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1956-04-20 第24回国会 参議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十日(金曜日)    午後二時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            西川彌平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            古池 信三君            高橋  衛君            苫米地義三君            中川 以良君            深水 六郎君            海野 三朗君            上條 愛一君            小松 正雄君            藤田  進君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    中小企業庁長官 佐久  洋君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      鳩山威一郎君   参考人    日本開発銀行総    裁       小林  中君    中小企業金融公    庫総裁     坂口 芳久君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立方策に関する調査の件  (産業金融に関する件) ○中小企業振興資金助成法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 阿具根登

    理事(阿具根登君) それではただいまから委員会を開きます。  日程に追加して、経済自立方策に関する調査の一環として産業金融に関する件を議題といたします。  本件に関しましては、事務局の手落ちで、本日の公報に記載漏れとなっておりました。委員長としては、まことに遺憾に存じますが、御了承願いたいと存じます。  なお、本件については、かねてより海野委員より開発銀行総裁の御出席方を毎々御要望になっておりましたので、本日開銀総裁出席をわずらわしました。小林開銀総裁参考人とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿具根登

    理事(阿具根登君) それではそのように決定いたします。  海野委員に申し上げますが、小林参考人は、本日御多忙なところを、まげて御出席願いましたので、他の会合の都合で、時間が著しく制約されておられるそうでありますので、その点御考慮の上、さっそく質問に移っていただきたいと存じます。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 開銀総裁小林さんにお伺いいたしますが、今日の新聞報道によりますると、あなたの談話として、当面開銀基準金利区分を引き下げることは民間銀行を圧迫するおそれがあって、政策的に引き下げるよりも、自然の成り行きを見た方がよいと言われておるようでありますが、日本開発銀行法によりまするというと、貸付利子というものは、開銀が赤字にならぬようにきめるのであって、利益をあげろという規定はどこにもない。しかも資金コスト一般民間銀行より安いのだから、当然なるべく貸付利子は安くすべきだと思うのでありますが、通産省から、民間貸出金利の低下を理由に、開銀基準金利を八分に一分値下げを要求した。それを断わられたようでありますが、これは開銀法趣旨に反しているのではないかと思うのであますが、これはいかがなものでございましょうか。
  5. 小林中

    参考人小林中君) ただいまの御質問でありますが、御承知通り開発銀行は、金融の方式が、民間金融補完奨励をするという建前をとっておるのであります。従いまして開発銀行が、創立当時におきまして、基準金利年一割の決定をいたしましたのは、その当時の市中金利というものを勘案いたしまして一割にきめたような次第であります。従って今日開発銀行基準金利あり方というものは、私どもはやはり市中金融現状を脅えていくべきだというふうに考えております。と同時に、金利というものは、自然、金融実態影響がありまするので、あまり基準市中金融よりは低いところにあります場合には、開発銀行に対する産業資金の需要というものが非常に多くなってくる。それは本来の開発銀行使命でありまするところの市中金融補完並びに奨励という意味ではないのでありまして、むしろ競合をするごとき形になるのではないかということを私どもは十分考慮して考えなければならぬと今考えておるのであります。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、開銀市中銀行とにらみ合せて、利益をあげようというお考えなのですか。
  7. 小林中

    参考人小林中君) 開発銀行はおっしゃる通り使命に立っておりますので、ことさらに利益を追求するという考え方一つもありません。しかしながら市中金融補完し、奨励をしていくという使命を持たなければならぬのであります。従って市中金融競争をしていく、競合をするということは慎んでいかなければいかぬというふうに今考えておるのであります。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 開発銀行融資は、民間銀行融資とは趣きを異にしておられるように私はお見受けしておるので、どこにもここにも貸すというような方向にいっていない。ワクをみずからきめてやっておられるのでありますから、そうしてわずか、ばかりの金を融資しておるのではないから、さらに銀行を、圧迫するというようなことは理由にならないと私は考えるのでありますが、その辺はいかがでありましょうか。たとえば電源開発にいたしましても、あるいはその他にいたしましても、わずかの金ではないのであって、市中銀行に対して影響が及ぶとは私ども考えられないのであります。それをただいま総裁お話によると、市中銀行を圧迫してはならないというようなことをおっしゃられるが、どうもはっきりいたさないのでありますが、銀行と同様に貸していらっしゃるのか、ワクを定めておやりになっておるのではありませんか。
  9. 小林中

    参考人小林中君) 御承知のように、開発銀行資金融資現状を見えますると、電源開発資金、あるいは船舶建造資金というものが融資の大部分を占めておりますので、こういうものは、これも十分御承知だと思いますが、開発銀行におきましては、特殊金利という制度を設けまして、これは金利的特別扱いをいたしておるのでありまして、そうして他の一般産業資金というものが基準金利を適用されておるというふうな現況であります。従いまして他の一般産業に対しましては、やはり市中金利というものを一応勘案をいたしましていくべきであるとただいまは考えておるような次第でありまして、決して決して開発銀行が高利を貸そうとか、あるいは利益追求をいたそうとかというふうな考えは毛頭ありませんので、昨年の八月、各特殊銀行金利引き下げをいたしました場合におきましても、開発銀行は率先いたしまして、一割を九分に、一応大幅に引き下げておるような次第であります。今後におきましても、決して開発銀行が現在の金利を堅持しようというような考え方一つもないのでありまして、ここしばらく金融の情勢をにらみ合せて、十分慎重に考慮いたしたいとただいまは考えておるような次第であります。通産省からは、まだ開発銀行に対しまして、何らここまでの意見の御開陳も聞いておりませんのでありますが、しかし通産省の御意思のあるところも私どもよくわかりますので、そういう意味通産省御意忠に沿うようなことも、あるいはできるではないかとも考えます。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 この開銀利子を安くすると民間の圧迫が大きいというようなことをおっしゃられますけれども、何ゆえに民間銀行気がねしなければならないのでありましト一うか。政府資金を動かすのに、ここまで気がねをする必要もないのではないか、こう考えられるのですが、欧米諸国よりもきわめて割高な金利のために、いろいろな支障がある際でありますから、この際思い切って率先して金利を下げ、産業活動を一そう活発化されるような手段をなぜょうか。あなたが民間銀行気がねをしておるというのは、大蔵省銀行資本の手先になっているように見えるのでありますが、同じ銀行屋でも、あなたのところはあくまで政府機関でありまするから、その趣旨で進むべきものではないのでありまし、^うか。その点をお伺いいたしたいのです。
  11. 小林中

