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1956-04-19 第24回国会 参議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十九日(木曜日)    午後二時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            西川平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            大谷 贇雄君            古池 信三君            苫米地義三君            中川 以良君            深水 六郎君            海野 三朗君            上條 愛一君            小松 正雄君            藤田  進君            加藤 正人君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    中小企業庁長官 佐久  洋君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    通商産業省企業    局臨時賠償室長 山本 重信君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○経済自立方策に関する調査の件  (ビルマとの賠償協定締結に関する  件)  (最近における鋳物用銑鉄状況に  関する件) ○中小企業振興資金助成法案内閣提  出、衆議院送付) ○連合審査会開会の件   —————————————
  2. 阿具根登

    理事(阿具根登君) それではただいまから委員会を開催いたします。  原子力関係法案について参考人から意見を聞くことに御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人の人選及び日時等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 阿具根登

    理事(阿具根登君) なお、日程に追加いたしまして、通商行政一般に対しまして、海野三朗君より質問申し出がございますが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
  7. 海野三朗

    海野三朗君 この二、三日前の新聞を見ますると、ビルマにはイギリス石けん工場を始める、それはビルマが半分出資をし、イギリスが半分出資をして化粧石けん工場を建てるのだ。その必要なる材料その他はことごとくイギリスかう入れるという記事が出ておりましたが、一昨年ビルマに参りましたときには、石けん工場さえもビルマにはないのであります。ことごとくイギリス石けんが市場にはんらんしておったのであります。その後日本賠償調整ができ上った後において、いかなる鮮度をもって日本がこの賠償に当っておるか。私は思いまするのに、通産省あたりから向う駐在商務官を置いて、そうして向う政府及び業者、そういう方面顧問役になり、ともに相談をして、そうして努めて日本品を入れるように、また、工場などについても、ごく簡単な工場から始めていくべきものではないか、こう思うのでありますが、通産省としてはどういう態度でこのビルマ賠償をお考えになっておるのか、今日までの大体のあらましを承わりたいと思うのであります。
  8. 山本重信

    説明員山本重信君) 私から簡単に現在までの賠償実施状況を申し上げます。  ビルマ賠償実施が開始されましたのは、昨年の暮れからでございます。協定が効力を発生しましたのは、四月でございましたが、その後実施の方式、その手続等につきまして、ビルマ政府との間の話し合いが案外に手間取ったのでございますが、ようやくに妥結をしまして、年末からその業務に入っておるわけであります。その後はきわめて順調に進行をしておりまして、三月の末までに五件、金額契約金額にしまして十億円、支払い金額で二億三千万円という、やや少い金額ではございますが、引き続きまして約五十億見当の入札が行われ、なお引き続いて入札手続が着々進行いたしております。従いましてビルマ側としては、現在の賠償進行状況につきましてはきわめて満足をいたしておるような状況でございます。  それからなお、ただいま現地での石けん工場お話がございました。日本業者現地合弁事業をやりたいという希望者相当ございまして、昨年来相当数会社現地調査いたしたのであります。数社からその調査の結果に基きまして合弁事業の設置の基本的な条件についてビルマ側意見を出し、ビルマ側決定を待っておるというのが現在の状況でございます。ビルマ政府といたしましては、いろいろ国内手続等がございまして、実はまだ合弁事業の方につきましては、一件もビルマ側最終決定をした例がないのでございます。日本側としましては、従来できるだけの協力的な態度で、現地調査その他も日本側が経費を全部立てかえ払いをするというような態度で協力して参っておるのでありますが、今後ビルマ政府の方がその産業の育成について基本的な方針決定をしますれば、それに伴って逐次そうした経済協力も実現をしていくのではないだろうかというふうに観測しておるのであります。  なお、現地商務官を駐在させて、商社なりメーカー現地での仕事に協力させたらどうかという御意見がございましたが、実は現在向う大使館には通産省から一名書記官が参っておりまして、主として通商関係、それから最近の賠償関係仕事を担当してやっておるのでございますが、なかなか忙しいようでございまして、特に事柄軌道に乗りますまでは、いろいろ手数のかかる仕事が多いのでございますが、あるいはもっと増強したらいいではないかというような御意見は、現地の実情かう判断しまして、これは私個人の観測でございますが、非常にごもっともではないかというふうに感ずる次第でございます。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 ビルマ賠償ですが、締結せられてから年末までにぐずぐずしておったのでありますが、その理由はどういうところにあったんですか。昨年久留島秀三郎君を参考人として呼んで話を聞いた際には、ビルマ双手をあげて、とにかく何でもいいからすぐ始めてもらいたいと言って、向う双手をあげて待っておるという報告であった。しかるに、うまくまだ軌道に乗らないで半年以上もじんぜんとしておったわけは、どういうところにあったのでありましょうか。それを一つお伺いしたいことと、それから商務官向うに置かれても、事務的の仕事をやる人を向うに置いたんでは、私が今申します趣意は、それじゃいけないんだ、とにかく向うに行っていろいろな雑務をやっておるというような人ではなしに、積極的に向うつまり顧問というような格になって向うのために考えてやり、そうして何が足りないか、どういうふうにしていけばいいかということを考えてやるような商務官を置かなければならないじゃないか。事務をただとってやるのであるならば、何も通産省から行かぬでも、向う大使館の人間でもいいのじゃないかと、私はこう思うのですが、それでどうしても通産省からそういう方面の知識にたけた人を向うに駐在せしめて、そうして雑務をおもにやらせるということではなしに、向う業者なりあるいは政府当局なりによく相談役となってこのビルマ賠償を進め、一方においては賠償を早く支払えば損をするように思うけれども、決してそうではないので、早く基本的な将来の、つまり下地をずっと築いていかなければならない時期ではないか。今ヨーロッパはもちろんイギリスなんぞでも実にそういう方面に対しては熱心に積極的に出てきておるので、日本がぼんやりしておって、せっかくの賠償をやっても、いつの間にかイギリスのん色彩が濃厚になるというようなことでは、将来の貿易に非常に影響するのではないか、こういう見地から見ての商務官向うに駐在せしめて、いわゆる向う顧問役というようなものになって、そうしてこれを進めていくことが必要ではないか、こういうふうに私思うのですが、それに対しましては政務次官はいかにお考えになっていらっしゃいますか。ばく然と、私は賠償を支払うのは、なるべくおそい方がいいというようなお考えではいけないのだから、それで半年もぐずぐずして軌道に乗り得なかったというのはなぜ一体そうなったのであるか、どうもその点がはっきりしませんので、その点をはっきり御答弁願いたい。
  10. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) ごもっともな質問でございまするが、政府といたしましても、ただいま御答弁申し上げましたように、一人の商務官を派遣しておるわけであります。さらにプラント技術協会等に対しましても、実は民間人を派遣しておるわけであります。しかし賠償問題等も第二年度にも入りました関係等もございます。従いまして海野委員希望に沿うように、今後さらに増員するように一つ検討してみたい、こういうふうに考えている次第であります。
  11. 山本重信

