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1956-05-24 第24回国会 参議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十四日(木曜日)    午後二時四十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員斎藤昇君、小松正雄君及び河 野謙三君辞任につき、その補欠として 小野義夫君、栗山良夫君及び岸良一君 を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三輪 貞治君    理事            西川彌平治君            白川 一雄君            阿具根 登君    委員            上原 正吉君            高橋  衛君            苫米地義三君            海野 三朗君            上條 愛一君            栗山 良夫君            藤田  進君            加藤 正人君            山川 良一君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省繊維    局長      小室 恒夫君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○繊維工業設備臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ただいまより委員会を開きます。  まず委員異動について申し上げます。  本日、河野謙三君が辞任され、その補欠として岸良一君、斎藤昇君が辞任され、その補欠として小野義夫君が、小松正雄君が辞任され、その補欠として栗山良夫君がそれぞれ指名されました。   —————————————
  3. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 繊維工業設備臨時措置法案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 上條愛一

    上條愛一君 昨年の八月に作りました繊維産業総合対策審議会は、これは繊維産業総合安定策を樹立するために設置せられた機関だと思いますが、これが結局審議の結果、総合対策立てずして、単に結論としては本法案設備制限するということだけにとどまったようでありまするが、何ゆえこの総合対策審議会では総合安定対策立てられなかったかという点についてお知らせを願いたい。
  5. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) ただいまの御指摘の総合対策審議会においては、経済五カ年計画と照応いたしまして今後五カ年の各繊維別需給計画、その内需、輸出見通し、その他しさいにわたって検討いたしまして、これに基いて今後の長期対策立てるということで、この設備対策のほかに需給調節の問題、特に操短の問題、あるいは価格の引き下げの問題、その他についても答申はあったのであります。これらの点は法律に盛らないで、従来通り行政措置として実施して参るという点からこの法律に載せなかったのであります。設備対策生産調節対策、ほかにもちろん輸出面の問題、あるいは輸入面の問題、その他ございますけれども、これらは今後この法律に基く審議等においても十分それらの点も検討した上でこの法律の運用をいたして参りたい、こういうふうに実は考えております。
  6. 上條愛一

    上條愛一君 そうすると、総合対策審議会においてはこの設備制限のほかに、総合安定対策というものの答申が明確にあったということですか。あったが、しかしそれらは行政措置その他でおやりになって立法化さなかったと、そういう意味でございますか。
  7. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 総合対策重点的事項については答申がありましたが、むろん今後とも貿易問題その他についてさらに総合対策を補強していくという必要はあるかと存じます。
  8. 上條愛一

    上條愛一君 しかるに総合対策審議会は本年の二月に解散をせられておるわけなんですが、この審議会解散したという理由は、すでに総合安定対策が樹立されてその任務は完了したという意味ですか。今おっしゃるところによるというと、なお今後引き続いて総合対策立てる必要があると、こういうようにも解釈できるのですが、どちらの意味解散をせられたのですか。
  9. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) とりあえず昨年八月に設置せられました審議会は、六カ月間の期間をもって必要な立法化の準備という意味を含めて設置いたした臨時審議会であります。二月一日の答申でもって総合対策というものの重点的事項について、特に立法化を要する問題等について報告、答申がございましたので、一応任務が完了いたしたわけでございます。さらに繊維全体の問題をこの審議会答申に引き続いて答申を基礎として通産省として考えて参りたい、こういうことでございます。
  10. 上條愛一

    上條愛一君 御承知通り綿紡歴史というものは操短歴史であるとまでいわれておるわけでありまして、戦後において、昭和二十七年に四割操短が指示せられまして、このときに御承知通り約五万以上の労働者帰休制度という制度によりまして職場を離れて故郷へ帰ったのでありますが、なおそれでも、過剰生産を押えることができずして、昨年また通産省は一割二分の操短を指示せられて、今日はそれが四分になっておりまするが、続いておるという、こういう現状であります。それで私どもの察知するところによれば、こういう戦後の繊維産業の混乱を除却するために総合対策審議会というものを作って、このような操短を繰り返さないで、繊維産業全体の安定策立てるということが主眼であったのではないかと思われます。しかるに、そこから出てきたものは重点的の御意見は答申せられたと言うておりまするが、具体的に現われて参りましたのは、わずかに本法案の、設備制限という結果にすぎないと思うのですが、私のお尋ねしたい点は、このような設備制限ということだけをもって繊維産業安定策立てることは不可能ではないかというふうに考えられます。単に生産過剰を押えるという立場から考えてみましても、過剰の機械だけを制限すればそれで過剰生産を押えることを当局はお考えになってこれをお立てになったのか。たとえば設備は減らしても、残った設備回転率操業度というものを考えなければ、これは過剰生産を押えることはできないのではないかと考えまするが、この点について、当局のお考えはどういうお考えでございますか。
  11. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 繊維需給調節対策一つをとらえましても、確かに設備制限だけでは効果を全うすることはできないのでありまして、これは先ほど申しましたように、万やむを得ざる場合には行政措置としての操短勧告というものも考えていかなければなりません。またそういう勧告をいたします際には、ただいま申し上げました回転率の問題もありましょうし、その他いろいろの操業上の問題についてもできるだけ考慮に入れて勧告をいたすということが必要ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  12. 上條愛一

