば、定員削減、あるいは人員削減によるところの給与費縮小、こういうものがなければ赤字解消ができない。そこでそういう方針で進むべきだという、これは政府方針とわれわれは了解しても間違いないと思う。こういう方針でここで停年制をしくということになれば、かりに計算しても、概算しても、三万なら三万というものは定員整理によってはずれるわけです。そこで人員大量縮減をするために停年制というものをここでしけば、合理的な人員整理ができるが、そういうねらいは全然なくて、ただ停年制停年制で、これは制度として給与の高い者に新陳代謝をさせて安い者と入れかわるということだけでも給与合理化になる、そういう意味でだけ停年制が設けられているのだということになりますと、私は給与合理化ということはつけたしであって、給与合理化ということは全然目的にしていないのだというふうに了解しなければならない。大臣説明はつけたしの御説明であって、ほんとうの目的はそうでないというふうに考えられる。逆に言うならば、それならば、それで停年制によってやめていくところの人員は原則として全部埋めていくのだという立場で自治庁考えていくのですか。
  11. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 停年制というものは私は当然そういうものだろうと思います。これは定員かかわりないわけです。それですからそれぞれの団体でさらに人員構成考え定員縮減余地があるとすれば、やはりその団体では定員縮減措置を講ずるだろう。講じましても、それは本年度一年限りの問題でありまして、停年制は恒久的な制度としてずっと続いていくわけでございます。それですからそこのところが、この制度一般の問題と、個々団体のそれぞれの個別的な問題とがこんがらがってくるものですから、非常にわれわれとしても一様に説剛がつきかねるところがありますので、個々団体によってはそれを併用と申しますか、あわせてやるということは当然に想像されると思います。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 想像されるのではなくて、自治庁方針として停年制というものをしき、待命制というものをしくことによって行政指導人員縮減の方向に持っていこうとしておる積極的な意図はないか、この点です。
  13. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まあ、これは先ほど委員長もおっしゃいましたが、そういう仮定数字を出すか出さぬかという問題をわれわれ控えておるのも、かりに五十五才なら――六十才でもかまいませんが、数字出したとすれば、地方財政計画の上において何十億のゆとりが出てくる、こういう数字自治庁が作って発表した、こういうことになりますと、自治庁は当然六十才以上は一律にやめさせるべきじゃないか、こういう誤解をわれわれとしては受けるおそれが非常にある。そういうことがあるものですから、実はそうなれば何十億の財政ゆとりが出るのじゃないかというようなふうにすぐなってくるものですから、われわれとしてはそういうことはしたくない。それで実は今たっての御要求ならもちろん数字は作りますが、そういう基礎数字自治庁にあるわけなんです。しかしながら一般的には必ずやれとかいう気持は全然ありませんし、またその必要も私はないだろうと思うのです。しかし個々の、特に再建団体とかその他の非常に窮屈な団体では、個別的に問題を考えて、特に年令構成等が非常に無理をしとる、あるいは無理というのは語弊があるかもしれませんが、上に片寄ったというようなところは、つまりもう少し若返りを策した方がいいじゃないかという問題は、具体的には当然に考えられるケースがあるであろうと思うのであります。そういうところではもちろんそれぞれの団体でお考えを願っていった方がよかろうということばもちろんでございます。お前のところやれとか、やるなという気持はもちろんありませんが、かりに再建計画その他のような場合に、総合的にそういう問題が出てくれば、全体的にいろいろ意見を述べるということはこれは私はあり得ると思うのでございます
  14. 加瀬完

