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政府委員(
宮川新一郎君) 先般提案の理由を申し上げましたが、
物品管理法案につきまして、
補足説明を申し上げます。この点につきましては、要綱をお手元に差し上げてあると存じますが、簡単に御
説明を申し上げます。
この法案は、国の所有または保管に係りまする
物品の取得、保管、供用及び処分に関する基本的事項を
規定いたしまして、
物品の適正かつ効率的な供用その他良好な
管理をはかることを
目的とするものでございます。この点は、
財政法第九条第二項に、「国の
財産は、常に良好の状態においてこれを
管理し、その所有の
目的に応じて、最も効率的に、これを運用しなければならない。」という
趣旨に基いて
規定したものでございます。御
承知のように、従来、国の
物品経理につきましては、明治二十二年に制定されました勅令でありまする
物品会計規則がございますが、すでに多年を経過いたしまして、近時膨大かつ複雑になっております
物品管理の実情に適合いたしませんし、毎年度の
会計検査院の決算検査報告に徴しましても、必要以上の
数量の
物品を購入したり、調達
物品が供用上不適当であるというような、いろいろな批難事項がございまするので、こういう批難事項を避ける意味におきまして、今回新しく
物品管理法を制定しようとするものでございます。
この法案の
内容といたしまする点は、第一に
物品の
範囲及び分類を明らかにしたことでございます。第二に
管理機関を整備したことでございます。第三に、
物品の需給計画、供用計画を設けて計画的な供用をはかりまして、その他、
物品の
管理の方法と
基準を設けたことでございます。第四に、
物品管理職員と使用職員の
責任を明確にすることによりまして、金銭または
国有財産の
経理に関する
会計法あるいは
国有財産法と並立いたしまして、
物品管理制度を確立しようとするものであります。以下さらに詳細に
内容について御
説明申したいと存じます。
まず
物品の
範囲と分類につきましては、従来の
物品会計規則の対象といたしておりまするのは、国が所有する動産に限っておったのでありますが、今回の法案の対象となっております
物品は、国が保有する動産及び国が供用のために保管する動産といたしております。しかしながら、現金あるいは法令の
規定により、日本銀行に寄託すべき有価証券及び
国有財産法の対象となっております動産、すなわち
船舶、浮ドック、浮標等につきましては、それぞれ
会計法あるいは
国有財産法という他の法令がございますので、これらにつきましては、他の法令の
規定にまかすことが適当と
考えまして、
物品管理法の対象外といたしております。
さらに国の保管いたしております動産につきましては、たとえば遺失物でありますとか、押収品でありますとか、担保品でありますとか、こういうものにつきましては、この
物品管理法の
規定いたしておりまするたとえば需給計画を作りますとか、取得供用の
手続でありますとか、処分の
手続とかいうようなことを適用する必要がございませんので、保管の
管理規定だけを適用することといたしますと同時に、特別な
物品、たとえば郵便切手でありますとか、印紙類でありますとか、貸付け
物品でありますとかいうようなものにつきましては、本法案の一部を適用しないことといたしております。
さらに
物品につきましては、その供用の
目的に従いまして、かつ
予算の
目的に反しないように分類を設けることといたしておりますが、
予算の
目的に従って分類することが、
物品の適正かつ効率的な供用上、不適当と認められるものにつきましては、必要な
範囲内で
予算の
目的をこえることも差しつかえないことといたしております。さらに保管上必要に応じまして
物品の細分類ができることといたしております。
第二に、
物品管理の機関といたしましては、
各省各庁の長を
物品の
管理機関といたしまして、
所管物品を
管理させることになっておるのでございますが、その委任を受けまして
物品の
管理事務を行う
物品管理官と、
物品の出納保管を行う
物品出納官、
物品の供用事務を行う
物品供用官を設けております。なお
国有財産法及び
会計法の例に準じまして、
大蔵大臣は、
物品管理の総括機関といたしまして、
各省、各庁の長に対しまして、必要な報告を求め、あるいは実地監査を行い、または閣議の決定を絡まして必要な
管理上の
措置を求めることができることといたしております。
第三に、
管理の方法と
基準につきましては、この需給計画及び供用計画を立てることといたしております。先ほど申しましたように、
会計検査院の報告によりまして、
物品の過大調達あるいは不急不要の
物品の調達、効率的供用をいたしておらんという弊がままございますので、
物品の計画的な調達と供用をはかりますために、重要な
物品、これは多量に取り扱うことを必要とする
物品でありますとか、機械、器具等を予定しておるのでございますが、重要な
物品につきましては、
各省各庁の長単位で、
予算及び事務または事業を考慮いたしまして、毎
