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1956-04-20 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十日(金曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            大矢半次郎君            藤野 繁雄君            前田 久吉君    委員            青柳 秀夫君            井村 徳二君           大野木秀次郎君            木内 四郎君            菊田 七平君            白井  勇君            西川甚五郎君            天田 勝正君            小林 政夫君            杉山 昌作君            土田國太郎君   政府委員    北海道開発政務    次官      白波瀬米吉君    北海道開発庁次    長       田上 辰雄君    北海道開発庁企    画室主幹    柏原益太郎君    大蔵政務次官  山手 滿男君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    中小企業庁長官 佐久  洋君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    国家消防本部総    務課長     横山 和夫君    北海道開発庁企    画室主幹   桑原 幸信君    自治庁行政部行    政課長事務代理 角田禮次郎君    大蔵省主税局税    制第一課長   白石 正雄君    大蔵省銀行局特    別金融課長   青山  俊君    大蔵省銀行局中    小金融課長   加治木俊道君    大蔵省銀行局保    険課長     谷川  宏君    厚生省社会局生    活課長     河角 泰助君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選租税特別措置法の一部を改正する法  律案小林政夫君外五名発議) ○北海道開発公庫法案内閣提出、衆  議院送付) ○租税及び金融等に関する調査の件  (類似保険に関する件)  (金融問題に関する件)   —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これより委員会開会いたします。  議事に入るに先だちまして理事補欠互選についてお諮りいたしたいと思います。  去る十七日山本理事委員を辞任せられました結果理事が一名欠員となっておりますので、理事補欠互選をいたしたいと存じます。先例によりまして成規の手続きを省略して委員長の指名に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それでは理事藤野委員を御指名申し上げます。   —————————————
  4. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) まず租税特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、発議者より提案理由説明を聴取いたします。発議者小林政夫君。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  輸出による所得に対し所得税及び法人税を賦課するにつきましては、輸出奨励の観点から、昭和二十八年以来特別の控除制度が認められ、輸出振興に多大の寄与をいたしておりますことは、すでに御承知通りでございます。  ところで、わが国の重要な輸出品一つであります絹または人絹スカーフマフラーハンカチーフ類につきまして、特別控除制度適用状況を見ますと、これらスカーフ類の重要な生産工程であります捺染加工による所得につきましては、大部分の場合において、本制度恩典が受けられないことになっているのであります。  これは、捺染加工業者の大部分が、直接輸出商社から注文を受けず、いわゆる売り込み業者を通じて注文を受けるという特殊な業態をなしておりますため、このような不合理な結果となっているのであります。  このことはスカーフ類輸出額年間約六十億円に及ぶものであり、また捺染加工スカーフ類生産工程の重要な部分を占め、その捺染加工料金年間約八億円に達する状況であるのにかんがみまして、輸出振興目的とする本制度の本旨に著しく反するものと考えるのであります。また捺染加工業者のほとんど全部が横浜地方に集中しておりますため、スカーフ類捺染加工による所得に本制度を適用するにつきましては、徴税技術上の困難が存しないのでございます。  本法律案は、このような情勢にかんがみまして、新たに絹又は人絹スカーフマフラーハンカチーフ類捺染加工による所得を本制度適用対象とし、特別控除恩典を受けうることとしようとするものであります。  なお、新たにスカーフ類捺染加工につき輸出所得特別控除を認めました金額に応じて現在売り込み業者に認めております特別控除額を減ずることといたしておりますため、国庫の税収入には変動がないのでございます。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ただいま発議者から提案理由説明がございましたこの法案につきまして、政府側からの意見を聴取いたします。まず通産省側より徳永企業局長
  7. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ただいま御提案理由で御説明がございましたように、修正のねらいとされておりますところは、現行制度の不均衡と申しますか、税制上の税収入に影響を及ぼさない範囲での業者間の段階の実情に応じまして調整を行おうという御趣旨のようでございますが、その限りにおきまして、相当の御提案の御趣旨にもございましたような十分の理由のあることかと思うわけでございます。ただ私どもといたしまして若干お考えいただきたいと思いまするのは、わが国国際経済社会におきまする地位というものは、戦後まだ十分に確立いたしておりませんし、また戦前におきまして、とかくの批評を招いたというようなこともありましたわけでございまするので、戦後におきまして新たに国際経済社会の一員としての正当な地位を得るということのためには、わが国としまして極力諸外国から誤解を招くような措置ということはいたしたくないということを考えておるわけでございます。さような趣旨で、一日も早く日本の正当な国際経済社会における地位というものを確保し、それによって通商全般の円滑な進展をはかるということがこの際望ましいことだし、また適当かつ必要な態度ではなかろうかというふうに考えるのであります。さような意味におきまして、最初に申し上げましたごとく、御提案趣旨そのものは、それなりにそれ自身十分の理由もあり、説明もつくことかと思うわけでございますが、後段申し上げましたような気持で今後やりたいと考えております意味から、若干の疑問を感じますということを申し上げまして、皆様の御判断をいただきたいというふうに存ずる次第でございます。
  8. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に大蔵省側からお願いします。
  9. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 主税局といたしましてのこれに対しまする意見を申し上げたいと思いますが、輸出所得に対しまする免税をいたしますにつきまして、輸出所得段階をどこまで考えていくかという問題は、御承知通りあるわけでございまして、商社メーカー、またメーカーの下請というように幾らもの段階があるわけでございますが、その場合に理論的には、その輸出所得段階最後の下の段階にまでつき進めて免税をするということが理論的ではあると考えられるのでございまするけれども、これは非常に租税技術上も困難な問題でございまするし、かつまたそれが必ずしも免税趣旨を徹底するゆえんでもないというようなことから、現在の制度といたしましては、ある段階を限っておるわけでありまして、そういう意味で、加工業者につきましては、第一次の加工業者段階に限られておるということに相なっておるわけでございます。本改正案はこれにつきまして第二次の加工業者までに及ぼすというような改正でございまして、従来の現行法から一歩踏み出すわけでございますが、このようなことは制度を複雑化するということと、また他にもそのような例が生じかねない意味におきまして、必ずしも好ましいことじゃないと、かように考えておる次第でございます。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 まず通産省側見解でありますが、今回の提案は決して輸出フェーバーを拡大することでもなく、国内における不均衡を是正するわけでありまして、何もティミッドに考える必要はない。堂々とわれわれは国内問題としてやるべきことはやったらいい、これが私の見解であります。  それから技術上の問題についての大蔵当局見解でありますが、これは先にわれわれが参議院発議によって第七条の六の第一項の第八号を挿入する際にも、最後まで大蔵当局としては執拗にその見解を主張されたわけでありますが、ついに八号については、現在法律も成立し施行されておる。この今回のものはいわば八号を設定した一つのしりぬぐいでありまして、この八号で当然該当されておるというふうにわれわれ当時つもりであったものがいろいろ検討してみるというと、一部の業者については該当もれになる。それがどうも行政措置ではいけない、こういうようなことで考えた末、本法律案発議するに至ったわけであります。従って一般原則として主税当局がそういう心配をされる気持もわからないではないのでありますが、これは提案理由でも申し上げたように、神奈川地区に固まっておる業者である。それが税務署並びに国税庁において、十分法律さえかえてもらえばやれるということをわれわれに言明しておるのでもありますし、大蔵当局心配は杞憂であります。こういうふうに存ずるのであります。
  11. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  12. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。  これにつきましては、質疑がございましたら、どうぞ続行願います。  速記をとめて下さい。   〔速記中止
  13. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて下さい。  ただいま議題となりました法律案質疑は、この程度にとどめます。   —————————————
  14. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に、北海道開発公庫法案議題として質疑を行います。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 きのうの各委員との間における質疑応答について、この公庫融資対象として、相当大きな事業というような意味答弁がありましたが、与えられた資料で1、2、3、4、5まで書いてあるのですが、きのう御答弁になった趣旨によって、この融資計画について意味づけながら御説明願いたい。
  16. 桑原幸信

