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1956-03-15 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十五日(木曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————   委員異動 三月十四日委員川村松助君及び平林太 一君辞任につき、その補欠として大矢 半次郎君及び大野木秀次郎君を議長に おいて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            山本 米治君            土田國太郎君    委員            青木 一男君            青柳 秀夫君            大矢半次郎君            木内 四郎君            菊田 七平君            白井  勇君            西川甚五郎君            藤野 繁雄君            天田 勝正君            小林 政夫君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    食糧庁長官   清井  正君    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      上林 英男君    会計検査院事務    総局次長    小峰 保栄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○食糧管理特別会計昭和三十年度に おける損失をうめるための措置に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○国有財産法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○漁船再保険特別会計における給与保  険の再保険事業について生じた損失  をうめるための一般会計からの繰入  金に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○物品管理法案内閣提出)     —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これから委員会を開会いたします。  議事に入るに先だって、委員異動について御報告いたします。昨十四日付をもって委員川村松助君及び平林太一君が辞任され、補欠として大矢半次郎君及び大野木秀次郎君が委員に選任されました。  それでは、本日はまず、食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 食管関係インベントリー・ファイナンスをやった百億の取りくずしの問題ですが、この際、伺っておきたいことは、これまではインベントリー・ファイナンスドッジ・ラインのときやりましたが、あれがいわゆる過去の蓄積資金となっておりますね。外為貴金属特別会計、前には産特の方にあった、今そういうインベントリー・ファイナンスによるいわゆる過去の蓄積資金はどのくらいになっていますか。どういう会計幾らくらいあるか、この際、明らかにしておいていただきたい。
  4. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) はなはだ恐縮でございますが、ただいま資料の持ち合せがございませんので、電話で照会をいたしまして、至急取り寄せるようにいたします。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、ずっといられないものですから、資料でいいですから、会計別金額を明らかにして、いわゆる過去の蓄積資金とこれまで言われたものはどのくらいになっているか、できれば、最初インベントリー・ファイナンスが行われて以後それがどういう変化を来たしているか、その経過も明らかにしてもらえればいいのですが、あれで国債償還をやったり、いろいろ変化しておりますから、あと資料としてお出し願いたいと思います。
  6. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 了承いたしました。ちょっと遅れますけれども……。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこの前御質問したんですが、この法律だけで百億のインベントリーの金を食管特別会計欠損穴埋めにしてしまうという処理の仕方についてどうもまだ納得いかないんですが、いろいろ私も考えてみたんですが、私が納得いかないのはこういう点なんですよ、主として財政法十四条、これはもう私が言うまでもないんですが、「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」、いわゆる総計予算主義をとっているわけですね。なぜこういう総計予算主義をとったかといえば、これは国会における財政監督を容易ならしめる、また一国における予算執行責任を明らかにする、そうして財政全貌を明らかにして理解を容易ならしめる、こういう趣旨からの総計予算主義をとっておるわけですね。これは日本ばかりじゃありません。各国とも今言いましたような趣旨から総計予算主義をとっているんですね。そういう点からいきまして、あれは運転資金として出しているんです。短期運転資金ですよ。本来ならば食糧証券を発行してあれはまかなっていいものである。ところがドッジ・ラインのとき、この間、申しましたように、短期食糧証券でも、インフレを一挙にとめる場合には、やはり短期インフレ要因を断たなければならぬというので、外為会計でも借入金で見合い為替というものがあるんですから、金融でよかったわけですがね、ところがわざわざあのドッジ・ラインのとき税金をもって短期資金をまかなわしたでしょう、短期融資なんですよ、性格はね。商品あるいは為替というもの並びに貴金属というものが見合で出されているんですね。そういう性質のもので、あれは本来ならば、短期のものですから、インフレが終息したならこれは一般会計に移して、あれは何かの財源に充てるべきものなんですよ。そうして食管赤字があったら別途また一般会計から赤字補てんとして出すべきものだ。そうすれば経理は明らかになります。総計予算主義の上からいってこれはその趣旨に合うんですよ。今度のような処理の仕方では、これはどうも明瞭でないんですね。財政全貌を明らかにして理解を容易ならしめ、予算執行責任を明らかにする、そういう点からいって、どうもこういう処理の仕方では私はいけないんじゃないか。国家間の、国の間の経理のあれですから、こういう食管特別会計法律を、一片の法律をちょこっとかえればそれで済んでしまうというような形のものでないと私は思うのです。こういう処理の仕方は、処理がいい悪いは一応別として、こういう処理の仕方は、私は財政法精神に反しているんじゃないか。それで、もし、こういう処理をすると、今度は百億のインベントリーは一応歳入に立てるでしょう。そうすると予算規模が大きくなるので、予算規模が大きくなるのを避けるためにこうしたんではないかというふうに思われるのです。食管特別会計処理ばかりでなくて、最近の傾向として、なるべく財政規模の見えないように見えないように、本来ならば、今まで一般会計項目を立てたのを、それをはずして特例会計の方へ立てる傾向が多くなってきている。やたらに特別会計がふえて、食管の場合は、これは前からある特別会計ですけれども財政規模が大きくなるのを避けるために、なるべく、本来ならば一般会計項目を立てなければならないのを、それを避けて、財政処理の仕方が明確でなくなるのですよ。そういう仕方はどうも私はよくないと思うのですが、なぜこれを歳入に一応立てないか、これは短期運転資金なんですよ、ほんとうは。そういうものをそういう欠損穴埋めにしていいものかどうか、これは別途に考えるべきだと思うのですよ。そういういいかげんな、インベントリー百億あったから、ちょうどいいから見合いでこれを欠損穴埋めにして帳消しにしてしまう、こういう処理の仕方、これはいけないんじゃないか、われわれもこういうものを容認しちゃいけないんじゃないかと思うのです。国会の方では。そう思うのですが、だんだん財政法精神をルーズに、便宜主義便宜主義になっているそれは、民主的財政というのは手続がめんどうくさいものですよ。めんどうくさいところにいろんなまた監督を十分ならしめる余地があり、それがまた予算経理が明確になるという点の特徴があるのですが、どうなんですか。
  8. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 前回も申し上げました説明と同じなんでございます。木村先生の御意見ごもっともでございまして、財政法十四条の精神からいたしますと、前回に、昭和二十六年でございますか、百四十三億何がしを繰り入れましたのは、赤字の補てんのためでない、運転資金のためである、そのうち百億円は一般会計へ返すということになっている。従って、その法律に従って、財政法十四条の精神からいうならば、一般会計に一応戻してもらう、そしてさらに今回の赤字補てんをするために別途の歳出を立てるべきである、まことにごもっともであると思います。しかし、前回も申し上げましたように、これを、国の金でございますし、御承知のように、財政法第八条には、国が債権を免除したり効力を変更するには、法律に基くことを要すという規定がございますが、この精神に基きまして法律を改めて、一種の一般会計特別会計に対する債権を免除することも可能ではないか、かように考えまして、本来、一般会計に一応歳入として入れて、新たに赤字補てんのための歳出を組むべきところを、法律改正をいたしまして、一般会計に繰り入れなくともよいことにすることによりまして処理できるものではないか、かように考え処理いたした次第でございます。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、もちろん、財政法を見ますと、みんな特例が設けてあって、法律により、あるいはまた予算の定めによりとあるのですけれども、そういう規定があるから何でもそれをやっていいということではなく、私はこの前も、法律上は差しつかえないのかもしれないと言うのですよ。ですけれども精神からいってどうも……、私は十四条の実質を言うのですよ。その監督を十分ならしめることとか、それから予算経理というものは非常に明らかにする必要があるとか、十四条はそういう実質的な点を民主的財政として重点を置いて定めてあると思うのですがね。その点ですよ。法律上は、なるほど財政法八条には「国の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。」とあるから、法律上は差しつかえないかもしれません。この法律が通れば、それでよいということになるのですがね。それにはあと議論になりますから、私は自分考えとして、今までどうも財政法は相当窮屈に従来と違って定めてありますが、だんだんそれを、その精神をくずす方に、この点ばかりじゃないですよ、ほかにもたくさんあるのです。予算規模がふくらむのを避けるために、これだってそうですよ、歳入に立てれば百億ふくらむのですよ。そうすると三十年度の予算はまた一兆百三十三億から一兆二百三十三億と、また、ふくらむでしょう。どうもそういうのを避けるためにそういう便宜的操作をやるというようにわれわれは解したのです。法律上差しつかえなけば私は仕方がないと思いますけれども、そういう意味でこういう処理の仕方はどうも賛成できがたい。あと議論になりますから、これで私の質問は終ります。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 きょう資料を頂戴した「昭和三十年産米買実績表」によって見ますると、まだ売り渡し申し込み数量に二月末現在で達していないところの県が七県あるようです。それから備考を読んでみると、本年度末までには補正済み数量には達する見込みである、こういうふうなことでありますが、この前の委員会で、私は、予約集荷が終了するまでは特別集荷はやるべきものじゃないと、こういうふうなことを申し上げておいたんでありますが、その趣旨によって政府予約集荷のほとんど終了するまで特別集荷を延ばされたというととは、政府の処置として、時宜に適したものとしておるのであります。しかし一方においては、これでもなおかつ予約数量がいろいろな事情で集荷ができず、食管法によって農家から強制供出をやらなくちゃできないようなものが幾らかあるかどうか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思っております。
  11. 清井正