    説明員山本重信君) 賠償協定が成立しましたのが四月十六日でございまして、賠償実施が開始されましたのが十二月に入ってからという状況でございまして、大へん実施がおくれましたのでございます。その間の事情を申し上げたいと存じます。  ビルマ日本とが賠償協定を作りましたときに、その賠償実施方法につきましては実は協定の中には何もうたってなかったのでございます。今まで賠償ということは日本としても全然やった経験がございませんので、実際の手続を作る段取りになってみますと、いろいろ新しい問題がたくさんに出て参ります。その中で特にビルマ側意見調整を必要としました点は、現物賠償でありながらビルマ側日本から円をもらいたいと、こういう要求を出したことなのであります。元来、今度の賠償日本人の役務と日本国生産物をもって賠償を支払う、いわゆる現物賠償という原則になっておるのでありますが、ビルマ側では日本政府が勝手に物を調達してビルマに渡すという方針では満足しない、ビルマに円を渡してもらいたい、その円をもってビルマから自由に日本の国の中で適当な業者選択をして買い付けをしたい、こういう希望申し出があったのであります。これは現物賠償という精神からはずれて参りますし、万が一ビルマ側業者選択を誤って注文をしたけれども、その品物ができなかったというような場合に、日本政府の責任は果してそれで済ませるかどうかというような問題が、法律上また会計技術上出て参りまして、なかなかその間の調整ができなかったのであります。最後日本側としましては、ある程度ビルマ側の要望を入れるためには、建前論をくずすのもやむを得ないという結論に到達いたしまして、最後は円をもってビルマ側に支払うということで踏み切りをしたのであります。  その次に引き続いて問題が起きましたのは、その場合に円を渡す方法でございます。ビルマ側では自分の好きな銀行日本国内為替銀行の中で数行を選んで適当なところにその金を預けておきたいという希望を言って参りました。日本政府側では、その金は賠償勘定という特別な勘定でありまして、民間の預金その他とは全く性質の違うものでありますから、できるならば国庫金と同じように日銀あたりに預けたらどうだろう、市中銀行を使うことは好ましくないという考えがありました。それでなかなかビルマ側の方が固執をして譲りませんので、それでは市中銀行にしましょう、そのかわり銀行は、従来ビルマ政府日本から普通の商売で品物を買っている場合に使っております東京銀行一行を推定をしてもらったらどうだろうか、元来賠償勘定というものは、先ほど申し上げましたように国庫金の一種のような性質もございままし、特殊な勘定でありまして、それを勝手に引き出して何にでも使っていいというものではございませんので、一行にしておいてもらいたいという希望申し出たのに対しまして、先方はぜひ数行にしたいということを固執いたしまして、その銀行一行にするか数行にするか、また市中銀行でいいかどうかというような議論が案外に手間どったのでございます。結局最後刊本側でやや現在の会計法を厳重に解釈する意味からは若干の疑念があるかもしれないけれども、大衆的な見地からこの際早くこの手続きをきめて、賠償実施を開始したいということから、大きな点においてはほとんどビルマ側要求最後にのむことにいたしまして、ようやく話をつけることにしたのでございます。そうしました結果ようやく十二月に入りまして手続関係がすべて話がついたというのがその内幕でございます。これは便宜私から申し上げましたけれども実は主として大蔵省の関係事柄なのでございますので、そのことをちょっと念のために付け加えておきます。  それから先ほどお話しございました久留島さんの現地報告についてでございますが、実はその報告会のときに私も随行いたしましてこちらで話をかたわらでお伺いいたしたのでございますが、久留島さんのビルマ側双手を上げて日本にまかせると、日本のいいようにしてくれというふうにお話がありましたのは、実は賠償そのもののことではございませんで、むしろ経済協力あるいは合弁事業の方についてのお話しであったのであります。ちょうどビルマ現地の方に久留島さんがいわゆる稲垣ミッションの副団長としておいでになりましたときに私も随行したのでございますが、ビルマ側では工場を建てた場合に、あとの運営については日本側に全面的にまかせていきたい。日本から中心になる技術者を呼んでもらって経営関係は全部まかせたい、こういうことでありまして、その点を久留島さんが御報告になったのであります。本来の賠償の問題ではなくて経済協力の方の問題であったように思うのであります。それで賠償自体につきましては先ほども申し上げましたように、手続のこまかいことについてもビルマ側は大へんに頑強に、がんこに固執いたしまして、支払手続の問題、銀行問題等についてなかなかその日本側に全部あげてまかせるというような鮮度ではございませんで、また、賠償実施計画を作る場合その中にどういう品物を選んでいるかということにつきましても、決してこれはビルマ側の方で日本にまかせるから計画を適当に作ってくれというような態度ではございませんで、非常にこまかいいろいろな要求を出してきておりますので、その点は先ほどの久留島さんのお話経済協力の方のことであるというふうに御了承をお願いしたいと思います。
  12. 海野三朗

    海野三朗君 この前の久留島さんのお話はあなたもお聞きになっていたでありましょうが、各省の大臣からいろいろな要求提出されたと、そこでウーチョウ・ニェン外務大臣に会って一体どれから仕事をやればいいのかということを聞いた際に、ウー・チョウ・ニェン外務大臣はどれでもいいから、手つとり早く一つやってもらいたいというお話しであったと私は聞いておるのでありますが、たしかそうだったと思いますが、どうですか。
  13. 山本重信

    説明員山本重信君) その点は賠償実施計画の問題でございますが、先方ではなかなか簡単に日本側に全部まかせるというような態度ではございませんので、現在でも賠償実施計画の中の優先順位と申しますかプライオリティにつきましては、あくまでもビルマ側が主専権を持って折衝しているという実情でございます。
  14. 海野三朗

    海野三朗君 それでただいまお話がございましたが、石けん工場についてはあなたのお見通しはどうなんですか、日本つまり工場が、その商人が行って、日本つまり石けん工場でも建てようということで交渉中であるというお話しでありますが、それに対してのお見通しはどうなんですか。
  15. 山本重信

    説明員山本重信君) 実は私石けん工場計画につきましては、詳細の調査をいたしておりませんので、あるいは後刻調査いたしました上で御報告申し上げたいと思います。   —————————————
  16. 海野三朗

    海野三朗君 ありがとうございました。  それでもう一つ重工業局長に今緊急問題としてお伺いいたしたいのは、鋳物銑鉄です。銑鉄国内では今非常に飢饉のような状態であります。それで鋳物についてはノジュラー合金が発明されて以来、急速なる進歩をして年間約八十万トンくらいの鋳物需要があるのに対して、国内鋳物銑鉄は非常に少い。こういう状態ではこの機械工業の伸びというものが常に抑えられておる形であって、非常に発展を阻害するというふうに考えられますが、この鋳物銑不足、昨今の不足状態については、通産省はどういう御考えを持っていらっしゃいますか。
  17. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 鋳物銑供給の問題でございますが、確かに昨年に比べまして、今年度機械関係等需要のため相当需要がふえております。それに対しましてはわれわれといたしましては、できるだけ鋳物銑供給の量をふやそうということで努力いたしております。大体毎期、昨年の例でございますと、十四万五千トン程度の大体の供給壁でございまして、第四四半期は若干それで不足いたしましたので、この三月に緊急出荷といたしまして、六千トンを追加してメーカーから出してもらうことにいたしたわけでございます。第一四半期にはただいまの計画では十六万五千トン程度のものを出荷させるように今計画いたしております。年間を通じまして大体昨年は自家用を含めまして供給量六十五万トンの鋳物銑鉄計画でございました。本年度はさらにこれをふやしまして、七十五万トン程度大幅の供給考えております。これに伴いまして、もちろん鉄鋼全体といたしまして、供給増加をはかりますが、銑鉄につきましては、昨年の高炉銑が五百一十二万トンでございましたが、今年度は五百七十七万トンの大体目標を立てて、できるだけ銑鉄増産し、同時に銑鉄輸入につきましてもできるだけ努力をしてみたい、こういう考え方でございます。
  18. 海野三朗

    海野三朗君 この鋳物銑需要が非常に増しているのに、今量が少いものでありますから、やみ価というものが非常につり上って、従って今度正常の方も非常な値上がりをしておる。こういう状態に対して数千トンくらいの量の増加では焼け石に水なんであります。将来は、つまり現在も困るのでありますが、今熔鉱炉を持っている製鉄工場では、鉄鋼一貫作業をやっておるわけです。一貫作業をやった方がもうかるから、実際はで鋳物銑でよりも。銑鉄で売った方がもうからないから、民間会社としてはやむを得ない現象でありましょうが、ここに相当量不足鋳物銑考えられますときに、通産省としてはどっかの熔鉱炉の余ったところでも復活させるとか、あるいはまた新たに熔鉱炉を建てるとか、そういうふうな御計画はないんですか。
  19. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 熔鉱炉の問題につきましては、われわれといたしましても先ほど説明いたしました通り、できるだけ今年度銑鉄増産をはかりたいということで、できるだけの熔鉱炉を使いまして銑鉄増産努力をいたすということになっております。そういうふうなことで銑鉄増産につきましてはできるだけ努力をし、かつ輸入をはかって供給に応ずるようにしたい、こういう考え方でございます。で熔鉱炉の問題にしましても、本年度は従来休止中でありました住友の小倉の第一高炉、あるいは中山製鋼所の第一高炉、そういうようなものを、それぞれ四百五十トンでございましたが、これを六百トンとして昭和三十一年度中には新しくスタートするというふうなことに手配をいたしております。いろいろ考えておりますが、今年度間に合うというような大きなものにつきましては、これはまだ将来の問題でございまして、今年度計画としては大体そんなふうになっております。
  20. 海野三朗

