○
政府委員(
早川崇君) 森下
委員のまことにヒェーマニズムに富んだ御所見でありますが、地方財政の赤字対策としては確かにこれは最後のものであるべきであろうという御
意見、私は確かに
一つの御
意見だと思います。ただわれわれといたしましては、前後の
関係ではなくて、総合的に物事を実は処理しようと、こう
考えておりまして、地方財政の赤字の原因の大きいものを拾ってみますると、第一にはどうしても人員機構の戦後急激な膨張、あるいは
委員会制度その他が非常にふえたということ、これが何としても第一の原因である。第二の原因は、ただいま御指摘のように国からの仕事もずいぶん多いのでありますが、二割五分という数字は私は存じませんが、もし公共事業というものの補助金をも国の事業とすれば、そのぐらいになりますが、公共事業はむしろ
市町村長から希望する傾向が非常に多かった。従ってこの問題についてはむしろ国の仕事を押しつけられたというよりも、地方自治体自身の自主財源が少な過ぎる、一般の
予算の三六%だ、それに交付税を加えましても五二%というのが昭和三十年度の実績でございますから、その面から地方財政の赤字が出ておるので、それを直したいというのが第二であります。第三は、例の公債問題でありまして、国は非公債、地方は公債という公債政策の誤謬が原因であります。そのほかいろいろ原因はございまするが、そういった三つ四つの大きい赤字原因の大きい
一つは、機構あるいは人員その他の膨張ということはこれは事実でございますので、その対策の一環として、われわれはこの自治法の一部改正というものを
考えたわけでございまして、
地方公務員法の改正による、特に
停年制という問題は、むろん地方財政赤字解消の一環であることにはこれは疑いをいれないのでありまするが、そういった面でもやはり
停年制というものの効果を若干われわれは考慮に入れて御提案いたしておるわけであります。
そこでこういう提案をなしたのでありますれども、仰せのように、先ほど
部長も答えましたように、本来は
停年制というものは人員整理という
意味じゃありませんので、できる限りそれによって被害をこうむる方にはあたたかい方法を
考える、こういう基本線も実は持っておるのであります。たとえばけさほど
小林委員が提案されましたように、
待命制というものを活用して、
停年になった人もたとえば一年間は、あるいは二年でもいいですが、半年でもいいですが、本俸だけをやっておく、しかし勤務に及ばずというような
措置も
一つの方法でありまして、一年、二年本俸だけもらってただ遊んでいるという人は少いのですね。その間に
知事なり
市町村長あるいは友人、縁故が
一つの仕事を探す。ただ遊んで一年も本俸をもらっているというような人は私は非常に少いと思うのです。従ってそういうことで、職が見つかったときにやめてもらうというようは方法あたり、私は
自治庁から強制する意思はありませんけれども、これは
一つの私は方法だと思います。また退職手当に対しては勧奨退職のようなむしろ有利な方法でやれ、これはわれわれ
自治庁としては通知していいと思うのであります。さらにそのほか、運営上、午前も御議論がありましたように、特殊な人には
条例においていろいろ例外を設けるというようなこともいいのであります。ただこの
停年制の狙いは、そういう
個々の例外を
認めるが、
一つの一般的な基準を設ける。それによって
年令構成を合理化するとともに、あわせて財政もこれを機会に財政改革をはかるという次第でございますので、現在の森下
委員のお説はまことにわれわれとしては傾聴に値いしますが、さればといって、これを今直ちにそういういろいろな方策を講じた
あとに出し直すという意思は実は持っておりません。やはり地方財政、行政の総合的立て直しの一環として同時に
一つ提案をいたしたい、こういう
趣旨でございます。