    参考人小林中君) 先ほども申し上げましたように、開発銀行使命は、民間金融機関補完奨励使命としておるのでありまして、民間金融機関競争をしていくというふうな立場はとらないということが基本的な問題だと思うのでありまして、そういう点からいきますると、やはり金利というものを、応民間金利というものを土台にいたしまして、それを基礎開発銀行金利というものを勘案していきたい。ただし、政府が特別に保護奨励をすべき業種であるというようなものに対しましては、先ほど申しましたように、特別金利というものを現在適用しておるのであります。さよう御了承願います。
  12. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話では私は納得いかないのは、あなた方が今まで貸してやるというところにはワクがございましよう。一般にどこへでも貸すというのではないのでありませんか。それでありますから、普通の銀行が及びもつかぬようなところの何億という金を動かされるのであるからして、銀行屋を圧迫するという、ふうには考えられない。ワクをお持ちになっておるはずだと思うのでありますが、どうなんですか。いつでもそれをお貸しになっているのでありますか。
  13. 小林中

    参考人小林中君) これは御承知のようにワクと申しましても、一般産業幾らというふうなワクがきめられておりまして、個々産業に対しては、何らワクというものは現在ないのであります。従いまして御承知のごとく、市中金融状態が非常に緩慢になって参りました場合には、産業資金というものは、ある程度は市中銀行においてまかないがつくという状況になりつつあるのでありまして、前年度におきましても、開発銀行資金計画は初年度におきまして五百九十五億という資金計画を作りましたのを、これも十分御承知と思いますが、中途におきまして百三十億を市中銀行肩がわりをしろという政府命令によりまして、用がわりをしておるというふうな状態であります。従いまして開発銀行といたしましては、積極的に市中の貸す対象に対しまして、開発銀行がそれと競合をするような貸し方は避くべきだということが、おそらく政府趣旨ではないかと私ども考えておるのであります。
  14. 海野三朗

    海野三朗君 いや、お貸しになるのは、市中銀行を圧迫するからと替われるけれども、どこへでも金をお出しになるというのじゃないでしょう。国家資本でこれを産業を助けていくという立場から、電気事業とか、あるいは鉄鋼とか、石炭とか、大きなことだけ向って貸しておるのであって、それであるからして、銀行を圧迫するというふうなことはない。私はその方の影響はあまり大きくないと考えるのでありますが、あなたはそれでも銀行の方に遠慮して、どうしてもそうはいかないものであるとおっしゃるのか。しかし現実の姿は、お話しになることははなはだしく違っておるように私は思われるのであります。ことに電力海運に特別な利率を適用しているのでありますから、特にその海運浬には六分五厘というような利率を適用しておることは、そういうことがあるから造船疑獄等の妙なことも引き起しておるのであって、この前に、開銀の前身である復銀の存在した時代におきましては、あの昭和電工疑獄事件を引き起しておる。これはつまり利率につきましてもある場合には六分五厘、ある場合には九分というようなふうに差別をつけていらっしゃるのは、私はどうしても一納得がいかないのでありまして、その点についてはいかようお考えになっていらっしゃいますか。
  15. 小林中

    参考人小林中君) ただいまの御質問でありますが、御承知通り海運造船資金につきましては、船舶建造政府は急いで積極的にやらなければならぬという建前をとりまして、先般の議会におきまして利子補給あるいは元金保証というようなものを法律化しまして、法律として出されたのであります。かように政府政策に基きまして政策基礎といたしまして、私ども船舶に対して六分五厘の特殊金利を適用しているというふうな事情であります。また電力におきましても電源開発法に基きまして、その趣旨に順応いたしまして特別金利というものを適用しているというふうな事情でありまして、その前の御質問の、ワクがある、こう仰せになるのでありますが、つ在り三十年度におきましても五百九十五億という資金計画立てました。その中を百三十億市中にまかせろという政府命令を受けてまかしたのであります。こういうものはみなワクがありまするのですが、おっしゃる通り一応ワクはありますが、そのワク開発銀行が貸すことはしなくて、市中にそれを融資させろというような政府趣旨に基いてそういうような処置をしておるわけであります。
  16. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、その利率のいろいろな利率でやっているというのは政府の指示によるとおっしゃるのでありますか。
  17. 小林中

    参考人小林中君) 金利をきめますことは本来開発銀行が独自に、開発銀行金利開発銀行がきめるのであります。しかしながら政府がそういう政策法律等によりましてはっきり明確にされた場合には、その政府政策に順応いたしまして、開発銀行としましてはその政策方向に基きまして適当に金利をきめて参るということであります。
  18. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話では、金利開銀がきめるとっしゃったのでありますが、そういうふうなえこひきと申しますか、ある場合には利率幾ら幾らにし、ある場合にはこれを幾ら幾らにするというような御自由をお持ちになっておることが疑獄を生む根本であると私は思うのでありますが、総裁はいかようにお考えになっておりますか。
  19. 小林中

    参考人小林中君) ただいまのお話は、血として船舶金融だと思いますが、これは利子補給法あるいは元金保証等法律が作られておりまして、その法律趣旨に基きまして、開発銀行といたしましては、国家資金でありますがゆえに、その政府政策に基きまして特殊金利を適用していくということでありまして、御質問趣旨はその法律がどうかという問題にさかのぼのではないかと考えるのであります。
  20. 海野三朗

    海野三朗君 いや、その法律がどうこうというわけではありませんが、あなたがその金利をおきめになるのに、こういうふうなでこぼこがあるということ自体がよろしくないではないかと私は思うのでありますが、こういうことがありますから、一分の金利の違いであっても、一厘の金利の違いであっても、そこに莫大なる差を生ずるものである。従ってこの疑獄というものがそういうところから出てきやすいのである。疑獄温床であるというふうに私は思うのである。そこで総裁にお伺いしたいのは、そういう金利をおきめになることがどうか。もう少し一様に九分なら九分、あるいは六分五厘なら六分五厘というふうにはっきり一定されるのがほんとうじゃないか。そこに差をつけるということ、そこに疑獄温床があると私は考えられるのでありますが、総裁はいかようにお考えになっておりますか。ある場合には少し負けてやろう、ある場合にはこいつはとってやろうというような御自由があるから私はいかんのじゃないかと、こう思うのでありますが、いかがなものでありましょう。
  21. 小林中

    参考人小林中君) この御質問産業別金利というものがきめてあるというふうなことでありまして、個々貸付に対して金利等差をつけておるものではないことは、これは十分御承知だと思いますが、産業別に対して等差をつけるということがよろしくないという御趣旨だと、そう承わってよろしゅうございますか。産業別等差をつけることがよろしくないという御趣旨に対しましては、私どもはこう考えるわけなんす。政府がその特殊の産業を国の経済の興隆のためにどうしても育成強化をしていかなければならんのだと、こう考えて、政府がそういう政策をお立てになった場合には、これは市中ではそういうことはいたしませんが、いわゆる国家資金でありまするために、政府政策方向を一にいたしまして、そうして特別金利を適用する。特別金利を適用するということは、その産業が今後育成を希望するからして特別金利を適用するのでありまして一般産業と同じレベルにあると考える廃業は、私ども特別金利は適用する必要はないと今考えております。
  22. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ私はお伺いしたいのでありますすが、ハッピー・ミシン金融については、開発銀行貸しそうなお話であってて相当長く引きずられて、これには、脈がないからといって断わられたあのミシン産業でありますが、そういうのに対してあなたの方でお断わりになる。つまり開銀というのは相当お金が普通の銀行に比べても豊富にあるはずだと私は思うのですが、やはり貸す、貸さんというのはあなたの取捨選択、どういう基準においておやりになっておるのでありますか、鉄鋼にしても、石炭にしても。
  23. 小林中