会計年度の需給見積りを立てますほか、各
物品管理官単位に、
各省各庁の長の承認を経まして、毎
会計年度の
物品の供用計画を作成する義務を課しております。
次に
物品の取得につきましては、
物品の取得をいたしますのは契約等担当職員でございますが、
物品管理官が契約等担当職員に対しまして請求をしたときでなければ
物品の購入をしてはならんことにいたしております。これは不必要な購入を避けるためでございます。こういうふうにいたしまして契約等担当職員が
物品の取得をいたしました後は、
物品管理官の命令によりまして
物品出納官が受け入れまして保管いたすことといたしております。
次に供用につきましては、
物品供用官が
物品管理官に供用を請求いたしまして、
物品管理官の命令によりまして
物品出納官が払い出した
物品のみを供用することといたしております。なお
物品は、その分類の
目的に従いまして、かつ供用計画に基きまして供用をしなければならないことといたしておりまして、供用できなくなった
物品でありますとか、あるいは供用の必要がなくなった
物品等は、すみやかに
物品管理官に報告して、その
物品管理官の命令によって返納いたすことといたしております。
保管につきましては、
物品は従来、たとえば国の倉庫があいておりますのに倉庫料を出して民間の倉庫に入れますとか、あるいは倉庫が痛んでおりましてその中に入っておる米が腐ったとかいうようなことがございましたので、
物品は原則として国の施設において常に供用または使用ができるように保管しておかなければならないことといたしまして、さらに
物品出納官あるいは
物品供用官からの報告その他によりまして、修繕または改造を要する
物品があると認めたときには、
物品管理官が契約等担当職員に対しまして必要な
措置を請求しなければならんことといたしてございます。
次に処分につきましては、
各省各庁の長の承認を経まして、不用の決定をしたものでなければ売り払うことはできないことといたしております。またこれと同様に、貸付につきましても、貸付を
目的とする
物品あるいは貸し付けても国の事務に支障を及ぼさないものでなければ貸し付けることができないことといたしております。
次に
管理がえ及び分類がえの
規定を設けております。これはAの省とBの省で同じような土木工事を行なっておって、同じような機械が必要であるというような場合に、Aの省の工事が終りましてBの省の工事が始まるというときに、Aの省の機械を
管理がえをするというようなことによりまして、その
財政負担の増高を避けて、
物品を有効に使うための
規定を設けた次第でございます。すなわち効率的供用のために
管理がえをしあるいは分類をかえて使用することができることといたしておるのであります。
次に
物品の増減
状況あるいは各年度末におきます現在高を明らかにいたしまして、国がどれだけの
物品を保有しておるかということを明らかにいたしますために、
物品管理官、
管理職員は、おのおの帳簿を備えまして、必要な事項を記載する義務を課しました。
各省各庁の長は、毎
会計年度末重要な
物品につきまして増減及び現在額報告書を
大蔵大臣に送付いたしまして、
大蔵大臣はこれに基きまして総
計算書を作成し、
会計検査院の検査を経て内閣がこれを
国会に報告することといたしておるのでございます。これは
国有財産法の
規定と同様の
規定でございます。
さらに弁償
責任を課することにいたしました。従来
会計法の
規定によりますと、軽過失につきましても
物品管理官が弁償
責任を負う。当時、
管理官といたしましては、
物品出納官吏だけでございましたが、今回は
物品出納官吏だけでなくて、
物品管理官、
物品供用官も弁償
責任を負うことといたしまして、さらに従来は軽過失も弁償
責任を負う原因に挙げられておったのでありますが、今回は故意または重大な過失による場合にのみ弁償
責任を負わすことといたしました。たとえば、この
法律の
規定に違反いたしまして
物品の取得を行いますとか、あるいは出納、保管、供用等の
手続あるいは不用の決定処分の仕方等につきまして
法律に違反いたしたりいたしまして、国に損害を与えました際は、
会計検査院の検定に基きまして損害を弁償しなければならんことといたしたのであります。なお、従来
各省の取扱規程で定められておりました
物品使用職員に対する弁償
責任につきましても、この際、本法において明らかにいたしまして、故意または重大な過失によりまして
物品使用職員が
物品を亡失またば損傷した場合には、その損害を弁償しなければならんことを
規定いたしております。
最後に施行期日につきましては、公布後八カ月以内において政令で定める日から施行することといたしておりますが、何分新しい制度でありまするし、相当の準備期間を要するために、かように
規定いたしたのでありますが、なお長期間の準備を必要といたしまする需給計画、供用計画あるいは年度区分による決算すなわち
物品増減及び現在額総
計算書につきましては、
昭和三十二年度分から適用することといたしてございます。
簡単でございますが、以上をもちまして
補足説明といたします。