    上條愛一君 なお私は本法の制定と同時に繊維当局としてお考えを願わなければなりません点は、これは日本繊維産業輸出関連のある問題であります。御承知通り・すでに戦後において、アメリカを中心にして、日本繊維製品輸出制限しようという具体的の現われが出てきております。これはいろいろ原因はありましょうけれども、主として日本繊維製品というものが値段を安くして、いわゆるソーシャル・ダンピング的に国外に輸出せられる結果、自国の繊維産業がこれによって圧倒されるという憂いがある結果として、日本繊維製品制限問題が起きておると考えます。これはすでに昭和八年にチープ・レイバー・ソーシャル・ダンピングという問題が起って、日本繊維産業関税障壁にあって、非常に苦境に立ったわけです。そこでわれわれが、正常なる輸出という、この第一条に明示してありますが、もし通産当局が正常なる輸出を促進するという立場をとられた場合において、この日本輸出が阻止せられるという原因がどこにあるのかというお考えでありますか。
  13. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) わが国労働賃金が、特に絶対額においてアメリカ、あるいは主たる西欧諸国に比べて格段と低いことは事実でありますが、これはわが国物価あるいは食糧の価格、その他いろいろな点の考慮も払わなければ、直ちにその価格だけで論ずることも困難かと思いますが、むろん低い賃金水準ということが繊維製品輸出にも相当影響しておるということは事実でありまするが、特に最近のわが国輸出で、各国で問題になっております点は、やはり過当な輸出面における競争によって、当初の比較的安い値段をさらに売りくずしていく、そうしていたずらに数量のみが増大して、相手国の市場を欄乱し、あるいは相手国競争業者を不安に陥れるというところにあると思いますので、賃金水準を高めることはもとより、生産向上必要性と相待って必要でございますけれども、それが当面の問題として、輸出面における過当競争を防止することが必要であります。またその他さらにさかのぼっていえば、輸出品生産調節、こういうような需給面根本的対策立てることがここに必要になる、その一環として今の設備制限考えた次第でございます。
  14. 上條愛一

    上條愛一君 小室局長お話で、日本繊維製品が国際的に過当競争をしているということについては、後ほどお尋ねする機会があると思いますが、私のことでお尋ねいたしたい問題は、名目賃金だけをもって日本賃金チープ・レイバーだと私は断定はいたしません。しかしこれは名目賃金だけではなしに、実質的に考えてみても、日本繊維産業労働者賃金は、英米その他の繊維産業国に比すれば、チープ・レイバーであることは間違いはない。同じように考慮を願いたい問題は、労働時間の問題であります。すでに局長御存じだと思いまするが、フランスあるいはイギリス等においては、すでに繊維産業労働時間というものは四十八時間よりもはるかに短縮されておるんです。そこで繊維局長としてお考えを願いたかった問題は、操短を指示せられる場合、あるいはこういう設備制限の問題を考慮される前に、過剰生産を除去するための一つ方法として労働時間を考えるのが当然ではなかったかと考えるのであります。これは操短の御指示のあった場合においても労働者側から強く要望したところでありまするが、御承知通り、現在の繊維産業労働者のうちでことに婦人であります、これらの人々は労基法の六十二条によりまして夜十時以後の深夜業ばやれないということにきまっております。しかるにこれを第二項において緩和されまして、当局許可が得られるならば十時半まで延長することができると、こういうことになっております。十時以後の労働がいかに労働者の健康に悪影響を及ぼし、また能率にも影響を及ぼすかということは、御存じ通りでありますので、私どもといたしましては、過剰生産を押える方法として第一にとらるべきものは、この労働時間の短縮によってまず生産制限をできるだけ行なって、なおしかる後にこれを押えることができないということであれば、その上で機械設備制限というものも考慮せられるのが順序ではあるまいかと考えるのでありますが、この点についてどうお考えになるのか。
  15. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) まあ労働秩序が維持せられ、特に労働基準法規定が守られなければならぬということは、これは当然でありまするが、その範囲内でいかなる労働条件操業をやりますか、この問題は、第一番にはやはり当該企業労働者側との間の話し合い、協約その他によってできるだけ合理的な労働条件をきめていくということが望ましいんではないかと思います。しかしながら、もちろん操短勧告等をいたしまする場合には、これらの点も十分考慮に入れて行政措置を実施していきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。
  16. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ただいまの問題は、あれじゃないですか、政策の問題だから大臣から御答弁願った方がいいんじゃないですか。
  17. 上條愛一

