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政府委員(
川上為治君) これはその
裁定という
規定を設ける問題につきましては、私
どもとしましても
最初一応
原案としましてはそういうことを
考えておりました。ただこの
法律におきましては問題は二つございまして、
一つは
下流増というものは果して出すべきか出すべからざるか、その
利益を上の
ダムに対しましてある程度供出すべきであるか供出すべきでないかという問題につきまして、いろいろ今日まで
議論がありまして、まあ大
部分の
方々におきましては、これは当然ただでと申ましすと非常に
語弊がありますけれ
ども、自然に労せずしてそれだけ
利益が出てくるのだから、その
利益の一部を上に返して、上の
建設費に対しまして充てるということは当然なことではないか。これは外国におきましても、アメリカにおきましてもそういうような
措置をとっておりますし、また日本におきましても、従来からそういうような
考え方で大体慣習的になっておるのだし、またかつて
日発法がありますときには、
法律にもそういうふうな
規定が載っております
関係上から、当然そういうふうに
考えてしかるべきじゃないかというようなことにもなっておりましたけれ
ども、中にはいや、そういう
利益を返す必要はないのじゃないかというような
議論もありまして、この際やはりわれわれとしましては、
電源開発が相当進んで参っておりまして、この
下流増の問題も
方々におきまして問題が現在起きつつありますので、この際やはり
法律としてこういうものは返すべきだということをはっきり
規定しておくということが
一つは非常に大事なことではないかというふうに
考えましたので、そのことをこの際はっきりとうたっておくということが
一つ。それからもう
一つは、ではそれを実行するについて
裁定なりそういう強制的な
措置をとる必要があるかどうかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように私
どもの方としましては、
最初一応われわれの方の
原案としましては、
裁定の
規定を入れておいた方が非常に便利ではないだろうかというふうに
考えておりましたが、業界その他いろいろな
方面から、何もそこまで強制しなくてもなるべく協議ましておいて、そうしてなるべく自主的に解決し得るような
方法をとっておいた方がよくはないかというような御
議論もありまして、われわれもそれに対しましては、何とか
行政指導によりましてそういうような
話し合いがつくように持っていきたいというような
考えを持ちましたので、従いまして
裁定という
規定は抜きまして、そうしてなるべく行政的な
指導によって
話し合いがつくように持っていこうということにしたわけでございます。今
先生から
お話がありますように、
裁定という
規定がないというと、非常になかなかもし話がつかぬ場合にはどうなるかというようなことになるわけなんですが、
話し合いがつかないということになりますというと、結局
法律的にこれを
下流増を上の方に供出させるということはできない。実際問題としてはそういうことになるわけなんですけれ
ども、私の方としましては何とかしてそういうような
話し合いにならないように
行政指導をしていきたいというふうに
考えております。もしどうしても
行政指導しても、ここしばらく二、三年やってみましてうまくいかぬ、
方々に話がつかぬ問題ができてきて、
法律上どうにもならぬというような問題が起きましたならば、そのときはまたお願いをいたしまして、その点は改正をしていただいて、
裁定の
規定を置いていただかなければならぬのではないかというふうに
考えております。