    政府委員清井正君) ただいまの御質問の点でございますが、ここに掲げました数字は、ただいまお話通り、当初の売り渡し申し込み数量と、二月末現在の実績との比較でございまして、備考に書きました通り、御承知通り九州あるいは中国の一部で風水害がございまして、相当局部的には収量が減収になったところがあるわけでございます。全国的には御承知のような状況でございますが、一部そういう地方がございまして、実はこの数字は当初の申し込み数量でございまして、その後補正を実はいたしておるわけであります。補正につきましては、申すまでもなく、今回は中央の農林省においてこれをきめるということでなしに知事にまかしておったのであります。知事から、自分の県内である程度補正をしたいという数量相談がございまして、私ども政府はそれに対しは知事におまかせをいたしたのであります。そこで知事が私どもの方に申請をいたして参りました数字を当初の売り渡し申し込み数量から差し引きますと、二月末現在で全部完遂をいたしておるのであります。ただ私がここに数字を出しませんでした理由は、申すまでもなく知事が一たん引き受けましたけれども知事市町村長との交渉市町村長と個人の交渉がまだ残っているところが一部あるわけであります。全体がまとまりませんと、数字として全体の三千百万石を落すわけにはいきませんので、便宜ここに掲げていないのでございますけれども、二月末現在におきましては、補正数字をここに計上いたしますれば全部完遂をいたしておるわけでございます。従いまして、実際問題として強制供出をするというようなことは全然皆無でございまして、全部予約生産者が出しましたし、あるいは補正をいたしました県は、本人の希望通り補正をいたしておるのでありまして、ただ数字が時間的に間に合わなかったので書かなかっただけでございまして、実際上命令を出したということは事実ない状態でございます。全部生産者自身によって、政府に対する売り渡し申し込み完遂いたした、こういう状況になっておる次第でございます。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、残る問題は、政府は最後にまだ余裕があるから特別集荷をしよう、こういうふうな御方針を決定されて、それぞれ手続中のようでありますが、どのくらいの数量をお集めなさる見込みであるか、これをお尋ねしたい。
  13. 清井正

    政府委員清井正君) 実は三千百万石という申し込み数量は、当初私どもが計画いたしましたのは二千三百万石であったのであります。ところがその後の実収増に基きまして、三千百十一万石という申し込みに達したのでございまするけれども、御承知通り生産見込み数量から農家自家保有を引きまして、計算上の売り渡すべき数量と三千百十一万石という申し込み数量とを比較いたしますと、なお数百万石の余裕ができる計算になったのであります。そこで私どもは、そういうような状況でありますので、なお農業団体政府に対して生産者が売り渡すようにということを督励いたしまするが、なお特別の制度をしいた方がよかろうということで先般実施いたしたわけでございますが、その場合におきましても、私どもといたしましては、このくらいの数量目標にするという数字は示していないのであります。幾らでも出せるものがあったら出してもらいたいということで団体等にも実はお話を申し上げておるわけでありまして、政府といたしましては、どのくらいの数量目標であって、その目標数量を集めてくれということは何ら示してないのでありまして、できるだけやってもらいたい、こういうことを実は申し上げておるわけであります。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから澱粉の問題ですが、食管特別会計昭和三十年度補正予算数字を見てみますると、カンショ澱粉の十貫当り値段は千七百四十八円、三十一年度の予算書を見てみますと十貫当りが千七百七十一円、それから農産物価格安定法から割り出した金額は、私の知り得たところでは、カンショ澱粉で千七百八十円ぐらいと思っておるのでありますが、この値段が適当は値段であると仮定しましたならば、現在の値段はどのくらいの値段で取引されているか、その現在の取引価格を承わりたいと思います。
  15. 清井正

    政府委員清井正君) 現在の取引価格実態につきましては、ちょっと詳しく数字的に存じておりませんが、ただいまの御指摘数字につきましては、先般三十年産農産物価格安定法に基きますところの他の澱粉買い入れ価格基準価格計算いたしまして、その基準価格に基きまして、御承知通り買い入れ価格をきめるわけでございますが、買い入れ価格をきめます場合におきまして、運賃あるいは農業団体事務調整に関する費用等計算いたしております。従って、予算できめました基準価格と、実際の買い入れ価格が、実際において違っておるのは御承知通りであります。そういう価格をきめまして、また二月より買い入れを実施いたしておるわけでありますが、御承知通りのような一部澱粉生産地方におきましては、この基準よりもまだ下回っておるというような状況が実はあると聞いておるのであります。現にそういう状況であります。私どもといたしましては、この価格につきましては適正な価格と思っておりましたけれども、現実にこの価格以下になっておるということがありますれば、実際問題として非常に問題があるわけであります。ただいませっかく予算に計上いたしました数字をできるだけ活用いたしまして、これは大幅に買い入れを実施いたすことによりまして、現在少くとも澱粉の市価が政府指示価格までには引き上げるということを要する。なおさらに澱粉消費等をさらに増進いたしまして、あるいはブドウ糖のこともございますし、水あめ等生産ということもありますし、いろいろいたしまして、基準価格を上回らしめるということをやることが、農産物価格安定法の本来の建前でございますので、そういう点に持っていきたいと思っております。ただいませっかく努力いたしております。買い入れ価格については目下相談をいたしておるような状況でございます。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今指示価格を維持するためにせっかく買い入れ中というお話でありますが、昭和三十年度の補正予算と三十一年度の予算を見てみましてでも、その数量は、カンショ澱粉バレイショ澱粉合せて千九百万貫、約二十万貫である。そうしてカンショ澱粉及びバレイショ澱粉予算金額を見てみますと三十四億七千万円ぐらいあるのでありますが、約二千万貫、三十四億数千万円で政府指示価格に達するというお見込みでありますかどうか、それをお伺いしたい。
  17. 清井正