    上條愛一君 大臣でけっこうです。  なおそれでは大臣にお尋ねいたしますが、この問題は私がなぜ強く要望するかというと、これは日本繊維産業が国際的に正常なる発展をするためには、どうしても日本繊維産業というものは不当競争ではないという立場を漸次に明確にしていくということが必要だと思うんです。それについて、賃金がまあテープであるかどうかということについては、今局長もおっしゃる通り物価の問題もあり、生活程度の問題もあり、名目賃金だけをもって、イギリスの五分の一であり、アメリカの十分の一であるから日本繊維産業労働者は低貸金だと、こう機械的に私は断定したくはないのです。しかし、少くとも労働時間という問題は、これは明確な標準になり得る問題だとわれわれは考えているのです。そこで日本繊維産業としては、明確に標準となる労働時間に対しまして、でき得る範囲においてこれを短縮して、日本繊維労働者チープ・レイバーではないんだと、不当競争立場に立っているんではないのだということを明確にする必要がある。それについては、いたずらに私ども産業実情を無視して時間を短縮せよなどということを要望はいたしません。しかし、少くとも労働基準法において明記せられておって、通産省がただ労働省除外規定として認容しておるこの十時から三十分の労働時間を短縮するということは、これは労働対策として、いわゆる過剰設備一つ制限方法としても、また日本繊維産業が国際的にチープ・レイバーではないのだと、不当競争ではないのだという立場を明確にする一つの重要なポイントであるのではないかと考えまするので、何がゆえにそういう重要な問題をそのままにして単に設備制限だけをやられるかという点をお答え願いたいのです。
  18. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) まあ日本チープ・レイバーということはいろいろ原因があるでありましょうが、繊維産業だけでなく、全体の日本産業自体プロダクティビティ、ことに農業方面プロダクティビティの問題に関連するのだと思いますが、賃金のどれが……、プロダクティビティが低くて、そうしてノミナル・ウェイジスが低いのは、これは当りまえの話ですから、それを必ずしもチープ・レイバーとは言えないのでありましょうが、そういう点はむずかしい問題で、容易に論断ができませんが、まあ今のお話のように、生産制限をするときにまず労働時間の問題を考えるということは、非常にごもっともなことと存じます。ただまあその際にも問題は、同じ繊維産業の中でもいろいろの等差がありまして、たとえば相当の大きな繊維産業であるなら労働時間の短縮も可能であるけれども、その場合においても、非常に零細な織機などをやっておるというような方にはなかなか労働時間の短縮ということが今の状態ではまだやれないと、これも漸次整備していかなければならぬと思っておりますが……というようなことで、労働時間の原則に触れますと問題が非常に厄介になりますので、まあ実をいえばそこを避けて、生産制限の場合もまずやりよい機械設備の封緘とか何とかいうことに行っておるわけでありますが、しかしお説は非常にごもっともでありますから、なおそういう点についてどれだけの実行ができますか、一つ研究はいたしたいと思っております。
  19. 上條愛一

    上條愛一君 この問題については、通産省としても、これは労働省所管の問題でもありまするから、よく労働省とも緊密な御連絡のもとに、近き将来においてこの問題についての対処を願いたいと思います。  それからその次にお聞きいたしたい問題は、今度の機械設備制限の問題は、いずれ新しく設置される審議会において具体的のことは討議決定を見られると思いまするが、その基準になるものは、本法によりましても、昭和三十五年における繊維製品需給見通しの上に立ってこれを行うと、こういうことになっております。そこで私の大臣にお尋ねしたいのは、この三十五年の繊維製品需給見通しということになれば、これはむろん繊維産業全体をにらみ合せて考えなければならないと思いまするが、たとえばこの昨年の八月に設置されました繊維産業総合対策審議会にも、生糸部門製糸部門がお入りになっておったかどうかということでございます。
  20. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 生糸は入っておりません。
  21. 上條愛一