    説明員桑原幸信君) この八十億の設備投資計画案について簡単に御説明申し上げますと、これはこの公庫法に照らしまして、業種別に一応区切ったわけであります。もとより公庫が発足いたしましてから、公庫理事者調査研究の上、しかるべき業務方法書を作りまして、主務大臣の認可を受けて、初めて、いかなる業種に対していかなる資金量を供給するかということを決定するものでございますが、一応の委員会の御討議のめどといたしまして、ここにこれを提出したものであることを御了承願いたいと思います。それでございますから、公庫が発足いたしましてから、資金の実際の貸し出し対象、あるいは量等相当異なってくるということもあわせて御了承願いたいと思います。  第一番の石炭及び天然ガス利用度の高い工業でございますが、御案内の通り北海道石炭埋蔵量にいたしまして日本の大体半分を占めておりますところの八十億トンの石炭が現在埋蔵されております。そういたしましてそのほとんどが、高級炭は京浜あるいは阪神に流れてきておりまして、北海道でこの石炭利用する工業というものはきわめて少い現在の状況であります。そこで北海道関発の上からいたしまして、釧路地区あるいは天北地区の低品位炭利用いたしまして、火力発電あるいは現在要求されておりますところの加圧製塩事業というものを一つぜひ振興したい、で、具体的にいろいろ釧路におきましても、天北におきましても、この低品位炭利用につきましては、現地当局並びに北海道庁におきましても数年来研究しておる問題でございます。この公庫が発足しますれば、急速に実が結ぶのではないかというように考えておる事情でございます。それから天北地区には非常に優良なかつ豊富な天然ガスがございます。これを利用いたしまして、カーボンブラックあるいは現在非常にいわれておりますところの天然ガスからの肥料工業というものをぜひ考えてみたいというように考えております。それから都市ガスでございますが、北海道における石炭利用構想の一環といたしまして、ぜひとも都市ガスの普及を急速にはかりたいというように考えております。この都市ガスにつきまして特に現在考えておられますのは、石狩地区におきますところの炭田が非常にガスが多い。保安上危険が多いのであります。保安上どうしても炭鉱の坑内ガスを抜かなければならない問題がございます。そこでこの坑内保安を確立するということと、あわせてその排気ガスからこれを都市ガスに供給したいというような計画も現実に考えておる次第であります。これが第一番の石炭及び天然ガス利用度の高い工業において本年度に考えられる事業の内訳でございます。  その次が農林畜水産物加工度の高い工業でございますが、第一番目のハードボー工業、これは現在岩内で北海道地区の特有な産業といたしまして、非常にササ竹が豊富でございます。このササ竹利用いたしまして、ハードボー工業を興しまして、包装材を作りつつあります。これは今後北海道において相当伸びていく工業ではないかというように考えておる次第であります。それからテンサイ糖でございます。現在すでに三工場ございますが、今後北海道における農業の地力の回復改善という見地からいたしましても、また外糖の輸入を抑圧するという見地からいたしましても、北海道におけるテンサイ糖はどうしてもこれは振興しなければならぬ。特にこのテンサイは御承知通りに非常に寒冷に対しで強い寒冷作物でございます。そういう意味からいいましてもぜひとも振興しなければならぬ。そこで現在農林省におきまして二工場にするか三工場にするか増設計画を考えておりますが、それに見合って開発公庫としてもテンサイ糖工場融資を考えていきたいと考えております。それから木材糖化工業でございますが、これは木材廃材を処理いたしまして、これに硫酸または塩酸で処理して将来はブドウ糖を取っていこう。現在スイスでこの企業が成功しているということを聞いておりますが、北海道における廃材処理工業としては最も適当な工業一つだというふうに考えておりますので、技術的に工夫改善されるならばぜひともこの企業にも融資したい。それからアルギン酸は、これは北海道におけるコンブを処理いたしまして、ノリを作るという工業でございまして、釧路でやりましたのでございましたがこれは失敗しましたが、現在日高で一応やっております。なお、技術的に資金的に解決しなければならぬ多くの問題を残しておりますが、北海道における特産品利用する工業としてぜひとも振興したいというふうに考えております。それから食品加工業は、これは現在でも北海道における工業構成からいきまして非常に比重を占めている工業でございますが、しょうゆにいたしましてもみそにいたしましても、まだ北海道では原料を生産しながら自給自足に達していないような状況でございます。そこでそういうようなものの自給自足を、また乳牛の増加によるところの酪農製品増加というような意味食品加工業を考えておる次第であります。  それから鉱業及び製錬業でございますが、この公庫の性質からいたしまして、いわゆる縦の産業として開発を要するところの石炭縦坑開発、あるいは鉱業の五カ年計画に基くような鉱業開発というものは、北海道開発公庫融資対象に譲っておることを原則としておりますが、北海道鉱山特有性からいたしまして、ぜひともやらなければならないような、融資しなければならないような事業があるわけでございます。たとえば北海道鉱山には非常に道路開発が進んでおりません。特に市町村道、国道からさらに鉱山山もとまで行くところの私設専用道路というものがほとんど顧みられていない現状でございます。しかも現在の融資機関ではこういうような鉱山道路等に対してはほとんど融資がみられていないような現況でありますので、公庫といたしましては鉱山道路等設備資金に対しましても融資を考えていきたいというふうに考えております。  それから四番目の離島航路整備でございますが、北海道には現在十三からの離島航路を結ぶところの会社がございます。しかしながらこれは非常に経営がむずかしくなっておりますのみならず、経営がむずかしい反面、どうしてもこれは北海道としてこの維持をしていかなければならない航路で、いわゆる公共事業的な観念が非常に入ってくるものでありますが、現在の十三社をしかるべく統合按配いたしまして、第一には航路整備、第二には経営の健全をはかりたいというように考えておる事業でございます。それから航空事業は昨日も申し上げましたように、北海道における交通網の発達の一翼といたしまして、ぜひとも北海道を短く結ぶという意味からいたしまして、地方航空路拡充にはぜひ力を入れたいという意味航空事業を考えておる次第であります。  それから五番は、今後関係各省と御相談申し上げますと非常に出てくるのではないかと思いますが、1、2、3、4、というような系列に入らないところの事業、しかも北海道開発上必要な事業に対しましては大蔵大臣並びに開発庁長官の指定する事業に対しては公庫融資するということにいたしております。差し当り考えておりますのは、PSコンクリート、これは現在の北海道土建事業でも非常に使っておりますけれども、ほとんどすべて内地から移出されておるような現況でございます。非常に運賃のかかるものを内地から持って参りますことは、北海道経済からいっても非常に不経済なことでございますので、現地PSコンクリート工場を作るというように考えておる次第であります。それからソーダ工業も現在北海道で操業しておりますが、ますます北海道の諸工業が進展するに伴いまして、ソーダの需要が非常にふえてきております。そこでぜひソーダ工業拡充をはかりたい。それから機械貸与でございますが、これは北海道におけるところの土建業はほとんどが小資本でやっておる。そこで非常に機械化がおくれております。その意味におきまして機械貸与というような会社ができまして、この小資本土建業者土建に必要な機械を貸すというように考えておるのであります。それから石油精製工場一つもございませんので、非常に運賃のついた高い重油を買わされておるということも、北洋漁業の基地としての北海道見地からいきましてもはなはだ好ましくないというので、現地石油精製工場を作るというように考えておる次第であります。  以上が申し上げました本年度におけるところの融資対象事業として一応考えたものでございますが、これに伴うところの長期運転資金としては十億円を考えておる次第であります。以上であります。
  17. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  18. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午前十一時二十七分休憩    ————————    午後一時十一分開会
  19. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 休憩前に引き続きまして、北海道開発公庫法案に対する質疑を続行いたします。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど融資計画説明を聴取したわけですが、承わってみると、大体従来の開発銀行あるいは農林漁業金融公庫等から融資をしておった対象とほとんど変りないように思うわけです。特にこの北海道開発公庫を設けて、お話のような融資対象融資をしなければならん、こういう理由はどこにあるのかということですね。従来の開発銀行あるいは農林漁業金融公庫というようなものとの関連はどうなるのかということです。
  21. 桑原幸信

    説明員桑原幸信君) ただいまの点でございますが、具体的に申し上げますと、開発銀行につきましては、われわれが次官会議で了解しておりますのは、いわゆる縦の政策の線でございます。たとえば石炭で言えば縦坑開発とか、水力、電力の開発、いわゆる全国的な視野において融資をし計画を実行しなければならないものにつきましては、開発銀行に従来通りお願いする。また開発銀行がある一つの、Aの事業について北海道融資をしているという場合に、その対象事業がさらに拡張工事をやるという場合には、従来通り引き続いて開銀にお願いしたい。しかし新たにそのAの事業所が別個の事業をやる場合においては、今後は北海道開発公庫めんどうをみてもよいという考えで開発銀行についてはおるわけであります。農林漁業金融公庫についての融資対象となるものについては、北海道開発公庫融資あるいは投資はいたしません。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると具体的に、たとえば低品位炭利用工業というようなものも従来開銀で考えないこともないのですね。あるいは天然ガス利用工業というものも開銀融資対象とする、そうすると従来も何がしか出ているかもしらんし、今後北海道地区でこういう工業をやるという際は北海道開発公庫が取り上げるのだと、従来から開銀がやっている分も回収されるにつれて新しく開銀北海道に手を出さないのか、それはそれで融資を続けていって、また別途同じような対象に対して北海道開発公庫からも出すと、こういう場合もあり得るのじゃないですか、あなたの御説明だと。
  23. 桑原幸信

    説明員桑原幸信君) ただいまの点は、北海道開発公庫といたしましては、北海道における特色ある事業について投融資したいということが原則でございますが、開銀と今後競合する問題につきましては、すでに通産省等ともよく連絡をとりまして、これは開発銀行めんどうをみていく、それからこれは北海道開発公庫めんどうをみていくというような話し合いを続けております。それですから、御指摘のような点はできるだけ少くしたいというふうに考えておりますが、当初は多少競合するような面もあるかもしれません。
  24. 小林政夫

    小林政夫君 開銀の今日までの経緯をみても、いろいろたとえば見返り融資等の引き継ぎであるとか、あるいは中小企業金融公庫ができたために、開銀中小企業向け融資権利義務というか、それを全部中小企業金融公庫に移譲するとか、こういう一応はすっきりした形にいっているわけです。それが、この公庫については、経過措置等を読んでみてもそういう配慮が加えられていない。北海道で特色のある事業に対する融資をするのだといっても、すでにそういう点も織り込んで開銀からある程度融資がされているという問題等から考えて、せっかくこういうものを作るということであれば、今直ちに中小企業金融公庫開銀中小企業向け融資を引き継いだような方法の引き継ぎ方もある、そこには経過的にいろいろ考える方法があるのだけれども、それを並存していくということの理由はどういうところにあるのか。逐次整理して公庫にまとめていくという含みを持っているといっても、実際の運用でやっていくというつもりなのかどうなのか。
  25. 田上辰雄

    政府委員田上辰雄君) ただいまの御質問ごもっともだと存ずるのでありますが、すでにこの公庫法案の第一条にもございます通りに、この北海道開発公庫投資または金融あるいは債務の保証を行うのでありますが、あくまでも「一般金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする」と謳ってあるのでございまして、具体的にお話しになりました、たとえば日本開発銀行あるいはその他の政府特殊金融機関等もそれぞれ今日まで北海道において相当金融をいたしておるのであります。しかしながら先日も申し上げました通りに、現在まで融資をしておりまする状態を、北海道の状態を見ますと、はなはだ不十分であるということが申し得るのでありまして、北海道の世論といたしましても、資料にありますような特殊機関の金融が全国のパーセンテージにしまして七分二厘あるいは七分四厘程度の率ではきわめて少いのではないか、これを何とか融資の不足を補っていきたい、ことに長期にわたる資金の供給ということは、昭和二十七年以来、北海道におきまして北海道拓殖銀行が拓殖銀行の性格を失いましてから非常に問題になっておりますので、従ってこの公庫の出発に関しまして、あくまでもこの日本開発銀行あるいは中小企業金融公庫等が融資をしておりますものの不足分を補っていくということなのでございまして、従ってこれらの特殊金融銀行との関連はいろいろありますが、たとえば日本開発銀行だとか中小企業金融公庫融資しているものは、原則として従来通り日本開発銀行あるいは中小企業金融公庫にやっていただく、ますます一つ北海道のために融資をやっていただきたいけれども、それらの金融で補いのつかないもの、ことに北海道が今日ねらっておりまする北海道産業振興開発上必要だと思われまする第十九条に掲げてありますような事業、こういうものに将来産業開発を伸ばしていきたいと思いますので、その方面の事業北海道開発公庫が取り上げていく、なお農林漁業金融公庫あるいは農林中央金庫等の農業関係の事業につきましては、従来の公庫にできるだけまかせるようにいたしましてその活動に待つ、むしろ北海道開発公庫ができましたことによって手心を加えて遠慮するというふうなことのないように、この公庫が発足をいたしますればその特殊金融機関もますます本来の使命に向って北海道に投融資をしてもらうということを期待しておるのでありまして、これらの具体的関連につきましては、今後関係各省あるいは関係金融機関と十分連絡をとって参りたい、こう考えております。
  26. 小林政夫

