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1956-04-13 第24回国会 参議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十三日(金曜日)    午後二時十三分開会   —————————————   委員異動 四月十二日委員深水六郎君辞任につ き、その補欠として中川以良君議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            西川平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            上原 正吉君            大谷 贇雄君            小野 義夫君            古池 信三君            中川 以良君            藤田  進君            加藤 正人君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本製鉄株式会社法廃止法の一部を  改正する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 西川彌平治

    理事西川平治君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。  去る四月十二日に深水六郎君が辞任され、その補欠として中川以良君が指名されました。以上報告いたします。
  3. 西川彌平治

    理事西川平治君) これより日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 阿具根登

    ○阿具根登君 次官に御質問いたしますが、企業担保法について、この前参考人の方々からも聴取いたしましたが、その参考人の中からも、一部、四十億円以上の大企業を対象にする、あるいは二十億以上というようなことを考えられておったようでございますが、この点についてどういうふうに次官考えられておるか。そういう大企業意見だけを聞いて企業担保法を作ろうとしておられるのか、あるいはそれ以下の、ほんとうに困っておる人たち意見を聞いて企業担保法を作ろうとしておられるか、その点をはっきり御説明願います。
  5. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 実は政府といたしまして、幾らぐらいの金額の程度がよかろうかというようなことにつきましては、まだ内々にもそういう金額をきめたことはございません。できるだけ一つ広い範囲にいたしたい、こういうふうに考えておりますが、ものには順序等もございますので、ただいまの御意見のようなことも考慮に入れまして、検討してみたいと考えております。
  6. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、法務省の方で立案されておる、あの企業担保法を支持される考えであるか、それとも金融界あるいは大企業代表の方の意見によってこれを再び修正されようとされるのか、その点をお伺いいたしたい。言いかえれば、法務省はいずれからの圧力もなく、法律を作る立場としての法案を作っておられると思うんです。そして、それを大企業あるいは金融界に了解されるような行動をされるつもりか、それとも、今度は逆に政府が大企業あるいは金融界から説得されて修正されようとしておられるのか、その点をお聞きしたい。
  7. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 法務省が作りましたといわれておりまする案につきましては、金額制限等はないものと私は承知をいたしておりますので、従いまして、今後におきましては、金融界財界あるいは通産省法務省等よく連絡をとりまして、そういう問題を検討してみたいというふうに考えておる次第でございます。
  8. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長がおられますから質問しますが、かりに四十億ということまで出ておりますが、四十億ということになりますと、それ以上の資本金を持っておる大会社日本にどのくらいあるかお示し願います。
