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1956-03-01 第24回国会 参議院 商工委員会国産車振興に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)    午前十時三十一分開会   ————————————— 昭和三十年十二月二十日商工委員長に おいて本委員を左の通り指名した。            古池 信三君            西川平治君            白川 一雄君            高橋  衛君            中川 以良君            阿具根 登君            海野 三朗君            小松 正雄君            上林 忠次君            河野 謙三君            石川 清一君 同日商工委員長は左の者を委員長に指 名した。        委員長 白川 一雄君   —————————————   委員の異動 一月三十日委員具根登君辞任した。 一月三十一日商工委員長において栗山 良夫君及び阿具根登君を委員に指名し た。 二月三日委員栗山良夫君辞任した。 二月九日商工委員長において藤田進君 を委員に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。   委員長      白川 一雄君   委 員            西川平治君            高橋  衛君            海野 三朗君            小松 正雄君            河野 謙三君   政府委員    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    大蔵省主計局総    務課長     吉岡 英一君    通商産業省重工    業局自動車課長 柿坪 精吾君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国産車振興に関する件   —————————————
  2. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ただいまより小委員会を開きます。  小委員会の議事を始めるに先だちまして、小委員会において作成いたしました資料について御説明をし御承認を得たいと存じます。お手元に配付いたしました資料中、ひもでとじてある「国産車振興に関する調査経過」という一連の資料は、私と当商工委員会調査室で調査いたしたもので、特に別紙三、別紙四、別冊五は今までまだ皆さんにお渡ししてなかったものでありますが、後ほど御高覧の上御検討願いたいと存じます。また、別冊第五の国産乗用車に関する各社別報告一覧の原本になりました各社提出資料も、ただいまお渡しいたしましたが、これは一応各社の秘密にも触れておりますので、マル秘扱いにいたしたいと存じておりますから、御了承願いたいと思います。  本日の小委員会の議題は一応国産車に関する件、外国製完成自動車及び外国車組立関係部品に関する外貨割当に関する件、さらに官公庁用乗用車国産車切りかえの件を中心にして参りたいと存じます。本日の運営方法といたしまして私から左の三点に関しまして概括の質問をいたし、その後背さんからいろいろ御質問していただいたらどうかと存じますが、御異議ございませんでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 御異議なければさよう取り計らいます。  その第一点は、昨年五月通産省ではいわゆる国民車構想を作成してこれを業界に提示したようであるが、その内容は三百五十CCないし五百CCのエンジンの大きざで月産二千台、二十五万円程度にしたいように聞いておりますが、その詳細の内容を示していただきたい。さらに、既成五社はこれに対していかなる見解を有しておるか、既成五社のほかにいかなる動きがあるか、この点お尋ねいたしたい第一点でございまして、第二点は外国製完成車外貨割当については、国産車振興の建前より極力押えるべきと思いますが、この点に関して通産省の御意向を承わり、特に運輸省当局ではハイヤータクシー業者意向をくんでハイヤータクシー外国車輸入を望んでおるようだが、通産省としてはいかようにお考えになっておられるか。  次に、外国車組立の問題でありますが、これに対する部品外貨割当基準はどういうようになっておるかも承わりたいのでございます。  第三点は、官公庁用乗用車国産車切りかえにつきまして、本年度予算自動車交換差金として六千三百万円計上して百二十六台の車を切りかえるように承わっておりますが、新たに購入せられる車は国産車に限定すべきだと思いますが、これに対する大蔵省の御所見を承わりたい。また、六千三百万円で百二十六台としますれば一台当りの単価が五十万円でありますが、五十万円としますれば国産車にせよ、外国製中古車にせよ、購入は無理と思うが、いかなる方法によって円滑なる購入をなさろうとしておられるのか。以上の三点について私より一応総括的にお尋ね申し上げまして、順を追うて御説明を願いたいと存ずるのでございます。
  4. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) それでは第一点の国民車の問題についてお答え申し上げます。国民車の問題につきましては、実は昨年通産省重工業局といたしましては、日本乗用車普及あるいは自動車工業振興という見地から研究を始めた大きな研究題目一つでございます。それに対して考えまする着想は、現在日本の国といたしましては、とにかくトラックバスは相当よくなってきたが、乗用車について大いに振興しなければいけないのでありますが、あとでも申し上げますが、そのために日本本来の技術伸張すると同時に、外国からの技術導入を行なって今大いに自動車製造及び普及に努めているのでありますが、ところがやっております自動車タイプが大体ヨーロッパで使われております乗用車タイプを選んであるわけでございます。これも大体気筒実積の千五百CCというような型でありましても、それに応ずるような型でございまして、一応これらの将来の需要と申しますか、これはある程度やはり日本国民所得から見て制約があると申しますか、相当伸びると思いますが、ある程度制約があるのではなかろうか。もちろん今後大いに努力いたしまして価格を安くする、そういうふうなことをやりますが、しかしやはり日本国民所得というものが急激に上らない限りにおいては、急激にこれらの需要が大量に伸びてくるというわけにはいかないのではないか。そこでさらに日本自動車工業を伸ばすためには非常に廉価な自動車製造あるいは普及ということが考えられる必要があるんじゃないか、こういうふうな着想一つあるわけであります。また、乗用車輸出可能性考えてみましても、現在気筒容積で四千CC級の乗用車はアメリカの車でございまして、また千五百とか、六百CC級の車は欧洲車がそれぞれ大きな国内の需要にささえられて世界市場を独占している状態でありまして、日本としてはわが国のもっと大きな需要層を対象とするとともに、非常に安い車を作って輸出をはからなければならない、こういうふうな気持もあるわけであります。そこで何と申しましても考え方は、将来の問題として非常に安い、そうして役に立つ市の生産ということが考えられなければならない、こういうふうな着想一つあるわけであります。それと同時に、昨年来の状況としましては、オートバイとか、あるいはスクーター需要層、あるいは一般愛好者の間に超廉価事の出現を待望する気運が強い、またメーカー側でもこういったふうな気持でそれぞれ研究を始めているもので、こういうふうなことが状況であったのであります。  そこで通産省としましては何とかしてこういった非常に安い車で、普及ができるというふうなものの製造に対してどう考えたらいいかという着想をもってこの研究題目を取り上げたわけでございます。そこでいろいろ関係の学者その他と相談しまして、こんなふうな着想というものが一つできたわけでございます。それが実はお手元に配付してあります「国民車としての条件」でございまして、ただいま委員長からお話がありましたように、これはここに一々条件が書いてございます。たとえば時速毎時百キロ以上であるとか、あるいはこれは四人乗であるとか、あるいは価格二十五万円程度とか、いろいろ条件が出ております。こういったふうなものができたならば非常にこれは普及もできるし、今後自動車工業伸張にいいのではないか、こういう着想を持ちまして、実はこれについて業界に諮問をしたわけでございます。これにつきましては、まだ最終的結論は得ておらない段階でございますが、いろいろ業界においてもこれに対しそれぞれ各社ともこういったふうな気持で、ある会社等においては研究を進めておるようでございます。こういうふうな事情に現在なっておりまして、最終的な通産省結論としましてはまだ出てない。それで今後このような廉価大衆車生産普及可能性、あるいは目標性能目標価格生産会社ということについては十分研究する必要があるように考えておる次第でございます。ただ一般的に申しまして現在の状況はさようになっております。  それでは引き続きまして、輸入外貨割当方針割当額について申し上げます。これにつきましては「三十年度完成乗用車輸入外貨割当方針及び割当額について」という資料をお配りしてありますので、これによりまして見ていただきますれば大体おわかりいただけますが、これに基きまして御説明いたします。外電の輸入については三十年度外貨予算編成におきまして約五百台ということの輸入決定を見ておるわけでございます。外貨割当につきましては通商協定趣旨を旨として、できるだけ需要者の希望する車種を入れるという考え方で、外貨予算といたしましてはグローバルで約九十万ドルということを設定したわけであります。そこで外貨割当基準でございますが、ここに書いております通り需要者の要望を考慮して新聞報道機関ハイヤータクシー業者及び病院等発注資格者としまして、それぞれ次のような台数割当することに方針をきめております。第一に、新聞報道機関用百十五台、ハイヤータクシー業者用三百六十台、一般用としまして、これは日英協定によります英国車輸入に関するポンド予算割出残額として、一、二というようなものに使わない場合には一般用、それも新聞報道機関用ハイヤータクシー業者用病院用、こういうふうにいたしまして割当をしておるわけであります。この割当につきましては大体それぞれの台数の範囲内で需要者がこれを発注し、発注書を受けた各輸入業者割当することにしております。それから一般用につきましては自動車販売業者に対して英国からの輸入実績比率に基いて割当を実施することになっております。以上が大体一般的な実情でございます。  それから次に乗用車組立用部品輸入外貨割当について申し上げます。これは先ほどもちょっと申しましたけれども、日本乗用車工業を確立するために、従来の日本の独自の技術による伸張と同時に、優秀な外国技術導入が必要でございまして、そのために日本といたしましては外国技術導入を行なったわけでございます。その条件日本側企業に設備、資金技術及び経験のあること、相手側のあるいはイギリス、フランス、ヨーロッパ相手国企業当該車種製造権を譲渡すること、それから提携後五年以内に国産化を完了すること、こういうと三つの条件考えまして、これによって外資法による認可を与えて、国産化完了までの期間国産化部品輸入に必要な最小限度外貨資金をその間確保するということで、現在この外国技術による日本乗用自動車国産化が進行しているわけであります。当初の割当日本側企業生産能力及び国産化状況基礎にいたしまして行なって参りましたが、その後相当既存国産車質量ともに目ざましい発展を逃げ、乗用車の需給が著しく緩和をして参りまして、提携しております三社も生産経験を重ね、そういうふうな状況になりましたので、昨年、昭和三十年度の三月に提携しております三社に対して同一基準によって公平な外貨割当を行い、所定期間内の国産化を完了するという目的のもとに一応の方針をきめたわけでございます。それは三十二年度上期までの外貨割当をもって国産化を完了すること、国産化と申しますと、大体ここに書いてあります通りCKD、つまり輸入されます完全な部品価格の九〇%、これを三十二年度上期までの割当をもって完了すること、国産化の速度は当初五%から出発して最後に九〇%になるという直線的なラインをとるというふうなことをいたしまして、所要外貨資金を算出することにいたしましたわけでございます。しかしながら、実は三十年度の三月にきめました方針が、その後下期になりますと、英国港湾ストライキの影響とか、あるいは車がヨーロッパ提携先会社の新しい型への切りかえというふうな事態に当面しまして、各社いずれも国産化のテンポが遅延いたしましたので、その間基準国産化率を調整する必要が出てきたのであります。たまたま日英支払協定においてもこの問題が取り上げられて問題になりましたので、そういった関係から時期的調整を行いました。それから今後の、三十一年度以降の問題につきましては、基準国産化率昭和三十一年度当初五〇%から直線的に進行して三十二年度上期までには九〇%に達するというふうなことを基礎として今後の割当をやることになっております。現在の平均国産化率は大体三十一年一月末において四六・三でございます。  それから従来の外貨割当額を申し上げますと、ここに書いてあります通り、二十七年度が百十七万ドル、二十八年度が四百九万ドル、二十九年度は四百七十二万ドル、三十年度は先ほど申し上げました通りいろいろの関係で調整いたしましたが、減額して三百八十九万ドル、合計で千三百八十八万ドルというふうになっております。大体以上が状況でございます。
  5. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 委員長からお尋ねの三点につきましてお答え申し上げます。官公庁自動車交換差金の問題についての大蔵省意見を申し上げます。御質問の第一点の、交換によって取得すべき自動車国産車に限るべきではないかという点につきましては、お手元にお配りしてあるようでありますが、輸入自動車購入等の自粛についてという次官会議の申し合せが現在もなお効力を持っているわけでございます。輸入自動車購入は差し控え、極力小型車の利用をはかるという趣旨で参るべきであると私どもも考えております。御質問趣旨に同感でございます。  それから第二点の交換差金が一台五十万円というのは国産車を買うにしても無理ではないかという点につきましては、私ども新たにふやしました金額は一台当り五十万円でございますが、実際の交換差金としては一台当り八十五万円を予想いたしております。昭和二十九年度に各省におきまして実際に交換をいたしました実績は大体一台当り八十五万円になっております。八十五万円と五十万円の差額の三十五万円は、古い自動車、特に修繕費等を食います古い自動車維持費が車が新しくなることによりまして維持費が減ります差額、大体これも三十四万円ないし三十五万円でありますが、そういうもので各省捻出をしていただく、新しい資金五十万円と各省から捻出をしていただく三十五万円、合せて八十五万円で交換の実施ができるというふうに考えております。
  6. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 質疑お願いいたします。  私からお尋ねいたしますが、先ほど重工業局長お話しでは、日本経済力標準から考えて安い車を出さなければいかんという事柄は、全くその通りだろうと思いますが、この二十五万円の国民車が果してそれに適合するものかどうかという疑問を持っておるのであります。日本の今日個人で車を使うといたしますれば、二十五万円の車でも国民の実力から見て無理なことであると思います。個人スクーター一台でも個人として持つならば、やはり特殊な人でなければ持てないというのが、日本の現在の経済力じゃないかと、こう思うのでございますが、従って今日自動車を使っておるのはいわゆる社用族、または公用族が主であって、個人自動車を持ってやっておるという人は、私はごくまれなのではないかと、こういうように考えますると、二十五万円、スクーターでも十六万円も十七万円もしておる。それが二十五万円でできる車が果して個人の使にはやはり向かないとすれば、やはり耐久力、その他実用車でなければならんという要素が私は加わると思いますが、それには無理があるのじゃないか、もしそんなに安くできるならば、現在国産でやっております車にしましても、もう少し安くなるはずなのが、材料その他付帯的いろいろな条件があることから考えまして、いささかそこに無理があるのじゃないかという考えを持っておるのでありますが、その点いかがでございましょうか。
  7. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) お話し通りなかなかこの点はむずかしい問題でございまして、日本乗用車普及するためにはできるだけ安いものにしなければならない。しかしどの程度まで安くなれば急激に需要が伸びるか、そこら辺のところにいろいろ問題があるわけでございます。従いまして実は既存の現在お話しのような現在の型の自動車を作っている会社におきましても、できるだけ努力して、現在の車のコストを下げてやるということは努力しておりますが、同時にまあこの国民軍という着想が起りました問題は、そういうふうな既存の車から出発する場合には、安くなってもある程度既存の型とかあるいはエンジンとか、そういうふうな大きさに大きく影響される。そうするとどうしても大量に普及するためには、何と申しますか、安いことにも限度がある。逆の形でむしろ現在自動自転車、御指摘になったスクーターというふうなものが相当普及しておる。そういうふうな格好で相当現在のものから離れて安いものができることが望ましいのじゃないか、そういうふうな着想からこの考え方が生れたわけでございます。しかしながら、この問題は一体二十五万円がこれでいいのかどうかということにも問題がございますし、また日本経済力、そういうふうな関係からこのことがいいかどうかという問題がございます。さようなわけで十分着想着想としまして、内容なり今後のこれを進めていく場合の問題点という問題を、実は今通産省としても業界に十分諮問し、これらの実際的な意見考えてこれを将来考えていく、製作して取り上げるべきかどうかというふうな問題について研究しておる、こういうふうな実情でございます。
  8. 白川一雄