    加瀬完君 結局今お話の通りに、あり得るのじゃなくて、あらせるように自治庁指導せざるを得ない、あるいは指導をするということになると思う。というのは、再建法の内容を読みますと、相当強い指導方針というのがうたわれておるわけです。特に今度再建計画策定要領ですか、こういうものが自治庁から出されておりますが、それらを見ましても、これは再建団体では当然人員縮減というものをせざるを得ない。そうすると停年制をしかないといっても、停年制をしけということも当然要求されてくるじゃないか。停年制をしがなければ計画を認めない、こういうふうになってくる。停年制をしいて、何人か整理されたところは定員ワク縮小するという意味で、新陳代謝意味で新しい者を採用するという、今行政部長のようなやり方ではなくて、そこだけは削っておけ、こういうような方針が当然自治庁から言い出されてくると思う、こういうことではございませんか。
  15. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは再建計画の、私ども計画の立て方の問題なんですが、再建計画の上においては、それは給与費全体の総ワクというものをいろいろな事業費関係上どう考えるかという議論は、私は当然にあり得ると思うのであります。しかしながらその給与費をかりにある一定ワクに抑えざるを得ぬといたしましても、その押える方式と申しますか、中身をどうするかという問題は団体によっていろいろあり得るのでございまして、お前のところは定員を何名にしろとか、停年制をこうしろとかというふうなことは、自治庁としては言いたくない。そういう総ワクというものの考え方計画を認める上においては当然にそれは相談に乗る、こういうふうに存じておるのでございます。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 しかしその財政再建計画実施要領、こういう自治庁から出された文書によりますと、はっきりとそういう消費的経費類似団体最低限度というものを押えておる。そうすると停年制というものをしかざるを得ないし、しかし停年制をしいて何人かの者を整理をしたら、これは人員縮減としてそのまま穴埋めはしないでおくという方法をとらざるを得ないので、これは自治体としてはなさざるを得ないじゃないですか。
  17. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) だからそれは個々団体計画上、人件費についてもある程度合理化せぬといかぬという、こういう団体があれば当然給与費につきましては今申しました類似団体なり何なり、そのバランスを考えて、合理的に計画を作らなかったら全体の再建計画は立たぬということは私はあり得ると思うのであります。そういう団体では再建計画が立つ限度において、給与費というものはある程度考えてもらわなくちゃいかぬ。その場合に限り、その目的を達成させる手段方法として、場合によっては今の定員縮減するという問題もあり得ましょうし、あるいは停年制によって若返り考えるという場合もありましょうし、場合によってはその俸給の昇給というものをある程度臨時的にがまんをしてもらう方法もありましょうし、またやり方方法はいろいろあるだろうと思うのです。そのいろいろなやり方最低限度――再建計画を立てる必要やむを得ざる限度の範囲内において、それぞれの団体として一番都合のいい方法をお考えになればいいのであって、そこまでこっちとしてとやかく、こういう方法でやれとか、ああいう方法でやれとかいうふうな考えがない、こういうことを申し上げているわけであります。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかるのです。しかし自治体とすれば、財政計画あるいは財政支出という小さいワクだけ考えてみても、停年制をしく、そうしてこれだけ人員削減する、そこで給与費幾ら浮く、また一方それだけ退職させるわけですから、退職手当幾ら支出増になる、あるいは恩給支出幾ら増になる。差し引きそれがプラスになるとか、マイナスになるとかいう計算が出てくる。もし支出が増の場合にはその分というのは一体どこから出すのか、その財源措置というものを当然自治庁といいますか政府が心配してやらなかったならば、停年制をしいて削減をするといったところで、それは大臣の言う財政合理化ではなくて、財政の不合理化を進めるようなことにならないとも限らない。そうするとその計算というものがきちんとできておらなければ、個々団体といっても、個々団体についてここで停年制という制度条例できめればいいかもしれぬけれども、それによる影響による財源出入りというものは、個々団体では始末がつかないことになる。との一体心配というか、あるいは出入りというものをどういうふうに計画されているか、この点が明瞭でなければ、停年制をしこうといったってしけないような事態に追い込まれると思う。この点で森下委員も前に指摘したわけですが、数字的見解というものを綿密に出してもらいたいということ、そういう点で私ども心配しているのです。
  19. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局個々団体停年制しいたならば、一時的に逆に退職金その他で費用が増高して始末がつかんじゃないか、こういう結局問題だろうと思うのです。それでこれは結局再建計画の場合ならば再建計画全体として、数年にわたるべき問題を考える場合の考え方の問題でありまして、一時に退職金というものが人をやめさせればふえるのは間違いありません。しかしながらその退職金につきましても、御承知の起債方法その他であんばいをつけておりまして、それから市町村ぐらいならば恩給組合なり共済組合なりで退職金のさばきをつけているところもあります。個々団体によってその響き方というものは私は違ってくると思うのであります。  いずれにしろ団体としてみればその計算をやって、やっぱりそうした方が結局経費合理化に役立つ、こういうところで問題が進んでいくわけでございまして、一時に要る金につきましては、今申しました起債の問題なりその他のそれぞれの技術的な配慮でその問題を解決していくべきものだとわれわれは考えておるわけであります。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 そうなって参りますと、起債ワクというものに見合うべき停年制なら停年制待命制なら待命制による縮減人員という想定自治庁も当然されておるわけなんです。ところがその停年制をしくか、しかないかということも、あるいは停年制によって人員縮減するかしないかということも、地方団体にまかせてあるのだということであれば、地方団体が非常にその幅を広げたときには、現在考えている退職手当その他の起債ワクというものでは間に合わないということも考えられる。だからもっとそこのところは合理的に、これだけの人員想定して、これだけの起債を見込んであるのだという説明がなければ私ども納得できない。
  21. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 特に退職金起債の問題になってきますというと、これは定員縮減というやつを実は前提に置いておるわけであります。要するに減員させる、露骨に言えば行政整理ということになろうと思います。それでそういう場合のものにつきましては、それはそれぞれ必要なものをもちろん考えたわけでありますが、停年制の場合にはしょせんいつかはやめる人であって、いつやめるかというその問題で、いつやめるかという問題はある一定のほどほどの年令で自動的に流れるようにしていこう、こういう問題になってくるわけでございまして、これのみを直ちに今すぐに行政整理というふうに結びつけて問題を考えるというと、そこに一種の混乱が出てくる。ちょうど今、何もかにも一緒にやらんならぬ事態になっておるものですから、実際運用する場合においては、同じ団体両方手をかけざるを得ないという場合は私はあろうと思いますが、そうでなくても、財政ゆとりがかりにありましても、年令層がいかにも上の方に詰まっておって、新陳代謝ができぬというところなら、その団体はもちろん考えるところもありましょうし、そういう意味で、少くとも停年制の問題につきましても、どの団体が何人ぐらいやめさせようというようなことは、われわれとしては、実はそういう計算をつけておらぬわけです。ですから、もし、しいてやれば、全くの架空の、ただ計算数字出してみたらこうなるという数字になるだけでございまして、その点はまことに申しわけないのですが、心底そういうのがわれわれの考え方でありますので、お含みおき願いたいのです。特に臨時待命の問題になりますと、これは全く性質が違うのでございまして、臨時待命は、まあ露骨に言えば、やめさせるということで、そのやめさせ方をどうするか、普通の待命制度をとらずに、それはすぽっと首を切るということも一つ方法だけれども、それではあまりひどいじゃないか、こういう制度考えて、しばらくの間、そのまま養っておいて、そうして転職の方法考えさしたらいいのではないか、こういうような問題でありますから、財政上の問題とは私は直接これは関係がない、こういうふうに存じておるわけでございます。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 行政部長の御説明によりますと、これは停年制にしても、臨時待命制にしても、直接財源の問題とは関係がないと言うけれども停年制によって整理される者が出、あるいは臨時待命によって退職する者が出れば、当然これは地方団体とすれば財政に響く大きな問題になるわけです。これだけの今人員過剰だとか給与費合理化だとかいうことが非常に一部に叫ばれておるときに、停年制なり待命制なりというものをしけば、当然これは給与費合理化なり、人員縮減という目的にこの制度が使われることは、これは当然でございます。そうすれば退職手当なり、恩給費の支給なりがかさむことも当然考えられるわけでありまして、それに対する町村あるいは都道府県財源というものをどうするかということも考えないでこういう制度をしくということは私はあり得ないと思うのです。その点は行政部長に伺いましても御無理と思いますから、私は一応行政部長に対する質問は保留いたしまして、大臣が参りましたら、この点がことに疎漏なように思いますので重ねてお伺いしたいと思いますから、委員長におかれまして、そのときはまた質問をお許しいただきたいと思います。
  23. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大臣がおいでになったら別ですが、今のに関連して。臨時待命というようなものは、これは結局首切りの経過措置だと、こういうふうに受け取れるのです。そうしますと、他に転換することができるだろうという見通しがあって初めて臨時待命という制度も出てくるわけです。そういうことについて一体どう考えておるか伺いたい。
  24. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 臨時待命は今率直におっしゃいましたようなことに結局なろうと思います。要するに、これは定員か予算を縮減するということですから、行政整理前提にいたしまして、行政整理をかりにやる場合には、この制度がなければ行政整理によってすぽっとやめさせる、ことに現行の制度はそういう建前になっておるわけであります。そこで、行政整理をやるかやらぬかという問題がお尋ねの根本問題でありまして、団体の立場からして、やらざるを得ない、そのほかに道がないとすれば、行政整理をやるが、その場合にせめてそのやり方を、その職員の立場を考えたり、あるいは人事の運用を考えたりして、少しでもスムーズに、なめらかに行き得る道を選ぶべきじゃないか、そういう意味でこの道を開いたわけでございます。それはしかし、そうやったからといって、個々の人の実際の転職の可能性はどうか、こういうことになれば、これはそれぞれの人の問題、個人の問題、団体の問題でありまして、当然に百パーセント右から左へと保障されているということは私どもとしてももちろん言いにくいし、また人によっちゃそろそろ退いて身を休めるという人もおるかもしれませんし、その点は、当然にそれによって転職の可能性のある道が百パーセントに開かれて行われるということは私としても申し上げかねるわけであります。
  25. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今私は停年制には賛成しないのですけれども停年制に比べてさらに残酷なのは臨時待命だと思う。何しろ、これはどこか一つの道を求めていかなければならない。停年制の場合においては、これは幾分――六十才なりあるいは七十才なりというかうな相当恩給のつく場合も考えられるけれども、全然そういうもののない者は臨時待命によってすでに職を探さなければなりません。これは非常に残酷だと思う。そこで第二条の三項ですな。これは実に僕は乱暴な規定だと思うんだな。「地方公共団体は、職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員となつた職員については、当分の間、条例で定めるところにより、職員にその意に反して臨時待令を命じ、又は職員の申出に基いて臨時待命を承認することができる。」これは実に乱暴なものだ。この規定というものは全く行政府の一方的な考え方で、これはもう職員の行先を心配してやるとか、あるいは転換の道があるだろうとか、あるいはあるからそこへ向けるということは意味していない。御都合でもってぼんぼんとこういうものをやるということになりますと、地方公務員の身分保障というものは全くこれは度外視したものだ、地方公務員法というものは何のためにあるのかわからない、こういうことになってきやしないか。私はそう考える。こんな乱暴な規定というものはあるものじゃないと思う。この点はどうです。
  26. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは実はそうでないのでございまして、現在地方公務員法で御承知の通り身分が保障されておりますが、その意に反して免職を命ずることができる規定がこれに書いてあるわけです。たとえば、公務員法の二十八条を見ますと、職制または定数の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合はその意に反して免職することができるのでございます。そこで、この臨時待命制度がかりになければ……。この行政整理ということは、これはもうまことに異常な事態であって、われわれとして好む事態じゃありませんが、それぞれの団体において、もしそれ以外に道がない、行政整理をやらざるを得ぬことになれば、今の地方公務員法だけでいきますと、今申した条文によって、その意に反していつでも実は免職できるのでございます。それがためには、もちろん定員、定数の改正とか、あるいは予算の縮減という、もちろん議会の審議も経て団体としての最高意思がきまったあとの話なんでありますから、そうしますというと、現行法では当然に個別的に自由に免職を命じ得ることになっておるわけです。そうすれば、とたんに明日からいわば免職という効果が発生するわけです。そのところが、やり方がむしろいかにも無理じゃないだろうか、明日でもすぐに首を切れるということに公務員法でなっておりますが、それは少し無理で、もう少しゆとりのあるやり方の道を開いた方がよかろうじゃないか、それがこの臨時待命制度でございまして、それでこの条件というのは、今申しました公務員法の条件と全部一緒にしてありまして、公務法じゃもっと残酷であるが、そこのところを緩和して、もう少しゆとりのあるやり方の道を開いておかなければ、今のいろんな社会情勢とか、個人の立場とか、いろんな状況を考えて適量じゃないだろう、そういう意味で、それを緩和する意味でこの道を開いたのでございます。
  27. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ただいまの部民の御説明は、まあ緩和した同情的な一つの条文である、こういうふうな説明であったのでありますけれども、しかし考えようによっては、そういう道を開いて行政整理をぼんぼんやる可能性を大にするというふうにも考えられる。なかなか一ぺんに切るということになればめんどうだから、そこでそれを促進するためにはこういう方法を用いて行こう、こういうふうにもとれる。そこで根本問題は行政整理にもくるだろうけれども、現在のような社会情勢において失業者がだんだん出る、またそのために生活ができないで心中をどんどんやって行くというような時代において、そういう一つの首切りを促進するような規定を設けるということは、非常に私は無謀な一つの行き方であると思う。このバックには、とにかく行政整理都合で、これは人員を減らすけれども、他に道があるというふうな、つまり究極的に言ったら完全雇用という道が開けておれば何でもない問題です。その官庁の都合によって人員縮小することは、そのバックが全然ないときにおいて、しかもこういうふうな規定によってびしびしやって行くということはきわめてこれは残酷な話じゃないか、こういうふうに思うが、その点どうですか。
  28. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは臨時待命制度をとるとらぬにかかわらず、結局役所におる者をやめさせる場合に、完全雇用の線が開かれておればできるが、さもなければできぬかという問題になるだろうと思う。その点はしごくごもっともな問題でありまして、現在かりに役所をやめたからといって、当然にそれより以上の生活が百パーセント保障されておるとは私も断言いたしかねますが、しかしこれは役所といたしましてはそれぞれのやっぱり団体としての運営上、合理的な最小限度のやはり人員構成なり、そういう構成というものを持つべきでありまして、個人の立場から言えばつらい場合もありましょうが、公共団体のように国民の税金でささえておるならば、最小限度経費でできるだけの行政をやって行くということも考えなくちゃいかぬところでございまして、それだからこそ、それらの団体についてのこういう職員組織の合理化という問題があり得るわけでございまして、その間の調節を具体的にどうはかって行くか、こういうことになるだろうと思うのでございます。そこでその間の調節をまあできるだけ円滑にはかって行くことも考えぬといかぬじゃないかというのが、われわれといたしましてはこの道を開いた方がよかろうと考えたゆえんなんでございます。
  29. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 行政部長にその点を聞いてもこれは大きな一つの政治問題だから、大臣がおいでになりましたから大臣に答えていただきたい。私初めて今日出て来たのでいろいろ提案の趣旨について伺いたいと思います。提案の説明書を見ますと、いろいろあるのでありますが、第一に提案の説明で改正の要旨として公平委員会の問題がある。市町村の公平委員会を廃止して、その事務を都道府県の人事委員会に処理させるということが要点であったようであります。この問題は政府考えとしては市町村の公平委員会を廃止して、そして都道府県の人事委員会に委託しておる市町村はみな廃止して、そして人事委員会に処理させるということになれば、これは一般の市町村の公平事務というものは組織においても、あるいは能力においても充実しておる都道府県人事委員会が処理することが事件処理についても適正円滑を期することができる、また市町村の行政機構を実際に即して簡素化するゆえんとも考えられる、ここに私は問題があると思う。政府考え方ですね。こういうことになってみますと、いかにもこの都道府県の人事委員会に処理させれば行政の簡素化になり、能率がしるというようなことをうたっておりますけれども、実際は市町村経費の、いわゆる冗費を節減するというところにあるのじゃないか、との点を伺いたい。
  30. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 公平委員会をやめました理由は、その際申し上げました通り市町村の事件が非常に少いという現実の事実、それからこれを取り扱うことにする府県の委員会の組織なり機能がどうであるか、力はどうであるか、こなし得るか、こういう点を見ますと十分な力がある、また市町村に処理しなければならぬ件数が非常に少い、こういう二つの客観的な事実を見まして、今回の処理をしたわけであります。もちろんそれが結果といたしまして費用の減ることも考えられるのでございますが、第一の目的はこの法律にありまする通りの件数が少いということ、片っ方で十分それを処理する力もあるという立場から出ておるのでございます。整理をするためにやるという、金をつくるために、金を生み出すためにやるということが第一義でなかったことを申し上げておきます。
  31. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 これはしばしば、どうも地方財政の逼迫とか、いろいろ財源の不足というようなことで、こういうふうな委員会を廃止するということは従来言われておったのです。おそらく私はこの公平委員会というものを廃止するということも、その根本はそこにあるのじゃないかと思いますけれども、しかしこの経費がそれをうたうためには非常に少いためにうたえないで、こういうふうな形になっておるのではないかと思うが、その点はどうです。
  32. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 先ほどお言葉にもございました通り地方財政が困っておるということは私の申し上げるまでもないことでございます。今回あるいは自主財源という名のもとに、三公社の血の出るような金まで出していただきまして処理する立場から言えば微細なものといえども私は金の上から処理していただきたい。いわんやそれが事欠くのでないのだ、一方に事件の数が少い、他方に十分これをこなす力があるというのならば、私はこの際にそれが地方財政に少しでも助けになるならやはりやっていいことだと信じておるのでございます。
  33. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこで経費の上では問題にならぬけれども、しかし結果においては微細といえどもこれは節約になる、そこに私は非常に味があると思うのでありまするけれども、そういうものではなくして、まあしかし能力が十分発揮し得る人事委員会というものがあるから、それに処理させるのがほんとうじゃないかということならばそこに私は問題が出てくる。そこでその点について伺いたいと思う。私考えて見ますと、地方公務員法でいろいろなことがきめられてありますけれども、その中核をなすものは市町村においてはおそらく私は公平委員会だと思う。このものをとってしまうということば、これは重大な私は地方公務員法の改悪であると思う。地方公務員法には人事機関についても、また職員に適用される基準についてもあらゆるものはこの公務員の身分保障のためにこれはきめられておる、その最終的な問題の解決をする場所がどこであるかというと、市町村におけるところの公平委員会なんです。これはちょうど国家公務員に対して人事院という独立的なものがあって、そこで身分を保障する。いわゆる国家公務員は一般的に争議も何もできない、そのためにそれを保護する、あるいは擁護するという意味から、間違いのないようにこの国家公務員の身分を保障するという意味から、これに対して御承知の通り人事院があって、人事院でそれを処理しておる。その人事院に匹敵するところのものは、私は市町村においては公平委員会であると思う。これを抜くということは、非常に私は市町村のこの公務員の身分保障というものを全然これは他にゆだねていい加減なものにするという立場になると考えるが、この点はいかがですか。
  34. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 国家公務員関係の人事院の問題は、私の所管でございませんから申し上げませんが、ここに問題になっておる地方公務員につきまして、非常に件数が多いとか、これをどうしても訴えて解決しなけわばならぬというものが非常に多いという場合にこの措置をとるなら、問題になると思います。それが非常に少いという事実がここにあり、しかもそれを救済すべくちゃんと整った組織ができておるというのならば、決してこのために御迷惑をかけるというようなことはないと、実質的立場からしてかような措置をとったのでございます。組織として、あるいは機構といたしましての純理論はございましょう。しかしこのために非常な実害があるとか、非常に困るお方があるとかというのは、そこに現われておる件数、過去の件数におきましてもはっきりしておるところでございまするので、理論の点は御指摘のような点はございましょうが、私は地方財政の点もいろいろな点も考えまして、まあこの辺でやることは、上の方でやることはこれは大きな問題でございますが、私が答える限りでございませんが、この程度のことは地方のために決して非常な権利を剥奪をするというふうには私は考えておりませんのでございます。あるいは私の見方が違うかもしれませんが、現実におきましてその問題がここに繰り返されて件数のきわめて少いという事実を見ました場合に、であるからもし将来それがふえたらどうなる、それはまた別問題でございます。あるいは私どもの見込みが違いまして、それまでの措置をする組織になっておらぬとかというようなことならこれは別でございますが、ただいまのところ十分これを行い得る見込みがございまするので、かような法案といたした次第でございます。
  35. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 これは、非常に私は大臣の御答弁は、考え方というものは根本を失っておるものがあるというふうに思うのです。この件数が多いとか少いとかということによって、いわゆる公平委員会というものを廃止するとかしないとかいうことは私は決定できないと思う。先ほども申し上げた通り、この公平委員会というふうなもののやっておる権限と、あるいは処理するところの事柄、これはこの地方公務員法全体の中核をなしているのです。そのものを一体他にゆだねる、件数が少いから他にゆだねるということは、根本的な誤まりがあると思うのです。考えようによってはこの公平委員会というものがあるから件数が少いのじゃないですか。身分が保障されておる。その点はお考えになりませんか。これはもしなかったら、それこそ件数がどんどんどんどんふえてくると思う。これによっていかに公平な、いわゆるその公平事務は行われておるかということをわれわれは考えます。これをそういう案件がただ単に現実に少いのだ、むしろ他の方にゆだねて、これを廃止して経費の節約でもはかった方が、なんというのは、これはもってのほかの考え方だと私は思うのだが、少い理由は、この委員会があって公正に牽制されておる、別な言葉で言えば、そういうところにあるのじゃないか。これはどうお考えになりますか。
  36. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) お言葉の純理論は私も先ほど言いましたように御指摘の通りと私申し上げました。現在において一般の事務処理を都道府県にまかしておる事実もございますことは、これはここに申し上げた通りでございます。また公平事務をなくするというのじゃございませんので、そこの点はあるいは私の考えが行き過ぎかもしれませんが、公平事務そのものは決してなくするわけではございません。これは大切なことであるから、何か私の言った言葉が足らないために公平事務がなくなるようにお考えにならぬようにお願いいたしたいと存じ上げます。
  37. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私はこの改正規定によって公平事務がなくなるようには全然考えておりません。都道府県の人事委員会にゆだねて処理するということは明瞭です。しかしゆだねるという現行法の規定すらおかしなものだと思う。自分のところの一体地方公務員の身分保障を他の方にゆだねるなんてばかげた話はないと思う。それだけ地方公務員に対する考え方が粗雑だというか、いいかげんだというか、そういうことになりはしないかと思う。そこで私は大臣が理論的にはそういうことが考えられるけれども、実質的には人間が少いのだからして、他の方で処理してもいいのではないかというこの考え方は絶対に私は承服しない。なぜならば地方公務員法のこの体系というものは法的に見てもくずれている。骨が抜かれてしまう。そういうふうに考えられる。
  38. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 事件の数だけでなく、現実において委託している市町村も少くないのでありますから、この点は私の申し上げた事実もお考え願いたい。現在市町村でこれを委託していることも少くないということもお考えの中に入れていただきたいと存じます。
  39. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それはとにかく委託されている事実は事実として、そのことが一体いいか悪いかという問題になりますれば、私は根本的な立場から考えても、地方公務員の今後の身分保障というふうな方面から考えても、当然これは委託から返すべきである、そういうふうに考える。しかしこれはどこまで行っても、これは意見の相違になるかもしれませんけれども、しかし筋から考えていったらこれははなはだおかしい。一体さっきも行政部長にも質問したのですけれども、非常に地方公務員というものが、今度の改正案はいわゆる臨時待命の条項を見ても乱暴な規定がある。地方公務員の身分保障なんてことを全然考えないで、ただ行政の都合なんていうことからばかり考えられている。あるいは経費の節減というような方面から考えられて、この考えが一貫しているために、公平委員会も廃止してしまうということが出てくる。その点は非常に私は遺憾に思う。そこでそれは委託した場合を今度さらに考えてみる。この事務処理から見て、政府考えている通りほんとうに一体行政能率が上ってくるか、処理が簡明直截にいくか、この問題になってくる。私はどうも地理的な関係から見ましても、北海道あたりで北の方の端に起ったところの市町村の案件を今度は札幌にあるところの中央の道の人事委員会で処理するということになったら、これは処理する場合にいろいろ精査するというふうな方面から考えても、相当の時間と相当の経費というものがかかってくるのではないか、こういうふうなことが考えられるし、また地方公務員が当面しているところのその人自身にとって、その自分の身分、あるいは案件についてのいろいろな陳述なり、そういうことについて解明するとか、そういうことになっても、これもまた同様時間的に、あるいはまた経費的にもスムースにいくところがないように思う。それを政府考え方はそういうところにゆだねるというと簡単にいく、能率が上る、しかも適正である、こういうふうなことをお考えになっているようでありますが、これは全然私は反対な考え方ではないかと、こう思う。ことに地方の市町村の公平委員会においてそこに起った問題を解決するということになれば、身辺の問題ですから具体的な事実もよくわかっているだろうし、そういうふうなものが処理されて初めて適正に処理されたということになるにもかかわらず、全然それと離れているところのものが、遠いところにおるものが、抽象的な一つの見方でもってそれを処理するということは、これはどうしても私は適正だと考えられない。この点はどういうふうにお考えになりますか。
  40. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 具体的な問題もありますので、まず行政部長から……。
  41. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お尋ねのところはごもっともな点があろうかと思います。現実に言えば、本人から言えば、手紙をすぐ出すのと、札幌から出すのは距離も遠いし、時間もかかる。そういう点もたしかにあり得ると思います。しかし公平事務そのものの処理の適正という問題から考えますというと、とれまた別の見方ができるのでございまして、市町村の公平委員会はまあできてから数年になりますが、なかなか実際仕事もありませんし、人を得るにしても苦労しておる。それで委託の問題などもあるのでしょうが、県の人事委員会は、その道の練達堪能な人が選ばれておられまして、そうして事務局の機構というものも整備しておる。やはりスケールが大きいですから、この人事行政百般についての問題も相当多いし、公平事務につきましても、処理しているケースがきわめて多いのであります。それでございますから、人事委員会自体の事務処理能力というようなことを考えれば、私は正直に申しまして、段が違うと思うのでございます。そこで人事の公平事務というものは、最も人事に関する高度の知識と機能を持って適正に行わるべき問題でありますから、そうした中立的なしっかりとした機関があるところでやった方が現実の事務処理としてはうまくいくのではないか。府県の場合も、府県庁所在地だけでありませんし、府県の出先機関もたくさんあり得るわけでありまして、その例を引き合いに出して申すのはてんで比較にならぬかもしれませんが、そういう意味個々市町村との距離という面は遠くなることは事実でございますが、しかし実際の事務の処理というのは、そういうことでむしろ適正に行われるのではないか、こういうのがわれわれの考え方でございます。身辺におって、事情がわかっておるものの方がよくないか、これも一面ございます。この際、逆に言えば、あまり小さな市町村だと、つまり任命権者と公平委員会とのつながりがむしろあまり強過ぎてむしろ公平事務としては中立性、独立性という見地から言えば、そこのところはかえってどうかという面もこれはあり得るのでございます。そこで両方の見方が成り立ち得ると思うのでございます。要するに公平事務というものを抜き出し考えれば、専門の整ったところでやった方がより適当に行われるだろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  42. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 あなたの考えている建前というものは、全然私の場合とは違う。あなたの考えている建前というのは、とにかくこれを事務的に処理する、こういうところに根本がある。だから簡明直蔵に能力組織の充実しているものがやれば処理できる、従ってそういう組織のないものは廃止した方がいい。この考え方です。そういくべきものではない。地方公務員の身になって考えたらば、地方公務員の身分を保障するという建前でどこまでもいかなければ、そのために地方公務員法というものはあるのです。そうなっていったら、今のあなたのような事務的な処理をするという考えが出てこない。なぜ一体組織なり能力が不充実であったならばこれを充実していくという考えを持たないか。そこへいかなければならない。そうして地方公務員の身分を守っていくということが、それが一体、行政の能率を上げることになる。ちょうど私の考えと逆なんです。平行線なんです。そういうふうな考え方でいくからして、地方公務員法の改正も全部そういう形で出てくる。待命にしろ、停年制にしろ、臨時待命にしろ、公平委員会を廃止する一環とされて、ばたばたとそれを解決していこう。これは非常に私は今の地方公務員の身分から考えたならば情ない話である。そんならなぜ一体いっそのことこれに一般的な争議を許さないか。争議を許しているのなら、こんなものはあってもなくてもかまわない。これ以上にもっと厳格なものを作ってもかまわない。ところがそういうふうなものを全部押えつけてしまったならば、それにかわるべきものはどこまでも身分を守ってやるという立場でいかなければならない。それを忘れてしまって、こういうふうな簡単に処理していくというような立場に立つから今のような答弁が出てくる。この点どうですか、あなたの方の考えとしては。
  43. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはおっしゃいました通りでありまして、公務員法は公務員の身分を保障することが基本でございまして、われわれといたしましてもそれを基本に考えているのでございます。でありますから、公務員法の身分保障というものは、問題は単に公平委員会だけでなしに、任命権者以下全職員を通じて考えるべき根本問題でありまして、そういう趣旨で公務員法もできているし、またそうあるべき問題だと思うのであります。ただ任命権者にだけまかせておいては、ままそれは誤まりもなきにしもあらず、そこで専門的な中立の公平機関というものがあって、最後の公務員の身分を保障する番人を置いておく、こういうことだろうと思うのでございますが、そこでその番人をどういう形で置いた方がより適当か、こういう問題に私はなろうと思うのであります。公務員の立場からいっても、あるいは全体の行政の立場からいっても、どっちがより適当であろうかという、こういうのが結局公平委員会と申しますか、公平事務の処理の仕方の私は問題になりまして、現在公務員法ができましてからの実際の経緯から考えましても、現状から考えましても、むしろしっかりとした権威のある公平機関というものを厳として据えておいた方が、市町村の職員の身分保障のためにも欠くるところがあることばないのではないか。全体として考えれば、それぞれの市町村にそうした形で置いておくよりも、こういう形に統一して立派な専門機関にまかした方がその面からいっても支障がないどころか、むしろわれわれとしては目的にかなうゆえんもあるのではないか、こういう考え方から出ているのでありまして、その意味の身分保障を確立するという基本の趣旨は若木委員とわれわれとはもっとも変っておらぬつもりでございます。
  44. 小林武治

    小林武治君 議事進行について。大臣が見えておられるからほかの方でも大臣質問があればなるべく大臣に集中されるように希望します。
  45. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ごもっともです。ちょっと私から委員各位に御注意申し上げますが、前回も申しましたように、すでに理事会で一応打ち合せました線からずいぶんはずれて質疑応答の時間を続けております。大体委員長といたしましては、本日をもってこの法案についての質疑は終了していただきたいと考えております。きょうは午前中予算委員会関係があって大臣の御出席がおくれましたけれども、なおいろいろとほかの委員会があるとも限りません、ないとも限りません。お出かけになると困りますから、ぜひ大臣のおられるときに重要な問題について大臣に質疑を先に集中していただくように委員各位にさよう希望します。
  46. 森下政一