    海野三朗君 現在においても相当量足りないんでありますが、次の時期においてはどれくらい足りないんですか。また、来年度はどれくらい足りないのをどう補ってゆくという需給計画がお立ちになっておるのですか。
  21. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほど申し上げましたが、本年度は大体自家用をも含めまして七十五万トンの供給考えております。これで年間は、ことに現在が相当不足しておりますが、大体本年度の後半期になりますと、比較的この問題は楽になるんじゃないかというふうな感じもいたします。ですから年間全体を通じましてはわれわれといたしましてはそう心配しておらないが、ただ、たまたま現在移り変る時期になっておりまして、そういうふうな事態が起っているんじゃないか、同時にまたこれは、たとえば今の繊維関係設備制限等関係で、相当現在たくさんの注文を受けておるというために、通常期以上のこの期において鋳物需要増加しておるというような臨時的な意味もあります。そういうわけで移り変り的な問題もあるし、臨時的な問題ということで、現在若干苦しくなっておる。でわれわれといたしましてはできるだけ計画通りメーカーから出荷してもらうようにできるだけの努力を払っておる次第でございます。
  22. 海野三朗

    海野三朗君 この問題につきましては、私はこれで質問をあと保留しておきますが、この鋳物銑需要量、年次に対しての需要壁、一昨年は幾ら、去年は幾ら、本年は幾ら、そうすると来年度は何トン、それと国内生産量銑鉄のうちで鋳物銑にどれだけ向いておるか、一つその資料の御提出をお願いしたいと思います。そうして鉄鋼についての遠き将来の見通しがなければ、この国のあらゆる産業の基礎は製鉄業でありますから、それについての資料の御提出を願いたい。また、鉄鉱石に対してはどれだけのお見込みを持っておるのか、国内の砂鉄は何トンくらい鉄鉱石として役立っておるのか、その辺の将来に対する見通しを承わりたいから、それらに対しての資料の御提出をお願いいたします。
  23. 西川彌平治

    西川平治君 関連いたしまして伺っておきたいことは、海野委員からただいま銑鉄が非常に不足をしておるということをるるお話がございましたが、全くその通りでありますが、巷間伝えるところによりますると、この鋳物銑鉄の単価を引き上げるために特に品物不足しておるのではないかというようなことが伝えられておるのであります。一昨年あたりは二万四千五百円のものがずっと二万六千五百円になる、一時位下りをしてまた今二万七千五百円というような和場が出ておるわけでございますが、ところが銑鉄はそうでありますけれども、実際のくず銑鉄が三万も三万二、三千円も今日いたしておりまするのでありまするので、そういう面からいたしますると、やはり新しい銑鉄が値段が安い、安いものをどんどん出すよりも、一つ品物生産を制限いたしておいて、そして品物不足という面からして値上げというような線に持っていくような傾向があるということが私たち聞いておるのです。そういう点は実際はどうなのでしょうか。
  24. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 鉄鋼一般を通じまして、実は昨年来非常に世界的に好況でございまして、輸出も伸び、あるいは国内需要も今年に至りまして相当ふえておる。こういう関係で、鉄は非常に強くなっております。昨年度世界の鉄鋼生産力は二億六千八百万、一昨年に比べまして二〇%の増であります。そういう関係で、原料関係についても相当上りましたし、また運賃等関係で、非常に鉄鋼関係コスト高になっております。そういう関係でこの一年間ある程度鉄鋼値上げを見たわけであります。通産省といたしましては、できるだけかようなものについては価格を安定さしたいというような努力はいたしておりますが、大勢から見て、やむを得ない場合もあったわけであります。さようなわけで、鉄鋼銑鉄、いずれにしましてもそういうふうな関係から従来価格の問題を見ております。御指摘の点は、銑鉄についてどんなように価格がなっておるか、これも従来鋳物用銑鉄につきましては、特に価格の問題がございましたが、昨年の九月ごろの値上げの場合には、相当ほかのものよりも値上げについて相当強くこれを値上げしないようなつもりで考えておったわけであります。その結果、ある程度供給の方で非常に苦しくなったという事態がございまして、さようなわけで、今後普通の製鋼用に使います銑鉄と、鋳物用に使います銑鉄との差をどのように見るかというところに一つ問題があるわけであります。しかし、こういう点については、なお検討を続けておるわけであります。さようなところが今問題になっておる次第であります。
  25. 西川彌平治

    西川平治君 そうすると、鋳物用銑鉄の小売価格を今後日本において、遠き将来は私はわかりません。ごく最近のうちに鋳物用銑鉄値上げをするようなことは、お考えになっておらないと承知してよろしゅうございますか。
  26. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 鋳物用銑鉄の値の問題につきましては、現在鉄鋼メーカーの方から値上げ希望が出ております。われわれといたしましては、それを目下検討をいたしておる。かような点は、普通の要するに製鋼用に使います銑鉄とそれから鋳物に使います銑鉄との差が現在千円でございますが、これは果して妥当であるかどうかというふうな点で検討いたしておるわけであります。
  27. 西川彌平治

    西川平治君 かように銑鉄不足をいたしておりまする関係で、かって戦争中に陸軍並びに海軍において使いました工作機械が一応政府の保管になっておるものがかなりのトン数あるわけでございます。そのうちから優良なものから逐次民間に払い下げその他をいたしておったのでありますが、最近もうひどく悪くなっておるものは、スクラップとして払い下げをしておるというようなことが伝えられておりますが、実際に払い下げをやっていますかどうでありますか。
  28. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ただいまの御質問は国有機械の払い下げの問題、これについては大蔵省と相談いたしまして、これは銑鉄ばかりでなしに屑鉄、鉄鋼の鉄源として非常にわれわれとしては希望しております。これはできるだけ払い下げさしてもらうように常に交渉し、現在もその方向で実行されておると存じます。
  29. 西川彌平治

    西川平治君 たしか今局長のお話しになったような線で払い下げをしておるとは言っておるのでありますが、事実この本年度、本年と申してますか、昭和三十一年に入いりましてから、出る出るというかけ声はかなりにあったんでありますが、実際に出回わりがないのじゃないかと私は実は想像するのであります、その証拠にはいわゆる鋳物用のスクラップがちっとも値下りをしていない、六万トン出るとか何方トン出るとか風評があったのですが、そのくらい出ると、少くとも一カ月の鋳物用スクラップの使用料を充たすくらいのものが出るような風評がありますが、かなり価段が下っておると思いますが、下っておらんのですか。もしどのくらい実際の程度払い下げが行われておるものであるかということが、おわかりになったら、今でなくともよろしゅうございますから、お知らせ願いたいと思います。
  30. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ほかに御質問ありませんか。
  31. 海野三朗

    海野三朗君 今の鋳物用銑鉄の値段でありますが、通産省が認めた、現在のトン当りいくらになっておりますか。
  32. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) これは通産省が認めたかどうかと言いますと、法律でどうこうということになっておりませんので、これは業界で各メーカーが建値をきめる、これを通産省が認め、これに対してどう考えるかということになるわけでありますが、現在の鋳物用銑鉄の建値は、鋳物用一号で二万六千五百円であります。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 そこで私はこのお伺いしたいのは、そういうふうに値段が安いから上げていくということになると、従ってすべての方面が響いていくわけです。これを上げないでも、つまりやみ値と建値との違いがあることは、そのものの供給が十分でないからだ、その根本を一つ通産省よく考えてみなければならぬのじゃないか。ある会社では今二万九千五百円という値を呼んでおるやに聞くのでありますが、そういうことをやらせたんでは、通産行政の立場から非常に遺憾ではないか、こういうふうに思うわけです。そこでそんならば業者の方では値段が安いから上げたいといっても、上げさせない、そういうことになりますと、結局帰するところはどこにあるかというと金利の問題になってくるので、そこで私は過日から再三委員長にお願いして開銀の方を呼んでということを要求しておるのは、実にそこにあるのです。根本はそういうところに私はあると思いますので、結局洗ってみると、政治の貧困ということを私は思わないわけにいかない。値段のことについては各社がこれをつり上げておるということに対しましては、通産省はどういうふうな鮮度でいらっしやるのですか。
  34. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほど御指摘のありました結局需給関係が非常に大事ということは、確かにごもっともと思います。そこで価格をできるだけ安定をはかりたいと思いますが、同時にわれわれとしましてはやはり根本では供給をできるだけ需要に合わすようにするということが、それが一番の努力であります。それに応じて価格の問題も、価格につきましては大体これは現在法律もございませんし、大体メーカーが建値つけます。それについて通産省意見があればある程度意見を言う程度でありまして、現在そういうふうなことでやってきております。
  35. 海野三朗