    委員長白川一雄君) それでお尋ね申し上げますが、前に乗りものの展覧会がありましたときに、三十万円のごく軽便な自動車を出品しておりましたが、あの車ではとても実用に向く車でないというわれわれ観察をしておるのでありますが、しかし今御研究はぜひやってもらわなければいけませんが、すでに業界の方とタイ・アップして製造するのだというようなことが新聞紙上でも伝えられておりますが、その点はどの段階になっておるのでございましょう。
  9. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) この国民車製造計画というものについては、まだ何も進行しておりません。先ほど来から申し上げておりますが、これにつきましては通産省としまして業界に諮問し、現在は研究中の段階でございます。どう持っていくかということについての研究中の段階である、こういうふうな状況でございます。それから業界の方の状況は、実はこれは昨年夏第一次に諮問した当時は、相当ただいま委員長からお話しございましたような問題点もございまして、なかなかこの着想を実行するにはむずかしいのではないかというような気持が相当強かったようでございます。昨年の暮にこの問題を重ねて諮問した場合には、各社全部ではございませんけれども、各社におかれてある程度こういうふうなことを目標に、それぞれある程度研究を進められておる向きもある、こういうふうに聞いておる状況でございます。それからもう一つは、これは既存業者じゃなしにほかの方で、外国自動車設計考えてこれに合わした設計をする、こういうような研究を持っておる、これも研究を進めておられるようでございます。しかしいずれにいたしましても現在これをどうするか、こうするかという研究段階でございまして、これを次の製造に移すかどうかという問題については、まだ、一つもきまっておらない、こういう状況でございます。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 私は通産省当局にちょっとお伺いしたいのですが、この研究助成とか、そういう方面相当通産省が金を使っておられるようですが、この自動車方面に対してはどれだけお金を出しておられますか。
  11. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 従来から研究につきましては、実は御承知と思いますが、機械試験所の第四部が大体自動車関係の仕事をしてきております。これについて従来国としては研究を進めてきておるわけでございます。それから今の御質問助成金とか、試験研究費という問題でございますが、機械試験所がやっておりますほかに、昨年度では自動車用道路の、悪道路標準道路の建設ということで約千五百万円をこれは競輪関係資金から支出しましてこれを作るようにしております。そのほか自動車製造会社、要するに外国からいろいろ自動車輸入して、それをばらして性能を解析するというために、民間研究団体にこの金を交付してやはりやっておる、こういうようなものもございます。それからそのほかに自動車規格統一するために、これも自動車技術委員会にある程度金額を補助しまして、これも規格統一ということで研究を進めておる段階でございます。大体それが昨三十年度のこれは国の予算と申しますか、競輪による振興資金を含めまして大体そういうようなことでございます。
  12. 海野三朗