    参考人小林中君) ただいまの御質問でありますが、開発銀行は常に資金が非常に豊富であるというお話でありますが、これは開発銀行資金というものは豊富でないのでございまして、実際上年初におきまして計画立てまして、その計画を順次消化をして参りましても、政府のあるいは郵便貯金、あるいは簡易保険とかいうようなものの資金源がなくなりますると、政府はいつでも開発銀行資金中途におきまして切り得るのであります。この例はもうすでに二十九年度、三十年度、両年度においてそういうことになっておりまして、二十九年度のごときは、年度末の二月におきまして資金が大幅に切られたというふうなことでございまして、その資金の切られるまでは、大体融資対象として開発銀行は審査なりそういうものを進めて参っておりますが、政府都合でばっと切られるものですかそのときになりますと、これは資金がなくなるので、不本位ながらこれはお断わりするより仕方がない。こういうような例はあるのでありますが、これは私どもは非常に遺憾と湾えておりますが、政府都合でそういうことをされるのであります。どうぞその点は御了承願いたいと思います。
  24. 海野三朗

    海野三朗君 私はもう一つお伺いしたいのは、海運の方は六分五厘利子補給法案が通ったわけでありますが、あの騒ぎのときにはあなたが開銀総裁としていらしったのでありますか。
  25. 小林中

    参考人小林中君) さようであります。
  26. 海野三朗

    海野三朗君 この国家産業につきましてここに等級をつけておられるということに対しましても私は非常に穏当でないと思うのでありますが、鉄鋼及び石炭、それの方が九分で、造船電気は六分五厘というようなこと、そうして結局困り抜いてしまうというとこの石炭の方なんかは合理化法案というようなものを出さなければならぬようなことになってしまう。ただいまでも鉄鋼などは景気がいいから合理化法案なんというものは足踏みしておるようでありますが、これも困ってくると結局そういうことになってくるのじゃないか。こういうふうな産業に対してどれだけ電気の方と差がありましょうか。海運の方とどれだけ差があるのか。私はほとんど差別がないのじゃないかと思う。そこにおのずからワクをきめておられるのであるからして、利息なんぞは同一にいってもいいのじゃないかと私はそう思うのでありますが、その辺はいかがなもんでございましょうか、お伺いいたしたい。
  27. 小林中

    参考人小林中君) ただいまの御質問でありますが、日本経済復興産業開発基幹事業として、政府電力開発海運の拡張ということを基本産業としてお考えになったと思うのであります。従って先ほど申しましたような法律も作られたというふうに私ども考えておるのでありまして、そういう意味からいきまして政府政策として助成育成をして行きたいという産業に対して、開発銀行という建前からいきまして特殊金利の適用をいたしておるというふうな次第でございます。
  28. 海野三朗

    海野三朗君 今のお話はそれは政府方針であるからとおっしゃればそれまででありますが、こういうふうなあり方はどうも私ははなはだ満足がいかないのでありますが、総裁御自身としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、このままでよろしいとお考えになっていらっしゃいますか、御信念のほどをお伺いいたしたい。
  29. 小林中

    参考人小林中君) 私といたしましては日本経済が正常化し安定をして参りました場合は、仰せ通り海述でもあるいは電力でもそういった特殊的取扱いをしなくても小業として成り立つような状態に一日も早く行くべきことを希望いたすのでありまして、終戦後の状態におきましては、電力開発というものが日本産業復興にはやはり基本的な問題であった、こう考えるのであります。また海運にいたしましても、終戦後の状態から参りますと、日本海運戦前復興ということが国の収支の上からいきましても非常に重要な問題であったというふうに考えられてこれはそういうふうな計画政府がお立てになったということも、私どもは反対の理由は今ないと考えます。
  30. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、つまり政府方針に従ってこの利率なんぞもみなこれを準法していらっしゃるというわけでございますか。
  31. 小林中

    参考人小林中君) 金利その他を勘案いたしまする際におきましても、もちろん国家金融機関でありまするので政府政策というものを基本的に尊重をし、その政策の上に立ってものを考えて行くということであります。
  32. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ私はお伺いいたしたいのですが、以前には復興金融金庫があり益して、あの昭和電工疑獄を引き起した、また開銀になってからこの造船疑獄を引き起した。その疑獄の起ったところは那辺にあるかと申しますと、この金利を勝手にいろいろに変えるというところに私はあると思うのでありますが、そのことにつきましてあなたはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  33. 小林中

    参考人小林中君) 造船疑獄の問題は、何か開発銀行がそれを起したんだというふうな御質問でありますが、これは実態をよく御承知だと思いますが、開発銀行造船疑獄には何らの関係を打っておりませんので、むしろ法律自体が関係ありとすればあったかもしらんというふうな私どもは疑念を持っておるのであります。
  34. 海野三朗

    海野三朗君 いや、開銀としてはどうこうと私は申すのではありませんけれども、いやしくも国民の莫大なる金を貸し付けるというところの重大なる責任をお持ちになっておるのであって、そのことからほかに影響して、ここに好ましからざる現象が起ってくることを考えますと、あなたの責任というものはまことに重大であると私は考えるのでありますが、その辺いかがなものでしょうか。
  35. 小林中

    参考人小林中君) 御説のごとく開発銀行資金というものは、国民全体の資金と申してもよろしゅうございます。従いましてこの資金の運用に対しては最も慎重に、最も公平を期さなければならぬ、従ってあなたのおっしゃるごとく、責任は重大なることを私どもは常に日ごろ感じておるわけでありまして、従いまして開発銀行資金運営に対しましては、私どもはさような気持で終始一貫業務をしておるのでありまして、その点は私の口から申し上げるのもどうかと思いますが、私どもは何ら非難を受けるべき状態には現在ないと考えております。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 今、総裁お話通り、私がこの事件についてどうこう申し上げるのではありません。ただこれから開銀がもとになって、それからそれへと発生してくる事柄が、好ましからざる事柄が起ってきますので、それに対するあなたの御信念と、また今日までおとりになってきました御信念を私は承わりたいと思うのです。
  37. 小林中