    海野三朗君 この値上げをつまり通産省が認めるか認めないか、お認めになるお考えなんですか。
  36. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 従来の考え方はわれわれとしましては、供給を十分にし、そして価格もできるだけ安定したい、これは一般の方針でございます。しかしながら世界的の大勢、あるいは国際的の価格の問題、原料コストの状況、いろいろな観点から価格の問題をどう見るかというような考え方は、従来考えております。今後の問題につきましても、そういうふうな観点から見ることになるわけであります。
  37. 海野三朗

    海野三朗君 今その値段の上昇も、つまり通産省はお認めになるお考えかどうかということを私は伺っておるのです。
  38. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほど御質問もございました値段の問題について、目下検討中でございます。従いまして、まだ結論を出しておりません。   —————————————
  39. 阿具根登

    理事(阿具根登君) では日程に従いまして、中小企業振興資金助成法案を議題に供します。まず、中小企業庁長官佐久君より御説明を願います。
  40. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 中小企業振興資金助成法案につきましては、先般提案の理由で大要の御説明を申し上げてあるのでありますが、その後だいぶ時間も経過いたしておりまするので、若干内容にわたりまして補足的な御説明を申し上げたいと思います。  この法案は、中小企業等協同組合の共同施設及び中小企業の経営の合理化のための設備を設置するのに必要な資金の貸付を行うために、国と都道府県の両者の負担分を合せまして、都道府県ごとに一つの特別会計を設けさせる。これを毎年回転運用させるということを骨子といたしたのでありまして、大体従来もこの制度で行なって参ってきておりました。それが法的に明確にした方が、今後の運用上有益であるということで、法定したわけでございます。  第一条は、ただいま申し上げましたように、本法の目的を明らかにしたものでございます。  第二条は、本法におきまして中小企業者とは何をいうかという定義を定めたものでございます。すなわち資本金または出資金の総額が一千万円以下の会社であるか、あるいは常時従業員数が三百人以下の会社または個人を中小企業者というのであるということをうたったわけでございます。この人数の関係で商業とサービス業にありましては、この三百人というのは三十人以下、こういうふうに定めたのであります。  第三条は、都道府県が国の補助を受け、本法に基きまして貸し付ける資金の範囲を定めたものでございます。すなわち三つの場合がございますが、第一が事業協同組合あるいはその連合会が経済事業を行うための共同施設を設置するのに必要な資金、第二には、企業組合の経営合理化をはかるための施設の設置に必要な資金、第三番目が、中小企業者の近代化設備の設置に必要な資金、この三つの場合に都道府県が金を貸す。その際にその事業資金の一部として、国から補助金を交付する、こういう制度でございます。なお、国はこの条文に基きまして、補助金を都道府県の貸付事業に交付して参りますが、それが一定の額に達した場合には、打ち切るというようなことになっております。  第四条におきましては、一つの組合あるいは一つの中小企業者に対する都道府県の貸付金の限度を必要資金の二分の一以上というふうに定めたのでございます。  第五条におきましては、都道府県の貸付条件でありますが、貸付金は無利子である。償還期限は五年以内で、政令で定める期間とするということにいたしております。  第六条は、都道府県から貸付を受けた組合または中小企業者に対して連帯保証人を立てさせるという規定でございます。  第七条は、貸付期間の満了する前に貸付金を償還させる場合を規定いたしました。  第八条におきましては、償還金を免除する場合を規定いたしております。  第九条におきましては、違約金を徴収する場合には、徴する場合と、その計算方法を定めておるのでございます。  第十条におきましては、本法に基く都道府県の貸付事業の経理を明確にして、かつ一般の歳入歳出と区別するために、都道府県に特別会計を設けさせる。同時にその特別会計における歳入及び歳出の内容を明らかにしたものでございまして、これは従来なかった制度で、新しく設けた制度であります。  第十一条は、貸付事業を行う都道府県に対して国が補助金をやる場合に、その補助金の額の限度を定めた規定でありまして、その額は都道府県が特別会計に貸付金の財源として投入した額と同額、あるいはそれ以下というふうに定めたのでございます。中小企業の振興をはかるということは、国の政策としてきわめて重要な問題でありますが、地元の都道府県といたしましても、この問題は国と共同してその育成発展に努力してもらいたいという考え方から、補助金の分担割合は同額という建前で規定をいたしたのでございます。もちろんこの都道府県の財政が最近非常に窮屈になっていることは十分承知いたしておるのでありますが、都道府県の中小企業振興のために支出している金額は、従来とも他の部門の経費に比較いたしまして、必ずしも多かったとは申されないのでありまして、この程度の負担は従来と同様ぜひとも継続していただきたいという考えを持っているわけであります。  第十二条は、本法に基く貸付事業を都道府県が行うに当りまして、中小企業対策の立場から適切な貸付が行われる必要があるのでありまして、そこで通産大臣があらかじめ基準を示しまして、これに従った事業計画の作成を都道府県に義務として課したのであります。  第十三条は、都道府県が貸付事業を廃止した場合に、その補助金を国に返還する義務があることを明らかにし、その返還すべき金額の計算方法を規定したものでございます。  以上がこの法案の概要でございますが、なお附則におきまして施行期日を定めたほか、経過措置といたしまして国に納付されるべき本年度以前の都道府県に対する補助金をすべて都道府県の特別会計に国の補助金として今後は繰り入れる。それを財源に充てて今後の貸付を行う。こういうことを規定したのであります。何とぞ十分御審議の上御可決下さらんことをお願いいたします。
  41. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
  42. 河野謙三

    ○河野謙三君 三十一年度の振興資金のワクはあらかじめどの程度予定しておられますか。
  43. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) まだ最後的に数字が若干きまらない点がございますが、中小企業者に対する設備改善近代化のための補助金と共同施設に対する補助金を合計いたしまして四億七百万プラス・アルファということになります。そのアルファがまだはっきりしない。そう大した動きはないと思いますが、近々きまると思います。
  44. 河野謙三

    ○河野謙三君 かりに四億七百万ときまりますと、これは大体府県別に一応割当予定額というようなものがあるのですか。
  45. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 大体従来各都道府県とも出しておりますし、それを基準にして分けるということになろうと思いますが、事務的な運びといたしましては、一応通産局別に過去の実績等を考慮いたしまして仮ワクを作ります。それで通産局が各都道府県と相談をいたしまして、県別のまた仮ワクを作る。それに基いて実際の事業計画額をきめるわけであります。最後には、それを見た上で都道府県別の金額がきまる。こういう事務的な手続をとります。
  46. 河野謙三

    ○河野謙三君 補助の対象になる業種というものは、あらかじめきまっておりますか。
  47. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは共同施設と近代化の場合と違いますが、近代化の場合には、業種それから近代化する設備と申しますか、そういうものをあらかじめ明示して、それに基いて各都道府県が補助金を出す、こういうことにしたいと思います。
  48. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、あらかじめ対象業種というのはわれわれに資料としていただけますか。
  49. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これはただいま省内で各原局の意見を聞きながら作っておりますから、もちろんあらかじめはっきりいたすわけであります。
  50. 河野謙三