    政府委員清井正君) 私どもはそうありたいと考えておるのであります。ただいま御指摘のような数字でございまして、これは二月から買い始めをいたしております。例年ならば四月から買うのでございますけれども、ことしは非常に生産が多いので、二月に繰り上げをいたしたようなわけであります。そこで二月より二月、三月、四月、五月、六月と、大体三、四カ月で買うつもりでおるのでありますが、御承知のようにその期間におきまするただいま御指摘のありましたような数字を……さらに切りぼしがございます。切りぼしも約五百三十万貫ございます。これはあるいは買うことになるかどうか、ちょっとわかりませんけれども、切りぼしの数字もございますので、合計いたしますと二千万貫以上の数字になるわけであります。これらのものを活用いたしまして、ただいま買い入れを実施いたしておるわけであります。御指摘通り最近の状況政府価格を下回っておる状況にございますので、できるだけこの数字を繰り上げまして買い入れを実施いたしておるわけであります。もしもこの数字によってなおかつ目的を達することができない、価格が相当下回っておるという状況がございますれば、元来その法律価格安定のための法律でございますので、私どもといたしましては、できるだけ当初の目的を達成せしめるように、すなわち価格を安定せしめるように買い入れを実施していきたい。もしもこの数字でもって価格の安定ができなければ、さらに数量をふやしまして、買い入れを実施する。そのために予算措置が必要でございますが、私はそういうふうに考えまして、この目的を達成するために買い入れ数量を必要な限度まで広げる用意があるわけでございます。ただ私どもといたしましては、現在はこの数字でやっていけるものと確信いたしております。もしもそういうことができない場合におきましては、適当の措置を講じまして、必要とするものはさらに買い入れをしていきたい、こう考えております。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいまの御答弁の通り価格の安定のために善処をお願いしまして、私の質問を打ち切ります。
  19. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ただいま議題となっております食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  20. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に、国有財産法の一部を改正する法律案議題とし、事務当局より補足説明を聴取いたします。
  21. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは先般当委員会に御提案申し上げました国有財産法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に補足説明を申し上げます。  お手元に新旧対照表をお配りいたしておるはずでありますが、きわめて簡単な内容になっております。内容は三つだけでございまして、まず第二条におきまして「船舶、浮標、浮さん橋及び浮ドック並びに航空機」、この「航空機」をつけ加えておる点が第一点でございます。この点は、別途御提案申し上げまして御審議をいただいております物品管理法の制定に伴いまして、国有財産として管理するものと、物品として管理するものとの範囲につきまして調整を加えておるのでございますが、その関係から、従来国有財産として扱って参りました物品のうち、たとえば「事業所作業所、学校、病院、研究所その他これらに準ずる施設においてその用に供する機械及び重要な器具」というふうなものを、これを国有財産からはずしまして、物品管理法の対象にいたすことになりまして、この関係から申しますと、むしろ国有財産範囲は縮小されたわけてあります。これに反しまして、ただいま申し上げました航空機は、従来国有財産として扱っていなかったのでございますが、この実態は御承知のように、船舶等と同じように不動産に準ずる性質を持っておりますので、この際はっきりと国有財産法の中に規定をいたそう、これが第一点でございます。  それから第二点は、第五条の二という一条を新設いたしました。第五条の二は、「二以上の各省各庁の長において使用する行政財産のうち統一的に管理する必要があるもので大蔵大臣が指定する財産は、これを使用する各省各庁の長のうち大蔵大臣が指定する者の所管に属するものとする。」こういう規定でございますが、これは具体的に申し上げますと、いわゆる合同庁舎というものが最近のはやりになっておることは御承知通りでございますが、この合同庁舎につきまして、従来その所管大臣が明確に定まっておらないのでございます。で、この点につきましてはっきりと規定をいたそうという趣旨で本条を新設いたそうという考えでございます。現在合同庁舎といたしましては、委員各位のお目にとまっております人事院ビルとか農林ビル、その他あるわけでございます。なおまた新しく相当数を新設する計画もございます。現在の態様といたしましては、大体二つ態様になっておりまして、入っております省庁のうち、ある省庁所管に属させまして、そうしてそのスペースを他の省庁が使う、こういう考え方をとっておる場合と、一つの庁舎のその使用部分について所管をきめておるのと、二つの大体態様になっておるのでありますが、やはり将来この管理費を合理的に使うという見地から申しましても、大蔵大臣におきまして適当と認めまする各省大臣あるいは庁の長官というふうな方に所管をしていただきまして、管理の一元化、合理化をはかって参りたい、この趣旨から第五条の二を設けようとするものでございます。  最後に第三点といたしましては、第十四条に六号を設けたわけであります。これは行政財産を他の各省各庁の長に使用させようとするときに大蔵大臣に協議しなければならないという条項を設けようとするものでございますが、この点につきましては、従来も、一定の場合におきましては大蔵大臣に協議を要しないというふうな場合を定めております。今後も運営上は、たとえば短期間、三カ月以内ぐらいの講習のために使うというようなものまで縛るつもりはございませんが、ただいま合同庁舎について申し上げましたような趣旨から、あまり乱に流れますと、やはり先ほど申しました管理の一元化の精神から申しまして不適当と考えまするので、一般的に総轄大臣としての立場を明確にいたしまして、かような場合は大蔵大臣に御協議を願うことにしていただく、これまた管理の適正化、合理化の見地から必要な条項と考えまして、御提案申し上げましたような次第でございます。  以上簡単でございますが、今回の改正の各点につきまして、その趣旨を申し上げたわけでございますが、何か御疑問がございますれば、御質問いただきましてお答え申し上げたいと思います。
  22. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 引き続きまして質疑を行います。——別に御発言もないようでありまするが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 異議ないと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  国有財産法の一部を改正する法律案議題といたします。原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  25. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則によりまして、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願いとう存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  委員会の報告書に多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名    大矢半次郎  山本 米治    土田國太郎  青木 一男    青柳 秀夫  木内 四郎    菊田 七平  白井  勇    西川甚五郎  藤野 繁雄    天田 勝正  小林 政夫     —————————————
  27. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは次に、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案議題として質疑を行います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——他に御発言もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  30. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。なお本院規則によりまして、本会議における口頭報告、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に一任願いとう存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから委員会の報告書に多数意見者の署名をすることになっておりますから、本案を可とされる方は順次御署名を願いとう存じます。   多数意見者署名    大矢半次郎  山本 米治    土田國太郎  青木 一男    青柳 秀夫  木内 四郎    菊田 七平  白井  勇    西川甚五郎  藤野 繁雄    天田 勝正  小林 政夫     —————————————
  32. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案質疑を行います。——別に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いとう存じます。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。食糧管理特別会計昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  35. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。慣例によりまして、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いとう存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。それから委員会の報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされる方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    大矢半次郎  山本 米治    土田國太郎  青木 一男    青柳 秀夫  木内 四郎    菊田 七平  白井  勇    西川甚五郎  藤野 繁雄    天田 勝正  小林 政夫     —————————————