  9. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 正確な数は、今ちょっと調べはできておりませんが、おそらく二十ないし三十ではないだろうか、こう思っております。銀行をのけまして普通の事業会社につきまして、大体それぐらいだと思います。  それから今の政務次官の答弁にちょっと補足いたしますが、企業担保あるいは一般担保といったものは、海外諸国でも無制限に広く認めておるわけではないようであります。それは法律の建前といたしまして、今阿具根委員お話がありましたような資本金会社規模を切って、それ以上に適用するという行き方もございましょうが、もう一つ考え方といたしましては、担保される債権の方をむしろ制限いたしまして、たとえばイギリスの立法例でありましたか社債に限る、あるいは特定の長期の債権担保に限るとかというような行き方もあるかと思います。このお話ありました法務省の試案というものは、これは一応その会社規模といたしましては無制限にいたしまして、債権の方で社債とそれからその他政令で指定する債権担保適用するということになっております。この問題は、いろいろ金融界等意見もあるわけでございますが、人為的に、資本金幾ら幾ら以上の会社は、こういう制度ができるという立て方は、ややぎごちないような感じがいたします。むしろそういう被担保債権範囲という問題から、おのずからこういう担保制度に適当した限度でいこうじゃないかという意見もあるのであります。その辺はまだもう少し調整の余地があろうかと、こういうふうに考えております。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 金融界等の中にも、異論が出ておりますように、政府の今のような態度であるならば、これは八幡製鉄富士製鉄一般担保法延長するための口実である、いわゆる四十億以上等のことを考えられている、あるいはそういう意見が流れているということは、これは一般適用されるということじゃなくて、いわゆるこういう口実によって、そうして両社の有利なようにはかられている、こういう誤解を非常に受けるのであります。そこで政府が聞いておる一部の金融界、あるいは大企業代表ということでなくて、実際そういう小さい株式会社等意見を、今後聞かれる腹があるかどうか、そうして法務省が作ったのが理想案に過ぎて、これがきわめて現実的にむずかしいということになれば、どこが一番それで助かるのか、どういうところが一番苦しんでおるのか、そういう観点から私は検討しなければならないと思うのです。ややともすればそういう大企業とか、金融業者意見のみによって法律を作られるとするならば、その法律は一部特定人擁護法になるのみであって、ほんとうに困っている人の擁護には何もならない一方的な法律だ、こういうふうに断ぜられると思う。そういう点について官房長はどういうふうにお考えになりますか。
  11. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) われわれとしましてはこういうふうに考えておるのでございますが、現在の物的担保制度のうちでまあ包括的なものとしては財団担保しか日本制度としてはありませんが、これは御承知のように、明治三十年代か四十年代かと思いまするが、いわば日本産業の比較的まだ起っていない時代に、しかもドイツ法系の影響を受けました立法でございます。それで企業担保と言いますか、構想はむしろ英米法流構想に元を発しておるのでございます。フランス法にもございますが、そういうふうな次第で、何もそういうような包括的担保構想は、ドイツ法系のように個々のものを特定して登記しなければ担保にならないというふうに、現在の産業界の、あるいは金融界の事情はそういう狭苦しいものではなくて、もう少し広い企業全体の信用力を活用するという担保制度考えた方がいいじゃないかというように実は考えております。そうなりますると、この問題はむしろ財団担保にかわる新しい担保制度というものをこの際産業界並びに金融界の利便のために設定すべしということになるわけであります。そこでその際そういうふうな包括的な担保制度が、どういうふうな企業、どういうふうな債権に適当しているかという論点からこれは議論さるべきだろうと思いまして、お話の点もそういう論点お話だと思っておりまするが、これはいろいろな実は立て方があるわけでございまして、まあ先ほど申し上げましたような問題もありまするほかに、特定約定担保権等関係もございまするし、あるいはその他いろいろな法律的な問題もございまするから、われわれとしましては、もう少し広い見地から考えたい。この適用される企業範囲資本金幾ら以上というふうに、まあいわば人為的に切ることはいかがかというふうな気がいたしております。これは今通産省研究段階のことでございまして、確定的なものではございませんので、むしろ金融の方からそういうふうな企業の大小を問わずに適当と思われる担保、しかもそれによって担保される債権範囲、こういう点からむしろ考えることも一つ行き方ではないかと思っております。現在のところ、先ほど申し上げましたように、確定的な結論を得たわけではございませんが、一応われわれとしましても、年来の主張ではございまするが、さらに一そう法務省等とも御連絡し、なお関係業界の広く意見も聞きまして、ひとり大企業でありませんで、もう少し広い意見を聞き、あるいは金融界意見を聞きまして、広く利用し得る制度にして国会の御審議にできるだけ早く持ってきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  12. 西川彌平治