    小林政夫君 私は金融制度の問題として特に考えておるわけです。あなたのおっしゃるような開発銀行あるいは中小公庫との分野を荒らさないようにしてむしろ補完的にやるという意味なら、一般市中機関の補完という意味なら政府金融機関としての意味があるわけです。この第一条の目的というものは、開発銀行の第一条の目的に、ただ日本北海道を置きかえたにすぎないのです、実態は。そういうことであって、特に開銀とこの北海道開発公庫との関係というものについては、同じ目的をもって同じことをやるということになるのです。一つも、北海道に特色あるいは北海道に特産の事業といったって、そう北海道でなくちゃ資源の関係でやれないものもありましょうけれども、開銀融資対象にならない産業なんてないと思う。そういう意味において、そういうことが金融制度の点からいって、どうも同じ政府金融機関を、全額政府出資の金融機関を二本建にして、何か競争でもさせるというならともかくも、そうでもない。そうしてただわれわれがかねて考えておることは、開発資金が非常に膨大になって、一方で相当大きな金融機関になりすぎているということはある。そこで北海道なら北海道だけを分離して全額政府出資の金融機関のようなものを作っていくということは、そういうあまりに膨大化した金融を操作する上において、いろいろな点から考えて分離するという考えがあるかもしらんのですが、同じダブるような仕事を並列的に全額政府出資金融機関で地区をきめてやるということが果していいかどうか、こういう点を問題にしているわけです。
  27. 桑原幸信

    説明員桑原幸信君) その点について御説明申し上げますが、たしかにお説のような傾向といいますか、状況はあると思います。昨年私の方の政務次官から御説明申し上げましたように、北海道開発公庫を作る場合の構想は、あくまで出資という概念に重点を置いたわけなんです。と申しますのは、結局金融ということは北海道についても内地同様行われているのであるが、金融以前の資金の確保について特段の施策を講ずることが、北海道開発上必要だという意味で、われわれとしては、この北海道開発公庫は出資を主として公庫を考えたわけでございますが、御案内のような資金内容になりました結果、やや北海道開銀というような思想が強くなったのではないか。そのために今御指摘のような傾向は非常に強く出てきた。しかしながらこの公庫開銀と異なりますゆえんのものは、一つ融資期限が長いことが一つ。それからただいま申し上げましたように出資と債務保証業務を行うことが一つ。それから開銀と異なりまして長期の運転資金もこの公庫は設備に投じたものについてはめんどうを見るというような点では、開銀の質的補完を加えたものが北海道開発公庫だと、こういうように了解願えるかと思います。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 多少内容的というか、今の資金の動かし方が違うということになるわけですが、それではもう一つ公庫という名前が、従来の国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、その公庫は、従来の公庫には、出資及び債務保証という業務はない。ところがこの北海道開発公庫だけはここに新しく出資及び債務保証という業務を加える、こういうことになりますと、国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫も、将来債務保証あるいは出資ということが行えるような含みで公庫という名前を使っておるのかどうか、こういう点は青山君どうかな、大蔵省は。
  29. 青山俊

    説明員(青山俊君) これは北海道のは開発ということを重点に置いておりますので、従来の公庫に今御質問のありましたようなことは今のところ考えておりません。
  30. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 北海道開発公庫法案質疑につきましては、議事の都合によってこの程度にとどめます。   —————————————
  31. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に租税特別措置注の一部を改正する法律案議題といたします。  他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  34. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  諸般の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いとうございます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     大矢半次郎  藤野 繁雄     前田 久吉 大野木秀次郎     木内 四郎  菊田 七平     白井  勇  西川甚五郎     天田 勝正  小林 政夫     杉山 昌作  土田國太郎
  35. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて下さい。    午後一時二十八分速記中止    ————————    午後一時四十六分速記開始
  36. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは速記をつけて下さい。  次に租税及び金融等に関する調査議題とし、類似保険に関する件、金融問題に関する件を問題に供します。両件につきましては小林委員より発言を求められておりますので、これを許します。  ちょっと速記をとめて下さい。    午後一時四十八分速記中止    ————————    午後二時一分速記開始
  37. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて下さい。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 中小金融課長が出席しておられるわけですが、大蔵省としての答弁をするそうですから、課長に御質問いたします。  最近信用組合の事業停止というような不祥事態をしばしば耳にするわけですが、大蔵省として何か信用組合に対する御対策を立てていますか。
  39. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 大へん残念なことではございますが、ときどき信用組合で問題を起す者が出ておるようであります。御承知のように直接大蔵省で所管いたしておりませんで、都道府県知事の監督にゆだねておるわけでございますが、しかしやはり一つ金融機関でありますから、同種類の金融機関はもちろん、特に信用金庫のように非常に近接した種類の信用機関には、やはり影響を及ぼさざるを得ないのであります。われわれの方としましては、信用組合は法律上典型的な組合主義ということで、いわば閉鎖された体系内におけるほんとうの、お互いの間の金融、お互いの間から預金を集め、お互いの間のみ金を貸すという仕組みになっておるわけであります。従って組合主義、特に組合の自律というところに重点を置いて、あまり行政機関からの干渉なしで自主的にやらせるという建前になっておるのであります。従って信用組合設立の許可も、行政機関の自由裁量でない、いわば覊束された裁量ということになっておるのであります。それも今言ったような趣旨からでありますが、ところが閉鎖された体系内といいましても、そのグループが大きくなりますと、やはりこれはどうしても公共的な色彩を帯びて来ざるを得ないのであります。しかも法律の上ではグループの大きさというものを必ずしも制限いたしておらないのであります。従って、場合によっては非常に大きなグループの中の組合金融、そういうグループが大きくなりますと、ある一定の規模を超しますと、組合主義では必ずしも律し切れない場合もあるかと思いますが、その辺も必ずしも、形式的にはなかなかむずかしい問題がありましょうが、法律上きまっていないために、実質的には必ずしも純粋な組合主義といえないような範囲にまで発展する場合もあるのであります。またほんとうの組合主義の場合でも、純粋の組合のらち内で業務をやっている場合でも、うまくいかない場合ももちろんあるのでありますが、従ってやはりどうしても金をかなり多数の人から預かるという、そういう性格は当然持たざるを得ないのでありますから、この監督につきましては自由裁量ではないけれども、できるだけ設立の場合の基準は辛くして、あまり乱立にならぬようにという府県の指導はいたしておるのでありまするが、いろいろ徹底しない場合もありますし、なかなか今申し上げましたような監督の仕方になっております関係上、十分われわれの思う通りのこともできかねるという関係で、そういう問題が起きておるのであります。信用組合の問題等を今後どう考えるかという問題は、われわれもあの制度ができました当時からいろいろ苦心いたしておるのでありますが、できましたら今度の調査会、まだ法律が通っておりませんが、金融制度調査会というものができまして、各金融制度の問題を取り上げることになりましたら、できたらそういった機関についても、もう一ぺん再検討でもしてもらうことができればといったことを実は考えておるのでありまして、現状のままでいいかと言いますと、私は必ずしも現状のままでいいとは思いません。しかし、できるだけ私は、現在そういう制度ができておりますから、制度趣旨に即するように、しかもあまりその結果、問題の起きるようなことのないように、都道府県を指導し、また適切に連絡をとって参りたい、かように考えるのであります。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 大体私が問題として考えておるような点に触れての御答弁であったわけですから、そう、しいて再質問の要もないような認識に立っておられると思うのでありますが、かなり員外預金等についても信用組合は制限されておって、かつて衆議院においては、議員立法で信用組合にも員外預金を扱わせる、こういう法案を通して参ったのを、本院においてつぶしたという経緯もあるわけで、金融制度として信用金庫を作って、これは十分大蔵省の監督のもとに不特定多数の人からの預金も扱ってよろしい、信用組合は組合金融として組合意識に徹した相互扶助、こういうことでやってもらう建前になっておるわけです。制度上は、信用金庫、信用組合というものは截然と分れていなければならぬのですが、実際は一口出資すればすぐ組合員にもなれるし、かなり広範に不特定多数の人の預金が集められておる例もあるわけです。この点が一つの問題だと思うのです。あなたも先ほど、ばく然というか、触れられておりますけれども、こういう点が考えられる。  それからもう一つは、先ほどもあなたが触れたように、地域的に制限がない、このために府県一円にわたる信用組合の中にはかなり膨大な資金量を持っておる。しかもそこには協同組合員としての意識というものはなくて、ただ一つ金融機関としての考え方に立っておるようなものもあるわけです。これらがせっかく信用金庫、信用組合という截然と分けた制度に非常に混淆を来しておるし、一方、信用金庫の方は監督がきびしくなっただけで、実際的には実利はかなり信用組合の方がフリーな営業がやれるというようなことで、相当小さな信用金庫もかなりの不平を漏らしておる。むしろわれわれも、まあ信用組合並みにしてもらった方がいい、こういうような考え方を持つ者もおるし、また一方の考え方では、信用組合を信用金庫と同じ監督下に服してもらわぬと、どうも競争して負けるというような考え方の者もあるわけですが、そういうような点について、先ほどあなたも触れられておるわけだから、認識はされておると思うのですが、非常に広区域の信用組合というものはどうか、こういうこと、それらの点について触れられたわけですけれども、再度一つ答弁を求めましょうか。
  41. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 非常に適切な御意見をいただいたわけでございまして、私、全く同様な感じを持っておるのでありますが、員外預金の問題になりますと、これは信用金庫との関係で、おっしゃる通り、現在業務で違っておりますのは、監督の点では先ほど申した点が違っておりますが、業務的に員外の預金を扱わせるか扱わせないかということによって、信用組合と金庫に一線が画されております。従ってこのラインも取りはずすというようなことがありましては、組合と金庫との組織の特色というものは全くなくなるわけであります。同一の内容を持ちながら、一方は非常に監督がきびしいし、一方は必ずしもそうでもないというようなことでは、これは制度的にも非常に混淆を来たすのみならず、健全な運営を期するゆえんでないと思うのであります。従って、われわれとしては、今のところは信用組合に員外の預金を取扱わせるということは必ずしも適当でないと考えておる次第であります。  それから地域の制限の問題でありますが、全く同感でありまして、信用組合制度趣旨から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、組合主義——お互いの間の十分組合的な意識に燃えた相互間の金融に限られるというところに信用組合制度の意義があるのであります。従って、あくまで信用組合を運営していく場合には、その組合主義の実質が得られるようにこれは運営されていかなければならないと思うのであります。その場合に一つ問題になりますのは、グループの範囲だと思うのであります。これはまあ紙の上の議論をしますれば、千人おろうと何万人おろうとも、これは組合という組織はもちろんでき得ないということはないと思うのでありますが、実際上、人的信任関係というものがそう多数の人に及び得ると、またそれに基本を置いて組合を運営することは、これは実際問題としては不可能だと思うのであります。のみならず、そのある限界を越えますと、非常に公共的な一般金融機関と同様な性質を持ってくるのであります。従って、もしかりにそういったらちを越えるようなことがありますと、監督の態様における不公平——実質的には同じでありながら監督の態様が違うという問題も出てくると思うのであります。従って、現在の制度を建前とする限りは、やはり私は、信用組合はほんとうに信用組合らしく運営されると、それによって監督の態様が違うということも一応是認されるのではないかと思うのであります。従って、地域的な制限はもし設けるなら設けた方がよかったかと思うのでありますけれども、これは今の法律の上では明示されておりませんので、実際に組合が設立される場合の関係者及び監督の第一線に立たれる都道府県の良識にゆだねるほかはないのでありますが、あくまで私は、信用組合は組合主義の本旨が十分に生かされるようなスケールでもって営まれるということが好ましいと思うのであります。ただ、それでは小さければ小さいほどいいかということになりますと、これはやはり一つの——営利事業ではありませんが、事業でありますから、やはり適正なスケールはなければならないと思うのであります。しかし、それがあまり度を越えるというようなことがあっては、本旨にもとるようなこともあるいは起り得るかとも思うのであります。  なお最後に申し上げておきますけれども、まあ私は、信用組合は全部が全部問題を起しておるというような御質問ではありませんでしたから、そのことに触れる必要はないかと思うのでありますけれども、まあ大部分の信用組合はしっかりやっておるのであります。ごくまれに問題を起しているのがあるのでありますが、われわれとしては、やはり直接の所管ではございませんが、間接には責任を持っておるのであります。大蔵省といたしましては……。できるだけ健全に信用組合というものが運営され、また健全な制度趣旨というものを十分に生かしていくということを祈念しているという点においては、全然従来と変りないのでありますから、その点は一つ誤解のないように最後につけ加えさしていただきたいと存じます。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 協同組合意識というものを基礎とするという意味において、同じ職域であるとか、あるいは同じ同業者の相互金融、まあ府県地区一円を地区とするような場合においては、そこに同業関係で結ばれておるというような、何か一つ地域的なもの以外に組合員の間に紐帯を持つということが考えられるんじゃないかと思うのですが、まあそれと、大蔵省の監督というけれども、間接的には一応広義の金融として責任を持たなければならないという点でも、法制的には信用組合というものは知事の監督機関でありまして、まあこうやったらよかろうということで、別にそう命令的に指示できる立場ではないと思うのですが、こういうような点については、また逆に中央集権だというようなことを言う意見もあるかもしらぬが、そういう点についてはどう考えておりますか。
  43. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 前段の地縁的な組織でなく、何らか職域的なものであれば、またこの区域の考え方も違ってくるのではないかというお話でありまして、私もその点はさように考えております。当初は、あの制度をこしらえましたときには、信用金庫は地域的な組織、信用組合の方は職域的な、何と申しますか、人間的なつながりの濃い、そういう関係の組織にしていくべきではないかということであったようであります。しかし、この法律の明文ではっきり出ておりませんので、実際上は必ずしもその通り行っておりませんけれども、大部分はその通り行っておると思います。従って、将来もしこの制度を再検討するというような機会がありましたら、そういった点は当然問題になる点かと思うのであります。監督の方も、今言ったような点がどういうふうに結論が出されるかによって、またその際には再検討されるであろうと思うのでありますが、まあ現在のところでは、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、今の制度の建前をできるだけ尊重して、その通りに実質上十分その制度趣旨が生かされるように運営していく以外にないのでありまして、直ちにたとえば監督権を府県から大蔵省に移すといったようなことも、もちろん適当でないし、できない問題であります。しかし、将来もしこの制度が検討されるというときがありましたならば、そういった監督の仕方についても、まあ制度をどういうふうにきめるかによって違いますけれども、一応検討していただけば幸いかと思っております。
  44. 小林政夫