    参考人小林中君) ただいまお答え申しましたような信念に基いて、開発銀行運営をいたしておるのでありまして、従って開発銀行といたしましては、できるだけ事情の許す範囲においては産業開発復興のために力を尽していくべきだと現在も考えておるのであります。
  38. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ほかに総裁に対する御質問ございませんか。小林開発総裁に対する質疑は終了したものと認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それでは小林総裁に対する質疑は終了いたしました。御多忙中のところ、どうも御苦労様でした。ありがとうございました。
  40. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 次に中小企業振興資金助成法案を議題といたします。  この際お諮りいたしますが、きのうの委員会の審議において、本法による貸付と、中小企業専門金融機関との関係が問題となりましたので、本日は中小企業金融公庫の坂口総裁の御出席を特にわずらわしました。坂口総裁参考人として御意見を承わることは御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 坂口参考人に申し上げますが、本日は突然お呼び出しを申し上げ、恐縮しごくに存じますが、ただいまもお聞きの通り、当委員会では目下中小企業振興資金助成法案を審議中でございます。本法案は、補助金交付要綱により実施せられてきた現行の中小企業に対する補助金制度に、府県の特別会計制度を加えてこれを法制化しようとするものであることは御承知通りであります。中小企業の設備近代化のためには、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫等からの融資が本命であり、本法案による貸付は、その補完的役割を担当するにすぎないと思われるのでありますが、本法案による貸付は無利子貸付であるというところに一つの特色を持っております。中小企業専門金融機関としての立場から、まず第一に本法案による貸付と、専門金融機関の融資はどのように調整せらるべきであるとお考えになっておるか。  次に本法案貸付を受けようとする企業は、所要資金の半額は自己調達を行うことになっていますが、自己調達資金中に、中小企業金融公庫や商工組合中央金庫等の政府資金もしくはそれに準ずるような資金を初めから引き当てにするのは穏当でなく、純粋の自己資金を一定度確保した場合に限って資格者とみるのが妥当ではないかとの議論も出ているわけでありますが、この点についていかようにお考えになっておるか。  右二点について御見解を承わりたいと存じます。
  42. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 二つの点についてのお尋ねのように存じますが、この今回の法律によって設けられます制度は、従来この法律のない以前におきましても、これとほぼ同じような制度がございましたので、その制度を実施しております際におきましても、私どもの方の専門の金融機関といたしましては、この制度がうまく実施できまするために、この制度と組み合せまして私どもの方の融資考えておりました。府県によりましては、たとえば東京都あるいは大阪のようなところにおきましても、この制度によりまして補助金いわゆる無利子貸付をなされる場合、その不足部分につきまして私どもの方が御援助を申し上げておった例もございます。また私どもの方ばかりでなく、金融機関におきましてもこれに御援助して金融をいたしている例もございます。私どもやはり政府機関ではございまするが、この制度のごとく無利子でお貸しするというところまではいきませんものですから、この金融という立場以外に、こういう補助金的の性格の資金が出ますことは、中小企業の中で収益が少く、また新しい仕事あるいは合理化等の場合には、私どものような金利のあるものではむずかしいものに対しまして、こういうような無利子貸付のありますることも非常にいい制度であったとこれまで考えて参ってこれに御協力して参った次第でございます。  それから第二点の、この制度によりまして補助金を、受けるものも残りの半額は自己資金でやるのがほんとうではないかというようなお尋ねでございますが、その全部を他の金融機関から借りますることはどうかと存じますが、その半額のうちの一部につきましては自分の力で、ほんとうに自分の自己資金を充てる、他の部分につきましては専門の金融機関等から援助を受け、借りますることはこの制度を動かしていきます上に必要ではないかと私は考えております。  以上一応お答え申し上げます。
  43. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  44. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 速記を起して下さい。  御質問のある方はどうぞ。
  45. 海野三朗

    海野三朗君 私は総裁にお伺いしたいのでありますが、中小企業金融公法案は、この通商産業委員会において前に通過せしめたのでありますが、その後の営業の状態、つまり焦げつきがどれくらい、また利益がどれぐらい、そういう方面の詳しい一覧表を拝見いたしたいと思いますから、その資料の御提出をお願いいたしたいと思います。その後の進捗状態をお願いいたしたいと思います。
  46. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 詳細の資料につきましては後刻御提出申し上げますが、できましてからちょうど二年半で、貸付の残高は三月末で五百二億になっております。その中で延滞いたしておりますのは公庫貸付資金だけで申しますと、大体三%くらいの延滞分がございますが、このほか開銀とか、見返り資金とか、復金などになりますと、それぞれまた延滞利子が違っておりますが、それらにつきましての資料は後刻提出することにいたします。
  47. 阿具根登

    理事(阿具根登君) それでは私から御質問申し上げますが、先ほどの第二番目の質問に対しまして、私どもの意見に御賛成の印象を承わりまたが、純然たる自己貸金は何割ぐらいを妥当と考えられておられますか。この点が一点と、現在までの中小金融公庫が割り当てた業種に対する比率がわかっておったらお知らせ願いたい。先般本委員会におきまして機械工業を審議する場合に、機械工業に六〇%の融資をされておるということを承わっておりますので、そういう点も合せて御答弁願いたい、かように思います。
  48. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 自己資金のうち何割が適当か、これは業種によって非常に困難なのでございますが、私どもといたしましては、あるものには半額ということをはっきり示しておるものでございます。その他につきましては、大体大金融機関の判断にまかしておるのでございます。それで、どの程度が適当かということを端的には申し上げにくいかと思います。  それから業種別に資金ワクは作っておりません。ただし出ました実績から見ますると、全体の六、五%ぐらいが製造業でございます。で、その内訳は、中小企業としてその中で特に多いものは、食品加工、食品製造業、あるいは繊維関係のもの、それから土木関係のもの、木工関係のもの、こういうものがその製造業のうちで大きい比率を占めております。
  49. 阿具根登

    理事(阿具根登君) さらに御質問申し上げますが、中小企業に対しまして次表にこういう法案が出て参りまして、いわゆるこうやくばり的な治療法のやり方をやっておりますが、たとえば機械振興のごとき、中企業に対しては、政府のあっせんで非常な有利な金融の方法がついておりますが、そういう場合にそういう助成のないものに対して非常に金融公庫としては重点的にそれを取り上げられておるか。たとえば今度の問題にいたしましても、政府がこういう法律を作って助成するのと、それに漏れるのとは非常に大きな差があると思うのです。そういう場合に頼りになるのは中小金融公庫だ、かように思うのですが、そういう点についてどういうようにお考えになっておるか、お答え願います。
  50. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 政府におきまして特に力を入れておりますものにつきましては、公庫におきましては特別貸付制度を設けております。たとえば、食品の加工とか、そういうような場合には、特にそれらに対しまして普通のワクのほかに別のワクを設けまして、そういうものには援助いたしておりますし、また非常に小さいものにつきましては、今回いろいろこういう施策からはずれておりますようなごく小さいもの——百万円以下、こういう小さいものにつきましては、今後特別小口貸付というような制度を設けまして、一般にはなかなかむずかしいようなものにつきましては、いろいろな条件——担保条件等を緩和いたしまして、比較的零細な中小企業にまで特別小口の優越方針立てておるような次第であります。
  51. 阿具根登