    森下政一君 きょうは大臣午後はどうなんですか。
  47. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を起して。
  49. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の問題にちょっと連続していくんですが、一体政府考え方として私は非常に矛盾があると思う。というのは、今のお考えでは市町村にまあ公平事務を処理させるということは、組織も十分でないし能率も低い、こういうふうなことで都道府県の方にこれを移すと、こういうことになるわけなんでありまするけれども、それではこの政府でもって一生懸命にやっておる市町村の合併促進問題はどういうふうになりますか。あれは町村の規模を適正にする、そして合併が出てきておる。だからして町村の強化をはかっていっても、それと矛盾した形においても、この町村の公平委員会というものを廃止して都道府県に移す、これは一体どういうことになるのですか。一方において合併さして適正な規模を作っていったならば、そういうふうな委員会なり行政の組織というものはきちんと作っていくのがほんとじゃないですか。この点どうですか。お伺いしたいと思います。
  50. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 合併の方は、この問題だけでいっているのじゃないことは申し上げるまでもございません。公平委員会の立場というものは私も申し上げ、今部長が言われた通りでございまして、合併の問題とからんでいく場合もございますが、理詰めから言えば処理は別の問題じゃないでございましょうか。
  51. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 いや、大臣は僕の質問を取り違えておる。町村の合併ということは、町村のこの行政規模といいますか、あるいは町村全体の規模といいますか、これを適正にはかって、だからある人口の程度もあげていく、そうなってくると当然これは組織が充実されていくということになるのです。そういうときに当って公平委員会を廃止するというのは、これは矛盾しておるじゃないか、こう言うのです。むしろそういうものは充実されていくべきじゃないか。こうなんです。合併の事務とかそういう事実とかいうものとからめて言うんじゃない。私は根本の問題を聞きたい。矛盾があるのですね、政府考え方に。
  52. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) あるいは私の言うのは少し理屈に落ちるかもしれませんが、今までそういう事件が市町村全体として多かったというならば、合併すればやはり多くなるという事実になりますが、少いという事実があり、市町村がこれを上へまかしておるという事実もあるときにおきまして、十のものが三つ集まって三十になるというのだから、こういう問題もそのように見るというのは何か私としてはまだ自分で納得がいかないのでございます。
  53. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 納得いくはずないですよ、大臣考えなら。どうしても多いとか少いとかいう問題にとらわれて、全く事務の処理ばかりを考えておる。そうでないというのです。わしは。公平事務というのはさっきから何べんも繰り返しているように、地方公務員にとっては非常に重大な問題であって、しかも地方公務員法という法律の構成から見ても、総括さるべきところのものはこの公平委員会とか人事委員会というものなんです。それを廃止するということは地方公務員法というものをめちゃくちゃにする、骨を抜いてしまうその考え方というものは、さらに言いかえれば地方公務員の身分の保障ということをあまり考えていないということになる。だから多い少いにとらわれておる。そこなんです。規模が大きくなって充実されていったら、十分それを守ってやる組織も充実していくのがほんとじゃないか、こうなんです。
  54. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 理論につきましては、もう先ほど私御意見の通りのことを申し上げたので、公平委員会の本質ということについての私の意見は先ほど申し上げた通りでございまして、ただ今回この法案を出した理由というのは、ここに書いた通りのことでございます。あるいは私の見方が違うかもしれませんが、公平委員会の理論そのものについては私は御質問通りだと思っております。
  55. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それで非常に遺憾に私は思うのです。そういうふうなことを認められておったならその理論にのっとったところの一つの法律というものが出てこなければならない。それを別な角度からこういう改正をしていくということは非常に遺憾である。この点は考え方が違うので私はもう追及いたしませんが、大体公平事務の処理につきまして大臣そういういう点を私は……。
  56. 森下政一

    森下政一君 私大臣一つ。本質的にお答えいただきたいのですが、過日この案の御説明のありましたのを繰り返して読んでみますのに、停年制実施ということについてはどうにも財政的な事情というものが考慮に入っておるというふうには説明ではお述べになっていないのです。ところが過日文教委員会との連合審査の際にこれは二律的に考えてくれということ、停年制それ自体は職員の新陳代謝を公正にすると、そして能率を上げるのだと、だけれども同時にまたそのことによってこの制度が設けられることによって老令な高給者がやめていくと、そしてこれにかわって新鋭の比較的給与の低い者がかわっていくということのために、財政的にさなきだに赤字に困っている地方団体が救済されるということも確かに一つ考え方なんで、だから二律的に考えてくれと、こういうお話であったのです。だから私はさもありなんと思うのです。最初に大臣説明されておってちっとも財政のことに触れておらないのはむしろ間違っておりはしないか。細部にわたって地方制度調査会の答申の次第にもあったということを述べておるが、細部にわたる地方制度調査会の答申もやはり地方団体の赤字ということが大きく取り上げられてその上にこそ停年制を設けるべきだというふうな答申がなされたものだと私は思う。そうなれば当然大臣のお考えの中には財政的な要請というものもこれはどうしても大きく取り上げなければならぬというお考えがあるのだと思う。だからそれについて自治庁としてはもとより府県の条例にまかせるということになるのだから停年制の道を開こうというだけのことで果してどれだけの団体条例でさようなことをきめるか、またきめるにしてもどこに一体その停年制年令の線を引くのかというふうなことは何も指図するわけではないから見当がつかないが、事務当局の答弁でどうもはっきりしたことをつかめないけれども、先般の連合審査のときにも大臣が常識的に何もそう指示しようとは思っていないけれども、五十五才ぐらいが停年の常識じゃないかと思うとおっしゃったが、これは私しごくあり得ることだと思うのです。そこで大体五十五というようなところに見当をつけて、そうして、かりに、職員の新陳代謝が渋滞しておるというような傾向があるということを提案理由の説明の中で述べておられるが、そういう客観的な事実があるなら、おそらく三十五ぐらいで線を引いた停年制というものが一斉に設けられることになりはせぬかというような一つの見通しをもって、そうなったときには、これくらい赤字が助かるのだということをおっしゃっていただいていいのではないか。そのお見通しはどうなのかということを働くのだけれども、事務当局からはそれをただすことができない。その点一つ大臣に聞きたいのです。
  57. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) ごもっともなお言葉と存じ上げます。私はこの前申しました通り、本質的に言って、新陳代謝、それと二律的に地方財政の点を考える。しからば、これを実行するにはどうするか。条例にまかしていく。実はそのときにも今森下さんのお言葉にもありました通り、私は大体五十五というようなことを申しましたが、実は今の健康と申しますか、人口論の建前から申しても、五十五の説にもだいぶ異議があるのでございます。ことに、地方と申してもその多数を占める市町村における仕事を見れば、いわゆる単純なる勤労的な仕事もあるし、そうでない専門的な仕事もございます。そういう特別な場合を抜いてみて、まあ五十五と申しますか、最近の体の状況から言うと、あるいは国家の場合まで一緒にして考えれば、六十才説というようなものも出ておるのでございまするから、私が五十五と申し上げましたのは、これは大まかな感じにすぎないのでございます。むろん例外が非常に多い。技術的、勤労的、専門的というような分類をしなければならず、現在国家におきましても、あるいは大学の先生ですとか、裁判官とか、あるいは自衛隊の年令とかいうものをつぶさに見ますると、非常に考えさせられる点が多いのでございます。しかし、いずれにしても、どのくらいなめどをもつて地方財政に貢献すべくこの停年制があるかということになりますると、第一の問題は、条例にまかしたというのは、本来この問題は、地方制度調査会の答申にもあります通り、やれ、年来の声である、こういう建前から出ておるのでございまして、こっちが五十五という場合には、どれだけの人があるという数字はたしか事務当局で調べておりますが、ここで切ってしまっていけるかという見通しになりますると、条例にまかしておりまする以上、どれだけというだけの腹づもりもむずかしい。あるいは事務当局が私のいないときにどういう返事をしたか知りませんが、私としては条例にまかしておる。という意味は、大体の標準をどこにおいてどのくらいの金が浮くかというところまでないけれども、ただ事実は、どこでも言われておる長い間の問題であるから、取り入れたらよろしい、道を開くというところにあるわけでございまして、私の腹づもりとして、どのくらい財政計画上にも助かるかというようなことは、この点につきましては、まだはっきり腹がきまっておりませんです。しかしやらなければならぬ事実である、そういう声があるという意味におきまして、この案が出たわけでございます。
  58. 森下政一

    森下政一君 事務当局の答えも、大体大臣の意向を体しておられるのでしょう、似たようなことで、結局大臣は二律的に考えるべきだとこの前おっしゃったけれども、今のお答えによると、結局、まあこの制度を創設することによって、派生的に、先刻申しますような新陳代謝が行われると財政的にも助かるところができる、だから財政上の救済にもなるということを認めておられるだけのことであって、計画的にこれくらいのゆとりができるだろうということは全然ない、こういう御答弁のように聞くのです。そこで、私は地方制度調査会の答申なんかも、先刻申しまするように、どうしても当面しておる赤字の解消ということが大きく取り上げられて、そのゆえにこそこういう制度をしけということを答申したものと思う。そうでなしに、大臣説明ではどうも地方公務員の新陳代謝が渋滞しておる傾向というものがあるということを述べておられるが、その財政問題と切り離して、客観的に、新陳代謝が渋滞しておる傾向が確かに顕著にある、事務当局の自治庁は、現にこうだという何が材料を持っておられるのでしょうか。単なる声というのでなく、何か顕著な事実があるのですか、特に私は大臣に聞きたいのですが、私どもどうしてもふに落ちぬのは、国家公務員についてはこういう企てがないのに、地方公務員についてこういう企てがあるということは、財政上の理由だと私は思っておるのですが、ところがその財政上の理由がきわめてぼやけておる、それはどうも納得できないのです。地方はこういうような赤字に悩んでおるのだから、この際にこういう道を開いて、自治庁の見ておるところでは、これくらいのかさの赤字の解消に寄与せしめたいというくらいな考え、そこに、国家公務員にはしいていないけれども地方公務員に対してはぜひこの道を開いて新しい制度を創設したいのだ、こういう確固たるお考えがなければならぬと思うのだが、肝心のところにいくと、どうもこれは見通しがないのだということをおっしゃる、しかも国家公務員とは別の制度だとおっしゃる。なぜなんだということをこれは大臣から聞きたいのですがね。
  59. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) たしか御説明のときにも申し上げたかと思いますが、かつてそういう停年制をしいた時代があり、その後に、戦後におきましてまたこれをやろうとした所もございますが、法律的にも解釈がむずかしいというのでこういうふうに出たわけでございます。私は、その点につきましては、現在各地方におけるほんとうに涙ぐましいほどのまじめな町村の整理が行われておると思います。こちらが指導するというようなことでなく、そういう意味から言えば、年来の声であるこの停年制の問題も、希望するその市町村におきましては、必ずこれを実行して財政上に寄与するところ相当あると思います。しかし、希望せざるものにつきましてしいることもできませんので、自治体の自由にまかしているわけでございますが、財政計画上においては、たしかこの方の数字は見積っておりませんけれど、あるべき地方財政の姿としてその需要面を考えるときに、私は、それぞれのこのことを痛切に感ぜられる市町村におきましては、これを断行されまして、よき結果が出ると、かように確信しておるものでございます。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 よき結果が出ると確信しておられるというのであるならば、こういう停年制なり臨時待命制なりというものを施行するときには、いずれ具体的な指示というもの、あるいは基準というものを自治庁は当然お示しになると思う。そうであるならば、そういう基準を作るべくいろいろ資料もお集めの上に御検討をなさっておるはずでありますから、こういうような方法でやればこれだけの財政的な寄与がある、こういうふうな方法でやればこれだけの財政支出縮減ができる、といったようなものがなければならないはずだと思う。この数字について、森下委員も御指摘しておりますように、全然触れておらないというのは実に私はおかしいと思う。この数字を、いずれまた休憩になるでありましょうから、再開のときに、一応試案でもけっこうです。自治庁考えておる一、二の試案を具体的な数字としてお示しいただきたいと思うのです。それから検討しなければ、問題の解決はなかなかできないと思う。これをぜひお願いしたいと思います。
  61. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の停年制の問題で、私大臣に聞きたいと思うのですが、提案理由にこうあるのです。地方公共団体にありましては、停年制を設けていた例が多かったのでございますが、現行の地方公務員法のもとでは、停年制を設けることは解釈上疑義があり、その結果各地方公共団体においては、合理的な職員の新陳代謝が渋滞する傾向があり、人事管理の合理的云々とあるのですが、これは一体どういう意味なのですか、解釈上の疑義がある……。
  62. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 解釈上の問題ですから私からお答えしたいと思います。これは現在の地方公務員法では、職員の意に反して免職できる事由というものが法律で今列挙されておるわけです。その列挙されておる以外にはできない、それがまあ身分保障の法律的の最たるものでございますが、そこでその場合にその法律に列挙されておる以外の事由をかりに条例で作って、停年は一種の意に反する退職、かりに六十になればその意思のいかんを問わず、やめさせることになりますから、そこで公務員法の二十八条の例で言えば、条例では自主的に何でも一般的なことはきめられるようになっておるが、少くともこの問題についてきめるということは無理じゃないか、こういう解釈を自治庁としてはとっておるわけでございます。
  63. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大臣さらに伺いますが、この解釈上の疑義というようなことから考えていって、現行の地方公務員に停年制のことをはっきりしなかったというのは、私は疑義があるのではないかと思うのです。ということは、私どう考えてみても、第十三条の平等取扱の原則というのがある、こういう点から考えていけば、むやみやたらに停年制なんというものはこれは考えられないのであります。そう思うのです。矛盾するように思うのです。停年制をしくということは。この平等の原則というようなものについて、どういうふうな一体お考えを持っておりますか。
  64. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この十三条の平等取扱の原則につきましては、もう全然問題がないと私は思っておるが、これはすべて国民はこの法律の運用について、人種とか信条、性別、そのほかいろんなものによって差別されてはならない、こういう解釈でありまして、停年制が施行になれば、停年制のもとにおいては、団体の職員は一律に公平に扱われるわけであります。そういう趣旨が第十三条の規定の趣旨だろうと理解しております。
  65. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 御都合のいい解釈だと私は思うのです。部長、都合のいい解釈です。あなたのは。平等の原則というのは、その条文に現われたようなものでなしに、いわゆる条文の言外に、一部に地方公務員というものを保護するところの意味が含まれておると思う、そういうふうなことから考えて、どうしても私は停年制というものは、これは一体身分保障をしない立場に立って、地方公務員法というものを逆の方向にもっていくものである、こういうふうに考えるのですが、停年制もはいりますよ、平等の原則の中に。なぜ一体年令によって差別するか。
  66. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) だからこの十三条の意味は、そういう法律の運用上人種とか信条とか性別その他、門地とか社会的身分、政治的な見解等によって差別をされないというだけでございまして、停年制という制度をかりにしけば、その制度の運用につきましても、お前はどうだから、こうだからということをやらないという趣旨だと思うのでございます。これはもう停年制だけの問題でなしに、現に定員が過剰になって、免職を命ずる場合だって同じ問題でございまして、命ぜられるものもおれば命ぜられぬものもある。しかしそれは平等の原則に反するということにはならないのでございます。そういう法律を運用する場合には、こういうようなことによって差別をしない、こういう趣旨だろうと解釈いたします。
  67. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 あなたはどっちを一体根本にとりますか。十三条の方を根本にとるか、事務的な処理をする方を根本にとるか、私はこれの一項を入れてあるということはきわめて重要な一つ考え方からできておると思いますが、この点はどうですか。
  68. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 十三条はもちろん公務員法の基本的原則の一つでありますから、当然そうだと思います。しかし地方公務員法の適用の問題と、今の停年制の問題とはかかわりがない。停年制の採用そのものについての問題とかかわり合いがない、こういうことを申し上げたわけであります。停年制によって、たとえばある人種のものは幾つで、他の人種は四十五というようなことをやれば、この平等取扱の原則からまっこうに反対しますが、そういうことをしちやいかぬというのがこの十三条の趣旨だろうと思っております。
  69. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 きわめてそれは都合のいい解釈だと思うのです。この提案の根本精神というものを生かしていかなければならない。その次の条文にもある情勢適応の原則ですか、この二つは非常に私は重要なものだと思う。それとかかわりないからして、停年制を云々ということにはならないと思う。どうしてもこれを基準にして万事地方公務員の保障をするという方向に進んでいかなければならないと思う。はなはだ遺憾だと思います。
  70. 森下政一

    森下政一君 それから私はあなたに確かめたいのだが、ただいまの説明に、現行法のもとでは停年制というものをしくことに疑義がある、疑義があるというのはどこなんですか。こういう点に抵触しやしないかという点があるでしょう、現行法では。
  71. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それじゃもう一ぺんはっきり申し上げます。地方公務員法十三条、二十八条ですね、二十八条には、「職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」要するに職員の意に反して職を退けるという規定が二十八条に列挙されているわけであります。そこには勤務成績がよくないとか、心身の故障のために支障があるとか、あるいは適格性を欠くとか、定数の改廃等によって過剰になる、こういうふうに列挙されているわけです。そこで、(「まじめであってもやめさせるのか」と呼ぶ者あり)かりにまじめでありましても、定数の改廃等があれば、当然これは切れるわけです。これは当りまえです。定員が多くなれば、そういう場合に条例でいろいろなことをきめられるという基本原則が片っ方にまだありますから、停年制をとって、ある一定年令にきたならば、当然やめるということを自主的な条例できめられるか、こういう問題がある。そうしますというと、二十八条にこういうふうにはっきり列挙してありますから、その列挙事由の中に入らぬじゃないか、かりに一定年令に達した場合ということになりますから、そこでそういうことをやるのは、いかに自治的な立法権があるといっても、条例といえどもそれは制定できまい、こういうのがまあ僕らの解釈なのであります。地方で条例で作っていいかといって相当研究した所があるんです。そんな所は、もうそれは法律上無理だということで、実は今までけってきておったわけです。それですから自主的に、いわば自治体の法律であればそういうことも作り得るようにだけはしてもらえぬかというのが今の自治体の強い要望で、それで、そういう条例であれば一応開き得るようにしようじゃないか、こういうことにしたのがこれであるわけなんです。条例にも、たとえば二十七条くらいをごらんになりますというと、ものによっては法律で特定しているものもあれば、ものによっては条例で広げているものと二つあります。休職事由などというものは法律でも書いてありますが、なお、条例で拡張をしていい授権規定がここにあるわけです。それでありますから、そういう授権規定もないから、法律上の解釈としてはそれは無理だろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  72. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ―――――・―――――    午後二時十五分開会
  73. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き地方公務員法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。
  74. 森崎隆

    ○森崎隆君 大臣にお尋ねいたします。朝来、加瀬委員森下委員等からいろいろ大切なポイントについて質疑がありましたが、どうもはっきりした返答が与えられないのは非常に遺憾でございます。観点を少し変えまして、再度お尋ねいたしたいと思いますが、私は停年制ということにつきましては根本的には賛成いたしたい、これは文化国家といたしましては当然停年制をしくべきで、六十才になってもまだ働かなければならないような生活環境というものは許されない、むしろゆっくりと老後は休んでいただいてエンジョイしてもらうという行き方といたしましては、停年制はぜひやってもらいたい。特にできるならば、なるべく若いところ、五十五才あるいは五十才くらいまでで働かなくてもいい、あとはゆっくり生活を楽しむ権利があるというような行き方が最も理想的であり、望ましいものであると考えておりますが、いささか今度の停年制というのは、そういう理想的な形における停年制とは趣きを異にしておるように私は考えるわけですが、それでこの停年制の問題につきまして、まず最初にお聞きいたしたいのは、この国会で今ごろこの法律を出されましたには、この時期等から考えまして、今出すことが適当だという何かはっきりした動機があるのじゃないかと思うので、何かそういうはっきりしたものがございませんでしょうか。もちろん提案趣旨説明にはいろいろ書いてございますけれども、これは法律その他の関係から、やむにやまれず出したということになっておりますが、今これが出るということにつきましては、何かそこに、この提案理由三点をあげてありますが、三点とは別個に、もっと根本的な動機があるのじゃないかと思うわけなんです。この二点だけから考えますと、これは去年出してもいいし、一昨年出してもかまわない。また一年ぐらいすれて来年ごろにこれを、あなたがおりますれば、あなたの手で出されてもこれはかまわない。急ぐともなく急がないともなく適当な時期に出されていいわけなんですが、今出されましたにつきましては、いろいろ地方団体財政状況なんかとどうしても結びつけて考えざるを得ないような気持になるのですが、そのあたり長官から端的に、もし速記がよくなければ速記をとめてもけっこうですけれども、腹を割ったお話をお聞かせいただきたいわけなんです。
  75. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 私は自治行政につきましては非常に未熟でございますが、頭を突っ込んでみますると、実はこの問題についてもその他の問題でも、私どもとしては今まで、私の率直な感じで申しますと、おくれていたのじゃないか、もっと早くいろいろ処理すべき問題があった、そこへ持ってきて例の赤字の地方財政になりましたので、さらに私としては過去におくれたということを強く感ずる点がございまして、今回出したようなわけであります。ほんとうの偽わらざる私の感じでございます。
  76. 森崎隆