    小林政夫君 それでは最後に、当初あなたが触れられたように、この問題については、今るる言われたように、相当大蔵省としても考えなければならぬ問題であるとして、近く発足するであろう金融制度調査会の議題として検討するつもりだと了承してよろしゅうございますか。
  45. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 調査会はまだできておりませんが、調査会ができましたときに、取り上げるかどうかは調査会に諮らなければなりませんが、これは私としては、かけて一つやっていただきたい。金融分野の調整という問題が当然私は問題になると思うのであります。そうすれば、その一環としてぜひ考えていただきたいと私は思っておりますし、局長にもそう申し上げておりますが、これは希望でございます。私の希望でございますから……。
  46. 小林政夫

    小林政夫君 ちょっと速記をとめて下さい。
  47. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 早記をとめて。   〔速記中止
  48. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記を始めて。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 佐久さんとはこの問題について話し合うのは初めてなんですが、私はまあ、かねてから、火災共済をやっておる中小企業等協同組合について何か考えなければ、将来保全経済会的な二の舞を演ずるのではないかと、こういうことで、その促進の意味で議員立法で出したようなこともあるわけです。最近能代の大火で、秋田県共済商工協同組合が約二千四百万円の共済金を支払うことになったわけですが、一カ月たっても支払いの見通しがついていない状態であるし、この組合は、新聞その他の情報によると、大火以前にすでに赤字となっておって、県の予算外義務負担の保証によってようやく切り抜けておる。その上、今回の火災に見舞われてどうするのかという問題に当面しておるようです。この点について中小企業庁は、実情調査、あるいは今後の対策等について実情を知っておられ、対策について何か考えておられるのか、その点をお伺いしたい。
  50. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 火災共済組合の問題については、かつて法律改正ですか、国会に提案されるか、あるいはしないかということで、だいぶ問題があったことは、私、承知しておりますが、今までの私の考え方としては、協同組合の一つの厚生事業というか、そういう形で、そう大した弊害もなしに済んで来ておる。そこで、特に新しく改正を加えて、それが中小企業者の非常な利益になるという見通しがなければ、ただ監督権だけを強化してもどうかというような気持を持って参って来ておるのであります。そこで能代の火災に関連して問題が起っておるようでありますが、実は私、詳しい状況承知しておりませんので、今ここで係官から大体の概要を聞いたのでありますが、これはなかなか解決がむずかしい問題だと思いますけれども、県の方とも相談をいたしまして、何か善後策を考えなくてはいけない。この程度の知識しか実は持ち合せておらないのであります。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 いたずらに監督だけ強化して、実質的に中小企業に対して与える利点がない、こういうことで、火災共済組合といいますか、そういうものを法制化し育成するようなことについては、消極的だといわれるのですが、今の何がしかの掛金をかけて、相当な期待をもって保険に付したようなつもりでやっておる。その実は赤字になっていて、約束通りの額がもらえないということになると、最終的には現状のままでおって中小企業者の利益ではないので、やはり目先何か補助金を与えるとかいうようなことでなくても、やはり現実にもしやらせるものならやらしてゆくということの方が、長い目でみた中小企業者に対する親切ではないかと思って、私は特別な国の助成とかいうようなことはなくても、一応今のような野放しで置いておくということはいかがなものであるか。やはりそこは協同組合意識で自省すればいいというものの、なかなか地区の問題等から考えて、能代のように、ある当該市町村が大火に見舞われたというときには、今のままの姿では非常に危ないものでありますから、その点について考えてもらわなければならぬと思うのですがね。たとえば今の例でいうと、この組合の出資金は、六千名の加入があるものとして六百万円を予定しておったが、組合員数は現在千二百名程度でありますから、その割合で考えると、百万円かせいぜい二百万円程度である。このような僅少な基金で巨額な責任を負うことになっておる、そこで、そういう無理があるというと、非常な危なっかしいものなわけです。幸い火事等が発生しなければ問題ないけれども、やはり日本の実情として、一たび大火ということになると、当該市町村をなめ尽すというようなことも起り得るわけで、よほどこれは通産省としても考えてもらわなければならぬのじゃないかと思うのですがね、その点はどうなんですか。
  52. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 能代の今の例は全体からみれば割合に珍しい例であって、これだけで必ずしも結論を出すのはいかがかと思いますが、そういう事例がよそにもあるということであれば、まあ今ここでどういう方法が一番いいのだという知恵も、実は持ち合せておりませんけれども、何か方法は考えなければならないと思います。ただ今までわれわれの調査というか、研究の過程におきましては、特に特別な措置を考えなくてもいいというようなことであります。今後の問題として検討はいたしたいと、かように考えております。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 実情の把握は通産省としてはできておるわけですか。火災共済をやっておる中小企業等協同組合の実情は……。今ほかに例があればということですけれども、石川とか宮崎等においては、解散した例もあるし、相当まあ壊滅状態だといわれておるのもあるわけです。
  54. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 大体火災共済の組合の状況というものは、大まかなところは把握しております。しかし現にお話のありました石川とか何とか、そういうところで問題の起きておるところもありますので、今後の運営上の一つの取締りと申しますか、指導と申しますか、そういう点について通牒を出したいというような気持でおるわけであります。
  55. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちょっと関連して、僕も一つ聞いておきたいのだが、通産省の方へちょっと開きたいのですが、この問題は商工委員会では問題にならなかったかもしれないけれども、この委員会では小林委員がかねて問題にしているわけです。かつて金融の問題で数年前に問題があった、その前にすでに小林君はあの金融の問題について注意しておったのです。それにもかかわらず、政府当局において十分な手配をされなかったものだから、遺憾ながらああいう問題が起ったのです。その後において小林委員から非常にたびたびこの委員会で注意があったのです。手放しにしておいちゃいかぬという意見を述べられておったわけです。今聞くところによると、あなたの方ではほとんど実情を見ておられないのですね。それじゃこの委員会政府委員として出て来てもらって、説明を聞いたり、意見を聞いたりするに値いしないと思うのだ。あなた方はああいうものの監督をゆだねられているのです。少くともその所管のもとにあるのだから、もう少し研究したり、勉強したり、もし対策が必要ならそれに対して必要な手続をとっておいてもらわなければ……。もう少し勉強してもらいたいですな。何か言われることがあれば伺っておきます。
  56. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) たしかに中小企業庁で勉強をしてないということでなしに、私自身が実は勉強が足りない、この点はもうおしかりの通りであります。当委員会でいろいろ前からの問題であるということでありますので、もし必要があればもう少し勉強をいたしまして御答弁に当りたい、かように考えております。
  57. 小林政夫