    上條愛一君 そうすると、やはり今後繊維産業全体の需給見通しというようなことをお立てになる場合においては、やはり生糸のことも考慮に入れるのは当然であろうと思います。そこで大臣にお尋ねしたいのは、一体今日その生糸生産部門というものが、依然として農林省所管になっておりまして、通産省所管になっておらない。これは主たる原因は繭が農林省所管である、こういう建前に立って、農林省所管にずっと因習的に続いておるのではないかと思いますが、今日すでに繊維産業全体としての総合対策立てなければならないという場合において、通産省において総合対策立てる場合に、生糸部門はその所管にない、そしてこれを加えて総合的の対策立てられないというようなことでは、これはほんとうの総合的の対策が立たぬのではないかと思いまするが、これは通産省だけで決定のできない問題と思いますので、大臣が閣議その他等において、行政機構改革の問題もありまするこの際に、少くとも生糸部門農林省所管から通産省所管に移す、そして総合的の対策立てるということが妥当の策ではないか、単に原料が農林省所管であるから、依然としてその生産部門まで農林省に置くということは、すでに麻部門においても麻の多くは農林省所管でありまするが、麻の生産部門はすでに通産省に移っておる、こういう実情であります。従って、すみやかに、私の希望としては、この生糸部門通産省所管に移して、そして行政機構改革立場からいえば、こういうことをなわ張りを払って実行するということが行政機構改革一つポイントであると考えまするので、ぜひこれは近き将来に御努力を願って、そのような処置を講じていただきたいと思いまするが、いかがなものでございましょう。
  22. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ただいまはお話のように農林省も大体やっておりますし、今もって輸出などについては通産省もこれに関与して努力いたしておりますが、これはまあできれば全体の繊維として、もっとも今は生糸は同じ繊維の中でもやや立場が戦前と変っておりまして、特殊の観点から考えなければならぬのでありますが、それにしても、もし行政機構改革をする場合には農林省よりも通産省所管するのが適当だと考えておりますから、そういうふうな話はいたしたいと思います。
  23. 上條愛一

    上條愛一君 次に、先ほどの大蔵、商工連合審査の場合にも出た問題でありまするが、当然この法案を提出する場合において関連産業立場考慮しなければならなかったということは、これは当然だと思いまするが、ただ、二十五条には「関連事業者の利益を不当に害するおそれ」がないようにしようというばく然たる規定だけでありまするが、実際的の処置として、これは百貨店法と同様に、このような法律が準備される場合においては、これはその法律の施行されない前に設備を作ろうということは、これは当然行われる事実だと思いまするが、そういうことを予想せられたかどうかということをお尋ねいたしたい。
  24. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 遺憾ながらそういうことが起るであろうということは予想しておりまして、実はそれに幾らかでも水をかけたいという気持で先ほども申しましたが、新増設綿紡織設備あるいは毛の紡織設備については、これは原綿原毛は割り当てませんよということを通牒で明確にして、また各種の機会にそういう警告的な話をして参ったわけでございます。
  25. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  26. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 速記をつけて下さい。
  27. 上條愛一

    上條愛一君 それは単に設備制限を実施した後におけるその対策ということでなしに、関連産業がこの法律を実施する暁において直ちに当面してくる問題について相当な考慮を払って処置をしておくべきであったと、こう私ども考える。ということは、今日の実情はすでに局長も御承知通り発注が殺到しているときに、現地で。そうするというと、この法律を実施しようとするときには、すでに莫大な設備が新たに生じているということなんですね。しかもこれは防ぐことができない、こういうことです。それからまた、そのような現実から生まれてくる場合に、この法律を実施したらば、局長の憂えられるように、機械メーカーの方は直ちに相当な痛手をこうむって労働者失業者を出すということが明確にこれは予想せられるわけですね。そういう点について、あらかじめ考慮を払われて対策立てられたかどうかということなのです。
  28. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 先ほど申しました繊維産業総合対策審議会においても、今のいわゆるかけ込み増設、あるいは紡織機工業に及ぼす影響、これは取り上げて議論もされておりましたし、また答申をお読み下さればわかりますが、特に関心を払い、注意を払うべき事項として答申の中にも載っているわけでございます。ただまあ私ども、この程度の規模において、かけ込み増設が行われるということは、実は程度の問題として予想を越えた増設が行われている感じであります。で、昨年あたりに比べましても非常に機械工業が一時的に活況を呈しておりまして、まあ元来が景気、不景気に非常に影響せられ、山があり、谷がある工業ではありますけれども、この異常な活況のあとで谷間ができるというおそれは相当あります。先ほど来申すように、設備更新等をできるだけこの時期にやってもらうことを繊維工業の方に協力を求めるということでありますし、また繊維工業の方もこの事情を了としておるのであります。なおこの紡績設備全般に実質的な許可制を適用するわけではありますけれども合成繊維設備等は今後とも新増設を当分無制限に認めていきたいと考えておりますし、また綿紡以外のものについては需給の状況をよく見て新増設認むべきものがあれば、これは認めていきたい、こういうことで、要は絶対的な設備の禁止ではなくて、秩序のある新増設を認めていきたい、こういう考え方でございます。
  29. 上條愛一