    ○河野謙三君 その業種選定の場合に一つ基礎条件になるものを御説明願いたいのです。たとえばいかに合理化をすると申しましても、現在国全体を通じて非常な生産過剰になっている業種というものは、これは対象から抜けるのじゃないかと思うのです。それからいかに中小企業の合理化といいましても、合理化いたしましても、なおかつ大企業と対抗できないというような業種がありますね。中小の規模において経営して、大企業と十分対抗できるような業種、いかに合理化いたしましても大企業に及ばない業種、こういうものがすべて対象業種を選定する場合の基礎になると思うのですが、そのほかに何かいろいろ対象業種を選定する場合の基礎条件というものはありますか。
  51. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) もちろんただいまお話しのありましたようなことは考慮の対象になりますが、そのほかには、国全体の政策として輸出の振興というようなことがありますので、もちろんその線に沿った考え方をしていきたい。同時にまた、国内資源の開発、活用というようなことが抽象的な業種選定の基準になると思います。
  52. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから、たとえばサービス業というようなもの、これも中小企業には違いありませんけれども、今総ワクで四億や四億七百万円という程度で、こういう非常にしぼられた資金の中から、その対象業種の中にサービス業というようなものは、当然私は入らんと思うのですが、たとえば一つの例を……。
  53. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 近代化設備の場合にはそうういうものは考えておりません。
  54. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから先ほどもちょっとお話が出ました地方財政の関係ですね。これはあなたの方で地方の中小企業局を通じて、府県別の割当基準をきめる場合に、もちろん地方財政の問題も考慮してきめられると思いますけれども、一体地方財政との関係において、非常に全国を通じますと、この資金が片寄った方向に流れるということになると思いますが、その点はどうでしょうか。
  55. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 今の地方財政の窮乏を伝えられている状況下におきまして、各都道府県が一般会計から繰り入れる金額と大体同額の補助金を出すという考え方が果していいかどうか、その点についてもだいぶわれわれも検討いたしたのであります。結論としては、ここに御提案申し上げましたように、国の補助金と同額を都道府県が持つこと、こういうことにいたしたのでありますが、それは従来も同じような形でやってきておりました制度で、全然新しく作った制度でないということがまあ一つ、それから考え方が共同施設の補助金なり、あるいは近代化設備に対する補助金を貸し付ける業というものは、都道府県が主体でありますから、少くとも国から補助金をもらうくらいの額はその主体が持つべきだという、これはまあ一つの形式論ということになるかもしれませんが、そういう考え方、それから同時に、やはりこの中小企業の振興ということは、地元の都道府県が相当熱を入れてやっていただかないと効果が上らない。そこでまた苦しいながら、国といえどもやはり苦しいのでありますから、お互いに共同して振興をはかっていく、こういう考え方、それからこの貸付金は全然なくなる金ではございませんので、五年の期間内に返還をさせる。ただ無利子であるというのでありまして、それによって中小企業が振興すれば間接にやはりその都道府県が相当の利益を受けるはずだというような、そういういろいろの点を考慮いたしまして、都道府県の負担部分と国の補助金の額というものを同額にした次第でございます。
  56. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこの各府県からの要求以外にもっと高いところから、これはもう大企業といえども、中小企業といえどもやはり産業には一番大きな条件というのは立地条件ですよ。社会的、経済的な条件というのはこれは一番大きな問題なんです。そういう点からたとえば大阪、東京を離れた非常な山村僻地でいかに工場だけを合理化いたしましても、それでもなおかつ立地条件で合理化というものが消されてしまうというようなことはたくさんあるわけですね。そういうふうな点を考えますと、このやはり合理化資金というようなものは、どうしてもまあ産業によっていろいろ違いますけれども、大体日本産業というのは運送産業といっていいくらいに、運賃というものが非常に大きなウエイトを占めている産業が多いのです。そうしますと大体大都市中心の府県、しかもこれらの府県はそれぞれ財政的には非常に恵まれておるというところに流れるというような、また流すべきだというような結論になると思いますけれども、そうじゃありませんか。
  57. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 全体を見渡した場合に、現在の工場分布というものは、最も消費地に近いところに工場が集中して、非常に立地条件の不利なところには少いということは、きわめて概括的にいうと言えるのじゃないかと思いますが、必ずしもその通りにいってないところもあるわけであります。そこで三十一年度あるいは三十二年度という短期間だけを見ますと、今の分布から見て必要性に応じて補助金が出るという形にはならない場合もあるかもしれませんが、何年かたっていくうちに、割合に余裕のある県は今までの特別会計に入れた金が自然に回転して、十分に近代化なりあるいは共同施設に対する補助金が行えるという状態になろうと思います。そういう場合には、今まで都道府県の財政状態が悪いために十分の補助金が取れなかったというところに、今度だんだん厚くしていくというような調整は、はかっていきたいと思っております。
  58. 河野謙三

    ○河野謙三君 私が言わんとするところは、現在の日本産業の分布が非常に立地条件を無視した分布になっているんですよ。戦争から戦後にかけて、とにかくコストの問題じゃなくて、物が不足しているから何でも物を作らなければならないということで、産業立地というものを無視してずっときたものだから、その惰性がいまだに残っておる。ところが最近自由経済化の色彩が強くなってくるに従って、立地条件を無視した工場というものが、中小企業であれ、大企業であれ、非常にそれは苦しくなってきた。そういうことなんです。たとえば一番いい例が食糧の問題で申すなら、製粉精麦工業というものが、とにかく戦争中に立地条件を無視していなかのどこへでもできた。ところが最近非常に自由経済化がされますと、いなかの製粉工場というものは、単なる工場の合理化とか経営の合理化などでは追いつかない。立地条件によって全部消されてしまう。そこで今いなかの製粉、精麦工場がつぶれつつある。製粉のごときはほとんど全部工場はつぶれている。今いなかで製粉工場をやっているのは愚か者である。これは何も製粉、精麦に限らず、あらゆる日本産業において、立地条件を無視した統制中の産業というものは、惰性が残っている。これをどこまでも救済していくなら別でありますけれども、これを単に政府が資金を補助してやるという程度で育成しようといったって、育成できるものじゃない。またそれをやってみとたころで、その資金というものは完全に合理化にならないで、これはもうただ死に金になるだけだ。そこらのところを割り切って、この資金計画というものは立てられるかどうかということなんです、私の伺いたいのは。
  59. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) ただいまのお話し、まことにごもっともだと思いますので、技術的なやり方はなかなかこれはむずかしいと思いますが、つまり一応私どもの考えておりますのは、近代化については業種なりあるいはその設備なりというようなものについての一応の基準を作る。それである都道府県については、その基準は適用しないというやり方はちょっとむずかしいので、技術的な問題はありますが、考え方としては今お説のようなことは考えていかなくちゃならぬと思っております。どういうふうなやり方が最も適切であるか、これは検討したいと思います。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは私がね、伺いたいのは、これがその四億じゃなくて一けた違い二けた違いで四百億というなら、そうその神経質にですよ、ものを考えなくてもいいと思います。入り用な人にはなるべく出してやってもいい。限られた四億程度のものを、あなたたちがお示しになったところの中小企業の合理化をするとかいうようなことなら、四億という金から見合うようなごく私は限られた、とりあえず、将来は別として、初年度においては四つとか五つのとにかく限られた、しかも国の産業計画からいっても非常に必要だというものに私はしぼっていくべきだと思う。それをまああらかじめ対象業種というものはお示し下さるけれども、それが二十であったり三十であって、しかもこれが資金の総ワクが四億というようなことであったならば、これはちょっと私はおかしいと思う。だからやっぱり四億という非常に限られた金から考えて、業種というものは非常に私は限られたものじゃなくちゃならぬと思うのですが、それはあらかじめ別表はいただきますけれども、大体とりあえずどのくらいの業種を考えておられるか。四億という金なら大したところの業種は指定できないでしょう。
  61. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 今各原局でその作業をしておりますから、はっきりした数字がわかりませんが、そう大きな業種の数にはならぬのでありまして、相当しぼった業種だけを対象にする、こういうことでございます。いずれ結果がわかりましたら、また表としてお目にかけたいと思います。
  62. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと業種を指定をされるわけですね。その指定をされた業種以外には、とりあえず対象業種として取り上げないということになるわけですね。それで指定業種ができますと、その業種は四億の金というのは、業種別に分けていくわけですか。
  63. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 全体の金を業種別に中央で分けることはいたしません。業種が一つの基準になりますから、それに基いて県別に分けられた金が県の判断で貸し出される、こういうことになるわけであります。
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、この四億という金で一方業種を指定する、そうしてこの四億という金がどこの業種に幾らいくという額はあらかじめきめないで、これは各府県に、指定された業種の中の選定は各府県にまかせる、こういうことになるわけですね。そうしますと結局指定をかりに十種類した、ところが結果においては四億の金がそのうちの一種類に全部いったということもあり得るわけですね。
  65. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 県の判断でそういうこともあり得るわけであります。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 その点は非常に私は疑問が残ると思いますが、それでもう一点お伺いしたいのは、一定額に達した場合は打ち切るというのは、一体一定額というのは幾らですか。
  67. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは今のところ明確に判断できませんので、一定額と書いたわけですが、かりにこれは私の一つの推算で、たとえば四億というのはそれと同額を都道府県が出すわけであります。それが実際の必要資金の二分の一でありますから、実際に使われる金は十六億、で国の補助金と都道府県の負担分とを今後五年、三十一年度と同じように予算を組んでいくとすれば、全体として五十億足らずの金になるわけであります。まあそのときの状況によってそれで足りるかどうかということは、ちょっとわかりませんけれども、まあ相当今までに比べれば余裕のある効果のある金になるのじゃないか、かように考えております。
  68. 河野謙三