    海野三朗君 スイスあたりでは時計大学まで立てて、そうして時計製造販売研究しておる専門大学があるのですが、日本ではこの自動車方面研究に対して、つまり民間の、どういう会社にどれだけくらい今まで金を出しておりますか。三十年度以前はどれだけでございますか。今日まで少しもそういう方面通産省が意を注いでおられないのではないかというふうに私は思うのです。民間の方の研究は必要だ、必要だということを口でだけうたっておられて、今日までそれならどれだけ通産省が力を入れて研究を指導し、研究を助成されたのであるか、今のお話しにありましたただばく然と競輪から金を出してこうだというお話しでありますが、どういう会社にどれだけくらい金を出していなさったのでありますか。そういうふうな国産的なこの見地に立っては、一そうこの科学技術方面通産省が力を注がなければならなかったじゃないか、こういうふうに私は思いますので、どうも今までのこの通産省のあり方を思いますと、どうもあまり発達しないように感ずるのでありますが、その辺はいかがなものでありますか。
  13. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 自動車工業技術の問題につきましては、従来から実は通産省としても、通産省と申しますか、これは実は日本自動車の歴史がちょうど二十年くらい前昭和十年くらいから始まりましたときに、これは真剣に研究されて参っております。そのおかげでトラックとしては、あるいはバスとしては現在相当なレベルに達しておるというようなことであります。ところが乗用車関係は実を申しますと、戦争直後しばらくの間乗用車生産は禁じられて参りまして、ごくこの四、五年前に生産にかかったという状況でございまして、その後トラックバスによる技術を大いに生かして国産自体技術によって伸びるように、それからまた、外国からの技術導入して大いに国産をはかろうというようなことで、大いに通産省としては努力してきたわけでございます。  御質問研究関係の問題は、ただいま申し上げました通り、これも機械試験所の前は自動車研究所と言っておりましたが、第四部という名前になりまして、これがもっぱら扱っておる。それから昨年度のことは申し上げましたが、従来もただいまの御質問のごとく会社に直接やっておるかどうかという問題は、やはりわれわれとしましては個々の会社としてはやらない。やはり集中して、たとえば規格統一であれば自動車技術会、そういうふうなところでやるとか、あるいは道路の問題を解決するには、まとめて試験所に共用道路を作るというようなことで考えておるわけであります。直接に会社にどれだけの金額を幾らやったかということは、最近においてはあまりないと思います。従来はあったと思いますが、最近においてはないと思います。それから今後の問題としましては、そういうふうなやはり各民間関係技術を生かすと同時に、官民一体と申しますか、そういうふうに気持を合わせまして、実は自動車関係研究組合による技術向上というようなことを一つの問題として今考えておるわけであります。これもできますれば、三十一年度の問題としてこれを考えてみたいと、こういうふうに考えております。
  14. 海野三朗

    海野三朗君 今日まで民間会社からこの自動車に関しての研究助成金というような願書が出ておりませんですか。民間研究者のお話をいろいろ聞いてみるというと、こういうことに対して助成をしてもらいたい、こういうことに対して研究を助けてもらいたいという希望を出すのであるけれども、なかなかそういうことが聞き入れられないという話を私はときどき聞くのでありますが、民間の方からそういうような通産省あたりに研究の助成を一つやってくれというような希望はどんなふうな状況でありますか。
  15. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ただいまの御質問でございますが、大きな会社、特にこの自動車の中心をなしておるような五社とか、そういうふうなところからまだわれわれの方にそういうふうな希望は出ておりません、具体的な問題としましては。それから関連の小さい部品メーカーというようなところから若干工業技術院等に出ているように聞いております。
  16. 海野三朗

    海野三朗君 その際にそういうことを御選定なさるのはどこでおやりになりますか。こういう研究に対しては金を出すということ……。
  17. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) その問題は大体工業技術院が重工業局と相談してやることになっております。
  18. 西川彌平治

    西川平治君 いろいろ国産自動車振興に対して御配慮を願っておる点についてはよく承知をしておりますが、五十五万円とかあるいは三十五万円とかいうふうなここにいろいろ出ておるのですが、この場合におきまするいわゆる自動車の五大メーカーとか何大メーカーというような会社が、もちろんその価格に合うような研究をされておるのでございましょうが、しかしそれはそのうちの六〇%になりますか、あるいは五五%になりますか、ほとんどが下請の製品を使っておるわけでありますが、私は問題はこの下請、いわゆる中小企業者がやはりその国産車がそういう価格にできるということに対してかなりの認識を持たなければ、これは安くいかないことになると思いますし、またそれと同時に、いわゆる組み立ての大メーカーがむしろ自分の作るところよりも、その下請の方に対してかなりのしわ寄せを寄せてくるのじゃないかというような考えも私は持っておるのでありますが、こういう方面に対して御調査なりいろいろなさっておりましたことがありましたらお聞かせしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  19. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 具体的な数字の御質問でございましたら、また御必要に応じて資料等をととのえたいと思いますが、きょうはここに用意しておりませんが、大体御指摘の通り自動車は総合工業の大きな一つのものでございますから、自動車が伸びる伸びないというのは、結局上に立っているところの会社自身がいいということはもちろんでございます、けれども、それが使います部品工業というのがはっきり確立されないと困るわけであります。従いまして自動車を作るメーカー自身としましても、自分の使う下請工業と申しますか、部品工業というものについては十分これを注意して育成してゆくように努力しておるわけであります。今日でもそれは相当育成してきているという状況でございます。しかしながらわれわれとしましても、かなり部品工業を育成しなければならぬという点は強く痛感しておりまして、実は今度近く国会に提出いたします機械工業振興の臨時措置法というものには、やはりこれは大体基礎的な機械工業の部門と、それから部品部門に適用する考え方でおりますけれども、この中の部品部門にはやはり自動車部品を取り上げて、自動車部品の中で確立をしなければならぬもの、特に専門工業のようなものの育成というふうなことを考えて、この法律によって一つ自動車部品を取り上げて育成をしてゆく、こういう考え方でございます。
  20. 西川彌平治

    西川平治君 大へん力強いお話を承わって、私も喜んでおるわけですが、実はこの国産の問題でいろいろと部品メーカーと話し合ってみたのでございますが、ところが五十五万円の自動車を作ると仮定をいたしまして、それが部品メーカーにどれだけのしわ寄せがゆくかということをかなり深刻に研究しているわけであります。最近のこれは一つの例でございますから、全部がそうという意味ではございませんが、最近の自動車部品メーカーの材料費と工賃との割合を大体やはり六、四というような目安をとっておるのであります。これは材料費六、工賃四というようなきわどいところにいっているそうであります。それが今度五十五万円の国産車を作るといたしまして、われわれのところにしわ寄せがくると、おそらく材料費は変化がなくて、工賃の面で若干しわ寄せがされることになるのでありますから、この割合がかなり変ってくる。工賃に対して低減をはかるための深刻な努力を払わなければならぬ。そのためには今まで一分間に七つやっておったものは十二やらなければならぬ、あるいはさらにもっとやらなければならぬというような深刻な様相を呈してくるだろうということを業者は考えておるわけでございますが、そうなりますと、やはり機械の設備改善がかなり取り上げられ、いわゆる合理化が取り上げられると思いますが、この点に対しましては今後の問題でございますが、やはりいわゆる総合工業でございますから、組立工場にも大きくお考えを配ると同時に、中小部品工場に対してもそういう面で大きくお考えを配っていただきたいと、こういうことを私は特にお願いを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、これはついででございますから伺っておきますが、機械試験所というものは、高田馬場から乗りかえまして、そうして都立高校でしたか、都立高等女学校でしたか、西武電車で行ってあすこで降りて、畠の中にあるあすこでしょうか。
  21. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) さようでございます。
  22. 西川彌平治