    上條愛一君 もう一点だけお尋ねしたいのですが、この繊維産業総合対策審議会のメンバーには機械メーカー並びに従業員の諸君の代表は出さなかった。また出ることを希望しない向きもあったから出さなかった。これはわかりますが、それならばこの設備制限法を出そうという以前において、それらの機械メーカー並びに従業員人々と御懇談を願って、あらかじめそういうことについてのお打ち合せをなさったかどうか。
  30. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 機械メーカー方々とは、これは非公式にではありますが、協会の理事会その他の席でその審議会審議経過なり、あるいは法案の立案の経過なり、まあ毎月一ぺんくらいは連絡をしておるような形でございまして、これは非公式の連絡でございます。まあ労働組合方々とももう少し——法案提出が近づいてからではありますが、いろいろな機会に懇談いたしております。
  31. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 今のにちょっと関連して。関連産業としての機械メーカーの数、それからそれに関連する下請業者の数、これらで働いておる従業員の数等を一つ詳細にお聞かせを願いたいと思います。
  32. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) これは資料一つ……。
  33. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) それでは資料が出てから御答弁願いたいと思います。
  34. 加藤正人

    加藤正人君 過剰設備がありますために過当競争が行われるのでありまして、その安定をはかるというためにはどうしても過剰設備の処理をしていかなければならない、これは当然の話でございます。今日の繊維産業の持つわが国の重要な輸出産業としての地位から見まして、この安定方策を進めるということは、一繊維業界の問題でなく、広く日本国民経済の問題だと思いまして、これは今さらちょうちょうを要しないところであります。この種の立法化がはかられた意義はまことに大きなものであります。こういう観点から見ますと、この法律はまだ十分とは申しがたいように思われるのであります。しかし、いかに不十分であっても、もしこれが不成立に終るというような場合がありましたときには、先ほどお話にありました通り、いわゆるかけ込み増設等のためにかえって設備が増加し、とかくこの前の織機の場合でもこういう規制が行われるというと、必ずその前に相当数量がふえるようなことがありましたので、今度もこの法律がもし不成立に終ったような場台におきましては、そういう弊害のみが残るというようなことから考えますと、とにかくこの法案は早急に成立しなければならぬということを痛感するわけであります。そういう意味から御質問を数点について申し上げたいのであります。  最初に登録に関する問題であります。登録の対象となります設備は精紡機と織物幅出機だけで、通産省令で定めてある技術上の基準に適合しておればそれでよいことになっておるのでありますが、ここに言うところの技術の基準というものはしからば何ぞや。たとえば紡績部門における前紡工程等はたとえそろっていなくともそれでいいのかということが問題であります。事務当局の見解では運転可能状態、運転可能ということを建前としておりますから、運用上は前紡工程等を考慮するとしているようでもありますが、これをどの程度に認定するのか、もし一連設備の十分そろわない精紡機が過剰設備の処理に当って基準錘数に算入されるというようなことになりますと、一連設備のそろった既存設備とこれを比べました場合に、これはまあはなはだ不公平なことになるのであります。かけ込み増設の問題と関連をいたしまして、これは重要なポイントであると思うのであります。この辺のところを具体的にどうなっておりますか、御説明を願いたい。
  35. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) お示しの通りに、運転可能な設備でなければなりませんので、綿紡その他前紡工程から一連の設備がそろっているものでなければ工合が悪いわけでございます。大阪、名古屋等においてこの法案準備中に各業界の方とお話したときにも、精紡機だけを工場でもって並べてそろってもそれは認めにくいですよということははっきりお話して参ったわけであります。
  36. 加藤正人

    加藤正人君 しからばそれはいわゆる一連の首尾一貫した設備であるかどうかということを確認するための検査は前もってやるということになりますか。
  37. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) その通りであります。
  38. 加藤正人