    小林政夫君 まあ佐久氏とはじっこんだから、どうもあまり苦口が言えないので、いつも何だか……、やはり中小企業庁としてこれは相当調査、勉強をしてもらって、そうして、われわれとしては相当前から問題にしておるわけですからね。果せるかな、こういうふうな事態が起ってきたわけで、これは放っておけないじゃないか。しかも私も、御承知のごとく、中小企業の安定向上には専心努力を傾けているつもりですが、中小企業対策としてただ甘やかすだけが能じゃない。やはり締めるところは締めなければほんとうに恒久的な中小企業対策にならないのではないか。そういうような意味で、火災共済をやる組合というものについては、やはり一つの火災保険ですから、保険数理に合ったようなやり方をやらなければ、ただ目先、掛金が安い、損害保険会社に比べて安いからどんどんやるのだということでは、かえって被害が大きくなる、こういうことになりますから、その点は十分研究をしてもらい、至急に大蔵当局とも話し合って成案を得るように努力をしてもらいたい。大蔵大臣は前に私には何回も約束をして、早急にやりますと言っておられたのですが、きょうも大臣の要求をしておるわけですけれども、近く政務次官が見えるようですから、そのときにでも、政務次官の出席を待って大蔵省側の考えを最後に総合的に聞こうと思っているが、どうもその点は非常に私たちとしては強い希望を持っているということを長官はあらためて認識してもらいたい。  それでは自治庁の方に伺います。行政課長臨時代理の角田氏が出席をしておられるわけですが、今の自治庁長官と私との質疑応答を聞いてもらっておったかどうか。要するに三月二十日の能代大火で、秋田県共済商工協同組合が二千四百万円の見舞金を払わなければならない、それが全然支払いの見通しが立たない。そうして秋田県はこの組合に対して一千万円の予算外その他の保証をやっている。そういうことで今後どうするつもりなのか。自治庁あたりに報告があるか。自治庁としてはこの事態をどう考えておられるか。
  58. 角田禮次郎

    説明員角田禮次郎君) 秋田県の問題は、実は私、昨日初めて承知いたしたのでございまして、詳細につきましては全然まだ報告も受けておりません。債務保証を予算外で相当やっているという話も実は初めて知ったような次第でございます。詳細な報告を受けましたあとでそういう問題について考えて参りたいと思いますが、ただまあ、この際申し上げておきますが、そういうことは地方団体の機能といたしましてそういうことができるかどうかという法律問題につきましては、これはまあ一応できると考えられるのです。その余の問題につきましては県の施策としてそういう問題が取り上げられる、あるいは財政需要その他をにらみ合せての県の態度にかかるべきものである。自治庁として今さしあたりどうこう言うことを考えるまでには至っておりません。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 法的には可能だということでありますが、今の地方財政不如意の折柄、こういう火災共済組合に対する予算外義務負担までやって、それを地方自治団体の責任においてそこまで身を入れて今の自治団体の財政状態でやることが自治庁として望ましいのかどうなのかですね、こういう点。
  60. 角田禮次郎

    説明員角田禮次郎君) 御指摘のように現在地方財政が非常に窮迫しているのであります。従いまして地方団体がどういう仕事をやるかという点につきましては、おのずからそこに財政の状況と睨み合せまして、軽重を、あるいは順位をつけるべき問題があろうと思います。従いまして、まあ具体的な秋田県の問題につきまして、果してこういう措置が秋田県の財政に照らし合せて適当であったかどうかということにつきましては、これは私ども実は直接に今具体的な問題について申し上げるだけの資料も持っておりません。その点は御容赦願いたいと思います。ただ一般的にこういう予算外義務負担が現在の窮迫した地方財政の上において比較的重要な順位に取り上げられるべきものであるかどうかということについては、多少の問題があろうかと思います。しかしながら地方財政の個々の団体においてどういう問題を取り上げ、そうして県がそこにどういう財源を振り当てていくかということにつきましては、これはいろいろな条件が重なって組み合わされる問題であります。一がいにこういう仕事に金を出すことが不適当であるということまでは申し上げにくいかと思います。今申し上げたように、非常に順位の上において優先的に扱われるべきものであるかどうかについては多少の問題があるかと思います。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 あなたはちょっと私の質問に真正面から答えてないと思います。私は一般論として聞いておるわけです。もちろん中小企業振興策として各都道府県がそれぞれの施策を持つということは、大いに私も歓迎することであり、やってもらわなきゃならぬことである。この火災保険的なことについて、狭い地区を基盤とした組合が火災共済をやる。その場合に非常に危険があるわけなんですね。能代というのは一つの例としてあげているわけです。集団的な一つの市が焼けたら直ちにつぶれる運命にあり、当然予算外義務負担をやっておれば、これに波及してくるおそれがあるわけです。ところが現状はだんだんそういう、たとえば北海道しかり、愛知県しかり、いろいろ予算外の義務負担をやりつつある。そのケースについて、ほっとけばだいぶ広がりますよ、全国的に。こういうことを自治庁でも一つ火災保険とか火災共済というものを十分掘り下げて研究してみて、そういうことを地方自治団体が予算外義務負担としてやることが適当であるかどうか、中身まで掘り下げて、火災共済、火災保険というものを頭に描いて、一般的な予算外義務負担というものはあり得ることだ、やってもいいんだという立法論といいますか、法律論は別として、事業の内容からいって、こういうものに自治団体が手をつけていくべきか。どうしてもそういかなきゃならぬとすれば、業者だけの力ではいけないのだ、国が何とかめんどうを見なきゃならんということであれば、自治庁側から大蔵省とも話をしてもらうというところまで配慮をすべきじゃないか。全然あなたの方では考えてないように受けとれるのだけれども、その点はどうですか。
  62. 角田禮次郎