  37. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に物品管理法案議題といたします。事務当局より補足説明を聴取いたします。
  38. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 先般提案の理由を申し上げましたが、物品管理法案につきまして、補足説明を申し上げます。この点につきましては、要綱をお手元に差し上げてあると存じますが、簡単に御説明を申し上げます。  この法案は、国の所有または保管に係りまする物品の取得、保管、供用及び処分に関する基本的事項を規定いたしまして、物品の適正かつ効率的な供用その他良好な管理をはかることを目的とするものでございます。この点は、財政法第九条第二項に、「国の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて、最も効率的に、これを運用しなければならない。」という趣旨に基いて規定したものでございます。御承知のように、従来、国の物品経理につきましては、明治二十二年に制定されました勅令でありまする物品会計規則がございますが、すでに多年を経過いたしまして、近時膨大かつ複雑になっております物品管理の実情に適合いたしませんし、毎年度の会計検査院の決算検査報告に徴しましても、必要以上の数量物品を購入したり、調達物品が供用上不適当であるというような、いろいろな批難事項がございまするので、こういう批難事項を避ける意味におきまして、今回新しく物品管理法を制定しようとするものでございます。  この法案の内容といたしまする点は、第一に物品範囲及び分類を明らかにしたことでございます。第二に管理機関を整備したことでございます。第三に、物品の需給計画、供用計画を設けて計画的な供用をはかりまして、その他、物品管理の方法と基準を設けたことでございます。第四に、物品管理職員と使用職員の責任を明確にすることによりまして、金銭または国有財産経理に関する会計法あるいは国有財産法と並立いたしまして、物品管理制度を確立しようとするものであります。以下さらに詳細に内容について御説明申したいと存じます。  まず物品範囲と分類につきましては、従来の物品会計規則の対象といたしておりまするのは、国が所有する動産に限っておったのでありますが、今回の法案の対象となっております物品は、国が保有する動産及び国が供用のために保管する動産といたしております。しかしながら、現金あるいは法令の規定により、日本銀行に寄託すべき有価証券及び国有財産法の対象となっております動産、すなわち船舶、浮ドック、浮標等につきましては、それぞれ会計法あるいは国有財産法という他の法令がございますので、これらにつきましては、他の法令の規定にまかすことが適当と考えまして、物品管理法の対象外といたしております。  さらに国の保管いたしております動産につきましては、たとえば遺失物でありますとか、押収品でありますとか、担保品でありますとか、こういうものにつきましては、この物品管理法規定いたしておりまするたとえば需給計画を作りますとか、取得供用の手続でありますとか、処分の手続とかいうようなことを適用する必要がございませんので、保管の管理規定だけを適用することといたしますと同時に、特別な物品、たとえば郵便切手でありますとか、印紙類でありますとか、貸付け物品でありますとかいうようなものにつきましては、本法案の一部を適用しないことといたしております。  さらに物品につきましては、その供用の目的に従いまして、かつ予算目的に反しないように分類を設けることといたしておりますが、予算目的に従って分類することが、物品の適正かつ効率的な供用上、不適当と認められるものにつきましては、必要な範囲内で予算目的をこえることも差しつかえないことといたしております。さらに保管上必要に応じまして物品の細分類ができることといたしております。  第二に、物品管理の機関といたしましては、各省各庁の長を物品管理機関といたしまして、所管物品管理させることになっておるのでございますが、その委任を受けまして物品管理事務を行う物品管理官と、物品の出納保管を行う物品出納官、物品の供用事務を行う物品供用官を設けております。なお国有財産法及び会計法の例に準じまして、大蔵大臣は、物品管理の総括機関といたしまして、各省、各庁の長に対しまして、必要な報告を求め、あるいは実地監査を行い、または閣議の決定を絡まして必要な管理上の措置を求めることができることといたしております。  第三に、管理の方法と基準につきましては、この需給計画及び供用計画を立てることといたしております。先ほど申しましたように、会計検査院の報告によりまして、物品の過大調達あるいは不急不要の物品の調達、効率的供用をいたしておらんという弊がままございますので、物品の計画的な調達と供用をはかりますために、重要な物品、これは多量に取り扱うことを必要とする物品でありますとか、機械、器具等を予定しておるのでございますが、重要な物品につきましては、各省各庁の長単位で、予算及び事務または事業を考慮いたしまして、毎会計年度の需給見積りを立てますほか、各物品管理官単位に、各省各庁の長の承認を経まして、毎会計年度の物品の供用計画を作成する義務を課しております。  次に物品の取得につきましては、物品の取得をいたしますのは契約等担当職員でございますが、物品管理官が契約等担当職員に対しまして請求をしたときでなければ物品の購入をしてはならんことにいたしております。これは不必要な購入を避けるためでございます。こういうふうにいたしまして契約等担当職員が物品の取得をいたしました後は、物品管理官の命令によりまして物品出納官が受け入れまして保管いたすことといたしております。  次に供用につきましては、物品供用官が物品管理官に供用を請求いたしまして、物品管理官の命令によりまして物品出納官が払い出した物品のみを供用することといたしております。なお物品は、その分類の目的に従いまして、かつ供用計画に基きまして供用をしなければならないことといたしておりまして、供用できなくなった物品でありますとか、あるいは供用の必要がなくなった物品等は、すみやかに物品管理官に報告して、その物品管理官の命令によって返納いたすことといたしております。  保管につきましては、物品は従来、たとえば国の倉庫があいておりますのに倉庫料を出して民間の倉庫に入れますとか、あるいは倉庫が痛んでおりましてその中に入っておる米が腐ったとかいうようなことがございましたので、物品は原則として国の施設において常に供用または使用ができるように保管しておかなければならないことといたしまして、さらに物品出納官あるいは物品供用官からの報告その他によりまして、修繕または改造を要する物品があると認めたときには、物品管理官が契約等担当職員に対しまして必要な措置を請求しなければならんことといたしてございます。  次に処分につきましては、各省各庁の長の承認を経まして、不用の決定をしたものでなければ売り払うことはできないことといたしております。またこれと同様に、貸付につきましても、貸付を目的とする物品あるいは貸し付けても国の事務に支障を及ぼさないものでなければ貸し付けることができないことといたしております。  次に管理がえ及び分類がえの規定を設けております。これはAの省とBの省で同じような土木工事を行なっておって、同じような機械が必要であるというような場合に、Aの省の工事が終りましてBの省の工事が始まるというときに、Aの省の機械を管理がえをするというようなことによりまして、その財政負担の増高を避けて、物品を有効に使うための規定を設けた次第でございます。すなわち効率的供用のために管理がえをしあるいは分類をかえて使用することができることといたしておるのであります。  次に物品の増減状況あるいは各年度末におきます現在高を明らかにいたしまして、国がどれだけの物品を保有しておるかということを明らかにいたしますために、物品管理官、管理職員は、おのおの帳簿を備えまして、必要な事項を記載する義務を課しました。各省各庁の長は、毎会計年度末重要な物品につきまして増減及び現在額報告書を大蔵大臣に送付いたしまして、大蔵大臣はこれに基きまして総計算書を作成し、会計検査院の検査を経て内閣がこれを国会に報告することといたしておるのでございます。これは国有財産法規定と同様の規定でございます。  さらに弁償責任を課することにいたしました。従来会計法の規定によりますと、軽過失につきましても物品管理官が弁償責任を負う。当時、管理官といたしましては、物品出納官吏だけでございましたが、今回は物品出納官吏だけでなくて、物品管理官、物品供用官も弁償責任を負うことといたしまして、さらに従来は軽過失も弁償責任を負う原因に挙げられておったのでありますが、今回は故意または重大な過失による場合にのみ弁償責任を負わすことといたしました。たとえば、この法律規定に違反いたしまして物品の取得を行いますとか、あるいは出納、保管、供用等の手続あるいは不用の決定処分の仕方等につきまして法律に違反いたしたりいたしまして、国に損害を与えました際は、会計検査院の検定に基きまして損害を弁償しなければならんことといたしたのであります。なお、従来各省の取扱規程で定められておりました物品使用職員に対する弁償責任につきましても、この際、本法において明らかにいたしまして、故意または重大な過失によりまして物品使用職員が物品を亡失またば損傷した場合には、その損害を弁償しなければならんことを規定いたしております。  最後に施行期日につきましては、公布後八カ月以内において政令で定める日から施行することといたしておりますが、何分新しい制度でありまするし、相当の準備期間を要するために、かように規定いたしたのでありますが、なお長期間の準備を必要といたしまする需給計画、供用計画あるいは年度区分による決算すなわち物品増減及び現在額総計算書につきましては、昭和三十二年度分から適用することといたしてございます。  簡単でございますが、以上をもちまして補足説明といたします。
  39. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 質疑を行います。
  40. 青木一男