    理事西川平治君) ほかに御質疑の方はございませんか。……ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 西川彌平治

    理事西川平治君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のあります方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、本法案に対しまして、一部修正の動議を提案いたします。一応読み上げまして、理由を説明申し上げます。  修正理由を御説明申し上げます。  旧日本製鉄の第二会社である八幡製鉄及び富士製鉄両社一般担保制度が認められているのは、日鉄法廃止経過措置としての暫定的規定に端を発しており、このような措置を今後とも漫然と、無期限的に延長することは廃止法の本旨からみて妥当ではありません。この意味から再び企業担保法制定理由にしかも「当分の間」無期限的に両社一般担保制度延長しようとする今回の改正案には直ちに賛同しがたいものがあります。しかしながら本年八月四日、(既発行社債等については明年八月四日)をもって有効期限の切れる本措置をかりに何らの対策も講じないでこのまま放置するといたしますと、それまでに八幡富士両社財団組成による一般担保の切りかえはとうてい不可能でありますから、自後における両社社債発行はすこぶる困難となる上に両社がすでに発行した社債社債権者並びにその他の債権者にも著しい支障を生ずることになりますので、不本意ながら、両社一般担保制度適用期限をさらに二カ年延長し、両社債権者の利益を擁護しようとするものであります。もとより両社はこの間においてあらためて財団組成のためにする準備工作を推進し将来再びこのような事態の発生しないよう万全の措置を講ずべきであり、政府もまた厳重にこれを監視指導すべきであります。  日鉄廃止法と関連して検討されている企業担保法案は現段階においてはなお、産業界金融業界その他関係方面の本法案に対する意見を調整する必要があり、おそらくこのままに放置すれば企業担保法早期成立は望むべくもないことは、本案に対する過去二カ年間の経緯に徴するも明らかなところであります。従って企業担保法案を一応是とし、その早期制定を求める立場よりするも、この際何らかの促進的対策が講じられねばなりませんが、そのために企業担保法案に直結するものと政府当局がみている日鉄法廃止法の付則の有効期限を今回の政府原案のごとく当分の間とするよりむしろはっきりと一定の期限を付し、企業担保法案立案当局並びに同法案に重大な関心をもつ通商産業省当局に一種の努力目標を与えるのが適当であると考える次第であります。  なお、この際、付言しておきたいと思いますのは、本法案審議に当りまして、たとえば第一回の延長昭和二十七年でございます。第二回が二十九年の第十九国会でございますが、御承知のように、昭和二十七年の第十三国会におきましては、これは財団組成手続をするための二年間の延長であったのでございます。ところが十九国会においては、企業相保法制定間近かにあるためにこれを改正したということでございます。ここに私は非常に大きな矛盾がきておる。ややもすれば誤解を招くおそれがある。何となれば、十三回国会においては、財団組成手続をするために二カ年間延長したのであるが、十九国会においてはそれは改めて、今度は企業担保法を作るから、これは延長するのだと、こういうような錯覚に陥ったならば、私は非常な大きな間違いであると思うのでございます。十九国会においてこの延長を認められたときには、政府当局が、通産省当局が説明したごとく、今にもこの企業担保法案が通過するのだと、できるのだと、きわめて簡単な時間にこれができるのだという前提のもとにこれが出されておるのでございまして、この日鉄法廃止法延長は必ずそういうことではなくて、企業担保法とは別個なものであるということを、私どもははっきり知っておかねばならないと思うのでございます。たとえこの八幡あるいは富士製鉄一般担保法がこれがなかったにしろ、財団組成になっておったにしろ、政府としては企業担保法考えられておるものと私は考えるのでございます。そうするならば、この問題とは切り離して、幸いにして企業担保法ができたならば、八幡富士がそれに乗りかえるということならわかりますが、十九国会後はあたかも企業担保法を作るためにこれを延ばすのだと、そういう錯覚があったならば、私は大きな間違いであるということを、声を大にして指摘をしなければならないのでございます。その根本的な考え方政府当局考えられて、説明の中には企業担保法ができるからこれを延ばせ、こういうようなことを盛んに主張されておりますが、おのずから両者は違うものである。先ほど申しましたように、たとえこれが国会が了解したごとく、なおまた八幡富士もそれを了解して、二カ年のうちには財団組成をする。政府ごときは一年間にできるということまで考えておられておったのでございます。とすれば、政府考え通りであったならば、とうに財団組成手続は済んでおるはずである。済んでおっても、日本金融財界等の面から考えて、そして企業担保法を作るというのは、これは考え方であると私は思うのでございます。そこで再三申し上げたのでございますが、企業担保法日鉄法廃止法の今度の延長というのは、全然別個である。そうして八幡企業担保法ができようができまいが、財団組成手続準備は完全になしておくべきであるという前提のもとに私はこの修正案を提案する次第でございます。
  15. 白川一雄