    説明員角田禮次郎君) 先ほど申し上げたのに、やや私、誤解の点があったようでございますが、県が債務負担の行為、予算外義務負担をする場合に、どういうことをやるかということは、先ほど来申し上げたように、一般論としてどうこう申し上げるべきものではないと思います。火災保険というような事業について、これが普通の中小企業振興対策として県がいろいろやる場合に比べますと、非常に何と申しますか、危険の度合いというのが予測されないというような点から、必ずしも適切でないということは、確かに御指摘のような点があろうかと思います。実は、はなはだ申しわけございませんが、そういうことが地方団体一般に漸次広がりつつあるという点につきましては、私、承知しておらなかったのでございますが、そういう点が現実の問題として考えられ、予算外義務負担の性質としても適当であるかどうか、あるいは現実の地方財政の上からそういうことが非常に問題であるというようなことが御指摘のようでございますれば、これは自治庁としても当然関係の所と連絡をとりまして、今後そういった面に指導あるいはその他の点において研究をいたしたいというふうに考えております。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 これもあとで大蔵省にも文句を言わなきゃならんですけれども、自治庁がそういうような認識でおるところに問題が発生する余地もあるわけで、これはあなたはきょうは自治庁長官の代理で来ておるわけですから、帰ったら一つ自治庁長官に、いさい報告をして、そういうような自治庁がこの問題について認識をしてないということでは因るので、十分さっそく研究を進めてもらいたい、こういうことを強く注文をしておきます。  それから今度消防の関係を聞きますが、消防というものは、大体火災の予防活動ということは大いにやらなければならぬことだと思う。またいよいよ火災が起ったときに消すということが消防の任務と思うのですが、どうもこのごろ少し範囲を逸脱しておるのじゃないか。というのは、なるほど火災に縁はあるけれども、火災共済の勧誘員になって実質的には飛び歩いておるという事例がかなりあるのです。そういう点について消防本部としてはどういう認識でおられるのか。
  64. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 御指摘のように、消防の任務が、火災の予防、警戒、鎮圧という方法によりまして、国民の生命、身体、財産を守り、さらに火災以外の一般的な災害から国民の生命、身体、財産を守る、そうして秩序の安寧を図り、さらには福利を増進するということにあることは御指摘の通りなんでございますが、ただそういうことの一つの関連におきまして、消防が火災共済の事業等において手広くやっておるということについてどう認識しておるかという御質問と思いますが、私のほうも実は数個の都市におきまして火災共済の事業に消防が直接あるいは間接の関係をもってやっておるということは、承知いたしております。その実態につきましても報告を受けておりますし、調査もいたしております。ただ、その場合に、われわれのほうとして臨んでおります態度、指導の方針と申しますか、これが御指摘のような消防の本来の任務にかんがみましてもしも逸脱しておるということになりますならば、これは消防組織法の規定しております本来の消防の任務にも触れて参りますし、あるいはまた地方公務員法の定めるところにも触れてくる危険性があるわけでありまして、そういう点のないような範囲内において行うべきであるという点は、十分注意をいたしております。なお、実際には、一般職の地方公務員であります制服の消防職員が表面に立つという場合は、私が報告を受けておる範囲においてはあまり聞いていないのでありますが、表面におりますのは、ボランタリーのいわゆる非常勤の消防団員がこれに携わるという格好になっておるかと思うのであります。この場合におきましても、消防団員である限りにおきましては、片や一般の地方の住民ではありますが、団員の身分においては消防本来の任務があるわけでありますから、まさかの一旦の場合に消防本来の任務に支障を来たすことのないような十分な注意を払ってやるようにというような指導をいたしておるわけであります。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 言葉としてはその通りにやっておられるかと思うのです。けれども、実際のたとえば京都、神戸というような所の例を見ると、共済、消費生活協同組合でやっておるのは、はいってくれ、はいってくれなきゃ火が出てもわしゃ知らんぞという、いわゆるこわもてで勧誘をするという傾向がなきにしもあらず。こういう点については、今あなたが言われた服務上支障なくやっておる、やらせるといっても、受けるほうの側としては、あの人の顔を立てておかなきゃ、いざ火が出たときにホースを向けてくれんのじゃないか、こういうことを思わせるような含みもあるわけで、その点についてよほどこれは考えてやらなきゃならんし、特にある市、神戸市なら神戸市、そうして京都市なら京都市というものだけを共済組合のメンバーにして、そうしてそこにまたが市ある程度義務負担までしてやっていくような形においては、あたかも市営のような格好の火災保険をやる、こういうことが果して適当であるかどうか。それは消防団員の給与が少いから、ある程度勧誘をしてリベートをやる、こういう福利厚生費のようなつもりで考えておられるというと、とんでもないことになるのではないかということを心配する。あるいは当面火災がなければ消防器具の整備に金が使える。目先は金が集まるからいけるのだけれども、万一のときを考えると、そういう安易な気持でおっていいかどうか、これが私の心配な点なんです。それについてはどういう考え方を持っておられますか。
  66. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 火災共済というような種類の、一種の類似の保険でありますが、こういうものが本質的に考えてみて果していいことかどうかという点は、私も実はいろいろ考えがないでもありません。ただこれは私自身のとやかく言うことよりも、むしろ保険行政の担当なりあるいはその他の方々の御専門の関係であるかと思いますので、そのことにつきましては控えさしていただきたいと思います。ただ御指摘のように消防が火災の鎮圧という任務を持ち、さらには近代の消防は、予防行政の面におきましては、法の背景に基き権力を行使する面もありますので、そういうものが何かこうぎらつかせながら勧誘募集に当るという面の弊害は、やり方いかんによっては相当問題があるということは十分承知いたしております。そこでただいま小林委員の御指摘の面につきましては、従来にも十分注意はするようにということは、会議等におきましても指導いたしておるのでありますが、重ねて十分にその点を注意いたしまして、あやまちのないようにいたしたいと思います。今までわれわれの方で、まあ抽象的なことで申し上げますと、指導として取り上げております問題は、消防には非番日というのがあるわけでございますが、勤務でない、いわゆる必ず非番日でなければならないことであります。さらにはまた、もちろん制服を着てやるということはいけませんので、職員の場合も私服であるということ。さらには非番日でありましても、大災害が発生した場合には、非常招集によりまして当番日の者に準ずる活動にというが、同じ活動に入って参りますから、連絡先を明らかにして、いつでも即応の態勢に入るようにしていなければならぬ面でありますとか、あるいは先ほど申しましたように権力的な関係において勧誘をするようなにおいが出るということは厳に慎しむべきであるというような問題等を特に注意するというような指導はいたしておるわけであります。しかしながら、御指摘のように、そうはいたしておりましても、やり方いかんによってはあやまちを犯さないでもないと思いますので、十分その点を体しまして、今後消防本来の任務の遂行上支障なきように、さらにはまた今のような弊害に陥らないように十分善処いたしたいと思います。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 それはぜひ一つ御言明の通りにやってもらいたいわけですが、しかしあなたが関与すべき問題でない、だから発言は慎しむと言われたが、火災共済それ自体についての考え方というものも、あなたとして無関心ではおれぬじゃないかと思う。というのは、すでに当該市当局等が陰に陽に消防団員を督励して積極的に火災共済のメンバーをふやし、組合員もふやし、そうしてどんどん募集をしておる。こういう事実は、中には鳴りもの入りでやる、そういう傾向もあるのだから、その結果万一火災でも起って、それが支払い不能になるというような事態に陥ったならば、ひいては今のような強制だとか、おどかしだとかいうようなことでなしに、正当な方法でボランタリーに、消防の人が言うのだからというようなことで火災共済に入ったとしますと、その結果として支払い不能に陥ったという場合には、消防というものに対する非常な不信を一部には招くことになるのですから、これは結局その火災共済の是非という問題は、あなたの担当問題ではなくても、それにタッチする消防団員がいるという事態から、先ほど行政課長代理の角田君が言ったように、自治庁としても一ぺんこの問題についての是か非かというような、大きな火災共済をそういう一特定地域に限ってだね、共済を放置すべきかどうかという点については研究してもらいたいと思う。
  68. 横山和夫

    説明員(横山和夫君) 御指摘の通りに、確かに、もしもうまくいかないということになりますれば、ひいてはタッチしておった消防団員、あるいは間接的であっても職員というものの信頼に関係を及ぼす点は多々あると思いますので、御趣旨の点を体しまして十分検討いたしたいと思います。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 けっこうです。それから厚生省、やはりこれまた能代市の大火に山本地区の消費生活協同組合火災共済会が五千万円の共済金を支払わなければならない、これがどうも払えそうにないらしいんです。何か情報が入っておりますか。
  70. 河角泰助

    説明員河角泰助君) 申し上げます。今回の能代市の大火におきましてて、今、小林先生から御指摘の能代市の山本地区生活協同組合の状況でございますが、組合員数が二千六百人で、罹災者が二百八十六名、そのために約五千万円の共済金を給付しなければならないという結果になっております。問題とされております能代市山本地区の消費生活協同組合につきましては、同組合は大体能代の地方の労働組合を基盤にいたしました生協でございまして、一般の供給事業とそれから理髪業、こういったようなものとあわせて火災共済事業を行なってきたのでございますが、その組合の共済事業のやり方は、ちょうど職場におきます親睦会とか互助会というようなのと同じ組織でございまして、共済事故が起ったつどあとから見舞金相当額を口数に応じてとっていく、こういう方式をとっております。従いましていわゆる火災保険のような掛金を事前に徴収いたしまして払うということではございません。こういう方法でございますので、当初から全会員の加入口数の百分の一以上が一時に火災を受けた場合などはとうてい支給することができませんので、従って約款の中にも、そういうような場合には補助金を十分の一まで減額給付するということを明らかにしているわけでございます。今の御指摘の能代市の山本地区の生活協同組合につきましては、今申し上げましたようにきわめて素朴な形で見舞金の支給というような形の共済事業を行なっておる、こういうのでございます。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 それは一応そういう形であるということはですよ、私も知っているのだけれども、一口掛金の最高限度は八百円、そうしてしかも能代の大火の以前に百円徴収して、あと七百円しか残っておらん。この追徴金を一ぺんに残り全部を追徴することもできないだろうし、そうすると五千万円というようなものが払えるわけでもない、十分の一くらいしか払えない。そうすると民衆は、入った人はいかにも詐欺にひっかかったような結果になる、その点はどうですか。
  72. 河角泰助

    説明員河角泰助君) 同組合におきましては、そういったような組合員の相互扶助の精神に基きまして、一応十分の一の、免責条項によりまして十分の一支給ということをとりあえず行いまして、自後できるだけ努力して、それをある程度、三割なり五割なりにふやしていきたいというような措置を現在とっております。十分の一の支給につきましてはもちろんこれはできる態勢にございます。これは私ども御指摘のような協同組合の行います火災共済事業の危険性というものを十分に認識しておりますので、厚生省といたしましては一昨年に法律改正いたしまして、相当きつい監督規定を置きまして、共済掛金も野放しではなく、一件につき共済基金の限度額二十万円というふうに大体押えてやっていっておりますので、能代地区のようなこういった特殊なやり方の組合はいかんともいたしがたいのでございますが、その点についてはできるだけ万全を期したいと、こう考えております。
  73. 小林政夫

    小林政夫君 いかんともしがたいと言うけれどもね、認可の基準等で相当これは何とかしなければ、大衆、民衆が非常に困るわけですね。これについて対策を立てなければならない。今二十万円の限度と言われるけれども、中には目先がいいものだから、しかもうまい勧誘で、親戚等いろいろな名義でもぐりで二十万円を百万円にもする、実質的にこういうケースもあるのです。そういうことを考えてみると、相当厳重な通牒なり監督規定を出したと言われるが、どうもあまり励行されていないようですけれども、その点どうですか。
  74. 河角泰助

    説明員河角泰助君) 実はこの特に地域における消費生活協同組合の火災事業につきましての危険性を感じまして、加入者保護のために相当の基準を考えなければならないというので出しましたのが昭和二十九年の八月でございまして、それ以前にすでに設立された組合があるわけでございます。それにつきましては自後再三都道府県知事に通牒を出しまして、できるだけこの基準の線に沿うように、と同時にどうしても沿い得ないものにつきましては解散を勧奨するなり何なり、そういう手を打つようにということをしばしば出しておるわけでございます。この能代山本地区にはもう一つ能代地区生活協同組合というのがすでに当初の基準の出ます前にできておりましたが、これにつきましては解散させまして、今回の被害を免れたのでございますけれども、その他すでに解散指導中のものもなお数組合ございます。できるだけそういう方法を講じて難を防ぎたいと、こう考えておる次第であります。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 それはなるほどすなおに物わかりのいい知事がおって、あなたの方の指導に服してくれればいいけれども、そうでない場合がある。特に県会等において相当勢力を持っておるというようなのが牛耳っているような組合はなかなかそういかんのです。知事の言うことも聞かん、何かここに立法措置をとってやるようにしなければいかんという考えはないですか。今まで通り方法でいいと、こう……。
  76. 河角泰助