    西川平治君 大したことはやっていないようですな。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 関連して、今西川さんのおっしゃったことについてですが、自動車工場をこれまで大きいところを見学いたしましたが、この自動車のかさ、それからあの鉄板なんぞプレスするのですね、プレスしておるのが、各社に皆あれを持っているのです。そしてそれは昼夜間断なしに働いているかというと、そうでもないんです。聞くところによると、あの材料がいいやつと悪いやつがあって困るということであって、なましが十分きいておるのときかないのとでは、傷が出たりなんかするので歩どまりがどうだとかいうことを言っておりましたが、八幡製鉄を視察しまして私の感じましたことは、板を作るというと個々、の材料の間にエージングがありますから、そのエージングということがなく、その作り上げたやつをすぐさまプレスしてそうして一定の型を作って自動車会社へどんどんと配付するようにしたらいいのじゃないか。そうしますと、プレスを各社が備える必要もなし、一定の規格のものをどんどんと八幡なら八幡の作ったところですぐやってしまえば、つまりこの時間のズレに対して材料が変化するというところの欠点を除くことがまず第一であり、また連続してやられますから、そうして各社にこれを必要に応じて配付するというようなことにしますというと、生産費がずっと安くなると思うんですが、そういう点については通産省はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。つまり八幡で作ってから、板を今度は自動車会社に運んでいって、そうして必要に応じてプレスをやるというときまでには非常な時間がたっております。従って、その間に金属自体がエージングが起っておる。従って割れたりなんかするのが出やすいということを思いますると、どうしたって、この製造元の八幡なら八幡でそれをやらせ、あるいは富士なら富士でそれをどんどんやらせて、作ったときにすぐプレスしてしまって所定の型を作って、そしてその自動車会社にこれを送るということにしましたならば、くずもできないし、またそのくず自体は製造工場ですぐさまスクラップにこれを利用できる。運賃の点から考えてもであるし、生産費の意から考えても非常なここにセービングがあるというふうに思われたんですが、どんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  24. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今の自動車の材料問題とプレスの問題でございますが、確かに今の日本自動車工業の必要とする材料につきましては、一部は輸入している状況でございます。今後はやはり自動車のメーカーと鉄鋼の関係で、技術あるいはコストという関係でこの問題を大いに努力して解決しなければならんということは事実だと思います。  それから御質問の、プレスを鉄鋼メーカーが持っていて、それをプレスして各社へ配給してやったらどうかという御質問でございますが、実は今この鉄板をプレスして乗用車の型を作るということは、自動車工業の真髄と申しますか、一番のポイントでござまして、今日本自動車工業が型が一つ統一されれば別でございますが、現在五つの会社車種がそれぞれ違って作られている、それぞれプレスの台を用意して作っているという状況でございますので、そういうような形から申しますと、これはどうしても自動車会社が備えてそれでやるより現在の状況ではやむを得ないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。それから、まあ確かに日本自動車工業は、そういう需要に対して作る台数が少いというところから、プレスとか台とかいうようなものがこなす数量が少いことが日本自動車工業のコストの低下を阻んでいる一つの理由でございまして、これはやはり需要を開拓するとか、あるいは車種統一するということがコストの面から言えば望ましいのでありますが、現在の段階では競争意識の強い各社がそれぞれ自分の技術あるいは外国技術導入によって競争しておる、こういう状況でございますので、今にわかにこれをどうこうするという結論を出すのは少い早いのではないか、しばらく状況を見てだんだんに解決していきたいと思っておる次第であります。
  25. 海野三朗

    海野三朗君 今のお話を伺っておりますと、今の段階ではしょうがないとおっしゃるが、プレスはプレス専門にやらせるように通産省としては指導していくべきものじゃないかということを私はお伺いするのです。プレスはプレス専門にやらせるようにする。そうすると、製品をすぐさまそこでプレスするからして傷も出にくくなるのではないか。それは厳密に言えば五つの会社みな違っておりましょうが、しかしプレスはプレスとして製鉄の方にでも結びつけてやらせるように、あなたの方ではこれを指導していく努力が必要ではないかということを私は申し上げたのですが、それに対して現在の段階ではしょうがないというようなお考えでは、何らそこに進歩的なお考えが私はうかがわれない。通産省がそういうことをやっておるのでは、はなはだ私は心細いと思うのですが、どうなんですか、私はそれをお伺いしておる。
  26. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) その点はまあ将来の問題だと思います。実を言いますと、外国でも自動車会社自身がプレスを持っておるところもあり、また別な単独のプレスの専門メーカーもあるというように聞いておりますので、ここら辺は将来の問題だと思いますが、現在はこういうふうな台を作り、プレスを作るという技術は、自動車会社が持っておるということでありまして、この問題は将来の問題として十分検討しなければならぬ問題だと思います。また、部品に対しては、物によっては確かに下請に出して、鉄に関係のある鍛造部門のクランクシャフトであるとかいうようなものは、ほとんど自動車会社がやらなくてほかの会社でやっておりますので、これはそれぞれのメリットによって結論を出すべき問題でありまして、将来の研究問題として十分研究してみたいと思っております。
  27. 海野三朗

    海野三朗君 そのことにつきまして、今まで製鉄会社なり自動車会社と交渉なすったことがありますか。非常なるここにセービングができるのであるからして、それに対しては通産省は何かお調べになったことがございますか。
  28. 柿坪精吾