    ○森崎隆君 どうもその点はっきりした御答弁がいただけないのですが、今この法律を施行した場合、これが法律になっていよいよ実施した場合に、これはもう長官個人の御意見でけっこうなんですが、各地方団体等におきまして、これをさっそく条例等で停年制をしく可能性がどの程度あるか、これを承わりたい。見込みがなくてはこれは考えられない法案提出だと私は思います。大体法案提出者としましては、どの程度、これは朝からいろいろ聞いたところではっきりわかりませんが、条例上何才できめるか、あるいは条例できめるところは幾つ都道府県があるか、これはわかりませんからと逃げておられますけれども、大体のめどというものがあるのじゃないかと思うわけであります。それがありましたら一つ伺いたい。
  77. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 森崎さんからもお尋ねがあり、またその前からもお尋ねがありまして、ただいまもまた繰り返しての御質問でございますが、実際申しまして、条例でやるということを考え、また今までやりたい点も市町村などは特に多かったのじゃないかと思います。試みにいろんな数字を調べたものがありますので、これとても条例を出すということがそもそも相手のことであるし、それから何才ぐらいかということも向うのことでありますし、何年ぐらい勤めたということも向うのことでありますし、いろいろ条件が未確定な部分が多いと思いますが、不完全ながら腹づもりとして事務当局に作らせたものがありますので、それを御説明いたさせます。
  78. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ただいま大臣からお話がありましたが、これはお手元にも前から資料として、新陳代謝による給与節減額調べと、こういうものを一応参考に差し上げておいたはずであります。これをごらん願えば、五十五才以上の一般職員の平均給与額というものを出し、それから新規採用者の給与平均額というものを一応出しまして、そうしてその差額が幾らになるかという数字も参考に出してあるわけでございます。結局その数字が基礎になりまして、それともう一つは、その者がやめたらもらえるであろう退職手当、恩給年額というものがもう一つこれが参考になるわけでありまして、その資料も実はお配りいたしてあるわけでございます。結局それだけの数字がありまして、その上に何人ぶっかけるかという数字を実は今までにお出ししておらないのであります。そこのところは前々から申し上げます通り、全市町村、全都道府県が五十五才以上か、あるいは六十才以上で、かりに一律にやったとすれば、その上に数万、四万とか何万の数字をぶっかけると、こういう数字になるのでありまして、その数字を出せば実は相当な数字が出てくるわけであります。出てきますが、それがわれわれとしては何十億、百億とか、二百億とかになりますと、当然自治庁としてはそれ以上のものを一斉にみんなやらせるのかということになりまして、そこはわれわれとしてはそこまで考えておるわけじゃないのでありますから、そこで何億という数字を、今申し上げかねるわけですが、かりにそのうちの何割取ったといたしますと、それならどこの県とどこの県を計算に入れたのかと、そういうことになりましても、それぞれの県をこっちが勝手に指定してとらえてもそこに無理が出ると、そういうことで実は今まで煮え切らない御答弁を申し上げておるのであります。数字の点になりますと、そこのところを一つお許し願いたいと思います。
  79. 森崎隆

    ○森崎隆君 その話はよくわかりましたが、結局この問題は何と申されましても、いずれ再建団体等がはっきりしてくるのじゃないかと思います。その場合これに対する指導性はどうしても自治庁としては持たれると思う。そのときに一番私がおそれますのは、お前の県はどうだとか、お前の市町村はこうだとか、一つの条件ですね、再建団体に対する一つの条件として自治庁は正式には出さない場合があります。どうかこうかわからないが、こういうふうに機械的な恰好の通牒を出して、そうしないとおぼしめしが悪くなるというように仕向けて行く、こういう空気があると、これはこういうことを条件にお入れになるのですか。
  80. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) この点は再建計画のときに、個々団体再建計画を承認するというときに、これらのものを条件にするかしないかという問題ですが、あとでこれは財政部長から御説明があると思いますけれども、われわれはそこまで再建計画考えているわけじゃないので、先ほども申し上げましたように、結局給与費の増加というものをどうするかということは当然審議の対象になる。そこで給与費はある程度押えざるを得ないといたしましても、押え方というのは今の定員の問題もあったり、それから今の昇給昇格等の問題もあったり、あるいはこの停年の問題もそれはあり得るかもしれません。そういういろいろな要素がからみ合わさって問題が処理されればいいのでありまして、必ず停年制をしかなくちゃいかぬという必要も、それぞれの団体年令構成等から考えて必要のないところもこれは当然にあり得るのであります。そういう意味でありますから、それは個々具体の、給与費全体の合理化の方策の問題として自治体が適当にお考え願ってしかるべきじゃないか、ただそういう総ワクをどうするかということについての御意見は、それはこちらとしても全体の再建計画を編成する上において、ある程度そのワクのめどは考えざるを得ませんでしょうから、そういう意味につきましての意見は、もちろんこれで再建計画が成り立つか、成り立たぬかということについての意見は申し上げる、こういうふうに存じておるのでございます。
  81. 森崎隆

    ○森崎隆君 問題はやはりそこにあると思うのですね、この停年制をしくということを口には言われないが、これをしいて条例をはっきりして持ってくるまで、この計画は何回もだめだ、だめだと言われて、結局停年制をしいてその年令声相当引き下げてやってくると、それじゃこれならよろしいということに持って行く行き方が従来あるわけなんです。問題はそこにある。それは別といたしまして、長官にお尋ねいたしますが、朝も個人の御意見という形で五十五才というめどを一応立てたように考えておりまするが、これはいかがでしょうか、もしこの法律ができ上りまして、地方団体がこれについて条例を決定する場合、大体五十五才前後のところできめるなら停年制をしくというように考えていらっしゃるのでございましょうか。
  82. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 私は五十五以下じゃいかぬと、こういうように五十五を一番下に考えているのです。五十五というのは大へん世の中の事情が違ったり、健康状態も違って参りましたから、世間で今までのは五十五が多いのです。国でも地方あるいは事業界は大体五十五でございます。いろいろな材料を示したそんな例もございますが、五十五が日本の今の団体の原則のようですが、このころの寿命の状況とか、精神力とか、医学の進歩とか、いろいろな点を考えなければならぬと思います。やはりそんな点は徐々に上へ上るのじゃないか、ただ私のこの前言った五十五というのは、世間がそうだ、事業界がそうだ、官庁も大体今までは五十五が実際のめどじゃなかったかと思います。しかし五十五以下じゃいかぬとして、前後といってもどちらに前後になるか、それは五十五より上になるというのが今の常識じゃないかと思います。
  83. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の五十五才というのは、男女のいわゆる性別はどういうふうにお考えですか。
  84. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 性別の問題がございますし、それから今の仕事場の問題があるし、勤労問題があるから、ものによってはもっと早くしなければならぬものもあるかもしれませんが、普通の男女、男と女の区別、それから昨今どこかで整理して、女の人が非常に若いところで上げられたということを新聞で見ましたが、私はそこまでは詳しく研究しておりません。ただ最近は婦人の働く範囲も広がって参りましたし、十分注意しなければならぬ問題と思っております。日本特有な嫁入り時期なんという問題もございますし、今、男と女を一緒にしていいかどうか、私も今踏み切っておりません。
  85. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 さっきの行政部長の解釈からいっても、十三条の平等の取扱いは性別を認めておらないのだから、そこは一つ考えておくべきですね。平等の原則からいえば性別は明らかに出ている、これは部長の解釈でも何ともできないことだと思うのですがね。
  86. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 先ほどの十三条にはちゃんと規定がありますから、その点やはりよく考えなければいかぬと思っております。その通り考えなければいかぬと思っております。
  87. 森崎隆

    ○森崎隆君 今も御質問がございました点でございまするが、実際地方の実情を考えまして、たとえば教職員のような場合、これは大体五十才前後で勧告があったり、特に女子教員等につきましては、四十五、六才で、どうだ、そろそろ一つというような話がある例がずいぶん都道府県にはあるわけです。これはゆゆしい問題だと思って、このときにやはり地方公務員法なんか適用いたしまして、基本的な人権の立場からこれなんか指導しなければならぬと思っております。そういうような空気が地方自治体にはあるわけなんでございますが、そこへもってきてこれを法律で施行いたしますと、得たり賢しで、せっかく長官の最も常識的な線として期待されておりまする停年制というものが、五才あるいは十才とずっと引き下げられて、これを押しつけられるというのは、これはゆゆしい問題だと思います。私はこの点について自分の意見を申しますならば、何とかこの法難の内容に、あるいはこの法律の内容に盛ることができませんでしたならば、何か付則なり何かの形で、五十五才をめどといたしますような、ただし五十五才を下らざるというような一つのくくりをやってもらえば、これまた一応納得のできる点があります。ですから五十五才がいいか悪いかは別問題と思いますけれども、少くとも最小限度、長官の考えていらっしゃるような線というものをはっきり政府の所信として出すべきものだと思います。ここに私はこの法律に非常な危険性があると思う。もう一つそれに関連してお聞きいたしたいのは、そういうような危険性が、私たちから考えますと非常にある、これを地方団体にまかしておくと今のような事態が起ると思うのです。これに対してどういう手を打たれるか、四十五才や五十才未満で首切りになっては大へんなんです。そういうことが出ないとは限りませんが、それを防ぐ方法として何か考えていらっしゃるか、いらっしゃらないか。
  88. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今お尋ねの点はごもっともで、実はこの法律にも、退職年金及び退職一時金の制度との関連において適当な考慮を払わなくちゃならないという趣旨の規定を入れましたのは、もっぱら今までお尋ねの趣旨から、これで普通芳年停止問題が考えられる、それで大臣もおっしゃいましたような五十五という問題も、これにからむ問題として若年停止は五十五才になっておりますから、そういうような振り合いもおのずから出てくるように、規定もそれでその趣旨を明らかにした一わけであります。
  89. 森崎隆

    ○森崎隆君 それでは二十八条の改正の「適当な考慮が払われなければならない。」という中には、少くとも最低限五十五才以上という意味が当然入っている、そう解釈していいわけですね。長官からはっきり御答弁願いたいと思います。
  90. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 今、部長が申しました法律の文句をすぐ読むとおかしくなりますけれども、ここにありますように、「特殊性並びに退職年金及び退職一時金の制度との関連について」、つまりその点をよく考えてと、こういう法律の解釈は少し危いのですが、そういう意味にこの法文は作ったものでございます。さよう御了承をお願いいたします。
  91. 森崎隆

    ○森崎隆君 それで今の若年停止の問題を防止する意味趣旨を十分ここで生かしてくれるわけですね、さように確認しておきます。  それからもう一つ、私不審に思いますのは、給与にいたしましても、年末手当等にいたしましても、その他の問題は大体に国家公務員法が中心になりまして、あとはみな国家公務員に準じている場合が多いようであります。すべてがそうなんです。準ずるということは、地方公務員は国家公務員の域にまで達すれば、これはせいぜい上々の部であって、それより粗末な場合が非常に多いのであります。そういう場合が特に給与の場合でもはっきりしておるわけなんでございますが、この停年制の問題だけにつきましては、地方公務員に先に押しつけておいて、あなた方が、その一員である国家公務員の方はわれ関せずえんとしているのは、これは何か特別の理由がなくては私どもとしては常識では了承できない。まず率先垂範して、国家公務員の方はちゃんときめて、そして地方公務員はこれに準ずることを得ということにしておれば、これはごく簡単なわけですね。そうしてそこで若年停止というのを排除しながら、五十五才なら五十五才のめどを立てて実際実施して行くと、地方の団体におきましてもそれを範として、自然に無理なことのないように準じて行ける道がつく、私は当然国の法律はそうあるべきだと思うのですが、これは一体どうして逆に地方公務員に停年制を先に押しつける……、押しつけるということは悪いですけれども、これにきめておいて、国家公務員の方は全然知らぬ顔の半兵衛ということはどこから出ておるのか、何か特別に正当な理由があれば、この際はっきり承わりたいと思います。
  92. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはしごくごもっともな問題でありまして、国家公務員につきましても、この問題は当然考慮に値する問題でありまして、公務員制度調査会でもこの趣旨の答申があって、政府の方におきましても公務員制度の全般的な改正の一環として検討はいたしておるのでございます。そこで地方公務員につきましては、これはそれぞれの団体年令構成等の相違もありますし、その地方公務員によっても、団体によって事情も違うわけでございますから、かりにわれわれ公務員法で法律的に均一に、一斉に、たとえば六十なら六十、五十五なら五十五というふうに法定するというようなことをすれば、当然にこれは国家公務員について実施しなくては、それは私はおかしいと思うのであります。しかしながら、今のはそうでなしに、地方公共団体のそれぞれの状況によって、どうしても年令構成その他の関係から考えて、必要なものについては自主的な条例で作り得る道を開いたのでありまして、その意味におきましては、国家公務員につきましても一部のものにもないわけでもありませんし、実際の必要から考えてこれはやむを得まい、こういうふうに考えておるのでございます。
  93. 森崎隆