    説明員河角泰助君) 従来の法律におきましても、厚生省で定めております財務処理規則というのが省令で出ておりますが、これの基準に違反した場合には都道府県知事が解散できる。今回の能代山本地区の大火は実にいい例でございますので、さらに一段の警告を発しまして、府県連組合を整理して参りたいというふうに考えております。
  77. 小林政夫

    小林政夫君 解散させることができるので、それであなたの今の答弁だと、現行法の運用で十分やっていける、大衆に迷惑をかけずにやっていけるという答弁ですか。
  78. 河角泰助

    説明員河角泰助君) はい、そうでございます。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 そのつど思案にのらないのは、どうかと思うのは二十九年以前のものであって、今後は間違いなくやっていける、こういうことですね。
  80. 河角泰助

    説明員河角泰助君) はい、そうでございます。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 どうもその点が僕は危かしいと思うのですが、あとで大蔵当局見解も聞いてみたいと思いますが、振興部長が急いでいるようですが、中小企業庁の長官は正直に自分でも言っておられたが、何も知らないんだという。秋山君はよく知っているということですから、大いに答弁を期待いたしますが、一体中小企業等協同組合の火災共済の問題については、かねて私どもがいろいろ申し上げておることは御承知通りです。その後どういうふうな配慮を加えられておるのですか。能代市の大火等によって相当問題の火災共済組合が出てきているわけです。その点を伺いたいわけです。
  82. 秋山武夫

    政府委員(秋山武夫君) 火災共済組合の問題につきましては、かつて先生、商工委員会に御在席の当時にも御提案があったくらいでありまして、非常にお詳しいわけでございますが、私から申し上げるほどのことはないと思いますが、最近大蔵省からこの国会の初めにもう一ぺんこの法案を出したいという御相談を受けまして、基本的には私どももやはりこういう制度はあった方がいいという判断のもとにいろいろお打ち合せをしておったわけでございます。ただ当時、と申しましても二年あるいは三年になりますが、たちました間に周囲の情勢、ことに当時非常に高かった火災保険料金が最近非常に下ってきておるということから、実は当時はあまり考えなくてもよろしかった点につきましてもある程度の検討をしなければならん。すなわち、一体組合制度でこういう現在の状況下において火災保険事業というものは成り立つものであろうかどうかということを組合経理というような面、あるいは協同主義という立場からも一応の検討をしなければならんというような問題が新しく発生したというような事情もございまして、私どもとしても検討にやや手間取ったわけでございます。結論といたしましては、現在でもやはりないよりは確かにあった方がよろしいという結論になりまして、その後数回大蔵省とのお打ち合せもいたしたわけでございます。大体おもな点についてはおよその意見の一致を見たわけでございますが、実は私どもが非常に重視しておりました点について若干意見の食い違いがございました。これは同じく中小企業者の保護という立場から見ましても、少し大蔵省と私どもとは観点の相違がございます。御承知のように協同組合法を作ってもらいたいという意見が出ましたのは、ただいま申し上げましたような主として保険料率負担という面から、中小企業者の負担を軽くしたい、お互いの力でそれをやりたいということが直接動機になったというふうにわれわれ思われるわけであります。保険業法を扱っておられます大蔵省の立場としては、一種の契約者保護といいますか、単に中小業者なるがゆえにかかわらず、およそ契約をした者が不測の損害を受けることはいけないという立場がかなり強く出てくるわけでございます。その若干のニュアンスの相違というところが実は結論においてなかなか一致のできない問題を起しておる場合があります。それが今日まで実は提案をみるに至らなかった主な理由であったと私は心得ております。一番の問題点はやはり何といいましても、一件の契約限度をどのぐらいにすることが適当かということでございまして、これはまあかつて小林先生が御提案になりました当時は、たしか三百万円ぐらいまでというようなふうになっておったかと思います。私どもも実はできればそうしたいという気持で、大体三百万円ぐらいまでを契約をとれるようにしたいという提案をしておったわけです。これは組合の、何といいますか、資力、あるいは加入の見込み、蓄積できる範囲の見通し、資金の見通しというようなことから、どうもちょっと高すぎるというような意見もございまして、まあ妥協というわけでもございませんが、二百万円ぐらいまでならあるいはというふうなことも考えておったわけでございます。  もう一つ大きく食い違っておりました点は、共済事業ということの性質でございます。つまり単なる見舞金、あるいは多少それが大きくなるかもしれませんが、要するに火災の起りました際、金は受け取るのでありますが、それは厳密な意味の保険といい得るかどうか、一種の見舞金程度にしかすぎないと思われる程度のものは、一つ何とかして大目にみるということで、この点も前回の法案のときにはたしか論議に上ったかと思いますが、私どもは現在前回に提案されました十万円までの契約については共済事業と認めるという点を、二十万円ぐらいまでせめて上げたいという考えでおるわけでございます。この二十万円と申しますのは、特に意味があったわけでもございません。ただいま厚生省からもお話がございました生活協同組合の方のまあ通牒による一応の指導基準が大体二十万円というようなことになっておるというところから出た数字でございます。ただ、私どもの考えております二十万円と、生協の二十万円とは、実はだいぶ実際違うのでございまして、生協の方ではたしかあれは一物件について二十万円というような制限を一応基準にしておるかというふうに承知しておりますが、私どもが考えました二十万円というのは、実は一契約者当り、一企業者当り二十万円ということでございますから、それからしてみればずいぶん小さなものだというように思えるのでございますが、これもどうも大蔵省となかなか話し合いがつかぬというようなことで、かたや農林協同組合関係では全然制限がされておらぬということで、一方には商品をかかえておりますから、資産価値からいえば中小企業者の方が大きな保険を要求するわけでございます。共済事業としても大体同様でございます。そういうバランスから考えると、むしろ逆のような感じもしないでもないということで、まあせめて共済事業としては二十万円ぐらいまでは認めたいというのがわれわれの考え方であったわけでございます。  もう一つ、これはそう根本的と言えるかどうかわかりませんが、兼業でやっております組合、たとえば米屋でございますとか、たばこ屋でございますとか、風呂屋でありますとかというようなものが、業種別に、しかも適当に分散をせられておりますので、現に盛んにいわゆる共済事業をやっておるわけでございます。また現実にこれらもかなり大きな額に上るのでございます。ただその場合、うまくいっておる一つの要素としては、兼業であるという点が実は非常にうまくやっておるかなりの力になっておるのではないかというふうに考えられますので、こういうものはある程度危険もはっきり分散され、兼業ということで経費も比較的安く済み、歴史も比較的古いというような場合について、今のこの共済事業としての二十万円の限度を適用するという点が果して適当であろうかという疑問を持っております。これらの点が実はもう少し話し合いが進むとよかったのでございますが、ほかの法案の関係等からもだいぶ折衝に手間取りまして、まあ新たに定めた期日に間に合わなくなったというようなことでおそらく大蔵省としても、それほどその後積極的にわれわれの方に持ちかけられてこなかったんだろうと想像はいたしますが、いずれにいたしましても、われわれとしては実は話し合いがうまくつけば、この国会にこういう法案が出るということについては、まことにけっこうだと考えておるのでありますが、いきさつを申し上げると以上のようなことになります。
  83. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 資料を要求したい。今の御説明を聞いてわかりましたが、あなた詳しいらしい。先ほどまあいろいろこうして伺っておる範囲から言いますと、割合に中小企業庁としてはこういう協同組合の方の保険事務については、何だか全般的に非常に関心が薄いような感じがするんですがね、実は。そこで一つ、うんと勉強してもらって、そしてこの点がどうだ、あの点がということをやりなさるために、ちょっとむずかしい資料を要求したい。あなた方が勉強するためにもわれわれが勉強するためにも。そこで、今までにも資料はこの委員会に出してもらったことはありますが、それは実にずさんなものが出ております。申しわけ的なものであります。そういう資料を幾ら出してもらっても役に立ちません。そこで詳しいものを、どういったものが組合関係にあるのかといったこと。それがどのくらいの積立基金を持っている、契約の金額に制限を受けておられるとか、それに対する積立金の運用がどうなっておるとか、それからその組合員に対して料率やそのロスレシオがどういう工合になっておるかというようなことですね。それからすでにたくさんつぶれておるはずです。で、それを自治庁の関係がいろいろありましょうけれども、それがいわゆるいろいろな関係で、いわゆる補助金というのか、政府補償というのか、そういう格好でいわゆる借入金で賄って、補償してもらって、借入金で賄ってやっているといった例もたくさんあるのです。そういった点について少し詳しい資料を出していただきたいのですが、一つそれを要求いたします。
  84. 秋山武夫

    政府委員(秋山武夫君) 御要求の資料は実は大体私どもの方でわかると思いますが、ただ一つ税金のお話がございましたのですが。
  85. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 損害率。
  86. 秋山武夫

    政府委員(秋山武夫君) 損害率はわかります。いわゆる現実の損害率ですね。
  87. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それからそういうところが資産状態がそういったところまでリザーブができておるかということですね。
  88. 秋山武夫

    政府委員(秋山武夫君) 経理状況、大体わかっておるつもりですが。
  89. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これはこれと別にして、この会期中でもかまいませんから、出してくれませんか。おそらくそういうと、これはおそらく失礼だと思うが、こういうものを出していただくと勉強するかと……。
  90. 秋山武夫