    ○青木一男君 供用という法律用語は、国家総動員法では使っておりますけれども会計系統の方では使ったことがないように思いますが、前に先例がありますか。
  41. 上林英男

    説明員(上林英男君) ございません。
  42. 青木一男

    ○青木一男君 第二条の第二項の定義を見ましても、どうも私よくわからない。従来の使用という言葉は法律用語でありますが、使用と供用はどういうふうに違って、どうして使用ということを供用に直さなければいけないか、その理由を説明して下さい。
  43. 上林英男

    説明員(上林英男君) 供用と申しますのは、平たく申しますと、使わせるという意味で用いております。従いまして使用させるというのがあるいは供用に当る言葉かと存じます。
  44. 青木一男

    ○青木一男君 使用させるといっても、国家の公務員が使用する場合は、やはり国家が使用することに私は法律観念としてはなると思うのですが、どうしてそこを区別する必要があるのですか。
  45. 上林英男

    説明員(上林英男君) 厳密に法律的に申しますと、供用と申しますのは、二項の規定にも定義がございますように、目的に従い使用させるということと、それから中には売り払いをいたしますることがその物品の本来の目的であるという場合がございます。そういう場合のこの法律上の術語といたしましては、供用という概念の中に取り入れたわけでございます。従いまして、使用させる、あるいは売り払いもしくは貸付も同じようでございます。貸付を目的とする物品につきまして売り払いをし、貸付をするという場合も、本来の国の用途に応じましてその物品を使い、または処分させろという概念を使いまして、供用という言葉を用いましたわけでございます。
  46. 青木一男

    ○青木一男君 その処分は、物によっては処分が目的である場合には処分といえばそれで済むように思うのですが、供用というような言葉で処分までも含むということは、むしろ法律用語としては非常に行き過ぎじゃないかと思うがどうですか。
  47. 上林英男

    説明員(上林英男君) まあいろいろ法律用語を使いまするときには議論があることだと存じまするが、立て方といたしましては、物品というものは、その用途に応じて使い、あるいは処分する、要するに用途に応ずる管理を行なっていくという立て方で、この法律を作っておりますので、そういう概念から供用という言葉を作りまして、その概念規定をこの二項に作りましたわけでございます。
  48. 青木一男

    ○青木一男君 この「国の事務又は事業の目的に従い、用途に応じて」ということは、私はこれは当然なことじゃないかと思うのです。国有財産である以上は。もしそれに反すれば法律違反であるのであって、こういう目的に従い、用途に応じない使用という観念が一体あるということを前提にしておるのですか、どうでしょうか。
  49. 上林英男

    説明員(上林英男君) それは前提といたしておりません。と申しまするのは、従来物品につきましては、その物品会計規則と言いまするか、ある意味では、非常に静的な規定、出納、保管は出納命令官の出納命令によって行わねばならぬという程度のきわめて静的な規定だけでございましたので、ここにおきまする物品管理法におきましては、ある意味では、物品が、金銭予算物品に変りましたのちも合目的的に使われるということを特に配慮いたしまして、物品の用途に応じて使っていくという大前提を掲げております。従いまして、たとえば分類の制度におきましても、その分類は原則としては予算目的に応じて設け、物を使いまする場合には、その分類に従ってその分類の目的に応じて使っていくというように配慮いたしております。従いましてその用途に応じない供用というものはないというふうに考えております。
  50. 青木一男

    ○青木一男君 私の伺ったのは、目的に従い、用途に応ずるのは当然であるから、それに応ずることのために一つのカテゴリーを作るということが観念として成り立つかどうかということを私は非常に不思議に思ったのです。
  51. 上林英男

    説明員(上林英男君) まことにその通りでございます。  この物品管理法をずっと読んでいただきますと、特に法律規定を要しないで当然の良識でもって処理さるべき問題ではないかという点ばかりを掲げております。ところが実際の問題におきましては、会計検査院の決算報告にもよく表われておりますように、当然守らるべき原則が守られていない場合が非常に多うございます。そういうような観点から、この物品管理法におきましては、いわば当然の原則というようなこともこの法文上明定いたしまして、物品管理基準を立てていくというつもりで書いてございます。たとえば、先ほど宮川次長が御説明申し上げましたように、物品は原則として国の施設において良好な状態で保管しておかなければならないというような規定がございます。これはもう、だれが考えましても当然の原則でございます。しかしながら、たとえば会計検査院の決算報告を見ますと、自分の国の倉庫があいておりまするのに、わざわざ高い保管料を払いまして倉庫を借りたとか、あるいは当然、たとえば米なら米を入れるべきでないような倉庫に米を入れてぬらしてしまったというような事例もございまするので、そういう事態にかんがみまして、この物品管理法におきましては、あるいはある意味では当然と思われるような規定管理基準といたしまして明定いたしておるわけでございます。
  52. 青木一男

    ○青木一男君 まあ私、十分研究していないから、まだはっきりしない点もあると思うのですが、この供用という観念が、新しい何か具体的なねらいがあって、今まで国としてそういう点に規制ができなかった新しい分野があってこう使ったのか、あるいは今までの使用とか処分ということをただ包括的に言ったものか。何か新しい、今までの規定から漏れておった事項をさらうために供用という広い観念を使ったのか。それとも、今まででも漏れておらないのだが、ただ概括的に一本にするために供用という文句を使ったのか。そこは私まだはっきりしないのですが、今まで何か規定上漏れておったということがあって、それで供用という言葉でさらったということがありますか。
  53. 上林英男