    理事(阿具根登君) たとえば機械振興法案等のごときは、金利は非常に安いし、担保は緩和されるし、期間は延長せられる。そういうように特別な施策を講じられておるわけでございまするが、そうしますと政府できめられる金利が安くなる、あるいは無利子になるということのしわ寄せは、結局他の業者にかかってくるのではないか、こういうように感じられる。そうでなければかりに政府の方でこういうことをきめることは、無制限にきめられていくのであるかどうか、こういう点について御意見をお聞きしたいと思います。
  52. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 機械の関係のは御承知のように私ども対象より多少上の方のようでございますので、開銀の方を利用されるようでございますが、それから以下のものにつきましては私どもの方の貸付対象になるものにつきましては金利の点では多少高くなりますが、担保その他の条件につきましては大体ほぼ私どもの方でやっておりますので補われるのではないかというような気がいたしております。機械関係のものにつきましては金利の点では開銀と多少開きができますのは非常に遺憾でございますが、その他の点につきましては私どもの方の担保、期間その他につきましては、十分に実情に応じますように貸付期間を従来五年でございましたのを場合によりましては七年、または十年までも延ばし得るようにいたしましたし、また開銀と私どもの間に多少……、私どもの方は一件千万円しかこれは従来出しておりませんでしたが、しかし特に必要な場合はこれをふやすというような措置を講じまして、その場合に遺憾のないように心がけてこれからも運用して参りたいと思っております。
  53. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ほかに御質疑ございませんか。……御質疑がなければ坂口総裁に対する質問は終了したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 阿具根登

    理事(阿具根登君) それでは坂口総裁に対する質問は終了したものと認めます。どうもありがとうございました。  通産大臣もお見えになっておりますので、どうぞ御質問のおありの方は……。
  55. 海野三朗

    海野三朗君 私通産大臣にお伺いしたいのでありますが、この中小企業振興資金助成法案として何ぼ金を出すのかと思ってよく聞いてみましたら四億幾らなんです。鼻くそなんです。ほとんど鼻くそほどの金なんですよ。こういう中小企業全般に何とかしょうというので四億ばかりの金を出して、そうしてこの中小企業に大いに理解があるというようなことを言われるようでありますが、まるでこれは鼻薬みたいなもので、なぜもっと四億どころでなしに四十億も予算をとられなかったのでありますか。私はそういう点に対してはなはだこんな法案——四億そこそこの法案なんというものは実におかしな話だと思うのですが、そういうことについて通産大臣の信念と、また大蔵当局の出席を私は求めておるんですが、これは少しとっちめて聞きたいと私は思っておる。四億くらいの金で中小企業全般のものにやろうというふうなことは鼻薬というか、二階から目薬くらいなものでして、ないよりもあった方がいいですけれども、あまり少いじゃありませんか。通産大臣はいかようにお考えになりますか。これは四十億くらい金を出さなければいかぬのじゃないか。また一方においては防衛庁費を昨年度においては二百三十九億を使い切れないで金が余っておったというようなことを聞くに至っては、実にこれは政治の貧困とでも申しましょうか、どうもあきれざるを得ないのでありますが、通産大臣はこれで十分だとお考えになっているか、この四億そこそこの金をどういうふうにお考えになっておりますか。
  56. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) まず私先般かぜを引きまして、それからあと健康が少くすぐれない、大しごとないのですが、この委員会にごぶさたいたしましたことに対してはおわびを申し上げます。  今海野さんからのお尋ね、ごもっともと思いますが、金というものはそう一ぺんに出してもなかなか使い切れるものではございません。今まで補助金の形で実際は貸し付けておったのですが、これは御承知のように中央政府だけがすっぽりそれをただで無利子で当業者に貸してしまうというのでなく、やはりいろいろな関係から当業者にも一つ引き締めてもらう必要がありますし、また各府県においても協力してもらう必要がありますから、府県も政府と同額を出して、そしてそれぞれの府県の責任においてその府県の中小企業を助ける、こういう意味で金を出す次第であります。従って、今まで十分であり、これであり余るということじゃございませんが、しかしかなり各府県に回っておりまして、熱心な府県では相当の金額をもって、まあ年に三千万円とか四千万円とか、これも少いと言えば少いようでありますが、しかし一県において三、四千万円の金が入って参りますと、たとえば繊維工業というようなものに対しては相当の効果をもっておりますので、これで満足は決してしておりませんが、私はこれで、一応この程度の金が中小企業に設備改善のために回るということで、まずこの場合は一応満足して逐次増加するように取り計らうのが健全ではないか、かように考えております。
  57. 阿具根登

    理事(阿具根登君) なお、説明員として大蔵省主計官鳩山威一郎君が見えております。
  58. 海野三朗

    海野三朗君 大蔵省の主計官の方に私はお伺いいたしたいのですが、予算を組む際には四億というのはあまり少いじゃありませんか。鼻くそほどの金だと私は思うのですが、国の予算から考えれば。しかも中小企業というのは非常に範囲が広い、この広いところに四億というのはあまりに少い。ないよりはそれはあった方がいいですよ、今大臣も言われたように、ないよりはこれは一段の進歩ではありましょうが、予算を組むときにこんな予算の組み方ないじゃありませんか、私はそれをちょっと承わりたい。
  59. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) ただいま仰せ通り、中小企業対策としていろいろな——まあその一つの対策として近代化の補助金というようなものが出ておるわけであります。これらの性格につきましては、いろいろ金融でやるような面といろいろ競合する面がございまして、この補助金につきましては逐次増強をはかって参りたい、こう考えておりますが、一方中小企業金融公庫の方で金融面を通じまして毎年その資金の拡大をはかっておるわけでございます。で、一つの中小企業がございまして、これの設備を増強したいというようなときには、やはり本来は金融がうまく円滑につくというのがまず第一に考えるべきことでございまして、この点につきましては、本年度の予算におきましても非常に財政投融資の面で格段の資金量を確保してあるわけでございます。これらと相待ちまして、おのおのやって参るというふうに考えております。
  60. 海野三朗

    海野三朗君 あなたが予算を初め組むときに、一体何ぼこれに割り当てて組まれたのですか。大蔵省としては、初めから四億幾らなんですか。
  61. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) どうも御質問趣旨がよくわかりませんが……。
  62. 海野三朗

    海野三朗君 通産省が何ぼ要求したか。それに対してあなたの方ではどういう御意見であったか、一つ承わりたい。もし、初めからこれだけのことしか要求しないということであるならば認識不足もはなはだしいと私は思うのですが、その辺を承わりたい。
  63. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) その点につきましては、むしろ通産省当局の方から御説明があった方がいいと思います。私どもといたしまして、前年の金額に対しまして、財政投融資を含めまして非常な重点施策として増加を努力して参ったのでございまして、中小企業対策として、一般会計の面におきましても前年に対しまして約二億——前年度の五億四千六百万円に対しまして、今年度中小企業関係の予算経費といたしまして七億四千八百万円——ほぼ二億の増額を考えたわけでございます。まあこのほか、公庫等の増額ももちろんございますが、私どもといたしましては、中小企業対策の重要性にかんがみまして、できるだけの増額に努力して参ったつもりでございます。
  64. 海野三朗