    加藤正人君 次はこの合成繊維育成の見地から、別表第三によりますれば、合成繊維を三〇%以上含む場合にはその相手方繊維のいかんを問わずスフ紡以外の紡機であればいかなる区分に登録した紡機でも紡かれることになっております。従って、たとえば合成繊維や毛の部門等でも合成繊維が三〇%以上含められれば、綿の混紡は自由となるのであります。これは綿製品の需給調整を乱すおそれがあるのでありまして、これら部門に対して自然馴致されるところは、みだりに白山原綿の範囲を拡大するような結果になりはせぬか。これがまあ心配であると思います。その点はいかがでございますか。
  39. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 合成繊維のただいまの問題をどういうふうに取り扱うかについては実は審議会でもいろいろな議論がございまして、最後までなかなかまとまりにくかった点でございますので、まあ今日の実情といたしましては、合成繊維はやはり三〇%程度の混紡以下のものが大部分でありまするので、合成繊維の需要を開拓して合成繊維の育成をはかるというような見地も考慮に入れて、ただいまのような規定をいたしたわけでございまするが、他面において原綿の割当等の運用においてただいま御質問の点の弊害の点も出ないようにいたして、その間の調整をはかっていきたいと考えておるのであります。
  40. 加藤正人

    加藤正人君 そういう憂いのないような処置をとることができるお見通しなんですか。
  41. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) ただいまのところはそういうふうに考えております。
  42. 加藤正人

    加藤正人君 それから登録に当ってどの区分を選ぶべきか、どの村という言葉が用いられて通用しておりますが、選ぶべきかということが自由選択になっておるのでありますが、建前としては一応これはけっこうだと思うのでありますが、本法の制定に伴いましていろいろの思惑を生じましてそこに若干の混乱が起る可能性がないではないと思います。そういう次第で、いざ第一次の登録を終ってみてその結果を見ると、非常に意外な現象がそこに現われてくるということがこれはまあないとも限らぬのであります。そこで第一次の登録に当っては、まず現有設備そのままを、一応設備そのままの姿で登録するというやり方の方が何か安全性があるようにも思うのですが、そういうように行政指導を行われるおつもりはないでしょうか、この点伺います。
  43. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 先ほど申しました繊維産業総合対策審議会等において需給計画を検討いたしまして、設備の最も過剰であると思われるものは綿紡であり、またそれに次ぐものが毛紡であるというようなことでありまして、これははからずも原綿、原毛の割当制を実施しているものでもありますので、私どもはそれらの外貨割当の運用といたしまして、過剰であるこれらの設備が今後のかけ込み新増設によってふえてもこれに対しては外貨割当をいたさないということを通牒も出し、またいろいろな機会に当該業界に周知徹底せしめておるわけであります。そういう意味行政措置等はいたしておりますが、同時にまたどの村に自分の紡機を所属させるかということはやはり自由意思にまかしたい。従って原綿、原毛の割当をもらわない覚悟で登録を申請いたしてくるものに対してはあえてこれはかまわない、こういう形になっております。
  44. 加藤正人

    加藤正人君 この過剰設備処理の問題でありますが、過剰設備の処理に関しまして通産大臣の行うところの共同行為の実施の指示でございますが、指示は法律上の効果といたしましては単にこれに基く業者の共同行為が独占禁止法違反にはならないという点だけにとどまっております。直接的にはこの共同行為を何ら強制する力がない。このような強制力のない指示によりましては業界全体が一致して共同行為を実施することは実はなかなか困難であるようにも思われるのであります。もしこのように強制力のない指示によっては実効をあげ得ないといたしますれば、この法律は本来の目的に反して結果的にははなはだ皮肉にも百万錘とも称せられるかけ込み増設を招来したということになるだけでありまして、かかる業界の動きははなはだこれは嘆かわしい次第でありまして、それほどさように業界内部の利害は複雑であります。従いまして業界だけの話し合いではなかなか問題の処理はむずかしい。その意味で共同行為の内容に立ち入ってまでも、通産大臣の指示するところがあるのでありますから、指示に反するものは断固登録を取り消すとか、あるいは何らかの形で強制力を持たすという必要があるように私は思うのでありますが、この点いかがお考えになりますか。
  45. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 過剰設備の処理を最も能率的にかつ敏速に行います見地から申せば御説はまことにごもっともでございまするし、また現に中小業者の織機の整理についてはそういう趣旨から衆議院で原案を修正されて強制命令の道を開かれたわけでありまするから、そのかね合いから申しますればあるいは紡機についてはもう少し強い政府の態度が望まれる、そういう御趣旨はまことにごもっともでございますが、私どもといたしましては少くとも当初の法律原案といたしましてはこれは関係業者の十分なお話し合い、また政府側の行政指導を加えて、そうして実質的な共同行為、しかしながら大綱は政府が審議会ともはかり、また業界ともよく話して相当実効上必要な大綱はすべてこれを盛るということで参りたい。つまり共同行為の勧告は……、指示は、勧告ではございませんけれども、行政指導でできるだけ実効を上げて参りたい、こういう考えでございます。
  46. 加藤正人