    ○河野謙三君 まああまり大した金じゃありませんがねそれは……。そうしますともう一つ伺いたいのは、資本金一千万円以下、従業員三百人以下ということが一つの対象のようですね。組合あたりで経済行為をする場合に、組合の規模の大小というものは何んか制限がありますか。
  69. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) ただいまのこの中小企業者というのは、近代化のための補助金を出す対象である中小企業者でありますから、組合の場合は一千万円以下とか何んとかいうものは関係は全然ありません。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 組合の規模の大小はもう全然無関係、こういうわけですね。
  71. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 何もございません。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから最後にもう一点お伺いしたいのですが、この従来の中小企業の金融をしておりました中小企業金融公庫なり商工中金、こういうものと、今度のこの資金助成、無利子でやるこれとの関係はどうなりますか。
  73. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは従来もとってきた態度でありますが、そういうこの協同組合の施設なり、あるいは近代化の補助金を出すような対象に対しては、中小企業金融公庫なりあるいは商工中金から、できるだけ不足の金は融通するというあっせんをやって参ってきております。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはこの対象が、ダブるわけですね。商工中金なら商工中金というものとこれと業種が、あるものはダブるわけですね。ダブった場合に片方は無利子でやる、片方は市中金利以上の金利を払わなければならぬ、こういうことになってきますと、今度のこの振興資金の助成をもらおうと、この方に非常に資金の需要が殺到するというようなことが考えられると思いますが、そうではございませんか。
  75. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これはもちろん無制限に受け付けるということになれば、相当殺到すると思いますが、先ほどお話しのありましたように、予算金額が四億余りでありますから、従って業種を相当しぼる、あるいはその結果についての効率を見るということで、従来はそうひどい殺到の仕方はないのでございます。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 この資金の窓口はどこになりますか。
  77. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 特別会計を管理する都道府県でございます。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 都道府県から直接の貸付になりますか。その間に商工中金なり金融公庫に取扱いをさせるとかいうことは考えておられませんか。
  79. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) そういうことは考えておりません。
  80. 西川彌平治

    西川平治君 一つ伺いたいのは、先ほど、今まで中小企業関係の協同組合その他に共同施設に対する補助金であるとか、それから近代化に対する補助金が出ておるが、それが年々回収され得るということを先ほどお話があった、それがこの資金の中に入るのだということがお話がございましたが、近代化の補助金のことは別といたしまして、共同施設の国庫補助が一体回収でき得るというふうにほんとうにお考えになっているのですか、どうですか。
  81. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 従来は、協同組合の共同施設に対して補助金を出して、協同組合が利益を上げた場合に、一定額を控除して、一定額というのは法定準備金とかそういうものを引いた金額ですが、そういう場合に返すということになって、金額はわずかでありますが、返っております。ただ、この提案申し上げました法律の中でも、こういう場合には返さないでいいという返還免除の規定がございます。今後どの程度返りますか、従来よりは返り方がいいんじゃないかというふうに思っておるわけであります。
  82. 西川彌平治

    西川平治君 私はそのこれからの問題は別といたしまして、今までの補助金が返ってくるのを全部この特別会計の中に入れてやるというようなことを麗々しく書いておられるのでありますが、おそらくそれは、今お話しのように何百件かここに件数がありますが、そのうちからまあ何件かは返っておるとは思います。それは利益がある場合にはその補助金を返すということになって、しかも十カ年という一つの年限を切ってあると思うのです。その十カ年間にこの共同施設が、共同作業場が利益がなかった場合には、そいつは全然返さんでよろしいということになっておるはずでございます。そうすると、おそらく私の知っている範囲におきましては、日本全国のうちで、この共同施設に対して出た補助金は、おそらく返らぬと私は思うのです。返っておるのがあれば、それは奇跡的に返っておると言っても過言じゃないほど返っておらぬと思うのでありますが、一体どのくらい返っておるのでありますか。それをまた、その金を十四億あるから十四億をあてにしてこの中小企業の振興策にあてようというどうもお考えが、私は非常にそこに隔たりがあると思うのですが、それはどうでございますか。
  83. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 従来の実績から見ますと、これは昭和二十二年から共同施設に対する補助金というのが出ておるのでありますが、これは建前は、建前と申しますか、原則は、やりっぱなしという建前で、利益があったときに返す、これはまあきわめてまれなことでありますが、それで現在まで返りました金が六百四十万円というわずかなのでありますが、今度の制度は、今まではとにかくやりっぱなしということでありますから、今後のやつは一応貸金という制度で無利子で貸すという制度でありますから、考え方相当違っておる。従って従来のようなことはないと思います。最初からこれは返すのが原則であるということで貸すのでありますから、従来はやりっぱなしだということが原則で渡されていた。その点だいぶ違うのじゃないかと思います。
  84. 西川彌平治

    西川平治君 なるほどおっしゃる通りでありますが、しかし、これがこういうただし書を入れてしまいますと、まず中小企業者というのは、なかなかそう楽な企業もございませんし、それからまた、今までの経過から見ましても、私は回収というのはかなり困難をきたすと思うのであります。各都道府県におきましても、まあこれは私の聞いている範囲でございますが、この法律が出てくるならば、同額の資金を県が出さなければならんとするならば、それはもう返らないものとして考えなければならんということを言っている県があるのであります。あるのでありますから、あまりこの出した金が返って、くるくるくるくる回転するような安易なお考えでこれを出していただくのじゃ、私は非常に困ると思いますから、その辺のお考え一つもう一ぺん伺いたいと思います。
  85. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) どうも、この昭和二十九年度からは貸金ということを建前にして、名称は補助金でありますが、実際は金を貸してある。それを法律を作る場合に全然やりっぱなしということはどうしても書けませんので、まあ免除条項というようなものを設けて、その間はできるだけ従来の制度にあまり大きな狂いのないようにということを考えているのであります。もちろん貸した金が全部まるまる完全に返るということは、期待が少し大き過ぎるのじゃないかという感じは持っております。
  86. 西川彌平治

    西川平治君 かつては石炭の合理化に対しまして利子補給をするとか、あるいは造船に対してどうするとかいうふうな非常な恩典をもって大企業にはやっているのでありますが、むしろ中小企業に対してはもう少し大きな考えで、わずか三億や四億の金ですが、もう少しうまい方法はないですかな。わずかな金で非常に、利子の補給などはこれは変な行き方だと思うのですが、もう少し中小企業に対する思いやりを考えた場合において、なにかうまい方法はないですかな。
  87. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは金額の問題が少いというお説はもっともでありますが、無利子ということでございますので、結局利子の補給と同じようなことになろうと思います。お説の通りに中小企業者に対する国の、何と申しますか、援助が非常に手薄いという点は、私も常日ごろ考えておりますから、今後の努力一つ待ちたいと考えております。
  88. 西川彌平治

    西川平治君 もう一つ、河野委員が御質問になったことと同じようなことですが、一つ私伺っておきたいと思いますことは、工場の立地条件に関連をいたしまして、各府県におきましては、各府県独得の産業というものがかなりあるわけでございます。そういうものに対して、それがしかし各府県が独得の産業であっても、日本全体から考えた場合におきまして、それがあながち重要産業であるかないかというような問題もいろいろありますので、従いまして、その業種を指定される場合におきまして、かなり都道府県の意見通産省意見のディスカッションをやらなければならんと思っておりますので、そういう点についてどういうふうな方法でおやりになる御意向でございますか。
  89. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 先ほど申しましたように、一応国の補助金を出す場合に、実際の貸付は都道府県が行うのでありますが、ばらばらでは困りますので、業種なり、あるいは近代化設備について申しますと、その設備を限定いたしまして、それに基いて各都道府県は事業計画というものを作るわけでございます。その事業計画の中で、各都道府県の非常な特産的なものであって、同時にそれが輸出に役立つとか、あるいは資源の開発に役立つとかいうふうなものは、当然都道府県の判断に含まれておるというふうに思います。
  90. 河野謙三