    海野三朗君 通産大臣にお伺いしたいのですが、これは通産省としては、やはり初めから四億を要求なさったのですか、いかがでありますか。初めからこんな四億の金を御要求なさったとすればこれは非常に認識御不足じゃないかと思うのでありますが、何ぼ一体要求なさったのでありますか、それを承わりたいと思います。
  65. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) さきに申しますように、それはこういう金は多々益々弁ずですから、多ければ多いほどいいと考えられるのですから、通産省としてはできるだけの多くのことを希望していることは申すまでもありません。しかしながらまた、実際の運営においては、そう金を借りろ借りろともっていくことは必ずしもいいことじゃないのでありまして、やはり府県も当業者も真剣になって自分の事業の改善をはかろう、こういう気持とぴったり合わんといけませんので、そこで、通産省としても多いことは望みますが、しかし必ずしもそう一ぺんにふやすという考えを持っておりません。要求はもう少し多かったかもしれませんが、しかしその差額は幾らでもありません。大体中小企業に関する点につきましては、通産省の最初の希望に応じた予算の査定が行われたのであります。
  66. 海野三朗

    海野三朗君 初め通産省大蔵省に対して何ぼ要求なさったかを私は伺っているのであります。
  67. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 今正確な数字をここで持っておりませんが、これはもう何回も途中で数字が変りますので、たしか最初に私ども一が出した数字というのは六億幾らかと記憶しております。それからあとでもう少しふえまして、九億という数字になったと思います。そのあと、今度実際の専務折衝に入るわけでありますが、御承知のように、今大臣からもお話がありましたが、多々益々弁ずではありますけれども、出す方のもとは限られておりますので、長い折衝の過程で、結局先ほどからのお話に出ているような数字に落ちついたわけであります。当面、三十一年度の問題としましては、この四億何千万円かで最も効果のある運用をはかっていきたいというふうに考えております。
  68. 海野三朗

    海野三朗君 この四億ばかりのお金では一体この中小企業の方は何件くらい貸付ができるとお考えになっていらっしゃいますか。初めに六億とか九億とかいうような、今長官からのお話がありますが、どれだけを目当てにしてその予算のあれを立てられたか、ただ総花的に少し鼻薬をやればいいのだというようなばく然たるお考えではなかったかということを私お伺いしたい。これでもって中小企業の方に理解がある政府のやり方だなんということはとうてい言われないです。このくらいばかりの、鼻くそばかりの金をもって。私はそう考えますが、いかがですか。
  69. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 三十年度におきましては二億三千七百万円の貸付が行われたのでありますが、件数としましては企業数で八百二十二であります。
  70. 海野三朗