    政府委員(秋山武夫君) せっかくの委員長のお話でございましたので、一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。実は私どもこの中小企業の弁護士的立場におるわけでございますが、当初御承知かと思いますが、社会党から商工委員会、当時は通産委員会でございますが、提案があったんでございますが、提案というよりはまあ提案の準備があったんでございます。その際の一番の骨子になっておりましたのは、実は商工中金に再保険をさせるというような考えが入っておった、もちろん草案でございますが、あったんでございます。また商工中金とこの保険の本体と少し性質が違うということで、そのことに対しては私ども消極的であったんでございますが、ただこういっていよいよ法案を作ってみますると、私どもが中小企業振興策の一つという考え方として、こういう保険事業という保険協同組合という考え方を取り入れてくるといたしますと、ただいまの資料の御要求もおそらくそうではないかとまあ想像されるんですが、非常に基礎が危なっかしくなってくる、ところがそれがお互いだけの力では、非常にむずかしいということから、実は私どもの希望といたしましては、県はさることながら国といたしましても、できるならば最悪の場合なんかのバックアップをしてやるというような制度が入れば、これは中小企業の援護策であるといって公けにする理由も立つし、力もついてくる。従来大蔵省なりわれわれが考えて参りましたのは、事の起りはレールを敷くといいますか、基準を作るという面に重点がございまして、中小企業者のために保険料負担を軽減してやるなり、あるいは事故があった場合には損失填補の手段を与えてやるなりということについての根本的な検討が少し足りなかったんじゃないかという考え方が、われわれ内部にあるわけでございまして、そういう意味で欲を申せば実はこういう制度がありますと同時に、それに加えて最悪の場合、それも永久ではなくてもちろんけっこうと思いますが、当初の何カ年かの間組合の基礎が一応確立されるまで、最悪の場合には政府が若干のめんどうをみられる、こういう制度があると、中小企業を援護する非常に有力な力であるというふうに考えておるわけであります。蛇足でありますが、私ども今まで考えたことも一言つけ加えさしていただきました。
  91. 小林政夫

    小林政夫君 中小企業庁振興部長帰っていいのですが、最後に能代のようなことが起っているから、大蔵省から言ってくれば受けて立つということじゃなくて、あなたの方も積極的に案をもってぶつかって、一つ何かレールを敷かなければかえって中小企業の方はマイナスです。善処をお願いいたします。  大蔵省側は今いろいろ各方面の各省の僕の質問に対する答弁を聞いておられた。私はかねがねしつこいほど申し上げておるわけだが、こういう火災調査事業についてレールを敷くというか、何か法律的な規制を加えなければならぬと思うのですが、政務次官はどうですか。
  92. 山手滿男

    政府委員(山手滿男君) 実はこの問題は国会においてもだいぶ以前からいろいろ論議をされて参った案件でございます。実は私も衆議院で商工委員会におりました当時、数年前でございましたか、最近だいぶ日がたちまして記憶が十分でないところもございます。だいぶ前でございますが、中小企業者の煩悶のために、またいろいろな中小企業者の苦労を取り除いてやるために立法をしようということで、議員提案をしたことなどがございました。しかしながら提案をいたしましたけれども、いろいろな関係でついにそのままになって今日に至っておる次第であります。能代のああいう大火などがあるのにつきましても、ぜひ何とか立法をしたいということで、先般来関係各省と協議を事務当局にしてもらっておりますけれども、ぜひ取りまとめるようにということで話をしておりますが、いろいろ千差万別でございまして、うまく話がつかないままに今日に至っておりますが、できるならば、私は能代のような事例もございますし、今後さらにこういうことが繰り返されるということは遺憾でございまするから、適当に取締り、あるいは育てるべきものであれば育てていくようにこれはすべきものであろう、こう考えて現在さらにいろいろ交渉をしてもらっているところでございます。
  93. 小林政夫

    小林政夫君 厚生省、いつまでも置いても気の毒だから……。先ほどの厚生省の見解ですね、火災調査についての河角君の見解に対して谷川君はどういうふうに考えますか。現行法で支障ないと思いますか。
  94. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 厚生省の消費生活協同組合の問題に限定して考えた場合におきましても、保険金額の最高、共済金額の最高が二十万円であるから、あるいは監督を厳重にするからということだけでは、私としてはいけないと考えます。で、そこで名前は共済と呼びましても、実体が保険者と被保険者との関係が保険契約的なものである以上は、各省がそれぞれその立場で監督をするばかりでなしに、保険行政を扱っております大蔵大臣もとにおきまして、一元的に監督を加えるということが、結局契約者、大衆の利益を完全に保護するゆえんであろうと考えますので、この金額の大小あるいはそれぞれの組合行政の所管大臣の監督が厳重かゆるやかかということは、実体が保険である以上は、大蔵大臣が責任をもって監督してやっていくべき問題であろうと思います。
  95. 小林政夫

    小林政夫君 その点について厚生省側は、どうも大蔵大臣の監督に服すのは困る、どういう点で困りますか。
  96. 河角泰助

    説明員河角泰助君) 別に困るという点はございませんが、この問題は非常に重要な問題だと思いまするので、慎重に検討したいと思います。
  97. 小林政夫

    小林政夫君 そこで政務次官にお願いなり質問ですが、その前に谷川君に、先ほど秋山振興部長が言った、あなたの方と中小企業と協同組合関係の共済事業についての話し合いのつかなかった点について、まあ、ああいう点で話がつかなかったというわけがございますが、それは何か話し合いを事務的にしたのですか。
  98. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 振興部長のお話しになりました三点はその通りでございますが、そのほかにもっと重要な問題、すなわち振興部長が第三に述べられました職業団体の問題でございますが、中小企業等協同組合法に基く保険火災共済を火災保険組合として規制をするという場合には、どうしても中小企業等協同組合法の改正が必要になるわけでございます。ところが同法の改正につきましては関係大臣が九人ほどございまして、その中には農林省が入っております。農林省の所管しております全糧連、米屋の組合でございますが、この米屋の組合の行う火災共済事業を火災保険事業として扱うという点につきまして、農林省当局が強硬に反対をいたしました。従いまして、通産大臣といたしましても、農林省との話を大蔵省がつけてくれなければ、通産省としてはどうもしようがないのだということになりましたのが、この事務が進まなくなった一番大きい理由でございまして、その他技術的な問題につきましては、政務次官からも御指示がございましたので、できるだけまとめよう、保険会社側のいろいろな意見もございますが、その点は会社側とも十分話をつけて納得させまして、できるだけ法案を国会に提出するように努力したのでございますが、今言ったような問題が一番大きい理由となりまして、残念ながら話がまとまらぬのでございます。
  99. 小林政夫

    小林政夫君 政務次官、まあ今のような、お聞きの通りの情勢はその報告を受けておるわけですが、私はやはり政治的というか、党として腹をきめてもらって調整してもらわなければ、なかなかこれは事務的には所管大臣の問題等のこともあるし片づかないのじゃないか、やはり政務次官ではありますが、党の有力者として、自民党として何かこの問題について大きく手を打つという心がまえになってもらわぬといかぬと思うのですが、その点のお見通しなり、あなたのお考えいかがですか。
  100. 山手滿男

    政府委員(山手滿男君) この立法につきましては、先ほど申し上げました通り、いろいろ私どもも研究をいたしたのでございますが、中小企業者の各団体からも非常な熱望もございましたし、内外の資料を集めて検討をいたしましたところ、アメリカにおきましては、各州に法律がありまして、相当健全にしっかりこう育っていったものもございますし、半面加入者の保護がある程度うまく行われておる実情がはっきりいたしまして、その資料等も取り寄せまして、できれば法制化しようということを考えた次第であったのでございますが、その気持におきましては今日も変りはございませんので、先般来、特に能代のような事態が頻発いたしますことは、まことに申しわけのないことでございますから、今課長からお話を申し上げましたように話を進めさして参ったわけでございます。その後、話が行き詰まりましたので、私からも農林省側の方に一、二へんこの話を持ち込んで解決をしようということで懇談をしかけたのでございますが、何分農林省の方もいろいろなことがございましたし、私が話をする前に、一応省議で反対というか、時期にあらずという決定をいたしておりますために、なかなかうまく話がまとまって参りません。与党の政務調査会の方でも二、三話をいたしましたけれども、まあいろいろな立場の人もおりまして、まだ残念ながら今日の段階では完全に話をつけるところまでいっておらない次第でございますが、できるならばまあ社会党の方にも非常な熱心な御主張もございますし、参議院におきましては緑風会の皆さん方においてもいろいろ御理解のある方もあるようでございますから、提案さえできれば、話し合いさえつけば、法案の審議は一応スムースにいくだろうと思いますし、できれば十二分に手を尽して話し合いをつけたいと、今日もなお考えておる次第でございます。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 もうせっかく自民党という大政党もできたわけですから、一つ大いに政治的に手を打ってもらうように強く要望をいたして、この問題を打ち切ります。  それから先ほど信用組合の問題について加治木君に質問をしたわけですが、まあ初めは大蔵省を代表して答弁をするというふれ込みだったのですが、最後段階で、どうもこれは私見だということになったので、あなたに念を押さなければならぬことになったのですが、加治木君からお聞き下さっておると思いますが、信用組合の現状について、金融制度としても、また実際の金融特に庶民金融、中小企業というか、零細金融の点から考えると、何か信用金庫、信用組合というようなものについて考え直すというか、相当検討する余地がある、こういう情勢だと思うのです。それについて金融制度調査会等もあるいは設けられる事態になれば、それの意見を徴して善処したいという気持を加治木君が持っていると、こういうわけなんですが、大蔵省として信用組合事業というものに対してどういうふうな扱いをされておるか、その御見解を承わりたい。
  102. 山手滿男

    政府委員(山手滿男君) 今日金融制度調査法案を衆議院で御審議を願っております。おそらく数日中に衆議院の方は議決をされまして、参議院で詳細御審議を願うことになるであろうと考えております。衆議院においてもその問題は二、三質疑がございましたので、私の方からも明らかにいたしておいたわけでございますが、信用組合あるいは信用金庫、あるいは相互銀行等、いわゆる中小企業向け金融を専門に扱っておりまする金融機関の間に、相互にいろいろこの問題もございます。特に信用組合は組合員だけでやっておるわけでございますが、もう非常に地域的にも膨大に広がっていたりなんかいたしまして、相互に紛淆を来たして問題を起しておるところもございまするし、せっかく金融制度調査会が日の目を見ることになりましたならば、ぜひそういういろいろ万般の問題につきまして根本的にも検討をして、是正すべきものは是正をし、うまく運営をされていくようにしたいと、こういうことで腹をきめておる次第でございます。
  103. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ではこれをもって散会いたします。    午後三時三十八分散会