    説明員(上林英男君) 概念的には、今までも確かに物品はその用途に応じまして使うべきであるという概念はあったと思います。しかしながら物品会計規則上におきましては明文上そういう規定はございません。従いまして、この法律におきましては、根本的に、物品は用途に応じ合目的的にかつ効率的に使っていくという思想を貫いて書いております。そういうような観点から特に供用という概念を用いて明確化した、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  54. 青木一男

    ○青木一男君 まあ、きょうはこの程度にしておきましょう。
  55. 天田勝正

    ○天田勝正君 お尋ねいたしますが、この管理法を作る目的がいろいろ説明されましたけれども、その中に特に重要な点は、会計検査院の決算検査報告に徴しても云々とありまして、これは要するに会計検査院の批難事項に該当するような事項があったということをお認めになったことだと思いますが、そこで私は、先ほどの御説明を聞きまして、今回物品会計規則からこの管理法に移すに当っていろいろな改正を行なった。けれども説明によりますると、それらの改正だけではどこにも抜本的に会計検査院の批難事項に該当させなくなるという確たる方法が講ぜられておらないように考えられますけれども、はっきりこの、かつての物品会計規則から今回の法案によってそれらの批難事項の発生を防ぎ得るという点はどこにありましようか。
  56. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 大体会計検査院の決算報告によりまする批難事項に該当するものは、大別いたしまして、物品の過大調達、不急不要物品の購入が一つの範疇に入っております。この点につきましては、法律によりまして、毎年度各省々々の長が需給計画を立て、供用計画を立てまして、また物品の供用につきましては、今申しました需給計画、供用計画の範囲内で調達しなければならないという規定が設けてありますので、これによりまして相当、物品の過大の調達、不急不要の調達というものは避けられるのではないかと考えております。  第二の範疇に属しまする事項は、物品の効率的使用をしていないということがあげられております。これは五条、十五条の規定によりまする分類がえ、管理がえの規定によりまして、相当効果をあげるのではないかと考えております。  第三の範疇に属しまするものは、物品の保管方法が不完全であるという点でございますが、これは第二十二条の規定によりまして相当カバーできるのではないか。  第四の範疇といたしましては、物品の修理、改造が怠慢であったという批難事項がございますが、これは第二十六条の規定によってカバーできる。  第五に、使用可能物品の処分につきまして批難事項がございますが、これは第二十七条ないし二十九条の規定によってカバーできる。かように考えております。  なおその他にも批難事項はございますけれども、大きなものは大別いたしましてそういう事項でございますので、この法律によりまして相当こういう批難事項が減少するのではないか、かように考えております。
  57. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は端的に伺いますが、たとえば先般起きました防衛庁関係の被服、これは明らかにここに説明されております必要以上の数量物品を購入したり云々と、ここに該当するわけであるし、毎年決算委員会あるいは農林委員会で問題になっております食管の麻袋のごときも、それに該当するわけでありますが、ああした問題が起きたときに、一体何人が責任をとるのですか。
  58. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘の点につきましては、物品管理官がこういうものを調達しなさいということを、物品を調達いたします契約担当職員に請求するわけでございます。従いまして。不必要なもの、過大なものをもし物品管理官が契約担当職員に請求いたしました場合には、物品管理官が責任を負うことになりますし、そうでなくて、物品管理官の請求がないにかかわらず契約担当職員が購入いたしました場合は、契約担当職員が責任を負う、こういうことに相なろうと思います。  こういうふうに、需給計画あるいは供用計画を立てまして、またその供用計画の範囲内において物品管理官が調達をば請求するのでなければ調達できないことにすることによって、相当カバーできると思うのでありますが、問題は、需給計画、供用計画というものが適正に作られるかどうかということ、さらにその法律問題を離れまして、実際問題といたしまして、需給の見積りなり供用計画というものが適正に作られるようにいたさねばならぬと考えております。
  59. 天田勝正

    ○天田勝正君 つまり私がかようなことを伺うのは、今でありますれば、麻袋事件であるとかあるいは軍服事件、あの種の問題が起きれば、単なるその係官でなくして、政治的にその各省庁が道義的な責任といいますか、全般的な責任というか、そうしたものによってわれわれも追及する、こういうことになる。で、この法案を裏返して考えますと、逆に末端までといいますか、責任があるようになって、なかなかよく改正されているように見えながら、実はどうも、とかく末端だけの責任で、上部に責任が及ばなくなるというにおいさえするのです。だから、今の説明を聞いておりましても、さて麻袋事件の責任はその法律によれば何人が負うか、軍服事件のああした必要以上の物品を購入した事実があった場合に、その責任は一体何人が負うかということについては、私はどうも明確でないように思いますが、いかがですか。
  60. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘の点でございますが、政治的な責任と申しますか、道義的な責任と申しますか、これにつきましては、先般の防衛庁の被服問題につきましては、これは私は一番上までやはり責任を負うべきものじゃないかと、この点はこの法律を作りましたからといって動くべきものではないと考えます。ただ上から下までたくさんの人がおりまして、だれがほんとうに責任をもってそういう見積りを作り、供用計画を作り、調達をば適正にするかということをはっきりする職員がございませんので、これを明確にいたしまして、その人たちが法律規定に違反したりして不当なことをやった場合に、しかも国に損害をかけた場合に弁償責任を課すということによりまして、調達等の適正を期しよう、こういう考え方でございます。
  61. 天田勝正

    ○天田勝正君 さらに端的に伺いますが、かって昭和二十四年に、いわゆる空気木炭事件というのが起きた。私も本院でこの問題を取り上げたことがございます。当時の金にいたしまして五十四億七千万円と記憶いたしておりますが、あの膨大な薪炭需給特別会計ですか、の赤字が発生いたしまして、その原因がいろいろと述べられ、そのうちで、私、今でも記憶に残り、かつ不審にたえないのは、こういう項目があった。それは、保管中にして水害、火災、盗難等によらざる亡失というものがある。保管中というのですから、当然に常識からしても、そうした盗難とかあるいは水害、火災、こういうものからそれらの物品が守られるということが社会通念上の要するに保管でなければならない。しかるに水害でもなければ、盗まれたんでもない、火災にあったんでもない、天然自然に、天から雨が降るがごとく自然になくなってしまったということが膨大な数に上ってしまって、ついに積算すれば五十四億七千万円の損害が出たと、こういうわけです。実に驚くべきことなんですが、さて、この法律ができたことによって、さような全く常識を越えたような損害はどの点で防げるか、あるいはまたそういうことが起きた場合の責任は何人が負うのか、もう一ぺんこれを伺います。
  62. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 天田先生の言われました薪炭特別会計の事情は、私つまびらかにいたしておらぬわけでありますが、そういうふうに保管の状況が悪く、何かわけもわからぬうちに物品がなくなってしまったということが起りますれば、その責任を明らかにいたしまして、故意または重大な過失があり、国に損害を与えたことは明らかでございますので、そういう場合は物品保管の責に任ずる出納官が弁償責任を負うということに相なるわけであります。
  63. 天田勝正