    海野三朗君 この八百二十二件では全国にいたしますと一件についてどれくらいになりますか。一件についてはわずかですよ、これはほんとうに二階から目薬です。私はこういう金こそ最も政府が力を入れなければならない、従って通産当局の起算の仕方があまりにもずさんだと私は思うのですが。
  71. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 海野さんの御質問ごもっともでありがとうございます。非常にふやせ、ふやせと言われますので、われわれとしては今後ふやす方に国会でそういう論議が出ることは私通産省としてありがたいのでありますが、しかし先ほどから申しますように、府県が一緒にやってくれないと中央政府が中小企業にいきなり金をばらまいたって何に使われるのかわからないということもあるので、監督もできませんので、やはり効果が上らない。通産省として予算を組みます場合は今までの例を見まして、各府県がどれだけの、中央政府が出す同額を府県が負担をしてやるということになっております。府県によっては実はそれだけの負担ができない、せっかくこっちで出してやろうというときでもお断わりというものがなきにしもあらずで、そういうこともありますので、その熱意に応じてどれだけくらいが消化できるだろうということを計算してやっておりまして、四億幾らというのは必ずしも、非常に要求があるのにそれをむやみにたたき切ったというほどのものじゃございません。当業者及び府県の熱意を相当満たし得る程度のものを予算にしたのであります。
  72. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 一つだけ伺っておきたいと思いますことは、この中小企業振興資金助成法案、それから機械工業振興臨時措置法案、この二つの法律で一方は六分五厘で中小企業に金を貸してやろうというのであるし、一方は無利息で金を貸してやろうというのでありますから、いずれも中小企業に対してはまことにありがたい法律でございますが、今までかなりの大きな額に上っておる中小企業金融公庫からの貸し出しは最初一割でありましたが少し下りまして九分何厘に今利子がなっておるわけであります。しかも先ほど確実な数字を坂口総裁がおっしゃったようでありますが、私聞き忘れましたが、約六百億近い金がもう貸し付けられている。それが九分何厘という利子で、今度出た二つの法律は六分五厘なり、あるいは無利息であるというようなことになりますと、今までのものが非常に何だか高い利子を払っているような感じになるようであります。特に中小企業金融公庫の九分何厘という利息は決して安い利息ではないのであります。大工業における利息、開銀から貸す金が六分何厘というようなことも以前の法律によってわれわれは承知しておりますが、こうなりますと、中小企業金融公庫の貸付金に対しまして、もう少し金利を下げてやらなければならぬというようなことはお考えになりませんか、いかがでございましょうか。
  73. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 中小企業金融公庫の金利、あるいは商工中金の金利等を下げたいということを考えておりまして、極力下げるように努力をし、大蔵省とも交渉しているわけであります。しかし今御審議を願っております中小企業振興資金というのは実は私は歴史は知りませんが、設備の改善をむしろ政府側から強制的にでもしてもらいたい、こういうような念願からかなり政府としては普通の中小企業者がみずから求めて金融公庫から借りるという場合とは違って、設備の改善ということの義務づけをしているような格好であります。と同時に、先ほどから申しますように府県にも同じ額の負担をさせるというわけでありますから、そこでこれは元来補助金というもので予算に組まれているのを、ほんとうならただくれてやるべきものだろうと思いますが、それをやはりいろいろの事情から一応返還だけはさせるということにしておりますのでありますから、これと金融公庫の貸付金とをすぐ比較してどっちの金利が安い、高いという観念はこれは借りる方でもそう強くはもつまいと思います。そういうことで考えております。
  74. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 大臣の言われる通り確かにそういう点は私も了承できるのであります。できるのでありますが、やはり中小企業金融公庫から金を借りる場合におきましても、もう設備改善ということを大きくやっぱりうたって金を貸しておるのであります。設備改善の資金でなければもう貸さない、しかもその設備の改善の程度がどういうふうになる、こういうふうになるということを中小企業金融公庫におきましてはかなり突っ込んだ数字を出して、それによって金を貸しておるのであります。もっとも中小企業金融公庫におきましては、いわゆる運転資金貸しておりますけれども、設備資金の場合におきましては、やはり設備改善が主体となっておりますので、どうもこの中小企業振興資金助成法案は今大臣のおっしゃったことと同じでありますけれども、機械工業振興臨時措置法の六分五厘と比較いたしますときにおきまして、九分七厘になるか八厘か私は記憶しておりませんが、これはどうももう少し下げて、結局これはこの法律が世間に出ますと、私はかなり要望が出ると考えておりますので、どうか一つそういう問題が起きましたら、極力中小企業金融公庫の利率を下げるように御配慮をいただきたいということをお願い申し上げておきます。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと大臣に伺います。この振興資金助成というのは私は賛成ですが、しかし助成法案対象になる業種というものはいずれも国の産業の振興上国家目的に沿ったような業種を指定する、こういうことでありますから、その業界に金がないから貸してくれろ、それを恵む意味貸してやるというよりも、むしろもっと高いところの国の必要上産業助成しようということでありますから、従って私はこの産業助成のためには金融措置以前のもっと大きな問題があると思う。たとえば規模の小さいところは協同化について助成してやるとか、その企業が原料等において非常に不便をきたしているならば、この原料等の入手について何かの方策をとってやる、たとえばその企業が原料を外国から仰いでおるというようなものにつきましては、保税工場その他の措置を一つ考えてやるとか、立地条件に非常に恵まれてないところは、進んで国の持っておる地所等は特別便宜をはかってやるとか、こういう金融措置以外の、むしろそれよりも大きな要素となるところのその業種の振興につきまして、私はこの金融措置と並行して措置されることが必要じゃないか、そうでないと、ままこういう業種に助成しますと、その金が貸したきりで、回収が不可能になるというような例が非常に多いのでありまして、根本的に今私が申し上げたように、一、二の例等もお考えいただいておると思いますけれども、そういう点につきまして、具体的に何かおやりになっておるかどうか、場合によったら私は長官の方から伺いたいと思います。
  76. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) もちろんただいまのお話の点は、これは非常に大事なことであろうと思いまして、従来個々の企業の設備の近代化の場合にも、何と申しますか、組織化に役立つようにということを、一つのねらいに考えております。従ってその企業だけがよくなって、ほかにはちっとも影響がないというような行き方はなるべくとらない、よそにも非常な好影響があるということをねらっております。  それから同時に、今までの例として、実はその近代化をはかるために、原料面で特別の措置を講じなくちゃならぬとかいうような問題は実はなかったのでありますけれども、今後の問題としては、当然だんだんとこの制度が進んで参りますれば起ることも考えられます。そういう点は十分改良したいと考えております。
  77. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はだいぶ以前ですが、通産省から費料をいただいたことがあるのですが、今の日本の輸出産業の中で、中小企業が受け持っておる分野というのは非常に広いですね、しかもその中小企業が原材料を外国から仰いでいるという業種が非常に多いのです。それらに対しまして、その関税の措置とか、私が申し上げた保税工場とか、これも一つの関税ですが、こういうことの対策を立てられることがより以上私は根本的であって、ただ金に困るから、機械を買うのだから金を貸してくれというので、単に注射をするような意味でやっても、私はほんとうの中小企業、特に国が非常に期待しているような業種の振興には私はならないと思うのですよ。もしそういうことについて、立法化なりその他適当な措置を積極的に私は大臣にとっていただくことを私は強く要望するのですが、どうも全然やっておられんとは言いませんけれども、そういうふうな金融措置ということについて、非常にウエートをかけておられることより以上、根本的な私が申し上げるような今の問題について施策が非常に欠けておると、こういうふうに私は思うのですよ。たとえば経営規模としても、この対象は資本金一千万円以下、従業員三百人以内ということであれば、従業員二十人のところも三十人のところもある。資本金が百万円のところも、三百万円のところもある。これらのところが、いずれも業種によっては、経済単位が資本金五百万円ならいい、従業員が百人ならいいというところがあるわけです。それなら経済単位を引き上げるために、企業合間についての積極的な助成をするとか、また協同組合化を急がせるということも、あわせて金融措置とともにやらなければ、私はほんとうの中小企業振興対策にはならないと思いますが、それはどうでしょう。
  78. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、ごもっともです。実は今も私はよく存じないのですが、ある程度やっておったのでありましょうが、率直に申しまして、中小企業というのは実態がわからない。ですから今の原料関係にしても、規模のことにしても、ほんとうのものは政府は握っておらない。そこで今年予算で何がしかの金をいただきまして、今度は中小企業そのものの実態調査をやろう、その実態調査の上に立って、お話のようなことをやるようになるだろうと思います。今まではその点が実情に欠けておりました。
  79. 河野謙三

    ○河野謙三君 きのう当委員会で、私がお尋ねしました、その点で、本日までに長官から御説明をいただくことになっておりましたこの本措置による対象業種というものにつきましての、通産省より具体的に一つ御説明をいただきたいと思います。
  80. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 昨日御質問がありまして、きょうお答えを申し上げる約束をしておりましたので、その点について御答弁申し上げますが、お尋ねの点は中小企業振興資金助成法によって、補助対象となる、つまり設備近代化の補助対象となる業種と、その設備はどういうものか、これを限定すべきではないかという御質問でございましたが、対象業種といたしましては、中小規模の経営の分野として適切である、すなわちその規模の形態からいって中小規模でやることが適切であるということが第一に要件として考えられますものであって、かつ輸出振興の観点から符に設備の近代化を早急に必要とする、こういう二つの観点から業種を選定したい、かように考えております。  それから対象の設備といたしましては、その近代化によりまして品質の向上をはかり、あるいはコストの引き下げを期待できるというような、経済的な効果が大きくて、しかも輸出の振興に役立つ、こういうものを設備対象として考えたいというふうに思っているわけであります。  そこでただいま申し上げましたような基準によりまして、通産省の内部で、各関係局とただいま相談を進めているところでありますが、大体今までの過程でこの対象となり得るものについて申し上げますと、業種といたしましては綿スフ織物業、その中の設備といたしましては、広幅力織機、高速管巻機。それからさらに業種として、絹人絹織物業、その設備といたしましては、高速管巻機、広幅力織機。それから業種として、作業工具製造業、その設備といたしまして、自動旋盤、工具研磨盤。それから農機具製造業、その設備として大型旋盤、刃切盤、静電塗装設備、あるいは赤外線乾燥設備。さらに陶磁器製造業として、真空土煉機、自動成型機。ガラス製品製造業、設備としては連続式徐冷窯、こういうものを考えておりまして、これは若干今後の検討におきましてふえると思います。  こういう業種と設備を選定いたしまして、御提案申し上げておりまする本法案の十二条の基準として、これを都道府県に指示するわけでございます。このほかにいわゆる輸出向きの地方特産業種というものがございますが、これは一定の金額の範囲内で、輸出の振興に役立ち、あるいはコストが下るとかいうような基準に従いまして、都道府県そのものが業種、設備を具体的に選定いたしまして、毎年定めます事業計画の中にそれを掲げて、それを通産大臣が承認するという形をとりますので、そこで全国的に一律に見られる業種のほかに、特に他方特産品として輸出に役立つというようなものも掲げていきたい、こういうふうな方法をとりたいと思っているわけであります。  それからこの自己資金と申しますか、都道府県の貸付金と、一般市中機関あるいは国の金融機関から借りるもののほかに、自分で手金をある程度持つべきであるという御趣旨がありましたが、これは私ももっともだと思いますので、ある一定限度の手金はぜひ用意するということを一つの条件として基準に入れたいというふうに思っております。ただそれが業種ごとに状態がかなり違っておりますので、業種ごとの基準として手金を幾ら打つべきかということをきめたい、かように考えておる次第であります。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、コンクリートされたものではありませんけれども、あらかじめ今御説明になったような業種は本省で業種を指定する、それ以外に各府県にある特殊な輸出とつながる産業につきましては、府県からの申請によってこれを承認を与えると、こういうふうに解してよろしいですか。
  82. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) お説の通りでございます。
  83. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと非常にこまかい話になりますが、資金の分け方ですね、四億七百万円の。これはあらかじめ四億七百万円を各府県に割るわけですね、その場合に各府県から特殊な産業につきましての追加の申請があると見なければなりませんね。そうすると、四億七百万円は全部分けてしまわないで、幾らかのものを留保しておいて、そうして三億五千万円なら三億五千万円なりだけ分けておいて、あとの保留金については追加の品種について備える、こういうことになりますか。
  84. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) ただいまお話のような分け方もございますが、実は通産局ごとに一応の仮ワクというものを作りまして、通産局が各県と相談をして、県ごとのこれは全くの仮ワクでございます、それについて都道府県が事業計画を定めて、その承認をする際に最後的に各都道府県のはっきりしたワクというものがきまるわけでございます。こういういき方をとっております。
  85. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  86. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 速記を始めて。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 昨日来私がしばしばお尋ねしている借主の自己資金の問題ですが、従来のこの種の政府貸付資金の回収状況等を見ましても、この際は借主が自己資金を相当量負担するという前提がなければこの資金の運用、今度は特別会計を作るようですが、これは非常に混乱を来たすと思うんですよ。それにつきまして政府は自己負担をたとえば二〇%以上とか、たとえば三〇%以上とか持たなければ貸付対象にしないというようなことについての基準をおきめになる御意思はございますか。
  88. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 一つ基準を業種別に定めたいと思いますが、その際に率といたしましては最低二〇%程度という方針で参りたいと思っております。
  89. 海野三朗