    説明員(柿坪精吾君) お答えいたします。プレスの関係につきましては、特にプレスの機械が相当高価なものでございますのと、それからもう一つは、それ以上に型を彫る費用が非常に高いという、二つの問題がございまして、型を彫る費用が非常に高い。その型代の償却ということが一つの大きな原価高の要素になっておる点でございますが、その点につきましては車体の規格がある程度単純化されないとできないのでございまして、今のようにいろいろな車が出ておる形では、その方は解決しないのではないか。これは車種統一の問題になると思いますが、プレスの機械の稼働率を上げるという問題につきましては、今までも新しく乗用車ができる場合には、われわれといたしましては内面指導といたしまして、たとえば現在ございますプレス専門会社もございまして、そういうところを共同で使うという方法を相当熱心に勧奨したのでございますが、その場合に一番問題になりましたのは、その会社の持っておりますプレス技術というものが、非常にカー・メーカーの持っておりますプレス技術に比べまして劣っておるという状況でございまして、どうしても、まあ、そこにはやらしてみても、できないのじゃないかという結論に達しまして、各社従来の持っておりますプレス技術、あるいは外国の優秀なプレス技術導入して、とにかく自社でやっていくということで今進んでおるわけでございます。その場合にプレスの台数としまして、各社が持つために、非常に過剰になるのではないかというふうな心配につきましては、現在まで入れておりますプレス機械、これは将来の乗用車生産台数、あるいはトラックのキャブをプレス化するという場合を考えまして、決して過剰じゃありませんで、将来これができるだけ稼働率を上げるように総合的に使われるということを、まあ将来の課題として、現状は現状として、まあ十分そのプレスによって、プレス技術日本全国として高まるということをねらっている段階でございます。
  29. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 関連してお尋ねいたしますが、プレスの面と材料の面でございますが、私はどうも通産省のプレスに関する海野委員質問になられた点に対する御答弁と、われわれの観察とは非常に違う面があるのではないか。今回視察いたしましたときに、いすず自動車がヒルマンを国産化するために、われわれ工場を見るまではプレス設備がないからということについて非常に懸念して見に行ったのでございますが、三菱の戦時中飛行機をやっておったプレスとタイアップして、ここにプレスを頼むということにしたそうで、あれは非常に私は賢明の策だというように考えたので、各社がおのおの型が違うと申しますが、プレスが違うのではなくて型だけが違うのである。そうすると各社が同じようなプレスを持っていくということは、資本の重複投資になるという上から考えても、通産省としてすぐそういう線を出し得ないのは、業界が非常にまちまちで統制がとれていないからだろうという懸念から生まれたものと思いますけれども、真に国産自動車振興しょうという建前からいけば、プレスは一所でまとめてやるというのが何としてもコストが安くいくのじゃないか、これは参考のために申し上げますが、私はアメリカの飛行機会社自動車会社を視察いたしましたが、アメリカではたとえば材質検査をするというようなものは、各工場にこの専門会社が機械、人を持っていって、そこに設備をして、ピース・ワークで引き受けてやっておるという事柄は、工場もその方が安く上るし、また権威のある品物ができるという実情から、非常に、資本の重複もなし、うまくいっておる実情から見ましても、日本の現在ほんとうに国産車をよくしていこうという建前ならば、やはりプレスというものは一つ会社でもいい。まあ全部が持っておるプレスを共通させてもいい。一所にまとめていくことがいかにも有利であるということは、これはいなめないのじゃないかという観察を、視察の結果からもいたして結論が出ているのでございます。  それから材料の点でございますが、一番劣っているのが薄板なんでございまして、各工場を見ますと特に深絞りなどになりますと切れが入り、また表面に凹凸があって、塗装するにしましても、うまくいかないということのために、原価に響いておることは相当なものと見るのでございますが、また福が日本の圧延では四フィートまでしかできない。それがために途中で一つ溶接したものを使わなければいかぬという不利もあるということから考えまして、富士製鉄の方に五フィートあまりのものができないだろうかということを承わりに行ったのでございますが、これをするのにやはり百億円からの設備資金が要るということを聞きまして、なかなか困難だなあ、こう思ったのでございますが、しかし今日、御承知の通り日本の製鉄が非常に忙しくて、国産自動車が使う鉄板をいい得意として熱心にこれを作り売る状態じゃないという実情から見まして、もし会社が特にポンドなんかで余裕があるならば、今のうちは鉄板を輸入してこれに充る方がいい品物ができて、むしろ安くつくのじゃないかという観察をしており、また、そうすることが日本の製鉄業に影響を与えるというようなこともないという結論になっているのでございますが、その点につきまして通産省の御意見を承わりたいと思うのでございます。
  30. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 材料の問題でございますが、まあ、できるだけやはり日本としましては鉄鋼メーカーにも努力してもらいまして、いいものを作るということに努力すべきであると思います。まあ、これは鉄の自動車用の材料につきましても、ずいぶんトラックの仕事を始めたころから鉄鋼関係も熱心でございまして、いろいろ日本国産車ができる段階で鉄の方でも協力してきたわけであります。従いまして、今後もまあいろいろむずかしい問題もございますけれども、鉄鋼のメーカー、それから自動車のメーカーとよく提携し、通産省もこれに勧奨しまして、できるだけいいものを作って、まちがいないものにしたい、こういう根本方針は立てておるつもりでございますが、ただ当面の問題としては、どういうふうに処置するかという問題でございますが、現在でも実は先ほど申し上げました非常にむずかしい材料につきましては、一部自動車関係には輸入を許しております。かような状況でございまして、今後実際に根本の考え方は、実際に即してどうしてもそれは国内でいいものを作って間に合わせる、もちろん過渡的な問題にはそういうふうな方針をある程度とらざるを得ないと考えておりますが、われわれとしましては根本の問題をできるだけ早く解決したい、こういうふうに考えております。
  31. 海野三朗

    海野三朗君 私は御答弁いただいておって一つもぴんとこないのでありまして、まあ、率直に申し上げますと、絞りをやりますのに、プレスをやりますのにつまり深絞りをやってひびが出るか出ないかというようなのは、一に材質によるのであります。つまり製鉄、自動車会社がプレスをやるときにもう一度アンニールをやればそういうことが出てこないというのが金属の性質なんでございまして、それを購入してきたやつをすぐ、国内の鉄板をすぐプレスでやるものですからして、深くやったような場合には、すぐそこひびが出やすいのである。そういう場合においては、製造したその製品となったとき、すぐさまこれをやっておけばそういうことが出なくなるのであります。それでこのプレスの機械にいたしましても元は鋳物でありますから、やはり専門にプレスをやらせるということに指導していくべきものである。その指導がなぜ通産省はできないかというと、通産省には相当な技術者がないからでありましょう。私は率直に申し上げる。技術者がいない。技術者がいなくて通産行政をやっていこうとするから、こういうふうなつまり欠点があるのであって、技術者がおればもう少しこれを指導していけるのではないか。あのプレスの機械にしても、ことごとくみな鋳物ですよ。鋳物でありますから、鋳物なんというものは製鉄につきものであって特殊のものですよ。ですから多少の型の変更なんといっても、一々会社に注文する必要はない。自分のととろで鋳物工場をみな持っているから、それはやり得るのです。そういうところで生産費がぐっと違ってくるのじゃないか。その指導の仕方が、つまり今の段階においてはしょうがないと言われるけれども、指導の仕方が私はどうかと思うのであって、もう少しここは通産省としても考えていただかなければ、国産車は決して安くならぬ。材料が悪い、材料が悪いといったって、作ってから一カ月なり二カ月なりたってから材料を使うようでは、材料そのものがもう変ってきておりますから、そういうところは専門的な考えを持った人が通産行政をやっていなければいけないのじゃないか。そういうところを私は局長にただしておるわけで、どうも指導の仕方が現段階においてはしょうがない、それは各社が皆違うから、こう言われればそれまでの話しで、それじゃいけないのであって、私はそういうふうに考えるのでありますが、この辺はどういうふうにお考えになっていますか、もう一ぺん私はお伺いいたします。つまり、通産省としては多少の技術方面をわかった人がその衝に当って指導しなければならないのじゃないか。ただ帳簿の上でこれは会社がこう言うからこうだというような事務的なやり方ばかりやっておられるのじゃいけないのであって、もう少し専門的な、部品についても多少の知識を持っておる見地からしてこれをやっていかなければならないのじゃないかというように私は思うのですが、どうなんですか。八幡で作った品物をすぐそのままでプレスすれば、深絞りしても決してひびは出ない。これは私は手がけてやっているからこういうことを申し上げるのです。ところが、これを作ってから一カ月なり二カ月なりたってからやるというと、ひびが出やすい。ですから、そういうひびが出ないように、製造場所においてすぐプレスをやらせるというような方向に通産省が指導すべきものではないかということを私は伺っておるのです。現段階においてはしょうがないしょうがないというのは、それは当りまえな普通の人、知らざる人の答え方であって、こういう指導の仕方じゃだめじゃないかということを私は言っているのですが、その点に対しては、現段階は最善、最良とお考えになっているかどうか、それを私はもう一度お伺いいたしておきたい。どうしたって生産費を下げていくというときには、その間の工賃を下げなければならないし、工賃を下げるには、なるべく安く品物が入ってくるようにしなければいけないし、安く入るにはきずが出ないようにしておればいいのであって、出ないときにこれを作らせて、そうして各会社に配付させるというようなことにすれば、私は相当生産費についても安くなると思うのです。そういう点はどうなんですか。それからくずが出た、またそれを材料が悪いから返せというようなことをごたごたやっておるから高くつくわけである。完全なる部品をみな寄せ集めてさえいれば、生産台数も上ってくることは当然であるし、くずが出たからこれを取り除けとか何とかという問題が起らないのじゃないか。これは要するに通産省としてはもう少し製鉄会社なりあるいは自動車会社なり、技術に立ち入って指導して、そうしてこれに刺激を与え、これを指導するような立場に立ってやらなければならないのじゃないか、こういうことを私は伺っているのです。そういう点に対しての御所見はいかがなものでありますか。
  32. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) いろいろ海野先生から御専門の点でお教えを承わっておるわけでありますが、通産省といたしましては、材料問題につきましては、今日は参っておりませんが、関係の技官がこれを指導しておるわけであります。それからわれわれとしてもこれは力が足りないところかわかりませんけれども、できるだけ最善の努力を尽しまして、ただいま御指摘のような問題について研究を進め、努力をしているつもりでございます。それから先ほど来問題となっておりましたプレスを鉄鋼会社に集中してやるかどうかという問題、これは非常に慎重な研究を要する問題であると思います。私が先ほど申し上げた点は、ちょっと先生が誤解をされたのじゃないかと思いますが、プレスの問題をどこでやるかという以前に、われわれとしましては、日本でいつも問題となる点は、大量生産をやれば安くなるという点から申しますと、日本自動車工業に五つの会社がある。需要が月に二千台、三千台という場合に、月々五百台ずつ作ったがいいか、あるいは二つの会社が千五百台ずつ作ったがいいか、一つ会社が三千台作ったがいいかという非常に大きな問題を持っておるわけであります。これはいろいろ言われてきておりますけれども、各社外国からの技術導入し、日本技術を作っていこう、こういう段階になっておる。こういう段階で今にわかに一つにするとか二つにするとか三つにするという結論は出にくい。この一、二年大いに競争して各社技術の十分培養され伸びていくのを見ていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。そうすると、五つあれば、それぞれ各社は各種の型を年々少しずつ改正しなければならん。型は、自動車設計の真髄をなしておるものであります。それを作るのに自分が責任を持ってやるというふうな格好で現在すでにスタートしてしまったものでございますから、そういうふうな関係で現在としてはこういう状況であるということを申し上げたわけでございます。将来の問題としましては十分こういう点をよく考えて、将来新しくやる場合にどういうふうにすべきかということは十分研究すべき題目である、こういうふうに考えております。その点を申し上げたわけであります。
  33. 小松正雄