    ○森崎隆君 どうも今の答弁ははっきりしないのです。私はよほどのはっきりした理由がなくちゃ、こういうような主客転倒は許されないと考えるのですが、どうも今の答弁ではわかりません。やはりわからないだけに、この問題は、これを先に地方公務員に押しつけるということは、やはり地方財政の再建整備というようなことと切っても切れない関係にあるとしか断ぜざるを得ない。このように解釈していいですか。
  94. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) だからそれは地方財政の面も全然影響がないわけじゃありませんが、制度そのものは、あくまでも職員構成というものの合理化による人事の運転をなめらかにするという問題でありますが、それはまた一面においては年令構成が非常に上ならば給与費が増高する。それを停年制をしくことによって給与費の押えということも、ある程度事実上可能になるという点は当然に考えられるところでございます。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話に関連して大臣にお伺いしたいのですが、この理由で見ますと、あくまでも現行法では停年制施行には疑義がある。それで法文上明文化したのだということで、その理由として、合理的な職員の新陳代謝が遅滞する傾向にあるということと、人事管理の合理的な運営をはかるのだということが主たる理由になっています。それでこれは公務員の制度との問題が表面上の大きな理由として出てきているわけです。そうだとすれば、これは何度皆さんが御答弁になろうとも、国家公務員であれ、地方公務員であれ、この職員の新陳代謝の遅滞する傾向あるいは人事管理の合理化という点からいえば、制度の上からいえば、これは両者通じてこういう措置考えられるということだと思うのですが、それが地方公務員にだけこういうものが行われるということは、やはり私も疑義があります。疑義があるということは表面の理由で、人事管理の合理化ということであるなら、なぜそういう意味では必要のある国家公務員に停年制の問題が考えられないのか、なぜ地方公務員だけこういう理由がピック・アップされて理由となっておるのか、こういうことは全般的な検討をした上で、こういう法改正ということになったのか、全然地方公務員だけのワクの中で検討をした結果、こういう法案が出てきたのか、この点をお伺いしたい。これは事務的な問題じゃないのですから、大臣から御答弁を願います。
  96. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) この前のときにも同様の御質問がございまして、お答え申し上げたのでございますが、もちろん理論といたしまして、国家公務員と地方公務員と一緒にこの制度がしかれればけっこうと思います。しかし今日、地方の方において、片一方の特殊なものに定員法も一部分的にしかれております。この問題はもちろん一本にやるのが正当でございますが、先ほど部長も言いましたように、国家公務員の構成年令等を考えた場合に、戦後に非常に埋められたと申しますか、お変りになったと申しますか、国家公務員側において八割見当そういう状況でございまするので、必要の程度が非常に違うように私は見ております。これを政府できめますときにも、国家公務員の官吏を決して考えずに申したのではございません。国家公務員の方においても、これをやるという前提のもとにやったのでございまして、その必要性の最も多い地方に行なったということであり、しかもこれを行うのには、国家の命令でやる国家公務員の場合と違いまして、それぞれの自治体の力に応じての考え方から条例を設けてやったならばと、こういうように考えた次第でございます。お言葉の理論でもって役人は一緒にすべしという議論は私も同様に感じております。ただ実情がかような状況にあることと、国の方もあとをつけてやるということと、地方制度調査会の答申等をも考えまして、相当この声は私どもの耳にも入っておりまするので、今の通りにまずやって差しつかえないと、こういうように考えた次第であります。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 必要の程度というようなことは、この法律でその先をきめようというときには、私はそう問題でないと思うのです。全然ないというなら、それは言えぬことでしょうが、やはり国家公務員において全然ないわけではない。やはり該当するものも出てくるという状態であれば、やはり原則としては、国と地方を通じて停年制が必要なりというならば、必要な措置をとるべきが私は法律上は至当ではないか、国がそういうことを示しもせぬで、地方にだけはそういうことをやっていいんだということは、私は法律の建前からいっておかしいじゃないか、そう思うのですが、まあこれ以後は議論になるところでしょうから、次にちょっと伺いますが、停年制ということはどういうことなんですか。停年制という制という字がついておる。停年制というものは、これはこの近代社会においてどういう根拠において、こういうことが考えられるのですか。それが一つと、もう一つは、現行法では停年制を設けることに疑義があるという疑義はどういうことか、それを事務的に一義的な概念として御披露願っておきたい。
  98. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 停年制というのは、ある一定年令に達したならば、当然その職を退く、こういう意味停年制はわれわれは了解しておるのであります。ほかの法律もそういうふうになっておるのでございます。現行法では、停年制が法律で疑義があるかないかということを、大臣は先ほどもだいぶ申し上げたが、地方公務員法の二十八条に関して、職員の意に反して免職することができる場合の事由が法律上列挙してあるのであります。たとえば定員が過剰になった場合、あるいは勤務成績のよくない場合等数項をあげております。そこでそういうふうに列記しておるのに対して、自治体には条例の制定権があって、人事に関してもいろいろ条例で定め得るのでありまするが、自主立法権をもってしても、法律上かくのごとく列記してある場合には、自分で勝手に条例停年を作るということは、法律に列記した以外の事由によって、その意に反して職を退かせることになりますから、そこで条例をもってしてでもできないのではないか、われわれの法律上の解釈の問題として考えますと、立法でも無理だろう、積極に解するには疑問があるから、そういうふうに提案理由に申し上げたのでございます。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 前段の部分の停年制ということはわかりましたが、ある一定の年がきたら職を退かされるということはわかったが、そういうことをやり得るのだ、やっていいんだという社会通念上の根拠は何なのですか。さっき列挙したようなものがあって、それだけの保障を一方は与えておって、そして年令的なことでは、条例で各県がそれぞれの差のある年限で切ってしまう、そういうようなことが、近代の社会生活上、経済生活上どういう根拠があるのですか。
  100. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは結局団体の職員構成というものが、やはりしかるべき機会にだんだん流通して行く、新陳代耐を適当にやって行く方が職務の勤務能率を確保する上においても必要だ、こういう趣旨から出ておるだろうと思うのでございます。それですから、今のいろんな国家公務員につきましても、特殊の処置につきましては、もうすでに立法上停年制がしかれておるわけでございまして、地方の公務員につきましても、職員一般についてそういう必要等があれば考えて一向差しつかえない、こういうふうに存じておるわけであります。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は法律上は考え考えられないことはないのですから、やってやれないことはない。それは言われれば言われる通りだろうと思うのです。しかし一般に社会保障とか、あるいは失業何とか、いろいろ近代社会の通念がある中に、こういう停年制をやらざるを得ない、それは人事管理ということを表面の理由にはしていますが、実際上は地方財政の窮乏、高給者があまりに多過ぎるというようなところから、一応御勇退願わなければ困るということだろうと思っているのです。だからそうであればあるほど、全体的な立場で最初から議論になっているように、今日の日本人の精神労働なり、肉体労働の限界というものはどの程度の年ごろまでであるのだ、だからこの程度のことならいいんだろうとか、いろいろ私は問題となる点はあるんだろうと思うけれども、そういう点の何の根拠も検討もなくて、それで大臣が言う通り、五十五才くらいならいいんだろうというだけの推定で停年制でございということでは、ちょっと受ける側の方は困るだろうし、もう少し何か私は根拠があっていいことじゃないかと思って聞いているんですよ。そういうようなことはざっくばらんに言ってどうなんですか。
  102. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは結局停年制をかりにやった場合に、幾つにするのが一番適当かと、こうあるべきかと、理論上その他の問題が出てくるものと、こういうことになるだろうと思いますが、これはまあ結局幾つにするかということは、いろいろ法律に一応趣旨、建前を考えてありますが、結局個々団体の職員の構成上の問題だろうと私は思います。それと、それぞれの職務の性質上の問題になってくるわけでございまして、当然幾つであるべし、幾つが一番ふさわしいという数字は必ずしも出てこない。これは社会一般の取扱いとか、常識的な考え方とかということでみずから出すより仕方がないと思います。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して財政部長に伺いますが、これで予想される退職金その他の見合いになっている国の起債、その他財源というものは考えられておるわけですか。これは法律施行後二カ月後何か発効するようになっておりますが、早晩これは出てくる問題ですが、適当な考慮を払わなければならぬという適当な考慮の部分には、国が援助しなければ今の財政上でき得ない点があるので、多分あるのだろうと思いますが、その計数をお示し願いたい。
  104. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 財政計画上は別に停年制で何人の職員がやめるという計算はしておりません。従来通り、従来一般職員と教員と分けておりますが、毎年定率でもって新陳代謝が行われておるというような計算をいたしております。普通一般の職員は千分の十、それから教員の場合は千分の二十五程度、これは実績でありますが、この定率でもって財政計画上は見ておるわけであります。そのほかに本年、三十一年度は九千五百人の退職を予定しておるのです。一般職員でありますが……。その場合に停年制がしかれますれば、さらに何と申しますか、実際の新陳代謝計画及び整理計画は容易に進むだろうというようなことを考えておりますが、計画上別に何人という計算はいたしておりません。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、実際地方が条例をしいて、この法律が施行後二カ月になったらやるとなれば、最初のそのときにひっかかるのは、これはまあ相対的に言うならば、平年度の場合からいえば多いわけですね、たまっているんだから今……。それをまかなえないということについては、国はどうするのです。どういう援助を与えるのですか、その適当な考慮をする財源がないという場合……。
  106. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 一応退職金関係六十億の起債を用意いたしております。六十億の起債の場合も、現在の財政計画退職金の六十億は、全退職金にはもちろん当っておりません。市町村の分は半分くらいしか見ておりません。従いまして退職金が不足です。退職金に見合う起債がかりに不足だという場合があるかもしれません。その場合には、年度の終りになって退職者が毎年非常に多いわけでございます。年度の終りになりまして、三月三十一日でやめるか、四月一日でやめるかということによりまして、財政的に申しますと年度が変って参ります。その辺で大体年度の終りで、ある程度団体のいろんな事情を考えて、六十億のワクの中で処理をいたしました上で、足りなければ翌年度に起債をつけて行くというような格好でもって財源の補てんをしたらどうか、かように考えております。足りるか足りないか、やってみなければわかりませんが、一応現在の額でやりまして、もしも足りなければ翌年度で起債をつけて行くという格好にして、財源の必要なところは起債でやって行くということにいたしております。まあそういたしましても、各団体とも自己財源財源をまかない得る余地のある団体もありますので、現在の六十億で必ずしも足りないということは言えないと思います。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 地方財政計画で六十億を退職金に引き当てておるという中で、国としてみられる起債はどのくらいですか、全部ですか。
  108. 後藤博