    ○天田勝正君 会計検査院の事務総局の次長も見えておるようですが、今、私が質問いたしました点につきまして、この法案ができればそうした批難事項が絶無というか、ほとんど防ぎ得ると、こういう見解をお持ちでございましょうか。
  64. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) お答えいたします。物品管理法ができまして、今まで会計検査院で年々批難しております物品に関する不当な事項を絶滅できるか、こういう御質問であります。従来御承知のように、明治二十二年の物品会計規則という古いしかも不完全な規則しか物品会計についてはなかったのであります。現金につきましてはだんだんと整備されてきているのでありますが、物品については非常に不整備な状態で現在まできているわけであります。今度物品管理法ができまして、これが相当に整備されるいう段階になったわけであります。先ほど来いろいろ御質問が出ておりますが、供用計画というようなものも、今度は、はっきりと物品管理官、各省各庁の長の責任において作ることになるわけであります。先ほどお示しがありました防衛庁の軍服の問題なども供用計画というものに関連してくるわけでありますが、従来はその点の規律が何らなかったのに、今度はこの点もしっかり規律した上で、供用計画通りの調弁かどうか、また事情の変更によって一たんきめました供用計画を変更しなければいかぬような事情になっているかどうか、こういうような点を確かめた上で私どもの方としても検討ができますし、それから物品管理当りましても一応の規制がされるわけでありまして、今度の法律ができますことによりまして、従来相当ルーズに流れておりました物品の経路というものが引き締ってくるということは、これはもうはっきりと申し上げられると思うのであります。
  65. 天田勝正

    ○天田勝正君 さらに端的に聞きますが、さっき例をあげました薪炭需給特別会計赤字、ああした問題の場合には、今日の現行法による物品会計規則、及び現行の会計法、国有財産法、こういう三つの法律規則によっては、とうていああした損害の発生を防止することはできない、こういうことになりますか。
  66. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 現在までございます物品管理責任というような点は、今お示しのありましたような会計法なり、あるいは先ほど私が申しました物品会計規則、こういうもので規制されているわけでございますが、この規定では、あの当時の薪炭の非常に乱脈な結果があとになってわかったのでありますが、これに対しまして個人の物品会計管理員の弁償責任を追及するということは実際はできなかったのであります。会計検査院としてもいたしておりません。今度は階段を分けまして、まず第一に物品管理官、これは命令系統の職員でありますが、それから実際に出納いたします物品出納官、これが従来の物品会計管理官に相当するわけでございます。それから使用者、物品出納官から払い出しを受けまして供用をしていく実際の使用の第一段階に当る職員、それがそれぞれの職分に応じましての責任を負うことになるわけであります。薪炭などもかりに供用計画が悪くできておりますれば、相当に責任も追及できた面もあったかと思うのでありますが、現在の法制ではそれができなかった、こういうことになっているわけであります。
  67. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは検査院及び大蔵省両方にお伺いいたしますが、先に私が三つの例をあげました。そこで、薪炭需給特別会計にいたしても、軍服問題にいたしましても、また麻袋事件等の問題にいたしましても、現行の三つの法律規則によっては何人も責任者と定めることはできない、単に道義的に各省庁の長はそれは責任を追及することはできるけれども、これは道義的であって、法律的にいわゆる罪をきせるというふうなことはできない、こういうことでしょうか。というのは、薪炭需給特別会計のあの不思議は事件ですら責任者が一人も出たということを聞きません。そうすると、明治以来今日まで全くそれらは当該官吏の道義にだけゆだねたのであって、どういう損害が起きても、損害は国の損害とし、それが国民の税金に転嫁されるというだけで、別段……もちろん官吏ですから弁償といったって規定だけであって、実際はそういう膨大な損害を事実において埋めるということは不可能でありましょうけれども、これは国民の順法精神を振起する上からいたしましても、やはり罪をきせるべきものはきせる、こういうところに私は疑義があろうと思うのですが、さようなことは今までのところでは法律的に何人が責任をとるということはさせられなかった、こういうことでしょうか。
  68. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 従来物品会計規則によりましても、先ほど補足説明の際に申し上げましたように、物品出納管理官が責任をとられておったわけです。その他は一般的な公務員法、あるいは前でありますれば官吏服務紀律によりまして、一般の責任を負わされまして、責任者は懲戒処分を受け、場合によりましては裁判において刑事上の責任をとられておったわけであります。今回はその点は国家公務員としまして、一般の服務紀律に従い、所要の懲戒処分を受けるもののほか、この法律によりまして、従来対象となっておりました出納官だけでなく、管理官並びに供用官にも責任を負わせまして、特に弁償責任をこれらの者にも及ぼした、こういう次第でございます。
  69. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうも苦しい答弁ですね、これは私が端的に聞いたものは、たとえばその薪炭需給特別会計の場合は、もう過去のことですから、その跡始末がどうなっておるかということは答弁ができるはずなんです。ところがその後、私はずうっと見守っておりますけれども、どこにも責任者は出てこないんですよ、だれが懲戒されましたか、懲戒なんかされておらぬですよ、現実に時の最高責任者は参議院議員になっておるんですから……。これは懲戒なんか何人もされておりませんよ。そこで実際にいろいろ規則を作っても、道義心を持たなければ、それは何もできないということになるんですね。しかし道義心を持たない者であったら、国民の順法精神を振起する意味においては、やはりやめるということでなければ私は意味がないと思う。私が見ても、説明を聞いても、今度の法案は確かに従来よりも一歩前進したということは、これは認めておるんですよ。認めておるが、どうもそれだけでは足らぬような気がするし、従ってさらにこの修正をして、もっと完全なものにしなければならぬような気がするから、まあ御質問申し上げておるわけでして、それでまあ、麻袋事件であるとか、現に進行中ですが、軍服事件というものは、あらためて批難事項になるかならぬか、また会計検査院の方でおやりになるでしょう。けれどもああいうことが起きて、今度は何か物品管理官というものを新しく設けたり、あるいは供用官を設けたら、そこが責任をとるというけれども、どうもこれも従来の例と同じくで、そのときだけちょっと懲戒してよそへ回す、転任というようなことがあったって、どうもそれは二年もたてばちゃんともとへ、同じく学校を卒業したんだから、そこで歩調を合せて少し速度を早く行ってしまうだけで、何にも実際に懲戒というものは実質をあげておらないのですよ。今度はそういう場合には一度懲戒、また降等といいますか、昔の軍隊では降等というのがあったが、ああいうことをすれば、やはり今度は逆に馳け足で元の位置へ復するのみか、他の者が昇進した同じところまで上るというようなことを防げますか、どうなんでしょう。
  70. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) はなはだ僭越なことを申し上げるようでございますが、会計検査院におきましていろんな不正あるいは不当事件としまして報告されておるような事件の絶滅を期しますためには、この法律だけで万全であろうとは考えません。やはり何と申しましても、その衝に当りまする公務員の順法精神あるいは服務体制と申しますか、綱紀の粛制というものが肝要でございまして、それがまず第一ではないかと考えます。しかしながら従来物品管理につきまして、物品管理あるいは出納の衝に当る人がどういうふうにやらなければならないかということにつきまして、具体的な明確な基準というものがなかったことが不当事項を多くしておった原因じゃないかと考えるのでありまして、この点、先生の方もお認め願いましたように、この法律を作ることによりまして相当前進になるんじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  71. 天田勝正