    小松正雄君 今専門的に海野委員からるる御質問がありましたが、これに関連してでありますが、まず通産省としては、さっき委員長の基本方針について質問された中に、現実の問題として外車を使うというよりも、官公庁を初め一般に対して国産車にすべきだという基礎的な立場に立って、次官会議でもそういうことが決定されておる、こういうことを伺ったのでありますが、まず日本国産車を愛用しようとする国民の立場から考えた場合は、局長が御指摘になられたように、日常生活等を合せましても、国内で国民がこれを使用するというような段階にはしばらく遠いのだろう、こういうことであるが、しかしながらこれが単価の面で、たとえば百万するものが五十万ないし二十五万と、こういうふうに仮定的に出されておるが、こうゆうふうなことに単価の面を切り詰める、要するに単価コストを安くするということにさせるためには、局長としての指導方針が今第一一つの使用する機械、使用する器材に対しての指摘を海野委員からもされましたように、こういったことに実際問題として重工業の責任者である局長としては単価、コストを引き下げるというようなことについてあらゆる角度からそういった面に対して指導すべきじゃないか、まあかように考えますが、局長としては今の段階ではどうだこうだというようなことでありますが、まずそういう面はどういう所に注文を一括してさせるというようなことにまでせなくては、コストは下らないのだという見地からそういう努力をするという考え方もないのではありませんでしょうが、あなたとしては各社と会合を持って、そうしてこういうふうにしたらこれだけ単価は下るのじゃないかというようなことも、それは生産をされておる各工場ともあなたから指摘されんでもわかるだろうけれども、それは一つのまとめとして強い決心でそういうふうなことにすべきだという見地に立って、五社でやるか、三社でやるか知りませんが、代表者を集めて会議を開くというような御見解があるかどうか。
  34. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 今のお話しの点は、結局材料部品の育成の問題あるいは日本自動車工業が使うそういった材料部品の発注の規格統一とか、そういう問題だと思います。これについては規格各社ともばらばらで非常に困っておる状況でございまして、これについてはこの前たしかこの小委員会のときも申し上げましたけれども、われわれとしましては規格をできるだけ統一したい。たとえば四十あるランプをできてることなら十以内にしたい、あるいは四つくらいにしたい、こういうふうな希望を持っております。そういうふうな見地から自動車工業技術者が集まった自動車技術会というのがございまして、それに先ほども申し上げましたが、資金を供給して昨年来研究さしてきておるわけでございます。  それから統一的な問題と関連しまして先ほども御説明いたしましたが、部品とかそういうふうなものの専門製作、専門の工場を育成する、こういうふうな建前から今度の機械工業の臨時措置の法律におきましては基礎工業、部品工業という中に自動車部品を入れまして、こういった部品を大いに育成するように専門化をはかり、実は先ほど説明申し上げませんでしたが、開銀等から出ます特別の低利なそして非常に利用できるような資金をもちまして設備の更新とか、あるいは設備の新設をやって専門製作を生かしながらできるだけ自動車部品を育成していく、こういうふうな方法を強く考えておるわけでございます。
  35. 小松正雄

    小松正雄君 今投融資の問題も出ましたが、私これについて大体御質問いたしたいと考えておったのでありますが、まずコストを下げるという問題については、諸般の器材に対する単価安になるようなことについては、今申されたようなことでやられる決心であるということは一つわかったが、同時に今現在五社があらゆる角度からおのれの会社のその国産車の性質といいますか、規格といいますか、そういった面について他の会社に劣らないというようなことにしむけていくためにあらゆる犠牲を払って大いに競争しておるのではないかと思うときに、五社とも出血なくいたしまして、たとえば二千台作って一車が百二十万円と仮定いたしますと、その金額の範囲内でそういった振興的な、研究的なものをあわせてやっておるのかどうか。それにつれてなおその会社自体が出血をせずに将来この競争に勝ち得たならば、二千台作っておるものが四千台できるようになるから、それによってカバーできるというので、現実問題としては出血を見ながらも各社ともに競争をやっておるのではないかというようなことを考えるときに、さっき西川委員も御指摘なさったように、これが大メーカーだけで全体的なものをやっておるわけではなくて、下請業者あるいはそういったものに対しても今度ははね返って支払い状況が悪くなるとか、こういったことでもって、かえってまた目的が達せられないというようなことがあるのではないかと思いますが、そういうような意味からして各この五社の会社は出血なくいたしまして円滑に諸般の事業を進めていくために、経済的に赤字を出さずにやっておるかということをお調べになったことはございますか。
  36. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 従来は非常に苦しい営業状態でもございましたけれども、最近の状況では赤字を出しておるところはございません。しかし非常に研究等については十分将来のことを考えまして努力しておると思います。それから先ほどの下請関係の問題も、大メーカーが安くするために下請を買いたたくというよりは、今後コストを安くするために下請自身の設備の改善とかあるいは材料問題とか、あるいは歩どまりとか、技術の向上を解決して合理的に全体の自動車を安くする、こういう方向に持っていくべきだと、こう考えております。
  37. 小松正雄

    小松正雄君 通産省といたしましては、全体的に重工業だけでなくて鉱山工業その他に対しても国の投融資の割当等に対しても相当努力されておると思いますが、この国産車に対しての各会社に対して国からの資金の投融資の割当、これは三十年度どのくらいであったのですか。大蔵省の方も見えられておりますがおわかりでございませんか。自動車会社に対する国の投融資はどのくらいしてあったか。なおその当があったとするならば、各社割当てたのはどういう按分で割当てられておるか。
  38. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ちょっと今正確な数字を持ち合せておりませんが、昨年多分三、四億じゃないかと思います。開銀から割り当てられましたのが……。それから今トヨタについては世界銀行の関係で、世界銀行からの融資が近々出ることになっておりまして、これも相当出ると思います。それから従来毎年、実は不正確で申しおけありませんが、大体四、五億程度それぞれの必要とする各会社トラックの設備改善、乗用車の設備改善という形で開銀から出ております。
  39. 小松正雄