    政府委員(後藤博君) そうでございます。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、前の財政再建法による、やはり内容的には退職金に引き当てる分があるということを言われておったのですが、これは含まないで、新年度の六十億ということですか。
  110. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 三十年度も六十億でございます。三十年度は六十億でございますが、そのうち三十億は再建関係に使おうと考えております。三十億はワク外のような格好で今年は考えておるわけであります。来年度は六十億全部整備計画の中で考えております。そのうち再建団体がやります分につきましては、これは再建債と同じ取扱いになりまして、利子補給がつくという格好になります。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで今度は部長の方に伺いますが、かりに五十五才がまあ一応基準的に考えられる目安であるとしますならば、それによってその退職せざるを得ない地方公務員並びに教職員がどれだけと推定されておりますか。
  112. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは五十五才以上の職員全部の、すべてこれはまあ実際実数と関係ないと思いますが、その数字になるのですが、その数字が、五十五才で押えますというと四万三千、これは一般職員ですね。それから教職員、学校事務職員が一万五千と、そういうことになるのです。そこでまあ集計をするというと約七万幾らになるわけです。これはしかし五十五才以上の職員の数を調べたというだけですから、その数字は当然に停年になるのだというふうに誤解を受けては、われわれとしては非常に迷惑なものだから、停年制数字とは、必ずしも当然適用される数字とこれは絶対に私はならない、こういうふうに考えておるのでございます。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 迷惑するというが、こんな法律を作ろうとする以上は迷惑も何もあったものじゃない。あなたの方は科学的に推定していなければ、これはおかしいですよ。その少いだけの人数なら、人数の中の少くとも停年制適用の、やめるであろうと予想される人数は幾らですか。
  114. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまあ繰り返しこの議論が出ておったのでありますが、これは予想されると申しますのは、結局どの団体がどれだけとるかという問題で、法律上こうやったから、そこで全部の公共団体停年制を採用するということには私はならないと思います。それでありますから、予想の数字は申し上げかねる、申し上げようがないと、こういうふうに申しておるわけであります。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、部長は常に答弁用の答弁として、そういうふうにコンニャクみたいな答弁をする、名答弁者だから、また始まったと思って私は聞いていますが、しかしそれならば、この法律をどうしても通さなければならぬということから言うなら無責任ですよ、無責任と言ったら、これは少し言葉がぴったり合いませんけれども、少くとも当事者が大体これくらいの者がこれによって新陳代謝せられる。そうしてこれによって地方財政においてこの程度のところは浮いてくるとか何とか、やはり皆さん自治庁なんですから、今当面の地方の問題で困っている問題にメスを入れて、この法律との関連で推定される資料を持たなければいかぬと思うのです。そんなものもなく、やるのは地方なんですから、どうなりますかなあというようなことでは、われわれもどうなりますかなあというので、こんな法律なんか一生懸命勉強する必要はない。そんな当てもないようなものを何でこうやって一生懸命審議する必要がありますか、やってみたらやってみない方よりはいいだろうぐらいのことで、こんなことでどうなりますか、大臣いかがですか。そういう推定も計算も何の計画もないのですか、また名答弁ですか。
  116. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは重ねて申し上げますが、団体によって、かりに年令構成も非常に開きがあるのです。たとえばある市をとりましても、五十五才以上が十五、六%の団体もあれば、ちょっと調べても七%程度の団体もある。そういう団体によって非常に開きがありまして、多いところは、これはやりたいところがきっと出てくるだろうと思う。しかしながら、小さいところはそれほど必要は考えないかもしれません。それから財政の問題もありましょうし、いろいろな関連からいたしまして、当然にあるものはやはり、あるものはやれぬということは、われわれとしては考えようがない。それを勝手に自治庁数字幾らといえば、どの府県とどの府県を考えたか、そういうことにならざるを得ないので、そういう推定はわれわれはいたしかねるわけでありまして、法律、条例でまかせるというときには、みな自治体の自主的な判断を期待しておるわけでありまして、条例でやるからといって、そのまま右から左にぴちっとやるというふうに私は考えるべきものではあるまい。条例の性質というものはそういうものですから、われわれは制度として、そういう道を開いておくということが大事でありまして、その結果何万人ということは当然には結びつかない。ここのところは一つお許しを願いたいのでございます。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたの方としてはそういう答弁をするのでしょうが、大臣にお尋ねしたい。従来とも昇給、昇格等の問題でお尋ねする際には、国は何ら制肘してない、制約していない、指導もしていない、地方が自主的にやっているのだということを言っておられる。しかし少くとも財政再建法が適用になる団体等に対しては、こういう条例停年制の道も開かれているのに、君の方はやらないのか、やればこれだけの財源が浮くじゃないか。こういう問題で、財政的な部面でいえば、やはりある程度そういうことはそろばんをはじいて、指導をする部面が出てくる。後藤さんの方はそういうことも検討の材料にするのです。そうすれば、少くともこの条例が出た、条例がやれるのだということが、この法律が通った暁わかったら、少くとも都道府県あるいは大都市、こういうところは、一応これはやろうということになって一般化されますよ。この条例というものは、それはうちの方はやめておこうというようなことをやれば、それじゃあなたの団体財政豊かなんですから、それじゃそれでもって自主的に再建をやったらいいでしょうと、自治庁からそっぽを向かれたら大変なことだというので、もうさっさとこういうことはやると思うのです。それは必らず起ってくるんですよ。後藤さんは地方に対しては偉いですから、一にらみされたら、目をぱちぱちされただけで、暗黙のうちに私の県はこういうこともやりました、こういうふうにもして節約をいたしました。しかしながら、なおこの通りですから起債を何とか、何を何とかという陳情、請願になってくるのです。そういうことはない、期待もしてないので、条例は地方があくまでも自主的にやるのだから、まあ適当にやるでしょう。幾ら出るかわかりませんというのでは、私は何としても答弁にならぬと思うのです。少くとも推定せられるところは、これが条例化せられることによって、どの程度のものが停年制によってあれして、財源的にはどの程度のものが、何年間の間には退職金を何割増しで出しても財政上は浮いてくるのだ。こういうようなことは計算されてなくちゃいかぬと思う。どうなんですか、大臣
  118. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) いろいろ御意見承わりましたが、何だかいつまでもぐるぐる回ったような御返事をしておりますけれども、どこがどういうように行くかということは、たとえば再建の問題にいたしましても、自主的に再建法によってやるところと、やらぬところと二色ございまするし、私はそういう意味でそろばんをとるということは、実際に非常にむずかしい問題で、そういうまためどを示したために、私はちょっと甘い考えかもしれませんが、今の自治体は、初め私はこの仕事に関係しない前は、ずいぶん放漫なところがあると思いましたけれども、ほんとうにやっている地方の姿を見ると、涙の出るような整理もされております。あるいはこれは自治庁の方で指導したのではないか。そういうことは私自身としては厳格に戒めております。ただいまも、こういう法律ができれば、それを押しつけて行くだろうというように私には聞き取れましたが、そういうことは部下の者にも厳に戒めまして、善良なる、そうして正しい自治体指導者の方々の力で動くように、つまり先ほど部長もちょっと言われましたが、道を開くという意味においての非常な効果が私はあると思うのです。押しつければこそ問題が起りますが、自由にお使いになる制度として条例によってやっていただきたい。これが考え方でございまして、実は見積りにも、先ほど午前にもその話がありましたから、どうだねと、こう言って、さあ年令がどうだ、何年がどうだ、そういうことの数字だけはありますけれども、具体的に当てはめて、しかもそれを地域的に当てはめて行く場合には、私の考え方ではどうしてもまとまらないのでございます。道を開くことは大したことではないじゃないか、道を開いた上に押しつけたら大変なことになるじゃないか。これは大変なことになるのであります。道を開くということは善良なる、公正なる自治体のお力によりまして、これがよく運用されますことを期待いたしたいということを、余人はともあれ、私はその点につきましてかたくお誓い申し上げたいと思うのでございます。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は非常に不満な点がある。それは新聞等でいろいろ御発表になった通り給与の実態調査の上、高給者が多いということが判明した。それでこれを新陳代謝せしむることによって、教職員の場合は定員も、あるワク内でふやせる可能性があるとか何とか、いろいろの検討をする。しかし給与の実態調査というものは、国家公務員との給与差があるという場合に、それを是正し、適正なものにするということで、大蔵省と自治庁との話し合いで問題になったものである。ところがその結果を使うのに、給与の調整ということには何ら積極性を示さないで、そうして停年制財政を何とかしょうという方は、さっさとこういうふうに法律化して使ってくる。このやり方は何だろうか。市町村職員の場合は、国家公務員よりもはるかに給与べースが低いという中間報告があったように私は見ておる。これは何にも手をつけていないじゃないか。この停年制をしくことによって浮く財源でもってその調整をやるのだ。やるならやるのだでもいいが、そんなことは一言も御説明の中では言われてもおらぬ。そうして都合のいいところだけを停年制の問題を持ち出してきておる。これは私が悪推量しているかもしらんのですけれども、どうも取り上げ方が片ちんばだと思わざるを得ない。そういう不満もあるから、先ほどから税明を聞いておるので、少くとも当面の問題としては、財政的な諸問題を解決する一つ方法でもあることは否定することはできないと思うのですね。それじゃその方面でどれだけ財政的に公共団体そのものがプラスになるのか。その推定、その資料を出せといえば、それは出せません。そういうことでは私はどうしても答弁にならぬと思う。少くとも今、財政部長が言ったものよりは上回ると考えられますか、下回ると考えられますか。
  120. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) ただいま小笠原さんのお話しにありました給与の問題について、財政計画上、昨年と違ったやり方をしておりますので、御説明さすことにいたしたいと思います。
  121. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 実態調査の結果を財政計画の上に反映しておるのであります。これは国家公務員と同じ、ベースという言葉がいいかどうかしりませんが、大体国家公務員と同じようになるような計算に直しております。従って県の職員の場合は、もちろん単価を上げております。それから市町村の場合には多少下げております。多少下げておりますが、これは現実のものをとっておるわけではございません。地方公務員で同一学歴、同一経験年数の者が国家公務員になった場合には、どの程度の給与を受けるかということを標準にして算定したものに直しておるわけであります。従って計画の上では是正をいたしておるのであります。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 本年の地方財政計画は大回りに大きくなって、だんだん現実に近づいたようですから、確かにあなたの言うことも信用しますが、しかし、その金が給与の是正に使われるか、何に使われるか、計画だけなんですから、これはわからぬことです。それで、ではそういう積極的な態度をお示しになった自治庁としては、やはり給与の低い方に対しては引き上げられるような適切な指導助言をなさいますか。
  123. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 個々団体がみずから給与をきめるということになっております。従って財政計画の上で給与費を是正し、同時にまあ交付税の上でも給与費を是正して、われわれのとるべき方法としては、財政計画の上と、それから交付税の算定の上で、給与費につきまして従来のものよりも足りなかった分を引き上げて行くということでもって財源を調達する。調達した財源は、一般財源でございますので、それは何に使うかということは、それぞれの地方団体で判断してもらいたい。こういう従来の考え方でおるのであります。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あまり時間をとってもあれですから、もう一つ伺いますが、この「適当な考慮が払われなければならない。」というのですが、適当な考慮が払われなかったらどうなるのですか。
  125. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはまったくこの法律を無視して違法が行われたと、こういう事態になれば、自治庁といたしましても、一般の法令違反の場合に必要な勧告なり注意を与えるという措置はとりたいと存じております。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 「適当な」というその基準がやはり問題になりますがね。その場合に、従来退職勧告を受けたものは、四割増なら四割増の退職金がもらえるということになっておるんだが、これが一割はおろか、一分でも二分でも一般の普通の退職金よりは以上だということになる。そうすればこれも適当だ、違法でもないということが、財政困難な公共団体で行われるという場合もあり得ると思うのです。理論的にはそれが違法ですか。
  127. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 個々の問題と退職金の問題とは、条文の上からいえば別問題だと思います。これは停年制そのものの年令のきめ方とか、やり方の問題でございますが、退職金のつけ方が幾らにきめ得るかと、こういう問題につきましては、今の給与の一般原則、職員の給与はいろいろ公共団体もそのときの事情を考慮してきめろという、例の一般原則に従ってもちろん考えなくちゃならないと存じております。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、その点を自治庁として強制すると申しますか、そういう方法がとれるのですか、このくらいが適当なんだぞという措置がとれるのですか。
  129. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは自治庁として押しつけるということはもちろんできません。できませんが、これは前々からいろいろお話しもあるのですが、停年制の施行につきましては、停年制のたとえば条例の準則なり、型なり、そういうような問題につきましては、自治庁としても法律が通って施行する段階になれば、それは一般的な考え方は示さなくちゃなるまい。いろいろ委員会でもこの実施上について御注意もありましたので、そういう注意もかみ合したものを地方に示したいと、こういうふうに考えております。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは、もしもかりにただ停年だけきめ、そしてもう退職せしむるという条例になって、その公務員がこれは違法であるということで訴訟を起しても、実際勝ち得るような根拠がこの中から出てきますか。
  131. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のは停年の問題でなしに、停年に関連する退職金の問題だろうと思います。給与につきましては、これまた、よくおっしゃいます国の公務員その他との権衡を考慮してきめろというあの条文がございまして、そして退職金につきましても、国家公務員の退職金の法律に準じて、地方では現在御承知の通り退職金条例を作っておるわけでございます。それでありますから、その条章にまったく違反するような問題があれば、もちろん法律上無理だという問題が出てきますが、今までのところはみなこれに準ずる扱いをいたしております。停年制を施行すれば、その停年制とそれのからみ合いをどうするかという問題が出てきましょうが、停年制も、その意に反してやめるわけでありまして、普通退職と事情が違いますから、国家公務員の特別に退職する事由を考えながら、当然退職金の内容というものも考えられなくちゃならない。考えるべきものだと私は考えておるのでございます。  それから今度初めて法律ですぽっとやるわけでございますから、特に今まで現におる人たちは、停年制というものを予想せずに勤務しておるわけであって、そこへ急に明日から条例施行だ、こういうことになっては、これは運用上非常に本人に迷惑でありますから、そういうものにつきましても条例の施行の時期とか、またそうなれば最初のものについての退職金の扱いなどにつきましても、そこは十分実情をしんしゃくして、行き届いた配慮をしなくちゃいけない、こういうふうにわれわれも考えておるわけでございます。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、そうしなかったら……。地方公共団体が自由なんですから、これは制裁規定はないんですからね。
  133. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それで自治体が全部しなかったらどうするかという問題は、これは一切の地方公共団体の行動についてそういう問題があり得るわけでございまして、そういうものについて、一体、国がどれだけ干渉するか、せぬかという、その別の問題で議論をするよりほかにしょうがないと思うのでございます。ただしかしながら、われわれといたしましても、この制度をやる以上は、制度が円滑、適切に行われるように、そういう意味指導だけは一般的にしたいと、こういうふうに考えております。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、まあ理論的な問題として伺いますが、かりに宮城県、岩手県、これは公共団体が違う。それで条例退職金の優遇措置が違う。こういうことがある場合に、それは宮城県は裕福な県だから退職金が多く出されるのだし、岩手県は裕福でないのだから退職金が低くてもいいのだ、こういうことが地方公務員に対して、法律がこういうことを示しておる際に許されることですか、いいことですか。
  135. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは、その給与そのものが全部均一であるべきか、あるべからざるかという問題で、これはもう給与はそれぞれの団体の事情、地域その他によって多少の相違があることは、これは当然制度としても実際問題としても予想されると思います。そこの相違の問題がまったく給与の建前からいって許すべからざるものになっておるか、なっておらぬか、こういう法律問題になればなり得るのでありまして、現実の問題といたしまして、多少の開きがあるのは、これはやむを得ない。やはり当然にあり得ることだと考えられるのでございます。
  136. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと府県の場合に例をとってみて、それは団体間の貧富の差その他の差があっていい。かりにあるとしまして、では、こういう停年制等によってやめる場合の最低の優遇措置というものは従来行われている退職一時金から見て、どの程度が適当というお考えをもってこの法律で、「適当な考慮」とおっしゃっているのですか。
  137. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今まで申しましたここにいう「適当な考慮」と申しますのは、もっぱら停年制という幾つになったらどうやめさせるかという問題でございまして、退職金の問題はここに直接書いておる問題ではないのでございます。退職金の問題は、要するに職員の給与一般の問題でありまして、別の、つまり自治法で給与をきめる場合は何とかしろという規定がございますが、あの条文の適用の問題になろうと思うのでございます。がしかし、あの条文でも結局似たような趣旨の規定があるわけでございます。その場合には国の給与の原則とか、あるいはほかの団体給与などとの権衡を考慮して定めることになっておりますから、その運用上そうめちゃになることは、われわれも期待もしておりません。当然に最小限度の問題は維持されることをわれわれとしても期待しておるわけでございます。
  138. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると従来あるこの国家公務員の給与法ですか、地方はそれに準じて条例出しておるのだが、退職勧告の場合以下にはなり得ないというわけですか。
  139. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 結局これは退職の一つのケースでございまして、退職がつまり任意退職になるか、あるいは勧奨退職になるか、あるいはこういう一種の停年退職になるか、これは一種の退職の一つのケースであろうと思うのであります。しかしながら停年退職は明らかに任意退職でないことは間違いないのでありまして、任意退職は本人の都合でやめるわけでありますが、そうでなしに、意思のいかんにかかわらず、長い間勤めていて、一定年令でやめるわけでありますから、これは普通退職と違った特別の優遇措置を、これは当然に考えるべきではないか。性質上そうあるべきではないかとわれわれは考えておるわけであります。しかしそんなら一体何割増しかという数字までは、今のところ考えておりませんけれども、当然に普通退職と違った優遇措置というものは考えられてしかるべきで、しかしながらいわゆる整理退職とは違う、行政整理に伴う退職とは違いますので、そこらの中間で、勧奨退職などとからみ合したところで具体の数字をきめるべきものではないかと考えております。
  140. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 「その意に反して」という程度からいえば、勧奨退職よりもこの停年制の退職の方は重いのですか軽いのですか。
  141. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは勧奨退職も勧奨を受けたって結局自分が承知しなければ退職の効力は発生しませんが、停年退職になってくると一定年令にくればその意思のいかんを問わない。この点はだから本人の意思からいえば、重いか軽いかという問題はいろいろありますが、そのかわりこれはあらかじめ制度できまりまして、幾つになったらやめざるを得ない。そういうことの一般的な準備も心組みもある。しかし勧奨退職は、幾つ年令でくるかということもわからぬところに問題があるかと思います。そこで、そこは重いか軽いかという問題はむずかしいですが、結局退職金を具体的に幾らにするかという場合には、勧奨退職とにらみ合してきめられるのじゃないか。今、具体的にお前は幾ら考えておるかと言われましても、そこまでは、はっきりとした数字を持っておりませんが、そういう点を考慮して考えらるべきものだと考えております。
  142. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは今の地方公共団体ではちょうど三月末の、何といいますか、一般の異動期ですね、年度割の異動期になっているようですが、この勧奨退職の行政も行われているわけですね。ところがそのときやめた方が停年制のときやめるのよりは得であった。停年制でやめる段になったら、最初施行された直後停年制でやめなければならぬという段になったら損をした、こういう結果が出てくることは停年勤続者に対して、われわれとしてはやはり問題だと思うのですね。それで非常に、具体的には今の地方では、この問題には関心を持っているわけです。どっちでやめた方がいいかということについて。また県自身もあるいは公共団体自身も、これはそれまで待った方がいいのか、勧奨退職をやった方がいいのか、これは迷っておる。そういう近々二、三カ月から半年の間に時期的に前後するにつれて、その退職金なり優遇措置に差異がある。片方が得をし片方が損をするというような状態が行われるというようなことは、私はまずいことだと思いますが、そう思いませんか。
  143. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはここ三月までの、ある程度の勧奨退職のあるところもあろうかと思いますが、この法律案は、三月中までに公布になって、条例までできるとはわれわれは実は予想してはおりません。それから先ほど申しました通り、最初停年制をかりに条例できめましても、きめた日からとたんに適用があるというふうには最初からすべきものでも私はないと思っております。それでありますから、今、目の前において、どっちが損か得かという問題は、すぐには当てはまらぬと思いますが、しかしながら退職金考え方といたしまして、今仰せられました通り、勧奨退職というものと停年退職というものがおのずからバランスがとれるように具体的にきめられなくちゃならない、私はそういうふうに存じております。それで、それならば一体その率をどうするか、こういう問題になりますが、そこまでは、これは自治体がそれぞれ条例できめるわけでありまして、われわれとしても一応考え方は示すべきものなら示さなければいかぬと思っておりますが、それにつきましての明確な今数字の決定的な意見というのは、今日持っておらないのでございます。その点は彼此権衡がとれて遺憾のないように考えたいと存じております。
  144. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはその基準と申しますか、この諸条件をこの法律によって明文化することは、やはり公共団体の自主性ということを侵害しますかしませんか。
  145. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 退職金幾らにしろということは法律で書くべきものではないと思います。一般の給与その他ことごとくこれ条例にまかしておるのでございますから、そこまで法律が退職停年制そのものをぴちっと法律にまで書くのは私はおそらく行き過ぎであるのと同様に、それに伴う退職金をどうするかということを書くのも私は行き過ぎだろうと思います。
  146. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国家公務員の給与に見合って、これを下回ってはならぬとかというような規定それ自身もいけませんか。
  147. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは御承知の通り国家公務員法に現にその給与は国の場合との権衡も考えろという趣旨の規定がございますから、それで十分じゃないかと思っております。
  148. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現にそういうふうになっておらぬのですがね。今まで給与条例を作っておる。そして昇給異格の問題も規定されていながら、条例を直すことなしに昇給昇格の延伸措置とか、六カ月延伸だとか、あるいは三カ月延伸を何回繰り返すとか、こういうようなことで昇給昇格をストップしている都道府県が多いのですね。現に平気でそういうことをやっている。守られておらぬのです。そういう半面があって、これだけはあくまでも条例でやるのだとなれば、やはりその都道府県都合によって、それは何といいますか、あまりに不当なと思われるような条例ができないとも限らない。それを予防するような基準が、国としてと申しますか、法律として作られて、それが悪いというふうには私は考えられないのですが、どういうものなんですか。
  149. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは今申しました通り、もうそもそもその土台は、給与そのものをそれじゃ国で地方の給与をどれだけにしたらとか、給与がさらに伸びて、恩給とか、退職年金とか、退職一時金まで及ぶわけでございまして、それは現在の建前では、これは自治体の最も基本的な問題で、定員をどうするとか、給与をどうするかということは、府県市町村によって事情は必ずしも一様でありませんし自治体の自主的決定にまかせる、しかしながらまかせるにしても、そうめちゃをやっては同じ国民としておかしいじゃないか、そこで国の公務員その他の民間の事情等も考慮してきめるような基本的な原則が掲げてあるだけであります。それとともに国は財政上の考慮をする場合には、国家公務員と同じまあベースというか何というか、同じ基準で必要の給与の額だけは財政上保障しようという建前になっているわけでございます。あとは具体的な個々団体給与をどうするかということまで統制するということは、これは地方自治の根本的な考え方からいって行き過ぎであって、適当とは考えられない。せいぜい今の公務員法の考え方というものが、しかるべき措置じゃないかと存じておるわけでございます。
  150. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この格づけとか昇給昇格の問題とかは、国家公務員たとえば教職員の場合は国家公務員たる教職員のあれがあります。であるからそれに準じて地方の場合でも条例を作ることはできるわけです。しかし停年制の問題にからんで、国家公務員の場合には、そういう明文化されたものがあるのですか、ものさしがあるのですか。
  151. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 停年制は国家公務員の一般につきましてはこれはございません。それでありますから、どうこうということを申しませんが、例の国家公務員の退職手当の臨時措置法ですね。これはいわゆる「二十年以上勤続し停年に達したことに因り退職した者」というのがやはりあるのです。停年制をとっておるものもあるわけでございますから、停年制をとっているものにつきましての基準は、「政令で定める傷い疾病若しくは死亡」も退職と同様に考えまして、「二十年以上勤続し停年に達したことに因り退職した者」についての退職金の基準がきまっております。そのきまっている基準を参酌して条例できめる、こういうことになるだろうと思います。
  152. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは国家公務員のどういう職種のものに適用されている条文ですか。
  153. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは国家公務員で停年制があるもの全体に当然適用されると思います。特別な職種について例外は書いてないと存じております。
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうものが一般的規定であると、国家公務員に通じる一般的な規定とみなされますか。
  155. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは国家公務員等退職手当暫定措置法、御存じの退職金の法律でございまして、それにはいろいろ普通退職、勧奨退職、整理退職、幾つかありますが、そのうちの一部として今の規定があるわけでございます。それで二十年以上勤続して停年に達したものについては、いわゆる退職手当が、ほかの場合のバランスを考慮して、法律できまっておるわけでございますから、その点は停年制という建前から考えまして、地方公務員につきまして停年制を採用する場合には当然にしんしゃくさるべき制度だと心得ております。
  156. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは一部に適用されているというのですか、どういうものに現在適用されておりますか。おそらくそれは現業官庁の単純労務というような、そういうものに従事している者ではないのですか。一般公務員に適用されておりますか。
  157. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは御承知の通り国家公務員について停年制が適用されているのは、大学の先生とか、裁判官とか、あるいは自衛隊はこれは特殊な職員かもしれませんが、そういうものについて現に国家公務員の停年制がございます。そのものの退職の場合は、この規定によって退職金が算定される、こういうことになっているわけです。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとそれによって大体二十年以上停年に達した者ということで、その前後の系統が国家公務員として表になって出ているのですか。二十五年の場合は幾らか、三十年の場合は幾らか……。
  159. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それはその通りでございまして、二十年以上から各号がまた分れております。二十一年以上三十五年以下は一年につき百分の何十とか、三十六年以上は百分の何十とか、そういうふうな在職年によって段階をつけまして、退職金の率もふえるようになっております。
  160. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますとそれに準じて地方にやれというのが、立法の建前だと了承していいわけですか。
  161. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) その通りでございます。
  162. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 準じてということは、その通りということと解釈してようございますか。
  163. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) まあ準じるとか、公務員法に書いてあるのは、何かいろいろな「その他の事情を考慮して定められなければならない。」あるいは「権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」というような言い方でございますが、その通りでなくちゃいかぬかというと、そうだとも言い切れませんが、そこのところは国家公務員に準じて実施をするということが、われわれの普通期待するところだと思います。
  164. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 法律解釈は、準じてということと、その例によるということとは違いますか。同じですか。
  165. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) いや準じてということは、実は地方公務員法には準じてという表現は使っておらぬわけなんです。その使っているのは、今申しましたような言葉です。例によると言ったら、もっぱらぴしっとそのままだ。たとえば地方公務員で、条例で制定されなければ、従前の例によるということは、びしっとそのままだという解釈です。それから準じてと、かりにそういう言葉が使ってあれば、準じて考えろと言えば、やはり右へならえをして、その他特殊な事情があればそれはしんしゃくしてと、そういうことだろうと思います。
  166. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると準じてということは幅があるわけですか。
  167. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 準じてという法文がないのに、準じてという意味を解釈しておっても始まらぬと思いますが、百パーセント一致という意味じゃこれはないと思います。それに右へならえしてと、こういう意味ですから、多少の弾力性はこれはあり得ると言わざるを得ないと思います。
  168. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の国家公務員法のそれは、じゃあなたの方で通達か通牒か政令になるか何になるかわかりませんが、地方に対して指示する場合には、どういう表現になるのですか。
  169. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今まだそこまで、通知することまで考えておりませんけれども、従来のやり方はそういう国の退職金制度がありますから、この制度考えて作るように、われわれの方でも条例のたとえば準則というか、ひな形のようなものを一つ考えまして、退職金停年制条例一つ考えなくちゃいかぬし、おそらくは今申されますそれに伴う退職金条例考えなくちゃいけない、そういう場合のひな形は示して、国家公務員もそうだからこれを参考にして考えろと、こういう趣旨のことは言ってやりたいと考えております。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは私、非常にくどいようですけれども、少くとも小学校なら小学校に例をとって、永年勤続の人で五十五才なり五十八才なりで停年だと、やめても他に転職の機会というものはないのです。社会的に適当な職業を得ることができないというのが、この教職員の場合の一般の例なんです。結局やめますと、転落して外交員になる。生命保険の外交員、火災保険の外交員、土地のある人は田地田畑を耕す。そして恩給で暮す、これが例なんです。ところが今日五十五、六十でおやめになられるという人の子弟は、ちょうど高等学校の教育から大学の教育を受けなければならぬ、一番金のかかる時期なんです。そういう者に対して参考になるとかならぬとかいう程度の通達指示で、実効が上るか上らぬかわからぬような、そういうものであっては、われわれこの法案を審議する場合に非常に不安なんです。この法案そのものは、いい悪いは別にして、法律としてこの際実施されるということについては、実施される側の立場に立ってみれば不安なんです。それで政府と申しますか、自治庁としまして、くどいようですが、こういう優遇措置と申しますか、永年勤続の労に報いるということについて、確たる方針を私は示していただきたいと思います。国家公務員のその例によるならよるということで、そういうことを厳正に地方公共団体にやってもらうことを建前にして、この停年制実施するならするのだ、そういう覚悟なんだということをはっきりしてもらいたい。ところがその公共団体によって、それぞれの考え方によってといえば、それはいろいろの政党その他の団体が、県会なり市町村会におる。それで、そんなにくれるのは不当だとかよけいだとか、まあ感情も入ったりなどすれば、条例なんというものは客観的にきまらぬ場合が往々にして多いのです。地方においてそういう具体的な例が幾らもあります。それでなおかつ今突如として、それは四、五カ月なり半年なり余裕期間はあるとしましても、停年制でいつの日かは自分は現役から退くのだということも、される者の身になっても考えてもらわなくちゃならぬと思うのです。ですから私はこの際いろいろなお話は聞いて十分わかったけれども、さあ具体的にはどうしますかということを私はお尋ねしたいのです。今の国家公務員の規定というものが、そのまま地方公務員に当てはまるような措置をおとりになるというお考えをはっきりお持ちになっておられるのかどうか。それが最低なんだ、最低の保障としてそうしてやるのだという考え大臣はお持ちになっておられますかどうかお伺いしたい。
  171. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 大臣の方からまたあとから必要なところは答弁していただきますが、われわれとしましては、今の退職金条例も現在各府県みな作っておりますが、国家公務員もみんな同じように作っております。条例で特別な扱いをされたりなどしておる所は一つもございません。われわれといたしましても、そういうこの条例の建前によって地方がやってくれるように、それは必要な通知、指導をやりますが、今の通知、指導やり方の問題になってくるものですから、これは今の自治法の建前に従ってやらざるを得ないということを申し上げておるわけでございます。しかしながら実際的にはそういう趣旨に違わないように、やらせるようにそれは指導いたしたいと思います。
  172. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことを包括的に規定した明文というものをこの法律に挿入することはできなかったのですか。「適当な考慮が払われなければならない。」、停年制実施する条件として考慮を払う諸条件がここに述べられているように、その際退職金条例を作定するに当っては国家公務員の例によらなければならぬとか、国家公務員との間で適当な云々ということをなぜ入れられなかったのですか。それは一般的に他の法律にあるのだということを盛んにあなたは言いますけれども、それが厳正に守られておらない現状なんですから……。
  173. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今ここに特に入れるまでもなく、これは地方公務員法の一部改正でございまして、地方公務員法には、これはもう当委員会でも繰り返し御議論になっておる国家公務員との均衡を考えるという条文が厳としてあるわけです。給与に関する問題あるいは退職年金及び退職一時金の制度をきめる基本原則がありまして、その原則が当然にこの場台に適用される、ここは、停年制のきめ方自身の問題は新たな問題で、ここに停年制のきめ方についての特別の考慮が書いてありまして、給与の問題は当然に一般の原則によって国の建前を考えてきめるべきものと考えておるわけであります。
  174. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことがそうなってなければならないことは、給与の実態ではっきりしておるのですが、均衡を失しておるのです。そういう公共団体幾つもあるのです。だから地方公務員法の適用法律が、均衡を失してはならぬという法律が、それはいろいろ議論の余地がある、幅については議論の余地はあるのでありましょうけれども、均衡を失しておる公共団体の職員の給与というものがあるのです。それから条例では国家公務員法そのままにできておるということをあなたは言いますが、そのままにできていない所もあるのです。たとえば勧奨退職の場合でも、四割増しなら四割増しというのが国の場合でもあるというのであっても、それでやってみたところ、膨大な財源を必要とするから、二割だけにしてもらう、いろいろそれは手を加えて勧奨退職をやっておるのです。そういう事実もあるのです。守られておらぬのです。それが均衡を失するか失しないかということは議論になるでしょうけれども、国家公務員の、そのようでない給与の公共団体は現にあるのです。だから私は念ばらしにわかり切ったことだけれどもしっかりした建前を示してもらいたいということで質問しておるのです。これは財政部長から言わせると九千五百人と言いますが、あなたの方から言うと、五十五才以上は切られようが切られまいが、ともかくとして七万何がし、可能性としては、全部停年制がしかれたら、この人方は現職から退く人たちで、その人の生活の問題を考えたときあやふやなことではいかぬのです。何かそこに光明を与えなくちゃいかぬのです。どうなるかわからぬということであっては、これはもう法律をわれわれが通してやる場合に困るのです。それは自治庁の方で大いに温情をもって、誠意をこめてやってあげましょうと言ったからといって、そのときそのときの事情によってはさまざまな方途を講ずるのですから、だからこれ以上私はくどくどしく申し上げませんが、国家公務員のその規定があるならあるで、この例によって、この場合は停年退職の優遇措置はやらせるということを御言明になっていただければ、私はあとは何も質問することはないのですから。いかがですか。
  175. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは今われわれといたしましては、御趣旨に沿って、地方公務員法の建前の許す限度においてそういうふうに指導いたしたいと思います。自治庁が今の自治法なり公務員法の建前で何でもやれ得る限度というものはありますから、その点を一つお許しを願いまして、その限度の許す限り、そういう御趣旨を達成するようにわれわれとしてはできるだけの力をいたしたいと思っております。
  176. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 財政部長は、今後のそういう退職金の引当て等にする起債あるいはその他財政援助の場合でも、国家公務員の例によって積算した金額をもってですね、各公共団体指導もし、援助も与えるということですか。
  177. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 行政部からどうせこまかい通達が出るでありましょうから、それを基礎にして退職金起債をつけていきたいと思います。ただ問題になりますのは非常に少額の場合であります。少額の場合に起債をつけますのは非常にめんどうなことでありますし、少額の場合は必ずしも起債をつけないという立場を今回でもとっております。現在の標準が少し高いものでありますから、いろいろ町村で問題がありますので、もちろん標準は下げたいと思っておりますけれども、あまり低いものは、やはりこれは自己財源でやっていただきたい、こういうふうに考えております。
  178. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 従来あなたたもの方が痛くない腹を探られて、われわれの方から、昇給昇格ストップを指導したんじゃないか、そういう条例案について法律的な解釈を一方的に与えて、指導助言しているんじゃないかというようなことを追及された場合が過去にあるんですね。そういうことなしに、ほんとうに今度は実効が上るように指導もし、財政的なめどのつけ方についても地方に対して御指導になられますか。
  179. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほどから御趣旨を承わっておりますし、私どもかつてもう、ほぼ何人整理しようとか、何人新陳代謝しなければいけないとかいうことを言ったことはなかったのでありますが、いろいろ言ったとか言わないとかいう議論もあります。しかし今度の再建整備を実施する場合にも、私どもその点は十分に考えております。これはやはり財政的な立場から給与費の総額がどうなるかということを追うべきものであって、その辺を検討すべきものであって、内容を具体的にどうするかという問題は、やはり個々団体の自主的な判断によってきめるべきものだという気持を貫いていきたいと考えております。停年制の問題も同じように、その新陳代謝一つ方法として、その団体がとるかとらないかというととは自主的に決定すべきものだと、かように考えております。従って御趣旨のような線に沿って指導をしていきたいと思います。
  180. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大臣には二回私は質問しておるのですが、御答弁がないのですが、二回質問したことも、結局は国家公務員の規定がそのまま地方の条例に適用されるように、実効の上る措置を、自治法の許す限度で、権限の限度でそういうことをおやりになるかということなんです。
  181. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) ただいまおしまいの言葉にありました通り、自治法の許す範囲におきまして御趣旨をくんで正確に行いたいと思います。
  182. 加瀬完