    ○天田勝正君 実例の問題について私またさらにお聞きしたいと思いますので、もう少し当局側も準備をしてきていただきたいと思います。  それで質問は次に移ります。この管理の機関の問題でございますが、これに物品出納官、供用官、こういうものを新しく設けますが、この総括は大蔵省の管財局でおやりになるのですか、及びその実地監査、これはどこの機関でどういう組織でおやりになりますか。
  72. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御承知のように、国有財産につきましては総括権限の事務は管財局でいたしておりますが、物品管理につきましては、国有財産以上に予算との関係が非常に直結いたしております。予算の変形したものが物品になるわけでございますので、その適正な使用をはかり、各省各庁間の調整をはかる事務は、大蔵省内におきましては主計局において取扱うことが目下のところ適当じゃないかと考えておりまして、その事務は大蔵省主計局において取扱うことを予定いたしております。なお実地監査につきましては、各省各庁それぞれの所管のものにつきましては各省各庁が行うことになるわけでございますが、所要に応じまして、総括大臣たる大蔵大臣の命を受けまして大蔵省におきまして実地監査を適当に行なっていきたい、かように考えております。
  73. 天田勝正

    ○天田勝正君 この重要なる物品については国会に報告するということがございましたが、この重要、非重要の区分を、どこでどういうものさしで決定するんでしょうか。
  74. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 具体的には政令で規定いたしたいと考えておりますが、先ほど御説明いたしましたように、重要なものといたしましては、機械器具、それから常時ストックがどれくらいあるかということを見まして、特に予算の執行上物品の使用上よく睨んでおく必要があると思われますような、多量に購入することを必要とするような物品等を考えております。
  75. 天田勝正

    ○天田勝正君 この物品管理の問題について関連して聞いておきますが、国有財産のうちで、私は、不法占拠等によって、国の財産、すなわち国民の財産と言ってよろしいと思いますが、それが一個人の気ままに使われておるという事例がかなりある、この国会の回りでも私は承知しております。そこで、そういうものを防ぐのはどこの機関か、そしてそれらはみな職務に勉励しさえすればわかるような事柄であるのですか。一体そういう管理といいますか、そういうのは規則でなくても、他にそうした何といいますか、不法占拠的なやり方を防止するという方法、機関、組織、こうしたものはございますか。これもちょっと抽象的に申し上げましたけれども、一つ例を引いて申し上げましゃう。かって、たしか昭和二十七年のことだと記憶しておりますけれども、参議院会館の敷地といいますか、その隣接というかに、あれだけ昔の陸軍省当時の電信の塔が立っておったですね、あれが一個人が勝手に解体して売り払っちゃった。それを二つも解体する間、何人も気ずかないという事実がある、これは刑事問題になりましたけれども、あれだって国有財産には間違いないし、かなり高価なものです。もしあの塔を一つ建てるとすれば、それは膨大な費用です。そういうものはどこで管理しているのやら、二カ月もかかってあれを解体したのですからね、私など当時落選中でありましたけれども、不思議なことをするなと思っておりました。ああいう管理は一体どういう組織、どういう機構、誰の責任で見守っているのですか。
  76. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 私の所管でございませんので、あるいは的確な御答弁にならんかもしれませんが、御承知のように、国有財産は、行政の目的に借しております行政財産と、まあ一般に売り払いまして収益を上げることを目的といたしております普通財産でございますが、行政財産につきましては、その所管各省各庁の長が管理の責に任じ、普通財産につきましては大蔵大臣管理の責に任じております。その管理の責に対しまして適正を期しまして、それからまた管理が適当でなかった場合に、これに対して所要の罰則と申しますか、責任を負わすような規定が、ただいまのところ国有財産法にはなかったかと思います。これにつきましては、将来管理の適正を期しますために、国有財産法改正等のことにつきましては、これは所管の局長に伝達いたしまして検討を加えてゆくようにいたしたいと考えます。
  77. 天田勝正

    ○天田勝正君 私が今のような質問を申し上げるのは、今回のこの管理法も従来より一歩前進しておる。そこでこの管理法と会計法、国有財産法、この三つによって国の財産というものはもう完璧に守られる、国の財産を守るということは、要するに国民の租税負担を別な面で軽減をするという大きな役割があるのでありますから、そういう見地に立って私が今の質問をしているということを御了解願いたい。そこで答弁の便宜上、もう二つばかりの例をあげておきますから、次の機会までにお答えを賜わりたい。  それは、すぐこのまわりとい言ますと、やはり同じく参議院会館の隣に速記者養成所がございまして、あの養成所の前の電車通りに沿うたところは、私は明らかに国有林産だと思います。今でもそうだろうと思います。払い下げたということを聞いておりません。従って舗道に沿うて今でも旧陸軍省のれんがべいがまだ若干残っております。はっきりこれは国の所有物である、もしくはあったに間違いない。そこへ何人の許可、何人の了解か知らんけれども、民家ができてしまった。こういう事実ができると、すぐ日本人のお涙ちょうだい式の感傷論からすると、追い立てるのはかわいそうだと、とうなる。ところが私は、かような感情論と、国民のものを守るということとは、おのずから別個に考えなければいけない。ああいうことが事実として黙認されてしまう。もう一つ例をあげますと、私どもの現在おります参議院の清水谷宿舎というのが、これといわゆる清水谷公園、あの間にちゃうどこの部屋くらいの幅の土地があります。これに全部人が家を建てている。ここは実に国有の土地なんです。参議院宿舎を建てるときに、あそこまで下げて建てたら、それだけ用地を少く購入するか、あるいは広く構内がとれるか、いずれにしても国の利益であったことは間違いない。今、現在でも、この間のものは、ただ一個人とは言わない、数人か十人かの不法占拠によって国の財産がじゅうりんされている、こういう状態だと私は思います。いつ払い下げたということを聞かない。だから私らがちょっと見て、このまわりと言っても、すぐそういうふうな例をあげることはたくさんあるのですね。そういう一体管理を、この国有財産法なり会計法なりあるいは今回のこの管理法なりによって、さようなことが起らないように、これはさっき言った抽象的な例というのじゃなくて、はっきり眼につくものですから、こういうことを私はお調べを願いたい。こういうことは国有財産の報告等が来ますけれども、こんなところまではどこにも出ていない、私の見るところでは。そういうことを次の答弁の便宜上申し上げておきます。  あと、こまかいことを聞きますがね、この「供用の必要がなくなった物品等は、すみやかに物品管理官に報告して、その命令により、これを返納する。」こういうことになっております。文字としてはきわめて適切にできているように見えながら、実は扱い上としては、まことに不便な、状態が起きるのではないか。かりに農林省の建物の中にあるものなら、これはきわめてスムーズに済むでしょうが、農林省の機関が地方にもある。それをどこへ返納するのか、これはもう各省とも起る問題だと思いますが、そういうときの処置はおそらく政令にゆだねるのでしょうが、どういうことを考えておりますか。
  78. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 各省各庁に置かれます物品出納官に返納することになりまして、御指摘の事務処理上摩擦を生じないように、適正な物品出納官を任命するように持って参りたいと考えております。
  79. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ほかに御質疑がなければ、本日の質疑は一応この程度でとどめます。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十五分散会