    小松正雄君 もう一点だけ、言うまでもございませんが、重工業局長としては諸般の問題について努力されていることは、本日の答弁においても認めるのでありますが、こういった通産委員会の中に国産自動車に関する小委員会ができた。その小委員会趣旨としては、少くとも国産自動車に関して遺憾なきを期したいということであって、こういう意味からいたしましても私どもはなおく後強くあなたなり、責任者である大臣等に対してもお願いをしたい。というのは、どういたしましてもこれは資金の運用のいかんによっては、何といってもコストは安くできる。機械が近代化、合理化されて、設備資金というものが、実際問題としてそれがありさえすれば、人も少く使って、機械の面でカバーするというようなことが出てくるために、この国産車を愛用する意味において国産車にすべきだということを次官会議でもきめられたということからみても、私どもこの小委員会といたしましては、この国産車の愛用が国民全体にできるようにコストを下げていっていただきたい。そういう点から少くともこの資金割当といいますか、通産省としては大蔵省にこれをお願いをしていただいて、そうして三十一年度の割当等については、少くとも業者から要望されている金額をそのまま受け入れのできるように、大蔵省等によく御申達を願いたいということを希望申し上げまして、私の質問を終ります。
  40. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ほかにぜひきょうお尋ねしておきたいこともありますので、次に話を移したいと思いますが、今小松委員が言われましたように、当委員会で特に小委員会を設け、かつまた衆議院と一緒になりまして協議会というのを作って、この国産自動車奨励について特殊に勉強するという建前をとっておりますのは、御承知の通り、何とか外車で満ちている状態を国産車にしたいという点と、ひいては外貨を節約できる道でございますし、また日本の機械工業としては、最も大きいこの自動車工業を盛んにすることによって、失業者を少くするところの一如にもなるし、どうしてもまたそうすることによって業界が不当の利益を得ているとすれば適正な利潤に下げるように、やがては外国輸出できるようにもわれわれでほんとうに国家的な立場に立ってやらなければいかぬという建前から始めておりますので、言いかえれば通産省の自動準工業行政に対するつっかい棒の努力をしたいというのがわれわれの願いでありまして、従って第一の質問にあります国民車等につきましても、通産省としましては、それを十分研究を積まれて後に発表されるという慎重さがわれわれはほしい。特に大臣に聞けば、大臣はこれは知らない、大臣の知らないものが外へ出て問題になるというようなことでは、私は行政上どうかという感じもいたしますし、ぜひとも慎重に、また特にプレスの問題等もありましたが、画期的な構想を実施に移すような要素を入れていただかないと、なかなか実現ができないと思いますので、この点特に慎重な御配慮を願いたいと思うのでございますが、それにつきましてかねてから官公庁の使っておる車を国産車にしたいという事柄は、日本は何といいましても官尊民卑の国で、役所が国産車を使うとすれば民間がとうとうとしてこの風にならってくるであろうというところがねらいで、なぜそうするかといえば、今日原価を下げる大きな要素は、需要量を増すということが原価を下げる大きな要素であるという意味から、かねがね研究をいたしておるのでございます。法律上の点も調べてみましたら、法律でもまた政令でも外車を国産車交換することもできますし、また政令では国産車交換すべきであるというようなことにもなっておりますので、この際通産省が中心になり、大蔵省の御協力を願ってぜひ現実的にこれを実現していきたいものだ。三十一年度の予算では先ほどもお話があったように、一台八十五万円の割合で、三十五万円は経費で捻出して、五十万円を予算で使用するというようになっておることがわかりましたが、そうしますと先ほどお話しになったように百二十何万かの車になってしまうのであります。またこれを国産車にすることによりまして政府が使用してあるにもかかわらず、やはり自動車税というのを払っておるということがわかりましたが、この自動車税は国産車と外車との違いだけでもかなりなものでございますし、また修理費の方を調べてみますと、驚くべき金額になっておる。われわれは最初せいぜい三千五百円か五千円くらいの一カ月の修理費だろうと思っておりましたら、驚くべき一カ月一万五千円から二万円の修理費が要っておる。しかもそれは部品をのけて修理費だけがそういうふうに要っておるという数字も出てきました。こういう点からさらに調べてみますと、二十九年度は予算には計上しておりませんけれども、いわゆる実行上の流用で六十四台という車が五千四百万円使用して購入しておるということも明らかになりましたので、われわれはこの予算のほかにいわゆる予算上の流用によってさらに交換が増加できるのではないか。当初大蔵省ともいろいろ御相談申し、業界とも相談いたしましたら、業界は二十四カ月の無利息の月賦でもいいという線が出たのでございますけれども、月賦で官公庁が買うという制度がないので、結局最初うんと交換しょうとすれば債務保証の形式をとらにゃいかぬということになるのでございますけれども、この方法をとりましても最初だけの問題になってしまいますので、今後年を追うて国産車に切りかえる予算の獲得に大蔵省と交渉しなきゃいかぬだろうと、こういうように今までのところではなっておるのでございますが、何分にも計算してみますと修理費の節約、ガソリン代の節約、自動車税の節約、部品の節約というところからいけば、少々不自由でも国産車官公庁が率先してやってくれることが、即民間にその気風を浸透さすゆえんであろうと、こういうように考えますので、これは担当省である通産省としましては一つ積極的にお骨折りを願いたい。大蔵省にもご協力を願わなければいかぬ。また変なことですけれども、当局がこういう計画を立てましても、用度という担当の方のところでとめられて実現ができないということを聞いております。このリストを見ましても三十五年前の車をやはりかかえてほとんど利用しないで置いて、修繕費やガソリン代ばかり食っておるというようなそういう不自然な状態も、これを早急に改めることによって、国産車利用というものがうんと進められるのではないか、こういうふうに考えておりますが、この際大蔵省にお尋ねいたしたいのは、骨董品のような車を経費をかけて使わないで、より多く国産車にかえる方法はないか、また民間の方も官庁がそうなれば積極的にそれに協力していくという熱意も示しておりますので、その辺の大蔵省のお考えを承わりたいと思います。
  41. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 今の国産車を使っていくようにというお話は、まことにごもっともでありまして、私も同感でございます。先ほども申し上げましたように、次官会議の申し合せがあるわけでありますが、実際にそれが完全に守られておるかどうか私も多少疑問を持っております。今用度云々というお話がありましたが、これは各省の会計課長などが十分この趣旨を尊重していただいて、実行していただかなければならない問題だと思っております。予算額をふやしていく問題は、私どもも官庁全体の行政能率と申しますか、事務能率から考えまして、非能率の車を持っておるよりも、能率のいい国産車にかえた方がずっといいのではないかということはよく承知いたしておりますが、今年六千万円の金を上げましたことは、ほかから見れば大したことのないようにお考えになるかもしれませんが、大蔵省としては、非常に思い切ったつもりでありまして、しかし急にやりますと金額も相当なものになりますので、急に理想的な状態を見ますことはむずかしいと思います。方向としてはおっしゃったような方向にできるだけ持っていきたいと考えております。
  42. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 三十五年前の車も相当ありますし、こういう単は実際上役に立つのかどうか。今度交換するにつきましては、三台に対して一台というような計画のように承わったのですが、今の状態だとすると、実際にやるなら三台に一台でやっても、一台の方が能率がいいのではないかと思うような現状だろうと思うのですが、そういう車をいつまでかかえて貫いて、そして安くつく車を使わないというところに私ども不思議でたまらぬものを感ずるので、実際に調達する方面と指図する方面との間に非常にギャップがあるのではないかという感じがします。われわれの方では今各省の会計課長の方に集っていただいて、国産車をずっと陳列しまして実際に見ていただいて、そして早く取りかえていただくようにお勧めしたいというので、今計画を立っておるのでございますが、苦労してこういう計画を立っても、どこかでぽんとひっかかるようなところが一つあるような気がする。国の金を不便しながらむだづかいしておるような線があるように考えられるので、その点一つ通産省が特に何か指導していただかなければいかぬのじゃないか。  大蔵省にお尋ねしたいのは、二十九年度六十四台という車が実行上の流用によって……、私はそういう言葉を知らなかった、今度初めて知ったのですが、そういうようなことで入るのだとすると六千三百万円のほかに、実行上の流用でもうそのくらいふやせるという方法は立つでしょうか、どうなんでしょうか。
  43. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) これは去年予算の節約をいたしまして、自動車の方に流用いたしてこれだけの金が出たので、三十一年度においてもこの六千三百万の新規の金のほかにできないことはないと思うのでありますが、官庁全体の物件費は相当窮屈になって参っておりますので、去年程度のことができますかどうか、非常に事情が違って来ておると思いますが、ただ六千三百万円だけでなしに、確かにそれ以外に各省のやりくりで、ある程度のことはできると考えております。
  44. 海野三朗

    海野三朗君 私はちょっとお伺いしたいのですが、この昭和三十年度乗用自動車年式別現有台数調べというところで、四五年以後の欄でありますね、この欄において各官庁で使っておる数字をざっと見ると、これは小型車ことごとくが外国品が多いですね。一対二というような割合になっておるのでありますが、こういう数字は大蔵省としてはどういうふうにお考えになっておりますか、この現象は。
  45. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 上の欄が小型車でありまして、最近では小型車、国産車を主とした小型車が多くなっておると思うのでありますが、次官会議決定等のあります前にかなり戦後相当、戦争中に車がなくて戦後急激に車を入れたという時代に、かなり外国車が入ったのじゃないかというふうに考えております。大蔵省の欄でもごらんのようにだんだん小型車の方がふえてくるという傾向にはあると思います。
  46. 海野三朗

    海野三朗君 それでこの現象に対して大蔵省ではつまり国産車という声がずいぶん今やかましくなっておるのでありますが、こういう国産車に対してつまり外国率を官庁が使うということに対してはどんなお考えを持っていらっしゃるか、金高さえ都合つけば外国車で差しつかえないというようなお考えを持っていらっしゃるのか、あるいはまたあらゆる方面においてこれを抑圧しようというお考えを持っていらっしゃるのか、どうなんでしょうか。
  47. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) 大蔵省といたしまして、いろいろな予算をきめましたあとの使途を非常にこまかく干渉する立場ではないのでありますが、政府全体として次官会議輸入車をやめて小型車にしようという方針がきまっておりますので、むろん予算の効率的な使用という面からいきましても、大蔵省といたしましても政府全体と同じように小型車を優先して、大型の輸入車というものは使わないという建前でいくという考えでおります。
  48. 海野三朗