    加藤正人君 局長見通しはまあ何とかこれぐらいで行けるというお見通しと思うのでありますが、いろいろな前例によりましてもなかなか私はこれはどっちかというと楽観に過ぎるようにも思われるのであります。しかし楽観に過ぎると言ったって実際それはあるいは杞憂に属することもあり得るのでありますから……。しかしこれはこの法律の骨子でありますから、この点がもし局長考えられるような結果にならなかった場合にはこれは非常に重大であります。で、やりました結果、もしあなたの予測に反するような状態が現出いたしました場合には、そのときにおいても何か実効の上るような方法を将来のために再検討するというようなお考え、あるいは御用意がありますかどうか。
  47. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) ただいまの実効上の御懸念は私まことにごもっともな点だと思うのでありますが、しかしながら私どもといたしましては最初からとかく官僚統制と非難されるような政府側の原案を押しつけるということはできるだけ避けたい、できるだけ業界の自主的な話し合いということを一方で尊重し、また同時に審議会の意見も参酌して行政指導する、そういうことでまとめて参りたいということでありますが、むろんその実効が私どもの予期に反して十分上りません場合には、この法案の内容、あるいは運用等について十分再検討して参らなければならないと思うものであります。
  48. 加藤正人

    加藤正人君 次に共同行為の指示でありますが、共同行為の指示は中小企業安定法に基く登録織機についてもなされるわけでありますが、この場合紡績兼営業者と織布専業者とを含めた一本の共同行為とするかどうかの問題であります。これは中小企業安定法そのものについても言える問題でありますが、兼営業者と専業者とは業態も違いますし、共同行為を実施するための事情も全然違うのでありますから、その取扱いは別個にすべきである、かように思うのでありますが、御見解はいかがですか。
  49. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) これはお話のごとく中小企業安定法に基く生産制限等を実施する場合にも同じような問題がございまして、この調整の規定等は一応一本にして、一つの同じ原則で生産制限等をいたす、あるいは設備制限をいたす、設備制限が特にそうでありますが、設備制限も同じような原則でいたすが、実際の実施面において兼営の部分、それから専業者の部分とが両方とも実情に即した運用になりますように関係団体とも話し合い、またその線で行政指導をいたしておりますから、今後も同じような考え方でいきたいと思っております。
  50. 加藤正人

    加藤正人君 次に操短に関する問題でありますが、過剰設備の処理は漸進的に年を追う建前となっておって経過的にはなお過剰状態が存在することになる。従って自然時に応じて操業短縮問題が起ってくる可能性がある。この意味において本法において操短に法的に根拠を与えておくことが望ましいと思う。当初案にはそのような考え方が盛り込まれておったように承わっておるのでありますが、この原案にはそれが引っ込められております。この点あらかじめ公正取引委員会あるいは法制局との間に何らかのお話し合いがあったようにも聞き及んでおるのでありますが、この辺のことはどのようにお考えになっておりますか、参考までに承わっておきたいと思います。
  51. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) お話通り当初の政府原案には操短勧告を法的に裏づける規定がありました。しかしながら公正取引委員会等との話し合いに際しまして、独占禁止法自体についても改正の問題がいろいろ検討されている際でもあるし、この生産制限の共同行為というものを勧告するという規定はその関連からいってもこの際法制化することはいかがか、これは法制化を絶対に必要とするものであればまた別でありますが、従来行政行為、行政的な措置といたしまして勧告操短を実施して参りました。それで別段法制的にいえば支障がないということであります。もちろんそのほかにも操短勧告の法的な裏づけについての反対意見も二、三ございましたが、それらの点も参酌いたしまして、とりあえずは行政措置として必要やむを得ざる場合には操短勧告をやるという話し合いでこのような原案となったのでございます。
  52. 加藤正人

    加藤正人君 例のかけ込み増設分に対しまして、これに対する措置といたしまして原綿割当その他何らかの取扱いを考えておるということのように聞いておりますが、いかなる場合においても正直者が損をするというようなことのないようにこれはぜひお願いしたいと思うのですが、この点をはっきりと承わっておきたいと思います。
  53. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) この点は繰り返して申しますように、大阪、名古屋等において業界人等との懇談会においてもはっきり誤解のないように申しております。まあ関係者としては関心事でありますので、そういう点についてかなり繰り返し質問を受けましたけれども、先に出した通牒はこれは厳守するつもりでおりますという答弁をいたしております。
  54. 加藤正人