    海野三朗君 これは、このお金は各県に割り当てるわけですか。
  90. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 割当と申しますか、交付金でございます。
  91. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、県というものは、どこの県でもみな火の車なんですね、それでそういう方面に判り当てた金を使い切るでしょうか、県が……。
  92. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは昨日も補足説明のときに申し上げた問題でありますが、各都通府県とも相当財政が苦しいことは私ども十分承知しておりますが、いろいろ検討いたしました結果、都道府県も貸付事業主体でもありますので、また当然新しく負担をかける制度ではございません、従来もやっておった制度でもあります。中小企業の振興という観点からみましても、都道府県が相当熱意を入れるということが最も有効であろうということで国の負担と都道府県の負担というものを同率にしたわけであります。
  93. 海野三朗

    海野三朗君 県がその負担にたえるでしょうか。今はどこの県でも火の車ならざるなしだから、どうですか。
  94. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 私どもがこの法案を準備する過程におきまして、おもな都通府県の、その中には相当財政上苦しい都道府県もございますが、担当者の意見も聞いてみまして、この程度のものならば負担していけるだろうという回答を得ております。
  95. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 他に発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 質問の過程においてしばしば私は申し上げたことでありますが、中小企業の振興、なかんずくこの輸出振興とつながりを持つ中小企業の振興につきましては、今後とも政府が本措置に満足せず、その対象業種の企業全般にわたって、たとえば原料関係、たとえば工場の立地条件、たとえば企業の経済単位、これらにつきましてあらゆる角度から企業の合理化、発展のために検討されまして、積極的な施策を講ぜられることを私は特に要望するものでございます。  なお本措置そのものにつきましては、これも質問の過程において申し上げたことでありますけれども、従来のこの種政府資金貸付の回収状況のきわめて悪い状況にかんがみまして、自己資金をある程度調弁させるというような条件を付して、回収の万全を期せられることもまた怠ってはならぬことだと、かように思います。それらのことにつきまして十分な配慮を払われることを特に希望いたしまして私は本案に賛成するものであります。
  98. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 私は中小企業振興資金助成法案に対しまして賛成をいたすものでございますが、ただこの貸付の方法でございますが、質問のときにも申し上げておきましたが、各府県がこの資金貸し付けることに相なるのだそうでございますが、その際におきまする貸付の方法が非常に私はむずかしい問題がここにあると思うのであります。ややもしますると、地方的ないろいろな事情にとらわれまして、その貸付状態がゆがめられていくのではないかというようなことを非常に懸念をいたすものでございます。その点につきましては、各段の一つ御注意を下さることを一つ要望いたしまして本案に賛成するものでございます。
  99. 海野三朗

    海野三朗君 私は日本社会党を代表いたしましていささか要望の件を申し述べて本案には賛成の意を表したいと思います。先ほどからいろいろお話を承わってみますると、三十年度においては二億だったと、そうして八百二十二件の件数があったと、そういたしますと一県に割り当っててまだ十七、八件というとになりまするので、国家全体の中企業から考えますると、まことに九牛の一毛の感なき能わざるものであります。それで先ほども通産当局並びに大蔵当局に強く質問をしたのでありまするが、四億幾らのこの中小企業振興資金助成というお金はほんとうに二階から目薬の程度であって、まあいわば中小企業全体から見ますると、ほんとうに二階から目薬程度であります。こんなことでは日本の中小企業が救われない。一国の隆昌の基礎産業にあるので、通産省としてもこればかりのお金でもってやられることは、私ははなはだ不満なのであります。先ほど石橋通産大臣からはまずこれは序の口であって、努めてこの額を増していきたいというお話でありました。それで私はこの法案はまことにけっこうな法案であります。ただこの運用の仕方において、地方の一部のボスの食いものにならないようにしなければならないし、そうして本年度は四億なんと言うても、来年度はこんな程度ではならない。来年度は、少くともこの十倍、四十億ぐらいを助成に支出するように、通産当局並びに大蔵当局に対しまして強く要望をいたしまして、本法案に対しては、一刻も急ぐ法案であると思いまするから、私は賛意を表すものであります。今申しましたこの予算があまりに少いということに対しては、私は不満の意を表し、努めてこの額を増大せられるよう政府当局に要望いたして本案に賛成をいたします。
  100. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  中小企業振興資金助成法案を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  102. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  報告書には多数意見者の署名を附することになっておりますので、本案を可とされた方は順次署名を願います。   多数意見者署名     西川彌平治  白川 一雄     河野 謙三  古池 信三     高橋  衛  中川 以良     深水 六郎  苫米地義三     海野 三朗  上條 愛一     小松 正雄  藤田  進
  104. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会