    白川一雄君 私は自由民主党を代表いたしまして、この法案に対する討論を行うものであります。かわるべき企業担保法が、延期二カ年間の間に制定されるということを期待いたしまして、阿具根提出修正案賛成するものであります。法務省立案中の企業担保法案は、一般担保制度一般法として法制化することによって、特定企業として広く各種の企業に対して一般担保制度の門戸を開放しようと意図するものでありまして、産業金融円滑化を期するという見地からも、一応原則的には支持さるべきものと考えるのでありますが、いたずらに現状のまま放置しておりましたならば、かりに三年延期し、五年延期いたしましても、同じことを繰り返すほかはないのではないか。産業界金融界その他関係方面意見を可及的すみやかに調整して、期間内に適正なる企業担保法立案すべきことを特に要望するものであります。旧日鉄両社があらためて財団組成のためにする準備工作を推進すべきことを強調する意見もありますが、幸いにして今回の改正法有効期間中に企業担保法が成立いたしますならば、両社は同法の適用を受けられるものと予想されますので、両社財団組成企業担保法制定進捗状況を勘案しつつ行われるのが実際的な処置であろうと考えるものであります。以上討論といたします。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 私は阿具根委員提出修正案並び修正部分を除く原案について賛成をいたします。なおこの際申し上げたいと思いますことは、大体阿具根委員討論で尽きておりますけれども、重ねて申し上げたいと思いますが、私が今さら言うまでもなく、現在の富士八幡というものは決して国から特権を与えられた旧日鉄そのものではないはずであります。しかるにどうも私の想像では相変らず富士八幡というものは旧日鉄と同じように国の特権をしょっている会社のような錯覚を起しているのではないかと思う。政府もまた同様な錯覚が一部あるのではないかと思う。そうでなければ再び三たびにわたるところの延期期間において阿具根さんのおっしゃいましたように、財団組成その他の準備は当然とっておくべきであったと思う。また十分その時間的余裕があったはずであります。しかるに法律期限の切れる直前、現在におきましてもなおかつさような準備がしてないということ自体が、私が今申し上げたように、あたかも国の特権をしょっておるような錯覚を起しているのではないかと思う。今回はやむを得ず二カ年の延長ということになりますけれども、願わくは従来持っておったような錯覚を捨てて、この二カ年の間に一方において企業担保法立案制定を期待するとともに、一方においてはこの企業担保法制定の有無にかかわらず、財団組成準備は当然当事者において行うべきであるし、また通産省監督官庁としてその準備を急がせるべきであると、かように思うのであります。今阿具根さんがおっしゃいましたように、われわれは企業担保法には賛意を表するものでありますけれども、さらばといって企業担保法とこの法律期限というものとが常につながるものだという前提においてわれわれはこの本案賛成するものではないのであります。でありますからその点は十分通産当局は商社の経営者に十分の警告を発せられまして、再びかような事態が起らぬように特に私は期待をいたしまして、本案賛成いたします。
  17. 西川彌平治

    理事西川平治君) ほかに御意見もたければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 西川彌平治

    理事西川平治君) 御異議ないと認めます。  これより日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず議論中にありました阿具根提出修正案を問題に供します。  阿具根提出修正案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  19. 西川彌平治

    理事西川平治君) 全会一致でございます。よって阿具根提出修正案は可決されました。  次にただいま可決されました修正案を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  20. 西川彌平治

    理事西川平治君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお本会議における口頭報告の内容、議長提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 西川彌平治

    理事西川平治君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  報告書には多数意見者署名を附することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
  22. 西川彌平治

    理事西川平治君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  23. 西川彌平治

    理事西川平治君) 速記をつけて。  それでは本日は特別御発言がないようでありますから、これをもって委員会は散会することにいたします。    午後二時四十七分散会    ————————