    加瀬完君 これは大臣がいらっしゃる前に政府委員にお尋ねをいたしたわけでありますが、大臣が参りませんでは的確なお答えをいただきかねる点がございましたので、重ねて伺いたいのでありますが、先ほど他の委員からの質問に対する御説明の中に、公務員法の一部改正についての本質的な目的新陳代謝であり、実質的にみるならば財政合理化ということも一つのねらいである、こういう御説明がありまして、これは何度も繰り返されてお話もございましたので、そのように了解してよろしうございますか。
  183. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) さようでございます。
  184. 加瀬完

    加瀬完君 それから人事院の総裁に何ゆえに地方公務員のみに停年制を施行して、国家公務員に施行をしないのかと言いましたら、新陳代謝の必要がないからと、こういうお話がございました。ややこれと同じような意味の御発言も先ほどの大臣のお言葉にございましたが、国家公務員は新陳代謝をする必要がないので停年制をしかない。地方公務員については新陳代謝の必要が大いにあるので、これをしいたんだと、極端に言うならばこういう意味合いに聞かれたのですが、そうとってよろしうございますか。
  185. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 国家公務員に新陳代謝の要はないというように、もしお聞きとりでありましたら、私はそう言わぬように思いますが、ただ今回片一方だけやって、片一方はやらないということのお話がありましたときに、国家公務員の方は大へん新陳代謝が行われておるという例を申し上げたので、国家公務員に要なしという意味ではございません。これはどうかあしからず。
  186. 加瀬完

    加瀬完君 国家公務員には割合に新陳代謝がよく行われている、そうであるならば、国家公務員以上に新陳代謝がよく行われている地方公務員の職種に対しては、そのお言葉ですと、新陳代謝ということを第一目的をする必要はないということにもとれますが、それはいかがでしょう。
  187. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 決してそういう意味じゃございません。現に公務員制度調査会の答申にもあります通りで、やはりやるべきだという考え方は同じであろうと思っております。それで片一方の地方制度調査会の方におきましても、この点は私の言った意味において、まず行うべし、こういうふうに答申されている次第でございます。
  188. 加瀬完

    加瀬完君 その行うべしというのは、結局新陳代謝の必要が大いにある、もう一つ大臣の御指摘のように、財政合理化目的にもなることであるからということであろうと思うのです。一問一答では時間をとりますので、私の質問だけを続けてお許しいただけるならば、国家公務員の五十五才以上の全体に対する構成比は四%でございます。都道府県の一般職員は四・六%ということになりますが、これを教育職員に照らしてみますと、小学校は〇・八%、中学校は丁三%、高等学校でも三一七%で、構成比は非常に少い。それから四十才から五十才までの構成比と、五十才から五十五才未満までの構成比の差をみますと、国家公務員の一般職員は一二・五%でございますのに、小学校になりますと一五・七、中学校が一五・九、都道府県の一般行政職は一六・三という、非常に開きがある。新陳代謝は、この自治庁のお示しになった表の上では、非常に国家公務員よりもはるかに行われている。こういう数字の上の開きから申しますと、しかし町村は別ワクといたしましても、特に教育職員などに対しまして、新陳代謝の要求から停年制をしくという必要はないように思われるのです。この点はどうでしょうか。
  189. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) ちょっと数字に関することで……
  190. 加瀬完

    加瀬完君 これはお宅の方の数字を申し上げているのですから、間違いございません。
  191. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 政府委員から説明して、私はあとで申し上げます。
  192. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは団体によって確かに、全体の数字は今お示しの通り数字であろうと思います。しかしこれは結局年令構成は、団体によって必ずしも一様じゃないのでございまして、それで私のところでも、全部の府県別、市町村別のやつまで今手元にありませんけれども、一様じゃないことだけは間違いないのであります。所によっては、教員につきましても相当高年令者がたくさんある。東京都などというのはその一例かと思います。そういった所がありますので、われわれは一般的に条例できめるという建前をとっているというゆえんでございまして、当然に一律にきちっとやるというのなら、今仰せられましたような議論というものは当然出てくることだと私は思いますが、条例で、それぞれ自主的に事情に即してやるということは、結局それぞれの団体によって、よろしきを得る、こういう趣旨に出ずるにほかならないのであります。
  193. 加瀬完

    加瀬完君 先ほどの御説明からすれば、個々のことは団体にまかせて、団体条例できめることであるからというお立場をとっておられるのであるならば、教育職員のように大ワクからいって、政府のねらっておるような新陳代謝の必要がない、非常に少いという場合に、幾つかの団体がこれにかかるからといって、それで全然必要のない団体にまでも制約を与えるような形で臨むことは、どうも当を得た方法ではないというふうに考えられるが、どうでしょう。
  194. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) ただいまのお言葉にありました通り団体別によって違うのであるから、団体別によって条例を定めていく、そこにこの定め方の妙味と申しますか自治体の違った点があるのではないかと存じます。平均のお話を言えばごもっともかと思いますが、団体そのものの実情が違っておりますので、その実情に合うように条例をもって定めていく。むしろ私はお話になったことを逆に考え団体に合うようにそれぞれの団体条例でもって定めていく、必要のあるところでそれを行う、こういうふうに考えております。
  195. 加瀬完

    加瀬完君 三市の団体を除けばですね、そういう停年制というものをかぶせて新陳代謝を至急に求める必要がないという場合にですね、三市のために四、五十の団体に加えるという方法は、これはいかなる立場から考えても適当な方法であるとは思われないと思うのですよ。出された表によります構成比を見ていけば、都道府県なり市町村なりというものだけから見ればですね、新陳代謝の要が国家公務員よりもあるということは言い得ますけれども、国家公務員よりもはるかに低いところの率を占めている高年者の構成である教職員のワクにまで、三市の該当があるからといって停年制なら停年制、あるいはその他の改正の要点を押しつけるということは私はどういう立場でありますか、別な御説明を伺わなければ納得できない。この点はいかがですか。
  196. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これは押しつけるという趣旨がちょっとわれわれには理解しかねるのですが、押しつけるという考え方制度は全然考えておらないのでありまして、団体によりますとどうしてもこういう制度がなくては動きがつかぬ、その方が人事運営上適切であるということばかりに幾つあっても、その必要があれば道を開いていいわけであります。必要のない団体はとる必要が全然ない。われわれはそういうふうに考えております。団体は自分たちのことは自分たちで一番よく判断してきめるわけであります。そういうふうに考えておるわけであります。そうなれば、やるとすれば一般職員と一体教育職員と区別すべきかすべからざるか、こういう問題になるだけでございまして、いやしくも地方公務員制度につきましては地方公務員一般について道だけを開いておる、それぞれの必要によってやりたい所はやるべし、やりたくない所はやるべからず、こういうふうに考えておるわけでございます。
  197. 加瀬完

    加瀬完君 それであるならば提案説明というものを新しくつけ加えてもらわなければ困る。新陳代謝ということを一番本質的な目的として停年制をしくのだ、国家公務員を一例にとれば国家公務員は新陳代謝が非常に行われているからこれはしかなくてもよろしい。こういう態度でおって国家公務員よりはるかに新陳代謝の行われている教育職員に停年制ワクをかぶせるということは、これをかぶせなければならないような新しい理由というものがなければならないと思う。しかし時間も委員長からの指摘もありますのでくどくは申しませんけれども、そうすると新陳代謝というものは名目になっておるけれども、もう一つ二律的とは言っておるけれども財政合理化という目的が陰に隠されているのではないか。この方が重点ではないか。こういうふうに考えるものでありますが、大臣いかがでしょう。
  198. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) たびたび申し上げます通り、私は財政だけの意味でこれを考えるよりも、やはり今、たびたび申しましたように二律的な意味新陳代謝による停年制、むろんその事柄が裏を返して見て地方財政関係を持っていることは言うまでもないことでございますが、どちらに重点をおくという意味においては私は初めからそうでない、二律的なものだとかように申し上げておる次第であります。
  199. 加瀬完

    加瀬完君 二律的という御説明よくわかる。しかし二律の前半の新陳代謝を大きくするためにという理由は教育職員を対象としては成り立たない。そうすると教育職員にも停年例というものを施していこうということになれば、これは当然二番目の方の財政合理化ということの目的の方がこの場合は大きく響いてくるのではないか、そうではないかとこういう質問なんです。
  200. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 教育職員についての特例を特に見ていったらどうかと思いますが、各自治体における実情が、その必要がある場合にはやはりその条例によって定めていくので、平均の先ほどの数字がありましたけれども、その地方の団体々々におきましては地方教職員についても同様な問題があると私は見ております。
  201. 加瀬完

    加瀬完君 現状において教育職員を擁する都道府県の多くの団体は、新陳代謝という目的をここで急に施行しなければならないという必要は、他の行政職の一般職員と比べると少いということはお認めになりますか。
  202. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 私が申し上げましたのは、団体々々で違うのだから一般的にその問題だけ除外していくという考えにならない、かように申し上げた次第であります。
  203. 加瀬完

    加瀬完君 私の伺っておりますのは、たとえば市とか町村とか都道府県という一般職員には、新陳代謝を要求しなければならない団体が数多くあるけれども、それと比較するときに都道府県のあるいは市町村の教育職員というものに対しては、一般職員に望むほど新陳代謝をしなくてもいいことにならないか、この表から見て。
  204. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 新陳代謝の必要性の問題でありますが、これは私は必ずしも団体によって違いますので一がいに言えないのじゃないかと思います。  それからおっしゃる意味がよく私はわからないのでありますが、教職員といいますと教員以外も入っております。ところが停年の対象になるような人が、つまり教育職員の中の教員以外の教職員に相当あると私ども思っております。従って教員という場合と教職員という場合とはちょっと概念が違うと思っておるのでありますが、従って一がいにちょっと言えないのじゃないかと思います。教員でありましても、所によって新陳代謝をしなければならない所とそうでない所と、これは県によって、人員構成でありますが、私は非常に違っていると考えております。
  205. 加瀬完

    加瀬完君 それはいいです。ですから都道府県に限ってもいい、都道府県の教育職員と小中を押えましょう、小中の教員で停年制をこの際しいても、そういうふうに新陳代謝をしなければならない都道府県の数は、一般の都道府県の職員を新陳代謝をしなければならない数から見れば少いんじゃないかとこういうことなんです。お宅の方から出された表によれば。
  206. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) それは今のパーセンテージをごらんになれば全体として五十五才以上の構成比が少いことは事実でございます。これは少いだけでございます。少いからといって、それじゃ新陳代謝の必要がないかといえばそうではないのでありまして、学校の先生をかりに、先生だけを例にとれば悪いかもしれませんが、学校の先生にしたって、年々十人でも二十人でもいい、それぞれ交代して古い人がしかるべき機会にやめていただいて、新しい人が入って来るということは、こういう必要は当然考えられるのでありまして、その絶対数が少いか多いかということだけではなかなかこの問題は議論できない。しかしその団体としてその問題が少いからいいじゃないかという判断をとればそれは別問題であります。もう一つ都道府県をとれば、それぞれの府県別に見ますと県によってはこれも相違がある、こういうことになろうと思います。
  207. 加瀬完