    ○河野謙三君 一つ質問を落しましたが、今のは西川さんの資金の回収見込みの問題と関連がありますけれども、まあある業者が百万円の合理化資金が要る。その場合に県と国で五十万円借りる、あとの五十万円は商工一中金とか金融公庫とかから借りると、こういうこともあり得るわけですか。
  91. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) もちろんそれはあり得るわけでございます。
  92. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はあり狩るとしたら、非常におかしなものであると思う。そうしますと、自己資金は一切なくて合理化の金額が、この今度の振興資金、もしくは政府機関からの金によってまかなわれるということは、しかもその対象業種というものは非常にしぼられるということであったら、国家資金というものは非常にへんぱに流れることになるじゃないですか。これがまず第一点。第二点は、そういうふうに金額が借入金による資金というものは非常に回収が悪いということは、金融業者一般の声ですよ。たとえばですよ、まあこれは百姓の問題になりますが、私は百姓は比較的詳しいはずなんだが、たとえばかつて政府が、現在でもやっておりますが家畜の導入資金を出しておる。過去において導入資金を全額出しておるときは非常に回収率が悪いんです。ところがたとえば十万円の牛を買うのに三万円だけは自己資金を出しなさい、あとの七万円は政府が貸してあげますと、こういう場合には非常に回収率はいいんです。金を貸す場合に自己資金を何分か負担させるということは、絶対に金を貸す場合の必須の条件なんです。そういうことを考えますと、いかに産業の合理化資金であるとはいえ、自己資金を全然持たずに無利子の金を半分借りる、あとは商工中金の金を借りるというようなことで、これは今の牛の例じゃありませんけれども、これは西川さんが御心配のように私はどんなにやかましく言ったって、資金というものは回収できないと、こう思いますけどね。
  93. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 私があり得ると申しましたのは、抽象的に形式的にあり得るということでございますが、従来はそういう例は全然ございませんし、また、実際の問題としても貸し出しの場合に、その選定と申しますか、  一応の審査をいたしますから、従来のやり方としてはちょっと今ここに見つからないのですが、自己資金をある程度用意することが、要件になっております。まあ、形式論としてはあり得るということで、実際はそういうことは今後なかろうと思っております。
  94. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は形式は、むしろ自己資金を二割がいいか、三割がいいか、五割がいいかしらんけれども、この振興資金を借りる人は必ず自己資金を、借りる金額の何パーセントかは負担しなきゃいかぬという一つの形式を整えるべきだと私は思いますが、そうでないと、今長官が言われるように、その形式が整っておりませんと、今言うように全額商工中金もしくはこの振興資金によってまかなうというようなものも、これは私はできてくるとこう思うのですが、そういう自己資金を何パーセントか持たなきゃならぬという形式を整える御意思はございませんか。
  95. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 何パーセントがいいか、それは少し検討を要すると思いますが、お説はごもっともと思いますので、十分考えたいと思います。
  96. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから今度の法律審議の過程において、それを具体化したものをお示し願えますか。
  97. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) どういう形で入れますか、もちろん一つの基準をきめるわけでありますから、その基準の中に入れるということも一つ方法でありましょう。全部が借入金だというようなことではいかぬというのは、表現の問題でありましょうが、そういう趣旨は一つ別に申し合せたいと思います。
  98. 河野謙三

    ○河野謙三君 それをできるだけ具体化したものを一つお示しいただきたいのですが、まあくどいようですが、中小企業に資金を流してやるということは、絶対にこれは重要施策の一つであるけれども、さればといって国家資金を回収の見込みのないようなものに貸すわけにいかないので、回収の見込みの十分立つような万全の措置をとらなければならないと私は思う。金融業者に聞けば、私はこの間おもしろいことを聞いたが、金を貸す場合に、おかみさんの知らない借金というものは絶対に回収が不能だ。おやじだけが自分の考えだけで借りた金は非常にむずかしいと、必ず貸した場合はその借金というものは、おかみさんにつながっているかどうかということを聞かなければならないということを聞いた。(笑声)これは要するに今その自己資金を持たなければいかんということと通じておるのですよ。そういう面でまあ長官あたりは借金の苦労をしたことはないだろうが、従って金を貸したこともないかもしれない。だからそこを何とか一つ冗談のようだけれども、慎重に御検討願いたいと思う。希望しておきます。
  99. 西川彌平治

    西川平治君 実は役人が金を貸すというそのことは、これは県庁が金を貸すということをおっしゃっておるが、まず県庁が金を貸したのでは、それこそ私はもう回収不能が続出するのであろうということを極論をいたしたいと思います。たとえて言うならば、中小企業の金融公庫の金にしても、商工中金の金を借りるにしても、政治的に動いていって、借りている金が回収がなかなかむずかしくなっているのです、実際の状態においては。まして県庁の役人がこの金を貸すなんていったら、大へんな問題が起きると思いますが、これは県庁のどういうふうな役人に金を貸せさせる方法をするのか知りませんけれども、まあ、今県の資金部とか何かがあるのでしょうが、そういうところに調査でもさせて、貸せるのだかどうか知りませんが、運用でしっかりやってもらわなければどうにもならない事態が起きると思う。それともう一つは、借りた金は回収が不能になると私は思う。まず一つの理由は、延滞金日歩三銭と言っているが、今中小企業が日歩三銭なんていう金は全く安い金利でございます。この安い金利、日歩三銭だったら、中小企業は幾らでも平気で借りると思う。五銭や八銭もする日歩のものを使っておるのでありますから、そういうことから考えると、この点も私はどういうふうにお考えになっておるか、その二点を伺っておきます。
  100. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 貸した金の回収が非常に困難であるということは、私も想像されるのでありますが、どういう方法で一律的に各都道府県にとらせるかということまで実は検討いたしておりませんので、お話しの点もございますので、貸したあとの管理方法、あるいは徴収方法等については十分一つ検討いたしたいと思います。  それからただいまのお話しの日歩三銭というのは、これは実際的にもっと高い金利の金を中小企業者で借りているものが相当あるというお話ですが、といってあまり高くするというのも、よその法律がやはり同じような問題について三銭ということになっておる。それと軌を一にしないとまずいということでやっておるので、その辺はちょっとむずかしい問題であると思います。
  101. 海野三朗

    海野三朗君 長官に伺いますが、このお金のワクは何億あるのですか、中小企業振興資金の額。
  102. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 共同設備に対する補助金と中小企業の近代化のための補助金、両方合せまして四億七百万円、今後それに若干加わることになると思います。
  103. 海野三朗

    海野三朗君 私は政務次官にお伺いいたしますが、この四億七百万円なんていう額は実際から申しますとスズメの涙のようなものですね。開銀の融資をしているあの何百億という金から見れば、実に鼻くそのようなものだ。こんなわずかの金を出して中小企業振興資金助成法案なんていうのを出されるのは、どうもおこがましいくらいに私は感ずるのでありますが、四億じゃなくせめて四十億出すということについては、これはどういうふうにお考えになっておりますか、政務次官は。私はこればかりの金を出すのに、こういう助成法案なんていうのは実におかしい。私は開銀の融資の金高から考えましたら、スズメの涙ほどだ。私はもっと四十億出すというならこれは問題にしてもいいりだが、四億なんていうのは鼻くそほどの金だと思うのですが、こういうものは私は中小企業をごまかす、一時を糊塗する法案にすぎないと思うのですが、いかがですか。
  104. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) ただいま御説明申し上げましたように、国の予算は四億七百幾らでございまするが、これと同額の予算を県が負担いたしますので、さらに従来の貸金も回収いたすと、こういうことになりますと、実際の金額は十億内外に相なろうかと考えます。しかし、これといたしましてもまことにお説のように僅少な金額で、まことに相済まない次第でありますが、しかしこれは今年の予算がこれだけでございまして、来年度にはさらに努力をいたしまして多額の予算を取りたい。この法案は実は将来の大きな希望考えまして、中小企業振興資金助成法と、こういう大きな名前をつけたような次第でございますが、将来におきましては名前に恥かしくないような予算をさらに大蔵省と折衝して取りたい、かように考えておる次第でございます。
  105. 海野三朗