    加藤正人君 最後にもう一点承わりたいのでございますが、過剰設備の買い上げ価格につきましては、多分審議会において決定されることになるのではないかと思うのでございますが、大体の目途といいますか、目安として政府はどの程度のものを考えておられるのでありますか。これは先ほども何かお話があったようでありますが、われわれの心配するところは現在あまり余裕のない、中には税金すら満足に納め得ないような中小織布業者にとっては、若干の政府補助があるとはいうもののその賦課金は相当に負担になると思うのであります。あるいはこれにたえ得られないようなところもこれは出てくることと想像されます。そういたしますと賦課金を出し得るところも出し損だというようなことをおそれて、これを自然出し渋るというような風潮になってきて、結局過剰処理もできないことになりはせんか、政府からは補助金をもらっておる、しかし受益者である業者の賦課金が集まらぬというような結果になってはこれははなはだ不面目であると言って、この点について政府で何か強制措置がとれぬものかということを力説していたところの中小企業団体の幹部もあったのであります。政府はこの点をどのようにお見通しになっておりますか、一応承わりたい。
  55. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) 過剰設備の最も顕著な織布部門は同時にまた負担力の少い中小企業が圧倒的割合を占めておるものでありまして、お話の困難な問題が生ずるということは十分予期しておるわけでございます。従いまして私どもといたしましては法律公布後においてまず各地における織機の状況をよく調べまして、どの程度価格のものが大体どのくらい適用せられる見込みであるかということを   〔委員長退席、理事具根登君着席〕 さらに具体的に調べまして、そこに生ずる資金の需要、それからまたスクラップの価格がどの程度になるか、それからまた政府の補助金、大体一台当り一万円ぐらいになりますか、これらの計算をいたしまして業者の負担金がどの程度になるかということを検討いたしまして、しかる後に具体的に負担金の取り方をきめなければなりませんが、私どものただいまの感じでは製品の検査の際に負担金の徴収をするのが一番実際的ではなかろうかというふうに考えております。  なお今の強制的な手段が必要ではなかろうかという業界の意見につきましては、先ほども申し上げましたように、衆議院の方でそういう過剰設備の処理命令ができるような道を法制的に修正の結果開きましたので、まあ、万やむを得ざる場合にはこの方法もとらざるを得ないかと思います。いずれにしても負担能力をあまりこえない合理的な負担金の額をきめなければならんかと思っております。
  56. 加藤正人

    加藤正人君 これで終ります。
  57. 苫米地義三

    苫米地義三君 この一点だけ伺いたいのです。それはアメリカ繊維業者が日本繊維製品の廉売について非常な物議を起しているということでありますが、国内における機械の過剰によってストックができた、そのストックのダンピングというふうな一時的な問題であったのか、あるいは恒久的に日本の製品は安いということであるのか。その原因と、それからあのトラブルの見通しをちょっとこの機会に伺いたいと思います。
  58. 小室恒夫

    政府委員小室恒夫君) ここ一両年アメリカに対しまして綿布、特にブラウス等が急激な勢いで輸出が増加いたしまして、これが御指摘の通り先方の競争業者等から物議をかもしているわけでございますが、その原因はいろいろございまして、日本側で綿業が比較的不況の状態にあって原反を安く提供をした時代に特に伸びてきたということも事実でございます。また個々について申しますと、ブラウスなどは最初試験的に輸出したものがクレームがついた、それを地方で安く売った、ところがこんないいものがこんなに安い値段で売られたのかというので急に需要が集まってきたというようなちょっと奇妙な現象もその間にはございます。アメリカの景気が非常によろしいということ、それからまたガットの問題等にからんで関税の引き下げが行われたことも若干の影響がございます。いずれにしても非常な勢いでブラウス等が伸びたことは事実でございます。ところで今後の見通しでありますが、今年あたり綿布は先方の示唆もございまして年間一億五千万ヤールということに自粛自制措置をとったわけでございますが、綿布の品種別の流行の変遷もございますし、それから御承知の綿糸布が高いものですからその面で競争力がないという事情も幾らか生じておりますし、実を申すと一億五千万ヤールのワクまで達しないのじゃないかという今年の見通しでございます。それからブラウス等についても少し行き過ぎて何と申しますか、品だるみというか、やや向うの、日本品の供給過剰になっているような影響もございます。しかしながらアメリカのマーケットは非常に広いマーケットでございますので、他面において私どもが数量制限をしていない品種で相当輸出がふえているものがございます。通じて申せば綿製品の市場はやはり漸進的に拡大していくかと存じますが、ただ遺憾なことは、どこかの業者が相当努力してある品種の市場を開拓いたしますと、他の業者がもっと安値でもってこちらからオファーするというか、いろいろ運動をいたしまして、結果において非常に値くずしになる、また品物も悪くなる傾向がありますので、この辺が私ども対策の最も苦慮している点でございます。不十分でございますが……。
  59. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  60. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 速記を起して下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会