    加瀬完君 私の質問を的確にとらえてもらいたいと思うのですよ。新味代謝をする必要があるとかないとかいうそんなことを言っておるのではない。新陳代謝ということは、今度は公務員法の改正が停年制をしくということを特に一つ目的にしているわけです。大臣説明によれば。それならば新陳代謝の要求度というものが小中学校の教員と一般職員とを比べると、要求度は一般職員の方に大きいとか強いという言葉がいい得るのではないか。なぜならば高年者が占めておるパーセントが多いのだと、概念的にそういうことがいい得るのじゃないかとこういうことを聞いておるのです。
  208. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) ですからこれは五十五才とか六十才とかいうある年令を押えて構成比が多いか少いかといえば、今の市町村は多いし、一般職員の方が多い、これは間違いない。でありますから現在高年者をみんな変えてしまうという前提に立てば、それが要求度だという、こういう考え方前提にすれば、そういう理論も成り立ち得る。しかしながら停年制というのは恒久的な制度でございまして、恒久的な制度としてそれぞれ新陳代謝の流れをよくする。こういうことになるわけでございますから、その数字だけをとらえてどうだこうだということは必ずしも言えぬのじゃないか。だから今後の人口の伸びということも、職員構成の伸びということも、当然に制度として採用する場合は考えるべきものだと思うのでございます。
  209. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の加瀬委員質問非常に重要なものだと思うのです。基本の問題として新陳代謝を言っておるのですから、そうすると加瀬委員質問は当然出てくると思うのです。そこであなた方としては各公共団体によって違うだろうということであれば、それにしても、およそその高年者の構成比がどの程度に達した場合において停年制が適当であるかどうか、ということを一応考えられなければならない。それに対しては大体の標準というふうなものはどう考えておられますか。
  210. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 高年者の五十五才以上が何パーセント以上ならば適当であり、必要であるというようなことは当然に出てこないのじゃないか。結局年令構成というものは、毎年毎年これは変っていくわけでありまして、今日高年者が多い、これをまあやめてもらうのだという前提に立てば、多いほどすぐやらなければいかぬのじゃないかという理屈は成り立ちますが、差し当っての問題としてはそういう問題も考え得るが、停年制という制度というものは長い間における人事の流通というものを軌道に乗せていこう、こういうところに制度の基本的な考え方があるわけでございますから、直ちに構成比によって何パーセント以下は要らぬじゃないか、要るじゃないかということは私はいいにくいのじゃないかと思います。
  211. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御質疑の前にちょっとお諮りいたしますが、衆議院の地方行政、運輸、建設三委員会の連合審査会をやっております。地方税法の一部改正に関し三時前から長官の出席の要求がこの委員会に来ております。ぜひ連合審査会だからきょう中に大臣の質疑を終りたいということでさかんに催促が来ております。一つこの際その点について御考慮の上、衆議院の連合審査会にも一時間十五分待たしておりますから一つ……
  212. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の部長の答弁はどうもおかしい。なにしろ一応のそういう基準というものを考えなければ全くこれはでたらめだということになる。だからしてそこにどういう分子が入ってくるかというと、どうしてもこれは財政合理化というのが入ってくる。それならば財政合理化ということと新陳代謝と二本立の議論に立っていかなければならない。それを片一方しかとっておらないところに私は疑問が出てくる。どうです。
  213. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 結局先ほども加瀬委員からお話の、提案理由の説明財政のことを書いていないのじゃないかということになるかもしれませんが、停年制大臣も繰り返し申されました通り、そうすることによって財政上の効果も当然にある、こういうことは繰り返し御答弁申し上げた通りでございます。
  214. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 だから各公共団体できめていくときには、必ずその両面を基準にしていかなければならないということになる。構成比で大体この標準に達した場合には、新陳代謝をさせるということがなければ、この新陳代謝の方よりもむしろ財政によって首を切っていくというような考えが強くくるかもしれぬ、そういうところのあいまいさを持ったものでは、はなはだもって迷惑をこうむる者がたくさん出てくる、こういうわけです。
  215. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) これはちっともあいまいと申すことではないのでありまして、それぞれの団体はそれだからそういう両面を当然に考えて、必要があれば採用する、必要がないと思えば採用しない、これだけだろうと思うのでございます。
  216. 加瀬完

    加瀬完君 これも大臣のおらないときに伺ったのでありますが、一応地方財政合理化の少くも一助にするという目的があるとすれば、三十一年度地方財政計画の御説明の中にある給与費合理化といいますか、こういう目的のために停年制なり機構の簡素化による、あるいは臨時待命と申しましょうか、こういうような方法が当然使われてこなければならないと思うのです。あるいは特にさっき小笠原委員の指摘いたしましたように地方財政再建法によりますと、作成の基準という自治庁がお示しになった中には給与の適正化というものが相当念入りに言われております。そうすると好むと好まざるとにかかわらず、赤字団体停年制なり待命制なりというものを利用いたしまして、給与合理化という目的のために人員整理をしていかなければならないという立場に追い込まれると思う。こういうふうな財政計画上、あるいは再建法上、停年制待命制というものを一環の方法として考えておられるのではないのかどうか。
  217. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 私、たびたび申し上げました通り、これを強制してどうこうという意味ではございませんので、財政上の目的のためにやる場合でも、こうしろという意味ではなく、そこは自治体の自由によってやるべき範囲を十分認めておるのでございまして、われわれとしてはその目的を達するために新陳代謝がうまくいき、財政も赤字をだんだんなくしていくようにというその方針の下にいくのでありまして、すぐこれをもって全部の首切り、言葉は悪いかもしれませんが、そうしなけりゃならぬという意味に、この新陳代謝の問題は私は考えておりませんのでございます。
  218. 加瀬完

    加瀬完君 それは自治庁自身はそういうお考えがないにしても、再建団体であれば、当然これは給与費合理化ということを自治庁指導するだろうし、自治体自体もねらっていかなければならない。そうなってくればいわゆる常識で考え停年ではないかと思われる年令をオーバーしている者が何人である、あるいはもっと機構の簡素化をすれば、何人かの冗員を生ずるのじゃないかという機構を現有している団体であれば、これはそういう方向に団体自身も動かざるを得ないということになりませんか。
  219. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほども私申し上げたのでございますが、停年制というのは新陳代謝一つ方法にすぎないと財政的には考えております。従ってとるかとらないかということはそれはもちろん財政的な観点から考える場合もございましょうが、恒久的な制度として、これがその団体にとって財政的にプラスになるかどうか、ということを深く考えた上でとるだろうと思います。従って今何人五十五才以上の人がおるとか何とかいうことは、私はもちろん考えますけれども、それよりも恒久的な制度として財政的にどうなるかということを考えるべきであり、またそういうふうに考えた上でとるべきものだ、その上で新陳代謝一つの方便として使うべきものだ、かように私ども考えておるのであります。
  220. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 先ほど申し上げたように大へん大臣は衆議院から催促されておりますから……
  221. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると今度の停年制によって大体整理をする人員、そういったようなものは自治庁は全然考えておらないのですね。
  222. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 財政計画の上では停年制を施行されましたために、何人それによって新陳代謝が行われるというふうには考えておりません。
  223. 加瀬完

    加瀬完君 一応しかし停年制というものがしかれるということになりますと、停年制というものによって節減される額もありますけれども、退職によって支出する支出増になる額もございますね。これを大体まあ二十五年くらいやっておると仮定をいたしまして計算をいたしてみますと、その市町村でそれぞれ違いまするけれども、とにかく団体としては当面としては持ち出さなきゃならない額が出てくると思う。これは、先ほどの部長さんの御説明では一般職員が千分の十ですか、教職員が千分の二十五ですか、これに見合うところの起債ワクはありますが、これをオーバーすることになりますね。そうすると結局停年制をしいたために財政支出のやりくりがつかないという団体も出て来ると思う。これらに対してどういうふうな措置が事前に講じられておるのですか。(「それはさっき出たな」と呼ぶ者あり)出たのだけれども答えが出てないのだよ。
  224. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お話しましたように、一応六十億のワク退職金起債ワクとして用意しております。しかしその中で停年制によるものが幾らあるかわかりませんが、もしもそのワクで不足いたしまする場合にはもちろん追加するなり、翌年度に少し回してつけるなり、これは先ほど申しましたように年度の終りに出て来る、非常にたくさん出て参ります。年度当初には出て参りません。年度の終りごろに非常にたくさん出て参りますので、年度をまたいで翌年につけるとか、退職金の支払いをちょっとずらすという方法地方団体によってはやっておりますので、そういう方法によってやり得るものはやり、それでなおかつ足りないものはやはり起債ワクを増額してその資金需要にこたえると、こういうことにいたしたいと考えております。
  225. 加瀬完

    加瀬完君 私が大臣にお伺いしたいことは、そういう御説明は先ほどからあった。しかし来年度と言っても、本年度停年制を施行すれば、それによる財源の必要額というものは当然計算ができると思う。そういう措置というものは考えないで、停年制だけをしくということは財政的にかえって地方に大きな負担を与えるのじゃないかと、こういう考慮が全然ないというのがおかしいと思う。先ほどから繰り返すようですが、その点は大臣どうですか。
  226. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 停年制はまあ新陳代謝一つ方法であると、先ほど申し上げましたが、停年制をやりまして、そうしてそれによって財政需要がその年はふえますが、しかし翌年からその財政需要が、給与費は非常に減って参るのであります。従ってその問をならすために起債を認めておるのであります。従ってその年は苦しいのでありますけれども、翌年から非常に地方団体は楽になって参ります。従って長い目で見ればこれは問題でなくなるのではないか。その年だけを見ますと非常に苦しい団体が出て参ります。それをある程度起債で救済をして行こう、こういう建前にしておりますので、まあ大体六十億くらいの起債があれば私は賄い得るものと、かように考えております。
  227. 加瀬完

    加瀬完君 大臣にお答えをいただきたいのですが、これは何回も言うようでくどくて相済まんと思うのですが、念を押してもう一ぺんお聞きします。再建法の適用団体停年制なり、待命制なりというものを強要するというような、停年制待命制というものを利用して人員整理をさせるという方針は全然自治庁は持っておらないかどうか。
  228. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 強要するような考えは持っておりません。
  229. 加瀬完

    加瀬完君 指導をしてそういう方向に持って行かれるというお考えも全然ありませんか。自治体自身にまかせますか。
  230. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 私ども考えでそれがいいと思うときにはおすすめすることはございますが、断じて強要はいたしません。自治体自体の公明なる、最善なる方策によってやって行くことを信じて疑わないのでございます。
  231. 加瀬完

    加瀬完君 大臣にはけっこうです。
  232. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  233. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をつけて。
  234. 加瀬完

    加瀬完君 今の問題は財政部長に伺いますが、しかしこれはそうせざるを得ないことになりませんか地方団体は。
  235. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 停年制をするかしないかはもちろん地方団体考えることでありまして、われわれの方としては給与費合理化をはかって行きたいという希望は申し述べます。その方法は何によってやるかということは地方団体がそれぞれ計画してやってもらいたいということは申し上げておりますが、われわれは、先ほど申し上げましたように、給与費の増額を一体どうするつもりかということが私どもの問題であります。個々の内容の問題ではないのでありますが、給与費の増額を横ばいにするか、スロー・ダウンにするか、多少でも上げて行くのか、その方針をはっきりしてもらいたいというのがわれわれの希望であります。
  236. 加瀬完

    加瀬完君 結局増額の問題になりますと、増額を縮めるには停年制待命制を使わざるを得ないということになると思うのです。この点の指導というものに全然触れないで、増額を縮めろという方法が、基準でございますか。
  237. 後藤博

    政府委員(後藤博君) これはいろいろ職制を改正いたしまするとか、それからまあたとえば市町村でございますれば出張所を少くするとか、いろいろな方法によって給与費を落して行く方法がございます。それから新陳代謝をどの程度にやれるかということも考えられる。その新陳代謝方法は一体何によってやるかというときに、停年制というものが出て来るわけであります。その停年制によらない場合には新陳代謝を他の方法でやるということになるのであります。従ってそれをやるかやらないかということは地方団体が自主的にきめることだと、かように考えております。
  238. 加瀬完

    加瀬完君 だから自主的にきめるということになると、停年制をしいたり、待命制を取り上げたりせざるを得ないような形に追い込まざるを得ないと思う。この点は、だからそういう方法を用いなくても給与費の増額を縮減する、あるいは合理化するという見通しがございますか。
  239. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 私ども再建団体につきましては一応行政コストを一定しよう、こういう考え方なんであります。その考え方から給与費について一応横ばいの計画考えたらどうか。それができなければ多少のスロー・アップを考えたらどうか。なおかつスロー・ダウンができるものはスロー・ダウンをしたらどうかと、こういう考え方をしております。その場合に新陳代謝の問題を今申し上げたような方法でやっておるのでありまして、新陳代謝を何人したらどうかということについては考えておりません。たとえば昇給財源をその横ばいの場合には考えなきゃなりません。その横ばいの場合に昇給財源幾らにするかということは新陳代謝のやはり数によってきまって来るのでありまして、それぞれの新陳代謝の数とそれから昇給財源の量とをやはり考えて、その間で適当なところをきめたらよろしいでしょう、こういうことをわれわれは申しておるのであります。従って昇給をたくさんしたいという所は新陳代謝が多くなるという結果になるかもしれません。その場合に停年制もあわせてやるかやらないかということは地方団体がきめるのであります。そういうような考えを持っております。
  240. 加瀬完

    加瀬完君 その部長さんのお考えはよくわかるのですよ。しかしそういうふうな形で地方団体が進む上において停年制というものをしかざるを得ないのじゃありませんか。極端に言うならば、機構の改革による待命者というものをある程度出さなければつじつまが合わないことに結局落ち込みませんか。で、私の伺いたいのは、停年制をしかない、待命制をとらないでそれで給与費計算をして持って来た場合に、自治庁はこれをそのまま認めるか。停年制をしいた方がいいのじゃないか、あるいはこういう点で待命制をしくべきであるというふうなことに全然触れないか。
  241. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 停年制もしかないで、新陳代謝もされないで給与費が横ばいになる、これは不可能なことでありますが、もしもそういうことでやると言えば、私ども給与費はその通りに、まあ別に触れないで私どもは行きたいと考えております。別にめちゃくちゃでなしに、しばらくストップするということでありますから。それもしかし長い間七年も八年にもわたってストップするということは不可能でありますから、三年目からはどうするのだ、二年目からはどうするのだというような質問はいたしますが、その場合に一体どうするかということは私どもは聞かなきゃならぬ義務はあると思います。
  242. 加瀬完

    加瀬完君 結局再建団体は一番切り詰めると言いましても、相当その事業費を切り詰めておりますから、給与費あたりを落して行かなければなかなか、切り詰める方法も尽きていると思うのです。そうなって来ると、どうしてもこれは停年制なり待命制というものを用いざるを得ない。だからそういう無理なことはさせないということであれば、話はわかるけれども個々団体個々団体なりに、いつかの御説明によりますと、再建計画を立てて行くということになりますと、これは押しつけられたと同じことになると私は思うのです。
  243. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 再建計画について非常に誤解があるんじゃないかと思います。一応再建計画を作りまして、これで自治庁はどういうふうにお考えになりますかということを、意見はもちろん聞かれます。その場合に自治庁は、今さっき申し上げたような意見を申し上げます。しかしそれをやるかやらないかということは地方団体の問題なんです。地方団体が帰って議会と相談をして作って持ってくるものは持ってくる。こういう格好になりますので、必ずしも私どもは強制するということでなく、意見を聞かれれば、もちろん停年者が多ければ停年制はどうするのだということは聞きますけれども、別にそれを強要して停年制をしかなければならない。しかなければわれわれは再建債を出さないとか、そういうようなことを言う意思はありません。
  244. 加瀬完

    加瀬完君 御意思がなくてもそういう形をとらなければやはり再建計画は何回でもねり直させられるような形に落ち込むと思うのです。というのは、給与費合理化とか、あるいは給与費の節減とか、こういう項目について、非常に重点が再建法によると置かれているわけです。そうなればこれは停年制というもの、待命制というものがここに施行されたときに、これを使わないで、給与費合理化ということを言ったって、これは通らない話だということになると思うのです。この点はどうも部長から御説明になってもそうであるならば、国家公務員に施行しておらないところの停年制を急遽しかなければならない理由というものは非常に薄弱になってくるのじゃないか。特に新陳代謝のあまり用のない教職員のワクにまでこれをかぶせてくるということになると、これは給与費合理化というものを狙っていくこれは大きな一つの狙いであるというふうに私どもは感ぜざるを得ないのですが、そういうことはないのですか。
  245. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 再建団体、つまり赤字団体だけがこういうものを要求しておるのではなくて、健全財政をやっておるところのものも要求しておるのであります。停年制をしいてもらいたいという要求があるのであります。従って赤字団体であろうが健全財政をやっておりましょうが、そこの間の区別は私はないと思います。再建団体だけに停年制を押しつけていくという考えは持っておりません。再建団体でもやはりこの制度をとりたいということももちろんございますし、とりましても効果のそう上らない団体もあります。従って再建整備をやります場合に、どうしてもこれはしなければならぬ要素と私ども考えておらないということを先ほどから申しておるのであります。
  246. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、再建団体がやられるかどうかということは御説明でわかります。そういう御意思がないということはわかりますけれども、しかし再建団体はやらざるを得ない形に追い込まれる。そういうことがないかと言っているのです。
  247. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 追い込まれるということはよくわからないのですが一番私は必要なのは市町村の場合だと思います。市町村が非常に要望しておりますが、市町村再建計画なんか見ておりますと、消費的経費ばかりで投資的経費はしばらく使わないという団体もあります。仕事は従来赤字を出してやり過ぎたからもうしばらくやらない、二三年休むという団体もあります。千差万別なのであります。従ってその団体がやはりやるかやらないかということを考えて、投資的経費を中心にするか、あるいは消費的経費を中心にするかというような考え方からして、再建計画はできてくるものと考えております。従いまして追い込まれるのではなくて、もしもやらなかった場合には投資的経費の方が減っていくという場合はあり得ると思います。従ってそれでもよろしいという再建計画であれば、われわれはその再建計画の内容にわたって別に文句を言ったり注意をしたりする意思はございません。それでもしばらくはよろしいということであればそのまま認めていきたい。かように考えているのでありまして、別に押しつける意思はありませんし、追い込まれるということも私は考えられないことではないかと考えております。
  248. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、あなた方がお出しになった再建法に対する施行令あるいはその説明によりますと、そういうゆるいものではないというふうに私どもは解釈をするのです。ずいぶんきつい条件というのが盛られているように思われるのです。
  249. 後藤博

    政府委員(後藤博君) これは読み方の問題だろうと思います。私どもはそういうきついものを出しているつもりはございません。
  250. 加瀬完

    加瀬完君 さらに財政部長に伺いますが、結局停年制というものをかりにしくとすれば、停年制によって浮く面もあれば伸びる面もありますけれども、こういう点は全然そうすると再建団体であっても無指導にいくということですか。
  251. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 無指導というわけではございません。一応制度としてあるのでありますが、それぞれの団体考えることでありまして、意見を求められればわれわれはそれに対して助言をしなければなりませんから、助言はいたしたいと考えております。
  252. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 本案に対する質疑はこの程度で終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 松岡平市

    委員長松岡平市君) それでは、本案に対する質疑は本日をもって終局することといたし、次回に討論採決を行いたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 松岡平市

    委員長松岡平市君) それでは御異議ないと認めて、さように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会