    海野三朗君 今委員長からも質問がありましたが、古い型の自動車は非常に能率が悪い、そういうものは順次入れかえていくことに対しては、どういう大蔵省としてはお考えを持っていらっしゃるのか、そこをお伺いしたい。非常に古い車で修繕費にうんとかかる、金をかけてもそいつを使っていくということは非常に不利益なことじゃないかと思うのですが、そういうことに対してどういうふうにお考えを持っていらっしゃいますか、大蔵省当局では。
  49. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) これはことし新たに六千三百万円の措置をとりましたように、古い非能率な車をなるべく廃車をして、新しい小型にかえていきたいという方針をとっておるのであります。昨年まではこういう金を予算的に新規に入れるということをしなかったのでありますが、今年六千万円の金を入れたということは、そういう方針を強く打ち出したということになると思います。ただ何分にも総計いたしますと相当な金になるものでありますから、官庁の物件費で六千万円あるいは一億の金をふやすということは、非常に予算全体のバランスからいってむずかしい問題でありますから、どうしても思うところまではいかないという実情でございます。
  50. 海野三朗

    海野三朗君 その際に、つまり大蔵省はこの財布の口を握っておられるわけでありますから、各官庁に対してこういう方面のことについて十分注意をしていなければならないんじゃないか。で、それだったら漫然と事務費はどうだとか、金がどうだということに対しては、どのくらいの熱意をもって臨んでおられるのですか、予算の面においては。大蔵省当局としてはどうなんですか。
  51. 吉岡英一

    説明員吉岡英一君) お尋ねの趣旨を、あるいは誤解をしておるかもしれませんが、自動車交換関係の法律等も主計局で所管しており、ここに書いてあります大蔵大臣の事務は主計局でいたしておるのでありまして、古い車を廃車して小型の車にかえるという実行は、できるだけ十分に見ておるつもりでおります。その熱意と申しますか、そういう意味では、われわれとしてはことし六千万円ふやしたというのは、相当な熱意を持っておるつもりでおります。
  52. 西川彌平治

    西川平治君 ちょっと一つ質問を忘れておったのでありますが、一つ伺っておきたいと思いますが、実は部品業者ですね。今現在組立てをやっておりまする五社ですな、この自動車メーカー五社が、おのおののこの部品が違っておりまするが、これは少しく五社がお互いに話し合う場合におきましては、同一なものにし得る点が多々ある。そういたしますと、一つ規格のようなものを作って、できるだけこの五社の部品統一してもらったならば、おのおの部品メーカーはかなりやはり量が増しますからコストが下げることができる。同じ、型にいたしましても、あるいは工具にいたしましても倹約ができる。こういう問題をかなり深刻に考えておるのでございますが、通産省当局はそういう方面に対する指導方針はどうでありますか。
  53. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) まことにごもっともでございまして、先ほどから申し上げております点も、規格統一とか単純化とか、そういうふうな方向で技術強化、金を渡しましてそれによってそういうふうな研究を今しております。できるだけそういうふうなことで規格の方も順次まとめまして、専門製作の部品メーカーを育成したいというのが大体通産省方針でございます。
  54. 西川彌平治

    西川平治君 ぜひそうしていただきたいと思いますが、それにつきまして私はちょっととっぴなことを申し上げるようでありまするが、例の機械試験所の第四部でございますが、あそこに対してもう少しく、やはり自動車に対する強力なやはり試験研究を、もう少しく私はやっていただかなければいかんのじゃないかと思う。まあかなりいろいろな皆さんもおられるようでありまするが、とても五大メーカーに匹敵するようなことは、あるいは経費の関係でできないかもしれませんが、せめて部品の製作その他に対するような問題の指導に対して、あそこをもう少し強く私はやっていただきたいと自分としては考えておるんですが、その点はどうでございましょうか。
  55. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 機械試験所のスタッフばかりでなく、先ほど申しました関係技術、学者の方なんかできるだけあそこの試験所に協力していただいております。さようなわけで今のようなお気持、われわれもよく考えまして従来から指導しておりましたが、さらにまたできるだけ努力したいと思います。
  56. 西川彌平治

    西川平治君 どうぞよろしく。
  57. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 大蔵省にちょっと申し上げておきたいのでございますが、われわれの調査した結果によりますと、もし官庁が月賦購入ができるという制度がありましたら、これ全部経費でまかなって予算を使わなくてもやれるところの数字が出てくるわけであります。まあ百台とか二百台といわなくても、一気に全部でも長期の月賦ということが業者の方と話ができますれば、毎月々々節約できる修理費、部品代、ガソリン代で支出をできる状態にあるということをお含み願って、将来この自動車国産車にかえるという場合に適当な御処置を御考慮願いたい。  それから通産省の方へ御相談申し上げたいのですが、官庁の車は先ほど申し上げたように使っていただきたいというのは、民間に早くこれにならわすように持っていきたいということがねらいであるという点からいきまして、通産省の名において、特に公社であるとか、その他おもなる大きな会社等に対しましては国産車を使用するようにという、推薦というか、奨励の通知を発するという事柄が、官庁としてはできればそういう方法一つおとり願いたい。ただ、国会の方に今度衆議院から六名と参議院から六名出まして国産車振興の協議会というものができることになっておりますが、そういうところもわれわれの小委員会の方が趣旨としましたのと同じ趣旨のもとに、今後国産車、ひいては日本の機械工業の安定化をはかっていくという目的でやることになっておりまするが、まあそういう国会のものが推薦、奨励の通知をするというわけにもいかないので、通産省から特に声高く呼びかけていただいた方が効果があるのではないか。まあいろいろな一つセンセーションを起して気風をそこへ向けませんと、何か今日は外車に乗って走り回る人がえらいかのごとく思うところの錯覚を多分に持っておるという点も、まあ時間の関係で十分お伺いできなかったのでございますけれども、外人の無為替輸入自動車の取扱いということにつきましては積極的に……、外人のこのごろは収入に対して税金まで取るようになった時代なんでございますから、もうあんまり遠慮をしないで一つ施策を考えていただきたい。  それともう一つは、組立車が昭和三十二年の上期で九〇%までの打ち切りになるというのが、そこまで達しなかった場合にどういうようにお考えになるのか、今から一つ考えいただいておかないと、私やはり一部分そういう問題は必ず起ってくる問題だという懸念を持っておりますので、一つ十分御検討を願いたい。  この国民車の取扱いにつきましては特に慎重にお願いいたしませんと、何とか起ち上ろうとしている現在の五社のメーカーをそっちのけにして、まだえたいの十分はっきりしないものを片一方でまた奨励するというようなことになれば、業界の混乱はひいては通産行政の面に非常に響きがあるんじゃないか、こういうように考えますので、この点を特に御慎重に願い、またわれわれの委員会も決して当局に難題を言うのが目的でなくて、当局のおやりになるのに強い助けになるようにいこうというのがねらいであるということも御理解願って、御協力を今後特にお願い申し上げたいと思います。
  58. 海野三朗

    海野三朗君 私最後に通産当局に一つことに御注文申しておきたいのでありますが、先ほど機械試験所とおっしゃいましたけれども、私は機械試験所は実に貧弱だと見ておるのです。あの機械試験所を頼りに通産行政をおやりになっていくということは、私ははなはだ心細いと思いまするので、もう少しあの機械試験所というものに人材を集めるなり何とかしていただかないと、世間の方が早く進歩しまして、通産省の方があとになっちゃうのですよ。私はそういう点から考えましても、機械試験所のようなところにはやはり新界のエキスパートを寄せて、そうしてその機械試験所の方には十分なる科学技術の指導者を置くようにしていただかなければ、通産行政というものは世の先端を行って指導をしていくということかできなくなるのではないか。私が過日商工委員会においても技術者と事務官との差別待遇をやかましく申したわけはここにあるのです。通産行政がうまくいきますれば、やはり世の中がだんだんよくなっていくのですよ。そういう見地から考えて、どうしたってこの科学技術者をよく待遇して働かせてもらいたいということをお願いする。今の状態を見まするというと、まるで機械試験所あたりもう萎縮してしまっておるのですね。通産省の傘下にあるところの研究所はことごとく萎縮しておりますよ。学者間の評判を聞いてごらんなさい。わかりますから。どうか局長としてもそこに一段のお力を注いでいただきたいということを私お願いしておきます。
  59. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 本日の小委員会はこれで散会いたします。    午後零時十七分散会