    海野三朗君 政務次官の誠意ある御答弁は了承いたしますが、この四億、それも回収をして約十億と申しましても、あの開銀の莫大なる融資に比べますと、そうしてしかも大会社である、大企業である、ところが中小企業といいますというと、小者がうんとあるわけであります。それに対して十億そこそこの金では中小企業振興資金なんということは、どうもおこがましいような感じさえするのでありますが、この点については、予算が取れなかったら、やむを得ないでありましょうが、私はどうも非常にこの点については大企業を生かすのもいいのだけれども、小企業も同様に生かしてもらわなければならない。しかもほんとうに鼻薬をちょっと与えた程度のありさまとしか私は受け取れないのでありますが、こういうやり方は私は政治の貧困ではないかというふうに考えるのでありますが、政務次官はこれでまず大体成功した方だと思っていらっしゃるのでありますか、まだまだ足りないと思っていらっしゃるのでありますか、御所信をちょっと承わりたいと思います。
  106. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) お説のように私といたしましても、非常な僅少な資金でございまして、まことに相済まない次第であると考えております。しかし、実は国家の予算もいろいろな関係がございまして、やむを得ずこの程度の予算に本年はなったような次第でございまするが、さらに来年度におきましては努力をいたしまして御期待に沿うようにいたしたいと、こういうように考えておる次第であります。なお、金額に比較いたしまして名前が非常にいいじゃないかという御意見でございまするが、しかし名前はりっぱな名前をつけておくということは、将来に対する希望を持てますようなわけであります。従いまして名前はお説のようにまことにりっぱな名前をつけたような次第でございます。しかし、将来はその名前に恥かしくないような予算を努力いたしまして取りたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  107. 海野三朗

    海野三朗君 私はもう一つ御所信を承わりたいのでありますが、この中小企業振興資金助成ということに対しては、ほんとうに鼻くそほどの金を出して、そうして中小企業振興対策と言って大きいほらを本会議場で吹いておられるけれども、一方あの防衛庁の国費の乱費、そういうことと比べて私は非常に遺憾のように思うのですが、おそらく政務次官も御同感でいらっしゃるのじゃないか。しかしまあ現在の政党が大多数を占めておるものですから、これはおっしゃるように御意見だけじゃ取れないでありましょうけれども、防衛庁のあの予算の乱費とああいうことを比較をしてみますというと、今度は四億か五億の鼻くそほどのもので、昨年度においてもあの防衛費が二百三十九億の金が余っておるというそういうことと比べて、こう考えますときに、こんな法案というものは国民を欺瞞する法案であるとしか考えられないのですが、あなた御自身ほんとうにどういうようにお考えになっていらっしゃるか、御信念のほどを私は承わりたい。
  108. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 全く私も同感でございます。実は御承知のように通産省は貿易の、あるいは産業の総元締め官庁であるにかかわらず、予算面から見ますると、人件費を合せましてわずかに八十億、昨年は七十億でございましたが、今年は昨年よりも十数億予算は実は増額いたしたとはいえ、八十数億の予算でございまして、まことにこの点から考えますると非常に遺憾な点でございます。通産省はただいまも申しましたように、貿易の総元締めでございまして、今年貿易の面におきましても十五億以上の黒字をきたしておるようなこの第一線官庁の予算の少いということは、非常に遺憾千万でございます。しかし、今後はさらにこういう面にも財政当局と折衝いたしまして、そうして第一線官庁である通産省の予算を大幅に広げたいと考えておるような次第でございます。
  109. 海野三朗

    海野三朗君 私が過日来質問をしておりまするその根本は、あの開銀の融資問題が実に重大な関係がありまするので、委員長にも開銀の総裁の出席を求めておるのでありまするが、いつ開銀の総裁は出席されるようにお手配でありますか、それを委員長にお伺いいたしたい。開銀の総裁の出席を私はこの前から荷主要求しておるのでありますが、いつ出席を要求しておいてくれましたか、開銀の総裁を。これはなぜ私はそういうふうに申し上げるかといいますと、この大企業である電気事業とか、それから造船とかが六分五厘の利子で、あと鉄鋼、石炭のようなものは九分の利子である。そういうようなえこひいきをやっているから、ここに疑獄事件が起るのである。前に復興金融金庫の事件におきまして栗栖赳夫君はあの昭和電工の事件を引き起したでしょう。また、復金が開銀と名前が変っただけでありまするが、開銀になってから造船の疑獄を引き起すのではないか、これは利子のきめ方がでたらめであるからである。そうしてまた開銀の総裁の自由勝手なその最量でやるからこういうことになるのである。その疑獄の根本を断つために、私は開銀の総裁の出席をぜひここに要求するわけであります。そうしてしかも最も大切なこの中小企業振興というようなことに対しては、四億幾らの金、胸くそほどの金である。こんなけちな法案を審議するのは、その価値ありやを疑うのである。こんなけちな法案はすぐあげてしまえばいいと私はこんなことを考えるのである。これほど重大な中小企業というものが非常に軽視されておる点について、私は限りない不満を持っておりまするから、開銀のぜひ総裁に出てもらって、私はそれをとっちめなければならない、こういうふうに考えているのでありますが、いつ開銀の総裁を呼んでくれますか、委員長にお伺いいたします。
  110. 阿具根登

    理事(阿具根登君) まことに委員長の手落ちで申しわけないと思いますが、先日来連絡はいたしておりますが、まだ確答を得ておりません。ただいま海野委員の趣旨も十分わかりましたので、おそらく開銀だけでなく、中小金融公庫の方もだろうかと思いますので、早急に呼ぶように手配いたします。その点で御了解を願いたいと思います。
  111. 海野三朗

    海野三朗君 ぜひそういうふうに至急おとり運びをお願いします。
  112. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 速記を起して下さい。  本日は、本法案に対する質疑は一応終了いたします。  なお、この際お諮りいたしたいと存じますが、建設委員会より東北興業に関する商工建設・連合委員会を来たる二十四日午後一時より開きたいとの申し出がありましたが、聞くところによると、かねて各委員より要望されておる資料は二十二日ごろに一応提出される予定であるということであります。いかがいたしましょうか、お諮りいたします。
  114. 河野謙三

    ○河野謙三君 二十三日に資料がわれわれの手元に届いて、合同審査はいつですか。
  115. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 二十四日であります。
  116. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、資料がわれわれの手元に届いた翌日ということになりますが、それではまじめな資料の検討というものはできません。従って、資料要求をしたわれわれが、非常に不まじめな態度資料要求をしたということになる。でありますから、私は少くとも資料がわれわれの手元に届いて、連合審査を行うまでに、最低三日間の猶予をいただかなければ、連合審査に応じられても、私としては私が要求した原価計算の資料等につきましては、検討の余地がございませんから、ぜひこの連合審査は、資料が届いた日から起算して三日間は置いてもらいたいということを、特に委員長において建設委員会に強く要望していただきたい。
  117. 海野三朗

    海野三朗君 私も賛成です。
  118. 阿具根登

    理事(阿具根登君) 御異議ございませんか。
  119. 白川一雄

    ○白川一雄君 私も賛成ですが、一応二十四日というものを延ばして、あとの日はいつというのを重ねて委員長の方で協議していただきたい、ということできめないでおいてもらいたい。その資料の検討の様子によりますから。
  120. 河野謙三

    ○河野謙三君 なお、念のためちょっと申し上げますが、公式ではありませんけれども、非公式に、私が要求した原価計算の資料を出すと、これは非常に会社の機密に属する事項であるから、これが他に漏れると非常に困るから出しにくいというような話をちょっと私は聞いたのです。しかし、その場合に、私は秘密会その他で、会社提出した原価計算が他に漏れないような手段を講じることは、委員長において取り計らっていただいて少しも差しつかえない。私は、公開の席上で原価計算の検討をしようという条件はつけておりませんから、もし建設委員会の方からそういうようなお話がありましたら、私の申し上げるような越智で一つお取り次ぎ願いたいと思います。
  121. 阿具根登

    理事(阿具根登君) ただいまの白川、河野両君の御意見に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 阿具根登

    理事(阿具根登君) さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会